JP2007537990A - 抗体の機能活性を改善するための金属陽イオンの使用 - Google Patents

抗体の機能活性を改善するための金属陽イオンの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗体の機能活性を改善するための金属陽イオン、特に亜鉛の使用に関する。より詳しくは、本発明は金属陽イオンを含有する抗体を含む薬剤組成物に関する。

Description

本発明は、抗体の機能活性を改善するための、金属陽イオン、特に2価または3価陽イオン、中でも亜鉛、銅、カドミウムまたは鉄の使用に関する。より詳しくは、本発明の主題は、2価または3価の金属陽イオンを含む薬剤抗体組成物である。
広く使用されている受動免疫は、細胞または所定の物質に対する抗体、例えばモノクローナル抗体を投与することに基づく。モノクローナル抗体を用いる受動免疫治療は有望な結果を与えてきた。しかし、モノクローナル抗体の使用は、感染性の汚染がないなどの製品の確かな安全性のようないくつかの利点があるものの、他方では有効なモノクローナル抗体を得ることが困難であると判明するかもしれない。
モノクローナル抗体を開発しても、有効性がほとんどなく、副作用が臨床治療での使用と相いれないことが見出されるというリスクが存在する。これらの2つの面は、活性の低い抗体がその低い活性を相殺し、治療応答を達成するために高用量で投与されることを考えると密接に関連する。高用量の投与は副作用を生じるだけでなく、経済的にもほとんど有利ではない。
これらはキメラ、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体の工業的開発の主要な問題点である。例えば、Protein Designs Labsは、陽性のクラスII MHC細胞がん、特にBおよびTリンパ性白血病の治療に使用される可能性のある抗-HLA-DR 抗体であるRemitogen TMのI/II相臨床試験を中止した。
従って、本発明の目的の1つは、抗体の工業的開発において遭遇する欠点、即ち、その低い効果と高コストを解決するための新規な製品と方法を提供することである。
現在の研究は、抗体の機能特性を改善するための免疫グロブリン (Ig) のFc領域に集中している。より長い期間にわたり、これは、より効果的にエフェクター細胞 (単球/マクロファージ、Bリンパ球、NKおよび樹状細胞) の受容体と結合し活性化する抗体を得られるようにするはずであった。IgG のFc領域はCH2 およびCH3 と称される2つの球状のドメインからなる。2つの重鎖はCH3 ドメインで緊密に相互作用し、CH2 ドメインではAsn 297 (Kabat番号付与) に結合したオリゴ糖が2つの鎖のそれぞれに存在して2つのCH2 ドメイン間の間隔をあけることに寄与している。また、1つの同じ鎖のCH2 およびCH3 ドメインは、2つのドメイン間の中間面を規定する可撓性領域により分かれている。
CH2-CH3 ドメイン間の中間面は、以下のように多数の (糖) タンパク質の共通の固定化部位としてこれまで報告されてきた:FcRn、リウマチ因子 (Corper 等, 1997) およびいくつかの細菌性およびウイルスタンパク質、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス (Staphylococcus aureus)のプロテインA (Deisenhofer, 1981)、ストレプトコッカス (Streptococcus) GグループのプロテインG (Sauer-Eriksson等, 1995) 、単純ヘルペスウイルス1型のgE-gI 複合体 (Chapman 等, 1999) およびC型肝炎ウイルスの「コア」タンパク質 (Maillard等, 2004) 。
また、CH2 ドメインまたはCH3 ドメインのこの中間面に位置するアミノ酸の数残基がFcRn、プロテインAなどへの固定化に関与することが示された。従って、ヒスチジン 435残基 (HIs 435, Kabat番号付与) で変異したヒトIgG I は、FcRnおよびプロテインAの固定化能を失うが、FcγRIIIを固定する能力は維持する (Firan 等, 2001;Shields 等,2001)。
他方、ヒトまたはマウスIgG のCH2-CH3 中間面の変化を指摘する研究はいずれも、IgG 分子のこの部分の構造とFcγR 受容体 (FcγRI、FcγRII 、FcγRIII) を介したこれらのIgG のエフェクター能との間の関係を示していない。
本発明において、我々は、各種機能活性、特にADCC活性およびサイトカインの誘導産生を有する各種モノクローナル抗体のFc領域の三次元構造を決定した。FcRn受容体による抗体のFc領域の認識およびスタフィロコッカス・アウレウスの細胞壁由来のプロテインAの固定に関与する、CH2 およびCH3 ドメイン間に位置する、より正確にはCH2 -CH3ドメインの中間面に位置する残基に結合した亜鉛イオンの存在を見出した。
CH2 およびCH3 ドメインの中間面に位置することにより、この亜鉛原子はFcの全体的構造に重要な役割を果たし、それによりFcのFcγR 受容体との結合の改善を可能にする。
これらの抗体のFc領域の三次元構造に関する我々の検討は、結晶化溶液中の亜鉛、銅、カドミウムまたは鉄などの金属陽イオンの存在がIgG のFc領域のいわゆるオープン構造 (open conformation) (Radaev等, 2001) と常に関連していることを明らかにした。このオープン構造はFcγR 受容体、特にFcγRIII受容体への固定を促進する。従って、金属陽イオンの使用によりモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の機能活性を強化することができる。これに対し、亜鉛、銅、カドミウムまたは鉄などの金属陽イオンの抗体への固定が、ペプチド配列の変異体または適宜化学物質の使用により、特にCH2-CH3 中間面で損なわれると、これは機能特性が欠如するか大きく低下した抗体を生じることになる。
従って、本発明は、抗体の機能活性を改善する金属陽イオンの使用により、現在利用可能なまたは開発中のモノクローナル抗体の低い効果に関連する問題を解決するための一般的、経済的な解決法を提供する。この目的のために、我々は、金属陽イオンによる抗体の機能活性を強化する方法を提供する。最後に、金属陽イオンへの結合部位の改変により、本発明は、FcγRIII受容体の活性化能の低いIgG1クラスの抗体、および金属陽イオンのための固体化部位を人工的に有するIgG 3クラスの抗体も提供する。
従って、本発明の第1の主題は、抗体の機能活性を改善するための2価または3価の金属陽イオンの使用である。
抗体のFc領域についての我々の三次元的検討により、亜鉛、鉄、銅またはカドミウムなどの金属陽イオンの存在は、IgG のFc領域のいわゆるオープン構造と常に関連していることが明らかになった。このオープン構造は、FcγR 受容体、特にFcγRIII受容体への抗体の固定 (結合) を促進する。従って、前記金属陽イオンによってモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の機能活性を強化することでできる。
好ましくは、使用される陽イオンは亜鉛である。我々の分析により、ヒスチジン310 およびヒスチジン435 残基に結合している亜鉛イオンの存在を実証することができた (本願において、使用する番号付与はKabat 番号付与である、Kabat データベース http://immuno.bme.nwu.edu) 。
Fc領域に位置することにより、この亜鉛原子はFc領域の全体構造において重要な役割を果たし、それによりFc領域のその受容体への改善された結合を可能にする。
従って、有利には、これらの陽イオンはこの安定化に貢献するように抗体のFc領域と相互させるのに使用される。
