JP2008019113A - シリコン微粒子含有液の製造方法およびシリコン微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的にシリコン微粒子含有液およびシリコン微粒子を製造する方法を提供すること。
【解決手段】多孔質化された単結晶シリコンに、該多孔質化された単結晶シリコンに対して実質的に不活性な液体を接触させながら、該多孔質化された単結晶シリコンの少なくとも一部を粉砕することにより、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程を含むことを特徴とするシリコン微粒子含有液の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はシリコン(Si)微粒子含有液の製造方法およびシリコン微粒子の製造方法に関する。
シリコン微粒子の製造方法としては、四塩化珪素を亜鉛や水素を用いて還元する方法が知られており、その他に多くの製造方法が提案されている。
特許文献1には、クロロポリシランを250〜1300℃の温度下で運動状態のシリコン種結晶に接触させて熱分解ないし水素還元させ、該種結晶表面にシリコンを析出させる粒状シリコンの製造方法が提供されている。
特許文献2には、塊状シリコンに圧力を加えて微小クラックを生成させた後に該塊状シリコン粉砕することによる高純度のシリコン粉末の製造方法が開示されている。
特許文献3には、外部加熱器が流動層下端部から上へ50mm以上離して設置され、平均粒子径100〜1,000μmの多結晶シリコン粒子からなり、反応器内径に対する静止層高の比が2〜4の流動層を有する反応器に、反応温度620〜750℃、圧力1〜5atmの条件下、シラン濃度15〜45体積%のシランと希釈ガスとの混合ガスを、流動層内のガス流速として0.3〜0.9m/sで供給することにより、気相中で種シリコン粒子を生成させる方法が開示されている。
特許文献4には、破砕されたシリコンを王水−水−フッ化水素酸で順次洗浄エッチングして種シリコンを調製し、該種シリコンの存在下にシラン類の熱分解または還元を行うことによって多結晶シリコンを析出させることを特徴とする多結晶シリコン粒子の製造方法が開示されている。
特許文献5には、液体状高次シランと、液体状アルコキシシラン又は液体状アルコキシシロキサンとを混合或いは接触させた後、加圧することによりシリコン粒子を得ることを特徴とするシリコン粒子の製造方法が開示されている。
特許文献6には、シリコン原料を、プラズマ生成ガスとしての不活性ガスおよび水素ガスが存在するプラズマ中を通過させて、加熱して、結晶質シリコン粒子を形成する結晶質シリコン粒子の製造方法が開示されている。
特許文献7には、溶融シリコンを高速回転する皿形ディスク上に供給し、遠心力を作用させて小滴として飛散させ、不活性ガス雰囲気中で急冷して得られるシリコン粒子を液状媒体中に分散させ、該分散液を加圧して小径ノズルを通過させる操作を繰り返すことにより得られる、ナノメートルサイズの球状多結晶又はアモルファスシリコン微粒子が記載されており、更に球状シリコン微粒子の表面酸化及びその酸化膜除去を繰り返すことにより、該微粒子をさらに微細化する方法についても記載がある。
特許文献8には、モノシランガスと、該モノシランガスを酸化するための酸化性ガスとを気相反応させて、シリコン粒子を内包するシリコン酸化物粒子を含む粉末を合成する工程と、該粉末を不活性雰囲気下800〜1400℃で保持した後、フッ化水素酸にて前記シリコン酸化物を除去する工程とを有することを特徴とするシリコン粒子の製造方法について開示されている。
特許文献9には、高周波スパッタリング法により基板上にアモルファス酸化ケイ素膜を
作製し、該アモルファス酸化ケイ素膜に熱処理を施し、該酸化ケイ素膜内に粒子サイズ3.5nm以下のナノシリコンを形成し、次に該酸化ケイ素膜にフッ化水素酸処理を施して酸化ケイ素を除去することによりナノシリコンを露出させ、そのナノシリコンを溶液中に浸漬して溶液処理を施することにより付着した粒子を除去し、更に、溶液中のナノシリコンに攪拌処理を施し、ナノシリコンを基板から分離、離散させて、ナノシリコンが粒子単位で分散した溶液とした上で、溶液にろ過処理を施して、パウダー状のナノシリコンを得ることを特徴とするナノシリコンパウダーの製造方法が開示されている。
一方、シリコンを電気化学的にエッチングする方法のひとつとして陽極化成法が知られている。この陽極化成法では、フッ化水素酸中で、シリコンを陽極とし電圧を印加することで、シリコンを電気化学反応によってエッチングする。シリコン単結晶を多孔質化させるために陽極化成法を適用した例として、例えば、特許文献10、特許文献11などが知られている。
また、特許文献12には、Si単結晶基板を、HF溶液を用いた陽極化成法によって多孔質化させる方法について記載があり、この多孔質化されたSi層は、単結晶Siの密度2.33g/cm3 に比べて、その密度をHF溶液濃度を50〜20%に変化させることで密度1.1〜0.6g/cm3 の範囲に変化させることができ、この多孔質Si層は、透過電子顕微鏡による観察によれば、平均約600オングストローム程度の径の孔が形成される旨の記載がある。この他に特許文献12には、HF溶液中のSiの陽極反応には正孔が必要であるため、陽極化成法によるシリコンウエハの多孔質化には、p型シリコンウエハが適している旨が記載されており、その理由については非特許文献1において、HF溶液中のシリコン陽極反応には正孔が必要であり、その反応として次の反応式が提案されている。
Si+2HF+(2−n)e+ → SiF2 +2H+ +ne-
SiF2 +2HF → SiF4 +H2 SiF4 +2HF → H2 SiF6 又は、Si+
4HF+(4−λ)e+ → SiF4 +4H+ +λe-
SiF4 +2HF → H2 SiF6
ここでe+ 及び、e- はそれぞれ、正孔と電子を表し、n及びλはそれぞれシリコン1原子が溶解するために必要な正孔の数であり、n>2又は、λ>4なる条件が満たされた場合に多孔質シリコンが形成される旨の記載がある。
