JP2007532120A - 核酸分子のサブセットを選択的に検出するための方法 - Google Patents

核酸分子のサブセットを選択的に検出するための方法 Download PDF

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Abstract

ニックに変換可能な構造異常を含む核酸分子を選択的に検出するための方法であって、選択された核酸基質集団から線状核酸を生成し;前記線状核酸を変性およびリアニーリングして核酸二本鎖を形成し;前記核酸二本鎖の末端と内部の構造的異常とをマスキング成分でマスクし;マスクされた核酸を、エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1種の酵素を使用してその中にニックを導入することによって修飾し;修飾された核酸を、核酸ポリメラーゼ活性を呈する少なくとも1つの酵素による核酸ニックトランスレーションによって標識ヌクレオチドで標識化し;標識化された核酸を選択および同定することを含んでなる、方法。

Description

発明の背景
本発明は、機能ゲノミクスおよびそこで使用される方法に関する。特に、核酸(NA)内の異型構造、例えば突然変異または多型の検出方法、およびそのためのキットを提供する。
背景技術
工業規模でのDNA配列決定などの最近の技術の進歩により、最も単純な生命体からヒトなどの最も複雑なものまで、多数のゲノムの全配列を特徴付けることが可能となっている。この情報により、例えば進化、疾患の遺伝学的分析および遺伝学的同定への見識が得られ始めている。これらの技術は、薬理学および予防医学や法医学などの分野で使用するべく、主たる進歩を遂げてきた。
ゲノム分析技術の適用における顕著な成長領域は、遺伝性および散発性の双方の疾患の診断である。多くの疾患は、多くの場合には遺伝子構造の変化を通じて、遺伝子機能の欠失または変性により引き起こされる。遺伝子の変性またはその機能の欠失をもたらし得る遺伝子の構造変化は、単一ヌクレオチドの変化または欠失から、数100万ヌクレオチド長になることもあるデオキシリボ核酸(DNA)のセグメントの脱離まで様々である。
大きな変化は検出し易い。遺伝子構造に対する小規模な変化を分析するために多種多様な技術が開発されてきた。
小規模な突然変異および多型を検出するための多くの技術は、既知の突然変異を検出するための技術および未知の突然変異を検出するための技術という2つの群に分類される。
既知の突然変異を効率よく検出することは可能であるが、1つの実験で分析可能な個体数および標的配列数を有意に向上させる余地はある。
既知の突然変異を検出するための高感度な方法としては、TaqMAMA[Glaab W.E., Skopek T.R. A novel assay for allelic discrimination that combines the 5’ fluorogenic nuclease polymerase chain reaction (TaqMan) and mismatch amplification mutation assay. Mut. Res. 430:1-12]などの1つの所定の対立遺伝子に対して特異的なPCR(ポリメラーゼ鎖反応)、およびMALDI−TOFによるPNA(ペプチド核酸)プライマー伸長反応の検出[Sun X., Hung K., Wu L., Sidransky D., B. Guo. Detection of tumour mutations in the presence of excess amounts of normal DNA. Nat. Biotech. 2002 Feb; 19:186-189]が挙げられる。
既知の突然変異を検出するように設計された方法と、新たな突然変異をスクリーニングする方法とを区別することは非常に重要である。
現在、新たな突然変異を探索する際に最も広く利用されている方法の1つは直接的な配列決定であり、これは、DNA合成を終了させるためにジデオキシヌクレオシド三リン酸を利用している。
直接的な配列決定により、特異的プライマーで増幅したNAにおける変化を同定することが可能となる。しかしながら、直接的な配列決定は比較的高価であり、鋳型をプールする余地がほとんどなく、反応ごとに分析できるDNAの長さがかなり制約される。通常、分析ごとの限界は、300〜600塩基対(bp)である。
それでもなお、巨額な費用にもかかわらず、この方法はヒトゲノムにおける一塩基多型(SNP)のデータベースを構築する際に多数用いられてきた。
他の突然変異スクリーニング法は、DNAの二次構造および配列の相違によって生ずるDNA二次構造の変化の検出に基づくものである。
このような技術の一例はSSCP(一本鎖高次構造多型)であり、これは、ポリアクリルアミドゲル(温度または変性剤勾配を有する)およびHPLC分析(高速液体クロマトグラフィ)を用いてヘテロ二本鎖NA分子とホモ二本鎖NA分子とを識別できるという事実を活用している[McCallum et al, Targeted screening for induced mutations. Nat. Biotech. 2000 Apr; 18(4): 455-7]。
他の突然変異スクリーニング法は、化学薬剤および酵素を使用してヘテロ二本鎖NA分子を認識および処理するものであり、これにより識別能力を増大させることを目的としている。
ヘテロ二本鎖NA分子および異型NA構造におけるミスマッチの認識は通常2つの方法で行われる:
a)化学的には、例えば、Cottonらの研究[Cotton R.G.H. et al. Reactivity of cytosine and thymine in single-base-pair base-mismatches with hydroxylamine and osmium tetroxide and its application to the study of mutations. (1988) ; Proc Natl Acad Sci USA, 85, 4397-4401]におけるような、ミスマッチ(近接した塩基同士がワトソン・クリック塩基対合則に従っていないDNAの領域)の化学的検出;
b)酵素的には、例えば、DNA損傷の部位[Harrison L. et al. (1999); In vitro repair of synthetic ionizing radiation-induced multiply damaged DNA sites. J Mol Biol, 290, 667-684]、およびDNA誤対合の部位[Oleykowski C.A et al. (1998); Mutation detection using a novel plant endonuclease NAR, 26, 4597-4602]における検出。
ヘテロ二本鎖または異型DNA構造の処理により、一方のDNA鎖が切断される(ニッキング)か、または両方のDNA鎖が切断される(切断)。
かかる処理により生成した断片の分析は、ホモ二本鎖構造とヘテロ二本鎖構造とを直接識別するよりも容易であり、例えば、シーケンシングゲル中での電気泳動により行うことができる[Oleykowski CA, Bronson Mullins CR, Godwin AK, Yeung AT. Nucleic Acids Res. 1998 Oct 15; 26(20):4597-602; Colbert T, Till BJ, Tompa R, Reynolds S, Steine MN, Yeung AT, McCallum CM, Comai L, Henikoff S, 2001 Jun; 126(2):480-4]。
本発明の完成の日まで、大半の突然変異スクリーニング方法論はヘテロ二本鎖の処理から得られた産物の直接検出に基づくものであると考えられてきた。これは、事実上全ての場合において、変異体断片が、変異していない断片の存在下で分析され、これらの両断片はもとのサンプルにおけるのと同一組成比で存在していることを意味している。
突然変異スクリーニングと、高レベルの検出感度とを組み合わせた方法を説明する2つの特筆すべき例外がある。
第1の例外は、米国特許第6,174,680号に記載された手順である。この方法は、異型DNA構造を脱塩基部位に変換し、次いでこれらの部位を、アフィニティ精製を可能とする分子に共有結合させることによるものである。変異体分子の検出レベルは1%である[Chakrabarti et al. (2000). Highly selective isolation of unknown mutations in diverse DNA fragments: toward new multiplex screening in cancer. Cencer Res. (60)3732-3737]。
第2の例外は、米国特許出願公開第2003/022215号およびWO02/086169に記載された、ヘテロ二本鎖処理およびDNAアダプターの連結により生成したDNA断片の増幅に基づく方法である。これらの文献に記載された手順は、認識および処理の後にヘテロ二本鎖分子を増幅することを含む。この手順を行うために、脱リン酸化された5’末端を有するヘテロ二本鎖DNA分子が生成される。ヘテロ二本鎖分子をミスマッチ部位で切断すると、前から存在している末端とは対照的に、リン酸化された新たな末端が出現する。
合成アダプターは、これらの新たに生成された末端に特異的に連結される。処理されたヘテロ二本鎖分子は、PCR反応において、合成アダプターに特異的なプライマーと、DNA断片に特異的なプライマーとを用いて、増幅産物を得ることにより識別できる。この第2の方法を使用すると、混合物全体の1%に相当する変異体の検出が可能となる。[Zhang Y., Kaur M., Price B.D., Tetradis S., Makrigiorgos G.M., An amplification and ligation based method to scan for unknown mutations in DNA. Hum Mutat. 2002 Aug; 20(2):139-47]。
NA構造を幾つかの酵素の活性に対して不活性にさせることは、以前より他の突然変異検出法における特徴であった。
NA構造を不活性にさせるための、従来技術に記載された様々な方法は、基本的には本発明に記載された方法とは異なる。
米国特許出願公開第2003/0022215号(同様に、WO02/086169)には、DNAのオリゴ/アダプターと、3’末端上のジデオキシヌクレオチドとを連結することにより、遊離dNTPの不存在下でDNAポリメラーゼによって行われるピロリン酸化プロセス(DNAポリメラーゼの酵素活性)から断片を保護することが記載されている。
WO96/41002には、連結を阻害するための脱リン酸化、ホモポリマーテイルの付加および修飾二本鎖DNAの連結によりDNA末端をブロックする可能性が教示されている。
ニックトランスレーションは、伝統的な分子生物学的方法であり、DNAを標識化するための一般的な手法として使用されており、Wongが更に発展させたものである。Wong(米国特許出願公開第2002/0187508号)には、ニックトランスレーションを使用して、(蛍光基、蛍光物質または放射性物質に連結可能な基などを組み込むことにより)検出可能な基でDNA分子を標識化し得ること、および分子を検出するために使用可能な器具が記載されている。
米国特許出願公開第2002/0187508号の方法は、本発明の手順には適用できない。その理由は、標識分子は直接的に検出され、選択されないので、前記方法で用いられた酵素反応が作用すると考えられるからである。この方法は、本出願に記載されたものとは根本的に異なる手順である。米国特許出願公開第2002/0187508号には、DNAポリメラーゼがDNA末端とは反応しないことが記載されている。
この記述は、本発明において行われ、記載された観察とは相応しないようである。
Taq DNAポリメラーゼを用いた「DNAニックトランスレーション」反応中、ddGTPを用いてDNA分子のDNA末端および損傷をブロックすることについて言及すると、本明細書で後述される一連の所定の態様が確立される必要がある。
酵素活性に対してDNA構造をブロックするための技術水準を構成する前述の方法は、本発明には適用できない。
米国特許出願公開第2003/0022215号(同様に、WO02/086169)では、後に用いられる酵素の活性をブロックする分子を含有する合成DNA断片の連結が採用されている。
DNAリガーゼの使用は、本発明による方法とは相容れないものである。本発明を実施可能とするには、核酸末端だけでなく、核酸分子内の内部損傷をもブロッキング(マスキング)することが必要である。典型的には、かかる核酸分子はDNAを含む。
WO96/4100には、固体支持体に固着された対照サンプルに対して突然変異探索の対象となるサンプルをハイブリダイズさせることによって最初に形成されたヘテロ二本鎖分子を使用することが記載されている。その後、これらの分子は切断され、そのようにして生成した断片にアダプターが接合される。次いで、これらの断片は、アダプターに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて直接的に配列決定される。
幾つかの面では、WO96/4100のプロトコルは、米国特許出願公開第2003/0022215号(同様に、WO02/086169)に記載されているプロトコルに類似している。いずれのプロトコルも、ヘテロ二本鎖領域を認識する際、DNAが切断された部位にアダプター分子を接合することを必要としている。
