JP2008021453A - 電池用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子の脱落を有効に防止して寿命の長い電池用電極を提供する。
【解決手段】集電体と、前記集電体の表面に形成される活物質層と、を有する電池用電極であって、前記活物質層は、前記活物質層の厚さ方向に貫通したアンカー部材が配置されてなる、電池用電極。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池用電極、特にリチウムイオン二次電池用電極に関するものである。特に、本発明は、屈曲などによる面方向の剪断変形による活物質、特に正極活物質の脱落を抑制・防止する電池用電極、特にリチウムイオン二次電池用電極に関するものである。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するという環境の観点、さらには燃費の観点から、ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池自動車が製造・販売され、新たな開発が続けられている。これらのいわゆる電動車両においては、放電・充電ができる電源装置の活用が不可欠である。この電源装置としては、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等が利用されている。
特に、リチウムイオン二次電池はそのエネルギー密度の高さや繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適と考えられている。しかしながら、モータ駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池には、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性を有することが求められており、かような要求に応えるべく鋭意研究開発が進められているのが現状である。
また、特に正極活物質の導電助剤として炭素粉末を用いたリチウムイオン二次電池においては、高電流密度(例えば10mA/cm以上)では十分な出力を引き出せておらず、その原因の一つとして活物質の表面積量が不十分であるという問題があった。この問題に対しては小粒径の活物質を用いることが対策として考えられている。しかしながら、活物質粒子の径が小さくなると1粒子あたりの面積は減少するため、バインダ等との接触が良好でない場合、電極の変形などにより活物質の脱落が起こる可能性があるという課題があった。
また、リチウムイオン二次電池は、一般的に、正極、負極、正極及び負極を絶縁するセパレータ、ならびに正極と負極との間でイオンの移動を可能にするための電解質で構成されている。これらのうち、電極(正極及び負極)は、金属箔からなる集電体表面に、粒状の電極活物質が塗布される構造を有する。しかしながら、金属箔と活物質とは一体化しにくいため、活物質は比較的容易に活物質層から脱落しやすい。また、電極活物質粒子は、実際には完全な球形ではなく、表面に凹凸があり、これが活物質同士やバインダとの結合を助けている。活物質の粒子径を小さくすると表面が小さくなり、相対的に粒子に対してスケールが小さくなるため、粒子1個あたりの表面の凝集力が小さくなるため、活物質層からの活物質の脱落が容易になってしまう。特に、高容量を目的として活物質層の厚さを大きくしようとすると、屈曲などによる面方向の剪断変形によって生じる変位のスケールも比例して大きくなるため、さらに活物質はさらに脱落しやすくなり、経時的な出力特性の低下が起こる。
このような活物質の脱落を防止するために、様々な方法が試みられてきた(特許文献1、2参照)。特許文献1には、多数の貫通孔が設けられている金属箔からなる二次電池用孔開き集電体であって、貫通孔を、金属箔の裏面と金属箔の裏面側における貫通孔の内壁面とで形成される切片角度及び金属箔の表面と金属箔の表面側における貫通孔の内壁面とで形成される切片角度が特定の範囲になるように設けられることが記載される。特許文献1によると、この貫通孔に活物質やバインダを係止して、金属箔(集電体)からの活物質の脱落を防止する(段落「0006」)。また、特許文献2には、全体を金属によって形成し、その片面に、活物質粒子を収容する多数の孔を開口させた薄板状のアルカリ二次電池用の正極集電体であって、個々の孔の、開口の平面形状の重心からその縁辺までの最短距離で表される孔の開口半径、孔の深さを特定範囲になるようにし、かつ孔の断面積を、開口部で最も広く、孔の奥に行くにしたがって小さくすることが記載される。特許文献2によると、孔を所定のサイズにすることによって、孔に多くの量をかつ隙間無く活物質粒子を充填することができ(段落「0019」)、また、孔の断面積を孔の奥にいくにしたがって小さくなるように規定することによって、放電時に集電体によって良好に集電されない内側の粒子の数を減少することができる(段落「0021」)。
特開平11−67217号公報 特開2002−222653号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載される集電体は、孔の形状を精密に規定する必要があるため、金属箔(板)の加工が難しく、また、孔にのみ活物質が充填されるため、充填量が限定されてしまう。このため、電池の容量が孔の容積によって規定され、非常に高容量の電池を製造することが困難である。上記問題に加えて、活物質と孔の内壁との接触部分は反応に寄与しないため、活物質量のわりに十分な出力特性が期待できない。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、粒子の脱落を有効に防止して寿命の長い電池用電極を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、十分な出力特性を保持しつつ粒子の脱落を有効に防止して、長期間高い出力特性を発揮できる電池用電極を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究を行った結果、活物質層の厚さと概ね同等の径あるいは辺長を持つ部材を、厚さ方向に概ね貫通するように活物質層中に適宜配置することによって、この部材が活物質層のアンカーとして作用し、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形を有効に抑制・防止することができ、ゆえに、活物質の脱落が有効に抑制・防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的は、集電体と、前記集電体の表面に形成される活物質層と、を有する電池用電極であって、前記活物質層は、前記活物質層の厚さ方向に貫通したアンカー部材が配置されてなる、電池用電極によって達成される。
本発明によれば、活物質層内に配置されたアンカー部材が電極全体の変形を分散させ、局所的に大きな変形が起きるのを抑制・防止するため、活物質の活物質層からの脱落が抑制・防止できる。このため、本発明の電極を用いてなるリチウムイオン二次電池、およびこれを用いた組電池は、優れた出力特性および長寿命を発揮できる。
本発明の第一は、集電体と、前記集電体の表面に形成される活物質層と、を有する電池用電極であって、前記活物質層は、前記活物質層の厚さ方向に貫通したアンカー部材が配置されてなる、電池用電極に関するものである。本発明は、活物質層の厚さと概ね同等の径あるいは辺長を少なくとも一部に有するアンカー部材を、厚さ方向に概ね貫通するように活物質層中に配置することを特徴とするものである。
リチウムイオン二次電池の構造は、主に、対置される正極および負極の電極アセンブリと、これらに挟まれたセパレータと、セパレータおよび電極アセンブリに含浸された電解質/液と、これらを内包するセルからなる。電極アセンブリは、金属箔からなる集電体と、粒子状の活物質および導電助剤と、これらをつなぐバインダからなる。リチウムイオン電池の電極活物質は、リチウムイオンを挿入/放出するに際して、体積変化を起こし、これによって活物質と、主に周囲のバインダとの間に力がかかる。また、上記力以外にも、外部からの振動等によっても、力がかかる。このような力に対して、電極アセンブリで考えられる変形モードとしては、厚さ方向の垂直変形と、平面内の剪断変形が考えられるが、電極アセンブリの厚さは概ね数十μmと非常に薄いため、変形量として問題になるのは剪断変形である。特に、電極アセンブリのセパレータ側は、支えとなる集電体からもっとも遠くにあるため変形量が最も大きく、前述の力により、リチウムイオン電池の使用過程で活物質が電極アセンブリから脱落するおそれがある。
このような問題に対して、本発明では、活物質層の厚さ方向に貫通するようにアンカー部材を活物質層中に配置することにより、活物質層の面内方向の変形、すなわち剪断変形を抑制し、活物質の脱落を防止することにより電池の劣化を防いでいる。このようなアンカー部材の配置によって面内方向の変形を抑制するメカニズムについては明らかではないが、以下のように考えられる。なお、本発明が以下の推測によって制限されるものではない。すなわち、図1A,Bに示されるように、活物質層内に配置されたアンカー部材が電極全体の変形を分散させ、屈曲などに対する局所的な面内方向の変形、即ち、剪断変形によって生じる変位のスケールを有効に低減・排除することができる。このため、変形が繰り返し生じても活物質表面とバインダとの剥離がおきにくい。これに対して、アンカー部材が無いと、面内の変形が塑性変形的に蓄積し、活物質表面とバインダとの剥離が起こりやすくなる。したがって、本発明によると、活物質の脱落が有効に抑制・防止でき、また、高容量を目的として活物質層の厚さを増大することが可能である上、本発明の電極を用いてなるリチウムイオン二次電池、およびこれを用いた組電池は、優れた出力特性および長寿命を発揮できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で使用されるアンカー部材は、屈曲などに対する局所的な変形、特に面方向の剪断変形によって生じる変位のスケールを抑制・防止できるものであれば、いずれの材料が用いられてもよい。容量低下を防ぐという点を考慮すると、電極活物質をアンカー部材として使用することが好ましい。アンカー部材として電極活物質を使用することによって、アンカー部材も正極/負極の活物質として作用できるため、アンカー部材の存在による活物質量の減少を抑えることができ、容量の低下を抑制・防止できる(図2参照)。また、上記実施の形態は、サイズの異なる活物質を使用することになるが、このような場合では、大電流(急速)放電のときには本来電極活物質としての小粒径の活物質(粒子)が対応し、小電流の長時間放電のときにはアンカー部材としての大粒径の活物質(粒子)が対応するため、大粒径の活物質(アンカー部材)も充放電反応に寄与できる。このため、全体として十分な容量を提供することができる。
