JP2008001598A - アポトーシス誘導物質を含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】AIDS治療用医薬組成物の提供
【解決手段】 HIV-1のアクセサリー遺伝子vprがコードする96アミノ酸残基からなるVprタンパク質のカルボキシル末端の15アミノ酸残基を欠失した変異体タンパク質が極めて高い抗HIV活性を有することを見出し、完成されたものであり、以下の(a)又は(b)のタンパク質を含む医薬組成物を提供する。
(a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
【選択図】 なし

Description

本発明は、アポトーシス誘導物質を含むAIDS治療用医薬組成物に関する。
人類の脅威であるエイズと成人T細胞白血病を引き起こすヒトレトロウイルス(HIV-1及びHTLV-1)は、進化過程において通常のレトロウイルスに共通な遺伝子群の他に、その増殖を制御する調節遺伝子と多くのアクセサリー遺伝子群による複雑な増殖制御機構を獲得してきた。発明者は、これらウイルスの生物学的特性を担っていると考えられる調節遺伝子やアクセサリー遺伝子に焦点を当てて、これらの遺伝子産物の作用機構の解明と機能発揮に関与する宿主因子の検索などを精力的に行ってきた。また、発明者は、レトロウイルスによる疾患発症の感受性を規定する宿主の遺伝学的背景について、分子レベルでの解析を精力的に進めてきた。
発明者はこれまでに、アクセサリー遺伝子vprの遺伝子産物であるVprタンパク質のC末端欠失変異体C81が、in vitroレベルで強力なアポトーシス誘導能を有することを明らかにしてきた(特許文献1及び非特許文献1)。そして、C81ベクターがHIV-1感染細胞をアポトーシスにより破壊できる可能性をin vitroで明らかにしている。
ところで、現在AIDSの治療において、多剤併用療法(HAART法)が用いられることが多い。多剤併用療法が有効に作用した結果、血中のHIV量が低下するが、その一方で、多剤併用に伴う患者の精神的な負担、薬剤耐性ウイルスの出現および薬剤の副作用(毒性)が問題となっている。また、多剤併用療法では、血中ウイルス量が検出限界以下になったHIV感染者において、潜伏及び持続感染HIV-1を完全に排除することが困難という問題点が指摘されている。これらの問題点から、既存の作用機序とは異なるAIDS治療薬の開発が望まれている。
国際公開第00/18426号パンフレット Nishizawa M, Kamata M, Katsumata R, Aida Y., J. Virol. 2000, 74, 6058-6067
本発明は、AIDS又はAIDS関連症候群の治療に用いる医薬組成物、並びにAIDS及びAIDS関連症候群の予防方法又は治療方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、アポトーシス誘導能を有する物質がAIDS及びAIDS関連症候群の治療に有効であることを見出した。アポトーシス誘導能を有する物質として、例えばHIV-1のアクセサリー遺伝子vprがコードする96アミノ酸残基からなるVprタンパク質のカルボキシル末端の15アミノ酸残基を欠失した変異体C81があげられる。本発明者は当該C81が極めて高いアポトーシス活性を有しており、その結果としてHIV-1持続感染細胞を持続的に破壊することに基づく抗HIV活性を発揮することを、動物レベルにおいて初めて見出した。本発明はこの知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)アポトーシス誘導活性を有するタンパク質、化合物及び遺伝子からなる群から選ばれるいずれかの物質を含む医薬組成物。
(2)アポトーシス誘導活性を有する物質が、担体に含有されたものである上記(1)に記載の医薬組成物。
(3)タンパク質が、 以下の(a)又は(b)のタンパク質である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
(4)遺伝子が、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
(5)遺伝子が、以下の(a)又は(b)の遺伝子である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(a) 配列番号1に示される塩基配列からなる遺伝子
(b) 配列番号1に示される塩基配列に相補的な塩基配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(6)遺伝子が、IκB、Smac/DIABLO、ICE、HtrA2/OMI、AIF、エンドヌクレアーゼG、Bax、Noxa、Hrk、Mtd、Bim、Bad、Bid、PUMA、活性化カスパーゼ-3、Fas及びTkからなる群から選択されるいずれかのタンパク質をコードするものである上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(7)遺伝子が、HIV-1に感染しているT細胞又はマクロファージにおいてアポトーシス誘導を起こすタンパク質をコードする遺伝子である、上記(1)、(2)、(4)、(5)又は(6)に記載の医薬組成物。
(8)上記(4)〜(7)のいずれか1つに記載の遺伝子に対するプロモーターが、Tatタンパク質と結合することにより活性化するものである上記(4)〜(7)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(9)遺伝子のプロモーターが、LTRである(8)に記載の医薬組成物。
(10)アポトーシス誘導が、細胞周期が停止している細胞に誘導するものである上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(11)抗ウイルス薬として使用される上記(1)〜(10)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物。
(12)AIDS又はAIDS関連症候群を予防又は治療するための上記(11)に記載の医薬組成物。
(13)担体が、T細胞又はマクロファージに取り込まれるものである、上記(2)〜(12)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物。
(14)担体の表面が親水性である、上記(2)〜(13)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物。
(15)担体が多層膜から構成されるものである、上記(2)〜(14)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物。
(16)担体が、TMAG、DLPC、DOPE及びSuc-PGを含むものである上記(2)〜(15)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物。
(17)TMAGとDLPCとDOPEとの存在比が1:2:2である上記(16)に記載の医薬組成物。
(18)担体がリポソームである請求項上記(2)〜(17)に記載の医薬組成物。
(19)HIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2に感染した細胞に上記(1)〜(18)から選択される少なくとも1項に記載の医薬組成物を接触させることを特徴とする、HIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2感染増殖を抑制する方法。
