JP2008008284A - 内燃機関の排気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 冷間始動直後の排気浄化を行うバイパス触媒コンバータをより上流側に配置できるようにするとともに、流路切換弁4の組立作業の容易化及び寸法精度の向上を図る。
【解決手段】 気筒毎に接続された4本の上流側メイン通路が集合する合流部に流路切換弁4を配置する。各上流側メイン通路から分岐するバイパス通路にバイパス触媒コンバータを介装する。流路切換弁4閉時には、メイン流路が遮断されると同時に、各気筒の上流側メイン通路同士が非連通状態となる。流路切換弁4は、4つの弁開口部22が開口したハウジング21と弁体24とを有し、2つの弁体24が共通の弁支持体25に取り付けられる。この弁支持体25は、ハウジング21に回転可能に支持される回転軸と一体的に回転する軸部25Aに、弁体24がそれぞれ固定される2つのアーム部25Bが一体的に形成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、触媒コンバータで排気浄化を行う内燃機関の排気装置、特に、メイン触媒コンバータが活性化していない冷間始動直後に、別の触媒コンバータを備えたバイパス流路側に排気を案内するようにした形式の排気装置の改良に関する。
従来から知られているように、車両の床下などの排気系の比較的下流側にメイン触媒コンバータを配置した構成では、内燃機関の冷間始動後、触媒コンバータの温度が上昇して活性化するまでの間、十分な排気浄化作用を期待することができない。また一方、触媒コンバータを排気系の上流側つまり内燃機関側に近付けるほど、触媒の熱劣化による耐久性低下が問題となる。そのため、特許文献1に開示されているように、メイン触媒コンバータを備えたメイン流路の上流側部分と並列にバイパス流路を設けるとともに、このバイパス流路に、別のバイパス触媒コンバータを介装し、両者を切り換える切換弁によって、冷間始動直後は、バイパス流路側に排気を案内するようにした排気装置が、従来から提案されている。この構成では、バイパス触媒コンバータは排気系の中でメイン触媒コンバータよりも相対的に上流側に位置しており、相対的に早期に活性化するので、より早い段階から排気浄化を開始することができる。
特開平5−321644号公報
上記従来の排気装置では、バイパス流路は、排気マニホルドの合流点よりも下流側においてメイン流路から分岐している。つまり、多気筒内燃機関において、各気筒の排気流路が1本の流路に合流した合流点よりも下流側の部分で、メイン流路とバイパス流路とが並列に配置された構成となっている。従って、バイパス流路に介装されたバイパス触媒コンバータは、メイン触媒コンバータよりは上流側位置となるものの、各気筒の排気ポートからの距離はかなり大きく、始動直後から直ちに排気浄化を開始することができない。
また、排気マニホルドの下流側でバイパス流路へと分岐するので、大型部品である排気マニホルド全体の熱容量によって、バイパス流路へ流入する排気の温度が低下し、それだけバイパス触媒コンバータによる排気浄化の開始が遅れてしまう。しかも、切換弁がメイン流路側を閉塞している状態においても、各気筒で順次排気行程が到来することから、一つの気筒の排気流路から他の気筒の排気流路へと排気が回り込む現象が生じる。そのため、外部へ熱が逃げやすくなり、バイパス触媒コンバータの温度上昇が阻害される。
この発明に係る内燃機関の排気装置は、各気筒にそれぞれ接続された気筒毎の上流側メイン通路と、複数の気筒の上流側メイン通路が合流してなる下流側メイン通路と、この下流側メイン通路もしくはこれよりも下流の流路に介装されたメイン触媒コンバータと、上記上流側メイン通路から分岐するとともにバイパス触媒コンバータが介装されたバイパス通路と、各気筒から排出された排気が上記バイパス通路へ流れるように、上記上流側メイン通路を開閉するとともに、閉時に各上流側メイン通路相互の連通を遮断する流路切換弁と、を備えている。そして、上記流路切換弁は、ハウジングに並んで形成される複数の弁開口部をそれぞれ開閉する複数の弁体が共通の弁支持体に取り付けられ、この弁支持体は、ハウジングに回転可能に支持される回転軸と一体的に回転する軸部に、上記弁体がそれぞれ固定される複数のアーム部が一体的に形成されている。