このような場合に使用できる電極活物質としては、特に制限されないが、アンカー部材を正極の活物質層に配置する場合には、正極に使用される電極活物質と同様のものが、また、アンカー部材を負極の活物質層に配置する場合には、負極に使用される電極活物質と同様のものが、それぞれ、一般的に使用される。この際、アンカー部材と、活物質層に本来の意図で使用される電極活物質とは、同一であってもあるいは異なるものであってもよいが、反応面を考慮すると、好ましくは同一である。
具体的には、アンカー部材を正極の活物質層に配置する場合には、アンカー部材としては、通常使用される正極の電極活物質が同様にして使用され、特に限定されない。より具体的には、AgO、MnO、PbO、V、MoO等の、金属酸化物;MoS、VS、TiS、ZrS、NbS等の、金属硫化物;LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiNi1−xCo(例えば、LiNi0.8Co0.2)、LiNi1−x−yCoMn、LiNi1−xMn(例えば、LiNi0.5Mn0.5)、Li1+xCrMn1−x−y、Li1+xCrTi1−x−y等の層状構造を有するもの、LiMn、LiCo2−xMn(例えば、LiCoMnO)、LiNi2−xMn(例えば、LiNi0.5Mn1.5)、CoLiVO等のスピネル構造を有するもの、LiMnOなどの、リチウム−遷移金属酸化物;LiFePO等、リチウム−遷移金属リン酸化合物;LiMoO、LiRuO、LiRu1−xFe、LiIrO、LiPtO等の、リチウム−貴金属酸化物;およびリチウム−遷移金属硫酸化合物;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセン、スルフィド化合物等の有機材料などが例示される。
また、アンカー部材を負極の活物質層に配置する場合には、アンカー部材としては、通常使用される負極の電極活物質が同様にして使用され、特に限定されない。具体的には、カーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物などを用いることができるが、好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物などである。より具体的には、黒鉛結晶、天然黒鉛、人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類;炭素前駆体(石油や石炭から得られるタールの上流残留物であるピッチ、ポリアクリロニトリル、ポリフルフリルアルコール樹脂、フェノール樹脂など)、無定形炭素(ソフトカーボンとハードカーボン)、低温焼成炭素、炭素化ハードカーボン、ホウ素添加メソフェーズピッチ系黒鉛、ピッチ被覆黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維などの、炭素材料;上記したようなリチウム−遷移金属化合物、金属酸化物、金属材料、およびリチウム−金属合金材料などが例示される。好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物である。これらカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiTi12などのリチウム−チタン複合酸化物などを用いることができる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。好ましくは、グラファイトまたは非晶質炭素であるハードカーボン等の炭素系の材料を主材料とする負極活物質を用いるが、これらに特に限定されるものではない。
上記に加えて、または上記に代えて、本発明に係るアンカー部材は、導電性を有する導電性物質であることが好ましい。これにより、集電体に到達した電子がアンカー部材を通ってセパレータ側にまで容易に移動することができる。したがって、特に活物質層の厚さが大きい場合において、セパレータ側への導電性(電子伝導性)が向上できる。このような場合おけるアンカー部材としては、特に導電性を有するものであれば特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、導電性高分子などが挙げられる。これらのうち、金属や一部の金属酸化物は導電性物質の中でも特に導電率が高いため、金属や金属酸化物をアンカー部材として使用することにより、特に高容量をねらって活物質層の厚さを100μm以上にまで大きくしてもセパレータ側への導電性(電子伝導性)が向上できるという利点がある。また、導電性高分子は導電性物質の中でも軽量でありかつ溶媒やバインダとの親和性がよいため、溶媒やバインダの保持においてより優れた効果を発揮できる。また、導電性高分子はリチウムイオン伝導性をも有するため、放電時にセパレータ側から電極側へのリチウムイオンの移動を促進できる。
上記場合における金属としては、特に制限されないが、例えば、各種合金を含むアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス(SUS)などが挙げられ、これらのうち、正極の場合では、アルミニウムが、負極の場合には、銅が、それぞれ好ましく使用される。また、金属酸化物としては、特に制限されないが、例えば、常温付近で比較的高い導電率を有するReO、TiO、CrO、V、Feなどが挙げられる。また、導電性高分子もまた、特に制限されるものではないが、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセン、スルフィド化合物などが挙げられる。
上記アンカー部材の材質のうち、正極用のアンカー部材としては、各種リチウム−遷移金属酸化物、例えばLiMn、層状構造を有するリチウム−遷移金属酸化物、例えばLiNiOなどが好ましく、より好ましくは、層状構造を有するリチウム−遷移金属酸化物、例えばLiNiOが使用される。また、負極用のアンカー部材としては、カーボン系材料が好ましく、より好ましくは、グラファイトやハードカーボンが使用される。特に正極用については、アンカー部材は大粒径であるため、体積の割に表面積が小さくなり、反応可能面積に比例すると考えられる出力向上に寄与しにくいと考えられる。このため、出力性能が比較的高いスピネル構造を有するリチウム−遷移金属酸化物より、容量の大きい層状構造を有するリチウム−遷移金属酸化物をアンカー部材として配置する方がアンカー効果を考慮するとより効果的である。なお、上記アンカー部材を構成する材料は、正極用、負極用双方の場合において、単独であってもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明において、アンカー部材は、少なくとも一部の表面にバインダが付着されていることが好ましく、特にアンカー部材が導電性物質である場合には、上記形態は特に好適である。このようにバインダをあらかじめアンカー部材の表面に付着させてアンカー部材表面にバインダを分散しておくことによって、周囲の活物質との接着性を高めることができるからである。この際使用できるバインダとしては、特に制限されず、使用されるアンカー部材の材質によって適宜選択される。例えば、銀、銅、すずなどの金属粒子をエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などに分散したものなどが使用できる。この際、金属粒子の代わりに金属ナノ粒子を用いることによって、より微細な領域で接着が可能になるため好ましい。また、上記バインダの塗布は、スクリーン印刷、インクジェットなどによるパターニングによって行なわれてもよい。これらのうち、アンカー部材が電極活物質から構成される場合には、インクジェットなどが好ましく使用でき;アンカー部材が金属および/または金属酸化物から構成される場合には、スクリーン印刷などが好ましく使用でき;アンカー部材が導電性高分子から構成される場合には、インクジェットなどが好ましく使用できる。また、アンカー部材へのバインダの付着面積は、周囲の活物質を良好に接着できる面積であればよいが、アンカー部材の表面積に対して、1〜100%が好ましく、バインダの使用量は、上記付着面積によって適宜決定される。
本発明において、アンカー部材の形状は、少なくとも一部に活物質層の厚さ方向に概ね貫通するような長さを有するものであれば特に制限されないが、例えば、粒子状、楕円状、卵状、非球状粒子状、柱状(円柱状、角柱状等)、円錐状、裁頭円錐状などの、形状が挙げられ、また、アンカー部材は、フィラー、ウィスカ等の形態であってもよい。これらのうち、粒子状、円柱状、ウィスカの形態が好ましい。
本発明で使用されるアンカー部材は、活物質層の厚さ方向に概ね貫通するように活物質層中に配置できるように活物質層の厚さと概ね同等の径あるいは辺長を少なくとも一部に有する。より具体的には、アンカー部材は、少なくとも一部に活物質層の厚みに対して100〜120%のサイズを有する部分があることが好ましい。この範囲にあれば、アンカー部材は、活物質層の厚さ方向に少なくとも貫通して、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形を有効に抑制・防止することができる。しかし、アンカー部材が100%未満のサイズのみからなると、活物質層の厚さ方向で貫通しないため、十分アンカー効果を達成することができない場合があり、120%を超えるサイズの部分があると、集電体と活物質層とを、あるいは集電体と活物質層とからなる電極とセパレータとを、プレスなどにより一体化させて厚みを制御する際に、120%を超えるサイズの部分が逆につっかえ棒として作用して、当該部分周辺が厚くなりすぎて、所定の厚みに制御することが困難となる場合がある。より好ましくは、アンカー部材は、少なくとも一部に活物質層の厚みに対して、100〜110%、最も好ましくは100〜105%のサイズを有する部分がある。特にアンカー部材が球状の電極活物質から構成される場合には、活物質層の厚さが、アンカー部材の粒径分布の頻度80〜100%の範囲内にくるように、アンカー部材のサイズが規定されることが好ましい。
