JP2008007363A - 撥水撥油防汚性ガラス板及びその製造方法並びにそれを用いた輸送機器、建造物及び光学機器 - Google Patents

撥水撥油防汚性ガラス板及びその製造方法並びにそれを用いた輸送機器、建造物及び光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】撥水撥油防汚性や水滴離水性(滑水性ともいう)及び耐摩耗性や耐候性等の耐久性の向上した撥水撥油防汚性ガラス板及びその製造方法並びにそれを用いた輸送機器、建造物及び光学機器を提供する。
【解決手段】撥水性又は撥油性被膜3を有する透明微粒子1を調製し、これを金属アルコキシドを含む溶液中に分散後、得られた分散液を基材ガラス5の表面に塗布し乾燥後熱処理し、透明微粒子が結合固定された基材ガラス5の表面に撥水撥油防汚性被膜8を形成することにより、焼結固定された撥水撥油防汚性の透明微粒子9で表面が覆われている超撥水撥油防汚性ガラス板10を製造する。この超撥水撥油防汚性ガラス板10を、輸送機器、建造物、光学機器に使用する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高耐久性で且つ撥水撥油防汚性被膜が表面に形成されたガラス板に関するものである。詳しくは、撥水撥油防汚機能が要求される自動車等の輸送機器やビル等の建造物の窓用ガラス板や光学機器フィルター用のガラス板に関するものである。更に、それを用いた輸送機器、建造物及び光学機器及びその製造方法に関するものである。
一般にフッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤と非水系の有機溶媒よりなる膜形成溶液を用い、液相で化学吸着して単分子膜状の撥水撥油防汚性化学吸着膜を形成できることはすでによく知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面のヒドロキシル基などの活性水素とクロロシラン系の吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜を形成することにある。
特開平4−132637号公報
しかしながら、従来の化学吸着膜は吸着剤と平坦な基材表面との化学結合のみを用いているため、水滴接触角は高々120度程度止まりであり、水滴や汚れが自然に除去されるためには撥水撥油防汚性や離水性が乏しいという課題があった。また、耐摩耗性や耐候性等の耐久性も乏しいという課題があった。
本発明は、撥水撥油防汚機能が要求される自動車などの輸送機器やビル等の建造物の窓用ガラス板及び光学機器フィルター用のガラス板において、撥水撥油防汚性や水滴離水性(滑水性ともいう)及び耐摩耗性や耐候性等の耐久性の向上を図ることができる撥水撥油防汚性ガラス板及びその製造方法並びにそれを用いた輸送機器、建造物及び光学機器を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として提供される第1の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、焼結固定された撥水撥油防汚性の透明微粒子で表面が覆われていることを特徴とする。
第2の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第1の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子は、その表面の一部分が撥水撥油防汚性被膜で被覆されていることを特徴とする。
第3の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第2の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子は透明な金属酸化物膜を介して基材ガラスの表面に焼結固定されていることを特徴とする。
第4の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第3の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、前記金属酸化物膜はシリカ系ガラス膜であることを特徴とする。
第5の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第4の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、前記シリカ系ガラス膜の表面が前記撥水撥油防汚性被膜で被覆されていることを特徴とする。
第6の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第5の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、少なくとも前記撥水撥油防汚性被膜が前記透明微粒子及び前記シリカ系ガラス膜の表面に共有結合していることを特徴とする。
第7の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第1〜第6の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子が透光性のシリカ、アルミナ、又はジルコニアであることを特徴とする。
第8の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第1〜第7の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子の大きさが可視光の波長よりも小さいことを特徴とする。
第9の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板は、第1〜第8の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板において、水に対する接触角が130度以上に制御されていることを特徴とする。
