JP2008010287A - 形状記憶合金を用いた可撓性発熱体及びその製造方法 - Google Patents

形状記憶合金を用いた可撓性発熱体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長さ方向に電気抵抗が安定している発熱線を用い、不使用時の折り畳み性と使用時の形状復元性の両方を容易に満足させ得る可撓性発熱体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の形状に形状記憶処理した形状記憶合金線を基材中に配置してなり、不使用時に基材中の形状記憶合金線がオーステナイト相からマルテンサイト相に変態することでその縦弾性係数が使用時の値よりも小さくなった状態で折り畳みし、使用時に基材中の形状記憶合金線がジュール熱で逆変態完了温度以上にまで加熱され、マルテンサイト相で与えられていた折り畳みによる塑性変形がオーステナイト相へと変態する際に除かれ、元の形状に戻る可撓性発熱体及びその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気毛布やホットカーペットあるいは防寒服などにも好適に用いることができる可撓性発熱体及びその製造方法に関する。
従来、電気毛布やホットカーペットなどには、ニクロム線を基材中に配線したもの、金属箔を基材に印刷配線したもの、あるいは導電性カーボンと合成ゴムとを練り合わせ線状に基材中に配置してなるものが一般的に用いられている。このような面状発熱体は、図1(a)、(b)に示すように、電気的絶縁性を有する基材2中に、ニクロム線や極細銅線などの発熱線1を平面内で蛇行させて配置してなる。そしてさらに、このような面状発熱体をホットカーペット5などとして用いる場合、面状発熱体の両面に断熱クッション材3が接着され、最表面を羊毛や面布などの外装材4で覆って多層構造としている。基材2としては、ポリエステルなどの電気的絶縁性を有する合成樹脂、布基材などのが好適に用いられ、断熱クッション材3としては発泡ウレタンなどが用いられる。面状発熱体は広げた状態にて使用されるが、不使用時には収納するために、折り畳み性が良好であることが望まれている。
図1(b)中、1A、1Bは、平面内で蛇行させて配置してなる発熱線1に電気を流すために設けた端子であり、銅線を介して電源に接続される。図1(c)中、6は面状発熱体の温度をコントロールする温度調節器、7はコンセントを示す。
ところで、従来の面状発熱体には以下のような欠点がある。ニクロム線を平面内で蛇行させて基材中に配線したものや金属箔を平面内で蛇行させて基材に印刷配線したものは、折り畳み性が劣る。また単位面積当たりのワット密度が高く、重量物を載せたりすると局部的な損傷が発生することもある。導電性カーボンと合成ゴムとを練り合わせたものは導電性カーボンを均一分散させることが難しいため、長さ方向に電気抵抗が安定している発熱線が得にくく、幅広の面状発熱体を作ったとしても、場所により電気抵抗の変化が大きく、異常加熱の原因となる恐れがある。
これらの対策として極細銅線を複数織り込んだ布に、特殊導電性カーボン塗料を含浸させ、さらにこの両面を耐熱性の軟質塩化ビニールシートで熱融着絶縁したものなどが開発されている。これとても、夏季における不使用時などでは単純な巻き姿しかとれず、収納に支障があった。また不使用時における収納性を改善した面状採暖具(特許文献1)、折り畳みが可能で折り畳んだあとが凹凸として残り難い電気カーペット(特許文献2)などが提案されている。
特許文献1には電気カーペットなどの面状採暖具に関するもので、クッション性に優れかつ収納時に折り畳みのしやすいように、発熱線を挟む表面材と反対側の裏材に折りたたみ用の溝を設けてなる面状発熱体が開示されている。
特許文献2には電気カーペットに関し、発熱線を挟む表面材と裏材に材料の弾性と復元性を配慮し、表面側に多層構造の表面材を用いている。
その他、特許文献3には、折り畳み性を阻害するニクロム線などの発熱線の主配線方向と折り畳みの方向を平行にしたもの、特許文献4には不使用時は、電気カーペットなどの面状発熱体をコンパクトに収納する収納袋を用いるものが開示されている。
特開2000−30839号公報 特開2001−349564号公報 特開平6−123435号公報 特開平5−223265号公報
しかしながら、従来の面状発熱体は、ニクロム線などの発熱線それ自体に折り畳み性を阻害する要因があるにもかかわらず、それが改善されていないため、不使用時の折り畳み性と使用時の形状復元性の両方を満足させることが容易でないという問題点がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、長さ方向に電気抵抗が安定している発熱線を用い、不使用時の折り畳み性と使用時の形状復元性の両方を容易に満足させ得る可撓性発熱体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、発熱線として、所定の形状に形状記憶処理温度で形状記憶処理された形状記憶合金(Shape Memory Alloy:SMA)線を用いることで上記課題を解決した。