特許文献13には、陽極化成法により多孔質を行なう対象となるシリコンの要件について記載があり、具体的には、シリコンの多孔質化は化成反応の陽極にて起こり、陽極化成を行う場合、不純物を高濃度(1018cm-3以上)にドープしたシリコン、つまり比抵抗が低いシリコンの場合には容易に電流が流れ、多孔質化が可能であるが、不純物濃度が低い(1018cm-3以下)シリコン、つまり比抵抗が高いシリコンの場合には陽極化成を行うために電位をかけると、裏面シリコンと電解質の間が逆接合のようになりショットキー障壁が生じ、低電流によって多孔質シリコンを形成することはできない旨の記載、さらに高抵抗なシリコンの場合には多孔質シリコンを形成することが不可能である旨の記載がある。
特許文献14には、多孔質化されるシリコン結晶基板として、比抵抗値が0.1Ωcm以下でありp型伝導性を示すものを使用する例が開示されている。
特開平1−197309号公報 特開平6−16411号公報 特開平6−92617号公報 特開平8−48512号公報 特開平11−49507号公報 特開2002−104819号公報 特開2005−320195号公報 特開2005−263522号公報 特開2006−70089号公報 特開平4−241414号公報 特開平4−212409号公報 特開平5−217893号公報 特開平7−249583号公報 特開平11−14848号公報 T.UNAGAMI, J.Electrochem.Soc.,vol.127,p.476(1980)
上述のように、シリコン微粒子の製造方法として種々の方法が提案されているが、より効率的にシリコン微粒子を製造する方法の出現が望まれる。
本発明は、多孔質シリコンウエハを原材料として、効率的にシリコン微粒子含有液およびシリコン微粒子を製造する方法の提供を目的としている。
また本発明は、より均一な粒子径分布を示すシリコン微粒子の製造方法を提供することを目的としている。
本発明のシリコン微粒子含有液の製造方法は、多孔質化された単結晶シリコンに、該多孔質化された単結晶シリコンに対して実質的に不活性な液体を接触させながら、該多孔質化された単結晶シリコンの少なくとも一部を粉砕することにより、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程を含むことを特徴としている。
前記多孔質化された単結晶シリコンとしては、多孔質シリコンウエハが好ましい。
前記多孔質シリコンウエハは、シリコンウエハを陽極化成処理して調製されることが好ましい。
前記シリコンウエハとしては、p型シリコンウエハが好ましい。
前記多孔質シリコンウエハの比表面積は50〜1000m2/gであることが好ましい
前記のシリコン微粒子含有液の製造方法としては、以下の製造方法(a)〜(c)を好ましい態様として挙げることができる。
製造方法(a):多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性でありかつSiO2微粒子が分散した液体を接触させながら、該多孔質シリコンウ
エハの少なくとも一部を、該SiO2微粒子で研磨することにより粉砕して、シリコン微
粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程と、次いで該SiO2微粒子をフッ化水素で溶解させる工程とを含むことを特徴とするシリコン微粒子含
有液の製造方法。
製造方法(b):多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性である液体を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を、該溶液に超音波を印加することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程を含むことを特徴とするシリコン微粒子含有液の製造方法。
製造方法(c):多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性でありかつSiO2微粒子が分散した液体を接触させながら、該多孔質シリコンウ
エハの少なくとも一部を、該溶液に超音波を印加することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を前記液体中に分散させ、次いで該SiO2
粒子をフッ化水素で溶解させる工程を含むことを特徴とするシリコン微粒子含有液の製造方法。
前記のシリコン微粒子含有液の製造方法は、粗大シリコン微粒子を除去することにより、シリコン微粒子を平均粒子径2〜10nmの範囲に整粒する工程をさらに含むことが好ましい。
前記SiO2微粒子の溶解は、たとえば、フッ化水素を前記SiO2微粒子100質量部に対して5〜1000質量部使用して、5〜80℃で、0.1〜2時間行なわれる。
前記製造方法(a)および(c)は、フッ化水素および/または前記SiO2微粒子の
溶解物を含有する液を限外濾過することによって該フッ化水素および/または該溶解物を除去する工程をさらに含むことが好ましい。
前記シリコン微粒子含有液の製造方法は、下記操作(1)および(2)を1回または複数回行ってシリコン微粒子の粒子径を調製する工程をさらに含んでいてもよい;
(1)前記シリコン微粒子含有液に酸化剤を添加して、該シリコン微粒子表面に酸化被膜を形成する、
(2)次いで、酸化被膜が形成されたシリコン微粒子の含有液に酸化被膜溶解剤を添加して、該酸化被膜を溶解除去する。
本発明のシリコン微粒子の製造方法は、前記シリコン微粒子含有液の製造方法により得られたシリコン微粒子含有液から、シリコン微粒子の分散媒を除去することを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、シリコンウエハなどの単結晶シリコンを原材料として、効率的にシリコン微粒子またはシリコン微粒子含有液を製造することができる。