より詳しくは、それらは抗体のFc領域のオープニング(opening)の制御に関与し、それにより抗体のいわゆる「オープン」構造の維持を促進する、即ち、CH2 ドメイン間にある一定の距離を保ちFc領域のその受容体への固定を促進するのに使用される。金属陽イオンの存在は、金属陽イオンがその部位に維持されなくてもFc領域のオープニングを誘導しうる。
従って、有利には、これらの金属イオンはFcγR 受容体、特にFcγRIII受容体への抗体の固定を促進する。
さらに、本発明の別の特徴によれば、金属陽イオンは、ヒスチジン268 およびヒスチジン285 残基 (Kabat 番号付与) を含む第2の固定化部位を介していくつかの抗体Fc領域を一緒に集めることを促進でき、FcγR 、より詳しくはFcγRIIIの活性化、およびこれらの受容体を介したシグナリング付与後すぐの変換を容易にする。
「機能活性」とは、ADCC活性 (抗体依存性細胞障害、Antibody-Dependent Cell-mediated Cytotoxicity)、CDC活性 (補体依存性細胞障害、Complement Dependent Cytotoxicity)、食作用活性、エンドサイトーシス活性またはサイトカイン分泌の誘導を意味するが、これらに限定されない。従って、本発明に記載したような金属陽イオンの使用により、機能活性を少なくとも50%、好ましくは60%または70%、80%、100 %、好ましくは200 %または300 %改善することができる。
「受容体」とは、単球、マクロファージ、BおよびTリンパ球、NK細胞および樹状細胞などの免疫系細胞上に存在するFcγRIIIなどのFcγR 分子だけでなく、FcRn、Clq などの補体分子、およびプロテインAなどの細胞壁の分子も意味する。
「抗体」は任意のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を意味する。抗体がモノクローナル抗体である場合、キメラ、ヒト化またはヒト抗体であってよい。有利には、この抗体はIgG 、例えば、特にヒトのIgG1またはIgG3である。さらに、抗体なる用語は、Fc領域 (例、ヒトの) およびもう1つの抗体断片、抗体ドメインまたは抗体誘導体を含む任意の糖タンパク質を含む。「抗体ドメイン」とは、ドメインVL, CL, VH, CH1, CH2, CH3, CH4のうちの任意のものを意味する。「抗体断片」は、断片Fv, scFv, Fab, Fab', F(ab')2の中から選択される抗原の完全な固定部位を含む任意の断片を意味し、「抗体誘導体」とは、1または2以上のアミノ酸残基の1または2以上の突然変異、置換、欠失、および/または付加を含みうる任意の抗体、およびマルチ特異的および多価抗体を意味する。
「2価または3価金属陽イオン」または「金属陽イオン」は、酸化状態が+2、+3の任意の金属陽イオン、より詳しくは亜鉛、鉄、銅、カドミウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ガリウム、ガドリニウム、セレン、金、白金、パラジウムまたは類似物を意味する。好ましくは、これらの金属陽イオンは亜鉛、鉄、銅、およびカドミウムであり、特に有利には亜鉛である。「類似物」とは抗体のFc領域で、より詳しくはおそらくこの固定化に関与しているHis 310, His 435, Asn 434 および His 433残基 (Kabat 番号付与) に結合しうる、遊離または結合したイオンである。
本発明の第2の主題は、Fc領域を介して抗体の機能活性を強化する方法であり、この方法は、抗体を産生する生物学的系または精製前および/もしくは後の抗体を含む溶液、または保存溶液、または抗体の注射可能な溶液の形態の最終処方物に少なくとも1種の金属陽イオンの適宜量を添加することからなる工程を含む。
有利にはこれらの金属陽イオンは亜鉛、鉄、銅またはカドミウムである。
「生物学的系」とは、細胞株、非ヒトトランスジェニック動物または植物を意味する。細胞の中で、選択された細胞は、上記抗体をコードする遺伝子を含むベクターでトランスフェクトされた細胞株、例えば真核もしくは原核細胞、特に哺乳動物、昆虫、植物、細菌または酵母の細胞由来であってよい。より具体的には、YB 2/0などのラット骨髄腫細胞を使用できる。
CHO 細胞、特にCHO-K, CHO-Lec10, CHO-Lec1, CHO Pro-5, CHO dhfr-、またはWil-2, Jurkat, Vero, Molt-4, COS-7, 293-HEK, K6H6, NSO, SP2/0-Ag 14 および P3X63Ag8.653 の中からのその他の細胞株、PERC6 またはBHK を使用することも可能である。
好ましくは、少なくとも抗体のモル濃度と等しいモル濃度の亜鉛を添加する。
場合により、亜鉛を抗体のモル濃度の少なくとも2倍、好ましくは3倍または4倍のモル濃度で添加する。
あるいは、抗体の機能活性を少なくとも25%、好ましくは50%、60%、70%、80%、100 %、好ましくは200 %もしくは300 %改善するためのモル濃度の金属陽イオンを添加する。有利には、金属陽イオンは種々の形態で存在する。本発明の1つの特定の特徴では、亜鉛イオンが酢酸亜鉛、臭化亜鉛、亜鉛の塩酸塩、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ヒドロキシ炭酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、L-乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛または硫酸亜鉛の形態でありうる。
本発明の別の主題は、分子工学により作製されたFc領域上にHis 310 およびHis 435 残基を含む、金属陽イオンの固定化部位を有するIgG3クラス抗体、より詳しくはG3m(b)およびG3m(g)アロタイプに関する。
本発明において、我々は、金属陽イオンがHis 310 およびHis 435 残基を含む部位でIgG1クラス抗体に固定 (結合) することを実証した (His 433 およびAsn 434 残基も多分この固定に関与する) 。しかし、G3m(b)またはG3m(g)アロタイプのIgG3クラス抗体は天然の状態ではこの固定化部位を含まない。それらは435 位にアルギニン残基 (Arg)を有する。従って、本発明において我々は、指定された突然変異誘発により、Arg 435 残基に変えてHis 435 残基を含む固定化部位の作製を介して非改変抗体に対して改善された金属陽イオン固定化を有するIgG3クラス抗体を作製する。
従って、これらのIgG3抗体は、His 310 およびHis 435 残基を含む、有利にはAsn 434 および/またはHis 433 残基をも含む、金属陽イオン、特に亜鉛、鉄、銅、カドミウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ガリウム、セレン、金、白金またはパラジウムのための固定化部位を含む。有利には、これらのヒスチジン残基の少なくとも1つが、システイン、アスパラギン酸およびグルタミン酸の中から選ばれる少なくとも1つの残基で置換されている。後者のこれらの残基もまた、前記金属陽イオンを固定化する能力を有する。好ましくは、金属陽イオンは亜鉛、鉄、銅、またはカドミウムであり、より好ましくは亜鉛である。
本発明の1つの特定の特徴によれば、抗体はFc領域の1または2以上の残基に結合した金属陽イオン、より詳しくは亜鉛原子を有する。特に有利には、このIgG3抗体は、FcγRIIIへの固定化能 (結合能) および天然の (本来の) 抗体に対して改善された機能活性を有する。
