JP2008021353A - 光ディスク媒体および光ディスク媒体の製造方法 - Google Patents

光ディスク媒体および光ディスク媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】情報層の上に被着されるカバー層として径方向に関して厚みが均一なものを形成する。
【解決手段】基板1を回転させながらノズルから第1層UVレジン5aをセンターホールの回りに、例えば1周に渡って滴下する。次に、スピナーテーブルを高速回転させて基板1上に延伸されたUVレジン5bを形成すると共に、スポットUVヘッド24により延伸されたUVレジン5bにスポットUV25を照射し、UVレジン5bを硬化させる。第1層UVレジン5は、内周から外周に向かって徐々に膜厚が減少するように形成される。膜厚の減少によって第2層のUVレジン6をスピンコートと一括照射によって形成した場合の膜厚の増大を相殺することができる。その結果、第2層UVレジン6をUVレジン5上に形成した場合に、2層構成のカバー層の厚みをほぼ均一とすることができる。
【選択図】図8

Description

この発明は、高密度記録光ディスクにおける光透過膜を均一の厚みに形成でき、外周部の突起の発生を防止することができる光ディスク媒体および光ディスク媒体の製造方法に関する。
光ディスクの高密度記録は、例えば光ピックアップで使用されるレーザ光の短波長化と、対物レンズの開口数NA(Numerical Aperture)を大きくし、集光スポットのサイズを小さくすることで実現できる。
例えば、CD(Compact Disc)は、レーザ光の波長が780nm、開口数NAが0.45であり、650MB(メガバイト)の記録容量を有する。また、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-ROM)は、レーザ光の波長が650nm、開口数が0.6とされ、4.7GB(ギガバイト)の記録容量を有する。
さらに、次世代の高密度記録光ディスクは、レーザ光の波長が450nm以下とされ、NAが0.78以上とされ、これにより単層で22GB以上の大容量化が可能となる。高密度記録光ディスクは、ディスクの信号読み取り面側に光透過膜いわゆるカバー層と称する光透過性の保護膜が形成される。カバー層は、例えば100μm(0.1mm)の厚みを有する。
CD、DVDでは、ディスクの信号読み取り面(ディスク表面)から信号が記録されている情報記録層までの距離が比較的大きく、CDの場合では、この距離が約1mmとされ、DVDの場合では、この距離が約0.6mmとされる。
一方、高密度記録光ディスクでは、この距離が0.1mm程度とされる。また、情報記録層を2層有する高密度記録用光ディスクが形成される場合には、2層の情報記録層の間の中間層は、20μm〜30μm程度に薄くする必要がある。また、カバー層の表面上に、ハードコート等の潤滑材層を形成し、潤滑材層によってカバー層の表面を保護し、且つ滑らかに加工する場合がある。この潤滑材層は、極めて薄い厚さで形成される。
上述したカバー層,中間層,および潤滑材層は、高い厚さ精度を有することが必要とされる。例えばカバー層の構造としては、カバーガラス構造とレジンカバー構造とが知られている。カバーガラス構造は、透明フィルムや薄板ガラスを接着剤や粘着材を介して信号層の上に貼り付けてカバー層とした構造である。レジンカバー構造は、UV(紫外線)硬化型樹脂に代表される、エネルギー吸収/硬化型の液体レジン、または半硬化物を塗布した後に硬化させ、カバー構造としたものである。
カバーガラス構造の利点は、膜厚分布が比較的安定して形成できることである。しかしながら、カバー部材と基板との貼り合わせズレの問題がある。カバー部材が基板の外周よりはみ出したはみ出し部が生じると、ハンドリング時やディスク落下時にここからカバー部材のはがれが生じやすい。また、貼り合わせのずれによって、気泡混入部およびエッジのばりが発生することがある。さらに、カバー部材は、その性質上、厚み精度が高く、欠陥・傷がないことが求められるので、高価なものになり、ディスク原価の上昇の大きな原因となる。さらにカバー部材は、予め製作されるものであるために、ディスク特性やプロセス上のばらつきを補正するための膜厚の微妙なコントロールは困難である。