本発明は、以下のとおりである。
1.発熱線に通電することで電気抵抗を利用してジュール熱を発生させる面状発熱体であって、所定の形状に形状記憶処理した形状記憶合金線を基材中に配置してなり、不使用時に基材中の形状記憶合金線がオーステナイト相からマルテンサイト相に変態することでその縦弾性係数が使用時の値よりも小さくなった状態で折り畳みし、使用時に基材中の形状記憶合金線がジュール熱で逆変態完了温度以上にまで加熱され、マルテンサイト相で与えられていた折り畳みによる塑性変形がオーステナイト相へと変態する際に除かれ、元の形状に戻ることを特徴とする形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
2.予め測定した基材中の形状記憶合金線の温度と電気抵抗の関係をマイクロコンピュータに記憶させておき、その関係と、使用時に測定した基材中の形状記憶合金線の電気抵抗値とに基づいて前記面状発熱体の温度情報を得、該温度情報に基づいて前記面状発熱体の温度制御を行うように構成してなることを特徴とする上記1.に記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
3.予め測定した基材中の形状記憶合金線の温度と電気抵抗の関係から、電気抵抗の極大点又は極小点を求め、前記面状発熱体の温度制御を行うことを特徴とする上記1.または2.に記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
4.前記面状発熱体の形状記憶合金線が面内で複数のブロックに分かれており、ブロックごとに温度制御を行うことを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
5.前記面状発熱体の形状記憶合金線が厚み方向に互いに基材で電気的に絶縁された状態でクロスして配置されてなることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
6.前記面状発熱体の基材中に、断熱性に優れる液体または気体が均一に分散されてなることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
7.前記面状発熱体の基材中に、表面に電気的絶縁被膜を有する形状記憶合金線が配置されてなることを特徴とする上記1.〜6.のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
8.形状記憶合金線を所定の形状に保持した状態で、形状記憶処理温度にまで加熱して形状記憶処理した後、電気的絶縁性を有する基材中に、形状記憶処理後の形状記憶合金線を配置することを特徴とする上記1.〜7.のいずれかに記載の可撓性発熱体の製造方法。
9.電気的絶縁性を有する基材中に、形状記憶合金線を所定の形状に配置した後、その状態で、形状記憶処理温度にまで加熱して前記形状記憶合金線を所定の形状に形状記憶処理することを特徴とする上記1.〜7.のいずれかに記載の可撓性発熱体の製造方法。
10.上記8.または9.において、形状記憶合金線に通電することで形状記憶処理温度にまで加熱することを特徴とする可撓性発熱体の製造方法。
本発明によれば、発熱線として、所定の形状に形状記憶処理温度で形状記憶処理された形状記憶合金(Shape Memory Alloy:SMA)線を用いているから、長さ方向に電気抵抗が安定している発熱体を容易に作ることができる。この場合、SMAの変態は、通電することで引き起こされる。
すなわち、形状記憶処理されたSMA線を基材中に配置してなる面状発熱体は、ジュール熱で逆変態完了温度以上にまで加熱される。このとき、マルテンサイト相で与えられていた折り畳みによる塑性変形がオーステナイト相へと変態する際に除かれ、元の形状に戻る。また、面状発熱体の不使用時には、基材中の形状記憶合金線がオーステナイト相からマルテンサイト相に変態することで、その縦弾性係数が使用時の値よりも小さくなった状態で折り畳みするから、面状発熱体を容易に折り畳みすることができる。
したがって、本発明にかかる面状発熱体によれば、不使用時の折り畳み性と使用時の形状復元性の両方を容易に満足させ得る。なお、以下で説明するように、本発明にかかる面状発熱体はたわむ性質を有するので可撓性発熱体でもある。
図1(a)に本発明にかかる面状発熱体をホットカーペット5に用いた場合の断面図を示す。図1(b)はそれに用いた発熱線1の配置状態を示す平面図である。
