JP2007532484A - 可溶性エポキシド加水分解酵素の阻害剤およびエポキシエイコサノイドを用いて腎症を緩和する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤を投与することで、真性糖尿病(特に2型糖尿病)を有する人、メタボリック症候群を有する人、215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、および200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人の腎症を緩和する使用および方法を提供する。任意で、シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)をsEH阻害剤と共に投与することができる。本発明はさらに、1種類もしくは複数のsEH阻害剤と組み合わせてEETを使用して高血圧を低下させること、ならびにpH3の酸には不溶であるがpHが7.4またはそれ以上の溶液中には可溶な材料でコーティングされたEETの組成物を提供する。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、内容が参照により本明細書に組み入れられる、2004年3月16日に出願された米国仮出願第60/553,847号によって得られる利益に関する。
本出願は、内容が参照により本明細書に組み入れられる、2004年3月16日に出願された米国仮出願第60/553,847号によって得られる利益に関する。
連邦政府資金による研究および開発によって作製された発明の権利に関する記述
本発明は、国立衛生研究所(NIH)から提供された助成金番号DK35747およびES02710により、米国政府の支援で作製された。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
本発明は、国立衛生研究所(NIH)から提供された助成金番号DK35747およびES02710により、米国政府の支援で作製された。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
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なし。
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発明の背景
2003年に国際糖尿病連合は、世界で1億9400万人が糖尿病を有すると推定した。このうち約1600万人は米国内に在住すると推定された。多くの糖尿病患者では、腎機能の悪化は緩やかに進行する。これは腎症として知られる過程である。腎症の末期は腎不全すなわち末期腎疾患である。腎症および腎不全は、糖尿病が薬剤および運動によって管理されている場合でも生じることがある。米国立糖尿病・消化器・肝臓病研究所(NIDDK)によれば、糖尿病は腎不全の最も一般的な原因であり、また1年間に米国内で発症する100,000例の腎不全の約40%に関与する。腎不全を治療するために、米国1国で年間200億ドルの費用がかかることを考えれば、腎症および腎不全を緩和することは、糖尿病のこれらの合併症に要する費用を大きく減らすことになると考えられる。
2003年に国際糖尿病連合は、世界で1億9400万人が糖尿病を有すると推定した。このうち約1600万人は米国内に在住すると推定された。多くの糖尿病患者では、腎機能の悪化は緩やかに進行する。これは腎症として知られる過程である。腎症の末期は腎不全すなわち末期腎疾患である。腎症および腎不全は、糖尿病が薬剤および運動によって管理されている場合でも生じることがある。米国立糖尿病・消化器・肝臓病研究所(NIDDK)によれば、糖尿病は腎不全の最も一般的な原因であり、また1年間に米国内で発症する100,000例の腎不全の約40%に関与する。腎不全を治療するために、米国1国で年間200億ドルの費用がかかることを考えれば、腎症および腎不全を緩和することは、糖尿病のこれらの合併症に要する費用を大きく減らすことになると考えられる。
糖尿病に関するNIDDKのウェブサイトには、腎臓病を発症する糖尿病患者は数年間を経て、少量の血中タンパク質アルブミンが尿中に漏れ始めることが記載されている。初期段階では、この状態は微量アルブミン尿症と呼ばれる。腎臓の濾過機能は通常、この期間中は正常である。疾患の進行に伴い、より多くのアルブミンが尿中に漏れ出す。疾患のこの期間には、顕性糖尿病性腎症や顕性アルブミン尿症などの、さまざまな名称がつけられている。尿中アルブミン量の上昇に伴い、濾過機能は低下し始めることが一般的である。濾過が不調になるに伴い、身体は、さまざまな廃棄物をため込むようになる。クレアチニンは、このような廃棄物の1つであり、クレアチニンを対象とした血液検査によって腎臓濾過機能の低下を測定することができる。尿中のタンパク質の存在に関しては、いくつかの仮説がある。1つの仮説は、このようなタンパク質が、腎不全の程度の指標であるというものである。別の仮説は、腎臓からのタンパク質の漏出が、単に腎不全の症状ではなく、腎不全に積極的に寄与するというものである。
高血圧は、腎症の発症を示す重要な因子であると見なされており、腎障害は血圧を高める傾向がある。高血圧の家族歴と、高血圧の存在のいずれもが腎疾患の発症確率を高めると考えられている。高血圧はまた、既に存在する腎疾患の進行を加速する。米国糖尿病学会および米国立心肺血液研究所は、糖尿病患者は血圧を130/80以下に保つことを推奨している。多くの人々は、血圧をコントロールするために2種類以上の薬剤を必要とする。
腎臓から放出される酵素レニンは、アンジオテンシノーゲンとして知られる血中の基質を切断する。アンジオテンシノーゲンは、レニンによって切断されて、デカペプチドであるアンジオテンシンIを生成する。アンジオテンシンIはアンジオテンシン変換酵素(ACE)によって切断されて、オクタペプチドであるアンジオテンシンIIを生成する。アンジオテンシンIIは受容体に結合して、複数の生物学的作用を生じる。その1つは、血管を収縮させて血圧を高める。
したがって、ACEの阻害剤すなわちアンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)の投与は、血圧の低下に役立つ。ベータブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、および他の血圧調節剤が必要な場合もある。
しかしながら、高血圧だけでは、糖尿病に起因する腎症を説明できない。というのは、血圧を正常値に低下させることは腎症の発症を遅らせるが、進行を停止させることはないからである。糖尿病の患者で腎疾患の発症および進行を遅らせる研究は進みつつある。糖尿病に関するNIDDKのウェブサイトでは、血圧を下げるために使用される薬剤が、腎疾患の進行を有意に遅らせる可能性があり、かつACE阻害剤とARBのいずれもが、腎疾患の進行を遅らせるのに有効であることが証明されていることが記載されている。1つの仮説は、糸球体の損傷が、アンジオテンシンIIに対する感受性を高める微小循環変化を引き起こすというものである。
有効なACE阻害剤の一例が、腎疾患または糖尿病の治療に医師が高頻度で処方するカプトプリルである。カプトプリルは、血圧を下げる能力に加えて、腎臓の糸球体を直接保護する可能性がある。ACE阻害剤は、高血圧を示していない糖尿病患者であっても、タンパク尿を減らし、悪化を遅らせる。また1型糖尿病の患者では、ACE阻害剤は、血圧を同程度に低下させる他の薬剤と比較して、腎障害の進行を遅らせることがわかっている。有効なARBの一例が、腎機能を保護し、心血管イベントのリスクを小さくすることが示されるロサルタンである。
ある薬剤が、糖尿病性腎症を保護するか否かを判定する方法は当技術分野で周知であり、かつ典型的には、推定保護剤を投与された人が、プラセボが投与された人よりタンパク質を尿中に少なく放出するか否かを判定する段階を含む。これについては例えば、Lewis et al., "The effect of angiotensin-converting-enzyme inhibition on diabetic nephropathy The Collaborative Study Group" N Engl J Med 329 (20): 1456-1462 (1993)(非特許文献1);Ruggenenti et al., "Chronic proteinuric nephropathies: outcomes and response to treatment in a prospective cohort of 352 patients with different patterns of renal injury," Am J Kidney Dis. 35 (6): 1155-1165 (2000)(非特許文献2);Maschio et al., "Effect of the angiotensin-converting-enzyme inhibitor benazepril on the progression of chronic renal insufficiency. The Angiotensin-Converting-Enzyme Inhibition in Progressive Renal Insufficiency Study Group." N Engl J Med. 334 (15): 939-945 (1996)(非特許文献3);およびHannedouche et al. "Angiotensin converting enzyme inhibition and chronic cyclosporine-induced renal dysfunction in type 1 diabetes," Nephrol Dial Transplant. 11 (4): 673-678 (1996)(非特許文献4)を参照されたい。
腎症の発症を遅らせるか停止させる新しい手段が求められている。腎臓の損傷を防ぐことが可能な他の薬剤、または数種類の薬剤を見つけることができれば有用である。
エポキシド加水分解酵素(「EH」、EC 3.3.2.3)は、さまざまな外因性および内因性のエポキシドを、対応するジオールに加水分解する一群の酵素である。エポキシド加水分解酵素は、過去に検討された全ての哺乳動物種の組織に見出されている。同酵素は、肝臓および腎臓の細胞に極めて高い濃度で見出される(Wixtrom and Hammock, Pharmacology and Toxicology (Zalcim, D. and Vessey, D. A., ed.) 1: 1-93, Wiley, New York, 1985(非特許文献5)を参照されたい)。
4種類の主なEHとして、ロイコトリエンエポキシド加水分解酵素、コレステロールエポキシド加水分解酵素、ミクロソームEH(「mEH」)、および可溶性EH(「sEH」、従来、細胞質EHと呼ばれたもの)が知られている。ロイコトリエンEHはロイコトリエンA4に作用し、コレステロールEHはコレステロールの5,6-エポキシドに関連する化合物を水和する(Nashed, N. T., et al., Arch. Biochem. Biophysics., 241: 149-162, 1985(非特許文献6); Finley, B. and B. D. Hammock, Biochem. Pharmacol., 37: 3169-3175, 1988(非特許文献7))。
ミクロソームエポキシド加水分解酵素は、一置換型の1,1-二置換シス-1,2-二置換エポキシド、および環式系エポキシド上のエポキシドを、対応するジオールに代謝する。同酵素は基質特異性が広いため、エポキシドによる毒性の緩和に重要な役割を果たすと考えられている。無毒化の反応は典型的には、化合物の疎水性を低下させ、極性を高めることで、排泄されうる物質とする。
可溶性EHはmEHと極めて遠縁なだけであり、環式系上にはない、さまざまなエポキシドを水和する。mEHが、潜在的に毒性のあるエポキシドの分解に果たす役割とは対照的に、sEHは、内因性の化学伝達物質の生成または分解に役割を果たすと考えられている。例えば、シトクロムP450エポキシゲナーゼは、アラキドン酸から光学的に活性のある4種類のシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)へのNADPH依存性のエナンチオ選択的なエポキシ化を触媒する(Karara, A., et al., J. Biol. Chem., 264: 19822-19877, (1989)(非特許文献8))。可溶性エポキシド加水分解酵素は、インビボで、部位特異的およびエナンチオ選択的な特異性を有する上記化合物を、対応するvic-ジヒドロキシエイコサトリエン酸(「DHET」)に変換することが報告されている。肝臓および肺の細胞質画分はいずれも、程度の大きい順に14,15-EET、8,9-EET、11,12-EETを加水分解した。5,6-EETは、より緩やかに加水分解される。精製されたsEHは基質として、エナンチオマーより8S,9R-EETおよび14R,15S-EETに選択性を示した。研究の結果、EETおよび対応するDHETが広域の生物学的活性を示すことが明らかにされている。このような活性には、黄体形成ホルモン放出ホルモンの関与、黄体形成ホルモンの放出の促進、Na+/K+ ATPaseの阻害、冠動脈の拡張、Ca2+の動員、および血小板凝集の阻害などが含まれる。可溶性エポキシド加水分解酵素は、EETおよびDHETの定常状態における濃度の調節、ならびに生物学的に活性のある他のエポキシドおよびジオールに寄与することで、これらの生物学的活性に役割を果たすと考えられている。
Lewis et al., "The effect of angiotensin-converting-enzyme inhibition on diabetic nephropathy The Collaborative Study Group" N Engl J Med 329 (20): 1456-1462 (1993)
Ruggenenti et al., "Chronic proteinuric nephropathies: outcomes and response to treatment in a prospective cohort of 352 patients with different patterns of renal injury," Am J Kidney Dis. 35 (6): 1155-1165 (2000)
Maschio et al., "Effect of the angiotensin-converting-enzyme inhibitor benazepril on the progression of chronic renal insufficiency. The Angiotensin-Converting-Enzyme Inhibition in Progressive Renal Insufficiency Study Group." N Engl J Med. 334 (15): 939-945 (1996)