これら2つの従来技術の方法の差異は、ヘテロ二本鎖の切断が行われる前に存在するもとのDNA末端に対してアダプターを接合させないようにするための、WO96/4100が採用する追加のブロッキング工程から生じる。WO96/4100ではまた、ホモポリマーデオキシヌクレオチドテイルの追加、および修飾二本鎖DNAを用いた最初の連結工程も想定されている。
米国特許出願公開第2003/0022215号(同様に、WO02/086169)では、5’リン酸基を欠いているために、連結反応に対する鋳型とはならないヘテロ二本鎖分子が使用されている。
WO96/4100に記載された手順では、連結工程後、DNAが変性され、固体基板に結合した部分が除去される。残りの断片は、アダプターに相補的なプライマーを使用して直接的に配列決定され、ヘテロ二本鎖分子に連結される。
最後に、配列決定反応は、標準のジデオキシヌクレオチド配列決定化学を用いて行われる。しかしながら、この方法を用いると、参照DNAのいずれかの鎖が、例えば非選択的な様式で固体支持体に結合する際、参照DNAはWO96/4100に記載されているようにビオチン化プライマーで増幅されているため、二本の鎖はまとまりのない混合物として解読されるので、直接的な配列決定は不可能である。
Luchniakら[Biotech Histochem. 2002 Jan; 77(1):15-9]は、ジデオキシヌクレオシド三リン酸およびTaq DNAポリメラーゼを用いて、植物中の全染色体(全細胞および染色体調製物の両方)のDNA内にある望ましくないニックのin situニックトランスレーションを阻止することを報告している。
Luchniakらは、大腸菌DNAポリメラーゼIよりもTaq DNAポリメラーゼの方を好んで使用し、この手順を行っている。その理由は、DNAポリメラーゼIに付随する3’−5’エンドヌクレアーゼ活性が、ブロッキング工程に組み込まれるddGTPを排除し得るからである。
Luchniakらによる研究では、DNA末端は関連しない。その概念は、細胞壁の透過化処理のために用いられる酵素調製物に不可避的に付随する、DNAを分解する混入物の作用によってDNAに生ずるニックをブロックするというものである。
これに対し、本発明では、核酸末端、典型的にはDNA末端が最も重要となる。故に、酵素活性を付与するためのTaqポリメラーゼの選択は、Luchniakらが記載したものと基本的に異なる論理的根拠に基づいている。
例えば、本発明において、Taq DNAポリメラーゼは、5’−3’DNAエキソヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼ活性に加え、DNAターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有する。
よって、本発明では、ジデオキシヌクレオシド三リン酸を使用して、標識化反応中、Taq DNAポリメラーゼに付随する全ての触媒活性から、DNA末端および前から存在しているあらゆるDNA損傷をマスクしてもよい。
Luchiakらの方法では、保護およびその後のニックトランスレーションは62℃で行われる。本発明の実施例では、Luchniakらが記載する反応条件が本明細書に記載される方法においては機能的ではないことが明確に示されている。
異型構造の認識および処理が望ましい様式で進行するためには、本明細書で概説されるように、本発明による方法において複数のパラメータを規定しなければならない。例えば、ヘテロ二本鎖DNA中のミスマッチ部位の認識は、Cel Iヌクレアーゼ(SURVEYOR(商標)として市販されている)(または、マングビーン・ヌクレアーゼおよびS1ヌクレアーゼファミリーの他のメンバーなどの一本鎖特異的ヌクレアーゼ)によって、本明細書に記載されるような短いインキュベーション時間などの好ましい条件下で行うことができる。
米国特許第6,391,557号および米国特許第5,869,245号には、Cel I(SURVEYOR(商標))に基づく突然変異検出法が記載されている。
本発明による方法では酵素Cel I(SURVEYOR(商標))を使用することができるが、この酵素の使用は、ミスマッチ含有部位にニックを生成する一般的な方法の一例であることに着目すべきである。
本発明においてミスマッチエンドヌクレアーゼが機能するには、それらは一本鎖ニックを生成しなければならず、生成された3’OH(水酸化物)DNA末端が相補鎖と完全に一致しなければならない。3’位にミスマッチがある場合、Taq DNAポリメラーゼは、100〜1000000倍低減したポリメラーゼ活性を呈する[Huang MM et al., Extension of base mispairs by Taq DNA polymerase: implications for single nucleotide discrimination in PCR. Nucleic Acids Res. 1992 Sep 11; 20(17):4567-73]。
本明細書に開示された手順において、Cel I/SURVEYOR(商標)を適用してミスマッチを含有するDNAにニックを生成する際、以前はこの酵素に起因すると考えられていなかった活性が使用される[Oleykowski CA, Bronson Mullins CR, Godwin AK, Yeung AT. Nucleic Acids Res. 1998 Oct 15; 26(20): 4597-602]。2つの形式的な可能性がある:(記載された3’エンドヌクレアーゼ活性に加えて)ミスマッチに対して有意な5’エンドヌクレアーゼ活性があるか、またはミスマッチに対する3’ニッキング活性と、その後に、(少なくとも)ミスマッチ部位を除去するヌクレアーゼ活性がある、というものである。
3’ニッキング活性しかない場合、その構造は、その後にTaq DNAポリメラーゼにより触媒される標識化に適した基質を構成しない。
DNAのニックを生成するのに使用される薬剤は、それ自体は本発明の主題ではない。WO97/46701(同様に、米国特許第5,869,245号)に記載される手順では、Cel I酵素によるミスマッチ認識活性の特異性が、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、DNAへリカーゼ、3’−5’DNAエキソヌクレアーゼおよびDNA末端と結合するタンパク質のような他の酵素、またはかかる酵素の組み合わせと共にそれを使用することによって増大され得ることが記載されている。
このため、本発明者らは、WO97/46701(同様に、米国特許第5,869,245号)に記載の手順と、本発明に記載されるような、ニックを有する二本鎖DNAの生成の前におけるDNA保護手順との差異を重視している。
WO97/46701では、Taq DNAポリメラーゼがCel Iの反応に添加されると、Cel Iの特異性が高まることが一例として提示されている。その請求の範囲には、追加の酵素を添加する目的は、Cel I酵素によって行われるニッキング反応の非特異的作用を低減するか、またはその回転率を増大することであると記載されている。
本発明の目的は、未知の突然変異を探索する能力と、かかる突然変異を検出するための向上した感度とを組み合わせた、今日までの既知の方法と比較して高感度な方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、異型構造(非ワトソン・クリック塩基対合など)を含有する分子の特異的な標識および回収を可能とする方法を提供することである。故に、異型DNA構造の検出は、今日までのその他のスクリーニング法よりもかなり高い感度で行うことができる。
本発明の更なる目的は、一本鎖の切れ目(ニック)に変換され得る任意のタイプの異型NA構造を検出するための高感度な手順を提供することである。
本発明のこれらの目的および他の目的は、以下の説明および実施例から明白になろう。
ニックに変換可能な異型構造は、典型的にはヘテロ二本鎖NAと、このNAが受ける任意のタイプの損傷である。本発明で開発された手順は、ヘテロ二本鎖などの異型NA構造を検出するための改良手法を提供する。
本発明による方法は、後に行われる標識化工程において望ましくない反応性部位を非反応性にするブロッキング基を組み込むことによってNA上の当該部位をマスクするものであり、それにより本方法の特異性に寄与している。
本発明による方法は、従来技術に記載した方法を創意的に改良するものである。従来技術の方法を越える利点としては、ある集団における検出限界を1%未満に伸ばすこと、およびニックに変換可能な任意のタイプの異型NA構造を同定するための能力を提供することが挙げられる。かかる利点は、本明細書中で詳細に述べる。
本発明は、米国特許第6,391,557号および米国特許第5,869,245号に記載される方法を改良するものである。
本発明によれば、ニックに変換可能な構造的特徴を含む核酸分子を選択的に検出するための方法が提供され、この方法は、
a)選択された核酸基質集団から線状核酸を生成し、
b)前記線状核酸を変性およびリアニーリングして核酸二本鎖を形成し、
c)前記核酸二本鎖の末端と内部の構造的特徴とをマスキング成分でマスクし、
d)マスクされた核酸を、エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1種の酵素を用いてその中にニックを導入することによって修飾し、
e)修飾された核酸を、核酸ポリメラーゼ活性を呈する少なくとも1種の酵素による核酸ニックトランスレーションによって標識ヌクレオチドで標識化し、
f)標識化された核酸を選択および同定する
ことを含む。
よって、工程a)について、核酸基質集団からの線状核酸集団の調製、例えばDNA基質集団からの線状DNAの調製は、例えばPfu DNAポリメラーゼなどの忠実性の高いDNAポリメラーゼを用いて、PCRを行い、その後変性および再生を行い、従来の手順を用いてホモ二本鎖および/またはヘテロ二本鎖分子を形成することによって行うことができる[Sambrook, J., Fritsch, EF, and Maniatis, T. (1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press]。核酸基質集団は、天然または合成のあらゆる核酸供給源に由来し、そこから選択され、またはそこから得られるものであってもよく、RNA、ゲノムDNA、合成核酸(例えばcDNA)、ペプチド核酸供給源、合成された非ウイルスRNAまたはウイルスRNA、天然のウイルスRNA、ミトコンドリアまたはプラスチド核酸などから得られるものであってもよい。あらゆる好適な供給源から得られた古代DNAなどの損傷したDNAも鋳型として機能し得る。「RNA」および「DNA」は、文脈において別の意味を必要としない限り、天然および/または合成供給源の両方を指すものと理解すべきである。故に、核酸基質集団は、哺乳類、真菌類、酵母または植物(高次および/または低次の植物)供給源などの真核生物供給源、ウイルス供給源または原核生物供給源、即ち細菌供給源に由来し、そこから得られ、または採取することができる。基質核酸集団は、健康な組織または機能障害組織の生検サンプルからのような、あらゆる従来の手段によって得ることもできる。その後、核酸二本鎖内の核酸末端および内部異常はマスクされるか、または保護されて、その後の工程における非特異的な標識化が阻止される。マスキングは、本明細書中で規定されるようなマスキング成分として好適な酵素を使用して、DNA鎖を終結させるヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体(ジデオキシヌクレオシド三リン酸またはアジドチミジン)の酵素的組み込みによって達成することができる。酵素的マスキングの代替手法は、その後の標識化手順においてDNA末端および内部異常を非反応性にするあらゆる直接的な従来型の化学的変換によるものであってもよい。
典型的なマスキング条件としては、Taq DNAポリメラーゼによるニックトランスレーション反応において、ddGTPのようなジデオキシヌクレオチド類似体を付加することが挙げられ、インキュベーション期間は、30分〜18時間の範囲とすることができ、マスキングは、好ましくは45分〜10時間、より好ましくは60〜120分の範囲で行われる。マスキング工程が行われる温度は、37℃〜60℃、好ましくは45℃〜55℃、より好ましくは48℃〜52℃の範囲とすることができる。
核酸二本鎖末端および/またはあらゆる内部の構造異常のマスキングが達成されると、マスクされた核酸分子は、エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1種の酵素、例えばCel I「SURVEYOR(商標)」、ミスマッチエンドヌクレアーゼのCelファミリーのヌクレアーゼ、マングビーン・ヌクレアーゼ、S1ヌクレアーゼまたは他の一本鎖特異的エンドヌクレアーゼを用いて、その中にニックを導入することにより修飾される[Till BJ et al., Mismatch cleavage by single-strand specific nucleases., Nucleic Acids Res. 2004 May 11; 32(8):2632-41]。好ましくは、修飾は、短時間(典型的には2〜7分の範囲)にわたって、低酵素濃度、例えば切断に必要とされる濃度の10%で行われる(0.1TILLING単位[Till BJ et al., Mismatch cleavage by single-strand specific nucleases., Nucleic Acids Res. 2004 May 11; 32(8):2632-41に定義される])。
