JP2008000112A - 核酸増幅方法、核酸増幅用試薬、及び試薬キット - Google Patents

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Abstract

【課題】
効率よく核酸増幅反応を行うことのできる融解温度調整剤を用いた核酸増幅方法及び核酸増幅用試薬キットを提供すること。

【解決手段】
融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応溶液を用いて核酸の増幅反応を行うことを特徴とする核酸増幅方法、及び融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含むことを特徴とする核酸増幅用試薬を提供する。
さらに、融解温度調整剤としてのテトラエチルアンモニウムフロライド、増幅すべき標的領域に対応する複数のプライマー、及び相補鎖合成の基質となるdNTPsを含む第1試薬と、核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素を含む第2試薬と、を備える試薬キットを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅方法、核酸増幅用試薬、及び試薬キットに関する。
核酸増幅法では、鋳型として用いる1本鎖DNAまたはRNAとプライマーとが結合し(以下、この結合をアニーリングとする)、伸長反応を経て相補鎖が合成される。このアニーリングの条件として、反応溶液の温度や水素イオン濃度(pH)を調節し、アニーリングに好適な環境を整える必要がある。アニーリングに好適な温度条件としては、プライマーの配列から算出した融解温度(Tm)に基づいて決定することができる。
Tmは、核酸増幅反応に用いるプライマーの塩基配列によって変化し、グアニン及びシトシンの含有量が多いほどTmが高くなる。したがって、プライマーの塩基配列によりアニーリング温度が決定されるが、アニーリング温度が高過ぎるとプライマーが鋳型にアニールしにくくなり、低過ぎると非特異的にアニールしてしまう。
この問題を解消するため、融解温度調整剤を用いることが知られている。核酸増幅法を行う反応溶液に融解温度調整剤を含有させることにより、アニーリング温度に影響を受けることなく、プライマーが鋳型に特異的にアニールしやすくなり、増幅反応を効率よく行うことが可能となる。
特許文献1では、核酸増幅法に用いる融解温度調整剤の例として、ベタイン(N,N,N,−トリメチルグリシン)、プロリン、ジメチルスルホキシド、トリメチルアミンN−オキシド、及びテトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられている。具体的な融解温度調整剤の使用例としては、核酸増幅法に用いる反応溶液中にベタインを含有させている。
WO00/28082
本発明は、効率よく増幅反応を行うことのできる融解温度調整剤を用いた核酸増幅方法及び核酸増幅用試薬キットを提供することを目的とする。また本発明は、ベタインより低濃度の使用でベタインと同等の効果をもたらす融解温度調整剤を用いた核酸増幅法及び試薬キットを提供することを目的とする。
本発明は、融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応溶液を用いて核酸の増幅反応を行うことを特徴とする核酸増幅方法を提供する。
さらに本発明は、核酸の増幅反応に用いる試薬であって、融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含むことを特徴とする核酸増幅用試薬を提供する。
さらに本発明は、融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライド、増幅すべき標的領域に対応する複数のプライマー、及び相補鎖合成の基質となるdNTPsを含む第1試薬と、
核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素を含む第2試薬と、を備える試薬キットを提供する。
本発明によれば、融解温度調整剤として、核酸増幅反応の反応効率を上げることができるテトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応溶液を用いた核酸増幅方法及び試薬キットを提供することができる。
本実施形態の核酸増幅方法では、融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含む核酸増幅反応溶液(以下、反応溶液とする)を用いることができる。
反応溶液に含まれるテトラエチルアンモニウムフロライドの濃度(終濃度)としては、好ましくは5〜50mM、より好ましくは6〜40mM、さらに好ましくは8〜32mMである。
核酸増幅法としては特に限定されないが、例えばPCR法、RT−PCR法、LAMP法、RT−LAMP法等が挙げられる。本実施形態では特に、RT−LAMP法を例として詳細に説明する。RT−LAMP法は、RNAを鋳型として両端にループ構造を有するDNAを合成し、これを合成起点としてDNAを増幅する核酸増幅法である。
反応溶液は、上述したテトラエチルアンモニウムフロライドと、増幅すべき標的領域に対応する複数のプライマーと、相補鎖合成の基質となるdNTPs(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTPを含むdeoxynucleoside triphosphate)と、核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素と、を含むことが好ましい。
