JP2007531724A - 5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する抗体及びその使用 - Google Patents

5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する抗体及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は新規な免疫原、MTA(5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン)に高い特異性を有する新規な抗体、この抗体を用いた治療及び製剤、及びスペルミジンシンターゼの活性を測定する高感度なアッセイを提供する。

Description

本発明は、2004年4月5日に出願された日本出願特願2004−111373号の優先権を主張するものである。この出願の内容は、本明細書中に引用することにより本出願に援用される。
本明細書中には、種々の特許や科学技術文献が引用されている。これらの文献の内容は、より詳細にこの発明が属する技術水準を完全に示すものとして、そのまま本明細書中に引用することにより本出願に援用される。
(技術分野)
本発明は、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(以下MTAともいう。)に対する特異性の高い抗体を提供する。さらに、この抗体を用いたアッセイ法やこの抗体の薬学的用途を提供する。
(背景技術)
スペルミジンシンターゼ(以下SPDSともいう。)は、以下に示す反応式によりスペルミジンを合成する。スペルミジンは塩基性低分子有機化合物であるポリアミンの1種であり、タンパク質及び核酸合成の盛んな組織中に多く含まれている。スペルミジンは核酸との相互作用による核酸の安定化と構造変化に関っており、種々の核酸合成系への促進作用を有し、タンパク質合成系の活性化等の多岐にわたる生理的作用を示す物質として知られている。そのため、動物組織におけるスペルミジンシンターゼの活性測定方法の研究が行われてきた。
Figure 2007531724
スペルミジン(Spermidine)は、3つの生物活性ポリアミンの中の1つであり、他の2つはプトレッシン(putrescine)とスペルミン(spermine)である。ポリアミンは、細胞増殖と細胞分化の制御に重要な細胞成分のグループを構成する。それらの正確な機能はまだ解明されていないが、ポリアミンは複製、転写、および翻訳などの多くの細胞過程において重要な役割を果たしていることが示唆されている。
ポリアミン生合成経路は、2つの高度に制御される酵素、オルニチン脱炭酸酵素(ornithine decarboxylase)およびS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(S-adenosylmethionine decarboxylase)、並びに、2つの構成的に発現される酵素、スペルミジンシンターゼおよびスペルミンシンターゼからなる。スペルミジンシンターゼは、プトレッシン(1,4−ジアミノブタン)の3−アミノプロピレーション(3-aminopropylation)を触媒してスペルミジンを産生する74kDaの蛋白質である。スペルミジンの生合成は、SAM脱炭酸酵素によるS−アデノシルメチオニン(SAM)のSアデノシル−3−メチルチオプロパンアミン(脱炭酸化SAM)への脱炭酸反応、及びオルニチン脱炭酸酵素によるオルニチンのプトレッシンへの脱炭酸反応を必要とする。そして脱炭酸化SAMは、スペルミジンシンターゼと反応して、この酵素のアミノプロピル化形態を産生し、そしてそれはアミノプロピル基をプトレッシンに転移してスペルミジンおよび5’−メチルチオアデノシン(MTA)を産生する。活性酵素は、2つの同一サブユニットの二量体であり、補酵素を必要とせず、且つアミノプロピル供与体としてdcAdoMetおよび受容体としてプトレッシンを使用する。
プトレッシン、スペルミジンおよびスペルミンは、軟骨を含む多くの生体組織において見つけられている。それらの形成(ODCにより触媒される)は、骨において軟骨の形質転換(transformation)が誘導される期間に観察される。副甲状腺ホルモン(グリコサミノグリカンの合成を刺激する)は、ODC活性を誘導し且つ培養下の分化したウサギ肋骨軟骨細胞のポリアミンレベルを増加させる。休息中の軟骨は、プトレッシンを欠いている。骨化している軟骨は、休息中の区域に比べてより多くのポリアミンを含有している(組織重量およびDNA量に基づく)。骨化している区域のスペルミジン量は5倍高く、スペルミン量は約2倍である。スペルミジン/スペルミン比は、骨化している軟骨において1.7であり、休息中の区域においては0.69である。スペルミジンのみが、セファロース4B―タイプIIコラーゲンのカラムからプロテオグリカンサブユニットを置換する能力を示した〔Franco Vittur et al.(1986).A possible role for polyamines in cartilage in the mechanism of calcification. Biochimica et Biophysica Acta 881:38-45〕。
プロテオグリカンユニットとコラーゲンとの相互作用におけるポリアミンの効果を、プロテオグリカンサブユニットを充填したセファロース4B―コラーゲンのカラムからのプロテオグリカンの溶出により試験した。プトレッシンおよびスペルミンには効果がないにもかかわらず、スペルミジンはプロテオグリカンサブユニットを置換する強い能力を示した、即ちプロテオグリカンサブユニットの約90%が前記カラムから除去された。スペルミンおよびスペルミジンは、軟骨で産生されたアルカリホスファターゼの活性を増加させた。スペルミジンは、経骨性軟骨(preosseous cartilage)の休息中の区域の細胞において観察された。細胞染色は消失し、増殖している細胞および円柱細胞(columnar cells)の区域と接近している。スペルミジンの染色は、軟骨細胞の肥大(hypertrophy)が開始された円柱細胞の境界(limit)のマトリックス中においてのみ顕著である。3つのポリアミンのなかで、スペルミジンは最も多く:スペルミジン/スペルミンの高モル比は、急速な成長の指標として採用されている。スペルミジンの最大量は、骨化している領域において認められている。
ポリアミン代謝
前駆体であるプトレッシンおよび脱炭酸化S−アデノシルメチオニン(dcAdoMet)の合成は、2つの脱炭酸酵素、オルニチン脱炭酸酵素(ODC,EC4.1.1.17)およびS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(AdoMetDC, SamDC, EC4.1.1.51)の作用により誘発される。これらの酵素は、成長因子およびそれらのレベルを増加させる他の刺激の双方により並びにポリアミン自身(それらの活性を低減させる)により非常に高度に制御される。これらの因子(agents)の組み合わせ効果は、ポリアミンレベルを細胞の成長および分化に必要なレベルに調整することである。ODCおよびAdoMetDCの活性の交代(Alternation)は、ポリアミンレベルを制御する主な原動力である。アミノプロピル転移酵素、プトレッシンアミノプロピル転移酵素(PAPT, スペルミジンシンターゼ, EC2.5.1.6)およびスペルミジンアミノプロピル転移酵素(SAPT, スペルミンシンターゼ, EC2.5.1.22)の活性は、主にそれらの基質の有効性により制御される。ポリアミンは、細胞内でのそれらのデノボ合成に加えて、特定の輸送系による摂取の結果としても取得できる。この輸送系は、細胞内ポリアミン含有量によりネガティブに、また成長因子および癌遺伝子によりポジティブに制御される。前記輸送系の存在およびポリアミン枯渇による前記輸送系の活性の増強が、ポリアミン合成の阻害効果の改善における重要な因子である。外因性のポリアミンの摂取は、これらの阻害剤(抗腫瘍因子としての)の臨床試験が不成功であったことの重要な要因であろう。最終的に、ポリアミンレベルは、相互交換(interconversion)、酸化および流出(efflux)の結果として変化させることが可能である。ポリアミンの末端の窒素原子の酸化は、主に細胞外に局在すると思われるCu+2含有酸化酵素により達成されるが、細胞からそれらを完全に除くことは達成されていない。細胞からのポリアミンの相互交換および流出は、ポリアミンのアミノプロピル端をアセチル化してN−アセチルスペルミンおよびN−アセチルスペルミジンを形成するスペルミジン/スペルミン−N−アセチル転移酵素(SSAT, EC2.3.1.57)の作用によって促進される。これらのアセチル誘導体は、細胞の多価陰イオン(polyanions)とそれほど強くない程度で結合し、排除されるか又は迅速に代謝される。それらは、ポリアミン酸化酵素(PAO)と称されるFAD依存性酸化酵素により内部の窒素原子を酸化され、N−アセチルアミノプロパノールを分離し、そしてスペルミンをスペルミジンに、そしてスペルミジンをプトレッシンへと転換させる。この経路の制限要因はSSATの活性である。SSATは通常非常に低いが、ポリアミンの細胞内含有量の増加により又は毒性刺激の適用により多大に誘導され、膜および細胞オルガネラからのポリアミンの放出を生じさせる。生理的な条件下において、PAOは非アセチル化ポリアミンに対する活性を若干有しているか又は有していない。
スペルミジンシンターゼの活性を測定する手法としては、基質であるプトレシンや脱炭酸化S−アデノシルメチオニン(以下dcSAMともいう。)を14Cで標識してイオン交換クロマトグラフィー(J. Biol. Chem 1969年、第244巻、p682)、ペーパー電気泳動法(Biochem. J, 1978年、第169巻、p709)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により測定する方法(Journal of Chromatography 1981年、第226巻、p208)が報告されている。しかし、これらの方法はいずれも反応後に測定対象を分離する工程を要するために非効率的であり時間を要していた。
また、放射線免疫測定法(RIA)によりSPDSの酵素活性を測定する方法が報告されている(Journal of Chromatography 1988年、第440巻、p141、J. Biochem. Mol. Biol. 1997年、第30巻、p403、J. Biochem. Mol. Biol.1997年、第30巻、p443)。一般的にこのような免疫学的手法により検出を行うには特異性の高い抗体が必要である。先行技術は反応副産物の5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する抗体を用いているが、いずれもポリクロナル抗体であり、しかもその抗体価(titer)は2,000倍程度と低かった。また5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと類似構造を有する脱炭酸化S−アデノシルメチオニンとの交差反応性は約1%であり特異性も低かった。このような抗体では固相酵素免疫測定法(以下ELISAともいう)を始めとする免疫学的検出方法への適用が難しく、その検出能を十分に引き出せない場合がありその改善が望まれていた。
変形性関節症(OA)は、よく知られた、消耗性(debilitating)で、治療に金のかかる疾患であり、現在不治の疾患である。新規の治療アプローチが明らかに必要とされている。本疾患は、軟骨細胞の異常機能、関節の軟骨組織内の軟骨細胞の終末分化(terminal differentiation)および骨形成開始、および正常軟骨マトリックスの崩壊によって特徴づけられる。
OAの疫学
OA〔間違って変性関節疾患(degenerative joint disease)とも称される〕は、可動関節性(diarthrodial)〔可動性(movable)、滑膜が裏打ちされた(synovial-lined)〕の関節の不全(failure)を代表する疾患である。特発性(一次性)OA(本疾患の最も一般的な形態)において、如何なる素因(predisposing factor)も明らかとはなっていない。
二次性OAは、特発性(idiopathic)OAと病理学的に区別できないが、その根底にある原因を何かの原因に帰属させることはできる。OAは、全てのヒトの関節障害において最も一般的な疾患であり、米国および全世界において最も蔓延している関節炎状態である。様々な試験の臨床評価に基づくOA罹患率の推測は、70歳を越える集団の90%を越えるヒトがOAを有していることを示している。本発明は、本疾患の療法および予防の新規手段の開発を課題とする。
OAの病因
OAは、関節軟骨の欠陥のある全体性(defective integrity)、加えて関節の周縁(margins)に存在する硬骨(bone)の相関する変化、に関連する関節の症状(symptom)および徴候(signs)を生じる状態の不均一なグループである。OAは、特発性(即ち、一次性)または他の病状(炎症性、生化学性、内分泌関連、代謝性、および解剖学的もしくは発生学的な異常)に対しての二次性の何れかであろう。年齢は、OAの最も大きなリスク因子であるが、重い外傷および反復性の関節の使用もOAの重要なリスク因子である。OAにおける関節の関与のパターンは、以前の職業(vocational)または副業(avocational)での過重負担によっても影響される。