第10の発明に係る輸送機器は、第1〜第9の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板を窓ガラスとして装着したことを特徴とする。
第11の発明に係る建造物は、第1〜第9の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板を窓ガラスとして装着したことを特徴とする。
第12の発明に係る光学機器は、第1〜第9の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板をフィルターとしてレンズ前面に装着したことを特徴とする。
第13の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に前記透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、前記分散液を基材ガラスの表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で前記分散液が塗布された基材ガラスを熱処理する第4工程と、前記第4工程で熱処理された基材ガラスの表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有することを特徴とする。
なお、本明細書において「金属アルコキシド」は、テトラアルコキシシランを含むものとする。
第14の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第13の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記金属アルコキシドは、熱処理によりシリカ系ガラスを生成することを特徴とする。
第15の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第13及び第14の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記第4工程の熱処理温度が、250℃以上かつ、前記基材ガラス及び前記透明微粒子の融点以下であることを特徴とする。
第16の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第13〜第15の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記金属アルコキシドを溶かした溶媒が水系であり、前記第1工程の透明微粒子の表面を覆う被膜は撥水性であることを特徴とする。
第17の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第13〜第15の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記金属アルコキシドを溶かした溶媒が有機系であり、前記第1工程の透明微粒子の表面を覆う被膜は撥油性であることを特徴とする。
第18の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第13〜第17の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記第5工程における前記撥水撥油防汚性被膜の形成は、(1)フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒、(2)フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体、及び(3)フッ化炭素基を有するイソシアネート誘導体、のいずれかと有機溶媒とを含む膜形成溶液と、表面に前記透明微粒子を焼結固定させた前記基材ガラスとを接触させて行うことを特徴とする。
第19の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第18の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記膜形成溶液と前記基材ガラスの接触後、余分な膜形成溶液を洗浄除去することを特徴とする。
第20の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法は、第18及び第19の発明に係る撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記膜形成溶液は前記シラノール縮合触媒を含み、しかもケチミン化合物、有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数の化合物を、助触媒として前記シラノール縮合触媒と共に用いることを特徴とする。
ここで、焼結固定された撥水撥油防汚性の透明微粒子で表面が覆われていることにより、ガラス板の撥水撥油防汚性、水滴離水性(滑水性)、耐摩耗性、耐候性等を向上することが可能になる。
また、一部分の表面が撥水撥油防汚性被膜で覆われた透明微粒子を用いることにより、シリカ、アルミナ等の安価で耐磨耗性等に優れた原料を用いて撥水撥油防汚性のガラス板を簡便に製造することが可能になる点で都合がよい。
透明微粒子が透明な金属酸化物膜を介して基材ガラスの表面に焼結固定されていると、耐磨耗性を向上させる上で都合がよい。
また、金属酸化物膜がシリカ系ガラス膜である場合には、基材ガラスと屈折率や熱膨張率が同一であるため、光学特性及び耐熱性等を向上させる点で都合がよい。
また、シリカ系ガラス膜の表面が撥水撥油防汚性被膜で被覆されていると撥水撥油防汚性を高める上で都合がよい。
少なくとも撥水撥油防汚性被膜が透明微粒子及びシリカ系ガラス膜の表面に共有結合していると耐久性を向上する上で都合がよい。
更に、透明微粒子が透光性のシリカ、アルミナ、あるいはジルコニアであると耐摩耗性を向上する上で都合がよい。
また、透明微粒子の大きさが、可視光の波長(360〜700nm)よりも小さいと、撥水撥油防汚性ガラス板の透明度を保つ上で都合がよい。なお、透明微粒子の大きさは、好ましくは10〜300nmであり、より好ましくは50〜100nmである。