また本発明の製造方法によれば、粒子径分布が調整されたシリコン微粒子またはシリコン微粒子含有液を容易に得ることができる。
本発明の製造方法によれば、原材料の単結晶シリコンとして多孔質の単結晶シリコンを用いるため、容易に微小なシリコン微粒子を得ることができる。これは、通常の多孔質化されていない単結晶シリコンと比較して、多孔質化された単結晶シリコンは脆く粉砕し易いためではないかと考えられる。
特に陽極化成処理により抽出部(シリコンウエハの多孔質化された部分)の粗さが増すため、低いエネルギーによっても、効率的にシリコン微粒子を抽出することができると考えられる。
以下、本発明のシリコン微粒子含有液の製造方法およびシリコン微粒子の製造方法についてさらに詳細に説明する
[シリコン微粒子含有液の製造方法]
本発明のシリコン微粒子含有液の製造方法は、多孔質化された単結晶シリコンに、該多孔質化された単結晶シリコンに対して実質的に不活性な液体を接触させながら、該多孔質
化された単結晶シリコンの少なくとも一部を粉砕することにより、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程を含むことを特徴としている。
<多孔質化された単結晶シリコン>
多孔質化された単結晶シリコンの比表面積が大きい程、研磨(具体的には機械研磨)などで取り除かれるシリコン粒子の粒子径が小さくなる傾向があるため、多孔質化された単結晶シリコンの単位質量当たりの表面積(比表面積)は、好ましくは50〜1000m2
/g、さらに好ましくは300〜1000m2/gである。また、例えば、多孔質化され
た単結晶シリコンの比表面積がこの範囲にあると、直径2〜5nmの微細なシリコン微粒子が得られ、このようなシリコン微粒子は蛍光体として好適に用いることができる。
単結晶シリコン;
単結晶シリコンとしては、多孔質化可能なシリコンであれば使用することができ、汎用的に用いられ入手し易い点で、シリコンウエハが好ましい。この単結晶シリコンとしては、シリコンウエハ、特にp型シリコンウエハが適しているが、正孔を注入したn型シリコンウエハなども用いることができる。
本発明においては、通常は、シリコンのインゴットから切り出されるシリコンウエハなどのように、厚さが500μm〜2mm、一方の面の面積が10〜700cm2程度の板
状の単結晶シリコンが用いられる。
また、前記シリコンウエハとしては、比抵抗の値が低いものほど、電流が流れ易く多孔質化に好都合である点で望ましい。このような比抵抗の値が小さいシリコンウエハとしては、具体的には不純物が高濃度にドープされたシリコンウエハが挙げられ、不純物であるアルミニウム(Al)および/またはホウ素(B)が1×1014〜1×1020atoms/cm3
ドープされたシリコンウエハが好ましい。
前記シリコンウエハの比抵抗の値は、好ましくは1×10-3〜1×102Ωmの範囲に
あり、より好ましくは1〜30Ωmの範囲にある。1×10-3Ωm未満では、本発明の製造方法によって製造されるシリコン微粒子中に不純物元素が残存する場合があり、1×102Ωmを超えると、多孔質化が生じ難くなる傾向にある。
陽極化成処理;
単結晶シリコンを多孔質化する方法としては、処理操作の簡便性から陽極化成処理が好ましい。
陽極化成処理とは、例えばフッ化水素酸溶液中で、シリコンを陽極とし、白金またはカーボン電極などを陰極として電圧を印加することにより、フッ化水素酸溶液に接しているシリコン表面を多孔質化させる処理方法である。
本発明においては、従来公知の陽極化成処理を適用でき、具体的には、例えば図1に示した様な陽極化成槽を用意し、陽極化成溶液としては、化成処理により形成される不動態のSiO2膜を除去するために、フッ化水素を含む溶液が使用される。この溶液の溶媒と
しては、水、メタノール、エタノールなどの、フッ化水素が溶解しやすく、かつシリコンを直接酸化させない溶媒が使用され、通常はフッ化水素、純水および有機溶媒の混合液などが使用される。
この混合液としては、より具体的には、フッ化水素(HF):水(H2O):エタノー
ル(C25OH)=1:1:1、フッ化水素(HF):水(H2O)=1:1、フッ化水素
(HF):水(H2O):メタノール(CH3OH)=1:1:1、あるいはフッ化水素(HF):水(H2O):酢酸(CH3COOH)=1:1:0.1の質量比で各成分が混合された溶媒が挙げられる。
陰極としては、フッ化水素に腐食されにくい物質が使用される。このような物質の例としては、白金、炭素、などを挙げることができるが、これらに限定されない。陽極化成溶液のフッ化水素濃度および温度は、多孔質化の速度に大きく影響する。前記陽極化成溶液中のフッ化水素の濃度は、好ましくは0.1〜49質量%である。また、前記陽極化成溶
液の温度は、好ましくは5〜80℃である。
陽極化成処理の際の印加電圧は、好ましくは1〜10Vである。1V未満では、フッ化水素溶液の抵抗が大きいため陽極化成に必要な電流密度を得られない場合があり、10Vを超えると、過大な電流が流れることによりシリコンSiの酸化が促進され所望する多孔質シリコンを形成できない場合がある。
陽極化成処理の際の電流密度は、好ましくは10〜200mA/cm2である。フッ化水素溶液の抵抗は大きいので、電流密度が10mA/cm2未満では陽極化成を行えない場合があり、200mA/cm2を超えると過大な電流が流れることによりシリコンSiの酸化が促進され所望する多孔質シリコンが形成できない場合がある。
陽極化成処理の時間は、通常は0.01〜2時間である。
上記陽極化成処理によって、シリコンウエハには、通常は、平均600オングストローム程度の径の孔が形成される。
<不活性液体>
本発明においては、多孔質シリコンウエハ、好ましくは上述のように陽極化成処理によって多孔質化されたシリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性な液体(以下「不活性液体」ともいう。)」を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を粉砕することによって、シリコン微粒子を生成させる。
