JP2008003264A - 光学フィルム、偏光板および液晶パネル - Google Patents
光学フィルム、偏光板および液晶パネル Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】環状オレフィン系樹脂からなる光学フィルムであって、フィルムの幅が1,500mm以上であり、光線波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率をnx、フィルム面内でnxに対して直交する方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd〔nm〕とするとき、フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕=(nx−ny)×dと、フィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕={(nx+ny)/2−nz}×dと、フィルム厚み方向の光軸とフィルム面に対する法線とのなす角θ〔度〕が、それぞれ、0≦R0(550)≦300、30≦Rth(550)≦300、0≦θ≦3であり、R0のバラツキが±10%以下であり、フィルム面内方向の光軸のバラツキが中心値±10度以下である、光学フィルム。
【選択図】なし
Description
フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕=(nx−ny)×dと、
フィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕={(nx+ny)/2−nz}×dと、
フィルム厚み方向の光軸とフィルム面に対する法線とのなす角θ〔度〕が、それぞれ、
0 ≦ R0(550) ≦ 300
30 ≦ Rth(550) ≦ 300
0 ≦ θ ≦ 3
であり、R0のバラツキが±10%以下であり、フィルム面内方向の光軸のバラツキが中心値±10度以下である、光学フィルムに関する。
ここで、上記環状オレフィン系樹脂としては、下記一般式(I)で表される化合物の(共)重合体が好ましい。
次に、本発明は、偏光子の少なくとも片面に、上記光学フィルムが積層されてなることを特徴とする、偏光板に関する。
次に、本発明は、液晶表示素子の少なくとも片面に、上記偏光板が積層されてなることを特徴とする、液晶パネルに関する。
本発明の光学フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなる光学フィルムであって、該フィルムの幅が1,500mm以上であり、通常はコアを軸として、該コアの外周面に光学フィルムを巻き回してなるフィルムロールとされている。
0101スケールで、好ましくは1〜50度、さらに好ましくは3〜20度とする。
コアの表面硬度を、SRIS 0101スケールで1〜50度にするためには、弾性体を用いる方法が挙げられる。しかし、一方で、長尺のフィルムを巻き取るというコア本来の目的を達するためには、巻取時の張力やフィルムの重みに耐える強度が必要である。従って、弾性体単独でコアを作成した場合、その耐荷重量が問題となる。このため、本発明のコアは、少なくとも弾性体帯芯材からなる構造が好ましく、該弾性体によって、フィルムを巻き取る外周表面の表面硬度を、SRIS 0101スケールで1〜50度の範囲内に調整することが好ましい。
本発明の光学フィルムに用いられる環状オレフィン系樹脂としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
(1)上記一般式(I)で表される特定単量体の開環重合体。
(2)上記一般式(I)で表される特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体。
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体。
(5)上記一般式(I)で表される特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(6)上記一般式(I)で表される特定単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
(7)上記一般式(I)で表される特定単量体とアクリレートとの交互共重合体。
上記特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましい。
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体/共重合性単量体の好ましい使用範囲は、重量比で100/0〜50/50であり、さらに好ましくは100/0〜60/40である。
本発明において、(1)特定単量体の開環重合体、および(2)特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体を得るための開環重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)、あるいはIVB族元素(例えば、Ti、Zrなど)の化合物であって、少なくとも1つの該元素−炭素結合あるいは該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。また、この場合に触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