本発明の排気装置においては、バイパス通路の少なくとも上流側部分は、気筒数と同じ数の通路となっており、メイン流路つまり上流側メイン通路の合流点よりも上流側の位置において、該上流側メイン通路からそれぞれ分岐する。従って、メイン流路の合流点の位置に制約されずに、バイパス触媒コンバータをより上流側に配置することが可能となる。また、バイパス流路側へ分岐する点が各気筒に近い位置となるので、冷間始動直後などに、メイン流路の熱容量による冷却作用を比較的受けずにバイパス流路側に排気が流入する。
すなわち、冷間始動直後などには、上記流路切換弁が閉じ、上流側メイン通路と下流側メイン通路との間を遮断する。これにより、各気筒から吐出される排気は、バイパス触媒コンバータを備えたバイパス通路側を流れる。そして、同時に、流路切換弁は、複数の上流側メイン通路の弁開口部を個々に閉塞するので、各気筒の上流側メイン通路の相互の連通が遮断される。流路切換弁を閉状態としたときに各上流側メイン通路が互いに連通していると、各気筒で順次排気行程が到来することから、一つの気筒の上流側メイン通路から他の気筒の上流側メイン通路へと排気が回り込む現象が生じる。そのため、外部へ熱が逃げやすくなり、バイパス触媒コンバータの温度上昇が阻害される。流路切換弁の閉時に各上流側メイン通路が互いに非連通状態となるようにすることで、この回り込みの現象を回避できる。
このように各気筒の上流側メイン通路を一斉に開閉するために、流路切換弁は、例えばハウジングに並んで形成される複数の弁開口部をそれぞれ開閉する複数の弁体がアーム部を介して共通の回転軸に取り付けられるが、仮に複数のアーム部がそれぞれ個別に回転軸に組み付けられる構成であるとすると、回転軸への組付誤差や公差によって、幾つかの弁体が良好に弁開口部に密接せずに、シール性の低下を招くおそれがある。
そこで本発明では、特に、複数の弁体を共通の弁支持体に取り付け、この弁支持体を、ハウジングに回転可能に支持される回転軸と一体的に回転する軸部に、上記弁体がそれぞれ固定される複数のアーム部が一体的に形成されるものとした。
本発明によれば、一般に排気マニホルドとして構成されるメイン流路の合流点の位置に制約されずに、バイパス触媒コンバータをより上流側つまり各気筒に近い位置に配置することが可能となり、しかもメイン流路を構成する排気マニホルド等の熱容量による冷却作用が低減するので、冷間始動後、早期に排気浄化作用を得ることができる。そして、回転軸を共用する複数の弁体の中の一部の弁体のシール性低下を回避でき、バイパス通路側へ排気を案内すべく流路切換弁が閉じた状態において、各気筒のメイン流路を確実に遮断することができるとともに、各気筒の上流側メイン通路の間での排気の回り込みを防止できるため、バイパス触媒コンバータの昇温性能が向上する。
そして、複数の弁体がそれぞれ取り付けられる複数のアーム部を軸部に一体的に形成して弁支持体として構成したために、部品点数の削減による構造の簡素化・小型化や組立作業の簡素化が図られることに加え、複数のアーム部をそれぞれ回転軸に取り付ける場合に比して、製造・組付時の誤差や寸法交差による複数の弁体の組付ばらつきを低減して、特に回転軸に対する複数の弁体の組付精度を著しく向上することができ、ひいてはシール性能及びその信頼性を向上することができる。
以下、この発明を直列4気筒内燃機関の排気装置として適用した実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの排気装置の配管レイアウトを模式的に示した説明図であり、始めに、この図1に基づいて、排気装置全体の構成を説明する。直列に配置された♯1気筒〜♯4気筒からなる各気筒1には、気筒毎に上流側メイン通路2が接続されている。4つの気筒に個々に接続された4本の上流側メイン通路2は、下流側で1本の下流側メイン通路3として合流しており、その合流部、換言すれば、上流側メイン通路2と下流側メイン通路3との境界となる部位には、4本の上流側メイン通路2を一斉に開閉する流路切換弁4が設けられている。この切換弁4は、冷間時に閉じられるものであって、閉時には、上流側メイン通路2と下流側メイン通路3との間の上下の連通を遮断するとともに、4本の上流側メイン通路2の間を互いに非連通状態とする構成となっている。