マスクされた核酸分子が修飾されると、これらの分子は、典型的には大腸菌DNAポリメラーゼIまたはTaq DNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼを用いて、核酸ニックトランスレーションにより標識ヌクレオチドで標識化することができる。修飾された核酸分子、例えばDNA分子の標識化は、元来、天然であれ合成であれ、本明細書に概説されるように修飾された核酸分子と、そのように修飾されていない核酸分子とを識別するために用いられる。次いで、標識化された核酸分子は、例えばストレプトアビジンで被覆した磁性ビーズまたは粒子を用いて選択され、例えば従来の手順を用いたPCR増幅により同定される[Sambrook, J., Fritsch, EF and Maniatis, T. (1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press]。先に概説した個々の工程は既知であり、一本鎖高次構造多型(SSCP)を包含する突然変異検出方法論、および核酸分子中の突然変異を検出するための他の様々な方法[M, Iwahana H, Kanazana H, Hayashi K, Sekiya T. Detection of polymorphisms of human DNA by gel electrophoresis as single-strand conformation polymorphisms. Proc Natl Acad Sci USA. 1989 Apr; 86(8): 2766-70]、TILLING突然変異検出システム[McCallum CM, Comai L, Greene EA, Henikoff S. Targeted screening for induced mutations. Nat. Biotechnol. 2000 Apr; 18(4):455-7, Henikoff S, Comai L. Single-nucleotide mutations for plant functional genomics. Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol. 2003 Jun; 54: 375-401]の構成要素となるものである。
先に示したように、本発明者らは、Cel Iヌクレアーゼの補助的な酵素活性を発見している。Cel Iは、二本鎖領域と一本鎖領域との接合部での特異的な開裂によるか、または3’−5’エキソヌクレアーゼ活性により、線状DNAの3’末端から標識ヌクレオチドを除去する。Cel Iの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の存在により、更なる5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を必要とすることなく、DNAポリメラーゼ活性のみを付与する酵素で標識化反応を行うことができる。
しかしながら、本発明による方法を構成する工程の組み合わせおよび順序は、標識化工程の前に、固有の核酸異常または損傷のマスキングまたは保護、およびDNA末端などの核酸末端のマスキングまたは保護が行われるという点で、従来の方法を越える実質的な利点を有する。かかるマスキング(保護)は、標識化反応中のDNAの無差別な標識化を阻止し、それにより、異型DNA構造の認識および修飾によって出現した反応性部位の特異的標識化が可能となる。
本明細書に記載の手順は、大半の従来技術と共通して、ゲル電気泳動により得られた産物の直接分析、キャピラリー配列決定機での分析、またはdHPLC(変性高性能液体クロマトグラフィ)による分析に続いて行われる。
しかしながら、現在の最新技術には多くの欠点がある。例えば、標準の反応条件下で適用される酵素が示す特異性は低く、in vitro合成および操作中にDNAが損傷される。
本発明による方法工程の組み合わせは、従来技術には記載されておらず、さらには、本方法が実施され得る反応条件も記載されていない。結果として、本発明による方法の発明性は、手順における一連の工程に見出される。更に、かかる実施可能な方法を達成するにあたって、本発明が実施され得る幾つかの反応条件を確立することに注意を払った。かかる反応条件の確立は、従来技術の方法を上回る更に創意的な改良をもたらす。
本発明において、上述のような基本的手順を実質的に改良した様々な態様が特定された。本明細書に概説されるようなこれらの態様を考慮すると、これらの態様により、本方法は機能ゲノミクス化学で必要とされるように大規模分析に適するものとなる。
本発明者らは、以下の事項を確立した:
a)増幅により得られるDNA断片を含むDNA分子集団は、常に、損傷した分子を含有する。かかるDNA損傷は、DNA標識化を阻害するヌクレオチドまたは他の化合物(ジデオキシヌクレオチド、またはアザシチジンなどのヌクレオチド類似体)を組み込むことにより、後続の標識化工程から分子的にマスクされなければならない。
b)全ての線状DNA断片は、末端の存在に起因して、標識化反応中、活発に標識される。故に、DNA末端は、DNA標識化を阻害するヌクレオチドまたは他の化合物を組み込むことにより、後続の標識化工程から分子的にマスクされなければならない。
c)特異的エンドヌクレアーゼによるミスマッチの処理条件は、両DNA鎖の切断ではなく、一方のDNA鎖のニッキングを引き起こすよう、厳密に最適化されなければならない。
d)大腸菌DNAポリメラーゼIが、単に5’−3’DNAエキソヌクレアーゼ活性だけではなく、3’−5’DNAエキソヌクレアーゼ活性も有することは既知である。にもかかわらず、平滑DNA末端が3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対して不活性であると広く考えられている。
e)上述の広く確信されている事項に反駁して、本発明者らは、大腸菌DNAポリメラーゼIが、DNA分子の先端にヌクレオチドを組み込むことができることを示した。これは、ミスマッチなどの異型構造の処理を通じて反応性部位が出現した分子だけでなく、全ての線状DNA断片が標識化されることを意味している。Taq DNAポリメラーゼは5’−3’DNAエキソヌクレアーゼ活性および5’−3’DNAポリメラーゼ活性に加えて、3’末端デオキシヌクレオチジル活性を有する。故に、DNA末端は、後続工程での標識化を阻止すべくマスクされる必要がある。
f)最大活性温度である72℃でTaq DNAポリメラーゼを使用すると、マスキング効率が低下することが認められた。この正確な理由は明らかではないが、部分的なDNAの変性または熱によるDNA損傷によるものと考えられる。
故に、最大の標識特異性と十分な収率とが組み合わされた温度間隔を規定することが必要であった。本発明のマスキング工程のための温度間隔は、37℃〜60℃の範囲、好ましくは45℃〜55℃の範囲、より好ましくは48℃〜52℃の範囲となるように規定される。
g)エンドヌクレアーゼの作用などによりDNA内にニックを生成すべく使用されるプロセスは、ある程度の非特異性を有することがある。これにより、標識化可能な部位が生じるので、反応の特異性が低下し得る。例えば、ミスマッチエンドヌクレアーゼCel I(SURVEYOR(商標))は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するので、DNA末端を後の標識化工程に対して反応性にすることが認められた。突然変異検出プロセス中のあらゆるDNA操作、特に渦流と沈殿は、DNAに損傷を与えることが認められた。この分子の損傷は、後続の工程における標識化開始部位であることもあり、基質の調製中だけでなく、標識化前の全ての工程において損傷を最小限に抑えるべく全ての注意を払う必要がある。
h)選択プロセスは単一チューブ反応である。これは、PCRにより同定され、且つ、突然変異に関してスクリーニングされている他の断片とは区別され得る(突然変異のない)DNA断片により監視されなければならない汚染の危険があることを意味している。
上述の要件を全て考慮に入れると、突然変異検出に適用されるような手順のスキームは、基質核酸集団を用意し、該基質核酸集団から、Pfu DNAポリメラーゼなどの忠実性の高いDNAポリメラーゼを用いたPCRなどによって、線状DNAを生成させ;DNA断片を変性およびリアニーリングして二本鎖分子およびヘテロ二本鎖分子を形成し;典型的には30分〜18時間のインキュベーション時間および典型的には37℃〜60℃の範囲の温度でのTaq DNAポリメラーゼによるニックトランスレーション反応において、ddGTPなどを使用してDNA末端および内部DNA損傷をブロック(マスク)し;異型DNA構造をニックに変換する処理に好ましい条件を用いて、異型DNA構造を認識および処理することを含む。かかる処理条件としては、典型的には約37℃〜45℃の温度で2〜7分の範囲、好ましくは42℃で約5分間という短い反応時間と、低酵素濃度、例えば上述の切断に必要な酵素量の10%を使用することとが挙げられる。
本明細書に記載されるようなマスキングプロセスに対する一連の利点がある。当然、当業者は、DNAに適用されるような本発明の利点が他の核酸分子(NA)にも適用できることを認識するであろう。故に、本発明は、もちろんDNAに限定されるものではなく、あらゆるタイプの核酸に適用可能である。
a)保護手順の目的は、異型NA構造のニッキングの特異性を向上させることではなく、ニッキング反応においてCel I酵素(SURVEYOR(商標)として商業的に知られている)の回転率を増大させることでもない。マスキング工程の絶対要件は、(DNA集団内の分子に固有の)DNA損傷や(非環状DNA分子に存在する)DNA末端が後続の標識化反応の標的となることを阻止する必要性から生じる。
b)保護反応で使用する酵素は、DNAリガーゼ、DNAへリカーゼ、3’−5’DNAエキソヌクレアーゼまたはDNA末端に結合するタンパク質のいずれでもあり得ない。前記酵素は、従来の公に利用可能な手順によって検出可能な3’−5’DNAエキソヌクレアーゼ活性を実質的に有さないが、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ、またはこの反応を行い得る酵素の組み合わせでなければならない。
本発明において、マスキングは単に様々な酵素による基質の酵素処理によって行われるものではないということを述べる必要がある。むしろ、この工程の極めて重要な部分は、異型DNA構造の部位またはその近辺で二本鎖DNAにニックを導入するよりも前の工程において、酵素が、損傷したDNAおよびDNA末端にヌクレオチド類似体などの成分を組み込むということである。次いで、この組み込まれた成分は、後続の標識化反応中、それが組み込まれた部位を標識化から効果的にブロックする。
しかしながら、Cel I(SURVEYOR(商標))を使用してヘテロ二本鎖DNA内にニックを生成する際、望ましくない部位での標識化を阻止するために本発明で使用する保護方法論は酵素性能をも向上させると言っているわけではない。
c)修飾DNAの精製は、後続の工程のために緩衝液条件を変更する上で必要となる。DNA精製は全て、後続の標識化反応において感知され得る損傷を生じさせる。DNA精製のような標準の緩衝液変更手順は、許容しがたいほど大量のDNA損傷を生じさせる。
d)正確に規定した時間および温度条件を用いた、Taq DNAポリメラーゼを使用するDNAニックトランスレーションによってビオチン化ヌクレオチドを組み込むことなどによる、修飾DNAの標識化。
e)例えばストレプトアビジンで被覆した磁性ビーズまたは粒子を用いた、ビオチン標識DNAの選択および同定、およびその後のPCRによる検出。
f)手順全体、つまり工程a)〜f)では、その手順の選択性を監視するために、突然変異を有さない内部対照が組み込まれる。
本明細書に開示された本発明による方法、即ち、ニックに変換可能な構造異常を含む核酸分子を選択的に検出するための方法は、リボ核酸(RNA)分子、デオキシリボ核酸(DNA)、通常のNAと同様の様式でNAと相互作用する、天然NAとは化学的に異なる分子(例えばPNA)、およびこれら分子の組み合わせにも適用することができる。
鋳型および基質集団用のNA供給源は、ウイルス、原核生物、真核生物、プラスミドNA、またはこれらのいずれかの組み合わせであってもよい。基質NA集団は、抽出によるか、または当技術分野で用いられる従来手段を使用したin vitro NA増幅により生成させてもよいし、当技術分野で用いられる従来手段を使用して合成してもよい。
異型NA構造は、分子中に変異性を有する供給源から形成されるヘテロ二本鎖分子の結果であってもよい。この変異は、天然のものであってもよいし、物理的手段、化学的手段または生物学的手段によって誘発されたものであってもよい。
異型NA構造はまた、物理的薬剤、化学的薬剤または生物学的薬剤の悪影響の結果でもあり得る。これらの構造はまた、細胞内酵素活性の結果として生じ得るものでもあり、これらの活性により異型NA構造の一本鎖ニックへの変換が可能になる。
当業者は、本発明で使用したPCRにより線状基質DNAを生成させるために使用されたPfu DNAポリメラーゼの代わりに、忠実性の高いポリメラーゼを使用してもよいことを認識するであろう。