(b)成分の具体例としては、n−C4H9Li、(C2H5)3Al、(C2H5)2AlCl、(C2H5)1.5AlCl1.5、(C2H5)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−132626号公報第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、さらに特開平1−132626号公報第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に示される化合物を使用することができる。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で(a):(b)が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で(c):(a)が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲とされる。
開環重合反応において用いられる溶媒(分子量調節剤溶液を構成する溶媒、特定単量体および/またはメタセシス触媒の溶媒)としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素、クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどの、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量比)」が、通常、1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
得られる開環(共)重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節する。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
<水素添加触媒>
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
このように、水素添加することにより得られる水素添加(共)重合体は、優れた熱安定性を有するものとなり、成形加工時や製品としての使用時の加熱によっても、その特性が劣化することはない。ここに、水素添加率は、通常、50%以上、好ましく70%以上、さらに好ましくは90%以上である。
なお、本発明の環状オレフィン系樹脂として使用される水素添加(共)重合体は、該水素添加(共)重合体中に含まれるゲル含有量が5重量%以下であることが好ましく、さらに1重量%以下であることが特に好ましい。
<フリーデルクラフト反応による環化>
(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は特に限定されるものではないが、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。酸性化合物としては、具体的には、AlCl3、BF3、FeCl3、Al2O3、HCl、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土などのルイス酸、ブレンステッド酸が用いられる。
環化された開環(共)重合体は、(1)または(2)の開環(共)重合体と同様に水素添加できる。
<不飽和二重結合含有化合物>
不飽和二重結合含有化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなど、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
特定単量体/不飽和二重結合含有化合物の好ましい使用範囲は、重量比で90/10〜40/60であり、さらに好ましくは85/15〜50/50である。
<付加重合触媒>
上記(5)飽和共重合体を合成するための触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも一種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができる。
VO(OR)aXb、またはV(OR)cXd
〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
上記において、例えばバナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物の比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
<ビニル系環状炭化水素系単量体>
ビニル系環状炭化水素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
本発明の(6)付加型共重合体の単量体に使用されるシクロペンタジエン系単量体としては、例えばシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。好ましくはシクロペンタジエンである。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
また、上記付加型(共)重合体の水素添加(共)重合体は、上記(3)開環(共)重合体の水素添加(共)重合体と同様の水添法で得ることができる。
<アクリレート>