本実施形態におけるRT−LAMP法に用いられるプライマーの設計方法は、特許文献1に記載の通りである。具体的には、プライマー設計に必要な領域として、増幅を目的とする遺伝子のmRNAの5’末端側から順にF3、F2、F1、R1、R2、R3という領域を設定する。F3に相補的な領域をF3c、F2に相補的な領域をF2c、F1に相補的な領域をF1c、R3に相補的な領域をR3c、R2に相補的な領域をR2c、R1に相補的な領域をR1c、とする。この6つの領域に基づいて、4種のプライマー(FIP(forward inner primer)、RIP(reverse inner primer)、F3P(forward outer primer)、及びR3P(reverse outer primer))を設計することができる。また、上述した4種のプライマーとともに、ループプライマー(LPF、及び/またはLPR)を用いることにより、合成起点を増やすことができ、目的の核酸をより迅速に増幅することができる(WO02/24902)。
核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素は、逆転写酵素、及びDNAポリメラーゼ等を用いることができる。逆転写酵素としては例えば、鳥骨芽球症ウイルス(Avian Myeloblastosis Virus)由来のAMV Reverse Transcriptase等が挙げられる。DNAポリメラーゼとしては例えば、バシラス・ステロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来のBst DNA Polymerase Large Fragment等が挙げられる。または、バシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)由来のBca DNA Polymeraseのような逆転写活性とDNAポリメラーゼ活性の両方を有する酵素等を用いてもよい。
反応溶液には、反応溶液のpHを好適な範囲に調整することができる緩衝剤、酵素の触媒活性を維持することができる塩類、タンパク質や核酸が反応容器に吸着することを防いだり、酵素を保護したりする役割を果たす、非イオン性界面活性剤やウシ血清アルブミン等を添加してもよい。
緩衝剤としては、pHを好ましくは4.0〜9.0、より好ましくは4.5〜8.5、さらに好ましくは5.0〜8.0に調整できるものであれば特に限定されない。例えば、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、またはトリシン(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)等が挙げられる。
塩類としては例えば、(NH42SO4、KCl、HCl、NaCl等を用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を用いることができる。具体的には、ノニデットP−40(NP−40、Shell International Petroleum Company Limitedの登録商標)、Triton−X(Union Carbide Chemicals and Plastics Inc.の登録商標)、TWEEN(ICI Americas Inc.の登録商標)、Brij(ICI Americas Inc.の登録商標)等が挙げられる。
これらの成分は、反応溶液を増幅反応に好適な条件に調整するために適宜選択して用いることができる。
実際に増幅反応を行う際、相補鎖合成の鋳型となるポリヌクレオチドを含む、または含む可能性のある溶液(以下、テンプレート溶液とする)を用いる。テンプレート溶液は、例えば生体試料に含まれるmRNAを検出する場合、生体試料からmRNAを抽出、精製し、テンプレート溶液として用いることができる。生体試料としては例えば、組織、喀痰、尿、生検材料、体腔液、または体腔洗浄液等が挙げられる。
本実施形態に係る試薬キットは、テトラエチルアンモニウムフロライド、増幅すべき標的領域に対応する複数のプライマー、及び相補鎖合成の基質となるdNTPsを含む第1試薬と、核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素を含む第2試薬と、を備えることが好ましい。必要に応じて、前述した緩衝剤等の成分を第1試薬に含有させてもよい。
増幅反応の結果の測定法としては、以下の方法が挙げられる。例えばRT−LAMP法では、増幅反応の過程で副産物として生成するピロリン酸マグネシウムの量が多いため、白濁が生じる。そこでこの反応液の濁りを目視により確認する、あるいは、反応液の散乱光強度や、透過光と散乱光の強度比から濁度を測定することにより、増幅反応の結果を測定することができる。
また、核酸増幅法で合成されたDNA鎖は、その大部分が二本鎖となっているため、この特徴を利用して、増幅反応の結果を測定することが可能である。エチジウムブロマイド、SYBR Green I、あるいはPico Greenのような蛍光色素の存在下で核酸増幅を実施すれば、増幅産物の増加に伴って蛍光強度の増大が観察される。これをリアルタイムでモニターすれば、閉鎖系でDNAの増幅と蛍光の増加が同時に追跡可能である。
以下、本発明の融解温度調整剤を用いた核酸増幅法について、実施例に基づき、より具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
テトラエチルアンモニウムフロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ジメチルウレア、またはテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムを含有させた反応溶液を用いてRT−LAMP法を行い、融解温度調整剤としての効果を調べた。なお、増幅目的の核酸はサイトケラチン19(以下、CK19とする)とした。用いたCK19プライマーの配列を以下に示す。
