JP2008012489A - 生物脱硫方法 - Google Patents

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卓也 三崎
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政宏 斉藤
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Abstract

【課題】バイオガスが高濃度の硫化水素を含む場合、新たにアルカリ度成分を添加することなく、通常の水処理施設などの処理水(例えばpHが7.5程度)を用いて硫化水素を吸収して硫黄酸化細菌により酸化して生物脱硫する脱硫方法を提供すること。
【解決手段】硫黄酸化細菌を担持する充填材を積層した気液接触塔に硫化水素類含有ガスと該充填材表面を洗浄する洗浄溶液とを気液接触させて生物脱硫を行う脱硫方法おいて、
下記条件(1)及び(2)を満足するように、洗浄溶液を連続供給することを特徴とする生物脱硫方法。
条件(1)L/G≧10
但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
【選択図】 図1

Description

本発明は生物脱硫方法に関し、詳しくは高濃度の硫化水素等を含有するバイオガスの脱硫に際して運転保守性および経済性に優れる生物脱硫方法に関する。
従来、硫化水素を含有するガスの脱硫法として、酸化鉄やアルカリを脱硫剤として用いる方法が知られているが、高濃度に硫化水素を含有するガスの脱硫には、多くの脱硫剤が必要になるという点で、経済上及び保守上好ましくない。
特許文献1、2、3には、メタン発酵槽から発生したバイオガスを導入し、硫黄酸化細菌による脱硫する生物脱硫方法が開示されている。これらの硫黄酸化細菌を用いる生物脱硫方法は、固形の副生物をほとんど出すことがなく、運転保守も容易であるメリットがあり、注目されている技術である。
しかし、特許文献1、2、3には、バイオガス中の硫化水素濃度について規定がなく、高濃度の硫化水素の脱硫に関しては全く開示されていない。
従来の生物脱硫技術における処理対象となる硫化水素濃度は、特許文献4では1500ppm、特許文献5では、1000ppm、特許文献6、7では2000ppm、特許文献8では4500ppmである。従って、従来の硫化水素濃度は、高くても4500ppm程度である。
しかしながら、5000ppmを越すような高濃度の硫化水素を含有するガスを処理する場合は、生物脱硫塔内で脱硫が進行して、硫酸の濃度が増加すると、pHが低下し、脱硫性能が低下してくる問題がある。
pHの低下を回避するには、液のpH(アルカリ度)を高く(大きく)して、まずアルカリ吸収によって硫化水素を吸収し、次いで、吸収液を曝気槽などに導入して、そこで酸化処理(硫酸化)する手法などが考えられる。
しかし、アルカリ吸収による硫化水素吸収(除去)は、例えばpH値を常に少なくとも7.5あるいは8.0以上に保持しておけるだけのアルカリ成分(例えば水酸化ナトリウム)の供給が必要である。pH7.5程度では硫化水素はアルカリ吸収が困難なためであり、ガラスろ過板をもつガス吸収びんでも硫化水素を効率よく吸収することが難しい。
特開2006−143779号公報 特開2006−143780号公報 特開2006−143781号公報 特開平08−047696号公報 特開2003−113386号公報 特開2002−079294号公報 特開2002−079034号公報 特開平09−075663号公報
本発明者は、液のpHが7.5以下でも、5000ppmを越すような高濃度の硫化水素を吸収できる方法について研究を継続したところ、ガス中の硫化水素類が液境膜部分で物理吸収された後、直ちに硫黄酸化細菌による酸化反応を受ければ、硫化水素類は、通常の水処理施設などの処理水(例えばpHが7.5程度)を用いても、充填塔などによって除去されることがわかった。
そこで、本発明の課題は、バイオガスが高濃度の硫化水素を含む場合、新たにアルカリ度成分を添加することなく、通常の水処理施設などの処理水(例えばpHが7.5程度)を用いて硫化水素を吸収して硫黄酸化細菌により酸化して生物脱硫する脱硫方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
硫黄酸化細菌を担持する充填材を積層した気液接触塔に硫化水素類含有ガスと該充填材表面を洗浄する洗浄溶液とを向流で気液接触させて生物脱硫を行う脱硫方法おいて、
下記条件(1)及び(2)を満足するように、洗浄溶液を連続供給することを特徴とする生物脱硫方法。
条件(1)L/G≧10
但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
(請求項2)
硫黄酸化細菌を担持する充填材を積層した気液接触塔に硫化水素類含有ガスと該充填材表面を洗浄する洗浄溶液とを気液接触させて生物脱硫を行う脱硫方法おいて、
下記条件(1)、(2)及び(3)を満足するように、洗浄溶液を間欠供給することを特徴とする生物脱硫方法。
条件(1)L/G≧10
但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
条件(3)(洗浄溶液の供給時間)/(洗浄溶液の供給停止時間)≧1
(請求項3)
上記硫化水素類含有ガスが、硫化水素、メルカプタン類または硫化アルキル類を含有するガスであることを特徴とする請求項1又は2記載の生物脱硫方法。
(請求項4)
上記硫化水素ガスの濃度が、5000ppm以上の高濃度であることを特徴とする請求項3記載の生物脱硫方法。
本発明によれば、高濃度の硫化水素類を含むバイオガスを、新たにアルカリ度成分を添加することなく、通常の水処理施設などの処理水(例えばpHが7.5程度)を用いて硫化水素類を吸収して硫黄酸化細菌により酸化して生物脱硫する脱硫方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る生物脱硫方法を実施するための生物脱硫装置の一例を示す概略断面図である。同図において、1は気液接触塔であり、内部に充填材10を積層してなる構成である。11は生物脱硫の対象となる硫化水素類含有ガスの導入部であり、12は気液接触塔1で硫化水素類が除去された精製ガスを排出する排出部である。13は充填材10の表面を洗浄する洗浄溶液の供給管であり、14は洗浄廃液の排出管である。
気液接触塔1内において、導入された硫化水素類含有ガスと洗浄溶液とは向流もしくはともに下降流となる気液接触構造になっている。
充填材10は、硫黄酸化細菌を担持する担体として機能し、例えば磁製又は樹脂製の通常の気液接触用充填材のほか、多孔質軟質樹脂、活性炭、木炭、ゼオライト、セラミックスなどの多孔体粒子などを用いることができる。多孔性の活性炭としては、繊維状、粉末又は粒体のいずれでもよいが、硫黄酸化細菌を担持する上では炭素繊維フェルトが好ましい。木炭としては、湿潤した木炭が酸化速度を速める上で好ましい。