Hannedouche et al. "Angiotensin converting enzyme inhibition and chronic cyclosporine-induced renal dysfunction in type 1 diabetes," Nephrol Dial Transplant. 11 (4): 673-678 (1996)
Wixtrom and Hammock, Pharmacology and Toxicology (Zalcim, D. and Vessey, D. A., ed.) 1: 1-93, Wiley, New York, 1985
Nashed, N. T., et al., Arch. Biochem. Biophysics., 241: 149-162, 1985
Finley, B. and B. D. Hammock, Biochem. Pharmacol., 37: 3169-3175, 1988
Karara, A., et al., J. Biol. Chem., 264: 19822-19877, (1989)
発明の概要
本発明は、使用、方法、および組成物を提供する。一群の態様において、本発明は、(a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の発症または進行を抑制する薬物を製造するための、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤の使用を提供する。いくつかの態様において、sEHの阻害剤は、アダマンチルドデシル尿素の異性体、N-シクロヘキシル-N'-ドデシル尿素(CDU)、およびN,N'-ジシクロヘキシル尿素(DCU)からなる群より選択される。薬物は、徐放性製剤であり得る。任意で、薬物はさらに、シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を含む。EETは例えば、14,15-EET、8,9-EET、または11,12-EETであり得、かつ用途によっては14R,15S-EETであり得る。いくつかの態様において、人は2型糖尿病または1型糖尿病を有する。いくつかの態様において、人はメタボリック症候群を有する。いくつかの態様において、人は215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する。いくつかの態様において、人は200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する。
本発明は、使用、方法、および組成物を提供する。一群の態様において、本発明は、(a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の発症または進行を抑制する薬物を製造するための、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤の使用を提供する。いくつかの態様において、sEHの阻害剤は、アダマンチルドデシル尿素の異性体、N-シクロヘキシル-N'-ドデシル尿素(CDU)、およびN,N'-ジシクロヘキシル尿素(DCU)からなる群より選択される。薬物は、徐放性製剤であり得る。任意で、薬物はさらに、シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を含む。EETは例えば、14,15-EET、8,9-EET、または11,12-EETであり得、かつ用途によっては14R,15S-EETであり得る。いくつかの態様において、人は2型糖尿病または1型糖尿病を有する。いくつかの態様において、人はメタボリック症候群を有する。いくつかの態様において、人は215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する。いくつかの態様において、人は200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する。
他の一群の態様において、本発明は、(a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の発症または進行を抑制する薬物を製造するための、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の発現を阻害する核酸の使用を提供する。いくつかの態様において、このような核酸は、低分子干渉RNA(「siRNA」)である。
さらに別の一群の態様において、本発明は、高血圧を治療する薬物を製造するための、シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)の使用を提供する。いくつかの態様において、EETは、14,15-EET、8,9-EET、または11,12-EETである。いくつかの態様において、EETは14R,15S-EETである。いくつかの態様においてEETは、周囲の環境中にEETを経時的に放出する材料中に含まれる。
さらに別の一群の態様において、本発明は、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤を人に投与する段階を含む、血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、および200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の進行を抑制する方法を提供する。いくつかの態様において、sEHの阻害剤は、アダマンチルドデシル尿素の異性体、N-シクロヘキシル-N'-ドデシル尿素(CDU)、およびN,N'-ジシクロヘキシル尿素(DCU)からなる群より選択される。いくつかの態様において、人は2型糖尿病を有する。いくつかの態様において、人は1型糖尿病を有する。いくつかの態様において、人はメタボリック症候群である。いくつかの態様において、人は215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する。いくつかの態様において、人は200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する。いくつかの態様において、sEHの阻害剤は、経時的に同阻害剤を放出する材料中に含まれる。いくつかの態様において、この方法はさらに、シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を投与する段階を含む。いくつかの態様において、EETは、14,15-EET、8,9-EET、および11,12-EETからなる群より選択される。EETは14R,15S-EETであり得る。いくつかの態様において、EETは、周囲の環境中にEETを経時的に放出する材料中に含まれる。いくつかの態様において、阻害剤は経口投与される。阻害剤は、総1日用量が約0.001 μM/kg〜約100 mg/kg患者体重で投与可能である。
別の一群の態様において、本発明は、可溶性エポキシド加水分解酵素をコードする遺伝子の発現を阻害する核酸を患者に投与する段階を含む、(a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の進行を抑制する段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、このような核酸は低分子干渉RNA(「siRNA」)である。
さらに別の一群の態様において、本発明は、治療を必要とする人の血圧を降下させる方法を提供する。この方法は、可溶性エポキシド加水分解酵素の阻害剤およびシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を人に投与する段階を含む。いくつかの態様において、EETは、14,15-EET、8,9-EETおよび11,12-EETからなる群より選択される。いくつかの態様において、EETは14R,15S-EETである。EETは、周囲の環境中にEETを経時的に放出する材料中に含まれ得る。
本発明はさらに、pH3の酸には不溶であるがpHが7.4またはそれ以上の溶液中には可溶な材料でコーティングされたシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を含む組成物を提供する。このようなEETは、14,15-EET、8,9-EET、または11,12-EETであり得、好ましくは14R,15S-EETであり得る。
発明の詳細な説明
I.序論
A.sEH阻害剤およびEETは腎症の発症を抑制する
可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤が高血圧を低下可能なことは既に示されている。これについては例えば、米国特許第6,351,506号を参照されたい。このような阻害剤は、糖尿病の患者を含む、望ましくない高血圧を示す人の血圧のコントロールに有用であり得る。
I.序論
A.sEH阻害剤およびEETは腎症の発症を抑制する
可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤が高血圧を低下可能なことは既に示されている。これについては例えば、米国特許第6,351,506号を参照されたい。このような阻害剤は、糖尿病の患者を含む、望ましくない高血圧を示す人の血圧のコントロールに有用であり得る。
今回、驚くべきことに、sEH阻害剤が、高血圧を低下させる作用に加えて、アルブミン尿によって測定される腎臓の損傷(特に糖尿病に起因する腎臓の損傷)を緩和可能なことが明らかとなった。アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤と同様に、sEH阻害剤は、高血圧ではない人であっても、糖尿病に起因する腎臓の変性(腎症)を緩和することが可能である。sEH阻害剤は、高血圧を低下させること、および炎症を緩和することが既にわかっているが、腎障害に対する既知もしくは明瞭な効果のない、高血圧を低下させる薬剤、または炎症を緩和する薬剤は数多く存在する。したがって、sEH阻害剤が腎障害に作用する可能性があることを推定する理由はなかった。sEH阻害剤は、ACE阻害剤およびARB阻害剤による調節を受けるレニン-アンジオテンシン系の一部ではないので、sEH阻害剤が、その抗高血圧作用および抗炎症作用と比較して腎機能に保護作用を示すであろうと推定する理由はなかった。
シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)をsEH阻害剤共に使用することで、腎障害をさらに緩和することが可能なことも今回明らかとなった。アラキドン酸のエポキシドであるEETは、血圧のエフェクター、炎症の調節因子、および血管透過性の調節因子であることが知られている。sEHによるエポキシドの加水分解は、この活性を弱める。sEHの阻害はEET濃度を高める。なぜなら、EETがDHETへと加水分解される速度が遅くなるからである。特定の理論に拘泥するわけでないが、EET濃度の上昇は、微小血管の変化、および糖尿病性高血糖の他の病理的作用によって、腎細胞の損傷に干渉すると考えられている。したがって、腎臓におけるEET濃度の上昇は、腎臓が微量アルブミン尿症から末期腎疾患へ進行するのを防ぐと考えられている。
EETは当技術分野で周知である。本発明の方法に有用なEETには、有用な順に14,15-EET、8,9-EET、11,12-EET、および5,6-EETなどがある。好ましくはEETは、より安定なメチルエステルとして投与される。当業者であればEETが、8S,9R-EETや14R,15S-EETなどの位置異性体であることを理解するであろう。8,9-EET、11,12-EET、および14R,15S-EETは、例えばSigma-Aldrichから市販されている(カタログ番号はそれぞれE5516、E5641、およびE5766、Sigma Aldrich Corp., St. Louis, MO)。
内皮で産生されるEETには抗高血圧性があり、11,12-EETおよび14,15-EETは内皮由来過分極因子(EDHF)である可能性がある。加えて、11,12-EETなどのEETには、線維素溶解促進性作用、抗炎症作用があり、平滑筋細胞の増殖および移動を阻害する。本発明と関連して、これらの好ましい特性は、腎疾患および心血管疾患の状態において血管系および器官を保護すると考えられている。
EETはこれまで治療目的では投与されてはいなかった。この主な理由は、EETが内因性のsEHによって極めて速やかに加水分解されてしまうために有用ではないと考えられていたからである。内因性のsEHが、EET濃度を通常存在する濃度より上昇させるように十分に阻害されるか否かは不明であった。驚くべきことに現在では、sEHの活性は、EET濃度を高めるように十分に阻害可能であり、このため、sEH阻害剤自体の投与の作用が増強されると考えられている。このため、本発明の方法で腎症を緩和するために、1種類もしくは複数のsEH阻害剤と共にEETを使用することが可能となる。さらには、高血圧もしくは炎症、またはこの両方を軽減するために、1種類もしくは複数のsEH阻害剤と共にEETを使用することも可能となる。したがって、EETの薬物は、1種類もしくは複数のsEH阻害剤と共に投与可能なように作製することができるか、または1種類もしくは複数のsEH阻害剤を含む薬物は、1種類もしくは複数のEETを任意で含み得る。
EETはsEH阻害剤と同時に投与することができるか、またはsEH阻害剤の投与後に投与することができる。あらゆる薬剤と同様に、阻害剤には体内で代謝される速度、または体内から排泄される速度によって定義される半減期があること、および阻害剤には有効性を十分発揮する量として存在する投与後の期間があることが理解される。したがって、阻害剤の投与後にEETを投与する場合は、阻害剤がEETの加水分解を遅らせるのに有効な量で存在する期間にEETを投与することが望ましい。EETまたはEET群は通常、sEH阻害剤が投与された48時間以内に投与される。好ましくはEETまたはEET群は、阻害剤の投与から24時間以内に、およびさらにより好ましくは12時間以内に投与される。望ましさが増す順に、EETまたはEET群は、阻害剤投与後の10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内、1時間以内、または30分以内に投与される。最も好ましくは、EETまたはEET群は、阻害剤と同時に投与される。
好ましい態様において、EET、sEH阻害剤、またはこの両方は、より長い作用期間を可能とするために、これらの経時的な放出を可能とする材料に含まれる状態で提供される。徐放性のコーティング剤は、薬学分野でよく知られている。特定の徐放性コーティング剤の選択は、本発明の実施に重要ではない。