同様に、当業者は、後続の標識化のための分子を生成させる際、Cel I「Surveyor(商標)」ミスマッチエンドヌクレアーゼに代えて、ヘテロ二本鎖DNA分子におけるミスマッチを認識し、且つDNA分子にニックを導入することが可能なあらゆる薬剤[Mung bean nuclease, Kowalski D. et al. (1976) Biochemistry 15: 4457-4463, venom phosphodiesterase Pritchard AE et al. J. Biol. Chem. 1997; 252:8652-8659]を使用してもよいことを認識するであろう。かかる一例は、MutY ミスマッチグリコシラーゼ[Au KG et al. Escherichia coli mutY gene product is required for specific A-G----C.G mismatch correction Proc Natl Acad Sci USA. 1998 Dec; 85(23):9163-6]と、ヒトAPエンドヌクレアーゼ[Shaper NL, Grossman L, Purification and properties of the human placental apurinic/apyrimidinic endonuclease Methods Enzymol. 1980;65(1):216-24]との組み合わせ、または好適なグリコシラーゼと好適なAPエンドヌクレアーゼとのその他の組み合わせである。
本発明では、洗浄前のNA保護工程は、異型NA構造を含むあらゆるタイプの二本鎖NA分子上で行われてもよく、この異型NA構造に対して、1つのNA鎖を破断するための特定の処理を施すことができる。典型的には、二本鎖NAまたは一本鎖NAはDNAである。例えば、ヒトAPエンドヌクレアーゼ[Shaper NL, Grossman L, Purification and properties of the human placental apurinic/apyrimidinic endonuclease Methods Enzymol. 1980; 65(1): 216-24]と併用するAlkA3メチルアデニンDNAグリコシラーゼ[P. Karran, T. Hjelmgren and T. Lindahl. Induction of a DNA glycosylase for N-methylated purines is part of the adaptive response to alkylating agents 1982 Nature 296: 770-773]、またはAPエンドヌクレアーゼと併用するその他のDNA損傷特異的DNAグリコシラーゼ。
後続のビオチン標識化の前に、ddGTP(ジデオキシグアノシン三リン酸)などのヌクレオチド類似体を使用して、前から存在しているDNA損傷を排除するか、またはマスクすることが重要であるということが確立されると、望ましくない部位の標識化を阻止するための修飾ヌクレオチドまたは他の成分を評価することが可能となる。
同等成分の使用は常に、反応手順全体との関連において評価されるべきであるという点に着目すべきである。これは、本手順との関連においてその特性が完全には定義されていない新規成分を本手順において用いる場合、当該成分が、明白且つ完全に、以前使用していた成分の代わりに使用されるか、またはその成分を改良するものであるとしても、アッセイの結果全体に悪影響を及ぼすこともあるということを意味している。
従って、ある成分の代わりに別の成分を代用する可能性を、この代用が行われるべき工程においてのみ評価するだけでは不十分である。むしろ、後続の工程も影響を受けないことを証明しなければならない。例えば、推定マスキング成分は、効果的なマスキングを行うが、標識化よりも前に行われる、異型DNA構造を認識するように設計された後続の工程において除去(脱マスク)されることもある。あるいは、他方で、潜在的に有効なブロッキング成分は僅かしかNA分子に組み込まれないこともある。
マスキング反応で使用してもよいddGTPへの追加の化合物としては、AZT(アジドチミジン)[Copeland WC et al. Human DNA polymerases alpha and beta are able to incorporate anti-HIV deoxynucleotides into DNA, J Biol Chem. 1992 Oct 25; 267(30):21459-64]、またはDNAに組み込まれるとDNA合成を終了させることができるその他のヌクレオチド類似体[Lim SE, Copeland WC, Differential incorporation and removal of antiviral deoxynucleotides by human DNA polymerase gamma. J Biol Chem. 2001 Jun 29; 276(26): 23616-23]が挙げられる。
また、本発明には、一本鎖に切断されるDNA分子が、Taq DNAポリメラーゼ触媒反応において、ビオチン化されたデオキシヌクレオシド三リン酸で標識化される工程も組み込まれる。この反応は、Taq DNAポリメラーゼの5’−3’DNAポリメラーゼ活性および5’−3’DNAエキソヌクレアーゼ活性により触媒される。
当業者は、反応を阻害する更なる活性を付与することなく、かかる活性を組み合わせたいかなる酵素または酵素群も、Taq DNAポリメラーゼに代えて使用し得ることを認識するであろう。かかる酵素または酵素の組み合わせが特定され、使用される場合、それらの酵素はプロセス全体において予め評価されなければならない。
Taq DNAポリメラーゼの代わりに標識化反応中で使用することのできる酵素および酵素の組み合わせが存在する。例えば、プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活性を欠いたPfu DNAポリメラーゼ変異体、または、5’−3’DNAエキソヌクレアーゼと組み合わせたDNA Iポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ欠損クレノー(Klenow)断片、例えばFen1ヌクレアーゼ。同様に、ビオチンの代わりに他の分子を用いてもよく、これらの分子は、自らが組み込まれた断片を、組み込みがなかった断片から直接的または間接的に分離させる。
分離方法は、組み込まれたリガンドに結合されたビーズの磁気分離、組み込まれたリガンドに対するアフィニティクロマトグラフィ、フローサイトメトリー、および分子を分離するための他の非破壊的手段によるものであってもよい。
当業者は、特定の選択工程後に増幅が行われるのは、アガロースゲル中で選択された断片を視覚化する必要があるためであることを認識するであろう。しかしながら、断片の選択は、質量分析法、あらゆるタイプの支持体(フィルター、DNAチップ、ビーズ)上でのハイブリダイゼーション、および原子間力顕微鏡検査を含む十分に高感度な方法を直接用いることにより確認されてもよい。
本明細書に開示された本発明の原理を考慮し、保護されたDNA部位の標識化を特異的に阻止するNA部位に、類似成分を添加することによりマスキング/保護を行う中間工程に主眼を置き、新規用途が開発された。
本明細書に提示した手順の1つの新規用途は、同一酵母、例えばSaccharomyces Cerevisaeの株などの、同一種の株間の差異を同定することに関与している。
本発明による手順は、以下のものを同定するのに使用できる:
a)同一種の個体間の変異または差異。
b)例えば、癌細胞と非癌細胞とを識別するための、同一個体の細胞間のNAにおける変異または差異。
c)同一種の個体における目的の遺伝子における突然変異。
d)例えば、特定遺伝子内で変異した癌細胞を同定するための、同一個体の細胞内の目的の遺伝子における突然変異。
e)例えば、目的の配列におけるDNA損傷を選択的に検出するための、目的の配列におけるDNA損傷。
f)全ゲノムレベルでのDNA損傷。
本発明による方法を行うためのキットも本発明の範囲内に包含される。例えば、本発明による方法で使用するのに好適なキットは、1つ以上の線状化核酸分子集団を用意するための手段と、ddGTP、AZTなどのマスキング剤と、化学的または酵素的マスキング成分と、エンドヌクレアーゼ活性を有するニッキング酵素と、ビオチンなどの標識化剤と、核酸ポリメラーゼ活性を有するか、またはこれを呈する酵素調製物とを含んでもよい。
また、本発明の範囲内に包含されるのは、ニックに変換可能な異型NA構造を選択的に検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用;同一種の異なる変異体の核酸配列間の変異または差異を選択的に検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用;同一個体の異なる細胞の核酸配列間の変異または差異を選択的に検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用;核酸集団内の目的の遺伝子における突然変異を選択的に検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用;個体の異なる細胞内の目的の遺伝子における突然変異を選択的に検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用;目的の配列におけるDNA損傷を選択的に検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用;ゲノムレベルでのDNA損傷を検出するための、本明細書に記載された本発明による方法の使用である。
ここで、本発明を例証する図面および実施例を以下に示す。これらの図面および実施例は、本発明をいかようにも制限するものとして解釈してはならないことを理解すべきである。
以下の章に示す実験例は、本明細書に記載された本発明の特定の態様を支持するためにのみ記載される。
以下の個々の実験には、SAMPAD(突然変異、多型およびDNA損傷の選択的検出および増幅)が本発明による方法に従ってどのように行われるかが示されている。
実施例1〜8では、SAMPADの個々の構成要素を行う様々な方法が記載されている。
実施例9〜11では、DNAを標識化するための方法が示されている。
標識化反応における背景ノイズを低減するための(実施例12〜17)、および個々の工程を組み合わせて(実施例18〜21)、全SAMPADプロセスを行うための(実施例22)様々な効果的な方法が開発されてきた。実施例23は技術的可能性を例証しており、実施例24はSAMPADの工業用途を例証している。
実施例1:野生型モデル鋳型の生成
使用した鋳型は、唯一のNotI部位で消化されたプラスミドpUC18をベースとした(50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、100mM NaCl、0.1mg/ml BSA、10U NotI(総容量20μl)の存在下、37℃、1時間)。消化産物を、配列番号1および配列番号2として特定された2つの合成オリゴヌクレオチドのアニーリング産物に連結した。
DNA連結反応は、1単位のT4 DNAリガーゼ、40mMのTris HCl、100mMのMgCl、10mMのDTTおよび0.5mMのATPの存在下、37℃で3時間行った。
化学的に形質転換コンピテント大腸菌DH5αを、熱衝撃法において連結産物で形質転換した(湿った氷の上で30分)。衝撃処理の後、37℃で非選択的LBブロス内にて細胞を培養した。続いて、形質転換体を、抗生物質に対するそれらの耐性について選択した。SAMPAD用のDNA基質を、Pfu DNAポリメラーゼによるPCR増幅により生成した。
実施例2:変異体モデル鋳型の生成
使用した鋳型は、唯一のNotI部位で消化されたプラスミドpUC18をベースとした(50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、100mM NaCl、0.1mg/ml BSA、10U NotI(総容量20μl)の存在下、37℃、1時間)。消化産物を、配列番号3および配列番号4として特定された2つの合成オリゴヌクレオチドのアニーリング産物に連結した。
これらのオリゴヌクレオチドは、実施例1のヌクレオチド由来のものであったが、ここではTA挿入物を含有していた。
DNA連結反応は、1単位のT4 DNAリガーゼ、40mMのTris HCl、100mMのMgCl、10mMのDTTおよび0.5mMのATPの存在下、37℃で3時間行った。
化学的に形質転換コンピテント大腸菌DH5αを、熱衝撃法において連結産物で形質転換した(湿った氷の上で30分)。衝撃処理の後、37℃で非選択的LBブロス内にて細胞を培養した。続いて、形質転換体を、抗生物質に対するそれらの耐性について選択した。SAMPAD用のDNA基質を、Pfu DNAポリメラーゼによるPCR増幅により生成した。
実施例3:SAMPAD用基質の調製
標準の反応条件下でPfuポリメラーゼを使用してモデル基質DNA分子を増幅し、基質DNAを生成した。
標準の条件は以下の通りであった。
a)反応容量:20μl、
b)200pgのモデル基質DNA、
c)2μlの10×Pfu DNAポリメラーゼ反応緩衝液:200mM Tris−HCl(25℃でpH8.8);100mM (NHSO;100mM NaCl;1% Triton×100 1mg/ml ウシ血清アルブミンおよび20mM MgSO
d)5.12μl dNTP(各12.5μM)、
e)0.5μlの各プライマー(配列番号5および配列番号6のM13配列決定プライマー、濃度10μM)、