本疾患は、2つの一般的な段階、即ち、(1)代償性(compensated)および(2)代償不全性(decompensated)の段階を有している。現在、多くの研究者は、主な変化が軟骨細胞外マトリックスにおいて外因性の原因(即ち、負荷、負傷など)によって発生するとの印象をもっている。軟骨のコラーゲンネットワークにおける欠陥は明白であり、そしてリソゾーム酵素および分泌されたプロテアーゼ(MMPs、プラスミン、カテプシン)が、おそらく軟骨マトリックスにおいて最初に観察される変化の原因となっている。それらの合成および分泌は、IL−1または他の因子(例えば、機械的な刺激)によって刺激される。疾患の初期段階において、補償的な細胞応答が活性化される。軟骨細胞によって分泌されるTIMPおよびPAI−1のようなプロテアーゼ阻害剤は、プロテアーゼ活性に対向することにより系を安定化させる。IGF−1およびTGF−βなどの成長因子は、損傷を治癒させる修復プロセスに関係しており、少なくとも軟骨細胞系統(chondrogenic lineage)の細胞の増殖を活性化することによって前記プロセスを安定化する。最終的に、これは肥大性(hypertrophic)軟骨細胞の蓄積を生じる。後者の細胞は、プロテオグリカン(PG)濃度が増大する際に発現する顕著な生合成活性を有しており、軟骨の肥厚に関係している(「代償性」OA)。代償性の機構は、幾年にもわたり適度な機能的状態に関節を維持し得る。しかしながら、修復組織は持続することはなく、PG合成の速度は軟骨の厚さが完全になくなることに伴って減少する。これはOAの代償不全段階を示している。関節軟骨の崩壊に続いて、組織障害の部位への前駆細胞の移動を生じる。これらの細胞は、増殖して4つの細胞タイプに分化する、即ち、骨芽細胞(osteoblasts)、軟骨芽細胞(chondroblasts)、軟骨吸収細胞(chondroclasts)および線維芽細胞であり、これらは協力して関節空間に突出する骨増殖体(osteophytes)と称される骨様の構造体を形成し、このようにしてその動きが阻害されることになる。最終的に、徐々に軟骨の硬骨による置換が生じる。
この現象の原因は、知られていない。1つの可能性は、OAにおいて関節軟骨細胞または滑膜線維芽細胞の正常な阻害的な成長の制御が変化することである。これは、正常な関節軟骨には認められない2タイプの細胞の蓄積を可能にするものであり、これらの細胞とは、(1)修正された特性を有する未成熟の間葉(mesenchymal)および骨髄の細胞、並びに(2)肥大性関節軟骨細胞(hypertrophic articular chondrocytes)である。以前の結果は、肥大性軟骨細胞が脈管形成性(angiogenic)および骨形成性(osteogenic)因子の分泌によって骨形成(osteogenesis)を引き起こし得ることを明瞭に示している〔Horner, A., Bishop, N. J., Bord S., Beeton, C., Kelsall, A. W., Coleman, N. and Compston, J. E. (1999). Immunolocalisation of vascular endothelial growth factor (VEGF) in human neonatal growth plate cartilage. J. Anat. 194: 519-524〕。
OAにおける治療上の干渉(therapeutic interference)は、3つの主なプロセスを標的とするものである。3つのプロセスとは、即ち、
・初期の軟骨障害の阻止
認可された治療戦略の一つ、関節への物理的圧力の減少を推奨することと、メタロプロテアーゼの阻害剤による治療との組み合わせ;
・後期段階での全体の軟骨破壊の阻止または減弱
軟骨リハビリテーション(即ち、完全に機能的な関節軟骨組織を産生することができる成熟軟骨細胞への、間葉の前駆体の適切な分化の促進)につながるプロセスの治療的な活性化を意味している;
・疾患の終結段階における骨増殖体形成の阻止または減弱
関節軟骨の部位での異所性(ectopic)の骨形成の治療的な阻害を意味している。
それ故、発明者は、前駆細胞の軟骨細胞への分化を刺激もしくは阻害する、および/または、前駆細胞の骨芽細胞への分化を刺激もしくは阻害する特定の因子をコードする標的遺伝子の同定を試みた。
既知の骨形成因子であるIL−1、FGF−2および機械的ストレスに起因する遺伝子発現の変化は、OA発症と関連するものであり、それ故、治療介入により妨害されるべき現象である。驚くべきことに、FGF−2によりアップレギュレートされた遺伝子の一つがスペルミジンシンターゼ遺伝子であることが本発明者らによって見つけられた(米国特許第6696454号参照、この内容は本出願に援用される)。このことは、スペルミジンシンターゼ遺伝子がOA経路に関与しているだろうことを示唆していた。
(発明の詳細な説明)
本発明の課題は、MTAと特異的に結合するポリクロナル抗体及びモノクロナル抗体およびこれらを利用した高感度のアッセイ法を提供することである。
従来は、過ヨウ素酸酸化法(Erlangerら、1964)によりMTAの糖部分を開環してキャリアタンパクを結合した一般式(IV)
Figure 2007531724
(式中、Xはキャリアタンパクである)
で示される免疫原により抗体を作製していた。
しかし本発明者らは鋭意工夫を重ねてMTAの塩基部分にリンカーを導入した一般式(III)
Figure 2007531724
(式中、nは1以上の整数、Xはキャリアタンパクである)
で示される免疫原を用いることによりMTAを特異的に認識する抗体を作製することができることを見出した。
すなわち本発明は、以下の発明を包含するものである。
[1]5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと特異的に結合するモノクロナル抗体。
[2]5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する反応性を100%とした場合に、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンに対する交差反応性が0.1%以下である上記[1]記載のモノクロナル抗体。
[3]該交差反応性が0.01%以下である上記[1]記載のモノクロナル抗体。
[4]5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する反応性を100%とした場合に、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンに対する交差反応性が0.1%以下であるポリクロナル抗体。
[5]一般式(I):
Figure 2007531724
(式中、nは1以上の整数、−C(=O)−ORは活性エステルである)
で表される化合物。
[6]一般式(I)で表される化合物においてnが5である[5]記載の化合物。
[7]Rが以下の式(II):
Figure 2007531724
で表される[6]記載の化合物。
[8]5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンのプリン基にキャリアタンパクを結合させることを特徴とする免疫原。
[9]一般式(III):
Figure 2007531724
(式中、nは1以上の整数、Xはキャリアタンパクである)
で表される上記[8]記載の免疫原。
[10]一般式(III)で表される化合物においてnが5である上記[9]記載の免疫原。
[11]Xがカギアナカサガイのヘモシアニンである上記[10]記載の免疫原。
[12]上記[8]から[10]のいずれかに記載の免疫原に対する上記[4]記載のポリクロナル抗体。
[13]上記[8]から[10]のいずれかに記載の免疫原に対する上記[1]から[3]のいずれかに記載のモノクロナル抗体。
[14]5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと特異的に結合するモノクロナル抗体を産生するハイブリドーマ。
[15]受託番号がFERM−ABP10226である上記[14]記載のハイブリドーマ。
[16]上記[15]に記載のハイブリドーマによって産生される上記[1]から[3]のいずれかに記載のモノクロナル抗体。
[17]標識されたものである上記[1]から[4]のいずれかに記載の抗体。
[18]該標識が、酵素、蛍光物質、着色ビーズ、放射性同位元素、金属類、またはビオチンである上記[17]記載の抗体。
[19]標識がペルオキシダーゼである上記[18]記載の抗体。
[20]標識がユウロピウムクリプテートである上記[18]記載の抗体。
[21]上記[1]から[4]のいずれかに記載の抗体を用いたアッセイ法。
[22]抗体を用いたアッセイ法がELISA法である上記[21]記載の方法。
[23]抗体を用いたアッセイ法がホモジニアスアッセイ法である上記[21]記載の方法。
[24]該ホモジニアスアッセイ法が蛍光共鳴エネルギー転移を用いたアッセイ法である上記[23]記載の方法。
[25]スペルミジンシンターゼの活性を測定するものである上記[21]から[24]のいずれかに記載の方法。
[26]変形性関節症の治療・予防剤を探索するものである上記[21]から[25]のいずれかに記載の方法。
本発明の抗体を用いることによって5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンを高感度で検出することが可能となり、ELISA法やホモジニアスアッセイなど迅速、簡便で高感度なアッセイが可能となった。また本発明の抗体はスペルミジンシンターゼの活性の測定、さらには変形性関節症の治療・予防剤の探索に利用できる。
さらに別の側面では、本発明は疾患の治療が必要である被検者の治療方法に関するものである。この方法は、前記被験者に、MTAを実質的に阻害するのに有効である量のMTA阻害剤を被験者に投与することを含み、これによって前記被験者を治療する方法である。
前記疾患には、スペルミジンシンターゼが関与するものであり、好ましくは変形性関節症であるがガンを初めとする増殖性疾患、骨粗鬆症、アルツハイマー病および高血圧症である。スペルミジンシンターゼやスペルミジン生合成経路におけるその他の酵素の活性が病的要因であるいずれの疾患の治療にも期待できる。
阻害剤としては、上記の(1)〜(4)、(12)〜(13)及び(16)〜(20)に記載されたいずれかの抗体、場合によっては担体と結合したもの、これらの抗体を含む組成物および/もしくは上記の(5)〜(7)のような抗体を含む化合物が好ましく、これらは全て本明細書に述べられている。本発明のこのような側面は、開示されている抗体もしくは化合物を含む薬学的組成物を提供することになる。
記載されている抗体及び化合物は本質的にはポリアミン生合成経路の阻害剤である。そして、これらは単独でもしくは、場合によってはその他の活性成分を添加した薬学的組成物として、哺乳類被験者のOAの治療に用いられる。
記載されている抗体、化合物及び組成物は治療用組成物、好ましくはOAの治療用として使用できるかもしれない。好適な態様によれば、本発明の組成物は更に随意的に薬学的または獣医学的に許容される単体、賦形剤および/または希釈剤を含んでいてもよい。
動物モデル
本明細書に記載されている種々の試験系に加えて、本発明の化合物の薬効評価は次に挙げる試験系によって評価できる。:インビトロ細胞培養、エックスビボ細胞培養、エックスビボ器官培養およびインビボ動物モデルである。これらの試験系では、MTAもしくはスペルミジンシンターゼを内在性もしくは外在性のいずれかの様式で発現されてもよい。この試験系は、随意的に内在性および/または外因性の因子を更に含んでいてもよく、該因子はスペルミジンの発現に対して適切な条件を提供し、且つ軟骨細胞増殖、軟骨細胞最終分化、脈管形成および破骨発生の何れか1つを決定するための終点の指標の検出に対して適切な条件を提供する。
選択した試験アッセイ系に依存して、軟骨細胞増殖、軟骨細胞最終分化、脈管形成および破骨発生の阻害は、様々な方法で観察することができる。その方法は、細胞内染色アッセイ(免疫組織化学を含む)および観察可能なパラメータに影響するアッセイ(例えば、細胞周期の変化などの生理学的なリードアウト)を含む。
好適な態様によると、前記候補阻害剤の効果を評価するために、本発明の方法に使用される試験系は、インビトロでトランスフェクションした細胞培養(cell culture)である。試験される細胞は、外因性に発現するスペルミジンシンターゼを保持する。
代替となる態様において、評価の目的で本発明の方法に使用される試験系は、エックスビボ骨培養であり、これは内在性に発現するスペルミジンシンターゼを含んでいる。好ましくは、使用される骨培養は、胚の骨培養(embryonic boneculture)である。
別の代替となる試験系は、インビボ系であり、これは動物モデル系である。本発明の方法によると、評価目的の動物モデルの使用は、終点の指標として関節炎の発生を利用可能とする。終点の指標として使用される関節炎の発生は、例えば、前記動物の足(paw)の厚さを測定することにより決定されてもよい。足のサイズにおいてコントロールで観察された増加よりも少ない如何なる増加も、前記試験候補阻害剤による軟骨細胞増殖、軟骨細胞最終分化、脈管形成および破骨発生、或いは関節炎の発生の阻害の指標である。
好適な一試験系において、適切な動物モデルは、トランスジェニックマウスであってもよい。
更に別の好適なインビボ試験系において、内在性のスペルミジンシンターゼを発現している関節炎哺乳類モデルは、本発明の評価方法によって使用されてもよい。この態様によると、前記関節炎動物により、終点の指標として関節炎の発生を利用することができる。
特に好適な態様によると、前記関節炎哺乳類は、関節炎ラットまたは関節炎マウスであってもよい。
別の代替となる試験系は、動物モデルのインビボ系であってもよい。本発明の方法によると、評価目的で動物モデルを使用することにより、関節炎の発生を終点の指標として利用できる。終点の指標として使用する場合、関節炎の発生は、試験動物の足の厚さを測定することにより決定し得る。足の厚さの増加がコントロールに比べて低いことが、試験する候補阻害剤による軟骨細胞増殖、軟骨細胞最終分化、脈管形成および破骨発生、或いは関節炎の発生の阻害の指標である。
好適な一試験系において、適切な動物モデルは、外因性にスペルミジンシンターゼを発現しているトランスジェニックマウスであってもよい。より具体的には、前記トランスジェニックマウスは、コラーゲン・タイプIIプロモータの支配下でスペルミジンシンターゼ遺伝子を発現する。
この特定の態様によると、このインビボ試験系を使用した候補スペルミジンシンターゼ阻害剤の効果の評価は、通常スペルミジン生合成を生じる条件下で、試験する候補阻害剤を前記トランスジェニックマウスに適用することを伴う。これらの特に適切な条件は、例えば、前記候補阻害剤の適用前にSAMなどのスペルミジンシンターゼ基質を、試験されるトランスジェニックマウスに供給することであってもよい。
