(発明の詳細な説明)
(発明の属する技術分野)本発明は、不特定多数の人に対して効果的に情報表示を行うことのできる情報表示システムと、このシステムに用いられる情報表示装置に関するものである。
(発明の開示)
(発明が解決しようとする課題)
(従来の技術)従来、銀行窓口や公共施設などには、不特定多数の人間を対象とした商品サービス情報や広告用ポスターなどが多数掲示されている。これらの掲示用の各種サービス情報や広告用ポスターなどは、紙などで簡易に作成して量産することができるため、情報提供者から不特定多数の人間に対して簡便に情報を提供することができる。また、金利情報など時間と共に変化する情報の表示方法としては、例えば、特許第2902541号などに、蛍光表示管を用いてリアルタイムに情報を表示する技術が開示されている。この技術は、蛍光表示管に項目表示部とデータ表示部とを設け、項目表示部とデータ表示部とによって表示色や輝度を変更したり、データ表示部の文字キャラクタを大きくしたりして、データ表示部の重要な情報を目立つように表示している。
さらに、リアルタイムでメディア情報を通信して表示させる技術としては、例えば、特開平11−239134号公報などに分散型メディア伝送システムが開示されている。この技術によれば、遅延を生じさせる伝送のリトライ技術に依存せずに、高品質でリアルタイムにメディア選択物や音声及び映像などマルチメディアデータを通信して、これを表示させることができる。また、情報を表示させる情報表示装置は、外部に設けた汎用パソコンなどを用いて、キーボードやマウスからコマンドを入力して電源やOSを立ち上げて表示部に所望の情報を表示させている。
(発明が解決しようとする課題)しかしながら、前述のような掲示用の情報は、その内容が固定的であるため、情報内容を変更する場合には、再度、情報を紙などに印刷して作り直さなければならない。また、掲示用の情報は内容が固定化されているので、見る側に飽きがきたり、掲示できるスペースが限られている場合には、伝えたい情報の全てを伝えられない場合もある。さらに、充分な掲示スペースがある場合でも、掲示された情報を全て見るためには、歩き回らなければならないなどの不便さがある。
また、特許第2902541号による金利情報などの表示は、文字情報のみを表示しているため、視覚に訴えるビジュアルな絵画などの情報を表示することができない。さらに、各表示部ごとに伝えたい情報内容のコンテンツデータを配信しているため、最初に配信した表示部と最後に配信した表示部とでは表示時間にずれが生じてしまう。さらに、特開平11−239134号公報の分散型メディア伝送システムは、ネットワークに接続されたユーザのうち特定のユーザのみに情報を送信する、いわゆるマルチキャストネットワークを介してメディアの伝送を行うものであり、不特定多数のユーザに通信するブロードキャストの通信ではない。
さらに、情報を表示させるための情報表示装置については、その情報表示装置の設置場所まで行って電源の立ち上げを行ったり、キーボードの入力操作などを行わなければならない。また、情報表示装置と汎用パソコン及びキーボードとが離れているために、これらを接続するための配線が必要になったり、さらには、広い設置スペースを必要としたりする。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不特定多数のユーザに対して、複数のコンテンツデータのリアルタイムな表示や、情報内容の変更を随時行うことのできるようにすると共に、表示装置の設置場所から離れた所にいても表示操作を行うことができる情報表示システムを提供することにある。
(課題を解決するための手段)上記の課題を解決するために、本発明の情報表示システムは、サーバの発信したコンテンツデータが、広域網のネットワークを介して複数の表示手段に配信され、複数の表示手段の各々が、受信したコンテンツデータを表示させる情報表示システムにおいて、サーバは、複数の表示手段に対して、同一内容のコンテンツデータを同時に送信する同報通信によって配信し、複数の表示手段の各々は、受信したコンテンツデータをリアルタイムで表示させることを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示システムによれば、サーバから各支店の表示部に対して同報通信でコンテンツデータを配信するので、各支店が受信するコンテンツデータに遅れを生じることはない。さらに、各支店の表示部は、サーバから配信されたコンテンツデータをリアルタイムで表示することができる。このとき、コンテンツデータが複数あっても、これらのデータはそれぞれの表示部の記憶装置に格納され、各支店は1つの表示部だけを用いて、必要に応じて順次データを読み出し、所望のコンテンツデータを循環させて表示させることができる。これによって、表示稼働率がよくなり、表示のために余分なスペースが不要となる。さらに、コンテンツデータの配信時間を短縮することができるため、回線使用時間にかかる費用を大幅に削減することができる。