レジンカバー構造のカバー層を形成する方法としては、スピンコート法が提案されている。スピンコート法は、液状の樹脂材料を基板の薄膜形成面に塗布し、スピンコート装置で基板を高速回転させることによって、基板の中心付近に滴下した樹脂材料を基板全面に均一に広げる方法である。
以下、図1を参照して、スピンコート法によるカバー層の形成について説明する。まず、図1Aに示すように、凹凸が射出成型によって形成され、記録膜が成膜されている基板101上に液状の紫外線硬化樹脂(以下、UVレジンと適宜称する)102を内周部に滴下する。次に、図1Bに示すように、基板101を高速回転させて、UVレジンを基板全面に均一に広げ、基板101上の余分なUVレジン102を振り飛ばす。その後、高速回転を停止し、図1Cに示すように、紫外線ランプ103によって、紫外線を基板101に照射することによって、UVレジン102を硬化する。以上により、カバー層が形成される。
しかしながら、上述のスピンコート法は、基板101がセンター部に穴を有するために、UVレジンの滴下位置を基板101の中心位置とすることができないために、内周から外周に向かって均一の厚さを有するカバー層を得ることができない。すなわち、図2に示すように、情報記録層104が形成された基板101に塗布されたUVレジン102は、内周から外周にかけて層が厚くなり、約5μm〜10μmの内周部と外周部との厚みの差が生じる。また、参照符号105で示すように、表面張力の影響を受けるために基板外周部においてリム状の盛り上がり部が生じる問題があった。盛り上がり部105の高さは、例えば10μm〜50μmである。さらに外周端にレジンが達して汚れやバリになったり、更には裏面に回り込んで基板を汚染するなどの問題が知られている。
下記の特許文献1には、盛り上がり部分をマスクにより覆うことで、外周部の盛り上がりの発生を防止する方法が記載されている。この方法では、基板最外周部に光が照射されないように、遮光性マスクで基板最外周部分を覆う。次に、盛り上がり部分以外の光硬化樹脂を硬化させる。そして、基板を再び回転させて、樹脂盛り上がり部分の光硬化樹脂を振り切って除去する。次に、残った光硬化樹脂に対して光を照射し硬化させる。以上により、外周部に盛り上がり部の無い樹脂層を形成できる。
特開平11−73691号公報
内周から外周にかけて膜厚が大きくなることを防ぐために、以下のような手法が提案されている。
1.スピンコートに同期して基板外周部を赤外ランプなどで暖め、この部分の液状レジンの粘度を下げることによって流れやすくして膜厚を均一化させ、この状態でUV硬化する。
2.図3に示すように、ディスクセンター部の孔111を別の部材のキャップ112で塞いでフラット化し、このセンターに液体レジン102を滴下した後にスピン被覆することで膜厚を均一化させ、この状態でUV硬化する。次に、スピナーの回転を停止して、ディスク中心部の穴111を塞いだキャップ112を取り外し、キャップ112を再使用のために洗浄する。以上により、UVレジン102を基板101に塗布し、基板101上にカバー層を形成する。
3.図4に示すように、スポットUV照射を行う。すなわち、スピナーテーブル106上に基板101を置き、基板101上にUVレジン102を塗布する。スピナーテーブル106を高速回転させて、遠心力によって、UVレジンを基板101上に拡げ、基板101上の余分なUVレジン102を振り飛ばす。この高速回転時に、基板101の径方向に内周から外周へスポットUVヘッド107を移動することによって、基板101の内周から外周に向かってスポットUVを照射する。このように、液体状態で回転している時間を外周に行くにしたがって長くすることで膜厚を均一化させ、この状態でUV硬化する。
キャップ112を用いた場合は、キャップ112の着脱、洗浄等の作業が不可欠となり、作業性の低下および装置が複雑となる。さらに、洗浄が不十分なキャップ112を用いると、均一な厚さのカバー層を形成できない。
