JP2007536281A - 瘢痕組織治療用の官能性シロキサン - Google Patents

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Abstract

創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療において使用するための新規組成物は、1種以上の式(I)

(式中、m=0〜6であり、n=6〜100であり、Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’、COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得
(式中、U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;式中、X=ハロゲンであり;式中、y=1〜100である);
(但し、Q、RおよびR’は、全てがCアルキルであることはあり得ない;))
の化合物を含み、ここで式(I)の化合物は、当該組成物の少なくとも1%の量で存在する。
【選択図】なし

Description

本発明は、概して、創傷、熱傷または他の皮膚状態(これらに限定されない)の治療のための、組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、創傷、熱傷および瘢痕(同様に、これらに限定されない)等の皮膚状態の治療剤として作用する、1種以上の官能性シロキサンを含む組成物に関する。
皮膚または真皮が、切削または火傷により創傷または外傷を受けた場合、瘢痕組織が形成される。全ての創傷が瘢痕形成により治癒されるが、場合によっては、肥厚性および/またはケロイド瘢痕が形成されることがある。肥厚性瘢痕は、細胞外基質成分の過剰産生に起因する、紅班性の、隆起した肥厚性組織をもたらす。ケロイド瘢痕は、繊維性瘢痕組織の隆起形成をもたらし、肥厚性瘢痕と同様に、外傷および手術により生じる。そのような瘢痕は、特に、重大な熱傷からの回復と関連している。
瘢痕の慣用的な治療法は、ゲルシート形態のシリコーンポリマーを使用する。シリコーンポリマーは、生物学的に不活性であると考えられており、そのようなものとして様々な医療応用(例えば、心臓弁置換および「ヒドロゲルに基いた」コンタクトレンズ中のシリコーン等)において広範囲な用途を有する。それらはまた、肥厚性瘢痕を回復させるために、加圧治療、X線治療およびコルチコステロイド注射の代わりに臨床的に用いられる。シリコーンゲルは、実質的に副作用がない。しかしながら、治療は長期に渡り、最長1日12時間で、最長数ヶ月間必要とする(例えば、SC Licensing CorporationへのUS 6,337,076 B1中で記載)。この、長期の瘢痕治療は不便であり、より効果的なシリコーンゲル治療の研究が続いている。
ゲルの効果を理解しようとして、いくつかの提案された作用様式としては、(i)増加した皮膚温によるコラゲナーゼ活性速度の増大(ii)静電誘導(iii)閉鎖状態による皮膚の水和および(iv)ゲルから移動する活性成分の化学的および機械的作用の両方、が挙げられている。しかしながら、US 6,337,076において検討されているように、作用機序については依然として不明である。
医療グレードのシリコーンゲルは、主に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなり、[(CHSiO]の繰り返し単位を有する合成ポリマーである。シリコーンゲルは、軽度に架橋されており、PDMS流動体を含む三次元マトリクスを形成する。PDMS’sは、良好な生体適合性、疎水性および柔軟性を有しており、インプラントおよび感圧接着剤への応用が見出されている。官能性低分子量シリコーン流動体は、化粧品中のエンハンサー(Lion CorpへのJP2003081806中に記載)、および経皮送達剤のための医薬品(Dow CorningへのUS 5,145,933中に記載)として用いられている。しかしながら、瘢痕修復におけるそれらの効果の理由は依然として不明である。
本発明の目的
従って、本発明の目的は、創傷、熱傷、瘢痕組織および/または他の皮膚状態を治療するための効果的で便利な組成物および/または方法を提供することであり、それらは、従来技術における1以上の課題を克服もしくは緩和し、または有用な商業的代替物を与える。
本発明の要旨
本発明は、シロキサン化合物を含む組成物に関し、それは好ましくは、表皮角質層を通じて、表皮下および真皮層へと拡散し得、それによって、創傷、熱傷、肥厚性およびケロイド状瘢痕組織減少、および/または他の皮膚状態(これらに限定されない)の効果的な治療として機能する。
本発明の1番目の局面に従って、式(I)
(式中、
m=0〜6
n=6〜100
Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得;
(式中、U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;
式中、X=ハロゲンであり;
式中、y=1〜100である;)
(但し、Q、RおよびR’は、全てがC1アルキルであることはあり得ない;))
の化合物を含む、創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療において用いるための組成物が提供され、ここで式(I)の化合物は、当該組成物の少なくとも1%の量で存在する。
RおよびR’は、環系が形成されるように、連結して結合または架橋アルキル基を形成する末端基であり得ることは理解される。
本発明の1番目の局面の態様に従って、式(I)の化合物は、組成物の少なくとも5%の量で存在する。
本発明の1番目の局面の他の態様に従って、式(I)の化合物は、組成物の少なくとも10%の量で存在する。
本発明の1番目の局面のさらに他の態様に従って、式(I)の化合物は、組成物の少なくとも30%の量で存在する。
本発明の2番目の局面に従って、式(I)
(式中、
m=0〜6
n=6〜100
Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得;
(式中、U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;
式中、X=ハロゲンであり;
式中、y=1〜100である;)
(但し、Q、RおよびR’は、全てがCアルキルであることはあり得ない;))
の化合物を含む組成物の、創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療用の薬剤の製造における使用が提供され、ここで式(I)の化合物は、該薬剤中に少なくとも1%の量で存在する。
本発明の3番目の局面に従って、式(I)
(式中、
m=0〜6
n=6〜100
Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得;
(式中、U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;
式中、X=ハロゲンであり;
式中、y=1〜100である;)
(但し、Q、RおよびR’は、全てがCアルキルであることはあり得ない;))
の化合物の有効量を含む組成物を患者に投与する工程を含む、創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法が提供され、ここで、式(I)の化合物は、該組成物の少なくとも1%の量で存在し、上記化合物は、角質層を通じて、表皮下皮膚層へと移動する。
本発明の3番目の局面の態様に従って、該方法はさらに、組成物を局所的に投与する工程を含む。
本発明の3番目の局面の他の態様に従って、該方法はさらに、単球活性化を引き起こすのに効果的な量で、組成物を投与する工程を含む。
本発明の3番目の局面のさらに他の態様に従って、該方法はさらに、繊維芽細胞の増殖を抑制するのに効果的な量で組成物を投与する工程を含む。
本発明の3番目の局面のさらなる態様に従って、該方法はさらに、コラーゲンの産生を下方制御するのに効果的な量で組成物を投与する工程を含む。
本発明の3番目の局面のなおさらなる態様に従って、該方法はさらに、細胞増殖を阻害しないための効果的な量で組成物を投与する工程を含む。
本発明の3番目の局面のなおさらにさらなる態様に従って、該方法はさらに、コラゲナーゼ活性を増強するのに効果的な量で組成物を投与する工程を含む。
本明細書において、用語「含む(comprises)」、「含んだ(comprising)」または類似の用語は、非排他的な包含を意味することを意図しているため、要素の一覧を含む組成物、方法、システムまたは装置は、それらの要素のみを含むのではなく、記載されていない他の要素も十分に含み得る。
本発明がより容易に理解され得、実際の効果に置き換えるために、本発明の好ましい態様が、例示の手段としてのみ、添付の図面および実施例を参照して記載され、ここで、
表1:Cica−Care(登録商標)医療用ゲルから抽出した分子種、
表2:異なる温度における角質層全域のシリコーン拡散、
表3:PDMS’sに置換した官能基の一覧、
表4:PDMS’sに置換した官能基の一覧、
表5:PDMS’sに置換した官能基の一覧、
表6:シロキサン処理された細胞の吸光分析、
表7:シロキサン処理された細胞のシリウスレッド80を用いた540nmにおける吸光分析、
表8:シロキサン処理された細胞のシリウスレッド80を用いた540nmにおける吸光分析、
表9:シロキサン処理された細胞のシリウスレッド80を用いた540nmにおける吸光分析、
表10:シロキサン処理された細胞のシリウスレッド80を用いた540nmにおける吸光分析、
表11:シロキサン処理された細胞のシリウスレッド80を用いた540nmにおける吸光分析、
表12:シロキサン処理された細胞のシリウスレッド80を用いた540nmにおける吸光分析、
表13:シロキサンで処理された包皮繊維芽細胞および肥厚性繊維芽細胞の、NaOH−メタノール2.5M中、シリウスレッドを用いた発光波長540nmにおけるマイクロプレートリーダーによる平均結果、である。
図1a:クロロホルム抽出後のシリコーン医療用ゲルからの低分子量シリコーンオリ
ゴマーのMALDI−MS分析。環状
外1
、メチル/メチロール、メチル/メトキシ末端(■)およびメチル/ヒドロシキ末端オリゴマー(●)に起因した経過が示される。
図1b:クロロホルム抽出後のシリコーン医療用ゲルからの、(A)NaSi17
3410217、(B)NaSi173410217SiCCHOCHおよび(C)NaSi173410217SiCCHOH(最大でn=17)に関する低分子量シリコーンオリゴマーのMALDI−MS分析の同位体予測。
図2:水抽出後のシリコーン医療用ゲルからの低分子量シリコーンオリゴマーのMA
LDI−MS分析。スペクトルは、低分子量におけるポリエチレングリコールによる汚染を示す。環状(▼)、メチル/メチロール、メチル/メトキシ末端
外2
およびメチル/ヒドロシキ末端オリゴマー
外3
に起因した経過が示される。
図3:金属MALDI標的に対する加圧により、新しいシリコーン医療用ゲルから移
動した成分のMALDI−MS。スペクトルは、低分子量におけるポリエチレングリコールによる汚染を示す。環状オリゴマー(▼)に起因した経過が示される。
図4:金属MALDI標的に対する加圧により、水洗シリコーン医療用ゲルから移動
した成分のMALDI−MS。メチル/メチロール−(メチル/メトキシ)−末端オリゴマー(▼)に起因した経過が示される。
図5a:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後の
ゼラチン断面のEDX元素分析:(a):ゲルと接触した表面。
図5b:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後の
ゼラチン断面のEDX元素分析:(b):バルク(中心)。
図5c:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後の
