JP2002529507A - ウイルス感染を治療するためのコポリマー組成物 - Google Patents

ウイルス感染を治療するためのコポリマー組成物

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JP2002529507A JP2000582041A JP2000582041A JP2002529507A JP 2002529507 A JP2002529507 A JP 2002529507A JP 2000582041 A JP2000582041 A JP 2000582041A JP 2000582041 A JP2000582041 A JP 2000582041A JP 2002529507 A JP2002529507 A JP 2002529507A
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Abstract

(57)【要約】 生物学的製剤またはその誘導体およびポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーを含む、デリバリー用組成物である。該組成物は、感染ウイルスによる免疫不全の治療に有用である。本発明はまた、同組成物を用いた治療方法も含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願の参照 本願は、1998年11月18日付で出願された仮出願番号60/108,9
75号をもって優先権を主張しており、その開示内容はここに参照のために引用
される。
【0002】 発明の分野 HIV−1感染のような免疫不全ウイルス感染(HIV)を含む、レトロウイ
ルス感染の治療に有用なコポリマー医薬組成物である。
【0003】 該組成物は、治療指数の改善、副作用の減少、および、治療コストの低減を実
現しており、HIV、MLV、HTLV、E.coli、マイコバクテリアを含
むウイルス、バクテリアおよび寄生虫、RNアーゼH、および、病原体の増殖に
重要な役割を担うその他の金属依存性酵素誘発性の様々な感染症の治療に有用で
ありうる。
【0004】 発明の背景 AIDS、すなわち不治の病気である後天性免疫不全症候群は、ヒト免疫不全
ウイルス(HIV)の感染によって発症する。現在、様々な生物学的製剤(biol
ogical agent)がHIV−1感染の治療に利用されている(Chaudry MN, and Sh
epp DH, Dermatol Clin. 15:2, 319-29(1997); Beach JW, Clin Ther, 1998 Jan
-Feb, 20:1, 2-25)。HIVはレトロウイルスであり、その遺伝情報はRNAと
して持ち込まれる。感染後、このウイルス性ゲノムRNAはウイルスDNAに転
換されなければならない。この重要なHIV複製段階は複数の段階を含み、それ
ぞれウイルス酵素の逆転写酵素(RT)によって触媒される(Arnold, E. et al
., Drug Des. Discov., 1996 Apr., 13:3-4, 29-47)。RTは3つの酵素活性、
すなわちRNA依存性DNAポリメラーゼ活性(RDDP)、リボヌクレアーゼ
H活性(RNアーゼH)およびDNA依存性ポリメラーゼ活性(DDDP)を有
する。哺乳類に似たようなものはないが、RTは抗ウイルス剤開発のための重要
な標的である。多くのこのような阻害剤が見出されており、例えば3’−アジド
−3’−デオキシチミジン(AZT)および2’,3’−ジデオキシ−3’チア
シチジン(3TC)のようなジデオキシヌクレオシド(ddN)、ならびに、ネ
ビラピン(nevirapine)、キノキサリン(quinoxaline)、ピリジノン(pyridin
one)、ならびにBHAPのような非ヌクレオシド阻害剤(nonnucleoside inhib
itor)(NNI)が挙げられる。ほとんどこれらすべての阻害剤はRTのRDD
Pおよび/またはDDDP活性を対象にしている。
【0005】 ウイルスDNA合成が完了すると、そのウイルスDNAはウイルス酵素のイン
テグラーゼ(IN)で触媒される反応によって感染宿主細胞のDNAに組み込ま
れる。このプロウイルスDNAは、新しいHIVウイルス(ウイルス粒子)を生
産するための遺伝情報をコードしており、この状態において抗ウイルス的な干渉
を受け難い。
【0006】 細胞性装置(cellular machinery)が、プロウイルスDNA(provirai DNA)
の遺伝情報から新しいHIVのRNAおよびタンパク質を生産することに利用さ
れる。これらのウイルスの構成成分が細胞の形質膜で組み立てられ、新生(nasc
ent)ビリオンが放出される。新生HIVビリオンは「未成熟な」形態に組み立
てられ、ウイルスの成熟はビリオン放出中およびその後になされる。この成熟は
ビリオンタンパク質のタンパク質分解性のプロセシングを含み、このプロセスは
HIVプロテアーゼによってなされる。未成熟のHIVビリオンは非感染性であ
ることから、HIVプロテアーゼが抗ウイルス的な介入(intervention)のため
のもう一つの重要な標的であることがわかってきた。HIVプロテアーゼの阻害
剤としては、スキナビル(saquinavir)、インジナビル(indinavir)およびリ
トナビル(ritonavir)が挙げられる。
【0007】 プロウイルスDNA形成までのHIV複製の段階は、「組み込み前の(pre-in
tegrational)」段階と考えられており、プロウイルスDNAの組み込み後にお
ける新生ビリオンの形成に関与する段階は、「組み込み後の(post-integration
al)」と考えられている。現行のHIVに感染個体への化学療法において、RT
阻害剤およびHIVプロテアーゼ阻害剤の組み合わせが用いられる。この組み合
わせの臨床的な効果は、HIV複製の組み込み前の段階での阻害(RT)および
組み込み後の段階での阻害(プロテアーゼ)の両方にある程度起因している(Mcl
ntosh EM, et al., Acta Biochim Pol, 1996, 43:4, 583-92)。
【0008】 多くの抗ウイルス剤は、生理的な液体中での溶解度および安定性が低い。化学
療法薬は細胞膜を通過して輸送され難い。さらにこれらの薬剤の多くは、薬理学
的な標的に到達する前に、血漿タンパク質と結合し、さらに血流中の他の非特異
的相互作用によって結合してしまう。加えて、現在の抗HIV化学療法薬に関す
るその他の深刻な問題がある。一般に認められた抗ウイルス剤を用いた治療は、
初めのうちはHIV感染患者の生活の質と寿命を改善させるが、治療が長引くと
必然的に薬剤耐性を招く(Kuritzkes DR, AIDS, 1996 Dec. 10 Suppl 5; S27-31;
Richman DD, Adv Exp Med Biol, 1996, 394; 383-95)。RT阻害剤への耐性は
RTの突然変異に関連しており、プロテアーゼ阻害剤への耐性はHIVプロテア
ーゼの突然変異に関連している。薬剤耐性HIVの臨床的様相(clinical appea
rance)は望ましくない予後を付与している。
【0009】 発明の要約 本発明は、特に(1)化学療法薬に関する医薬組成物および方法、および(2
)抗HIV−1剤、とりわけその標的細胞または組織が生物学的製剤に耐性を有
するものに関する医薬組成物に関するものである。
【0010】 従って本発明は、金属および金属キレート剤(以下、生物学的製剤(biologic
al agent)または生物学的活性製剤(biologically active agent)とする)を
含むHIV治療のための組成物に関する。
【0011】 一つの実施形態において、本発明は、 (a)一般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】 (式中、R1、R2およびR3はH、OH、CH3、OCH3、C(CH33[−t
ert−ブチル]またはフェニルであり、XはOCH3またはOCH2CH3であ
る。金属(Me)は化合物Iによってキレート化されうる任意の金属である) で示されるN−アロイルヒドラゾン(N-aroyl hydrazone)の金属錯体である生
物学的製剤を含む医薬組成物を提供するものである。例えばFe(II)、Fe(
III)、Mn(II)、Co(II)、Mg(II)等であり、好ましくはFe(III)
である。
【0014】 最も好ましい形態において、R1はC(CH33であり、R2およびR3はHで
あり、MeはFe(III)であり、XはOCH3である。
【0015】 本発明は、ブロックコポリマーを組み合わせて使用してもよい。いくつかのブ
ロックコポリマー構造を以下に示す。
【0016】
【化3】
【0017】 最も簡単なブロックコポリマー構造は末端で結合した二つのセグメントを含み
、A−B型ジブロック(A-B type diblock)を形成する。二個より多いセグメン
トを末端で連結することによって、A−B−A型トリブロック(triblock)、A
−B−A−B型マルチブロック(multiblock)また同様にマルチセグメント(mu
ltisegment)A−B−C構造が生じる。ブロックコポリマーにおいて主鎖を決定
し、そこで一種または数種の反復単位を相違なるポリマーセグメントに連結する
場合、そのコポリマーは例えばA(B)n型のようなグラフト構造を有する。よ
り複雑な構造としては、例えば(AB)nまたはAnmのような星状ブロック(s
tarblock)が挙げられ、これは単一の中心に二個より多いポリマーセグメントが
結合したものである。
【0018】 好ましい実施形態において、生物学的製剤は、その生物学的製剤の溶解度およ
び/またはその細胞内輸送を改善しうる界面活性剤と組み合わされる。好ましい
界面活性剤は、非イオン系または両性イオン性である。好ましい非イオン系界面
活性剤は、ブロック構造、グラフト構造または星状ブロックコポリマー構造を有
する。好ましいブロックコポリマーは、ポリ(オキシエチレン)鎖セグメントおよ
びポリ(オキシプロピレン)鎖セグメントを含む。さらに、等張水溶液中、37℃
