JP2007530703A - Msおよびその他の脱髄疾患を治療するためのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタアゴニストの使用 - Google Patents

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Abstract

PPARデルタアゴニストの有効量を用いた処置によって脱髄疾患の治療を必要とする患者の脱髄疾患を治療する方法が開示される。本方法で有効に治療される可能性のある脱髄疾患としては、これらに限定されないが、多発性硬化症、シャルコー−マリー−ツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロトフィー、ギラン・バレー症候群、およびミエリンを形成するグリア細胞が損傷を受ける障害(脊髄損傷、神経障害および神経損傷など)が挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、多発性硬化症(MS)およびその他の脱髄疾患を治療するためのPPARデルタアゴニストの使用に関する。本発明はまた、MSおよびその他の脱髄疾患を治療するための選択的なPPARデルタアゴニストである、ある種の化合物の使用に関する。
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、核内受容体スーパーファミリーのサブファミリーを構成する。3種の密接に関連したアイソフォームが同定され、クローニングされており、これらは一般的に、PPARアルファ、PPARガンマ、および、PPARデルタとして知られている。各受容体サブタイプは、特徴的なDNA結合ドメイン(DBD)およびリガンド結合ドメイン(LBD)を有し、これらはいずれもリガンドで活性化された遺伝子発現に必要である。PPARは、レチノイドX受容体とのヘテロ二量体として結合する。J.BergerおよびD.E.Miller,Ann.Rev.Med.,2002年,53,409〜435を参照。
PPARデルタ(また、PPARベータとして知られている)は、広範囲の哺乳動物組織で発現されるが、この受容体によって調節されるそれらの生物学的機能または完全な遺伝子アレイに関する情報は、ほとんど明確になっていない。しかしながら、近年、アゴニストは、脂質代謝異常のような状態およびある種の皮膚科学的な状態を治療するのに有用であり得る一方で、アンタゴニストは、骨粗鬆症または結腸直腸癌を治療するのに有用であり得ることが見出された(D.Sternbach,in Annual Reports in Medicinal Chemistry,第38巻,A.M.Doherty編,エルゼビア・アカデミックプレス(Elsevier Academic Press),2003年,71〜80頁)。
PPARデルタは、CNSで著しく発現されるようである;しかしながら、その機能の多くが、なおわからないままである。しかしながら、PPARデルタは、げっ歯類の乏突起膠細胞(CNSの主要な脂質生産細胞)で発現されたという発見は、極めて興味深い(J.Granneman等,J.Neurosci.Res.,1998年,51,563〜573)。その上、PPARデルタ選択的アゴニストが、マウス培養物において乏突起膠細胞のミエリン遺伝子発現とミエリン鞘の直径を著しく増加させることが見出されたこともわかっている(I.Saluja等,Glia,2001年,33,194〜204)。
脱髄状態は、ミエリン(多くの神経線維を覆う脂質とタンパク質からなる複数の密な層)の損失の兆候が見られる。これらの層は、中枢神経系(CNS)では乏突起膠細胞、および末梢神経系(PNS)ではシュヴァン細胞によって提供される。多発性硬化症(MS)において、乏突起膠細胞(CNS中のミエリンを形成する細胞)は破壊され、軸索は損傷を受け、その結果、著しく損なわれたニューロンの活性や、麻痺などの機能障害が起こる。脱髄状態を有する患者において、髄鞘脱落は回復不能の場合が多い;これは通常、軸索の変性、そして、しばしば細胞変性を伴うか、または続発する。髄鞘脱落は、ニューロンの損傷またはミエリンそのものへの損傷(これらは、異常な免疫反応、局所損傷、虚血、代謝性疾患、毒物またはウイルス感染のいずれかによっても生じる)の結果として起こる可能性がある(PrineasおよびMcDonald,Demyelinating Diseases.In Greenfield's Neuropathology,6th ed.(Edward Arnold:ニューヨーク,1997年)813
〜811、BeersおよびBerkow編,The Merck Manual of
Diagnosis and Therapy,17th ed.(ホワイトハウスステーション,ニュージャージー州:メルク・リサーチ・ラボラトリーズ(Merck Research Laboratories),1999年)1299,1437,1473〜76,1483)。しかしながら、髄鞘脱落の全領域に新たに形成された乏突起膠細胞の前駆細胞が存在することから、これらの前駆細胞を成熟した乏突起膠細胞へ分化するように誘導できるならば、自己修復の可能性が示唆される。
中枢の髄鞘脱落(CNSの髄鞘脱落)が数種の状態で起こるが、病因が不明であることが多く、これらは、原発性脱髄疾患として知られるようになった。これらの中でも、多発性硬化症が最も多発している。その他の原発性脱髄疾患としては、副腎白質ジストロトフィー(ALD)、副腎脊髄神経障害、AIDS−空胞性脊髄症、HTLV関連脊髄症、レーバー遺伝性視神経萎縮、進行性多巣性白質脳病(PML)、亜急性硬化性全脳炎、および熱帯性痙性不全対麻痺が挙げられる。加えて、髄鞘脱落がCNSで起こる急性の症状があり、例えば急性散在性脳脊髄炎(ADEM)および急性ウイルス脳炎である。その上、急性横断性脊髄炎、原因不明の急性脊髄離断が1またはそれ以上の隣接する胸分節における灰白質と白質の両方に影響を与える症候群もまた、髄鞘脱落を起こす場合がある。