(20)上記(1)〜(18)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物をHIV感染者に投与することを特徴とするAIDSの予防又は治療方法。
(21)上記(1)〜(18)から選択される少なくとも1つに記載の医薬組成物を、FIV、SIV、BIV又はHIV-2に感染したネコ、サル、ウシ又はヒトに投与することを特徴とするAIDS関連症候群の予防又は治療方法。
本発明により、AIDS又はAIDS関連症候群の治療に用いる医薬組成物、並びにAIDS又はAIDS関連症候群の予防方法又は治療方法が提供される。本発明の医薬組成物は、in vivo、すなわちHIVモデル動物において、血中ウイルス量を低下させ、かつ、T細胞の増殖を活性化させる結果、HIVに対し有効に感染増殖阻止作用を示す。
また、本発明の医薬組成物の感染細胞阻止作用は遅延的であるため、投与スケジュールの間隔を設けることができ、患者の負担を低減させることができる。
さらにまた、本発明の医薬組成物は単剤であるため、既存の多剤併用療法に比較すると、患者の精神的な負担が少なくてすむ。
さらにまた、本発明の医薬組成物は、既存のAIDS治療薬のようにAIDS由来タンパク質を標的とするものではなく、HIVに感染した細胞において敏感に機能するプロモーターを用いてアポトーシス誘導活性を有するタンパク質の発現を制御するものである。このため、本発明の医薬組成物は、ウイルス感染初期の細胞にアポトーシスを誘導し、結果としてin vivoで感染増殖阻止作用を示す。
従って、本発明の医薬組成物はAIDSその他のウイルス感染症治療薬として極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.C81変異タンパク質
本発明の医薬組成物に含有されるタンパク質は、HIV-1のvpr遺伝子がコードするVprタンパク質において、C末端側から15個のアミノ酸残基が欠失した81アミノ酸残基からなるタンパク質(配列番号2)である(「C81変異タンパク質」と呼ぶ場合がある)(図1)。このC81変異タンパク質は実施例に記載した方法に従って容易に製造することができる。C81変異タンパク質は、HIV-1のvpr遺伝子の核酸配列又はVprタンパク質のアミノ酸配列(Adachi,A.et al.,J.Virol.,59,pp.284-291,1986)を利用することによっても製造可能である。本発明のC81変異タンパク質は、野生型Vprタンパク質に比べてアポトーシス誘導作用が著しく高められていることを特徴としている(図2)。また、本発明のC81変異タンパク質は、ウイルス感染細胞に発現すると直ちに細胞にアポトーシスを引き起こす特徴を有する(図3)。図3は、C81変異タンパク質を発現したHeLa細胞におけるアネキシンV陽性細胞数の割合の時間変化(A)及びカスパーゼ−3活性の時間変化(B)を示す。
ここで、「アポトーシス誘導活性」とは、アポトーシスを細胞に引き起こす作用を意味し、本発明のC81変異タンパク質による高められたアポトーシス誘導作用は、陰性対照細胞と比較して、アネキシンV陽性細胞の出現レベルの上昇、ヘキスト染色によるアポトーシス小体の出現レベルの上昇(図2左パネル)又はカスパーゼ(Caspase)-3若しくは-9の活性の上昇(図2右パネル)を指標に用いて検出することができる。図2右パネル中の「ActD」は、アポトーシス誘導剤であるactinomycin Dで処置した細胞を示す。これらのアポトーシス誘導活性は、本明細書の実施例の方法に従って当業者が容易に確認することができる。また、本発明のタンパク質は、Vprタンパク質と異なり、実質的にG2期停止(arrest)能を有しないことを特徴としている(後述の表1を参照)。
上記のC81変異タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)において、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、挿入、付加及び/又は欠失したアミノ酸配列を有し、C81変異タンパク質と同様のアポトーシス誘導作用を有するタンパク質(以下、「改変タンパク質」と呼ぶ場合がある)も本発明の医薬組成物に含めて使用することができる。
改変タンパク質としては、配列番号2に示すアミノ酸配列のうち1若しくは複数個(好ましくは1個又は数個(例えば1個〜10個、さらに好ましくは1個〜5個))のアミノ酸が欠失しており、1若しくは複数個(好ましくは1個又は数個(例えば1個〜10個、さらに好ましくは1個〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されており、及び/又は1若しくは複数個(好ましくは1個又は数個(例えば1個〜10個、さらに好ましくは1個〜5個))の他のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ上記アポトーシス誘導活性を有する改変タンパク質が挙げられる。
上記の改変タンパク質は、C81変異タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA(配列番号1)を有する大腸菌などをN-ニトロ-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジンなどの薬剤を用いて突然変異処理し、菌体から改変タンパク質をコードする遺伝子を回収した後、通常の遺伝子発現操作を行うことによって製造できる。また、前記遺伝子を亜硫酸ナトリウムなどの薬剤で直接処理するか、あるいは部位特異的変異法(Kramer,W.et al.,Methods in Enzymology,154,350,1987)やリコンビナントPCR法(PCR Technology,Stockton press,1989)などの手法によってヌクレオチドの欠失、置換、又は付加を直接導入してもよい。
遺伝子に変異を導入するには、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばGeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System(Invitrogen)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等(タカラバイオ社製))を用いて行うことができる。
本発明の遺伝子は、C81変異タンパク質又は上記改変タンパク質をコードする核酸配列からなるDNA配列又はRNA配列のいずれをも包含するが、これらは上記文献記載の方法に従って容易に入手することが可能である。
また、配列番号1に示す塩基配列に相補的な配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を、本発明の医薬組成物に含めて使用することも可能である。
「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイズさせた後の洗浄時の条件であって塩(ナトリウム)濃度が150〜2000 mMであり、温度が25〜75℃、好ましくは塩(ナトリウム)濃度が300〜700 mMであり、温度が42〜72℃での条件をいう。