この不活性液体としては、たとえばNaOH、KOH等の水溶性アルカリ性物質を含まない液体、およびHNO3、H22等の酸化剤とフッ化水素とを含まない液体が挙げられ
る。
前記多孔質シリコンウエハと前記不活性液体との接触の態様としては、たとえば(1)前記多孔質シリコンウエハを前記不活性液体中に浸漬する、(2)前記多孔質シリコンウエハの上面に前記不活性液体の層を形成する、などの態様が挙げられる。この接触の態様は、多孔質シリコンウエハを粉砕する操作に応じて適宜選択される。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、以下に述べる製造方法(a)、製造方法(b)および製造方法(c)が挙げられる。
製造方法(a);
この製造方法(a)は、多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性でありかつSiO2微粒子が分散した液体(以下「SiO2微粒子分散液」ともいう。)を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を、該SiO2
微粒子で研磨(具体的には機械研磨)することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を前記液体(SiO2微粒子分散液)中に分散させ、次い
で該SiO2微粒子をフッ化水素酸で溶解させることを特徴としている。
<多孔質シリコンウエハの粉砕>
この製造方法(a)において、多孔質シリコンウエハを粉砕する操作の具体例としては、たとえば以下の(a1)および(a2)が挙げられる。
(a1):研磨装置にセットした多孔質シリコンウエハをSiO2微粒子の分散液に浸漬
し、この状態で、研磨パッドを使用して、基板荷重0.01〜0.1MPa、テーブル回転速度30〜120rpmの条件下で多孔質シリコンウエハの研磨を行なう。
(a2):研磨装置に多孔質シリコンウエハをセットし、該多孔質シリコンウエハの機械研磨しようとする面に、SiO2微粒子の分散液を5〜100ml/分の速度で供給しな
がら、研磨パッドを使用して、基板荷重0.01〜0.1MPa、テーブル回転速度30〜120rpmで研磨を行なう。
このように多孔質シリコンウエハを研磨することによって、多孔質シリコンウエハは粉砕され、シリコン微粒子が生成する。換言すると、多孔質シリコンウエハを研磨することによって、多孔質シリコンウエハは研削され、シリコン微粒子が生成する。
多孔質シリコンウエハの粉砕に要する時間は、格別に制限はされず、多孔質シリコンウエハ表面に対する研磨の状況を考慮して決定されるが、通常は2〜10分程度である。
このSiO2微粒子は、多孔質化されたシリコンウエハ表面を研磨する研磨剤として機
能する。このため、SiO2微粒子の平均粒子径は、シリコンウエハの多孔質化の程度や
得ようとするシリコン微粒子の大きさにもよるが、たとえば5〜100nmであり、好ましくは25〜80nmである。平均粒子径が5nm未満では、シリコン粒子の粉砕に時間が掛かかる傾向にあり、平均粒子径が100nmを超えると余分な研磨傷などを多孔質シリコンウエハ上に生じさせ、そこから粗大Si粒子が形成される場合がある。
なお、本発明においてシリコン微粒子の平均粒子径とは、以下の方法(TEM観察法)により測定される値である。また、SiO2微粒子の平均粒子径は、BET法あるいは遠
心沈降式測定法によって測定できる。
<TEM観察法>
(1)TEM測定用メッシュの上にゾル状の被測定粒子を滴下・乾燥させて測定試料を作成
する。
(2)透過型電子顕微鏡(型番H−800、日立製作所製)を使用して、倍率200,000〜500,000倍で測定試料を撮影する。
(3)次いで、撮影された画像の中から無作為に250個の粒子を選択し、それらの画像上
での粒子径をノギスで測定し、その測定値と撮影倍率とから実際の粒子径を算出する。なお、画像上での粒子形状が真円ではない場合には、長径を粒子径とする。
(4)実際の粒子径の平均値を平均粒子径として採用する。
<遠心沈降式測定法>
SiO2微粒子の平均粒子径は、遠心沈降式測定法で測定する場合には、具体的には、
自然/遠心沈降式粒度分布測定装置CAPA-700(株式会社堀場製作所製)によって測定することができる。
また、SiO2微粒子としては、極力、不純物の少ない微粒子が望ましい。
この製造方法(a)においてSiO2微粒子の分散媒としては、前記のシリコンウエハ
に対して実質的に不活性な液体(前記不活性液体)であって、かつ、シリコンウエハの粉砕を実質的に阻害せず、シリコン微粒子の生成後にSiO2微粒子の溶解に用いられるフ
ッ化水素酸との反応性を実質的に有さない液体が用いられる。このような液体(分散媒)としては、次工程の制御の観点からは純水および水溶性アルコールが好ましい。
SiO2微粒子分散液中のSiO2微粒子の濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、
より好ましくは10〜20質量%である。SiO2微粒子濃度が1質量%未満では、シリ
コン粒子の粉砕に時間が掛かる傾向にあり、50質量%を超えると、次工程においてSiO2微粒子の除去のためのHF量や処理時間が多く掛かる傾向にある。
SiO2微粒子分散液は、SiO2微粒子濃度や分散媒の種類に応じて、ゾル状、スラリー状、ペースト状などの形態をとる。
また、前記SiO2微粒子分散液は、分散剤、シリコン微粒子の分散剤、研磨促進剤、
界面活性剤、安定剤などの添加剤を含有していてもよい。
<SiO 2 微粒子の溶解>
この製造方法(a)においては、SiO2微粒子の生成後に、不要となった該SiO2微粒子を、フッ化水素を含有した溶液で溶解させる。
具体的には、たとえば、SiO2微粒子、および多孔質シリコンウエハの粉砕により生
じたシリコン微粒子を含有する分散液を回収し、この中に市販のフッ化水素酸を添加して、SiO2微粒子を溶解させる。