撥水撥油防汚性ガラス板において、水に対する接触角が130度以上に制御されていると、水滴離水性が向上するため、輸送機器や建造物の窓ガラスとして使用した場合に、雨天時における外部視認性が向上すると共に、防汚性が向上するため都合がよい。
また、撥水撥油防汚性ガラス板を、自動車等の輸送機器の窓ガラスとして装着した場合、雨天時における車外視認性を向上できて都合がよい。
また、撥水撥油防汚性ガラス板を、建造物の窓ガラスとして装着した場合、雨天時における屋外視認性を向上できて都合がよい。
また、撥水撥油防汚性ガラス板を、監視カメラ等の光学機器フィルターとしてレンズ前面に装着しておくと、雨天時においても映像を鮮明に保つことができて都合がよい。
表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、分散液を基材ガラスの表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で分散液が塗布された基材ガラスを熱処理する第4工程と、第4工程で熱処理された基材ガラスの表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有する撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法に関する発明により、撥水撥油防汚性、水滴離水性(滑水性)、耐摩耗性、耐候性等が向上した撥水撥油防汚性ガラス板を安価かつ簡便に製造することが可能になる。
またこのとき、金属アルコキシドが、熱処理によりシリカ系ガラスを生成するものである場合には、耐磨耗性及び耐候性を向上できて都合がよい。
また、第4工程の熱処理温度が、250℃以上かつ、基材ガラス及び透明微粒子の融点以下であると、微粒子の結合固定の際に、基材ガラス及び透明微粒子の溶融による変形を防止することができるため都合がよい。
また、金属アルコキシドを溶かした溶媒が水系の場合、透明微粒子の表面を覆う被膜を撥水性のものにしておくと、塗布時、金属アルコキシドを含む溶液から微粒子を露出させ、アスペクト比の高い凸凹を形成できて都合がよい。
あるいは、金属アルコキシドを溶かした溶媒が有機系の場合、透明微粒子の表面を覆う被膜を撥油性のものにしておくと、塗布時、金属アルコキシドを含む溶液から微粒子を露出させ、アスペクト比の高い凹凸を形成できて都合がよい。
また、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程を、(1)フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒、(2)フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体、及び(3)フッ化炭素基を有するイソシアネート誘導体のいずれかと有機溶媒とを含む膜形成溶液と、表面に透明微粒子を焼結固定させた基材ガラスとを接触させることにより行うと、簡便な操作で撥水撥油防汚性能を向上させることができるため都合がよい。
撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程において、膜形成溶液と基材ガラスの接触後、余分な膜形成溶液を洗浄除去する工程を含めると、撥水撥油防汚性能を向上するうえで都合がよい。
更に、撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程において、シラノール縮合触媒を含む膜形成溶液を使用する場合に、ケチミン化合物、有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数の化合物を、助触媒としてシラノール縮合触媒と共に用いると、製造時間を短縮できて都合がよい。
以上説明したとおり、本発明によれば、撥水撥油防汚機能が要求される自動車やビルの窓用ガラス板、光学機器用のフィルターにおいて、水滴離水性(滑水性ともいう)や防汚性及び耐摩耗性や耐候性等の耐久性に優れた撥水撥油防汚性ガラス板及びそれを用いた輸送機器、建造物、光学機器を提供できる効果がある。
本発明は、表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に前記透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、前記分散液を基材ガラスの表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で前記分散液が塗布された基材ガラスを熱処理する第4工程と、前記第4工程で熱処理された基材ガラスの表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有する方法により製造される、表面が焼結された撥水撥油防汚性の透明微粒子で覆われていることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板を提供するものである。更に、そのような撥水撥油防汚性ガラス板を装着した輸送機器、建造物、及び光学機器を提供するものである。
従って、本発明には、撥水撥油防汚機能が要求される輸送機器や建造物の窓用ガラス板及び光学機器用フィルターにおいて、水滴離水性(滑水性)や防汚性及び耐摩耗性や耐候性等の耐久性に優れた撥水撥油防汚性ガラス板やフィルター、及びそれを用いた輸送機器や建造物、光学機器を提供できる作用がある。
以下、本発明の特徴や実施形態に関する詳細を、実施例を用いて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、本発明に関する撥水撥油防汚性ガラス板は、自動車等の輸送機器やビル等の建造物の窓ガラス、光学機器用のフィルターとして使用できるが、代表例として、自動車の窓ガラスとして使用する場合を取り上げて説明する。
(実施例1)
(A)化学吸着液の調製