本発明で用いられるC81変異タンパク質には、配列番号2で示されるC81変異タンパク質又はその改変タンパク質のN末端から1〜16のいずれかの長さのアミノ酸を欠損させたものであって、かつアポトーシス誘導活性を示すものも含まれる(以下、「N末端欠損型C81変異タンパク質」ともいう)。当該N末端欠損型C81変異タンパク質は、アポトーシス誘導活性を示す限り、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、挿入、付加及び/又は欠失したアミノ酸配列を有する改変体も含む。さらに、本発明の遺伝子には、前記N末端欠損型C81変異タンパク質をコードする核酸配列からなるDNA配列又はRNA配列のいずれをも包含する。これらN末端欠損型C81変異タンパク質及びそれらをコードする核酸配列は、上記文献記載の方法に従って容易に入手することができる。
上記の医薬としての利用の目的のために、本発明のタンパク質は、他のポリペプチドと融合されていてもよい。本発明のタンパク質のアミノ酸配列を部分配列として含む融合タンパク質、及び該融合タンパク質をコードする遺伝子も本発明の範囲に包含される。例えば、癌細胞などの標的細胞に対して特異的なモノクローナル抗体やそのフラグメントとの融合タンパク質を製造することにより、標的細胞において特異的にアポトーシスを惹起させることが可能になる。
また、本発明のタンパク質は、アポトーシス耐性が関与する疾患などの治療への有用性が期待され、生化学、遺伝子工学などの分野における試薬としても有用である。本発明の遺伝子は、本発明のタンパク質の製造に有用であるほか、アポトーシス耐性が関与する疾患に対する遺伝子治療に用いることができる。例えば、AIDS、AIDS関連症候群や肝がん、子宮けいがん、ATL、カポジ肉腫といったウイルス感染による疾患の予防及び/又は治療のための遺伝子療法に用いることができる。遺伝子療法の手技は特に限定されないが、通常は、本発明の遺伝子をベクターに組み込み、生体内に該組換えベクターを導入して本発明の遺伝子を発現させればよい。あるいは、生体から血液を採取し、当該血液を適当なベクターを用いて遺伝子治療を施した後に、生体に戻す方法を選択することもできる。
生体内に遺伝子を導入するためのベクターは種々知られており、当業者は適当なベクターを選択することができる。当該ベクターには、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターを挙げることができる。また、特定の細胞において遺伝子の発現を制御するための手法も当業者に利用可能である。そのほか、Tatタンパク質により活性化されるプロモーター、例えば図4又は図5に示すように、LTRをプロモーターとして使用し、本発明の遺伝子をHIV-1LTRの下流に連結することで、HIV感染細胞特異的に遺伝子を発現させることができる。HIV-1LTRの核酸配列を配列番号3に示す。上記LTRの配列は、例えばネコFIV感染細胞に対して本発明のベクターを用いてアポトーシス誘導遺伝子を発現するときにはFIVのLTR配列を、同様にサルSIV感染細胞のときはSIVのLTR配列を、ウシBIV感染細胞のときにはBIVのLTR配列を、ヒトHIV-2感染細胞に対するときにはHIV-2のLTR配列を用いる。これらのLTR配列は、それぞれのウイルスのTatと相互作用できる限り、改変体を用いることもできる。その他、本発明のベクターを抗HIV gp120抗体結合陽電荷リポソームに封入して生体内に導入することにより、HIV感染細胞に遺伝子を導入することができる(図5)。
その結果、HIV感染細胞特異的にC81遺伝子が発現し、当該細胞を直接的に破壊することが可能となる。そして、サルのSHIV-モデル系を用いて本発明の医薬組成物の効果を検定したことにより、本発明の医薬組成物をヒトのAIDS治療に対する遺伝子治療に応用することができる。
また、C81変異タンパク質と同じく、アポトーシス誘導活性を有するタンパク質、化合物、又は遺伝子(以下「アポトーシス誘導物質」ともいう)も本発明の医薬組成物に含有することができる。当該アポトーシス誘導物質に含まれる遺伝子には、例えばIκB、Smac/DIABLO、ICE、HtrA2/OMI、AIF、エンドヌクレアーゼG(endonuclease G)、Bax、Bak、Noxa、Hrk(harakiri)、Mtd、Bim、Bad、Bid、PUMA、活性化カスパーゼ-3(activated caspase-3)、Fas及びTkからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質及びそれらの改変体であって、アポトーシス誘導作用を有するものをコードする遺伝子を挙げることができる。
上記タンパク質の意味は以下のとおりである。
IκB:inhibitor of κB、NFκBの阻害剤。
Smac/DIABLO:IAP(inhibitor of apoptosis protein)制御因子。
ICE:IL-1 beta-converting enzyme、IL-1β変換酵素。
HtrA2/OMI:ミトコンドリア由来の新規細胞死誘導因子。
AIF:apoptosis inducing factor、アポトーシス誘導因子。
エンドヌクレアーゼG(endonuclease G):ミトコンドリアから遊離するエンドヌクレアーゼ、アポトーシスDNアーゼ。
Bax:bcl-2 associated X protein。マルチドメインメンバー。アポトーシス促進。
Bak:Bcl-2ファミリーメンバー。
Noxa:p53で誘導されるアポトーシスのメディエーター(mediator of p53-induced apoptosis)。
Hrk(harakiri):アポトーシスの活性化剤(activator of apoptosis)。
Mtd:Bcl-2ファミリーメンバー。Bcl-2とBcl-XLのヘテロダイマリゼーションが生じないときにアポトーシスを活性化する。
Bim:BH3-only サブファミリー、Bcl-2スーパーファミリー、アポトーシス誘導因子、BH3-onlyタンパク質。
Bad:a heterodimeric partner for Bcl-XL and Bcl-2, displace Bax and promotes cell death。
Bid:Bcl-2ファミリー、BH3-onlyタンパク質、アポトーシス促進。
PUMA:p53 upregulated mediator of apoptosis。
活性化カスパーゼ-3:activated caspase-3。
Fas:FS-7(F)-and FL(F)-Associated cell Surface antigen、アポトーシスシグナルレセプターの一つ。
Tk:チミジンキナーゼ。
また、アポトーシス誘導物質に含まれる化合物には、5-Fluorouracil、actinomycin D、adriamycin、anisomycin、aphidicolin、bleomycin、cisplatin、mitomycin C、campthotecin、doxorubicin、etoposide、irinotecan、Bestatin、Betulinic acid、C2 celamide、cycloheximide、dexamethasone、DHMEQ(dehydroxymethylepoxyquinomicin)、gefitinib、HA 14-1、inostamycin、methotrexate、paclitaxel、taxol、puromycin、quercetin、staurosporine、telomestatin、TRAIL(TNF related apoptosis inducing ligand)、tricostatin A及びハリクロリンからなる群から選択される化合物を挙げることができる。