また、本発明の情報表示システムは、複数の表示手段の各々が、それぞれ、サーバに登録されているコンテンツデータをダウンロードして表示することを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示システムによれば、それぞれの表示手段は、従来の表示方法のような静止画の表示だけでなく、動画や音声などの情報もダウンロードして表示することができるので、広範囲に亘る情報を提供することができる。
また、本発明の情報表示システムは、サーバが配信するコンテンツデータが、情報内容を記録した表示データと、この表示データの表示順序を決めたスケジュールデータとによって構成され、複数の表示手段は、それぞれ、スケジュールデータに従って表示データを表示させることを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示システムによれば、スケジュールデータには表示順序が含まれているので、任意の一定時間毎に、表示順序に従った情報表示を行うことができる。
また、本発明の情報表示システムは、前記複数の表示手段は、それぞれ、スケジュールデータに従って、表示データの繰り返し表示及び表示データの変更表示を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示システムによれば、重要な情報や一般向けの情報などの表示データをスケジュールデータによって差別化しておくことにより、重要なデータを繰り返し表示することもできるし、重要でないデータを早い時間で変更することもできる。
また、本発明の情報表示システムは、複数の表示手段の各々が、リモコンからのデータを受信するリモコンデータ受信部と、リモコン受信部から受信したデータに基づいてキーボード制御を行うキーボード制御部と、キーボード制御部からのコマンドに基づいてパソコン機能を行うパソコンマザーボードと、パソコンマザーボードからの指令に基づいて、サーバから受信したコンテンツデータを表示する表示部とを備え、複数の表示手段の各々は、リモコンからのデータに基づいて、表示手段の電源のON/OFF、及びサーバから受信したコンテンツデータの表示制御を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示システムによれば、パソコン機能を表示装置の内部に内蔵してリモコンで操作することにより、表示装置から離れた場所にいても、表示装置の電源のON/OFF操作や各表示内容に対応するキー入力操作を行うことができる。これによって、小型且つ安価に情報表示システムを構築することができる。
また、本発明の情報表示装置は、広域網のネットワークを介して、サーバが同報通信で配信したコンテンツデータを、リアルタイムで表示する情報表示装置において、リモコンからのデータを受信するリモコンデータ受信部と、リモコン受信部から受信したデータに基づいてキーボード制御を行うキーボード制御部と、キーボード制御部からのコマンドに基づいてパソコン機能を行うパソコンマザーボードと、パソコンマザーボードからの指令に基づいて、サーバから受信したコンテンツデータを表示する表示部とを備え、リモコンからのデータに基づいて、キーボード制御部が、パソコンマザーボードの電源と表示部の電源のON/OFF制御、及び前記サーバから受信したコンテンツデータの表示制御を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示装置は、パソコン機能を備えたパソコンマザーボードと、キーボードコントローラを内蔵したキーボード制御部と、リモコンデータ受光部と、コンテンツデータを表示する表示部とが一体化されている。これによって、リモコンによってキー入力されたコードは、リモコンデータ受光部を介してキーボード制御部内のキーボードコントローラへ送られる。そして、それぞれのコードより該当する操作が選択されて、電源の供給や遮断、パソコンマザーボードの起動や停止、及びパソコンマザーボードへのキー入力などを行うことができる。これによって、情報表示装置全体を小型化することができ、設置スペースの低減化を図ることができる。
