JP2007537711A - Igf結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

例えば、細胞ベースのアッセイにおいて、IGFアンタゴニストとして有用な、そしてファージディスプレイにより同定される、他の分子(例えば、野生型IGFBP−3およびIGFアゴニストのペプチド)上のIGF−I結合部位およびIGF−II結合部位のマッピングの際に有用な、IGFBP−3融合タンパク質が提供される。このような融合タンパク質を作製するための方法もまた提供される。一つの実施形態において、この融合タンパク質は、ファージ上にディスプレイされる。

Description

(関連出願)
本願は、米国特許法施行規則1.53(b)(1)のもとに出願された非仮出願であり、米国特許法119(e)のもとで、2003年10月3日に出願された仮出願番号60/508,345に対して優先権を主張し、この内容は、本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は、IGFBP−3の最小の機能的領域を決定するのに有用で、かつ、IGF−I活性もしくはIGF−II活性をアンタゴナイズするのに有用な分子に関する。
(背景技術および関連技術の説明)
インスリン様増殖因子Iおよびインスリン様増殖因子II(それぞれ、IGF−IおよびIGF−II)は、複数の効果(このような効果としては、細胞増殖、細胞分化、細胞死の阻害、およびインスリン様活性が挙げられる)をインビボで媒介する(非特許文献1;非特許文献2に概説されている)。これらのマイトジェンの応答および代謝応答のほとんどは、IGF−Iレセプターであるαβ−ヘテロテトラマー(これは、インスリンレセプターに密接に関連している)の活性化により開始される(非特許文献3;非特許文献4)。このIGF−Iレセプターおよびインスリンレセプターは、その特異的リガンドにナノモルの親和性で結合する。IGF−Iおよびインスリンは、親和性が1000分の1〜100分の1であるにも関わらず、各々の非同系レセプターと交差反応し得る(非特許文献2(前出))。IGF−Iレセプターの細胞外部分の一部を記載する結晶構造が報告されている(非特許文献5)。
インスリンとは異なり、IGF−Iの活性および半減期は、6種のIGF−I結合タンパク質(IGFBP 1−6)により調節され、そしておそらく、さらに遠縁のクラスのタンパク質によりさらに調節される(非特許文献2(前出);非特許文献6)。IGFBPは、これらが可溶性であるかまたは細胞膜結合型であるかに依存して、IGF活性を阻害するかまたは増強するかのいずれかをなし得る(非特許文献7)。このIGFBPは、IGF−IおよびIGF−IIを結合し、その親和性および特異性は、様々である(非特許文献2(前出);非特許文献7(前出))。例えば、IGFBP−3は、IGF−IおよびIGF−IIを同程度の親和性で結合し、その一方で、IGFBP−2およびIGFBP−6は、IGF−IIを、これらがIGF−Iを結合するよりはるかに高い親和性で結合する(非特許文献7(前出);非特許文献8)。特許文献1は、さらなるヒト分泌型IGFBP様ポリペプチドを開示し、そのヒト分泌型IGFBP様ポリペプチドは、副腎のmRNAおよび胸腺のmRNAからのcDNAライブラリーより単離される核酸配列によりコードされている。
構造的には、IGF−Iは、一本鎖の、70アミノ酸タンパク質であり、これは、プロインスリンと高い相同性を有する。インスリンスーパーファミリーの他のメンバーとは異なり、IGFのC領域は、翻訳後にタンパク分解性に除去されない。IGF−Iの溶液NMR構造(非特許文献9;非特許文献10)、ミニ−IGF−I(C−鎖を欠く、遺伝子操作された改変体;非特許文献11)およびIGF−II(非特許文献12;非特許文献13)が報告されている。IGF−I上の特有のエピトープが、レセプターおよび結合タンパク質を結合するために使用されることが、一般に容認されている。レセプター不活性IGF変異体が内因性IGF−Iを結合タンパク質から置換し得、これによって、純IGF−I効果をインビボで生成し得ることが、動物モデルで実証されている(非特許文献14;非特許文献15;特許文献2および特許文献3)。残基Y24、Y29、Y31およびY60が、レセプターの結合に関与するが、そのIGF変異体は、さらにIGFBPに結合する(非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献15(前出))。
さらに、設計された改変体(1−27、gly、38−70)−hIGF−I(ここで、ヒトIGF−IのC領域の残基28−残基37は、4残基のグリシンブリッジにより置換される)は、IGFBPのレセプターに結合するが、IGFのレセプターには結合しないことが発見されている(非特許文献19)。
突然変異誘発の規模の研究は、IGF−I上のIGFBP−結合エピトープの特徴づけに取り組んでいる(非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献2;非特許文献24;非特許文献8(前出))。要約すれば、N末端残基3およびN末端残基4、ならびに、残基8〜残基17を含むヘリカル領域が、IGFBPに結合するために重要であると見出された。さらに、IGFBP−1、IGFBP−2およびIGFBP−5に結合する残基49〜残基51に関するエピトープが同定されている(非特許文献2(前出))。さらに、最初の3つのN末端アミノ酸を欠く天然に存在する短縮型形態のIGF−I(des(1−3)−IGF−Iと呼ばれる)は、25分の1の親和性でIGFBP−3を結合することが実証された(非特許文献25;特許文献4;特許文献5;および特許文献6)。
N末端のへリックスにおける露出されたアミノ酸残基の結合の寄与を特徴付けようとして、数個のIGF−Iアラニン変異体が構築された(非特許文献26)。しかし、これらの変異体タンパク質の円偏光二色性スペクトルは、野生型IGF−Iと比して、構造的な変化を示し、IGFBP−結合の寄与を上記変異した側鎖が明らかに原因にする。異なるアプローチが非常に最近の研究でとられ、その最近の研究では、IGF−I上のIGFBP−1結合エピトープは、ヘテロ核NMRスペクトル分光学により確認された(非特許文献27)。著者らは、IGFBP−1への結合に機能的に関与する、残基R36、残基R37、および残基R50をさらに同定した。
他のIGF−I改変体が開示されている。例えば、特許文献の特許文献7は、真正のIGF−Iの残基1〜残基69を有する短縮型改変体を記載する。特許文献8は、省略されたCドメインを有する、天然に存在する一本鎖IGF−Iの誘導体である2本鎖IGF−Iスーパーアゴニストを開示する。このIGF−Iアナログは、式:BC、A(ここで、Bは、IGF−IのBドメインであるか、またはその機能的なアナログであり、Cは、IGF−IのCドメインであるかまたはその機能的アナログであり、nは、Cドメインにおけるアミノ酸の数であり、約6〜約12であり、そしてAは、IGF−IのAドメインまたはその機能的アナログである)である。
さらに、非特許文献27は、IGF−Iの4種の変異体を開示し、これらのうちの3つは、1型IGFレセプターに対する親和性が低減している。これらの変異体は、(Phe23、Phe24、Tyr25)IGF−Iである(これは、1型および2型のIGFレセプターおよびインスリンレセプターに対する効力が、ヒトIGF−1と等しい)、(Leu24)IGF−Iおよび(Ser24)IGF−I(これは、ヒトの胎盤の1型IGFレセプターまたは胎盤のインスリンレセプターならびにラットおよびマウスの細胞の1型IGFレセプターに対するIGF−Iよりも親和性が低い)、ならびにデスオクタペプチド(Leu24)IGF−I(これにおいて、位置24の芳香族性の損失が、hIGF−Iのカルボキシ末端のD領域の欠失と組み合わされ、これは、1型レセプターについて、(Leu24)IGF−Iよりも低い親和性を有し、そしてインスリンレセプターについて、(Leu24)IGF−Iよりも高い親和性を有する)。これら4種の変異体は、ヒト血清結合タンパク質に対して正常な親和性を有する。
非特許文献29は、IGF−Iの3つの構造アナログ((1−62)IGF−I(これは、IGF−Iのカルボキシ末端の8アミノ酸D領域を欠く)、(1−27、Gly、38−70)IGF−I(これにおいては、IGF−IのC領域の残基28−残基37が、4残基グリシンブリッジにより置き換えられている)および(1−27、Gly、38−62)IGF−I(C領域にグリシンの置換を有し、そしてD領域に欠失を有する)を開示する。非特許文献29は、非特許文献17の上記Gly変異体を用いて、データを開示する。特許文献9は、IGF−IまたはIGF−Iの活性濃度を増加させる化合物を使用して、神経損傷を処置することに言及する。
非特許文献31は、IGF−Iの3つのアナログを開示し、このアナログでは、IGF−IのA領域の特定の残基が、インスリンのA鎖における、対応する残基で置き換えられる。これらのアナログは、(Ile41、Glu45、Gln46、Thr49、Ser50、Ile51、Ser53、Tyr55、Gln56)IGF−I(残基41がスレオニンからイソロイシンへと変更されており、そしてA領域の残基42〜残基56が置換されているA鎖変異体);(Thr49、Ser50、Ile51)IGF−1;ならびに(Tyr55、Gln56)IGF−Iである。
非特許文献32は、種々のIGFおよびインスリン改変体のIGFBP、IGFレセプター、およびインスリンレセプターへの結合の結合親和性を記載する。
IGFBPは、培養物中の細胞により分泌され、そしてIGF−刺激された機能を阻害または増強するかのいずれかである(非特許文献33)。IGFBPの公知の形態としては、IGFBP−1が挙げられ、これは、ヒトにおいては、約30kDa〜約40kDaの分子量を有する。例えば、特許文献10(1990年10月公開、IGFBP−1およびIGFBP−2のcDNA配列およびクローニングベクターに関する);特許文献11(1989年9月21日公開、IGFBP−1のアミノ酸配列に関する);および特許文献12(1989年10月5日公開、IGFBP−1のcDNA配列およびIGFBP−1の発現の方法に関する))を参照のこと。
IGFBP−2は、約33−36kDaの分子量を有する。例えば、非特許文献34(IGFBP−2のヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列に関する)を参照のこと。
IGFBP−3は、約28kDaの非グリコシル化分子量を有する。例えば、非特許文献35(ヒト血清より精製された、53kDaのグリコシル化されたIGFBP−3のサブユニットに関する);非特許文献36(IGFBP−3の全長アミノ酸配列および哺乳動物組織培養物細胞における、クローン化されたIGFBP−3 CDNAの細胞性発現に関する);特許文献13(1990年1月25日公開、ヒトの血漿からIGFBP複合体の酸不安定性サブユニット(ALS)の単離およびこのIGFBP−3のサブユニットに関するALSについての特定のアミノ酸配列に関する);および非特許文献37(2種の異なる骨芽細胞株上に対する、全長IGFBP−3および短縮型IGFBP−3の影響に関する)を参照のこと。
最初のうちは、IGFBP−4、IGFBP−5、およびIGFBP−6に対する命名における矛盾が、いくつか存在したが、1991年に第二回国際IGFシンポジウムの参加者が認知されたIGFBP−4、IGFBP−5およびIGFBP−6の命名について同意した。一般に認められた専門用語を用いて、非特許文献38は、ヒトの骨肉種細胞により調製された培地から単離されたIGFBP−4のN末端アミノ酸配列に関し、そして非特許文献39は、ラットおよびヒト由来のIGFBP−4をコードするIGFBPのcDNAに関する。特許文献14(1992年3月5日公開)は、IGFBP−4(その文献中では、もともとIGFBP−5として表記されている)に関し;そして特許文献15(1992年3月5日公開)は、IGFBP−4(その文献中では、もともとIGFBP−5と表記されている)をコードする遺伝性物質に関する。
1992年7月23日に公開された特許文献16は、IGFBP−5(これは、もともと、その文献中では、IGFBP−6として表記された)に関する。非特許文献40は、(U−2−細胞条件培地から、アフィニティー精製されたIGFBPの混合物のIGFに対する細胞性作用の調節に関する。1992年3月5日に公開された特許文献17は、IGFBP−6(これは、もともと、その文献中ではIGFBP−4として表記されている)をコードする遺伝性物質に関し;そして1992年3月5日に公開された特許文献18は、IGFBP−6(これは、もともと、その文献中ではIGFBP−4として表記されている)に関する。特許文献19および特許文献20および特許文献21もまた参照のこと。これらは、IGFBP−6およびそのフラグメントを開示する。
非特許文献41は、4種のIGFBP(IGFBP−2、IGFBP−3、短縮形態のIGFBP−3、およびIGFBP−4)に関し、これらのIGFBPは、成人ヒト血清から、インスリン様増殖因子(IGF)のアフィニティークロマトグラフィーおよび高性能液体クロマトグラフィーにより単離される。非特許文献42は、IGFBP−4、IGFBP−5およびIGFBP−6のアミノ末端アミノ酸を論じている。
単独で投与された場合(すなわち、IGFなしで投与された場合)、上記IGFBPはまた、IGFの副作用(例えば、IGFが過剰に産生された場合に生ずる副作用(例えば、特定の癌細胞(例えば、ホルモン産生癌細胞(例えば、乳癌細胞または腎臓癌細胞))により分泌される遊離のIGF))をブロックするのに治療上有用であり得る。さらに最近では、U−2ヒト骨肉種細胞がIGFBP−5およびIGFBP−6を分泌することが実証された(非特許文献40(前出);非特許文献43;非特許文献44)。U−2条件培地に由来する、アフィニティー精製されたIGF結合タンパク質は、IGF−I刺激された有糸分裂誘発を明確に増強した(非特許文献40、前出)が、これらの研究からはどのタンパク質がこの作用の原因であるのかが不明確であった。非特許文献38は、IGFBP−4(これは、TE−89ヒト骨肉種細胞から精製された)が、IGF−刺激骨芽細胞有糸分裂誘発を阻害することを実証した(非特許文献45;また、非特許文献46を参照のこと)。特許文献22は、腫瘍の増殖を阻害するためのIGFBP−3の使用を開示する。特許文献23は、癌細胞におけるアポトーシスを誘導する方法を開示し、この方法は、この細胞によるIGFBP−5の発現をアポトーシス誘導量まで増加させる工程を包含する。癌細胞を殺す方法、アポトーシスを誘導する薬剤に癌細胞を感作させる方法、および患者における癌を処置する方法もまた記載される。特許文献24は、前立腺癌のリスクを予測する方法を開示し、そして2001年8月30日に公開された特許文献25は、前立腺癌を、特にIGFBP(IGFBP−3を含む)で処置する方法を開示する。特許文献26および特許文献27は、IGFBP−3またはIGFBP−3の発現もしくは活性をアップレギュレートするIGFBP−3の調節因子を投与することにより、p53関連の腫瘍の増殖を阻害する方法を開示する。特許文献28は、炎症性疾患(腫瘍の新脈管形成を包含する)を処置するためのIGFBP−6の使用を開示する。特許文献29は、癌(前立腺癌を含む)を処置するための任意のIGFBP−3の使用を開示する。特許文献30は、ラットの血清から単離された2種のIGFBP(一方は、癌を処置するのに有用なIGFBP−5として同定されている)を開示する。
しかし、疾患をスクリーニングするか、予防するか、または処置する際の、IGFとIGFBPとの間の相互作用の利用は、特異的アンタゴニストの不在のために、制限されている。IGF−1/IGF−2アンタゴニストの、癌の処置における潜在的治療上の補助剤としての適用は、非特許文献47により記載されている。その報告では、IGF−1のD領域と一致するペプチドは、IGF−1/2アンタゴニストとして使用するために合成された。このペプチドは、IGF−1に対して、疑わしい阻害活性を示した。観測された阻害についての基本原理は、明らかではない。なぜなら、上記D領域は、IGF−1レセプター(IGF−1R)結合においてではなく、インスリンレセプターに対するIGF−1結合において有意な役割を果たすからである(非特許文献48;非特許文献49;非特許文献50)。IGFアンタゴニスト(この作用機序は、IGF−1レセプター界面における相互作用の遮断を介する)はまた、インスリンレセプターにおけるインスリン作用を著しく変更し得、このことは、このようなアンタゴニストの短所である。
特定のIGF−1アンタゴニストはまた、特許文献31により記載されており、これは、IGFBPおよびIGFペプチドの一部を開示し、これらが、IGF−1およびIGFBP(すなわち、少なくとも全長IGFBPと同程度の結合親和性でIGFを結合する、IGFBPまたはこれらの修飾体の、単離されたIGF結合ドメイン)の結合を説明する。特許文献はまた、IGFのIGFレセプターへの結合を低減し、そして/またはIGFBPの結合ドメインへ結合するIGFアンタゴニストを開示する。
さらに、特許文献32は、薬学的組成物を開示し、この組成物は、IGF−1レセプターアンタゴニストとして機能する小ペプチド(short peptide)を含む。薬学的組成物において使用されるペプチドは、25未満のアミノ酸からなり、IGF−1のC領域またはD領域の少なくとも一部を含み、そしてIGF−1レセプターのIGF−1誘導型自己リン酸化を阻害する。細胞増殖を阻害する方法および望ましくない細胞増殖(例えば、癌、再狭窄、および喘息)と関連する疾患に罹患している疑いのある個体またはこの疾患に罹患しやすい個体を処置する方法が開示される。
IGFおよびIGFBPの構造を研究することが困難であるために、特異的なIGF−1アンタゴニストの生成が、少なくとも部分的に制限される。回析研究に適したIGF−1の結晶を得ることができないために、例えば、ブタのインスリンの結晶構造に基づくIGF構造の推定は、入手可能なIGF−1の最も重要な構造ロードマップであった(非特許文献51)。また、非特許文献52(これは、IGFの、三次構造、レセプター結合、および抗原性を開示する)を参照のこと。化学的に修飾され、そして変異されたIGF−1の研究に基づき、IGF−1とインスリンとの間の多くの共通の残基が、IGF−1Rインスリンレセプター接触部位の一部(特に、23位〜25位での芳香族残基)として同定されている。NMRおよび制限された分子動力学を用いて、IGF−1の溶液構造は、最近報告された(非特許文献48、前出)。生じた最小化構造は、改変されたIGF−1についての実験上の知見、およびインスリンの構造−活性研究からなされた推定に、よりよく一致することが示された。さらには、非特許文献53は、ミニIGF−1の溶液構造を開示する。非特許文献54は、1H−NMRおよびディスタンスジオメトリー法により決定されるIGF−1の三次元構造を開示する。非特許文献55は、ヒトIGF−2の溶液構造、およびヒトIGF−2とレセプターとの関係、および結合タンパク質相互作用を開示する。非特許文献56は、長(Arg(3))IGF−1の溶液構造およびバックボーン力学(backbone dynamics)を開示する。
アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性のいずれかを有する、インスリンおよび/またはインスリン様増殖因子レセプターに結合し得るペプチド配列、ならびに種々のペプチドライブラリーから同定されたペプチド配列は、2001年10月4日に公開された特許文献33において記載される。
2003年5月15日に公開された特許文献34は、IGF−1と、結合タンパク質、インスリンレセプター、およびIGFレセプターとの相互作用をアンタゴナイズするペプチドを開示する。これらのIGFアンタゴニストペプチドは、原因因子としてIGF−1が関与する障害(例えば、種々の癌)を処置するのに有用である。
古典的なIGFBPに基づく構造的な情報に関して、IGFBPは、22kDa〜31kDaの範囲の分子量を有し、そして保存されたアミノ末端ドメインまたは保存されたカルボキシ末端ドメインに、全部で16−20個のシステインを含む(非特許文献7、前出;非特許文献57;非特許文献58)。システインリッチな両領域をつなぐ中心ドメインは、非常に弱く保存されていて、そしてIGFBP特異的なプロテアーゼの切断部位を含む(非特許文献59;非特許文献57(前出);非特許文献60)。IGFBPのさらなる調節は、リン酸化およびグリコシル化により達成され得る(非特許文献7(前出);非特許文献57(前出))。IGFBPファミリーの任意のインタクトなメンバーにとって利用可能な高分解能構造はない。特許文献35は、IGFBP−5およびその改変体を開示する。特許文献36および特許文献37は、短縮型のC末端IGFBP−5フラグメントを開示し、このフラグメントは、全長IGFBP−5と比較して、IGF−Iに対して親和性が低減している。特許文献38は、C末端短縮化IGFBP−5を用いて、骨形成を刺激する工程を開示する。これらの化合物は、骨細胞の増殖を刺激するために、骨障害を処置するために、またはマイトジェンの活性を刺激するために、使用され得る。
IGF−結合活性を保持するIGFBP−5からの2種のN末端フラグメントのNMR構造が、最近報告され、IGFBP−5の残基40〜残基92が、このタンパク質のN−末端ドメインのIGF結合部位を含むことを示した(非特許文献61)。他の研究により、IGFBP−3のN−末端フラグメント(残基1−残基88、および残基1−残基97)はまた、IGFを結合することが見出されている(非特許文献62;非特許文献63)。
特に、非特許文献62は、ヒトIGFBP−3のアミノ末端(残基1−残基88;N−88)およびカルボキシ末端(残基165−264;C−165)の両ドメインを、カルボキシ末端FLAGペプチドとの融合タンパク質として、細菌中で合成した。溶液結合アッセイにより、IGF−IおよびIGF−IIへの結合を示したのはC−165だけだった。しかし、バイオセンサー分析により、全長IGFBP−3と比較して親和性が低減しているにもかかわらず、N−88およびC−165の両方が、IGF−IおよびIGF−IIへの結合を示した。カルボキシ末端フラグメント(C−165)のみが、IGF−Iと酸不安定性サブユニット(ALS)とのヘテロトリマー複合体を形成し得た。
非特許文献63は、バイオセンサー分析を用いて、組み換えヒトN−末端(残基1−残基97;N−97)IGFBP−3フラグメントおよび組み換えヒトC−末端(残基98−残基264;C98)IGFBP−3フラグメントに対するIGF−IおよびIGF−IIの結合を測定し、それを、IGFとインタクトなIGFBP−3との結合と比較した。結合タンパク質もしくはフラグメントを固定化するか、またはIGFを固定化するかのいずれかで、実験が行われた。これらの実験は、IGF−IおよびIGF−IIが、4×10−9M〜5×10−9Mの親和性で、そして同程度の速度論で、IGFBP−3に結合することを示した。IGFタンパク質に対するN−97およびC−98の両方の親和性は、全長IGFBP−3の親和性よりも3桁低かった。
2003年8月28日に公開された特許文献39および特許文献40は、免疫不全によってではなく免疫刺激により特徴付けられる状態を処置するための、IGF−Iを結合しないIGFBP−3のフラグメントを開示する。このペプチドは、IGFBP−3のC末端のCD74ホモロジードメイン配列およびこの領域(独特の抗原性を有する)に局在化する活性を標的化する。この領域の配列に合わせて作製されたペプチドは、IGFBP−3と多くの公知のリガンド(このようなリガンドとしては、RXR−α、トランスフェリン、ALS、プラスミノーゲン、フィブリノーゲン、およびプレカリクレインが挙げられる)との結合を妨害することが以前に示されている(非特許文献64;非特許文献65;非特許文献66;非特許文献67;非特許文献68)。
IGFBP−3由来の金属結合ドメインペプチドは、以前に開示されたIGFBP−3由来の分子(これは、IGF−Iを結合し得ないこと、独特の抗原性、およびIGFBP−3のIGFBP−3推定デスレセプター(death receptor)(P4.33)相互作用ドメイン(いわゆる「中間領域(mid−region)」、アミノ酸88−148)が存在しないという点で)とは異なる。上記P4.33の推定上のデスレセプターは、特許文献41に記載されている(Genbank登録番号BC031217;gi;21411477)。例えば、特許文献42は、IGFBP−3の点変異の使用を教える(IGFBP−3の点変異では、IGF−Iに対する結合が弱化されている)。しかし、記載された分子は、IGFBP−3の中間領域を含み、そしてP4.33推定レセプターと相互作用することにより、生物学的効果を発揮することが予想されている。特許文献43は、疾患を処置するためのP4.33調節因子の使用を教示する。上記金属結合ペプチドは、P4.33推定相互作用ドメイン(IGFBP−3の中間領域)を含まない。
特許文献44、特許文献45および特許文献46は、加水分解に耐性であるように修飾されたIGFBP−3改変体を開示する。また、ネイティブなIGFBP−3における核局在化シグナル(NLS)が変更された改変体IGFBP−3も開示される。さらに、アミノ末端が伸張されたIGFBP−3が開示され、これとしては、種々のN−末端伸張(ペプチドおよびヌクレオチド結合ドメインを含む)、特定の結合メンバー(例えば、レセプターからのリガンド結合ドメインまたは免疫グロブリンからの抗原結合ドメイン)、ならびにペプチドホルモンおよびタンパク質ホルモンおよび増殖因子が挙げられる。N−末端伸張型IGFBP−3は、加水分解耐性のIGFBP−3またはNLS改変体IGFBP−3を包含し得る。
最近の刊行物のいくつかは、培養物中の細胞を処理するためのIGFBP−3ペプチドの使用を記載する。乳癌細胞に対して活性であることが見出されている唯一のペプチドは、IGFBP−3の中間領域に由来する(非特許文献69;非特許文献70)。
2003年3月27日に公開された特許文献47は、上記のIGF結合タンパク質由来のペプチド(IGFBP−3のC末端ドメインから12アミノ酸〜22アミノ酸のみを含む小ペプチドを含む)が、全長分子の、コ−アポトーシス特性、細胞貫通特性、および金属を結合する特性を模倣し得ることを開示する。
特許文献48は、IGFBP−3の変異体を開示し、このIGFBP−3の変異体は、DNA合成を阻害し得、アポトーシスを誘導し得、そしてヒトIGF−IにもヒトIGF−IIにも結合せず、そしてY57にて変異を含み得る。
特許文献49は、X線回折に適した結晶(この結晶は、IGF−IまたはIGF−IIと、IGFBP−1、IGFBP−2、IGFBP−3、IGFBP−4、またはIGFBP−5の少なくとも第9番目〜第12番目のシステインまたはIGFBP−6の少なくとも第7番目〜第10番目のシステインを含む、IGFBP−1のアミノ酸39−91、IGFBP−2のアミノ酸55−107、IGFBP−3のアミノ酸47−99、IGFBP−4のアミノ酸39−91、IGFVP−5のアミノ酸40−92もしくはIGFBP−6のアミノ酸40−92またはこれらのフラグメントとからなるポリペプチドとの複合体を含む);このような結晶の原子上の座標の決定のための方法;IGF−IおよびIGF−IIに対する結合親和性が増強されたIGFBP変異体、ならびにIGFを結合タンパク質から置換する低分子を同定および最適化する方法を開示する。
特許文献50は、IGFに対する結合がまったくないかまたは結合が低減した変異体IGFBP−3ポリペプチドおよびこれらのフラグメントを開示し、ヒトIGFBP−3レセプター(「P4.33」)に対して結合する能力を保持する。このフラグメントは、87アミノ酸〜264アミノ酸を有するN欠失フラグメントである。フラグメント1−87は、IGF−Iにわずかに結合し、そして他のフラグメント(1−46、1−75および1−80)は、まったく結合しない。
特許文献51は、IGF−IGFBP結合の原因となるIGFBPフラグメントを開示する。それは、IGFBPまたはこの修飾体の単離されたIGF結合ドメイン(これは、全長IGFBPと少なくとも同程度の結合親和性でIGFを結合する)を提供する。それはまた、IGFレセプターに対するIGFの結合を低減するIGFアンタゴニストを提供する。それは、IGFBP−2フラグメントに特に関連するが、またIGFBP−1、IGFBP−3、IGFBP−4、IGFBP−5、およびIGFBP−6の単離されたIGF結合ドメインを提供する。IGFBP−2のIGF結合ドメインに関し、他のIGFBPのIGF結合ドメインを含むアミノ酸配列は、結合ドメインの結合親和性が比較上のネイティブ全長IGFBPの結合親和性とほぼ同一である限り、修飾された形態を含み得る。
特許文献52は、IGFBPフラグメントおよびその使用(すなわち、そのアミノ酸配列部分において特徴づけられるペプチドは、IGFBPのアミノ酸配列と一致する)を開示する。本発明はまた、環状誘導体、グリコシル化誘導体、リン酸化誘導体、アセチル化誘導体、アミド化誘導体および/または硫酸化誘導体に関する。これらは、IGFBP−3のC末端ドメインを含む。
遺伝子融合体(gene fusion)の使用(これは、必要不可欠ではない)は、E.coliにおける異種ペプチドの発現およびその後の遺伝子産物の精製を促進し得る(Harris,Genetic Engineering,Williamson,R.編(非特許文献71;非特許文献72;および非特許文献73)。プロテインA融合体がしばしば使用される。なぜなら、プロテインAのIgGに対する結合、より具体的にはプロテインAのZドメインのIgGに対する結合は、上記融合タンパク質の精製のための「親和性ハンドル(affnity handle)」を提供する。E.coli内で直接的に発現された場合、多くの異種タンパク質が分解されるが、融合タンパク質として発現された場合には、安定であることもまた示されている(非特許文献74)。
融合タンパク質は、メチオニンまたはヒドロキシルアミンにて切断し、Asn残基とGly残基との間を切断する化学薬品(例えば、臭化シアン)を用いて切断され得る。標準的な組み換えDNA方法論を用いて、これらのアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基対は、所望のペプチドをコードする遺伝子の5’末端の前に挿入され得る。
あるいは、融合タンパク質のタンパク質分解性の切断が使用され得る(非特許文献75)。
エピトープをIGFBP−3または他のリガンドの上に結合させる工程を解明するために使用され得、治療上または診断上の用途のためにIGFアンタゴニストとして作用して循環型IGFおよびレセプター応答のレベルを制御し、そして他の治療上、診断上、またはアッセイの目的で使用され得る分子が、当該分野においてずっと必要とされている。
国際公開第01/75064号パンフレット 米国特許第6,121,416号明細書 米国特許第6,251,865号明細書 米国特許第5,077,276号明細書 米国特許第5,164,370号明細書 米国特許第5,470,828号明細書 国際公開第96/33216号パンフレット 欧州特許第742,228号明細書 米国特許第5,714,460号明細書 国際公開第9792号パンフレット 国際公開第89/08667号パンフレット 国際公開第89/09268号パンフレット 国際公開第90/00569号パンフレット 国際公開第92/03471号パンフレット 国際公開第92/03470号パンフレット 国際公開第92/12243号パンフレット 国際公開第92/03469号パンフレット 国際公開第92/03152号パンフレット 米国特許出願公開第2003/0082744号明細書 米国特許第6,025,465号明細書 米国特許第5,212,074号明細書 国際公開第03/068160号パンフレット 国際公開第03/006029号パンフレット 米国特許第6,410,335号明細書 米国特許出願公開第2001/0018190号明細書 米国特許第5,840,673号明細書 欧州特許第871,475号明細書 国際公開第00/35473号パンフレット 国際公開第94/22466号パンフレット 国際公開第92/14834号パンフレット 国際公開第00/23469号パンフレット 欧州特許第639981号明細書 国際公開第01/72771号パンフレット 米国特許出願公開第2003/0092631号明細書 米国特許第6,500,635号明細書 米国特許第6,391,588号明細書 米国特許第6,489,294号明細書 米国特許第6,369,029号明細書 米国特許出願公開第2003/0161829A1号明細書 国際公開第03/025121号パンフレット 国際公開第01/87238号パンフレット 国際公開第02/34916号パンフレット 国際公開第01/87238号パンフレット 米国特許第6,417,330号明細書 国際公開第99/63086号パンフレット 米国特許出願公開第2002/0072589号明細書 米国特許出願公開第2003/0059430号明細書 国際公開第03/052079号パンフレット 国際公開第02/098914号パンフレット 国際公開第02/34916号パンフレット 国際公開第00/23469号パンフレット 国際公開第99/32620号パンフレット ClarkおよびRobinson,Cytokine Growth Factor Rev.,7:65−80(1996) JonesおよびClemmons,Endocr.Rev.,16:3−34(1995) McInnesおよびSykes,Biopoly.,43:339−366(1998) Ullrichら、EMBO J.,5:2503−2512(1986) Garrettら、Nature,394:395−399(1998) Baxterら、Endocrinology,139:4036(1998) BachおよびRechler,Diabetes Reviews,3:38−61(1995) Ohら、Endocrinology,132:1337−1344(1993) Cookeら、Biochemistry,30:5484−5491(1991) Huaら、J.Mol.Biol.,259:297−313(1996) DeWolfら、Protein Science,5:2193−2202(1996) Terasawaら、EMBO J.13:5590−5597(1994) Torresら、J.Mol.Biol.248:385−401(1995) Loddickら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:1894−1898(1998) Lowmanら、Biochemistry,37:8870−8878(1998) Bayneら、J.Biol.Chem.265:15648−15652(1990) Bayneら、J.Biol.Chem.,264:11004−11008(1989) Cascieriら、Biochemistry,27:3229−3233(1988) Barら、Endocrinology,127:3243−3245(1990) Bagleyら、Biochem.J.,259:665−671(1989) Baxterら、J.Biol.Chem.,267:60−65(1992) Bayneら、J.Biol.Chem.,263:6233−6239(1988) Clemonsら、J.Biol.Chem.265:12210−12216(1990) Clemmonsら、Endocrinology,131:890−895(1992) Hedingら、J.Biol.Chem.,271:13948−13952(1996) Janssonら、Biochemstry,36:4108−4117(1997) Janssonら、J.Biol.Chem.,273:24701−24707(1998) Cascieriら、Biochemistry,27:3229−3233(1988) Bayneら、J.Biol.Chem.,264:11004−11008(1988) Peterkofskyら、Endocrinology、128:1769−1779(1991) Cascieriら、J.Biol.Chem.,264:2199−2202(1989) Slieckerら、Adv.Experimental Med.Biol.,343:25−32(1994)) Clemmonsら、(1991)Modern Concepts of Insulin−like Growth Factors.E.M.Spencer(編)Elsevier,New York,N.Y.475−486 Binkertら、The EMBO Journal,8:2497−2502(1989) Baxterら、Biochim.Biophys.Res.Com.,139:1256−1261(1986) Woodら、Mol.Endocrinol.,2:1176−1185(1988) Schmidら、Biochim.Biophys.Res Com.,179:579−585(1991) Mohanら、Proc.Natl.Acad.Sci.,86:8338−8342(1989) Shimasakiら、Mol.Endocrinoloogy,4:1451−1458(1990) AndressおよびBirnbaum、Biochim.Biophys.Res