MSは、ほとんどが若年成人に影響を与える慢性の破壊的な神経疾患である。MSの病因は、ミエリンと乏突起膠細胞の破壊、ならびに脳および脊髄における軸索の損傷を引き起こす複合的なプロセスにある(PrineasおよびMcDonald,Demyelinating Diseases.In Greenfield's Neuropathology,6th ed.(Edward Arnold:ニューヨーク,1997年)813〜811,Trapp等,N.Engl.J.Med.,338:278〜85,1998年)。病理組織学的に、MSは、炎症、CNS組織における髄鞘脱落の浸潤細胞のプラーク、乏突起膠細胞の喪失、および病巣における軸索傷害によって特徴付けられる(PrineasおよびMcDonald,Demyelinating Diseases.In Greenfield's Neuropathology,6th ed.(Edward Arnold:ニューヨーク,1997年)813〜811)。この病気は、ミエリン(場合によってはミエリンではない自己抗原)に対する異常な免疫反応によって生じると考えられている(Bar−Or等,J.Neuroimmunol.100:252〜59,1999年,Hartung,H.−P.,Current Opinion in Neurology,8:191〜99,1995年)。臨床的に、MSは、再発寛解を繰り返し、または身体障害を強めながら慢性的な進行性の経過をたどる可能性がある(Gold等,Mol.Med.Today,6:88〜91,2000年)。典型的には、MSの症状としては、協調運動障害、感覚異常、言語および視覚障害ならびに衰弱が挙げられる。
現在の様々な脱髄状態の治療は、費用がかかり、対症的であり、ほんの部分的にしか有効ではない場合が多く、さらに望ましくない二次的な影響を引き起こす可能性がある。MSの主要な治療法の代表は、コルチコステロイド(経口プレドニゾンを60〜100mg/日、2〜3週間かけて漸減、または静脈内メチルプレドニゾロンを500〜1000mg/日、3〜5日間)である。発病中の症状出現期を短くすることが可能だが、最終的な長期障害に影響を与えることができない。長期のコルチコステロイド治療は、正当とされることはあまりなく、骨粗鬆症、潰瘍および糖尿病などの多数の内科的な合併症を引き起こす可能性がある(BeersおよびBerkow編,The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17th ed.(ホワイトハウスステーション,ニュージャージー州:メルク・リサーチ・ラボラトリーズ,1999年)1299,1437,1473〜76,1483)。
組換えヒトインターフェロンベータ(ベータセロンおよびアボネックス)、およびコポリマー(コパクソン)を用いた免疫調節療法では、MSの再発頻度をわずかに減少させ、その結果生じる能力障害の遅延を助長することができる(BeersおよびBerkow編,The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17th ed.(ホワイトハウスステーション,ニュージャージー州:メルク・リサーチ・ラボラトリーズ,1999年)1299,1437,1473〜76,1483)。現在のところ、MSの治療様式としてインターフェロンベータとコポリマーの形態両方が用いられているが、いずれも費用がかかる。より重度の進行性の形態には、免疫抑制薬(アザチオプリン、クラドリビン、シクロホスファミド、および、メトトレキサート)が用いられている。しかしながら、これらは必ずしも一様に有益ということはなく、顕著な毒性の副作用を有する。数種の薬物(例えば、バクロフェン、分割投与で30〜60mg/日)は、脊髄反射を阻害することにより痙縮を減少させることが可能である。だがMS患者における痙縮の薬剤により誘発される減少は、衰弱を増悪させることが多く、それによりさらに患者を活動不能にするので、用心深く慎重な使用が必要である。
同様に、現在のALD、その他の破壊的な脱髄疾患のための治療は、比較的効果がない。ALDの症状としては、皮質盲、皮質脊髄路の機能障害、精神衰退および痙縮を挙げることができる。ALDの経過を制御するための治療としては、骨髄移植、および、食事療法が挙げられるが(DiBiase等,Ann.Ist.Super Sanita,35:185〜92,1999年)、激しい神経機能の低下が常に発生し、最終的には死に至る[Krivit等,Curr.Opin.Hematol.,6:377〜82,1999年,(BeersおよびBerkow編,The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17th ed.(ホワイトハウスステーション,ニュージャージー州:メルク・リサーチ・ラボラトリーズ,1999年)1299,1437,1473〜76,1483)。EAEおよびEANを有する動物を、グリア細胞移植と成長因子を用い、さらに接着分子、自己抗体およびサイトカインを阻害することによって治療すると、多少の進歩が認められた(NjengaおよびRodriguez,Current Opinion in Neurology,9:159〜64,1996年)。しかしながら、これらの治療は、ヒトにおいても有益であるとは示されておらず、場合によっては大規模な脳神経外科的な介入を必要とする。従って、前述のことから、望ましくない二次的な影響を起こすことなく多種多様な脱髄状態を治療するための、より有効で、且つより費用がかからず、より侵襲性が少ない方法の要求が存在することは明らかである。
本発明は、現在の脱髄障害を治療するための免疫調節療法を著しく改良するために、低分子物質で活性化された再生アプローチの使用を伴う。
選択的PPARデルタであることがわかっている化合物は当該技術分野で既知であり、具体的には、式(1)で示される化合物であり、これは、一般的には、WO01/00603に記載のGW501516として知られている。
Figure 2007530703
式(2)で示される化合物もまた、L165,041として知られており、欧州特許出願第28063号およびWO97/28149で開示されており、そこでこれは、選択的PPARデルタアゴニストと同定されている。
Figure 2007530703