また多孔性の素材を用いる場合には、窒素吸着によるBET比表面積が10cm/(見かけの体積cm)以上のものを用いることが好ましい。
本発明において、洗浄溶液によって上記の充填材の表面を洗浄するという意味は、積層された状態にある充填材層の表面を洗浄することであるが、全充填材すべての表面をむらなく洗浄することが高濃度の硫化水素類含有ガス成分の除去については重要である。
硫化水素類含有ガスは、気液接触塔1に送られると、硫黄酸化細菌によって硫化水素類は硫酸イオンに酸化され、除去される。
気液接触塔1に導入される硫化水素類含有ガスとしては、硫化水素等の臭気成分を含有するガスであり、例えば、焼酎製造工程で排出される焼酎粕、でんぷん工場などから排出されるでんぷん廃棄物、生ごみ、その他各種加工プロセス残渣や食品残渣、牛糞尿などの家畜糞尿などからなる有機性化合物からなるバイオマス原料をメタン発酵槽で嫌気発酵されて得られるバイオガスなどが好ましい例として挙げられる。
上記硫化水素類含有ガスには、硫化水素以外に、メルカプタン類(例えばメチルメルカプタンなど)または硫化アルキル類(たとえば硫化カルボニルなど)も含まれる。
本発明において、硫化水素類含有ガス中の硫化水素濃度は、従来濃度よりも高濃度であることが重要であり、好ましくは5000ppm以上、更に好ましくは7000ppm以上であり、10000ppm程度の高濃度の硫化水素を含むガスにおいても、本発明は効果を発揮する。
本発明では、かかる高濃度の硫化水素を含むガスを生物脱硫する際に、洗浄溶液を連続供給する場合には、下記条件(1)及び(2)を満足することが必要である。
条件(1)L/G≧10
但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
条件(1)において、L/G<10である場合には、出口ガス中の硫化水素濃度が低下せず、本発明の目的を達成できない。L/Gの値は、好ましくは30以上であり、更に好ましくは40以上である。
次に条件(2)において、充填材積層部分のみかけの体積というのは、充填材の空隙部分も含めた体積である。ガスの滞留時間が3分未満である場合には、出口ガス中の硫化水素濃度が低下せず、本発明の目的を達成できない。
また本発明では、かかる高濃度の硫化水素を含むガスを生物脱硫する際に、洗浄溶液を間欠供給する場合には、下記条件(1)、(2)及び(3)を満足することが必要である。
条件(1)L/G≧10
但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
条件(3)(洗浄溶液の供給時間)/(洗浄溶液の供給停止時間)≧1
上記において、条件(1)、(2)は連続供給と同じであるが、条件(3)は間欠供給独自の要件であり、これら3つの条件を満足する場合に、良好な硫化水素除去能を示す。
条件(3)において、(洗浄溶液の供給時間)/(洗浄溶液の供給停止時間)<1である場合には、充填材表面のアルカリ度が不足し、pHが低下して、硫化水素の除去能が著しく低下するとともに硫黄が析出する。
洗浄溶液の供給と停止は、手動によって切替えてもよいし、自動によって切替えてもよい。自動切換えの場合はタイマーによって電磁弁を開閉する方法などがあるが、格別限定されない。
洗浄溶液は、アルカリ度が100mg(CaCO3)/リットル程度以上の液を用いることが好ましく、例えば活性汚泥処理水のような液を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果を例証する。
実施例1
(予備試験)
図2(A)に示すように、内容積約500mlのガス吸収びん50を用いて硫化水素の吸収実験を行った。同図において、51はガス導入管、52はガス排出管、53は吸収液である。
活性汚泥処理水(埼玉工大水処理施設処理水、pH7.3)を吸収液53として使用し、約90%の窒素ガスと約10%の空気で希釈した硫化水素ガス(1,700ppm、検知管による測定、以下同じ)の吸収試験を行った。
吸収びんへの供給ガス流量を約50ml/分、250ml/分としたときの吸収びん出口ガス中の硫化水素濃度は約10〜15分後においてそれぞれ1,300ppm、1,500ppm(室温21℃、液温17℃)であり、硫化水素はイオン解離してほとんど吸収されていなかった。
一方、図2(B)に示すように、この吸収びん50に木炭片54とガラスウール55を充填した充填層(全内積約250ml)を作って、同じ活性汚泥処理水を十分に含浸させた吸収実験を行った。
同様の方法で2,100ppmに調製した硫化水素含有ガスを250ml/分および320ml/分の流量で注入したとき、約10〜15分後の出口ガス中の硫化水素はそれぞれ約0ppm、550ppmであった。
ガス注入量250ml/分の場合は、湿潤した木炭は木炭表面の硫黄酸化細菌の活動によって硫化水素は良く吸収された。そして、新しい液を供給しないと、木炭表面は比較的短時間(いずれも30分〜1時間)で酸性化して、硫化水素吸収能はほぼなくなった。この充填材を処理水で洗浄すると脱硫性能は復活した。
以上の結果から、硫黄酸化細菌を利用する、特に40〜50℃等への昇温機能を有しない充填塔式生物脱硫装置では、充填層における被処理ガスの滞留時間が重要であり、また、充填材表面を十分に湿潤に保ち、生成する硫酸を洗い落とすだけの液で洗うことが脱硫率を維持する上で必要であることが判った。
実施例1
図1に示す気液接触塔1を用いて生物脱硫を行った。
充填材は多孔質軟質樹脂を用いた。多孔質軟質樹脂は、窒素吸着による比表面積が約15cm/(見かけの体積cm)である。充填材層は10cmφ×40cm高さ(みかけ体積約1リットル)とした。
硫化水素類含有ガスとして、空気を混合した8500ppm窒素バランス硫化水素標準ガス(硫化水素濃度7700ppm、酸素濃度2%、いずれも計算値)を用いた。洗浄溶液は、活性汚泥処理水(pH7.3)を用いた。
硫化水素類含有ガス量、ガスの滞留時間、洗浄溶液(処理水)供給量(連続・不連続)、L/G、出口ガス中の硫化水素濃度(検知管)を表1のように変化させて生物脱硫試験を行なった。なお、間欠供給の場合は供給時間と停止時間を記載したので、その比はその記載の値から算出できる。
Figure 2008012489
実施例2
実施例1において、硫化水素類含有ガスとして、メチルメルカプタン標準ガス(メチルメルカプタン濃度150ppm)に空気を混合したもの(酸素濃度約2%)を用いた以外は、同様に生物脱硫試験を行なった。その結果を表2に示す。
実施例3
実施例1において、硫化水素類含有ガスとして、硫化カルボニル標準ガス(硫化カルボニル濃度300ppm)に空気を混合したもの(酸素濃度約2%)を用いた以外は、同様に生物脱硫試験を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2008012489
本発明に係る生物脱硫方法を実施するための生物脱硫装置の一例を示す概略断面図 予備実験に用いた装置例を示す図
符号の説明
1:気液接触塔
10:充填材
11:導入部
12:排出部
13:供給管
14:排出管