本発明にかかる面状発熱体は、発熱線1として、所定の形状に逆変態完了温度よりも高い形状記憶処理温度で形状記憶処理されたSMA線を基材2中に配置してなる。上記の基材2としては、電気的絶縁性と熱的絶縁性を有するポリエステルなどの合成樹脂が用いられるので、可撓性発熱体である。その他、基材2の例としてはフッ素ゴム(耐熱限界温度230℃)、シリコーンゴム(耐熱限界温度230℃)、フッ素樹脂(耐熱限界温度260℃)などがある。その他のものは従来と同様とすることができる。例えば、ホットカーペット5の場合、面状発熱体の両面又は片面に、発泡ウレタンなどの断熱クッション材3を接着し、さらに断熱クッション材3を、羊毛や肌触りのよい面布や絨毯などの外装材4で覆って多層構造のものとする。なお、図1(c)はホットカーペット5の温度調節器6の機能を説明する図であり、これに用いた面状発熱体の温度制御については後述する。
次いで、本発明にかかる面状発熱体の折り畳み性と形状復元性に関して、図2を用いて説明する。
図2は、ニクロム線とSMA線の温度に対する縦弾性係数の変化の一例を示した特性図である。ホットカーペット5の面状発熱体には、チタン−ニッケル合金製のSMA線を用いた。この基材2に配置したSMA線は、通電することで、加熱すると、約36℃で逆変態が開始し(逆変態開始温度:As点)、約55℃で逆変態が完了する(逆変態完了温度:Af点)。このホットカーペット5に用いた面状発熱体は、使用時に、マルテンサイト相で与えられていた折り畳みによる塑性変形がオーステナイト相へと変態する際に除かれ、逆変態完了温度:Af点よりも高い形状記憶処理温度で形状記憶処理された元の平面状の形状に戻る。
SMAがこのような形状復元性を有することはよく知られているが、本発明にかかる面状発熱体は、逆変態完了温度:Af点以上の温度に通電加熱することで、平面状の元の形状に戻るようにしたことが一つの特徴である。この形状復元性を利用することによって、面状発熱体の不使用時に形成される折り畳み目をなくするか、目立たなくすることができる。
発熱線として、チタン−ニッケル合金製のSMA線を基材2中に配置してなるものを用いた場合、通常の使用温度範囲は、逆変態完了温度Af点(=55℃)以上の65〜80℃である。一方、不使用時の温度は、普通、室温25℃以下である(図2参照)。
図2からわかるように、発熱線1として、SMA線を基材2中に配置してなるものを用いた場合、不使用時の温度である室温25℃以下では、SMA線の縦弾性係数が通常の使用温度範囲(65〜80℃)よりも小さくなる。ここで、面状発熱体は、縦弾性係数が小さいほど、折り畳みしやすく、折り畳み性が良好となる。
したがって、基材中のSMA線がオーステナイト相からマルテンサイト相に変態することで、その縦弾性係数が使用時の値よりも小さくなった状態で折り畳みするため、面状発熱体を容易に折り畳みすることができる。なお、室温25℃以下では、発熱線1として、チタン−ニッケル合金のSMA線を用いた場合、縦弾性係数の値は10GPa程度であり、ニクロム線の縦弾性率の40〜80Gpaに比較して低い。一方、通常の使用温度範囲では、SMA線を用いた場合の縦弾性係数の方がニクロム線よりも大きい。
このため、発熱線1として、SMA線を基材2中に配置してなるものは、不使用時、従来のものに比べて、容易に折り畳みすることができることもわかる。このことから、ホットカーペット5の面状発熱体にSMA線を用いた場合には、収納する時の弊害が解消される。前掲図2に示した縦弾性係数は、図3、図4に示した各試験温度で発熱線1の引っ張り試験を行い、得られた歪み−応力カーブの立ち上がりの傾斜より求めたものである。
図3と対比して示した図4から明らかなように、ニクロム線の0℃における引張り強度は600MPaを越えている。一方、SMA線の0℃における引張り強度は200Mpaよりも低い。そこで、発熱線として、ニクロム線を基材に配置してなるものでは、ニクロム線の配置数が増すと大幅に折り畳み性が悪化する。
次いで、上述した面状発熱体の温度制御について、図5により具体的に説明する。図5は、上述した面状発熱体に用いたのと同様なSMA線を用い、温度を変えて長さ1m当たりの電気抵抗を測定した結果である。この結果によれば、極大値を示すB点の温度以下に冷却してから加熱すると、図示の破線で示すカーブのように、C点の温度まで冷却してから加熱すると、図示のC−Dの実線で示すカーブように、ヒステリシスを描くことがわかる。ここで、図5中、A点が80℃、E点が65℃で極小値であり、通常の使用温度範囲がE〜A点とする。
