JP2008007621A - ポリエステル系樹脂組成物およびこれを用いた成形体 - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物およびこれを用いた成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】導体(銅線など)を被覆するための被覆材などとして用いても、優れた耐熱老化性および柔軟性を付与できる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂組成物を、芳香族ポリエステル単位(C2−4アルキレンアリレート単位など)および脂肪族ポリエステル単位(ポリC4−10ラクトン単位など)を有するポリエステル系樹脂と、フェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤とで構成する。前記ポリエステル系樹脂において、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合は、前者/後者(重量比)=60/40〜90/10程度であってもよい。また、前記樹脂組成物において、フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤との割合は、前者/後者(重量比)=60/40〜10/90程度であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電線などの被覆材などとして有用なポリエステル系樹脂組成物、およびこの組成物で形成された成形体(電線、ケーブル、チューブなど)に関する。
電子レンジ、オーブン、炊飯器、ガスコンロ、電化調理器、自動車などの機内配線には絶縁電線、ケーブル、熱収縮チューブなどが用いられる。このような用途においては、高電圧の印加により発熱したり、狭いスペースへの配置が必要となる場合があるため、これらの絶縁電線などには、耐熱老化性および柔軟性が要求される。
そして、このような絶縁電線、ケーブルの被覆材、熱収縮チューブなどの素材として、ポリラクトン骨格を有するポリエステル系樹脂が知られている。例えば、特開昭60−65404号公報(特許文献1)には、結晶性芳香族ポリエステルセグメントとポリラクトンセグメントからなるポリエステル型ブロック共重合体で被覆されたポリエステルエラストマー被覆電線が開示されている。この文献には、前記ブロック共重合体に関し、結晶性ポリエステルとラクトン類との共重合割合は、97/3〜5/95の範囲内で選択でき、ケーブルのような強度が要求される場合には、上記割合が95/5〜70/30の範囲を選択するのが好ましく、柔軟性、可撓性等が要求される用途では80/20〜60/40の範囲を選択するのが好ましいことが記載されている。
また、特開2000−95846号公報(特許文献2)には、酸成分(A)として、(A1)芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸、(A2)脂肪族オキシカルボン酸(カプロラクトンなど)、(A3)分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸をモノマー単位として含有し、且つグリコール成分(B)として脂肪族ジオールをモノマー単位として含有する熱可塑性ポリエステル樹脂であり、かつ溶融指数(MI:230℃、荷重2.16kg下で)が1〜50であることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂が開示されている。この文献には、芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸(A1)と脂肪族オキシカルボン酸(A2)の比率は80/20〜50/50が好ましく、さらには柔軟性の点で65/35〜50/50であるのが好ましいことが記載されている。なお、この文献の実施例1では、テレフタル酸ジメチル3.5モル及びイソフタル酸ジメチル2.2モル、(A2)ε−カプロラクトン4.0モル、(A3)フマル酸ジメチル0.4モル、(B) 1,4−ブタンジオール10.0モルの比率で一括仕込みしてエステル交換反応を行い、メタノールを留去し、その後、さらに減圧下で重縮合反応を行って、融点136℃、MI24(190℃、5kg荷重のメルトフローレート)のポリエステル樹脂を得、このポリエステル樹脂100重量部に対し、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン10重量部、三酸化アンチモン5重量部、ヒンダードフェノール酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、チバガイギー社製)1重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート5重量部の割合でヘンシェルミキサーで予備混合し、二軸混合機を用いて溶融混練し、溶融ストランドを冷却切断してペレット化したことが記載されている。そして、この文献の熱可塑性ポリエステル樹脂は、その化学構造上、エラストマーとしての優れた性能を発揮すると共に、その骨格に不飽和基を主鎖に有するので、放射線照射により架橋構造を堅固に有しており、柔軟性、耐熱老化性、耐摩耗性に優れるだけでなく、電気絶縁性にも優れていて、絶縁電線、絶縁ケーブル、熱収縮チューブ等広く種々の用途に有用であると記載されている。
さらに、特開2002−275360号公報(特許文献3)には、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂(A)100重量部あたり1〜30重量部のゴム状重合体(B)を配合した電気絶縁材料(熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物)が開示されている。この文献には、前記熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂(A)は、結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類とを反応させて得られたポリエステル型ブロック共重合体であり、前記結晶性芳香族ポリエステルと前記ラクトン類との共重合割合は、重量比で97/3〜5/95が好ましく、より一般的には95/5以上、最も好ましくは80/20以上、上限はより一般的には30/70以下、最も好ましくは60/40以下の範囲であることが記載されている。なお、この文献には、前記組成物が、用途、目的などに応じて、従来公知の結晶化促進剤、結晶核材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電性改良剤、耐加水分解改良剤、多官能架橋剤、耐衝撃改良剤、金属劣化防止剤、着色剤などを配合してもよいことが記載されている。
しかし、これらの文献に記載のポリエステル系樹脂又は絶縁材料では、柔軟性をある程度改善できるものの、依然として耐熱性が十分でない。特に、これらのポリエステル系樹脂は、絶縁電線、ケーブルの被覆材、チューブの素材などの用途においては、導体として用いる銅線あるいは錫メッキ処理された銅線に被覆される場合が多く、このような導電性が高い銅と接触した状態での耐熱性を十分に改善できない。
なお、耐熱性を向上させるため、ポリエステル系樹脂の結晶化度を高めることが考えられるが、結晶化度を高めると、柔軟性が低下する。そのため、前記のような電線などの用途では、配線作業性が低下する。
特開昭60−65404号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄) 特開2000−95846号公報(特許請求の範囲、段落番号[0031][0035][0047][0048]) 特開2002−275360号公報(特許請求の範囲、段落番号[0013][0018])