FIP:GGAGTTCTCAATGGTGGCACCAACTACTACACGACCATCCAGG(配列番号1)
RIP:GTCCTGCAGATCGACAACGCCTCCGTCTCAAACTTGGTTCG(配列番号2)
F3P:TGGTACCAGAAGCAGGGG(配列番号3)
R3P:GTTGATGTCGGCCTCCACG(配列番号4)
LPF:AGAATCTTGTCCCGCAGG(配列番号5)
LPR:CGTCTGGCTGCAGATGA(配列番号6)
1)反応溶液の調製
まず、以下の方法でテンプレートとして用いるCK19mRNA溶液を調製した。CK19mRNAの塩基配列(配列番号7)の155〜1114番目の配列を組み込んだプラスミドベクター(pBluescript II(ストラタジーン社))を大腸菌にトランスフォームして大腸菌を培養した。培養した大腸菌からCK19mRNAに対応するcDNA(以下、CK19cDNAとする)を抽出し、Riboprobe in vitro transcription system(プロメガ社)を用いて、CK19mRNAと実質的に同一の配列を有するCK19RNAを合成した。このCK19RNAのコピー数が、1μlあたり1×107となるよう、50ng/mL yeast RNA(アンビオン社)を用いて調製し、CK19RNA溶液とした。
RT−LAMP反応に必要な以下の試薬類を含む反応溶液(融解温度調整剤を含まない)を調製した。
<バッファー類>
0.75M Tris(pH8.0)(ニッポンジーン社) 1.00μl
10×サーモポルリアクションバッファー(ニューイングランド社)※ 2.50μl
10mM dNTP溶液(インビトロジェン社) 2.00μl
100mM MgSO4溶液(ナカライテスク) 0.75μl
100mM DTT溶液(シグマ社) 1.25μl
2% タージトール(シグマ社) 2.50μl
200mM Tris−HCl、100mM KCl、100mM(NH42SO4、20mM MgSO4
1% Triton X−100を含む。
<酵素類>
AMV逆転写酵素(プロメガ社) 0.14μl
Bst DNAポリメラーゼ ラージフラグメント(ニューイングランド社) 2.27μl
RnasinプラスRnaseインヒビター(プロメガ社) 0.63μl
<テンプレート溶液>
CK19RNA溶液 1.00μl
<プライマー溶液>
CK19FIP溶液(80pmol/ml) 1.00μl
CK19RIP溶液(80pmol/ml) 1.00μl
CK19F3P溶液(5pmol/ml) 1.00μl
CK19R3P溶液(5pmol/ml) 1.00μl
CK19LPF溶液(60pmol/ml) 1.00μl
CK19LPR溶液(60pmol/ml) 1.00μl
融解温度調整剤として、以下の化合物をそれぞれの濃度で含有させ、最終的な反応溶液とした。
テトラエチルアンモニウムフロライド 1.28mM、12.8mM、または128mM
テトラエチルアンモニウムクロライド 6.4mM、64.0mM、または640mM
ジメチルウレア 6.4mM、64.0mM、または640mM
テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム 1.28mM、12.8mM、または128mM
2)RT−LAMP反応
上記化合物を含有した反応溶液を、リアルタイム濁度測定装置LA−200(テラメックス社)を用いて65℃で30分加温した。
3)検出時間の測定
RT−LAMP反応を行った反応溶液(以下、反応液とする)の濁度が0.1に達する時間(検出時間)をリアルタイムで測定した。測定には、2)と同様、LA−200(テラメックス社)を用いた。
4)結果
実施例1の結果を表1に示す。
Figure 2008000112
表1において、AVGは3回測定した検出時間の平均値(分)を表す。ND(not detected)は、20分以内にDNAの増幅が確認されなかったことを示す。SD(standard deviation)は標準偏差、CV(coefficient of varidation)は変動係数を示す。変動係数とは、検出時間の測定を繰り返し行った場合の相対的な散らばりを表す指標であり、AVGとSDから算出される。
測定の結果、テトラエチルアンモニウムフロライドを含まない反応液ではAVGが11.2分、1.28mM含む反応液ではAVGが12.7分、12.8mM含む反応液ではAVGが10.3分、128mM含む反応液ではNDであった。この結果より、テトラエチルアンモニウムフロライドを含まない反応液より、12.8mM含む反応液の方が、AVGが短縮されたことがわかった。
テトラメチルアンモニウムクロライドを含まない反応液ではAVGが12.0分、6.4mM含む反応液ではAVGが12.1分、64.0mM含む反応液及び640mM含む反応液ではNDであった。この結果より、テトラメチルアンモニウムクロライドを含まない反応液と、6.4mM含む反応液とでは、結果にほとんど差が現れないことがわかった。
ジメチルウレアを含まない反応液ではAVGが11.7分、6.4mM含む反応液ではAVGが12.0分、64.0mM含む反応液ではAVGが11.3分、640mM含む反応液ではNDであった。この結果より、ジメチルウレアを含まない反応液より、64.0mM含む反応液の方が、AVGが短縮されたことがわかった。しかし、テトラエチルアンモニウムフロライドを12.8mM含む反応液のAVGの方が、10.3分と短かった。
テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムを含まない反応液はAVGが11.7分、1.28mM含む反応液ではAVGが11.7分、12.8mM含む反応液でもAVGが11.7分、128mM含む反応液ではNDであった。この結果より、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムを含まない反応液と、1.28mM含む反応液、及び12.8mM含む反応液とでは、結果にほとんど差が現れないことがわかった。