フッ化水素を含有した溶液としては、通常は、市販のフッ化水素酸を溶媒で希釈したものが好適に使用される。希釈後のフッ化水素濃度としては10〜49質量%が好ましい。溶媒としては水、少量の酢酸を含む水溶液などが使用される。
フッ化水素を含有した溶液の使用量は、SiO2微粒子100質量部に対して、フッ化
水素に換算して好ましくは5〜500質量部である。
SiO2微粒子の溶解に要する時間、あるいはSiO2微粒子を溶解させる際の温度などの条件は格別に制限はされず、SiO2微粒子の濃度、フッ化水素の濃度等に応じて、適
宜設定することができ、たとえば時間を0.1〜2時間、温度を5〜80℃とすることができる。
SiO2微粒子が溶解した後には、SiO2微粒子の溶解物および/または未反応のフッ化水素を除去することが好ましい。フッ化水素が残存した場合、シリコン微粒子表面に形成される酸化膜が経時的に溶解し、シリコン微粒子の粒子径が変化するおそれがある。
SiO2微粒子の溶解物および/または未反応のフッ化水素の除去方法としては、例え
ば限外濾過法が挙げられ、限外濾過法によってSiO2微粒子の溶解物および/または未
反応のフッ化水素を含有する液と生成されたシリコン微粒子とを分離することができる。
さらに、生成されたシリコン微粒子、ならびにSiO2微粒子の溶解物および/または
未反応のフッ化水素を含有する液に対して、限外濾過および希釈を1回または複数回施すことによって、SiO2微粒子の溶解物および/または未反応のフッ化水素の濃度が低減
され、好ましくはこれらの物質をほとんど含まないシリコン微粒子含有液を得ることができる。
製造方法(b);
この製造方法(b)は、多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性である液体(前記不活性液体)を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を、前記液体に超音波を印加することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を前記液体中に分散させることを特徴としている。
この製造方法(b)においては、多孔質シリコンウエハの少なくとも一部に前記不活性
液体を接触させ、この不活性液体に超音波を印加することによって、該多孔質シリコンウエハからシリコン微粒子を削り取る。
多孔質シリコンウエハを粉砕する際には、多孔質シリコンウエハのうちの粉砕したい部分を不活性液体中に浸漬しておくことが好ましい。
この超音波としては、シリコン微粒子を生成させることのできるエネルギーを有していれば特に限定されず、従来公知の超音波発生装置により発生する超音波を適用することができる。このような超音波発生装置として、例えば、磁歪型の超音波発生装置、電歪型の超音波発生装置などを挙げることができる。これらの超音波発生装置においては、電歪材または磁歪材からなる振動子に対して、高周波変動電界または磁界を作用させて超音波帯周波数で機械的な振動を発生させ、その振動を拡大するためのホーン及び導波筒を用いて所望の位置に振動を導き、外部の媒体中に超音波を放射する。
超音波発信出力は、高いほど好ましいが、通常は10〜1000Wの範囲にある。超音波の周波数は、好ましくは1〜300kHzの範囲にある。また超音波を印加する時間は、通常は10〜100分である。
製造方法(c);
この製造方法(c)は、多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性でありかつSiO2微粒子が分散した液体(前記SiO2微粒子分散液)を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を、該SiO2微粒子分散液に
超音波を印加することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を前記SiO2微粒子分散液中に分散させ、次いで該SiO2微粒子を溶解させることを特徴としている。
この製造方法においては、多孔質シリコンウエハに接触するSiO2微粒子分散液に超
音波をかけてこの分散液中のSiO2微粒子を多孔質シリコンウエハに衝突させることに
よって、この多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を粉砕してシリコン微粒子を生成させる。
SiO2微粒子分散液、SiO2微粒子の除去方法等の詳細は、前記製造方法(a)と同様であり、超音波を印加する際の条件等の詳細は、前記製造方法(b)と同様である。
<生成物(シリコン微粒子含有液)>
前記製造方法(a)、(b)または(c)などによって、シリコン微粒子含有液が調製される。生成するシリコン微粒子の平均粒子径は、製造条件にもよるが、通常は2〜100nm、好ましくは2〜50nmである。また、このシリコン微粒子含有液中のシリコン微粒子濃度は、例えば0.01〜0.05質量%である。
<整粒処理>
本発明のシリコン微粒子含有液の製造方法は、粗大シリコン微粒子を除去することにより、シリコン微粒子含有液中のシリコン微粒子を平均粒子径2〜10nmの範囲に整粒する工程をさらに含んでいてもよい。
整粒方法としては、シリコン微粒子から粗大粒子を除外することができれば格別に限定されないが、通常は濾過法または沈降分級法を採用する。なお「粗大粒子」とは、製造しようとする(粒子径が特定の範囲にある)シリコン微粒子よりも粒子径の大きなシリコン微粒子をいう。
濾過法としては、公知の脱水濾過法、限外濾過膜法などを用いることができる。
また、沈降分級法とは、水中またはアルコール等の有機溶媒を含む水分散媒中に微小粒
子を加えて、その粒子の沈降速度の違いにより粗大粒子を分離または分別する方法である。
<粒子径調整処理>
本発明のシリコン微粒子含有液の製造方法は、生成されたシリコン微粒子の粒子径を調整する工程をさらに含んでいてもよい。
この粒子径を調整する工程としては、以下の操作(1)および(2)を1回または複数回行う工程が挙げられる;
(1)前記シリコン微粒子が分散してなる液に酸化剤を添加して、該シリコン微粒子表面に酸化被膜を形成する、