本発明において、サイズは、活物質内に配置したときのアンカー部材の、活物質層の厚み方向(集電体の平面と垂直な方向)での、有効な長さを意味する。例えば、アンカー部材が球状である場合には、サイズは平均粒径によって規定される。また、アンカー部材が柱状や楕円状である場合には、図3A,Bにそれぞれ示されるように、長軸方向に固定すればその方向の長さが、短軸方向に固定すればその方向の長さが「有効長さ」となり、これによりサイズが規定される。
本発明に係るアンカー部材を上記したような好ましいサイズに調節する方法は、特に制限されず、公知の方法または当該方法を適宜修飾して単独であるいは組合わせて使用することができる。例えば、アンカー部材が電極活物質から構成される場合には、必要に応じてふるい分けを行ない、所定の粒径範囲を有する活物質を選別する方法などが使用できる。また、アンカー部材は、金属あるいは金属酸化物から構成される場合には、例えば、特開平10−298615号公報、特開平3−180401号公報、特開平4−66602号公報、特開平7−283226号公報など、公知の方法によって、所定のサイズを有するアンカー部材が製造できる。また、アンカー部材がウィスカ状またはナノウィスカ状である場合には、特公平6−86360号公報などの方法によって、所定のサイズのアンカー部材を選別できる。アンカー部材がタルクである場合には、特開昭63−284241号公報などの方法によって、所定のサイズのアンカー部材を選別できる。アンカー部材が非球状粒子である場合には、特開2005−169224号公報などの方法によって、所定のサイズのアンカー部材を選別できる。
本発明において、活物質層に配置するアンカー部材の位置は、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形を有効に抑制・防止することができるようであればいずれの位置であってもよいが、変形の抑制・防止効果を考慮すると、図4に示されるように、アンカー部材が方形状に連続して配置される場合(図4A;図中の○や●がアンカー部材を表わす、以下同様);アンカー部材が千鳥状に連続して配置される場合(図4B);アンカー部材が活物質層の4角及び中央部に配置される場合(図4C);アンカー部材が蜂の巣状に連続して配置される場合(図4D)などが好ましく使用できる。これらのうち、面内での変形とアンカー部材との関係を考慮すると、図4A及び図4Bに示される配置がより好ましい。また、活物質層に配置するアンカー部材間の距離もまた、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形を有効に抑制・防止することができる距離であれば特に限定されない。2つのアンカー部材から最も遠い位置にあるアンカー部材までの距離(隣接する3つ以上のアンカー部材のそれぞれの重心とアンカー部材との距離)は、活物質層厚さの、好ましくは10倍以内であり、より好ましくは2〜10倍であり、最も好ましくは3〜8倍である。このような範囲内の距離でアンカー部材が配置されている場合には、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形の優れた抑止効果が発揮できる。例えば、活物質層の厚みが20μmである場合の、活物質層に配置するアンカー部材間の距離(d)は、図4Aでは下記式(1)から280μm以下となり、図4Bでは下記式(2)から340μm以下となる。
Figure 2008021453
また、本発明において、活物質層中に占めるアンカー部材の割合(占有率)は、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形を有効に抑制・防止することができる割合であれば特に制限されないが、十分な出力特性を確保できる割合であることが好ましい。経時的な劣化を考慮すると長期間使用後の電極活物質量が活物質層の体積の80〜85体積%は確保することが好ましい。このため、アンカー部材の占有率は、活物質層の体積に対して、15体積%以下であることが好ましい。このような範囲であれば、屈曲などに対する局所的な変形、特に剪断変形を有効に抑制・防止して活物質の脱落を有効に抑制・防止しつつ、電極活物質が十分量活物質層に添加できるため、十分な出力特性を確保できる。より好ましくは、アンカー部材の占有率は、活物質層の体積に対して、2〜10体積%、最も好ましくは3〜8体積%である。ただし、アンカー部材が活物質としても作用する場合は、この限りでない。
本発明の電極は、アンカー部材が適宜配置された活物質層が集電体の表面に形成される構造を有し、活物質層は、一般的には、バインダを用いて電極活物質等を集電体の両面に塗布してなる。ここで、アンカー部材を含む本発明に係る活物質層の形成方法は、アンカー部材が所定の位置に所定量配置できる方法であれば特に制限されない。以下、本発明に係るアンカー部材の配置方法の好ましい実施形態を記載する。
すなわち、集電体上のアンカー部材を配置しようとする位置に、接着剤を吹き付け等によってスポットし、ここにアンカー部材そのものあるいはアンカー部材を含むスラリーを塗布した後、アンカー部材が集電体上に十分接着した後、洗浄して余分なアンカー部材を除去する方法などが使用できる。当該方法では、その後、下記に示されるように正極および/または負極用のスラリーを当該アンカー部材が配置された集電体上に塗布して、活物質層を形成することができる。この際、接着剤は、特に制限されないが、導電性を有することが好ましい。このような導電性接着剤としては、例えば、銀、銅、すずなどの金属粒子をエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などに分散したものなどが使用できる。この際、金属粒子の代わりに金属ナノ粒子を用いることによって、より微細な領域で接着が可能になるため好ましい。また、上記接着剤の塗布は、スクリーン印刷、インクジェットなどによるパターニングによって行なわれてもよい。また、上記方法において、アンカー部材をスラリー形態で集電体に塗布する場合に使用できる溶媒としては、特に制限されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミドなどが好ましく使用できる。なお、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を採用する場合には、NMPを溶媒として用いるとよい。アンカー部材の濃度は、アンカー部材の占有率などによって適宜選択される。
または、上記したような接着剤を使用せずに、アンカー部材を集電体上に配置する方法もまた好ましく使用される。このような方法としては、以下に制限されないが、例えば、例えば、特開2002−222653号公報に記載されるように、集電体に凹部を設け、その凹部にアンカー部材をはめこむ方法;集電体に微細穴加工を施し(この際、穴は集電体を貫通する必要は必ずしもない)、ここに有効長さが所定より大きい(例えば、目標の有効長さが20μmで、集電体の微細穴が貫通している場合には、40〜50μm程度の有効長さ)アンカー部材(例えば、活物質)をプレスすることによって、穴にアンカー部材をはめこむ方法などが使用できる。この際、凹部/穴と組み合わさらないアンカー部材は集電体に保持されないので、余分なアンカー部材は、洗浄などにより簡単に除去でき、所望の位置にアンカー部材を簡単に配置することができる。なお、当該方法においても、その後、下記に示されるように正極および/または負極用のスラリーを当該アンカー部材が配置された集電体上に塗布して、活物質層を形成することができる。
または、下記に示されるように正極および/または負極用のスラリーに混ぜて集電体に塗布してもよい。
本発明は、上記したようなアンカー部材を適宜活物質層に配置することに特徴があり、このようなアンカー部材が配置された活物質層が集電体上に形成されてなるが、それ以外については、公知の構造、方法と同様の構造、方法が使用できる。以下、本発明の好ましい電極を詳述する。
本発明で用いられる集電体としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを利用することができる。例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、銅箔、およびニッケル箔などの金属箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、SUSとアルミニウムのクラッド材あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく使える。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。複合集電体を用いる場合、正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS、ニッケル、チタンなどの導電性金属を用いることができるが、アルミニウムが特に好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、SUSなどの導電性金属を用いることができるが、銅、SUS及びニッケル等が特に好ましく、銅が特に好ましい。
複合集電体における正極集電体および負極集電体の各厚みは、通常通りでよく両集電体とも、例えば、1〜100μm程度である。電池の薄型化の観点からは、集電体(複合集電体を含む)の厚さが1〜30μm程度であるのが好ましい。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