f)0.5UのPfu DNAポリメラーゼ。
アガロースゲル電気泳動によって基質を定量し、必要に応じて希釈し、規定の割合(1:0(=マッチ)〜1:256)で混合した。
混合物を、95℃でのインキュベーションにより変性し、少なくとも9時間にわたって室温まで徐々に冷却することにより再生した。
得られたヘテロ二本鎖分子は、944位に2つのらせん外(extrahelical)塩基を有する1900bpの線状DNA分子であった。
二本鎖分子は、ミスマッチヌクレオチドを除いて同じであった。
実施例4:ddGTPによるDNA分子のマスキング
マスキング反応は、50℃の温度で2時間行った。
反応組成は以下の通りである。
g)2μlのDNA(8.5ng/μl)、
h)2μlの10×Taqポリメラーゼ反応緩衝液(160mM (NHSO;670mM Tris−HCl(25℃でpH8.8)および0.1%Tween 20)、
i)0.75μlの25mM MgCl
j)5μlのddGTP混合物(2μl 10mM dATP;2μl 10mM dCTP;2μl 10mM dTTP;2μl 10mM ddGTPおよび72μl 蒸留HO)、
k)10UのTaq DNAポリメラーゼ、
l)10μlの蒸留HO(最終容量20μl)。
実施例5:SURVEYOR(商標)によるヘテロ二本鎖DNAのニッキング
SURVEYOR(商標)(米国ネブラスカ州オマハ、トランスゲノミック(Transgenomic, Omaha, NE, USA)は、セロリから最初に得られたS1ヌクレアーゼメンバーのCel Iヌクレアーゼサブファミリーの酵素の商業名である。
SURVEYOR(商標)反応は、容量20μlで行った。8.5ngのDNAを、42℃で5分間、0.1μlのSURVEYOR(商標)および2μlの10×SURVEYOR(商標)反応緩衝液でインキュベートした。
実施例6:ビオチンによるDNAの標識化
DNA(8.5ng)を、ビオチン11dCTPの組み込みによって標識化した。反応は、3μlの10×Taq DNAポリメラーゼ反応緩衝液(160mM (NHSO、670mM Tris−HCl(25℃でpH8.8)、0.1%Tween 20);0.75μlの25mM MgCl;5μlのビオチン−dNTP混合物(2μl 10mM dATP、2μl 10mM dGTP、2μl 10mM dTTP、1.92μl 10mM dCTP、0.8μl ビオチン(biotina)11dCTP)および10UのTaq DNAポリメラーゼを用いて、30μlの容量で行った。
続いて、ビオチン標識断片を、ストレプトアビジンで被覆した磁性ビーズまたは粒子によって選択した。ストレプトアビジンとビオチンは、互いに対して非常に高い結合親和性を有し、故にビオチン標識分子の選択を可能にする。
実施例7:ビオチン標識DNA分子の選択
最初に、ビーズ/粒子を、それらの原容量のTEN100(10mM Tris HCl、1mM EDTAおよび100mM NaCl;pH7.5)で2回洗浄した。各洗浄後、磁石を適用し、上澄みを取り除いた。
次いで、ビーズ/粒子を、それらの初期容量と等容量のTEN200(10mM Tris HCl、1mM EDTAおよび200mM NaCl;pH7.5)中に再懸濁させた。
次いで、7.5ngの内部対照DNAおよび30μlの標識化反応物質を20μlの洗浄したビーズに添加した。
この手順の第4工程では、混合物を室温で30分間インキュベートし、ビーズ/断片が沈殿しないように繰り返し攪拌した。次いで、事前に洗浄したPCR用サンプルを採取し、残ったビーズを各400μlのTEN1000(10mM Tris HCl、1mM EDTAおよび1M NaCl、pH7.5)中で3回洗浄した。各洗浄後、磁石を用いてビーズを隔離し、上澄みを取り除いた。更なる洗浄サイクルが必要とされる場合には、この工程を繰り返した。最終的に、40μlのdHO内にビーズを再懸濁させ、PCR用サンプルを採取した。
アッセイ8:選択されたDNAの同定
同定は、配列番号7および配列番号8の特定プライマーを用いたPCRによって行った。
1×TAE緩衝液中でアガロースゲル電気泳動によって生成物を分離し、臭化エチジウム染色およびUV透照法(transillumination)により視覚化した。
実施例9:DNAの標識化、選択および同定のための方法の開発
標準のプラスミド少量調製技法を用いて、プラスミドを液状細菌培養物(選択的条件下に一晩置いた培養物2ml)から単離した。簡潔に説明すると、遠心分離によって細胞を収集し、再懸濁用緩衝液(50mM グルコース、25mM Tris HCl(pH=8)および10mM EDTA、pH8)中に再懸濁させ、第2の溶液(0.2N NaOHおよび1% SDS)を添加することによって溶解させ、酢酸の添加により最終濃度11.5%まで中和した。
最終的に、DNAをフェノールクロロホルムで抽出し、エタノール沈殿により回収した。
Taq DNAポリメラーゼおよび10×Taq DNAポリメラーゼ反応緩衝液の代わりに、大腸菌DNAポリメラーゼIおよび10×大腸菌DNAポリメラーゼI反応緩衝液を使用し、37℃で30分間インキュベーションを行ったという変更を加え、実施例6におけるように、およそ200ngのこのように精製したプラスミドDNAを標識化した。図1では、精製プラスミドDNAが、DNAニックトランスレーションによる標識化にとって良好な基質であることを証明している。図1におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:ビオチン標識化を行わないプラスミドAおよびBの混合物のPCR。3ラウンドの選択後に同定。
c)2:ビオチン標識化を行わないプラスミドAおよびBの混合物のPCR。6ラウンドの選択後に同定。
d)3:プラスミドAおよびBの混合物のPCR。ここではBではなくAがビオチンで標識化されている。3ラウンドの選択後に同定。
e)4:プラスミドAおよびBの混合物のPCR。ここではBではなくAがビオチンで標識化されている。6ラウンドの選択後に同定。
f)5:プラスミドAの陽性対照PCR。
g)6:プラスミドBの陽性対照PCR。
実施例10:ビオチンヌクレオチドによるDNAの標識化
図2では、ビオチンヌクレオチドによるDNAの標識化が37℃で作用するが、50℃でははるかに効率がよいことを示している。
DNA鋳型を実施例1におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製した。
DNAを実施例6におけるように標識化し、アッセイ7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
この標識化の結果は図2に示されており、同図におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:Taq DNAポリメラーゼを用いて37℃、30分間、ビオチン11dCTPで標識化したDNA。選択前。
c)2:Taq DNAポリメラーゼを用いて37℃、30分間、ビオチン11dCTPで標識化したDNA。3ラウンドの選択後にサンプルを採取。
d)3:Taq DNAポリメラーゼを用いて50℃、30分間、ビオチン11dCTPで標識化したDNA。選択前。
e)4:Taq DNAポリメラーゼを用いて50℃、30分間、ビオチン11dCTPで標識化したDNA。3ラウンドの選択後にサンプルを採取。
f)5:DNAのない陰性対照PCR。
実施例11:DNAデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによる標識化
DNA鋳型を実施例1におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製した。
続いて、以下のものを含む反応液中、DNAターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりDNAを標識化した。
a)17ngのモデルDNA、
b)1.5μlの1mM ビオチン11dCTP、
c)10μlの5×ターミナルジデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ反応緩衝液(1M カコジル酸カリウム、125mM Tris、0.05% TritonX100および5mM CoCl(25℃でpH7.2))、
d)40Uのターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、
e)蒸留したHO(反応容量は合計で50μl)。
インキュベーションは37℃で15分間行った。
DNAを実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
図3は、DNA標識化におけるDNAデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼの効果を示している。これは、DNAニックトランスレーションとは完全に独立した代替の標識手順を提供する。
図3におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)1:選択前の、ターミナルトランスフェラーゼ標識DNAの同定。
b)2:3ラウンドの選択後の、ターミナルトランスフェラーゼ標識DNAの同定。
c)3:DNAのない陰性対照PCR。
d)4:λPstマーカー。
実施例12:DNAリガーゼのDNAニックトランスレーションへの干渉
図4には、DNAリガーゼが、SAMPADにとって望ましくなく、且つそれと不適合な様にDNAニックトランスレーションへ干渉することを示している。
DNA鋳型を実施例1におけるように調製し、基質をアッセイ3におけるように調製する。
T4 DNAリガーゼが介在するDNA修復を、合計反応容量20μl(2μl 10×T4 DNAリガーゼ反応緩衝液(400mM Tris−HCl、100mM MgCl、100mM DTT、5mM ATP、25℃でpH7.8)、5U T4 DNAリガーゼおよび蒸留HO(合計で20μl))中、合計340ngのモデルDNA上で行った。インキュベーションを37℃で30分間行った。
DNAを実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
DNAの糖リン酸主鎖内のニックはDNAリガーゼによって修復され、それがin vitroでDNAニックを修復するための候補となり、それによりSAMPADの背景ノイズが低減される。しかしながら、T4 DNAリガーゼは、DNAニックトランスレーションへ干渉し、背景ノイズを低減させるための潜在的な方法となるが、この手法が役に立たないことは当業者にとって明らかである。また、負の(subtractive)ニックトランスレーション(ヘテロ二本鎖DNA分子の認識および修飾の前に行われる、DNAのニックトランスレーションによる標識化およびその選択の初回ラウンドを意味し、前から存在している損傷DNA分子を除去するように設計されている)が背景ノイズを低減する上で実用的でないことも認められた。
図4におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:連結修復後のプラスミド。選択前に同定。
c)2:連結修復が行われていないプラスミド。選択前に同定。
d)3:連結修復後のプラスミド。3ラウンドの選択後に同定。
e)4:連結修復が行われていないプラスミド。3ラウンドの選択後に同定。
f)5:連結修復後のプラスミド。6ラウンドの選択後に同定。
g)6:連結修復が行われていないプラスミド。6ラウンドの選択後に同定。
h)7:連結修復後のプラスミド。9ラウンドの選択後に同定。
i)8:連結修復が行われていないプラスミド。9ラウンドの選択後に同定。
j)9:連結修復後のプラスミド。12ラウンドの選択後に同定。
k)10:連結修復が行われていないプラスミド。12ラウンドの選択後に同定。
実施例13:DNA末端の標識化
図5は、DNAエキソヌクレアーゼ活性およびDNAポリメラーゼ活性が如何にDNA末端の標識化を引き起こし得るかについての理論的考察を例証している。
太線はDNAポリメラーゼ活性の結果を示しており、即ち、DNAポリメラーゼによるDNA標識化を示している。
実施例14:大腸菌DNAポリメラーゼIによるDNAのマスキング
図6は、ddGTPを用いた大腸菌DNAポリメラーゼIによるDNA損傷のマスキングが、如何にプラスミドニックトランスレーション反応における背景ノイズレベルを低減するかを示している。
Taq DNAポリメラーゼおよびTaq DNAポリメラーゼ反応緩衝液の代わりに、大腸菌DNAポリメラーゼIおよび大腸菌DNAポリメラーゼI反応緩衝液をそれぞれ使用し、且つ反応を37℃で行ったことを除いて、プラスミドDNAを実施例9におけるように調製し、実施例4におけるように標識化した。
続いて、DNAを実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
2つの実験条件を比較した:一方では、DNAをddGTPでマスクし、次いでビオチン11dCTPで標識化した。他方では、マスキング工程なしでDNAを標識化した。
図6は、マスキングにより、行われた標識化の量が劇的に低減されることを明瞭に示している。
図6におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:ddGTPマスキング。ビオチンで標識化。選択なし。
c)2:ddGTPマスキングなし。ビオチンで標識化。選択なし。
d)3:ddGTPマスキング。ビオチンで標識化。3ラウンドの選択。