スポットUVヘッド107を移動させてUVレジンを硬化させる方法では、照射される光の領域が小さく、UVレジンに対して同心円状に光が照射されることになる。このため、照射のムラが生じやすく、硬化された表面に照射時の履歴が残り、表面の均一性が不充分となる問題があった。
したがって、この発明の目的は、径方向の厚みを均一とすることができると共に、表面に照射時の光のムラがないカバー層を形成できる光ディスク媒体および光ディスク媒体の製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明は、凹凸が一面に形成された基板と、
基板上に積層して形成された少なくとも1層の情報層と、
情報層上にスピンコートにより内周から外周に向かって膜厚が減少するように形成された第1の光透過性樹脂層と、
第1の樹脂層上にスピンコートにより積層して形成された第2の光透過性樹脂層とを備え、
第2の光透過性樹脂層の内周から外周に向かって増大する膜厚を相殺するように、第1の光透過性樹脂層の膜厚が形成されたことを特徴とする光ディスク媒体である。
この発明は、基板上に情報層と光透過層とが順次積層された光ディスクの製造方法において、
情報層上にスピンコートにより内周から外周に向かって膜厚が減少するように第1の光透過性樹脂層を形成する第1層形成工程と、
第1の光透過性樹脂層上にスピンコートにより積層して第2の光透過性樹脂層を形成する第2層形成工程とからなり、
第1層形成工程は、第2の光透過性樹脂層の内周から外周に向かって増大する膜厚を相殺するように、第1の光透過性樹脂層の膜厚を制御することを特徴とする光ディスクの製造方法である。
この発明によれば、第1および第2の光透過性樹脂層の積層構造によって光透過層が形成されており、第2の光透過性樹脂層を通常のスピンコートにより形成する場合に生じる内周から外周に向かう膜厚の増大を打ち消すように、第1の光透過性樹脂層の膜厚を内周から外周に向かって減少させるので、光透過層の径方向に関して膜厚を均一とすることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。最初に、この発明の一実施の形態を適用できる光ディスクの一例について説明する。図5は、この発明の一実施の形態による高密度記録光ディスクの一例を示す。この光ディスクでは、カバー層3側から情報記録層2にレーザ光を照射することによって、情報信号の記録および再生が行われる。例えば、400nm〜410nmの波長を有するレーザ光が0.84〜0.86の開口数を有する対物レンズ4により集光されカバー層3側から情報記録層2に照射されることで、情報信号の記録および再生が行われる。
この光ディスクは、基板1の一主面上に情報記録層2、カバー層3が順次積層された構成とされる。光ディスクは、中心部にセンターホール(図示せず)が開口された略円盤形状とされる。光ディスクは、例えば、ディスク径120mm,センターホール径15mm,ディスク厚み1.2mm,基板厚み1.1mmとされる。
基板1としては、例えばポリカーボネート(PC),シクロオレフィンポリマー等の低吸収性の樹脂を用いることができる。情報記録層2は、基板の凹凸上に成膜された反射膜、記録膜等のことである。情報記録層2は、光ディスクが再生専用型である場合には、例えば、金(Au),銀(Ag),銀合金,アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金等からなる反射膜である。光ディスクが追記型である場合には、情報記録層2は、例えば、反射膜,有機色素材料からなる記録層を順次積層して構成される。光ディスクが書き換え可能型である場合には、情報記録層2は、例えば、反射膜,下層誘電体層,相変化記録層,上層誘電体層を順次積層して構成される。
カバー層3としては、UVレジンを用いることができる。また、必要に応じてカバー層3の表面に例えばハードコート等の潤滑材層(図示せず)を形成してもよい。潤滑材層は、カバー層3の表面の保護および表面を滑らかにするためのものである。