で、臨界ミセル濃度(CMC)が約0.5%(w/v)以下である界面活性剤を
有する組成物が好ましい。
【0019】 他の実施形態において、本発明は、予め選択された組織を生物学的製剤の標的
にする方法を提供する。この方法は、予め選択された組織を有する動物に上記組
成物を投与することを含み、ここで標的部位(targeting moiety)は該組織を標
的にするように選択される。
【0020】 さらに他の実施形態において、本発明は、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オ
キシプロピレン)ブロックコポリマーおよび生物学的製剤またはその誘導体を含
む生物学的活性製剤をデリバリーするための組成物に関し、ここでポリ(オキシ
エチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーの疎水性部分の割合
は約50%である。
【0021】 好ましいブロックコポリマーは、式:
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】 で示され、式中、x、y、z、iおよびjは、約2〜約800の値であり、R1
、R2の対のそれぞれについては、一方が水素でありかつ他方がメチル基である
【0025】 他の好ましい実施形態において、本発明は、生物学的活性製剤またはその誘導
体および式:
【0026】
【化6】
【0027】 (式中、R1、R2の対のそれぞれについては、一方が水素でありかつ他方がメチ
ル基である) で示されるブロックコポリマーを含む、生物学的活性製剤またはその誘導体のデ
リバリーのための組成物に関する。
【0028】 他の好ましい実施形態において、本発明は、生物学的製剤またはその誘導体お
よび式:
【0029】
【化7】
【0030】 (式中、x、yおよびzは約2〜約800の値である) で示されるブロックコポリマーを含む、生物学的活性製剤またはその誘導体のデ
リバリーのための組成物に関する。
【0031】 本発明はまた、これらの組成物を用いたHIV−1感染を含む感染症を治療す
る方法に関する。
【0032】 発明の詳細な説明 定義 本明細書に使用される以下の用語は、以下の意味を有する。生物学的製剤 :Iのように示される一般的な構造を有するN−アロイルヒドラゾ
ンの金属錯体である。
【0033】
【化8】
【0034】CC 50 :50%細胞毒性が記録される濃度である。抗ウイルス化合物に関する細
胞毒性とは、細胞変性、すなわちウイルス感染による細胞死とは異なり、薬剤そ
れ自身から生じる毒性のことをいう。慢性感染細胞(chronically-infected cell) :「継続的な感染(persistently-
infected)」細胞としても知られている。これらはHIVに感染しており、細胞
DNAに組み込まれたプロウイルスDNAを含み、継続的に新しいウイルス粒子
を生産している。これらの細胞において、HIV感染による明白な細胞変性効果
(cytopathic effect)が現われない。細胞変性効果(cytopathic effect) :HIV感染による細胞致死(cell killin
g)および細胞死(cell death)である。疎水性部分の割合 :B型ブロックによって製造されるブロックコポリマーの分子
量の割合である。疎水性部分の質量 :ブロックコポリマーのB型ブロックが占める分子量である。
IC50 :50%阻害効果が得られる濃度である。親油性部位 :標的部位に結合して、コポリマーミセルの親油性部分に分配される
親油性置換基である。プロウイルス :感染宿主細胞のゲノムDNAに組み込まれるウイルスDNAであ
る。耐性 :ウイルスレベルでの耐性とは、抗ウイルス剤に対するHIV応答が欠如す
ることであり、これは特定のウイルス遺伝子の突然変異によって生じる。細胞レ
ベルでは、生物学的製剤に対して同時に耐性が生じる現象をいう。合胞体 :HIV感染誘発性の細胞融合に起因する巨大な多核細胞からなる構成体
である。標的部位(Targeting moiety) :細胞、組織、ウイルス、または、細胞表面レセ
プターもしくはアクセプター分子のような基層成分によって認識される分子構造
である。
【0035】 本発明は特に、生物学的製剤、とりわけその標的細胞または標的組織がHIV
−1に感染しているような生物学的製剤に関する、医薬組成物および方法に関す
る。ヒトの細胞型の多くはHIVに感染しやすいが、感染の程度は細胞型によっ
てかなり異なる。一般的に、CD4レセプターを有する細胞(CD4+細胞)が
最も感染しやすく、最もHIV複製を許容しやすい。このような細胞としては、
例えばT−リンパ球およびマクロファージが挙げられる。
【0036】 リンパ球の細胞系および単球/マクロファージ由来の永続的に確立された多様
な細胞系が、インビトロ培養でHIVを増殖、維持することに用いられうる。こ
れらは、成人T細胞白血病患者から分離されたクローン化ヒトT−リンパ球細胞
であるCD4+MT2およびMT4細胞系を含む。これらの細胞は、HIV誘発
性の細胞変性効果を非常に受けやすく、抗ウイルス剤の急性感染細胞変性阻害の
分析に有用である。
【0037】 他の細胞としては、ヒト皮膚Tリンパ腫(cutaneous T-lymphoma)患者から得
られたクローン化H9細胞系が挙げられる。Mann, DL et al., AIDS Res Hum Re
troviruses 5:253 (1989)を参照。H9細胞はCD4+であり、HIV感染を許
容しやすいが、HIV誘発性の細胞変性効果を比較的受けにくい。HIVに感染
すると、これらの細胞は感染によって死なずに継続的に新しいウイルスを生産す
る。このような感染細胞、すなわちH9+は「慢性的に感染した(chronically-
infected)」または「継続的に感染した(persistently-infected)」と述べら
れる。
【0038】 プロウイルスDNAの形成までのHIV複製の段階は「組み込み前の」段階と
考えられており、プロウイルスDNAの組み込み後における新生ビリオンの形成
に関与する段階は「組み込み後の(post-integrational)」と考えられている。
MT2およびMT4細胞系は、HIV複製の組み込み前の段階に対する抗ウイル
ス活性(特にウイルス性の逆転写に対する効果)を評価するのに有用である。H
9+細胞は、ウイルスの組み立て、放出および成熟を含む、HIV複製の組み込
み後段階に対する抗ウイルス活性を試験するのに有用である。
【0039】 HIV感染患者の体液、例えば血液、精液および膣液(vaginal fluid)は、
遊離ビリオンだけでなく、ウイルス感染白血球(リンパ球およびマクロファージ
を含む)も含む。Levy, J.A. Microbiol. Rev. 57: 183 (1993)を参照。これら
のHIV感染細胞は、非感染細胞へのウイルス伝播(すでに感染した個体中での
伝播、および、感染個体から非感染個体への伝播の両方)の重要な源である。こ
のような感染の伝播は、慢性感染細胞で生産される遊離HIVビリオンへ晒され
ること、または、非感染細胞と継続的な感染細胞とが接触すること(細胞−細胞
伝播)に起因するものでありうる。非感染MT2細胞とH9+細胞との共培養(
co-culture)は、HIVの細胞−細胞伝播の阻害に関する抗ウイルス剤の効果を
評価するのに有用な手段である。
【0040】 本発明の組成物はまた、HIV−1感染細胞への薬剤透過性を増強するのに用
いられうる。
【0041】 生物学的活性製剤 錯体化されていない原物質の(Uncomplexed parent)N−アロイルヒドラゾン
である、N−(4−t−ブチルベンゾイル)−2−ヒドロキシ−1−ナフタルデ
ヒドヒドラゾン(naphthaldehyde hydrazone)(BBNH;II)は、インビトロ
におけるHIV−1 RTの3種の酵素活性(RDDP、RNアーゼHおよびD
DDP)すべてに関する良好な阻害剤であり、感染細胞中のHIV−1複製を阻
害する。Borkow et al.,Biochemistry 36: 3179 (1997)を参照。
【0042】
【化9】
【0043】
【外1】
【0044】 題がある。インビトロでのRT RNアーゼHおよびIN両方の阻害は、時間依
存性のプロセスであり、BBNHと酵素とを10〜15分プレインキュベートし
た後しか最大阻害を示さない。このプレインキュベーションの必要性は、HIV
−1感染細胞におけるRT RNアーゼHおよび/またはINの阻害剤としての
化合物の有用性を減少させてしまう。加えてBBNHは細胞毒性であり、おそら
くこの広範囲の特異性を有する金属キレート化剤と、正常細胞の金属依存性代謝
に関与する酵素との相互作用に起因するのであろう。
【0045】 BBNHのFe(III)錯体は、錯体化されていない原物質のBBNHに比べ
て、インビトロでのRTに対する改善された阻害活性を示す。Fe(III)−B
BNHは、実質的には細胞毒性ではない。しかしながら、該化合物はまた細胞中
のHIV−1複製に対して抗ウイルス活性も示さないが、インビトロにおいて優
れたRT阻害を示す。Fe(III)−BBNHはまたほとんど水媒体に不溶であ
り、感染細胞に運搬するには有機溶媒の使用が必要である。このようなアプロー
チはインビトロ試験には適用されるが、化学療法プロセス用のインビボにおいて
は使用できない。さらにその上、Fe(III)−BBNHの細胞中におけるHI
V−1複製の阻害能力を試験するインビボの実験でさえ(ここでFe(III)−
BBNHの水−有機配合物を用いている)、化合物は非常に低い活性を示した。
これは、Fe(III)−BBNHが細胞培養液中で溶解形態のままでいることが
できないために、複合体の細胞吸収が制限されることに起因するものと思われる
。それゆえにFe(III)−BBNHは、感染細胞中でそのウイルス標的に到達
することができない。
【0046】 本発明において、様々な生物学的製剤が適切に使用される。これらに限定され
ないが、構造Iとして示される、Fe(III)のような金属との1:1錯体であ
るN−アロイルヒドラゾン類の化合物が挙げられる。
【0047】
【化10】