フッ化炭素基(−CF)を有するトリアルコキシシラン誘導体の一例であるCF(CF(CHSi(OCH99重量部、シラノール縮合触媒の一例であるジブチルスズジアセチルアセトナート1重量部をそれぞれ秤量し、有機溶媒の一例であるヘキサメチルジシロキサン溶媒に、トリアルコキシシラン誘導体の濃度が1重量%程度(好ましい濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶解して、化学吸着液を調製した。
(B)撥油性の単分子膜(被膜の一例)で被覆されたシリカ微粒子の製造
透明微粒子の一例である、直径100nm程度(透明度を損なわないためには、微粒子の直径は、可視光波長(360〜700nm)より小さいことが好ましい。具体的には、微粒子の直径は10〜300nmであることが好ましく、50〜100nmであることがより好ましかった)のシリカ微粒子1(図1(a))(透明であればアルミナやジルコニアの微粒子でもよい)をよく乾燥した後、化学吸着液に混合し、普通の空気中(相対湿度45%)で撹拌しながら1時間程度反応させた。シリカ微粒子1の表面にはヒドロキシル基2が多数含まれているので、トリアルコキシシラン誘導体の−Si(OCH基とヒドロキシル基2が、シラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)縮合し、シリカ微粒子1の表面全面に亘り、下式(I)に示したような膜厚約1nmのフッ化炭素基を含む単分子膜3が形成される。
Figure 2008007363
その後、クロロホルム等の塩素系溶媒で未反応のトリアルコシキシラン誘導体を洗浄除去すると、表面全面に亘りフッ化炭素基を含む単分子膜3で被覆された、撥油性の単分子膜で被覆されたシリカ微粒子4を製造することができた(図1(b))。
(C)分散液の調製
熱処理によりシリカ系ガラスを生成する金属アルコキシドの一例であるテトラメトキシシラン(Si(OCH)と、シラノール縮合触媒の一例であるジブチルスズジアセチルアセトナートを、それぞれモル比で99:1となるよう秤量し、有機溶媒の一例であるヘキサメチルジシロキサン溶媒に合計で1重量%程度の濃度(好ましい濃度は、0.5〜3%程度)で溶解することにより調製した溶液(ゾルゲル法により透明被膜を形成することができる市販の金属アルコキシド溶液をアルコールで希釈したものを用いてもよい)中に、撥油性の単分子膜3で被覆されたシリカ微粒子4を1重量%程度分散させて、分散液を調製した。
(D)透明微粒子を焼結した凹凸基材7の製造
基材ガラス5(図2(a))の表面に、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法等の任意の方法により分散液を塗布した後、溶媒を蒸発させると、テトラメトキシシランと空気中の水分との反応による加水分解の結果生じたシラノール基がアルコキシシリル基との間で脱アルコール反応し、最終的に膜厚50nm程度のシリカ系ガラス膜(金属酸化物膜の一例)6が形成される。なお、このとき、撥油性の単分子膜3で被覆されたシリカ微粒子4は、溶媒を「弾く」ため、図2(a)に示すように、シリカ系ガラス膜6中に埋没することなく表面付近に露出するので、シリカ系ガラス膜6の表面にアスペクト比の高い凹凸を形成することができた。
なお、水系溶媒を用いて分散液を作成する場合には、より安価なアルキルトリアルコキシシラン誘導体を用いて、シリカ微粒子1の表面に、例えば下記式(II)で示したような親油性を有する撥水性の被膜を形成することにより、上記の場合と同様に、シリカ系ガラス膜6の表面にアスペクト比の高い凹凸を形成することができた。
Figure 2008007363
次に、酸素を含む雰囲気中で600℃30分程度焼成(熱処理)(焼成温度は250℃以上かつ基材ガラス5又はシリカ微粒子1の融点以下の範囲内で、高いほど微粒子を強固にガラス表面に焼結固定することができる)することにより、基材ガラス5の表面にシリカ系ガラス膜6を介してシリカ微粒子1が焼結固定され、透明微粒子を焼結した凹凸基材7を製造することができた。このとき、シリカ微粒子4表面のフッ化炭素基を含む単分子膜3は、酸素存在下で熱処理することにより完全に分解除去された(図2(b))。なお、このとき、焼成温度を250〜350℃で行うと、単なる焼結のみで終わるが、350℃を超えると前記単分子膜3を完全に分解除去できた。
(E)撥水撥油防汚性ガラス板の製造
最後に、透明微粒子1を焼結した凹凸基材7表面に、(A)で調製した化学吸着液を膜形成溶液として塗布し、2時間程度反応させた後、クロロホルム等の塩素系溶媒で未反応のトリアルコキシシラン誘導体を洗浄除去すると、焼結固定された撥水撥油防汚性透明微粒子9を有する、水滴接触角が約150度の超撥水撥油防汚性ガラス板10が得られた。トリアルコシキシラン誘導体は、式(I)に示した化学結合を介してシリカ微粒子1及びシリカ系ガラス膜6表面のヒドロキシル基と結合することによりフッ化炭素基を含む単分子膜8(撥水撥油防汚性被膜の一例)を形成している(図2(c))。
ここで、超撥水撥油防汚性ガラス板10表面のシリカ微粒子1は、シリカ系ガラス膜6を介して基材ガラス5の表面に焼結固定されており、焼結固定されたシリカ微粒子1の露出した表面及びシリカ系ガラス膜6の露出した表面は、全面フッ化炭素基を含む単分子膜8で被覆されている(共有結合されている)。また、フッ化炭素基を含む単分子膜8の膜厚は、ガラス基材5表面のシリカ微粒子1の大きさよりも遥かに小さい1nm程度である。そのため、透明微粒子を焼結した凹凸基材7の表面に凹凸を保持したまま撥水撥油性が付与された結果、いわゆる「蓮の葉効果」により水滴接触角がおよそ150度の超撥水性を実現することができた。
なお、上記実施例1では、フッ化炭素基を含む単分子膜8の形成のために、フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体CF(CF(CHSi(OCHを用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)〜(12)に示したトリアルコキシシラン誘導体を使用することができた。
(1) CFCHO(CH15Si(OCH