従って、本発明の1つの主題は、新生児溶血性疾患、ウイルス性、細菌性または寄生虫性疾患、バイオテロに関して特に危険であるとして挙げられている (疾患管理センター (CDC)の分類) 、特に以下の病原因子もしくは誘導毒素に関連する疾患などの疾患を治療するための医薬品を調製するための、上記金属陽イオンのための固定化部位を有するIgG3抗体の使用である:炭疽病 (バチルス・アンスラシス) 、ボツリヌス中毒 (クロストリジウム・ボツリヌム) 、ペスト (エルシニア・ペスティス) 、天然痘 (バリオラ・マジョル) 、ツラレミア (フランシセラ・ツラレンシス) 、ウイルス性出血熱 (フィロウイルス関連:エボラ、マーブルグ、およびアレナウイルス関連−ラッサ、マチュポ) 、クロストリジウム・ペルフリンゲンのイプシロン毒素、ブルセラ病 (ブルセラ種) 、メリオイドーシス (ブルクホルデリア・マレイ) 、トウゴマの実の毒素 (トウゴマ、リシヌス・コミュニス) 。
本発明の別の主題は、2価または3価の陽イオンおよび少なくとも1種の賦形剤を含む治療用抗体の薬剤組成物である。好ましくは、これらの金属陽イオンは亜鉛、鉄、銅もしくはカドミウム、またはこれらの複数の混合物である。特に有利には、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、亜鉛の塩酸塩、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ヒドロキシ炭酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、L-乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛または硫酸亜鉛の形態でありうる亜鉛が選択される。
ある特定の特徴によれば、組成物中に含まれる抗体は、His 310 およびHis 435 残基に結合した本発明による金属陽イオンを有し、His 433 およびAsn 434 残基も多分この固定化に関与する。
本発明の別の特定の特徴によれば、薬剤組成物の抗体は上記の分子工学により作製されるIgG3クラス抗体である。本発明の別の好ましい面によれば、それらはヒトIgG であるか、ヒトFc領域を有する。
従って、組成物中の前記金属陽イオンの存在は、含有される治療用抗体をその受容体、特にFcγRIII受容体への固定化を改善し、それにより組成物は改善された治療活性を有する。
本発明の別の主題は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、さらには99%の抗体がFc領域に存在するある部位に結合した2価または3価の金属陽イオン、特に亜鉛を有する薬剤組成物である。これは好ましくは、アミノ酸His 310 およびHis 435 を含む固定化部位であり、アミノ酸Asn 434 および/またはHis 433 もおそらく固定化に関与する。本発明の別の特徴によれば、これはアミノ酸His 268 およびHis 285 を含む固定化部位であってもよい。別の特徴によれば、この2つの部位は本発明に記載したような金属陽イオンで占められていてもよい。
金属陽イオンは好ましくは、上記したものの1つであり、特に亜鉛、鉄、銅もしくはカドミウム、またはこれらの複数の混合物であり、場合により上述の形態であってよい。
本発明の別の主題は、1または2以上のモノクローナル抗体と適宜量の2価または3価の金属陽イオン、特に、少なくとも抗体のモル濃度と等しいモル濃度の亜鉛イオンを含む溶液であり、この溶液は静脈内、皮下または筋肉内経路での注射に適合したものである。
金属陽イオンは任意の2価または3価の金属陽イオン、特に亜鉛、鉄、銅、カドミウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ガリウム、セレン、金、白金もしくはパラジウムまたはそれらの類似物でありうる。好ましくは陽イオンは、亜鉛イオン、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、亜鉛の塩酸塩、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ヒドロキシ炭酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、L-乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛または硫酸亜鉛である。
本発明の別の主題は、治療用抗体、特にモノクローナルIgG の結晶化を改善するための亜鉛イオンの使用であり、亜鉛イオンは抗体のFc領域を安定化する。2価陽イオン、特に亜鉛の添加は、構造の検討に必要な結晶の獲得を容易にする結晶の接触を促進することによりIgG のFc領域の溶解度を著しく向上させる。
本発明の1つの目的は、抗体の効力を評価するための試験法を提供することであり、この試験法は、3D立体構造、特に図1または2に示すFc領域のHis 310 、His 435 、His 433 および/またはAsn 434 残基を含むドメインの検討、またはこの抗体の亜鉛含有量の分析を含む。亜鉛の存在は抗体の効力の指標である。
本発明の別の主題は、His 310 およびHis 435 残基の少なくとも1つの改変を有する抗体に関する。
ある特定の特徴によれば、抗体の改変は突然変異、特に2価または3価金属陽イオンに対して低い親和性を有するアミノ酸での置換である。例えば、His 310 および/またはHis 435 残基が、リジン、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、セリンまたはトレオニン残基で置換できる。
特に有利には、His 310 およびHis 435 残基の両方がリジン残基で置換される。
これらの突然変異体は、「天然の」状態、即ち変異していない状態では、His 310 およびHis 435 残基を含む金属陽イオンのための固定化部位を有する任意の抗体から製造できる。それは特に IgG1 、IgG3、G3m(s)またはG3m(st) アロタイプ、IgG2またはIgG4でありうる。
これらの変異体はFcγRIIIを活性化する能力が著しく低下している。
第2の態様では、改変は、ヒスチジンを修飾する試薬であるDEPC (ピロ炭酸ジエチル) を用いて行うことができる。
有利には、これらの抗体はIgG1であるか、いずれにしても「天然の」状態では、即ち変異していない状態では、His 310 およびHis 435 残基を含む金属陽イオンのための固定化部位を有する抗体である。
これらの抗体は同種の変異していない抗体に対して低下した機能活性を有する。しかし、それらは抗原およびFcγRIIIを固定化する能力を維持している。
従って、本発明は、IgG4に代わるか、または移植片拒絶を防止するために特に治療上興味ある、低いADCC活性を有する抗体を提供する。本発明の二重変異抗体もまた、抗破傷風、抗ジフテリア抗体、またはバイオテロの場合に特に危険であるとして挙げられている (疾患管理センター (CDC)の分類) 、特に以下の病原因子または誘導毒素に対する抗体として使用できる:炭疽病 (バチルス・アンスラシス) 、ボツリヌス中毒 (クロストリジウム・ボツリヌム) 、ペスト (エルシニア・ペスティス) 、天然痘 (バリオラ・マジョル) 、ツラレミア (フランシセラ・ツラレンシス) 、ウイルス性出血熱 (フィロウイルス関連:エボラ、マーブルグ、およびアレナウイルス関連−ラッサ、マチュポ) 、クロストリジウム・ペルフリンゲンのイプシロン毒素、ブルセラ病 (ブルセラ種) 、メリオイドーシス (ブルクホルデリア・マレイ) 、トウゴマの実の毒素 (リシヌス・コミュニス) 。