【0048】 式中、R1、R2およびR3は、H、OH、CH3、OCH3、C(CH33[−
tert−ブチル]またはフェニルであり、Xは、OCH3またはOCH2CH3
である。Meは好ましくはFe(III)である。さらに好ましくは、R1はC(C
33であり、R2およびR3はHであり、MeはFe(III)であり、XはOC
3である。
【0049】 また生物学的製剤としても、構造式IIIとして示される、Fe(III)のような
金属との1:1錯体であるN−アロイルヒドラゾン類の化合物が挙げられる。
【0050】
【化11】
【0051】 式中、R1はH、OH、CH3またはOCH3であり、XはOCH3またはOCH 2 CH3である。好ましいMeはFe(III)である。最も好ましい形態において
は、R1はOHであり,MeはFe(III)であり、XはOCH3である。
【0052】 ブロックコポリマー 近年の調査は、発明の名称が「生物学的製剤組成物(Biological Agent Compo
sitions)」である1995年6月7日付で出願された米国特許出願第08/4
78,978号に詳細に記載されており、その内容は本明細書中に引用される。
そこでは、化学療法薬の効力を増強するための本発明のブロックコポリマーの有
効性は(a)疎水性部分の割合、および(b)疎水性部分の質量に依存している
ことが示されている。この有効性は、該割合(a)の増加または該質量(b)の
増加のいずれかまたは両方によって増加する。これらの疎水性部分の割合および
疎水性部分の質量の増加はまた、改善されたミセル形成特性と相関しており、こ
こでこれらのコポリマーにおけるミセル形成はより低い濃度で起こる。Hunter e
t al., Macromolecules 26:5030 (1993); Hunter et al., Macromolecules 26:5
592 (1993); Alexandris et al., Macromolecules 27:2414 (1994)を参照。
【0053】 特定の理論に限定されることは好ましくないが、ミセル形成は、改善された生
物学的製剤のデリバリー特性をもたらす物理的特性を評価するための代理物(su
rrogate)として役に立つと考えられている。同様に特定の理論に限定されるこ
とは好ましくないが、改善された生物学的製剤効率および多剤耐性の克服(reve
rsion)をもたらすのは、ミセルそれ自体ではないと考えられている。
【0054】 (a)ミセルを形成すること(ここでより大きい有効性は減少されたCMCで
測定される)および(b)様々な生物学的製剤の分配(partitioning)を様々な
生物学的製剤から遊離しているよりむしろミセル状にすることにおけるコポリマ
ーの有効性は、同じパターンに従って増加する。生物学的製剤がミセルに会合し
たままであると仮定すれば、低濃度のミセルの存在によって生物学的製剤および
コポリマーがともに標的組織に確実に到達することが促進されると考えられてい
る。ミセル形態に荷担する分配係数(partitioning coefficient)が、生物学的
製剤がミセルに会合したままであるという仮定に信憑性があるということの保証
を助長している。生物学的製剤のミセル形態はまた、非標的組織による取り込み
から生物学的製剤を保護すると考えられている。この組織は生物学的製剤を代謝
して不活性なまたは毒性の代謝産物にしたり、血液成分、細胞成分等に非特異的
に吸収したりする。
【0055】 本発明の組成物はまた、組み込まれた生物学的製剤の実質的な部分を有する予
め形成されたミセル、または、患者への生物学的製剤の投与中またはその後にそ
れらに溶解している薬剤の実質的な部分とミセルを形成するコポリマー組成物、
のいずれかを含む。本発明の目標とする実施形態において、標的部位は、ミセル
と予め会合するかまたは投与中にミセルに会合するかのいずれかである。特に好
ましいブロックコポリマーは、生理的な温度、等張溶液中で低いCMC値を有す
るものである。このようなブロックコポリマーは、被験者の血液などの体液で実
質的に希釈された後でも生物学的製剤のミセル状デリバリー賦形剤(delivery v
ehicle)を維持することができる。このような低いCMC値によって、本発明の
薬剤組成物におけるブロックコポリマーのレベルを減少させて使用することがで
きる。本発明はまた、ハンス(Hansch)およびレオ(Leo)によって開発された
フラグメント定数を参照して説明することもできる。Hansch and Leo, Substitu
ent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology, Wiley,
New York, 1979; James, Solubility and Related Properties, Marcel Dekker,
New York, 1986, pp. 320-325を参照。この定数は、分子がオクタノール−水混
合物により形成される相の間に分配される傾向に対する分子部分の寄与を見積も
ることに使用するために開発された。これらの定数は、一般的にハンス−レオフ
ラグメント分配定数(Hansch-Leo fragmental partition constant)(以降、こ
こでは“ハンス−レオフラグメント定数という)と言及される。有機分子に関す
るオクタノール−水分配係数(P)のハンス−レオ概算は、以下の式によって計
算される。
【0056】
【数1】
【0057】 式中、fn値は、分子中の異なる基のフラグメント定数であり、an値は分子中
のある型の基の数であり、Fm値は単結合または二重結合のような特定の分子特
徴に関するファクターであり、bm値はこのような分子特徴の数である。例えば
、エチレンオキサイド反復単位(−CH2CHO−)に関するハンス−レオフラ
グメント定数は、
【0058】
【数2】
【0059】 となるであろう。
【0060】 プロピレンオキサイド(−CH2CH(CH3)O−)反復単位に関するハンス
−レオフラグメント定数は、
【0061】
【数3】
【0062】 となるであろう。
【0063】 当業者であれば、分配定数を概算するためのハンス−レオアプローチ、すなわ
ちハンス−レオフラグメント定数が適用されるアプローチによって経験的な分配
係数を正確に得ることができない、ということを理解するであろう。ハンス−レ
オの「化学および生物学における相関分析にの置換定数(Substituent Constant
s for Correlation Analysis in Chemistry and Biology)」、Wiley, New York
, 1979;ジェームス(James)の「溶解度および関連した特性(Solubility and
Related Properties)」、Marcel Dekker, New York, 1986, pp. 320-325を参照
。しかしながら、このアプローチはポリマーのデリバリー賦形剤の疎水性特徴を
定義するためであれば十分正確である。
【0064】 1995年6月7日付で出願された米国特許出願第08/478,978号、
1993年4月28日付で出願された米国特許出願第08/054,403号、
1998年2月6日付で出願された米国特許出願第09/019,648号、お
よび、1998年2月27日付で出願された米国特許出願第09/031,27
9号の全開示を、ここに参照するによって引用する。
【0065】 本発明で有用な好ましいブロックコポリマーは、式:
【0066】
【化12】
【0067】 で示されるポリマーからなる群より選択される。
【0068】 式中、AおよびA’はA型直鎖状ポリマーセグメントであり、BおよびB’は
B型直鎖状ポリマーセグメントであり、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ式(
I)、(II)もしくは(III)のブロックコポリマーまたは水素であり、Lは結
合基(linking group)であり、ただし、R1、R2、R3またはR4のうちの2つ
以下は水素である。
【0069】 ポリエーテルコポリマーにおける全親水性(A型)ブロックまたは全疎水性(
B型)ブロックの反復単位の数は、好ましくは約2〜約800である。より好ま
しくは反復単位の数は約4〜約200であり、さらにより好ましくは約5〜約8
0である。ブロックからなる反復単位は、A型およびB型に関して、一般的に約
30〜約500、好ましくは約30〜約100、さらにより好ましくは約30〜
約60の分子量を有する。一般的に、A型またはB型ブロックそれぞれにおいて
、反復単位間の結合の少なくとも約80%がエーテル結合であり、好ましくは少
なくとも約90%がエーテル結合であり、さらに好ましくは少なくとも約95%
がエーテル結合である。本発明の目的のエーテル結合は、グリコシド結合(すな
わち糖結合(sugar linkages))を含む。しかしながら一つの観点において、単
純なエーテル結合が好ましい。
【0070】 好ましくは、A型ブロックを含むすべての反復単位は、約−0.4未満、より
好ましくは約−0.5未満、さらにより好ましくは約−0.7未満のハンス−レ
オフラグメント定数を有する。好ましくは、B型ブロックを含むすべての反復単
位は、ハンス−レオフラグメント定数が−約0.30以上、より好ましくは−約
0.20以上である。
【0071】 本発明の第一の実施形態によるポリマーとして、以下の式を有するブロックコ
ポリマーが挙げられる。
【0072】
【化13】
【0073】
【化14】
【0074】 式中、x、y、z、iおよびjは、約2〜約800、好ましくは約5〜約20
0、さらに好ましくは約5〜約80の値であり、ここでR1、R2の対のそれぞれ
については、一方が水素でありかつ他方がメチル基である。式(V)〜(VII)
は過剰に簡素化されており、実際にはBブロック内のイソプロピレン残基の方向
はランダムである。このランダムな方向は式(VIII)および(IX)に示されてお
り、これらはより完全である。このようなポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキ
シプロピレン)化合物は、Santon, Am. Perfumer Cosmet., 72(4):54-58 (1958)
; Schmolka, Loc. cit. 82(7):25-30 (1967); Non-ionic Surfactants, Schick,
ed. (Dekker, N.Y., 1967), pp. 300-371によって説明されている。このような
化合物の多くは「リポロキサマー(lipoloxamer)」、「プルロニック(pluroni
c)」および「シンペロニック(synperonic)」のような商品名で商業的に入手
可能である。B−A−B式のプルロニックポリマーはしばしば「リバースト(re
versed)」プルロニック、「プルロニックR」または「メロキサポール(meroxa
pol)」のように記載される。
【0075】 式(VIII)の「ポリキサミン」ポリマーは、テトロニック(Tetronic RTM)と
いう商品名でBASF(Wyandotte, MI)から入手可能である。式(VIII)で示
されるポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックの順番は逆転さ
せることもでき、それによってテトロニックR(Tetronic RTM)が形成され、こ
れもBASFより入手可能である。Schmolka, J. Am. Oil. Soc., 59:110 (1979
)を参照。ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーもま
た、エチレンオキサイド反復単位およびプロピレンオキサイド反復単位のランダ
ム混合物を含む親水性ブロックによって設計されている。ブロックの親水性特徴
を維持するためには、エチレンオキサイドを優勢にする。同様に、疎水性ブロッ
クはエチレンオキサイド反復単位とプロピレンオキサイド反復単位との混合物で
ありうる。このようなブロックコポリマーは、プルラドット(PluradotTM)とい
う商品名でBASFより入手可能である。
【0076】 特定のブロックコポリマーの疎水性/親水性特性は、オキシプロピレン基の数
に対するオキシプロピレン基の数の比に依存する。例えば、ポリ(オキシエチレ
ン)−ポリ(オキシプロピレン)の単一のブロックコポリマーを含む組成におい
て、この関係は、中心の疎水性ブロックおよび末端の親水性ブロックの分子量を
考慮すれば、以下のように表される。
【0077】
【数4】
【0078】 式中、Hはオキシプロピレン単位の数であり、Lはオキシエチレン単位の数で
ある。疎水性のB型セグメントおよび親水性のA型セグメントを含むブロックコ
ポリマーのような一般的な場合において、疎水性−親水性特性およびミセル形成
特性は、以下のように定義されるn値に関連する。
【0079】
【数5】
【0080】 式中、|B|および|A|は、それぞれコポリマーの疎水性および親水性ブロック
における反復単位の数であり、bおよびaはそれぞれ反復単位の分子量である。
【0081】 適切なn値を有するブロックコポリマーの選択は、特異的な薬剤の疎水性/親
水性特性、または、配合される薬剤混合物の複合的な疎水性/親水性特性に依存
する。典型的には、nは約0.2〜約9.0、より好ましくは約0.25〜約1
.5の範囲の値をとりうる。この範囲は、数値的な臨界としてではなく、主な親
水性ポリ(オキシエチレン)ブロックおよび主な疎水性ポリ(オキシプロピレン
)ブロック間の最適な疎水性/親水性バランスを表しているとしてみなされるべ
きである。
【0082】 本発明の重要な観点は、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)
の異なるブロックコポリマーの混合物を用い、特定の生物学的製剤に適した特異
的な疎水性−親水性バランスを達成し、適切な粒度を保つことを含む。例えば、
第一ブロックコポリマーにおいてnは1.0であり、ここで第二ブロックコポリ
マーにおいてnは1.5である。ここでnが1.3である材料を所望する場合、
第一ブロックコポリマーを1質量部、第二ブロックコポリマーを1.5質量部用
いればよい。
【0083】 従って、このような混合物のより一般的な関係は以下のように示される。
【0084】
【数6】
【0085】 式中、H1およびH2はそれぞれ第一および第二ブロックコポリマーにおけるオ
キシプロピレン単位の数であり、L1は第一ブロックコポリマーにおけるオキシ
エチレン単位の数であり、L2は第二ブロックコポリマーにおけるオキシエチレ
ン単位の数であり、m1は第一ブロックコポリマーの質量比(weight proportion
)であり、および、m2は第二ブロックコポリマーの質量比である。
【0086】 さらにより一般的な場合、すなわち疎水性B型ブロックコポリマーおよび親水
性A型ブロックコポリマーを含むK個のブロックコポリマーの混合物の場合、N
値は以下のように表される。
【0087】
【数7】
【0088】 式中、|A|iおよび|B|iはi番目のブロックコポリマーにおける親水性(
A型)および疎水性(B型)ブロックの反復単位の数であり、mはブロックコポ
リマーの質量比であり、Mは混合物における全ブロックコポリマーの質量比の総
計、すなわち
【0089】
【数8】
【0090】 であり、aおよびbはそれぞれこれらのブロックコポリマーの親水性および疎水
性ブロックの反復単位の分子量である。
【0091】 一つのポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマ
ーだけが用いられている場合、Nはnに等しい。相似関係は、ポリ(オキシエチ
レン)−ポリ(オキシプロピレン)の二つ以上のブロックコポリマーを用いている
組成物に適用されるだろう。
【0092】 ブロックコポリマーの混合物が使用されている場合、N値が用いられ、この値
は、構成するコポリマーの質量部に基づいて平均された、関与している各コポリ
マーに関するnの加重平均でありうる。N値は、コポリマー混合物のミセル形成
特性を概算するのに用いられる。ブロックコポリマー混合物を使用すると溶解度
が増し、血清タンパク質存在下でより疎水性のブロックコポリマーが凝集するこ
とを防ぐ。特に、エチレンオキサイド含有量が50%を超過するポリ(オキシエ
チレン)−ポリ(オキシプロピレン) ブロックコポリマーは、エチレンオキサイド
含有量が50%以下である疎水性ブロックコポリマーに溶解する。このような混
合物において、疎水性および親水性コポリマーの好ましい比は少なくとも2:1
(w/w)、好ましくは少なくとも5:1(w/w)、さらにより好ましくは少
なくとも8:1(w/w)である。ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオ
キサイドコポリマー以外のコポリマーが用いられる場合、同様のアプローチが、
あるクラスの一つのポリマーの疎水性/親水性特性を、他のクラスのものの特性
に関連させることに応用されうる。
【0093】 上記パラメータを用いて、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)の
一つ以上のブロックコポリマーを、N値が約0.1〜約9、より好ましくは約0
.25〜約1.5になるように結合させる。結合したコポリマーはミセルを形成
し、N値はこのようにして形成されたミセルの大きさにある程度影響を及ぼす。
典型的には、ミセルは約10〜25nmの平均直径を持ちうるが、この範囲は広
く変化する。得られた調製物の平均直径のほとんどは、準弾性光散乱技術によっ
て簡単に測定できる。
【0094】 プルロニックの多くは、以下の式を満たすように設計されている。
【0095】
【化15】
【0096】 もちろん当業者であれば、m値およびn値は通常、統計的な平均を示し、一般
的に特定の分子における第一ブロックの反復単位の数が、必ずしも第三ブロック
の反復単位の数と等しいわけではない、ということが認識されるであろう。ブロ
ックコポリマーの数による特徴づけは、式(X)への参照によって説明され、以
下に示される。
【0097】
【表1】
【0098】 本発明に関する他の特異的なポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)
コポリマーとして、以下のものが挙げられる。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】 式(VIII)のジアミンが結合したプルロニックもまた、式:
【0103】
【化16】
【0104】 で示されるジアミンが結合したポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリ
マーのファミリーに属する一つである。
【0105】 式中、破線は第二の窒素から延長しているポリエーテルの対称的なコピーを示
し、R*は炭素数約2〜約6のアルキレン、炭素数約5〜約8のシクロアルキレ
ンまたはフェニレンであり、R1およびR2は(a)両方とも水素、または(b)
一方は水素であり他方はメチルのいずれかであり、R3およびR4は(a)両方と
も水素、または(b)一方は水素であり他方はメチルのいずれかである。ここで
3およびR4両方が水素の場合、R5およびR6の一つは水素であり他方はメチル
であり、R3およびR4の一つがメチルの場合、R5およびR6両方は水素である。
式(VIII)の−NH2−CH2CH2−NH2−基および式(XI)のN−R*−N基
は結合基である式(IV)のLの例である。
【0106】 当業者であれば、本発明の実施が例えばポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ
プロピレン)化合物に限られる場合、上述した典型的な式はあまりにも限定的で
ある、ということが理解されるであろう。重要な特徴は、A型ブロックにおいて
モノマーの平均ハンス−レオフラグメント定数が約−0.4以下であることであ
る。従って、第一ブロックを形成している単位は、エチレンオキサイドのみから
構成される必要はない。同様に、すべてのB型ブロックがプロピレンオキサイド
単位のみから構成される必要はない。その代わりに、ブロックは、第一実施形態