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPARデルタ)アゴニストの、げっ歯類の大脳から急性摘出した乏突起膠細胞の前駆細胞の分化を促進し、ミエリン鞘の直径とミエリンの遺伝子発現の両方を著しく増加させる潜在的な能力により、PPARデルタアゴニストは、乏突起膠細胞の前駆細胞におけるPPARデルタ経路を活性化し、さらに脱髄疾患(特にMS)の脱髄した軸索にミエリン鞘を回復させることによってニューロン修復を強化する可能性がある。
従って、本発明の実施形態によれば、多種多様な脱髄疾患状態(特に多発性硬化症)をPPARデルタアゴニストで治療する方法が提供される。一般的に、本発明の実施形態に従って治療できる上記疾患状態としては、これらに限定されないが、多発性硬化症、シャルコー−マリー−ツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロトフィー、ギラン・バレー症候群、およびミエリンを形成するグリア細胞が損傷を受ける障害(脊髄損傷、神経障害および神経損傷など)が挙げられる。本明細書で開示された疾患は、このような治療が必要な患者に、治療上有効な量のPPARデルタアゴニストを投与することによって治療することができる。
本発明はまた、脱髄疾患、特に多発性硬化症を治療するための、式(1)および式(2)で示される化合物の使用にも向けられる。
Figure 2007530703
本発明はまた、式(1)または式(2)で示される化合物またはそれらの製薬上許容できる塩と、治療上有効な量で多発性硬化症を治療するのに有効であることがわかっているその他の化合物との組み合わせを投与することによって、患者における多発性硬化症を治療する方法も含む。上記疾患を治療するために現在用いられている化合物は、疾患修飾薬、例えばインターフェロン(インターフェロンベータ1−a、ベータ1−b、および、アルファ2)、酢酸グラチラマー(Glatiramer acetate)またはコルチコステロイド、例えばメチルプレドニゾロンおよびプレドニゾンである。さらに、化学療法剤、例えばメトトレキサート、アザチオプリン、クラドリビン シクロホスファミドおよびシクロスポリンも挙げられる。
発明の詳細な説明
本明細書で用いられるように、表現「製薬上許容できるキャリアー」は、非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント、またはその他の材料を意味し、これらは、医薬組成物、すなわち患者に投与できる投薬形態が形成できるようにするために本発明の化合物と混合される。このようなキャリアーの一例は、製薬上許容できるオイルであり、典型的には、非経口投与に用いられる。
本明細書で用いられる用語「製薬上許容できる塩」は、本発明の化合物の塩が医薬製剤で用いることができることを意味する。しかしながら、その他の塩も、本発明に係る化合物またはそれらの製薬上許容できる塩の製造において有用な場合がある。本発明の化合物の適切な製薬上許容できる塩としては、酸付加塩が挙げられ、これは例えば、本発明に係る化合物の溶液と、製薬上許容できる酸の溶液とを混合することによって形成することができ、このような製薬上許容できる酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、酢酸、サリチル酸、ケイ皮酸、2−フェノキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、炭酸またはリン酸である。また、上記酸の金属塩(例えばオルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウム)を形成してもよい。また、このようにして形成された塩は、一酸または二酸の塩のいずれかで存在する可能性があり、さらに水和物として存在してもよいし、または実質的に無水でもよい。その上、本発明の化合物に酸性部分が含まれる場合、適切なそれらの製薬上許容できる塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;および適切な有機配位子で形成された塩(例えば第四アンモニウム塩)も挙げられる。
本明細書で用いられる用語「治療上有効な量」は、本化合物の、上記の障害または状態の治療に有効な量を意味する。
本明細書で用いられる表現「製薬上許容できるキャリアー」は、非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント、またはその他の材料を意味し、これらは、医薬組成物、すなわち患者に投与できる投薬形態が形成できるようにするために本発明の化合物と混合される。このようなキャリアーの一例は、製薬上許容できるオイルであり、典型的には、非経口投与に用いられる。
本発明はまた、本発明に係る化合物の1種またはそれ以上を、製薬上許容できるキャリアーと共に含む医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、単位投与形態であり、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、定量エアゾールまたは液体スプレー剤、滴剤、アンプル、自動注入装置または坐剤であり;これらは、経口、非経口、鼻腔内、舌下または直腸投与のため、または吸入法もしくは吹送法による投与のためのものである。あるいは、本組成物は、週1回または月1回の投与に適した形態で提供されてもよく;例えば、本活性化合物の不溶性塩(例えばデカン酸塩)を、筋肉内注射用のデポ製剤を提供するのに適合させてもよい。上記活性成分を含む浸食性のポリマーを考慮してもよい。錠剤のような固形組成物を製造するために、主要な活性成分を、製薬用キャリアー、例えば従来の錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウムまたはガム類、およびその他の製薬用の希釈剤、例えば水と混合し、本発明の化合物またはそれらの製薬上許容できる塩の均一な混合物を含む固形の予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物が均一であるという場合、上記活性成分が本組成物全体に一様に分散されており、従って本組成物を等しく有効な単位投薬形態(例えば錠剤、丸剤およびカプセル剤)中に容易に細分できることを意味する。