EETは、酸性条件で分解される。したがってEETが経口投与される場合は、胃内における分解を防ぐことが望ましい。利便性を考慮して、経口投与されるEET群は、胃の酸性環境を通過して腸の塩基性環境に達することを可能とするようにコーティングすることができる。このようなコーティング剤は当技術分野で周知である。例えば、いわゆる「腸溶コーティング剤」でコーティングされたアスピリンが広く市販されている。このような腸溶コーティング剤は、胃を通過中のEET群を保護するために使用することができる。コーティング剤の例については実施例で説明する。
EETには抗高血圧作用があることが認識されているが、EETはこれまで高血圧を治療するためには投与はされてこなかった。なぜなら内因性のsEHがEETを極めて速やかに加水分解するために、有用な作用を何ら発揮できないと考えられていたからである。驚くべきことに、本発明の元となる研究の過程で、体外から投与されたsEH阻害剤が、外因性EETの投与によってEET濃度をさらに上昇させることが可能な程sEHを十分に阻害することに成功したことが見出された。これらの知見は、sEH阻害剤と上記のEET群の同時投与が、腎症の発症および進行の阻害に関して有効なことを支持する。これは、治療効果を高める上で重要な改善である。内因性のEETの濃度は、sEH阻害剤の作用に起因するsEH活性の阻害によって高まり、このため症状または病理的変化に少なくともある程度の改善をもたらすと推定されるが、あらゆる症例について、腎障害の進行を完全に、または意図した程度で抑制するには十分ではない可能性がある。これは特に、疾患または他の因子が、EETの内因性濃度を、健常者に通常存在する濃度以下に低下させる場合についてあてはまる。したがって、sEH阻害剤と共に体外からEETを投与することは、糖尿病性腎症の進行を抑制する上で有益であり、またsEH阻害剤の作用を増強すると推定される。
B.腎障害と糖尿病
真性糖尿病(本明細書では一般に「糖尿病」と記述される)は、血漿グルコース濃度の上昇とグルコース代謝の乱れが結びついた不均一な一群の代謝障害である。真性糖尿病は、空腹時高血糖の存在、および広範囲に及ぶ早発性の粥状動脈硬化症の発症を特徴とする慢性疾患である。真性糖尿病にみられる高血糖は一般に、インスリン分泌、インスリン作用、またはこれら両方の異常に起因する。世界保健機関(WHO)は、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、妊娠糖尿病、および他の真性糖尿病を含む真性糖尿病の分類スキームを発表している。これらの表現は、過去に使用された表現であるIDDM(インスリン依存型真性糖尿病)、NIDDM(非インスリン依存型真性糖尿病)、若年型真型糖尿病、および成人発症型真性糖尿病から大きく置き換えられている。
真性糖尿病(本明細書では一般に「糖尿病」と記述される)は、血漿グルコース濃度の上昇とグルコース代謝の乱れが結びついた不均一な一群の代謝障害である。真性糖尿病は、空腹時高血糖の存在、および広範囲に及ぶ早発性の粥状動脈硬化症の発症を特徴とする慢性疾患である。真性糖尿病にみられる高血糖は一般に、インスリン分泌、インスリン作用、またはこれら両方の異常に起因する。世界保健機関(WHO)は、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、妊娠糖尿病、および他の真性糖尿病を含む真性糖尿病の分類スキームを発表している。これらの表現は、過去に使用された表現であるIDDM(インスリン依存型真性糖尿病)、NIDDM(非インスリン依存型真性糖尿病)、若年型真型糖尿病、および成人発症型真性糖尿病から大きく置き換えられている。
1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓のB細胞の自己免疫による破壊に起因する。体液および組織中に検出可能な、この自己免疫破壊には、島細胞自己抗体、対インスリン自己抗体、対グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD65)自己抗体、ならびにチロシンホスファターゼIA-2およびIA-2Bに対する自己抗体を含む複数のマーカーが存在する。遺伝的因子が強く関連しているものの、双生児研究で得られた一致率は50%以下であり、ウイルス感染を含むと言われる環境因子が役割を果たすことが支持される。自己免疫過程は典型的には、臨床的検出および発症の数年前に始まる。B細胞の破壊の速度は変動がかなり大きく、一部の人(主に乳児および小児)では速く、成人では一般に遅い。
2型糖尿病は通常、40歳以降に発症する。1型糖尿病が全糖尿病患者の約90%を占めることはよく知られている。インスリン濃度は、たいていは高いが、正常な場合もあれば低い場合もある。肥満は一般的に見られる。減量につながる食事療法および運動療法は、高血糖を低下させることが可能である。経口低血糖薬も、血糖値を下げるために使用されている。これにもかかわらず、インスリンは時に、特に患者が老いるに伴い、またはβ細胞が不調になるに伴い、高血糖を正すために必要とされる。
2群の異常が、典型的な2型真性糖尿病であると言われることがある。第1の異常は、インスリンが末梢組織に作用する能力の低下であり、これは一般に「インスリン耐性」と呼ばれる。インスリン耐性は、正常濃度の血中インスリンに対する生物学的反応の低下と定義され、主要な基礎病理学的過程である。第2の異常は、末梢組織におけるインスリン耐性を克服するための十分な量のインスリンを産生できないことに代表される、膵臓のB細胞の機能低下である。究極的には、インスリン産生は、B細胞の機能低下に起因するインスリン耐性を十分補償しない場合がある。一般的な結果は、インスリンの相対的な不足である。データは、インスリン耐性が、インスリン分泌の異常に先立つ一次欠損であるという考え方を支持している。1型糖尿病と同様に、インスリン耐性およびインスリン分泌の異常の基礎は、環境因子と遺伝因子の組み合わせであると考えられている。
1型および2型の糖尿病は、糖尿病の症例の大半を占める。これらに加えて、膵臓の病変、内分泌系の病変、感染、または膵臓のベータ細胞を損なう化学物質もしくは薬剤に対する曝露に起因する、通常は無症候性で、特定の糖尿病の不均一な集合である妊娠糖尿病が存在する。本発明は、腎臓または腎機能に対する進行性の損傷に関連する範囲で、任意の糖尿病に使用することができる。1型糖尿病などの、自己免疫過程に起因する糖尿病の患者は、EETの使用・不使用にかかわらず、sEH阻害剤の投与による恩恵を受けるが、糖尿病に関連する好ましい態様において、本発明は、糖尿病が自己免疫過程に起因しない人に関する。したがって、いくつかの好ましい態様において、人は2型糖尿病であり、いくつかの好ましい態様において、人は、この段落の初めの方で述べた非自己免疫過程に起因する、さまざまな糖尿病の1つを有する。
糖尿病に伴う慢性の高血糖は、長期の障害、機能不全、およびさまざまな臓器、特に眼、腎臓、神経、心臓、および血管の機能不全と関連する。糖尿病の長期の合併症には、失明に至る恐れのある網膜症;腎不全に至る腎症;足潰瘍、四肢切断、およびシャルコー関節のリスクのある末梢性ニューロパシーなどがある。
組織タンパク質および他の巨大分子の糖化、ならびにグルコースに由来するポリオール化合物の過剰産生は、慢性高血糖に起因する組織損傷を生じると考えられている機構に含まれる。非酵素的な糖化過程は、グルコースが、酵素の作用なしにタンパク質のアミノ基に化学的に結合する過程である。この反応は、N-グリコシド結合によって、メイラード(Maillard)によって報告された一連の化学反応によって糖-タンパク質複合体が形成される共有結合反応である。メイラード反応では、糖がタンパク質と反応して複合体を形成し、これが非酵素的糖化の初期産物、および後期化合物の前駆体となる中間体となる。次に、数多くの中間産物が形成され、後期糖化反応生成物(AGE)と呼ばれる不均一な構造体を生じる複合産物の重合化反応がこれに続く。AGEが、網膜症、腎症、ニューロパシー、および進行性の粥状動脈硬化症などの、真性糖尿病の慢性の合併症を生じる組織および器官に進行的に蓄積することも報告されている。免疫組織化学的方法で、糸球体および細管細胞における多様なAGE化合物の存在が、実験的腎症とヒトの糖尿病性腎症の両方で明らかにされている。糖尿病における糖化、およびAGEについては例えば、米国特許出願第20030203973号および第20030092744号、ならびに米国特許第6,624,178号および第5,518,720号に記載されている。
2002年に米国糖尿病学会は、「Diabetic Nephropathy(糖尿病性腎症)」と題する意見書をDiabetes Care 25: S85-S89 (2002)に発表した(以下、「意見書」と呼ぶ)。この意見書によれば、「腎症の早期の臨床的な証拠は、微量アルブミン尿症と呼ばれる、尿中における低いが異常な濃度(30 mg/日または20μg/分)のアルブミンの出現である」。同意見書は、1型糖尿病(十分なインスリンの産生不能を特徴とする若年型糖尿病)の患者について、微量アルブミン尿症患者の80%が、何らかの介入が実施されない限り、同時に発現する高血圧を伴って顕性腎症を次第に進行させてゆくが、微量アルブミン尿症を発症する時期に高血圧が顕著になる可能性があると述べている。同意見書ではまた、2型糖尿病(対インスリン応答力低下を特徴とする成人発症型の糖尿病)の患者の多くが、診断時に微量アルブミン尿症であること、また20〜40%が、特定の介入が行われないと顕性腎症に進行するということも記載されている。同意見書では、2型糖尿病患者の3分の1が診断時に高血圧であり、3分の2が高血圧ではないと記載されている。この事実は特に重要である。なぜなら2型糖尿病患者の数は、1型糖尿病の発症数より有意に多いからである。
C.メタボリック症候群と脂質代謝異常
メタボリック症候群であるとみなされる米国人成人の数は増えつつある。米国人成人の4人に1人が、「症候群X」や「インスリン耐性症候群」とも呼ばれるメタボリック症候群であり、この割合は加齢と共に上昇する。メイヨークリニックのウェブサイトに記載されているように、メタボリック症候群は1つの疾患ではなく、2型糖尿病、卒中、および心疾患のリスクの増大と関連する代謝障害の集合体である。このような障害には、肥満、特に腹部周りの肥満、高血圧、高濃度の血中トリグリセリド、およびインスリン耐性などが含まれる。リスク因子が大きくなるほど、2型糖尿病、卒中、または心疾患を発症する可能性は高くなる。全国コレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)は、メタボリック症候群を有する人を、以下の尺度の3つ以上を有する者と定義している:胴囲が女性では35インチ、男性では40インチを上回る腹部肥満であること、トリグリセリドレベルが1デシリットルあたり150ミリグラム(mg/dL)を上回ること、血圧が130/85 mm水銀柱を上回ること、空腹時血糖値が110 mg/dLを上回ること、および高密度リポタンパク質コレステロールレベルが女性では50 mg/dL未満、男性では40 mg/dL未満であること。
メタボリック症候群であるとみなされる米国人成人の数は増えつつある。米国人成人の4人に1人が、「症候群X」や「インスリン耐性症候群」とも呼ばれるメタボリック症候群であり、この割合は加齢と共に上昇する。メイヨークリニックのウェブサイトに記載されているように、メタボリック症候群は1つの疾患ではなく、2型糖尿病、卒中、および心疾患のリスクの増大と関連する代謝障害の集合体である。このような障害には、肥満、特に腹部周りの肥満、高血圧、高濃度の血中トリグリセリド、およびインスリン耐性などが含まれる。リスク因子が大きくなるほど、2型糖尿病、卒中、または心疾患を発症する可能性は高くなる。全国コレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)は、メタボリック症候群を有する人を、以下の尺度の3つ以上を有する者と定義している:胴囲が女性では35インチ、男性では40インチを上回る腹部肥満であること、トリグリセリドレベルが1デシリットルあたり150ミリグラム(mg/dL)を上回ること、血圧が130/85 mm水銀柱を上回ること、空腹時血糖値が110 mg/dLを上回ること、および高密度リポタンパク質コレステロールレベルが女性では50 mg/dL未満、男性では40 mg/dL未満であること。
メタボリック症候群を有する人は2型糖尿病が進行するリスクが高く、したがって糖尿病性腎症の平均よりリスクが高い。したがって、このような人を微量アルブミン尿症に関してモニタリングし、腎症の発症を抑えるための介入として、sEH阻害剤を、また任意で1種類もしくは複数のEETを投与することが望ましい。施行者は、介入の開始を、微量アルブミン尿症が発現するまで待機してよい。上述したように、血圧が130/85より高くなくてもメタボリック症候群の診断が下されることがある。血圧が130/85より高い人と、血圧が130/85未満を有する人のいずれもが、sEH阻害剤の投与、および任意で1種類もしくは複数のEETの投与による利益を得て、腎臓に対する損傷の進行を遅らせる可能性がある。いくつかの好ましい態様において、人はメタボリック症候群であり、血圧は130/85未満である。
心疾患の別のリスク因子は、脂質代謝異常、すなわちリポタンパク質代謝の異常である。この異常は、LDLコレステロールレベルの上昇、HDLコレステロールレベルの低下、およびトリグリセリドレベルの上昇を含む。血清コレステロール、特にLDLコレステロールの濃度上昇は、心疾患のリスクの増大と関連する。腎臓も、このような高濃度によって損なわれる。過去には、腎臓の損傷は高濃度のコレステロールに起因するというドグマが存在した。そして現在では、高濃度のトリグリセリドも腎障害と関連すると考えられている。特に200 mg/dLを超えるコレステロールレベル、特に225 mg/dLを超える濃度は、sEH阻害剤、および任意でEETを投与すべきであることを示唆する場合がある。同様に、215 mg/dLを上回る、特に250 mg/dL以上のトリグリセリドレベルは、sEH阻害剤、および任意でEETの投与が望ましい場合があることを意味する場合がある。同阻害剤の投与は、EETの使用・不使用にかかわらず、スタチン薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の患者への投与の必要性を減じるか、または必要なスタチン量を減じることが可能である。いくつかの態様において、本発明の方法、使用、および組成物の対象となる候補は、トリグリセリドレベルが215 mg/dLを上回り、かつ血圧が130/85以下である。いくつかの態様において、候補は、トリグリセリドレベルが250 mg/dLを上回り、かつ血圧が130/85以下である。いくつかの態様において、本発明の方法、使用、および組成物の対象となる候補は、コレステロールレベルが200 mg/dLを上回り、かつ血圧が130/85以下である。いくつかの態様において、候補は、コレステロールレベルが225 mg/dLを上回り、かつ血圧が130/85以下である。
D.sEH阻害剤およびEET