これらのタンパク質をコードする遺伝子は、データベースの塩基配列情報から、例えばPCR法などの分子生物学的手法により作製することができ、あるいは核酸合成機により合成されたものを使用することもできる。
また、HIV-1に感染しているT細胞又はマクロファージにおいてアポトーシス誘導を起こすタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、あるいはアポトーシスを誘導する薬剤も、本発明に含まれる。加えて、細胞周期が停止している細胞に直ちにアポトーシスを誘導するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、又は薬剤も本発明に含まれる。

2.C81変異型タンパク質又は遺伝子のリポソーム封入
本発明は、アポトーシス誘導物質を担体に含有させた医薬組成物を提供する。担体には、当業者が薬物運搬体として用いるもの、例えばリポソーム、エマルジョン、マイクロスフェアなどを選択することができるが、リポソームであることが好ましい。以下、リポソームを例にあげて説明する。
(1)リポソーム
本発明において、C81変異型タンパク質又は遺伝子を初めとする本発明のアポトーシス誘導物質を封入するためのリポソームは、その構成成分として、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有するものである。また、リポソームは親水性高分子部位を有する親水性高分子誘導体を有することもできる。これらの構成成分は、安全性又は生体内における安定性を考慮すると、リン脂質あるいはその誘導体、リン脂質以外の脂質あるいはその誘導体、または安定化剤、酸化防止剤、その他の表面修飾剤の配合が好ましい。
リン脂質としては、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルジオリビン等の天然又は合成リン脂質、あるいは、これらを常法に従って水素添加したもの等を挙げることができる。
また、本発明において、TMAG(N-(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholine)及びDOPE(dioleoyl phosphatidylethanolamine)を構成成分に含むリポソーム(TMAGリポソーム)を用いることが好ましい。TMAGリポソームは、その表面が陽性に荷電しているために、負電荷を帯びている遺伝子の封入率に優れている。さらに、TMAGリポソームは細胞毒性も少ないために、生体に対して安全性の高い遺伝子導入担体として機能する。リポソームの遺伝子封入効率は、遺伝子封入リポソームを、クロロフォルム−メタノール液などで処理し、封入遺伝子を放出させた後、DAPI法などの公知の方法で遺伝子量を測定することによって、評価することができる。
上記構成成分の存在比(モル比TMAG:DLPC:DOPE)は、リポソームが高い遺伝子封入率及び高い遺伝子導入効率を有する限り限定されるものではないが、0.5〜2:1〜3:1〜3、好ましくは0.75〜1.5:1.5〜2.5:1.5〜2.5、より好ましくは1:2:2である。本発明のリポソームの構成成分であるTMAGの化学式を下記に示す。
Figure 2008001598
また、DLPC及びDOPEの構造式は以下の通りである。
Figure 2008001598
Figure 2008001598
さらに、上記のTMAGリポソームにSucPGを含んだSucPG-TMAGリポソーム(SucPG-TMAGリポソームという)を用いることもできる。
SucPGとは、以下に示す構造を有する化合物であり、n-decyl基を有することが特徴である。n-decyl基を有することにより、SucPGを含むリポソームはリポソーム膜へのアンカリングが可能となる。また、Suc-PGは両親媒性であり、両親媒性のポリエチレングリコールと類似の主鎖骨格および側鎖にカルボキシル基を有するため、中性環境下においてはリポソーム膜を安定化するが、酸性環境化において側鎖カルボキシル基がプロトン化されるとリポソーム膜を著しく不安定化し、その膜融合を誘起するという特徴を有する。また、SucPGは、側鎖のカルボキシル基が解離すると負に帯電するため、リポソーム膜に固定化することによってリポソームにいわゆるステルス性(体内の細網内皮系による捕捉を逃れ、高い血中滞留性を示す性質)を付与することもできる。
Figure 2008001598
上記式中、X、Y及びZはそれぞれ同一または異なる1以上の整数を示す。
SucPG-TMAGリポソームは膜融合能を有するため、細胞内への遺伝子導入において極めて有用である。特に、SucPG-TMAGリポソームは、これまで遺伝子導入が困難とされていたT細胞やマクロファージに対して、高い融合能を示し、これらの細胞に取り込まれる。従って、本発明のリポソームは、T細胞又はマクロファージへの効率の良い遺伝子導入に用いることができる。細胞に対する遺伝子導入効率は、例えば、蛍光タンパク質(例えばルシフェラーゼ)の遺伝子を細胞に導入したときの、遺伝子導入細胞における蛍光強度を測定することによって評価することができる。
ここで、リポソームは、その構造又は作製法によって、MLV(multilamellar vesicles、多重層リポソーム)、DRV(dehydration-rehydration vesicles、再水和リポソーム)、LUV(large umilamellar vesicles、大きな単層リポソーム)あるいはSUV(small unilamellar vesicles、小さな単層リポソーム)などに分類される。SucPG-TMAGリポソームは、TMAGリポソームをベースにして作られるが、このTMAGリポソームにも、多層膜で構成されるMLV、DRV、LUV、又はSUVなどの種類が存在する。
MLVの作製方法は、薄膜状態の脂質に水系溶媒を加えて水和・膨潤させた後、機械的的振動により容器から脂質薄膜を剥離させ作製する。DRVの作製方法は、リポソーム(MLV、SUV等)を凍結乾燥した後、水系溶媒で再水和させることにより作製する。LUVの作製方法は、有機溶媒(ジエチルエーテル、石油エーテル、ジクロロメタン、エチルアルコール等)に溶かした脂質溶液を一定の条件下で水系溶媒の中へ注入し作製する方法(有機溶媒注入法)、脂質/界面活性剤混合ミセルから界面活性剤を除去することにより作製する方法(界面活性剤除去法)、超音波処理をしたMLVを液体窒素で凍結させ、室温で解凍させた後、短時間の超音波処理もしくは機械的的振動により作製する方法(凍結融解法)、あるいは水と混和しない有機溶媒に溶かした脂質に少量の水系溶媒を加え、超音波処理によりw/oエマルジョンを作製した後、有機溶媒を減圧下で留去することにより作製する方法(逆相蒸発法)などにより作製する。SUVの作製方法は、薄膜状態の脂質に水系溶媒を加えて水和・膨潤させた後、超音波処理を行うことにより脂質二重膜の再配列を生じさせ作製する。また、MLVを超音波処理、またはフレンチプレス、加圧ろ過器あるいはエクストルーダーを用いて一定の大きさの孔を通すことによってもSUVを作製することができる。
SucPGは、合成高分子ポリグリシドールを無水コハク酸とN,N-ジメチルフォルムアミド中において80℃で6時間反応させることにより作製することができる。
