JP2008001558A - 窒化アルミニウム成形体の焼成方法と焼成用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼成炉内の雰囲気が窒化アルミニウム成形体に接触しないように遮断することが可能な窒化アルミニウムの焼成方法とその焼成用治具を提供する。
【解決手段】焼成用治具1aはベース3aとこのベース3aの上部を覆う蓋部3bとからなり、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素のいずれかを主成分とする坩堝3と、底板5と枠体6とからなり、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックス又はモリブデン及びタングステンなどの高融点金属のいずれかを主成分とするセッター4とから構成され、枠体6は枠板片6a〜6cとから構成される。
【選択図】図2
【解決手段】焼成用治具1aはベース3aとこのベース3aの上部を覆う蓋部3bとからなり、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素のいずれかを主成分とする坩堝3と、底板5と枠体6とからなり、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックス又はモリブデン及びタングステンなどの高融点金属のいずれかを主成分とするセッター4とから構成され、枠体6は枠板片6a〜6cとから構成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする半導体部品の実装用基板(以下、窒化アルミニウム基板という。)に用いられる窒化アルミニウムのグリーンシート(以下、窒化アルミニウム成形体という。)の焼成方法とその焼成用治具に係り、特に窒化アルミニウムを焼成する炉内の雰囲気によって窒化アルミニウムの焼結体に不具合が生じないようにする窒化アルミニウム成形体の焼成方法とその焼成の際に用いる焼成用治具に関する。
従来、半導体部品などを実装する基板の材料として、酸化ベリリウム(BeO)や酸化アルミニウム(Al2O3)が知られている。酸化ベリリウムは熱伝導性が高いものの、粉塵に毒性があるため、現在はほとんど用いられていない。また、酸化アルミニウムは熱伝導率が低いため、基板に高い放熱特性が要求される場合には金属製の放熱フィンや放熱板を設ける必要があり、基板の構造が複雑になるという問題があった。そこで、近年、酸化アルミニウムと同程度の電気的・機械的特性をもち、かつ、酸化アルミニウムよりも高い熱伝導性を有するとともに熱膨張係数が半導体材料のケイ素(Si)に近いなどの理由から、窒化アルミニウムが注目されている。
このように窒化アルミニウムは基板材料に適しているが、単体では焼結し難い特性をもつため、希土類酸化物やアルカリ土類酸化物などの焼結助剤の添加が必要である。また、構造の緻密な熱伝導性の高い焼結体を得るには、1800℃以上の高温で焼成しなければならない。高温焼成炉としては、カーボン炉がよく知られている。このカーボン炉は発熱体にカーボンを用いており、比較的簡単な構造で高い温度を発生することができるが、使用中の炉内はカーボン蒸気で満たされるという特徴がある。カーボン蒸気は窒化アルミニウム成形体に含まれる焼結助剤を還元窒化・除去してその熱伝導性を向上させるという効果や炉内の残留酸素を還元除去して基板表面に印刷されたタングステンメタライズの酸化を防止する効果がある。その反面、窒化アルミニウムの焼結を阻害し、色ムラや変形などの不具合を引き起こす原因となる。そこで、通常、窒化アルミニウム成形体を焼成する場合には、カーボン蒸気に直接触れさせないようにする工夫がなされる。
このように窒化アルミニウムは基板材料に適しているが、単体では焼結し難い特性をもつため、希土類酸化物やアルカリ土類酸化物などの焼結助剤の添加が必要である。また、構造の緻密な熱伝導性の高い焼結体を得るには、1800℃以上の高温で焼成しなければならない。高温焼成炉としては、カーボン炉がよく知られている。このカーボン炉は発熱体にカーボンを用いており、比較的簡単な構造で高い温度を発生することができるが、使用中の炉内はカーボン蒸気で満たされるという特徴がある。カーボン蒸気は窒化アルミニウム成形体に含まれる焼結助剤を還元窒化・除去してその熱伝導性を向上させるという効果や炉内の残留酸素を還元除去して基板表面に印刷されたタングステンメタライズの酸化を防止する効果がある。その反面、窒化アルミニウムの焼結を阻害し、色ムラや変形などの不具合を引き起こす原因となる。そこで、通常、窒化アルミニウム成形体を焼成する場合には、カーボン蒸気に直接触れさせないようにする工夫がなされる。
例えば、特許文献1には、「窒化アルミニウム基板の焼成方法」という名称で、色ムラや変形の少ない窒化アルミニウム焼結体を得る方法に関する発明が開示されている。
この発明は、窒化ホウ素(BN)製の焼成容器の内部底面に窒化ホウ素と反応して体積膨張を生じるタングステン(W)のような高融点金属粉末を敷くとともに、上下を窒化ホウ素製のセッターによって挟持された窒化アルミニウム・グリーンシートをこの高融点金属粉末を介して焼成容器の内部底面上に設置し、この焼成容器ごとカーボン炉内に入れて、窒化アルミニウム・グリーンシートを焼成するものである。