流路切換弁4から下流に延びる下流側メイン通路3の途中には、メイン触媒コンバータ8が介装されている。このメイン触媒コンバータ8は、車両の床下に配置される容量の大きなものであって、その触媒としては、三元触媒とHCトラップ触媒とを含んでいる。以上の上流側メイン通路2と下流側メイン通路3とメイン触媒コンバータ8とによって、通常の運転時に排気が通流するメイン流路が構成される。
なお、メイン流路として、直列4気筒内燃機関において周知の「4−2−1」の形で集合するように、一対の上流側メイン通路2に対して1本の下流側メイン通路をそれぞれ設け、一対の下流側メイン通路をさらに1本の流路に合流させて、そこにメイン触媒コンバータ8を配置するようにしてもよい。この場合も、流路切換弁4は、4本の上流側メイン通路2を個々に開閉するように設けられる。
一方、バイパス流路として、上流側メイン通路2の各々から、上流側バイパス通路11が分岐している。この上流側バイパス通路11は、上流側メイン通路2よりも通路断面積が十分に小さなものであって、その上流端となる分岐点12は、上流側メイン通路2のできるだけ上流側の位置に設定されている。そして、互いに隣接した位置にある♯1気筒の上流側バイパス通路11と♯2気筒の上流側バイパス通路11とが合流点13において1本の中間バイパス通路14として互いに合流しており、同様に互いに隣接した位置にある♯3気筒の上流側バイパス通路11と♯4気筒の上流側バイパス通路11とが合流点13において1本の中間バイパス通路14として互いに合流している。なお、各通路を模式的に示した図1では、各上流側バイパス通路11が比較的長く描かれているが、実際には、可能な限り短くなっている。換言すれば、最短距離でもって中間バイパス通路14として合流している。2本の中間バイパス通路14は、合流点15において1本の下流側バイパス通路16として互いに合流している。この下流側バイパス通路16の下流端は、下流側メイン通路3のメイン触媒コンバータ8より上流側の合流点17において、下流側メイン通路3に合流している。そして、上記下流側バイパス通路16の途中には、三元触媒を用いたバイパス触媒コンバータ18が介装されている。このバイパス触媒コンバータ18は、バイパス流路の中で、可能な限り上流側に配置されている。つまり、中間バイパス通路14もできるだけ短くなっている。
なお、上記実施例では、バイパス流路全体の通路長(各気筒のバイパス通路の総和)を短くして、配管自体の熱容量ならびに外気に対する放熱面積を小さくするために、4本の上流側バイパス通路11を長く引き回さずに上流側で2本の中間バイパス通路14にまとめているが、このような構成は任意であり、例えば、バイパス触媒コンバータ18が気筒列の一方に偏って位置する場合などには、他方の端部気筒から直線状に延ばした上流側バイパス通路に残りの気筒の上流側バイパス通路を略直角に接続することにより、全体の通路長を短くすることができる。
上記バイパス触媒コンバータ18は、その内部に、前後に分割された2つのモノリス触媒担体つまり第1触媒18aと第2触媒18bとを備えている。そして、これらの第1触媒18aと第2触媒18bとの間の間隙19に、排気還流通路20の一端が接続されている。この排気還流通路20の他端は、図示せぬ排気還流制御弁を介して機関吸気系へと延びている。つまり、上記間隙19が、還流排気の取り出し口となっている。上記バイパス触媒コンバータ18は、メイン触媒コンバータ8に比べて容量が小さな小型のものであり、望ましくは、低温活性に優れた触媒が用いられる。