ゼラチン断面のEDX元素分析:(c):背面。
図5d:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後の
ゼラチン断面のEDX元素分析:(d)ゼラチン対照。
図6a:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後の
ゼラチン断面のシリコンのEDX元素マップ。(a)および(b)での異なる限界感度で、シリコンは、暗い背景に対して白い領域として現われている。
図6b:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後の
ゼラチン断面のシリコンのEDX元素マップ。(a)および(b)での異なる限界感度で、シリコンは、暗い背景に対して白い領域として現われている。
図7a:(a)表皮の範囲(70μm)を示す瘢痕組織断面のSTEM画像。
図7b:(b)表皮/真皮界面における最高強度を示すシリコンのEDXマップ。
図8:環状
外4
およびメチル/ヒドロキシル−末端(●)オリゴマーの存在を示す
Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルの(クロロホルム)抽出物と接触させた後の瘢痕組織表面からのMALDI質量スペクトル。
図9:低分子量官能性シリコーンの存在下でインキュベートされたインビトロ繊維芽
細胞。
図10:低分子量官能性シリコーンの存在下でインキュベートされたインビトロ初代
包皮および肥厚誘発繊維芽細胞(継代数は括弧内で示されている)。
図11:表7のグラフ表示、官能性シリコーンと共に接種された包皮繊維芽細胞およ
び肥厚誘発繊維芽細胞。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、表皮を通じて真皮層へと拡散する、式(I)で示されたような1種以上の官能性シロキサンを含む組成物、および、肥厚性およびケロイド瘢痕を含む創傷、熱傷または他の皮膚状態の効果的な治療における当該組成物の使用を提供する。
本明細書で用いられている、「シロキサン」は、シリコン原子および酸素原子を交互に有する化合物の広範な種類の全てを意味する。
本明細書で用いられている、用語「官能基」または「官能性」は、その一般的な定義を有し、好ましくは、ハロゲン原子、C−C15アルキル、置換C−C15アルキル、過ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、ヘテロアリール、置換へテロアリール、シアノ、およびニトロからなる群から選択される、化学的部位を言う。官能基はまた、−SR、−OR、−NRY1Y2、−Nq1q2q3、−N=N−Rq1、−Pq1q2q3、−COR、−C(=NOR)R、−CSR、−OCOR、−OCONRq1q2、−OCO、−CONRq1q2、−C(=N)NRq1q2、−CO、−SONRq1q2、−SO、−SO、−PO(OR、−NRq1CSNRq2q3、からなる群から選択され得る。これらの官能基の置換基Rq1、Rq2、Rq3、RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C−C15アルキル、置換C−C15アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、ヘテロアリール、置換へテロアリール、からなる群から選択され、脂肪族または芳香族複素環の一部を構成し得る。Rは、好ましくは、水素原子、C−C15アルキル、置換C−C15アルキル、過ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、ヘテロアリール、置換へテロアリールおよびシアノからなる群から選択される。
本明細書で用いられている、用語「アルキル」は任意の非分枝または分枝の、飽和炭化水素を意味し、C−C15の、非分枝、飽和、非置換の炭化水素が好ましく、メチル、エチル、イソブチルおよびtert−ブチルが最も好ましい。置換飽和炭化水素のなかでは、C−C15の、モノ−およびジ−ならびに過ハロゲン(pre−halogen)置換の、飽和炭化水素およびアミノ置換の炭化水素が好ましく、ペルフルオロメチル、ペルクロロメチル、ペルフルオロ−tert−ブチル、およびペルクロロ−tert−ブチルが最も好ましい。
用語「置換アルキル」は、任意の非分枝または分枝の、置換飽和炭化水素を意味し、非分枝C−C15アルキルの2級アミン、置換C−C15の2級アルキルアミン、および非分枝C−C15アルキルの3級アミンは、「置換アルキル」の定義に含まれるが、好ましくはない。用語「置換アルキル」は、任意の非分枝または分枝の、置換飽和炭化水素を意味する。環状化合物(環状炭化水素およびヘテロ原子を有する環状化合物の両方)は、「アルキル」の意味に含まれる。
本明細書で用いられている、用語「アルケニル」は、任意の非分枝または分枝の、置換または非置換の、不飽和炭化水素を意味し、C−C15の非分枝、モノ−不飽和およびジ−不飽和の、非置換炭化水素が好ましく、モノ−不飽和、ジ−ハロゲン置換炭化水素が最も好ましい。用語「置換アルケニル」は、1種以上の官能基により置換された、任意の非分枝または分枝の、置換不飽和炭化水素を意味し、非分枝C−C15アルケニルの2級アミン、置換C−C15の2級アルケニルアミン、および非分枝C−C15アルケニルの3級アミンは、「置換アルキル」の定義に含まれる。用語「置換アルケニル」は、任意の非分枝または分枝の、置換不飽和炭化水素を意味する。環状化合物(不飽和環状炭化水素およびヘテロ原子を有する環状化合物の両方)は、「アルケニル」の意味に含まれる。
本明細書で用いられている、用語「アルキニル」は、任意の非分枝または分枝の、置換または非置換の、不飽和炭化水素を意味し、C−C15の非分枝、モノ−不飽和およびジ−不飽和の、非置換炭化水素が好ましく、モノ−不飽和、ジ−ハロゲン置換炭化水素が最も好ましい。用語「置換アルキニル」は、1種以上の官能基により置換された、任意の非分枝または分枝の、置換不飽和炭化水素を意味し、非分枝C−C15アルキニルの2級アミン、置換C−C15の2級アルキニルアミン、および非分枝C−C15アルキニルの3級アミンは、「置換アルキル」の定義に含まれる。用語「置換アルキニル」は、任意の非分枝または分枝の、置換不飽和炭化水素を意味する。環状化合物(不飽和環状炭化水素およびヘテロ原子を有する環状化合物の両方)は、「アルキニル」の意味に含まれる。
本明細書で用いられている、用語「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲン原子」は、元素周期表の列17の非放射性原子のいずれか1つを言い、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、フッ素および塩素が特に好ましい。
本明細書で用いられている、用語「アルコール」は、任意の非分枝または分枝の、飽和または不飽和アルコールを意味し、C−Cの非分枝、飽和、非置換アルコールが好ましく、メチル、エチル、イソブチル、およびtert−ブチルアルコールが最も好ましい。置換、飽和アルコールの中では、C−Cのモノおよびジ−置換飽和アルコールが好ましい。用語「アルコール」には、置換アルキルアルコール、および置換アルケニルアルコールが含まれる。
本明細書で用いられている、用語「ヒドロキシアルキル」は、好ましくは、1〜15の炭素原子を有し、1種以上のヒドロキシル基で置換された、直鎖、分枝、環状および二環式構造およびこれらの組み合わせから選択される。適切なヒドロキシルアルキルは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチルから選択され得る。
本明細書で用いられている、用語「アリール」または「Ar」は、用語「置換アリール」、「ヘテロアリール」および、「置換へテロアリール」を包含し、好ましくは、環に含まれる5または6個の原子を有する芳香族炭化水素環を言う。用語「ヘテロアリール」および「置換へテロアリール」は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、または窒素原子)が少なくとも1つの炭素原子と共に環中に存在する芳香族炭化水素環を言う。最も一般的には「アリール」、より詳しくは「置換アリール」、「ヘテロアリール」および「置換へテロアリール」は、好ましくは環に含まれる5または6個の原子を有する、最も好ましくは6個の原子を有する芳香族炭化水素環を言う。用語「置換アリール」は、例えば、アルキル、アリール、アルコキシ、アジド、アミン、およびアミノ基で置換された、モノおよびポリ置換アリールを含む。「ヘテロアリール」および「置換へテロアリール」は、独立して用いられた場合、特に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄または窒素原子)が少なくとも1つの炭素原子と共に環中に存在する芳香族炭化水素環を言う。
好ましい態様において、本発明は式(I)
(式中、
m=0〜6
n=6〜100
Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、COU、COH、UCOH、UCOR’、COCOU、アリールおよびアリールUから選択され得
(式中、Uは、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され;
式中、y=1〜100である)
(但し、Q、RおよびR’は、全てがC1アルキルであることはあり得ない;))
の化合物を含む、創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療に用いるための組成物を提供し、ここで式(I)の化合物は当該組成物の少なくとも1%の量で存在する。
他の好ましい態様において、本発明は式(I)
(式中、
m=0〜6
n=6〜100
Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOUおよびUOHから選択され得
(式中、Uは、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され;
式中、y=1〜100である;)
(但し、Q、RおよびR’は、全てがC1アルキルであることはあり得ない;))
の化合物を含む、創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療に用いるための組成物を提供し、ここで式(I)の化合物は当該組成物の少なくとも1%の量で存在する。
特定の態様において、mが式(I)中に存在する場合、mは1、2、3、4、5または6に相当する。
他の特定の態様において、式(I)中のnは、10〜50、20〜30の範囲の値、または10〜50の間の任意の整数値を有する。
特定の態様において、式(I)のU中の炭素原子の数は、1〜10の範囲の任意の整数値である。
他の特定の態様において、式(I)のU中の炭素原子の数は、2〜6の範囲の整数値である。
特定の態様において、式(I)中のyは、1〜100の間の任意の整数値である。
さらにより特定の態様において、yの値は5、10、15、20、25、30、35、40、45、40、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100であり得る。
特定の態様において、式(I)の化合物は、エトキシシリコーン化合物、メトキシシリコーン化合物、または本明細書以下GP582、GP426、PG507、GP226またはGP218とよぶ化合物であり得る。
特に好ましい態様において、式(I)の化合物は、GP507、GP226またはGP218である。
特定の態様において、シロキサンは、組成物の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、95%を構成し得る。
好ましくは、シロキサンは、15%〜45%の範囲、より好ましくは約30〜35%の範囲の濃度であり得る。