この発明の一実施の形態を適用できる高密度記録光ディスクの他の例について、図6を参照して説明する。この光ディスクは、図6に示すように、基板11上に、L0層、中間層12、L1層、カバー層13が順次積層された構成を有する。基板11は、例えばポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマーなどの低吸収性の樹脂から構成される。
情報記録層であるL0層およびL1層は、基板11の凹凸上に成膜された反射膜、記録膜等である。L0層およびL1層は、光ディスクが再生専用型である場合には、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銀合金、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金等からなる反射膜である。光ディスクが追記型である場合には、L0層およびL1層は、例えば、反射膜、有機色素材料からなる記録層を順次積層して構成される。光ディスクが書き換え可能型である場合には、L0層およびL1層は、例えば、反射膜、下層誘電体層、相変化記録層、上層誘電体層を順次積層して構成される。
基板11に形成されたL0層上には、中間層12が形成される。中間層12上には、L1層が形成される。中間層12に形成されたL1層上には、カバー層13が形成される。カバー層13は、光ディスクの保護を目的として、形成される。情報信号の記録および再生は、例えば、対物レンズ14によりレーザ光がカバー層13を通じて情報記録層に集光されることによって行われる。
中間層12およびカバー層13として、UVレジンを用いることができる。中間層12の厚さは、例えば25μm、カバー層13の厚さは、例えば75μmであり、均一な厚みの層を形成することが求められる。
この発明をカバー層3、13の形成に対して適用した一実施の形態では、図7に示すように、基板1上に第1層の光透過性樹脂層としてのUVレジン5をスピンコートにより形成し、さらに、硬化させたUVレジン5上に第2層の光透過性樹脂層としてのUVレジン6をスピンコートにより形成し、UVレジン6を硬化させ、積層された2層のUVレジン5および6によってカバー層3または13を構成するものである。UVレジン6の内周から外周に向かって増大する膜厚を相殺するように、1層目のUVレジン5の膜厚が形成される。なお、図7は、基板1のセンターホールの外周側から基板1の最外周部までを模式的に示すものである。
このように、第1層のUVレジン5の膜厚を制御するために、UVレジン5は、スピンコートにより延伸されたUVレジンを径方向に移動するスポット光照射手段としてのスポットUVヘッドによって硬化させる形成工程によって形成される。この場合のスポットUVヘッドの照射パワーおよび/または移動速度(スキャン速度と適宜称する)を制御することによって、内周から外周に向かって膜厚が減少するようにUVレジン5を形成することができる。
第2層のUVレジン6は、硬化させた第1層のUVレジン5上にスピンコートによりUVレジンを延伸させ、UVレジンを一括照射によって硬化させる形成工程によって形成される。第2層のUVレジン6を形成するスピンコートは、従来同様のもので、一括照射により照射ムラが発生しにくく、UVレジン6の表面にUV照射の跡が残らないようにできる。
図8を参照して、この発明の一実施の形態によるカバー層形成プロセスについて説明する。基板1が第1のスピンコート装置のスピナーテーブル(図示しない)上に取り付けられる。次に、基板1を回転させながらノズルから第1層UVレジン5aをセンターホールの回りに、例えば1周に渡って滴下する。UVレジン5aとしては、例えば1000mPa・s程度の粘度のものが使用される。基板1は、射出成型等によって表面に凹凸(ピット、グルーブ等)が形成されると共に、情報記録層が凹凸上に形成されたものである。情報記録層は、読み出し専用ディスクの場合では、反射膜であり、書き込み可能なディスクの場合では、相変化膜等の記録可能な膜である。