従って、本発明の別の主題は、上記ように改変され、そのため低い機能活性を有する抗体を、移植片拒絶の防止、または破傷風、ジフテリア、もしくはバイオテロの場合に特に危険であるとして挙げられている (疾患管理センター (CDC)の分類) 、特に以下の病原因子または誘導毒素により生じる疾患の中から選択される疾患の治療用の医薬品の製造のために使用することに関する:炭疽病 (バチルス・アンスラシス) 、ボツリヌス中毒 (クロストリジウム・ボツリヌム) 、ペスト (エルシニア・ペスティス) 、天然痘 (バリオラ・マジョル) 、ツラレミア (フランシセラ・ツラレンシス) 、ウイルス性出血熱 (フィロウイルス関連:エボラ、マーブルグ、およびアレナウイルス関連−ラッサ、マチュポ) 、クロストリジウム・ペルフリンゲンのイプシロン毒素、ブルセラ病 (ブルセラ種) 、メリオイドーシス (ブルクホルデリア・マレイ) 、トウゴマの実の毒素 (トウゴマ、リシヌス・コミュニス) 。
最後に、上記のように機能活性が損なわれた抗体はまた、IgG4に代わるための医薬品の製造に使用される。
例えば、本発明に記載した抗体、特に金属陽イオンにより機能活性が改善された抗体、または機能活性が損なわれた改変抗体、または本発明の組成物または溶液は、抗-Ep-Cam,抗-KIR3DL2, 抗-EGFR,抗-VEGFR, 抗-HER1,抗-HER2,抗-GD,抗-GD2, 抗-GD3, 抗-CD20,抗-CD23,抗-CD25,抗-CD30,抗-CD33,抗-CD38,抗-CD44,抗-CD52,抗-CA125, 抗−プロテインC, 抗-HLA-DR,抗ウイルス薬:HBV, HCV, HIV および RSVの中から、より詳しくは以下の表1の抗体の中から選択できる。
(表1)
抗体の名称 会社 標的 適用
および商品名 Edrecolomab Centocor 抗-Ep-CAM 結腸直腸がん
PANOREX
Rituximab Idec 抗CD20 B細胞リンパ腫
RITUXAN Genentech/ 血小板減少症
Hoffman La Roche 紫斑病
にライセンス
Trasttuzumab Genentech 抗HER2 卵巣がん
HERCEPTIN Hoffmfan La Roche/
Immunogen にライセンス
Palivizumab Medimmune RSV
SYNAGIS Abottoにライセンス
Alemtuzumab BTG 抗CD52 白血病
CAMPATH Scheringにライセンス
Ibritumomab IDEC 抗CD20 NHL
Tiuxetan Scheringにライセンス
ZEVALIN
Cetuximab Merck/BMS/ 抗EGFR がん
IMC-C225 Imclone
Bevacizumab Genentech/ 抗VEGFR がん
AVASTIN Hoffnan La Roche
Epratuzumab Immunmedics/ 抗CD22 がん:
Amgen 非ホジキンリンパ腫

Hu M195Mab Protein Design Labs 抗CD33 がん
MDX-210 Immuno-Designed ND がん
Molecules
BEC2 Imclone 抗GD3 がん
Mitunomab
Oregovomab Altarex 抗CA125 卵巣がん
OVAREX
Ecromeximab Kyowa-Hakko 抗GD3 悪性黒色腫
KW-2971
ABX-EGF Abgenix EGF がん
MDX010 Medarex 抗CD4R がん
XTL 002 XTL ND 抗ウイルス:HCV Bio-pharmaceuticals
H11SCFV Viventia Biotech ND がん
4B5 Vivantia Biotech 抗GD2 がん
XTL 001 XTL ND 抗ウィルス:HBV
Bio-pharmaceutical
MDX-070 MEDAREX 抗-PSMA 前立腺がん TNX-901 TANOX 抗IgE アレルギー
IDEC-114 IDEC プロテインC 非ホジキンリンパ腫
阻害
例えば、本発明は静脈内経路で投与するために処方しうる0.1 〜50mg/ml または1〜25mg/ml の範囲の抗体濃度の濃縮物の形態の溶液に関する。溶質は例えば以下を含む:滅菌水中の9.0mg/mlの塩化ナトリウム、7.35mg/ml の無水クエン酸ナトリウム、および0.7mg/mlのポリソルベート-80 。この溶質または濃縮物において0.1 〜50mg/ml または1〜20mg/ml の陽イオンも添加し、この陽イオンの濃度は抗体の濃度の1 、2 、3 、4 または5 倍に等しい、即ち0.1 〜250mg/mlまたは1〜100 mg/ml である。抗体含有量に関して同じ陽イオン含量を維持しながら、この濃縮物を投与するのに望ましい用量を得るために血清バッグまたは液体灌流バッグに注入することができる。
本発明はまた、注射直前に滅菌水で再構成でき、適宜量の抗体を含有し、本発明の前記陽イオンの量が抗体の量の1、2、3、4または5倍多い、容器中の滅菌凍結乾燥粉末にも関する。
この粉末は静脈内または皮下注射のために再構成できる。後者の場合、粉末は10〜500mg の抗体を含有でき、本発明の前記陽イオンの量が抗体の量の1、2、3、4または5倍多い、即ち例えば10〜500mg である。ショ糖、アミノ酸、ポリソルベートなどの賦形剤を添加できる。
本発明は好ましくは、陽イオン含有量が少なくとも抗体含有量と等しい上記組成物に関するが、また、この等モル量より少ない、例えば0.1 〜0.99モル (0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8または0.9)が、抗体の効力または機能特性を常に少なくとも10%もしくは25%、または50%あるいは100 %改善するのに十分な量の陽イオン (亜鉛、鉄、銅、カドミウムもしくは類似物またはそれらの混合物) を添加した任意の組成物にも関することは理解されるべきである。
本発明のその他の特徴および利点は以下の実施例に記載するが、これらは本発明の範囲を制限するものではなく例示として考えられるべきである。
抗体のFc領域の構造−機能の関係についての新しいデータを得るために、出願人は亜鉛の存在下または不在下でYB2/0 細胞株において発現されたモノクローナル抗体 EMAB5のFc断片を結晶化した。結晶化したFc断片のX線回折分析 (XR) を行った:この研究の一部を以下の実施例1および2に示す。実施例3はFc活性に及ぼすヒスチジンの化学修飾の効果を示し、実施例4はヒスチジン310 および435 残基のリジンへの二重変異の影響を示す。
(実施例)
抗体のFc領域の構造−機能の関係についての新しいデータを得るために、出願人は亜鉛の存在下または不在下でYB2/0 細胞株において発現されたモノクローナル抗体 EMAB5のFc断片を結晶化した。結晶化したFc断片のX線回折分析 (XR) を行った:この研究の一部を以下の実施例1および2に示す。実施例3はFc活性に及ぼすヒスチジンの化学修飾の効果を示し、実施例4はヒスチジン310 および435 残基のリジンへの二重変異の影響を示す。モノクローナル抗体:
EMAB5:これは、無血清培地での培養に適応させたYB2/0 細胞株 (ラット骨髄腫、ATCC line no.CRL 1662)で産生された抗原Rh(D) に対するヒトIgG 1(κ) である。
−精製: EMAB5をセファロース−プロテインA上でのアフィニティークロマトグラフィーで精製した。
−グリカン分析:HPCE-LIFにより構造の主要部分がフコース約25%を含有するバイアンテナ型のオリゴ糖であることが示された。
−生物学的活性: EMAB5のADCC活性は少なくとも対照抗−Rh(D) ポリクローナル抗体、WinRho (Cangene)のものと等しい。
Fc断片の調製:
−加水分解条件:精製 EMAB5抗体を50mMトリス緩衝液、pH8.0 で一晩透析する。50mMCaCl2 および10mMシステインに調整した抗体溶液を37℃で30分間温置し、1/25の酵素:基質の比でトリプシン溶液 (1mg/ml)を添加する。37℃5時間の温置後、フルオロリン酸ジイソプロピルの添加 (最終1mM) により反応を止める。加水分解物を50mMイミダゾール緩衝液、pH7.8 で一晩透析する。