ここで添付された明細書および特許請求の範囲中で用いられている、用語「量(amount)」および「濃度(conentration)」は互換可能に用いられ、同一の意味を持つことは理解される。
組成物および/または治療方法は、ヒト、家畜、パフォーマンス動物および家畜類等の哺乳類を含む、任意の動物に適し得る。
好ましくは、哺乳類はヒトである。
前述のように、本発明は1種以上のシロキサン化合物の医薬組成物としての投与に関する。
前述のように、組成物は本発明の3番目の局面に従って用いられ得る。
適切には、組成物は、医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含む。
「医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」は、全身投与において安全に用いることのできる、固体または液体の充填剤、希釈剤または封入物質を意味する。特定の投与経路に応じて、当該技術分野で周知の様々な担体を用いることができる。これらの担体は、糖、スターチ、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、生理食塩水ならびに塩酸塩、臭化水素酸塩および硫酸塩を含む無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩およびマロン酸塩などの有機酸などの塩、およびパイロジェンフリー水から選択され得る。
好ましくは、医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤は、哺乳類への投与、より好ましくはヒトへの投与に適している。
1つの態様において、医薬組成物は、皮膚科学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、皮膚病用の組成物であり得る。
医薬的に許容される担体、希釈剤および賦形剤について記載した有用な参考資料は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.N.J.USA,1991)であり、これらは参照として本明細書中に包含される。
本発明の組成物を患者に提供するための、任意の安全な投与経路を採用することができる。例えば、経口、直腸内、非経口、舌下、口腔内、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳内、経皮などを採用することができる。
特定の態様において、組成物は、局所投与に適している。
他の特定の態様において、局所投与のための組成物は、クリーム、軟膏またはローションである。
他の特定の態様において、組成物は、エトキシシリコーン、メトキシシリコーン、GP582、GP426、GP507、GP226およびGP218からなる群の1種以上を含んでいる。
さらに他の特定の態様において、局所投与のための組成物は、GP218、GP226およびGP507からなる群の1種以上を含んでいる。
好ましくは、組成物は、シリコーンが皮膚層および/または他の組織を通じて移動する方法で投与される。
本発明者らは、人目を引く顔および体の一部の、高度に血管化した瘢痕の発赤を覆い隠すために、製剤中に顔料を含むことを想定する。
製剤はまた、日焼け防止剤、麻酔薬または皮膚に適用される製剤において慣用および公知の他の添加剤を含み得る。
治療または化粧製剤に用いられるシリコーンは、それらをアレルギー性または刺激性にする、いかなるシラノールまたはいかなる他の官能基を含んではならないことは理解される。
剤形としては、錠剤、分散剤、懸濁剤、注射剤、溶液、シロップ、トローチ、カプセル、坐剤、エアロゾル、経皮貼付剤などが挙げられる。これらの剤形はまた、特にこの目的のために設計された注射またはインプラント型の放出制御デバイス、またはこの方法において追加的に作用するよう修飾されたインプラントの他の形態を含み得る。治療剤の放出制御は、例えば、アクリル樹脂、ワックス、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸を含む疎水性ポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの特定のセルロース誘導体でその治療剤を被覆することにより達成され得る。加えて、放出制御は、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフィアを使用することにより影響を受け得る。
上記組成物は、剤形に適した方法、および医薬的に有効な量で投与され得る。患者への投与量は、本発明に照らして、適切な期間にわたって、有益なレスポンスを患者にもたらすのに十分である必要がある。投与される薬剤の量は、その年齢、性別、体重および一般的な健康状態、専門家の判断に依存した因子を含めて、治療される対象に依存し得る。当業者は患者への適切な用量を容易に決定し得ることは理解される。
本発明の組成物および方法は、キットの一部、またはキットの利用の一部を形成し得ることは理解される。当業者は、本明細書に含まれた情報および公知の一般的な知識に基いて、どのようにキットを構築するかを容易に理解する。
用語「医薬的に許容される塩」は、特に式(I)の化合物の医薬的に許容される塩を言う場合、化合物の任意の医薬的に許容される塩を言い、好ましくは化合物の酸付加塩を言う。医薬的に許容される塩の好ましい例は、化合物の酸付加塩である。医薬的に許容される塩の他の好ましい例は、アルカリ金属塩(ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属塩(カルシウムまたはマグネシウム)、またはアンモニア由来の、もしくは、例えば、C−Cアルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンまたはトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタンなどの医薬的に許容される有機アミン由来のアンモニウム塩である。塩基性アミンである本発明の化合物に関して、医薬的に許容される塩の好ましい例は、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸または脂肪族もしくは芳香族のカルボン酸もしくはスルホン酸、例えば、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などの医薬的に許容される無機または有機酸の酸付加塩である。本発明の好ましい医薬組成物は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩を含む。
用語「紅斑」は、任意の皮膚発赤、特に神経性の原因を有する慢性皮膚発赤を意味する。
用語「塩イオン」は、例えば、NaまたはKが中性分子に結合することにより形成される[M+Na]または[M+K]のような、カチオンが中性分子に結合することにより形成されるイオンを意味する。
本発明が完全に理解され得、実際に効果を発揮し得るように、本発明は、以下の限定されない実施例を参照して記載される。
実施例:実験
実施例1:Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルからの移動性低分子量種の同定
シリコーンゲルCica−Care(登録商標)(Smith and Nephew)は、ロイヤルブリスベン病院の熱傷ユニットから得た。MALDI−TOF−MSを用いて、バルクおよびシリコーンゲルの表面から移動し得るものの両方に存在する種の化学組成、モル質量ならびに、オリゴマー分布を測定した。
バルク中に存在する低分子量種の組成を決定する本研究において、ゲルをクロロホルムにより完全に抽出した。これは、架橋ゲルからの36%の質量損失をもたらした。
他の実験において、ゲル中になんらかの水溶性または親水性種が存在しているか否かを決定するために、ゲルを水で抽出した。質量損失は、はるかに少なかった(4%)。
表面種の分析のための、MALDI標的への移動は、ゲルの表面をステンレス鋼板に接触させることにより達成され、これはMALDI標的を形成した。MALDI分析用のサンプルを調製するために、典型的には、1pgのサンプルを、標的プレート上でマトリクス(4−ヒドロキシベンジリデンマロノニトリル:ヨウ化ナトリウム=20:1)に加え、乾燥した。337nmにおける450Nレーザーショットからのイオンは、Micromass Tof−Spec2 E質量分析計により分析した。
GC/MSは、抽出物に存在した960Da以下の全ての低分子量種を検出するために用いた。サンプルは、シリコーンゲルのメタノールを用いた別個の抽出物から調製した。これらは後に、構造解析のために、四重極MD800質量分析計と結合した、HT5キャピラリーカラムを有するFisons8000ガスクロマトグラフにより分析した。12mカラムは、0.22mmの内径であり、5%フェニル(当量)ポリカルボラン−シロキサンを有している。全てのインジェクションは、60秒のパージ活性化時間で、スプリットレスモードで行った。パージ活性化の間、カラム温度を40℃に維持し、その後温度を15℃/分の速度で350℃まで増加させた。
実施例2:優占種の分離についての結果および考察
図1は、クロロホルムによりゲルから抽出することで得られる低分子量シリコーン種のMALDI質量スペクトルを示す。スペクトルは、該種は、質量1080Da〜2640Daで存在することを示している。1080Daのカットオフを設定して、マトリクスの付加イオンからの干渉(n×192Da)が検体スペクトル中で排除されていることを確実にする。
図1aにおいて、[(CH−Si―O]nに対応する74Daの分離を有するピークの発達は、支配的な特徴である。ピークは、n=17周辺のピークを持つ、n値の増加についての塩種に対応する。そのような種は、通常、質量制限により、GC/MSのような分析方法によっては検出されず、MALDI−MSの感度を反映している。しかしながら、非分画サンプルからの結果が低モル質量に偏り得るように、多分散サンプルは、選択的なイオン化および検出を示すことは理解される(Montaudo,et al.,Rapid.Commun,Mass Spectrom.,1995,9,1158)。イオン化を助けるためのマトリクス中のヨウ化ナトリウムの存在により、MALDIスペクトルにおいて塩種は観測される。ポリジメチルシロキサンサンプル中に存在する、2つの最もあり得る種は、以下に示す、線状(a)および環状(b)のオリゴマーである。
PDMSは、n=4を有する環状出発物質(オクタメチルシクロテトラシロキサンまたはD4)の開環重合の平衡により合成されるので、平衡において環状オリゴマーは常に存在する。それゆえ、線状のオリゴマー種に加えて、シリコーンの〜10%は、低分子量環状オリゴマーとしてPDMS中に存在する。質量分析計の機器ソフトウェアを用いることにより、n=17について、線状および環状オリゴマーに関して予想される同位体種をシュミレートすることができる(Hunt,et al.,Polym.Int.,2000,49(7),633)。これを行った場合、(図1(b)で示すように)スペクトルは環状種に割り当てることができ、各末端にメチル官能基を有する種(上記(a)で示した)ではなく、メトキシまたはメチロール基のいずれかである1つの末端基を有する種である線状種からのより小さな寄与を伴っている。
シュミレーションは、図1に示したメチル/ヒドロキシル−、メチル/メチロールおよびメチル/メトキシの組み合わせに加えて、全ての可能な末端基について行ったが、データフィットのさらなる改善は得られなかった。試された末端基の組み合わせは、水素/水素、メチル/水素、メチル/メチル、メチル/ヒドロキシル、ヒドロキシル/ヒドロキシル、メトキシ/メトキシ、メチロール/メチロール、メチル/ビニル、シラノール/ビニルおよびビニル/ビニルであった。
それゆえ本発明者らは、クロロホルムによるシリコーンゲルの抽出は、環状および線状の両方の全ての種を除去するが、環状種のMALDIによる検出は、イオン化プロセスのために好まれ得るという結論に至る(Axelsson,et al.Macromolecules,1996,29,8875−8882)。