また、電極活物質は、充放電反応の中心を担う物質である。本明細書中では、電極が正極として用いられる場合の活物質を、正極活物質と、また、電極が負極として用いられる場合の活物質を、負極活物質と、記載し、両者の区別が特に必要でない場合には、一括して電極活物質と称する。
正極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる正極活物質、および、リチウムイオンを伝導する電解質を含むものであればよく、その他に必要に応じて、電子を伝導する導電助剤、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩、バインダ、イオン伝導性ポリマー、添加剤等が含まれ得る。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
正極活物質としては、上記したものと同様の正極活物質が使用でき、すなわち、大きく無機系材料と有機系材料に分けられる。無機系材料としては、金属酸化物、金属硫化物、リチウム金属複合酸化物等を使用することができる。リチウム金属複合酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMn、LiNiO、およびこれらの化合物を部分的に他の元素により置換した材料を主材料とする活物質を用いることができるが、特に限定されない。これらリチウム金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる点で有利である。これらの他に、V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの金属酸化物や金属硫化物;LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。また有機系材料としてはポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ポリスルフィド系化合物等を使用することができる。この際、正極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
正極活物質の平均粒径は、0.1〜50μm、特に0.1〜10μmとするのが好ましい。平均粒径が0.1μmより小さいと、極微細粒となるため活物質製造上および正極活物質層形成時の作業性が低下する恐れがある。また平均粒径が50μmを超えると、比表面積が少なくなり大電流放電時に活物質容量を使い切れず、また正極活物質層形成時に粒径が活物質層厚さより大きくなり、粒が不規則に割れて厚さや分散性が不均一になる恐れがあるため、上記範囲が好ましい。正極活物質の平均粒径は、例えば、レーザー回折を用いた粒度分布計等で測定される数値である。
また、正極活物質の空隙率は、以下に限定されるものではないが、好ましくは0.2〜0.8、より好ましくは0.3〜0.7である。
正極活物質層に含まれる電解質としては、電解質層との界面のイオン移動を円滑にするために、電解質層と同様の高分子固体電解質を使用する。正極活物質層における正極活物質間の空隙に高分子固体電解質を充填することによって、正極活物質層におけるイオン伝導がスムーズになり、電池全体としての出力向上が図れる。高分子固体電解質は、後述する電解質層に含まれる高分子固体電解質と同様であるため、ここではその説明を省略する。
正極活物質層の厚さは、5〜200μm以下、好ましくは10〜100μm以下、より好ましくは15〜50μmである。
また、導電助剤としては導電性を付与する材料であれば特に限定されないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉末、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、各種金属繊維等が用いられる。導伝助剤の添加量は、活物質層の導電性を向上を所望の程度まで向上できる量であれば制限されないが、例えば、正極では、導電助剤が、正極活物質層の全質量に対して、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上の量で含まれることが好ましい。また、負極では、負極活物質層の全質量に対して、1質量%以上、より好ましくは5質量%以上の量で含まれることが好ましい。
リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CFSON、Li(CSON、LiCSO、LiCFSO、Li(CPF)等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
バインダは、集電体上に正極活物質層を結着させる役割を有し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、ポリイミド、合成ゴム系バインダなどの各種樹脂および無機化合物が使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
添加剤としては、例えば、電池の性能や寿命を高めるためのトリフルオロプロピレンカーボネイト、または、補強材として各種フィラー等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。ここで、前記ポリマーは、本発明の電極が採用される電池の電解質層において用いられるイオン伝導性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
正極リード端子は、集電体と一体であるか導通するように接続された金属であり、集電体と同様に、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属箔を使用することができる。なお、電池外装材(電池ケース)から取り出された部分は、自動車の熱源との距離がないことから、これらに接触して漏電したりして自動車部品(特に電子機器)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆しておくのが好ましい。
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質を含み、他に必要に応じて、リチウムイオンを伝導する電解質、電子を伝導する導電助剤、イオン伝導性高めるためのリチウム塩、バインダ、イオン伝導性ポリマー、添加剤等が含まれ得る。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
負極活物質としては、上記したものと同様の負極活物質が使用でき、すなわち、負極活物質としては、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類、および各種のリチウム合金類などが挙げられる。具体的には、カーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物などを用いることができるが、好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物である。これらカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiTi12などのリチウム−チタン複合酸化物などを用いることができる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用して用いても良い。好ましくは、グラファイトまたは非晶質炭素であるハードカーボン等の炭素系の材料を主材料とする負極活物質を用いるが、これらに特に限定されるものではない。
また、負極活物質層の厚さとしては、特に限定するものではなく、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。よって、負極電極の厚さ(負極活物質膜厚)としては、1〜500μm程度である。
負極電極の構成材料の形状は、その種類等によって取り得る形状が異なり、例えば、平板状、波板状、棒状、粉末状などが挙げられるが、負極電極の構成材料の種類に応じて、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択すればよい。
また、負極電極の構成材料のミクロ構造も、その種類等によって取り得る形状が異なり、例えば、積層状、球状、繊維状、螺旋状、フィブリル状などが挙げられる。負極電極の構成材料の種類に応じて、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適のミクロ構造のものを適宜選択すればよい。
あmた、負極活物質は粒状であってもよく、この際の負極活物質の平均粒径は、既存の負極活物質微粒子と同程度であればよく、平均粒径が0.5〜100μm程度であればよいが、これらの範囲に限定されるべきものではなく、本発明の作用効果を有効に発現できればよい。また、負極活物質の空隙率は、以下に限定されるものではないが、好ましくは0.2〜0.8、より好ましくは0.3〜0.7である。
負極活物質層に含まれ得るリチウム塩、バインダ、イオン伝導性ポリマー、及び添加剤としては、正極活物質層と同様のものが用いられることが多いが、これも特に限定されない。
負極活物質層に含まれる電解質としては、特に限定されないが、電解質層に高分子固体電解質を用いるため、負極活物質層にも高分子固体電解質が含まれていることが好ましい。負極活物質層における負極活物質間の空隙に高分子固体電解質を充填することによって、負極活物質層におけるイオン伝導がスムーズになり、電池全体としての出力向上が図れるためである。高分子固体電解質は、後述する電解質層に含まれる高分子固体電解質と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、負極リード端子は、上述した正極リード端子と同様であるため、ここではその説明を省略する。
本発明のリチウムイオン二次電池における電解質としては、高分子固体電解質を保持した正極活物質層との組み合わせでは、高分子固体電解質を用いるのが好ましい。