次に、この固形の予備製剤組成物を、本発明活性成分の0.1〜約500mgを含む上述のタイプの単位投薬形態の中に細分する。矯味矯臭した単位投薬形態は、上記活性成分を1〜100mg、例えば1、2、5、10、25、50または100mg含む。その新規組成物の錠剤または丸剤は、コーティングしてもよいし、または別の方法で、持続性の作用の利点を提供する投薬形態が提供されるように配合してもよい。例えば、錠剤または丸剤は、内部の投与成分と外部の投与成分とで構成されていてもよく、この場合、後者が、前者を覆う外被の形態である。2種の成分は、腸溶性の層で分離することができ、この層は、胃での崩壊に耐えるように作用し、内部の成分を十二指腸に無傷で通過させる、またはそれらの放出を遅らせることができる。このような腸溶性の層またはコーティングには、多種多様な材料を用いることができ、このような材料としては、多数のポリマー酸、ならびにポリマー酸と、セラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
経口投与のための、または注射による本発明の新規の組成物を包含することができる液体の形態としては、水性液剤、適切に矯味矯臭したシロップ剤、水性または油性懸濁剤、および可食油(例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油)、ならびにエリキシルおよび類似の製薬ビヒクルを用いた矯味矯臭した乳剤が挙げられる。水性懸濁剤とするのに適した分散剤または懸濁化剤としては、合成ゴムおよび天然ゴム、例えばトラガカント、アラビアゴム、アルギネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが挙げられる。
本明細書で説明されているような様々な病態の治療において、適切な用量のレベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、特に1日あたり約0.05〜100mg/kg、特には1日あたり約0.05〜20mg/kgである。本化合物は、1日あたり1〜4回の用法で投与してもよい。
本発明の一形態において、治療上有効な量のhPPARデルタアゴニストを投与することを含む、患者の脱髄疾患を治療する方法が開示される。
この実施態様のさらなる形態において、hPPARデルタアゴニストは、選択的アゴニストである。
この実施態様のその他の形態において、上記脱髄疾患は、多発性硬化症、シャルコー−マリー−ツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロトフィー、ギラン・バレー症候群、ならびに脊髄損傷、神経障害および神経損傷を含むミエリンを形成するグリア細胞が損傷を受ける障害からなる群より選択される上記方法が開示される。
この実施態様のさらなる形態において、上記脱髄疾患は、多発性硬化症である上記方法が開示される。
この実施態様のさらにその他の形態において、上記アゴニストは、式(1)および式(2)で示される化合物からなる群より選択される上記方法が開示される。
Figure 2007530703
本発明で開示されるその他の実施態様には、式(1)および式(2)で示される化合物からなる群より選択される化合物を、多発性硬化症、シャルコー−マリー−ツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロトフィー、ギラン・バレー症候群、および、ミエリンを形成するグリア細胞が損傷を受ける障害(脊髄損傷、神経障害および神経損傷など)を治療するのに有効な量で、少なくとも1種の製薬上許容できるキャリアーと組み合わせて含む医薬組成物がある。
Figure 2007530703
この実施態様のさらなる形態において、多発性硬化症の治療に有効な量を含む医薬組成物が開示される。
図面の説明
図1:培養されたラットの乏突起膠細胞における、PPARデルタアゴニストによるミエリン塩基性タンパク質(MBP)の免疫反応性の強化を説明する。
図2:このグラフは、培養されたラットの乏突起膠細胞における化合物1によるMBPのmRNAの強化を示す。
図3:このグラフは、培養されたラットの乏突起膠細胞における化合物2によるMBPのmRNAの強化を示す。
図4A:培養されたラットの乏突起膠細胞におけるPPARデルタアゴニストの経路の活性化を確認する転写マーカーに対する化合物1の作用を説明する。
図4B:さらに、培養されたラットの乏突起膠細胞におけるPPARデルタアゴニストの経路の活性化を確認する転写マーカーに対する化合物1の作用を説明しており、ADRPのmRNAは、培養されたラットの乏突起膠細胞でアップレギュレートされることが示される。
図5:化合物1の作用を受けたヒト乏突起膠細胞の混合された培養物におけるO4免疫陽性細胞の数の増加を示す。
図6:化合物2の作用を受けたヒト乏突起膠細胞の混合された培養物におけるO4免疫陽性細胞の数の増加を示す。
化合物の実施例:
式(1)で示される化合物(GW501516)は、WO01/00603で公開されたようにして製造することができる。式(2)で示される化合物(L165,041)は、WO97/28149で説明されているようにして製造することができる。
生物学的な実施例:
本発明の化合物の生物学的な特性を確認するために、以下の試験プロトコールを用いた。以下の実施例は、本発明をさらに説明するために示される。しかしながら、これらは、どのような形でも本発明を限定すると解釈されるべきではない。
本発明のPPARデルタアゴニストを、ミエリン発現を促進し、さらに再生プロセスを強化するそれらの能力に関して、インビトロおよびインビボのモデルで評価した。
最適な核内受容体の選択性のプロファイルは、GAL4/ルシフェラーゼレポーター分析によって決定された。げっ歯類細胞の分析は、培養された乏突起膠細胞の前駆細胞の、成熟した乏突起膠細胞への分化を指示/促進する本化合物の能力を示す。
MSの治療に関する有効性を示す具体的な生物学的分析は、齧歯類で行われるリゾレシチンで誘導された髄鞘脱落と、実験的アレルギー性脳脊髄炎である。