本発明の(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体の製造に用いられるアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート、ベンジルアクリレートなどの炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート、イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
(7)上記特定単量体とアクリレートとの交互共重合体を得るために使用するルイス酸の量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルとなる量とされる。また、公知のフリーラジカルを発生する有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができ、重合反応温度は、通常、−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒には、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。
なお、本発明でいう「交互共重合体」とは、上記特定単量体に由来する構造単位が隣接しない、すなわち、上記特定単量体に由来する構造単位の隣は必ずアクリレートに由来する構造単位である構造を有する共重合体のことを意味しており、アクリレート由来の構造単位どうしが隣接して存在する構造を否定するものではない。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあることによって、環状オレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明の光学フィルムとしての成形加工性が良好となる。
フェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ―t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)―6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、などを挙げることができる。好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられ、特に好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを挙げることができる。
チオール系化合物としては、t−ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−4−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1,3−ジメチルベンズイミダゾール、メルカプト酢酸などを挙げることができる。
スルフィド系化合物としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネートなどを挙げることができる。
ジスルフィド系化合物としては、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド、2,2’−ジチオジ安息香酸エチル、ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド、1,1’−ジナフチルジスルフィド、2,2’−ジナフチルジスルフィド、1,2’−ジナフチルジスルフィド、2,2’−ビス(1−クロロジナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(2−クロロナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(1−シアノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステルなどを挙げることができる。
リン系化合物としては、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどを挙げることができる。
また、本発明の環状オレフィン系樹脂を溶融押出しにより成形する場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、滑剤、紫外線吸収剤、染料あるいは顔料などの上記酸化防止剤以外の添加剤を用いることができる。もちろんこの場合でも、融点を有する添加剤の場合、その融点が本発明の必須酸化防止剤の融点の範囲にあることが好ましい。
環状オレフィン系樹脂フィルムの成形方法としては、溶剤キャスト法(溶液流延法)や溶融押出法などが挙げられる。膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点においては溶剤キャスト法が好ましく、製造コスト面においては溶融押出法が好ましい。
溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適用すればよい。例えば、上記環状オレフィン系樹脂を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当な基材上に注ぐか、または塗布し、これを乾燥した後、基材から剥離させる方法が挙げられる。
