JP2008017775A - 海洋生物育成具及び海洋生物の育成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで、容易にサンゴや海草等の海底に定着する海洋生物を育成することが可能となる海洋生物育成具及び育成方法を提供すること。
【解決手段】この発明の海洋生物育成具は、海底に定着する海洋生物1を上面に載せて固定するようにした本体2と、本体2から下方に延びる差し込み部3とを有するものとしている。また、この発明の海洋生物の育成方法は、前記海洋生物育成具の本体2に、固定具を利用して海洋生物1を固定する段階、海洋生物1を本体2に付着した状態になるまで成長させる段階、固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部3を差し込む段階を備えたものとしている。
【選択図】図3
【解決手段】この発明の海洋生物育成具は、海底に定着する海洋生物1を上面に載せて固定するようにした本体2と、本体2から下方に延びる差し込み部3とを有するものとしている。また、この発明の海洋生物の育成方法は、前記海洋生物育成具の本体2に、固定具を利用して海洋生物1を固定する段階、海洋生物1を本体2に付着した状態になるまで成長させる段階、固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部3を差し込む段階を備えたものとしている。
【選択図】図3
Description
この発明は、サンゴや海草等の海洋生物を育成するための海洋生物育成具に関するものである。
従来、サンゴや海草等の海底に定着する海洋生物を育成する手段・方法が様々な研究機関・企業によって研究されてきた。例えば、特許文献1に記載のように、海中に多数のブロック状固定礁を敷設し、これに外側にサンゴの幼生が生育する斜面を有するブロック状の移動礁を嵌合させ、サンゴを幼生の段階から育成する方法が考案されている。
しかし、この従来の方法は、前記固定礁や移動礁として、多数の護岸用のコンクリートブロック等を使用するため、これらの設置のために重機が必要になるなど、大掛かりでコストがかかるものであり、また、幼生段階からサンゴを順調に成長させることは困難なものであった。
特開昭63−209532号公報
そこで、この発明は、低コストで、容易にサンゴや海草等の海底に定着する海洋生物を育成することが可能となる海洋生物育成具及び育成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
この発明の海洋生物育成具は、海底に定着する海洋生物1を上面に載せて固定するようにした本体2と、本体2から下方に延びる差し込み部3とを有し、片手で持てる程度の大きさとしている。
本体2は、木とプラスチックからなる合成木材により形成されたものとすることができる。
また、この発明の海洋生物の育成方法は、前記海洋生物育成具の本体2に、固定具を利用して海洋生物1を固定する段階、
海洋生物1を本体2に付着した状態になるまで成長させる段階、
固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部3を差し込む段階
を備えたものとしている。
海洋生物1を本体2に付着した状態になるまで成長させる段階、
固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部3を差し込む段階
を備えたものとしている。
この発明の海洋生物育成具及び海洋生物の育成方法は、上述のような構成を有しており、低コストで、容易にサンゴや海草等の海底に定着する海洋生物を育成することが可能となっている。
また、海洋生物育成具の本体2が、木とプラスチックからなる合成木材により形成されたものとすれば、リサイクル材や廃材を有効利用することができる。
以下、この発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の実施形態の海洋生物育成具の斜視図、図2はその断面図、図3は海洋生物育成具の本体2に海藻を固着させた場合の説明図、図4は本体2にサンゴを固着させた場合の説明図、図5は本体2にネームプレートを取り付けた場合の説明図である。
この発明に係る海洋生物育成具は、海底に定着する海洋生物1を上面に載せて固定するようにした本体2と、本体2から下方に延びる差し込み部3とを有するものとしている。
本体2は、木とプラスチックからなる合成木材により形成されたものとしている。例えば、製材所や建材加工工場から排出される廃木材と、使用済みのプラスチックとを原材料とする、廃棄・リサイクル材料の合成木材により形成されたものとすることができる。本体2が廃棄・リサイクル材料の合成木材により形成されたものであれば、省資源、環境保全にも寄与するものとなる。
本体2の形状は長方形の板状としている。本体2の大きさとしては、縦5〜8cm程度、横1〜2.5cm程度、厚さ1〜2.5cm程度とすることが適当である。この程度の大きさであれば、片手で持つことが可能であり、かつ、比較的短時間で海洋生物1が本体2に付着した状態になる。なお、本体2の形状や大きさは、特にこれに限定されない。
差し込み部3は、金属製のボルト状のものとすることができる。例えばステンレス製のような、海中において腐食しにくい材質で形成されたものとすることが望ましい。なお、金属製のものに限定されず、木製、プラスチック製、本体2と同じ合成木材等とすることができる。また、大きさは、直径3〜6mm程度、長さ3〜6cm程度が適当であるが、これに限定されない。さらに、差し込み部3の形状は、角棒状、丸棒状、先細り形状等とすることができる。
なお、この海洋生物育成具は、海中において浮かび上がることなく安定した設置状態を保つため、海水よりも比重が大きくなるようにすることが望ましい。そのため、本体2の比重が小さい場合は、差し込み部3を比重の大きなものとするとよい。
この実施形態では、差し込み部3は、本体2の略中央に設けられた孔4に上方から挿入されることにより、略T字状になって本体2にしっかりと固定されるようになっている。前記孔4は、その上部が差し込み部3の六角ナット状の頭部が嵌合する大きさ、形状であり、下部が差し込み部3の本体部分が嵌合する大きさ、形状となっている。
この海洋生物育成具の適用対象として適当な海洋生物1は、カジメ、ツルアラメ等のコンブ科の海藻類、ノコギリモク、オオバモク等のホンダワラ科の海藻類、各種のサンゴ類などであるが、特にこれらに限定されない。
次に、この海洋生物育成具を使用した海洋生物1の育成方法は、下記の段階を備えたものとしている。