Com.,176:213−218(1991) Zapfら、J.Biol.Chem.,265:14892〜14898(1990) Shimasakiら、第2回国際IGFシンポジウムのアブストラクト(1991年1月) Shimasakiら、J.Biol.Chem.266:10646−10653(1991) Shimasakiら、Mol.Endocrinol.,5:938−948(1991) Mohanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)86:8338−8342(1989) LaTourら、Mol.Endocrinol.4:1806−1814(1990) Pietzkowskiら、Cancer Res.52:6447−6451(1992) Cookeら、Biochem.,30:5484−5491(1991) Bayneら、J.Biol.Chem.,264:11004−11008(1988) Yeeら、Cell Growth and Different.,5:73−77(1994) Blundellら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75:180−184(1978) Blundellら、Fed Proc.,42:2592(1983) De Wolfら、Protein Sci.,5:2193(1996) Satoら、Int.J.Pept.41:433(1993) Torresら、J Mol.Biol.248:385(1995) Laajokiら、J.Biol.Chem.275:10009(2000) Clemmons,Cytokine Growth Factor Rev.8:45−62(1997) MartinおよびBaxter,Curr.Op.Endocrinol.Diab.16−21(1994) Chernausekら、J.Biol.Chem.270:11377−11382(1995) Conover,Prog.Growth Factor Res.,6:301−309(1995) Kalusら、EMBO J.17:6558〜6572(1998) Galanisら、Jounral of Endocrinology,169(1):123−133(2001) Vorwerkら、Endocrinology,143(5):1677−1685(2002) Liuら、J.Biol.Chem.,275:33607〜33613(2000) Weinzeimerら、J.Clin.Endocrinol.Metab.,86:1806−13(2001) Campbellら、Am.J.Physiol.,275:E321−E231(1998) Campbellら、J.Biol.Chem.274:30315−30221(1999) Firthら、J.Biol.Chem.,273:2631−2638(1998) McCaigら、Br.J.Cancer,86:1963−1969(2002) Perksら、Biochim.Biophys.Res.Comm.、294:988−994(2002) Harris,Genentic Engineering,Williamson,R.(編)(Academic Press,London,第4巻、1983),p127 Ljungquistら、Eur.J.Biochem.,186:557−561(1989) Ljungquistら、Eur.J.Biochem.,186:563−569(1989) Marston,Biochem J.240:1(1986) Carter、Protein Purification:Molecular Mechanism to Large−Scale Processes,Ladischら、編(American Chemical Society Symposium Series、No.427,1990)、Ch13、181頁〜193頁
(発明の要旨)
従って、本発明は、請求される通りである。一つの実施形態において、本発明は、融合タンパク質(すなわち、ヒトIGFBP−3)を提供し、この融合タンパク質は、Staphylococcus aureusからのプロテインAの合成されたZドメインに連結されたネイティブ配列ヒトIGFBP−3フラグメントの残基47〜残基99からなるIGFBP−3フラグメント(以下の配列番号1)(すなわち、短縮型IGFBP−3)を含み、これは、以下の配列:
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK(配列番号10)
を有する。
このような一つの実施形態において、この融合タンパク質は、ファージ上にディスプレイされる。別の実施形態では、このフラグメントは、切断可能なリンカーペプチドを用いて、Zドメインに連結される。このような切断可能なリンカーペプチドは、好ましくは、以下の配列のうちの一つを含む:DLVD(配列番号2)、DEMD(配列番号3)、DAVD(配列番号4)、EFGGGDDDK(配列番号5)、EFGGLVPRGS(配列番号6)、EFGGDLVD(配列番号7)、EFGGDEMD(配列番号8)、またはEFGGDAVD(配列番号9)。別の実施形態では、ASA配列は、ZドメインのN末端に存在する。なお別の実施形態では、このフラグメントは、アフィニティーマチュレーションされる。
本明細書中でまた提供されるのは、キャリア(好ましくは薬学的に受容可能なキャリア)中に上記融合タンパク質を含有する組成物である。好ましくは、この組成物は、滅菌されている。
さらに提供されるのは、融合タンパク質をコードする核酸分子、上記核酸を含むベクター、上記核酸を含む宿主細胞、ならびにIGFBP−3融合タンパク質を産生する方法であって、この方法は、上記宿主細胞を適切な条件下で培養し、上記融合タンパク質を発現させる工程、およびこの融合タンパク質を宿主細胞培養物から回収する工程を包含する。上記宿主が原核生物であり、より好ましくは、細菌細胞(例えば、E.coli)であることが望ましい。
これらの融合タンパク質は、リガンドがIGFBP−3結合部位を有するかを決定するためのアッセイを包含する多くの適用において使用され得る。IGF−I結合部位またはIGF−II結合部位を含む、本明細書中の融合タンパク質は、構造的なデータがない場合に、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3上の、IGF結合部位およびIGF−I以外のIGF−IアゴニストリガンドIGF結合部位およびIGF−I以外のIGF−Iアゴニストリガンド(例えば、ファージパニング実験により単離されたペプチド(例えば、Lowmanら(前出)中に記載されたbp15)の結合部位の解明およびマッピングのためにさらに有用である。
なお別の実施形態では、本発明は、細胞ベースのアッセイにおける、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3、ネイティブ配列ヒトIGF−I、もしくはネイティブ配列ヒトIGF−II、または上記IGF−Iもしくは上記IGF−IIのアゴニストの生物学的活性を決定するための方法を提供し、この方法は、細胞と、融合タンパク質(これは、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3ではなくIGF−IもしくはIGF−IIに結合するIGFBP−3フラグメントに連結されたペプチドを含む)とを接触させる工程、ならびにネイティブ配列ヒトIGBP−3、ネイティブ配列ヒトIGF−I、またはネイティブ配列ヒトIGF−II、または上記IGF−Iもしくは上記IGF−IIのアゴニストに起因し得る生物学的活性が観察されるか否かを決定する工程を包含する。
一つの実施形態では、この生物学的活性は、IGF−Iとは独立した、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3のアポトーシスである。
別の実施形態では、このアッセイは、IGF依存性のKIRAリン酸化アッセイである。このアッセイは、ヒト1型レセプターの直接的な活性のアッセイである。チロシンキナーゼファミリーのレセプター(例えば、1型IGF−1レセプター)が活性化される場合、これは、チロシン残基上でリン酸化される。このアッセイにおいて、1型IGFレセプターを含む細胞は、インビトロで活性化され、次いで、崩壊(disrupt)され、そしてこのレセプターに対する抗体が使用され、IGFレセプターを沈殿せしめる。次に、抗ホスホチロシン抗体を使用し、リン酸化された1型IGFレセプターの量をアッセイする。固定数の細胞が使用される場合、リン酸化されたレセプターの量は、1型IGFレセプター上の分子の活性の直接的な基準である。このKIRAアッセイにおいて、細胞(例えば、乳癌細胞株)は、IGF−IまたはIGF−IIプラス上記融合タンパク質で処理され、そしてこの融合タンパク質の生物学的活性は、リン酸化されたレセプターの量により決定される。
なお別の実施形態では、生物学的活性は、放射標識したIGF−IまたはIGF−IIの細胞への結合の阻害である。
さらなる局面では、本発明は、アポトーシスの増強を決定するための方法を提供し、この方法は、乳癌細胞を、細胞をアポトーシス因子(例えば、パクリタキセルまたはドキソルビシン)で処理する前にIGF−IまたはIGF−IIを結合するIGFBP−3フラグメントまたはその融合タンパク質、およびネイティブ配列ヒトIGFBP−3または上記IGFBP−3フラグメントもしくはその融合タンパク質で少なくとも24時間処理する工程、ならびに、この前処理もしくは処理が、アポトーシス因子を用いた処理により誘導されるアポトーシスを増強するか、または前処理もしくは処理がその目的に対して有効である量を決定する工程を包含する。
(発明の詳細な説明)
(A.定義)
本明細書中で使用される場合、「IGF」とは、ネイティブなインスリン様増殖因子Iおよびネイティブなインスリン様増殖因子II、ならびにこれらの天然に存在する改変体(例えば、脳IGF、別名デス(1−3)IGF−Iとして公知)をいう。
本明細書中で使用される場合、「IGF−I」とは、任意の種(このような種としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、およびヒトが挙げられるが、好ましくは、ヒト)からのインスリン様増殖因子Iならびに任意の供給源からのインスリン様増殖因子I(天然インスリン様増殖因子I、合成インスリン様増殖因子I、または組み換えインスリン様増殖因子I)をいう。これは、例えば、1987年8月5日に公開されたEP230,869;1984年12月19日に公開されたEP128,733;または1988年10月26日に公開されたEP288,451に記載されるプロセスにより調製され得る。「ネイティブ配列ヒトIGF−I」または「野生型IGF−I」は、野生型のヒトIGF−Iである。
本明細書中で使用される場合、「IGF−II」とは、任意の種(このような種としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、およびヒトが挙げられるが、好ましくはヒト)からのインスリン様増殖因子IIならびに任意の供給源からのインスリン様増殖因子II(天然インスリン様増殖因子II、合成インスリン様増殖因子II、または組み換えインスリン様増殖因子II)をいう。IGF−IIは、例えば、EP128,733において記載される方法により調製され得る。「ネイティブ配列ヒトIGF−II」または「野生型IGF−II」は、野生型のヒトIGF−IIである。
「IGFBP」または「IGF結合タンパク質」とは、IGF−IまたはIGF−IIが循環性(すなわち、血清中または組織中)であるか否かに関わらず、通常IGF−IまたはIGF−IIと会合するか、結合するか、または複合体形成するタンパク質またはポリペプチドをいう。このような結合タンパク質は、レセプターを含まない。この定義は、IGFBP−1、IGFBP−2、IGFBP−3、IGFBP−4、IGFBP−5、IGFBP−6、Mac25(IGFBP−7)、およびプロスタサイクリン刺激因子(PSF)、または内皮細胞特異的分子(ESM−1)、ならびにIGFBPに対して高い相同性を有する他のタンパク質を包含する。Mac25は、例えば、Swisshelmら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:4472−4476(1995)およびOhら、J.Biol.Chem.,271:30322〜30325(1996)に記載される。PSFは、Yamaguchiら、Biochemcal Journal,303:591−598(1994)に記載されている。ESM−1は、Lassalleら、J.Biol.Chem.,271:20458−20464(1996)に記載されている。他の同定されたIGFBPとしては、例えば、1990年6月27日に公開されたEP375,438;1990年5月23日に公開されたEP 369,943;1989年10月5日に公開されたWO 89/09268;Woodら、Molecular Endocrinology,2:1176−1185(1988);Brinkmanら、The EMBO J.7:2417−2423(1988);Leeら、Mol.Endocrinol.,2:404−411(1988);Brewerら、BBRC,152:1289−1297(1988);1988年12月7日に公開されたEP294,021;Baxterら、BBRC、147:408−415(1987);Leungら、Nature,330:537−543(1987);Martinら、J.Biol.Chem.261:8754−8760(1986);Baxterら、Comp.Biochem.Physiol.91B:229−235(1988);1989年9月21日に公開されたWO 89/08667;1989年10月19日に公開されたWO 89/09792;Binkertら、EMBO J.,8:2497−2502(1989);EP 369,943B1;米国特許第5,973,115号;EP1,295、939;および米国特許第6,004,775号およびEP546053を参照のこと。
「IGFBP−3」すなわち「インスリン様増殖因子結合タンパク質−3」とは、任意の種(このような種としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、およびヒトが挙げられるが、好ましくは、ヒト)からのIGFBP−3もしくはBP53、または任意の供給源(天然、合成または組み換え)からのIGFBP−3もしくはBP53をいい、米国特許第5,258,287号および同第5,328,891号に記載される。「ネイティブ配列ヒトIGFBP−3」「野生型IGFBP−3」および「全長IGFBP−3」は、米国特許第5,258,287号および同第5,328,891号に記載された、5位にグリシンを有する野生型ヒトIGFBP−3もしくはBP−53(すなわち、配列番号1)または5位にアラニンを有する野生型ヒトIGFBP−3もしくはBP−53(すなわち、配列番号12)である。
配列番号1は、以下の配列:
Figure 2007537711
である。
配列番号12は、以下の配列:
Figure 2007537711
である。
「IGFBP−3フラグメント」とは、少なくとも1つのアミノ酸を欠くネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1または配列番号12)である。好ましくは、このフラグメントは、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1または配列番号12)のN末端フラグメント(例えば、残基1−残基46、残基1−残基88、残基1−残基89、残基1−残基90、残基1−残基91、残基1−残基92、残基1−残基93、残基1−残基94、残基1−残基95、残基1−残基96、残基1−残基97、残基1−残基98、残基1−残基99、残基1−残基185、または残基47−残基99を有する(もしくはこれと一致する)ペプチド)あるいはネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1)のC末端フラグメント(例えば、残基98−残基264、残基100−残基264、残基165−残基264、残基185−残基264を有するペプチド)である。より好ましくは、IGFBP−3フラグメントは、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1または配列番号12)の残基1−残基46、残基1−残基88、残基1−残基97、残基1−残基99、残基47−残基99、残基1−残基185、残基98−残基264、残基100−残基264、残基165−残基264および残基185−残基264を有するペプチドからなる群より選択され、そして最も好ましくは、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1)の残基47−残基99を有するペプチドである。
「融合タンパク質」は、直接的にかまたはリンカー(すなわち、「リンカーペプチド」または「連結ペプチド(linking peptide)」)を介してのいずれか(好ましくは、このようなリンカーを介して)で、一緒に連結された2個の別個のペプチドを有するタンパク質である。例えば、1種の融合タンパク質は、IGFBP−3フラグメントに融合されたプロテインAのZドメインを含むタンパク質であり、Zドメインおよびフラグメントは、切断が所望されない場合に直接的に連結され得るか、または切断が所望され得る場合に切断部位(例えば、カスパーゼ−3タンパク質分解部位)を介して連結され得る。
本明細書中で使用される場合、「プロテインAのZドメイン」とは、例えばEP230,869 B1に図3の合成Z領域として、そしてSamuelssonら、Bio/Technology,9:363(1991)およびNilssonら、Protein Eng.1(2):107−113(1987)に記載されたStaphylococcalプロテインAのIgG結合ドメインをいう。
「ペプチド」は、少なくとも2個のアミノ酸を有する分子であり、そして少なくとも約50アミノ酸を有するポリペプチドを包含する。この定義としては、ペプチドフラグメント、誘導体、その塩、または光学異性体、ならびにリンカーが挙げられる。好ましくは、本明細書中のペプチドは、約35アミノ酸〜200アミノ酸、より好ましくは、約40アミノ酸〜170アミノ酸を有する。
本明細書中に記載される場合、「アポトーシス因子」は、アポトーシスまたは細胞死を誘導する分子である。このような分子としては、化学療法剤、抗ホルモン剤、細胞傷害性因子および他の薬剤(細胞死を誘導するこれらのいくつかは、以下に定義される)が挙げられる。好ましくは、このような因子は、化学療法剤であり、より好ましくは、ドキソルビシンまたはパクリタキセルであり、最も好ましくは、パクリタキセルである。