このような方法によれば、窒化ホウ素と反応したタングステンが体積膨張してセッターの下面を上方に向かって押し上げるため、窒化アルミニウム・グリーンシートは焼成容器の内部上面に押しつけられる。従って、窒化アルミニウムの焼成時の変形が防止される。また、焼成容器によって、炉内の雰囲気が窒化アルミニウム・グリーンシートに含まれる焼結助剤に作用して窒化アルミニウムの焼結を妨げることがないように、炉内の雰囲気が略遮断される。これにより、カーボン蒸気に起因する窒化アルミニウム・グリーンシートの変色や変形などの不具合を防ぐことができる。
この発明は、窒化ホウ素(BN)製の焼成容器の内部底面に窒化ホウ素と反応して体積膨張を生じるタングステン(W)のような高融点金属粉末を敷くとともに、上下を窒化ホウ素製のセッターによって挟持された窒化アルミニウム・グリーンシートをこの高融点金属粉末を介して焼成容器の内部底面上に設置し、この焼成容器ごとカーボン炉内に入れて、窒化アルミニウム・グリーンシートを焼成するものである。
このような方法によれば、窒化ホウ素と反応したタングステンが体積膨張してセッターの下面を上方に向かって押し上げるため、窒化アルミニウム・グリーンシートは焼成容器の内部上面に押しつけられる。従って、窒化アルミニウムの焼成時の変形が防止される。また、焼成容器によって、炉内の雰囲気が窒化アルミニウム・グリーンシートに含まれる焼結助剤に作用して窒化アルミニウムの焼結を妨げることがないように、炉内の雰囲気が略遮断される。これにより、カーボン蒸気に起因する窒化アルミニウム・グリーンシートの変色や変形などの不具合を防ぐことができる。
次に、特許文献2には、「窒化アルミニウム基板の製造方法」という名称で、窒化アルミニウム基板とセッターとの接合面における液相の滲出を防止することができる窒化アルミニウム基板の製造方法に関する発明が開示されている。
この発明は、焼結助剤を含有する窒化物アルミニウムからなるグリーンシートをホットプレス法で焼結された窒化アルミニウム基板からなるセッターによって上下面を挟持し、このセッター及びグリーンシートを窒化アルミニウムや窒化ホウ素からなる坩堝内に設置し、この坩堝ごとグリーンシートを焼成するものである。
このような方法によれば、窒化アルミニウム粒子の粒界付近に共晶による液層の形成が少なくなるようにホットプレス法によって焼結された窒化アルミニウム基板をセッターとして用いているため、グリーンシートとセッターとの接合面における液層の形成が回避される。従って、グリーンシートとセッターの接着及びグリーンシート表面の平滑性低下を防止することができる。また、グリーンシートはセッター及び坩堝により炉内雰囲気から遮蔽されるため、焼結後のグリーンシートに変色や変形が発生し難い。
この発明は、焼結助剤を含有する窒化物アルミニウムからなるグリーンシートをホットプレス法で焼結された窒化アルミニウム基板からなるセッターによって上下面を挟持し、このセッター及びグリーンシートを窒化アルミニウムや窒化ホウ素からなる坩堝内に設置し、この坩堝ごとグリーンシートを焼成するものである。
このような方法によれば、窒化アルミニウム粒子の粒界付近に共晶による液層の形成が少なくなるようにホットプレス法によって焼結された窒化アルミニウム基板をセッターとして用いているため、グリーンシートとセッターとの接合面における液層の形成が回避される。従って、グリーンシートとセッターの接着及びグリーンシート表面の平滑性低下を防止することができる。また、グリーンシートはセッター及び坩堝により炉内雰囲気から遮蔽されるため、焼結後のグリーンシートに変色や変形が発生し難い。
特許文献3には、「窒化アルミニウム焼結体の製造方法」という名称で、窒化アルミニウムのグリーンシートを焼成する際に、焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体からなる密閉型容器にカーボンガスが進入した場合でも、外観や物性が良好な窒化アルミニウムの焼結体を得ることができるグリーンシートの焼成方法に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体からなる密閉型容器に窒化アルミニウムのグリーンシートを収納するとともに、この容器内のグリーンシートに接触しない箇所に易還元性物質を含む吸収材を設置したことを特徴とする。
このような方法によれば、万一、容器の隙間からカーボンガスが進入した場合であっても、そのカーボンガスは吸収材によって吸収される。そのため、グリーンシートの表面に焼結助剤成分の窒化物が生成される可能性が低い。従って、窒化物の生成による焼結不足の発生を防いで、外観や物性が良好な窒化アルミニウムの焼結体を得ることができる。
特許文献3に開示された発明は、焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体からなる密閉型容器に窒化アルミニウムのグリーンシートを収納するとともに、この容器内のグリーンシートに接触しない箇所に易還元性物質を含む吸収材を設置したことを特徴とする。
このような方法によれば、万一、容器の隙間からカーボンガスが進入した場合であっても、そのカーボンガスは吸収材によって吸収される。そのため、グリーンシートの表面に焼結助剤成分の窒化物が生成される可能性が低い。従って、窒化物の生成による焼結不足の発生を防いで、外観や物性が良好な窒化アルミニウムの焼結体を得ることができる。
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、セッターが窒化アルミニウム・グリーンシートの上下面のみを覆い、側面を覆っていないため、炉内雰囲気を十分に遮断できないという課題があった。