960Da以下の種は、GC/MSにより測定した。これは、D5およびD6に対応するピークの明確な同定をもたらした。D4の欠如は、ゲルからのこの揮発性種の揮散と一致する。
実施例3 移動性シリコーン種を評価するためのモデルコラーゲン系
医療用ゲルからのシリコーン種の移動を測定するために、ゼラチン、または加水分解ウシコラーゲンをモデル系として用いた。ゼラチンは、試験中の微生物からの攻撃を防ぐために、抗生物質を含む溶液からキャスティングした。シリコーンゲルを、16週間、ゼラチン表面と接触させて置き、次いで、凍結乾燥後に切断し、走査型電子顕微鏡でのエネルギー分散型X線(EDX)分析によるシリコンの元素マッピングのための断面を得た。走査型透過電子顕微鏡(STEM)もまた、切断した瘢痕組織について行った。あらかじめ液体窒素下に保存していたサンプルを、ガラスナイフを用いて、液体窒素温度で、RMCTVIIウルトラミクロトームにより、1mm単位で1〜2μmに冷凍切断した。冷凍断片は、次いでダブルグリッド上に集め、すぐに、真空下(10−4mmHg)で一晩凍結乾燥した。X線マイクロ分析は、120kvにおけるPhilips CM2000走査型透過電子顕微鏡により行い、シリコンマップを構築した。
実施例4:水性ゲル抽出成分のMALDI分析
ゲルが水性環境下におかれた場合に(皮膚に長期間接触した場合に起こり得る)、同一種が得られるかどうかを測定するために、ゲルを水で抽出し、上記のとおりに、MALDI分析を繰り返した。スペクトルを図2に示す。スペクトルは、図1に示したものとは大きく異なり、そこには他の化学種が存在する。これは少量のポリ(エチレングリコール)(PEG)の存在に起因して見られたものであり、これらはゲル中に存在し得るが、サンプルをクロロホルムで抽出する場合には、比較的微量な成分である。PEGを、シリコーン種の定量の前に除去した。スペクトル2の分析において、データフィットは、先と同様にメチル/ヒドロキシル末端オリゴマーおよびメチル/メトキシまたはメチル/メチロールのいずれかの末端オリゴマーである線状シロキサンと比較して、環状種が微量成分である場合にのみ可能である。これらの種の相対濃度は、MALDIデータから評価することができ、表1に示す。この表は、2つの抽出媒体により除去された環状および線状種の相対量を対比している。環状種は、クロロホルム抽出により抽出され得るオリゴマーの60%である一方で、抽出に水を用いる場合、これは40%まで落ちることが分かり得る。
抽出においてクロロホルムを水に代える場合、メチル/メチロールまたはメチル/メトキシ末端の線状種およびメチル/ヒドロキシ末端の線状種の両方が増加する。線状種の環状種に対する割合は、クロロホルム抽出におけるよりも水抽出における方が高い。
実施例5:ゲル表面に存在する種および移動種の同定
ゲルから皮膚へのPDMS種の移動が創傷治癒において重要である場合、抽出され得るものだけでなく、ゲル表面に存在する種および移動し得る種の両方を同定することが重要である。MALDIの感度は、マトリクス物質の層を堆積し、上記のように質量スペクトルを稼動することにより、ゲルを標的に接触させることにより移動する少量の物質を分析することを可能にする。
図3は、Cica−Care(登録商標)の新しいサンプルから移動した種のMALDI質量スペクトルを示す。上記のように、スペクトルは、先と同じようにPEGで汚染されているが、支配的なシリコーン種は環状オリゴマーである。皮膚に対するゲルの通常の使用において、そこには水が存在し、長期の使用においては、皮膚は頻繁に洗われる。この観点から、湿潤サンプルを洗浄し、標的へ接触させた後の、表面種のMALDIスペクトルを得た。これらの結果は図4に示しており、支配的なオリゴマーは、線状のメチル/メチロールまたはメトキシ末端種である。
ゲルとMALDI標的との間の直接接触を含む実験は、湿っているかまたは乾燥しているかのいずれかの場合に、ゲル表面に低分子量種を確認するが、それらが皮膚または瘢痕組織中に移動し得るということは示さない。このために、本発明者らは、ゼラチンマトリクスのモデル系を用いた。このモデル系は、ゼラチンがコラーゲンのマトリクスを提供し、肥厚性瘢痕が真皮中のコラーゲンの過剰産生により生じるので、選択された。ゼラチンは、加水分解1型牛コラーゲンのマトリクスを提供し、それはシリコンの分布を測定するために、容易に凍結乾燥、および切断され得る。原理上は、MALDI分光器の機器ソフトウェアは、レーザーショットの線に沿って線図が構築されるのを可能にするため、MALDIをマッピング実験で用いることができるが、この応用においては、100μmの低分解能がMALDI分光器の実用性を制限する。MALDIの欠点を克服するために、本発明者らは、走査型電子顕微鏡でのエネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて、代わりの半定量的手法を与えた。本発明者らは、EDXに必要とされるため、凍結乾燥によりゲル中の水が除去されたことを入念に確保した。
図5は、異なる位置からの代表的なEDXスペクトルを示し、シリコーンゲルシートのパッチと16週間接触させた後の、ゼラチンの切断したサンプルの前面(a)から、バルク(b)を通り、背面(c)まで進んでいる。シリコンのシグナルは、他のバンドから良好に分解されていることが分かる。硫黄および塩素のバンドは、ゼラチンに加えた抗生物質から生じる。ゲルの厚さ全体にわたってシリコン分布のマップを構築することができ、これは2つのレベルの限界感度で図6に示す。(これらのマップにおいてNBシリコンは明領域として現われている)。画像は、シリコンのコラーゲン層中への移動があること、および局所的高濃度が達成されるいくらかの領域がバルク中に存在することを示す。最高濃度はゲルと接触した面において生じるが、有意な濃度がゲルから離れた表面上ならびにゼラチンのバルク中で検出されることがマップから分かる。前面はパッチが適用される面であるが、背面上の高い濃度は、ゼラチンを通じた移動および背面上での凝集が存在することを意味している。
シロキサンは、高表面活性であり、空気−ゼラチン界面で凝集するが、ゼラチンに浸透するために、水または疎水性コラーゲンのいずれかを通じた拡散がなければならない。環状およびメチル末端の線状種は高疎水性であり、コラーゲンとの結合が予想される。例えば、ヘムタンパクとPDMSの間の疎水性相互作用が変性をもたらすこと(Anderson,et al.,Biophysical Journal,1995,68,(5)2091)、およびn=4の小環状体(オクタメチルシクロテトラシロキサンまたはD4)が創傷治癒タンパクであるフィブリノゲンおよびフィブロネクチン中での構造変化を誘発すること(Sun et al.,Biomaterials,1998,18,(24)1593)が報告されている。
これらの結果に基いて、バルク中のシリコーン種の高濃度領域の存在は、シロキサンオリゴマーとコラーゲンの間の特定領域における強い疎水性相互作用を意味している。しかしながら、先に述べたが、シリコーンゲルの表面は環状種が豊富である一方で、ゲルが湿潤している場合、これらはMALDIにより表面で検出される線状オリゴマーと比較して微量な成分であることは興味深い結果である。
実施例6:移動性および結合性種による肥厚性瘢痕の修復メカニズム
親水性基により修飾された線状シリコーンが、界面においてタンパク質と結合し、変性に対してそれらを安定化することが近年報告されている(Zelisko,et al.,Proceedings−28th International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials and 4th Consumer & Diversified Products Conference,2001,2,997)。単純なヒドロキシ基末端がこの安定化を達成するのに十分であるかどうか、あるいはシリコーンが疎水性相互作用による構造反転を通じた変性を促進するかどうかは、これらの移動性および結合性種による肥厚性瘢痕の修復に関して起こり得るメカニズムについての基本的な関心である。加水分解コラーゲンマトリクスから真皮層につくられ得る外挿は限定された量しか存在しないので、シリコーンゲルシートから皮膚および瘢痕組織へ実際に移動し得る種についての研究は開始された。
図7(a)は、瘢痕組織の断面ならびに表皮および真皮下層の範囲のSTEM写真を示している。図7(b)は、同一断面からのシリコンについてのX線マイクロ分析マップを示している。シリコンはサンプル中に広く分布し、最高濃度が真皮と表皮の間の界面領域に出現していることが分かる。熱傷後の再上皮形成により発達した表皮中の濃度は、真皮と比較して極端に低く、分布は、界面での最高値から内部の真皮層に向かって減少する。
シリコンは健康な皮膚中に存在し、モデル系から皮膚への拡張を複雑にするコラーゲンの発達に関係していることに留意すべきである。さらに、健康な皮膚中に存在するこのシリコンと、スキンケア製品中のシリコンの偏在的使用に由来するシリコーンの両方が、測定がなされるべき大きなバックグラウンドをもたらす。シリコンの形態は不明であり、皮膚上のシリコーン種のMALDI−MS分析が必要とされる。
実施例7:PDMS種のイオン化および分析
本発明者らによって行われた、クロロホルム抽出物(図3で示されたように、主に環状種からなる)が適用された瘢痕組織についての研究は、低分子量シリコーンのイオン化および分析は達成され得ることを示した(ただし、低いS/Nである)。これは図8に示しており、シリコーンが適用された熱傷瘢痕の表面からのサンプルのMALDI質量スペクトルである。分析に先立って、部分的に乾燥した皮膚にマトリクスの微細噴霧を適用した。
MALDI−TOF質量分析を用いた、生物学的サンプルの分子イメージングに関する他の報告において、組織の直接分析は、低分子量領域(MW<1500)周辺の脂質およびタンパク質フラグメントのような多くの分子からのシグナルからの干渉を生じた(Caprioli,et al.,Anal.Chem.,1997,69,475)。本発明者らは、MALDI−TOF質量分析による分析を通じて、皮膚に付着したマトリクス溶液を有する皮膚と、有さない皮膚の両方について詳細に調べた。おそらく、分析条件がPDMSオリゴマーのために特に最適化されているため、いかなる干渉生物学的種も検出されなかった。それゆえ原理上は、本発明者らのモデルゼラチン系の研究は、シリコーンゲルパッチを適用する場合に、環状または線状のシロキサン種が瘢痕表面について一般的な条件下で移動するものであるか否かを決定するために、皮膚および瘢痕組織にまで直接的に拡張することができる。図8の試験は、これは脱着および分析されるオリゴマーの注意深い比較により決定され得ることを意味している。図1(適用された抽出物)および図8中のMALDIスペクトルの比較は、メチル/メチロール−(またはメトキシ−)末端オリゴマーは、瘢痕組織から脱着していないことを示す。この挙動に関してはいくつかの説明があり得るが、1つの可能性としては、これらのオリゴマーは、優先的に表皮中に移動し、タンパク質または他の細胞外基質成分と強く結合するということである。
本発明者らは、角質層を通じて真皮に移動し得る種およびコラーゲン特性に対してこれが有し得る効果をより明確に測定するために、皮膚および瘢痕組織についての研究を続けた。図7で示したような、皮膚断片からの直接MALDI分析に関しての課題は、イオン化に用いられる窒素レーザーパルスの制限された空間分解能である。再上皮形成後の表皮の全厚さが健康組織におけるよりもはるかに薄く、図7では〜70μmであるのに対し、これは典型的には100μmである。
実施例8:角質を通じた官能性シリコーンの移動
先行技術(Kligmann,et al.,Arch.Dermatol.,1964,88,702)に記載された方法のとおりに、全層皮膚抽出物を剥離し、表皮から真皮を分離した。剥離した表皮角質層をトリプシン消化リン酸緩衝溶液中で処理し、角化角質層を残して生活組織を除去した。分離した角質層をろ紙で乾燥し、必要な時まで冷凍保存した。