細胞のPPARデルタ分析におけるPPARアゴニストのEC 50 値の決定
原理
アゴニストの様式でヒトPPARデルタに結合し、それらを活性化する物質の効力は、安定してトランスフェクションされたHEK細胞系(HEK=ヒト胎児腎臓)(本明細書においてPPARデルタレポーター細胞系と称する)を用いて解析された。PPARデルタレポーター細胞系は、2つの遺伝学的要素、ルシフェラーゼレポーター要素(pdeltaM−GAL4−Luc−Zeo)、およびPPARデルタリガンドに依存してルシフェラーゼレポーター要素の発現を仲介するPPARデルタ融合タンパク質(GR−GAL4−ヒトPPARデルタ−LBD)を含む。安定して、かつ構成的に発現された融合タンパク質GR−GAL4−ヒトPPARデルタ−LBDは、PPARデルタレポーター細胞系の細胞核中で、GAL4タンパク質部分を介して、細胞系のゲノムに安定して統合されているルシフェラーゼレポーター要素のGAL4のDNA結合モチーフの5’上流に結合する。本分析で脂肪酸を枯渇させたウシ胎仔血清(cs−FCS)が用いられた場合、PPARデルタリガンドの非存在下では、ルシフェラーゼレポーター遺伝子はほんのわずかしか発現しない。PPARデルタリガンドは、PPARデルタ融合タンパク質に結合し、活性化し、およびそれによって、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を刺激する。形成されるルシフェラーゼは、適切な基質を介した化学発光によって検出することができる。
PPARデルタレポーター細胞系の構築
安定なPPARデルタレポーター細胞系の生産は、ルシフェラーゼレポーター要素で安定してトランスフェクションされた安定なHEK−細胞クローンに基づく。この工程はすでに、「PPARアルファレポーター細胞系の構築」の章で述べられている。第二の工程において、PPARデルタ融合タンパク質(GR−GAL4−ヒトPPARデルタ−LBD)を、この細胞のクローンに安定して導入した。この目的のために、糖質コルチコイド受容体のN末端の76個のアミノ酸をコードするcDNA(登録番号P04150)を、酵母転写因子GAL4(登録番号P04386)のアミノ酸1〜147をコードするcDNA断片に連結させた。ヒトPPARデルタ受容体(アミノ酸S139−Y441;登録番号L07592)のリガンド−結合ドメインのcDNAを、このGR−GAL4コンストラクトの3’末端でクローニングした。この方法で製造された融合コンストラクト(GR−GAL4−ヒトPPARデルタ−LBD)を、サイトメガロウイルスプロモーターにより構成的に発現させるために、プラスミドpcDNA3(インビトロジェン(Invitrogen))に再度クローニングした。このプラスミドを制限エンドヌクレアーゼで直線状にし、およびルシフェラーゼレポーター要素を含む上述した細胞クローンに安定してトランスフェクションさせた。このようにして得られた、ルシフェラーゼレポーター要素を含み、PPARデルタ融合タンパク質(GR−GAL4−ヒトPPARデルタ−LBD)を構成的に発現するPPARデルタレポーター細胞系を、ゼオシン(0.5mg/ml)とG418(0.5mg/ml)を用いた選択によって単離した。
分析法および評価
PPARデルタアゴニストの活性は、以下で説明される3日間の分析で決定された:
1日目
PPARデルタレポーター細胞系を培養し、以下の添加物:10%cs−FCS(ウシ胎仔血清;#SH−30068.03,ハイクローン(HyClone))、0.5mg/mlゼオシン(#R250−01,インビトロジェン)、0.5mg/mlのG418(#10131−027,インビトロジェン)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(#15140−122,インビトロジェン)および2mMのL−グルタミン(#25030−024,インビトロジェン)と混合したDMEM(#41965−039,インビトロジェン)中80%のコンフルエントにした。培養は、細胞培養インキュベーター中の標準的な細胞培養瓶(#353112,ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson))で、37℃で、5%CO2の存在下で行われた。80%コンフルエントの細胞をPBS 15ml(#14190−094,インビトロジェン)で1回洗浄し、トリプシン溶液3ml(#25300−054,インビトロジェン)で、37℃で2分間処理し、上述のDMEM 5mlに溶解させ、細胞計数器で計数した。500,000細胞/mlに希釈した後、35,000個の細胞を、透明プラスチックベースの96ウェルのマイクロタイタープレート(#3610,コーニング・コースター(Corning Costar))の各ウェルにシーディングした。このプレートを、細胞培養インキュベーター中で、37℃、5%CO2で、24時間インキュベートした。
2日目
試験しようとするPPARデルタアゴニストを、濃度10mMのDMSOに溶解させた。このストック溶液を、5%cs−FCS(#SH−30068.03,ハイクローン)、2mMのL−グルタミン(#25030−024,インビトロジェン)、および上述した抗生物質(ゼオシン、G418、ペニシリンおよびストレプトマイシン)と混合したDMEM(#41965−039,インビトロジェン)に希釈した。
試験物質を、10μM〜100pMの範囲の11種の異なる濃度で試験した。より強力な化合物は、1μM〜10pMまたは100nM〜1pMの濃度範囲で試験した。
1日目にシーディングしたPPARデルタレポーター細胞系の培地を吸引によって完全に除去し、培地で希釈した試験物質を、細胞に即座に添加した。物質の希釈および添加はロボット(ベックマンFX(Beckman FX))によって行われた。培地で希釈した試験物質の最終容量は、96ウェルのマイクロタイタープレートのウェル1つあたり100μlとした。この分析におけるDMSO濃度は、溶媒の細胞傷害作用を防ぐために0.1%v/v未満とした。