高分子固体電解質とする場合には、例えばモノマーあるいは低分子量で重合させたゲル化ポリマーとリチウム塩との混合物から、モノマーあるいはゲル化ポリマーを重合させて、ポリマーとリチウム塩とからなる高分子固体電解質が形成されるが、形成手法はこれに限定されない。また、セパレータにゲル電解質、あるいは、高分子固体電解質を含浸させた構成とすることもできる。
前記ゲル化ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような重合性ポリマー(高分子固体電解質)を使用することができる。これらPEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系ポリマーは、リチウム塩をよく溶解しうる点で優れている。前記モノマーは熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合により架橋構造を形成することによってゲル化ポリマーとなる材料が好ましく、これにより優れた機械的強度が発現する。本発明において高分子固体電解質は、少なくとも正極電極に含まれる。ただし、バイポーラ電池の電池特性をより向上させるためには、正極電極および負極電極の双方に含まれることが好適である。
リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CFSON、Li(CSON、LiCSO、LiCFSO、Li(CPF)等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
現在、好ましく使用される高分子固体電解質用のゲル化ポリマーは、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。従って、溶液系のリチウムイオン電池で一般に使用される、酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、高分子固体電解質層を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。ここで、「高分子固体電解質層を介して対向する正極」とは、同一の単電池層(セル)の構成要素である正極を指す。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。
ただし、負極の容量が対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる恐れがあるので、充放電電圧に注意する必要がある。例えば、一つの単電池層(セル)の平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
ゲル電解質とする場合には、例えば、ゲル化ポリマーを形成するモノマーが含有された電解液を使用してモノマーを重合させる方法により形成されるが、形成のための手法は限定されない。
ゲル化ポリマーとしては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用することができるが、好ましくは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が挙げられる。
電解液としては、主としてリチウム塩と溶媒からなり、溶媒としてはプロピレンカーボネイト、エチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト等のカーボネイト類、テトラヒドロフラン等のグライム類、アセトニトリル等のニトリル類、エチレンオキシド等が使用される。また、これらの混合物としてもよい。電解液には、電池の性能や寿命を高めるため、例えばトリフルオロプロピレンカーボネイト等の添加剤を添加してもよい。
本発明におけるゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが好ましい。
また、本発明では、ゲル電解質に含まれる電解液の量は、ゲル電解質内部で略均一になるようにしてもよいし、中心部から外周部に向けて傾斜的に少なくしていってもよい。前者は、より広範囲で反応性を得ることができるため好ましく、後者は、外周部の全固体高分子電解質部の電解液に対するシール性を高めることができる点で好ましい。中心部から外周部に向けて傾斜的に少なくしていく場合には、上記ゲル化ポリマーには、リチウムイオン伝導性のあるポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)およびそれらの共重合体を用いることが好ましい。
電池ケースは、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために用いるとよい。例えば高分子フィルムと金属箔を複合積層したラミネート素材からなる外装材をその周辺部を熱融着にて接合するか、あるいは、袋状にしたその開口部を熱融着することにより密閉されてなり、この熱融着部から正極リード端子、負極リード端子を取り出す構造としたものである。このとき正負極の各リード端子を取り出す個所は特に1箇所に限定されない。また電池ケースを構成する材質は上記のものに限定されず、プラスチック、金属、ゴム等、あるいはこれらの組み合わせによる材質が可能であり、形状もフィルム、板、箱状等のものを使用できる。また、ケース内側と外側とを導通するターミナルを設け、ターミナルの内側に集電体を、ターミナルの外側にリード端子を接続して電流を取り出す方法も適用できる。
本発明の電極の製造方法は、特に制限されるべきものではなく、活物質層中にアンカー部材を配置すること以外は、従来公知の各種の方法を適宜利用することができる。以下に、バイポーラ型リチウムイオン二次電池を例に挙げて簡単に説明する。
(1)正極用組成物の塗布
まず、適当な集電体を準備する。正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、集電体の一方の面に塗布される。なお、正極側にアンカー部材を配置する場合には、正極活物質層を集電体に形成する前に、アンカー部材が適切に配置された集電体を準備する。正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、上記アンカー部材が配置された集電体面に塗布される。
正極用スラリーは、正極活物質および高分子固体電解質を含む溶液である。他成分として、導電助剤、バインダ、重合開始剤、リチウム塩、及び添加剤などが任意で含まれる。なお、これらの成分に関しては、上述したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
高分子固体電解質に用いられるゲル化ポリマーは、PEO、PPO、これらの共重合体などが挙げられ、分子内に架橋性の官能基(炭素−炭素二重結合など)を有することが好ましい。この架橋性の官能基を用いて高分子電解質を架橋することによって、機械的強度が向上する。
重合開始剤は、重合させる化合物に応じて選択する必要がある。例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
上記したような正極活物質、電解質、導電助剤、リチウム塩、バインダ、イオン伝導性ポリマー、添加剤等を、適当な溶媒に分散させて、上記集電体の上に塗布するが、この際使用できる溶媒の種類や混合手段は特に制限されず、電極製造について従来公知の知見が適宜参照されうる。溶媒の一例を挙げると、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミドなどが用いられうる。バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を採用する場合には、NMPを溶媒として用いるとよい。好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が正極用スラリー調製用の溶媒として好ましく使用される。
正極活物質、高分子固体電解質、リチウム塩、導電助剤の添加量は、正極活物質層の厚さに応じて適宜調節すればよい。また、重合開始剤の添加量は、高分子原料に含まれる架橋性官能基の数に応じて決定される。通常は高分子原料に対して0.01〜1質量%程度である。
(2)正極活物質層(電極形成部)の形成
次に、正極用スラリーが塗布された集電体を乾燥し、含まれる溶媒を除去する。それと同時に、架橋反応を進行させて、高分子固体電解質の機械的強度を高める。乾燥は真空乾燥機などを用いることができる。乾燥の条件は塗布された正極用スラリーに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。かかる乾燥処理により、集電体上に正極活物質層(電極形成部)を形成する。
また、集電体上に正極活物質層の形成終了後、平滑性などを向上させるためプレスロールを行うのが好ましい。前記プレスロールは冷間及び熱間いずれの方法でもよい。熱間の場合は、リチウム塩や重合性ポリマーが分解する温度以下とするのが好ましい。また、プレス圧力は線圧で200〜1000Kg/cmで行うことが好ましい。
(3)負極用組成物の塗布
正極層が塗布された面と反対側の面に、負極活物質を含む負極用組成物(負極用スラリー)を塗布する。この場合においても、負極側にアンカー部材を配置する場合には、負極活物質層を集電体に形成する前に、アンカー部材が適切に配置された集電体を準備する。負極用組成物は通常はスラリー(負極用スラリー)として得られ、上記アンカー部材が配置された集電体面に塗布される。
負極用スラリーは、負極活物質を含む溶液である。他成分として、導電助剤、バインダ、重合開始剤、高分子電解質の原料(固体電解質用高分子ないしゲル電解質用ホストポリマー、電解液など)およびリチウム塩などが任意で含まれる。使用される原料については、負極活物質以外は、「(1)正極用組成物の塗布」の項での説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。また原料の添加量は、所望する特性が得られるように適宜決定すればよい。