以下に、溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法の諸条件を示すが、本発明は係る諸条件に限定されるものではない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は、1〜1,000,000mPa・s、好ましくは10〜100,000mPa・s、さらに好ましくは100〜50,000mPa・s、特に好ましくは1,000〜40,000mPa・sである。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、良好な表面均一性および光学特性を有する環状オレフィン系樹脂フィルムを得ることができる。
上記溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。混合系の場合には、混合系としたときのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合系でのSP値の値は、重量比で予測することができ、例えば2種の混合では、それぞれの重量分率をW1およびW2、SP値をSP1およびSP2とすると混合系のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により求めることができる。
上記基材としては、たとえば、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(商品名;テフロン(登録商標))ベルトなどが挙げられる。
上記溶剤キャスト法の乾燥工程については、特に制限はなく、一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法などで実施できる。ただし、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度や風量を制御することが好ましい。特に、基材から剥離するまでの乾燥工程を2段以上の複数工程とし、1段目の乾燥工程における温度を0〜50℃、好ましくは10〜40℃とし、2段目以降の乾燥工程における温度を50〜200℃、好ましくは70〜180℃とすると、得られたフィルムのRth(550)の値を好ましい範囲に調整することができるため、非常に好ましい。
さらに、フィルム面内の位相差R0(550)を0〜300nmとするために、フィルム剥離時の応力TF(MPa)が、0.01MPa≦TF≦5MPaの範囲であることが好ましい。TFが0.01MPa未満では、うまく剥離できず、一方5MPaを超えてフィルムをロールから剥離すると、R0(550)>300nmとなり好ましくない。
溶剤キャスト法により環状オレフィン系樹脂フィルムを得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適用すればよい。例えば、押出機に取り付けられたダイから溶融状態の環状オレフィン系樹脂を押し出し、当該樹脂を鏡面ロール表面に圧着し、その後、冷却して剥離し、シート化する方法が挙げられる。
ダイから押出されたフィルムを冷却してシート化する方法としては、ニップロール方式、静電印加方式、エアナイフ方式、カレンダー方式、片面ベルト方式、両面ベルト方式、3本ロール方式などが挙げられるが、光学歪の少ないシートを製造するには、片面ベルト式、中でもスリーブ式と呼ばれるシート製造装置、静電印加方式などが好ましく用いられる。例えば、ダイの吐出口下方に鏡面ロールと金属ベルトが配置され、当該鏡面ロールと並行に並ぶように剥離ロールが配置されているフィルム製造装置が挙げられる。上記金属ベルトは、その内面に接するように設けられた2つの保持ロールによって張力が作用された状態で保持されている。吐出口より吐出された樹脂は、上記鏡面ロールと金属ベルトの間を通って挟圧され、鏡面ロールに転写されて冷却された後、剥離ロールにより剥離されフィルム化される。また、吐出されるフィルムの両端の位置で、ダイの吐出口下方の鏡面ロールに相対するように配置した、帯電電極から、フィルムを鏡面ロール側にはり付かせることで、光学歪を与えずにフィルムの表面性を良好にする方法なども好ましい方法である。
押出機としては、単軸、二軸、遊星式、コニーダーなどいずれを用いても良いが、好ましくは、単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュー形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、フルフライト型などが上げられるが、好ましくはフルフライト型である。樹脂の計量に使用されるギアポンプは、内部潤滑式、外部潤滑式いずれを使用しても良いが、中でも外部潤滑方式が好ましい。
鏡面ロールの加熱方法は、ジャケット式オイル温調方式や、誘電加熱方式などが好ましい方法として用いられる。ロールの加熱方法は特に限定されないが、ロールの温度がフィルム製膜範囲で、温度差が無いことが好ましく、許容されるロールの温度差は好ましくは2℃以内、さらに好ましくは1℃以内である。
通常、押出機に環状オレフィン系樹脂を投入する前に、当該樹脂に含まれている水分、気体(酸素など)、残溶剤などを予め除去することを目的として、当該樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の適切な温度で樹脂の乾燥を行う。
乾燥に用いる乾燥機は、好ましくは、不活性ガス循環式乾燥機、真空乾燥機が用いられる。また、ホッパー内で吸湿したり、酸素の吸収を抑制するため、ホッパーを窒素やアルゴンなどの不活性ガスでシールしたり、減圧状態に保持できる真空ホッパーを使用することも好ましい方法である。