(1)海洋生物育成具の本体2に、固定具を利用して海洋生物1を固定する段階、
(2)海洋生物1を本体2に付着した状態になるまで成長させる段階、
(3)固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部3を差し込む段階。
(1)海洋生物育成具の本体2に、固定具を利用して海洋生物1を固定する段階、
(2)海洋生物1を本体2に付着した状態になるまで成長させる段階、
(3)固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部3を差し込む段階。
具体的には、まず、前記(1)の段階では、海洋生物1を本体2の上面に載せ、固定具(図示せず)としてナイロンテグス等の糸状のものを使用して、海洋生物1と本体2とを一緒に巻き、海洋生物1を縛り付けることにより本体2に固定する。海洋生物1は、本体2の上面から大きくはみ出ない程度の大きさに成長したものとするとよい。固定具は、海水中で変質して解けたり、海洋生物1の生育に悪影響を及ぼしたりしない材質のものとする。
次に、前記(2)の段階では、前記(1)で固定した状態のままの海洋生物1を、数ヶ月間水槽で育成する。海藻の場合は、根が本体2を包み込むことにより本体2に付着した状態(根が本体2の下面に達する程度)になるまで成長させる。サンゴの場合は、サンゴが分泌する石灰質5(炭酸カルシウム)によって本体2に付着した状態になるまで成長させる。
そして、前記(3)の段階で、固定具を取り外し、海底の岩やサンゴ礁の割れ目ないし隙間等に差し込み部3を差し込む。この際、前記割れ目ないし隙間が差し込み部3の径より大きい場合は、必要に応じて、差し込み部3の先端あるいは途中の適宜箇所に水中ボンドを塗布し、前記割れ目や隙間等から抜けないようにするとよい。
このようにして海中に設置された海洋生物育成具は、海洋生物1の成長により、本体2が海洋生物1によって覆われ、次第に目立たなくなるので、海中の景観にも悪影響を及ぼさない。
この海洋生物の育成方法において使用する海洋生物育成具は、比較的小さな状態の海洋生物1を、海洋生物育成具の本体2の上面に載せ、成長させて本体2に付着した状態にしたものであり、片手で持つことができる大きさ、重さであるので、重機等を使用することなく、簡単に海中に設置することができる。したがって、一般のダイバー等が手軽に設置作業に関わることができるので、地元住民のみならず、観光客等にも呼びかけて海洋生物育成具の設置を促進することにより、海藻やサンゴ等の海洋生物の繁殖、再生に大きく寄与し得る。
また、海洋生物を幼生段階から育成するのではなく、本体2の大きさ程度に成長した段階から育成するため、海洋生物の生存率が高く、確実性のある育成方法となっている。
さらに、海洋生物育成具は、図5に示したように、本体2に設けた孔6にネームプレート7を取り付けられるようにするとよい。ネームプレート7は棒状の差し込み具8を備えたものや、輪状の通し具9を備えたものとすることができる。ネームプレート7は、設置者の名前の他、日付やメッセージを記入したものとすることができる。
このネームプレート7により、設置者は、設置場所を訪れるたびに、自分が設置した海洋生物1の成長具合を確かめることができるため、海洋生物育成具の設置をさらに促進する動機付けとなり、海藻やサンゴ等の海洋生物の繁殖、再生への関心を高めることができる。
1 海洋生物
2 本体
3 差し込み部
2 本体
3 差し込み部
Claims (3)
- 海底に定着する海洋生物(1)を上面に載せて固定するようにした本体(2)と、本体(2)から下方に延びる差し込み部(3)とを有し、片手で持てる程度の大きさとしたことを特徴とする海洋生物育成具。
- 本体(2)が、木とプラスチックからなる合成木材により形成されたものである請求項1記載の海洋生物育成具。
- 請求項1又は2記載の海洋生物育成具の本体(2)に、固定具を利用して海洋生物(1)を固定する段階、
海洋生物(1)を本体(2)に付着した状態になるまで成長させる段階、
固定具を取り外し、海中において適宜箇所に差し込み部(3)を差し込む段階
を備えたことを特徴とする海洋生物の育成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006192823A JP2008017775A (ja) | 2006-07-13 | 2006-07-13 | 海洋生物育成具及び海洋生物の育成方法 |
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JP2006192823A JP2008017775A (ja) | 2006-07-13 | 2006-07-13 | 海洋生物育成具及び海洋生物の育成方法 |
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Family
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Family Applications (1)
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JP2006192823A Withdrawn JP2008017775A (ja) | 2006-07-13 | 2006-07-13 | 海洋生物育成具及び海洋生物の育成方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2008017775A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011125293A (ja) * | 2009-12-18 | 2011-06-30 | Kajima Corp | サンゴ移植方法、サンゴ移植基盤、サンゴ移植ブロック、並びにサンゴ礁造成方法 |
CN102657072A (zh) * | 2012-05-31 | 2012-09-12 | 上海海洋大学 | 一种人工移植藻礁的固定方法 |
JP2016019469A (ja) * | 2014-07-11 | 2016-02-04 | 住友大阪セメント株式会社 | 藻場の形成方法 |
-
2006
- 2006-07-13 JP JP2006192823A patent/JP2008017775A/ja not_active Withdrawn
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