次に、スピナーテーブルを高速回転させて基板1上に延伸されたUVレジン5bを形成すると共に、スポットUVヘッド24により延伸されたUVレジン5bにスポットUV25を照射し、UVレジン5bを硬化させる。スポットUVヘッド24は、内周側から外周側に向かって流れて行くUVレジン5bを追いかけるように、基板1の内周側から外周側に向かって移動され、スポットUV25が照射された領域が硬化例えば完全硬化される。ここでスポットUVとは、基板1上を微細な範囲のスポット状で照射する紫外線である。基板1の面上において、スポットUVのスポットサイズは、好ましくは、直径1mm〜直径10mm程度であり、より好ましくは、直径2mm〜直径5mm程度である。
一例として、UVレジン5および6の2層によって80μmのカバー層を形成するものとし、第1層UVレジン5の厚みが例えば60μmとなり、第2層UVレジン6の厚みが例えば20μmに設定される。第1層UVレジン5は、例えば120mmの直径の基板1の場合では、中心を0として半径位置を規定した場合に、最内周側(半径30mm)で60μmの厚みとされ、徐々に厚みが減少し、最外周(半径60mm)では、所定の厚みが減少した厚み例えば52μmとされる。膜厚が減少する傾斜(変化)は、第2層のUVレジン6をスピンコートと一括照射によって形成した場合の膜厚の増大する傾斜(変化)を相殺することができるものとされる。その結果、第2層UVレジン6をUVレジン5上に形成した場合に、2層構成のカバー層の厚みをほぼ均一とすることができる。
スピンコートおよび一括UV照射によって第2層UVレジン6を形成した場合の半径方向の膜厚の増大量は、使用するUVレジンの種類、基板1の直径等によって変化する。例えば50mmの直径の基板1の場合では、最外周に約5μm厚くなる。したがって、どのような膜厚の減少の変化を第1層UVレジン5が持てば良いかは、使用するUVレジンの種類、基板1の直径等に依存することになる。
第1層UVレジン5の膜厚は、スポットUV25の照射パワーおよび/またはスポットUVヘッド24のスキャン速度を制御することで上述したものに制御することができる。図9Aは、スポットUVヘッド24のスキャン速度を所定速度とした場合に、スポットUV25の照射パワーを変えた時の基板1の半径方向(内周側から外周側に向かう方向)における第1層UVレジン5の膜厚の変化を示すものである。
ある照射パワーによって膜厚変化7aで示すように、一定の膜厚を形成できる場合に、より照射パワーを小とすると、UVレジンの硬化する速度が遅くなるため、内周側の領域で硬化するUVレジンの量が減少し、膜厚変化7bで示すように、外周側に向かって徐々に膜厚が増加する。一方、より照射パワーを大とすると、UVレジンの硬化する速度が速くなるため、内周側の領域で硬化するUVレジンの量が増加し、膜厚変化7cで示すように、外周側に向かって徐々に膜厚が減少する。
図9Bは、スポットUV25の照射パワーを所定値とした場合に、スポットUVヘッド24のスキャン速度を変えた時の基板1の半径方向(内周側から外周側に向かう方向)における第1層UVレジン5の膜厚の変化を示すものである。あるスキャン速度によって膜厚変化8aで示すように、一定の膜厚を形成できる場合に、よりスキャン速度を速くすると、照射パワーを小とした場合と同様に、内周側の領域で硬化するUVレジンの量が減少し、膜厚変化8bで示すように、外周側に向かって徐々に膜厚が増加する。一方、よりスキャン速度を遅くすると、照射パワーを大とした場合と同様に、内周側の領域で硬化するUVレジンの量が増加し、膜厚変化8cで示すように、外周側に向かって徐々に膜厚が減少する。
この発明の一実施の形態では、照射パワーをより大として膜厚変化7cを生じさせ、またはスキャン速度をより遅くして膜厚変化8cを生じさせる。さらに、照射パワーとスキャン速度の両方を制御することで、外周に向かうほど膜厚が減少するように、第1層UVレジン5が形成される。
図8に示すように、第2層UVレジン6の形成のために、第1層UVレジン5が形成された基板1が第2のスピンコート装置のスピナーテーブル(図示しない)上に取り付けられる。この場合、第1層UVレジン5と第2層UVレジン6とを同一のスピンコート装置によって形成することも可能である。次に、基板1を回転させながらノズルから第2層UVレジン6aをセンターホールの回りに、例えば1周に渡って滴下する。UVレジン6aは、UVレジン5aと同一の樹脂である必要はない。