「アフィニティーマチュレーションされた」IGFBP−3ペプチドフラグメントまたは融合タンパク質は、このペプチドフラグメントまたは融合タンパク質内に1以上の変更を有し、これらの変更を保有しない対応する親ペプチドフラグメントまたは融合タンパク質と比較して、上記ペプチドフラグメント融合タンパク質のIGF−IもしくはIGF−IIに対する親和性を改良する。アフィニティーマチュレーションされた好ましいIGFBP−3ペプチドフラグメントまたは融合タンパク質は、標的IGFに対して、ナノモル濃度の親和性を有するか、または、ピコモル濃度の親和性さえを有する。アフィニティーマチュレーションされたペプチドフラグメントおよび融合タンパク質は、当該分野で公知の手順(ファージディスプレイ(LowmanおよびWells,J.Mol.Biol.,234(3):564−578(1993);Lowmanら、Biocheimstry,30(45):10832−10838(1991));合理的な突然変異誘発(Lowmanら、J.Biol.Chem.,261(17):10982〜10988(1991);Hawkinsら、J.Mol.Biol.,234(4):958−964(1993));ランダムな突然変異誘発(Fiedlerら、Protein Eng.15(11):931−941(2002))ならびにDNAシャッフリングおよびファージディスプレイ(Hulsら、Cancer Immunol.Immunother.50(3):163−171(2001);van den Beuckenら、J.Mol.Biol.,310(3):591−601(2001))が挙げられる)により生み出される。
本明細書中で用いられる場合、処置目的の「哺乳動物」とは、哺乳動物として分類される任意の動物(このような動物としては、ヒト、家畜、および農場動物、ならびに動物園の動物、スポーツ用動物、もしくはペットの動物(例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、牝牛などが挙げられる)をいう。本明細書中での好ましい哺乳動物は、ヒトである。用語「非成体」とは、周産期(例えば、生誕時の体重が軽い乳児)から思春期までの哺乳動物をいい、ここで、思春期は、十分な増殖可能性にまだ到達していないものである。
本明細書中で使用される場合、用語「処置すること」とは、治療上の処置および予防上(prophalytic)もしくは予防上(preventative)の手段の両方をいう。処置を必要とする人々としては、すでに障害を有する人々ならびに障害を有する傾向があるか、または障害を有すると診断された人々または上記障害が予防されるべき人々が挙げられる。継続性の処置または投与とは、1日以上処置が中断されることのない少なくとも1日単位での処置をいう。間欠性の処置もしくは投与、または間欠性の様式での処置もしくは投与とは、継続的ではないが、むしろ周期的な性質の処置をいう。本明細書中での処置レジームは、継続性であるかまたは間欠性のいずれかであり得る。
本明細書中で用いられる場合、「IGFアンタゴニスト」とは、IGF−IまたはIGF−IIの1種以上の生物学的活性(例えば、IGF−IまたはIGF−IIの同化作用)を遮断または阻害するペプチドをいう。
本明細書中で使用される場合、内因性IGFの血清レベルまたは組織レベルが変化する状況での「活性な」IGFまたは「生物学的に活性な」IGFとは、IGFのレセプターに結合するか、または別のやり方で生物学的活性(例えば、同化作用)を生ぜしめるIGFをいう。
用語「有効量」とは、哺乳動物内において疾患または障害を処置するのに有効なペプチドの量をいう。癌の場合、有効量のペプチドは、癌細胞の数を減少し得;腫瘍の大きさを小さくし得;癌細胞の末梢器官への浸潤を阻害(すなわち、ある程度遅延させ、そして好ましくは停止)し得;腫瘍の転移を阻害(すなわち、ある程度遅延させ、そして好ましくは停止)し得;ある程度腫瘍の増殖を阻害し得;そして/またはこの障害に関連する1種以上の症状をある程度緩解し得る。ペプチドが増殖を妨害し、そして/または存在する癌細胞を殺傷し得る程度に、このペプチドは、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。癌治療としては、例えば、疾患の進行までの時間(TTP)を評価し、そして/または応答速度(RR)を決定することにより、インビボでの効能が測定され得る。
用語「癌」および「癌の」とは、代表的には、制御されない細胞増殖により特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態をいい、これを描写する。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌の、より詳細な例としては、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌(squamous carcinoma))、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancerまたはstomach cancer)(胃腸癌を含む)、膵臓癌、多形性グリア芽腫、頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、直腸結腸癌、子宮内膜癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancerもしくはrenal cancer)、肝臓癌、前立腺癌、外陰部の癌、甲状腺癌、肝癌および種々の型の頭部癌および頚部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低グレード/小胞の非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中グレード/小胞NHL;中グレード拡散性NHL;高グレードの免疫芽球性NHL;高グレードのリンパ芽球性NHL;高グレ−ドの小非切断性細胞NHL;大きな腫瘍NHL;皮膜細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);へアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに移植後リンパ球増殖性障害(PTLD)が挙げられる。好ましくは、上記癌は、IGFレセプターを発現する腫瘍を包含し、より好ましくは、乳癌、肺癌、直腸結腸癌、または前立腺癌を包含し、最も好ましくは、乳癌および前立腺癌を包含する。
本明細書中に使用される場合、用語「細胞傷害性因子」とは、細胞の機能を阻害もしくは予防し、そして/または細胞の破壊を引き起こす物質をいう。この用語は、放射活性な異性体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re 186、Re188、Sm153、Bi212、P32およびルテチウムの放射活性な異性体)、化学療法剤、および毒素(例えば、細菌、菌類、植物、または動物が起源の、低分子毒素または酵素的に活性な毒素(これらのフラグメントおよび/もしくは改変体を含む)を包含することが意図される。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用である化学化合物である。化学療法剤の例としては、アルキル化剤(例えば、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド);アルキルスルホン酸塩(ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン);アジリジン(例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa));エチレンイミンおよびメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホロアミド、トリエチレンチオホスホロアミド、およびトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine);アセトゲニン(特に、ブラタシン(bullatacin)およびブラタシノン(bullatacinone);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(これのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびビゼレシン(bizelesin)の合成アナログを含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);ズオカルマイシン(duocarmycin)(合成アナログ、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エレウセロビン(eleutherobin);パンクラティスタチン(pancratistatin);サルコジクチン(sarcodictyin);スポンギスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロラナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロフォスファミド(trofosfamide)およびウラシルマスタード);ニトロソ尿素類(例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン);エネジイン(enedyine)抗生物質のような抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンγIIおよびカリケアミシンωII(例えば、Agnew、Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)を参照のこと));ジネミシン(dynemicin)(ジネミシンAを含む);ビスホスホネート(例えば、クロドロネート);エスペラミシン(esperamicin);ならびにネオカルチノスタチン、クロモフォアおよび関連するクロモプロテインエネジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン);抗代謝剤(例えば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU));葉酸アナログ(例えば、デノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート);プリンアナログ(例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン(thioguanine));ピリミジンアナログ(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキリフルリジン、エノシタビン、フルオキシウリジン(fluoxuridine));アンドロゲン(例えば、カルステロン(calusuterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanlone)、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone));抗副腎ステロイド(anti−adrenal)(例えば、アミノグルテチミド、ミトーテン、トリロスタン);葉酸補充剤(replenisher)(例えば、フロリニック酸(flolinic acid));アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;エニルラシル(eniluracil);アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウルム(eliptinurm);エポチロン;エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン(lentinan);ロニダイニン(lonidainine);メイタンシノイド(例えば、メイタシン)およびアンサミトシン(ansamitocin);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカライド複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecene)(特に、T−2トキシン、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド(例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANETMクレモフォールフリー(Cremophor−free)、パクリタキセルのアルブミン操作したナノ粒子形成(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg、Illinois)、およびTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France)、クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲンシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;プラチナアナログ(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP−16));イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレブリン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ(xeloda);イバンドロネート(ibandronate);CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド(例えば、レチン酸);カペシタビン(capecitabine);および上記のものの薬学的に受容可能な塩、酸または誘導体が挙げられる。
この定義にまた包含されるのは、腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するために作用する抗ホルモン剤(例えば、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲンレセプター調節因子(SERM)(例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンが挙げられる)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン、およびFARESTONトレミフェン;酵素アロマターゼ(この酵素は、副腎におけるエストロゲン産生を調節する)を阻害するアロマターゼインヒビターが挙げられ、このインヒビターは、副腎においてエストロゲンの産生を調節する(例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン(exemestane)、フォルメスタニエ(formestanie)、ファドロゾール(fadrozole)、RIVISOR(登録商標)ボロゾール(vorozole)、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール(anastrozole);ならびに抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド(bicalutamide)、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド(特に、不粘着性の細胞の増殖に関与するシグナル伝達経路中の遺伝子の発現を阻害するもの(例えば、PKC−α、RalfおよびH−Ras));リボザイム(例えば、VEGF発現インヒビター(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)およびHER2発現インヒビター);ワクチン(例えば、遺伝子治療ワクチン(例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン));PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)rmRH);ならびに、上記のものの任意の薬学的に受容可能な塩、酸または誘導体である。
本明細書中で用いられる場合、「増殖阻害因子」とは、インビトロおよび/またはインビボでの細胞の増殖を阻害する化合物または組成物をいう。従って、上記増殖阻害因子は、S期における細胞の百分率を有意に減少させるものであり得る。増殖阻害因子の例としては、細胞周期の進行を(S期以外の場所で)遮断する因子(例えば、GI停止およびM期停止を誘導する因子)が挙げられる。古典的なM期のブロッカーとしては、ビンカ(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、TAXOL(登録商標)パクリタキセル、およびトポIIインヒビター(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシン)が挙げられる。GIで停止させるこれらの因子(例えば、DNAアルキル化剤(例えば、タノキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、およびara−C)はまた、S期の停止に波及する。さらなる情報が、The Molecular Basis of Cancer、MendelsohnおよびIsrael編、第1章、題名「Cell Cycle regulation,oncogenes,and antieioplastic drugs」(Murakainiら)(W B Saunders:Philadelphia,1995)特にp.13に見出され得る。
「増殖阻害性」抗HER2抗体の例は、HER2に結合し、そしてHER2を過剰発現する癌細胞の増殖を阻害するものである。好ましい増殖阻害性抗HER2抗体は、約0.5〜30μg/mlの抗体濃度で、20%より多く、そして好ましくは、50%より多く(例えば、約50%〜約100%)、細胞培養物中のSKBR3乳癌細胞の増殖を阻害する。ここで、増殖阻害は、SKBR3細胞を抗体へ曝した6日後に決定される(1997年10月14日に発行された米国特許第5,677,171号を参照のこと)。