−Fc断片の精製:透析した加水分解物を、3.6mg 抗体当たり1mlのゲルの割合でアファロース−プロテインLに接触させる。攪拌しながら室温で4時間温置した後、ゲルをカラムに入れ50mMイミダゾール緩衝液、pH7.8 で洗浄する。Fc断片を含む溶出液および洗浄用緩衝液を集め、製造者の指示に従いVivaspin 20 で遠心分離して濃縮する。
Fc断片に結合した亜鉛イオンの存在
結晶化:
試験の後、以下の結晶化条件を選ぶ:2mg/ml イミダゾール緩衝液50mM、pH7.8 中のFc断片の溶液を17℃において攪拌落下蒸気拡散により10%のモノメチルポリエチレングリコール5000、100mM カコジル酸ナトリウム、0.1mM 塩化亜鉛 (pH5.1) に入れる。
回折データの収集および構造決定
得られた結晶をESRF (グルノーブル) でXR分析にかけ、集めたデータをDENZO およびSCLAEPACK プログラム (OtwinowskiおよびMinor, 1997)を用いて処理した。
構造を解析して、CCP4プログラムのシリーズを用いて2.3 Åに微調整する (図1) 。
結果
この EMAB5のFc断片の結晶は、非対称単位当たり1つの断片を有するC2221 空間群に属する。格子パラメーターは次の通りである:a=50.2Å、b=147.7 Å、c=75.6Å;α=β=γ=90℃。
三次元構造 (図1に図示) によりCH2 およびCH3 ドメイン (灰色) 近くの亜鉛イオン (白色) の存在を証明できる。図2の電子密度マップはヒスチジン残基310(CH2)および435(CH3)に結合した亜鉛イオンを示している。別の亜鉛イオンがFcのヒスチジン268 および対称Fcのヒスチジン285 に結合している。第3のものはヒスチジン433 の近くに位置する。
Fc断片の立体構造に及ぼす金属陽イオンの影響
この実施例において、得られた結晶はすべて非対称単位当たり2つの鎖を有する空間群P2(1)2(1)2(1) に属し、Fcオープニングは鎖AとBのプロリン329 残基間、および鎖AとBのマンノース4残基間の距離を特徴とする。
金属イオンの不在下で結晶化すると、 EMAB5抗体のFc断片は32.53 Åのプロリン329 間の距離と、17.61 Åのマンノース間距離を特徴とする。結晶化溶液に金属イオンを添加すると (表2参照) 、これらの特徴的距離は増加する。
表2:空間群P2(1)2(1)2(1) のモノクローナル抗体 EMAB5のFc断片の結晶の主な特徴
Figure 2007537990
図3は結晶化溶液中の亜鉛の不在下 (灰色) および存在下 (白色) で得られた構造の主鎖を重ねて示す。従って、Fc溶液への金属塩の添加はいわゆるオープン立体構造を促進し、FcγRIII受容体に結合したFcの構造に近い構造である。
DEPCによるヒスチジン残基の修飾
ピロ炭酸ジエチル (DEPC) はタンパク質中に存在するヒスチジン残基を修飾し、その役割を調べるために広く使用されてきた試薬である(Miles, 1977) 。Firan 等 (2001)は、DEPCで処理されたヒトのIgG1は母体IgG の胎児への移行に関与するFcRn受容体を固定する能力を失うことを示した。DEPCはヒスチジンのイミダゾール環上に存在する窒素基を置換し、それによりヒスチジン残基を3-カーボエトキシヒスチジンへ変換することにより作用する。
1.DEPCによる修飾
0.1 M酢酸ナトリウム緩衝液、pH6.0 で透析したモノクローナル抗体 EMAB5を、70μgDEPC/mg IgGの割合でDEPCと接触させる。室温での30分間の温置後、反応をイミダゾールの添加 (0.2mg/ml) により停止させる。
20mMリン酸ナトリウム緩衝液、50mMNaCl、pH7.2 中で脱塩後、修飾したモノクローナル抗体をセファロース−プロテインAでのアフィニティークロマトグラフィーにより分画する。修飾したモノクローナル抗体の1画分はアフィニティーゲル上に保持されず、非保持画分、即ちNRF となる。RFと称されるゲル上の保持画分を0.1 M グリンシン-HCl緩衝液、pH2.8 で溶出させる。こうして得られた2つの画分を20mMリン酸ナトリウム緩衝液、50mMNaCl、pH7.2 で透析し、製造者の指示に従ってVivaspinで濃縮し、15日以下4℃で保存する。
参照として使用する対照抗体に、同量のエタノールにより置換したDEPC以外は同様の処理を行った。
2.CFC 試験を用いたFcγRIII受容体へ固定される抗体Fcの測定
DEPCで処理した抗体の完全さを証明するために、抗体にCFC 試験と呼ばれる試験を行う。これは第1に、抗体が向けられる抗原を固定し、第2にCD16 Jurkat 細胞株の表面に発現するFcγRIII受容体 (CD16) を固定する抗体の能力を評価する。
マイクロタイトレーションプレートのウェルをパパイン処理したRh(D+)赤血球で被覆する。抗-Rh(D)抗体を、IMDM+2.5 %ウシ胎児血清 (FCS)中で7.8 〜500ng/mlの範囲の濃度に希釈し、予め赤血球で被覆した2つのマイクロタイトレーションプレート上に並列に置く。37℃90分間の温置後、ウェルを洗浄する。
1つのプレートを赤血球に固定されたIgG を検出するのに使用し、アルカリホスファターゼで標識したマウス抗−ヒトFcγ抗体 (Jackson ImmunoResearch Laboratories)の存在下で温置する。
別のプレートにはCD16 Jurkat 細胞を、IMDM+1%FCS 中2×106 細胞/mlの濃度に希釈して添加する。37℃で15分間の接触の後、速度を徐々に上げながら、陰性対照が打ち消されるまでの遠心時間で遠心分離する。陰性対照とは、マイクロタイトレーションプレートのウェルに固定された赤血球を固定するが、CD16 Jurkat 細胞の表面上に存在するFcγRIII受容体を固定しない抗体を意味する。陰性対照を含むウェルにおいては、遠心分離後CD16 Jurkat 細胞はウェルの中央に集団を形成するが、陽性対照を含むウェルではCD16 Jurkat 細胞はウェルを被覆する。
遠心分離の後、ウェルの読み取りを行い、ウェル中でのCD16 Jurkat 細胞の広がりに関してスコアを付ける。
3.FcγRIII受容体の活性化の測定
CD16 Jurkat 細胞の活性化試験は、Fab が標的細胞上に存在する抗原に結合した後FcγRIII受容体 (CD16) への抗体のFcの固定により誘導されるインターロイキン-2 (IL-2) の分泌を測定する。CD16 Jurkat 細胞により分泌されるIL-2の割合はCD16受容体の活性化に比例する。
96−ウェルマイクロタイトレーションプレート中に50μl抗体希釈物、6.105/ml の赤血球懸濁液50μl、1.106/ml のCD16 Jurkat 細胞懸濁液50μlおよび40ng/ml のPMA 溶液50μlを順次添加する。希釈物はすべて5%FCS を含有するIMDM培地中で作製する。
37℃、7%CO2 で16時間温置後、マイクロタイトレーションプレートを遠心分離し、上清に含まれるIL-2の量を市販のキット (Duoset, R&D)を用いて分析する。分泌されたIL-2の割合をpg/ml で表す。
結果はCD16活性化率 (%) として表し、対照モノクローナル抗体の存在下で分泌されたIL-2の量は100 %に等しいとする。
4.ADCC活性の測定
ADCC (抗体依存性細胞傷害) 法を、エフェクター細胞 (単核細胞またはリンパ球) の存在下でRh(D+)赤血球の溶解を引き起こす抗体の能力を評価するために用いる。