本発明のSucPG-TMAGリポソームにおいて、SucPGはTMAGリポソーム中に、自身の持つn-decyl基を介してリポソーム膜へアンカリングされ、ポリエチレングリコールと類似の主鎖骨格および側鎖のカルボキシル基をリポソーム表面に発現した形態で存在する。そして、前述のようにして得られた各種形態のTMAGリポソーム作製時に、リポソーム構成脂質とともにSucPGを加え、TMAGリポソームを作製することによって、本発明のSucPG-TMAGリポソームを得ることができる。
以上のようにして作製された本発明のリポソームは、以下の物理的特徴を有する。
(a) 荷電
当該リポソームの表面は陽荷電を有する。陽荷電を有することにより、遺伝子導入効率を高めることができる。
(b) 親水性
本発明のリポソームは親水性を有している。親水性を得るためには、リポソームの膜表面を親水性ポリマーで修飾するとよい。親水性ポリマーとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリメチルエチレングリコール、ポリヒドロキシプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール、ポリメチルプロピレングリコールなどが挙げられ、好ましくはポリエチレングリコールである。本発明のリポソームを親水性化するには、親水性ポリマーを脂質膜に埋め込む等の公知の手法を採用することができる(文献名:Takeuchi H, Kojima H, Yamamoto H, Kawashima Y. 2001, Evaluation of circulation profiles of liposomes coated with hydrophilic polymers having different molecular weights in rats. J Control Release. 75:83-91.、Vertut-Doi A, Ishiwata H, Miyajima K. 1996, Binding and uptake of liposomes containing a poly(ethylene glycol) derivative of cholesterol (stealth liposomes) by the macrophage cell line J774: influence of PEG content and its molecular weight. Biochim Biophys Acta. 1278:19-28.)。
また、本発明のリポソームは、直径が0.02〜3ミクロン、好ましくは0.1〜0.2ミクロンである。前述のように本発明のリポソーム(SUV)は、一定の大きさの孔を通すことによって、好ましい直径に作製することができる。
本発明のSucPG-TMAGリポソームは、膜融合能を持たせるように作製された遺伝子等の導入用担体であり、細胞内への遺伝子導入において有用なものである。特に、本発明のリポソームは、これまでに遺伝子導入が困難とされていたT細胞やマクロファージの細胞膜に融合可能であり、当該細胞への遺伝子導入において有効なツールとなる。
本発明のリポソームの構成成分は、安全性又は生体内における安定性を考慮すると、上記のTMAG、DLPC及びDOPEの他、安定化剤、酸化防止剤、その他の表面修飾剤の配合が好ましい。
安定化剤としては、膜流動性を低下させるコレステロールなどのステロール、グリセロール、シュクロースなどの糖類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、トコフェロール同族体(ビタミンE)等などが挙げられる。トコフェロールには、α、β、γ及びδの4個の異性体が存在するが本発明においてはいずれも使用できる。
その他の表面修飾剤としては、グルクロン酸、シアル酸、デキストラン等の水溶性多糖類の誘導体等が挙げられる。
生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物は、薬物担体の構造安定を損なわない限り特に限定されるものではないが、少なくとも1つの脂肪族第一、二級アミノ基、アミジノ基、芳香族第一、二級アミノ基を有する化合物、及び前記化合物に1つ以上の水酸基を有する残基と結合させた化合物が挙げられる。例えば、前記化合物とパルミチン酸、ステアリン酸等の長鎖脂肪族アルコール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、またはグリセリン脂肪酸エステル等の疎水性化合物との誘導体が好ましい。これら誘導体は、リポソームの膜に安定に挿入することができ、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位をリポソームの表面に存在させることができる。
また、陽電荷を帯びる部位を有する化合物としては、アミノ糖が挙げられ、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、イノラミン酸、イノラミン酸エステルなどの単糖、キチンなどのオリゴ糖、多糖、これらの遊離型又は各種グリコシドが挙げられる。

(2)リポソームへのアポトーシス誘導物質の封入法
本発明のSucPG-TMAGリポソームに目的物を含有させるには、まず目的物が遺伝子の場合には、MLV、DRVならびにLUVにおいては、あらかじめ遺伝子をリポソーム作製時の水系溶媒に加えることにより含有できる。SUVにおいては、SUV(TMAGリポソーム)と遺伝子とを反応させ複合体を作製した後、SucPG-TMAGリポソーム(SUV)と反応させることによって行えばよい。リポソームと遺伝子との比は、1:20〜1:60であり、1:40であることが好ましい。
次に目的物がタンパク質の場合、各種形態のリポソーム作製時の水系溶媒にあらかじめタンパク質を加えることによってリポソームに含有させればよい。例えば、タンパク質として抗体を含有させるときの比は、20%以内、好ましくは10%以内である。また、前記抗体として、HIV-1のエンベロープタンパク質の1つであるgp120の抗体を用いることもできる。前述のリポソームに、gp120の抗体をあらかじめ結合させておくことで、HIV-1に感染している細胞を直接的かつ特異的に破壊することが可能である(抗gp120抗体結合リポソーム)。
抗gp120抗体は、HIV-1感染細胞に発現するgp120を認識する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体であってもよく、あるいはそれらの断片であってもよい。
当該抗体は、当業者であれば市販のものを購入して、あるいは公知の抗体作製方法に従って作製して得ることもできる。
さらに、目的物が化合物等の薬剤である場合、薬剤が水溶性の場合は、各種形態のリポソーム作製時の水系溶媒にあらかじめ加えることにより、また、薬剤が疎水性の場合は、各種形態のリポソームの脂質溶液に加えることによってリポソームに含有することができる。