のパラメータを維持しさえすれば、式(V)〜(IX)で定義されるモノマー以外
のモノマーを含んでもよい。従って、最も簡単な例において、ブロックAにおけ
る少なくとも一つのモノマーは前述したように側鎖の基で置換されうる。
【0107】 他の観点において、本発明は、少なくとも一つの式(I)〜(X)のブロック
コポリマーを含む薬剤組成物に関する。ここでA型およびB型ブロックは、実質
的に式−0−R5である反復単位からなる。ここでR5は、 (1)−(CH2)、−CH(R6)−であり、ここでnは0または約1〜約5
の整数であり、R6は水素、炭素数約3〜約8のシクロアルキル、炭素数約1〜
約6のアルキル、フェニル、アルキルフェニル(ここで、該アルキルは炭素数約
1〜約6である)、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル(ここで該アルキルは炭素
数約1〜約6である)、炭素数約1〜約6のアルコキシ、炭素数約2〜約7のア
ルキルカルボニル、アルコキシカルボニル(ここでアルコキシは炭素数約1〜約
6である)、アルコキシカルボニルアルキル(ここでアルコキシおよびアルキル
はそれぞれ独立して炭素数約1〜約6である)、アルキルカルボキシアルキル(
ここでそれぞれ独立してアルキルは炭素数約1〜約6である)、アミノアルキル
(ここで、該アルキルは炭素数約1〜約6である)、アルキルアミンまたはジア
ルキルアミノ(ここでそれぞれ独立してアルキルは炭素数約1〜約6である)、
モノ−またはジ−アルキルアミノアルキル(ここでそれぞれ独立してアルキルは
炭素数約1〜約6である)、クロロ、クロロアルキル(ここで該アルキルは炭素
数約1〜約6である)、フルオロ、フルオロアルキル(ここで該alkylは炭
素数約1〜約6である)、シアノもしくはシアノアルキル(ここで該アルキルは
炭素数約1〜約6である)、またはカルボキシルであり; (2)約3〜約8員環の炭素原子を有する炭素環式化合物(carbocyclic grou
p)であり、ここで該基は例えば、シクロアルキルまたは芳香族基であり、炭素
数約1〜約6のアルキル、炭素数約1〜約6のアルコキシ、炭素数約1〜約6の
アルキルアミノ、を含んでもよい、ジアルキルアミノ(ここで該アルキルはそれ
ぞれ独立して炭素数約1〜約6である)、アミノ、スルホニル、ヒドロキシ、カ
ルボキシル、フルオロまたはクロロ置換であり、または (3)約3〜約8員環の炭素原子を有するヘテロ環式基(heterocyclic group
)、これらはヘテロシクロアルキルまたはへテロ芳香族基を含み、これらは、酸
素、窒素、硫黄およびそれらの混合物からなる郡より選択される約1〜約4のヘ
テロ原子を含み、および、炭素数約1〜約6のアルキル、炭素数約1〜約6のア
ルコキシ、炭素数約1〜約6のアルキルアミノ、炭素数約1〜約6のジアルキル
アミノ(ここで該アルキルはそれぞれ独立して約1〜約6の炭素、アミノ、スル
ホニル、ヒドロキシ、カルボキシル、フルオロまたはクロロ置換である)である
【0108】 好ましくは、nは約1〜約3の整数である。R5を含む炭素環式化合物または
へテロ環式化合物は、好ましくは約4〜約7、より好ましくは約5〜約6の環状
原子を含む。ヘテロ環式は、好ましくは約1〜約2のヘテロ原子を含み、より好
ましくは一つのヘテロ原子を含む。ヘテロ環式は、好ましくは炭水化物(carboh
ydrate)または炭水化物類似体である。
【0109】 当業者であれば、これらのポリマーを形成するのに必要なモノマーは合成的に
得られることが理解されるであろう。Vaughn et al., J. Am. oil Chem. Soc. 2
8: 294 (1951)を参照。いくつかの場合において、モノマーの重合は適切な保護
基を用いることが必要とされる、ということも当業者に理解されるであろう。一
般的に、AおよびB型ブロックは少なくとも約80%、より好ましくは約90%
、さらにより好ましくは95%の反復単位−OR5−を含む。
【0110】 他の観点において、本発明は、式(I)〜(X)のブロックコポリマーを含む
薬剤組成物に関する。ここで、A型およびB型ブロックは、本質的に式−0−R 7 の反復単位を含み、ここでR7は炭素数1〜6のアルキレン基である。
【0111】 本発明のブロックコポリマーは、好ましくは、等張水溶液中、生理的な温度で
約10nm〜約100nmの直径を持つミセルを形成する。ミセルは、水溶液中
で、両親媒性物質の非極性部分のミクロ相分離(microphase separation)によ
って形成される、ある程度両親媒性の分子の超分子錯体である。両親媒性物質の
濃度が定められた温度におけるその両親媒性物質に特有のCMCに達するとミセ
ルが形成される。ブロックコポリマーの親水性および疎水性セグメントの大きさ
を変化させることによって、生理的条件下におけるコポリマーのミセル形成傾向
、および、生理的条件下で形成されるミセルの平均サイズを変化させることがで
きる。これらの傾向はまた、異なる疎水性および親水性ブロックの混合物とコポ
リマーとをブレンドすることによって調節されうる。ミセルは、Bブロックの水
不溶性反復単位とそれに溶解している生物学的製剤の親油性部分とで形成された
密集コア(dense core)、および、Aブロックと生物学的製剤の疎水性部分とで
形成された親水性シェルを有する。このミセルは、水性環境において、翻訳的(
translational)かつ回転的な自由(freedom)を有しており、ミセルを含む水性
環境は水同様の低い粘度を有する。典型的にミセル形成は、約0.001〜5%
(w/v)のコポリマー濃度で生じる。
【0112】 本発明のブロックコポリマーによって形成された小さいサイズのミセルは、細
い毛細管にこれらミセルを通すことによって細胞に取り込ませることができる。
このミセルはまた、大量の適切な生物学的製剤を組み込むことができる。
【0113】 本発明のミセル中の薬剤保持効果は、下記式によって決定される分配係数(P
)を用いて定量化される。
【0114】
【数9】
【0115】 式中、[Agent]aqは、ミセルの外側の水性環境中における生物学的製剤
の濃度であり、[Agent]rnはミセル中の該薬剤の濃度を示す。 いくつかの場合において、より疎水性である環境に対する水性環境の場合、Pは
ある種の薬剤の異なる蛍光特性に基づき簡便かつ正確に概算することができる。
【0116】 標的化(Targeting) 炭素数約3〜約41の炭化水素を含む親油性部位にカップリングされる標的部
位で形成される標的分子の一部分は、本発明の標的化に関する実施形態における
組成物のミセルに組み込ませることができる。典型的にこの部分は、組成物中、
約10%(w/w)以下のコポリマー成分を含む。親油性部分は、非共有結合に
よってブロックコポリマーのミセル中に組み込まれる疎水性「アンカー」として
作用し、それによって標的部分がミセルの一部(ただしそれをこえて伸長しうる
)となる、と考えられている。このような標的部分は、本発明の標的化で用いる
ミセルに組み込まれることが好ましい。しかしながら、標的化に関する実施形態
に関して、親油性部分は、標的部分とミセルとを会合させる非共有結合に有効な
、任意の疎水性部分でありうる。標的化に関する実施形態に関して、親油性部分
としては、例えば脂肪酸残基、脂肪、リン脂質または天然もしくは合成ポリマー
が挙げられる。使用における入手可能性および簡便さから、脂肪酸残基のような
炭化水素基を含む親油性部分が好ましい。
【0117】 標的部分は、細胞、組織、ウイルスまたは基層部位(substratum site)に親
和性を有する。典型的な標的部位としては、これらに限定されないが、細胞の結
合成分に親和性を有する抗体およびホルモン、細胞の結合成分によって認識され
る炭水化物部分を含む任意の分子、ならびに、細胞の結合成分に結合する薬剤が
挙げられる。「結合成分」という用語は、レセプター分子およびアクセプター分
子の両方を含む。この結合成分は、好ましくは細胞表面結合成分(cell-surface
binding component)である。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方
が、商業的に入手可能または文献に記載されているものも含めて、用いることが
できる。またリガンドは、例えばインスリンのような、標的部位に結合する天然
に生じるタンパク質である。標的部分の例は、これらに限定されないが、脳グリ
ア細胞に対する抗α2−GP抗体(α2−糖タンパク質)であり、これはSlepnev
et al., Bioconjugate Chem. 3: 273-274 (1992)によって説明されている。
【0118】 ポリペプチドの特異性をできるだけ保持するために、一つのみまたは二つの親
油性部分をそれぞれポリペプチド分子に結合させることが好ましい。この結合は
、Kabanov et al., Protein Engineering, 3:39-42 (1989)によって説明されて
いる方法で達成され、この内容は参照によってここに引用される。この方法にお
いて、親油性部分またはそれらの反応性類似体は、界面活性剤であるビス−(2
−エチルヘキシル)スルホコハク酸 ナトリウム{AOT(登録商標)}の存在下
で標的部分と反応し、オクタンおよび少量の水によって逆相ミセル(reversed m
icelle)、すなわち内側に水を有し外側にオクタンを有するミセルを形成するこ
とができる。このような逆相ミセルは、ミクロ反応体(microreactor)として得
られ、これによって親油性部分によるポリペプチド分子の均一なポイント修飾(
point modification)が可能である。ステアロイルクロライドまたはラウロイル
クロライドのような脂肪酸の反応性誘導体を、この反応系を用いてポリペプチド
または他の親水性標的分子と反応させることができる。この反応系は脂肪酸アシ
ルでの置換の程度が限定されるので、より大きい生物学的製剤や標的部分の溶解
度が概ね保存される。
【0119】 試験システム(Test systems) ブロックコポリマーの生物学的活性製剤に対する効果を評価するために、HI