簡単に述べると、球状RhD(+)赤血球濃縮物をパパインで処理し (1mg/ml 、37℃で10分) 、0.9 %NaClで洗浄する。エフェクター細胞を少なくとも3つの軟膜のプールからFicoll (Amersham Biosciences) での遠心分離により分離し、次いで25%FCS の存在下での接着工程により9のオーダーのリンパ球/単球の比とする。マイクロタイトレーションプレート (96ウェル) において1ウェル当たり、精製抗-Rh(D)抗体の希釈物 (9.3 から150ng/ml) 100 μl、4×107 のパパイン処理したRh(D+)赤血球25μl、8×107 エフェクター細胞25μlおよび通常濃度2および10mg/ml の多価IgG (Tegeline, LFB)50μlを入れる。希釈物は0.25%ウシ胎児血清 (FCS)含有IMDM中で作製する。37℃で1晩温置した後、プレートを遠心分離にかけ、次いで上清中の放出ヘモグロビンを発色性基質、2,7-ジアミノフルオレン (DAF)の存在下でそのペルオキシダーゼ活性を介して測定する。結果は溶解率 (%) として表され、100 %はNH4Cl 中の赤血球の全溶解に相当し (100 %対照) 、0%は抗体の存在しない反応混合物に相当する (0%対照) 。特異的溶解を下記式により%で算出する:
((試料のOD−0%対照のOD) ×100)
────────────────=ADCC%
(100%対照のOD−0%対照のOD)
結果
上記条件によりDEPC処理した後、NRF を形成する約20%のモノクローナル抗体 EMAB5の分子は、セファロース−プロテインAゲルへの固定能力を失う。ヒスチジン435 がIgG をプロテインAに固定するのに必須のアミノ酸であることを考えると、NRF のIgG はHis435残基の修飾によりセファロース−プロテインAゲルに保持されたRF画分とはおそらく異なるであろう。
抗原の存在下でCD16受容体への固定を測定する試験において、NRF 画分はRF画分と同じ能力を有し、この能力は対照抗体のものと同じである (図4) 。さらに、モノクローナル抗体 EMAB5の各種画分の固定は、DEPC修飾の有無にかかわらずこの試験で陰性対照として使用されるモノクローナル抗体AD1 のものよりずっと大きい。従って、DEPCによるヒスチジン残基の修飾はモノクローナル抗体 EMAB5のRh(D+)赤血球への、またはCD16 Jurkat 細胞株の表面上に存在するCD16受容体への固定能に何ら変化をもたらさない。
他方、DEPCにより修飾されたモノクローナル抗体 EMAB5の機能活性は大きく低下する。DEPCにより修飾されたモノクローナル抗体 EMAB5のRFおよびNRF 画分により誘導されるCD16 Jurkat 細胞株のIL-2分泌はそれぞれ、対照抗体により誘導される分泌の42.8%および19.5%である (図5) 。実際の溶解率 (%) として表されるADCC活性の結果は、NRF 画分の活性がRF画分の活性より低いことを示す (図6) 。また、RF画分は、ウェルに添加された抗体の量がより少なく (<20ng/ml)、多価IgG の量が2.5mg/mlである場合に対照抗体に対して低いADCC活性を示す。
結論として、DEPC−修飾 EMAB5モノクローナル抗体の画分は抗原およびFcγRIII受容体 (CD16) を固定する能力を維持してはいるが、低い機能活性 (ADCC、サイトカイン分泌の誘導) を示す。この低下した活性はNRF 画分についてはより著しく、この画分は多分His435残基の修飾を有する。
従って、これらの結果は、His435残基の保存がIgG1型抗体の機能活性を保つのに重要であることを示す。
二重変異His310-435Lys を有する抗体の機能活性
化学的試薬 (DEPCなど) によるヒスチジン残基の修飾は、これらの修飾の程度および位置を制御できない。従って、亜鉛陽イオンのIgG1のCH2-CH3 界面への結合に必須の役割を果たす2つのヒスチジン残基His310およびHis435は指定された突然変異誘発を介してリジン残基により置換される。
1.二重変異His310-435Lys を有する抗−Rh(D) 抗体の獲得
抗−Rh(D) EMAB5 抗体の重鎖のアミノ酸配列をコードするcDNAを含む発現ベクターを、 PCRにより指定された二重変異誘発 (「 PCRによる位置指定突然変異誘発」) を行うためのマトリックスとして使用した。下記の4つのヌクレオチド置換が行われた:
−His338残基をLys (Kabat番号付与による310 位) に変えるためのC1229AおよびC1301G、即ちCAC →AAG ;
−His463残基のLys (Kabat番号付与による435 位) への変異のためのC1674AおよびC1676G、即ちCAC →AAG ;
変異した配列は配列決定し、配列決定の結果は以下の表3に示す。
表3:モノクローナル抗体 EMAB5の二重変異した重鎖のオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド配列
モノクローナル抗体 EMAB5の重鎖のHis338およびHis461残基(Kabat 番号付与ではHis 310 およびHis435に相当) をリジン残基で置換する。
二重変異His310-435Lys のcDNA配列 (SEQ ID No.1)
Figure 2007537990
二重変異His310-H435Lysのペプチド配列 (SEQ ID No.2)
Figure 2007537990
EMAB5抗体の軽鎖をコードする変異ベクター EMAB5-H-K338-K463-1および EMAB5-dhfr-K-Spelを用いてエレクトロポレーションによりコトランスフェクトしたYB2/0 細胞を、5%透析FCS 、0.5 % G418 および25mMメトトレキセート (MTX) を添加したRPMI培地中で培養する。ヒトIgG を最も高い速度で分泌するクローンをMTX 非含有培地中24−ウェルプレートで培養する。7日間の培養後に回収した上清を以下の試験を行うのに用いる。
2.FcγRIII受容体 (CFC)に結合する抗体の測定
この試験は培養上清に対して行い、上清中のヒトIgG 含量をELISA アッセイにより決定する。
マイクロタイトレーションプレートのウェルをパパイン処理したRh(D+)赤血球で被覆する。天然のまたは変異した抗-Rh(D)抗体を含み、IMDM+2.5 %FCS 中7.8 〜500ng/mlの範囲の濃度に希釈した培養上清を、予め赤血球で被覆した2つのマイクロタイトレーションプレートに並列に置く。37℃、90分の温置後、ウェルを洗浄する。
1つのプレートを赤血球に固定されたIgG を検出するのに使用し、アルカリホスファターゼで標識したマウス抗−ヒトFcγ抗体 (Jackson Immuno Research Laboratories) の存在下に温置する。
別のプレートには37℃で15分間の接触の後、CD16 Jurkat 細胞を添加して、速度を徐々に上げながら、陰性対照が打ち消されるまでの遠心時間で遠心分離する。遠心分離後、ウェルの読み取りを行い、スコアをウェル中のCD16 Jurkat 鎖の拡散に関して付与する。
3.CD16受容体活性化の測定
96−ウェルマイクロタイトレーションプレート中に天然のおよび変異した抗-Rh(D)抗体を含む培養上清の希釈物50μl、6.105/ml の赤血球懸濁液50μl、1.106/ml のCD16 Jurkat 細胞懸濁液50μlおよび40ng/ml のPMA 溶液50μlを順次添加する。希釈物はすべて5%FCS を含有するIMDM培地中で作製する。
37℃、7%CO2 で16時間温置後、マイクロタイトレーションプレートを遠心分離し、上清に含まれるIL-2の量を市販のキット (Duoset, R&D)を用いて分析する。分泌されたIL-2の割合をpg/ml で表す。
結果はCD16活性化率 (%) として表し、対照モノクローナル抗体の存在下で分泌されたIL-2の量は100 %に等しいとする。