「細胞死を誘導する」抗体は、生存可能な細胞を生存できなくする抗体をいう。この細胞は、一般的には、抗原を発現する細胞であり、特に上記細胞が抗原を過剰発現する場合に、この抗原に抗体が結合する。好ましくは、上記細胞は、癌細胞であり、例えば、胸部、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、結腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞である。インビトロでは、上記細胞は、SKBR3、BT474、Calu3、MDA−MB−453、MDA−MB−361またはSKOV3細胞であり得る。インビトロでの細胞死は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)または補体依存性細胞傷害(CDC)により誘導される細胞死を識別するために、補体および免疫エフェクター細胞の非存在下で決定され得る。従って、細胞死のアッセイは、熱不活性化血清を用いて(すなわち、補体の非存在下で、そして免疫エフェクター細胞の非存在下で)使用され得る。この抗体が細胞死を誘導し得るか否かを決定するために、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー(Mooreら、Cytotechnology,17:1−11(1995)を参照のこと)または7AADの取り込みにより評価される膜の完全性の損失が未処理の細胞に対して評価され得る。
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞の断片化、および/または膜小胞の形成(アポトーシス体(apoptotic body)と呼ばれる)により決定されるプログラム化された細胞死を誘導する抗体である。この細胞は、抗体が結合する抗原を発現する細胞であり、そして抗原を過剰発現する細胞であり得る。この細胞は、腫瘍細胞(例えば、胸部、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、結腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞)であり得る。インビトロでは、上記細胞は、SKBR3、BT474、Calu3細胞、MDA−MB−453、MDA−MB−361、またはSKOV3細胞であり得る。アポトーシスに関連する細胞性事象を評価するための種々の方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)のトランスロケーションは、アネキシンの結合により評価され得;DNAの断片化は、DNAのラダリング(laddering)を通して評価され得;そして核/クロマチンの凝縮は、DNA断片化とともに、低二倍体の細胞の増加により評価され得る。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体は、上記抗体が結合する抗原を発現する細胞を用いて、未処理の細胞に対して、アネキシン結合アッセイにおいて、約2倍〜50倍(好ましくは、約5倍〜50倍、そして最も好ましくは、約10倍〜50倍)の、アネキシン結合を誘導する抗体である。
アポトーシスを誘導する抗体の例としては、抗HER2モノクローナル抗体7F3(ATCC HB12216)、および7C2(ATCC HB12215)が挙げられ、これらとしては、これらのヒト化され、そして/またはアフィニティーマチュレーションされた改変体が含まれる;抗DR5抗体3F11.39.7(ATCC HB−12456);3H3.14.5(ATCC HB−12534);3D5.1.10(ATCC HB−12536);および3H3.14.5(ATCC HB−12534)(これとしては、これらのヒト化され、そして/またはアフィニティーマチュレーションされた改変体が含まれる);ヒト抗DR5レセプター抗体16E2および20E6(これらとしては、これらのアフィニティーマチュレーションされた改変体が含まれる)(WO98/51793、参考として明示的に本明細書中に援用される);ならびに抗DR−4抗体4E7.24.3(ATCC HB−12454);4H6.17.8(ATCC HB−12455);1H5.25.9(ATCC HB−12695);4G7.18.8(ATCC PTA−99);および5GI1.17.1(ATCC HB−12694)(これのヒト化され、そして/またはアフィニティーマチュレーションされた改変体を含む)が挙げられる。
目的の抗体により結合される抗原上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、慣用的な交差遮断アッセイ(cross−blocking assay)(例えば、Antibodies,A Laboratory Manual,HarlowおよびLane(編)(New York:Cold Spring Harbor Laboratory,1988)に記載されるようなもの)が実行され得る。
(B.本発明を実行するための様式)
本明細書中の発明は、一局面では、IGFBP−3ペプチドフラグメントを含む融合タンパク質に関し、このIGFBP−ペプチドフラグメントは、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1)の残基47−残基99のみを含む(これは、本明細書中でミニBP−3と呼ばれ、直接的に連結されるのであれリンカーを介して連結されるのであれ、プロテインAのZドメインに連結され、このリンカーは、上記フラグメントを放出することができるように、酵素により切断され得る)。このようなリンカーまたは連結ペプチドは、例えば、切断可能リンカー(例えば、タンパク分解性部位のDLVD(配列番号2)、DEMD(配列番号3)またはDAVD(配列番号4)を含むカスパーゼ−3切断可能リンカー)であり得る。このような連結ペプチドの例は、EFGGDLVD(配列番号7)、EFGGDEMD(配列番号8)、またはEFGGDAVD(配列番号9)である。連結ペプチドの他の例は、エンテロキナーゼ−切断可能リンカー(EFGGDDDK(配列番号5))およびトロンビン−切断可能リンカー(EFGGLVPRGS(配列番号6))である。
(1.調製)
本発明の融合ペプチドは、化学合成または組み換え技術を用いることにより作製され得る。これらの方法は、当該分野において公知である。小ペプチド(例えば、50残基未満のペプチド)または不自然もしくは異常なアミノ酸(例えば、D−Tyr、オルニチン、アミノアジピン酸など)を含むものに対しては、化学合成(特に固相合成)が好まれる。より長いポリペプチドに対しては、組み換え技術が好まれる。組み換え手順が選択される場合、合成遺伝子が、デノボで構築され得るか、または天然の遺伝子は、例えば、カセット式変異誘発により変異され得る。以下に記載されるのは、例示的で一般的な組み換え手順である。
(a.組み換え調製)
融合ペプチドは、組み換えDNA技術を用いて作製され得る。これらの技術は、簡便化された形態で、上記ペプチドをコードする上記遺伝子(天然の遺伝子または合成の遺伝子のいずれか)を、獲得する工程;この獲得した遺伝子を適切なベクター中に挿入する工程;このベクターを適切な宿主細胞へと挿入する工程;この宿主細胞を培養し、この遺伝子の発現を引き起こす工程;およびこれにより生産されたペプチドを回収または単離する工程を企図する。好ましくは、この回収されたペプチドは、次いで、適切な程度にまで精製される。
多少より詳しくは、IGFBP−3融合タンパク質をコードするDNA配列がクローニングおよび操作され、その結果、簡便な宿主においてIGFBP−3融合タンパク質が発現され得る。親ポリペプチドをコードするDNAは、遺伝子ライブラリーより、このペプチドを発現する細胞のmRNA由来のcDNAより、またはこのDNA配列を合成的に構築する工程より取得され得る(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.,1989)。
次いで、親DNAは、適切なプラスミドまたはベクター(このベクターは、宿主細胞を形質転換するために使用される)へと挿入される。一般的に、宿主細胞に適合性の種に由来する複製配列および調節配列を含むプラスミドベクターは、これらの宿主と組み合わせて使用される。上記ベクターは、通常、複製部位、および形質転換された細胞に表現型の選別を付与し得るタンパク質またはペプチドをコードする配列を保持する。
例えば、E.coliは、pBR322(E.coli種由来のプラスミド)を用いて形質転換され得る(Mandelら、J.Mol.Biol.,53 :154(1970))。プラスミドpBR322は、アンピシリン耐性遺伝子およびテトラサイクリン耐性遺伝子を含み、従って、選別のための簡単な手段を提供する。他のベクターは、様々な特徴(例えば、様々なプロモーター(これは、発現においてしばしば重要である))を包含する。例えば、プラスミドpKK223−3、pDR720、およびpPL−λは、現在入手可能(Pharmacia Biotechnology)な、tacプロモーター、trpプロモーター、またはPプロモーターを有する発現ベクターを表す。
好ましいベクターは、pET21aである。このベクターは、T7プロモーターにより制御され、そしてNovagene,Inc.から入手可能であり、そしてStudierら、Methods Enzymol.,185:60−89(1990)に記載されている。他の好ましいベクターは、pR1T5およびpR1T2T(Pharmacia Biotechnology)である。これらのベクターは、適切なプロモーターを含み、このプロモーターに、プロテインAのZドメインが続き、このことにより、遺伝子がこのベクター中に挿入され、融合タンパク質として発現されるのが可能になっている。別の適切なベクターは、pB0475であり、これは、ファージおよびE.coliの複製起点を含み、このために、このベクターがこのような宿主間でシャトルされることが可能になり、これにより、突然変異誘発および発現の両方を促進する(Cunninghamら、Science,243:1330−1336(1989);米国特許第5,580,723号)。
他の好ましいベクターは、上に記載されたベクターの関連する特徴を組み合わせることにより、標準的な技術を用いて構築され得る。関連する特徴としては、プロモーター、リボソーム結合部位、デコルシン遺伝子もしくはオルナチン遺伝子または遺伝子融合(プロテインAのZドメインと、デコルシンもしくはオルナチンと、そのリンカー)、抗生物質耐性マーカー、および適切な複製起点が挙げられる。
宿主細胞は、原核細胞であっても真核細胞であってもよい。DNA配列をクローニングおよび発現させ、その融合タンパク質を産生するための原核生物が好まれる。例えば、E.coli K12株294(ATCC番号31446)ならびにE.coli B、E.coli X1776(ATCC番号31537)、およびE.coli c600およびc600hfl、E.coli W3110(F−、γ−、原栄養菌/ATCC番号27325)、バシラス属(例えば、Bacillus subtilis)および他の腸内細菌科(例えば、Salmonella typhimuriumもしくはSerratia marcesans)および種々のPseudomonas種が使用され得る。好ましい原核細胞は、E.coli BL21(Stratagene)であり、これは、OmpTおよびロンプロテアーゼ(これらが、インタクトな組み換えタンパク質の単離を妨害し得る)が欠損しており、そしてT7プロモーターがドライブされたベクター(例えば、pETベクター)があれば有用である。別の適切な原核細胞は、E.coli W3110(ATCC番号27325)である。原核細胞により発現された場合、このペプチドは、代表的には、N末端メチオニンまたはホルミルメチオニンを含み、そしてグリコシル化されない。融合タンパク質の場合、N末端メチオニンまたはホルミルメチオニン残基は、この融合タンパク質のアミノ末端またはこの融合タンパク質のシグナル配列のアミノ末端に存在する。これらの例は、当然、限定的であることを意図されるのではなく、例示的であることを意図される。
原核細胞に加えて、真核微生物(例えば、糸状菌または酵母)は、融合タンパク質をコードするベクターの適切なクローニングのための宿主または適切な発現のための宿主である。Saccharomyces cerevisiaeは、一般に使用された低級の真核細胞宿主微生物である。他としては、Schizosaccharomyces pombe(BeachおよびNurse,Nature,290:140(1981));EP 139,383、1985年5月2日公開);Kluyveromyces宿主(米国特許第4,943,529号;Fleerら、Bio/Technology,9:968−975(1991))(例えば、K.lactis(MW98−8C、CBS683、CBS4574;Louvencourtら、J.Bacteriol.154(2):737−742(1983))、K.fragilis(ATCC 12,424)、K.bulgaricus(ATCC 番号16,045)、K.wickeramii(ATCC 番号24,178)、K.waltii(ATCC 番号56,500)、K.drosophilarum(ATCC 番号36,906;Van den Bergら、Bio/Technology,8:135(1990))、K.thermotolerans、およびK.marxianus;yarrowia(EP 402,226);Pichia pastoris(EP 183,070;Sreekrishnaら、J.Basic Microbiol.,28:265−278(1988));Candida;Trichoderma reesia(EP 244,234);Neurospora crassa(Caseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:5259−5263(1979));Schwanniomyces(例えば、Schwanniomyces occidentalis(EP 394,538、1990年10月31日公開));および糸状菌(例えば、Neurospora,Penicillium,Tolypocladium(1991年1月10日公開、WO 91/00357)、Aspergillus宿主(例えば、A.nidulans(Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,112:284−289(1983);Tilburnら、Gene,26:205−221(1983);Yeltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:1470−1474(1984))およびA.niger(KellyおよびHynes,EMBO J.,4:475−479(1985))。本明細書中では、メチロトローフの酵母は適切であり、そしてこれとしては、メタノールに依存して増殖し得る酵母(これは、Hansenula,Candida、Kloeckera、Pichia、Saccharomyces、Torulopsis、およびRhodotorulaからなる属より選択される)が挙げられるが、これらに限定されない。酵母のこの網の例示である特定の種のリストは、C.Anthony、The Biochemstry of Methyltrophs、269(1982)において見出され得る。
融合タンパク質の発現に適した他の適切な宿主細胞は、多細胞生物に由来する。脊椎動物細胞の例としては、昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエS2およびSpodoptera Sf9)ならびに植物細胞が挙げられる。有用な哺乳動物宿主細胞株の例としては、チャニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびCOS細胞が挙げられる。より具体的な例としては、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC番号CRL1651);293細胞またはヒト胚腎臓株(懸濁培養物における増殖のためにサブクローニングされた293細胞;Grahamら、J.Gen Virol.,36:59(1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,UrlaubおよびChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.,23:243−251(1980));ヒト肺細胞(W138、ATCC番号CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);およびマウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC番号CCL51)が挙げられる。適切な宿主細胞の選別は、当該技術の範囲内であると考えられる。
好ましくは、融合タンパク質のZドメイン部分は、細胞(例えば、シグナル配列を有する)により分泌され、この融合タンパク質を培養物培地から単離および精製することを可能にし、そして所望のペプチドが細胞内に残存している場合に生じる、この宿主細胞を破壊する必要性を排除する。あるいは、この融合タンパク質は、細胞内に発現され得る。高度に発現された融合タンパク質を使用することが有用である。
このペプチドは、融合タンパク質として発現された場合、適切にフォールディングされてもよいし、フォールディングされなくてもよい。また、上記切断部位を含む特異的なペプチドリンカーは、プロテアーゼに接近可能であってもよいし、接近不可能であってもよい。これらの因子は、この融合タンパク質が変性されなければならないか、または再度フォールディングを受けなければならないかを決定し、そしてその場合、これらの手順が切断前または切断後に用いられるかを決定する。
変性および再度のフォールディングが必要とされる場合、代表的には、このペプチドがカロトロープ(chaotrope)(例えば、グアニジンHCl)で処理され、次いで、酸化還元緩衝液(例えば、還元されたジチオトレイロールおよび酸化されたジチオトレイロール、または還元されたグルタチオンおよび酸化されたグルタチオンを適切な比率、pH、および温度で含有する)で処理され、その結果、このペプチドは、そのネイティブな構造になるように再度フォールディングされる。
(b.合成上の調製)