さまざまな化学構造の多数のsEH阻害剤が知られている。sEH酵素はインビトロで、さまざまな尿素、カルバミン酸、およびアミドの誘導体によって選択的および競合的に阻害されうる(Morisseau et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 96: 8849-8854 (1999))。米国特許第5,955,496号('496特許)には、本発明の方法に使用される、いくつかの適切なエポキシド加水分解酵素阻害剤が記載されている。阻害剤の1つのカテゴリーは、同酵素の基質に似た阻害剤を含む。脂質アルコキシド(例えばステアリン酸の9-メトキシド)は、この群の阻害剤の例である。'496特許に記載された阻害剤に加えて、オレイン酸のメチルアルコキシド、エチルアルコキシド、およびプロピルアルコキシド(ステアリン酸アルコキシドとしても知られる)、リノール酸、ならびにアラキドン酸を含む、1ダースまたはそれ以上の脂質アルコキシドがsEH阻害剤として検討されており、その全てがsEHの阻害剤として作用することがわかっている。
さまざまな化学構造の多数のsEH阻害剤が知られている。sEH酵素はインビトロで、さまざまな尿素、カルバミン酸、およびアミドの誘導体によって選択的および競合的に阻害されうる(Morisseau et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 96: 8849-8854 (1999))。米国特許第5,955,496号('496特許)には、本発明の方法に使用される、いくつかの適切なエポキシド加水分解酵素阻害剤が記載されている。阻害剤の1つのカテゴリーは、同酵素の基質に似た阻害剤を含む。脂質アルコキシド(例えばステアリン酸の9-メトキシド)は、この群の阻害剤の例である。'496特許に記載された阻害剤に加えて、オレイン酸のメチルアルコキシド、エチルアルコキシド、およびプロピルアルコキシド(ステアリン酸アルコキシドとしても知られる)、リノール酸、ならびにアラキドン酸を含む、1ダースまたはそれ以上の脂質アルコキシドがsEH阻害剤として検討されており、その全てがsEHの阻害剤として作用することがわかっている。
'496特許の別の一群の態様において、緩やかに逆転する酵素の別の基質をもたらすsEH阻害剤について記載されている。このカテゴリーの阻害剤の例には、フェニルグリシドール(例えばS,S-4-ニトロフェニルグリシドール)、およびカルコンオキシドなどが含まれる。'496特許には、適切なカルコンオキシドが、4-フェニルカルコンオキシド、および4-フルオロカルコンオキシドを含むことが記載されている。フェニルグリシドールおよびカルコンオキシドは安定なアシル酵素を生成すると考えられている。
本発明の方法における使用に適切なsEHの他の阻害剤は、米国特許第6,150,415号('415特許)、および第6,531,506号('506特許)、ならびにWO 2004/089296として公開された、共有される出願PCT/US2004/010298、および米国特許出願第2005/0026844号として公開された米国特許出願第10/817,334号に記載されている。例えば'506特許には、2つのタイプのsEHの数種類の阻害剤、およびsEH活性を50%阻害することが判明した、これらの濃度が記載されている。任意の特定の阻害剤を、本発明の方法で作用するか否かを判定するために、以下の実施例に記載されたアッセイ法などの標準的なアッセイ法で容易に検討することができる。
尿素、カルバミン酸、またはアミド薬理作用団(本明細書で用いる「薬理作用団」という表現は、sEHと結合するリガンドの構造の一部分を意味する)がアダマンタンと12炭素鎖ドデカンの両方と共有結合で結合した誘導体はsEH阻害剤として特に有用である。代謝的に安定な誘導体が好ましい。というのは、インビボで、より大きな活性を有すると推定されるからである。
尿素の誘導体は、好ましい一群のsEH阻害剤を形成する遷移状態の模倣体である。この一群の中では、DCUが阻害剤として好ましく、CDUがより好ましい。ジシクロヘキシルカルボジイミド(脂質親和性のジイミド)などの数種類の化合物は分解されてDCUなどの活性尿素阻害剤となりうる。任意の特定の尿素誘導体または他の化合物は、sEHの阻害能力に関して、本明細書に記載されたアッセイ法などの標準的なアッセイ法で容易に検討することができる。sEH阻害剤などの尿素誘導体の作製および検討は例えば、Morisseau et al., Proc Natl Acad Sci(USA)96: 8849-8854 (1999)に詳述されている。
N-アダマンチル-N'-ドデシル尿素(「ADU」)は代謝的に安定であり、かつ対sEH活性が特に高い。(1-アダマンチル尿素と2-アダマンチル尿素の両方が検討されており、sEH阻害剤として同程度の高い活性を有する)。したがって、アダマンチルドデシル尿素の異性体は特に好ましい阻害剤である。また、N,N'-ドデシル-シクロヘキシル尿素(DCU)、および他のsEH阻害剤、また特に尿素のドデカン酸エステル誘導体が、本発明の方法における使用に適していることも予想される。好ましい阻害剤には:
12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸(AUDA)
12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸ブチルエステル(AUDA-BE)
アダマンタン-1-イル-3-{5-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}尿素(化合物950)
などがある。それぞれが本発明の方法および組成物の使用に好ましい他の数種類の阻害剤は、共同所有される出願PCT/US2004/010298および米国特許出願第2005/0026844号に記載されている。
12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸(AUDA)
12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸ブチルエステル(AUDA-BE)
アダマンタン-1-イル-3-{5-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}尿素(化合物950)
などがある。それぞれが本発明の方法および組成物の使用に好ましい他の数種類の阻害剤は、共同所有される出願PCT/US2004/010298および米国特許出願第2005/0026844号に記載されている。
上述したように、カルコンオキシドは、同酵素の別の基質となる可能性がある。カルコンオキシドの半減期は、構造の種類にある程度依存するが、グループとしてカルコンオキシドの半減期は比較的短い傾向がある(薬剤の半減期は通常、薬剤の濃度が当初の値の半分に低下する時間として定義される。例えば、Thomas, G., Medicinal Chemistry: an introduction, John Wiley & Sons Ltd. (West Sussex, England, 2000)を参照されたい)。本発明の使用は、数日間、数週間、または数か月間の単位で測定可能な期間におけるsEHの阻害を対象とするので、実施者が望ましいと考えるより短い半減期を有するカルコンオキシド、および他の阻害剤が、好ましくは一定期間にわたって薬剤を提供する様式で投与される。例えば阻害剤は、腎臓の内部または近傍で阻害剤を放出することで高い局所濃度をもたらす材料を含む、阻害剤を緩やかに放出する材料に含まれる状態で提供される得る。阻害剤を一定の期間、高い局所濃度で持続することを可能とする投与法が知られており、これは半減期が短い阻害剤の使用に制限されないが、比較的短い半減期の阻害剤に関しては、これが好ましい投与法である。
いくつかの態様において、sEHの阻害は、sEH量の減少を含む場合がある。したがって、本明細書で用いられるsEH阻害剤は、sEHをコードする遺伝子の発現を阻害する核酸を含む場合がある。転写の低減およびsiRNAなどの、遺伝子の発現を低下させる複数の方法が知られており、以下に詳述する。
II.定義
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)に許容された様式で使用される。数値の範囲は、対象範囲を定める数値を含む。特に明記しない限り、核酸は左から右へ5'から3'方向に記載し、アミノ酸配列は左から右へアミノからカルボキシ方向に記載する。本明細書で提供される表題は、本発明のさまざまな局面または態様を制限せず、全体として、参照により本明細書に組み入れられ得る。したがって、以下に定義する用語・表現は、その全体が、本明細書を参照することで十分定義される。本明細書で定義されていない用語・表現は、当業者が理解する一般的な意味を有する。
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)に許容された様式で使用される。数値の範囲は、対象範囲を定める数値を含む。特に明記しない限り、核酸は左から右へ5'から3'方向に記載し、アミノ酸配列は左から右へアミノからカルボキシ方向に記載する。本明細書で提供される表題は、本発明のさまざまな局面または態様を制限せず、全体として、参照により本明細書に組み入れられ得る。したがって、以下に定義する用語・表現は、その全体が、本明細書を参照することで十分定義される。本明細書で定義されていない用語・表現は、当業者が理解する一般的な意味を有する。
「シス-エポキシエイコサトリエン酸」(「EET」)は、シトクロムP450エポキシゲナーゼによって合成される生体メディエーター(biomediator)である。
「エポキシド加水分解酵素」(「EH」;EC 3.3.2.3)は、エポキシドと呼ばれる3員環エーテルに水を付加する、アルファベータ加水分解酵素フォールドファミリーの酵素である。
「可溶性エポキシド加水分解酵素」(「sEH」)は、内皮細胞および平滑筋細胞でEETをジヒドロキシエイコサトリエン酸(「DHET」)と呼ばれるジヒドロキシ誘導体に変換する酵素である。マウスのsEHのクローニングおよび配列は、Grant et al., J. Biol. Chem. 268 (23): 17628-17633 (1993)に記載されている。ヒトのsEH配列のクローニング、配列、およびアクセッション番号は、Beetham et al., Arch. Biochem. Biophys. 305 (1): 197-201 (1993)に記載されている。ヒトsEHのアミノ酸配列も、米国特許第5,445,956号のSEQ ID NO: 2に記載されている。ヒトsEHをコードする核酸配列は、同特許のSEQ ID NO: 1のヌクレオチド42〜1703に記載されている。同遺伝子の進化および命名法については、Beetham et al., DNA Cell Biol. 14 (1): 61-71 (1995)で論じられている。可溶性エポキシド加水分解酵素は、齧歯類とヒト間で90%を上回るホモロジーを有する1つの高度に保存された遺伝子産物である(Arand et al., FEBS Lett., 338: 251-256 (1994))。特に明記しない限り、本明細書で用いる「可溶性エポキシド加水分解酵素」および「sEH」という表現は、ヒトのsEHを意味する。
特に明記しない限り、本明細書で用いる「sEH阻害剤」という表現は、ヒトのsEHの阻害剤を意味する。好ましくは、阻害剤は、ミクロソームエポキシド加水分解酵素の活性も25%以上阻害せず、およびより好ましくは、同阻害剤がsEHを少なくとも50%阻害する濃度においては10%以上阻害しない。
「ネフロン」は、腎臓における尿産生および血液濾過の主要単位である。
「腎症」は、ネフロンの任意の複数の病理学的条件を意味する。糖尿病は、腎臓に関連したさまざま病理変化を引き起こす(例えば、Primer on Kidney Diseases, 3rd Edition, National Kidney Foundation, Arthur Greenberg ed., Academic Press, San Francisco, CA, 2001を参照されたい)。
「生理学的条件」という表現は、対象細胞の維持または成長を可能とする条件(例えば温度、pH、および浸透圧)を有する細胞外環境を意味する。
III.エポキシド加水分解酵素の阻害剤
エポキシド加水分解酵素の数種類の阻害剤が知られている。好ましい態様において、阻害されるエポキシド加水分解酵素は、可溶性エポキシド加水分解酵素すなわち「sEH」である。好ましくは阻害剤は、ミクロソームエポキシド加水分解酵素(「mEH」)も大きく阻害することなくsEHを阻害する。好ましくは500μMの濃度で、阻害剤はsEH活性を少なくとも50%阻害するが、mEH活性を10%以上は阻害しない。好ましい化合物のIC50(阻害力価、または定義によれば、酵素活性を50%低下させる阻害剤の濃度)は約500μM未満である。500μM未満のIC50を有する阻害剤が好ましく、100μM未満のIC50を有する阻害剤がより好ましく、またIC50が50μM未満、40μM未満、30μM未満、25μM未満、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、またはさらに少ない方が、IC50が低下するので、より好ましい。EHの活性を決定するアッセイ法は当技術分野で周知であり、また本明細書に記載されている。
エポキシド加水分解酵素の数種類の阻害剤が知られている。好ましい態様において、阻害されるエポキシド加水分解酵素は、可溶性エポキシド加水分解酵素すなわち「sEH」である。好ましくは阻害剤は、ミクロソームエポキシド加水分解酵素(「mEH」)も大きく阻害することなくsEHを阻害する。好ましくは500μMの濃度で、阻害剤はsEH活性を少なくとも50%阻害するが、mEH活性を10%以上は阻害しない。好ましい化合物のIC50(阻害力価、または定義によれば、酵素活性を50%低下させる阻害剤の濃度)は約500μM未満である。500μM未満のIC50を有する阻害剤が好ましく、100μM未満のIC50を有する阻害剤がより好ましく、またIC50が50μM未満、40μM未満、30μM未満、25μM未満、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、またはさらに少ない方が、IC50が低下するので、より好ましい。EHの活性を決定するアッセイ法は当技術分野で周知であり、また本明細書に記載されている。
本発明の2つの好ましいクラスの阻害剤が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,150,415号および第6,531,506号に記載された、式1および式2で表される化合物である。このような化合物を作製する手段、およびエポキシド加水分解酵素の阻害能力に関して望ましい化合物を検討する手段についても説明されている。特に'506特許では、わずか0.1μMの濃度でヒトsEHを阻害することがわかっている、式1の数種類の阻害剤、および式2の約20種類の阻害剤について説明されている。