押出機シリンダーは、溶融押出中に樹脂が酸化されてゲルなどが発生することを防止するために、窒素やアルゴンなどの不活性ガスによりシールすることが好ましい。
押出機により溶融された環状オレフィン系樹脂は、ダイ吐出口から垂直方向である下方に向かってシート状に押し出される。ダイ出口の温度分布は、樹脂の溶融粘度差を少なくするため、好ましくは±1℃以下に制御される。
その後、押し出された樹脂が、鏡面ロールと金属ベルトとによって挟圧され、冷却される。そして、鏡面ロール表面に転写された樹脂が、剥離用ロールによって鏡面ロールの表面から剥離されることにより、シート状のフィルムが製造される。
また、鏡面ロールと金属ベルトにより樹脂を挟圧する際、すなわち、鏡面ロールに樹脂を転写する際の圧力は、好ましくは面圧で0.01〜0.8MPa、特に好ましくは、0.1〜0.6MPaである。特に好ましくは、0.15〜0.45MPaである。上記圧力とすると、得られたフィルムのRth(550)の値を適正範囲に調整することができるため、非常に好ましい。
さらに、フィルム面内の位相差R0(550)を0〜300nmとするために、フィルム剥離時の条件として、剥離温度Tt(℃)、剥離応力TF(MPa)とする時、それぞれTg−30℃≦Tt≦Tg+5℃、0.01MPa≦TF≦5MPaの範囲であることが好ましい。この範囲を超えてフィルムをロールから剥離すると、R0(550)>300nmとなり好ましくない。
本発明の光学フィルムは、上記のようにして流延法あるいは溶融押出法により得られる光学フィルムを、さらに延伸することもできる。その場合の延伸加工方法としては、具体的には、公知の一軸延伸法または二軸延伸法を挙げることができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の異なる二組のロールを利用する縦一軸延伸法など、あるいは横一軸と縦一軸を組合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法などを用いることができる。
一軸延伸法の場合、延伸速度は、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。このとき、延伸後のフィルムの屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸倍率は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が10倍を超えると、位相差の制御が困難になる場合がある。
また、本発明の光学フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常、10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、本発明の樹脂の原料である特定単量体や共重合性単量体の選択に加え、キャスト方法や延伸方法によりコントロールすることが可能である。
本発明の光学フィルムは、以上のようにして溶剤キャスト法(流延法)、あるいは溶融押出法により製膜化されたのち、円筒状あるいは円柱状の上記コアを軸とし巻き取られる。また、所望の位相差と光軸角度とするために、さらに延伸加工してフィルムとされる。このフィルムの幅は、1,500mm以上、好ましくは1,700mm以上、さらに好ましくは1,700mm〜3,000mmである。フィルムの幅が1,500mm未満では、LCDを大型化することができない。
ここで、R0のバラツキは、大塚電子(株)製の位相差フィルム検査装置「RETS」を用い、フィルムの任意の部分を1m2サンプリングしてフィルム面内を1cm間隔で測定された値である。
R0のバラツキが±10%を超えると、液晶ディスプレイに使用したときに光学的にムラが発生し、部分的な光漏れや色ムラが発生してしまうため好ましくない。
なお、上記光軸のバラツキは、大塚電子(株)製の位相差フィルム検査装置「RETS」を用い、フィルムの任意の部分を1m2サンプリングしてフィルム面内を1cm間隔で測定された値である。
ここで、光軸とは、遅相軸の方向を意味し、光学フィルムの押出方向(MD方向)や延伸方向が一般に対応する。従って、光軸のズレ(バラツキ)とは、遅相軸の方向のズレであり、光学フィルムの押出方向(MD方向)や延伸方向において発生した遅相軸に対するズレを意味する。
(1)R0(550)の値を0〜300nmとするには、溶剤キャスト法で成形する場合に、フィルム剥離時の張力TF(kgf)を0.01MPa≦TF≦5MPaの範囲とする、もしくは、溶融押出法で成形する場合に、フィルム剥離時の条件が剥離温度Tt(℃)、剥離張力TF(kgf)とする時、それぞれTg−30℃≦Tt≦Tg+30℃、0.01MPa≦TF≦5MPaの範囲とすればよい。
(2)Rth(550)の値を30〜300nmとするには、溶剤キャスト法で成形する場合に、基材から剥離するまでの乾燥工程を2段以上の複数工程とし、2段目以降の乾燥工程における温度を50〜200℃、好ましくは70〜180℃とする、もしくは、溶融押出法で成形する場合に、鏡面ロールに樹脂を転写する際の圧力を面圧で好ましくは0.01〜0.80MPa、さらに好ましくは0.10〜0.60MPaとすればよい。特に好ましくは、0.15〜0.45MPaである。
(3)θの値を0〜3°とするには、溶剤キャスト法で成形する、もしくは、溶融押出法で成形する場合に、鏡面ロールの周速度を1.00としたときに、金属ベルトの周速度を0.95〜1.05とすればよい。あるいは、吐出したフィルムを静電圧着によりロールに密着する。
