JP2008006714A - 合成樹脂製射出成形品及びその射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中央部分を薄肉に形成し、この中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の射出成形品において、金型の、成形品の中央部分に対応する部分の所定範囲内に配設した複数個のピンゲートを介して溶融樹脂をキャビティ内に射出充填することによって成形した射出成形品。
【選択図】図1
Description
2重成形では、まず第一次射出成形により一次成形品115を成形し、この一次成形品115をインサート材として、その表面に被覆状に溶融樹脂を流動させる第二次射出成形を実施し、被覆部117を形成する。
特に化粧料のパッケージング等、パッケージングがその商品性に大きく影響する用途では、成形性よりも意匠性が優先される場合もあり、また僅かな外観不良によってもその商品価値が損なわれるので、上記のような、全体としては厚肉成形品ではあるが中央部分に薄肉部を有する成形品の射出成形方法に係る改良要求がある。
中央部分を薄肉に形成し、この中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の射出成形品において、
金型の、成形品の中央部分に対応する部分の所定範囲内に配設した複数個のピンゲートを介して溶融樹脂をキャビティ内に射出充填することによって成形したこと、にある。
すなわち、キャビティの中央部分から放射状に、十分大きな射出速度で溶融樹脂を流動させて、周縁の厚肉部にも短時間に樹脂を充填させることができ、厚肉部におけるひけの発生を抑制することが可能となる。
ここで、任意の2つのピンゲートの相互間の距離を大きくしすぎると、この2つのゲートからキャビティ内に流動した樹脂が合流、衝突した部分で、ウエルドマークが目立つようになり、成形品の外観を損ねてしまうが、ピンゲートの相互間の距離を20mm以内にする、より好ましくは15mm以内にすることにより溶融樹脂がより高温で合流、衝突するのでウエルドマークを目立たない、さらには感知できない範囲にすることができる。
薄肉に形成される底面の中央部分に、底面の中心と各角部を結ぶ線上で、この中心から等距離の位置に4ケのピンゲートを配設したこと、にある。
中央部分を薄肉に形成し、中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の成形品であって、金型の、成形品の中央部分に対応する部分の所定範囲内に配設した複数個のピンゲートを介して溶融樹脂をキャビティ内に射出充填する第一次射出成形により成形された成形品を一次成形品とし、
この一次成形品をインサート材として、一次成形品の少なくとも表側面に被覆状に溶融樹脂を流動させて第二次射出成形を実施して成形したこと、
にある。
中央部分を薄肉に形成し、この中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の成形品の射出成形方法であって、
キャビティ金型とコア金型によりキャビティを構成する金型を用い、このキャビティ金型の成形品の中央部分に対応する部分の所定範囲に配設された複数個のピンゲートを介して溶融樹脂をキャビティ内に射出充填すること、
にある。
すなわち請求項1記載の発明にあっては、中央部分が薄肉の成形品であっても、キャビティの中心近傍から放射状に、十分大きな射出速度で溶融樹脂を流動させて、周縁の厚肉部にも短時間に樹脂を充填させることができ、厚肉部におけるひけの発生を効果的に抑制することができる。
この成形品はスチレンアクリロニトリル樹脂製の透明な成形品で、短正四角柱状のブロック体7の回転対称軸AXに対して同軸心状に収納部となる半球状の凹部8を形成したものであり、底面9の中央部分は薄肉に形成され薄肉部2であり、その周縁に厚肉に形成された厚肉部3を有する。
また、各角部11は4mmの曲率半径R(図3参照)で角取りした形状としている。
従来、図1のような形状の成形品では、キャビティ金型22の中心位置にセンターゲートとして1ケのピンゲートを配設するのが通常であるが、図4に示すキャビティ金型22では4ケのピンゲート25を、中心Cmと角部を結ぶ線上で、中心から等距離(6mm)の位置に配設している。(図4(b)参照)
ここで、各ピンゲート25位置における成形品1の肉厚は2mmであり、各ピンゲート25の径はこの肉厚の80%以下の0.8mmとしている。
そして、これら4ケのピンゲート25を介して溶融樹脂が放射状に金型21のキャビティ24内に流動し、充填して成形品1が射出成形される。