変異または非変異の抗-Rh(D)モノクローナル抗体を含有する培養上清に対して各種試験を行った。CFC 試験の結果は、His310-435Lys の二重変異はCD16 Jurkat 細胞株によって行われた抗体のFcγRIII受容体への固定に何ら変化を誘導しないことを示す (図7) 。非変異クローン6H11 (陰性対照) はFcγRIII受容体への低い固定を示し、変異クローン1C7, 2H11, 4G5および4H10は非変異クローン16D11 および11G5 (陽性対照) と同じようにFcγRIII受容体を固定する。
CD16活性化を上記の4つの変異クローンおよび3つの非変異クローン (16D11,11G5および24G9) の培養上清について行った。結果は、非変異クローン (天然の) および変異クローン (His310-435Lys)の存在下でCD16 Jurkat 細胞により分泌されるIL-2の平均割合 (±標準偏差) を示す。変異した抗体は天然の抗体により誘導される量に対して非常に低いIL-2の分泌しか誘発しない (図8) 。従って、変異抗体はFcγRIII受容体を活性化する能力の50%の低下を示す。
FcγRIII受容体への変異または非変異のモノクローナル抗体の固定についてのフローサイトメトリー分析
CD16 Jurkat 細胞の表面に存在するFcγRIII受容体 (CD16) への抗体の固定に対するイミダゾールの影響およびHis310-435Lys 変異の影響をフローサイトメトリーにより評価した。
1.イミダゾールの影響
0.5 %ウシアルブミン血清 (BSA)を含有するPBS 緩衝液または50mMイミダゾールを添加した0.5 %PBS-BSA 緩衝液中で希釈したモノクローナル抗体 EMAB5の各種濃度の存在下、5.105 CD16 Jurkat 細胞を30分間温置する。次いで、細胞を0.5 %PBS-BSA 緩衝液で洗浄し、FITCで標識したマウス抗−ヒトIgG (H+L)F(ab') 2 (Jackson ImmunoResearch Laboratories) の存在下に温置する。30分の温置後、細胞を上記のように洗浄し、 EMAB5抗体の固定をFACScalibur 4CA を用いたフローサイトメトリーおよびCell Quest Proプログラム (Becton Dickinson) で分析する。
2.二重変異抗体の固定
0.5 %PBS-BSA 緩衝液中、培養上清に含まれるモノクローナル抗体の各種濃度の存在下、5.105 CD16 Jurkat 細胞を温置する。次いで、ウェルを0.5 %PBS-BSA 緩衝液で洗浄し、FITCで標識したマウス抗−ヒトIgG (H+L)F(ab')2の存在下に温置する。30分の温置後、細胞を上記のように洗浄し、 EMAB5抗体の固定をFACScalibur 4CA を用いたフローサイトメトリーおよびCell Quest Proプログラム (Becton Dickinson) で分析する。
イミダゾールの存在下および不在下での、EMAB5 抗体の、CD16 Jurkat 細胞の表面に存在するCD16受容体 (FcγRIII) への固定の結果を図9に示す。
細胞と抗体の温置用緩衝液へのイミダゾールの添加は、標識細胞の割合 (%) における顕著な低下として現れる抗体の固定の低下を生じる;1.5 μg/ml の抗体濃度で、イミダゾールの存在は標識細胞数の40%減少を生じる。
イミダゾールは陽イオンを固定する能力をもつ試薬である。従って、イミダゾールの添加により陽イオンを温置用培地から除くことにより、CD16受容体への抗体の固定は減少する。
培養上清に含まれる3種のモノクローナル抗体の、CD16 Jurkat 細胞のFcγRIII受容体への固定を図10に示す。
従って、添加した抗体の量に対する標識細胞の割合 (%) として表示される結果は、二重変異His310-435Lys を有する4G5 および4H10抗体がそれら自身をCD16 Jurkat 細胞に固定する程度は、非変異対照抗体である24G9よりも著しく低いことを示す。
これらの結果は、CD16受容体への抗体の固定は、陽イオンの不在に影響されることを明らかに説明している。逆に、陽イオンの存在は受容体への抗体の固定を改善し、従って抗体の細胞傷害活性を改善するはずである。
参照文献
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モノクローナル抗体 EMAB のFc断片の近くの (2Å) Zn2+イオンの位置を示す概略図である。 ヒスチジン310 および435 残基の近くの電子密度マップの詳細を示す。 Zn2+イオン不在下 (灰色) および存在下 (白色) で得られた抗体 EMAB5のFc断片の構造を重ねた図である。 DEPC−修飾 EMAB5抗体のFcγRIII受容体への固定を示す。この図は、横座標軸に沿って抗体の赤血球への固定を、縦座標軸に沿ってCD16 Jurkat 細胞の表面上に存在するCD16 (FcγRIII型) の固定を示す。 (◆) 対照抗体 AD1; (■) 対照 EMAB5; (▲) EMAB5 NRF ; (●) EMAB5 RF。 Jurkat CD16 細胞上に存在するFcγRIII受容体のDEPC−修飾EMAB5 抗体による活性化を示す。この図は、CD16受容体が対照 EMAB5抗体 (◆) 、およびDEPC:NRF による (●) およびRF (■) による EMAB5抗体の修飾後のプロテインA上で分離された画分により活性化されたJurkat CD16 細胞により分泌されたIL-2のpg/ml で表した量を示す。 モノクローナル抗体 EMAB5のADCC活性に及ぼすDEPCによる修飾の影響を示す。この図は、対照 EMAB5モノクローナル抗体により、およびDEPC−修飾抗体のセファロース−プロテインAゲル上で分離されたRFおよびNRF の2画分により誘導されたRh(D+)赤血球の溶解率 (%) を示す。 FcγRIII受容体への二重変異抗体HIs310-435Lys のFc固定の測定を示す。抗体1C7, 2H11, 4G5および4H10は変異した抗体である。抗体16D11, 11G5 および6H11は変異していない。この図は、横座標軸に沿って抗体の赤血球への固定を、縦座標軸に沿ってJurkat CD16 細胞の表面上に存在するCD16 (FcγRIII型) の固定を示す。この図は、二重変異した抗体を含む上清 (実線) および変異していない抗体を含む上清 (点線) を用いて得られた結果をまとめている。 変異または非変異の抗−Rh(D+)モノクローナル抗体により誘導されたIL-2分泌の検討を示す。この図は、天然 (本来) の抗−Rh(D) モノクローナル抗体 (n =3クローン) および二重変異His310-435His を有する抗体 (n =4クローン) により分泌されたIL-2の割合 (%) を示す。結果は精製した対照 EMAB5抗体に対する割合 (%) で表す。 EMAB5モノクローナル抗体のCD16 受容体 (FcγRIII) への固定に及ぼすイミダゾールの影響を示す。 二重変異His310-435Lys を有する抗体のCD16受容体への固定のフローサイトメトリーによる検討を示す。

Claims (40)

  1. 抗体の機能活性を改善するための2価または3価の金属陽イオンの使用。
  2. 前記抗体がヒトIgG またはヒトFc領域を有することを特徴とする請求項1記載の使用。
  3. 前記陽イオンが前記抗体のFc領域と相互作用することを特徴とする請求項1または2記載の使用。
  4. 前記陽イオンが前記抗体のFc領域のオープニングの制御に関与することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項記載の使用。
  5. 前陽イオンが、FcγR 受容体、特にFcγR III 受容体への前記抗体の固定を促進することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項記載の使用。
  6. 前記陽イオンが亜鉛、鉄、銅またはカドミウムであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の使用。