以上の結果より、テトラエチルアンモニウムフロライドは、テトラエチルアンモニウムクロライド、ジメチルウレア、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム等の類似した構造を有する化合物と比較して、融解温度調整剤としての高い効果を有することがわかった。また、テトラエチルアンモニウムフロライドの反応液に対する好適な濃度は、12.8mM前後であることがわかった。
(実施例2)
実施例1で得られた結果に基づいて、テトラエチルアンモニウムフロライドの反応溶液に対する好適な濃度をさらに検討した。実施例1と同じ組成の反応溶液(融解温度調整剤を含まない)に、テトラエチルアンモニウムフロライドを1mM 、2mM、4mM、8mM、16mM、32mM、64mM、128mM、及び640mMの濃度で含有させ、最終的な反応溶液とした。それぞれの反応溶液を用いて実施例1と同様にRT−LAMP反応を行い、検出時間をリアルタイムで3回測定した。
実施例2の結果を表2に示す。
Figure 2008000112
測定の結果、濃度が4mMの反応液のAVGが12.2分であるのに対し、濃度が8mMの反応液のAVGは10.5分と、2分近くの短縮が見られた。濃度が32mMの反応液はAVGが10.3分であるのに対し、濃度が64mMの反応液はDNAの増幅が確認できなかった。以上の結果より、テトラエチルアンモニウムフロライドの反応液に対する濃度は、5〜50mMが好ましく、6〜40mMがより好ましく、8〜32mMがさらに好ましいことがわかった。また、濃度が16mMの反応液のAVGは9.8分と、この実験で最も短い検出時間を示した。したがって、反応溶液に含有させる好適な濃度は16mM前後であることがわかった。
(実施例3)
さまざまな濃度のCK19RNA溶液をテンプレートとして含有する実施例1と同様の組成の反応溶液(融解温度調整剤を含まない)を用いて測定を行い、融解温度調整剤の効果を確認した。CK19RNA溶液の濃度については、1μlあたりに含まれるCK19RNAのコピー数を、4.3×107、7.0×105、5900、590、295、148、及び0とした。これらの反応溶液に、濃度16mMのテトラエチルアンモニウムフロライド、または濃度640mMのベタインを含有させたものと、ネガティブコントロールとしてCK19RNAを含有させないものとを調製し、最終的な反応溶液とした。それぞれの反応溶液を用いて実施例1と同様にRT−LAMP反応を行い、検出時間をリアルタイムで3回測定した。
実施例3の結果を表3に示す。
Figure 2008000112
測定の結果、融解温度調整剤を含まない反応液は、テトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応液、及びベタインを含む反応液と比較してAVGが短いが、CK19RNAのコピー数が295の反応ではDNAの増幅が確認できなかった。一方、テトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応液、及びベタインを含む反応液では、CK19RNAのコピー数が295の測定でも、コピー数が148の測定でも、DNAの増幅を確認することができた。これらの結果より、融解温度調整剤を含まない反応液より、融解温度調整剤を含む反応液の方が、少ないコピー数のRNAを検出できることがわかった。
また、CK19RNAのコピー数が295の測定では、テトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応液のAVGが12.5分、ベタインを含む反応液のAVGが13.2分、コピー数が148の測定では、テトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応液のAVGが14.9分、ベタインを含む反応液のAVGが13.9分と、両者に若干の差異はあるものの、融解温度調整剤としてほぼ同等の効果を発揮することがわかった。

Claims (6)

  1. 融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含む反応溶液を用いて核酸の増幅反応を行うことを特徴とする核酸増幅方法。
  2. 前記反応溶液が前記テトラエチルアンモニウムフロライドを5〜50mMの濃度で含むことを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅方法。
  3. 前記反応溶液が、
    前記テトラエチルアンモニウムフロライドと、
    増幅すべき核酸の標的領域に対応する複数のプライマーと、
    相補鎖合成の基質となるdNTPsと、
    核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の核酸増幅方法。
  4. LAMP法により核酸の増幅反応を行う請求項1〜3のいずれかに記載の核酸増幅方法。
  5. 核酸の増幅反応に用いる試薬であって、融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライドを含むことを特徴とする核酸増幅用試薬。
  6. 融解温度調整剤としてテトラエチルアンモニウムフロライド、増幅すべき標的領域に対応する複数のプライマー、及び相補鎖合成の基質となるdNTPsを含む第1試薬と、
    核酸を増幅するための酵素活性を有する酵素を含む第2試薬と、を備える試薬キット。














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