(2)次いで、酸化被膜が形成されたシリコン微粒子を含む液に酸化被膜溶解剤を添加して、該酸化被膜を溶解除去する。
この酸化剤としては、シリコン微粒子の分散媒、すなわち前記不活性液体への溶解性が高い物質が好ましく、HNO3、H22、HIO3、O3などが挙げられる。その使用量は
、シリコン微粒子100質量部に対して通常は1〜100質量部である。1質量部未満では、シリコン微粒子を充分に酸化できない場合があり、100質量部を超えると酸化被膜が過度に厚くなり粒子径の微調整が困難となる傾向にある。
前記溶解剤としては、前記酸化被膜を溶解でき、かつ実質的にシリコン微粒子を溶解させないものが使用され、たとえばフッ化水素酸を挙げることができる。
シリコン微粒子に酸化被膜が形成された後には、溶解剤を添加して、この酸化被膜を除去する。溶解剤の添加量は、格別に限定されるものではなく、酸化被膜が除去され、粒子径調整されたシリコン微粒子の所望量に応じて使用される。
[シリコン微粒子の製造方法]
本発明のシリコン微粒子の製造方法は、上述した本発明の製造方法によって調整されたシリコン微粒子含有液から、分散媒等を除去する工程を含むことを特徴としている。この分散媒等には前記分散媒が含まれているが、この他にも、SiO2微粒子の溶解に用いた
フッ化水素溶液や添加剤などが含まれる場合がある。
分散媒等を除去する方法としては、分散媒等を蒸発させる方法、限外濾過法等の濾過法などが挙げられる。分散媒等は、加熱により蒸発させることができるが、その種類によっては、室温で放置することによっても蒸発させることができる。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
<陽極化成処理>
p型シリコンウエハ(縦5cm×横5cm×厚さ600μm、ドープ剤:B(ボロン)、ドープ量:1×1015〜1×1016 atoms/cm3、比抵抗:1〜30Ωcm)の陽極化成処理を行った。陽極化成処理に用いた装置の模式図を図1に示す。
また陽極化成処理条件の詳細は以下のとおりである。
印加電圧:2V、
電流密度:25mA/cm2
陽極化成溶液:フッ化水素酸(HF濃度:10質量%)、
陽極化成処理時間:1時間
この陽極化成処理により、厚さが約100μmの多孔質シリコンウエハが得られた。こ
の多孔質シリコンウエハの多孔率は約65%、比表面積は500m2/gであった。
ここで多孔率とは、(単位体積あたりの陽極化成により失われたシリコン質量[g/cm3])/(シリコンの密度(2.23g/cm3))×100で定義され、以下の手順で
測定した。
(1)陽極化成処理前後のシリコンウエハの重量を測定する。
(2)FIB(型番FD-2000A 日立製作所社製)により陽極化成処理後のシリコンウエハの
断面加工・断面観察を行い、その断面SIM像(走査型イオン顕微鏡像)から陽極化成されたシリコンウエハの任意の箇所の厚みを5点測定し、その平均値を陽極化成処理後のシリコンウエハの厚さとした。
(3)陽極化成処理前後での重量差および体積差から、単位体積あたりの陽極化成により失われたシリコン質量を算出し、この値およびシリコンの密度から多孔率を算出する。
また、多孔質シリコンウエハの比表面積は、以下の手順で測定された値である。
(1)陽極化成処理後のシリコンウエハの比表面積を、110℃で20時間乾燥した後、約2mm□の大きさに切り分けた。
(2)切り分けた陽極化成処理後のシリコンウエハ(以下「サンプル」ともいう。)を1g秤量し、比表面積測定装置(湯浅アイオニクス製、マルチソーブ12)の測定用のセルに挿入した。
(3)比表面積測定値の安定性向上のため、ヘリウム雰囲気下で、130℃で、10分間該サ
ンプルを乾燥させ、その表面の水分を離脱させた。
(4)該サンプルの窒素吸着量を測定し、BET法により陽極化成処理後のシリコンウエハの比表面積を算出した。
陽極化成処理前のシリコンウエハについても、上記(1)〜(4)の手順で比表面積を測定した。
陽極化成処理後のシリコンウエハの比表面積から陽極化成処理前のシリコンウエハの比表面積を引いて得られた値を、多孔質シリコンウエハの比表面積と定義した。
<機械研磨によるシリコン微粒子の製造>
ナノファクター社製研磨装置NF300(基盤荷重0.05MPa、回転速度60rpm)を使用して、前記多孔質シリコンウエハを10分間機械研磨した。研削中、シリカゾル(SiO2の平均粒子径=25nm、分散媒=純水、SiO2濃度=10質量%、液量=100ml)を、研磨スラリータンクから前記研磨装置に搭載した研磨パッドの中心付近に10mL/minで滴下供給し、研磨装置のドレインから研磨スラリータンクに回収し循環させた。
研磨終了後、研磨に使用され、生成したシリコン微粒子を含有するシリカゾル100mlを回収し、このシリカゾルに49質量%のフッ化水素酸20mlを20℃で添加してSiO2微粒子を溶解させて、シリコン微粒子の含有液を得た。
<フッ化水素等の除去>
前記シリコン微粒子の含有液を48時間静置後、沈殿物を除去した。次に、限外濾過(分画分子量6,000)および純水10Lでの希釈を施すことにより、この液に含まれる
フッ化水素の大半を除去し、シリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を得た。
このシリコン微粒子含有液を10ml採取し、上述した方法でシリコン微粒子の平均粒子径を測定したところ3nmであった。なお、TEM写真の撮影には、透過型電子顕微鏡
H−800(株式会社日立製作所製、加速電圧200KV、分解能:0.2nm、撮影倍
率250、000倍)を使用した。以下の実施例2〜5でも同様の方法(TEM観察法)でシリコン微粒子の平均粒子径を測定した。
[実施例2]
<超音波処理>
図2に示すように、容器4の中央部に設置された試料台7上に、多孔質シリコンウエハ2を、その陽極化成処理された面が水平かつ上向きとなるように静置し、さらにその上に超音波発生装置(カイジョー社製ホーン型超音波装置C−5281)のホーン部1を垂直に設置した。