V−1感染MT2細胞系およびHIV−1感染H9細胞系が用いられる。多くのヒ
ト細胞型がHIVに感染しやすいが、細胞型によってその感染程度は大きく異な
る。一般的に、CD4レセプターを有する細胞(CD4+細胞)は、最も簡単に
感染し、HIV複製を最も許容しやすい。このような細胞としては、例えば、T
リンパ球およびマクロファージが挙げられる。
【0120】 リンパ球および単球/マクロファージ由来の永続的に確立されている様々な細
胞系が、インビトロ培養においてHIVを繁殖かつ維持するために用いられうる
。これらはCD4+MT2およびMT4細胞系を含み、これらは成人のT細胞性
白血病患者より分離されたクローン化ヒトTリンパ球である。これらの細胞は、
HIV誘発性の細胞変性効果を非常に受けやすく、抗ウイルス剤の急性感染性の
細胞変性に対する阻害の分析に有用である。
【0121】 他の細胞として、ヒト皮膚Tリンパ腫患者から得られたクローン化H9細胞系
が挙げられる。Mann, DL et al., AIDS Res Hum Retroviruses 5:253 (1989)を
参照。H9細胞はCD4+であり、HIVに感染しやすいが、HIV誘発性の細
胞変性効果を比較的受けにくい。HIVに感染すると、これらの細胞は感染によ
って死なずに継続的に新しいウイルスを生産する。これらの感染細胞、すなわち
H9+を、「慢性的に感染した」または「継続的に感染した」とする。
【0122】 プロウイルスDNA形成までのHIV複製の段階は、「組み込み前の」段階と
考えられており、プロウイルスDNAの組み込み後における新生ビリオンの形成
に関与する段階は、「組み込み後の(post-integrational)」と考えられている
。H9+細胞は、ウイルスの組み立て、放出および成熟に対する効果を含む、H
IV複製の組み込み後の段階に対する抗ウイルス活性を評価するのに有用である
【0123】 投与経路 経口によるデリバリーは、本組成物の投与に好ましい方法である。経口投与に
関して、本組成物は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、粉剤、シロップ、
エリキシル剤、水溶液および懸濁液等の形態で用いられ得る。錠剤の場合、使用
される担体は、ラクトース、クエン酸ナトリウムおよびホスフェートを含む。例
えばスターチのような様々な崩壊剤、および、例えばステアリン酸マグネシウム
、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤が、一般的に錠剤に用い
られる。カプセル様式の経口投与の場合、有用な希釈剤はラクトースおよび高分
子量のポリエチレングリコールである。経口的な使用で水性懸濁液が必要な場合
、本組成物を乳化剤および懸濁化剤と混合してもよい。必要であれば、ある種の
甘味剤および/または着香剤が添加されうる。
【0124】 本発明の医薬組成物はまた、多数の他の経路によって投与され得、例えばこれ
らに限定されないが、局所的で、直腸内に、経膣で、エアロゾルの使用による肺
経路により、または、非経口的に、すなわちこれらに限定されないが、筋肉内、
皮下、腹腔内、動脈内もしくは静脈内に投与され得る。本組成物を単独で投与し
てもよく、または、標準的な製薬の方法に従い製薬上許容される担体または賦形
剤と混合してもよい。
【0125】 非経口投与に関して通常は、その結合体の滅菌溶液を調製し、その溶液のpH
を適切に調節し緩衝化する。静脈内での使用の際、溶質の総濃度は、調合物が等
張になるように制御すべきである。眼への投与に関して、軟膏または滴下可能な
液体が、例えばアプリケーターまたは点眼容器のような当業界で周知の眼のデリ
バリーシステムによって運搬され得る。このような組成物は、ヒアルロン酸、硫
酸コンドロイチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロールまたはポリ(ビニルア
ルコール)のようなムコ様剤(mucomimetics)、例えばソルビン酸、EDTAま
たは塩化ベンジルクロニウム(benzylchronium chloride)のような保存剤、な
らびに、通常の量の希釈剤および/または担体を含む。肺への投与に関して、希
釈剤および/または担体は、エアロゾルの形成を許容するのに適切なものが選択
され得る。
【0126】 本発明の組成物の坐薬形態が、経膣、尿道および直腸経由の投与において有用
である。一般的にこのような坐薬は、室温では固形だが体温で融解する物質の混
合物によって構成されうる。このような賦形剤を形成するのに用いられる物質と
しては、一般的に、カカオ脂、グリセリンゼラチン、水素化植物油、様々な分子
量のポリエチレングリコールの混合物、および、ポリエチレングリコールの脂肪
酸エステルが挙げられる。坐薬投与に関するさらなる考察については、Remingto
n's Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., Mack Publishing, Easton, PA, 1980
, pp. 1530-1533を参照。似たようなゲルまたはクリームが、膣、尿道、直腸経
由の投与に用いられうる。
【0127】 下記実施例は、本発明の本質をさらに代表するものであり、本発明の概念を制
限するものではなく、本発明の概念は添付される請求の範囲によってのみ規定さ
れる。
【0128】 実施例1−BBNHおよびFe(III)−BBNH錯体のインビトロの阻害活
様々な濃度のBBNHおよびFe(III)−BBNH錯体を、HIV−1逆転写
酵素のRNA依存性およびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性、ならびにRN
AアーゼH活性(それぞれ、RT RDDP、RT DDDPおよびRT RN
アーゼH)の阻害能力について試験した。RT RDDPおよびRT DDDP
を分析するために、50mMのトリス−HCl(pH7.8)、60mMのKC
l、10mMのMgCl2、p51/p66 RT 10ng、0.1〜0.5
ユニットのテンプレート/プライマー、および0.5〜25μMの[3H]dN
TPを含む反応混合物(総量で100μl)が用いられた。試験化合物のアリコ
ートをDMSOに溶解させ、反応混合物に加え、10〜20分、37℃でインキ
ュベートした後、冷10%ジクロロ酢酸中の20mMピロリン酸ナトリウム50
0μlで急冷した。氷上で10分経過後、そのサンプルをワットマン934−A
Hグラスファイバーフィルター(Whatman 934-AH glass fiber filter)でろ過
し、10%ジクロロ酢酸およびエタノールで洗浄し、放射活性を液体シンチレー
ション分析によって測定した。RT RNアーゼHを分析するために、50mM
のトリス−HCl(pH8.0)、60mMのKCl、8mMのMgCl2、お
よび様々な量の([3H]rG)−ポリ(dC)を含む反応混合物(総量で50
μl)が用いられた。一般的に、分析あたりp51/p66ヘテロ二量体RT
10ngが用いられた。DMSOに溶解した試験化合物のアリコートを反応混合
物に加え、20分、37℃でインキュベートした。次に試験管を氷上に置いて急
冷し、100μlの冷7%過塩素酸を加えた。氷上で10分経過後、そのサンプ
ルを12,000g、15分遠心分離し、100μlの上清を慎重に分取し、放
射活性を液体シンチレーション分析によって測定した。その試験結果を表1に示
す。
【0129】
【表5】
【0130】 実施例2−BBNHおよびFe(III)-BBNH錯体の細胞変性活性 様々な濃度のBBNHおよびFe(III)-BBNH錯体を、非感染MT2細胞に
対する細胞変性活性について試験した。化合物のジエチルスルホキシド溶液のア
リコートを、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中のMT2細胞(2×105 細胞/ml)に加え、試験化合物を規定された最終濃度にした。その細胞および
試験化合物を、4日、37℃で、5%CO2 存在下で培養し、次に化合物の細胞毒効果
を標準XTT分析(standard XTT assay)を用いて分析した。その結果より計算
されたCC50は、BBNHに関しては10±0.5μMであり、Fe(III)
−BBNHに関しては1000μM以上であった。
【0131】 実施例3−BBNHおよびFe(III)-BBNH錯体の阻害活性 様々な濃度のBBNHおよびFe(III)-BBNH錯体を、感染MT2細胞のH
IV−1感染阻害能力について試験した。化合物のジメチルスルホキシド溶液の
アリコートを、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中の感染MT2細胞(2×1
5細胞/ml)に加え、試験化合物を決定された最終濃度にした。その細胞およ
び試験化合物を、30分、37℃でインキュベートし、HIVビリオンの懸濁液を
接種させた。その細胞、試験化合物およびHIVを、18時間、37℃でインキ
ュベートし、その細胞を遠心分離によって回収し、洗浄し、10%ウシ胎児血清
および最初に用いたのと同じ濃度の試験化合物を含むRPMI培地中に再懸濁し
た。次に細胞を37℃で培養した(培養液は必要に応じて交換した)。HIV誘発
性の細胞変性(合胞体)の顕微鏡検査によって、および/または、培養液中のHI
Vp24抗原レベルを分析することによって、HIV感染を評価した。その結果
より計算されたIC50 は、BBNHに関しては1.5 ± 0.5 μMであり、Fe(
III)-BBNHに関しては50 μM超であった. 実施例4−Fe(III)-BBNHの水および有機溶媒に対する溶解度 A.DMSOに対するFe(III)BBNHの溶解度のキャリブレーション 1mgのFe(III)BBNHを1mlのジメチルスルホキシド(DMSO)
に溶解した。その溶液のアリコートをさらにDMSOで希釈し、以下の最終濃度
にした。1000mg/ml;500mg/ml;200mg/ml;100m
g/ml;40mg/ml;20mg/ml;10mg/ml。各濃度ポイント
のものを三連で調製した。そのサンプルのアリコート(50ml)を、96ウェ