角質層の平均厚さは、約15〜18μmと報告されている。腹部形成術から採取した角質層は、電子顕微鏡により測定したところ20μmの平均厚さを有していた。角質層の構造は、れんが壁配置ならびにより単純な対角路構造と似ていた。角質層の拡散は、角質層の厚さのものよりもはるかに大きな実際の長さの脂質導管を通じて起こるとも考えられ得る。記述が、角質層全域における実際の分子拡散を記載するために用いられていようとも、異なる研究者らは、現在は、疎水性物質のみが細胞外経路を透過することができると考えている。
透過物についての拡散係数の計算は、膜の全域のブレーク(break)以外のさらなる情報を必要とする。浸透種が定常状態で透過する速度もまた必要とされる。透過速度を測定するために、2セルコンパートメントが通常用いられ、ここで透過物は、それが膜を横断した後に、継続的に除去される。減衰全反射(ATR)分析は、浸透物が膜のもう一方の端で現れるため、これを除去せず、内反射体(IRE)と直接接触した薄片または薄層内の透過物濃度を測定し得るのみである。ATRは、透過速度を測定することはできないが、拡散係数の決定においては有用である。定義によれば、拡散係数は、横断物質の透過に対する角質層による抵抗の尺度である。
表2は、シリコーン医療用ゲルおよび抽出した低分子量シリコーン油(それぞれ表2の左側および右側)で処理された角質層のATR分析から、本発明者らが得たデータのまとめである。シリコーン医療用ゲルの実験は、抽出した低分子量シリコーン油とは異なる温度で実施した(それぞれ22℃および32℃)。これは、拡散係数の温度依存性を証明し、フィッキアン(Fickian)の拡散プロフィールを実証した。
本発明者らは、シリコーン医療用ゲルから拡散するPDMS’sが、角質層を透過することが可能なだけでなく、表皮および真皮中に拡散し得ることを示した。しかしながら、肥厚性瘢痕中では、真皮と表皮との間の境目は明瞭ではない。肥厚性瘢痕は、非常に不規則なコラーゲン束を含んでおり、角質層もまた、正常な瘢痕および健康な組織よりもかなり薄い。薄片の顕微鏡検査により観察される細胞活動は、シリコーンの浸透物と繊維芽細胞または単球との間の、いかなる相互作用を予測するのにも十分でない。しかしながら、シリコーンは200μmを超えて透過するため、この疎水性物質は単球を活性化し得るだけでなく、必ず活性化すると推測することができる。シリコーンは繊維芽細胞を不活性化すること、および繊維芽細胞は、コラーゲンおよびコラゲナーゼ合成の両方に関与していることは知られている。ここで、これら高レベルの元素シリコンの唯一の供給源は、適用されたシリコーン医療用ゲルからのシリコーンオリゴマーの移動性低分子量種に起因していると考えられる。これは、元素シリコンの分布の画像による視覚化を可能とし、そこから移動性シリコーン種の透過を推測することができる。この相関は、肥厚性瘢痕組織中のどの場所で低分子量シリコーン種が蓄積するのかを決定するために不可欠である。
要約すれば、角質層は一般的に非透過性のバリヤとして認識されているが、特定の分子はこのバリアを透過することが可能である。本発明者らは、疎水性表皮層中へと親水性の真皮下層まで移動し得る環状および線状のポリシロキサンの一群、特に、置換または「官能性」PDMS’sを同定した。PDMSポリマーの置換基または官能基の性質は、水性環境中への移動速度および移動量における決定因子であることを発見した。水溶性基を有するポリシロキサンは、疎水性ポリシロキサンよりもより大きな速度で拡散することが判明した。シリコーンポリマーは、シロキサン骨格の高濃度のアルキル置換基により、本質的に疎水性である。しかしながら、これらの置換基のいずれかを少し置換するだけでも、PDMS分子全体の疎水性の性質を変えることができる。従って、環状および線状PDMSポリマー上の様々な置換基を変えることにより、官能性PDMS分子の一群は、疎水性の表皮上層および親水性の下部組織の両方を透過することができるように調整され得る。
いかなる特定の理論に縛られることを望むことなく、本発明者らは、官能性PDMS’sの作用様式は、分子および細胞レベルの両方での因果的カスケードによると考える。移動性の官能性PDMS’sは、角質層を通じて健康および瘢痕組織中に透過および拡散し、ここで官能性PDMS’sは細胞外マトリクスおよび局所組織のタンパク質成分と相互作用する。肥厚性瘢痕修復における効果に関与すると考えられる3つの重要な作用様式がある。
単球活性化
ヒト単球はシリコーンの存在下で活性化されることが報告されており、これは、免疫細胞の浸潤物がマクロファージ活性を増加させることを示唆している。シリコーン医療用ゲル治療の後、肥厚性瘢痕組織からの免疫細胞の浸潤物は、マクロファージ活性の明らかな増加を示し(Borgognoni,et al.,2000,/www.medbc.com/annals/review/,13,164)このことは、シリコーン医療用ゲルは、単球の活性化機序として作用することを示唆している。血漿タンパクは、シリコーンに吸収された場合、変性し、単球を活性化することが知られている(Naim et al.,Colloids and Surfaces,1998,11,(1/2)79)。それゆえ、前述の種は、繊維芽細胞の抑制を誘発するために用いることができると考えられる。
繊維芽細胞抑制
シリコーンポリマーがヒト繊維芽細胞の増殖を不活性化および阻害することは提案されている(McCauley,et al.,J.Surg.Res.,1990,49,103)。McCauleyらは、主に胸部インプラント応用のために製造されたシリコーンゲル人工ポリマー存在下における、ヒト真皮繊維芽細胞の挙動について記載している。問題のポリマーは、肥厚性瘢痕修復に対してロイヤルブリスベン病院の熱傷ユニットで用いられているCica−Care(登録商標)シリコーン医療用ゲルと同じ構造を有している。これらのグループの研究による発見は、生存繊維芽細胞の細胞成分の低減した生存性ならびに形態学的変化を伴うヒト真皮繊維芽細胞の不活性化効果が見受けられることを示唆している。作用機序は不明であるが、瘢痕修復におけるその役割の重要性は評価される。それゆえ、本発明者らは、前述の種は繊維芽細胞増殖を抑制するのに用いることができると考える。
コラゲナーゼ増強
単球および繊維芽細胞の両方は、コラゲナーゼの制御および合成に関与している。過剰のコラーゲン沈着の存在下で、両方の主要なコラゲナーゼ制御経路は活性シロキサンから影響を受ける可能性があり、それゆえ平衡が回復することは知られている。それゆえ、前述の種は、コラゲナーゼ増強を誘発するために用いることができると考えられる。
実施例9:PDMS組織間移動性物質の合成
表3−5に示したPDMS’sの計画的な合成は、環状ポリシロキサンの三量体または四量体の開環重合によるシリコーンポリマー合成を用いて行うことができる。縮合重合は、シリコーンポリマーのさらなる合成経路であり(Maravigna et al.,Comprehensive Polymer Science,1998,5)、それにより反応性ヒドロキシル基は、鎖の末端において置換され、続いて置換反応を行うことによって、シリコーンポリマーを「官能化」する(Mark,Silicon−based Polymer Science:A Comprehensive Resource,1990)。ヒドロキシル基は、ジメチルおよびビニル末端基で置換され得る。これらのシリコーンシートのゲル特性を得るために、PDMSは公知の方法に従って架橋され得る(Ravve,Principles of Polymer Chemistry 1995)。架橋は、添加された過酸化物の分解により生じるフリーラジカルによる引き抜きを介してビニル末端基側で達成される(Hirshowitz,et al.,Eur.J.Plast.Surg.,1993,16,5;Ravve,Principles of Polymer Chemistry 1995)。過酸化2,4−ジクロロベンゾイルは、シリコーンエラストマーを硬化するために用いられ得る。加えて、これらのポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)またはポリ(テトラフルオロエチレン(poly(tetrafluorethylene)のように、内部のポリマーメッシュにより強化され得る(Ahn et al.,Surgery,1989,106,781 および Suare,et al.,Dermatol.Surg.,1998,24,567)。
開環重合プロセスにおいて、大環状種は10〜15重量%の収率で得られる。反応性官能末端基は、Colas(Colas,Chimie Nouvelle,1990,8,(30)847)に記載された方法を用いて、水、アルコール、ジビニルテトラメチルジシロキサンまたはテトラメチルジシロキサンとクロロシロキサン末端基との反応により形成され得る。他の適切な反応は以下に示す;
PDMSの重合の間に、分子量分布(MWD)をもたらす様々なモル質量のオリゴマーの一群が形成される。分子量の実測は平均値をもたらすことしかできず、それゆえ、いくつかの平均値が示される。ポリマーの多分散性(PD)は、M/Mの比であり、それはポリマーサンプルを構成するオリゴマーの質量が、互いにどの程度近似しているのかを示している。例えば
の狭い多分散性比は、オリゴマーの分布が近似しており、分子量の範囲が小さいことを示している。しかしながら、高いPD(例えば、3.0)は、分子量の範囲が大きく、質量スペクトルの両端間の差が顕著であることを示している。通常の分布について
である。
実施例10:新生児陰茎包皮および肥厚性繊維芽細胞インビトロシリコーン
結果:細胞活性
インビトロにおける、シリコーン流動体およびシリコーン医療用ゲルへの暴露は、結果的に単球および繊維芽細胞を活性化および不活性化させることが知られている(Kuhn et al.Int.J.Sur.Investig.,2001,2(6),443;McCauley,et al.,J.Surg.Res.,1990,49,103;Naim et al.,Colloids and Surfaces,1998,11,(1/2)79)。従来、これに関して、シリコーン流動体は遮断物質として機能する皮膚表面上に置かれ、もしくはおそらく治療中にその部位の水和に影響を与え、そして生活組織まで浸透しなかったという前提があった。しかしながら、上記で本発明者らが明らかにしたように、本発明のシリコーンは角質層を透過する。皮膚透過に加えて、本発明者らはまた、官能性シリコーン種と繊維芽細胞との間の相互作用についても研究を行った。
医療用ゲルパッチから抽出したものとの分子量範囲および官能性の類似点により、Cica−Care(登録商標)医療用ゲルから抽出した低分子量シリコーンの7つの種を選び、インビトロで、2つの初代繊維芽細胞株を用いて試験した。試験したシリコーンは以下の通りに同定される。
・末端官能基を有するエトキシ末端キャップ3400amu線状シリコーン;低粘性;エトキシ末端封鎖ジメチルシリコーン;透明、無色からわずかに濁った液体;重量/ガロン=8.0lbs;25℃における粘度=68cSt;引火点(P.M.C.C)>200°F;100%活性;2.8%(重量)エトキシ含量;(本明細書中でエトキシとよぶ);
・メトキシ末端キャップ3500amu、線状シリコーン末端官能基(本明細書中でメトキシとよぶ)、
・GP582:ヒドロキシル末端キャップ18000amu線状シリコーン末端官能基;25℃における750cStの呼び粘度;透明、無色の液体;重量/ガロン=8.1lbs;比重=0.98;100%シリコーン;
・GP426:ヒドロキシル末端キャップ3400amu;線状シリコーン末端官能基;25℃における100cStの呼び粘度;重量/ガロン=8.1lbs;比重=0.99;100%シリコーン;
・GP507:分枝のカルビノール3000amu;分枝の官能基;100%活性カルビノール官能性シリコーンポリマー;透明、無色から淡黄色の液体;重量/ガロン=8.0lbs;25℃における粘度=293cST;引火点(P.M.C.C)>200°F;比重=0.98;OH含量(カルビノール)=3.55%;