次に、スピナーテーブルを高速回転させて基板1上に延伸されたUVレジン6bを形成する。一括UV照射装置26により延伸されたUVレジン6bにUVを一括照射し、UVレジン6bを完全硬化させる。一括UV照射装置26は、基板1の直径方向に直列するように配置された複数例えば3個のUVランプ27a、27b、27cを有するもので、UV28a、28b、28cを回転する基板1の上面に一様に照射することができる。
このように、第2層UVレジン6は、通常のスピンコートと一括UV照射とにより形成され、厚みが所定のもの例えば20μmとなるように、回転数が調整される。第2層UVレジン6は、UVレジン6aの滴下位置を中心とすることができないために、内周から外周に向かって膜厚が増大する。しかしながら、上述したように、下地の第1層UVレジン5が内周から外周に向かって膜厚が減少するように形成されているので、第2層UVレジン6の膜厚の増加が相殺され、UVレジン5および6が積層されたカバー層の膜厚をほぼ一定とすることができる。
第2層UVレジン6をスピンコートおよびUVスポット照射によって形成することも可能である。一実施の形態では、第2層UVレジン6を通常のスピンコートおよび一括UV照射によって形成しているので、平滑で安定した表面を形成することができる。
図10に示すように、第1層UVレジン5を形成するスピンコート装置は、スピナーテーブル21と、センターピン22と、1軸ロボット23と、1軸ロボット23の先端に設置されるスポットUVヘッド24とから構成される。1軸ロボット23を制御することによって所望の移動速度でスポットUVヘッド24が基板1の径方向に移動される。
スピナーテーブル21は、スピンコートを行う際に、基板1が載置されるテーブルである。また、UVレジン供給のためのディスペンサー機構は、スピンコート装置に装備されていても、他の場所でUVレジンを予め塗布した基板をスピンコート装置に搬送しても良い。スピナーテーブル21は、基板1と一体と回転する。振り切られたUVレジンは、チャンバー内に溜められる。センターピン22は、スピナーテーブル21に載置した基板1を位置決めし、基板1の中央部の開口を塞ぐ機能を有する。スポットUVヘッド24が1軸ロボット23に設置され、基板1の内周から外周にスポットUVを照射できる構造とされる。
スポットUVヘッド24は、光源部と光ファイバーを介して結合され、光源部からのUVを外部に照射する。シャッター等によってUVの照射および非照射を切り替えことができると共に、光源部の照射パワーを制御することが可能とされている。
また、スポットUVヘッド24は、レンズホルダー(図示せず)を有する構造としてもよい。レンズホルダーは、内部にレンズが配置されており、スポットUVヘッドから取り外して交換可能な構造とされる。レンズホルダーを交換することによって、光を集光させたり、拡散光、平行光にすることができる。すなわち、基板に対する照射範囲を変更することが可能となる。さらに、スポットUVの発光は、インバータータイプで減光した状態でも使用できるような電源を用いてもよい。
図11は、直径50mmのディスクを使用した場合の膜厚の測定値の一例を示す。第1層UVレジン5は、膜厚の変化31で示すように、最内周位置(半径位置で12mm)で65μmであり、膜厚が外周に向かって徐々に減少し、最外周位置(半径位置で24mm)では、58μmとなっている。その上に、通常のスピンコートによって約20μmの膜厚の第2層UVレジン6が形成される。第2層UVレジン6の膜厚の変化32は、下地のUVレジン5が外周に向かって膜厚が減少しているので、膜厚変化32で示すように、ほぼ一定の膜厚(約80μm)となる。
図11の測定例では、第1層UVレジン5の膜厚の減少の程度が大きすぎたために、全体の膜厚が外周側に減少している。第1層UVレジン5の膜厚の減少の度合いをより小さくし、例えば最外周位置で4μmまたは5μmとすれば、全体の膜厚をより均一とすることができる。