それぞれ個々のプレートにおいてこの分析が機能していることを実証するために、各プレートに、同様に11種の異なる濃度に希釈された標準PPARデルタアゴニストを入れた。分析プレートを、インキュベーターで、37℃、5%CO2で、24時間インキュベートした。
3日目
PPARデルタレポーター細胞を、インキュベーターから取り出された試験物質で処理し、培地を吸引して除いた。96ウェルのマイクロタイタープレートの各ウェルにブライトグロ(Bright Glo)試薬(プロメガ(Promega)製)50μlをピペッティングして細胞を溶解させた。室温で、暗所で10分間インキュベートした後に、マイクロタイタープレートを、ルミノメーター(トリラックス(Trilux),ワラック((Wallac)製))で測定した。マイクロタイタープレートの各ウェルの測定時間は1秒とした。
評価
ルミノメーターからの生データを、マイクロソフトエクセル(Microsoft Excel)のファイルに移した。PPARアゴニストの用量−効果をプロットし、およびEC50値をXL.Fitプログラムを製造元(IDBS)が説明している通りにして用いて計算した。
細胞のPPARアルファ分析におけるPPARアゴニストのEC 50 値の決定
原理
アゴニストの様式でヒトPPARアルファに結合し、それらを活性化する物質の効力は、安定してトランスフェクションされたHEK細胞系(HEK=uman mbryo idney(ヒト胎児腎臓))(本明細書においてPPARアルファレポーター細胞系と称する)を用いて解析された。これは、2つの遺伝学的要素、ルシフェラーゼレポーター要素(pdeltaM−GAL4−Luc−Zeo)、およびPPARアルファリガンドに依存してルシフェラーゼレポーター要素の発現を仲介するPPARアルファ融合タンパク質(GR−GAL4−ヒトPPARアルファ−LBD)を含む。安定して、かつ構成的に発現された融合タンパク質GR−GAL4−ヒトPPARアルファ−LBDは、PPARアルファレポーター細胞系の細胞核中で、GAL4タンパク質部分を介して、細胞系のゲノムに安定して統合されているルシフェラーゼレポーター要素のGAL4のDNA結合モチーフの5’上流に結合する。本分析で脂肪酸を枯渇させたウシ胎仔血清(cs−FCS)が用いられた場合、PPARアルファリガンドの非存在下では、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現はほんのわずかしか発現しない。PPARアルファリガンドは、PPARアルファ融合タンパク質に結合し、活性化し、それによって、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を刺激する。形成されるルシフェラーゼは、適切な基質を介した化学発光によって検出することができる。
PPARアルファレポーター細胞系の構築
PPARアルファレポーター細胞系を2段階で製造した。まず第一に、ルシフェラーゼレポーター要素を構築し、HEK細胞に安定してトランスフェクションした。この目的のために、酵母転写因子GAL4(登録番号AF264724)の5つの結合部位を、68bp長の最小MMTVプロモーター(登録番号V01175)の5’上流にクローニングした。最小MMTVプロモーターのセクションは、RNAポリメラーゼIIによる効率的な転写を可能にするために、CCAATボックスとTATA要素を含む。GAL4−MMTVコンストラクトのクローニングおよび配列解析は、Sambrook J.等(Molecular cloning,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),1989年)の説明と同様にして行なわれた。次に、完全なホタルの一種(Photinus pyralis)の遺伝子(登録番号M15077)を、GAL4−MMTV要素の3’下流にクローニングした。配列解析した後、5つのGAL4結合部位、MMTVプロモーターおよびルシフェラーゼ遺伝子からなるルシフェラーゼレポーター要素を、プラスミドpdeltaM−GAL4−Luc−Zeoを得るために、ゼオシン耐性を付与するプラスミドに再度クローニングした。このベクターを、Ausubel,F.M.等(Current protocols in molecular biology,1〜3巻,ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley&Sons,Inc.),1995年)における記述に従って、HEK細胞にトランスフェクションした。次に、ゼオシンを含む培地(0.5mg/ml)を用いて、ルシフェラーゼ(luceriferase)遺伝子の極めて低い基底発現を示す適切な安定な細胞クローンを選択した。
第二の工程において、PPARアルファ融合タンパク質(GR−GAL4−ヒトPPARアルファ−LBD)を、上述した安定な細胞クローンに導入した。この目的のために、まず糖質コルチコイド受容体のN末端の76個のアミノ酸をコードするcDNA(登録番号P04150)を、酵母転写因子GAL4(登録番号P04386)のアミノ酸1〜147をコードするcDNA断片に連結させた。ヒトPPARアルファ受容体のリガンド−結合ドメインのcDNA(アミノ酸S167−Y468;登録番号S74349)を、このGR−GAL4コンストラクトの3’末端でクローニングした。この方法で製造された融合コンストラクト(GR−GAL4−ヒトPPARアルファ−LBD)を、サイトメガロウイルスプロモーターによってそこで構成的に発現されるように、プラスミドpcDNA3(インビトロジェン)に再度クローニングした。このプラスミドを制限エンドヌクレアーゼで直線状にし、およびルシフェラーゼレポーター要素を含む上述した細胞クローンに安定してトランスフェクションさせた。このようにして完成した、ルシフェラーゼレポーター要素を含み、PPARアルファ融合タンパク質(GR−GAL4−ヒトPPARアルファ−LBD)を構成的に発現するPPARアルファレポーター細胞系を、ゼオシン(0.5mg/ml)とG418(0.5mg/ml)を用いた選択によって単離した。
分析法
PPARアルファアゴニストの活性は、以下で説明される3日間の分析で決定された:1日目