また、特許文献2に開示された発明においては、グリーンシートの上下面に配置される2枚の挟持板と、この挟持板の側面を覆う枠体とからセッターが構成されているため、挟持板の側面と枠体の内面との間に隙間が生じ易く、炉内雰囲気を完全には遮断できないという課題があった。また、複数のセッターを順次積み重ねていく際に、枠体同士が互いに接触することになるため、ずれ易く、安定して積み上げることが難しい。従って、焼成炉内へセッターを設置する際の作業効率が悪いという課題があった。
特許文献3に開示された発明においては、箱セッターが耐熱劣化した場合に、箱セッター全体を交換する必要があるため、コストが高くつくという課題があった。また、組セッターの場合には、枠板同士が組み合わされる箇所に隙間が生じ易く、吸収材を設置したとしてもセッターの内部に侵入したカーボンガスを完全には吸収できないという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、炉内雰囲気が窒化アルミニウム成形体に接触しないように遮断することが可能な窒化アルミニウムの焼成方法とその焼成用治具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である窒化アルミニウム成形体の焼成用治具は、上面略中央部に窒化アルミニウム成形体が載置される略平板状の底板と、略短冊状の複数の枠板片から構成され底板の上面に窒化アルミニウム成形体を囲むように設置される枠板とからなるセッターを備え、このセッターは高融点金属又は窒化物セラミックスを主成分とし、枠板片の少なくとも1つに他の枠板片の端部を嵌合可能に凹部が形成されることを特徴とするものである。
このような構造の焼成用治具においては、枠板が耐熱劣化した場合でも劣化した枠板片のみを交換すれば良いため、保守が容易である。また、1つの枠板片の凹部に他の枠板片の端部を嵌合させながら順次組み合わせる構造となっているため、枠板がずれ難く、隙間が生じ難い。
このような構造の焼成用治具においては、枠板が耐熱劣化した場合でも劣化した枠板片のみを交換すれば良いため、保守が容易である。また、1つの枠板片の凹部に他の枠板片の端部を嵌合させながら順次組み合わせる構造となっているため、枠板がずれ難く、隙間が生じ難い。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具において、蓋部とベースとからなる酸化物セラミックス又は窒化物セラミックスを主成分とする坩堝を備え、この坩堝はセッターを内部に設置可能な中空部を有することを特徴とするものである。
このような構造の焼成用治具においては、窒化アルミニウム成形体の全体を覆うセッターを坩堝の内部に設置することができる。この場合、セッターと坩堝は外部の雰囲気が窒化アルミニウム成形体に接触しないように遮断するという作用を有する。
このような構造の焼成用治具においては、窒化アルミニウム成形体の全体を覆うセッターを坩堝の内部に設置することができる。この場合、セッターと坩堝は外部の雰囲気が窒化アルミニウム成形体に接触しないように遮断するという作用を有する。
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具において、セッターの内部及び/又は坩堝の内部にガス吸着体が設置され、このガス吸着体は焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体からなることを特徴とするものである。
このような構造の焼成用治具においては、ガス吸着体を構成する窒化アルミニウムの焼結体が焼結助剤を含有しないものであるため、十分に焼結されず、ポーラスな状態となっている。従って、この窒化アルミニウム焼結体はセッター又は坩堝の内部に侵入したガスを吸着するという作用を有する。また、この窒化アルミニウムは焼結助剤を含有せず、焼結が進行し難いことから、ポーラスな状態が維持される。すなわち、ガスの吸着能力が低下し難い。
このような構造の焼成用治具においては、ガス吸着体を構成する窒化アルミニウムの焼結体が焼結助剤を含有しないものであるため、十分に焼結されず、ポーラスな状態となっている。従って、この窒化アルミニウム焼結体はセッター又は坩堝の内部に侵入したガスを吸着するという作用を有する。また、この窒化アルミニウムは焼結助剤を含有せず、焼結が進行し難いことから、ポーラスな状態が維持される。すなわち、ガスの吸着能力が低下し難い。
請求項4記載の発明は、窒化アルミニウム成形体の全体を覆うように請求項1記載のセッターを設置するとともに、このセッターが内部に設置された請求項2記載の坩堝を焼成炉内に設置して窒化アルミニウム成形体を焼成することを特徴とするものである。
このような焼成方法によれば、焼成炉内の雰囲気に含まれ、窒化アルミニウム成形体に悪影響を及ぼすガスが窒化アルミニウム成形体に接触しないようにセッターと坩堝が遮断するという作用を有する。
このような焼成方法によれば、焼成炉内の雰囲気に含まれ、窒化アルミニウム成形体に悪影響を及ぼすガスが窒化アルミニウム成形体に接触しないようにセッターと坩堝が遮断するという作用を有する。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の窒化アルミニウム成形体の焼成方法において、セッターの内部及び/又は坩堝の内部に請求項3記載のガス吸着体を設置することを特徴とするものである。
このような焼成方法によれば、焼成炉内の雰囲気に含まれ、窒化アルミニウム成形体に悪影響を及ぼすガスがガス吸着体によって吸着される。