(2) CF(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(3) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(4) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(5) CFCOO(CH15Si(OCH
(6) CF(CF(CHSi(OCH
(7) CFCHO(CH15Si(OC
(8) CF(CHSi(CH(CH15Si(OC
(9) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(10) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(11) CFCOO(CH15Si(OC
(12) CF(CF(CHSi(OC
また、親油性を有し撥水性のトリアルコキシシラン誘導体として、アルキルトリアルコキシシラン誘導体であるCH(CHSi(OCHを使用したが、前記以外にも、下記(21)〜(32)に示したアルキルトリアルコキシシラン誘導体を使用することができた。
(21) CHCHO(CH15Si(OCH
(22) CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(23) CH(CH(CHSi(CH(CHSi(OCH
(24) CH(CHSi(CH(CHSi(OCH
(25) CHCOO(CH15Si(OCH
(26) CH(CHSi(OCH
(27) CHCHO(CH15Si(OC
(28) CH(CHSi(CH(CH15Si(OC
(29) CH(CHSi(CH(CHSi(OC
(30) CH(CHSi(CH(CHSi(OC
(31) CHCOO(CH15Si(OC
(32) CH(CHSi(OC
実施例1において、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類を使用することが可能である。更に具体的には、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートを使用することが可能であった。
なお、実施例1において、下記(41)〜(45)に示したフッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体及び(46)〜(52)に示したフッ化炭素基を含むトリイソシアネートシラン誘導体を使用することができ、この場合シラノール縮合触媒は不要であった。
(41) CFCHO(CH15SiCl
(42) CF(CHSi(CH(CH15SiCl
(43) CF(CF(CHSi(CH(CHSiCl
(44) CF(CF(CHSi(CH(CHSiCl
(45) CFCOO(CH15SiCl
(46) CF(CF(CHSi(NCO)
(47) CFCHO(CH15Si(NCO)
(48) CF(CHSi(CH(CH15Si(NCO)
(49) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(NCO)
(50) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(NCO)
(51) CFCOO(CH15Si(NCO)
(52) CF(CF(CHSi(NCO)
また、膜形成溶液の溶媒としては、トリアルコキシシラン誘導体、トリクロロシラン誘導体、トリイソシアネートシラン誘導体のいずれの場合も、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させてフッ化炭素基を含む単分子膜8を形成させる場合には、溶媒の沸点は50〜250℃程度であることが好ましい。
具体的に使用可能な溶媒としては、クロロシラン誘導体の場合は、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
更に、アルコキシシラン誘導体を用いて溶媒の蒸発のみでフッ化炭素基を含む単分子膜8を形成させる場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物が使用できた。
また、使用可能なフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。更に、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加してもよい。
上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、TiO等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物をシラノール縮合触媒として用いた場合、上述のシラノール縮合触媒と同濃度の条件下で、反応時間を半分〜2/3程度まで短縮できた。
更に、ケチミン化合物、有機酸、TiO等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数を、助触媒として上述のシラノール縮合触媒と共に用いることにより(シラノール縮合触媒と助触媒は、モル比1:9〜9:1範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)、反応を更に数倍早くでき、製膜工程に要する時間を数分の一まで短縮できる。
例えば、シラノール縮合触媒であるジブチルスズオキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換えた以外は同一の条件下で反応を行ったところ、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
更に、助触媒としてケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3を、シラノール縮合触媒であるジブチルスズビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換えた以外は同一の条件下で反応を行ったところ、反応時間を20分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