更に別の好適なインビボ試験系において、内在性スペルミジンシンターゼを発現している関節炎哺乳類モデルは、本発明の評価方法に使用し得る。この態様によると、関節炎動物を使用することで関節炎の発生を終点の指標に利用できる。関節炎の発生は、検査した関節炎哺乳類の足の厚さを測定することにより決定されてもよい。コントロールと比較した際の足のサイズの低い増加は、前記試験する候補阻害剤による軟骨細胞増殖、軟骨細胞最終分化、脈管形成および破骨発生のうちの何れか1つの阻害、並びに関節炎の発生の阻害の指標である。それ故、関節炎動物試験系での前記候補阻害剤の効果は、これまで議論したような分化および増殖の終点を使用して更に検査される。
「5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン」は、スペルミジンまたはスペルミンなどのポリアミンが生合成される過程において、脱炭酸化S−アデノシルメチオニン等から産生される。5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンは各臓器におけるポリアミンシンターゼの活性測定のほか、腫瘍のマーカーとしても用いられる。
「脱炭酸化S−アデノシルメチオニン」は、ポリアミン生合成過程でスペルミジンシンターゼもしくはスペルミンシンターゼの基質として、スペルミジンやスペルミン等の合成にアミノプロピル基供与体として利用される。なお、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンは、S−アデノシルメチオニン(SAM)から脱炭酸化酵素による脱炭酸反応によって生成する。
「交差反応性(以下、cross reactivityともいう。)」は、免疫交差反応性のことをいう。ある抗原で免疫することにより得られた抗体が別の抗原(関連抗原)とも結合反応を示すときに、この反応を交差反応という。目的とする抗原とその抗体の反応量を基準とした場合に関連抗原とその抗体との反応量の程度を交差反応性として示すことができる。本明細書中においてはMTAとdcSAMの親和性の相対値(%)で示した。値が低いほど交差反応性が低く、目的の抗原に対して特異性を有することを示す。主に目的抗原と関連抗原の構造が非常に類似しているために起こることが多い。
本発明抗体においても、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと脱炭酸化S−アデノシルメチオニンはその構造が類似していることにより交差反応が起きると考えられる。その測定法の一例を実施例に示す。本発明にかかるポリクロナル抗体は5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する反応性を100%とした場合に、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンに対する交差反応性が0.1%以下であるポリクロナル抗体である。また本発明にかかるモノクロナル抗体は5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと特異的に結合するモノクロナル抗体であり、好ましくは5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する反応性を100%とした場合、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンに対する交差反応性が0.1%以下であるモノクロナル抗体であり、さらに好ましくは該交差反応性が0.01%以下であるモノクロナル抗体である。
「抗体価(titer)」とは、血清反応において、抗血清の単位容量中に含まれている、抗原に対して結合する抗体量をいう。実際の測定は抗血清の希釈系列に対して一定量の抗原を加えて行い、測定値は反応の生じる終末点における希釈倍数であらわす。
「親和性(affinity)」とは抗原抗体間の結合力をいう。本明細書中においては、抗体に対する標識MTAの結合量を50%阻害するMTAもしくはdcSAMの濃度(IC50値)を指標として親和性を示した。IC50値はlogistic曲線による回帰モデル(Rodbardら、Synposium on RIA and related procedures in medicine, P165, Int.Atomic Energy Agency, 1974)で算出した。
「ハプテン」とは、部分的な、または不完全な抗原である。ハプテンは主として低分子量の物質であり、単独では抗体の産生を刺激する能力はないが、化学的方法や架橋剤によりキャリアタンパクと結合させて人工抗原として免疫するとハプテンに対する抗体を得ることができる。本発明においては5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンは低分子化合物であるため単独で抗体を産生することは難しいと考えられることから通常は異種のタンパク質や合成ポリペプチドなどのキャリアタンパクとの複合体を調製して免疫原に用いた。
ハプテンをキャリアタンパクと結合させる場合、通常は反応性官能基を導入したハプテンの誘導体を作製する。この誘導体を本明細書中では「活性化ハプテン」という。活性化ハプテンには特異性の高い抗体を作製するために適当な長さのリンカー(架橋)を用いることができる。また、抗体が認識するのはハプテンの部分構造であるが、この認識部位は反応性官能基の導入位置により影響を受けるので、目的とする抗体に応じて、反応性官能基の導入部位を適切に選択することが重要である。
本発明にかかる「活性化ハプテン」は、従来のようにヌクレオチド体の糖部分について反応性を高めたものではなく塩基部分のプリン基に反応性官能基を導入したことを特徴とするものであり、好ましくは一般式(I)
Figure 2007531724
(式中、nは1以上の整数、−C(=O)−ORは活性エステルである)
で示される化合物のように6位のNH基に反応性官能基を導入したものである。
反応性官能基とハプテンを架橋するリンカーはいずれの長さでも良いが、例えば直鎖状アルキレン鎖であれば、好ましくは炭素数1以上の長さを有するものであり、さらに好ましくは1〜10の長さを有するものであり、特に好ましくは炭素数5を有するものである。また反応性官能基はキャリアタンパクのアミノ残基と結合する反応性が高いものであればよく、好ましくは活性エステル体(例えば、コハク酸イミド体、フタルイミド体、マレイミド体など)である。活性化ハプテンは、特に好ましくは、式(V)
Figure 2007531724
で表される化合物である。
「キャリアタンパク」には、抗原性を高めることが知られている各種のタンパクをいずれも使用できる。その例としては、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、ウシチオグロブリン(BTG)、カギアナカサガイのヘモシアニン(KLH)などの高分子物質のほかに合成ポリペプチドなどを例示できる。
「免疫原」とは、本明細書で使用される場合、生物において免疫応答を生じる、または引き起こす能力を有する物質を表す。本発明の免疫原としては5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの抗原決定基になりうる部分構造を有する活性化ハプテンとキャリアタンパクとを連結してなり、好ましくは5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンのプリン基にキャリアタンパクを結合させたものであり、より好ましくは一般式(III):
Figure 2007531724
(式中、nは1以上の整数、Xはキャリアタンパクである)
で表される免疫原であり、さらに好ましくはnが1〜10である免疫原であり、特に好ましくはnが5である免疫原である。またXはカギアナカサガイのヘモシアニンが好ましい。
本発明の抗体の製造に用いられる免疫原は、活性化ハプテンとキャリアタンパクを用いて、Antibodies:A Laboratory Manual,(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)等に記載されている活性エステル法により作製することができる。またAntibodies:A Laboratory Manual,(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)等に記載のその他の方法、例えば、カルボジイミド法やグルタルアルデヒド法やジアゾ法によっても作製できる。
ポリクロナル抗体は、例えば免疫原で免疫した哺乳動物から採血することにより得られる。該方法において、免疫原で免疫される哺乳動物としては、一般には、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラットなどが用いられる。今回はモノクロナル抗体とポリクロナル抗体の性能を同一種で比較するために、マウスを被免疫動物として用いた。
免疫方法は一般的方法により、例えば免疫原を哺乳動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内注射などにより投与することにより行い得る。より具体的には、例えば免疫原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)、生理食塩水などで適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュバントと併用して、供試動物に2〜3週間間隔で数回投与する。マウスを用いる場合は、一回の投与量を一匹あたり50〜100μg程度とする。ここで前記アジュバントとは抗原と共に投与したとき、非特異的に抗原に対する免疫反応を増強する物質をいう。通常用いられるアジュバントとしては、百日咳ワクチン、フロインドアジュバントなどを例示できる。最終免疫後3〜10日目に哺乳動物の採血を行うことによって、抗血清を得ることができる。抗血清についてはそのままでも、また精製してポリクロナル抗体としても使用できる。
ポリクロナル抗体の精製方法の例としては非特異的精製法と特異的精製法が挙げられる。非特異的精製法とは塩析法やイオン交換クロマトグラフィ法などにより主にイムノグロブリン画分を取得することを目的とする。特異的精製法としては固定化抗原によるアフィニティクロマトグラフィー法などが挙げられる。
モノクロナル抗体の製造方法は、免疫原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)と哺乳動物の形質細胞腫細胞(ミエローマ細胞)との融合細胞(ハイブリドーマ、hybridoma)を作製し、これより所望の5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンを認識するモノクロナル抗体を産生するクローンを選択し、該クローンを培養することにより実施できる。このモノクロナル抗体の製造は、基本的には常法に従うことができる(Kohler, G. and Milstein, C., Nature, 256, 495-497.(1975)参照)。
該方法において、免疫原で免疫される哺乳動物は、細胞融合に使用する形質細胞腫細胞との適合性を考慮して選択するのが望ましく、マウス、ラットなどが用いられる。免疫方法についてはポリクロナル抗体の作製の場合と同様とする。但し最終免疫後3〜10日目に免疫動物から脾臓細胞を採取する。
得られた免疫細胞からハイブリドーマを得るには、例えば、「分子細胞生物学基礎実験法」(南江堂 堀江武一ら 1994)等に記載されている方法により、継体培養可能な細胞とすることを目的として、例えば、センダイウイルスやポリエチレングリコール存在下、形質細胞腫細胞と抗体を産生する免疫細胞とを融合させて、ハイブリドーマを得ることができる。ここで用いられる形質細胞腫細胞は、同じ恒温動物でも同種の恒温動物由来の形質細胞腫細胞を用いることが望ましく、例えばマウスを免疫動物として得られた脾臓細胞と融合させる場合、マウスミエローマ細胞を用いることが好ましい。形質細胞腫細胞はp3x63−Ag8.UIなどの公知のものを利用できる。
ハイブリドーマは、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン添加培地)により選択し、コロニーが確認された段階で、培養上清に分泌される抗体と抗原との結合を調べる(スクリーニングする)ことにより目的の抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。
スクリーニングする方法としては、例えば、スポット法、凝集反応法、ウエスタンブロット法、ELISA法などの一般に抗体の検出に用いられている種々の方法が挙げられるが、好ましくは、例えば後記実施例に詳述するように、ハイブリドーマの培養上清について、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンとの反応性を指標とするELISA法に従い実施される。このスクリーニングによって、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと特異的に反応する目的抗体産生株をスクリーニングすることができる。
スクリーニングの結果得た目的抗体産生株のクローニングは、通常の限界希釈法、軟寒天法などにより実施できる。クローニングされたハイブリドーマは、必要に応じて、血清培地または無血清培地で大量培養することができる。この培養によれば、比較的高純度の所望抗体を培養上清として得ることができる。また、ハイブリドーマと適合性のある哺乳動物、例えばマウスなどの腹腔に、ハイブリドーマを接種して、所望抗体をマウス腹水として大量に回収することもできる。
上記ハイブリドーマの一具体例としては、常法に従って得られるハイブリドーマ(クローンMTA−7H8)、即ち、後記実施例記載の6−[5−(2,5−ジオキシピロリジン−1−イルオキシ)ペンチル]−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンとKLHからなる免疫原により作製されたハイブリドーマを例示することができる。このハイブリドーマ(「マウスハイブリドーマMTA−7H8」)は、国際寄託当局に寄託され、その受託番号はFERM−ABP10226である(このハイブリドーマは、既に、平成16年3月2日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所内特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)にも寄託されており、その受託番号はFERMP−P19707である)。本発明の抗体を産生するハイブリドーマを含有する培養上清およびマウスの腹水は、精製あるいは修飾することなく粗製抗体液として用いることができる。またこれらは常法に従って、硫酸アンミモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ法などにより精製して、精製抗体とすることができる。