このような焼成方法によれば、焼成炉内の雰囲気に含まれ、窒化アルミニウム成形体に悪影響を及ぼすガスがガス吸着体によって吸着される。
以上説明したように、本発明の請求項1記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具においては、枠板の保守に要するコストを削減することができる。また、セッターを構成する枠板及び底板によって窒化アルミニウム成形体を略密閉することが可能である。
本発明の請求項2記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具においては、セッター及び坩堝の二重構造によって窒化アルミニウムの密閉度を高めることができる。
本発明の請求項3記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具においては、セッター又は坩堝の内部に進入したガスが吸着されるため、そのガスが窒化アルミニウム成形体と反応してその焼結を阻害するのを防ぐことができる。
本発明の請求項4記載の窒化アルミニウム成形体の焼成方法においては、焼成炉内の雰囲気に含まれ、窒化アルミニウム成形体に悪影響を及ぼすガスによって引き起こされる窒化アルミニウム焼結体の変色や変形あるいは熱伝導性の低下などの不具合を防ぐことができる。
本発明の請求項5記載の窒化アルミニウム成形体の焼成方法においては、焼成炉内の雰囲気に含まれ、窒化アルミニウム成形体に悪影響を及ぼすガスに起因する窒化アルミニウム焼結体の不具合を請求項4記載の発明よりもさらに確実に防ぐことが可能である。
本発明の最良の実施の形態に係る窒化アルミニウム成形体の焼成方法と焼成用治具の実施例について説明する。
実施例1の窒化アルミニウム成形体の焼成方法について図1乃至図4を用いて説明する(特に、請求項1、請求項2及び請求項4に対応)。
図1は窒化アルミニウム基板の製造方法を示す工程図である。また、図2(a)は本発明の実施の形態に係る焼成用治具の実施例1の縦断面図であり、(b)は実施例1の坩堝の縦断面図であり、(c)は坩堝の変形例を示す縦断面図である。図3(a)及び(b)はそれぞれ実施例1のセッターの平面図及び縦断面図であり、(c)は枠板の平面図である。そして、図4(a)及び(b)は枠板の変形例を示す平面図である。
図1に示すように、窒化アルミニウムの粉末に酸化イットリウム(Y2O3)と酸化カルシウム(CaO)と酸化アルミニウムの粉末を焼結助剤として添加して原料粉末の調整を行う(ステップS1)。そして、この原料粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の有機バインダとエタノール(C2H5OH)等の分散剤を加えてボールミル等で混合し、スラリー化する(ステップS2)。さらに、このスラリーをドクターブレード法等により薄板状に形成し、グリーンシートと呼ばれる窒化アルミニウムの成形体を得る(ステップS3)。
次に、この窒化アルミニウム成形体にタングステン(W)やモリブデン(Mo)などの高融点金属粉末のペーストをスクリーン印刷してメタライズ層を形成する(ステップS4)。その後、窒素及び水素の雰囲気中1100〜1500℃の温度条件で有機バインダや分散剤を除去する(ステップS5)。この窒化アルミニウム成形体をカーボン炉等の高温焼成炉内に入れて、窒素雰囲気中1700〜1900℃の温度条件で焼成し、窒化アルミニウム成形体の焼結とメタライズ層の窒化アルミニウム成形体への焼付を同時に行う(ステップS6)。このとき、炉内に存在するカーボン蒸気等が焼結助剤と反応して、窒化アルミニウム成形体の焼結を阻害するおそれがある。従って、上述のようにステップS6では窒素等を流すなどして炉内の雰囲気を非酸化性雰囲気に保つのである。しかし、窒化アルミニウム成形体にカーボン蒸気等を直接触れさせないようにするには、それだけでは不十分であり、通常、窒化アルミニウム成形体を略密閉してカーボン蒸気等を遮断することが行われる。以下に述べるように、本願発明はこの窒化アルミニウム成形体を略密閉して炉内に存在するカーボン蒸気等が窒化アルミニウム成形体に接触しないようにする技術に関するものである。
図1は窒化アルミニウム基板の製造方法を示す工程図である。また、図2(a)は本発明の実施の形態に係る焼成用治具の実施例1の縦断面図であり、(b)は実施例1の坩堝の縦断面図であり、(c)は坩堝の変形例を示す縦断面図である。図3(a)及び(b)はそれぞれ実施例1のセッターの平面図及び縦断面図であり、(c)は枠板の平面図である。そして、図4(a)及び(b)は枠板の変形例を示す平面図である。
図1に示すように、窒化アルミニウムの粉末に酸化イットリウム(Y2O3)と酸化カルシウム(CaO)と酸化アルミニウムの粉末を焼結助剤として添加して原料粉末の調整を行う(ステップS1)。そして、この原料粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の有機バインダとエタノール(C2H5OH)等の分散剤を加えてボールミル等で混合し、スラリー化する(ステップS2)。さらに、このスラリーをドクターブレード法等により薄板状に形成し、グリーンシートと呼ばれる窒化アルミニウムの成形体を得る(ステップS3)。