従って、本発明の目的は、耐熱性(特に、銅などの金属に接触する状態で使用する際の耐熱性)と、柔軟性とを両立できるポリエステル系樹脂組成物、およびこの樹脂組成物で形成された成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた耐熱性と、機械的強度及び柔軟性とを備えているとともに、架橋又は硬化を要することがなく、取扱性に優れているポリエステル系樹脂組成物(熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物)、およびこの樹脂組成物で形成された成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、導体(特に、銅線などの銅を含む導体)と接触させて使用しても、高い耐熱性を有し、配置作業性(例えば、配線作業性)を向上できる樹脂組成物、およびこの樹脂組成物で形成された成形体を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリエステル系樹脂組成物において、特定のポリエステル系樹脂と、フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤とを組み合わせることにより、機械的強度や柔軟性を損なうことなく、優れた耐熱性(特に、銅に接触する場合の耐熱性)を付与できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、芳香族ポリエステル単位および脂肪族ポリエステル単位を有するポリエステル系樹脂と、フェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤とで構成されている。前記ポリエステル系樹脂において、芳香族ポリエステル単位は、C2−4アルキレンアリレート単位(例えば、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなどのC2−4アルキレンテレフタレート)で構成されていてもよく、脂肪族ポリエステル単位はポリC4−10ラクトン単位(ポリカプロラクトンなど)で構成されていてもよい。また、前記ポリエステル系樹脂において、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=60/40〜90/10程度であってもよい。また、ポリエステル系樹脂は、高融点(例えば、融点200℃以上)を有していてもよく、ビカット軟化点175℃以上を有していてもよい。
前記フェノール系酸化防止剤は、例えば、モノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニルカルボン酸とジヒドロキシヘテロ環式スピロ化合物とのジエステルであってもよく、前記イオウ系酸化防止剤は、ポリヒドロキシアルカン−アルキルチオアルカノエートであってもよい。前記樹脂組成物において、フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤との割合は、前者/後者(重量比)=60/40〜10/90程度であってもよい。また、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤の割合は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤0.01〜0.5重量部程度およびイオウ系酸化防止剤0.01〜0.5重量部程度であってもよい。
代表的な前記樹脂組成物には、(1)ポリエステル系樹脂が、芳香族ポリエステル単位がC2−4アルキレンテレフタレート単位を有するホモ又はコポリエステル単位であり、脂肪族ポリエステル単位がポリC4−10ラクトン単位であり、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合が、前者/後者(重量比)=65/35〜85/15であり、かつ融点205℃以上を有するポリエステル系樹脂であり、(2)フェノール系酸化防止剤が、モノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニルカルボン酸とジヒドロキシヘテロ環式スピロ化合物とのジエステルであり、(3)イオウ系酸化防止剤が、ポリヒドロキシアルカン−アルキルチオアルカノエートであり、(4)フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤との割合が、前者/後者(重量比)=55/45〜15/85である樹脂組成物などが含まれる。
本発明の樹脂組成物は、耐熱老化性に優れており、例えば、銅板に挟んで接触させた状態で、温度180℃で3時間保持した後、JIS K 6760に準じて測定した引張伸度は、厚み3mmのJIS2号片において、200%以上程度であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、導体と接触する状態であっても、耐熱老化性に優れているため、特に、導体を被覆するための被覆材に用いる樹脂組成物(被覆用樹脂組成物)であってもよい。
本発明には、前記樹脂組成物で形成又は構成された成形体(例えば、導体と、この導体を被覆する前記樹脂組成物とで構成された成形体)も含む。このような成形体は、例えば、絶縁電線、ケーブル又はチューブであってもよい。
本発明の樹脂組成物では、特定のポリエステル系樹脂と、フェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤とを組み合わせるので、耐熱性(銅などの金属に接触する状態で使用する際の耐熱性)と、柔軟性とを両立できる。このような本発明の樹脂組成物は、特に銅に対する耐熱性が高く、銅と接触させて使用する場合(例えば、銅線に接触させる場合)であっても、耐熱性(耐熱老化性)に優れている。また、本発明の樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂として、通常、不飽和結合などの架橋性基を有しない熱可塑性ポリエステル系樹脂を使用できるため、優れた耐熱性と、機械的強度及び柔軟性とを備えているとともに、架橋又は硬化を要することがなく、取扱性に優れている。特に、本発明の樹脂組成物では、導体(特に、銅線などの銅を含む導体)と接触させて使用しても、高い耐熱性を有しており、柔軟性にも優れているため、配置作業性(例えば、配線作業性)に優れている。このため、本発明の樹脂組成物は、絶縁電線、ケーブル、チューブなどに優れた耐熱性(又は耐熱老化性)や柔軟性を付与するための被覆材などとして好適に利用できる。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂と酸化防止剤とで構成されている。
[ポリエステル系樹脂]
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、芳香族ポリエステル単位(芳香族ポリエステルセグメント、芳香族ポリエステル鎖、単に芳香族ポリエステルということがある)と、脂肪族ポリエステル単位(脂肪族ポリエステルセグメント、脂肪族ポリエステル鎖、単に脂肪族ポリエステルということがある)とを有するポリエステル系樹脂である。すなわち、前記ポリエステル系樹脂は、ハードセグメント(硬質ポリエステルブロック)としての芳香族ポリエステル単位と、ソフトセグメント(軟質ポリエステルブロック)としての脂肪族ポリエステル単位とが結合したポリエステルブロック共重合体(ポリエステル型ブロック共重合体)である。なお、このようなポリエステルブロック共重合体は、ポリエステル系エラストマーと称される場合もある。
芳香族ポリエステル(又は芳香族ポリエステル単位)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分と、ジオール成分との重縮合により得られたホモポリエステル又はコポリエステルなどが挙げられる。芳香族ポリエステルは、通常、結晶性芳香族ポリエステルであってもよい。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸などのアルキル置換フタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸;4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシアルカンジカルボン酸;ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸などのジフェニルエーテルジカルボン酸;ジフェニルメタンジカルボン酸などのジフェニルアルカンジカルボン酸;ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜20(好ましくは8〜16)程度の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸成分には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルなどのC1−4アルキルエステル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドなども含まれる。これらの芳香族ジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、結晶性の点から、テレフタル酸を用いる場合が多い。