本発明抗体は、以下の理化学的および免疫学的性質を有している。
(1)特異性:脱炭酸化S−アデノシルメチオニンとの交差反応性が0.1%以下、さらには0.01%以下を示す。
(2)免疫グロブリンクラス:IgG1(k)に属する。
(3)分子量:重鎖50kDa、軽鎖27kDa
上記のように抗体を用いてアッセイを行うにあたって、通常は抗体の挙動を検出可能とするため抗体そのものが種々の物質で標識されうる。抗体を標識するには、例えば「分子細胞生物学基礎実験法」(南江堂 堀江武一ら1994年)等に記載されている常法を用いることにより行うことができる。種々の物質としては化学発光物質、酵素、蛍光物質、着色ビーズ、放射性同位元素、元素、金属類、ビオチンが挙げられる。以下に具体例を示すがこれらに限定されるものではない。化学発光物質とは例えばルミノールやアクリジニウムエステルなどをさす。酵素とは例えばβ−ガラクトシダーゼやアルカリホスファターゼやペルオキシダーゼなどをさす。蛍光物質とは例えばユウロピウムクリプテートやFITC(fluorescein isothiocyanate)やRITC(tetramethylrhodamin isothiocyanate)などをさす。着色ビーズとは例えばプロテインAビーズ、wheat germ agglutinin(WGA)ビーズ、ストレプトアビジンビーズなどをさす。放射性同位元素とは例えば14Cや125Iや3Hなどをさす。元素とは例えばユウロピウムなどのランタニド元素をさす。金属類とは例えばフェリチンや金コロイドなどをさす。特に本発明において好ましい標識の形態はユウロピウムクリプテートである。
ユウロピウムクリプテートは、希土類元素のユウロピウムイオンをトリスビピリジンの環状構造(クリプテート)の中央部に配座した蛍光物質である。クリプテートがなす特徴的な「籠」状構造が水分子からユウロピウムイオンを保護するとともに、クリプテートが吸収した励起光エネルギーを効率よくユウロピウムイオンに転移する。
本発明には上記のように標識したものであってもなくても、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの抗体を用いたアッセイを含むものとする。抗体を用いたアッセイには競合的な測定でも非競合的な測定でも良い。また、ホモジニアスアッセイ法(均一系による測定)でもヘテロジニアスアッセイ法(不均一系による測定)でもよい。具体的には、例えば、酵素免疫測定法(EIA)、固相酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射線免疫測定法(RIA)、時間分解蛍光免疫測定(TR−FIA)、化学発光免疫測定法、イムノブロット法、ウエスタンブロット法、免疫染色法などの常法に従うことができる。なお、アッセイには治療剤・予防剤の開発を目的とする薬物スクリーニングを含むものとする。また疾患の診断に関するものも含むものとする。
本発明抗体を用いるアッセイの好ましい具体的方法としては、ELISA法が挙げられる。ELISA法とは、酵素で標識された抗体または抗原を用い、抗体または抗原の量を標識酵素の活性度により定量する方法である。酵素で標識された抗原抗体結合物と遊離型の標識抗原、または抗体を分離するのに固相化された抗体や抗原が用いられる。固相はアガロース、マイクロタイタープレートの内面、ラテックス粒子等が利用できる。ELISA法として具体的には競合法イムノアッセイや2抗体サンドイッチイムノアッセイなどが挙げられる。また標識酵素としては西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ(以下HRPともいう)やアルカリフォスファターゼ等が挙げられるが好ましくは西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼである。
本発明抗体を用いるアッセイの好ましいその他の具体的方法としては、ホモジニアスアッセイ法が挙げられる。ホモジニアスアッセイ法とは、測定が終始溶液状態(均一系)で行われる測定法をさす。洗浄工程を一切必要としないにもかかわらず精度の高いデータを得ることができるアッセイ法である。また、固相を必要としないのでアッセイのミニチュア化が容易であり、貴重な試薬の節約及びコスト、労力の削減に威力を発揮するのでハイスループットスクリーニング法にも応用できる。代表的なものとしてSPA法(Scintillation Proximity Assay)、蛍光偏光測定法(fluorescence polarization; FP)、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescence resonance energy transfer;以下FRETともいう)を用いたアッセイ法などがあげられる。
ホモジニアスアッセイ法の好ましい一例としてはFRETを用いたアッセイ法が挙げられる。FRETとはドナーおよびアクセプターと称される2種類の蛍光物質間のエネルギー転移を利用した手法である。
FRETを用いたアッセイ法のうち、好ましい実施形態としてホモジニアス時間分解蛍光法(Homogeneous Time-Resolved Fluorescence;以下HTRF法ともいう、登録商標)が挙げられる。HTRF法はユウロピウムクリプテートとXL665(藍藻由来蛍光性タンパクであるアロフィコシアニンの誘導体)からなる2種類の蛍光標識物質を用いた、FRETの原理を利用した測定方法である。HTRFでは、ユウロピウムクリプテートに337nmの励起光を照射すると620nmの長寿命蛍光を発するが、免疫複合体の形成などで近傍にXL665が存在する場合、ユウロピウムクリプテートからXL665へ蛍光共鳴エネルギー転移が起こり、エネルギーを吸収したXL665から665nmの長寿命蛍光が生ずる原理に基づいて測定を行う。蛍光測定と二波長測定(620・665nm)の組み合わせにより擬陽性をもたらすカラークエンチング(インナーフィルター効果)の影響やバックグラウンド蛍光の影響を受けにくく、完全な均一系の測定を可能とする。
ホモジニアスアッセイ法の好ましいその他の一例としては、SPA法(登録商標)が挙げられる。SPA法は、SPAビーズに結合させた抗体と、RI標識した抗原を用いる。該抗体が抗原に結合するとSPAビーズに近接するため抗原により放射されるβ線がSPAビーズ内のシンチレーターに到達し発光するのでこれを測定する。結合していない抗原は測定に影響がないので、抗体と結合していない抗原を除去することなく測定することが可能である。
スペルミジンシンターゼ(SPDS)は、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンのアミノプロピル基をプトレシンへ転移してスペルミジンに変換する反応を触媒する。このとき反応副産物として5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンが生じる。よって5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンを特異的、高感度に検出できる本発明のアッセイ法はスペルミジンシンターゼの活性測定に有用である。
さらに本発明のアッセイ法はスペルミジンシンターゼの活性を阻害するような被験物質のスクリーニングに使用することができる。かかるスクリーニングは被験物質の存在下、発現ベクターなどにより調製したリコンビナントスペルミジンシンターゼ(精製または部分精製品)を、該酵素の基質(dcSAMやプトレシンなど)との結合を可能にする条件下(例えば0.1Mリン酸緩衝液pH7.4、室温)に維持し、被験物質が該酵素の基質の結合を阻害するか否かを調べること、すなわち副生産物である5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの生産量を評価する。このとき被験物質は、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物(低分子化合物等)、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などのいずれであってもよい。またこれらを含む試料であってもよい。
またスクリーニング方法に従う候補物質の選別は、被験物質を添加した例えばアッセイプレートのウェルにおける5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの検出値が被験物質を添加しないウェルにおける5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの検出値に比して変動することをもって、当該被験物質を候補物質として選別することができる。例えば、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの検出値の抑制・減少の程度としては、被験物質を添加したウェルにおける5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの検出値が被験物質を添加しないウェルにおける5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの検出値と比較して例えば10%、好ましくは30%、特に好ましくは50%以上の減少または増加を示す場合、当該被験物質を候補物質として選別することができる。
スクリーニングにより選別された候補物質はスペルミジンシンターゼが関与することが知られている疾患、例えば変形性関節症、ガンを始めとする増殖性疾患、骨粗鬆症、アルツハイマー病、高血圧症の予防・治療剤になりうるものである。本発明のアッセイ法は好まししい実施形態は変形性関節症の治療・予防剤を探索するのに利用するものである。
変形性関節症(OA)とは慢性の関節炎を伴う関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨の破壊と骨、軟骨の増殖性変化を来たす疾患である。一次性のものと外傷や疾患による二次性のものとがある。主に荷重関節を侵し、老年者によく見られる。最近、ヒトの関節軟骨前駆細胞(HMSC)の遺伝子プロファイリングがなされ、骨形成因子(osteogenic factors)であるbasic fibroblast growth factor 2(bFGF−2)がスペルミジンシンターゼをコードする遺伝子の転写を活性化することが報告されている。これは、ポリアミン生合成経路、特にスペルミジンの生合成、より具体的にはスペルミジンシンターゼが、変形性関節症(以下OAともいう。)と潜在的に関与していることを示している。よってスペルミジンシンターゼの反応を制御することはOAの疾患の治療・予防に役立つことが推察され、さらにこの酵素の阻害剤は上記の疾患の治療薬・予防薬として有用であると考えられる(WO02/058623)。
上述のように、別の側面として、本発明は、OA治療の必要がある被験者を治療する方法に関する。この方法は、この方法によって前記被験者が治療されるように前記被験者にスペルミジン生合成の実質的な阻害を阻害する効果的なスペルミジン生合成の阻害剤の量を投与することを含む。
「治療」とは、疾患状態の緩和およびその進行の緩和を意味し、特定の疾患に関連する症状の部分的な又は完全な除去をも含んでいる。また、「治療」とは、疾患を予防するか又はその発症を遅延させることを意味してもよい。
好適な態様において、本発明の方法は、哺乳類被験者、好ましくは、ヒトを治療することを意図している。それ故、「患者」、「哺乳類被験者」または「必要がある被験者」という用語によって、その治療が望まれる任意の哺乳類を意味しており、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコの被験者、好ましくはヒト患者を含んでいる。
本発明の治療方法は、必要がある被験者に前記阻害剤の効果量を投与することを含む。本明細書に使用される「効果量」は、選択される結果を達成するのに必要な量を意味する。例えば、本発明の阻害剤または組成物の効果量は、変形性関節症の病状の治療に効果的な量である。
本発明は、更にOAを治療する治療組成物を提供する。本発明のこの組成物は、活性成分としてポリアミン生合成経路の1以上の工程の阻害剤を含む。好ましくは、前記阻害剤は、スペルミジン生合成の阻害剤である。
最も好ましくは、前記阻害剤は、スペルミジンシンターゼ阻害剤である。本発明の組成物に含まれる具体的な阻害剤は、上記のリストに記載されたものである。
本発明の組成物および方法は、ヒトのOA治療を特に意図しているが、他の哺乳類も含まれる。これらの組成物は、治療される被験者に直接投与してもよい、またはそれらの投与前にそれらをオボアルブミンもしくは血清アルブミンなどの担体蛋白質と結合させることが望ましい。治療の処方は、任意の通常の投薬処方で投与し得る。処方は、典型的には少なくとも1つの活性成分(上記で定義されたような)と共に1以上のその活性成分に許容される担体を含む。
好適な態様によると、本発明の組成物は、更に薬学的または獣医学的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤を随意的に含む。
薬理学及び薬物輸送
本発明の化合物もしくは薬学的組成物は、各患者の臨床症状、投与の部位と方法、投与のスケジュール、患者の年齢、性別、体重、医療従事者にとって公知のその他の要因を考慮に入れ、適正な医療行為に従って投与し、服用される。
本明細書において薬学的に「有効な量」とは、つまり、本分野で公知のかかる検討によって決定される。前記量は、生存率の改善若しくは回復の迅速化、又は症候や当業者によって適切な基準として選択されたその他の指標の改善若しくは消去など(これらに限定されない)の改善を達成するために有効な量でなければならない。
本明細書に例示されているマウスその他の実験動物に比べて、ヒトは長期にわたり治療を受けるのが一般的であり、治療の長さは、病気経過の長さや薬物の効力に比例する。