PPARアルファレポーター細胞系を培養し、以下の添加物:10%cs−FCS(ウシ胎仔血清;#SH−30068.03,ハイクローン)、0.5mg/mlゼオシン(#R250−01,インビトロジェン)、0.5mg/mlのG418(#10131−027,インビトロジェン)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(#15140−122,インビトロジェン)および2mMのL−グルタミン(#25030−024,インビトロジェン)と混合したDMEM(#41965−039,インビトロジェン)中80%のコンフルエントにした。培養は、細胞培養インキュベーター中の標準的な細胞培養瓶(#353112,ベクトン・ディッキンソン)で、37℃で、5%CO2の存在下で行われた。80%コンフルエントの細胞をPBS(#14190−094,インビトロジェン)15mlで1回洗浄し、トリプシン溶液3ml(#25300−054,インビトロジェン)で、37℃で2分間処理し、上述のDMEM 5mlに溶解させ、細胞計数器で計数した。500,000細胞/mlに希釈した後、35,000個の細胞を、透明プラスチックベースの96ウェルのマイクロタイタープレート(#3610,コーニング・コースター)の各ウェルにシーディングした。このプレートを、細胞培養インキュベーター中で、37℃、5%CO2で、24時間インキュベートした。
2日目
試験されるPPARアルファアゴニストを、濃度10mMのDMSOに溶解させた。このストック溶液を、5%cs−FCS(#SH−30068.03,ハイクローン)、2mMのL−グルタミン(#25030−024,インビトロジェン)および上述した抗生物質(ゼオシン、G418、ペニシリンおよびストレプトマイシン)と混合したDMEM(#41965−039,インビトロジェン)で希釈した。
試験物質を、10μM〜100pMの範囲の11種の異なる濃度で試験した。より強力な化合物は、1μM〜10pMまたは100nM〜1pMの濃度範囲で試験した。
1日目にシーディングしたPPARアルファレポーター細胞系の培地を吸引によって完全に除去し、培地で希釈した試験物質を、細胞に即座に添加した。物質の希釈および添加はロボット(ベックマンFX(Beckman FX))によって行われた。培地で希釈した試験物質の最終容量は、96ウェルのマイクロタイタープレートのウェル1つあたり100μlとした。この分析におけるDMSO濃度は、溶媒の細胞傷害作用を防ぐために0.1%v/v未満とした。
それぞれ個々のプレートにおいてこの分析が機能していることを実証するために、各プレートに、同様に11種の異なる濃度に希釈された標準PPARアルファアゴニストを入れた。分析プレートを、インキュベーターで、37℃、5%CO2で、24時間インキュベートした。
3日目
PPARアルファレポーター細胞を、インキュベーターから取り出された試験物質で処理し、培地を吸引して除いた。96ウェルのマイクロタイタープレートの各ウェルにブライトグロ試薬(プロメガ(Promega)製)50μlをピペッティングして細胞を溶解させた。室温で、暗所で10分間インキュベートした後に、マイクロタイタープレートを、ルミノメーター(トリラックス,ワラック製)で測定した。マイクロタイタープレートの各ウェルの測定時間は1秒とした。
評価:
ルミノメーターからの生データを、マイクロソフトエクセルのファイルに移した。PPARアゴニストの用量−効果をプロットし、および、EC50値をXL.Fitプログラムを製造元(IDBS)が説明している通りにして用いて計算した。
細胞のPPARガンマ分析におけるPPARアゴニストのEC 50 値の決定
細胞ベースのPPARガンマ分析プロトコール
細胞ベースの分析を行うために、ルシフェラーゼ分析を96ウェルプレートで以下のようにして行った:
1日目:細胞の平板培養
・80〜90%コンフルエントに成長させた細胞をPBSで1回洗浄した;
・2分間トリプシン処理した;
・分析培地(DMEM,インビトロジェン,カタログ番号41965−039;5%のチャコール/デキストラン処理したFBS,ハイクローン,カタログ番号SH30068;0.5mg/mlゼオシン,インビトロジェン,カタログ番号46−0072;0.5mg/mlゲネチシン,インビトロジェン,カタログ番号10131−027;1%ペニシリン/ストレプトマイシン,インビトロジェン,カタログ番号15140−122;2mMのL−グルタミン,インビトロジェン,カタログ番号25030−024;7.5μg/mlブラストサイジンS・HCl,インビトロジェン,カタログ番号R210−01;1μg/mlドキシサイクリン、クロンテック(Clontech),カタログ番号8634−1)15mlを添加した;
・細胞を計数した;
・細胞を分析培地中で500.000細胞/mlに希釈した;
・底が透明なコーニング製プレート中で、ウェルあたり細胞懸濁液100μlを分配した(50.000細胞/ウェルにする);
・24時間、37℃で、5%CO2で、インキュベートした。
2日目:試験化合物の投与
・試験化合物をDMSOに溶解させ、10mMストック溶液を作製した;
・化合物を、分析培地(DMEM,インビトロジェン,カタログ番号41965−039;5%のチャコール/デキストラン処理したFBS,ハイクローン,カタログ番号SH30068;0.5mg/mlゼオシン,インビトロジェン,カタログ番号46−0072;0.5mg/mlゲネチシン,インビトロジェン,カタログ番号10131−027;1%ペニシリン/ストレプトマイシン,インビトロジェン,カタログ番号15140−122;2mMのL−グルタミン,インビトロジェン,カタログ番号25030−024;7.5μg/mlブラストサイジンS・HCl,インビトロジェン,カタログ番号R210−01;1μg/mlドキシサイクリン、クロンテック(Clontech),カタログ番号8634−1)で適切な濃度に希釈した(標準のFCSは、PPARリガンド結合ドメインに干渉する遊離の脂肪酸を含む);
・培地を吸引した(細胞は、この工程で極めて敏感である細胞を1分間より長く培地で覆われない状態にしないことを確認する);
・希釈した化合物を、96ウェルに移した(化合物を含む培地100μl);