多孔質シリコンウエハ2と超音波発生装置のホーン部1との間隔は0.5mmに設定した。この多孔質シリコンウエハ2上にノズル8から、SiO2微粒子(シリカ微粒子)分
散液3を0.5ml/分の速度で滴下し、滴下された液滴が多孔質シリコンウエハ2上およびホーン部1に接触した状態を維持しながら、超音波発生装置のホーン部1から多孔質シリコンウエハ2に対して超音波を印加した。この超音波処理は40分間行った。飛散したシリカ微粒子分散液3は、全てドレイン5に回収し、ポンプ6を経て循環させて、再びノズル8から多孔質シリコンウエハ2上に供給した。
この超音波処理の詳細は以下のとおりである。
多孔質シリコンウエハ;
電流密度を50mA/cm2に変更した以外は実施例1と同様の陽極化成処理を行って得られた、縦5cm×横5cm×厚さ約100μm、多孔率約40%、比表面積100m2/g
の多孔質シリコンウエハを使用した。
SiO 2 微粒子分散液;
使用したSiO2微粒子分散液の詳細は以下のとおりである。
SiO2微粒子の平均粒子径=25nm
分散媒=純水
SiO2微粒子濃度=10質量%
SiO2微粒子の分散安定剤=アンモニア(0.2質量%)
pH=9.5(5質量%アンモニウム水溶液で調整した。)
液量=20ml
超音波処理;
超音波処理条件の詳細は以下のとおりである。
超音波の出力;150W
超音波の周波数;19.5kHz
超音波ホーンの先端径;7mm
超音波処理の終了後、生成したシリコン微粒子を含有するSiO2微粒子分散液3を全
て回収した。
SiO2微粒子分散液3を毎回新しいものに入れ替えながら上記の操作を10回行い、
SiO2微粒子含有液を合計200ml調製した。このSiO2微粒子含有液に対し、20mlの49%HF水溶液を温度20℃にて添加し、シリコン微粒子含有液を得た。
<フッ化水素等の除去>
前記シリコン微粒子の含有液を48時間静置後、沈殿物を除去した。次に、限外濾過(分画分子量 6,000)および純水10Lでの希釈を施すことにより、この液に含まれ
るフッ化水素を除去し、シリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を得た。
さらに、このシリコン微粒子含有液を、乾燥機を用いて、Ar雰囲気(Arガスを流し、酸素を除去した雰囲気)下、150℃で3時間乾燥させて、シリコン微粒子0.1gを得た。
上述した方法(TEM観察法)でシリコン微粒子の平均粒子径を測定したところ、このシリコン微粒子の平均粒子径は40nmであった。
[実施例3]
SiO2微粒子含有液20mlを純水20mlに変更し、超音波処理時間を40分間か
ら60分間に変更した以外は実施例2と同様の方法により、シリコン微粒子0.1gを得た。
上述した方法(TEM観察法)でシリコン微粒子の平均粒子径を測定したところ、このシリコン微粒子の平均粒子径は40nmであった。
[実施例4]
(実施例4a)
HF濃度を25質量%とした以外は実施例1の陽極化成処理と同様の方法によって、厚さが約100μm、多孔率約50%、比表面積200m2/gの多孔質シリコンウエハを
得た。
この多孔質シリコンウエハを用いた以外は実施例1と同様の方法によりシリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を得た。
さらに、このシリコン微粒子含有液を、乾燥機を用いて、Ar雰囲気(Arガスを流し、酸素を除去した雰囲気)下、150℃で3時間乾燥させて、シリコン微粒子0.1gを得た。
上述した方法(TEM観察法)でシリコン微粒子の平均粒子径を測定したところ、このシリコン微粒子の平均粒子径は10nmであった。
<粒子径調整>
(実施例4b)
実施例4aと同様の方法でシリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を調製した。このシリコン微粒子含有液に、該液中のHNO3濃度が0.1質量%とな
るようにHNO3を添加し、室温で1分間攪拌することにより、シリコン微粒子の表面を
酸化処理した。
次に、限外濾過(分画分子量 6,000)および純水10Lでの希釈を施すことによ
り、この液に含まれるHNO3の大半を除去し、再び、シリコン微粒子が0.5質量%含
まれるシリコン微粒子含有液を得た。次いで、酸化被膜溶解剤として、フッ化水素酸(HF濃度25%)を該シリコン微粒子含有液の2倍量(体積比)添加して、酸化被膜を除去し、前記と同様に限外濾過を行なって、シリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を得た。
この0.5質量%シリコン微粒子含有液を、乾燥機を用いて、Ar雰囲気(Arガスを流し、酸素を除去した雰囲気)下、150℃で3時間乾燥して、シリコン微粒子を得た。
上述した方法(TEM観察法)でシリコン微粒子の平均粒子径を測定したところ、このシリコン微粒子の平均粒子径は6nmであった。
[実施例5]
実施例4bと同様の方法で、平均粒子径が6nmのシリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を調製した。このシリコン微粒子含有液に、該液中のHNO3
濃度が0.1質量%となるようにHNO3を添加し、室温で1分間攪拌することにより、
シリコン微粒子の表面を酸化処理した。
次に、限外濾過(分画分子量 6,000)および純水10Lでの希釈を施すことによ
り、この液に含まれるHNO3の大半を除去し、再び、シリコン微粒子が0.5質量%含
まれるシリコン微粒子含有液を得た。次いで、酸化被膜溶解剤として、フッ化水素酸(HF濃度25%)を該シリコン微粒子含有液の2倍量(体積比)添加して、酸化被膜を除去し、前記と同様に限外濾過を行なって、シリコン微粒子が0.5質量%含まれるシリコン微粒子含有液を得た。
この0.5質量%シリコン微粒子含有液を、乾燥機を用いて、Ar雰囲気(Arガスを流し、酸素を除去した雰囲気)下、150℃で3時間乾燥して、シリコン微粒子を得た。