・GP226:ペンダントレーキ構造ポリオール4300amuの分枝官能基;水−分散性;シリコーンおよびポリオールブロック部分の間の安定なSI−C結合の存在に起因する加水分解による分解に対する抵抗性;低表面張力;水分散性;非加水分解性;低凝固点;100%活性ポリオキシエチレン(EO)修飾ジメチルポリシロキサンブロックコポリマー;透明から濁った、無色から淡黄色の液体;重量/ガロン=8.0lbs;25℃における粘度=90cST;引火点(P.M.C.C)>300°F;比重=1.04;100%活性;42%シリコーン;凝固点32°F;および
・GP218:ペンダントレーキ構造ポリオール5100amu、分岐の官能基;ジメチル/シリコーンポリオールコポリマー;
式(I)中のm、nおよびyの値は、式(I)で定義される化合物の平均分子量が、上記のように試験された化合物に関して記載された分子量と一致あるいは近似するように選択され得ることは理解される。
試験されたシリコーンは全て、Genesee Polymers Corporation、G−5251 Fenton Road,Flint,Michigan,48507,United States of Americaから入手できる。
試験されたシリコーンの主な特性は以下のとおりである:
a)4つのシリコーン化合物は、末端官能化されており、水性環境中で部分的に混和性である(エトキシ、メトキシ、GP582、およびGP426)
b)水性環境中で完全に混和性/分散性の唯一のシリコーンは、ポリエチレングリコール(PEG)官能基を有したエステル分岐の低分子量シリコーンである(サンプルGP226)。
対照群もまた、処理された繊維芽細胞と同じ条件下でインキュベートした。図9は、スルホローダミンBで染色された初代包皮繊維芽細胞の結果を示す、a)〜h)で標識された8つのパネルを含む。
繊維芽細胞は幼児の陰茎包皮に由来し、必要に応じて増やした。細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地、10%ウシ胎仔血清および抗菌剤付加物としてのストレプトマイシンGibcobrl(ペニシリンおよびストレプトマイシン)Cat#15140−122 lot#1007346に播種した。組織培養プラスチック96ウェルプレートに、各ウェルに2×10細胞で播種し、48時間寝かせて(4複製)、上記7つのシリコーンのうちの1つで処理するため、プレートを異なる処理アーム中に分けた。休息期間の後、細胞をそれぞれのシリコーンと共に接種し、対照アームがコンフルエントになるまでインキュベートした。
一旦、対照アーム中でコンフルエントになったら、次いで細胞を固定し、Ramanら(Ramanら)に記載された方法に従ってスルホローダミンBで染色し、各処理アームの代表を撮影した。次いで細胞を、Ramanら(Ramanら、同)に記載された方法に従って可溶化した。可溶化したサンプルをマイクロプレートリーダー中に置き、540nmの波長で分析した。
サンプルの可溶化は、Kiernanら、Kiernan,J.A. および Loweら(Kiernan et al.,2001,Biotech.Histochem.,76(5−6),261;Kiernan,J.A.,(http://www.histosearch.com/histonet/Oct01/Re.siriusredforcollagenra.htmlより入手可能);およびLowe et al.,1997)からの方法を改変することにより達成した。手短に言えば、50/50の2.5M NaOHおよびメタノールの苛性溶液を用いて、次いでプレートを540nmでマイクロプレートリーダー中に置いた。
図9に示した結果(非特異性タンパク色素スルホローダミンBを用いた)は、低分子量官能性シロキサンは、繊維芽細胞の自然発達に影響することを示している。これらのシロキサンの効果は、図9の視覚的な検討により明らかであり、ここで、それぞれGP507、GP218およびGP226で処理された、パネルb)、d)およびf)中で見られる繊維芽細胞は、パネルa)中で見られる対照群と比較して、細胞形態学において別個の変化を示している。
図9で示した、実験で染色された細胞の540nmにおける吸光度もまた、キセノン光源を有するBioRad Microplate reader Benchmark Plus分光光度計を用いて分析した。分光分析の結果は表6に示す。
表6に示したデータは、対照群およびGP507群が、ほぼ同一の大きさであることを示している。しかしながら、これらは非特異性タンパク色素スルホローダミンBを用いた実験による結果であり、細胞による総タンパク産生量を示すものであって、コラーゲン量などの、特異的なタンパク量を示すものではない。
実施例11:新生児陰茎包皮および肥厚性繊維芽細胞インビトロシリコーン
結果:コラーゲン産生
本発明のシロキサンのタンパク産生への影響をさらに研究するために、同一の条件下でインキュベートされた、同一の継代およびバッチからの初代細胞(上記実施例10で詳述)を上記7つの官能性シリコーンに接種した。前腕の肥厚性瘢痕に苦しむドナーから得た肥厚誘発初代繊維芽細胞株についても分析した。
各複製が継代によるものであること、および細胞をコラーゲン特異的染色のシリウスレッドで染色したこと以外は、上記のとおりに細胞を処理した。
上記で述べたように、非特異性タンパク色素スルホローダミンBを用いた図9および表6における結果は、合成されるタンパクの種類ではなく、タンパク全合成についての情報を示す。低分子量官能性シリコーンで処理された繊維芽細胞のコラーゲン活性を測定するために、本発明者らは、新しいプロトコールを策定した。
通常、コラーゲンは組織学的な組織分析のために染色されるが、慣用の組織学的プロトコールは本研究の要件には適合しなかった。インビトロにおける初代繊維芽細胞のコラーゲン産生能力を選択的に測定するために、本発明者らは、その適用の容易性から組織学的調製において通常用いられる(Kiernan et al.Biotech.Histochem.,2001,76(5−6),261)、コラーゲン特異的染色のシリウスレッド(化学インデックス名および番号:ダイレクトレッド80、35780)を用いた。
固定された初代繊維芽細胞を染色するために本発明者らによって開発された方法は、3つの組織学的な調製方法の適応に基づいている。本発明者らの染色方法において、シリウスレッド染色溶液は、500mLの飽和水性ピクリン酸に、0.5gのシリウスレッドF3B(ダイレクトレッド80 C.I.番号35780;実験式C45261021Na 式量1373.125amu)を溶解することにより調製した。洗浄液は、5mLの氷酢酸を11mLの蒸留水に混合することにより調製した。細胞は、増殖培地の上部に25μLの冷50%トリクロロ酢酸(TCA、4℃)を加えることによって固定し、4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を水で穏やかに洗浄し、次いで各ウェルに50μLのシリウスレッド溶液を接種し、室温で30分間インキュベートした。ウェルを廃液し、蒸留水で軽く洗浄し、次いで、代表のウェルをデジタル撮影した。
サンプルの可溶化は、Kiernanら、Kiernan,J.A.,および Loweら(Kiernan et al.,2001,Biotech.Histochem.,76(5−6),261;Kiernan,J.A.,(http://www.histosearch.com/histonet/Oct01/Re.siriusredforcollagenra.htmlから入手可能);およびLowe et al.,1997)からの方法を改善することにより達成した。手短に言えば、2.5M NaOHおよびメタノールの50/50苛性溶液を用いて、次いでプレートを540nmでマイクロプレートリーダー中に置いた。
上記のように、官能性シリコーンのコラーゲン産生への影響を調べるために、2つの初代細胞株を用いた。初めに、上記で用いたものと同様の包皮初代繊維芽細胞(FF)を用いた。次に、肥厚誘発初代繊維芽細胞(HF)を用いた。それぞれの細胞種(FFまたはHF)による低分子量シリコーンに対する何らかの重大な有害反応が存在するか否かを決定するために2つの細胞株を用いた。
この一連の研究では、初代細胞株を接種するために、異なるプロトコールを用いた。全ての複製を同時に接種する代わりに、初代細胞の継代に従って各複製を接種した。この手順は、新世代の細胞が、融合細胞の分裂の後に毎回試験されたことを保証した。
この実験においては、3つの複製を行った。この実験で用いた1番目の複製包皮初代繊維芽細胞(HFF1)は18継代(P18)であったのに対し、肥厚誘発初代細胞(HSF1)の1番目の複製は4継代(P4)であった。表7−12および図10は、マイクロプレートの出力を含むこれらの実験結果を示している。HFF2およびHFF3は、それぞれ、包皮初代繊維芽細胞の2番目および3番目の継代である(すなわち、それぞれ19および20継代)。同様に、HSF2およびHSF3は、それぞれ、肥厚誘発初代細胞の2番目および3番目の継代である(すなわち、それぞれ5および6継代)。
各複製は継代の結果であったこと、および細胞をコラーゲン特異的染色のシリウスレッドで染色したこと以外は、上記のとおりに細胞を処理した。
溶液中のコラーゲンのレベルは、シリウスレッドにより染色し、540nmにおける吸光度を分析することにより測定することができる。吸光度を測定するために、540nmにおけるマイクロプレートリーダー中での分析の前に、まず酸性染色液をNaOH−メタノール(2.5M)混合物中で可溶化した。吸光度研究の平均結果は、表13で一覧にした。各実験の、固定および染色されたプレートを再び可溶化し、上記のように540nmにおける吸光度を分光光度計で分析した。図10は、固定され、かつシリウスレッドにより染色された初代細胞の代表の画像を示している。
図10および表7−13に示したインビトロ実験の結果は、試験された各シリコーンが、処理された細胞中の繊維芽細胞のダウンレギュレーションをもたらしたことを示し、この点に関してKuhnらおよび McCauleyら(Kuhn et al.Int.J.Sur.Investig.,2001,2(6),443;McCauley,et al.,J.Surg.Res.,1990,49,103)で得られた結果と一致する。検証された全てのシリコーン種はダウンレギュレーションをもたらし、最も劇的な効果はGP226によりもたらされた。
図10の視覚的な検証のみで、2つの最も効果的な官能性シリコーンはGP218およびGP226であると結論付けることができる。これら両方の化合物は、シリコーン−ポリオール官能性ポリマーである。これらのポリマーの混和性または水分散性は、それらの分子量と関連しており、ポリマーの分子量が大きくなるほど、ポリマーの分散性または溶解性は低くなる。
いかなる理論に縛られることも望まないが、GP218およびGP226の効果に関する1つの説明としては、それらは容易に水性溶液に分散可能であるので、細胞の周りにエンベロープを形成し、細胞の栄養摂取を妨げるということがある。
表13中の強調された列および棒グラフ図11中の対応する柱は、GP218、GP226およびGP507官能性シリコーンにより処理された繊維芽細胞による平均コラーゲン産生レベルは、平均対照と比較して低いことを示している。非常に興味深いのは、カルビノール官能性シリコーン、GP507の結果である。この製品は細胞増殖を阻害することなくコラーゲン産生を下方制御しているように見受けられ、それは特に熱傷についての創傷治癒プロセスの早期治療において重要であり得る。
WA病院の熱傷ユニットのフィオナウッド医師は、再上皮形成発生直後の早期シリコーン治療の介入は、肥厚成長および余分な創傷拘縮を防ぐと報告している。しかしながらこの口頭でのやりとりは、医療試験による検証を必要とする。