酵素-基質の遷移状態または反応中間体に類似した阻害剤に基づいて、酵素と可逆的に相互作用する式1で表される化合物に加えて、酵素の不可逆的な阻害剤である化合物を入手できる。'506特許の表または式1に記載されたような活性構造は阻害剤を酵素に誘導することができる。この場合、酵素の触媒部位中の官能基が、阻害剤と共有結合を形成する可能性がある。このような相互作用可能な1群の分子は、リシンまたはヒスチジンとのSN2反応による攻撃を受ける可能性のあるハロゲンやトシル酸などの脱離基を有する場合がある。あるいは官能基は、α/β-不飽和エステル、アルデヒド、ケトン、エステル、または亜硝酸塩などのエポキシドまたはマイケル(Michael)アクセプターであり得る。
さらに式1の化合物に加えて、本発明を実施するために活性誘導体を設計することができる。例えば、ジシクロヘキシルチオ尿素は酸化されてジシクロヘキシルカルボジイミドとなり、酵素または酸性水溶液(生理的食塩水)の作用によって、活性ジシクロヘキシル尿素を生成する。あるいは、カルバミン酸または尿素の酸性プロトンは、さまざまな置換基と置換可能であり、これが酸化、加水分解、またはグルタチオンなどの求核試薬による攻撃を受けることで、対応する親構造を生じる。これらの材料はプロドラッグまたはプロトキシンとして知られている(Gilman et al., The Pharmacological Basis of Therapeutics, 7th Edition, MacMillan Publishing Company, New York, p.16 (1985))。例えばエステルは、放出されて対応するアルコールおよび酸を酵素の作用で生じる一般的なプロドラッグである(Yoshigae et al., Chirality, 9: 661-666 (1997))。このような薬剤およびプロドラッグは、大きな特異性を示すキラルであり得る。このような誘導体は医学および農芸化学の分野で、水溶性を高める、製剤の化学的性質を改善する、標的組織を変える、分布容量を変化させる、および透過率を変化させるといった、化合物の薬理学的特性を変化させるために広く使用されている。これらは、毒性プロファイルを変化させるためにも使用されている。
数多くのプロドラッグが存在する可能性があるが、本明細書に記載された尿素中の2個の活性水素の1個もしくはこの両方の置換、またはカルバミン酸中に存在する1個の活性水素の置換は特に注目される。このような誘導体は、Fukutoらの論文に詳述されている。このような誘導体は文献に詳述されており、農芸化学および医薬品化学の分野で、化合物の薬理学的特性を変化させるために広く使用されている(Black et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 21 (5): 747-751 (1973);Fahmy et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 26 (3): 550-556 (1978);Jojima et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 31 (3) : 613-620 (1983);およびFahmy et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 29 (3) : 567-572 (1981))。
このような活性のあるプロ阻害剤(Proinhibitor)の誘導体は本発明の範囲に含まれ、またすぐ上の引用文献は、参照により本明細書に組み入れられる。特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の適切な阻害剤は、酵素の遷移状態に似ていると考えられている。このため、酵素の触媒部位との安定な相互作用が存在する。阻害剤は、触媒部位の求核性のカルボン酸および分極性のチロシンと水素結合を形成すると考えられる。
IV.EET
EETは、腎症の発症または悪化を抑えるために投与可能である。好ましい態様において、EETまたはEETが速やかに加水分解されないように、1種もしくは複数のEETの投与はsEH阻害剤と同時か、またはsEH阻害剤の投与後に行われる。
EETは、腎症の発症または悪化を抑えるために投与可能である。好ましい態様において、EETまたはEETが速やかに加水分解されないように、1種もしくは複数のEETの投与はsEH阻害剤と同時か、またはsEH阻害剤の投与後に行われる。
EETまたはEET群は任意で、EETを経時的に放出する材料中に埋め込まれるか、または配置される。EETなどの組成物の緩やかな放出を促すのに適した材料は当技術分野で周知である。
利便性を考慮して、EETまたはEET群は経口投与が可能である。EETは、酸性条件では分解されるので、経口投与されるEETを、酸性条件で耐溶解性があるが、腸内のやや塩基性の条件では溶解するコーティング剤でコーティングすることができる。「腸溶コーティング剤」として一般に知られている適切なコーティング剤は、胃の傷害を生じたり、胃酸との接触によって分解を受けたりする可能性のあるアスピリンなどの製品に広く使用されている。溶解プロファイルが適切なコーティング剤を使用することで、コーティングされた物質は、腸管の特定の部分で放出可能となる。例えば結腸内で放出される物質は、pH6.5〜7で溶解する物質でコーティングされるが、十二指腸内で放出される物質は、5.5を上回るpH値で溶解するコーティング剤でコーティングすることができる。このようなコーティング剤は例えば、Rohm Specialty Acrylics(Rohm America LLC, Piscataway, NJ)から、「Eudragit(登録商標)」の商品名で市販されている。この種類のコーティング剤の例は、実施例に記載されている。特定の腸溶コーティング剤の選択は、本発明を実施する上で重要ではない。
好ましいEETには、好ましい順に14,15-EET、8,9-EET、11,12-EETなどがある。精製されたsEHは8S,9R-EETおよび14R,15S-EETを選択したので、これらのEETは特に好ましい。8,9-EET、11,12-EET、および14R,15S-EETは、例えばSigma-Aldrich(カタログ番号はそれぞれE5516、E5641、およびE5766、Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO)から市販されている。
V.エポキシド加水分解酵素活性のアッセイ法
エポキシド加水分解酵素の活性を決定するための任意のいくつかの標準的なアッセイ法で、sEHの阻害を判定することができる。適切なアッセイ法は、例えばGill, et al., Anal Biochem 131, 273-282 (1983);やBorhan et al., Analytical Biochemistry 231, 188-200 (1995)に記載されている。適切なインビトロアッセイ法は、Zeldin et al., J Biol. Chem. 268: 6402-6407 (1993)に記載されている。適切なインビボアッセイ法は、Zeldin et al., Arch Biochem Biopsy 330: 87-96 (1996)に記載されている。推定天然基質および代用基質の両方を使用するエポキシド加水分解酵素のアッセイ法については総説がある(Hammock, et al. In: Methods in Enzymology, Volume III , Steroids and Isoprenoids, Part B. (Law, J.H. and H.C. Rilling, eds. 1985), Academic Press, Orlando, Florida, pp.303-311、およびWixtrom et al., In: Biochemical Pharmacology and Toxicology, Vol. 1: Methodological Aspects of Drug Metabolizing Enzymes, (Zakim, D. and D.A. Vessey, eds. 1985), John Wiley & Sons, Inc., New York, pp. 1-93を参照されたい)。結果として生じるジオール産物の、水素結合に対する反応性または傾向に基づく、複数のスペクトルベースのアッセイ法が存在する(例えば、Wixtrom、前掲、およびHammock. Anal. Biochem. 174: 291-299 (1985)、ならびにDietze, et al. Anal. Biochem. 216: 176-187 (1994)を参照されたい)。
エポキシド加水分解酵素の活性を決定するための任意のいくつかの標準的なアッセイ法で、sEHの阻害を判定することができる。適切なアッセイ法は、例えばGill, et al., Anal Biochem 131, 273-282 (1983);やBorhan et al., Analytical Biochemistry 231, 188-200 (1995)に記載されている。適切なインビトロアッセイ法は、Zeldin et al., J Biol. Chem. 268: 6402-6407 (1993)に記載されている。適切なインビボアッセイ法は、Zeldin et al., Arch Biochem Biopsy 330: 87-96 (1996)に記載されている。推定天然基質および代用基質の両方を使用するエポキシド加水分解酵素のアッセイ法については総説がある(Hammock, et al. In: Methods in Enzymology, Volume III , Steroids and Isoprenoids, Part B. (Law, J.H. and H.C. Rilling, eds. 1985), Academic Press, Orlando, Florida, pp.303-311、およびWixtrom et al., In: Biochemical Pharmacology and Toxicology, Vol. 1: Methodological Aspects of Drug Metabolizing Enzymes, (Zakim, D. and D.A. Vessey, eds. 1985), John Wiley & Sons, Inc., New York, pp. 1-93を参照されたい)。結果として生じるジオール産物の、水素結合に対する反応性または傾向に基づく、複数のスペクトルベースのアッセイ法が存在する(例えば、Wixtrom、前掲、およびHammock. Anal. Biochem. 174: 291-299 (1985)、ならびにDietze, et al. Anal. Biochem. 216: 176-187 (1994)を参照されたい)。
同酵素はまた、酵素を固定化するか、またはダンシル、フルオレセイン、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、または他の試薬などのプローブで酵素を標識する、触媒部位に対する特定のリガンドの結合を元に検出可能である。同酵素は、EETの水和、エポキシドの加水分解で生じる着色した産物(Dietze et al., 1994(前掲)に記載)、または放射性代用基質の加水分解(Borhan et al., 1995, 前掲)によって検討することができる。同酵素はまた、エポキシドの加水分解による蛍光産物の生成を元に検出可能である。数多くのエポキシド加水分解酵素検出法が文献に記載されている(例えば、Wixtrom、前掲を参照されたい)。
アッセイ法は通常、アフィニティ精製後の組換え酵素を使用して実施される。アッセイ法は、粗組織ホモジネートや細胞培養物を対象に、またはインビボでも、当技術分野で周知の手順で、また上記に引用された参考文献に記載された手段で実施することができる。
VI.sEH活性を阻害する他の手段
sEH活性または遺伝子発現を阻害する他の手段も本発明の方法で使用され得る。例えば、ヒトsEH遺伝子の少なくとも一部に相補的な核酸分子をsEH遺伝子の発現を阻害するために使用できる。例えば、低分子干渉RNA(siRNA)を使用して遺伝子発現を阻害する手段が知られている。転写後遺伝子サイレンシング(「PTGS」)の一形態である「RNA干渉」は、2本鎖RNAの細胞内への導入の結果生じる作用である(総説として、Fire, A. Trends Genet 15: 358-363 (1999);Sharp, P. Genes Dev 13: 139-141 (1999);Hunter, C. Curr Biol 9: R440-R442 (1999);Baulcombe. D. Curr Biol 9: R599-R601 (1999);Vaucheret et al., Plant J 16: 651-659 (1998)を参照されたい)。一般にRNAiと呼ばれるRNA干渉は、クローン化された遺伝子を特異的に不活性化する方法であり、遺伝子の機能を調べるための強力なツールである。
sEH活性または遺伝子発現を阻害する他の手段も本発明の方法で使用され得る。例えば、ヒトsEH遺伝子の少なくとも一部に相補的な核酸分子をsEH遺伝子の発現を阻害するために使用できる。例えば、低分子干渉RNA(siRNA)を使用して遺伝子発現を阻害する手段が知られている。転写後遺伝子サイレンシング(「PTGS」)の一形態である「RNA干渉」は、2本鎖RNAの細胞内への導入の結果生じる作用である(総説として、Fire, A. Trends Genet 15: 358-363 (1999);Sharp, P. Genes Dev 13: 139-141 (1999);Hunter, C. Curr Biol 9: R440-R442 (1999);Baulcombe. D. Curr Biol 9: R599-R601 (1999);Vaucheret et al., Plant J 16: 651-659 (1998)を参照されたい)。一般にRNAiと呼ばれるRNA干渉は、クローン化された遺伝子を特異的に不活性化する方法であり、遺伝子の機能を調べるための強力なツールである。
RNAi中の活性薬剤は、鎖の1本が阻害対象のRNAに対応するか、または相補的な、長い2本鎖(逆平行2本鎖)RNAである。阻害されるRNAが標的RNAである。長い2本鎖RNAは、約20〜25ヌクレオチド対の短い2本鎖に切断されるが、これに続く、短いRNAが標的の発現を阻害する機構は現時点でほとんど不明である。RNAiは当初、下等な真核生物で良好に作用することがわかっていたが、哺乳動物細胞の場合は、RNAiは卵母細胞や着床前の胚を対象とした研究にのみ適していると考えられていた。しかしながら、他の哺乳動物細胞では、より長いRNA 2本鎖が、タンパク質合成の非特異的な阻害を特徴とする「配列非特異的なRNA干渉」として知られる反応を引き起こした。