次に、この窒化アルミニウム成形体にタングステン(W)やモリブデン(Mo)などの高融点金属粉末のペーストをスクリーン印刷してメタライズ層を形成する(ステップS4)。その後、窒素及び水素の雰囲気中1100〜1500℃の温度条件で有機バインダや分散剤を除去する(ステップS5)。この窒化アルミニウム成形体をカーボン炉等の高温焼成炉内に入れて、窒素雰囲気中1700〜1900℃の温度条件で焼成し、窒化アルミニウム成形体の焼結とメタライズ層の窒化アルミニウム成形体への焼付を同時に行う(ステップS6)。このとき、炉内に存在するカーボン蒸気等が焼結助剤と反応して、窒化アルミニウム成形体の焼結を阻害するおそれがある。従って、上述のようにステップS6では窒素等を流すなどして炉内の雰囲気を非酸化性雰囲気に保つのである。しかし、窒化アルミニウム成形体にカーボン蒸気等を直接触れさせないようにするには、それだけでは不十分であり、通常、窒化アルミニウム成形体を略密閉してカーボン蒸気等を遮断することが行われる。以下に述べるように、本願発明はこの窒化アルミニウム成形体を略密閉して炉内に存在するカーボン蒸気等が窒化アルミニウム成形体に接触しないようにする技術に関するものである。
図2(a)に示すように、本実施例の焼成用治具1aはベース3aとこのベース3aの上部を覆う蓋部3bとからなる坩堝3と、底板5と枠体6とからなるセッター4とから構成されている。坩堝3のベース3aの上面略中央部には底板5と窒化アルミニウム成形体2が交互に積み重ねられている。なお、窒化アルミニウム成形体2とセッター4を積み重ねる段数は、適宜変更可能であり、例えば、一段であっても良い。
図2(b)に示すように、坩堝3は酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素のいずれかを主成分とし、純度99%以上の材質からなる。ベース3aは略矩形平板形状であり、蓋部3bは一方に開口部3cを有する略箱形状である。蓋部3bの開口端部3dにはベース3aの上面周縁部が当接可能な段差部3eが設けられており、段差部3e及びベース3aの上面周縁部において互いに接触する箇所は研磨加工がされている。これにより、ベース3aを開口部3cに嵌合させた場合に、ベース3aと蓋部3bとの間に隙間が生じ難くなっている。なお、坩堝3は図2(b)に示す形状に限定されるものではなく、例えば、ベース3aを略箱形状とし、蓋部3bを略矩形平板形状とすることもできる。ただし、窒化アルミニウム成形体2とセッター4を複数段、積み重ねる場合には、ベース3aを略箱形状とすると窒化アルミニウム成形体2とセッター4を積み重ねる際の作業性が甚だしく悪くなる。従って、このような場合には、ベース3aと蓋部3bを図2(b)に示すような形状とすることが望ましい。また、坩堝3は窒化アルミニウム成形体2及びセッター4を内部に設置可能な中空部を有する形状であれば良く、例えば、円筒状あるいはそれ以外の形状であっても良い。さらに、蓋部3bは図2(c)に示すように角筒状の側壁3fとこの側壁3fの上部を閉塞する矩形板3gとから構成されるものであっても良い。このような構造によれば、側壁3f及び矩形板3gのいずれかが耐熱劣化した場合に、劣化した部材のみを交換すれば良いため、保守性に優れる。これに対し、図2(b)に示す構造の蓋部3bはカーボン蒸気等の遮断効果や坩堝3を焼成炉内に設置する際の作業効率の点で優れている。
なお、酸化アルミニウムの融点は2000℃程度であるため、これに近い温度で焼成する場合には、坩堝の材質を窒化ホウ素又は窒化アルミニウムとすることが望ましい。また、窒化ホウ素は窒化アルミニウムに比べて熱衝撃性に優れているが、高価な材料であるので、例えば、ベース3aは窒化アルミニウム、蓋部3bは窒化ホウ素というように、部材によって材料を使い分けても良い。
図2(b)に示すように、坩堝3は酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素のいずれかを主成分とし、純度99%以上の材質からなる。ベース3aは略矩形平板形状であり、蓋部3bは一方に開口部3cを有する略箱形状である。蓋部3bの開口端部3dにはベース3aの上面周縁部が当接可能な段差部3eが設けられており、段差部3e及びベース3aの上面周縁部において互いに接触する箇所は研磨加工がされている。これにより、ベース3aを開口部3cに嵌合させた場合に、ベース3aと蓋部3bとの間に隙間が生じ難くなっている。なお、坩堝3は図2(b)に示す形状に限定されるものではなく、例えば、ベース3aを略箱形状とし、蓋部3bを略矩形平板形状とすることもできる。ただし、窒化アルミニウム成形体2とセッター4を複数段、積み重ねる場合には、ベース3aを略箱形状とすると窒化アルミニウム成形体2とセッター4を積み重ねる際の作業性が甚だしく悪くなる。従って、このような場合には、ベース3aと蓋部3bを図2(b)に示すような形状とすることが望ましい。また、坩堝3は窒化アルミニウム成形体2及びセッター4を内部に設置可能な中空部を有する形状であれば良く、例えば、円筒状あるいはそれ以外の形状であっても良い。さらに、蓋部3bは図2(c)に示すように角筒状の側壁3fとこの側壁3fの上部を閉塞する矩形板3gとから構成されるものであっても良い。このような構造によれば、側壁3f及び矩形板3gのいずれかが耐熱劣化した場合に、劣化した部材のみを交換すれば良いため、保守性に優れる。これに対し、図2(b)に示す構造の蓋部3bはカーボン蒸気等の遮断効果や坩堝3を焼成炉内に設置する際の作業効率の点で優れている。