ルのプレートに移した。全サンプルのλ400nmにおける光学濃度(OD)を
、マイクロプレートリーダー(Microplate Reader)を用いて測定した。その結
果を表2に示す。
【0132】
【表6】
【0133】 B.異なる有機溶媒中のFe306濃度の分析 Fe(III)BBNHのサンプル(各1mg)を1mlの下記溶媒に加えた。 1) H2O 100%; 2) アセトニトリル100%; 3) 90% アセトニトリル,10% H2O; 4) 80% アセトニトリル,20% H2O; 5) メタノール 100%; 6) 90% メタノール,10% H2O; 7) DMFA 100%; 8) DMSO 100%; そのサンプルを回転器(rotator)を用いて3時間、室温で激しく攪拌した。
その後サンプルを10,000gで10分間遠心分離した。上清(各500μl)
を分離し、高速減圧遠心分離(speed-vac centrifuge)によって乾燥した。次に
各サンプルをDMSO 500μlに溶解させ、アリコート(各50μl)を96
ウェルのプレートに移した。マイクロプレートリーダーを用いて、(400nm
で光学濃度を測定した。次にサンプル中の試験化合物の濃度を、上記校正データ
を用いて決定した。試験化合物の各濃度を三連で測定した。その結果を表3に示
す。
【0134】
【表7】
【0135】 実施例5−有機溶媒におけるFe(III)BBNHの溶解度に関する様々な塩
およびpHの効果 Fe(III)BBNHのサンプル(各1mg)を、以下の範囲の溶媒1mlに加えた
【0136】 1)90%アセトニトリル;10% 0.01M酢酸アンモニウム(水中),
pH7.0; 2)90%アセトニトリル;10% 0.01M酢酸アンモニウム(水中),
pH5.0; 3)90% アセトニトリル;10% 0.01M酢酸アンモニウム(水中)
,pH3.0; 4)90% メタノール;10% 0.01M酢酸アンモニウム(水中),p
H7.0; 5)90% メタノール;10% 0.01M酢酸アンモニウム(水中),p
H5; 6)90% メタノール;10% 0.01M酢酸アンモニウム(水中),p
H3; 7)90% アセトニトリル;10% 0.01M蟻酸アンモニウム(水中)
,pH6.2; 8)90% アセトニトリル;10% 0.01M蟻酸アンモニウム(水中)
,pH5; 9)90% アセトニトリル;10% 0.01M蟻酸アンモニウム(水中)
,pH3; 10)90% メタノール;10% 0.01M蟻酸アンモニウム(水中),p
H6.2; 11)90% メタノール;10% 0.01M蟻酸アンモニウム(水中),p
H5.0; 12)90% メタノール;10% 0.01M蟻酸アンモニウム(水中),p
H3.0; 13)90% メタノール;10% 0.01Mリン酸バッファー(水中) (
0.01M),pH3.0; 14)90% メタノール;10% 0.01Mリン酸バッファー(水中) ,
pH5.0; そのサンプルを、回転器を用いて3時間、室温で激しく攪拌した。その後、そ
のサンプルを、10,000gで10分遠心分離した。その上清(各500μl
)を分離し、高速減圧遠心分離によって乾燥した。各サンプルを、DMSO 5
00μlに溶解させ、そのアリコート(各50μl)を96ウェルのプレートに
移した。光学濃度を(400nmでマイクロプレートリーダーを用いて測定した
。次にそのサンプル中のFe(III)BBNH濃度を、実施例4Aで示したキャ
リブレーションを用いることによって決定された。Fe(III)BBNHの各濃
度を、三連で分析した。その結果を表4に要約する。
【0137】
【表8】
【0138】 実施例6−Fe(III)BBNHの水溶性に関する様々なブロックコポリマー
の効果 Fe(III)BBNHのサンプル(各1mg)を、プルロニックの様々な水溶
液1mlに加えた。そのサンプルを、回転器を用いて3時間、室温で激しく攪拌
した。次にそのサンプルを、10,000gで10分遠心分離した。その上清(
各500μl)を分離し、高速減圧遠心分離によって乾燥した。各サンプルを、
500μlのDMSOに溶解させ、そのアリコート(各50μl)を96ウェル
のプレートに移した。その光学濃度を(400nmでマイクロプレートを用いて
測定した。次にサンプル中の試験化合物濃度を、実施例4Aで示したキャリブレ
ーションを用いて決定した。Fe(III)BBNHの各濃度は、三連で分析され
た。その結果を表5に要約する。鉄306の各濃度を三連で測定した。
【0139】
【表9】
【0140】 実施例7−Fe(III)BBNHの水溶性に関するブロックコポリマー濃度の
効果 様々な量のFe(III)BBNHを、200μlのジメチルホルムアミドに溶
解させ、そのアリコート(各20μl)を様々な濃度の等量のプルロニックP8
5のメタノール溶液と混合した。酢酸ナトリウム水溶液(10μl)を、塩の最
終濃度が60mMになるように各サンプルに加えた。そのサンプルを高速減圧遠
心分離によって乾燥した。各サンプルを100μlの10%プルロニックP85
水溶液中に溶解させた。そのサンプルを、回転器を用いて2時間、室温で激しく
攪拌した。その後、そのサンプルを10,000g、10分遠心分離した。その
上清を分離し、10%プルロニックP85水溶液で希釈し、校正曲線の範囲内に
あわせた。そのアリコート(各50μl)を96ウェルプレートに移し分析した
。その光学濃度を(400nmでマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
次にそのサンプル中のFe(III)BBNHの濃度を実施例4Aに示したキャリ
ブレーションを用いて決定した。Fe(III)BBNHの各濃度を三連で測定し
た。その結果を表6に要約する。鉄306の各濃度を三連で測定した。
【0141】
【表10】
【0142】 実施例8−MT2細胞におけるHIV−1急性感染の阻害に関する試験化合物 の効果 化合物Iを含む配合物を、非感染MT2細胞におけるHIV−1感染の阻害能
力について、化合物I単独と比較して試験した。化合物Iのジメチルスルホキシ
ド溶液、または、コポリマー−化合物I配合物の水溶液のアリコートを、10%
ウシ胎児血清を含むRPMI培地中の非感染MT2細胞(2×105細胞/mlに
加え、試験化合物を決定された最終濃度にした。その細胞および試験化合物は3
0分、37℃でインキュベートされ、次にHIVビリオンの懸濁液を接種させた
。その細胞、試験化合物およびHIVを18時間、37℃でインキュベートし、
その細胞を遠心分離によって回収し、洗浄し、10%ウシ胎児血清および最初に
用いたのと同じ濃度の試験化合物を含むRPMI培地で再懸濁した。次にその細
胞を37℃で培養した (培養液は必要に応じて交換した)。HIV誘発性の細胞
変性(合胞体)の顕微鏡検査によって、および/または、培養液上清中のHIVp
24抗原レベルを分析することによってHIV感染を評価した。試験の結果によ
り、DMSO中に溶解した化合物Iは25μMまでの濃度では顕著な活性はほと
んど見られず、一方で化合物が配合されたコポリマーのIC50は4.8±0.4
μMであることが示された。いくつかの試験において、試験化合物およびHIV
−1ビリオンを、同時に非感染MT2細胞に加えた。その結果は、試験化合物を
HIVビリオンの添加の30分前に細胞に加えた実験の結果と類似していた。
【0143】 実施例9−コポリマー−生物学的製剤配合物とHIV−1で慢性的に感染して いるH9細胞(H9+)とのインキュベーション:HIVビリオンの感染力にお ける効果 化合物Iを含む配合物を、H9+細胞より生産されるHIVビリオンの感染力
に対する阻害効果能力について化合物I単独と比較して試験した。化合物Iのジ
メチルスルホキシド溶液、または、コポリマー−化合物I配合物の水溶液のアリ
コートを、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中の慢性的に感染しているH9
細胞(H9+; 5×105 細胞/ml)に加え、試験化合物を決定された最終濃度
にした。その細胞および試験化合物を18時間、37℃でインキュベートし、そ
の細胞と生産されたHIVビリオンとを、750×gで遠心分離することによっ
て分離した。上清のアリコート(HIVビリオンを含む)を、10%ウシ胎児血清
を含むRPMI培地中の非感染MT2細胞(2×105 細胞/ml)に加えた。そ
の細胞およびHIVビリオンを18時間、37℃でインキュベートし、その細胞
を遠心分離によって分離し、洗浄し、10%ウシ胎児血清を含み試験化合物を含
まないRPMI培地で再懸濁した。次にその細胞を37℃で培養した (培養液は
必要に応じて交換した)。HIV誘発性の細胞変性 (合胞体)の顕微鏡検査によっ
て、および/または、培養液上清中のHIV p24抗原レベルを分析することに
よってHIV感染を評価した。その試験結果により、DMSOに溶解した化合物
Iは、10μMまでの濃度において顕著な活性をほとんど示さず、一方で化合物
が配合されたコポリマーのIC50は0.1±0.05μMであったことが示され
た。
【0144】 実施例10−コポリマー−生物学的製剤配合物と、HIV−1で慢性的に感染 しているH9細胞(H9+)とのインキュベーション:HIVの細胞から細胞への 感染に対する効果 化合物Iを含む配合物を、H9+細胞から生産されたHIVから非感染MT2
細胞への、細胞から細胞への伝播(cell-to-cell transmission)に対する阻害
能力について、化合物I単独と比較して試験した。化合物Iのジメチルスルホキ
シド溶液、または、コポリマー−化合物I配合物の水溶液のアリコートを、10
%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中の慢性的に感染しているH9細胞(H9+
;5×105細胞/ml)に加え、試験化合物を決定された最終濃度にした。その
細胞および試験化合物を18時間、37℃でインキュベートし、その細胞を75
0×gで遠心分離することによって単離し、10%ウシ胎児血清を含むRPMI
培地に再懸濁しその後遠心分離することによって数回洗浄した。その細胞を最終