従って、以上の結果から、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
更に、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択された1つを、助触媒としてシラノール縮合触媒と共に用いると、更に活性が高くなることが確認された。
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸等の一塩基酸、酪酸等のヒドロキシル酸、マロン酸等の二塩基酸を用いることができ、これらはいずれもほぼ同様の効果があった。
(実施例2)
透明微粒子としてアルミナを用いた他は実施例1で作成したガラス板と同条件で作成した、水滴接触角が150度程度(実用上、水滴接触角が130度以上であればほぼ同様の効果が得られた)の超撥水撥油防汚性ガラス板を乗用車のフロント窓ガラス(ウインドシールドともいう、傾斜角略45度)、サイド窓ガラス(傾斜角略70度)、リア窓ガラス(傾斜角略30度)として装着し、雨天走行実験を行った。
まず、停車中の雨水滴の付着状況を確認したが、直径5mm程度以上の水滴の付着はどのガラスについてもほとんど見られなかった。
次に、45Km/時及び60Km/時での走行実験を行った。
45Km/時走行時における雨水滴の付着状況を確認したところ、直径2mm程度以上の水滴の付着は、サイド窓ガラス、リア窓ガラスともほとんど無かった。また、フロント窓ガラスでは、走行時、雨水滴が連続して多量に付着したが、直径2mm程度以上の水滴は上方にすばやく移動し、その後飛散して視界を妨げるほどには残らなかった。
更に速度を上げて60Km/時になると、直径2mm程度以上の水滴は瞬時に飛散してほぼ完全に除去された。
また、走行実験中ドアミラーに映った後方の視界状況を、サイド窓ガラス板越しに確認したが、いずれの速度においても、雨水滴による視界のゆがみや視認性の劣化はほとんど感じられなかった。
また、晴天時、撥水撥油防汚性被膜の有無が車外視認性に及ぼす影響を比較してみたが、被膜の透明度が、波長400〜700nmの光に対して97%以上であったため、被膜なしの自動車に比べ視認性の劣化は全く感じられなかった。
また、ワイパーに対する耐摩耗性を、アルミナ微粒子を焼結固定していないガラス表面に、実施例1の(E)と同様の方法により直接撥水撥油防汚性被膜を形成したフロント窓ガラスと比較したところ、本実施例において作製したフロント窓ガラスは、表面に硬度が高いアルミナ微粒子が焼結固定されているため、耐磨耗性は遥かに高かった。
以上の実験より、本発明の超撥水撥油防汚性ガラス板を装着した乗用車が、雨天時の安全運転に格別の効果を発揮することが確認できた。
(実施例3)
実施例1で作成したガラス板と同条件で作成した、水滴接触角が150度程度の超撥水撥油防汚性ガラス板をビルの窓ガラスとして装着し、雨天時の雨滴付着性を確認したが、直径1mm以上の雨滴は全く付着することがなかった。また、晴天時付着していたゴミや埃も雨滴に流されて、乾燥後もガラス表面に残留物が付着することはなく、清浄に保たれていた。
(実施例4)
実施例1で作成したガラス板と同条件で作成した、水滴接触角が150度程度の超撥水撥油防汚性ガラス板を監視カメラ等の光学機器のレンズ前面にフィルターとして装着し、雨天時の撮影映像を評価した。
このフィルターを装着していない場合には、フィルターガラスの表面に雨滴が付着して画像にぼやけが生じたが、本実施例で作製した超撥水撥油防汚性ガラス板を装着していた場合には、雨滴が流れ落ち付着しなかったので、ふき取りを行わなくても鮮明な画像が連続して得られた。
本発明の実施例1においてシリカ微粒子表面にフッ化炭素系単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のシリカ微粒子の断面図、(b)はフッ化炭素基を含む単分子膜が形成された後の断面図を示す。 本発明の実施例1において撥水撥油防汚性のフッ化炭素系単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)はガラス基材表面にフッ化炭素系単分子膜で被覆されたシリカ微粒子とシリカ系ガラス膜が塗布された状態を示す断面図、(b)は酸素を含む雰囲気中での焼結によりシリカ微粒子表面のフッ化炭素系単分子膜が分解除去された後の状態を示す断面図、(c)はシリカ微粒子及びシリカ系ガラス膜の露出した表面にフッ化炭素系単分子膜が形成された状態を示す断面図を示す。
符号の説明
1:シリカ微粒子、2:ヒドロキシル基、3:フッ化炭素基を含む単分子膜、4:撥油性単分子膜で被覆されたシリカ微粒子、5:基材ガラス、6:シリカ系ガラス膜、7:透明微粒子を焼結した凹凸基材、8:フッ化炭素基を含む単分子膜、9:焼結固定された撥水撥油防汚性透明微粒子、10:超撥水撥油防汚性ガラス板

Claims (20)

  1. 焼結固定された撥水撥油防汚性の透明微粒子で表面が覆われていることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  2. 請求項1記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子は、その表面の一部分が撥水撥油防汚性被膜で被覆されていることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  3. 請求項2記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子は透明な金属酸化物膜を介して基材ガラスの表面に焼結固定されていることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  4. 