3.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、抗ウイルス薬、特にHIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2の増殖抑制剤又は感染予防剤、あるいはAIDS、AIDS関連症候群(ネコAIDS、サルAIDS、ウシAIDS、ヒトHIV-2感染症など)又はウイルスによる感染症(肝がん、子宮けいがん、ATL、カポジ肉腫など)の発症の予防剤又は治療剤として使用することができる。この場合は、HIVウイルス感染者(HIVウイルス陽性の健常者又はAIDS患者)に対して治療又は予防を特異目的として投与することができる。また、健常者に対して、感染予防の目的で使用することも可能である。また、本発明の医薬組成物を、FIV、SIV、BIV又はHIV-2に感染したネコ、サル、ウシ又はヒトに投与することによるAIDS関連症候群の予防方法又は治療方法を提供する。さらに、本発明は、HIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2に感染した細胞に、本発明の医薬組成物を接触させることによるHIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2の感染増殖を抑制する方法を提供する。上記の疾患は、単独であっても、併発したものであっても、上記以外の他の疾病を併発したものであってもよく、いずれも本発明の医薬組成物を使用する対象とすることができる。
本発明の医薬組成物は、経口又は非経口的に全身又は局所投与することができる。本発明の医薬組成物を経口投与する場合は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、内用水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等のいずれのものであってもよく、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。
また、本発明の医薬組成物を非経口投与する場合は、点滴、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、坐剤などの製剤形態を選択することができ、点滴又は注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供される。
これらの各種製剤は、製剤上通常用いられる賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤等などを適宜選択し、常法により製造することができる。
上記各種製剤は、医薬的に許容される担体又は添加物を共に含むものであってもよい。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトースなどが挙げられる。使用される添加物は、本発明の剤型に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
本発明の医薬組成物の投与量は、投与対象の年齢、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。本発明のC81変異型タンパク質の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組合せとして投与される有効量は、一回につき体重1kgあたり0.001〜50 mg/body、好ましくは0.01〜5 mg/body、さらに好ましくは1 mg/bodyの範囲の投与量を選ぶことができ、1日1回から数回に分けて1日以上投与される。投与スケジュールは、毎日投与〜7日おきの投与であることが好ましい。

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
C81変異体の作製
1.材料と方法
HIV-1感染性DNAクローンpNL432のvpr遺伝子断片の部分であるC81遺伝子の5'端にFlag配列を連結後、高度発現ベクターpME18neoに挿入した。以下、これらの手順を説明する。
(1)C81変異タンパク質をコードする遺伝子(以下、「C81変異遺伝子」と呼ぶ。)の増幅用に設計したプライマーは以下の通りである。
Sense Primer:5'-GAAGATATCCGAACAAGCCCCAGAAGAC-3' (配列番号4)
Antisense Primer:5'-GGTCTAGATCATATTCTGCTATGTCGACAC-3' (配列番号5)
接着配列に加え、senseプライマーの5'端にはFlag-Tag接続のためのEcoRVsiteを、antisenseプライマーの5'端にはサブクローニングベクター接続のためのXbaI siteを付加した(酵素サイトは下線で示す)。このプライマーを用いてHIV-1分離株NL43の感染性DNAクローンpNL432(Adachi,A.et.al,,J.Virol.,59,pp.284-291,1986)を鋳型としたPCR法を行い、C81変異遺伝子断片を増幅した。
(2) 鋳型DNA 1μg、PCR緩衝液(10mM Tris-HCl pH8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.001%gelatin)、0.2mM dNTP、プライマー各50pmolおよびAmpli Taq polymerase(Perkin Elmer Cetus)2.5unitsを含む反応液中で94℃で5分間熱変性後、94℃で1分、54℃で1分、72℃で2分の増幅処理を35回行い、72℃で10分の伸長反応を行った。
得られたPCR産物は、EcoRVおよびXbaIで4時間以上処理後、アガロースゲル電気泳動によりDNAを分画後、GENECLEAN II KITを用いて目的DNA断片を溶出、精製した。
(3) 次に、増幅断片とFlag-Tag配列とを接続するため、PCR増幅C81変異遺伝子断片をあらかじめFlag-Tagを接続しEcoRVおよびXbaI処理されたpBluescript SK+-IIベクターにライゲートした(FC81/pBluescript SK+-II)後、大腸菌コンピテントセルXLI-Blueに形質転換した。
次に、FC81/pBluescript SK+-IIからNotIおよびXhoI切断部位でC81変異遺伝子のDNA断片を切り出し、GENECLEAN II KITを用いて目的DNA断片を溶出し、pME18Neoにライゲートし、XLI-Blueに導入して形質転換細胞を得た。
プラスミドDNAはSDS法により調製し、塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を用いて精製した。これと野生型及びコントロールベクターをエレクトロポレーション法にてHeLa細胞に導入した。細胞増殖に及ぼす効果をコロニー形成法により解析した。導入12時間後に5×105個の細胞を10cmシャーレに蒔き、G418を含む選択培地にて12日間培養し、メタノール固定後にギムザ染色を行い、コロニー数を算出した。この時、β-Gal染色を用いて各変異体につき導入効率を算出し、コロニー数を補正した。細胞周期はフローサイトメトリー法により解析した。
C81変異遺伝子発現プラスミドをGFP発現プラスミドと一過性に共導入し、48時間後に細胞を1%ホルムアミド/PBSに続いて70%メタノールを用いて固定後、PI染色液で染色してFACS解析した。GFPの蛍光をマーカーとしてC81変異遺伝子導入細胞と非導入細胞を選別し、各分画のDNA含量を調べた。この時、+、野生型と同等のG2期停止能を持つ;±、野生型より弱い;−、持たない、として区分した。同様に、導入48時間後に抗Flag抗体あるいは抗ミニクロモゾームメンテナンス(MCM)抗体で二重蛍光染色し共焦点レーザー顕微鏡で観察した。MCM陰性:G2期細胞と判定した。