負極活物質としては、上記したものと同様の負極活物質が使用でき、すなわち、負極活物質としては、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類、および各種のリチウム合金類などが挙げられる。具体的には、カーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物などを用いることができるが、好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物である。これらカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのため、これらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。なお、リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiTi12などのリチウム−チタン複合酸化物などを用いることができる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
(4)負極活物質層(電極形成部)の形成
次に、負極用スラリーが塗布された集電体を乾燥して、含まれる溶媒を除去する。それと同時に、負極用スラリーによっては、架橋反応を進行させて、高分子電解質の機械的強度を高めてもよい。この作業により、バイポーラ電極が完成する。乾燥は真空乾燥機などを用いることができる。乾燥の条件は塗布された負極用スラリーに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。かかる乾燥処理により、集電体上に負極層(電極形成部)を形成する。その後、正極活物質層と同様にして、プレスロールを行うのが好ましい。
上記(3)および/または(4)の工程において、活物質層表面にさらにアンカー部材を互いにつなぐ接合部材がさらに配置されることが好ましい。図5に示されるように、活物質層の表面(電解質側)に粒子の分散を防止するためのネット状の部材を設けて、アンカー部材と接合させることにより、粒子の脱落をより有効に防止できるからである。この際、ネット状の部材は、Liイオン及び電解質、アニオンは十分通過できる大きさの孔を有することが好ましい。また、接合部材が配置されると、アンカー部材同士を接続して、アンカー部材の固着力を増す。このため、アンカー部材間の変位をよりいっそう抑制することで、電極全体の変形抑止効果がより向上できる。
上記実施の形態において、接合部材は、アンカー部材をしっかり固着できるものであればいずれの材質が使用されてもよいが、以下に詳述するように多孔性膜に成形できる材料が好ましい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリイミドなどが上げられる。これらのうち、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミドが好ましい。上記接合部材の材料は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記実施の形態において、接合部材は、アンカー部材との固着力の観点から、図5に示されるように、活物質層がセパレータと接する側に活物質層とセパレータとの間に配置されることが好ましい。このように集電体から最も離れたところでアンカー部材を接合することで、接合強度・剛性を向上できる。また、アンカー部材は集電体に結合しているため、反対側のセパレータ側で互いにつなぐことにより、アンカー部材を所定の位置で確実に継続して配置できる。このため、変形をいっそう抑制することができる。上記利点に加えて、セパレータ側への活物質の脱落を抑制する効果も期待できる。
また、上記実施の形態において、接合部材は、アンカー部材同士を接続して、アンカー部材の固着力を増加させることができれば、いずれの形態であってもよい。具体的には、多孔性膜、繊維の集合体、針状結晶の集合体などが好ましく、多孔性膜が特に好ましい。多孔性膜を用いると、一度でアンカーに接合することができると同時に、接合してもセパレータ/電極界面において電解質領域が十分確保され、リチウムイオンの移動を妨げない。上記利点に加えて、接合構造の形成も容易である。接合部材が多孔性膜である場合、多孔性膜は、活物質の平均粒径より小さい平均孔径を有することが好ましい。このような孔径であれば、活物質が活物質層から脱落しても、多孔性膜で止められるため、多孔性膜の孔からセパレータ/反対極側へ動くことを抑制し、活物質の脱落をさらに確実に防止できる。多孔性膜の孔は、Liイオン及び電解質、アニオンは十分通過できる大きさを有することが好ましい。このように孔径と活物質粒子径の相対的な大きさを規定することにより、脱落防止効果を高めることができるが、活物質の平均粒径と平均孔径の比は、上記効果が達成できれば特に制限されない。好ましくは、活物質の平均粒径に対する平均孔径の比(多孔性膜の平均孔径/活物質の平均粒径)が、0.1〜1.0であり、より好ましくは0.3〜0.8である。
上記実施の形態において、接合部材の配置方法は、特に制限されず、公知の方法がそのままあるいは修飾して単独であるいは組合わせて同様にして使用できる。例えば、アンカー部材が電極活物質(大粒径活物質)である場合には、まず集電体上に、バインダを表面に付着させて表面の接着性を増した大粒径活物質を吹き付け、その後活物質スラリーを塗布し、プレスにより圧縮する前に、図5に示されるように脱落防止用の多孔性膜ネットを配置し、大粒径活物質と接着する方法が好ましく使用できる。
上述したように、本発明の電極は、活物質の活物質層からの脱落を抑制・防止するものである。このため、本発明の電極は、リチウムイオン二次電池やこれを用いた組電池に特に好ましく適用でき、このようなリチウムイオン二次電池やこれを用いた組電池は、優れた出力特性および長寿命を発揮できる。
したがって、本発明の第二は、正極、電解質層、および負極がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含むリチウムイオン二次電池であって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、本発明の電池用電極である、リチウムイオン二次電池を提供するものである。
また、本発明の第三は、本発明のリチウムイオン二次電池を用いた組電池を提供するものである。
さらに、本発明の第四は、前記リチウムイオン二次電池を搭載したことを特徴とする車両である。本発明のリチウムイオン二次電池は、上述のように各種特性を有している。従って、エネルギー密度および出力密度に関して、とりわけ厳しい要求がなされる車両、例えば、電気自動車やハイブリッド電気自動車等の駆動用電源として好適であり、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。例えば、電気自動車ないしハイブリッド電気自動車の車体中央部の座席下に組電池を駆動用電源として搭載するのが、車内空間およびトランクルームを広く取れるため便利である。ただし、本発明では、これらに何ら制限されるべきものではなく、電池は、車両の床下、トランクルーム、エンジンルーム、屋根、ボンネットフード内などに設置することができる。なお、本発明では、組電池だけではなく、使用用途によっては、バイポーラ電池を搭載するようにしてもよいし、これら組電池とバイポーラ電池を組み合わせて搭載するようにしてもよい。また、本発明のバイポーラ電池および/または組電池を駆動用電源として搭載することのできる車両としては、上記の電気自動車やハイブリッド電気自動車が好ましいが、これらに制限されるものではない。
バイポーラ電池の構成は、例えば、単一の電池ケース内に、複数の正極および/または負極電極積層体を有する。すなわち、単一の電池ケース内において、集電体の片方の面に正極を有し、他の面に負極を有したバイポーラ電極を、高分子固体電解質層を介して複数積層した構造の電極積層体からなる構成である。バイポーラ電極の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。バイポーラ電池の他の構成要素については、特に制限されるべきものではなく、従来公知のバイポーラ電池に幅広く適用可能である。
上記した本発明の電極は、リチウムイオン二次電池の、正極、負極いずれにも適用できるが、負極は正極ほど反応面を増やすニーズが少ない点、および活物質の小粒径化が正極ほど重要でない点、及び活物質の脱落がおきにくい点などを考慮すると、少なくとも正極に適用されることが特に好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池としては、例えば、バイポーラ構造のリチウムイオン電池、バイポーラ構造ではないリチウムイオン電池などが挙げられる。ただし、本発明の電池は高出力特性等の効果が得られるので、他の種類の電池に適用することを妨げるものではない。また、これらは積層型でもよいし、巻回型でもよいなど、その形態に何ら制限されるものではない。好ましくはバイポーラ構造であるリチウムイオン二次電池(バイポーラ型リチウムイオン二次電池;以下、単に「バイポーラ電池」とも記載する)である。これは、バイポーラ構造であるリチウムイオン二次電池では、容量、出力特性に優れた電池を構成できるためである。更に、電解質に高分子固体電解質を用いたバイポーラ構造のリチウムイオン二次電池では、液絡の問題が無いため信頼性が高く、かつ簡易な構成で出力特性に優れたバイポーラ電池を形成することができるためである。
また、上記のバイポーラ電池を複数個接続して構成した組電池とすることができる。すなわち、本発明のバイポーラ電池を少なくとも2個以上を用いて直列および/または並列に接続して構成し組電池化することにより、高容量、高出力の電池モジュールを形成することが出来る。そのため、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、比較的安価に対応することが可能になる。