さらなる研究によって、この作用が、約30塩基対を上回るdsRNAによって、おそらくインターフェロン応答によって誘導されることがわかっている。約30塩基対を上回るdsRNAは、タンパク質PKRおよび2',5'-オリゴヌクレオチド合成酵素(2',5'-AS)に結合して活性化すると考えられている。活性化されたPKRは、翻訳開始因子eIF2αをリン酸化することで翻訳を停止させ、活性化された2',5'-ASは、2',5'-オリゴヌクレオチド-活性化リボヌクレアーゼLによるmRNAの分解を引き起こす。これらの反応は本質的に、dsRNAの誘導に対して配列非特異的である。つまりアポトーシスすなわち細胞死を生じることも多い。したがって、大半の哺乳動物体細胞は、下等真核細胞でRNAiを誘導する濃度のdsRNAに曝露されるとアポトーシスを起こす。
さらに最近になって、RNA鎖が、事前に長さが決定された約19ヌクレオチド対の2本鎖として提供された場合に、RNAiがヒト細胞で作用することが明らかにされた。またRNAiは、各鎖の末端における、対を形成しない短い3'の伸長によって特に良好に作用する(Elbashir et al. Nature 411: 494-498 (2001))。この報告では、「低分子干渉RNA」(siRNA、低分子干渉RNAとも呼ばれる)は、オリゴフェクタミンミセルを使用したトランスフェクションによって培養細胞に導入された。このようなRNAの2本鎖は極めて短いので、アポトーシスのような配列非特異的な反応を誘導できなかったが、それでもRNAiを効率的に開始した。多くの研究室が、哺乳動物細胞中の標的遺伝子をノックアウトするためのsiRNAの開発に取り組んだ。その結果、siRNAが多くの条件でかなり良好に作用することがわかっている。
sEHの活性を低下させる目的で、sEHをコードする遺伝子に対するsiRNAを、コンピュータプログラムで特異的に設計することができる。ヒトsEH配列のクローニング、配列、およびアクセッション番号は、Beetham et al., Arch. Biochem. Biophys. 305 (1): 197-201 (1993)に記載されている。ヒトsEHのアミノ酸配列も米国特許第5,445,956号のSEQ ID NO: 2に記載されており、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド42〜1703が、アミノ酸配列をコードする核酸配列である。
プログラム、Dharmacon, Inc.(Lafayette, CO)のsiDESINGNは、任意の核酸配列に対するsiRNAを推定することが可能であり、同プログラムは、ワールドワイドウェブ(dharmacon.com)上で入手することができる。siRNA設計用のプログラムは、Genscript(genscript.com/ssl-bin/app/rnaiのウェブサイトから入手可)を含む他社から入手することも可能であり、かつ学術機関および非営利の研究者に対しては、ホワイトヘッド生物医学研究所からインターネット(http://jura.wi.mit. edu/pubint/http://iona.wi.mit.edu/siRNAext/)を通じて入手できる。例えば、ホワイトヘッド研究所から入手可能なプログラムを使用して、以下のsEHの標的配列およびsiRNAの配列を作製できる。
1)標的:
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
2)標的:
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
3)標的:
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
4)
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
5)
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
1)標的:
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
2)標的:
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
3)標的:
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
4)
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
5)
センス-siRNA:
アンチセンス-siRNA:
または、siRNAを対応遺伝子から作製するキットを使用してsiRNAを作製することができる。例えば、「Dicer siRNA Generation」キット(カタログ番号T510001、Gene Therapy Systems, Inc., San Diego, CA)では、組換え型のヒト酵素「ダイサー(dicer)」をインビトロで使用して、長い2本鎖RNAを22 bpのsiRNAに切断する。siRNAの混合物を得ることで、同キットでは、標的遺伝子の発現を低下させるsiRNAを高い成功率で作製可能となる。同様に、Silencer(商標) siRNAカクテルキット(RNase III)(カタログ番号1625、Ambion Inc., Austin, TX)を使用して、ダイサーではなくRNase IIIを用いてdsRNAからsiRNAの混合物を作製する。ダイサーと同様に、RNase IIIはdsRNAを、2〜3ヌクレオチドの3'突出末端、ならびに5'-リン酸末端および3'-ヒドロキシル末端を有する12〜30 bpのdsRNA断片に切断する。製造業者によれば、dsRNAはT7 RNAポリメラーゼによって作られ、また反応成分および精製成分は同キットに同梱される。dsRNAは次にRNase IIIによって切断されてsiRNAの集団を生じる。同キットは、インビトロ転写によって長いdsRNAを合成するための試薬、およびRNase IIIを使用してdsRNAをsiRNA様分子に切断するための試薬を含む。製造業者によれば、使用者が用意する必要があるのは、相対するT7ファージポリメラーゼプロモーターを有するDNAテンプレートだけであるか、または転写対象領域の反対側の末端にプロモーターを有する2種類の異なるテンプレートだけである。
siRNAはベクターから発現させることも可能である。典型的には、このようなベクターは、対応する相補鎖をコードする第2のベクターと共に投与される。発現されると、2つの鎖は互いにアニーリングして、機能性の2本鎖siRNAを生成する。本発明における使用に適切な1つの例示的なベクターpSuperは、OligoEngine社(Seattle, WA、ワールドワイドウェブoligoengine.com)から入手できる。いくつかの態様において、同ベクターは2つのプロモーターを含む。一方のプロモーターは第1のプロモーターの下流に、逆平行の方向で位置する。第1のプロモーターは1つの方向に転写され、第2のプロモーターが第1のプロモーターに対して逆平行の方向に転写されることで相補鎖の発現が可能となる。さらに別の一連の態様において、プロモーターの後に、第1の鎖をコードする第1のセグメント、および第2の鎖をコードする第2のセグメントが続く。第2の鎖は、第1の鎖のパリンドロームに相補的である。第1の鎖と第2の鎖の間には、リンカー(「スペーサー」と呼ばれることもある)として作用するRNA部分が存在することで、第2の鎖が「ヘアピン」として公知の構造で曲がり、第1の鎖にアニーリングすることが可能となる。
リンカー部の使用を含むヘアピンRNAの形成は当技術分野で周知である。典型的には、ヒトU6、マウスU6、またはヒトH1などのポリメラーゼIIIプロモーターを用いてsiRNA発現カセットを使用する。コード配列は典型的には、その逆方向の相補的なアンチセンスsiRNA配列に、短いスペーサーによって連結された19ヌクレオチドのセンスのsiRNA配列である。9ヌクレオチドのスペーサーが一般的であるが、他のスペーサーを設計することができる。例えばAmbion社のウェブサイトでは、同社の研究者が、スペーサー
を使用することで成功したことが述べられている。さらに5〜6残基のTが、ポリメラーゼIIIの終結部位として作用させるために、オリゴヌクレオチドの3'端に追加されることがある。これについては、Yu et al., Mol Ther 7 (2): 228-36 (2003); Matsukura et al., Nucleic Acids Res 31 (15): e77 (2003)も参照されたい。
を使用することで成功したことが述べられている。さらに5〜6残基のTが、ポリメラーゼIIIの終結部位として作用させるために、オリゴヌクレオチドの3'端に追加されることがある。これについては、Yu et al., Mol Ther 7 (2): 228-36 (2003); Matsukura et al., Nucleic Acids Res 31 (15): e77 (2003)も参照されたい。
一例として、上記のsiRNAの標的は、以下に示すようにヘアピンsiRNAによる標的となりうる。およびベクターによって作られた短いヘアピンRNAによって同じ標的を攻撃させたい場合(恒久的なRNAi効果)、センス鎖およびアンチセンス鎖を、間にループ形成配列を挟んで並べ、また適切な発現ベクターに適した配列を、配列の両端に配することができる。両端の配列が、ベクターの切断部位によって変わることは言うまでもない。pSuperベクターにクローン化可能なヘアピン配列の非制限的な例を以下に示す。
1)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
2)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
3)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
4)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
5)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
1)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
2)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
3)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
4)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
5)標的:
センス鎖:
アンチセンス鎖:
siRNAに加えて、アンチセンス分子やリボザイムなどの発現を阻害する他の手段は、当業者には周知である。核酸分子には、DNAプローブ、リボプローブ、ペプチド核酸プローブ、ホスホロチオエートプローブ、または2'-Oメチルプローブなどがある。
一般に、特異的なハイブリダイゼーションを確実なものとするために、アンチセンス配列を標的配列に実質的に相補的とする。ある態様において、アンチセンス配列は、標的配列に正確に相補的である。しかしながら、アンチセンスポリヌクレオチドは、sEH遺伝子に対応する関連する標的配列に対する特異的な結合が、ポリヌクレオチドの機能的性質として保持される限りにおいて、ヌクレオチドの置換、付加、欠失、変化、転移、もしくは修飾、または他の核酸配列もしくは非核酸部分を含む場合もある。1つの態様において、アンチセンス分子は、3重らせんを含む核酸、すなわち「3重鎖」核酸を形成する。3重らせんの形成は、例えば標的遺伝子の転写を妨げることで遺伝子発現の阻害を可能とする(例えば、Cheng et al., 1988, J. Biol. Chem. 263: 15110;Ferrin and Camerini-Otero, 1991, Science 354: 1494;Ramdas et al., 1989, J. Biol. Chem. 264: 17395;Strobel et al., 1991, Science 254: 1639;およびRigas et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83: 9591を参照されたい)。
アンチセンス分子は、当技術分野で既知の方法で設計することができる。例えば、Integrated DNA Technologies社(Coralville, IA)は、プログラムをインターネット(http://biotools.idtdna.com/antisense/antisense.aspx)上で利用できるようにしている。同プログラムは、最長10,000ヌクレオチドの長さの核酸配列に対する適切なアンチセンス配列を提供する。このプログラムとsEH遺伝子を用いて、以下の例示的な配列が得られる。
別の態様において、mRNAを所望の位置で切断するリボザイムを設計することができる(例えば、Cech, 1995, Biotechnology 13: 323;Edgington, 1992, Biotechnology 10: 256、およびHu et al., PCT Publication WO 94/03596を参照されたい)。
アンチセンス核酸(DNA、RNA、修飾型、類似型など)は、本明細書に記載された、および当業者に既知の化学合成や組換え法などの、核酸を作製する任意の適切な方法で作製することができる。例えば1つの態様において、本発明のアンチセンスRNA分子を、デノボ化学合成やクローニングによって作製することができる。例えば、アンチセンスRNAは、プロモーターに逆方向に機能的に連結されたsEH遺伝子配列をベクター(例えばプラスミド)に挿入(連結)することで作製できる。プロモーター、ならびに好ましくは終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルが適切に配置されれば、非コード鎖に対応する挿入された配列の鎖が転写されて、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドとして作用する。
オリゴヌクレオチドが、非標準的な塩基(例えば、アデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジン以外の塩基)、または非標準的な主鎖構造を使用して作製され、望ましい性質(例えば高いヌクレアーゼ耐性、緊密な結合、安定性、または所望のTm)が得られることは明らかであろう。オリゴヌクレオチドをヌクレアーゼ耐性にする手法には、PCT出願 WO 94/12633に記載された手法などがある。ペプチド核酸(PNA)主鎖(Nielsen et al., 1991, Science 254: 1497)を有するオリゴヌクレオチド、または組み入れられた2'-O-メチルリボヌクレオチド、ホスホロチオエートヌクレオチド、メチルホスホネートヌクレオチド、ホスホトリエステルヌクレオチド、ホスホロチオエートヌクレオチド、ホスホラミデートを有するオリゴヌクレオチドを含む、さまざまな有用な修飾型オリゴヌクレオチドを作製することができる。