  7. 前記陽イオンが亜鉛である、請求項1〜6のいずれかの項記載の使用。
  8. Fc領域を介して抗体の機能活性を強化する方法であり、抗体を産生する生物学的系、精製前および/もしくは後の抗体を含む溶液、保存溶液、または抗体の注射可能な溶液の形態の最終処方物に、少なくとも1種の2価または3価金属陽イオンの適宜量を添加することからなる工程を含む、前記方法。
  9. 前記陽イオンが亜鉛、鉄、銅またはカドミウムであることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 少なくとも抗体のモル濃度と等しいモル濃度の亜鉛を添加することを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 分子工学により作製されたFc部位上のHis 310 およびHis 435 残基 (Kabat 番号付与) を含む、2価または3価金属陽イオンの固定化部位を有するIgG3クラス抗体。
  12. 前記固定化部位がAsn 434 残基および/またはHis 433 残基 (Kabat 番号付与) を含むことを特徴とする請求項11記載の抗体。
  13. 前記固定化部位がHis 433 残基によるAsn 434 残基の置換により作製されることを特徴とする、請求項11または12記載の抗体。
  14. 前記ヒスチジン残基の少なくとも1つが、システイン、アスパラギン酸およびグルタミン酸の中から選ばれる少なくとも1つの残基で置換されていることを特徴とする請求項11または12記載の抗体。
  15. 前記固定化部位に固定された2価または3価の金属陽イオンを有する、請求項11〜14のいずれかの項記載の抗体。
  16. 前記陽イオンが亜鉛、鉄、銅、またはカドミウムである請求項11〜15のいずれかの項記載の抗体。
  17. 前記抗体のアロタイプがG3m(b)またはG3m(g)である、請求項11〜16のいずれかの項記載の抗体。
  18. 天然の抗体に対して改善されたFcγRIIIのへ固定および改善された機能活性を有する、請求項11〜17のいずれかの項記載の抗体。
  19. 新生児溶血性疾患、ウイルス性、細菌性または寄生虫性疾患、バイオテロに関して特に危険であるとして挙げられている (疾患管理センター (CDC)の分類) 病原因子もしくは誘導毒素に関連する疾患、特に炭疽病 (バチルス・アンスラシス) 、ボツリヌス中毒 (クロストリジウム・ボツリヌム) 、ペスト (エルシニア・ペスティス) 、天然痘 (バリオラ・マジョル) 、ツラレミア (フランシセラ・ツラレンシス) 、ウイルス性出血熱 (フィロウイルス関連:エボラ、マーブルグ、およびアレナウイルス関連−ラッサ、マチュポ) 、クロストリジウム・ペルフリンゲンのイプシロン毒素、ブルセラ病 (ブルセラ種) 、メリオイドーシス (ブルクホルデリア・マレイ) 、トウゴマの実の毒素 (トウゴマ、リシヌス・コミュニス) などの疾患を治療するための、請求項11〜18のいずれかの項記載の抗体の使用。
  20. 2価または3価の陽イオンおよび少なくとも1種の賦形剤を含む治療用抗体の薬剤組成物。
  21. 前記抗体が、His 310 およびHis 435 残基 (Kabat 番号付与) 上に2価または3価の金属陽イオンを有することを特徴とする請求項20記載の組成物。
  22. 前記抗体が請求項11〜18のいずれかの項記載の抗体、ヒトIgG 抗体またはヒトFc領域を有することを特徴とする、請求項20または21記載の薬剤組成物。
  23. 金属陽イオンが亜鉛、鉄、銅もしくはカドミウム、またはこれらの複数の混合物であることを特徴とする請求項20〜22のいずれかの項記載の薬剤組成物。
  24. 金属陽イオンが、亜鉛、特に酢酸亜鉛、臭化亜鉛、クエン酸亜鉛、ヒドロキシ炭酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、L-乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛または亜鉛の塩酸塩であることを特徴とする、請求項23記載の薬剤組成物。
  25. 少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または99%の抗体が、結合した2価または3価の金属陽イオン、特にHis 310 およびHis 435 残基 (Kabat 番号付与) を含む部位に結合したものを有する薬剤組成物。
  26. 前記部位がHis 433 および/またはAsn 434 残基 (Kabat 番号付与) を含むことを特徴とする請求項25記載の組成物。
  27. 前記金属陽イオンが亜鉛、鉄、銅もしくはカドミウム、またはこれらの複数の混合物であることを特徴とする請求項25または26記載の組成物。
  28. モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体と適宜量の2価または3価の金属陽イオン、特に抗体濃度と少なくとも等しい濃度の亜鉛イオン、を含み、静脈内、筋肉内、または皮下経路での注射に適合させた溶液。
  29. 治療用抗体の結晶化を改善するための亜鉛イオンの使用。
  30. 図1または2に示すようなHis 310 、His 435 、His 433 および/またはAsn 434 残基 (Kabat 番号付与) を含むドメインのの3D立体構造の検討、または抗体の亜鉛含有量の分析を含む抗体の効力を評価するために使用できる試験法であり、亜鉛の存在は抗体の効力の指標である、前記試験法。
  31. His 310 およびHis 435 残基 (Kabat 番号付与) の少なくとも1つの改変を有する抗体。
  32. 前記改変が突然変異であることを特徴とする請求項31記載の抗体。
  33. 前記変異が前記金属陽イオンに対して低い親和性を有するアミノ酸での置換であることを特徴とする請求項32記載の抗体。
  34. 前記アミノ酸が、リジン、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、セリンまたはトレオニン残基であることを特徴とする請求項33記載の抗体。
  35. His 310 およびHis 435 残基がリジン残基で置換されることを特徴とする請求項32〜34のいずれかの項記載の抗体。
  36. 改変がDEPCにより行われることを特徴とする請求項31記載の抗体。
  37. IgG1サブクラスに属することを特徴とする請求項31〜36のいずれかの項記載の抗体。
  38. 変異していない同種の抗体に対して機能活性が低下していることを特徴とする請求項31〜37のいずれかの項記載の抗体。
  39. 移植片拒絶を防止するための、または破傷風、ジフテリア、またはバイオテロの場合に特に危険であるとして挙げられている病原因子または誘導毒素による疾患 (疾患管理センター (CDC)の分類) 、特に炭疽病 (バチルス・アンスラシス) 、ボツリヌス中毒 (クロストリジウム・ボツリヌム) 、ペスト (エルシニア・ペスティス) 、天然痘 (バリオラ・マジョル) 、ツラレミア (フランシセラ・ツラレンシス) 、ウイルス性出血熱 (フィロウイルス関連:エボラ、マーブルグ、およびアレナウイルス関連−ラッサ、マチュポ) 、クロストリジウム・ペルフリンゲンのイプシロン毒素、ブルセラ病 (ブルセラ種) 、メリオイドーシス (ブルクホルデリア・マレイ) 、トウゴマの実の毒素 (トウゴマ、リシヌス・コミュニス) から選択された疾患の治療のための医薬品を製造するための、請求項31〜38のいずれかの項記載の抗体の使用。
  40. IgG4に代わる医薬品の製造のための請求項31〜38のいずれかの項記載の抗体の使用。
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