具体的には、例えば、上記のバイポーラ電池をN個並列に接続し、N個並列にしたバイポーラ電池をさらにM個直列にして金属製ないし樹脂製の組電池ケースに収納し、組電池とする。この際、バイポーラ電池の直列/並列接続数は、使用目的に応じて決定する。例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)など大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両の駆動用電源に適用し得るように組み合わせればよい。また、組電池用の正極端子および負極端子と、各バイポーラ電池の電極リードとは、リード線等を用いて電気的に接続すればよい。また、バイポーラ電池同士を直列/並列に接続する際には、スペーサやバスバーのような適当な接続部材を用いて電気的に接続すればよい。ただし、本発明の組電池は、ここで説明したものに制限されるべきものではなく、従来公知のものを適宜採用することができる。また、該組電池には、使用用途に応じて、各種計測機器や制御機器類を設けてもよく、例えば、電池電圧を監視するために電圧計測用コネクタなどを設けておいてもよいなど、特に制限されるものではない。
以下、本発明のバイポーラ電池の製造方法について説明する。
(5)高分子固体電解質層の作製
電解質層に高分子固体電解質を用いる場合には、例えば、ゲル化ポリマー、リチウム塩等をNMPのような溶媒に溶解させて調製した溶液を硬化させることによって製造される。
例えば、本発明の電極(正極および/または負極)上に、調製された上記溶液または電解質前駆体を塗布し、所定の厚さの電解質層またはその一部(電解質層厚さの半分程度の電解質膜)を形成する。その後、電解質層(膜)が積層された電極を硬化または加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって、電解質の機械的強度を高め、電解質層(膜)を製膜形成する(完成させる)。
あるいは、別途、電極間に積層される電解質層またはその一部(電解質層厚さの半分程度の電解質膜)を準備する。電解質層(膜)は、上記溶液または電解質前駆体を、PETフィルムなど適当なフィルム上に塗布し、硬化または加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって製造される。
硬化または加熱乾燥は真空乾燥機(真空オーブン)などを用いることができる。加熱乾燥の条件は溶液または電解質前駆体に応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は30〜110℃で0.5〜12時間である。
電解質層(膜)の厚さは、スペーサなどを用いて制御できる。光重合開始剤を用いる場合には、光透過性のギャップに流し込み、乾燥及び光重合ができるような紫外線照射装置を用いて紫外線を照射して、電解質層内のポリマーを光重合させ架橋反応を進行させて製膜するとよい。ただし、この方法に限定されないことは勿論である。重合開始剤の種類に応じて、放射線重合、電子線重合、熱重合などを使いわける。
また、上記で用いるフィルムは、製造過程で80℃程度に加熱されることもありえるため、当該温度程度での十分な耐熱性を有し、さらに溶液または電解質前駆体との反応性がなく、製造過程で剥離し除去する必要上、離型性に優れたものを用いるのが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンフィルムなどを使用することができるが、これらに制限されるべきものではない。
なお電解質層の幅は、バイポーラ電極の集電体の電極形成部サイズよりも若干小さくすることが多い。
上記溶液または電解質前駆体の組成成分やその配合量などについては、使用目的に応じて適宜決定されるべきものである。
なお、電解液を染み込ませたセパレーターは、バイポーラ構造でない従来の溶液系のバイポーラ電池に用いられる電解質層と同様の構成であり、従来公知の各種製造方法、例えば、電解液を染み込ませたセパレーターをバイポーラ電極に挟み込んで積層する方法や真空注液法などにより製造できるため、以下、詳しい説明は省略する。
(6)バイポーラ電極と高分子電解質層との積層
(6−1)電解質層(膜)が一面または両面に形成されたバイポーラ電極の場合には、高真空下で十分加熱乾燥してから、電解質層(膜)が形成された電極を適当なサイズに複数個切りだし、切り出された電極を直接貼り合わせて、バイポーラ電池本体(電極積層体)を作製する。
(6−2)別々にバイポーラ電極と電解質層(膜)を作製した場合には、高真空下で十分加熱乾燥してから、バイポーラ電極と電解質層(膜)をそれぞれを適当なサイズに複数個切りだす。切りだされたバイポーラ電極と電解質層(膜)とを所定数張り合わせて、バイポーラ電池本体(電極積層体)を作製する。
なお、積層時には、集電体表面に、集電体同士が接触して短絡しないように、適当な厚さのポリイミドフィルム等の絶縁用フィルムを糊で数箇所接着しながら挟んで積層する。ただし、本発明では、これに制限されるものではなく、上述したように、集電体の作製段階で、集電体に絶縁性フィルム等の絶縁処理部を被覆形成しておけば、当該バイポーラ電極と高分子電解質層との積層工程では、従来のバイポーラ電池と何ら変わることなく作業を進めることができる。
上記電極積層体の積層数は、バイポーラ電池に求める電池特性を考慮して決定される。また、正極側の最外層には、集電体上に正極層のみを形成した電極を配置する。負極側の最外層には、集電体上に負極層のみを形成した電極を配置する。バイポーラ電極と電解質層(膜)とを積層、あるいは電解質層(膜)が形成された電極を積層させてバイポーラ電池を得る段階は、電池内部に水分等が混入するのを防止する観点から、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。例えば、アルゴン雰囲気下や窒素雰囲気下でバイポーラ電池を作製するとよい。
(7)絶縁層の形成
例えば、電極積層体の電極形成部の周囲の四辺を、所定の幅でエポキシ樹脂(前駆体溶液)等に浸漬または樹脂を注入ないし含浸する。その後エポキシ樹脂を硬化させて、絶縁部を形成する。
(8)リード端子の接続
バイポーラ電池本体(電池積層体)の両最外層の電極層上にそれぞれ、正極端子板、負極端子板を設置し、該正極端子板、負極端子板に、さらに正極リード、負極リードを接合(電気的に接続)する。正極リードおよび負極リードの接合方法としては、接合温度の低い超音波溶接等が好適に利用し得るものであるが、これに限定されるべきものではなく、従来公知の接合方法を適宜利用することができる。
(9)パッキング(電池の完成)
最後に、電池積層体全体を、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池外装材ないし電池ケースで封止し、バイポーラ電池を完成させる。封止の際には、正極リード、負極リードの一部を電池外部に取り出す。電池外装材(電池ケース)の材質は、内面がポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆された金属(アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅など)が好適である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例1
(a)正極の作製
厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に接着剤を吹き付けた。別途、平均粒径20μmのLiNiO粒子を溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散させて、アンカー部材含有スラリーを調製した。このアンカー部材含有スラリーを上記接着剤が予め吹き付けられたアルミニウム箔に塗布して、アルミニウム箔上にアンカー部材としての粒子を固着させた後、エタノールによって洗浄して、アンカー部材が所定の位置に配置された集電体を得た。
ここで、正極活物質層を構成する正極用スラリーを調製した。すなわち、正極活物質として平均粒径0.5μmのLiNiO(85重量%)と、導電助剤としてアセチレンブラック(5重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散して、正極用スラリーを調製した。上記集電体のアンカー部材を付着させた面に、正極用スラリーを塗布し、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、正極活物質層の厚さが20μmの正極を作製した。
(b)負極の作製
まず、負極活物質層を構成する負極ペーストを調製した。すなわち、負極活物質としてグラファイト(85重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒(N−メチルピロリドン)に分散して、負極用スラリーを調製した。
次に、厚さ20μmの銅箔の片面に、上記負極用スラリーを塗布し、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、負極活物質層の厚さが25μmの負極を作製した。
(c)単電池(セル)の作製
上記(a)及び(b)でそれぞれ作製した正極と負極とを、セパレータ(ポリプロピレン多孔質膜、厚さ25μm)をはさんで重ね合わせ、ラミネートセルに収納した後、電解液(LiPFを1mol/L含むエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:1の混合溶液)を注ぎ、ラミネートフィルムの開口部を減圧下で封止することにより、電池を作製した。
実施例2
(a)正極の作製
厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に接着剤を吹き付けた。別途、平均粒径30μmのLiNiO粒子を溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散させて、アンカー部材含有スラリーを調製した。このアンカー部材含有スラリーを上記接着剤が予め吹き付けられたアルミニウム箔に塗布して、アルミニウム箔上にアンカー部材としての粒子を固着させた後、エタノールによって洗浄して、アンカー部材が所定の位置に配置された集電体を得た。