請求項3記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、前記金属酸化物膜はシリカ系ガラス膜であることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  5. 請求項4記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、前記シリカ系ガラス膜の表面が前記撥水撥油防汚性被膜で被覆されていることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  6. 請求項5記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、少なくとも前記撥水撥油防汚性被膜が前記透明微粒子及び前記シリカ系ガラス膜の表面に共有結合していることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子が透光性のシリカ、アルミナ、又はジルコニアであることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、前記透明微粒子の大きさが可視光の波長未満であることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板において、水に対する接触角が130度以上に制御されていることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板を窓ガラスとして装着したことを特徴とする輸送機器。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板を窓ガラスとして装着したことを特徴とする建造物。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板をフィルターとしてレンズ前面に装着したことを特徴とする光学機器。
  13. 表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に前記透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、前記分散液を基材ガラスの表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で前記分散液が塗布された基材ガラスを熱処理する第4工程と、前記第4工程で熱処理された基材ガラスの表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有することを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  14. 請求項13記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記金属アルコキシドは、熱処理によりシリカ系ガラスを生成することを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  15. 請求項13及び14のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記第4工程の熱処理温度が、250℃以上かつ、前記基材ガラス及び前記透明微粒子の融点以下であることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  16. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記金属アルコキシドを溶かした溶媒が水系であり、前記第1工程の前記透明微粒子の表面を覆う被膜は撥水性であることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  17. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記金属アルコキシドを溶かした溶媒が有機系であり、前記第1工程の前記透明微粒子の表面を覆う被膜は撥油性であることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  18. 請求項13〜17のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記第5工程における前記撥水撥油防汚性被膜の形成は、(1)フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒、(2)フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体、及び(3)フッ化炭素基を有するイソシアネート誘導体のいずれかと有機溶媒とを含む膜形成溶液と、表面に前記透明微粒子を焼結固定させた前記基材ガラスとを接触させて行うことを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  19. 請求項18記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記膜形成溶液と前記基材ガラスの接触後、余分な膜形成溶液を洗浄除去することを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
  20. 請求項18及び19のいずれか1項に記載の撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法において、前記膜形成溶液は前記シラノール縮合触媒を含み、しかもケチミン化合物、有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数の化合物を、助触媒として前記シラノール縮合触媒と共に用いることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板の製造方法。
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