ジオール成分としては、脂肪族ジオール成分、芳香族ジオール成分、脂環族ジオール成分などが挙げられる。脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコールなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールなどの脂肪族C2−12ジオールなどが挙げられる。これらの脂肪族ジオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記脂肪族ジオールのうち、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどのアルカンC2−8ジオールなど)が好ましい。
芳香族ジオール成分としては、芳香族C6−20ジオール、例えば、レゾルシノール、ヒドロキノン、ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA,F,ADなどのビスフェノール類、ビスフェノール類のC2−4アルキレンオキサイド付加体(例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシポリエトキシフェニル)プロパンなど)などが挙げられる。また、脂環族ジオール成分としては、脂環族C6−20ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパンなどの水添ビスフェノール、これらのジオールのC2−4アルキレンオキサイド付加体などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール成分は、少なくとも脂肪族ジオール成分(例えば、C2−4アルカンジオール)で構成する場合が多い。
なお、結晶性芳香族ポリエステルは、前記芳香族ジカルボン酸成分及びジオール成分に加え、必要により、少量であれば他のモノマー成分、例えば、脂肪族ジカルボン酸成分(例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数2〜40(好ましくは炭素数2〜20)程度の脂肪族ジカルボン酸おおよびこれらのエステル形成可能な誘導体)、脂環族ジカルボン酸成分(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度の脂環族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成可能な誘導体)、ラクトン成分(後述の成分など)などをモノマー成分とするポリエステル(コポリエステル)であってもよい。これらの他のモノマー成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、コポリエステルでは、これらの成分のうち、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリC2−4アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2−4アルキレン)単位を含むグリコールなど]、脂環族ジオール成分(例えば、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族C6−20ジオールなど)、芳香族ジオール成分、脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸などの炭素数6〜12程度の脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸成分などモノマー成分として含む場合が多い。
代表的な芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート[例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(ポリテトラメチレンテレフタレート)などのポリC2−4アルキレンテレフタレート]、ポリシクロアルキルジアルキレンテレフタレート(例えば、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなどのポリC2−4アルキレンナフタレート)、アルキレンテレフタレート単位を主成分とする(例えば、アルキレンテレフタレート単位の含有割合が60モル%以上、好ましくは80モル%以上の)コポリエステル[例えば、アルキレンテレフタレート(特に、エチレンテレフタレート又はテトラメチレンテレフタレート)単位とシクロアルキルジアルキレンテレフタレート単位とを有するコポリエステル、アルキレンテレフタレート(特に、エチレンテレフタレート又はテトラメチレンテレフタレート)単位とアルキレンイソフタレート(特に、エチレンイソフタレート又はテトラメチレンイソフタレート)単位とを有するコポリエステルなどのアルキレンアリレートのコポリエステル;アルキレンテレフタレート(特に、エチレンテレフタレート又はテトラメチレンテレフタレート)単位と、エチレンアジペート単位又はエチレンセバケート単位とを有するコポリエステルなどのアルキレンアリレート単位と脂肪族ポリエステル単位とを有するコポリエステル;アルキレンテレフタレート(特に、エチレンテレフタレート又はテトラメチレンテレフタレート)単位とアルキレンオキシベンゾエート単位(エチレン又はテトラメチレンオキシ−p−オキシベンゾエート単位など)とを有するコポリエステルなど]などのアルキレンアリレート単位を有するホモ又はコポリエステル;ポリエステルエーテル(例えば、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ−p−フェニレンビスオキシエトキシテレフタレート)のホモ又はコポリエステルなどが挙げられる。
これらのうち、アルキレンアリレート単位を有するポリエステル(ホモ又はコポリエステル)が好ましく、特に、アルキレンテレフタレート(特に、エチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレートなどのC2−4アルキレンテレフタレート)単位を有するポリエステル(ホモ又はコポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)が好ましい。なお、アルキレンテレフタレート単位を有するコポリエステルにおいて、アルキレンテレフタレートの含有割合は、芳香族ポリエステル単位全体の60モル%以上(例えば、65〜99.5モル%程度)、好ましくは70モル%(例えば、75〜99モル%程度)、さらに好ましくは80モル%以上(例えば、85〜98モル%程度)であってもよい。
なお、芳香族ポリエステルの融点は、例えば、160℃以上(例えば、170〜270℃程度)、好ましくは180〜250℃、さらに好ましくは190〜240℃(例えば、200〜235℃)程度であってもよい。また、前記芳香族ポリエステルの数平均分子量は、5000以上(例えば、5000〜1000000)、好ましくは10000〜500000、さらに好ましくは15000〜300000程度であってもよい。さらに、前記芳香族ポリエステルのメルトフローレートは、温度240℃、荷重2.16kgの条件で、例えば、1〜20g/10分、好ましくは3〜15g/10分、さらに好ましくは5〜12g/10分程度であってもよい。
脂肪族ポリエステル(脂肪族ポリエステル単位)は、脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分とが重合したポリエステル(例えば、ポリエチレンアジペートなど)などであってもよいが、通常、ラクトン成分が重合したポリラクトン(ポリラクトン単位)であってもよい。