また、本発明の情報表示装置は、前記キーボード制御部が、パソコンマザーボードのパソコン機能を任意の期間毎に監視し、キーボード制御部がパソコン機能の異常を判定したときは、パソコンマザーボードの電源を一旦OFFにして、再度ONにするリセット制御を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明の情報表示装置によれば、パソコンマザーボードからキーボード制御部へ定期的なポーリングを行うことによって、パソコン機能を常時監視している。そして、表示機能がハングアップ状態になったときには、パソコンマザーボードの電源を一旦OFFにして再立ち上げを行うことにより、ハングアップ状態を回避したり、表示装置の現在の状態をクリアすることができる。
また、本発明の情報表示装置は、表示部がプラズマディスプレイによる表示機能を備えていることを特徴とする。
すなわち、本発明によれば、プラズマディスプレイによって表示させることにより、表示装置を薄型化することができると共に、省電力化を図った情報表示装置を実現することができる。
(発明の実施の形態)以下、図面を用いて、本発明における情報表示システムの実施の形態を詳細に説明する。この情報表示システムは、地理的に離れたコンピュータシステムを相互接続する通信システムである広域網(WAN:Wide Area Network)を介して、サーバと複数の表示部とが接続されている。そして、サーバが、商品広告や案内やニュース報道や教育情報といったコンテンツデータを同報通信で配信し、これを各表示部に表示させる。このようにして、本発明の情報表示システムは、不特定多数の人間に対して効果的に情報表示を行うことができる。すなわち、本発明の情報表示システムによれば、コンテンツデータ、すなわち、音声や動画や静止画や文字情報などの、いわゆる通常のマルチメディアデータを、リアルタイムで配信して表示させることができる。
図1は、本発明の実施の形態に適用される情報表示システムの構成図である。同図において、この情報表示システムは、入力装置1及びサーバ2が、広域網(WAN)3によって、支店4に設けられた表示部5と接続されている。また、表示部5は、表示装置5aとこの表示装置5aを制御する表示制御装置5bとによって構成されている。尚、支店4には複数の表示部5があり、さらに、支店4は、通常は、複数の支店によって構成されているので、広域網3には複数の表示部5が接続されている。
入力装置1は、伝達すべきコンテンツデータ、例えば、音声や動画や静止画や文字情報などといったマルチメディアデータを作成したり編集したりする装置であり、また、サーバ2は、コンテンツデータ及び表示スケジュールの管理や各表示部5へのデータの配信を行う装置であり、支店4に対する本部として位置付けられている。尚、入力装置1とサーバ2は一体的に構成することも可能である。さらに、表示部5は、サーバ2から受信したコンテンツデータの表示を行う装置であるが、通常は、プラズマディスプレイ(PD)や市販のテレビなどが用いられている。
図2は、図1に示す情報表示システムにおけるデータ配信の流れを示す構成図である。同図は、本部としてのサーバ2と、複数の支店であるA支店4a、B支店4b…N支店4nが広域網3によって接続され、サーバ2が送信したコンテンツデータがA支店4aから順次各支店に配信されて、配信結果が最後のN支店4nからサーバ2に戻ってくる状態を示している。
図3は、図2のデータ配信構成図におけるコンテンツデータの配信の流れを示すフローチャートである。したがって、図2のデータ配信構成図と、図3のフローチャートとを用いてコンテンツデータの配信の流れを説明する。先ず、入力装置1によって、伝達すべき個々のコンテンツデータを作成する。このコンテンツデータは、音声や動画や静止画や文字情報などの、一般的なマルチメディアデータであればどんなデータでもよい。尚、コンテンツデータを変更する場合も、同様の手順で、入力装置1から変更データを入力すればよい(ステップS1、以下ステップは省略)。
次に、サーバ2からA支店4aの表示部にISDN回線のB1チャネルを接続し、サーバ2が、入力装置1から受信したコンテンツデータをB1チャネルでA支店4aに配信する。尚、このとき、コンテンツデータは一括でなく分割して配信してもよい(S2)。すると、A支店4aの表示部はB1チャネルで受信したコンテンツデータを表示し(S3)、さらに、このコンテンツデータをB2チャネルでB支店に配信する(S4)。尚、このとき、A支店4aは、必要に応じて、受信したコンテンツデータを自己の記憶装置内に取り込んで、スケジュール表示することも可能である。