Claims (4)

  1. 硫黄酸化細菌を担持する充填材を積層した気液接触塔に硫化水素類含有ガスと該充填材表面を洗浄する洗浄溶液とを気液接触させて生物脱硫を行う脱硫方法おいて、
    下記条件(1)及び(2)を満足するように、洗浄溶液を連続供給することを特徴とする生物脱硫方法。
    条件(1)L/G≧10
    但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
    条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
  2. 硫黄酸化細菌を担持する充填材を積層した気液接触塔に硫化水素類含有ガスと該充填材表面を洗浄する洗浄溶液とを気液接触させて生物脱硫を行う脱硫方法おいて、
    下記条件(1)、(2)及び(3)を満足するように、洗浄溶液を間欠供給することを特徴とする生物脱硫方法。
    条件(1)L/G≧10
    但し、Gは前記硫化水素含有ガスの流量(m/分)であり、Lは前記洗浄溶液の流量(リットル/分)である。
    条件(2)充填材積層部分のみかけの体積に対して硫化水素類含有ガスの計算上の滞留時間が3分以上
    条件(3)(洗浄溶液の供給時間)/(洗浄溶液の供給停止時間)≧1
  3. 上記硫化水素類含有ガスが、硫化水素、メルカプタン類または硫化アルキル類を含有するガスであることを特徴とする請求項1又は2記載の生物脱硫方法。
  4. 上記硫化水素ガスの濃度が、5000ppm以上の高濃度であることを特徴とする請求項3記載の生物脱硫方法。
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JP2010022977A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Ihi Corp 生物脱硫方法及び生物脱硫装置

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