上記のように構成された排気装置においては、冷間始動後の機関温度ないしは排気温度が低い段階では、適宜なアクチュエータを介して流路切換弁4が閉じられ、メイン流路が遮断される。そのため、各気筒1から吐出された排気は、その全量が、分岐点12から上流側バイパス通路11および中間バイパス通路14を通してバイパス触媒コンバータ18へと流れる。バイパス触媒コンバータ18は、排気系の上流側つまり気筒1に近い位置にあり、かつ小型のものであるので、速やかに活性化し、早期に排気浄化が開始される。また、このとき、流路切換弁4が閉じることで、各気筒1の上流側メイン通路2が互いに非連通状態となる。そのため、ある気筒から吐出された排気が他の気筒の上流側メイン通路2へと回り込む現象が防止され、この回り込みに伴う排気温度の低下が確実に回避される。
一方、機関の暖機が進行して、機関温度ないしは排気温度が十分に高くなったら、流路切換弁4が開放される。これにより、各気筒1から吐出された排気は、主に、上流側メイン通路2から下流側メイン通路3を通り、メイン触媒コンバータ8を通過する。このときバイパス流路側は特に遮断されていないが、バイパス流路側の方がメイン流路側よりも通路断面積が小さく、かつバイパス触媒コンバータ18が介在しているので、両者の通気抵抗の差により、排気流の大部分はメイン流路側を通り、バイパス流路側には殆ど流れない。従って、バイパス触媒コンバータ18の熱劣化は十分に抑制される。またバイパス流路側が完全に遮断されないことから、排気流量が大となる高速高負荷時には、排気流の一部がバイパス流路側を流れることで、背圧による充填効率低下を回避することができる。
次に、本発明の要部である流路切換弁4の構成を図2〜4に基づいて説明する。この第1実施例では、4気筒分の流路切換弁4が一つのバルブユニットとして一体化されており、流れと直交する面に沿った略矩形状をなすハウジング21に、4個の円形の弁開口部22が、2列に並んで、つまり正方形の頂点となる位置に、それぞれ開口形成されているとともに、このハウジング21の両側部に、一対の回転軸23が互いに平行に配置されている。そして、隣接する一対の弁開口部22をそれぞれ開閉する一対の円盤状の弁体24が、共通の弁支持体25を介して回転軸23に取り付けられている。
この弁支持体25は、回転軸23の外周に設けられる軸部25Aと、この軸部25Aの軸方向両端の外周より径方向外方へ突出し、一対の弁体24がそれぞれ組み付けられる一対のアーム部25Bと、により構成されている。特に、この実施例にあっては、弁支持体25の軸部25Aと回転軸23とが一体的に形成されており、つまり、回転軸23を含めて弁支持体25の軸部25Aとアーム部25Bとが一体的に成形されている。アーム部25Bは、略長方形の板状をなし、基端部が軸部25Aに一体的に接続しているとともに、図3に示すように、先端部に断面円形の貫通孔(取付孔)27を有している。
上記の弁体24は、弁開口部22を開閉する円盤状をなす弁本体部28Aと、この弁本体部28Aの中央部から垂直に起立する弁軸部28と、を有し、この弁軸部28が貫通孔27を隙間を介して緩く嵌合、すなわち遊嵌する構成となっている。そして、この貫通孔27を貫通して弁本体部28Aの反対側(図3の上側)へ突出する弁軸部28の先端部に、上記貫通孔27よりも外径の大きい、いわゆるワッシャとしての円盤状の保持リング29が固定されている。この保持リング29によって弁体24が弁支持体25に対して抜け止めされている。従って、弁体24は、アーム部25Bに対して完全には固定されておらず、弁開口部22周縁のシール面(図示せず)に良好に密接し得るように、アーム部25Bに対し僅かな揺動(いわゆる首振り)が可能となっている。
なお、圧力差によるシール性確保の点から、弁体24が弁開口部22を上流側から開閉するように、つまりメイン上流側通路2の上流側(気筒1の燃焼室側)に開くように構成することが望ましい。この場合、上述した上流側メイン通路2となる各気筒の排気管の端部(図示せず)が、揺動する弁体24を収容するように断面略U字形に構成され、各弁開口部22を囲むハウジング21の隔壁部30に沿ってそれぞれ溶接される。従って、ハウジング21より上流側では各気筒の上流側メイン通路2は完全に分離独立している。