ここで、正極活物質層を構成する正極用スラリーを調製した。すなわち、正極活物質として平均粒径0.5μmのLiNiO(85重量%)と、導電助剤としてアセチレンブラック(5重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散して、正極用スラリーを調製した。上記集電体のアンカー部材を付着させた面に、正極用スラリーを塗布し、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、正極活物質層の厚さが30μmの正極を作製した。
実施例1において、上記(a)で得られた正極を代わりに用いる以外は、実施例1と同様にして、単電池(セル)を作製した。
実施例3
(a)正極の作製
厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に接着剤を吹き付けた。別途、平均粒径50μmのLiNiO粒子を溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散させて、アンカー部材含有スラリーを調製した。このアンカー部材含有スラリーを上記接着剤が予め吹き付けられたアルミニウム箔に塗布して、アルミニウム箔上にアンカー部材としての粒子を固着させた後、エタノールによって洗浄して、アンカー部材が所定の位置に配置された集電体を得た。
ここで、正極活物質層を構成する正極用スラリーを調製した。すなわち、正極活物質として平均粒径0.5μmのLiNiO(85重量%)と、導電助剤としてアセチレンブラック(5重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散して、正極用スラリーを調製した。上記集電体のアンカー部材を付着させた面に、正極用スラリーを塗布し、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、正極活物質層の厚さが50μmの正極を作製した。
実施例1において、上記(a)で得られた正極を代わりに用いる以外は、実施例1と同様にして、単電池(セル)を作製した。
実施例4
(a)正極の作製
厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、特開平5−172561号公報の実施例に記載の方法と同様にして、平均高さ30μmの酸化亜鉛ナノウィスカをアルミニウム箔上に形成し、アンカー部材が所定の位置に配置された集電体を得た。
ここで、正極活物質層を構成する正極用スラリーを調製した。すなわち、正極活物質として平均粒径0.5μmのLiNiO(85重量%)と、導電助剤としてアセチレンブラック(5重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒(N−メチルピロリドン)に分散して、正極用スラリーを調製した。上記集電体のアンカー部材を付着させた面に、正極用スラリーを塗布し、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、正極活物質層の厚さが30μmの正極を作製した。
実施例1において、上記(a)で得られた正極を代わりに用いる以外は、実施例1と同様にして、単電池(セル)を作製した。
実施例5
(a)正極の作製
厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に接着剤を吹き付けた。別途、平均粒径30μmのLiNiO粒子を溶媒としてのN−メチルピロリドンに分散させて、アンカー部材含有スラリーを調製した。このアンカー部材含有スラリーを上記接着剤が予め吹き付けられたアルミニウム箔に塗布して、アルミニウム箔上にアンカー部材としての粒子を固着させた後、エタノールによって洗浄して、アンカー部材が所定の位置に配置された集電体を得た。
ここで、正極活物質層を構成する正極用スラリーを調製した。すなわち、正極活物質として平均粒径0.5μmのLiNiO(85重量%)と、導電助剤としてアセチレンブラック(5重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒(N−メチルピロリドン)に分散して、正極用スラリーを調製した。上記集電体のアンカー部材を付着させた面に、正極用スラリーを塗布し、さらにこの塗布面の集電体と反対の面に厚さ10μmのポリプロピレン多孔性膜(平均孔径:0.2μm)を被覆した後、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、正極活物質層の厚さが30μmの正極を作製した。
実施例1において、上記(a)で得られた正極を代わりに用いる以外は、実施例1と同様にして、単電池(セル)を作製した。
比較例1
(a)正極の作製
まず、正極活物質層を構成する正極用スラリーを調製した。すなわち、正極活物質として平均粒径0.5μmのLiNiO(85重量%)と、導電助剤としてアセチレンブラック(5重量%)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(10重量%)とを、溶媒(N−メチルピロリドン)に分散して、正極用スラリーを調製した。
次に、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、正極用スラリーを塗布し、5MPa、80℃で6時間、加圧・乾燥することによって、正極活物質層の厚さが30μmの正極を作製した。
実施例1において、上記(a)で得られた正極を代わりに用いる以外は、実施例1と同様にして、単電池(セル)を作製した。
評価例1:単電池の出力及び寿命の評価
実施例1〜5及び比較例1で作製された単電池について、以下のようにして、出力及び寿命を評価した。
<評価方法>
作製した単電池を、それぞれ、2.7Vまで定電流充電(CC)し、その後定電圧(CV)で、合計15時間充電した。
作製した単電池を、活物質理論容量から算出した50CA電流値により満充電から5秒間の放電を行い、5秒後の電位と電流値から抵抗値を算出し、これを出力とした。比較例1の単電池で得られた出力を1とした場合の、各実施例の単電池の出力をそれぞれ算出して、その結果を表1に示す。
作製した単電池にて、55℃において、活物質理論容量から算出した1CA電流値により満充電から2.7Vまで繰り返し充放電を行い、満充電時の容量が初期容量の80%となる時間を測定し、この時間を寿命とした。比較例1の単電池で得られた寿命を1とした場合の、各実施例の単電池の寿命をそれぞれ算出して、その結果を表1に示す。
Figure 2008021453
上記表1から、本発明の電極を使用することによって、電池寿命が有意に延長できることが示される。
図1A,Bは、本発明に係るアンカー部材が電極全体の変形を分散させ、局所的な変形によって生じる変位のスケールを有効に低減・排除することを説明する図である。 本発明に係るアンカー部材が電極活物質から構成される場合の、アンカー部材による容量の低下の抑制・防止を説明する図である。 本発明に係るアンカー部材のサイズの規定を説明する図であり、図3Aは、円柱状のアンカー部材における有効長さの規定を説明する図であり、図3Bは、楕円状のアンカー部材における有効長さの規定を説明する図である。 本発明に係るアンカー部材の活物質層内での配置を説明する図である。 接合部材を活物質層がセパレータと接する側に配置する本発明の好ましい実施形態を説明する図である。

Claims (16)

  1. 集電体と、前記集電体の表面に形成される活物質層と、を有する電池用電極であって、
    前記活物質層は、前記活物質層の厚さ方向に貫通したアンカー部材が配置されてなる、電池用電極。
  2. 前記アンカー部材は、少なくとも一部に活物質層の厚みの100〜120%のサイズを有する、請求項1に記載の電池用電極。
  3. 前記アンカー部材は、電極活物質から構成される、請求項1または2に記載の電池用電極。
  4. 前記アンカー部材は、導電性を有する、請求項1または2に記載の電池用電極。
  5. 前記アンカー部材は、金属または金属酸化物から構成される、請求項4に記載の電池用電極。
  6. 前記アンカー部材は、導電性高分子から構成される、請求項4に記載の電池用電極。
  7. 前記アンカー部材は、少なくとも一部の表面にバインダが付着されてなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池用電極。
  8. 前記アンカー部材を互いにつなぐ接合部材をさらに有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池用電極。
  9. 前記電池用電極は、さらに集電体が形成されない側の活物質層上にセパレータを有し、かつ前記接合部材は、活物質層とセパレータとの間に配置される、請求項8に記載の電池用電極。
  10. 前記接合部材は、多孔性膜である、請求項8または9に記載の電池用電極。
  11. 前記多孔性膜は、活物質の平均粒径より小さい平均孔径を有する、請求項10に記載の電池用電極。
  12. 正極、電解質層、および負極がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含むリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極または前記負極の少なくとも一方が、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電池用電極である、リチウムイオン二次電池。
  13. 少なくとも正極は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電池用電極である、請求項12に記載のリチウムイオン二次電池。
  14. バイポーラ型リチウムイオン二次電池である、請求項12または13に記載のリチウムイオン二次電池。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池を用いた組電池。
  16. 請求項12〜14のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池、または請求項15に記載の組電池をモータ駆動用電源として搭載した車両。
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