シリコーン医療用ゲル治療の初期において、再上皮形成の前に適用されたこれらのパッチは深刻な創傷感染および浸出蓄積を引き起こしたという報告を考慮すると、過剰な瘢痕成長および創傷拘縮を防ぐためには、クリームまたは軟膏が、早ければ上皮形成前にも治療を始めるのにより適している。正常な創傷成熟プロセスを可能にするために、繊維芽細胞が増殖することができること、およびコラーゲン産生が天然コラーゲンの代謝回転の制約に限定されることが望ましい。
実施例12:官能性シリコーンを含むクリーム製剤
本発明の官能性シリコーンは、局所投与用の組成物中に含有させるのに適している。GP218、GP226およびGP507は、クリーム製剤中に含まれている。該製剤は、官能性シリコーンが有効成分であり、組成物の全重量の最低30%(質量パーセント)の含有量で分散した水性エマルジョンに基いている。
本発明者らにより製造された、上記の式(I)のシリコーンとしてGP218、GP226およびGP507をそれぞれ含む局所投与に特に適したクリーム製剤は、
医療グレードのバージンオリーブ油 12.0000%
グリセリン 8.0000%
上記式(I)のシリコーン 30.0000%
精製ラノリン 6.0000%
クエン酸 0.8000%
尿素 0.8000%
ビタミンA 0.0005%
シスロールGMS(ステアリン酸グリセリル) 12.0000%
ポラワックスGP2000(セテアリルアルコール、PEG20ステアレート)
8.0000%
溶媒(例えば、超純水(Millipore)) 22.3995%
を含む。
これは他の公知の成分と組み合わせることのできる基剤である。当業者は、適切なパーセンテージ量を理解し、ここで成分は変えることができる。
実施例13:ブタモデルでの臨床研究
本発明者らは、本発明の官能性シリコーン、特に、上記で示したコラーゲン産生に影響を及ぼすGP218、GP226およびGP507を、臨床研究における試験に適用した。臨床研究のプロトコールは、以下に概略する。
ブタモデルは、熱傷の臨床研究において慣用的に用いられている。研究の初年度には、9体の大きな白いブタを用いる。ブタはヒトの皮膚と最も類似した皮膚を有しており(Meyer et al.Curr Probl Dermatol.1978;7:39−52)、またブタはヒト創傷治癒研究において最も優れた動物モデルの代表である(Sullivan et al Wound Repair Regen.2001 9:66−76)と広く考えられているため、ブタを用いる。
9体の動物を選択して、各グループに3体の動物を与えた(グループ1:Cica−Care(登録商標)ゲルによる治療、グループ2:本発明のLMWシリコーンによる治療、グループ3:Cica−Care(登録商標)ゲルの下のLMWシリコーンによる治療)。3体の動物は、統計的分析に必要な最小の数である。各動物には2つの創傷が存在し、各グループで分析の為には全部で6つの創傷となる。
実験13−1:
この実験では、真皮深層部分厚熱傷後の瘢痕化の低減における、低分子量(LMW)シリコーンの効果を試験する。
全ての実験用のブタは、実験を始める前に、少なくとも5日間、動物小屋に送られる。全てのブタは、新しい環境および場合によっては未知のブタと混合されることによるストレスを低減するために、移送前に1mg/10kgのストレスニルTMが投与される。到着時に、彼らに湿潤標準ペレットダイエットを導入する。動物は、互いに包帯および創傷を噛み合うのを防ぐ為に、それぞれ2平方メートルの別々の囲いの中に拘束される。
囲いは実験用動物が互いに見ることを許容し、孤立感を最小化する。環境は、ブタが遊ぶための環境の質を向上させるために(例えば、大きなゴムボール、ボウリング用のボール、タイヤなど)変えられる。従順な場合は、ブタは屋外の犬の囲いの中を走ることを許される。
全てのブタを、導入のために13mg/kgのケタミンおよび1mg/kgのキシラジルの混合物を用いて麻酔(筋肉内)し、続いてサイズ3または4の喉頭マスク気道(LMA)を挿入し、ハロタン/酸素混合物で換気する。
動物へのストレスが最小化されている間に、ブタに安全に注射する。そうでない場合は、責任のあるスタッフはこの点に関して訓練されるべきである。実験用動物の背中の上部の毛を刈り、皮膚を創傷化の前に清浄水で洗う。全ての手順は、適切なリサーチセンターにおける滅菌手法を用いて行う。
ブプレノルフィン(0.01mg/kg)を手術の初めに投与(筋肉内)する。実験用動物を手術の夜に再評価し(ブプレノルフィン投与後、約4〜8時間)、明らかな苦痛がある場合にはさらなる用量を投与する。動物が寝ている場合には、それを妨げない。必要であれば、ブプレノルフィンを次の日以降に投与する。鎮痛が必要かどうかを決定するために行動評価を用いる(すなわち、周囲および食べ物等への意識や興味)。
以前に認可された真皮深層部分厚熱傷をつくる我々の方法(#P&CH 728/03および改良19/2/04)に従って創傷はつくられる。ガラスの底が取り除かれ、ポリエチレンラップにより置き換えられたショットデュランボトル(Schott Duran bottle)を含む温水煮沸装置を用いる。ボトルを水で満たし、電子レンジで92℃まで加熱する。次いでポリエチレンラップの底をブタの皮膚に15秒間接触するように置く。各動物の背面/脇腹領域に2つの熱傷をつくる。
熱傷がつくられた後、再上皮形成(5〜6週間)まで、毎週の包帯交換とともに、動物をジェロネット(Jelonet)およびメロリン(Melolin)で手当てする。この再上皮形成時後に治療を始める。それぞれ3体の動物を有する3つの治療グループが存在する。1つのグループの各動物には同一の治療を用いる。
グループ1:Cica−Care(登録商標)で治療した熱傷
これらの熱傷(3体の動物)を、瘢痕管理のために病院の熱傷ユニットで用いられている包帯であるCica−Care(登録商標)で覆う。包帯は週に1度交換する。この治療グループは、熱傷瘢痕に対して熱傷ユニットで今日用いられている本治療の効果を示す。
グループ2:LMWシリコーンで治療した熱傷
これらの熱傷(3体の動物)は、毎日、LMWシリコーンクリームで治療する。LMWシリコーンクリームは、上記実施例12に記載されたとおりのクリームであり得る。創傷は、週に一度検査する。この治療グループは、本発明者らの新規なLMWシリコーンクリームの熱傷瘢痕に対する効果を示す。
グループ3:Cica−Care(登録商標)の下のLMWシリコーンで治療した熱傷
これらの熱傷(3体の動物)は、LMWシリコーンクリーム/Cica−Care(登録商標)ゲルの組み合わせ療法により治療する。上部に置かれたCica−Care(登録商標)ゲルと共に、LMWシリコーンは毎日創傷に適用される。創傷は、週に一度検査する。この治療群は、組み合わせ治療に何らかの利益があるか否かを示す。
熱傷後、1週間間隔で3つの全てのグループから包帯を取り除き、創傷を撮影する。この時点で、ブタが落着いている場合は、炎症マーカーの分析のための血液を採取することもできる。この手順を、2人の異なる観測者により瘢痕成熟を観察すると共に、週に一度行う。それぞれの包帯交換の際に取られた写真および臨床記録を、各創傷における治癒を比較するために用いる。瘢痕の色(血管)、瘢痕プロフィール(正常な皮膚表面上に隆起した瘢痕の量)、毛の量、創傷の大きさ、感染の量などの臨床マーカーを、我々の臨床評価基準の一部として記録する。
治療計画の開始後3ヶ月間、実験用動物を拘束する。この時点(3ヶ月+6週間)において、ブタを安楽死させ組織を集める。熱傷および対照の非熱傷組織を集め、10%緩衝ホルマリン中に固定し、パラフィン中に封入する。4μmの厚さの断片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、熟練した組織病理学者により、盲式法で検査する。該組織は、繊維芽細胞の数、間質組織の変性、表皮厚さ、毛嚢の数および乳頭および網様体真皮中の変性などの指標を用いて、組織病理学的損傷の程度が記録される。該処理組織はまた、将来、免疫組織化学分析で用いることができる。余分な熱傷および正常組織を、皮膚抗張力分析を行うために集める。我々はまた、RNA、DNAおよびタンパク分析のために、熱傷および対照組織を集め液体窒素中またはドライアイス上で冷凍する。
毎週の包帯交換のために、およびブタが彼らの包帯を取り除く状況下で、我々は、新しい包帯を適用している間、動物を落着かせる。5.2mg/kgケタミン/0.4mg/kgキシラシン用量(麻酔を導入するために40%用量を用いる)を用いる(#P&CH 728/03 改良15/4/04)。これは、拘束されている間に動物が受けるストレスの量を低減し、同時に、ブタが拘束から逃げようとした場合の、スタッフに対する傷害の危険性も低減する。鎮静は、交換する包帯が創傷に癒着している場合または下部の治癒を見るために創傷上のかさぶたを取り除く必要がある場合に、状況に応じて適切な鎮痛を与える。
実験を行う全てのスタッフは、ブタの取扱法を学び、ブタの拘束(例えば、罠を用いて)、運搬、注射および採血に用いる様々な手法に対して自信を持ち、熟練していなければならない。
疼痛管理
熱傷は、いくらかの苦痛を引き起こす。この痛みを取り除く為に、上記の、組み合わせ麻酔技法を用いる。ケタミンは解離性麻酔を与えるだけでなく、同時に、非常に有用な鎮痛薬であり、軍事領域において頻繁に用いられている。長期作用型鎮痛薬であるブプレノルフィンは、術後の即時鎮痛に用いられ、このタイプの損傷に有効であることが立証されている。動物は毎日(通常は、少なくとも1日2〜3回)観察され、動物が不快感を感じている場合には、ブプレノルフィンを投与することができる(定期的に必要であるとは想定されない)。動物の継続的な評価が行われる。
動物のテクニシャンは熟練しており、全ての動物に熟練した配慮を与える。以前にラム熱傷モデル用に本発明者らによって開発された、ブタ用の苦痛グラフが利用される。
小児において、体表面積の5%に及ぶ熱傷は深刻な損傷であり、実験用動物に施された熱傷に相当する。そのような熱傷は、長期の後遺症を引き起こす。しかしながら、それは、これらの小児が入院を必要としないほどに小さく、パラセタモール(ヒト用)などの単純な鎮痛薬は、いかなる苦痛を調節するのにも適している。小児または成人における、この大きさの熱傷にはいかなる静脈内輸液も使用されず、蘇生は必要とされない。それゆえ、損傷の大きさは、新しい治療法を研究し試みるのに十分なものであるが、深刻な不快感を生じさせるほど大きなものではない。
実験用動物の給餌
ハーストンメディカルリサーチセンターで用いられているもの等の、慣用の給餌プロトコールが用いられ、飼料は、現在得ているのと同じ供給元から得る。該環境は、そこでブタが遊ぶことができる環境の質を、大きなゴムボール、空のミルク容器、タイヤ、犬のおもちゃ等のアイテムを用いて向上させることができるよう変えられる。彼らが従順な場合には、創傷がつくられる前と創傷が治癒した後に、ブタは、屋外の犬の囲いの中で走ることを許される。
安楽死および処分
実験の最後に、ブタをレソバルブ(ペンタバルビトンナトリウム)の過剰摂取(1/2ml/Kg IV)により安楽死させる。全ての動物を、集められ焼却処分されるまで冷凍する。
代替手法
熱傷の治療を改善する潜在的に有益な化合物に関する、多くのインビトロデータが存在する。しかしながら、動物モデルは、要求される技術を発展させ、インビトロデータを裏付ける必要がある。現在のモデルは、優れた大型動物熱傷モデルであり、応急処置について試験するのに最も適している。動物熱傷モデルは再現性、一貫性のある損傷を有しているため、治療薬は、互いに効果的に比較され得る。我々の動物モデルで試験がなされた後、瘢痕の低減に有効であると証明された場合には、この製品をヒト臨床試験に進めることができる。
現在のクイーンズランド州の動物保護法および現在の科学的目的のための動物のケアおよび使用に関するNHMRCオーストラリア倫理綱領の順守
この実施例のプロトコールは、現在のクイーンズランド州の動物保護法および現在の科学的目的のための動物のケアおよび使用に関するNHMRCオーストラリア倫理綱領を順守している。
概要
一旦合成した後、官能性PDMS組織間移動性物質は、本明細書中で記載した実施例1〜13の手順を用いて特徴付けし、試験することができる。