当該分野で公知の他の均等の化学合成は、使用価値がある(employable)が、ペプチドが組み換えDNA技術を用いて調製されない場合、ペプチドは、好ましくは、固相合成(例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1963)に全体的に記載されるような固相合成)を用いて調製されるが、当該分野で公知の他の同等の化学合成も使用可能である。固相合成は、保護されたα−アミノ酸を適切な樹脂に結合させることにより、ペプチドのC末端より開始される。このような出発物質は、エステル結合により、α−アミノ−保護アミノ酸と、クロロメチル化樹脂もしくはヒドロキシメチル樹脂とを結合することにより、またはBHA樹脂もしくはMBHA樹脂とのアミド結合により、調製され得る。ヒドロキシメチル樹脂の調製は、Bodanskyら、Chem.Ind.(London)、38:1597−1598(1966)により記載される。クロロメチル化樹脂は、BioRad Laboratories、Richmond、CAおよびLab.Systems,Inc.から市販されている。このような樹脂の調製は、Stewartら、(Freman & Co.,San Francisco 1969)「Solid Phase Peptide Synthesis」、第1章、pp1〜6により記載されている。BHAおよびMBHA樹脂支持体は、市販されており、そして一般的に、合成される所望のポリペプチドが、C末端にて非置換のアミドを有する場合にのみ使用される。
アミノ酸は、ペプチド結合の形成のための周知の技術を用いてペプチド鎖に結合される。一つの方法は、アミノ酸を誘導体に転換する工程を包含し、この誘導体は、カルボキシル基を融合タンパク質の遊離N末端アミノ基を用いた反応により感受性にする。例えば、このアミノ酸は、保護されたアミノ酸とエチルクロロギ酸、フェニルクロロギ酸、sec−ブチルクロロギ酸、イソブチルクロロギ酸、塩化ピバロイルまたは酸塩化物との反応により、混合された無水物に転換され得る。あるいは、アミノ酸は、活性なエステル(例えば、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシルコハク酸エステル、または1−ヒドロキシベンゾトリアゾールから形成されるエステルへと転換され得る。
別のカップリングの方法は、適切なカップリング剤(例えば、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミドまたはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド)の使用を必要とする。他の適切なカップリング剤(当業者に公知のもの)は、E.GrossおよびJ.Meienhofer、The Peptides:Analysis,Structure,Biology;第I巻:Major Methods of Peptide Bond Formation(Academic Press,New York,1979)中に開示されている。
このペプチド合成において使用される各アミノ酸のα−アミノ基は、カップリング反応の間、活性なα−アミノ官能を伴う副反応を防止するために、保護されなければならないことが認識されるべきである。最初のカップリング反応の間およびその後のカップリング反応の間の両方で、その部位で化学反応が生ずるのを防止するために、特定のアミノ酸が、反応性の側鎖官能基(例えば、スルフヒドリル、アミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル)を含むこと、ならびにこのような官能基もまた、適切な保護基で保護されなければならないこともまた認識されるべきである。当該分野で公知の適切な保護基は、GrossおよびMeienhofer、The Peptides:Analysis,Structure,Biology,第3巻:「Protection of Functional Groups in Peptide Synthesis」(Academic Press,New York,1981)に記載されている。
ペプチド合成において使用される特定の側鎖保護基の選択において、以下の一般的な規則が遵守される。αアミノ保護基は、(a)このアミノ酸の機能を、このカップリング反応において使用される条件下で、不活性化しなければならない、(b)側鎖保護基を除去せず、そして融合タンパク質の構造を変更させない条件下で、カップリング反応後に容易に除去可能でなければならず、そして(c)カップリングのまさに直前の活性化の際に、ラセミ化の可能性を排除しなければならない。側鎖保護基は、(a)カップリング反応において使用される条件下で、上記側鎖官能基を不活性にしなければならない、(b)上記αアミノ保護基を除去する際に使用される条件下で安定化していなければならない、そして(c)上記ペプチド鎖の構造を変更しない反応条件下で、所望のアミノ酸ペプチドが完了するとすぐに、容易に除去可能でなければならない。
ペプチド合成のために有用であることが公知の保護基が、除去のために使用される薬剤との反応性において変動することが当業者に明らかである。例えば、特定の保護基(例えば、トリフェニルメチルおよび2−(p−ビフェニリル)イソプロピルオキシカルボニルは、非常に不安定であり、そして穏やかな酸条件下で切断され得る。他の保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、t−アミロキシカルボニル、アダマンチル−オキシカルボニル、およびp−メトキシベンジルオキシカルボニル)は、より安定(less labile)であり、適度に強い酸(例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、または、酢酸中の三フッ化ホウ素)を保護基の除去のために必要とする。さらに他の保護基(例えば、ベンジルカルボニル(CBZまたはZ)、ハロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニルおよびイソプロピルオキシカルボニル)は、より一層安定(even less labile)であり、より強度の酸(例えば、フッ化水素、臭化水素、またはトリフルオロ酢酸中のトリフルオロ酢酸ホウ素)を、保護基の除去のために必要とする。有用なアミノ酸保護基の部類としては、以下:
(1)αアミノ基に対して、(a)芳香族ウレタン型の保護基(例えば、フルオレニルメキシチルオキシカルボニル(FMOC))CBZ、および置換されたCBZ(例えば、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−6−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、およびp−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−クロロベンジルオキシカルボニル、2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニル、2,6−ジクロロベンジルオキシカルボニルなど);(b)脂肪族ウレタン型保護基(例えば、BOC、t−アミロキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、2−(p−ビフェニリル)−イソプロピルオキシカルボニル、アリ−ルオキシカルボニルなど);(c)シクロアルキルウレタン型保護基(例えば、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、およびシクロへキシルオキシカルボニル);ならびに(d)アリールオキシカルボニル、が挙げられる。好ましいαアミノ保護基は、BOCまたはFMOCである。
(2)Lysに存在する側鎖アミノ基に対して、保護が、上記(1)に言及される基(例えば、BOC、p−クロロベンジルオキシカルボニルなど)の任意の基であり得る。
(3)Argのグアニジノ基に対して、保護は、ニトロ、トシル、CBZ、アダマンチルオキシカルボニル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニルまたは2,3,6−トリメチル−4−メトキシフェニルスルホニル、またはBOCによるものであり得る。
(4)Ser、Thr、またはTyrのヒドロキシル基に対して、保護は、例えば、C1−C4アルキル(例えば、t−ブチル);ベンジル(BZL);置換されたBZL(例えば、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、p−クロロベンジル、o−クロロベンジル、および2,6−ジクロロベンジル)によるものであり得る。
(5)AspまたはGluのカルボキシル基に対して、保護は、例えば、基(例えば、BZL、t−ブチル、シクロへキシル、シクロペンチルなど)を用いたエステル化によるものであり得る。
(6)Hisのイミダゾール窒素に対しては、トシル部分が適切に使用され得る。
(7)Tyrのフェノール性ヒドロキシル基に対しては、保護基(例えば、テトラヒドロピラニル、tert−ブチル、トリチル、BZL、クロロベンジル、4−ブロモベンジル、または2,6−ジクロロベンジルは、適切に使用される。好ましい保護基は、2,6−ジクロロベンジルである。
(8)AsnまたはGlnの側鎖アミノ基に対しては、好ましくは、キサンチル(Xan)が使用される。
(9)Metに対しては、好ましくは、アミノ酸が保護されないままである。
(10)Cysのチオ基に対しては、代表的には、p−メトキシベンジルが、使用される。
適切に選択された保護基(Lysの場合、BOC)は、C末端のアミノ酸(例えば、Lys)のN−アミノ位を保護する。BOC−Lys−OHは、Horikiら、Chemistry Letters、165−168(1978)に記載される手順に従って、または約25℃で2時間攪拌しながらイソプロピルカルボジイミドを用いて、最初にベンジヒドリルアミンまたはクロロメチル化樹脂にカップリングされる。BOC−保護されたアミノ酸の樹脂支持体へのカップリングに続き、α−アミノ保護基が、塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸(TFA)またはTFAのみを用いて、除去される。この脱保護は、約0℃〜室温の温度で実行される。他の標準的な切断用試薬(例えば、ジオキサン中のHCl)、および特定のα−アミノ保護基の除去のための保護基は、文献中に記載される。
αアミノ保護基の除去後、残存するαアミノおよび側鎖保護アミノ酸は、同様に所望の順序でカップリングされる。合成において各アミノ酸を別々に添加する工程の代替として、いくつかは、お互いにカップリングされ、その後、固相合成機へと添加される。適切なカップリング剤の選択は、当該分野の範囲内である。カップリング剤として特別に適切なのは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドである。
保護された各アミノ酸またはアミノ酸配列は、固相反応器中に過剰に導入され、そして上記カップリングは、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはCHClまたはこれらの混合物の媒質(medium)中で適切に実行される。不完全なカップリングが生じると、カップリングの手順が反復され、その後、N−アミノ保護基が除去され、その後、次のアミノ酸がカップリングされる。各合成段階でのカップリング反応の成功が、モニタリングされ得る。合成をモニタリングする好ましい方法は、Klaiserら、Anal.Biochem,34:595(1970)に記載されるようなニンヒドリン反応による。このカップリング反応は、周知の方法(例えば、BIOSEARCH 9500TMペプチド合成機)を用いて、自動的に行われ得る。
所望のペプチド配列が完成するとすぐ、保護されたペプチドは、樹脂支持体から切断され得、そしてすべての保護基が除去され得る。この切断反応および保護基の除去は、同時にまたは段階式に、適切に完遂される。この樹脂支持体が、クロロメチル化ポリスチレン樹脂である場合、このペプチドを樹脂に係留(anchoring)する結合は、C末端残基の遊離のカルボキシル基と、樹脂マトリックス上に存在する多くのクロロメチル基の内の一つとの間に形成されるエステル結合である。エステル結合を破壊し、そして上記樹脂マトリックスを貫通し得ることが公知の試薬は、係留結合を切断し得ることが理解される。
特に便利な一つの方法は、液体の無水フッ化水素を用いた処理によるものである。この試薬は、このペプチドを樹脂から切断するだけではなく、すべての保護基を除去する。従って、この試薬の使用は、十分に脱保護されたペプチドを直接的に産出する。クロロメチル化された樹脂が使用される場合、フッ化水素の処理により、遊離ペプチド酸が形成される。ベンズヒドリルアミン樹脂が使用される場合、フッ化水素処理により、遊離ペプチドアミンが直接的に生じる。アニソールおよびジメチルスルフィドの存在下、0℃、1時間での、フッ化水素との反応により、同時に側鎖保護基が除去され、この樹脂からペプチドが放出される。
保護基を除去することなくこのペプチドを切断することが望まれる場合、保護されたペプチド樹脂は、メタン分解(methanolysis)を経て、C末端のカルボキシ基がメチル化された、保護されたペプチドを得得る。次いで、このメチルエステルは、穏やかなアルカリ条件下で加水分解され、遊離のC末端カルボキシル基が生じる。次いで、ペプチド鎖上の保護基は、強酸(例えば、液体フッ化水素)を用いた処理により除去される。メタン分解のために特に有用な技術は、Mooreら、Peptides,Proc.Fifth Amer.Pept.Symp.,M.GoodmanおよびJ.Meienohofer編(John Wiley,N.Y.,1977)、p518−p521に記載される技術であり、この技術では、保護されたペプチド−樹脂は、クラウンエーテルの存在下で、メタノールおよびシアニドカリウムで処理される。
クロロメチル化された樹脂が使用される場合に、保護されたペプチドを、この樹脂から切断するための別の方法は、アンモニア分解またはヒドラジンを用いた処理による。所望の場合、生じたC末端アミドまたはヒドラジドは、遊離のC末端カルボキシ部分に加水分解され得、そして上記脱保護基は、便宜上除去され得る。
N末端αアミノ基上に存在する保護基は、この保護されたペプチドが支持体から切断される前またはその後のいずれかに、優先的に除去され得ることもまた認識される。
本発明のポリペプチドの精製は、代表的には、従来の手順(例えば、分取HPLC(逆相HPLCを含む)もしくは他の公知のクロマトグラフィー技術(例えば、ゲルパーミエーション、イオン交換、分画クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー(モノクローナル抗体カラムを含む)または向流分配を用いて達成される。
本発明のペプチドは、重合により安定化され得る。これは、モノマー鎖を、多官能性架橋剤を用いて、直接的にまたは間接的にのいずれかで、多官能性ポリマーを介して、架橋することにより達成され得る。通常は、2種の実質的に同一のポリペプチドが、二官能性架橋剤を用いて、C末端またはN末端にて架橋される。この薬剤は、末端アミノ基および/または末端カルボキシル基を架橋するために使用される。一般的に、両末端カルボキシル基または両末端アミノ基は、お互いに架橋されるが、適切な架橋剤の選択により、一方のポリペプチドのαアミノ基は、もう一方のポリペプチドの末端カルボキシル基に架橋される。好ましくは、このポリペプチドは、システインを用いて、C末端にて置換される。当該分野で周知の条件下で、ジスルフィド結合は、末端システイン間で形成され得、これにより、このポリペプチド鎖を架橋する。例えば、ジスルフィドブリッジは、便宜上、遊離システインの金属触媒化酸化により、または適切に修飾されたシステイン残基の求核性置換により形成される。架橋剤の選択は、ポリペプチドに存在する、アミノ酸の反応性側鎖の同一性に依存する。例えば、ジスルフィド架橋は、システインがC末端以外のさらなる部位のポリペプチドに存在した場合には、好ましくない。本明細書中の範囲内にあるのは、メチレンブリッジで架橋されたペプチドである。
上記ペプチド上の適切な架橋部位としては、N末端アミノ基およびC末端カルボキシル基を除き、リジン残基上に見出されるεアミノ基、ならびにアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基およびヒドロキシル基が挙げられ、これらは、フランキング配列中に導入されるペプチドまたは残基の内側残基の側鎖上に位置する。外部から架橋剤を添加することを介して、架橋は、例えば、当業者に公知の多くの試薬のいずれかを使用して(例えば、ポリペプチドのカルボジイミド処理を介して)、適切に達成される。多官能性(通常は二官能性)架橋剤の他の適切な例は、文献中に見出される。
本発明のペプチドはまた、環化により、高次構造的に安定化され得る。このペプチドは、通常は、あるペプチドのN末端ドメインおよびC末端ドメインを、2種以上の反復ペプチド配列を含むシクロオリゴマー(各内部ペプチドは、実質的に同一の配列を有する)を形成するように、本発明の別のペプチドの対応するドメインに共有結合することにより環化される。さらに、環化ペプチド(シクロオリゴマーまたはシクロモノマー)は、架橋され、その中に2ペプチド〜6ペプチドを有する1−3の環状構造を形成する。上記ペプチドは、好ましくは、αアミノ基および主鎖カルボキシル基(頭部から尾部まで)を介して共有結合されず、N末端ドメインおよびC末端ドメインに位置する残基の側鎖を介して架橋される。従って、架橋部位は、一般的に、残基の側鎖間に存在する。
本明細書中で企図されるような、モノ環化ペプチドまたはポリ環化ペプチドを調製するための多くの適切な方法それ自体は、公知である。Lys/Aspの環化は、Fmoc/9−フルオレニルメチル(OFm)側鎖保護作用(Lys/Aspに対する)を有する固相支持体上のナトリウム−tert−ブチルオキシカルボニル(Na−Boc)−アミノ酸を用いて達成され;このプロセスは、ピペリジン処理、これに続く環化により完了される。
GluおよびLys側鎖はまた、環式ペプチドまたは二環式環式ペプチドを調製する際に架橋される:上記ペプチドは、p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂上の固相化学反応(solid−phase chemistry)により合成される。このペプチドは、樹脂から切断され、そして脱保護される。この環式ペプチドは、希釈されたメチルホルムアミド中のジフェニルホスホリルアジドを用いて形成される。代替的な手順については、Schillerら、Peptide Protein Res.,25:171−177(1985)を参照のこと。また、米国特許第4,547,489号を参照のこと。
ジスルフィド架橋されたペプチドまたは環化されたペプチドは、従来の方法により生成される。Peltonらの方法(J.Med.Chem.,29:2370−2375(1986))が適切である(Peltonらに記載される希釈反応混合物(シクロモノマーの生成について)より濃縮された溶液で反応を行うことにより、より大きな部分のシクロオリゴマーが生み出される場合を除く)。同一の化学的性質は、ダイマーまたはシクロオリゴマーまたはシアノモノマーの合成にとって有用である。また有用なのは、チオメチレンブリッジである。LeblおよびHruby、Tetrahedron Letters,25:2067−2068(1984)。また、Codyら、J.Med.Chem.,28:583(1985)を参照のこと。