各回転軸23は、カバー40とハウジング21の間に挟持され、3箇所の軸受部31,32,33でもって、ハウジング21側へ回転可能に支持されている。各カバー40は、回転軸23を挟み込んだ状態で、複数の固定ボルト41(図4参照)によって軸受部31,32,33の位置でハウジング21に締結・固定される。カバー40には固定ボルト41が挿通する複数のボルト貫通孔42が形成され、ハウジング21には固定ボルト41が螺合する雌ネジが形成されたボルト孔43が形成されている。
回転軸23のハウジング21から突出した一端にはリンクプレート34が取り付けられていて、このリンクプレート34を介して回転軸23が回転方向に駆動される。ここで、2本の回転軸23のリンクプレート34は、適宜なリンク機構等の図示しない連動機構を介して互いに連動しており、図示せぬ1つのアクチュエータでもって同時に対称的に開閉動作する。つまり、4つの弁体24が一斉に開閉する。
この実施例では、両側の軸受部31,33でハウジング21とカバー40とにより回転可能に挟持される回転軸23の2箇所のジャーナル部23Aに、円筒状をなすシール用のブッシュ44,45が予め取り付けられている。また、弁支持体25の軸部25Aには、隣り合う2つのアーム部25Bの間の軸受部32に、ハウジング21及びカバー40側との隙間を埋めるように、略環状のスペーサ46が取り付けられている。図5に示すように、スペーサ46は、弁支持体25の2つのアーム部25Bを接続するように、軸部25Aの外周部から張り出した連結片部25Cに嵌合する開口部46Aが形成された略C字状をなしている。
回転軸23に対する各弁体24の取付角度、より具体的には、弁支持体25の軸部25Aに対する2つのアーム部25Bの角度は、例えば図6及び図10に示すように互いに異なっている。すなわち、回転軸23の回転方向について、被駆動点となるリンクプレート34に遠い弁体24B(図10参照)の方がリンクプレート34に近い弁体24A(図10参照)よりも弁開口部22に相対的に近づくように、両アーム部25Bの間に僅かな角度差θを設けてある。従って、回転軸23が閉方向に駆動されたときに、被駆動点から遠い弁体24Bが先に着座し、その後、回転軸23のねじれ変形に伴って、被駆動点に近い弁体24Aが着座する。そのため、遠い側の弁体24Bのシール面圧が高められ、近い側の弁体24Aと略等しいシール面圧が得られる。
このように良好なシール性能を確保するためには、両弁体24A,24Bの取付角度、つまりは2つのアーム部25Bの角度(角度差θ)に高い寸法精度が要求される。しかしながら、仮に2つのアーム部が別体とされ、それぞれが別々に回転軸に組み付けられる構成となっていると、製造・組付時の誤差・寸法交差によって、アーム部の角度に高い精度を確保することが困難で、良好なシール性能を確保することが難しい。
これに対して本実施例では、弁支持体25を、ハウジング21側に回転可能に支持される回転軸23と一体的に回転する軸部25Aに、複数の弁体24がそれぞれ組み付けられる複数のアーム部25Bが一体的に形成されたものとしている。このため、部品点数の削減による構造の簡素化・小型化や組立作業の簡素化が図られることに加え、上述したように複数のアーム部をそれぞれ別々に回転軸に取り付ける場合に比して、製造・組付時の誤差や交差による複数の弁体の組付ばらつきを低減でき、弁体24の組付寸法精度を著しく向上することができ、ひいてはシール性能及びその信頼性を著しく向上することができる。
また、ハウジング21とともに回転軸23を回転可能に挟持するカバー40が回転軸23を挟んでハウジング21に複数の固定ボルト41によって固定される構造となっており、例えば溶接等により接合・固定する場合に比して、組立作業が簡素化される。
更に、ハウジング21とカバー40との軸受部31,33で回転可能に挟持される回転軸23のジャーナル部23Aにブッシュ44,45が予め取り付けられているため、組立作業が簡素化されるとともに、これらのブッシュ44,45によって外部へのガス漏れを確実に防止することができ、シール性能を更に向上することができる。