次に、B支店4bは、A支店4aからB2チャネルで配信されたコンテンツデータをB1チャネルで受信し、このコンテンツデータを自己の表示部に表示する(S5)。さらに、B支店4bは、このコンテンツデータをB2チャネルで次の支店に配信する(S6)。尚、以下の配信において、各支店は、必要に応じて、受信したコンテンツデータを自己の記憶装置内に取り込み、スケジュール表示することができる。
このようにして、BIチャネルによって、コンテンツデータが最後の配信支店であるN支店4nまで配信され、このコンテンツデータを自己の表示部に表示すると(S7)、N支店4nは、本部であるサーバ2へ配信終了データをB2チャネルで送信する(S8)。すると、サーバ2は、配信終了データを受信した時点で配信を終了させる(S9)。これによって、サーバ2から各支店に対してリアルタイムでコンテンツデータを配信することができる。
図4は、コンテンツデータを各表示部にリアルタイム表示するための処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、配信されたコンテンツデータをリアルタイムで表示するためには、先ず、サーバ2に対して“WWWサーバ”機能を追加する。すなわち、HTML形式で記述された音声や静止画や動画や文字情報などの情報を、WWW(World Wide Web)によって送信できる機能をサーバ2に持たせる(S11)。
次に、サーバ2は、セキュリティを確保するために、予め、アクセスできる支店を識別するためのIP(Internet Protocol )アドレスを登録しておく(S12)。さらに、サーバ2は、例えばビデオやカメラなどを用いて、Webページ上に動画などのリアルデータを表示させる(S13)。次に、各支店の表示部がサーバ2のWebページに対してアクセスを行う(S14)。さらに、各支店の表示部は、サーバ2のWebページ上で表示されている動画などのコンテンツデータを、ストリーミング方式を用いて、ファイルとして格納することなく、リアルタイムで表示を行う(S15)。尚、ストリーミング方式とは、大量のデータを磁気テープなどに記録して、データの受け渡しを行う方式である。
このようにして、各支店4a、4b…4nの表示部は、サーバ2から配信されたコンテンツデータをリアルタイムで表示することができる。また、コンテンツデータが複数あっても、これらのコンテンツデータはそれぞれの表示部の記憶装置内に格納されている為、記憶装置から順次読み出して表示することができる。このように、本発明の情報表示システムによれば、1つの表示部だけを用いて、順次、コンテンツデータを循環させて表示することができる。すなわち、1つの表示部で複数の情報を表示させることができるので、表示稼働率がよくなり、表示のために余分なスペースが不要となる。また、従来の表示方法のような静止画の表示だけでなく、動画や音声なども表示部に出力することができるので、広範囲に亘って情報提供を行うことができる。
また、本発明の情報表示システムは、リアルタイムで表示を行うため、従来の表示方法に比べて、コンテンツデータの配信時間を短縮することができるため、回線使用時間にかかる費用を大幅に削減することができる。さらに、従来の情報表示システムでは、動画のデータ量が多い場合は、ビデオテープでの配布を行っていたが、本発明の情報表示システムによれば、これらのデータをリアルタイムで配信することができるので、従来のような物理的な配布を行う必要がなくなる。したがって、ビデオテープの作成にかかる費用を削減することができ、その費用は、原本の作成費だけで済むことになる。さらに、リアルタイムでの表示が行えるため、遠隔地域の監視装置としても利用することができる。
次に、本発明の情報表示システムと、従来の情報表示システムとによるデータ配信時間の相違を比較してみる。一例として、サーバ2が配信するコンテンツデータ量を10MBとし、1回の送信量を5Kbite/sec、支店の数を10店舗とする。先ず、従来技術による情報表示システムでデータ配信を行った場合の配信所要時間を求める。1支店当りの配信所要時間は、10MB÷5Kbite/sec=2000sec=33.3min総配信時間は、33.3min×10支店=333min=5.5h