ラクトン成分としては、例えば、ラクトン[例えば、プロピオラクトン(β−プロピオラクトンなど)、ブチロラクトン、バレロラクトン(δ−バレロラクトン、メチル化(δ−バレロラクトン)など)、カプロラクトン(ε−カプロラクトン、2−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−ε−カプロラクトン、4,4’−ジメチル−ε−カプロラクトンなどのメチル化カプロラクトン(ε−カプロラクトンなど)など)、ラウロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクトン、ドデカノラクトン、ステアロラクトンなどのC3−20ラクトン、好ましくはC4−15ラクトン、さらに好ましくはC4−10ラクトン]の他、オキシカルボン酸[例えば、脂肪族オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸などの脂肪族C2−10オキシカルボン酸、好ましくは脂肪族C2−6オキシカルボン酸など)、芳香族オキシカルボン酸(例えば、ヒドロキシ安息香酸、オキシナフトエ酸など)、環状ジエステル(例えば、グリコリド、ラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド又はこれらの混合物)などのC4−15環状ジエステル、好ましくはC4−10環状ジエステルなど)などが挙げられる。これらのラクトン成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのラクトン成分のうち、ラクトン(例えば、C4−10ラクトン)が好ましく、カプロラクトン(特にε−カプロラクトン)が特に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂において、芳香族ポリエステル単位と、脂肪族ポリエステル単位(特に、ポリラクトン単位)との割合は、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合(共重合割合)は、その用途によって適宜調整できる。一般に、結晶性芳香族ポリエステルの割合が増大すると、得られる組成物は硬くなり、強度、伸度などの機械的特性が向上する一方、脂肪族ポリエステル単位の割合が増大すると、得られる組成物は軟質化し、低温特性が向上する。このため、前記ポリエステル系樹脂において、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合は、機械的強度、低温特性などのバランスを考慮して、前者/後者(重量比)=30/70〜97/3(例えば、40/60〜95/5)の範囲から選択でき、例えば、50/50〜93/7(例えば、55/45〜90/10)、好ましくは60/40〜90/10(例えば、63/37〜88/12)、さらに好ましくは65/35〜85/15、特に70/30〜80/20程度であってもよい。特に、後述するように、高融点および高ビカット軟化点を有するポリエステル系樹脂では、芳香族ポリエステル単位が高割合(例えば、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合が、前者/後者(重量比)=65/35〜85/15程度)であるのが好ましい。
なお、前記ポリエステル系樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、本発明のポリエステル系樹脂は、通常、不飽和結合(又は不飽和基)を有しないポリエステル系樹脂であってもよい。本発明では、熱又は光硬化性でない熱可塑性ポリエステル系樹脂を使用できる。
また、ポリエステル系樹脂の末端は封鎖されていてもよい。末端の封鎖は、ポリエステル系樹脂と、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物などの慣用の化合物とを反応させることにより行うことができる。
前記ポリエステル系樹脂の数平均分子量は、例えば、8000以上(例えば、8000〜1200000)、好ましくは12000〜700000、さらに好ましくは15000〜500000程度であってもよい。さらに、前記ポリエステル系樹脂のメルトフローレートは、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、例えば、0.5〜18g/10分、好ましくは1〜12g/10分、さらに好ましくは3〜10g/10分程度であってもよい。
前記ポリエステル系樹脂の融点は、芳香族ポリエステルの種類や、脂肪族ポリエステル単位の割合などに応じて変化するが、例えば、200℃以上(例えば、203〜260℃程度)、好ましくは205〜250℃、さらに好ましくは210〜240℃程度であってもよい。また、前記ポリエステル系樹脂のビカット軟化点は、例えば、173℃以上(例えば、174〜230℃程度)、好ましくは175℃以上(例えば、176〜220℃程度)、さらに好ましくは190〜210℃程度であってもよい。なお、ビカット軟化点は、JIS K 7206に基づいて測定できる。
なお、前記ポリエステル系樹脂は、市販品を用いてもよく、製造することもできる。製造方法としては、特に制限されないが、代表的には、前記ポリエステル系樹脂は、芳香族ポリエステル(結晶性芳香族ポリエステル)と、ラクトン成分とを反応させることにより得られる。反応は、公知の種々の方法を利用できるが、芳香族ポリエステルと、ラクトン成分とを溶融状態で反応させる方法(溶融法)を好適に利用できる。
特に、耐熱老化性に優れたポリエステル系樹脂組成物に適用するためのポリエステル系樹脂を得るためには、芳香族ポリエステルとラクトン成分とを均一に混合し、これらの混合割合を精密に調整することが重要である。
そして、このような混合割合の精密調整には、スタティックミキサーを用いるのが好ましい。例えば、前記ポリエステル系樹脂は、溶融状態の芳香族ポリエステルとラクトン成分とをスタティックミキサーに添加して反応させることにより調製してもよい。芳香族ポリエステルの溶融は、押出機などを用いて行うことができる。なお、芳香族ポリエステルおよびラクトン成分のうち、一方の成分(例えば、ラクトン成分)を、ギアポンプなどを用いて一定速度でスタティックミキサーに添加すると、より一層高い精度で両成分の割合を調整することができるとともに、連続的にポリエステル系樹脂が得られる。
なお、スタティックミキサー(SMXL)とは、ミキシングエレメントと称される攪拌翼の形状が異なるもの、または同様の形状であっても内径が異なるものをいう。このようなスタティックミキサーとしては、例えば、ケニックス式スタティックミキサー、スルザ−社SMX、SMXL、東レ式スタティックミキサーなどが知られている。
[酸化防止剤]
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤(又は抗酸化剤)を含んでいる。本発明では、通常、少なくともフェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤とを組み合わせて酸化防止剤を構成することにより、前記ポリエステル系樹脂に優れた耐熱性(耐熱老化性)を付与することができる。
(フェノール系酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤には、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が含まれる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール類)としては、例えば、モノフェノール類、ビスフェノール類、多価フェノール類などが例示できる。モノフェノール類としては、置換基を有していてもよいモノ又はジ−分岐C3−6アルキルフェノール[例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどのC1−4アルキル−ジ−分岐C3−6アルキルフェノール;2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノールなどのC1−4アルコキシ−モノ又はジ−分岐C3−6アルキルフェノール;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのC10−20アルキル−(ジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニル)C2−6アルカノエート;2−エチルヘキシル−(2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)アセテートなどのC3−10アルキル−(ジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシベンジルチオ)C2−6アルカノエート;ジステアリル−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネートなどのジC10−20アルキル−(ジ−分岐C2−6アルキル−ヒドロキシベンジル)ホスホネートなど]、C4−10アルキルチオ基を有するフェノール[2,4−ジ(オクチルチオ)メチル−6−メチルフェノールなど]、ビスフェノール類と(メタ)アクリル酸とのモノエステル[例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチル−6−t−ブチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)エチル]−4−メチル−6−t−ブチルフェニルアクリレートなどのC1−4アルキレンビス(モノ又はジ−分岐C3−6アルキルフェノール)と(メタ)アクリル酸とのモノエステルなど]などが例示できる。