そこで、極大値を示すB点から極小値を示すE点までの電気抵抗値と温度の関係を予めマイクロコンピュータに記憶させておき、使用時、通電してジュール熱で加熱されたSMAの電気抵抗と比較することで、特別な温度センサを用いず、精度良く面状発熱体の温度を自己検出できる。例えば使用時、SMA線を0℃近くから通電を開始し、80℃まで加熱すると、その間で相変態が起こるため、極大値のB点近くからA点までカーブに沿って電気抵抗が大きく変化する。これを利用した面状発熱体の温度制御を実現するには、温度調節器6内のマイクロコンピュータに、図5に示すような、予め測定した基材中のSMA線の温度と電気抵抗の関係を記憶させておくことが、簡単な構成で面状発熱体の温度制御を容易に行うことができるので好ましい。
ただし、この極大値を示すB点から極小値を示すE点までの電気抵抗の特性曲線、および相変態温度は、SMAの組成(チタン−ニッケル合金製のSMA線)、及び熱処理条件(この場合、470℃の温度まで加熱し、25℃の温度まで冷却する熱処理)により調整が可能で、使用温度に応じて選択することができる。これに対してニクロム線の電気抵抗の温度係数は、チタン−ニッケル合金製のSMA線の約十分の一と小さく、面状発熱体の温度の自己検出を行うのが難しく別の感温センサが必要となる。なお、SMA線の電気抵抗率は約1μΩ・mで一般的なニクロム線とほぼ同等であるから、従来のニクロム線発熱体方式の電源をそのまま用いることも可能である。
ところで、上述した本発明にかかる面状発熱体において、SMA線が面内で複数のブロックに分かれており、ブロックごとに温度制御を行うように構成するのが面状発熱体の一部を使用する場合、使用するブロックごとに温度制御を行うことができるので好ましい。また本発明にかかる面状発熱体において、単位面積当たりのワット密度を高めるためには、図1(b)に示したように、X軸方向に直線的に伸びる直線部と円弧状に曲げた曲線部とからなるSMA線を基材2中に配置し、その後、その直線部と直角にクロスするY軸方向に直線的に伸びる直線部と曲線部とからなるSMA線を基材2によって電気的に絶縁された状態で配置するのが好ましい。
また本発明にかかる面状発熱体の基材2中に、断熱性に優れる液体または気体が均一に分散されてなることが面内方向の均一加熱を図る上で好ましく、またさらにその基材2中に、表面に電気的絶縁被膜を有するSMA線が配置されてなることが、万一基材2が破れ、SMA線同士が接触するようなことが起こっても電気的短絡を防ぐことができるので好ましい。
以上説明したチタン−ニッケル合金製のSMA線の形状記憶処理温度は、逆変態完了温度よりも高い温度で行うのが普通である。伸線処理と共に連続的に直線状に加熱処理された直線状SMA線を用い、図1(b)に示したように、SMA線を基材2中に面内で蛇行させて配置したものは以下のようにして製造することができる。
(1)直線状のSMA線を所定の形状(面内で蛇行させた形状)に保持した状態で、形状記憶処理温度にまで加熱して形状記憶処理した後、電気的絶縁性を有する基材2中に形状記憶処理後のSMA線を配置する。加熱は加熱炉内で行うことができる。
(2)電気的絶縁性を有する基材2中に、直線状のSMA線を所定の形状(面内で蛇行させた形状)に配置した後、その状態で形状記憶処理温度にまで加熱してSMA線を所定の形状に形状記憶処理する。直径:0.4mmのSMA線では数アンペアの電流を通電することで形状記憶処理温度にまで加熱可能である。
その際、SMA線に通電することで形状記憶処理温度にまで加熱するのが長さ方向に電気抵抗が安定しているSMA線を容易に得ることができるから好ましい。通電はパルス通電とするのが、基材2として用いるポリエステルなどの合成樹脂、あるいは布基材などの温度が過度に上昇してしまうのを防ぐ点で好ましい。また、用途によっては、円筒形の冶具を使用して、形状記憶処理温度にまで加熱してコイル状に形状記憶処理したSMA線を用いることもできる。
図6(a)、(b)には、コイル状に形状記憶処理したSMA線を防寒服本体材8に組み込んだ場合の袖の部分の断面を示している。図6(a)が不使用時に折り畳みした状態であり、図6(b)が通電することで形状を元に戻した状態である。このような面状発熱体への電力供給は、外部電源から取り込む方法以外に、携帯可能な燃料電池などから供給することで行動の自由を確保することができる。なお、SMA線を防寒服本体材8に組み込んだ後、その袖長さ方向の変形を阻止しておけば、その状態で形状記憶処理温度にまで加熱して形状記憶処理することで
所定の形状に形状記憶処理したSMA線を基材2中に配置したものを得ることができる。
炉温を470℃とした連続炉で張力を加えながら直線状に加熱・冷却したSMA線(チタン−ニッケル合金製、直径:0.4mm)を用い、加熱温度を種々変え、所定の形状に形状記憶させることができる形状記憶処理温度を調べた。なお、直径10mmのアルミ棒に巻き付けて拘束した状態で表1中に示す加熱温度で15分間保持した後、常温まで冷却し拘束を解いた状態のものと、これを常温で直線状にしてから80℃まで加熱したものの形状を確認した結果である。その結果を表1に示す。