次に、本発明の情報表示システムで同報配信を行った場合の、配信所要時間を求める。1支店当りの配信所要時間は、10MB÷5Kbite/sec=2000sec=33.3minコンテンツデータの分割単位を50Kbiteとした場合、1回の配信時間は、50Kbite÷5Kbite/sec=10secとなる。総配信時間=(n+1)×分割した時の1回の配信時間+1支店当りの配信時間(但し、nは支店の総数)であるから、総配信時間=(10+1)×10sec+2000sec=2110sec=35.2min=0.58hとなる。したがって、従来の配信時間と本発明による配信時間とを比較した場合、5.5h:0.58h=10:1 すなわち、本発明の情報表示システムにより、コンテンツデータの配信時間を約1/10に短縮することができる。
ところで、図1に示す情報表示システムにおいて、各支店4における表示部5は、表示制御装置5bによって表示装置5aを制御することによりコンテンツデータの表示を行っている。このような表示装置5aは、通常、プラズマディスプレイパネル(PDP)が用いられている。このような表示装置を、以降、PDP表示装置という。
図8は、従来の情報表示システムに用いられているPDP表示装置の構成図の一例である。すなわち、同図に示すように、従来のPDP表示装置は、汎用のPDP21に対して、外付けの汎用パソコン(以下、汎用PCという)22及びキーボード23やマウス14が接続されている。また、PDP21は、プラズマディスプレイ(PD)21aと、このPD21aを制御するPD制御基板21bと、2つのコンセント25,26とによって構成されている。
このPDP表示装置の操作にあたっては、キーボード23やマウス24によってコマンドを入力して、汎用PC22を制御することにより、PD21aに音声や動画や静止画や文字情報などのコンテンツ情報を表示させている。このとき、汎用PC22の起動立ち上げの際には、汎用PC22の本体の電源スイッチを手動でONしてから、キーボード23でコマンドを入力してOSモードを起動している。このような操作の場合、当然、PDP表示装置の設置場所まで行き、電源スイッチの操作やキーボード23の操作を行って、電源起動やPDP表示装置の立ち上げをしなければならない。
このように、従来のPDP表示装置は、汎用PC22やPDP21などを個別に設置するスペースを確保する必要があり、さらに、汎用PC22とPDP21との間のケーブルを敷設したり、少なくとも2個の電源コンセントを用意する必要がある。また、有線によってキーボード23を操作するため、遠隔での操作を行うことができないので、汎用PC22とPDP21が離れた場所に設置されているような場合は操作が不可能となる。さらに、電源のON/OFFには、汎用PC22とPDP21とで別々の操作をしなければならない。尚、汎用PC22とPDP21を一体化することもできるが、物理的に一体化すると装置全体が大型化してしまったり、コストアップするなどの不具合がある。
そこで、本発明では、電源のON/OFF制御やキーボードによる表示制御を遠隔操作によって行うことができ、且つ装置全体を小型化することのできるPDP表示装置を提供する。図5は、本発明の情報表示システムに用いられているPDP表示装置の構成図である。同図において、本発明のPDP表示装置は、PDP11をリモコン12によって制御できるように構成されている。PDP11は、制御基板13と汎用PCマザーボード14とPD15とPC用電源部16とPD用電源部17とリモコン受光部18と電源コンセント19とによって構成されている。制御基板13は、PC用電源部16やPD用電源部17の電源制御及び汎用PCマザーボード14のキーボード制御を行うCPU部13bと、リモコン受光部18からの信号を受信し、信号を弁別して制御を行うリモコン制御部13aとを備えている。
次に、制御基板13が行うPD表示制御について説明するが、先ず、PC用電源部16とPD用電源部17を手動によってON/OFF操作する場合について述べる。リモコン12により任意のキー入力があると、この信号をリモコン受光部18を経由してリモコン制御部13aが受信し、そのキー信号を特定コードに変換する。さらに、変換された特定コードはCPU部13bによって解析され、PC用電源部16のON/OFFポートをアクセスしてPC用電源のON/OFFを行う。同様にして、リモコン12により任意のキー入力を行うと、この信号を、リモコン受光部18を経由してリモコン制御部13aが受信し、そのキー信号を特定コードに変換する。そして、変換された特定コードはCPU部13bによって解析され、PD用電源部17のON/OFFポートをアクセスしてPD用電源のON/OFF制御を行う。