加えて、弁支持体25の軸部25Aには、隣り合う2つのアーム部25Bの間であって、軸受部32によって回転可能に支持される部分に、ハウジング21及びカバー40側との隙間を埋めるようにスペーサ46が取り付けられている。従って、弁支持体25を一体化した形状としつつ、スペーサ46によりこの部分に生じる隙間を最小限に抑制することができ、昇温性の向上とシール信頼性の向上とを図ることができる。
更に本実施例では、回転軸23と弁支持体25の軸部25Aとが一体的に形成されているために、より一層の部品点数削減化や寸法精度の向上等を図ることができる。但し、本発明はこれに限られず、例えば図7に示す第2実施例のように、回転軸23が弁支持体25と別体とされていても良い。この場合、例えばボルト孔47に嵌合する固定ボルト(図示省略)によって、弁支持体25の略筒状をなす軸部25Aと回転軸23とが固定される。
図8に示す第3実施例では、ハウジング21のリンクプレート34から最も遠い軸受部33の近傍にプレート部48が形成され、このプレート部48に貫通形成された取付孔49に予めブッシュ50が圧入等により固定されている。組付の際には、このブッシュ47に回転軸23の一端を挿入して組み付け、その後、図2〜図4の第1実施例と同様、回転軸23を挟んでカバー40とハウジング21を固定ボルト41により締結・固定すればよい。このように、ハウジング21の軸受部33に予めブッシュ47を取り付けておくことで、組立作業の簡素化が図られるとともに、外部へのガス漏れをより一層確実に防止することができる。
図9及び図10に示す参考例を参照して、上述したように圧力差によるシール性確保の点から、弁体24の弁本体部28Aが上流側メイン通路2の上流側(燃焼室側、図9の上側)へ開くように構成され、また、組付性及び着座性の観点から弁軸部28がアーム部25Bの貫通孔27を隙間を介して緩く嵌合つまり遊嵌し、弁体24がアーム部25Bに対して僅かな揺動動作いわゆる首振り動作が可能となっていると、弁体24を閉から開に駆動する開弁駆動時に、上流側メイン通路2の上流側つまり気筒1の燃焼室側より排出される高温・高圧の排気ガスの流れFに逆らって、保持リング29に対して傾斜するアーム部25Bが保持リング29を押し上げることとなり、アーム部25Bと保持リング29との接触部分が、アーム部25Bの先端寄りのエッジ部分51での点接触・線接触又はそれに近いものとなって、接触面積が非常に小さくなり、この接触部分51に大きな曲げモーメントMが作用することから、弁軸部28とこれが嵌合する保持リング29の中央貫通孔57との境界部分、特に、その上端の付け根部分52に応力集中を招き易い。
また、上述したように閉弁時のシール性を考慮して1本の回転軸23で駆動される2つのアーム部25B,25Bに位相差θ(図6参照)を設けている場合、開弁状態では、例えば駆動点に近い一方の弁体24Aが、例えばカバー40に設けられるストッパ53(図4参照)に突き当てられるものの、駆動点から遠い側の他方の弁体24Bがストッパ53に突き当てられず、ストッパ53との間に間隙54が設けられたフリー状態で高温・高圧の排気ガス中にさらされるために、アーム部25Bに対して弁体24(24B)が揺動・振動し、特に上記の接触部分51や応力集中を招き易い付け根部分52での耐久性が問題となり易く、信頼性に乏しい。
そこで、図11,図12に示す第4,第5実施例では、互いに対向するアーム部25Bの側面と保持リング29の側面の少なくとも一方に、弁軸部28に直交する基準面56に対し、中央の弁軸部28へ近づくほど他方の側面へ近づくように傾斜(又は湾曲)するテーパ部55,55Aを設けている。言い換えると、図11(B),図12(B)に示すように、開弁駆動時(図9参照)、あるいはストッパ53に突き当てられない弁体24Bの開弁状態等において、傾斜するアーム部25Bの側面とこれに対向する保持リング29の側面とがほぼ平行となるように、両者の少なくとも一方に所定角度α(例えば1〜10度)で傾斜するテーパ部55,55Aを設けている。これによって、アーム部25Bの側面と保持リング29の側面とを略平行として両者を実質的に面接触させることができ、上記参考例に比して接触面積を大幅に拡大することができるので、上述したような局部的な応力集中を緩和し、耐久性や信頼性を改善することができる。