式(I)の活性組織間移動性物質および該物質を含有する組成物は、瘢痕組織を修復するのに十分な量で存在する。式(I)の組織間移動性物質および該物質を含有する医薬組成物の適切な用量は、当業者によって容易に決定され得る。
本発明は、本明細書中で詳述した態様に限定されず、いずれにせよ本発明の広範な精神および範囲と一致する様々な他の態様が考慮され得ることは当業者に理解される。
本発明のシリコーンは無害であると考えられる。本発明のシリコーンは、瘢痕の制御に有用であり、全ての身体外傷を有する生存者に対して大きな機能的、精神的そして美的な意義を持つ。特に、肥厚性瘢痕の形成を制限する本発明のシリコーンの能力は、熱傷の生存者が、通常の生活を送ることが可能であることを意味している。加えて、本発明のシリコーンは、従来技術の治療法よりもより効果的で、より安価であり得る。
クロロホルム抽出後のシリコーン医療用ゲルからの低分子量シリコーンオリゴマーのMALDI−MS分析。 クロロホルム抽出後のシリコーン医療用ゲルからの、(A)NaSi173410217、(B)NaSi173410217SiCCHOCHおよび(C)NaSi173410217SiCCHOH(最大でn=17)に関する低分子量シリコーンオリゴマーのMALDI−MS分析の同位体予測。 水抽出後のシリコーン医療用ゲルからの低分子量シリコーンオリゴマーのMALDI−MS分析。スペクトルは、低分子量におけるポリエチレングリコールによる汚染を示す。 金属MALDI標的に対する加圧により、新しいシリコーン医療用ゲルから移動した成分のMALDI−MS。スペクトルは、低分子量におけるポリエチレングリコールによる汚染を示す。環状オリゴマー(▼)に起因した経過が示される。 金属MALDI標的に対する加圧により、水洗シリコーン医療用ゲルから移動した成分のMALDI−MS。メチル/メチロール−(メチル/メトキシ)−末端オリゴマー(▼)に起因した経過が示される。 Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後のゼラチン断面のEDX元素分析:(a):ゲルと接触した表面。 Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後のゼラチン断面のEDX元素分析:(b):バルク(中心)。 Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後のゼラチン断面のEDX元素分析:(c):背面。 Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後のゼラチン断面のEDX元素分析:(d)ゼラチン対照。 Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後のゼラチン断面のシリコンのEDX元素マップ。(a)および(b)での異なる限界感度で、シリコンは、暗い背景に対して白い領域として現われている。 Cica−Care(登録商標)シリコーンゲルと接触してから16週後のゼラチン断面のシリコンのEDX元素マップ。(a)および(b)での異なる限界感度で、シリコンは、暗い背景に対して白い領域として現われている。 (a)表皮の範囲(70μm)を示す瘢痕組織断面のSTEM画像。 (b)表皮/真皮界面における最高強度を示すシリコンのEDXマップ。 環状(+)およびメチル/ヒドロキシル−末端(●)オリゴマーの存在を示すCica−Care(登録商標)シリコーンゲルの(クロロホルム)抽出物と接触させた後の瘢痕組織表面からのMALDI質量スペクトル。 低分子量官能性シリコーンの存在下でインキュベートされたインビトロ繊維芽細胞。 低分子量官能性シリコーンの存在下でインキュベートされたインビトロ初代包皮および肥厚誘発繊維芽細胞(継代数は括弧内で示されている)。 表7のグラフ表示、官能性シリコーンと共に接種された包皮繊維芽細胞および肥厚誘発繊維芽細胞。

Claims (30)

  1. 創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療において用いるための組成物であって、式(I)
    (式中、
    m=0〜6
    n=6〜100
    Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’、COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得
    (式中、U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;
    式中、X=ハロゲンであり;
    式中、y=1〜100である;)
    (但し、Q、RおよびR’は、全てがCアルキルであることはあり得ない;))
    の化合物を含み、ここで式(I)の化合物は、当該組成物の少なくとも1%の量で存在する、前記組成物。
  2. 式(I)の化合物が組成物の少なくとも10%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
  3. 式(I)の化合物が組成物の少なくとも30%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
  4. 式(I)の化合物のnが17である、請求項1記載の組成物。
  5. 式(I)の化合物のmが1である、請求項1記載の組成物。
  6. 式(I)の化合物のRおよびR’がC−Cアルキルである、請求項1記載の組成物。
  7. 式(I)の化合物のRおよびR’がCアルキルである、請求項6記載の組成物。
  8. Qが(OCHCHOUである、請求項7記載の組成物。
  9. QがUOHである、請求項8記載の組成物。
  10. QがO(CH(OU)CHである、請求項7記載の組成物。
  11. 薬理学的に許容される担体、薬理学的に許容される希釈剤および薬理学的に許容される賦形剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
  12. 担体、希釈剤または賦形剤が、水中油型乳剤、油中水型乳剤、粒子担体、粘土、ケイ酸塩、クラスレートおよび他の無機物からなる群から選択される、請求項11記載の組成物。
  13. 粒子担体が滑石粉である、請求項12記載の組成物。
  14. 顔料および2番目の医薬的に活性な物質(ここで、2番目の医薬的に活性な物質は式(I)の化合物ではない)からなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項記載の組成物。
  15. ゲル形態である、請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
  16. ゲルシート形態である、請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物。
  17. 乾燥すると人工皮膚として作用する低分子量ポリアルコールの形態である、請求項1〜16のいずれか1項記載の組成物。
  18. 創傷が瘢痕である、請求項1〜17のいずれか1項記載の組成物。
  19. 創傷、熱傷または他の皮膚状態の治療用の薬剤の製造における、式(I)
    (式中、
    m=0〜6
    n=6〜100
    Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’、COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得
    (式中、RおよびR’は、環系が形成されるように連結して結合または架橋アルキル基を形成する末端基であり得;U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;
    式中、X=ハロゲンであり;
    式中、y=1〜100である;)
    (但し、Q、RおよびR’は、全てがCアルキルであることはあり得ない;))
    の化合物の使用であって、式(I)の化合物は、該薬剤中に少なくとも1%の量で存在する、前記使用。
  20. 組成物を患者に投与する工程を含む、創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法であって、該組成物が、式(I)
    (式中、
    m=0〜6
    n=6〜100
    Q、RおよびR’は、独立して、C1−5アルキル、OU、UOCHCH、CHCH、UOCH、OH、O(CH(OU)CH、(OCHCHOU、(OCHCHOH、UOH、UOU’、UCOU’、COU、UCOCOU’、COH、UCOH、COX、UCOX、UCOR’、COCOU、アリール、アリールU、アリールUU’、アリールUU’U’’、NH、UNH、NHU、NUU’、NO、UNO、UCONH、CONH、UCONHU’、CONHU、UCONU’U’’、CONU’U’’、ハロゲン、PO、PO3−Z、PO3−ZU(z=0、1、2または3)、PU、PU’U’’U’’’SH、SOおよびSOHから選択され得
    (式中、U、U’、U’’およびU’’’は、独立して、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基(ここで、炭素原子の数は1〜31である)から選択され得;
    式中、X=ハロゲンであり;
    式中、y=1〜100である;)
    (但し、Q、RおよびR’は、全てがCアルキルであることはあり得ない;))
    の化合物を含み、ここで、式(I)の化合物は、該組成物の少なくとも1%の量で存在し、かつ該化合物は、角質層を通じて、より表皮下皮膚層へと移動する、前記方法。
  21. 組成物を局所的に投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  22. 創傷、熱傷または他の皮膚状態の修復に有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項21記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  23. ケロイド瘢痕、肥厚性瘢痕、座瘡瘢痕、紅斑性皮膚および皮膚線条瘢痕からなる群から選択される1種以上の皮膚状態を治療するのに有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  24. 瘢痕の色、瘢痕プロフィール、毛の量、創傷の大きさおよび感染量からなる群から選択される1種以上の臨床マーカーを修正するのに有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  25. 繊維芽細胞の数、間質組織の変性、表皮厚さ、毛嚢の数ならびに真皮乳頭層および真皮網状層中の変性からなる群から選択される1種以上のさらなるマーカーを修正するのに有効な量で組成物を投与することを含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  26. 単球活性化を引き起こすのに有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  27. 繊維芽細胞増殖を抑制するのに有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項21記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  28. コラーゲン産生を下方制御するのに有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  29. 細胞増殖を阻害しない有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
  30. コラゲナーゼ活性を増強するのに有効な量で組成物を投与する工程を含む、請求項20記載の創傷、熱傷または他の皮膚状態を治療する方法。
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