(4)R0のバラツキを±10%以下にするには、フィルム厚み分布を±10%以下、好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±1%以下にすることや、延伸加工する際に生じてしまう応力や温度の分布を極力少なくし、好ましくは±10%以下、さらに好ましくは±5%以下、特に好ましくは±1%以下にすると良い。
(5)光軸のバラツキが中心値±10度以下にするには、フィルム厚み分布を±10%以下、好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±1%以下にすることや、延伸加工する際に生じてしまう応力や温度の分布を極力少なくし、好ましくは±10%以下、さらに好ましくは±5%以下、特に好ましくは±1%以下にすると良い。
上記フィルムの厚み分布は、通常、平均値に対して±10%以内、好ましくは±5%以内、さらに好ましくは±1%以内、特に好ましくは±0.5%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は1%以下、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.01%以下、特に好ましくは0.005%以下であることが望ましい。光学フィルムの厚み分布を上記の範囲内に制御することにより、場合により延伸加工処理を行う際に、位相差ムラや光軸の配向ムラが発生することを防止することができる。
ここで、厚み分布は、MOCON社製、フィルム厚み測定装置「Profiler 140E」によって1mm間隔で測定された値である。
本発明の偏光板は、PVA系フィルムなどからなる偏光子の少なくとも片面に、本発明の視野角補償フィルムである光学フィルムを、PVA樹脂を主体とした水溶液からなる水系接着剤、極性基含有粘接着剤、光硬化性接着剤などを使用して貼り合わせ、必要に応じてこれを加熱または露光し、圧着して、偏光子と視野角補償フィルムとを接着(積層)させることにより製造することができる。
本発明の液晶パネルは、2枚のガラス基板間に液晶が挟持されてなる液晶表示素子の少なくとも片面に、本発明の偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子と偏光板とを接着(積層)させることにより製造することができる。このとき、ガラス基板の両面に偏光板が使用される。
なお、以下において、「部」、「%」は、特に断りのない限り「重量部」、「重量%」を意味する。
また、実施例中のフィルム物性は、次のようにして測定した。
フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕
大塚電子(株)製の位相差フィルム検査装置「RETS」を用い、フィルムの任意の部分を1m2サンプリングしてフィルム面内を1cm間隔で測定した。
フィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕
大塚電子(株)製の位相差フィルム検査装置「RETS」を用い、フィルムの任意の部分を1m2サンプリングしてフィルム面内を1cm間隔で測定した。
フィルム厚み方向の光軸とフィルム面に対する法線とのなす角θ〔度〕
王子計測機器(株)製のフィルム検査装置「KOBRA 21ADH」を用い、フィルムの任意の部分を1m2サンプリングしてフィルム面内を5cm間隔で測定した。
フィルム面内の光軸のばらつき〔%〕
大塚電子(株)製の位相差フィルム検査装置「RETS」を用い、フィルムの任意の部分を1m2サンプリングしてフィルム面内を1cm間隔で測定した。
環状オレフィン系樹脂として、市販のノルボルネン系樹脂(JSR株式会社製:ノルボルネン系樹脂D4531、Tg=130℃)を用いた。原料樹脂を100℃窒素下で4時間、除湿乾燥を実施した。この乾燥樹脂を、窒素気流下で定量供給して、単軸押出機(ジーエムエンジニアリング製:90mmφ押出機)を用いて、260℃で溶融し、溶融樹脂をギアポンプを用いて、100kg/hrで定量供給した。溶融樹脂をリーフディスク型ポリマーフィルター(日本精線株式会社製:公称目開き3μm)を使用して275℃でろ過を行った。ポリマーフィルターの前後の樹脂の圧力差は3.5MPaであった。ろ過した溶融樹脂を1,800mmTダイに導き、260℃で押し出した。このときのTダイの先端の開口は0.5mmであった。
また、Tダイの先端部分には、超硬のWCコーティングを100μmの厚さで、エッジ部分の両側に10mmずつ溶射、直角に研磨したTダイを用いて、目視で確認できるダイラインがないことを確認した。
Tダイ先端と転写する鏡面ロール間の間隔(エアギャップ)を65mmとして、下記のロールに導いた。
転写させたロールは、ジャケット加熱方式ロール(トクデン社製:1,750mm幅、250mmφ)で128℃に加熱した。金属スリーブは、シリコーンゴム被覆の150mmφロール(ジャケット温調加熱:125℃)と水冷却ロールで支持した。
金属スリーブは、厚みが250μmのニッケル製であり、その表面粗さは0.15sであった。
押し出した樹脂フィルムを周速度が9.88m/minの鏡面ロールと、9.88m/minの周速度のスリーブの間に挟んで、フィルム両面から冷却した。このときの圧着力は、スリーブの駆動エアの圧力を0.18MPaとして圧着した。次に120℃の冷却ロールおよび115℃の冷却ロールに順に接触させてフィルムを冷却した。その後、106℃の剥離ロールを通して、0.4MPaの剥離張力をかけてフィルムを引き取った。剥離時のフィルム表面の温度は、107℃であった。