特に、図11に示す第4実施例においては、テーパ部55を、アーム部25Bの上側の側面に対向する保持リング29の下側の側面の全面にわたって設けている。つまり、保持リング29の下側の側面を、弁軸部28が圧入固定される中央貫通孔57へ向かう(仮想)円錐状のテーパ面としている。従って、アーム部25Bに対する弁体24及び保持リング29の回転位置にかかわらず、開弁駆動時等でのアーム部25Bと保持リング29との接触面積を広く確保することができ、かつ、保持リング29が簡素な軸対象形状であるために、周知の面取り加工等により比較的容易にテーパ部55を形成することができる。
図12に示す第5実施例では、テーパ部55Aを、保持リング29の下側の側面に対向するアーム部25Bの上側の側面の中で、弁軸部28よりもアーム部25の軸部25Aから遠い側の先端部、つまり開弁駆動時等にアーム部25Bが傾斜することによって保持リング29の側面へ近づくこととなる先端部にのみ設けている。この第5実施例によれば、開弁駆動時等におけるテーパ部55Aと保持リング29の側面との接触面積を広く確保しつつ、このテーパ部55Aの形成範囲をアーム部25Bの先端部のみとして、このテーパ部55Aを周知の面取り加工等により容易に形成することができる。
また、図11及び図12にも示すように、保持リング29と弁軸部28との固定については、弁軸部28を保持リング29の中央貫通孔57に圧入により固定し、かつ、弁軸部28の上面が中央貫通孔57の内部へ入り込むように弁軸部28を短縮化・中央貫通孔57を長尺化し、この弁軸部28の上面が臨んだ中央貫通孔57の窪み部分58のみを溶接により固定している。このような固定構造によれば、例えば弁軸部28の外周面と保持リング29の中央貫通孔57の内周面との嵌合部分を全体的に溶接する場合に比して、その溶接領域(窪み部分)58が小さくなり、溶接による入熱量を低減し、これによる残留歪の発生を抑制することができる。
更に、上記の参考例に比して、弁軸部28の外径を大きくするとともに、保持リング29の外径を小さくしており、これによって、弁軸部28からアーム部25Bと保持リング29とが接触する荷重点までの距離を短くしている。これにより上記の曲げモーメントを低減し、耐久性・信頼性をより一層向上することができる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施例のような4気筒内燃機関、あるいは2つの弁体24が1本の回転軸23を共用する構成に限定されず、3つ以上の弁体が回転軸を共用するような構成にも本発明を適用可能である。また、上記の弁軸部28では、保持リング29が圧入・固定される部分がアーム部25Bの貫通孔27を遊嵌する部分よりも小径化されているが、このような具体的な形状は任意のものである。
本発明に係る排気装置の一例を示す構成説明図。 本発明の第1実施例に係る流路切換弁全体の断面図。 回転軸に支持された弁体の断面図。 ハウジングと弁支持体とカバーとを示す斜視図。 弁支持体の軸部に組み付けられるスペーサを示す説明図。 2つのアーム部に角度差を設けた場合の説明図。 弁支持体と固定軸を別体とした第2実施例を示す平面図。 ブッシュをハウジング側に予め組み付けた第3実施例を示す斜視図。 参考例に係る開弁駆動時の要部断面図。 参考例に係る開弁状態での説明図。 第4実施例を示し、(A)が弁体及び保持リングの断面図、(B)が開弁駆動時における断面図。 第5実施例の流路切換弁を示し、(A)が閉弁状態の断面図、(B)が開弁駆動状態の断面図。
符号の説明
2…上流側メイン通路
3…下流側メイン通路
4…流路切換弁
8…メイン触媒コンバータ