増殖している細胞の検出のため、細胞をプロモデオキシウリジン(BrdU)存在下で30分間培養後、抗BrdU抗体で蛍光染色した。さらに、導入48時間後、ビオチン標識アネキシンV及びPE標識ストレプトアビジンで蛍光染色した。GFP陽性細胞をC81変異遺伝子導入細胞のマーカーとして共焦点レーザー顕微鏡で観察した。アネキシンV陽性:アポトーシス誘導細胞と判定した。
同様の方法でvpr全長を含むvpr野生体の発現ベクター、C81変異タンパク質の74番目のIがPに変異したC81I74P変異体(図1)の発現ベクター、及びC81部分又はvpr部分を含まないコントロールベクターを作製した。C81I74P変異体は、C81のロイシンジッパー変異体であり、アポトーシス能が欠如している。

2.結果
結果を表1に示す。Vprタンパク質のC末端から15アミノ酸残基を欠失したC81変異タンパク質(配列番号2)をコードするC81変異遺伝子(配列番号1)を導入したHeLa細胞では、G2期停止が起こらないにも関わらず、コロニー形成能がコントロールベクター導入細胞より約30%低下していた。また、C末端欠失vpr(C81変異体)導入細胞におけるBrdUの取り込みは、コントロール導入細胞と比較して顕著に低下していた。さらに、細胞をG2期マーカーであるMCMに対する抗血清を用いて蛍光染色した結果、この細胞増殖抑制活性がG2期停止によるものではないことが明らかとなった。
以上の結果から、C末端欠失Vpr導入細胞ではG2期停止とは異なる機序によって細胞増殖が著しく低下していることが確認された。そこで、アネキシン-Vビオチンによる細胞染色を行ったところ、C末端欠失Vprではアポトーシス細胞の割合が野生型Vprに比べ顕著に、また早く増加していた。Vprタンパク質のカルボキシル末端の15アミノ酸残基を欠失した変異体は、著しく高いアポトーシス活性を誘導することが明らかとなった。
Figure 2008001598
C81変異体を含むリポソームの製造
(1)C81発現ベクター封入リポソームの作製
pHIV-LTRbsrのLTR下流に、HIV-1Vpr C81変異体をFlag-tag付きで挿入し、TMAG陽性荷電リポソームにベクターを封入した。TMAG陽性荷電リポソームであるSucPGを含むTMAGリポソームは、TMAG:DLPC:DOPE、モル比1:2:2からなる脂質組成にSuCPGを重量比で30%加えたて作製した(SucPG-TMAGリポソーム)(MLV)。発現ベクターの当該リポソーム内への封入は、リポソーム作製時の水系溶媒にvpr変異体(C81)発現ベクターを加え、SucPG-TMAGリポソーム(MLV)を作製することによりに含有させた。
(2)抗−gp120モノクローナル抗体(mAb)結合リポソームの調製
TMAG、DOPE、DLPCの3つの脂質とDTP-DPPEを1:2:2:0.1の比率で混合して脂質膜を作製した。この脂質膜にPBSとDNAを入れて撹拌後、リポソーム表面にピリジルジチオ基を持たせたDNA封入TMAGリポソームを得た。抗−gp120 mAbは、SPDPでピリジルジチオ基を導入し、DTTで還元し、チオール化を行った。
抗gp120mAb結合リポソームは、ピリジルジチオ基を表面に持つDNA封入TMAGリポソームとチオール基を導入したmAbとを混ぜ、4℃で一夜攪拌させることにより調整した。
リポソームによる遺伝子導入
実施例1及び2で作製したリポソームを用いて、細胞へ遺伝子を導入した。方法は、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等である。
HIV-1Tatによる遺伝子の発現誘導は、エレクトロポレーション法等によりTat発現ベクターを共導入することによって行った。
発現の確認は、抗Flag抗体によるウェスタンブロッティング(図6A)及び蛍光抗体法(図6B)で行った。ウェスタンブロッティングは、Hela細胞に発現ベクターをβ-galactosidaseプラスミドと共導入し、24時間後に、細胞を可溶化した。一部の可溶化液(lysate)を用いてβ-galactosidase活性を測定して、同じβ-galactosidase活性を有するlysateを15% SDS-PAGEで電気泳動後、抗-Flag抗体M2、さらにHRP-標識ヒツジ-抗マウスIgで発色させた。蛍光抗体法は、Hela細胞に発現ベクターを導入し、24時間後に氷上にて1%ホルムアルデヒドで細胞を固定し、抗-Flag抗体M2、さらにFITC-標識抗マウスIgGで染色し、蛍光顕微鏡で観察した。
図6のAにおいて、Tatが実験系に存在するときにはVpr、C81、C81I74Pが発現したが、Tatが存在しないときには、いずれも発現しなかった。図6のBのヘキスト染色によって、Tatの存在下でアポトーシス小体の出現が確認できた。従って、本実施例により、目的遺伝子はHIV-LTRの下流に連結されるため、HIV-1Tatの存在下で発現が誘導され、細胞にアポトーシスを誘導する可能性を有することが示された。
HIV-1感染細胞への発現ベクターの導入
(1)リポソーム封入ベクター
CD4+T細胞株CEM細胞に、T細胞指向性のHIV-1感染性クローンであるpNL432を感染させた。2週間の継代培養後、2×106個の細胞に対して陽性荷電リポソームに封入したプラスミド0.8μgを混和し、一昼夜培養した。アポトーシスの指標となるカスパーゼ-3(Caspase-3)活性をFACSで測定した。
結果を図7に示す。グラフは左から、Vpr、C81、C81I74P、コントロールベクターの順であり、それぞれ非感染(黒カラム)及び感染(灰色カラム)CEM細胞のCaspase-3活性値を示す。図7から、コントロールベクターではなく、C81ベクターを導入した感染細胞において、著しく高いCaspase-3活性が認められた。
(2)抗gp120抗体結合リポソームに封入ベクター
次に、感染細胞に遺伝子を特異的に導入するために、C81ベクターを封入したリポソームに抗-HIV-1gp120抗体を結合させた担体を用いて、上記(1)と同様の検討を行った。
結果を図8に示す。その結果、C81発現ベクターを導入した細胞で、顕著に高いCaspase-3活性が検出された。
従って、本実施例から、C81ベクターがHIV-1感染細胞をアポトーシスによって破壊する能力を有することをin vitroレベルで証明することができた。
サルによる抗SHIV試験
本実施例において、使用するSHIVは、HIV-1のenv領域等を有し、マカク族サルへの感染が可能なSIV/HIVキメラウイルスである。SIVとHIVとのキメラの程度により、毒性に強弱があることが知られている。本実施例において、強毒・弱毒SHIV感染性分子クローン及びそれらのゲノムを一部互いに入れ換えたウイルスをアカゲザルに接種した。
まず、SHIVモデルの基礎実験として、以下の実験を行った。サルにSIV/HIVキメラウイルスの株を投与したときの血漿中のウイルスRAN量(コピー/ml)を測定した(図9左パネル)。「MM○○○」(○は数字)は、感染させたウイルスの株を示す(図9〜11において同じ)。同時に、ウイルスを感染させたサルのCD4陽性T細胞数を測定した。結果を図9右パネルに示す。ウイルスの株により、ウイルスの感染性および細胞障害性に差のあることがわかる。また、MM260、MM272及びMM339を感染させたサルに、それぞれHAART療法、HAART療法に用いられる薬剤の中からKaletra単体による処置、及びHAART療法を施したときの血漿中ウイルスRNA量を図10に示す。0から5週までの彩色した升目はそれぞれの薬剤による治療を行った期間を示す。HAART療法の処置中は、ウイルスRNA量の低下が見られるが、処置後はウイルスRNA量の急増が確認された。次に、上記のウイルスをアカゲザルに接種し、C81遺伝子治療用リポソームを当該SHIV感染サルに投与した時の、血漿中ウイルスRNA量、末梢血リンパ球マーカー、抗体応答、病理組織及びウイルス遺伝子変異について解析した。