このようにして製造されたフィルムを、引き続いて厚さ3mmのフェルト布地を巻いた6インチ径のポリプロピレンからなるコア材に巻きまわして幅が1,700mmのフィルムロールとした。
得られたフィルムの平均厚みは、102μmであった。
また、得られたフィルムのR0は5nm、Rthは10nm、θは0.1度であり、上記のようにして測定された、R0のバラツキは±5%以下、フィルム面内の光軸のバラツキは中心値±1.0度以下であった。
実施例1で得たフィルムロールを用い、連続的に温度140℃でロールニップ式の縦一軸延伸装置を用いて1.3倍に、フィルム長手方向に一軸延伸した。その後、テンター式の横一軸延伸機を用い、温度138℃で連続的に1.4倍フィルム幅方向に一軸延伸した。この時、延伸時の炉内の温度分布および応力分布が1%以内になるよう調整して行った。上記延伸が終了した後、最終的に実施例1で使用したコア材に巻き、ロール状のフィルムを得た。
得られたフィルムの平均厚みは、65μmであった。
また、得られたフィルムのR0は55nm、Rthは120nm、θは0.0度であり、上記のようにして測定された、R0のバラツキは±1%以下、フィルム面内の光軸のバラツキは中心値±0.5度以下であった。ここで、フィルム面内の光軸はフィルム長手方向に垂直であった。
ポリビニルアルコール(以下「PVA」と略)を、ヨウ素濃度0.03重量%、ヨウ化カリウム濃度0.5重量%の30℃水溶液の染色浴にて延伸倍率3倍で前延伸を実施後、ほう酸濃度5重量%とヨウ化カリウム濃度8重量%の水溶液の55℃の架橋浴中でさらに2倍で後延伸して乾燥処理し、偏光子を得た。
次いで、重合度1700のPVAを5%溶かした水溶液を接着剤として用い、偏光子の片面に実施例1のフィルムを貼り、もう一方の面に実施例2のフィルムを連続的に貼って偏光板を得た。当該偏光板の透過率と偏光度を調べたところ、44.0%、99.99%であった。
実施例3で得た偏光板を、VA方式の32インチの液晶テレビの液晶パネル両面に貼付している偏光板と位相差フィルムを剥離した後、両面に偏光板の吸収軸が垂直となる状態(クロスニコル状態)で貼付した。その後、黒表示にして光漏れ状態を観察したところ、光漏れも無くムラの無い良好な状態であることを確認できた。
実施例1において、押し出した樹脂フィルムを周速度が5.50m/minの鏡面ロールとしたことと、スリーブの駆動エアの圧力を0.08MPaとしたこと以外は同様にしてロールフィルムを得た。
得られたフィルムの平均厚みは、101μmであった。
また、得られたフィルムのR0は8nm、Rthは12nm、θは6.5度であり、上記のようにして測定された、R0のバラツキは最大12%、フィルム面内の光軸のバラツキは中心値最大12度であった。
比較例1のロールフィルムを用い、実施例2における延伸時の炉内の温度分布および応力分布がそれぞれ12%、11%になったこと以外は同様にして延伸フィルムロールを得た。
得られたフィルムの平均厚みは、63μmであった。
また、得られたフィルムのR0は58nm、Rthは125nm、θは3.5度であり、上記のようにして測定された、R0のバラツキは最大14%、フィルム面内の光軸のバラツキは中心値最大12度であった。ここで、フィルム面内の光軸はフィルム長手方向に垂直であった。
比較例2、比較例3で得たロール状フィルムを用いたこと以外は実施例3と同様にして偏光板を得た。
当該偏光板の透過率と偏光度を調べたところ、43.0%、99.6%であった。
比較例3で得た偏光板を使用したこと以外は実施例4と同様にして、黒表示にして光漏れ状態を観察したところ、画面の部分的に光漏れが発生しており、ムラがある状態を確認した。
Claims (4)
- 環状オレフィン系樹脂からなる光学フィルムであって、フィルムの幅が1,500mm以上であり、光線波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率をnx、フィルム面内でnxに対して直交する方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd〔nm〕とするとき、
フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕=(nx−ny)×dと、
フィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕={(nx+ny)/2−nz}×dと、
フィルム厚み方向の光軸とフィルム面に対する法線とのなす角θ〔度〕が、それぞれ、
0 ≦ R0(550) ≦ 300
30 ≦ Rth(550) ≦ 300
0 ≦ θ ≦ 3
であり、R0のバラツキが±10%以下であり、フィルム面内方向の光軸のバラツキが中心値±10度以下である、光学フィルム。 - 環状オレフィン系樹脂が下記一般式(I)で表される化合物の(共)重合体である請求項1記載の光学フィルム。
- 偏光子の少なくとも片面に、請求項1または2記載の光学フィルムが積層されてなることを特徴とする、偏光板。
- 液晶表示素子の少なくとも片面に、請求項3記載の偏光板が積層されてなることを特徴とする、液晶パネル。
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