タンパク質は、所望の核酸を細胞膜内外に輸送する能力を有すると記載される。典型的には、このようなタンパク質は、膜通過担体として作用可能な両親媒性または疎水性の下位配列を有する。例えば、ホメオドメインタンパク質は、細胞膜内外に移行する能力を有する。ホメオドメインタンパク質アンテナペディアの最も短い内在化可能なペプチドは、アミノ酸43〜58位のタンパク質の第3のらせんとなることがわかっている(例えば、Prochiantz, 1996, Current Opinion in Neurobiology 6: 629-634を参照されたい)。別の下位配列、シグナルペプチドのh(疎水性)ドメインは、類似の細胞膜移行性を有することがわかっている(例えば、Lin et al., 1995, J. Biol. Chem. 270: 14255-14258を参照されたい)。このような下位配列を使用して、オリゴヌクレオチドを細胞膜内外に輸送することができる。オリゴヌクレオチドは、利便性を考慮して、このような配列の誘導体とすることができる。例えば、リンカーを使用して、オリゴヌクレオチドと移行用配列を連結することができる。任意の適切なリンカー、例えばペプチドリンカーまたは他の任意の適切な化学リンカーを使用することができる。
VIII.治療における投与
sEHの阻害剤およびEETを調製して、さまざまな経口投与剤形、非経口投与剤形、および局所投与剤形で投与することができる。好ましい剤形において、本発明の方法で使用される化合物は、注射により、すなわち静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、または腹腔内に投与することができる。sEH阻害剤もしくはEET、またはこの両方は吸入によって(例えば鼻腔内に)投与することもできる。加えて、sEH阻害剤もしくはEET、またはこの両方は、経皮的に投与することができる。したがって、本発明の方法によって、薬学的に許容される担体または賦形剤、および選択された阻害剤または阻害剤の薬学的に許容される塩のいずれかを含む薬学的組成物の投与が可能となる。
sEHの阻害剤およびEETを調製して、さまざまな経口投与剤形、非経口投与剤形、および局所投与剤形で投与することができる。好ましい剤形において、本発明の方法で使用される化合物は、注射により、すなわち静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、または腹腔内に投与することができる。sEH阻害剤もしくはEET、またはこの両方は吸入によって(例えば鼻腔内に)投与することもできる。加えて、sEH阻害剤もしくはEET、またはこの両方は、経皮的に投与することができる。したがって、本発明の方法によって、薬学的に許容される担体または賦形剤、および選択された阻害剤または阻害剤の薬学的に許容される塩のいずれかを含む薬学的組成物の投与が可能となる。
sEH阻害剤もしくはEET、またはこの両方から薬学的組成物を調製する際は、薬学的に許容される担体は固体または液体のいずれかであり得る。固体調製物には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散可能な顆粒などがある。固体担体は、希釈剤、香料添加剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用する可能性のある、1種類もしくは複数の物質であり得る。
粉末剤中では、担体は、適切に分割された活性成分との混合物である、適切に分割された固体である。錠剤中では、活性成分を、必要な結合特性を有する担体と適切な割合で混合し、所望の形状および大きさに圧縮する。粉末剤および錠剤は、好ましくは5%〜10%〜70%の活性化合物を含む。適切な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低温融解ワックス、カカオバターなどがある。「調製」という表現は、他の担体を含む場合もあれば含まない場合もある活性成分が担体に包まれていることで、これと結合するカプセルを提供する担体としての封入材料による活性化合物の製剤化を含むことを意図する。同様に、カシェ剤およびトローチ剤が含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤を、経口投与に適した固体投与剤形として使用することができる。
坐剤を調製する際には、脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物などの低融点ワックスを最初に溶解し、攪拌することで活性成分を均一に分散させる。次に、溶解した均一な混合物を、利便性を考慮した大きさの鋳型に注ぎ、冷却して固化させる。
液体状の調製物には、溶液、懸濁液、および乳濁液、例えば水または水/プロピレングリコール溶液などがある。非経口的な注射の場合、液体調製物を、ポリエチレングリコール水溶液を用いて製剤化することができる。
経口使用に適した水溶液は、活性成分を水に溶解することで、また望ましいならば適切な着色剤、香料、安定剤、および濃化剤を添加することで調製できる。経口使用に適した水性懸濁液は、適切に分割された活性成分を、天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤などの粘性材料と共に水中に分散させることで作製できる。
使用の直前に、液体状の経口投与調製物に変換されることが意図される固形状の調製物も含まれる。このような液体状態には、溶液、懸濁液、および乳濁液などがある。これらの調製物は、活性成分のほかに、着色剤、香料、安定剤、緩衝剤、人工および天然の甘味剤、分散剤、濃化剤、可溶化剤などを含み得る。
薬学的調製物は好ましくは単位投与剤形である。このような剤形では、調製物を、適量の活性成分を含む単位用量に分割する。単位剤形は、包装済み調製物、明確な量の調製物を含む包装物(錠剤、カプセル剤、および粉末剤など)、ならびにバイアルまたはアンプルに充填された粉末剤であり得る。また単位投与剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはトローチ剤自体であり得るか、または包装された状態の適切な数の任意のこれらの薬剤であり得る。
本明細書で使用する「単位投与剤形」という表現は、個々の単位が、所望の薬学的作用を発揮するように計算された所定量の活性材料を、必要とされる薬学的な希釈剤、担体、または溶媒と共に含む、ヒト被験者および動物用の単位投与量として適切な、物理的に明確な単位を意味する。本発明の新しい単位剤形の仕様は、(a)活性材料の固有の特徴、および達成される特異的な作用、ならびに(b)本発明の特徴である、本明細書に詳述された、ヒトおよび動物に使用されるこのような活性材料を配合する技術分野に固有の限界によって決定され、またこれらに直接依存する。
sEH阻害剤もしくはEET、またはこの両方の治療的有効量を、腎症を遅らせたり阻害したりするために使用する。治療用の特定の化合物の投与量は、当業者に周知の多くの因子によって変わる。このような因子には例えば、特定の化合物の投与経路や力価などがある。例示的な用量は、約0.001μM/kg〜約100 mg/kg(哺乳動物体重)である。
EETは不安定であり、胃内のような酸性条件でDHETに変換され得る。これを避けるために、EETを静脈内に、すなわち注射によって投与することができる。経口投与用のEETは、胃を通過中にEETを保護するコーティング剤で被覆することができる。例えばEETは、いくつかの商標のアスピリンに使用されているものなどの、いわゆる「腸溶」コーティングを施して、または製剤中に埋め込まれた状態で提供され得る。このような腸溶コーティング剤および製剤は当技術分野で周知である。一部の製剤では、EET、またはEETとsEH阻害剤を組み合わせたものは、薬剤の経時的な投与を促すために徐放性製剤に埋め込まれる。
さらに詳細に記述することはしないが、当業者であれば上記の記述をふまえて本発明を十分実施できるであろう。
実施例
実施例1
尿中タンパク質は通常、アルブミン、グロブリン、および微量成分の混合物である。タンパク尿(アルブミン尿)の増加は進行性の腎疾患と関連する。さまざまな尿中バイオマーカーの濃度は、治療に関連する薬剤に反応する。したがって、尿中アルブミンの定期的な測定値は、さまざまな慢性腎疾患の患者の治療の成功に至るための有用な指標となる。尿中アルブミンの測定値は、血清および尿中の尿素、クレアチニン、およびイオンの濃度、ならびに血清C反応性タンパク質、マクログロブリン、およびさまざまなサイトカインを含む他のタンパク質および代謝産物の測定値と共に、腎障害の進行をモニタリングする際に使用されることが多い。
実施例1
尿中タンパク質は通常、アルブミン、グロブリン、および微量成分の混合物である。タンパク尿(アルブミン尿)の増加は進行性の腎疾患と関連する。さまざまな尿中バイオマーカーの濃度は、治療に関連する薬剤に反応する。したがって、尿中アルブミンの定期的な測定値は、さまざまな慢性腎疾患の患者の治療の成功に至るための有用な指標となる。尿中アルブミンの測定値は、血清および尿中の尿素、クレアチニン、およびイオンの濃度、ならびに血清C反応性タンパク質、マクログロブリン、およびさまざまなサイトカインを含む他のタンパク質および代謝産物の測定値と共に、腎障害の進行をモニタリングする際に使用されることが多い。
肥満Zuckerラット(OZR)は、2型糖尿病に加えて、高血圧、および肥満、ならびに自然発症的な腎不全を含む、数多くの臨床的に重要な病理学的症状を速やかに発現することが周知である。これについては例えば、Schmitz, P.G. et al., Sem. Nephr. 9 (4), 354-369 (1989)を参照されたい。OZRは、高血圧、腎機能、および糖尿病を研究するための動物モデルとして使用されることが多い。末期腎疾患の末期(この時期までに、濾過機能は損なわれ、タンパク尿/アルブミン尿が事実上、減少する)を除いて、尿中アルブミンはOZRにおける腎不全の唯一の最良の指標であることが証明されており、アルブミンは、雌のOZRでは第3〜18週にかけて、ほぼ直線的に増加する。
尿中アルブミン濃度は、OZRへの、アダマンチル尿素ドデカン酸(「AUDA」)sEH阻害剤のブチルエステルの経口投与の関数として調べられている。AUDAの血中濃度および尿中アルブミンを同時にモニタリングした。雌のOZラットにsEH阻害剤を投与しても、尿中アルブミンの上昇は認められなかった。投与を中止したところ、尿中アルブミンの初期値に戻った。
実施例2
この実施例では、潜在的なsEH阻害剤に関する、アフィニティ精製した組換え型のヒト、マウス、およびラットの酵素調製物を対象としたスクリーニングの例示的なアッセイ法を提供する。
この実施例では、潜在的なsEH阻害剤に関する、アフィニティ精製した組換え型のヒト、マウス、およびラットの酵素調製物を対象としたスクリーニングの例示的なアッセイ法を提供する。
潜在的なsEH阻害剤は、マウスおよびヒトの組換え型sEHを組み入れた高スループットバイオアッセイ法によるスクリーニングの対象となり得る。阻害剤の相対力価を評価するためにはIC50値を調べる。IC50は、酵素活性を50%低下させる、また典型的には、少なくとも5つのデータ点(IC50のいずれかの側における曲線の直線領域における最小2点)の回帰によって決定される阻害剤の濃度である。利便性を考慮して、曲線は、標準偏差を得るための複数の別個の試行(各3回)から作成する。
酵素調製物
ラット、マウス、ブタ、およびヒトの組換え型sEHは、Grant et al., J Biol Chem, 268 (23): 17628-17633 (1993);Beetham et al., Arch. Biochem. Biophys., 305 (1): 197-201 (1993);およびWixtrom et al., Anal Biochem, 169 (1): 71-80 (1988)に記載された手順で、バキュロウイルス発現系で作製可能であり、かつアフィニティクロマトグラフィーで精製することができる。純度はSDS-PAGEおよびスキャニングデンシトメトリーで判定することができる。これらの方法によって通常、純度が少なくとも97%の、またsEHアッセイ法に干渉する恐れのある検出可能なエステラーゼまたはグルタチオントランスフェラーゼの活性のない酵素が得られる。タンパク質濃度は、フラクションVウシ血清アルブミンを校正標準として使用するPierce BCAアッセイ法で決定することができる。
ラット、マウス、ブタ、およびヒトの組換え型sEHは、Grant et al., J Biol Chem, 268 (23): 17628-17633 (1993);Beetham et al., Arch. Biochem. Biophys., 305 (1): 197-201 (1993);およびWixtrom et al., Anal Biochem, 169 (1): 71-80 (1988)に記載された手順で、バキュロウイルス発現系で作製可能であり、かつアフィニティクロマトグラフィーで精製することができる。純度はSDS-PAGEおよびスキャニングデンシトメトリーで判定することができる。これらの方法によって通常、純度が少なくとも97%の、またsEHアッセイ法に干渉する恐れのある検出可能なエステラーゼまたはグルタチオントランスフェラーゼの活性のない酵素が得られる。タンパク質濃度は、フラクションVウシ血清アルブミンを校正標準として使用するPierce BCAアッセイ法で決定することができる。
IC50値の決定
IC50値は、ラセミ体の4-ニトロフェニル-トランス-2,3-エポキシ-3-フェニルプロピルカーボネートを基質として使用することで評価できる。酵素(0.1μMのマウスsEHまたは0.20μMのヒトsEH)を、0.1 mg/mLのBSAを含むリン酸ナトリウム緩衝液、0.1μM pH7.4中で阻害剤と30℃で5分間インキュベートした後に基質を添加する([S]=40μM)。活性は、405 nmにおける4-ニトロフェノレートアニオンの出現を30℃で1分間測定することで評価できる(Spectramax 340 PC; Molecular Devices)。
IC50値は、ラセミ体の4-ニトロフェニル-トランス-2,3-エポキシ-3-フェニルプロピルカーボネートを基質として使用することで評価できる。酵素(0.1μMのマウスsEHまたは0.20μMのヒトsEH)を、0.1 mg/mLのBSAを含むリン酸ナトリウム緩衝液、0.1μM pH7.4中で阻害剤と30℃で5分間インキュベートした後に基質を添加する([S]=40μM)。活性は、405 nmにおける4-ニトロフェノレートアニオンの出現を30℃で1分間測定することで評価できる(Spectramax 340 PC; Molecular Devices)。
予備的な薬物動態用量および有効用量を決定するためのLC/MSの使用