e)4:ddGTPマスキングなし。ビオチンで標識化。3ラウンドの選択。
f)5:陰性対照PCR。
g)6:陽性対照PCR。
h)M:λPstマーカー。
実施例15:大腸菌DNAポリメラーゼIでの標識化
図7では、DNAがddGTPでマスクされたか否かにかかわらず、大腸菌DNAポリメラーゼIが線状DNA末端を無差別に標識化することを示している。
DNA鋳型を実施例1におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製した。マスキングを実施例9におけるように(実施例6で使用されるのと同じ量のDNAを使用して)行い、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
ここで、線状DNAがそれよりも前にddGTPで処理されたか否かにかかわらず、大腸菌DNAポリメラーゼIが線状DNAを標識化することを証明する。
大腸菌DNAポリメラーゼIを使用して、後続の大腸菌DNAポリメラーゼI標識化から環状DNAを首尾よくマスキングできることを本明細書で先に示した(図6)。DNA合成用基質は、3’−5’DNAエキソヌクレアーゼ活性により生成される(理論的考察については図5を参照のこと)。
故に、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いたDNAポリメラーゼを使用しなければならない。
図7におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。選択なし。
c)2:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。選択なし。
d)3:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。選択なし。
e)4:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。選択なし。
f)5:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。3ラウンドの選択後。
g)6:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。3ラウンドの選択後。
h)7:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。3ラウンドの選択後。
i)8:ddGTPで処理し、ビオチンで標識化したDNA。3ラウンドの選択後。
j)9:陰性PCR対照。
k)10:陽性PCR対照。
l)M:λPstマーカー。
アッセイ16:Taq DNAポリメラーゼによるDNAのマスキング
図8では、Taq DNAポリメラーゼを使用してDNA損傷およびDNA末端をddGTPでマスクすることにより、線状DNAのDNAニックトランスレーションにおける背景ノイズが最小限に抑えられることを示している。
DNA鋳型を実施例1におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製した。マスキングを実施例4におけるように行い、実施例6におけるようにビオチンで標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
このアッセイでは、2つの実験条件を比較した。DNAをddGTPでマスクし、ビオチン11dCTPで標識化し、選択し、同定し、マスクしたが別の方法で同じく処理したDNAと比較した。
明らかに、マスキングは、行われる標識化の量を劇的に低減する。
図8におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:ddGTPでマスクしたDNA。選択なし。
c)2:ddGTPでマスクしていないDNA。選択なし。
d)3:ddGTPでマスクしたDNA。3ラウンドの選択。
e)4:ddGTPでマスクしていないDNA。3ラウンドの選択。
実施例17:異なる温度でのTaq DNAポリメラーゼを用いたマスキング
図9では、組み込み用Taq DNAポリメラーゼを用いたddGTPマスキングが50℃で最適に作用することを示している。
DNA鋳型を実施例1におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製した。マスキングは、以下に特記される変更点を除いて実施例4におけるように行い、実施例6におけるようにビオチン標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
このアッセイにおいて、60℃でTaq DNAポリメラーゼにより行われたddGTPマスキングは、50℃ほど効果的ではない。Taq DNAポリメラーゼ活性が37℃では許容できない程緩慢であることを示している図2に提示したデータと合わせて、50℃を、Taq DNAポリメラーゼによりddGTPマスキングを行う最適温度とする。
図9におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:50℃でマスクしたDNA。選択なし。
c)2:60℃でマスクしたDNA。選択なし。
d)3:50℃でマスクしたDNA。選択なし。3ラウンドの選択後。
e)4:60℃でマスクしたDNA。選択なし。3ラウンドの選択後。
f)5:陰性対照PCR。
g)6:陽性対照PCR。
h)M:λPstマーカー。
実施例18:マングビーン・ヌクレアーゼにより処理されたミスマッチの検出
図10では、マングビーン・ヌクレアーゼにより処理されたミスマッチがSAMPADにより如何に検出可能であるかを示している。
DNA鋳型を実施例1および2におけるように生成し、基質DNAを実施例3におけるように生成し、実施例4におけるようにマスクし、ヘテロ二本鎖DNA分子を認識し、マングビーン・ヌクレアーゼにより処理し(簡潔に言えば、8.5ngのマスクしたDNAを、2μlの10×マングビーン・ヌクレアーゼ反応緩衝液(300mM 酢酸ナトリウム(pH4.6)、500mM NaCl、10mM 酢酸Znおよび0.1% Triton×100)および50U マングビーン・ヌクレアーゼを用い、全反応容量20μlにて37℃で15分間インキュベートした)、ヌクレアーゼ反応から直接ビオチンで標識化した。DNAを実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
ヌクレアーゼで処理したDNAは、精製せずにビオチン標識化した。
図10におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)1:マッチDNA。マングビーン・ヌクレアーゼで処理。選択なし。
b)2:ミスマッチDNA。マングビーン・ヌクレアーゼで処理。選択なし。
c)3:ニックトランスレーション効率についての対照。選択なし。
d)4:マッチDNA。マングビーン・ヌクレアーゼで処理。選択なし。3ラウンドの選択。
e)5:ミスマッチDNA。マングビーン・ヌクレアーゼで処理。選択なし。3ラウンドの選択。
f)6:ニックトランスレーション効率についての対照。3ラウンドの選択。
g)7:陰性対照PCR。
h)8:陽性対照PCR。
i)M:λPstマーカー。
実施例19:SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼを用いた認識および修飾
図11では、ミスマッチ認識および修飾のために低レベルのSURVEYOR(商標)ヌクレアーゼおよび短いインキュベーション時間(2〜7分)を使用することにより、ニックが入ったDNA(処理されたヘテロ二本鎖DNA)が効果的に捕捉されることを示している。
DNA鋳型を実施例1および2におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製し、実施例4におけるようにマスキングを行い、ヘテロ二本鎖分子を(反応ごとにSURVEYOR(商標)の量を変更したことを除いて)実施例5におけるように同定した。それを実施例20に示すように精製し、実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ調製および常套の突然変異検出のための推奨適用条件(反応ごとに1μlのSURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ;42℃で20分間のインキュベーション時間)は、ミスマッチ切断(即ち、両鎖の開裂)効率を最大にするために設計されている。
ここで、インキュベーション時間をより短くし、且つ酵素濃度を低減する(反応ごとに0.1μlのSURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ、42℃で5分間のインキュベーション時間)ことにより、ニック(DNAニックトランスレーションにより効果的に標識可能)が効果的に生成された。
また、標準のトランスゲノミック(TRANSGENOMIC)ミスマッチ切断反応で使用したヌクレアーゼの半量を使用すると(即ち、反応ごとに0.5μlのSURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ、42℃で5分間のインキュベーション時間)、ニックが入ったDNA分子を捕捉できないことも示している。これは、おそらくは過剰な消化のケースであり、分子はニックされるのではなく、包括的な意味で切断される。
DNAを、SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ処理後にスピンカラムを用いて精製した。
図11におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。0.5μlのSURVEYOR(商標)。選択なし。
c)2:マッチDNA50%。ミスマッチDNA50%。0.5μlのSURVEYOR(商標)。選択なし。
d)3:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。0.5μlのSURVEYOR(商標)。3ラウンドの選択。
e)4:マッチDNA50%。ミスマッチDNA50%。0.5μlのSURVEYOR(商標)。3ラウンドの選択。
f)5:陰性PCR対照。
g)6:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。0.1μlのSURVEYOR(商標)。選択なし。
h)7:マッチDNA50%。ミスマッチDNA50%。0.1μlのSURVEYOR(商標)。選択なし。
i)8:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。0.1μlのSURVEYOR(商標)。3ラウンドの選択。
j)9:マッチDNA50%。ミスマッチDNA50%。0.5μlのSURVEYOR(商標)。3ラウンドの選択。
実施例20:DNAの標準的なエタノール沈殿がマスキングに及ぼす効果
鋳型を実施例1におけるように調製し、基質を実施例3におけるように精製し、実施例4におけるようにマスクした。マスクしたDNAを、標準的なエタノール沈殿により沈殿させた。DNAを実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ反応条件は、DNAポリメラーゼ活性を完全に阻害し、以って標識化反応を阻害する。
マングビーン・ヌクレアーゼ反応条件は、Taq DNAポリメラーゼを激しく劣化させ、故に効果的な標識化を妨げる。この問題を回避するために、反応条件を変更して、十分に機能的なアッセイを行う方法を調査した。
ここで、マスキング反応後のDNAの標準的なエタノール沈殿が好適であるか否かを試験する。それは好適ではない。エタノール沈殿は、DNAに多大な損傷を与えるのでマスキング反応の利点を完全に無効にすることが分かる。
図12におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1、2:標識化前にddGTPでマスクし、エタノールで沈殿させたDNA。選択なし。
c)3、4:標識化前にddGTPでマスクせずに、エタノールで沈殿させたDNA。選択なし。
b)5、6:標識化前にddGTPでマスクし、エタノールで沈殿させたDNA。3ラウンドの選択。
c)7、8:標識化前にddGTPでマスクせずに、エタノールで沈殿させたDNA。3ラウンドの選択。
実施例21:スピンカラム精製がマスキングに及ぼす効果
より穏やかな精製手順の可能性を調査するために、DNA鋳型を実施例2におけるように調製し、基質を実施例3におけるように生成し、実施例4におけるようにマスクし、ミリポア(Millipore)モンタージュ遠心カラムを使用して(製造者の推奨を採用して)精製し、実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
図13では、スピンカラム精製が背景標識の増加をほとんど誘発しないことを示している。故に、スピンカラム精製は、SAMPADにとって十分に穏やかなDNA精製方法であると共に、今日常套的に用いられている。
図13におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:ddGTPによりマスクし、スピンカラム精製により精製したDNA。選択なし。
c)2:ddGTPによりマスクせずに、スピンカラム精製により精製したDNA。選択なし。
d)3:ddGTPによりマスクし、スピンカラム精製により精製したDNA。3ラウンドの選択。
e)4:ddGTPによりマスクせずに、スピンカラム精製により精製したDNA。3ラウンドの選択。