本発明の方法では、本発明の前記化合物は、様々な方法で投与することができる。本発明の化合物は、化合物として又は薬学的に許容される塩として投与することができ、単独で又は薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、及び賦形剤と組み合わせた活性成分として投与することができることに留意しなければならない。前記化合物は経口、皮下、又は非経口的に投与することができ、非経口投与には、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内投与、並びにクモ膜下内及び注入技術が含まれる。前記化合物のインプラントも有用である。治療を受ける前記患者は、温血動物であり、特に、ヒトを含む哺乳動物である。一般に、薬学的に許容される担体、溶液、希釈剤、賦形剤、アジュバント及び賦形剤並びにインプラント担体とは、本発明の活性成分と反応しない不活性な無毒の固体又は液体充填剤、希釈剤又は封入物質を指す。
本発明の化合物を非経口的に投与する場合には、単位用量の注射可能な形態(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン)中に調合するのが一般的であろう。注射に適した薬学的調合物には、無菌水溶液又は分散液及び注射可能な無菌溶液又は分散液に戻すための無菌粉末が含まれる。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。
適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを用いることによって、分散液の場合には必要とされる粒径を維持することによって、及び界面活性剤を用いることによって維持することができる。化合物組成物用の溶媒系として、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、又はピーナッツ油などの非水性賦形剤やミリスチン酸イソプロピルなどのエステルを使用してもよい。さらに、抗微生物防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、緩衝液など前記組成物の安定性、無菌性、等張性を増大させる様々な添加物を加えることもできる。微生物の作用の抑制は、様々な抗細菌剤や抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸)によって確保することができる。多くのケースで、例えば、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましいであろう。吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンを使用することによって、注射可能な医薬形態を長時間吸収させることができる。しかしながら、本発明では、使用する全ての賦形剤、希釈剤、又は添加剤が前記化合物に適合しなければならないであろう。
無菌の注射可能な溶液は、所望により、他の様々な成分を加えた必要量の適切な溶媒中に、本発明を実施する際に使用される前記化合物を取り込ませることによって調製することができる。
本発明の薬理学的調合物は、様々な賦形剤、アジュバント、添加物、希釈剤などの任意の適合的な担体を含有する注射可能な調合物中に入れて患者に投与することができ、あるいは、本発明で使用する化合物は、徐放性の皮下インプラント又は標的デリバリーシステム、たとえばモノクローナル抗体、ベクターによるデリバリー、イオン導入、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアの形態で、非経口的に患者に投与することができる。本発明において有用なデリバリーシステムの例には、米国特許第5,225,182号、第5,169,383号、第5,167,616号、第4,959,217号、第4,925,678号、第4,487,603号、第4,486,194号、第4,447,233号、第4,447,224号、第4,439,196号、及び第4,475,196号に記されているものが含まれる。これ以外のこのようなインプラント、デリバリーシステム、及びモジュールは、当業者に周知である。
本発明で使用される前記化合物の薬理学的調合物は、患者に経口投与することができる。化合物を錠剤、懸濁液、溶液、エマルジョン、カプセル、粉末、シロップなどに入れて投与するなどの慣用法を使用することができる。前記化合物を経口又は静脈注射でデリバーし、生物活性を保持する公知の技術が好ましい。ある実施形態では、本発明の前記化合物は、血液レベルを適切なレベルにするためにまず静脈内注射によって投与することができる。次いで、患者の血液レベルを経口投薬形態によって維持するが、患者の症状に応じて、上述のように、他の投与形態を使用することも可能である。
一般に、ヒトにおける化合物の有効量は、1日あたり体重1kgあたり1ngから20−100mgであり、好ましくは1日あたり体重1kgあたり0.01ngから2−10mgであり、1〜2週間もしくはそれ以上の期間、好ましくは、24〜48時間の間、1日あたり1回もしくは2、3回もしくはそれ以上の回数を服用するか、1〜2週間もしくはそれ以上の期間点滴をする。また、ここで開示した症状のいくつかについては、数年に渡り、もしくは生涯にわたって投与することも予測できる。
本発明を例示的に説明してきたが、これまで使用してきた用語は、限定なものではなく記述的な性質で解釈されることを意図していることを理解しなければならない。
上記教示に照らして、本発明に数多くの修飾及び変形を加えることが可能であることが明らかである。従って、具体的に記載されていなくても、記載されている発明の範囲の中で、本発明を実施できることを理解しなければならない。
本出願を通じて、様々な文献が著者と年度によって参照されており、米国特許を含む特許が番号によって参照されている。これらの文献と特許の開示内容全体は、本発明が属する分野の技術水準をより完全に記載するために、本出願に参考文献として援用される。
ここでのあらゆる文献の引用は、そのような文献が適切な先行技術もしくは、本出願におけるいずれかの請求項の特許性について考慮すべき資料であることを認めることを意図するものではない。いずれの文献についての内容もしくは日付に関する見解は、出願時において出願人が利用できた情報に基づいており、そのような見解の正当性を認めることではない。
さらに詳細を述べることなしに、この分野における当業者であれば、上述の記載をもって本発明を最大限で実施できると思われる。そのため、以下の好ましい具体例は単なる例示であり、いかなる場合であっても請求項の発明を限定するものとして構成するものではない。
ここに特に明示していないがその分野において知られている標準的な分子生物学の手法は一般的には、サムブルークら、「Molecular cloning :A laboratory manual、Cold Springs Harbor Laboratory、ニューヨーク」(1989年、1992年)及びオーズベルら「Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons 、バルチモア、メリーランド」(1988年)に従うものとする。
ここに特に明示していないがその分野において知られている標準的な有機合成の手法は一般的に「Organic Syntheses :第1〜79巻、著者多数、J Wiley 、ニューヨーク」(1941〜2003年)、ガーベルトら「Organic Syntheses workbook, Wiley-VCH, ベインハイム」(2000年)、スミス&マーチ「Advanced Organic Chemistry, Wiley-Interscience, 第5版」(2001年)に従うものとする。
ここに特に明示していないがその分野において知られている標準的な医薬品化学の手法は一般的に「Comprehensive Medical Chemistry」シリーズ(著者多数、Pergamon Press)に従うものとする。
以下において、実施例および実験例により本発明をより具体的にするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
以下の合成スキームに従って活性化ハプテンである6−[5−(2,5−ジオキシピロリジン−1−イルオキシ)ペンチル]−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(化合物8)を合成した。
合成スキーム1
Figure 2007531724
2’,3’−イソプロピリデンアデノシンの合成
Figure 2007531724
9β−D−リボフラノシルアデノシン(アデノシン)(1)(6.68g, 25mmol)の無水ジメチルホルムアミド(100ml)溶液に、2,2−ジメトキシプロパン(13g, 125mmol, 5mol eq.)及び無水p−トルエンスルホン酸(1.19g, 6.26mmol)を加えた。この反応混合物を窒素気流下70℃で7時間加熱撹拌し、40℃にて約30mlまで減圧濃縮した。この濃縮液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(125ml)に注ぎ入れ、150mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を50mlの水で2回、50mlの飽和食塩水で洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。この黄色油状残渣(約8g)を150mlの酢酸エチルに加温して溶かし、この溶液を室温で5時間さらに0℃で30分間撹拌し析出した結晶を濾過、析出晶を酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、化合物2(4.1g, 13.3mmol, 53%)を得た。
IR (Nujol, cm-1) 3350 (sh), 3240, 3180, 1685 (s).
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ: 1.38 (3H, s), 1.65 (3H, s), 3.72 - 3.86 (1H, m), 3.95 - 4.02 (1H, m), 4.55 (1H, s), 5.10 - 5.25 (2H, m), 5.86 (3H, d, J = 4.8 Hz), 6.57 (1H, dd, J = 1.8, 11.4 Hz), 7.84 (1H, s), 8.32 (1H, s).
2’,3’−イソプロピリデン−5’−(p−トルエンスルホニル)アデノシンの合成
Figure 2007531724
2’,3’−イソプロピリデンアデノシン(2)(4.0g, 13mmol)の無水ピリジン40ml溶液に、窒素気流下−20℃でp−トルエンスルホニルクロリド(2.97g, 約15.6mmol, 1.2mol eq.)の無水ピリジン6ml溶液を滴下して加えた後、この混合物を遮光下4日間放置した。この反応混合物に、未反応の試薬を処理する為、水(4.0ml)を−20℃で加え15分間撹拌後、更に水(200ml)を注ぎ入れ80mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を50mlの水で2回、80mlの5%硫酸で2回、次いで50mlの飽和食塩水で3回洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。この黄色油状残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck silica gel No. 9385, 230 400 mesh: 50 g)に付し、酢酸エチルで溶出することにより結晶性残渣(約6g)を得、次いでジエチルエーテルで洗浄し、化合物3(4.49g, 9.75mmol, 75%)を得た。
1H NMR (200MHz, CDCl3 + D2O) δ: 1.37 (3H, s), 1.59 (3H, s), 2.40 (3H, s), 4.20 - 4.36 (2H, m), 4.44 - 4.53 (1H, m), 5.05 (1H, dd, J=3.4, 6.2 Hz), 5.34 (1H, dd, J = 1.8, 6.2 Hz), 6.05 (1H, d, J = 18 Hz), 7.19 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.63 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.84 (1H, s), 8.23 (1H, s).
2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
ナトリウムチオメトキシド(5.0g, 71.4mmol, 8.24mol eq.)のジメチルホルムアミド‐メタノール(2:1,35ml)溶液に、窒素気流下0℃で2’,3’−イソプロピリデン−5’−(p−トルエンスルホニル)アデノシン(3)(4g, 8.67mmol)を加えた後、この混合溶液を遮光下5℃で3日間放置した。この反応液を30℃以下で約20mlまで減圧濃縮し、この濃縮液を250mlの冷水へ注ぎ入れ100mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を50mlの冷水で3回、50mlの飽和食塩水で2回洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去し結晶性残渣を得、酢酸エチルより再結晶し化合物4(2.8g, 約8.3mmol, 95%)を得た。
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ: 1.41 (3H, s), 1.62 (3H, s), 2.11 (3H, s), 2.67 - 2.91 (2H, m), 4.36 - 4.48 (1H, m), 5.07 (1H, dd, J = 2.2, 3.4 Hz), 5.52 (1H, dd, J = 2.2, 6.2 Hz), 5.64 (2H, br), 6.09 (1H, d, J = 2.2 Hz), 7.93 (1H, s), 8.36 (1H, s).