サルへのリポソームの投与は、C81ベクター 1 mg/kgを一週間連続して毎日行った。血漿中ウイルスRNA量を測定した結果を図11に示す。図11において、彩色を施した升目は、リポソームを投与した期間を示す。また、「MM○○○」(○は数字)は、感染させたウイルスの株を示す。図11の左パネルはリポソーム投与2週前から投与後5週目までのウイルスRNA量(コピー/ml)を示し、右パネルはリポソーム投与2週前から投与後20週目までのウイルスRNA量(コピー/ml)を示す。
その結果、C81遺伝子治療用リポソームを種々の血中ウイルス量を示すSHIV感染サルに投与したところ、すでにエイズを発症し、持続的に107コピー/ml以上のウイルス量を示すサルに対しては、治療時期が遅すぎたため、正確な効果の判定ができなかった。しかし、105コピー/ml以下の血中ウイルス量を示すサルに対しては、1週間の投与期間中に血中ウイルス量が投与前の1/10程度に減少し(図11)、末梢血CD4+T細胞数を増加させる効果があることが確認された(図12、MM342)。投与終了直後は、抗HIV薬と同様に結集ウイルス量が投与前のレベルに戻ったが、数週間後に血中ウイルス量が検出限界以下に激減し、特徴的な二相性のウイルス量の低下作用を示した。(図11右パネル、MM341及びMM342、矢印)。
従って、血漿中のウイルスレベルを低下するほど、AIDSの予後が良好であるため、本発明の医薬組成物はAIDSの治療において有効であることが示された。本実施例により、このベクターを単独又はHAART法と併用することによって、HIV感染者体内から感染細胞を特異的に駆除できる可能性を強く示している。
VprとC81変異体の関係を示す図である。数字は、アミノ酸配列をN末端側から数えた位置を示す。「Arginine rich region」は、アルギニンの豊富な領域を示す。「Leucine-zipper like domain」は、ロイシンジッパー様領域を示す。 C81変異体によるアポトーシス誘導作用を示す図である。 C81変異体によるアポトーシス誘導作用を示す図である。 C81変異体を用いたHIV感染症に対する遺伝子治療の概念図を示す。 C81変異体を用いたHIV感染症に対する遺伝子治療の概念図を示す。 野生型のVprとC81変異体の発現を示す図である。 HIV-1感染細胞に対するリポソーム封入ベクターの導入によるアポトーシスの誘導を示す図ある。 HIV-1感染細胞に対する抗gp120抗体結合リポソームに封入した発現ベクターの導入によるアポトーシスの誘導を示す図である。 SHIVモデル動物を用いた基礎実験の結果を示す図である。 SHIVモデル動物における既存薬剤による処置の結果を示す図である。 サルにおける本発明の医薬組成物による抗SHIV作用を示す図である。 サルにおける本発明の医薬組成物による抗SHIV作用を示す図である。
配列番号4:プライマー
配列番号5:プライマー

Claims (21)

  1. アポトーシス誘導活性を有するタンパク質、化合物及び遺伝子からなる群から選ばれるいずれかの物質を含む医薬組成物。
  2. アポトーシス誘導活性を有する物質が、担体に含有されたものである請求項1記載の医薬組成物。
  3. タンパク質が、 以下の(a)又は(b)のタンパク質である請求項1又は2記載の医薬組成物。
    (a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
  4. 遺伝子が、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子である請求項1又は2記載の医薬組成物。
    (a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質
  5. 遺伝子が、以下の(a)又は(b)の遺伝子である請求項1又は2記載の医薬組成物。
    (a) 配列番号1に示される塩基配列からなる遺伝子
    (b) 配列番号1に示される塩基配列に相補的な塩基配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
  6. 遺伝子が、IκB、Smac/DIABLO、ICE、HtrA2/OMI、AIF、エンドヌクレアーゼG、Bax、Noxa、Hrk、Mtd、Bim、Bad、Bid、PUMA、活性化カスパーゼ-3、Fas及びTkからなる群から選択されるいずれかのタンパク質をコードするものである請求項1又は2記載の医薬組成物。
  7. 遺伝子が、HIV-1に感染しているT細胞又はマクロファージにおいてアポトーシス誘導を起こすタンパク質をコードする遺伝子である、請求項1、2、4、5又は6記載の医薬組成物。
  8. 請求項4〜7のいずれか1項に記載の遺伝子に対するプロモーターが、Tatタンパク質と結合することにより活性化するものである請求項4〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 遺伝子のプロモーターが、LTRである請求項8記載の医薬組成物。
  10. アポトーシス誘導が、細胞周期が停止している細胞に誘導するものである請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 抗ウイルス薬として使用される請求項1〜10から選択される少なくとも1項記載の医薬組成物。
  12. AIDS又はAIDS関連症候群を予防又は治療するための請求項11記載の医薬組成物。
  13. 担体が、T細胞又はマクロファージに取り込まれるものである、請求項2〜12から選択される少なくとも1項記載の医薬組成物。
  14. 担体の表面が親水性である、請求項2〜13から選択される少なくとも1項記載の医薬組成物。
  15. 担体が多層膜から構成されるものである、請求項2〜14から選択される少なくとも1項記載の医薬組成物。
  16. 担体が、TMAG、DLPC、DOPE及びSuc-PGを含むものである請求項2〜15から選択される少なくとも1項記載の医薬組成物。
  17. TMAGとDLPCとDOPEとの存在比が1:2:2である請求項16記載の医薬組成物。
  18. 担体がリポソームである請求項2〜17に記載の医薬組成物。
  19. HIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2に感染した細胞に請求項1〜18から選択される少なくとも1項に記載の医薬組成物を接触させることを特徴とする、HIV-1、FIV、SIV、BIV又はHIV-2感染増殖を抑制する方法。
  20. 請求項1〜18から選択される少なくとも1項に記載の医薬組成物をHIV感染者に投与することを特徴とするAIDSの予防又は治療方法。
  21. 請求項1〜18から選択される少なくとも1項に記載の医薬組成物を、FIV、SIV、BIV又はHIV-2に感染したネコ、サル、ウシ又はヒトに投与することを特徴とするAIDS関連症候群の予防又は治療方法。
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