実施例22:全SAMPADプロセス
図14では、以前のアッセイにおいて決定されたパラメータを考慮に入れ、SAMPADを用いて突然変異を如何に効果的に検出できるかを示している。
DNA鋳型を実施例1および2におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製し、実施例4におけるようにマスクし、ヘテロ二本鎖構造を実施例5におけるように認識および修飾し、実施例20におけるように精製し、実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
ここで、SAMPADが255個の正常な分子の存在下で1つの変異体を同定する程十分に高感度であることを示している。
図14におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。選択なし。
c)2:マッチDNA99.2%。ミスマッチDNA0.8%。選択なし。
d)3:マッチDNA99.6%。ミスマッチDNA0.4%。選択なし。
e)4:標識化反応についての対照。選択なし。
f)5:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。選択なし。3ラウンドの選択。
g)6:マッチDNA99.2%。ミスマッチDNA0.8%。選択なし。3ラウンドの選択。
f)7:マッチDNA99.6%。ミスマッチDNA0.4%。3ラウンドの選択。
i)8:標識化反応についての対照。3ラウンドの選択。
j)9:1に対する内部対照。
k)10:2に対する内部対照。
l)11:3に対する内部対照。
m)12:4に対する内部対照。
n)13:5に対する内部対照。
o)14:6に対する内部対照。
p)15:7に対する内部対照。
q)16:8に対する内部対照。
実施例23:SAMPAD産物の精製および配列決定
SAMPADの生成物を精製し、(PCR産物のクローニングを行わずに)直接配列決定した。実施例1に記載される特定のプライマーを使用したことを除いて、DNA鋳型を実施例1および2におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製し、実施例4におけるようにマスクし、ヘテロ二本鎖構造を実施例5におけるように認識および修飾し、実施例20におけるように精製し、実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
検出生成物は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)のビッグダイ(BigDye)キットを使用して、増幅プライマー(実施例1)の1つを用いて直接的に配列決定した。
この可能性は、Makrigiorgos[Makrigiorgos, Gerrasimos M., Methods for rapid screening of polymorphisms, mutations and methylation, US patent application US20030022215]の方法を超える明らかな利点である。これにより、突然変異の直ぐ隣に位置する断片の増幅が可能となるが、この突然変異に関する直接的な情報は、本手順の最終生成物に存在していないために失われる。これもまた、突然変異に関する位置情報を提供するYeungによる方法を改良するものである(米国特許出願PCT/US97/08705の請求項7および8を参照)が、その性質は明らかにされていない。
実施例24:同一酵母種の異なる株間の変異の同定
本明細書に開示される本発明の第2の工業的用途において、同一酵母種の異なる株間の変異を同定することができる。
ゲノムDNAを、酵母株Aおよび酵母株Bから調製した。これらの酵母株はいずれも同一種Saccharomyces cerevisaeに属している。
DNAを制限酵素SacI(Fermentas)およびMseI(New England Biolabs)で消化した。1μgのDNAを、総容量40μlのSacI+緩衝液(Fermentas)中、15単位のSacIで消化した。更に、これに4μlのNEB2緩衝液および0.5μlの10mg/mlBSA並びに15単位のMseIを二回目の消化のために補った。
消化した後、T4 DNAリガーゼを用いて、標準的な連結反応条件下で合成アダプターを連結した:
−SacIアダプター(配列番号9および配列番号10)
−MseIアダプター(配列番号11および配列番号12)。
SacIアダプターをビオチン標識化した。
続いて、ビオチン標識ゲノム断片を実施例7におけるように選択した。
ここで、選択したDNAを、実施例8におけるように増幅したが、配列番号13および配列番号14として特定したプライマー並びにPfu DNAポリメラーゼを使用した。
株1の増幅からの産物、並びに株1および株2から増幅した産物の混合物を実施例3におけるように産生した基質に添加し、基質1(マッチ)および基質2(ミスマッチ)を作製した。
この材料から、株間の相違を決定した。
基質1により、複合DNA混合物の存在が背景ノイズを許容しがたいレベルまで上昇させるかどうかを決定することが可能になる。基質2により、SAMPADが複合DNA混合物の存在下で作用するかどうかを調査することが可能になる。
実施例20におけるようにSAMPADを行った。図16に示すように、複合DNAは、SAMPADが正しく機能することを妨げるものではない。
ヘテロ二本鎖分子がDNA複合混合物から同定可能であるかどうかを確認するために、磁性粒子を蒸留HOに再懸濁させ、ビオチン標識プライマーを使用したこと以外は、実施例3におけるようにPCR増幅用基質として1μlを使用した。これにより、PCR産物1(株1由来)およびPCR産物2(2株混合物由来)が生成された。
PCR産物1および2を、アッセイ20におけるように沈殿させ、DNAハイブリダイゼーション緩衝液(1XMES、200μl/ml ニシン精子DNA、1mg/ml ウシ血清アルブミン)に再懸濁し、95℃で10分間インキュベートし、ハイブリダイゼーション混合物を使用する準備を行う。
ハイブリダイゼーション用混合物を12時間DNAチップにハイブリダイズさせた。チップは多様なゲノミックSacI制限部位を認識できるオリゴヌクレオチドを含むものとした。
株1由来のサンプルと、2株混合物由来のサンプルとに存在する断片を比較すると、2株間の配列差異が目を引く。
図15におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
a)M:λPstマーカー。
b)1:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。株1酵母DNAで選択。選択前。
c)2:マッチDNA50%。ミスマッチDNA50%。株1および株2の混合酵母DNAで選択。選択前。
d)3:DNAニックトランスレーションについての陽性対照。選択前。
e)4:マッチDNA100%。ミスマッチDNA0%。株1酵母DNAで選択。3ラウンド選択。
f)5:マッチDNA50%。ミスマッチDNA50%。株1および株2の混合酵母DNAで選択。3ラウンド選択後。
g)6:DNAニックトランスレーションについての陽性対照。3ラウンド選択後。
実施例25:SAMPADスクリーニング実験
希少な突然変異のスクリーニングにおける本発明による方法の信頼性(robustness)を試験するために、盲検を行った。この実験は、どのサンプルにミスマッチDNAが含有されているかを操作者に知らせずに、10サンプルのうちの1つにあるミスマッチDNA分子を検出させることからなる。この状況は、完全に野生型の背景において希少な突然変異が検出される場合の、本方法の現実での用途を模したものである。10個の別個の反応を行い、そのうちの1つには、1:128、即ち、128個の分子につき1個の変異体DNA分子、の割合で変異体配列が包含されていた。
また、この実験では、内部対照DNAを追加してアッセイの再現性を確認した。この内部対照はいかなる可変性も有さず、変異が探索されるDNAと共に、反応の全工程を通して置いた。
DNA鋳型を実施例1および2におけるように調製し、基質を実施例3におけるように調製した。イネゲノムDNA上のプライマーFut.F(配列番号17)およびFut.R(配列番号18)の増幅産物を適切な制限酵素で消化し、適切に消化したプラスミドに挿入したことを除いて、内部対照の鋳型を実施例1と同様に調製した。内部対照基質を、実施例3と同様であるが、プライマーFut.F(配列番号17)およびFut.R(配列番号18)を用いて調製した。
プライマーCaEnh(配列番号15)およびGFPR(配列番号16)をサンプルDNAのために使用して900bpの断片を生成し、Fut.F(配列番号17)およびFut.R(配列番号18)を内部対照DNAのために使用して、320bpの断片を生成したことを除いて、実施例4におけるようにマスキングを行い、ヘテロ二本鎖構造を実施例5におけるように認識および修飾し、実施例20におけるように精製し、実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択し、実施例8におけるように同定した。
そして、図16に示すように、この実験は、本発明による方法が128個の分子につき1個の変異体分子を効果的に同定するのに十分な程高感度であることを示している。
図16におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
M:λPstマーカー。
m:100bp ラダー。
1:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
2:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
3:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
4:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
5:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
6:1/128ミスマッチ基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
7:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
8:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
9:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
10:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
11:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。選択前。
12:標識対照。選択前。
13:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
14:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
15:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
16:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
17:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
18:1/128ミスマッチ基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
19:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
20:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
21:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
22:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
23:マッチした基質。マッチした内部マスキング対照。9ラウンドの選択。
24:標識対照。9ラウンドの選択。
25:陽性PCR対照。
26:陰性PCR対照。
実施例26:APC遺伝子における突然変異の検出
この実施例では、ヒト腺腫様結腸ポリポーシス(APC)遺伝子における突然変異を分析した。これらの突然変異は、ヒトの結腸癌の発生と関連がある場合が多い。突然変異は、APC遺伝子のエクソン15の突然変異クラスタ領域(MCR)に最も頻繁に発現する。しかしながら、突然変異が典型的に発現する特徴的な特異的部位(「ホットスポット」)はない。むしろ、MCRはその全体が「ホット領域」であり、様々な突然変異がこの領域には頻繁に発現する。
この特徴的な特異的突然変異が存在しないため、許容しがたい程低い診断アッセイのためのごく小さな異常としての特定の突然変異の検出に適合した方法論を適用することができず、原因の突然変異のサブセットが特定される。APCのMCRは、本発明による方法に適した標的である。
図17において認められるように、本実施例では、本発明による方法がかかる突然変異に対してヘテロ接合の患者におけるAPCのMCRにおけるフレームシフト突然変異の検出を可能とすることを示している。