なお、酸化アルミニウムの融点は2000℃程度であるため、これに近い温度で焼成する場合には、坩堝の材質を窒化ホウ素又は窒化アルミニウムとすることが望ましい。また、窒化ホウ素は窒化アルミニウムに比べて熱衝撃性に優れているが、高価な材料であるので、例えば、ベース3aは窒化アルミニウム、蓋部3bは窒化ホウ素というように、部材によって材料を使い分けても良い。
図3(a)乃至(c)に示すように、セッター4は略矩形平板状の底板5と、略短冊状の枠板片6a〜6cからなる枠板6とから構成され、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックス又は融点が2000℃以上好ましくは2500℃以上の高融点金属(例えば、モリブデンやタングステンなど)のいずれかを主成分とする。枠板片6aの両端近傍には凹部7aが形成され、枠板片6bの両端近傍には凹部7bが形成されている。そして、枠板6は、枠板片6a,6bの凹部7a,7bに枠板片6cの両端をそれぞれ嵌合させた状態で組み合わされて底板5の上面に設置される。なお、枠板片6a,6bの凹部7a,7bのうち一方の幅は枠板片6cの幅と略同一であるが、加工誤差や組み立て誤差を吸収するため、凹部7a,7bのうち他方の幅は枠板片6cの幅よりも若干大きくなるように形成されている。
このようにして設置された枠板片6a〜6cは互いにずれ難いため、底板5と枠板6を交互に積み重ねる作業を容易に行うことができる。すなわち、坩堝3のベース3a上に複数のセッター4を設置する際の作業性が良い。また、枠体6はこのように枠板片6a〜6cの組み合わせによって構成されているので、枠体6が変形や破損した場合には、該当する枠板片のみを交換すれば良い。従って、枠体6の保守が容易であるとともに、その製造コストを易くすることができる。さらに、長さの異なる枠体片6a〜6cを適宜組み合わせることによって、いろいろなサイズの窒化アルミニウム成形体2に適用することができる。
このようにして設置された枠板片6a〜6cは互いにずれ難いため、底板5と枠板6を交互に積み重ねる作業を容易に行うことができる。すなわち、坩堝3のベース3a上に複数のセッター4を設置する際の作業性が良い。また、枠体6はこのように枠板片6a〜6cの組み合わせによって構成されているので、枠体6が変形や破損した場合には、該当する枠板片のみを交換すれば良い。従って、枠体6の保守が容易であるとともに、その製造コストを易くすることができる。さらに、長さの異なる枠体片6a〜6cを適宜組み合わせることによって、いろいろなサイズの窒化アルミニウム成形体2に適用することができる。
なお、枠板6は、図3(a)乃至(c)に示す形状に限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すような形状であっても良い。すなわち、枠板6を一方の端部近傍に凹部7cが形成された4つの枠板片6dによって構成し、1つの枠板片6dの凹部7cに別の枠板片6dの端部を嵌合させながら順次組み合わせていき、図4(b)に示すように、窒化アルミニウム成形体2の周りを囲むような形で底板5の上面に設置するのである。なお、このときも加工誤差や組み立て誤差を吸収するため、凹部7cのうち少なくとも1つの幅を枠板片6dの幅よりも若干大きくなるように形成することが望ましい。
さらに、底板5の上面に、枠板6の位置を固定しながら底板5との隙間を生じ難くするために凹部を設けてもよい。この凹部は、枠板6の製造誤差を考慮しながらその外形に沿って形成されるようにする。このようにすることで、容易に枠板6の位置を固定でき、セッター4を複数段積み重ねる際に構造的な安定性を向上させることができると共に、焼成時の密閉性を向上させることができる。また、底面5の上面のみならず、下面にも同様の凹部を設けることによれば、セッター4の複数段の積み重ねの際に、枠板6を上下の凹部で挟むようにして固定することができるので、より構造安定性と焼成時の密閉性を向上させることができる。
さらに、底板5の上面に、枠板6の位置を固定しながら底板5との隙間を生じ難くするために凹部を設けてもよい。この凹部は、枠板6の製造誤差を考慮しながらその外形に沿って形成されるようにする。このようにすることで、容易に枠板6の位置を固定でき、セッター4を複数段積み重ねる際に構造的な安定性を向上させることができると共に、焼成時の密閉性を向上させることができる。また、底面5の上面のみならず、下面にも同様の凹部を設けることによれば、セッター4の複数段の積み重ねの際に、枠板6を上下の凹部で挟むようにして固定することができるので、より構造安定性と焼成時の密閉性を向上させることができる。
本実施例における窒化アルミニウム成形体の焼成方法は、セッター4によって窒化アルミニウム成形体2の全体を覆うとともに、このセッター4が内部に設置された坩堝3をカーボン炉内に設置して、窒化アルミニウム成形体2を焼成することを特徴とするものである。
このような方法によれば、坩堝3及びセッター4の二重構造によって窒化アルミニウム成形体2が略密閉されているため、焼成時に窒化アルミニウム成形体2がカーボン蒸気等の炉内雰囲気に直接触れることがない。また、枠体6は枠体片6a,6bの凹部7a,7bに枠体片6cの端部を嵌合させた状態で組み合わされた構造となっているため、容易にずれることがない。すなわち、セッター4は隙間が生じ難く、カーボン蒸気等の進入を確実に阻むことが可能である。従って、カーボン蒸気等が窒化アルミニウム成形体2に作用して不純物を生成するおそれがなく、窒化アルミニウムの焼結体において色むらや変形等の不具合の発生を防ぐことができる。また、焼結体の構造が緻密化されるため、熱伝導性が高まる。さらに、窒化アルミニウム成形体2を上下から挟む2枚の底板5は、焼結に伴う窒化アルミニウム成形体2の変形を抑制するように作用する。加えて、底板5が窒化物セラミックス製である場合には、窒化アルミニウム成形体2の焼成時に底板5が窒化アルミニウム成形体2の焼結助剤成分を効率良く吸収する。これにより、窒化アルミニウム成形体2の粒界に存在する余分な焼結助剤成分が外部に排出され、窒化アルミニウム焼結体の構造が一層緻密なものとなり、熱伝導性がさらに高まる。