的に10%ウシ胎児血清を含み試験化合物を含まないRPMI培地に懸濁した。
これらH9+細胞のアリコートを、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中の
非感染MT2細胞 (3×105細胞/ml)に加え、最終的なMT2:H9+細胞
比を30:1にした。次にその細胞を37℃で培養した (培養液は必要に応じて
交換した)。HIV誘発性のMT2細胞の細胞変性(合胞体)の顕微鏡検査によっ
て、および/または、培養液上清中のHIVp24 抗原レベルを分析することに
よって、HIV感染を評価した。その試験結果により、DMSOに溶解した化合
物Iは、25μMまでの濃度において顕著な活性を示さず、一方で化合物を配合
したコポリマーのIC50は2.5±0.05μMであった。
【0145】 実施例11−試験化合物の予防効果:前処理後のHIV感染に対する非感染M
T2細胞の前処理の効果 化合物Iを含む配合物を、非感染MT2細胞を分離したHIVビリオンによる
感染から保護する能力について、化合物Iと比較して試験した。化合物Iのジメ
チルスルホキシド溶液、または、コポリマー−化合物I配合物の水溶液のアリコ
ートを、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中の非感染MT2細胞 (3×
105細胞/ml)に加え、試験化合物を決定された最終濃度にした。その細胞
および試験化合物を24時間、37℃でインキュベートし、その細胞を750×
gで遠心分離することによって単離し、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地
で再懸濁してその後に遠心分離することによって数回洗浄した。その細胞を最終
的に10%ウシ胎児血清を含み試験化合物を含まないRPMI培地に再懸濁した
。HIVビリオンのアリコートを加え、その細胞を37℃で培養した(培養液は
必要に応じて交換した)。MT2細胞のHIV誘発性の細胞変性(合胞体)の顕
微鏡検査によって、および/または、培養上清中のHIVp24抗原レベルを分
析することによってHIV感染を評価した。その試験結果により、DMSOに溶
解した化合物Iは10μMまでの濃度において顕著な活性を示さず、一方で化合
物を配合したコポリマーのIC50は0.8±0.03μMであったことが示され
た。
【0146】 実施例12−ブロックコポリマーのミセルサイズ 以下に示すポリ(オキシプロピレン)のポリ(オキシエチレン)に対する比を有す
るポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)のブロックコポリマーを
、以下に示す濃度のRPMI 1640媒体中に分散させた。その混合物を40
分、300℃でインキュベートした。平均ミセル直径を準弾性光散乱(quasiela
stic light scattering)によって測定した。Kabanov et al.、Macromolecules
28: 23032314, 1995を参照。その結果を表7に示す。
【0147】
【表11】
【0148】 実施例13−ブロックコポリマーの急性毒性 プルロニックF108、P85およびL61の急性毒性を、年齢が5週間のB
ALB/c雄マウスを用いて研究した。各実験グループはマウスを6匹含んでい
た。
【0149】 等張のプルロニック溶液の様々な用量を、腹腔内に投与した。14日間、動物
の死亡率を毎日モニターした。LD50および最大耐量(maximum tolerated dosa
ge)(“MTD”すなわち、等しく処理された6匹の動物がいずれも死なない用
量)を、プロビット解析によって計算した。Chan and Hayes in Principles and
Methods of Toxicology、Hayes、A.W., ed.、Raven Press、New York、1989、p
p. 169-189を参照。その結果を表8に示す。
【0150】
【表12】
【0151】 実施例14−ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコ ポリマーの溶液挙動(Solution Behavior) ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーを、
10μMのリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline)、pH7.4
(PBS)中の、または、以下に示す濃度の、ウシ血清アルブミン(BSA)の
2.5%PBS溶液に溶解し、その混合物を少なくとも1時間、22.5(Cま
たは37(Cでインキュベートした。その後、この系で形成された凝集体の有効
直径を、Kabanov et al.、Macromolecules 28、2303-2314 (1995)によって説明さ
れている準弾性光散乱方法によって測定した。その結果を表9に示す。
【0152】
【表13】
【0153】
【表14】
【0154】
【表15】
【0155】 これらの結果により、(1)プロピレンオキサイド含有量が50%(w/v)
以上の疎水性ポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)ブロ
ックコポリマーは、生理的温度で水溶液中で凝集する傾向を有すること、(2)
これらコポリマーの凝集および相分離は血清タンパク質の存在下で顕著に増強さ
れることが示唆された。
【0156】 実施例15−疎水性プルロニックコポリマーの溶液挙動に対する親水性プルロ ニックコポリマーの効果 . 単一のコポリマーの代わりに、二つの異なるポリ(エチレンオキサイド)−ポ
リ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマーの混合物を用いた以外は、実施
例3、4と同じ方法が用いられた。その結果を表10に示す。
【0157】
【表16】
【0158】 これらの結果により、(1)エチレンオキサイド含有量が50%(w/v)超
の親水性ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマ
ーは、プロピレンオキサイド含有量が50%(w/v)以上の疎水性親水性ポリ
(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーの、生理的
温度における凝集を防ぐこと、(2)エチレンオキサイド含有量が50%(w/
v)超の親水性ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコ
ポリマーは、プロピレンオキサイド含有量が50%以上の疎水性親水性ポリ(オ
キシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーが血清タンパク
質存在下で凝集することを防ぐことが示された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW (72)発明者 カバノフ,アレクサンダー アメリカ合衆国,ネブラスカ州 68144, オマハ,サウス 126ス ストリート 1304 (72)発明者 パーニアック,マイケル カナダ,ケベック州 エイチ4エイチ 1 エス7,バーダン,デスマーチェイス 825 (72)発明者 クリンスキー,エフゲニー カナダ,ケベック州 エイチ7ブイ 1ジ ェイ8,ラバル,ブラバード カーティア ー ウェスト シャープ306 3215 Fターム(参考) 4C076 AA12 CC35 DD08E DD08F DD09E DD09F EE23E EE23F EE25E EE25F FF15 FF16 GG46 4C206 AA01 AA02 HA08 JB11 KA01 KA04 MA02 MA04 MA29 MA30 NA05 NA13 NA14 ZB33 ZC55 ZC75

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 (式中、R1、R2およびR3は、H、OH、CH3、OCH3、C(CH33[−
    tert−ブチル]、フェニルであり、Xは−OCH3または−OCH2CH3
    ある) で示されるN−アロイルヒドラゾンおよび金属を含む抗ウイルス医薬組成物
  2. 【請求項2】 MeはFe(III)である、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 R1は−C(CH33であり、R2およびR3は水素原子であ
    り、MeはFe(III)であり、Xは−OCH3である、請求項1に記載の組成物
  4. 【請求項4】 非イオン性または両親媒性の界面活性剤をさらに含む、請求
    項1に記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 該界面活性剤は、非イオン性ブロックコポリマーである、請
    求項2に記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 該非イオン性ブロックコポリマーは、ポリ(オキシエチレン)
    −ポリ(オキシプロピレン)である、請求項3に記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 ポリ(オキシプロピレン)ブロックの好ましい含有率が、ポリ
    (オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)分子の含有量の約50%である、請
    求項4に記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の組成物の有効量を哺乳類に投与することを
    含む、HIV感染を治療する方法。
JP2000582041A 1998-11-18 1999-11-17 ウイルス感染を治療するためのコポリマー組成物 Withdrawn JP2002529507A (ja)

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