実験の概要
標準的な反応条件および熱サイクル条件(例えば、実施例3に記載されるような条件)下で、プライマーAPC1(配列番号19)およびAPC2(配列番号20)を使用して、患者のサンプルから得られたAPC遺伝子(配列番号22)のエクソン15のコドン1239〜1561を含むエクソン13からのゲノムDNAの増幅をPfuポリメラーゼを用いて行った。
実施例25におけるように、内部対照DNAを添加し、アッセイの再現性を確認した。この対照DNAを増幅するのに使用したプライマーは、Fut.F(配列番号17)およびFut.R(配列番号18)であった。
マスキングを実施例4におけるように行い、ヘテロ二本鎖構造を実施例5におけるように認識および修飾し、実施例20におけるように精製し、実施例6におけるように標識化し、実施例7におけるように選択した。PCR分析による同定は、プライマー対APC2(配列番号20)およびAPC3(配列番号21)を用いて、実施例8におけるように行った。これは、このアッセイで突然変異について分析したAPCRのMCRの一部分を増幅する。
診断APCの増幅により287bpの産物(配列番号23)が得られ、変異していない対照DNAは357bpの産物(配列番号24)を生成した。
図17におけるレーンは、左から右の順に以下のとおりである:
M:λPstマーカー。
1:フレームシフト突然変異のないAPC DNA。変異していない参照サンプル。選択前。
2:フレームシフト突然変異のあるAPC DNA。変異していない参照サンプル。選択前。
3:標識対照反応。APC DNAおよび変異していない参照サンプル。選択前。
4:フレームシフト突然変異のないAPC DNA。変異していない参照サンプル。6ラウンドの選択。
5:フレームシフト突然変異のあるAPC DNA。変異していない参照サンプル。6ラウンドの選択。
6:標識対照反応。APC DNAおよび変異していない参照サンプル。6ラウンドの選択。
7:陰性PCR対照。
8:陽性PCR対照。
図1は、精製プラスミドDNAのDNAニックトランスレーションによる標識化を示している。 図2は、Taq DNAポリメラーゼを用いたビオチンヌクレオチドによるDNAの標識化は37℃で行われるが、50℃ではるかに効果的であることを示している。 図3は、DNAニックトランスレーションとは完全に独立の代替の標識化方法を提供する、DNA標識化におけるDNAデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼの有効性を示している。 図4は、DNAニックトランスレーションへのDNAリガーゼの望ましくない干渉を示している。 図5は、DNAエキソヌクレアーゼ活性およびDNAポリメラーゼ活性が如何にDNA末端の標識化を引き起こし得るかについての論理的考察を例証している。太線は、DNAポリメラーゼ活性の結果を示しており、即ち、DNAポリメラーゼによるDNA標識化を示している。 図6は、ddGTPを用いた大腸菌DNAポリメラーゼIによるDNA損傷のマスキングが、行われた標識化の量を劇的に低減することを示している。 図7は、DNAがddGTPでマスクされたか否かにかかわらず、大腸菌DNAポリメラーゼIが線状DNA末端を無差別に標識化することを示している。 図8は、Taq DNAポリメラーゼを使用してDNA損傷およびDNA末端をddGTPでマスクすることにより、線状DNAのDNAニックトランスレーションにおける背景ノイズが最小限に抑えられることを示している。 図9は、異なる温度でのTaq DNAポリメラーゼを用いたddGTPマスキングを示しており、組み込みが50℃で最適に機能することを示している。 図10は、マングビーン・ヌクレアーゼにより処理されたミスマッチの検出を示している。 図11は、低レベルのSURVEYOR(商標)ヌクレアーゼを使用し、短いインキュベーション時間でミスマッチの認識および修飾を行うことにより、ニックを入れたDNA(処理されたヘテロ二本鎖DNA)が効果的に捕捉されることを示している。 図12は、DNAの標準的なエタノール沈殿がマスキングに及ぼす有害作用を示している。 図13は、スピンカラム精製が背景標識の増加をほとんど誘発しないことを示している。 図14は、本発明による方法全体の結果を示しており、当該方法が255個の正常な分子の存在下で1つの変異体分子を効果的に検出するほど十分に高感度であることを示している。 図15は、本発明による方法を用いた同一酵母種の異なる株間の変異の同定を示している。 図16は、SAMPADスクリーニング実験において本発明による方法を使用することにより、128個の分子につき1つの変異体分子が効果的に同定されることを示している。 図17は、本発明による方法を用いたヒト腺腫様結腸ポリポーシス(APC)遺伝子における突然変異の同定を示している。

Claims (30)

  1. ニックに変換可能な構造的特徴を含む核酸分子を選択的に検出するための方法であって、
    a)選択された核酸基質集団から線状核酸を生成し、
    b)前記線状核酸分子を変性およびリアニーリングして核酸二本鎖を形成し、
    c)前記核酸二本鎖の末端と内部の構造的特徴とをマスキング成分でマスクし、
    d)マスクされた核酸を、エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1種の酵素を用いてその中にニックを導入することによって修飾し、
    e)修飾された核酸を、核酸ポリメラーゼ活性を呈する少なくとも1種の酵素による核酸ニックトランスレーションによって標識ヌクレオチドで標識化し、
    f)標識化された核酸を選択および同定する
    ことを含んでなる、方法。
  2. 前記核酸基質集団が、天然供給源または合成供給源から得られるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記核酸基質集団が、真核生物から得られるもの、例えばRNAもしくはDNA、原核生物から得られるもの、例えばRNAもしくはDNA、合成核酸、例えばプラスミドベクターもしくは合成ベクター、ペプチド核酸、またはRNAウイルスもしくはDNAウイルスサンプルから得られるものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記マスキング成分が、5’−3’DNAポリメラーゼ活性およびターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有すると共に、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いた少なくとも1種の酵素であり、且つ、該酵素によって認識可能な前記核酸二本鎖の核酸二本鎖末端およびその内部の構造的特徴への、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体などのヌクレオチド成分の付加を触媒することができるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ヌクレオチド成分が、ジデオキシグアノシン三リン酸(ddGTP)などのジデオキシヌクレオチドである、請求項4に記載の方法。
  6. ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体である保護基の組み込みが、DNAポリメラーゼ酵素活性を有すると共に3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いた2種以上の酵素により行われる、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記酵素が、Taq DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ酵素である、請求項4または5に記載の方法。
  8. 前記マスキング工程が、37℃〜60℃の範囲の温度、例えば45℃〜55℃の範囲の温度、好ましくは48℃〜52℃の範囲の温度で行われる、請求項7に記載の方法。
  9. 前記マスキング工程が、約30分〜18時間、例えば45分〜10時間の時間間隔、好ましくは約60分〜120分の時間間隔で行われる、請求項7または8に記載の方法。
  10. マスクされた核酸の認識および修飾が、少なくとも1種のミスマッチエンドヌクレアーゼ酵素を使用して、短いインキュベーション期間で行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ミスマッチエンドヌクレアーゼ酵素が、Cel1「SURVEYOR」などのCel1ミスマッチヌクレアーゼ、およびS1ヌクレアーゼまたはマングビーン・ヌクレアーゼなどの一本鎖特異的エンドヌクレアーゼからなる群から選択されるものである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記インキュベーション期間が約2〜7分である、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記インキュベーション温度が約37℃〜45℃の範囲である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ヘテロ二本鎖NA分子の認識および修飾が化学反応によって行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  15. 修飾された核酸の標識化が、TaqポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼおよび/またはDNAターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いて行われる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ヌクレオチド標識がビオチンである、請求項15に記載の方法。
  17. 標識化された核酸の選択が、ストレプトアビジンで被覆した磁性粒子を用いて行われる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 標識化された核酸がPCRを用いて同定される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記基質集団がRNAからなるものである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記基質集団がDNAからなるものである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記核酸基質集団が、非天然構造を有すると共に、天然の核酸分子と相互作用することができるペプチド核酸分子からなるものである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記核酸基質集団が、真核生物、原核生物、ウイルスおよびプラスミド核酸のいずれかの混合物である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記基質核酸分子が、直接抽出によって得られるか、in vitro増幅によって得られるか、または合成により得られるものである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 線状化核酸分子の集団を調製するための手段;少なくとも一種のマスキング剤;少なくとも一種のマスキング成分;エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1種のニッキング酵素;少なくとも1種の標識化剤;ならびに核酸ポリメラーゼ活性を有するか、またはこれを呈する少なくとも1種の酵素調製物を含んでなる、本発明による方法で使用するのに適したキット。
  25. ddGTPなどのジデオキシヌクレオチドおよびAZTなどの他のヌクレオチド類似体から選択されるマスキング剤をさらに含んでなる、請求項24に記載のキット。
  26. 酵素的マスキング成分または化学的マスキング調製物をさらに含んでなる、請求項25に記載のキット。
  27. 5’−3’DNAポリメラーゼ活性およびターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を有すると共に、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いた少なくとも1種の酵素であり、且つ、該酵素によって認識可能な前記核酸二本鎖の核酸二本鎖末端およびその内部の構造的特徴への、ヌクレオチド類似体などのヌクレオチド成分の付加を触媒することができる酵素的マスキング成分を含む、請求項25または26に記載のキット。
  28. エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1種のニッキング酵素を含む、請求項27に記載のキット。
  29. 標識化剤としてビオチンを含む、請求項24〜28のいずれか一項に記載のキット。
  30. 核酸ポリメラーゼ活性を呈する酵素調製物を含み、該酵素調製物が、TaqポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼおよび/またはDNAターミナルデオキシヌレオチジルトランスフェラーゼから選択される、請求項24〜29のいずれか一項に記載のキット。
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