予備的な実験ではピンゲート25間の距離は20mm以下、好ましくは15mm以下とするのが良い。
(1)複数のピンゲート25を、成形品1の対称性、肉厚分布等を考慮して、軸対称に配置する。本実施例では角部11における流動距離が長いこと、肉厚が大きいことを考慮して中心とCと角部11を結んだ線上に対応する位置にピンゲート25を配置した。
(2)ウエルドマークの発生を考慮してピンゲート25間の距離を所定範囲内とする。本実施例では12mmの径内に4ケのピンゲート25を配設した。
(3)角部11を角取りする。曲率半径Rを小さくしすぎると角部11内側(図2(b)、図3中の白抜き矢印で示した部分)のひけが大きくなるので、本実施例では曲率半径Rを4mmとした。
この成形品は、図1の成形品を一次成形品15として、図7に示されるようにこの一次成形品15をインサート材として、センターゲート26を介して一次成形品15の表側面15fを被覆状に、一次成形品15と同じ樹脂を溶融流動させて(図7中の矢参照)第二次射出成形を実施し、所謂2重成形した射出成形品である。
特に、透明樹脂製として半球状の凹部8の形状を外側から見えるようにして、意匠効果を呈するようにした本実施例の成形品1では、成形品内部でのひけの発生についても十分配慮して設計する必要がある。
また、この成形品1は透明樹脂製であるので、ブロック体の中に凹部8による半球が浮かんだように見せることができ、高級な商品イメージを付与することができる。
2 ;薄肉部
3 ;厚肉部
5 ;ゲート痕
7 ;ブロック体
8 ;凹部
9 ;底面
11;角部
12;ピンゲート痕
15;一次成形品
15f;表側部
17;被覆部
21;金型
22;キャビティ金型
23;コア金型
24;キャビティ
25;ピンゲート
26;センターゲート
31;内容器部材
32;口筒部
33;板片
34;収納部
101;成形品
103;厚肉部
107;ブロック体
108;凹部
111;角部
115;一次成形品
115t;ゲート痕
AX;対称軸
C ;中心
Cm;中心
t1、t2;肉厚
R ;曲率半径
Claims (7)
- 中央部分を薄肉に形成し、該中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の成形品(1)であって、金型(21)の、前記成形品(1)の中央部分に対応する部分の所定範囲内に配設した複数個のピンゲート(25)を介して溶融樹脂をキャビティ(24)内に射出充填することによって成形された射出成形品。
- 任意の2ケのピンゲート(25)間の距離が20mm以内になるような範囲に、複数のピンゲート(25)を配設した請求項1記載の射出成形品。
- 各ピンゲート(25)の径を、該各ピンゲート(25)位置での成形品(1)の肉厚の80%以下とした請求項1または2記載の射出成形品。
- 成形品(1)が回転軸対称性を有する形状であり、ピンゲート(25)を対称軸(AX)に対して軸対称の位置に配設した請求項1、2または3記載の射出成形品。
- 正四角柱状のブロック体(7)に、該ブロック体(7)の回転対称軸(AX)に対して同軸心状に半球状の凹部(8)を形成した成形品(1)であって、薄肉に形成される底面(9)の中央部分に、該底面(9)の中心(C)と各角部(11)を結ぶ線上で、前記中心(C)から等距離の位置に4ケのピンゲート(25)を配設した請求項4記載の射出成形品。
- 中央部分を薄肉に形成し、該中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の成形品(1)であって、金型(21)の、前記成形品(1)の中央部分に対応する部分の所定範囲内に配設した複数個のピンゲート(25)を介して溶融樹脂をキャビティ(24)内に射出充填する第一次射出成形により成形された成形品を一次成形品(15)とし、該一次成形品(15)をインサート材として、該一次成形品(15)の少なくとも表側面(15f)に被覆状に溶融樹脂を流動させて第二次射出成形を実施して成形した射出成形品。
- 中央部分を薄肉に形成し、該中央部分の周縁を厚肉に形成した合成樹脂製の成形品(1)の射出成形方法であって、キャビティ金型(22)とコア金型(23)によりキャビティ(24)を構成する金型(21)を用い、該キャビティ金型(22)の前記成形品の中央部分に対応する部分の所定範囲内に配設された複数個のピンゲート(25)を介して溶融樹脂をキャビティ(24)内に射出充填することを特徴とする射出成形方法。
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