ビスフェノール類としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス[4,6−ジ(t−ペンチル)フェノール]、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのC1−6アルキレンビス(モノ又はジ−分岐C3−6アルキルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのチオビス(モノ又はジ−分岐C3−6アルキルフェノール);ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]−1,6−ヘキサンジオールエステル、ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]−トリエチレングリコールエステルなどの(モノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニル)C2−6カルボン酸−モノ乃至テトラC2−4アルキレングリコールエステル;ヒドラゾビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナモイル)、N,N’−トリメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)などの(モノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニル)C3−6カルボン酸とC0−8アルキレンジアミンとのジアミド;3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニルカルボン酸[例えば、(モノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニル)アルカンカルボン酸、好ましくは(モノ又はジ−分岐C3−8アルキル−ヒドロキシフェニル)C2−8アルカンカルボン酸、さらに好ましくはモノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニル)C3−6アルカンカルボン酸]とジヒドロキシヘテロ環式スピロ化合物(特に、ジヒドロキシオキサスピロアルカン)とのジエステルなどが例示できる。
多価フェノール類には、トリスフェノール類{例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどのトリス(モノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシベンジル)C6−10アレーン;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどのトリス(モノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニル)C1−6アルカン;トリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]グリセリンエステルなどのモノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニルC2−6カルボン酸とC3−6アルカントリオールとのトリエステル;1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,3,5−トリス(2’,6’−ジメチル−3’−ヒドロキシ−4’−t−ブチルベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンなどのトリス(モノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−トリオンなど}、テトラフェノール類{例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのモノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニルC3−6カルボン酸とC3−6アルカンテトラオールとのテトラエステル;ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)酪酸]グリコールエステルなどのジ(モノ又はジ−分岐C3−6アルキル−ヒドロキシフェニル)C3−6カルボン酸−モノ乃至テトラC2−4アルキレングリコールエステル}などが含まれる。
これらのフェノール系酸化防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
好ましいフェノール系酸化防止剤には、ビスフェノール類および多価フェノール類、特に、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニルカルボン酸とジヒドロキシヘテロ環式スピロ化合物とのジエステルが含まれる。
前記樹脂組成物において、フェノール系酸化防止剤の割合は、前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.01〜7重量部(例えば、0.01〜5重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.02〜3重量部(例えば、0.03〜2重量部)、好ましくは0.01〜1重量部(例えば、0.05〜0.8重量部)、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部程度であってもよく、通常0.01〜0.5重量部(例えば、0.1〜0.3重量部)程度であってもよい。フェノール系酸化防止剤の割合が少なすぎると、耐熱性の改良効果が少なく、割合が大きすぎてもさらなる耐熱性の改良効果は望めない。
(イオウ系酸化防止剤)
イオウ系酸化防止剤には、例えば、チオジカルボン酸ジアルキルエステル[例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジ(トリデシル)3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル2,2’−チオジアセテート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネートなどのチオジC2−6アルカンカルボン酸ジC8−24アルキルエステル、好ましくはチオジC2−4アルカンカルボン酸ジC10−20アルキルエステル]、ポリオールのアルキルチオカルボン酸エステル[例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)などのアルカンポリオール−アルキルチオアルカノエート、好ましくはC3−8アルカンジ乃至ヘキサオール−C8−24アルキルチオC2−6アルカノエート、さらに好ましくはC3−6アルカンジ乃至テトラオール−C10−20アルキルチオC2−4アルカノエート]、アルキルチオ基を有するヘテロ環式スピロ化合物{例えば、3,9−ジ(ラウリルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど}などが含まれる。これらのイオウ系酸化防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
特に好ましいイオウ系酸化防止剤には、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)などのポリヒドロキシアルカン−アルキルチオアルカノエートが含まれる。