ここで、UVレジンの膜厚の変化幅を10μmと仮定すると、図12に示すように、膜厚の変化を表すことができる。図12の横軸は、第1層UVレジン5の膜厚を表す軸であり、縦軸は、第2層UVレジン6の膜厚を表す軸である。第1層UVレジン5は、最内周位置(半径位置で12mm)で膜厚が65μmであり、膜厚が外周に向かって徐々に減少し、最外周位置(半径位置で24mm)では、55μmに変化する。一方、第2層UVレジン6は、)は、最内周位置(半径位置で12mm)で膜厚が15μmであり、膜厚が外周に向かって徐々に増大し、最外周位置(半径位置で24mm)では、25μmに変化する。したがって、UVレジン5および6の2層で構成されるカバー層の厚みを径方向のどの位置においても80μm一定とすることができる。
さらに、大量生産時の個体間のカバー層のバラツキを防止するために、第1層UVレジン5を形成した後に、第1層UVレジン5の厚みを測定し、測定結果に応じて第2層UVレジン6のスピンコート時の厚みの補正を行い、カバー層が所定の膜厚となるようようになされる。図13は、厚み補正の一例を示す。例えば上述したように、直径50mmの基板に膜厚が80μmのカバー層を形成する例について説明する。
第1層のUVレジン5がスピンコートとUVスポット照射によって工程ST1において形成される。膜厚計測工程ST2において、第1層UVレジン5の膜厚が光学顕微鏡等を使用して測定される。測定箇所は、1乃至複数とされる。例えば半径位置が20mmの膜厚が測定される。測定結果が所定の膜厚例えば60μmと比較される。測定結果が60μmと一致(許容誤差の範囲内での一致を意味する)すると、第2層UVレジン6を形成するスピンコート装置のスピナーテーブルの回転数(スピン回転数と適宜称する)が標準の回転数A[rpm]とされる(工程ST3)。そして、通常のスピンコートによって第2層UV
レジン6が形成される(工程ST6)。標準の回転数A[rpm]では、半径位置20mmにお
いて、20μmの膜厚で第2層UVレジン6を形成することができる。
計測工程ST2において、測定結果が所定膜厚に比して薄い場合には、スピン回転数が標準の回転数A[rpm]より遅いものとされる。例えば計測結果が59μmであった場合に
は、工程ST4においてスピン回転数がA−100[rpm]とされる。そして、工程ST6
において、第2層UVレジン6が形成される。スピン回転数が標準回転数より下げられているので、第2層UVレジン6の膜厚が増大し、例えば21μmとされ、合計の膜厚は、80μmとできる。
計測工程ST2において、測定結果が所定膜厚に比して厚い場合には、スピン回転数が標準の回転数A[rpm]より速いものとされる。例えば計測結果が61μmであった場合に
は、工程ST5においてスピン回転数がA+100[rpm]とされる。そして、工程ST6
において、第2層UVレジン6が形成される。スピン回転数が標準回転数より上げられているので、第2層UVレジン6の膜厚が減少し、例えば19μmとされ、合計の膜厚は、80μmとできる。
上述したこの発明の一実施の形態は、従来のキャップを使用する方法と比較して、キャップの着脱、洗浄等の作業による作業性の低下および装置が複雑となる問題が生じないで、均一な厚さのカバー層を形成できる。また、表面は、一括照射によりUVレジンを硬化させるので、スポットUVでUVレジンを硬化させる方法のように、表面の均一性が不充分となる問題が生じないで、均一な厚さのカバー層を形成できる。
また、UVレジンを2層構造することは、1層当たりの厚みを薄くすることができるので、各層を硬化させた場合の一層ごとの収縮応力を小さくすることができる。また、1層目のUVレジン5の硬化後に2層目を形成するので、時間をかけて重合反応をさせることになり硬化時の収縮応力を緩和でき、ディスクの反りの問題を改善することができる。さらに、第2層UVレジン6としてハードコート特性や防汚性を有するUVレジンを使用することが可能となる。表面を形成する第2層UVレジン6は、従来同様のスピンコートで形成し、一括UV露光で硬化させるので、平滑でプロセス的に安定した表面を得ることが容易である。
この発明は、上述したこの発明の実施の形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば上述した一実施の形態では、基板の最外周部に生じる盛り上がり部に対する対策については触れていないが、第2層UVレジンを形成する時に、最外周部をマスクして最外周部のUVレジンを振り切るような盛り上がり部を抑える方法を併用しても良い。また、上述した一実施の形態による光ディスクでは、単層光ディスクを例として説明したが、これらに限定されず、片面2層光ディスク等の情報記録層を2層以上有する光ディスクにおけるカバー層の形成にも適用可能である。