11…上流側バイパス通路
16…下流側バイパス通路
18…バイパス触媒コンバータ
21…ハウジング
22…弁開口部
23…回転軸
24…弁体
25…弁支持体
25A…軸部
25B…アーム部
28…弁軸部
28A…弁本体部
29…保持リング
40…カバー
41…固定ボルト
44,45,50…ブッシュ
46…スペーサ
55,55A…テーパ部

Claims (10)

  1. 各気筒にそれぞれ接続された気筒毎の上流側メイン通路と、
    複数の気筒の上流側メイン通路が合流してなる下流側メイン通路と、
    この下流側メイン通路もしくはこれよりも下流の流路に介装されたメイン触媒コンバータと、
    上記上流側メイン通路から分岐するとともにバイパス触媒コンバータが介装されたバイパス通路と、
    各気筒から排出された排気が上記バイパス通路へ流れるように、上記上流側メイン通路を開閉するとともに、閉時に各上流側メイン通路相互の連通を遮断する流路切換弁と、を備え、
    上記流路切換弁は、ハウジングに並んで形成される複数の弁開口部をそれぞれ開閉する複数の弁体が共通の弁支持体に取り付けられ、この弁支持体は、ハウジング側に回転可能に支持される回転軸と一体的に回転する軸部に、上記弁体がそれぞれ固定される複数のアーム部が一体的に形成されていることを特徴とする内燃機関の排気装置。
  2. 上記回転軸が弁支持体の軸部と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気装置。
  3. 上記ハウジングとともに回転軸を回転可能に挟持するカバーを有し、このカバーが回転軸を挟んでハウジングにボルトにより固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気装置。
  4. 上記ハウジングとカバーとにより回転可能に挟持される回転軸のジャーナル部にブッシュが予め取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気装置。
  5. 上記カバーとともに回転軸のジャーナル部を回転可能に挟持するハウジングの軸受部にブッシュが予め取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気装置。
  6. 上記弁支持体の軸部には、隣り合う2つのアーム部の間に、上記ハウジング及びカバー側との隙間を埋めるように、スペーサが取り付けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の内燃機関の排気装置。
  7. 上記弁体が、上記弁開口部を開閉する弁本体部と、この弁本体部から起立する弁軸部と、を有し、
    上記アーム部に、上記弁軸部が遊嵌する貫通孔が形成され、
    この貫通孔を貫通して弁本体部の反対側へ突出する弁軸部の先端部に、上記貫通孔よりも外径の大きい保持リングが固定され、
    かつ、互いに対向する上記アーム部の側面と保持リングの側面の少なくとも一方に、上記弁軸部へ近づくほど他方の側面へ近づくように傾斜又は湾曲するテーパ部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の排気装置。
  8. 上記テーパ部を、上記アーム部の側面に対向する保持リングの側面の全面にわたって設けたことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気装置。
  9. 上記テーパ部を、上記保持リングの側面に対向するアーム部の側面の中で、上記弁軸部よりもアーム部の軸部から遠い先端部にのみ設けたことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気装置。
  10. 上記弁体が上流側メイン通路の上流側へ開くように構成されていることを特徴とする請求項1〜9に記載の内燃機関の排気装置。
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