Figure 2008010287
表1に示す結果から、形状記憶処理温度を250℃以上、望ましくは350℃以上とすることでコイル状に形状記憶させることができることがわかる。この場合、アルミ棒に巻き付けてコイル状に形状記憶処理する場合の結果を示したが、使用時の形状は袋状としてもよいし、人体や保温すべき物体の外観形状に合わせた形状などさまざまな変形にすることが可能である。
(a)はホットカーペットの多層構造を示す中央部断面図である。(b)はそれに用いた発熱体の配置状態を示す平面図である。(c)はホットカーペットの温度調節器の機能を説明する図である。 ニクロム線と形状記憶合金線の温度に対する縦弾性係数の変化の一例を示す特性図である。 図2の縦弾性係数を得た形状記憶合金線の歪みと応力の関係を示す特性図である。 図2の縦弾性係数を得たニクロム線の歪みと応力の関係を示す特性図である。 図1の面状発熱体に用いた形状記憶合金線の温度に対する電気抵抗の変化を示す特性図である。 基材中に形状記憶合金線を配置してなる発熱体を防寒服の袖の部分に用いた場合の不使用時の状態(a)と使用時の状態(b)を対比して示す部分断面図である。
符号の説明
1 発熱線
1A、1B 端子
2 基材
3 断熱クッション材(発泡ウレタン)
4 外装材
5 ホットカーペット
6 温度調節器
7 コンセント
8 防寒服本体材

Claims (10)

  1. 発熱線に通電することで電気抵抗を利用してジュール熱を発生させる面状発熱体であって、所定の形状に形状記憶処理した形状記憶合金線を基材中に配置してなり、不使用時に基材中の形状記憶合金線がオーステナイト相からマルテンサイト相に変態することでその縦弾性係数が使用時の値よりも小さくなった状態で折り畳みし、使用時に基材中の形状記憶合金線がジュール熱で逆変態完了温度以上にまで加熱され、マルテンサイト相で与えられていた折り畳みによる塑性変形がオーステナイト相へと変態する際に除かれ、元の形状に戻ることを特徴とする形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  2. 予め測定した基材中の形状記憶合金線の温度と電気抵抗の関係をマイクロコンピュータに記憶させておき、その関係と、使用時に測定した基材中の形状記憶合金線の電気抵抗値とに基づいて前記面状発熱体の温度情報を得、該温度情報に基づいて前記面状発熱体の温度制御を行うように構成してなることを特徴とする請求項1に記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  3. 予め測定した基材中の形状記憶合金線の温度と電気抵抗の関係から、電気抵抗の極大点又は極小点を求め、前記面状発熱体の温度制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  4. 前記面状発熱体の形状記憶合金線が面内で複数のブロックに分かれており、ブロックごとに温度制御を行うように構成してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  5. 前記面状発熱体の形状記憶合金線が厚み方向に互いに基材で電気的に絶縁された状態でクロスして配置されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  6. 前記面状発熱体の基材中に、断熱性に優れる液体または気体が均一に分散されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  7. 前記面状発熱体の基材中に、表面に電気的絶縁被膜を有する形状記憶合金線が配置されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の形状記憶合金を用いた可撓性発熱体。
  8. 形状記憶合金線を所定の形状に保持した状態で、形状記憶処理温度にまで加熱して形状記憶処理した後、電気的絶縁性を有する基材中に、形状記憶処理後の形状記憶合金線を配置することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可撓性発熱体の製造方法。
  9. 電気的絶縁性を有する基材中に、形状記憶合金線を所定の形状に配置した後、その状態で、形状記憶処理温度にまで加熱して形状記憶合金線を所定の形状に形状記憶処理することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可撓性発熱体の製造方法。
  10. 請求項8または9において、形状記憶合金線に通電することで形状記憶処理温度にまで加熱することを特徴とする可撓性発熱体の製造方法。
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