前記樹脂組成物において、イオウ系酸化防止剤の割合は、前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部(例えば、0.01〜7重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.02〜5重量部(例えば、0.03〜3重量部)、好ましくは0.01〜2重量部(例えば、0.05〜1重量部)、さらに好ましくは0.1〜0.7重量部程度であってもよく、通常0.01〜0.5重量部程度であってもよい。イオウ系酸化防止剤の割合が少なすぎると、耐熱性の改良効果が少なく、割合が大きすぎてもさらなる耐熱性の改良効果は望めない。
本発明では、前記のように、フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤とを併用することにより、銅などの導体に接触する環境下であっても、優れた耐熱性を有するポリエステル系樹脂組成物が得られる。フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤との割合は、前者/後者(重量比)=90/10〜3/97程度の範囲から選択でき、例えば、80/20〜5/95(例えば、70/30〜8/92)、好ましくは60/40〜10/90(例えば、55/45〜15/85)、さらに好ましくは50/50〜20/80(例えば、45/55〜25/75)程度であってもよい。
なお、酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤とを含んでいればよく、さらに他の酸化防止剤[例えば、アミン系酸化防止剤(芳香族アミン類、ヒンダードアミン系酸化防止剤など)、リン系酸化防止剤、ヒドロキノン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤など]を含んでいてもよい。これらの他の酸化防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、金属不活性化剤(金属劣化防止剤)を含んでいてもよい。金属不活性化剤を添加することにより、ポリエステル系樹脂組成物のビカット軟化温度以下での耐熱性および金属に対する劣化防止性能を向上させることができる。金属不活性化剤(金属劣化防止剤)としては、例えば、ヒドラジン誘導体[例えば、ビス(ベンジリデン)オキサロジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ビスフェニルヒドラジド、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N’−ジアセタール−アジピン酸ジヒドラジド、N,N’−ビスサリチロイル−シュウ酸ジヒドラジド、N,N’−ビスサリチロイル−チオプロピオン酸ジヒドラジド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンなど]、シュウ酸誘導体(例えば、オキサニリド)、サリチル酸誘導体[例えば、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾールなどのサリチロイル基、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジンなど]、トリアゾール誘導体(例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾールのナトリウム塩、トリルトリアゾール、トリルトリアゾールのナトリウム塩、トリルトリアゾールのカリウム塩)、トリアジン誘導体などが挙げられる。これらの金属不活性化剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
金属不活性化剤の割合は、前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度であってもよい。また、金属不活性化剤の割合は、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤の総量100重量部に対して、例えば、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは30〜100重量部(例えば、40〜80重量部)程度であってもよい。
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、メラミン系難燃剤などの有機系難燃剤、金属水酸化物などの無機系難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。難燃剤の割合は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部程度であってもよい。また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、酸化アンチモン、ホウ素化合物などの難燃助剤を添加してもよい。
ポリエステル系樹脂組成物は、引張伸度などを低下させない範囲であれば、さらに必要に応じて、多官能架橋剤を含んでいてもよい。多官能架橋剤は、電離性放射線の照射時に、架橋効率を高めるために用いられるものであり、絶縁電線などに被覆されたポリエステル系樹脂組成物に電離性放射線を照射して絶縁電線の耐熱性を向上させる効果がある。架橋剤としては、多官能性モノマー又はオリゴマー類が用いられる。多官能性モノマーとしては、例えば、多官能性(メタ)アクリレート(例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。これらの架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、本発明の樹脂組成物では、通常、多官能架橋剤を含んでいなくてもよい。
なお、本発明の樹脂組成物には、用途や目的などに応じて、慣用の添加剤、例えば、結晶化促進剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電性改良剤、耐加水分解改良剤、耐衝撃改良剤、着色剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、本発明の目的を損なわない限り、前記ポリエステル系樹脂に加えて、他の樹脂(前記ポリエステル系樹脂の範疇に属さないポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂など)を含んでいてもよい。なお、本発明の樹脂組成物は、通常、ゴム状重合体(ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系ゴムなど)を含んでいない場合が多い。
本発明の樹脂組成物は、特定のポリエステル系樹脂と特定の酸化防止剤とを組み合わせているため、耐熱性が著しく高く、特に、導電性が高い銅に対しても耐熱老化性に優れている。例えば、本発明の樹脂組成物を銅板に挟んで接触させた状態で、温度180℃で3時間保持した後、JIS K 6760に準じて測定した引張伸度は、200%以上(例えば、220〜800%程度)、好ましくは230〜700%、さらに好ましくは250〜600%程度であってもよい。なお、銅板は、メッキ処理されていてもよい。なお、上記引張強度は、前記樹脂組成物をJIS2号片(厚み3mm)に成形した試験片を用いて測定できる。
本発明の樹脂組成物は、前記ポリエステル系樹脂とフェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤と(必要に応じて他の成分と)を混合(特に溶融混合)することにより得ることができる。混合方法は、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。代表的な方法では、例えば、前記のようにしてポリエステル系樹脂を得た後、溶融状態の樹脂組成物(樹脂ストランド)を冷却固化(例えば、水槽へと導き、冷却固化)させ、冷却物をペレタイザーを用いてペレット化し、続いて、混合機(押出機、ロールミル、バンバリーミキサーなど)を利用して、ペレット化したポリエステル系樹脂と、前記酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤)と、必要に応じて他の成分とを混合して混練することにより、樹脂組成物を調製してもよい。
[成形体]