上述した方法(TEM観察法)でシリコン微粒子の平均粒子径を測定したところ、このシリコン微粒子の平均粒子径は4nmであった。
本発明の製造方法により得られるシリコン微粒子含有液およびシリコン微粒子は、半導体、EL素子などの発光素子、蛍光板、化粧品、医療用の蛍光ラベルなどの材料として極めて有用である。
また、本発明のシリコン微粒子含有液の製造方法およびシリコン含有液の製造方法は、比較的少ないエネルギーで、有効にシリコン微粒子を製造することが可能であり、高い実用性を備えている。
図1は、陽極化成処理装置の模式図である。 図2は、超音波処理装置を用いた本発明の一実施態様を示す模式図である。
符号の説明
1・・・超音波ホーン
2・・・シリコンウエハー
3・・・シリカ微粒子分散液
4・・・容器
5・・・ドレイン
6・・・ポンプ
7・・・試料台
8・・・ノズル

Claims (13)

  1. 多孔質化された単結晶シリコンに、該多孔質化された単結晶シリコンに対して実質的に不活性な液体を接触させながら、該多孔質化された単結晶シリコンの少なくとも一部を粉砕することにより、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程を含むことを特徴とするシリコン微粒子含有液の製造方法。
  2. 前記多孔質化された単結晶シリコンが、多孔質シリコンウエハであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  3. 前記多孔質シリコンウエハが、シリコンウエハを陽極化成処理して調製されることを特徴とする請求項2に記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  4. 前記シリコンウエハがp型シリコンウエハであることを特徴とする請求項3に記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  5. 前記多孔質シリコンウエハの比表面積が50〜1000m2/gであることを特徴とす
    る請求項2〜4のいずれかに記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  6. 多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性でありかつSiO2微粒子が分散してなる液体を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なく
    とも一部を、該SiO2微粒子で研磨することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成さ
    せると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程と、
    次いで該SiO2微粒子をフッ化水素で溶解させる工程と
    を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  7. 多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性である液体を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なくとも一部を、該溶液に超音波を印加することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を該液体中に分散させる工程を含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  8. 多孔質シリコンウエハに、該多孔質シリコンウエハに対して実質的に不活性でありかつSiO2微粒子が分散してなる液体を接触させながら、該多孔質シリコンウエハの少なく
    とも一部を、該溶液に超音波を印加することにより粉砕して、シリコン微粒子を生成させると共にこのシリコン微粒子を前記液体中に分散させ、次いで該SiO2微粒子をフッ化
    水素で溶解させる工程を含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  9. 粗大シリコン微粒子を除去することにより、シリコン微粒子を平均粒子径2〜10nmの範囲に整粒する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  10. 前記SiO2微粒子の溶解を、フッ化水素を前記SiO2微粒子100質量部に対して5〜1000質量部使用して、5〜80℃で、0.1〜2時間行なうことを特徴とする請求項6または8に記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  11. フッ化水素および/または前記SiO2微粒子の溶解物を含有する液を限外濾過するこ
    とによって該フッ化水素および/または該溶解物を除去する工程をさらに含むことを特徴
    とする請求項10に記載のシリコン微粒子含有液の製造方法。
  12. 下記操作(1)および(2)を1回または複数回行ってシリコン微粒子の粒子径を調製する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシリコン微粒子含有液の製造方法;
    (1)シリコン微粒子含有液に酸化剤を添加して、該シリコン微粒子表面に酸化被膜を形成する、
    (2)次いで、酸化被膜が形成されたシリコン微粒子の含有液に酸化被膜溶解剤を添加して、該酸化被膜を溶解除去する。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載されたシリコン微粒子含有液の製造方法により得られたシリコン微粒子含有液から、シリコン微粒子の分散媒を除去することを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
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