所望の環式ペプチドまたは重合ペプチドは、ゲル濾過、これに続く逆相高圧液体クロマトグラフィーまたは他の従来の手順により、精製される。このペプチドは、滅菌濾過され、そして薬学的に受容可能な従来のビヒクルへと処方される。
本明細書中に記載のプロセスに必要とされる出発物質は、文献中で公知であるか、または公知の方法および公知の出発物質を用いて調製され得る。
作製されるペプチドにおいて、4個の非同一の置換基に結合された炭素原子が非対称性である場合、このペプチドは、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、またはこれらの混合物として存在し得る。上記の合成は、ラセミ体、エナンチオマーまたはジアステレオマーを出発物質または中間体として使用し得る。例えば、このような合成物から生じるジアステレオマー生成物は、クロマトグラフィーの方法または結晶化の方法により分離され得る。同様に、エナンチオマー生成物の混合物は、同一の技術または当該分野で公知の他の方法により分離され得る。各不斉炭素原子は、存在する場合、2種の立体配置R)またはS)のうちの一方であり得、そして両方が、本発明の範囲内である。
別の実施形態では、本明細書中の融合タンパク質のフラグメントは、アフィニティーマチュレーションされ得、その結果、上記フラグメントは、IGF−Iおよび/またはIGF−IIに対して、親フラグメントより十分な親和性を有する。このようなアフィニティーマチュレーションは、例えば、ファージディスプレイ、合理的な突然変異誘発、ランダムな突然変異誘発、またはDNAシャッフリング(DNA shuffling)およびファージディスプレイ、またはこの変化を達成するための、当該分野で公知のこのような他の任意の手段を介して、行われ得る。定義の節に述べられた参考文献を参照のこと。
(2.用途)
本明細書中に開示された適用に関して、融合タンパク質を用いることには、多くの利点がある。例えば、哺乳動物の系は、野生型IGFBP−3の工業上の生産について費用がかかる。他方では、ペプチド融合体は、当業者に周知の合成化学的方法または非常に効率的な生物学的産生系を用いれば、野生型IGFBP−3よりも廉価で生産しやすいことが予想される。
本明細書中のペプチドは、診断用アッセイ(例えば、特定の細胞中、組織中、または血清中の、IGF−1の発現を検出するためのアッセイ)において有用であり得る。
診断上の適用に関して、上記ペプチドは、代表的には、検出可能な部分で標識される。多くの標識が、利用可能であり、これらは、一般的に以下のカテゴリーへと分類され得る:
(a)放射性同位元素(例えば、35S、14C、121I、3H、および131I)が利用可能である。このペプチドは、放射性同位元素を用いて、例えば、Current Protocols in Immunology、第1巻および第2巻、Coligenら、編(Wiley−Interscience:New York,1991)に記載される技術を用いて標識され得、そして放射活性は、シンチレーション計数を用いて測定され得る。
(b)蛍光標識(例えば、希土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオロセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリスリンおよびテキサスレッド)が利用可能である。蛍光標識は、例えば、Current Protocols in Immunology(前出)に開示されるような技術を用いて、ペプチドに結合体化され得る。蛍光は、蛍光計を用いて定量化され得る。
(c)種々の酵素−基質標識が利用可能であり、そして米国特許第4,275,149号は、これらのいくつかの概説(review)を提供する。この酵素は、一般的には、種々の技術を用いて測定され得る発色体基質の化学変化(chemical alteration)を触媒する。例えば、この酵素は、基質の色彩の変化を触媒し得、この色彩の変化は、分光光度法で測定され得る。あるいは、この酵素は、基質の蛍光または化学発光を変更し得る。蛍光の変化を定量するための技術は、上に記載されている。上記化学発光基質は、化学反応により電気的に励起され、次いで、(例えば、化学照度計を用いて)測定され得る光を放出するか、またはエネルギーを蛍光受容器に付与し得る。酵素標識の例としては、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌性ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸ジヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HPRO)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、複素環式オキシダーゼ(例えば、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。酵素を抗体に結合体化するための技術は、O’Sullivanら、「Methods for Preparation of Enzyme−Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay」、Methods in Enzym.(J.LangoneおよびH.Van Vunakis編),73:147−166(Acadmic Press,New York,1981)に記載されている。
酵素−基質の組み合わせの例としては、例えば:
(i)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)と(基質としての)過酸化水素の組み合わせ(ここで、過酸化水素は、色素前躯体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)、または塩酸3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を酸化する);
(ii)アルカリホスファターゼ(AP)と(色素体形成基質としての)パラニトロフェニルホスフェートとの組み合わせ;そして
(iii)β−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)と色素形成基質(例えば、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)または蛍光発生的基質(4−メチルウンベリフリル−β−D−ガラクトシダーゼ)との組み合わせ
が挙げられる。
多くの他の酵素−基質の組み合わせが、当業者に利用可能である。これらの全体的な概説としては、米国特許第4,275,149号および同第4,318,980号を参照のこと。
時として、この標識がペプチドに間接的に結合される場合がある。当業者は、これを達成するための種々の技術を知っている。例えば、上記ペプチドは、ビオチンと結合体化され得、そして上に言及される任意の3種の広汎なカテゴリーの標識のいずれかは、アビジンと結合体化され得、逆も成り立つ。ビオチンは、選択的にアビジンに結合体化する。従って、この標識は、この間接的な様式でペプチドと結合体化され得る。あるいは、この標識とペプチドとの間接的な結合体化を達成するために、このペプチドは、低分子のハプテン(例えば、ジゴキシン)と結合体化され、上に言及される異なる型の標識の一つは、抗ハプテンペプチド(例えば、抗ジオキシン抗体)と結合される。このようにして、上記標識と上記ペプチドとの間接的な結合体化が、達成され得る。
本発明の別の局面では、このペプチドは、標識される必要がなく、そしてこのペプチドの存在は、このペプチドに結合する標識化抗体を用いて検出され得る。
本発明のペプチドは、任意の公知のアッセイ方法(例えば、競合的な結合アッセイ、直接的なサンドウィッチアッセイおよび間接的なサンドウィッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイ)において使用され得る。Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.1987)。
このペプチドはまた、インビボの診断用アッセイのために使用され得る。一般的に、このペプチドは、放射性核種(例えば、111In、99Tc、14C、131I、125I、3H、32P、または35S)で標識され、その結果、抗原または抗原を発現する細胞は、イムノシンチノグラフィーを用いて局在化され得る。
他の用途としては、bp15およびIGFBP−3および他のIGFペプチドアゴニストの結合エピトープのマッピングが挙げられる。さらに、IGF−IもしくはIGF−IIまたはこれらを含む融合タンパク質に結合するIGFBP−3フラグメントは、細胞ベースのアッセイにおいて使用され得る。このような特定のアッセイは、細胞とネイティブ配列ヒトIGFBP−3とではなく、細胞と上記融合タンパク質とを接触させる工程、およびネイティブ配列ヒトIGFBP−3、ネイティブ配列ヒトIGF−Iもしくはネイティブ配列IGF−IIに起因する生物学的活性、または上記IGF−Iもしくは上記IGF−IIのアゴニストの生物学的活性が観察されるか否かを決定する工程を包含する。一つの実施形態では、この生物学的活性は、IGF−Iとは無関係のネイティブ配列ヒトIGFBP−3のアポトーシスである。別の例では、このアッセイは、IGF−依存性KIRAリン酸化アッセイである。このアッセイは、IGF−Iキナーゼレセプター活性化アッセイであり、そしてこれは、ヒト1型レセプターの直接的な活性アッセイである。チロシンキナーゼファミリーにおけるレセプター(例えば、1型IGFレセプター)が活性化される場合、このレセプターは、チロシン残基上でリン酸化される。このアッセイにおいて、1型IGFレセプターを含む細胞は、インビトロで活性化され、次いで、崩壊され、そして、レセプターに対する抗体が使用され、IGFレセプターを沈殿させる。次に、抗ホスホチロシン抗体が、リン酸化された1型IGFレセプターの量をアッセイするために使用される。固定数の細胞が使用される場合、リン酸化されるレセプターの量は、1型IGFレセプター上の分子の活性の直接的な基準である。このKIRAアッセイにおいて、細胞(例えば、乳癌細胞株)は、IGF−IまたはIGF−IIプラス融合タンパク質で処理され、そして融合タンパク質の生物学的活性が、リン酸化されたレセプターの量により決定される。KIRAアッセイは、米国特許第6,251,865号(ここでは、MCF−7乳癌細胞が一実施形態として用いられる)およびChenら、Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.,284:E1149−E1155(2003)において、さらに記載される。
なお別の実施形態では、上記生物学的活性は、放射標識されたIGF−IまたはIGF−IIの上記細胞への結合の阻害である。
さらなる例は、乳癌細胞を、IGFBP−3フラグメントまたはその融合タンパク質で前処理する工程を包含する方法であり、このIGFBP−3フラグメントまたはその融合タンパク質は、IGF−IまたはIGF−IIを、少なくとも約24時間結合し、その後、この細胞を、アポトーシス因子(例えば、化学療法剤(例えば、ドキソルビシンもしくはパクリタキセル)およびネイティブ配列ヒトIGFBP−3もしくは上記IGFBP−3フラグメントまたは融合タンパク質で処理する工程、ならびに上記前処理または処理が、アポトーシス因子を用いた処理により誘導されるアポトーシスを増強するか否か、または前処理もしくは処理の量がこの目的に有効であるか否かを決定する工程を包含する。
キットはまた、本発明の目的のために企図される。このキットは、一般的に、上記融合タンパク質を含有する組成物およびその使用(例えば、アッセイにおける使用)のための説明書を含む容器を含む。代表的なキットは、上記融合タンパク質を緩衝液中に含有する融合タンパク質処方物のための容器(好ましくは、バイアル)、および使用者に(例えば、エピトープをマッピングするためもしくは細胞ベースのアッセイのための)処方物を利用するように指示する説明書(例えば、製品挿入物またはラベル)を含む。このキットは、必要に応じて、融合タンパク質と一緒に使用される薬剤のために、容器(好ましくは、バイアル)を含む。
本発明は、以下の実施例を、参照することにより、より十分に理解される。しかし、これらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書中に言及されるすべての文献、特許の引用は、参考として明白に援用される。
(実施例1)
(IGFBP−3およびミニBP−3融合タンパク質の産生)
(イントロダクション)
ネイティブ配列ヒトIGFBP−3およびミニBP−3融合タンパク質を調製し、BIAcoreTMアッセイにおけるネイティブ配列ヒトIGF−IおよびIGF−IIの直接的な結合を評価した。
以下に記載されるミニBP−3融合タンパク質を用いた実験の結果に基づき、本明細書中で特許請求されるこの型の分子が、活性なIGFのレベルを低減することが予想される。
(材料と方法)
(野生型のIGFBP−3およびミニBP−3融合体および切断されたミニBP−3の発現と精製)
野生型IGFBP−3およびミニBP−3を、ベクターpET21a(Novagene)を用いて、以下のようにしてE.coli中で生産した:
慣用的な化学試薬をすべて、Sigma Chemical Co.(StLouis,MO)またはFisher Scientific(Fair Lawn,NJ)より購入した。制限酵素およびT4 DNAリガーゼを、New England Biolabs(Beverley、MA)より取得した。オリゴヌクレオチド合成試薬、DNA配列決定キット、およびPCRのキットを、PE Biosystems(Foster City,CA)より取得した。dNTP、IPTG、およびATPを、Boehringer−Mannheim(Indinapolis,IN)より購入した。DNAポリメラーゼおよびE.coli株BL21を、Stratagene(La Jolla,CA)より購入した。
プラスミドpET21aを、Novagen Inc.(Madison,WI)より購入した。アフィニティーカラムを、Pharmacia(Piscataway,NJ)から得た。LB培地を、標準的処方に従って調製した(Sambrookら、前出)。HEPES緩衝液およびCHAPS緩衝液ならびにDTTは、以下に示される供給源より取得可能である。周辺質の抽出緩衝液は、10mM TRIS−HCl、pH8.5および1mMのEDTAを含んだ。TE緩衝液は、10mM TRIS−HCl、pH8.0および1mM EDTAを含んだ。
オリゴデオキシリボヌクレオチドを、PE Biosystemsからの394自動化DNA合成機を用いて合成した。PCRおよび配列決定用プライマーを、エタノール沈殿により精製し、そしてTE緩衝液中に溶解した。上記Zドメインを、プライマー
Figure 2007537711
および
Figure 2007537711
を用いた、ベクターpA−100−Z(これは、Dennisら、Biochemistry,40:9513(2001)に記載される構築物に由来する)のPCRにより増幅した。増幅したZドメインを、NheIおよびEcoRIで消化し、そして同一対の制限酵素で処理したクローニングベクターpET21a(Novagen)中に連結し、そしてpET21a−Zドメイン融合体を生成した。Zドメインの挿入を、配列決定により確認した。
ミニBP−3融合体のコード領域を、Stemmerら、Gene,164:49−53(1995)の遺伝子組み立て方法を用いてPCRにより合成した。遺伝子組み立てのために使用されたオリゴヌクレオチドは、以下の配列:
Figure 2007537711
Figure 2007537711
Figure 2007537711
および
Figure 2007537711
を有した。組み立てられた遺伝子を、以下のオリゴヌクレオチド:
Figure 2007537711
および
Figure 2007537711
を用いて増幅した。
全長の融合ミニBP−3タンパク質をコードする遺伝子を、PCR System 9700TMサーモサイクラー(PE Biosystems)を用いて、Caoら、Gene,197:205−214(1997)に記載の通りに、プライマーを用いて増幅した。増幅産物を、EcoRIおよびHindIIIで消化し、そして同一対の制限酵素で処理したpET21a−Z−ドメイン含有ベクターへと連結し、pET21a−ミニBP−3融合体を生成した。ミニBP−3フラグメントの挿入を、配列決定により確認した。エンテロキナーゼ切断部位EFGGDDDDK(配列番号4)を、後に、QUICKCHANGETMSite−Directed Mutagenesis Kitを用いて、カスパーゼ−3切断部位のEFGGDLVD(配列番号7)と置換した。これらの2種の突然変異誘発プライマーは、配列:
Figure 2007537711
および
Figure 2007537711
を有した。上記変異体を、配列決定により確認した。
このベクターで、E.coliのBL21株(Stratagene)を形質転換した。pET発現ベクター中の挿入物を、両方向に配列決定し、上記プラスミド構築物にPCRのエラーまたはライゲーションのエラーがないことを確かめた。
この細胞を、37℃で一晩、50μg/mlのアンピシリンを含有する2YT培地(Sambrookら、前出)で増殖させた。一晩培養した培養物を、同一の倍地中に100倍希釈し、培養物の600nmでの光学密度が0.5に達するまで培養し、次いで、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度が50μMになるまで添加することにより誘導し、そして同一の条件下でさらに4時間増殖させた。細胞を、遠心分離により収集し、周辺質抽出緩衝液(−20℃/4℃)中で凍結/解凍し、そしてCaoら(前出)に記載されるように、遠心分離により浄化した。
IgG SEPHAROSETMイオン交換カラム(Amersham Biosciences)を用いて、Nilsssenら(前出)に記載されるように、遠心分離からの周辺質の抽出物を、クロマトグラフィーに供した。簡単に、このカラムを、5容積の50mM TRIS緩衝液(pH7.6、150mM NaClおよび0.05% TWEEN−20TM緩衝液(TST))で洗浄し、次いで、代替的に0.5Mの酢酸(HAc)、pH3.4およびTSTで2回洗浄した。このカラムを、TSTで平衡化し、そして融合タンパク質をカラム上で捕捉した(Nilssonら、前出に記載されるように)。このカラムを、10の総容積(bed)のTSTおよび2の総容積の酢酸アンモニウム(5mM)(溶出前はpH5.0)で洗浄した。