本発明の樹脂組成物は、耐熱老化性に優れており、被覆材、特に、導線などの導体を被覆するための被覆材(被覆用組成物、コーティング用組成物)として有用である。そして、本発明の成形体は、前記樹脂組成物で形成されている。成形体としては、耐熱老化性が要求される用途、例えば、電線(絶縁電線)、ケーブル、チューブ(例えば、熱収縮性チューブなど)などが挙げられる。このような成形体は、例えば、導体(特に、導線)と、この導体を被覆する前記樹脂組成物とで構成してもよい。導線(裸線)は、アルミ線、銅線などであってもよく、メッキ処理(例えば、スズメッキ処理)された導線であってもよい。特に、本発明の樹脂組成物では、銅線を被覆する場合であっても、優れた耐熱老化性を絶縁電線に付与できる。なお、前記樹脂組成物は、ケーブルを形成する場合、導線を被覆してもよく、複数の絶縁電線を被覆(すなわち、シースを構成)してもよく、導線および絶縁電線を被覆してもよい。
本発明の樹脂組成物は、特定のポリエステル系樹脂と特定の酸化防止剤とを組み合わせているため、柔軟性、機械的特性などに優れているとともに、耐熱性が著しく高い。このため、本発明の樹脂組成物は、被覆材として好適に利用でき、特に耐熱性や柔軟性が要求される用途の成形体、例えば、絶縁電線、ケーブル、チューブなどを形成又は構成するのに有用である。特に、前記樹脂組成物は、導体(又は導電体)と接触する状態(詳細には、通電した導体と接触する状態)で使用しても、耐熱老化性に優れているため、導体(特に、銅線などの導線)を被覆するための被覆材(絶縁被覆材料)として好適に用いることができる。このような被覆材は、導体そのものを被覆するための被覆材であってもよく、絶縁された導体(例えば、絶縁導線(被覆導線))を被覆するための被覆材(シース材)であってもよく、導体および絶縁された導体を被覆するための被覆材であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(製造例1)
芳香族ポリエステルであるポリブチレンテレフタレート(ウインテックポリマー(株)製「700FP」、融点225℃、240℃および荷重2.16kgにおけるメルトフローインデックス(MI値)9g/10分)を、2軸押出機に供給し、250℃に溶融させた。そして、ポリブチレンテレフタレートの溶融物を一定速度に設定したギアポンプを用いて、ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製、「PLACCEL M」)を液体注入ポンプを用いてそれぞれスタティックミキサー(スルザー社製、「SMX」)に供給することにより、ポリブチレンテレフタレートとε−カプロラクトンとを反応させ、連続的にポリエステルブロック共重合体を得た。なお、ポリブチレンフタレートとε−カプロラクトンの仕込み比は重量比で70:30である。このようにして得られた熱可塑性ポリエステル樹脂を押出し、ストランドを冷却してチップ化し、120℃で5時間乾燥後した。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(1)において、MIは6/10分(230℃、荷重2.16kg)、融点は208℃、ビカット軟化温度は178℃であった。
(製造例2)
芳香族ポリエステルであるポリブチレンテレフタレート(ウインテックポリマー(株)製「700FP」、融点225℃、240℃および荷重2.16kgにおけるメルトフローインデックス(MI値)9g/10分)を、2軸押出機に供給し、250℃に溶融させた。そして、ポリブチレンテレフタレートの溶融物を一定速度に設定したギアポンプを用いて、ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製、「PLACCEL M」)を液体注入ポンプを用いてそれぞれスタティックミキサー(スルザー社製、「SMX」)に供給することにより、ポリブチレンテレフタレートとε−カプロラクトンとを反応させ、連続的にポリエステルブロック共重合体を得た。なお、ポリブチレンフタレートとε−カプロラクトンの仕込み比は重量比で80:20である。このようにして得られた熱可塑性ポリエステル樹脂を押出し、ストランドを冷却してチップ化し、120℃で5時間乾燥後した。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(2)において、MI値は10g/10分(230℃、荷重2.16kg)、融点は215℃、ビカット軟化温度は201℃であった。
(製造例3)
芳香族ポリエステルであるポリブチレンテレフタレート(ウインテックポリマー(株)製「700FP」、融点225℃、240℃および荷重2.16kgにおけるメルトフローインデックス(MI値)9g/10分)を、2軸押出機に供給し、250℃に溶融させた。そして、ポリブチレンテレフタレートの溶融物を一定速度に設定したギアポンプを用いて、ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製、「PLACCEL M」)を液体注入ポンプを用いてそれぞれスタティックミキサー(スルザー社製、「SMX」)に供給することにより、ポリブチレンテレフタレートとε−カプロラクトンとを反応させ、連続的にポリエステルブロック共重合体を得た。なお、ポリブチレンフタレートとε−カプロラクトンの仕込み比は重量比で60:40である。このようにして得られた熱可塑性ポリエステル樹脂を押出し、ストランドを冷却してチップ化し、120℃で5時間乾燥後した。得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(3)において、MI値は5g/10分(230℃、荷重2.16kg)、融点は201℃、ビカット軟化温度は171℃であった。
(実施例1)
製造例1で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(1)に、フェノール系抗酸化剤として3,9−ビス{2−[3(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スミライザーGA−80:住友化学(株)製)、イオウ系抗酸化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)(スミライザーTDP:住友化学(株)製)を表1に示した割合で、V型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を20mm径の2軸押出機でバレル温度250℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却、切断して、成形用の熱可塑性ポリエステル樹脂(1−2)を得た。
(実施例2)
製造例2で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(2)に、フェノール系抗酸化剤として3,9−ビス{2−[3(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スミライザーGA−80:住友化学(株)製)、イオウ系抗酸化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)(スミライザーTDP:住友化学(株)製)を表1に示した割合で、V型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を20mm径の2軸押出機でバレル温度250℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却、切断して成形用の熱可塑性ポリエステル樹脂(2−2)を得た。
(実施例3)
製造例1で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(1)に、フェノール系抗酸化剤として3,9−ビス{2−[3(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スミライザーGA−80:住友化学(株)製)、イオウ系抗酸化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)(スミライザーTDP:住友化学(株)製)、サリチル酸誘導体金属不活性化剤として3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール(アデカスタブCDA−1:旭電化工業(株)製)を表1に示した割合で、V型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を20mm径の2軸押出機でバレル温度250℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却、切断して成形用の熱可塑性ポリエステル樹脂(1−3)を得た。