6−(5−エトキシカルボニルペンチル)−2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(4)(1.50g, 4.45mmol)の無水ジメチルホルムアミド(10ml)に、窒素気流下室温で水素化ナトリウム(112mg, 4.67mmol)を徐々に加えた後、2時間撹拌した。次いで、この混合物に6−ブロムヘキサン酸エチル(1.04g, 4.67mmol)の無水ジメチルホルムアミド(3ml)を滴下して加え、この反応混合物を室温で1時間、さらに60℃で2時間撹拌した反応液は、60mlの冷水へ注ぎ入れ40mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を30mlの冷水で3回、30mlの飽和食塩水で2回洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去して得た油状残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck silicagel, Lobar column size B)に付し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出することにより無色油状の化合物5(1.4g, 2.92mmol, 62.5%)を得た。
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ: 1.25 (3H, t, J = 7.0 Hz), 1.40 (3H, s), 1.45 - 1.53 (2H, m), 1.62 (3H, s), 1.64 - 1.79 (4H, m), 2.10 (3H, s), 2.31 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.68 - 2.90 (2H, m), 3.56 - 3.76 (2H, m), 4.09 (2H, q, J = 7.0 Hz), 4.36 - 4.45 (1H, m), 5.08 (1H, dd, J = 3.2, 6.6 Hz), 5.53 (1H, dd, J = 1.8, 6.2 Hz), 5.86 (1H, br), 6.07 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.86 (1H, s), 8.36 (1H, s).
6−(5−エトキシカルボニルペンチル)−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
6−(5−エトキシカルボニルペンチル)−2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(5)(700mg, 1.46mmol)、0.1N塩酸(5ml)とテトラヒドロフラン(10ml)の溶液をTLCで原料がなくなるまで50℃で反応させた。この反応液を50℃で約1mlまで減圧濃縮し、この濃縮液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)を加え、20mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を10mlの水で2回、5mlの飽和食塩水で洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。抽出残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck silica gel, Lobar column size A x 2)に付し、酢酸エチル−アセトン(3:1)で溶出することにより無色結晶性の化合物6(250mg, 0.569mmol, 39%)を得た。
1H NMR (200MHz, CDCl3 + D2O) δ: 1.25 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.38 - 1.56 (2H, m), 1.59 - 1.81 (4H, m), 2.18 (3H, s), 2.31 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.85 (2H, d, J = 5.4 Hz), 3.53 - 3.78 (2H, m), 4.12 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.32 - 4.45 (2H, m), 4.54 (1H, t, J = 5.2 Hz), 5.94 (1H, d, J = 4.8 Hz), 8.00 (1H, s), 8.29 (1H, s).
6−(5−カルボキシルペンチル)−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
6−(5−エトキシカルボニルペンチル)−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(6)(250mg, 0.569mmol)、2N水酸化ナトリウム(1ml)とメタノール(5ml)の溶液を窒素気流下60℃で1時間撹拌した。この反応液を30℃以下で約1mlまで減圧濃縮後、3mlの水で希釈した水溶性溶液を酸性(pH3)になるまで酢酸(240mg, 4mmol)を加え析出した結晶を濾過し、化合物7(223mg, 0.541mmol, 95%)を得た。
1H NMR (200MHz, DMSO-d6) δ: 1.23 - 1.41 (2H, m), 1.44 - 1.68 (4H, m), 2.06 (3H, s), 2.20 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.47 - 2.58 (2H, m), 2.72 - 2.94 (2H, m), 3.98 - 4.08 (1H, m), 4.13 (1H, t, J = 5.4 Hz), 4.75 (1H, t, J = 5.4 Hz), 5.50 (3H, br), 5.90 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.82 (1H, br), 8.21 (1H, s), 8.36 (1H, s).
6−[5−(2,5−ジオキシピロリジン−1−イルオキシ)ペンチル]−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
N−ヒドロキシコハク酸イミド(125mg, 1.08mmol)、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSCD・HCl, 207mg, 1.08mmol)の無水ジメチルホルムアミド(2ml)溶液に、6−(5−カルボキシルペンチル)−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(7)(223mg, 0.541mmol)の無水ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を、窒素気流下室温で30分間で滴下して加えた後、40℃で3時間30分間撹拌した。この反応混合物を25mlの冷水へ注ぎ入れ25mlの酢酸エチルで2回抽出し、有機層を10mlの冷水で2回、5mlの飽和食塩水で洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去して得た油状残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck silica gel, Lobar column size A ×2)に付し、酢酸エチル−アセトン(3:1)で溶出することにより無色油状の化合物8(231mg, 0.455mmol, 80%)を得た。
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ: 1.50 - 1.64 (2H, m), 1.68 - 1.90 (4H, m), 2.18 (3H, s), 2.63 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.77 - 2.89 (6H, m), 3.47 (1H, br), 3.68 (2H, br), 4.35 - 4.51 (2H, m), 4.57 (1H, t, J = 5.4 Hz), 5.91 (1H, d, J = 6.0 Hz), 6.01 (1H, br), 6.46 (1H, br), 7.97 (1H, s), 8.29 (1H, s).
実施例2
6−(3−アミノ)プロピル−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成法
合成スキーム2
Figure 2007531724
6−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル−2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(4)(338mg, 1mmol)の無水ジメチルホルムアミド(2ml)に、窒素気流下室温で水素化ナトリウム(31mg, 1.28mmol)を徐々に加えた後、2時間撹拌した混合物に、3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロピルブロマイド(310mg, 1.3mmol)と無水ジメチルホルムアミド(0.3ml)の溶液を滴下して加えた。この反応混合物を室温で1時間、さらに60℃で2時間撹拌した反応液は、20mlの冷水へ注ぎ入れ20mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を10mlの冷水で3回、10mlの飽和食塩水で洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去して得る油状残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck silica gel, Lobar column size A)に付し、n−ヘキサン−酢酸エチル(2:3)で溶出することにより無色油状の化合物9(242mg, 0.5mmol, 50%)を得た。
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ: 1.40 (3H, s), 1.46 (9H, s), 1.62 (3H, s), 1.75 - 1.90 (2H, m), 2.11 (3H, s), 2.67 - 2.91 (2H, m), 3.22 (2H, dd, J = 6.0, 12.2 Hz), 3.73 (2H, br), 4.35 - 4.46 (1H, m), 5.08 (1H, dd, J = 3.0, 6.2 Hz), 5.26 (1H, br), 5.52 (1H, dd, J = 2.2, 6.2 Hz), 6.07 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.18 (1H, br), 7.87 (1H, s), 8.36 (1H, s).
6−(3−アミノ)プロピル−2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
6−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル−2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(9)(242mg, 0.5mmol)、トリフルオロ酢酸(0.5ml)とジクロロメタン(2.5ml)の溶液をTLCで原料がなくなるまで40℃で反応させた。この反応液を25℃以下で減圧留去し、この残渣に飽和炭酸カリウム水溶液(10ml)を加え、20mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を5mlの水で2回、5mlの飽和食塩水で洗浄後、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して溶媒を除去した。抽出残渣を分取薄層クロマトグラフィー(Merck silica gel, thin layer plates KGF 254; 0.5 mm, 20 cm×20 cm, development and elution solvent; ethyl acetate-acetic acid-water = 3 : 1 : 1)によって、無色粉末の化合物10(180mg, 0.47mmol, 94%)を得た。
6−(3−アミノ)プロピル−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンの合成
Figure 2007531724
6−(3−アミノ)プロピル−2’,3’−イソプロピリデン−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン(10)(180mg, 0.47mmol)と2N硫酸(5ml)の溶液を室温で終夜放置した。この反応液に5%炭酸カリウム水溶液を加えpH9に調整後、減圧留去して結晶性残渣を得、20mlの無水エタノールで抽出した。この抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去して得た抽出残渣(140mg)を分取薄層クロマトグラフィー(Merck silica gel, thin layer plates KGF 254; 0.5 mm, 20 cm×20 cm, development and elution solvent; ethyl acetate-acetic acid-water = 3 : 1 : 1)ならびにHP−20カラムクロマトグラフィー(Mitsubishi Kasei; 75 - 150 μm, 5 g)に付し、エタノール−水−28%アンモニア水(10:9:1)で溶出することにより無色油状の化合物11(約40mg)を得た。
1H NMR (200MHz, CD3OD) δ: 1.80 - 1.95 (2H, m), 2.12 (3H, s), 2.80 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.91 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.70 (2H, br), 4.23 (1H, dd, J = 5.8, 10.2 Hz), 4.33 (1H, t, J = 4.8 Hz), 4.68 - 5.00 (6H, m), 6.00 (1H, d, J = 5.2 Hz), 8.26 (1H, s), 8.28 (1H, s).
実施例3
MTAの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識