このような方法によれば、坩堝3及びセッター4の二重構造によって窒化アルミニウム成形体2が略密閉されているため、焼成時に窒化アルミニウム成形体2がカーボン蒸気等の炉内雰囲気に直接触れることがない。また、枠体6は枠体片6a,6bの凹部7a,7bに枠体片6cの端部を嵌合させた状態で組み合わされた構造となっているため、容易にずれることがない。すなわち、セッター4は隙間が生じ難く、カーボン蒸気等の進入を確実に阻むことが可能である。従って、カーボン蒸気等が窒化アルミニウム成形体2に作用して不純物を生成するおそれがなく、窒化アルミニウムの焼結体において色むらや変形等の不具合の発生を防ぐことができる。また、焼結体の構造が緻密化されるため、熱伝導性が高まる。さらに、窒化アルミニウム成形体2を上下から挟む2枚の底板5は、焼結に伴う窒化アルミニウム成形体2の変形を抑制するように作用する。加えて、底板5が窒化物セラミックス製である場合には、窒化アルミニウム成形体2の焼成時に底板5が窒化アルミニウム成形体2の焼結助剤成分を効率良く吸収する。これにより、窒化アルミニウム成形体2の粒界に存在する余分な焼結助剤成分が外部に排出され、窒化アルミニウム焼結体の構造が一層緻密なものとなり、熱伝導性がさらに高まる。
実施例2の焼成用治具1bについて図5及び図6を用いて説明する(特に、請求項3及び請求項5に対応)。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る焼成用治具の実施例2の縦断面図であり、(b)は図5(a)のX−X線矢視断面図である。また、図6(a)及び(b)はガス吸着体の変形例を設置したセッターの平面図である。なお、図2に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の焼成用治具1bは、実施例1の焼成用治具1aにおいてガス吸着体8を備えることを特徴とする。ガス吸着体8は焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体であり、図5(a)及び(b)に示すように、坩堝3及びセッター4の内部に窒化アルミニウム成形体2と接触しないように配置されている。
焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体は、焼結が十分でなく、ポーラスな状態となっているため、カーボン蒸気等を吸着する能力に優れている。また、焼結がこれ以上進行し難いため、繰り返し使用した場合でもポーラスな状態が維持される。従って、ガス吸着能力が低下し難い。
なお、ガス吸着体8は、図5(a)及び(b)に示すような球形状に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、図6(a)及び(b)に示すように、ガス吸着体8を略短冊形状又は平板枠型形状としても良い。また、ガス吸着体8を坩堝3及びセッター4の内部に設置する代わりに、セッター4の内部のみに設置しても良いし、セッター4の内部に設置せずに坩堝3の内部のみに設置しても良い。さらに、ガス吸着体8の設置箇所も本実施例に示す場合に限定されない。すなわち、窒化アルミニウム成形体2の周りを取り囲むように設置する代わりに、窒化アルミニウム成形体2の周囲の一部に設置しても良い。また、ガス吸着体8に用いられる窒化アルミニウム焼結体は焼結助剤を含んでいないため、強度が小さく、運搬する際に破損し易いことから、例えば、窒化アルミニウム成形体2と同じ組成のものをガス吸着体8として用いることもできる。この場合には、本実施例の場合に比べてガスを吸着する能力は劣るものの、強度が大きいため、扱い易いという利点がある。
本実施例では、ガス吸着体8を底板5やベース3aにそのまま載置しているが、振動などによる窒化アルミニウム成形体2との接触を避けるため、底板5やベース3aの上にガス吸着体8を設置するための凹部又は窪みを設けてもよい。この凹部あるいは窪みの形状は、ガス吸着体8の形状に沿って設けてもよいし、いずれの形状でも載置できるようにガス吸着体8のサイズよりも大きめに設けてもよい。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る焼成用治具の実施例2の縦断面図であり、(b)は図5(a)のX−X線矢視断面図である。また、図6(a)及び(b)はガス吸着体の変形例を設置したセッターの平面図である。なお、図2に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の焼成用治具1bは、実施例1の焼成用治具1aにおいてガス吸着体8を備えることを特徴とする。ガス吸着体8は焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体であり、図5(a)及び(b)に示すように、坩堝3及びセッター4の内部に窒化アルミニウム成形体2と接触しないように配置されている。
焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体は、焼結が十分でなく、ポーラスな状態となっているため、カーボン蒸気等を吸着する能力に優れている。また、焼結がこれ以上進行し難いため、繰り返し使用した場合でもポーラスな状態が維持される。従って、ガス吸着能力が低下し難い。
なお、ガス吸着体8は、図5(a)及び(b)に示すような球形状に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、図6(a)及び(b)に示すように、ガス吸着体8を略短冊形状又は平板枠型形状としても良い。また、ガス吸着体8を坩堝3及びセッター4の内部に設置する代わりに、セッター4の内部のみに設置しても良いし、セッター4の内部に設置せずに坩堝3の内部のみに設置しても良い。さらに、ガス吸着体8の設置箇所も本実施例に示す場合に限定されない。すなわち、窒化アルミニウム成形体2の周りを取り囲むように設置する代わりに、窒化アルミニウム成形体2の周囲の一部に設置しても良い。また、ガス吸着体8に用いられる窒化アルミニウム焼結体は焼結助剤を含んでいないため、強度が小さく、運搬する際に破損し易いことから、例えば、窒化アルミニウム成形体2と同じ組成のものをガス吸着体8として用いることもできる。この場合には、本実施例の場合に比べてガスを吸着する能力は劣るものの、強度が大きいため、扱い易いという利点がある。
本実施例では、ガス吸着体8を底板5やベース3aにそのまま載置しているが、振動などによる窒化アルミニウム成形体2との接触を避けるため、底板5やベース3aの上にガス吸着体8を設置するための凹部又は窪みを設けてもよい。この凹部あるいは窪みの形状は、ガス吸着体8の形状に沿って設けてもよいし、いずれの形状でも載置できるようにガス吸着体8のサイズよりも大きめに設けてもよい。
本実施例における窒化アルミニウム成形体の焼成方法は、内部にガス吸着体8が設置された坩堝3やセッター4によりカーボン蒸気等を遮断した状態で、窒化アルミニウム成形体2を焼成することを特徴とするものである。
このような焼成方法によれば、坩堝3やセッター4の内部へのカーボン蒸気等の侵入を確実に阻止することができる。従って、実施例1の場合よりもさらに品質の高い窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能である。
このような焼成方法によれば、坩堝3やセッター4の内部へのカーボン蒸気等の侵入を確実に阻止することができる。従って、実施例1の場合よりもさらに品質の高い窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能である。
以上説明したように、請求項1乃至請求項5に記載された発明は、半導体部品以外の電子部品が実装される窒化アルミニウム製の基板に対しても適用可能である。
1a,1b…焼成用治具 2…窒化アルミニウム成形体 3…坩堝 3a…ベース 3b…蓋部 3c…開口部 3d…開口端部 3e…段差部 3f…側壁 3g…矩形板 4…セッター 5…底板 6…枠板 6a〜6d…枠板片 7a〜7c…凹部 8…ガス吸着体
Claims (5)
- 上面略中央部に窒化アルミニウム成形体が載置される略平板状の底板と、略短冊状の複数の枠板片から構成され前記底板の上面に前記窒化アルミニウム成形体を囲むように設置される枠板とからなるセッターを備え、このセッターは高融点金属又は窒化物セラミックスを主成分とし、前記枠板片の少なくとも1つに他の枠板片の端部を嵌合可能に凹部が形成されることを特徴とする窒化アルミニウム成形体の焼成用治具。
- 蓋部とベースとからなる酸化物セラミックス又は窒化物セラミックスを主成分とする坩堝を備え、この坩堝は前記セッターを内部に設置可能な中空部を有することを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具。
- 前記セッターの内部及び/又は前記坩堝の内部にガス吸着体が設置され、このガス吸着体は焼結助剤を含有しない窒化アルミニウムの焼結体からなることを特徴とする請求項2記載の窒化アルミニウム成形体の焼成用治具。
- 窒化アルミニウム成形体の全体を覆うように請求項1記載の前記セッターを設置するとともに、このセッターが内部に設置された請求項2記載の前記坩堝を焼成炉内に設置して前記窒化アルミニウム成形体を焼成することを特徴とする窒化アルミニウム成形体の焼成方法。
- 前記セッターの内部及び/又は前記坩堝の内部に請求項3記載の前記ガス吸着体を設置することを特徴とする請求項4記載の窒化アルミニウム成形体の焼成方法。
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JP2008251761A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Tdk Corp | 希土類焼結磁石の製造方法 |
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WO2017034119A1 (ko) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 한국기계연구원 | 열간 가압 소결에 의한 투광성 이트리아의 제조 방법 |
-
2006
- 2006-06-22 JP JP2006172427A patent/JP2008001558A/ja active Pending
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