次に、PC用電源部16とPD用電源部17を自動によってON/OFF操作する場合について述べる。PDP11には図示しない計時手段が備えられ、設定された時刻になると、汎用PCマザーボード14が、シリアルインターフェースを介して、制御基板13に対してPC用電源部16及びPD用電源部17のON/OFFコマンドを送信する。すると、制御基板13は、シリアルインターフェースより送られて来たコマンドを受信して、このコマンドをCPU13bで解析し、PC用電源部16及びPD用電源部17のON/OFFポートをアクセスして、PC用電源及びPD用電源のON/OFF制御を行う。
次に、汎用PCマザーボード14が制御不能なハングアップ状態になったときの処理について説明する。汎用PCマザーボード14より、図示しないプリンタインターフェースに対して定期的な定期信号が送信され、この定期信号は制御基板13で検出されている。制御基板13は、定期信号が検出されないと汎用PCマザーボード14がハングアップ状態にあると判断する。そして、制御基板13がハングアップ状態を判断すると、PC用電源部16のON/OFFポートをアクセスして、PC用電源をONからOFFにして、再び、PC用電源の再立ち上げを行う。
尚、PC用電源の供給方法は、例えば、電源コンセント19からAC100を入力して、図示しない汎用のスイッチング電源によって特定の電圧を生成し、この特定電圧を制御基板13へ供給する。さらに、制御基板13は、この特定電圧を汎用PCマザーボード14が必要とする電圧に変換して、汎用PCマザーボード14に供給する。
図6は、図5における制御基板と汎用PCマザーボードとの監視タイミングのフローチャートである。すなわち、汎用PCマザーボード14と制御基板13の監視装置(図示せず)との間で、図6に示すようなポーリング動作を行い監視制御を行っている。先ず、監視装置の電源立ち上げを行ってから、汎用PCマザーボード14(以下、表示制御PCという)へのAC電源供給を開始する(S21)。すると、表示制御PCが起動され、監視タイマーが例えば5分にセットされてタイマーが起動し、監視装置による監視が開始される(S22)。そして、表示制御PCから監視装置に対して定期的に、例えば10sec毎に、『スケジュール・IE・TVチューナ・ビデオキャプチャ・購読』のメッセージをポーリングして、正常に動作しているか否かの確認が行なわれる(S23)。
このとき、監視装置は、ポーリングが途絶えて監視タイマーがタイムアップしたときは、表示制御PCへのAC電源の供給をOFFからONにして、表示制御PCを再起動させる。そして、表示制御PCがリブートを開始して監視タイマーを10分にセットする(S24)。すなわち、リブートはシステムを再起動するために処理時間が長くなるため、一般に監視時間を長くする。さらに、再び表示制御PCが起動したら監視タイマーを5分にセットして監視を開始する(S25)。このような処理手順で監視を行い、所定のプログラムが終了したら、表示制御PCは監視装置に監視終了を知らせ(S26)、監視を終了する。
次に、図5に戻って、リモコン12を用いたキーボード代替操作について説明する。リモコン12によって任意のキー入力を行うと、このキー信号はリモコン受光部18を経てリモコン制御部13aで受信され、そのキー信号に対応した特定コードに変換される。さらに、特定コードは、CPU部13bによって解析されてキーボードコードに再変換される。そして、このキーボードコードがインターフェースを介して汎用PCマザーボード14に送信され、汎用PCマザーボード14がキーボードコードに対応した処理を行う。
図7は、本発明のPDP表示装置に用いられるリモコンの構成図の一例であり、大きさや構成については家庭用のリモコンと殆ど同じである。すなわち、このリモコン12の操作釦は、電源のON/OFFを行う「電源」釦12a、画面のノーマル/ワイドの切り替えを行う「ワイド」釦12b、RGB/VIDEOの入力切り替えを行う「モード」釦12c、ボリュームの調整を行う「+、−」釦12d、機能設定を行う「設定」釦12e、映像調整設定を行う「映像」釦12f、画面調節設定を行う「画面」釦12g、調整画面の終了を行う「終了」釦12h、各調節設定を行う「<、>」釦12i、「終了」釦12hと共に操作してPCシャットダウンを行ったり、「<」釦12iと共に操作してコンテンツ切り替えモードへ移行させるための「シフト」釦12j、前のコンテンツを表示させる「BACK」釦12k、後のコンテンツを表示させる「NEXT」釦12l、保守画面用の「※1」釦12m及び「※2」釦12nなどによって構成されている。