実施例2に従って合成した6−(3−アミノ)プロピル−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン0.63mg(1.8μmol)に蒸留水0.05ml及び0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)0.1mlを加えて溶解し、これにスルフォスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sulfo−SMCC、ピアス社製)1.19mg(2.7μmol)を含む水溶液0.2mlを加えて、室温で2時間反応した。逆相HPLC(カラム:YMC−PackODS−A、6.0I.D.×150mm、溶離条件:アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸、0〜50%、20min、リニアグラディエント、流速:1ml/min、検出波長:260nm)を行って、マレイミド化MTA画分(14.7分)を分取し、減圧下に溶媒を留去したのち20%メタノール/蒸留水0.4mlに溶解した。一方、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP、ロシュ社製)1.1mg(27nmol)を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)0.2mlにスルフォスクシンイミジル6−[3’−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエート(sulfo−LC−SPDP、ピアス社製)0.43mg(810nmol)を含む水溶液0.05mlを加え、室温で2時間反応させた。0.1Mメルカプトエチルアミン溶液0.05mlを加えて室温で1時間静置した後、5mM エチレンジアミン四酢酸含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したPD−10(アマシャムファルマシアバイオテック社製)に反応液を通して低分子物質を除去した。HRP0.115μg(2.9nmol)を含む画分0.2mlに上記のマレイミド化MTA28μg(49nmol)を加え、4℃で3日間反応した。0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したPD−10(アマシャムファルマシアバイオテック社製)に反応液を通して低分子物質を除去し、HRP標識MTAを得た。
実施例4
MTAを認識するモノクロナル抗体および該抗体を産生するハイブリドーマの作製
(1)免疫原の調製および免疫
キャリアタンパクとしてカギアナカサガイのヘモシアニン(KLH、ピアス社製)を用いた。KLH20mgのバイアルに蒸留水を2ml加え、リン酸塩緩衝化生理食塩水(pH7.2)溶液とした。これに実施例1に従って合成した6−[5−(2,5−ジオキシピロリジン−1−イルオキシ)ペンチル]−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン3.8mg(7.5μmol)を含むDMF溶液0.19mlを滴加し、室温で2時間反応させてコンジュゲートを調製した。反応液を蒸留水に対して4℃で透析し、次いで凍結乾燥した。乾燥重量18.4mgのコンジュゲートを得、これを免疫原とした。
免疫原1.3mgを生理食塩水0.5mlに溶かし、フロイントの完全アジュバント(ディフコ社製)0.8mlを加えてエマルジョンとした。その0.1ml(0.1mg)をA/JjmsSlcマウス(6週齢、雌)に、3週間隔で5回腹腔内投与して免疫した。細胞融合に供したマウスはその3日前に免疫原0.1mgを含む生理食塩水0.1mlを腹腔内にブースター投与した。
(2)抗体を産生するハイブリドーマおよび該ハイブリドーマを用いたMTA−7H8抗体の作製
上記(1)の手法に従って免疫したマウスから最終投与3日後にマウスの脾臓を摘出して脾臓細胞を回収した。脾臓細胞1.0×108個とマウスミエローマ細胞(p3×63−Ag8.UI、東京腫瘤研究所)2×107個を50%のポリエチレングリコール4000を用いて融合させ、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含む培地で選択した。細胞融合10日目に特異抗体産生細胞のスクリーニングを行った。スクリーニングに用いたELISAは次の通りである:96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製)の各ウェルに、1μgの抗マウスIgG抗体(シバヤギ社製)を含むPBS(0.15MNaClを含むリン酸緩衝液(pH7.4))を100μl加えて4℃で16時間固定した。これらのウェルをPBS200μlで1回洗浄した後、ブロックエース(大日本製薬社製)を200μl加えて4℃で16時間放置してブロッキングを行った(抗マウスIgG抗体固相化プレート)。各ウェルを緩衝液A(0.01%Tween20、0.05%Proclin150、0.15M NaClを含む50mM トリス緩衝液(pH7.4))300μlで1回洗浄した後、緩衝液B(0.5%ウシ血清アルブミン、0.01%Tween20、0.05%Proclin150、0.15M NaClを含む50mM トリス緩衝液(pH7.4))50μlとハイブリドーマ培養上清50μlを加えて室温で3時間反応させた。次いで、各ウェルを緩衝液A300μlで3回洗浄し、緩衝液Bで20ng/mlとしたHRP標識MTAを100μl添加して4℃で16時間反応させた。各ウェルを再度洗浄後、TMB+ Substrate- Chromogen(ダコ社製)を100μl添加して室温で30分間発色させた。次いで、1規定硫酸を100μl添加して反応を停止し、1420 ARVO SXマルチラベルカウンタ(パーキンエルマーライフサイエンス社製)を用いて、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した。
特異抗体の産生が陽性を示したウェルのハイブリドーマを、限界希釈法により2回クローニングして、MTAを認識するモノクロナル抗体を産生するハイブリドーマのクローンを獲得した。
得られたハイブリドーマの培養上清について、マウスモノクロナル抗体アイソタイピングELISAキット(BDバイオサイエンス社製)を用いて、ハイブリドーマが産生する抗体のサブクラスを決定した。新たに得られたモノクロナル抗体は、MTA−7H8と命名し、そのアイソタイプはIgG1(k)であった。
本発明のモノクロナル抗体MTA−7H8を産生するハイブリドーマは、独立行政法人産業技術総合研究所内特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に、平成16年3月2日付けで受託番号FERMP−P19707として、ブダペスト条約に基づいて寄託され、その後、日本の特許生物寄託センター(IPOD)に寄託され、その受託番号はFERM−ABP10226である。
マウス抗血清の抗体価
免疫マウスより採取した抗血清を緩衝液Bで10倍に薄める操作を繰り返し、1,000〜1,000,0000倍の希釈系列を調製した。上記抗マウスIgG抗体固相化プレートを300μlの緩衝液Aで1回洗浄した後、抗血清希釈液を100μl加えて室温で3時間反応させた。次いで、各ウェルを300μlの緩衝液Aで3回洗浄し、緩衝液Bで20ng/mlとしたHRP標識MTAを100μl添加して4℃で一晩反応させた。各ウェルを300μlの緩衝液Aで3回洗浄した後、TMB+ Substrate- Chromogen(ダコ社製)を100μl添加して室温で30分間発色させた。次いで、1規定硫酸を100μl添加して反応を停止し、1420 ARVO SXマルチラベルカウンタ(パーキンエルマーライフサイエンス社製)を用いて、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した。吸光度が1.0となる抗血清の希釈倍率を抗体価とした。測定の結果、本発明のポリクロナル抗体(抗血清)の抗体価は1000,000倍と従来技術の500倍の値を示した。
抗MTA抗体のMTAおよびdcSAMに対する反応性
緩衝液Bを用いて、MTAについては0.2−200pmol/mlの10倍希釈系列を、dcSAMについては2−2,000pmol/mlの10倍希釈系列を調製した。上記抗マウスIgG抗体固相化プレートの各ウェルを300μlの緩衝液Aで1回洗浄した後、緩衝液Bで10ng/mlとしたMTA−7H8、または1,000,000倍に薄めたマウス抗血清を100μl加えて室温で3時間反応させた。次いで、各ウェルを300μlの緩衝液Aで3回洗浄し、MTAまたはdcSAMの希釈液50μlと、緩衝液Bで40ng/mlとしたHRP標識MTAを50μl添加して4℃で一晩反応させた。各ウェルを300μlの緩衝液Aで3回洗浄した後、TMB+ Substrate- Chromogen(ダコ社製)を100μl添加して室温で30分間発色させた。次いで、1規定硫酸を100μl添加して反応を停止し、1420 ARVO SXマルチラベルカウンタ(パーキンエルマーライフサイエンス社製)を用いて、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した。
MTA−7H8の反応性の結果を図1に示した。縦軸には各濃度ポイントにおける吸光度(B値)のゼロ濃度における吸光度(B0値)に対する割合(B値/B0値(%))を算出したものを、横軸にMTAあるいはdcSAMの濃度をプロットした競合曲線を作成した。図中の白丸はdcSAMに対する反応性を、黒丸はMTAに対する反応性を示す。MTAおよびdcSAMの競合曲線における親和性(IC50値)はそれぞれ0.4nM、50μMであった。このようにMTA−7H8はMTAに対して高い反応性を示すばかりでなく、前駆体であるdcSAMに対する交差反応性も0.0008%と極めて小さいことから、本抗体を用いてMTAを特異的に検出できることを確認した。また、本発明のポリクロナル抗体(抗血清)のMTAおよびdcSAMの競合曲線における親和性(IC50値)はそれぞれ4nM、300μMであり、交差反応性は0.001%であることから従来技術のポリクロナル抗体(1%)よりも大きく優れていた。以上の結果は、従来技術(J. Biochem. Mol. Biol., 1997, Vol.30, p403)とともに表1にまとめた。
Figure 2007531724
実施例5
モノクロナル抗体MTA−7H8の精製
Balb/cマウス1匹あたり、1×107個の実施例4で得たハイブリドーマをラボプロダクツ社へ供与して腹水化を委託した。得られた腹水を10,000×gで20分間遠心分離してその上清をPBSで2倍に希釈した後、プロテインGセファロースカラム(アマシャムファルマシアバイオテック社製)に通した。PBSでカラムを十分に洗浄後、0.2Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.7)で抗体を溶出し、直ちに1Mトリス緩衝液を加えて中和した。得られた溶出液に等量の飽和硫酸アンモニウムを加えて4℃で30分間放置することで塩析した。塩析物を10,000×gで20分間遠心分離して回収した。得られた沈殿をPBSに溶解し、さらにPBSに対して4℃で一晩透析して精製モノクロナル抗体とした。
実施例6
マウス抗MTAポリクロナル抗体の精製
実施例2に従って合成した6−(3−アミノ)プロピル−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン0.63mg(1.8μmol)を含む0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.4)1.5mlをAminoLink固定化キット(ピアス社製)のカップリングゲル1.5mlに加え、以下キットの手順書に従ってMTA固定化ゲルを含むカラムを調製した。予め0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したカラムに、前述の免疫マウスの血清を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で3倍に薄めたものを加えた。同緩衝液で十分にカラムを洗浄した後、6mM 塩酸で抗体を溶出させて、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に対して4℃で透析し、ポリクロナル抗体を精製した。
実施例7
リコンビナントヒトスペルミジンシンターゼの調製
発現ベクターの構築にはインビトロジェン社のGatewayテクノロジーを利用した。ヒトSPDS遺伝子をPCRで増幅し、制限酵素サイトSacIとNotIを介してエントリーベクターpENTR11に挿入し、エントリークローンを得た。3×FLAGタグ(シグマ社製)とGateway Vector Conversion SystemのReading Frame Cassette Aを連結した遺伝子をPCRで増幅し、NheIとKpnIの制限酵素サイトを介してpShuttleベクター(クロンテック社製)に挿入し、デスティネーションベクターとした。エントリークローンとデスティネーションベクターをClonase存在下混合してattサイト間の部位特異的組み換えを誘導することにより、N末に3×FLAGタグを繋いだヒトSPDSの発現ベクターをクローニングした。発現ベクターはEndoFree Plasmid Maxi kit(キアゲン社製)を用いて精製した。
リポフェクトアミン2000(インビトロジェン社製)と発現ベクターを用いて、手順書に従ってHEK293細胞(ヒト胎児腎臓由来、アメリカンタイプカルチャーコレクション社より入手)をトランスフェクトした。3日間培養した後、細胞を回収して少量のTBS(0.15M NaClを含む50mM トリス緩衝液(pH7.4))に懸濁させ、超音波で破砕した。TBSで平衡化した抗FLAG抗体(M2)アガロースカラム(シグマ社製)に細胞破砕液を通し、TBSで十分に洗浄した。次いで、0.1mg/mlの3×FLAGペプチド(シグマ社製)を含むTBSをカラムに通して溶離液を1mlごとに分取した。各画分1μlの活性を後述のHTRF法で測定して活性のある画分を混合し、1mM DTT、10%グリセロール、0.05mM dcSAMを添加して−80℃で保存した。SDS−PAGEおよび抗MTA抗体を用いたウエスタンブロット法により、精製したSPDSの純度を確認した。
実施例8
ELISA法によるスペルミジンシンターゼの活性測定
上述のリコンビナントヒトスペルミジンシンターゼを緩衝液C(0.1%ウシ血清アルブミンを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4))で希釈し、96ウェルアッセイプレート(コーニング社製)へ50μl添加した。さらに基質混合液(0.4mM ジチオトレイトール、0.1mM dcSAM、1.3mM プトレシン、0.4mM アデニン、0.1%ウシ血清アルブミンを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4))50μlを加えて室温で反応させた。反応後、20mM 4−メチルシクロヘキシルアミン(東京化成工業社製)を含む緩衝液Cを100μl各ウェルへ添加して反応を停止した。反応液10μlを、上述の抗マウスIgG抗体を固相化したマイクロタイタープレートへ移し、緩衝液Bで50ng/mlとしたHRP標識MTA40μlと緩衝液Bで40ng/mlとしたMTA−7H8モノクロナル抗体50μlを加えて室温で一晩反応させた。反応後、各ウェルを緩衝液A300μlで3回洗浄し、TMB+ Substrate- Chromogen(ダコ社製)を0.1ml添加して室温で30分間発色させた。次いで、1規定硫酸100μlを添加して反応を停止し、1420 ARVO SXマルチラベルカウンタ(パーキンエルマーライフサイエンス社製)で各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した。各ウェルのMTA量を上記競合曲線より算出し、酵素量、反応時間あたりのMTA産生量を酵素活性とした。
(結果)
ELISAによるスペルミジンシンターゼの活性測定の結果を図2に示す。スペルミジンシンターゼの濃度と反応時間に依存してMTA産生量は増加していることが確認された。また、スペルミジンシンターゼの既知阻害剤である4−メチルシクロヘキシルアミンを酵素反応時添加したときの測定結果を図3に示す。4−メチルシクロヘキシルアミンの濃度に依存してMTAの産生は阻害され、IC50値は文献値1.7μM(Shirahata et al., Biochem. Pharma., 1991.)と同等な1.0μMであった。すなわち、本法で検出されるMTAは、スペルミジンシンターゼによりプトレシンがスペルミジンに変換された結果を反映しており、本法でスペルミジンシンターゼの活性を測定できることが確認された。またスペルミジンシンターゼの阻害剤の探索を実施する場合は10%DMSOに溶解した被験物質1μlを予めプレートのウェルに添加しておき、上記の反応を行った。本法によりMTA産生量を検出することによって被験物質の阻害活性を測定した。