(実施例4)
製造例2で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(2)に、フェノール系抗酸化剤として3,9−ビス{2−[3(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スミライザーGA−80:住友化学(株)製)、イオウ系抗酸化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)(スミライザーTDP:住友化学(株)製)、サリチル酸誘導体金属不活性化剤として3−(N−サリチロイル)アミノー1,2,4−トリアゾール(アデカスタブCDA−1:旭電化工業(株)製)を表1に示した割合で、V型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を20mm径の2軸押出機でバレル温度250℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却、切断して成形用の熱可塑性ポリエステル樹脂(2−3)を得た。
(比較例1)
製造例1で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(1)をそのまま評価に用いた。これを熱可塑性ポリエステル樹脂(1−1)とした。
(比較例2)
製造例2で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(2)をそのまま評価に用いた。これを熱可塑性ポリエステル樹脂(2−1)とした。
(比較例3)
製造例3で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(3)をそのまま評価に用いた。これを熱可塑性ポリエステル樹脂(3−1)とした。
(比較例4)
製造例1で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂(1)に、抗酸化剤として4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(イルガスタブ CABLE KV10、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を表1に示した割合で、V型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を20mm径の2軸押出機でバレル温度250℃にて溶融混練し、ダイから吐出されるスレッドを冷却、切断して成形用の熱可塑性ポリエステル樹脂(1−4)を得た。
上記実施例および比較例で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂の組成及び初期物性を表1に示した。ビカット軟化温度の測定は、JIS K 7206(試験荷重10N、昇温速度120℃/h (A 120法))に基づいて、東洋精機(株)製「H.D.T&V.S.P.T TESTER」を用いて行った。
Figure 2008007621
そして、上記実施例および比較例で得られた熱可塑性ポリエステル樹脂のペレットを、型締力80tonfの射出成形機に物性用試験片モールドを取り付けてシリンダー温度240℃、金型温度40℃、射出圧力600kg/cm、冷却時間30秒、全サイクル60秒の成形条件で射出成形することにより、厚み3mmの試験片(JIS2号片)を製造した。
得られた試験片(JIS2号片)1本につきタフピッチ銅板100×30×1mm(日本テストパネル(株)製、C1100)2枚を用いて試験片の標線間(伸長部分)が隠れるように挟んだ。同じく試験片(JIS2号片)1本につき3μmの厚みでスズメッキ処理されたタフピッチ銅板100×30×1mm(日本テストパネルC1100)2枚を用いて試験片の標線間(伸長部分)が隠れるように重ね合わせた。試験片に均等に銅板が密着するよう平らなボードにのせ、試験片全体に1kgの錘を載せて確実に密着するようにしたうえで、180℃のオーブンに入れて耐熱試験を行った後、取り出して以下の評価試験を行った。結果を表2に示す。
破断強度、破断伸び:JIS K6760に準拠。
目視判定:試験片に現れた亀裂やひび割れを以下の3段階で評価した
×:試験片が分断されている
△:試験片表面にひび割れが見られる
○:試験片に特に変化は見られない。
なお、表2において、「評価」の項目は、上記目視判定において、評価が「○」であるものを「合格」とし、評価が「△」又は「×」であるものを「不合格」とした。
Figure 2008007621

Claims (12)

  1. 芳香族ポリエステル単位および脂肪族ポリエステル単位を有するポリエステル系樹脂と、フェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤とで構成されている樹脂組成物。
  2. 芳香族ポリエステル単位がC2−4アルキレンアリレート単位で構成され、脂肪族ポリエステル単位がポリC4−10ラクトン単位で構成されており、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合が、前者/後者(重量比)=60/40〜90/10である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリエステル系樹脂が、融点200℃以上およびビカット軟化点175℃以上を有するポリエステル系樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. フェノール系酸化防止剤が、モノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニルカルボン酸とジヒドロキシヘテロ環式スピロ化合物とのジエステルであり、イオウ系酸化防止剤が、ポリヒドロキシアルカン−アルキルチオアルカノエートである請求項1記載の樹脂組成物。
  5. フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤との割合が、前者/後者(重量比)=60/40〜10/90である請求項1記載の樹脂組成物。
  6. ポリエステル系樹脂100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤0.01〜0.5重量部およびイオウ系酸化防止剤0.01〜0.5重量部を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  7. (1)ポリエステル系樹脂が、芳香族ポリエステル単位がC2−4アルキレンテレフタレート単位を有するホモ又はコポリエステル単位であり、脂肪族ポリエステル単位がポリC4−10ラクトン単位であり、芳香族ポリエステル単位と脂肪族ポリエステル単位との割合が、前者/後者(重量比)=65/35〜85/15であり、かつ融点205℃以上を有するポリエステル系樹脂であり、(2)フェノール系酸化防止剤が、モノ又はジ−分岐アルキル−ヒドロキシフェニルカルボン酸とジヒドロキシヘテロ環式スピロ化合物とのジエステルであり、(3)イオウ系酸化防止剤が、ポリヒドロキシアルカン−アルキルチオアルカノエートであり、(4)フェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤との割合が、前者/後者(重量比)=55/45〜15/85である請求項1記載の樹脂組成物。
  8. 銅板に挟んで接触させた状態で、温度180℃で3時間保持した後、JIS K 6760に準じて測定した引張伸度が、厚み3mmのJIS2号片において、200%以上である請求項1記載の樹脂組成物。
  9. 導体を被覆するための被覆材に用いる請求項1記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1記載の樹脂組成物で形成された成形体。
  11. 導体と、この導体を被覆する前記樹脂組成物とで構成されている請求項10記載の成形体。
  12. 絶縁電線、ケーブル又はチューブである請求項10記載の成形体。
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