従来のスピンコート法を示す略線図である。 従来のスピンコート法における問題点を説明するための略線図である。 従来のセンターホールをキャップで塞ぐスピンコート法を説明するための略線図である。 従来のスポットUV照射によるスピンコート法を説明するための略線図である。 この発明の一実施の形態における光ディスクの一例を示す断面図である。 この発明を適用できる光ディスクの他の例を示す断面図である。 この発明の一実施の形態の光ディスクの概略的断面図である。 この発明の一実施の形態におけるカバー層形成方法のプロセスを説明するための略線図である。 この発明の一実施の形態における第1層形成時の膜厚制御方法を説明するための略線図である。 この発明の一実施の形態における第1層形成時に使用できるスピンコート装置の一例の正面図および側面図である。 この発明の一実施の形態により形成された第1層UVレジンおよび第2層UVレジンの膜厚測定結果の一例を示すグラフである。 この発明の一実施の形態により形成された第1層UVレジンおよび第2層UVレジンの膜厚の変化幅の一例を示すグラフである。 この発明の一実施の形態における第2層形成時における膜厚の補正処理の一例のフローチャートである。
符号の説明
1・・・基板
2・・・情報記録層
3・・・カバー層
4・・・対物レンズ
5・・・第1層UVレジン
6・・・第2層UVレジン
11・・・基板
12・・・中間層
13・・・カバー層
14・・・対物レンズ
15・・・カバー層
21・・・スピナーテーブル
22・・・センターピン
24・・・スポットUVヘッド
26・・・一括UV照射装置


Claims (5)

  1. 凹凸が一面に形成された基板と、
    上記基板上に積層して形成された少なくとも1層の情報層と、
    上記情報層上にスピンコートにより内周から外周に向かって膜厚が減少するように形成された第1の光透過性樹脂層と、
    上記第1の樹脂層上にスピンコートにより積層して形成された第2の光透過性樹脂層とを備え、
    上記第2の光透過性樹脂層の内周から外周に向かって増大する膜厚を相殺するように、上記第1の光透過性樹脂層の膜厚が形成されたことを特徴とする光ディスク媒体。
  2. 上記第1および第2の光透過性樹脂層を含む光透過層の厚みがほぼ0.1mmとされた請求項1記載の光ディスク媒体。
  3. 基板上に情報層と光透過層とが順次積層された光ディスクの製造方法において、
    上記情報層上にスピンコートにより内周から外周に向かって膜厚が減少するように第1の光透過性樹脂層を形成する第1層形成工程と、
    上記第1の光透過性樹脂層上にスピンコートにより積層して第2の光透過性樹脂層を形成する第2層形成工程とからなり、
    上記第1層形成工程は、上記第2の光透過性樹脂層の内周から外周に向かって増大する膜厚を相殺するように、上記第1の光透過性樹脂層の膜厚を制御することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  4. 上記第1層形成工程は、
    上記基板を回転させて、光硬化樹脂を上記情報層上に延伸する工程と、
    上記基板の径方向にスポット光照射手段を移動させ、上記スポット光照射手段の照射パワーおよび/または移動速度を制御することによって、内周から外周に向かって膜厚が減少するように第1の光透過性樹脂層を形成することを特徴とする請求項3記載の光ディスク製造方法。
  5. 上記第2層形成工程は、
    上記基板を回転させて、光硬化樹脂を上記第1の光透過性樹脂層上に延伸する工程と、
    上記光硬化樹脂に光を一括照射して上記光硬化樹脂を完全硬化する工程と
    からなることを特徴とする請求項3記載の光ディスクの製造方法。
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