実施例9
HTRF法によるスペルミジンシンターゼの活性測定
(1)新規モノクロナル抗体MTA−7H8のユウロピウムクリプテート標識
MTA−7H8モノクロナル抗体690μg(4.6nmol)を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH8.0)770μlに溶かし、クリプテートTBPモノスベレート(CISバイオインターナショナル社製)100μg(68nmol)を加えて室温で1時間反応させた。反応液につき、PBSで平衡化したPD−10(アマシャムファルマシアバイオテック社製)に通して低分子物質を除去し、ユウロピウムクリプテート標識MTA−7H8モノクロナル抗体を得た。
(2)MTAのクロスリンクドアロフィコシアニン(XL665)標識
XL665(CISバイオインターナショナル社製)7.7mg(74nmol)を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)1.1mlに溶かし、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、ピアス社製)140μg(443nmol)を添加して室温で20分間反応させ、さらに終濃度10mMのジチオトレイトールを加えて10分間反応させることによりXL665にシステイン基を導入した。10mM EDTA含有0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)で平衡化したPD−10(アマシャムファルマシアバイオテック社製)に反応液を通して低分子物質を除去し、XL665を3.4mg(33nmol)含む画分1.3mlへ上述のマレイミド化MTA溶液を660nmol加えて4℃で一晩反応させた。反応液に300μg(2.4μmol)のN−エチルマレイミドを加え、室温で10分間放置した後、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で平衡化したPD−10(アマシャムファルマシアバイオテック社製)に通して低分子物質を除去し、XL665標識MTAを得た。
(3)スペルミジンシンターゼの活性測定
緩衝液Cで希釈したスペルミジンシンターゼを384ウェルアッセイプレート(黒色、コーニング社製)へ10μL添加した。次いで、上記基質混合液10μlを加え、室温で反応させた。30mMの4−メチルシクロヘキシルアミンと260ng/mlのXL665標識MTAを含む緩衝液D(0.5%ウシ血清アルブミン、0.6Mフッ化カリウムを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液pH7.4)を各ウェルへ20μl添加して反応を停止した。さらに、緩衝液Dで288ng/mlとしたユウロピウムクリプテート標識抗MTA−7H8抗体を各ウェルへ20μl添加し、室温で16時間反応させた後、Rubystar (BMG Labtechnologis社製)で各ウェルの蛍光測定を行った。各ウェルのMTA量を標準曲線から算出し、酵素量、反応時間あたりのMTA産生量を酵素活性とした。
(結果)
HTRF法における標準曲線を図4に示す。図中の白丸はdcSAMに対する反応性を、黒丸はMTAに対する反応性を示す。MTAのIC50値は20nMでELISAと比べると感度が低下するものの高感度を維持し、尚且つ、基質dcSAMに対する交差反応は0.02%以下と極めて小さいため、本法によりスペルミジンシンターゼの活性測定が可能であった。HTRF法によるスペルミジンシンターゼの活性測定の結果を図5に示す。スペルミジンシンターゼの濃度と反応時間に依存してMTA産生量は増加していることが確認された。また、既知阻害剤である4−メチルシクロヘキシルアミンを酵素反応時添加して測定した結果を図6に示す。4−メチルシクロヘキシルアミンの濃度に依存してMTA産生は阻害され、IC50値は1.1μMで、ELISAの結果と同等の値を示した。すなわち、本法で検出されるMTAは、スペルミジンシンターゼによりプトレシンがスペルミジンに変換された結果を反映しており、本法でスペルミジンシンターゼの活性を測定できることが確認された。またスペルミジンシンターゼの阻害剤の探索を実施する場合は10%DMSOに溶解した被験物質1μlを予めプレートのウェルに添加しておき、上記の反応を行った。本法によりMTA産生量を検出することによって被験物質の阻害活性を測定した。
実施例10
SPA法を利用したMTAの定量
(1)MTAの125I標識
放射性ヨウ素[125I]−ボルトン−ハンター試薬(パーキンエルマーライフサイエンス社製)9×106Bqについて溶媒を減圧下に留去し、これに実施例2に従って合成した6−(3−アミノ)プロピル−5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン13μgを含む20%メタノール水10μl及び25mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH7.1)30μlを加えて4℃で一晩反応させた。反応液につき逆相高速液体クロマトグラフィー(装置:島津社製LC−6A、カラム:YMC−PackODS−A6.0I.D.×150mm(YMC社製)、溶離液:A;10%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸、B;60%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸、A→B、リニアグラディエント(25min)、流速:1ml/min)を行って16分付近に溶出する125I標識MTA(約2.6×106Bq)を分取した。
(2)MTAの定量
マイクロタイタープレート(IsoPlate-96、白色、パーキンエルマーライフサイエンス社製)に、測定緩衝液E(0.5%ウシ血清アルブミンを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4))で20mg/mlとした抗マウス抗体結合SPAPVTビーズ(アマシャムファルマシアバイオテック社製)50μl、MTA標準液50μl、測定緩衝液Eで12,000Bq/mlとした125I標識MTA50μlを連続して添加し、最後に1,000ng/mlマウスポリクロナル抗体を含む測定緩衝液E50μlを添加して室温で一晩反応させた。反応後、各ウェルの放射能をマイクロプレートシンチレーションカウンタ(Top Count NXT、パーキンエルマーライフサイエンス社製)で測定し、標準曲線を作成した。
(結果)
SPA法で得られた標準曲線を図7に示す。MTAのIC50値は10μMと上述のELISAやHTRF法と比べて劣るものの、dcSAMとの交差反応は0.1%以下と小さく、本法によりMTAの定量が可能であることが確認された。本法を利用することによりスペルミジンシンターゼの活性が測定できる。またスペルミジンシンターゼの阻害剤の探索を実施する場合は10%DMSOに溶解した被験物質1μlを予めプレートのウェルに添加しておき、上記の反応を行った。本法によりMTA産生量を検出することによって被験物質の阻害活性を測定した。
実施例11
HPLCによるスペルミジンの定量法
文献に報告されている手法(Saeki et al. J. Chromatogr. 1978. 221-229.)に準じて実施した。上記と同様に酵素反応液(全量40μL)を調製し、4−MCHAの代わりに50mM 塩酸を10μl加えて反応を停止させた。酵素反応液に10%トリクロロ酢酸10μlを加えて遠心分離することで得た上清20μl及びスペルミジン標準液20μlに、500mM 炭酸ナトリウム20μlと20mM ダンシルクロライドのアセトニトリル溶液40μlを加えて40℃で30分間反応させた。反応後、反応液を遠心分離することにより得た上清20μlをHPLCの試料とした。ダンシル化スペルミジンは逆相HPLC(カラム;Cadenza CD-C18、4.6mmI.D.X75mm、移動相A:50mM ギ酸アンモニウム(pH5.0)/アセトニトリル(90:10、v/v)、移動相B:50mM ギ酸アンモニウム(pH5.0)/アセトニトリル(10:90、v/v)、グラジェント溶出条件:55%B(0〜3min)→100%B(3〜10min)、流速;1ml/min、蛍光検出;励起波長360nm、測定波長510nm)で分離定量した。スペルミジン標準液で検量線を作成し、酵素反応液のスペルミジン含量を計算した。
(結果)
本発明の方法では、SPDSの生成物のスペルミジンではなく、MTAを指標として測定している。SPDSの反応によってスペルミジンとMTAが同数生成される。本発明の方法でSPDSの活性を特異的に測定できているかどうか調べるため、SPDSにより生成されたスペルミジンをHPLCで定量して、本発明の方法の結果と比較した。反応液のポリアミンをダンシル化した上で、HPLCでダンシル化スペルミジンを分離した。ここで採用したHPLCの分離条件で、ダンシル化スペルミジンの保持時間はおよそ13分間であった。本発明の方法の結果とHPLCの結果の相関を図8に示す。MTA濃度(x)はスペルミジン濃度(y)とよく一致した(y=1.1315x+130.48nmol/L、R2=0.9931、n=28)。この実験結果は、本発明の方法でSPDSの活性を特異的に測定できることを示している。
本発明のモノクロナル抗体MTA−7H8のMTAおよびその前駆体dcSAMに対する反応性を示すグラフである。 本発明のELISAでSPDSの活性を測定した結果を示したグラフである。AはMTAの標準曲線、Bは各酵素量で反応した結果得たELISAの測定値を標識MTAの結合率に換算して表したグラフ、Cは、各酵素量におけるMTA産生量をAとBの結果を基に算出した結果を示すグラフである。 本発明のELISAにより4−メチルシクロヘキシルアミンのSPDSに対する阻害活性を測定した結果を示したグラフである。 本発明のモノクロナル抗体MTA−7H8のHTRF法におけるMTAおよびその前駆体dcSAMに対する反応性を示すグラフである。 本発明のHTRF法でSPDSの活性を測定した結果を示したグラフである。AはMTAの標準曲線、Bは各酵素量で反応した結果得たHTRF測定値を標識MTAの結合率に換算して表したグラフ、Cは各酵素量におけるMTA産生量をAとBの結果を基に算出した結果を示すグラフである。 本発明のHTRF法により4−メチルシクロヘキシルアミンのSPDSに対する阻害活性を測定した結果を示したグラフである。 本発明のモノクロナル抗体MTA−7H8のSPA法におけるMTAおよびその前駆体dcSAMに対する反応性を示すグラフである。 本発明の方法により測定したMTAの量とHPLCにより測定したスペルミジンの量は互いに相関していることを示すグラフである。

Claims (33)

  1. 5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと特異的に結合するモノクロナル抗体。
  2. 5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する反応性を100%とした場合に、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンに対する交差反応性が0.1%以下である請求項1記載のモノクロナル抗体。
  3. 該交差反応性が0.01%以下である請求項1記載のモノクロナル抗体。
  4. 5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンに対する反応性を100%とした場合に、脱炭酸化S−アデノシルメチオニンに対する交差反応性が0.1%以下であるポリクロナル抗体。
  5. 一般式(I):
    Figure 2007531724
    (式中、nは1以上の整数、−C(=O)−ORは活性エステルである)
    で表される化合物。
  6. 一般式(I)で表される化合物においてnが5である請求項5記載の化合物。
  7. Rが以下の式(II):
    Figure 2007531724
    で表される請求項6記載の化合物。
  8. 5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンのプリン基にキャリアタンパクを結合させることを特徴とする免疫原。
  9. 一般式(III):
    Figure 2007531724
    (式中、nは1以上の整数、Xはキャリアタンパクである)で表される請求項8記載の免疫原。
  10. 一般式(III)で表される化合物においてnが5である請求項9記載の免疫原。
  11. Xがカギアナカサガイのヘモシアニンである請求項10記載の免疫原。
  12. 請求項8から10のいずれかに記載の免疫原に対する請求項4記載のポリクロナル抗体。
  13. 請求項8から10のいずれかに記載の免疫原に対する請求項1から3のいずれかに記載のモノクロナル抗体。
  14. 5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンと特異的に結合するモノクロナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  15. 受託番号がFERM−ABP10226である請求項14記載のハイブリドーマ。
  16. 請求項15に記載のハイブリドーマによって産生される請求項1から3のいずれかに記載のモノクロナル抗体。
  17. 標識されたものである請求項1から4のいずれかに記載の抗体。
  18. 該標識が、酵素、蛍光物質、着色ビーズ、放射性同位元素、金属類、またはビオチンである請求項17記載の抗体。
  19. 標識がペルオキシダーゼである請求項18記載の抗体。
  20. 標識がユウロピウムクリプテートである請求項18記載の抗体。
  21. 請求項1から4のいずれかに記載の抗体を用いたアッセイ法。
  22. 抗体を用いたアッセイ法がELISA法である請求項21記載の方法。
  23. 抗体を用いたアッセイ法がホモジニアスアッセイ法である請求項21記載の方法。
  24. 該ホモジニアスアッセイ法が蛍光共鳴エネルギー転移を用いたアッセイ法である請求項23記載の方法。
  25. スペルミジンシンターゼの活性を測定するものである請求項21から24のいずれかに記載の方法。
  26. 変形性関節症の治療・予防剤を探索するものである請求項21から25のいずれかに記載の方法。
  27. 変形性関節症の治療の必要がある被験者を治療する方法であって、
    被験者の治療に十分効力のある量のスペルミジン生合成を阻害する抗体を被験者に投与することを含む方法。
  28. スペルミジンシンターゼに関する疾患の治療の必要がある被験者を治療する方法であって、
    被験者の治療をするためにスペルミジンシンターゼの生合成の実質的な阻害効果を有する抗体を被験者に投与することを含む方法。
  29. 疾患が、癌、骨粗しょう症、アルツハイマー病、そして高血圧を含む増殖性疾患である請求項27もしくは28の方法。
  30. 抗体が、請求項1から4、12から13、もしくは16から20のいずれかの抗体である請求項27もしくは28の方法。
  31. 請求項1から4、12から13、もしくは16から20のいずれかの抗体を含む薬学的組成物。
  32. さらに薬学的に許容される担体を含む請求項31の組成物。
  33. 請求項5から7のいずれかの化合物を含む薬学的組成物。
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