すなわち、図5に示すような本発明のPDP表示装置によれば、汎用PCマザーボード14と、キーボードコントローラを内蔵した制御基板13と、リモコン受光部18とをPDP11に内蔵している。これによって、リモコン12によってキー入力されたコードは、リモコン受光部18を介して制御基板13内のキーボードコントローラへ送られる。そして、それぞれのコードより該当する操作が選択されて、PC用電源部16やPD用電源部17のAC電源の供給や遮断、汎用PCマザー−ボード14の起動や停止、及び汎用PCマザーボード14へのキー入力などが行なわれる。
このように、本発明のPDP表示装置によれば、リモコンによる遠隔操作でPCのキーボード操作や電源のON/OFF操作を行うことができ、さらに、PCハングアップ時の自動復帰を行うことができるので、信頼性の向上を図ることができる。また、汎用PCマザーボード14を内蔵することによって、PDP表示装置の設置スペースの低減化を図ることができ、さらに、スイッチング電源を使用することにより、PDP表示装置の薄型化を図ることができ、且つ、PCとPDP表示装置間のケーブルが不要になり、電源コンセントも従来の2個から1個に低減することができる。
さて、図2に戻って、上述のようなPDP表示装置は各支店4a、4b…4n毎に複数台ずつ配置されている。先ず、センターとなる本部2の入力装置1が、普通のパソコンなどを用いてデータの入力作成を行う。尚、入力するデータには、表示データとスケジュールデータとがあり、スケジュールデータにしたがって表示データが表示されるようにスケジュールされている。また、入力装置1でデータを作成するパソコンは、本部となるサーバ2を介して、公衆網3の任意の回線に接続されている。この回線には公衆回線や特定回線などがあるが、インターネット接続またはイントラネット接続などによってLAN接続の構成になっている。尚、サーバは支店側にあってもよい。
スケジュールされた配信データは、通常、1日1回、本部2より各支店4a、4b…4nに配信される。また、配信データは支店毎に異なるデータとすることもできる。例えば、支店特有の情報や支店に係わる地域情報などを、本部2側で数種類用意して、必要に応じて各支店へ配信することもできる。尚、通常の表示データは、金利情報やニュース情報などであり、これらのデータは、図5における制御装置13または汎用PCマザーボード14のメモリ(図示せず)に格納して、必要に応じて表示することもできる。
また、リモコン12の操作によって、2つの電源のON/OFF、すなわち、PD15の電源のON/OFFと汎用PCマザーボード14の電源のON/OFFを指示することができる。さらに、PD15の電源はON/OFFするが、制御基板13の電源は常時ON状態にあり、汎用PCマザーボード14は制御基板13からの指令により電源のON/OFFが行なわれる。また、リモコン12の操作については、スケジュールに従ったデータの表示の最中に、別のデータを表示させることを指示することができる。例えば、別の時間帯に表示されるべきデータを表示させたり、表示データのページの組み替えなど、いわゆる画面切り替えができる。
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。例えば、各支店毎の特有情報や地域情報などの別のデータを、リモコンより入力してデータとして表示させることもできる。
(発明の効果)
以上説明したように、本発明の情報表示システムによれば、1つの表示部だけでコンテンツデータを循環させて表示することができ、且つリアルタイムで表示を行うことができるので、コンテンツデータの配信時間を短縮することができ、もって、回線使用料金を大幅に削減することができる。さらに、このように表示稼働率がよくなるため、表示のために余分なスペースが不要となり表示装置全体を小型化することができ、結果的にコスト低減を図ることができる。また、従来の表示方法のような静止画の表示だけでなく、動画や音声なども表示部に出力することができるので、広範囲に亘る情報提供を行うことができる。
さらに、本発明の情報表示システムに用いる情報表示装置は、装置用電源の立ち上げや立ち下げの際に、汎用PCの設置場所まで行かないで、情報表示装置から離れた場所にいても、電源のON/OFF操作や各表示内容に対応してキー入力操作を行うことができる。また、汎用PC機能をPDP内部に内蔵することにより、小型且つ安価な情報表示装置を実現することができる。さらに、PDPと汎用PCの間の接続ケーブルも不要となり、情報表示装置の設置スペースも小さくすることができる。従って、本発明の表示装置を情報表示システムに実装することによって、極めて使い勝手のよい情報表示システムを実現することができる。