上記融合タンパク質を4の総容積の0.5MのHAcで溶出した後、これを、125nMのカスパーゼ−3(これは、親切にも、The Burnham Institute,La Jolla,CAのDr.Guy Salvesenが提供してくれた)と一緒に、100mMのHepes緩衝液(ProSciTech)、0.1%のCHAPS溶解緩衝液(Chemicon International)、0.5mMのジチオトレイトール(DTT)(JT Baker)中で、pH7.5、4℃で一晩インキュベートした。切断されたミニBP−3を、遠心分離後の反応の上清から回収した。この融合タンパク質の純度は、SDS−PAGE分析、これに続いて、過剰負荷されたゲルを慣用的なクマシーブルーR染色で視覚化したことにより立証した。図2を参照のこと。図2は、種々の段階のSDS−PAGE分析を示す。
野生型IGFBP−3を発現するBL21細胞を培養し、そしてミニBP−3の場合と同様に発現を誘導した。野生型IGFBP−3を、封入体から抽出し、そして標準的条件を用いて、インビトロで再度フォールディングさせた。QおよびSの両方のSEPHAROSETM(Amersham Biosciences)カラムによるイオン交換クロマトグラフィーおよびフェニルSUPEROSETM(Amersham Biosciences)カラムによる疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて、精製を達成した。
(バイオセンサー反応速度測定)
野生型IGFBP−3およびミニBP3融合タンパク質のIGF−IおよびIGF−IIに対する結合親和性を、BIAcoreTM−2000リアルタイム速度相互作用分析系(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いて決定し、会合速度(k)および解離速度(k)を測定した。2種の型のチップを、この目的で調製した。
(CM5チップ調製)
カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)を、業者の説明書に従ってEDC(塩酸N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)およびNHS(N−ヒドロキシコハク酸)で活性化した。固定化のため、10mMの酢酸ナトリウム(pH4)において、野生型IGFBP−3および変異体をバイオセンサーチップ上に、0.2mg/mlの濃度で注入し、約450−700RU(共鳴反応の単位)の共有結合されたタンパク質を得た。未反応の基を、1Mのエタノールアミンの注入により遮断した。
反応速度測定を、20μl/分または50μl/分の流速を用いて、25℃のPBSTランニング緩衝液(PBS、0.05% TWEEN−20TM緩衝液、0.01%のアジ化ナトリウム)中のIGF−IまたはIGF−IIの2倍での段階希釈物の注入により行った。IGFBP−3に関しては、IGF濃度の範囲は、0.4nM〜50nMの間であり、ミニBP−3融合体に関しては、100nM〜25μMの間であった。両タンパク質に関しては、結合速度および解離速度を1:1のLangmuir会合モデルを用いて、BIAcoreTM評価ソフトウェアにおいて計算した。野生型IGFBP−3に関しては、平衡解離定数を、k/kとして計算した。ミニBP−3融合体に関しては、平衡解離定数を、GraphPad PrismTMソフトウェア(GraphPad Software Inc.,SanDiego,CA)中の平衡結合データをプロットし、一部位結合モデルにあてはめることにより計算した。
(SAチップ調製)
ストレプタビジンで被覆したチップを、製造業者(BIAcore,Inc.)の説明書に従って調整し、その後、10mMの酢酸ナトリウム(pH4)中の0.02mg/mlのビオチニル化したIGF−IまたはIGF−IIを注入した。ビオチニル化したIGF−IおよびIGF−IIを、製造業者(Pierce)の説明書に従って、EZ−Linkビオチニル化試薬を用いて調製した。100RU〜1000RUを、チップ上に固定した。
反応速度測定を、ミニBP−3融合タンパク質の2倍での段階希釈物を、PBSTランニング緩衝液中に、50μl/分で注入することにより行った。濃度は、250nM〜32μMであった。
競合結合実験を、以下のようにして行った。15nM〜100μMのbp15ペプチドおよび20nMのIGFBP−3を、1時間室温でインキュベートし、その後、PBST中に、固定化したビオチン化IGF−IおよびIGF−II上を、20μl/分で注入した。平衡結合データを、GraphPadPrismTMソフトウェアでプロットし、そして一部位競合結合モデルにあてはめた。
(結果)
野生型IGFBP−3およびミニBP−3融合タンパク質を、BIAcoreTMの器機を用いた反応速度分析のために提示し、そしてIGF−IおよびIGF−IIの結合親和性を試験した。この結果を、野生型IGFBP−3については表Iに、そしてミニBP−3融合タンパク質については表IIに示す。
Figure 2007537711
Figure 2007537711
表Iの結果(図3および図4もまた参照のこと)は、IGFBP−3がIGF−IおよびIGF−IIに対して高い親和性を有し、これらが文献中の他の測定値に有利に匹敵することを示す。表Iと比較した場合、表IIの結果(図5および図6もまた参照のこと)は、ミニBP−3融合タンパク質が、野生型IGFBP−3と比較してIGF−IおよびIGF−IIに対して、親和性が低いことを示す。任意の一つの理論に限定されることなく、これが主としてオフレート(off−rate)の増加に起因すると考えられている。IGFBP−3の他のフラグメントに関する研究は、表IIIに示されるような同様の知見を示す。
Figure 2007537711
(実施例2 ミニBP−3融合体へのペプチドbp15の結合)
ペプチドbp15(SEEVCWPVAEWYLCN)(配列番号11)を、ファージディスプレイにより同定した(Lowmanら、Biochemistry、1998、前出)。実施例Iに記載されるように、BIAcoreTM分析により決定される場合、bp15は、IGF−IおよびIGF−IIと、IGFBP−3に対する結合について競合する。従って、bp15がミニBP−3融合体に結合するかを調べるために、bp15を試験した。図7および図8(それぞれ、bp15とIGFBP−3の競合的結合データおよびbp15とミニBP−3融合体の競合的結合データに関する)を比較のこと。
ペプチドbp15は、ミニBP融合を結合するが、野生型IGFBP−3と比較すると、親和性が低減していることがわかり得る。正確な親和性は、飽和の欠如のために、決定されないかもしれない。
(考察)
上記ミニBP−3融合体は、IGF−IおよびIGF−IIに対して結合親和性を有する。この親和性は、他のIGFBP−3のN末端フラグメントの親和性に比して低減している。それにもかかわらず、上記ミニBP−3融合体は、少なくとも一部のbp15ペプチド結合部位を含む。IGFBP−3のN−末端フラグメントはまた、IGFBP−3のIGF−非依存性作用と関連している。例えば、Angelloz−Nicoudら、Growth Hormone & IGF Research、8:71−75(1990);Lalouら、Endocrinology,137(8):3206−3212(1996);Yamanakaら、Endocrinology,140(3):1319−1328(1999);Maileら、Endocrinology,140(9):4040−4045(1999);Salahifarら、Growth Hormone & IGF Research,10:367−377(2000);およびBernardら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,293:55−60(2002)を参照のこと。
ミニBP−3またはIGFBP−3フラグメントを含む融合タンパク質を用いる細胞ベースのアッセイは、これらのIGF非依存性の事象を検出するために開発され得る。従って、Gillら、J.Biol.Chem.272:25602−25607(1997)およびFowlerら、Int.J.Cancer,88:448−453(2000)により実行された実験において、乳癌細胞は、IGFBP−3を用いて24時間処理され、その後、パクリタキセル(およびIGFBP−3)を添加した。IGFBP−3のみを用いた細胞の処理では、アポトーシスを誘導するのに十分ではないが、IGFBP−3で前処理を行うと、パクリタキセル処理により誘導されるアポトーシスが増強される。ミニBP−3融合タンパク質、IGF−IもしくはIGF−IIおよびこれらの融合体タンパク質に結合するIGFBP−3のフラグメントは、これらが細胞死の増強の原因である活性を含む場合、このアッセイにおいて、野生型IGFBP−3に代わって有用であると予想されている。この融合タンパク質またはフラグメントを使用する利点は、これらが上に述べられたようなインタクトなIGFBP−3に比べて、大量に作製しやすいことにある。
これらのアポトーシスアッセイに加えて、細胞ベースのアッセイが、IGF依存性KIRAアッセイおよび放射標識されたIGF結合阻害のために使用され得る。なぜなら、野生型のIGFBP−3は、任意の一つの理論に限定されることはないが、恐らくは、その固有のレセプターに対する結合のためにいくつかの細胞上の結合を阻害しない。例示的な細胞ベースのIGF−1 KIRAアッセイにおいて、ヒト1型IGF−1レセプターの活性化を測定するためのKIRAは、ヒトMCF−7細胞を用いて行われる。細胞を、一晩96ウェルプレート中で、培地(50:50の F12/DMEM、Gibco)を用いて培養(grow)する。上清を、デカントし、そしてコントロール(野生型IGFBP−1もしくは野生型IGFBP−3で前培養した2nMのIGF−1)または実験サンプル(30分間2nMのIGF−1で前培養したミニBP−3を含む融合タンパク質)のいずれかを含む刺激培地(stimulation media)(25mMのHEPESおよび2.0%のBSAを含有する50:50のF12/DMEM)が添加される。15分の刺激の後、この細胞を溶解し、そしてイムノソルベントプレートに一晩被覆したポリクローナル抗IGF−1R(3B7;Santa Cruz Biotech)を加えた。検出ELISAを行い、そしてKIRAの結果は、野生型IGFBP−3の阻害とほぼ同程度の、ミニBP−3を含む融合タンパク質の阻害、またはIGF−Iレセプター結合よりも恐らく大きな阻害を示すことが予想され、そしてこの阻害は、ミニBP−3フラグメントがファージディスプレイもしくは当業者に公知の他の手段によりアフィニティーマチュレーションされる場合、改善される可能性がある。
本発明は、特定の方法および材料を参照することにより、本明細書中でやむを得ず考察される。これらの特定の方法および材料の考察が、本発明の範囲を限定するものとは決して解釈されず、これは、本発明の目的を達成するのに適した、いずれかおよびすべての代替の物質および方法に拡張することが理解されるべきである。
図1は、ミニBP−3融合タンパク質の概略図を示す。これは、配列番号7(これは、カスパーゼ3切断部位(配列番号2)を含み、これには下線が引かれている)を有する切断可能なリンカーを用いた、Zドメイン(配列番号10)のミニBP−3(ネイティブ配列ヒトIGFBP−3の残基47−残基99(配列番号1))への融合体である。 図2は、ミニBP−3融合タンパク質および切断されたタンパク質ミニBP−3の、種々のクロマトグラフィーの画分のクマシーブルー染色を用いた、SDS−PAGE分析を示す。 図3は、固定化されたネイティブ配列ヒトIGFBP−3へのネイティブ配列ヒトIGF−I結合のバイオセンサー分析を示す。 図4は、固定化されたネイティブ配列ヒトIGFBP−3へのネイティブ配列ヒトIGF−II結合のバイオセンサー分析を示す。 図5は、固定化されたミニBP−3融合タンパク質へのネイティブ配列ヒトIGF−I結合の分析を示す。 図6は、固定化されたミニBP−3融合タンパク質へのネイティブ配列ヒトIGF−II結合の分析を示す。 図7は、BIAcoreTM分析機で行われたペプチドbp15(SEEVCWPVAEWYLCN)(配列番号11)の競合実験の結果を示す。全部で15nM〜100μMのbp15ペプチドおよび20nMのネイティブ配列ヒトIGFBP−3を、1時間室温でインキュベートし、その後、固定化されたビオチン化ネイティブ配列ヒトIGF−IおよびIGF−II上に注入した。 図8は、BIAcoreTM分析機で行われたペプチドbp15(配列番号11)の競合実験の結果を示す。全部で1.17μM〜300μMのbp15ペプチドおよび1μMのミニBP−3融合タンパク質を、1時間室温でインキュベートし、その後、固定化されたビオチン化ネイティブ配列ヒトIGF−I上に注入した。

Claims (23)

  1. 融合タンパク質であって、該融合タンパク質は、配列番号10に連結されている、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1)の残基47〜残基99からなる、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP−3)のフラグメントを含む、融合タンパク質。
  2. 請求項1に記載の融合タンパク質であって、ファージ上にあらわにされた、融合タンパク質。
  3. 請求項1に記載の融合タンパク質であって、ここで、前記フラグメントは、切断可能な連結ペプチドを介して配列番号10に連結されている、融合タンパク質。
  4. 請求項3に記載の融合タンパク質であって、ここで、前記連結ペプチドが、配列DLVD(配列番号2)、DEMD(配列番号3)、DAVD(配列番号4)、EFGGDDDK(配列番号5)、EFGGLVPRGS(配列番号6)、EFGGDLVD(配列番号7)、EFGGDEMD(配列番号8)またはEFGGDAVD(配列番号9)を含む、融合タンパク質。
  5. 請求項3に記載の融合タンパク質であって、ここで、前記連結ペプチドが、EFGGDLVD(配列番号7)である、融合タンパク質。
  6. 請求項3に記載の融合タンパク質であって、ここで、前記配列番号10のN末端が、配列ASAである、融合タンパク質。
  7. 請求項1に記載の融合タンパク質であって、ここで、前記フラグメントが、アフィニティーマチュレーションされた、融合タンパク質。
  8. 前記請求項1に記載の融合タンパク質を、キャリア中に含有する、組成物。
  9. 前記請求項1に記載の融合タンパク質をコードする、核酸分子。
  10. 前記請求項9に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  11. 前記請求項9に記載の核酸分子を含む、宿主細胞。
  12. IGFBP−3融合タンパク質を生み出す方法であって、該方法は、前記請求項11の宿主細胞を、該融合タンパク質を発現させるのに適切な条件下で培養する工程、および該融合タンパク質を、該宿主細胞培養物から回収する工程を包含する、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記宿主細胞が、原核細胞である、方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記宿主細胞が、細菌である、方法。
  15. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記宿主細胞が、E.coliである、方法。
  16. ネイティブ配列ヒトIGFBP−3の生物学的活性、ネイティブ配列ヒトIGF−Iの生物学的活性、もしくはネイティブ配列ヒトIGF−IIの生物学的活性、または該IGF−Iもしくは該IGF−IIのアゴニストの生物学的活性を細胞ベースのアッセイにおいて決定し、そしてネイティブ配列ヒトIGFBP−3、ネイティブ配列ヒトIGF−I、またはネイティブ配列ヒトIGF−II、または該IGF−IもしくはIGF−IIのアゴニストに寄与し得る生物学的活性が観察されるかを決定するための方法であって、該アッセイは、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3ではなく、IGF−IもしくはIGF−IIに結合するIGFBP−3フラグメントに連結したペプチドを含む融合タンパク質と細胞とを接触させる工程を包含する、方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記融合タンパク質のペプチドが、配列番号10である、方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記IGFBP−3フラグメントが、ネイティブ配列ヒトIGFBP−3(配列番号1)の残基47〜残基99のフラグメントである、方法。
  19. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記生物学的活性が、IGF−Iとは無関係なネイティブ配列ヒトIGFBP−3のアポトーシスである、方法。
  20. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記方法は、IGF−依存的なKIRAリン酸化方法である、方法。
  21. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記生物学的活性が、放射標識したIGF−IまたはIGF−IIの前記細胞への結合の阻害である、方法。
  22. アポトーシスの増強を決定するための方法であって、該方法は、乳癌細胞をアポトーシス因子で処理する前に少なくとも約24時間、IGF−IまたはIGF−IIに結合する、IGFBP−3フラグメントまたはその融合タンパク質、およびネイティブ配列ヒトIGFBP−3もしくは該IGFBP−3フラグメントもしくは融合タンパク質で乳癌細胞を前処理する工程、および該前処理または処理が、該アポトーシス因子を用いた処理により誘導されるアポトーシスを増強するか、あるいは該量の前処理または処理がその目的に対して有効であるかを決定する工程、を包含する、方法。
  23. 請求項22に記載の方法であって、ここで、前記アポトーシス因子が、デキソルビシンまたはパクリタキセルである、方法。
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