任意の特定のsEH阻害剤の薬物動態学的な特性は、Wistarラットに経口投与または皮下投与後に検討することができる。5μlの血液を、小児用ランセットで尾につけた小さな切開部からマイクロキャップ中に採取する。この血液を50μLの水と混合し、100μLの酢酸エチルで抽出し、溶媒を濃縮し、液体クロマトグラフィー(「LC」)/質量分析(「MS」)、またはMSで解析する。標準的な薬物動態学的パラメータを決定する。
任意の特定のsEH阻害剤の薬物動態学的な特性は、Wistarラットに経口投与または皮下投与後に検討することができる。5μlの血液を、小児用ランセットで尾につけた小さな切開部からマイクロキャップ中に採取する。この血液を50μLの水と混合し、100μLの酢酸エチルで抽出し、溶媒を濃縮し、液体クロマトグラフィー(「LC」)/質量分析(「MS」)、またはMSで解析する。標準的な薬物動態学的パラメータを決定する。
実施例3
この実施例では、sEH阻害剤、またはsEH阻害剤とEETの組み合わせが、糖尿病の動物モデルにおける、腎症の発症を遅らせる能力を検討するための例示的なアッセイ法について述べる。
この実施例では、sEH阻害剤、またはsEH阻害剤とEETの組み合わせが、糖尿病の動物モデルにおける、腎症の発症を遅らせる能力を検討するための例示的なアッセイ法について述べる。
血液および尿中のバイオマーカーの解析によって、腎障害の発症が遅れるか否かを判定する。
肥満Zuckerラット(「OZR」)は、比較的早期に発症するヒトの肥満の広く使用されているモデルである、肥満の常染色体劣性の遺伝的モデルである。これについては例えば、Farkas and Schlenker, Am. J. Respir. Crit. Care Med., 150 (2): 356-362 (1994)を参照されたい。既知の、または潜在的なsEH阻害剤(「被験薬剤」)で10週間にわたってOZRを処理する。被験薬剤の有効濃度が維持されることを検証するために、血液および尿中の被験薬剤および指標代謝物の濃度をLC-MSでモニタリングする。血液試料および尿試料は週に1回採取する。任意で、腎臓を高解像度の超音波によってインサイチューでモニタリングする。ラットはマウスとは異なり、OZRの血液中でも直線的に増加する高濃度のC反応性タンパク質による血管炎症に反応する。これを血管炎症の指標としてモニタリングする。尿中アルブミン濃度を腎疾患のマーカーとして測定する。オキシリピン(oxilipin)の濃度、特にアラキドン酸およびリノール酸のエポキシドおよびジオールの濃度をLC-MSで決定する。EETの増加は、腎障害の推定される軽減と関連するであろう。これについてはSpector et al., Prog. Lipid Res., 43: 55-90 (2004)を参照されたい。
血中尿素窒素、クレアチニン、および他のマーカー群をLC-TOFで追跡する。1か月おきに、クレアチニンクリアランスを決定する。期間の終了時に、処置OZRと対照OZRを対象に腎病変を比較する。
動物
メスの肥満Zuckerラット(24匹)および痩身Zuckerラット(8匹)を得る。ラットは、従来の動物取り扱いプロトコルに準じて飼育して維持する。尿の採取に際しては、代謝チャンバー内で週に1回、24時間、ラットを維持する。尿を、脂質の自己酸化を防ぐためにトリフェニルホスフィンおよびブチル化ヒドロキシトルエン(各5 mg)を含む絶縁容器内に採取する。尿中へのアルブミンの排出は、ウサギ抗ラットアルブミンおよび精製ラットアルブミンを使用する電気免疫拡散法で判断し、血漿中のC反応性タンパク質は市販のELISAで決定する。血液試料(200μl)を週に1回、尾静脈から採取し、EDTAナトリウムで処理し、遠心して血漿および赤血球を単離する。採取した全ての試料および画分は、-20℃で凍結して解析まで保存する。食物および水の摂取をモニタリングする。阻害剤および代謝物の血中濃度をLC-MSで決定する。
メスの肥満Zuckerラット(24匹)および痩身Zuckerラット(8匹)を得る。ラットは、従来の動物取り扱いプロトコルに準じて飼育して維持する。尿の採取に際しては、代謝チャンバー内で週に1回、24時間、ラットを維持する。尿を、脂質の自己酸化を防ぐためにトリフェニルホスフィンおよびブチル化ヒドロキシトルエン(各5 mg)を含む絶縁容器内に採取する。尿中へのアルブミンの排出は、ウサギ抗ラットアルブミンおよび精製ラットアルブミンを使用する電気免疫拡散法で判断し、血漿中のC反応性タンパク質は市販のELISAで決定する。血液試料(200μl)を週に1回、尾静脈から採取し、EDTAナトリウムで処理し、遠心して血漿および赤血球を単離する。採取した全ての試料および画分は、-20℃で凍結して解析まで保存する。食物および水の摂取をモニタリングする。阻害剤および代謝物の血中濃度をLC-MSで決定する。
実施例4
この実施例は、ワックスプラグを使用するEETの輸送系について説明する。
この実施例は、ワックスプラグを使用するEETの輸送系について説明する。
制御放出製剤は、薬剤学における主要な焦点の1つである。制御放出投与剤形の中でも、マトリックス制御型放出系は使いやすいことが知られている。
ワックスペレットを作るために、ワックスを100℃で20分間、ホットプレートを使用して溶解した。EETを、ワックスを攪拌しながら、溶かしたワックスに添加する。ワックス-EET懸濁物を、ガラスプレートで作製した鋳型に注ぎ、室温まで冷却させた。結果として得られたEET含有ワックススティックを適切な大きさに切断した。
インビトロにおけるワックスペレットからのEETの放出速度を調べるために、抗酸化剤を含む精製水(1 mL)中のペレット(600μgのEETを含む60 mgのペレット)を37℃でインキュベートし、水のアリコート(20μL)を、さまざまな時点で回収した。内部標準を含む30μLのメタノールを各アリコートに添加し、同混合物を対象にLC-MSを行い、アリコート中の任意のEETの量を決定した。
適切なワックスの種類およびワックスの組み合わせと、乳糖またはココナッツオイルなどの補助物質を選択するために、薬剤ランソプラゾールを使用して単純化した試験法を開発した。ランソプラゾールを含むワックスペレットを、EETを含むペレットの形成に関する上記の方法で作製した。
インビトロにおける、ワックスペレットからのランソプラゾールの放出速度を決定するために、ペレット(600μgのランソプラゾールを含む60 mgのペレット)を、30 mLの精製水中で37℃でインキュベートし、1 mLの水のアリコートを、さまざまな時点で回収した。アリコート中のランソプラゾールの濃度を、分光光度計の286 nmにおける読み値から決定した。ワックスペレットからのEETの放出速度は、ペレットをマウスの皮下に埋め込み、血漿および尿を採取することで、インビボで決定することができる。
実施例5
この実施例は、腸溶コーティング剤を使用したEETの輸送系について説明する。
この実施例は、腸溶コーティング剤を使用したEETの輸送系について説明する。
腸溶コーティングは、胃酸による分解に感受性のあると考えられる薬剤の輸送に有用な方法である。腸溶コーティングされたEET粒子を検討した。
この粒子は、乳糖、EET、および腸溶コーティングポリマー(比は2.0:0.1:0.4)からなる。乳糖粉末をコアとして使用した。このコアに、EETを混合しながら滴加し、次に混合物に、腸溶コーティングポリマーのアセトンまたは酢酸エタノール/エタノール溶液を滴下した。真空乾燥して、マウスおよびラットへの経口投与に適切な径の粉末である200〜360 nmの大きさの腸溶コーティングされた粒子を得た。
溶解試験を、(1)蒸留水を使用して、(2)0.1 M HCl溶液(pH3)を使用して、およびpH7.4のリン酸緩衝液を使用して実施した。10 mgの粒子を各溶液に添加し、37℃でインキュベートした。抽出物を0.2μmのナイロンフィルターで濾過し、0.5 mlの酢酸エタノールで抽出した。内部標準を添加後、窒素ガスで溶媒層を蒸発させ、LC-MSに装填した。中性pHの緩衝液中では、腸溶コーティングされた粒子に由来するEETの溶存率(%)は、10分後にほぼ100%であることが確認された。これとは対照的に、酸性溶液または水溶液中に放出されるのは、わずか0.01%のEETに過ぎないことが判明した。これらの結果は、腸溶コーティングされた粒子からのEETの放出が、胃を通過して、粒子が十二指腸のやや塩基性のpH環境に達するまで遅らせることが可能なことを示唆している。
以上、本発明は、好ましい特定の態様と共に説明したが、説明および例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を説明する目的であって制限する意図はないことを理解されたい。本明細書で引用された、全ての出版物、GenBankアクセッション番号を付した配列、特許、および特許出願は、全ての目的に関して、参照により本明細書に組み入れられる。
Claims (40)
- (a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の発症または進行を抑制する薬物を製造するための、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤の使用。
- sEHの阻害剤が、12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸、12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸ブチルエステル、およびアダマンタン-1-イル-3-{5-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}尿素からなる群より選択される、請求項1記載の使用。
- 薬物が徐放性製剤である、請求項1記載の使用。
- 薬物がさらにシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を含む、請求項1記載の使用。
- EETが、14,15-EET、8,9-EET、および11,12-EETからなる群より選択される、請求項10記載の使用。
- EETが14R,15S-EETである、請求項10記載の使用。
- 人が2型糖尿病を有する、請求項1記載の使用。
- 人が1型糖尿病を有する、請求項1記載の使用。
- 人がメタボリック症候群を有する、請求項1記載の使用。
- 人が215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する、請求項1記載の使用。
- 人が200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する、請求項1記載の使用。
- (a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、腎症の発症または進行を抑制する薬物を製造するための、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の発現を阻害する核酸の使用。
- 核酸が低分子干渉RNAである、請求項12記載の使用。
- 高血圧を治療するための薬物を製造するためのシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)の使用。
- EETが、14,15-EET、8,9-EET、および11,12-EETからなる群より選択される、請求項14記載の使用。
- EETが14R,15S-EETである、請求項15記載の使用。
- EETが、周囲の環境中にEETを経時的に放出する材料中に含まれる、請求項14記載の使用。
- (a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤を人に投与する段階を含む、腎症の進行を抑制する方法。
- sEHの阻害剤が、12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸、12-(3-アダマンタン-1-イル-ウレイド)ドデカン酸ブチルエステル、およびアダマンタン-1-イル-3-{5-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}尿素からなる群より選択される、請求項18記載の方法。
- 人が2型糖尿病を有する、請求項18記載の方法。
- 人が1型糖尿病を有する、請求項18記載の方法。
- 人がメタボリック症候群を有する、請求項18記載の使用。
- 人が215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する、請求項18記載の使用。
- 人が200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する、請求項18記載の使用。
- sEHの阻害剤が、経時的に該阻害剤を放出する材料中に含まれる、請求項18記載の方法。
- シス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を投与する段階をさらに含む、請求項18記載の方法。
- EETが、14,15-EET、8,9-EET、および11,12-EETからなる群より選択される、請求項26記載の方法。
- EETが14R,15S-EETである、請求項26記載の方法。
- EETが、その周囲にEETを経時的に放出する材料中に含まれる、請求項26記載の方法。
- 阻害剤が経口投与される、請求項18記載の方法。
- 阻害剤が、1日の総用量約0.001μM/kg〜約100 mg/kg患者体重で投与される、請求項18記載の方法。
- (a)血圧が130/80未満の真性糖尿病を有する人、(b)血圧が130/85未満のメタボリック症候群を有する人、(c)215 mg/dLを上回るトリグリセリドレベルを有する人、または(d)200 mg/dLを上回るコレステロールレベルを有する人における、可溶性エポキシド加水分解酵素をコードする遺伝子の発現を阻害する核酸を患者に投与する段階を含む、腎症の進行を抑制する方法。
- 核酸が低分子干渉RNA(「siRNA」)である、請求項32記載の方法。
- 可溶性エポキシド加水分解酵素の阻害剤およびシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を人に投与する段階を含む、治療を必要とする人の血圧を低下させる方法。
- EETが、14,15-EET、8,9-EET、および11,12-EETからなる群より選択される、請求項34記載の方法。
- EETが14R,15S-EETである、請求項34記載の方法。
- EETが、周囲にEETを経時的に放出する材料中に含まれる、請求項34記載の方法。
- pH3の酸には不溶であるがpHが7.4またはそれ以上の溶液中には可溶な材料でコーティングされたシス-エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を含む組成物。
- EETが、14,15-EET、8,9-EET、および11,12-EETからなる群より選択される、請求項38記載の組成物。
- EETが14R,15S-EETである、請求項38記載の組成物。
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