・標準化合物(例えば、ロシグリタゾン)でコントロールを作製し、同様に、DMSOコントロール(0.1%DMSO)を作製した;
・24時間、37℃、5%CO2で細胞をインキュベートした。
希釈工程および希釈した化合物の添加は、ベックマン(Beckman)のバイオメック2000(Biomek 2000)またはベックマンのFXロボットを用いてなされた。
3日目:細胞の溶解およびルシフェラーゼ活性の測定
・細胞から培地を吸引した;
・プレートを−20℃に凍結させた(任意);
・プレートを30分間融解させた(必要に応じて);
・ブライト−グロ−ルシフェラーゼ分析試薬(プロメガ,カタログ番号E2650)50μlを添加した;
・暗所で10分間インキュベートした;
・ウェルあたり2秒で発光を測定した(ワラックのマイクロベータ(Microbeta))。
データ解析
マイクロソフトエクセルとXLFit(IDBSにより開発された)とを併用して、EC50値を、フィッティングアルゴリズム#205を用いて決定した。
細胞のヒトRXR受容体分析におけるEC50値の決定
細胞ベースのRXR分析プロトコール
細胞ベースの分析を行うために、ルシフェラーゼ分析を96ウェルプレートで以下のようにして行った:
1日目:細胞の平板培養
・80〜90%コンフルエントに成長させた細胞をPBSで1回洗浄した;
・2分間トリプシン処理した;
・培地(DMEM,インビトロジェン,カタログ番号41965−039;10%のチャコール/デキストラン処理したFBS,ハイクローン,カタログ番号SH30068;0.5mg/mlゼオシン,インビトロジェン,カタログ番号46−0072;0.5mg/mlゲネチシン,インビトロジェン,カタログ番号10131−027;1%ペニシリン/ストレプトマイシン,インビトロジェン,カタログ番号15140−122;2mMのL−グルタミン,インビトロジェン,カタログ番号25030−024)15mlを添加した;
・細胞を計数した;
・細胞を培地中で175,000細胞/mlに希釈した;
・底が透明なコーニング製プレート中で、ウェルあたり細胞懸濁液200μlを分配した(35,000細胞/ウェルにする);
・24時間、37℃で、5%CO2で、インキュベートした。
2日目:試験化合物の投与
・試験化合物をDMSOに溶解させ、10mMストック溶液を作製した;
・化合物を、分析培地(DMEM w/oフェノールレッド,インビトロジェン,カタログ番号21063−029;5%のチャコール/デキストラン処理したFBS,ハイクローン,カタログ番号SH30068;0.5mg/mlゼオシン,インビトロジェン,カタログ番号46−0072;0.5mg/mlゲネチシン,インビトロジェン,カタログ番号10131−027;1%ペニシリン/ストレプトマイシン,インビトロジェン,カタログ番号15140−122;2mMのL−グルタミン,インビトロジェン,カタログ番号25030−024)で適切な濃度に希釈した(標準のFCSは、PPARリガンド結合ドメインに干渉する遊離の脂肪酸を含む);
・培地を吸引した(細胞は、この工程で極めて敏感である細胞を1分間より長く培地で覆われない状態にしないことを確認する);
・希釈した化合物を、96ウェルに移した(化合物を含む培地100μl);
・標準化合物(例えば、RPR258134)でコントロールを作製し、同様に、DMSOコントロール(0.1%DMSO)を作製した;
・24時間、37℃、5%CO2で細胞をインキュベートした。
希釈工程および希釈した化合物の添加は、ベックマンのバイオメック2000(Biomek 2000)またはベックマンのFXロボットを用いてなされた。
3日目:細胞の溶解およびルシフェラーゼ活性の測定
・細胞から培地を吸引した;
・プレートを−20℃に凍結させた(任意);
・プレートを30分間融解させた(必要に応じて);
・ブライト−グロ−ルシフェラーゼ分析試薬(プロメガ,カタログ番号E2650)50μlを添加した;
・暗所で10分間インキュベートした;
・ウェルあたり2秒で発光を測定した(ワラックのマイクロベータ)。
データ解析
マイクロソフトエクセルとXLFit(IDBSにより開発された)とを併用して、EC50値を、フィッティングアルゴリズム#205を用いて決定した。
表1は、レポーター分析の場合の結果を示す。この結果によれば、化合物1および2が、PPARアルファ、ガンマおよびRXR活性が低い選択的PPARデルタ活性化因子であることが示される。
Figure 2007530703
ラット/マウス乏突起膠細胞培養
細胞の調製
1.一次ラット乏突起膠細胞の前駆細胞を、新生児(出生後2〜3日)ラットまたはマウスの新皮質から得て、さらに、小グリア細胞を除去した後に、元々McCarthyおよびde Vellis(1980年)で説明されている技術の改変法を用いて、星状細胞の単層から機械的に分離することによって高濃度化した。
2.新生児のラットの脳から髄膜を除去し、組織を機械的に解離させた。細胞をT75フラスコで平板培養し、細胞にDMEM/F12+10%FBSを与えた。
3.星状細胞が敷き詰められた層で成長した乏突起膠細胞を、最初の摘出日の14日後に、シェイキング・オフ(shaking−off)法で回収した。懸濁液を遠心分離し、細胞ペレットを、以下の成長因子:血小板由来成長因子−AA(PDGF)および線維芽細胞増殖因子−2(FGF)が追加された無血清培地(SFM;以下を含むDMEM:25μg/mlトランスフェリン(transferring)、30nMトリヨードチロニン、20nMヒドロコルチゾン、20nMプロゲステロン、10nMビオチン、1×微量元素、30nMセレン、1μg/mlプトレシン、0.1%BSA、5U/mlペンストレップ(PenStrep)、10μg/mlインスリン)に再懸濁した。
4.細胞をPDLでコーティングされた培養皿で平板培養し、37℃で、6〜7%CO2で、インキュベートした。
5.培地成分を48時間ごとに置き換え、細胞を始原状態に維持した。
スクリーニング分析のために細胞数を増加させるための前駆細胞の継代
1.培養物が集密してきたら、培養物をPBSでリンスし、トリプシンを添加し、37℃で〜2〜3分間インキュベートした。
2.この細胞懸濁液を中和し、900gで5分間遠心分離した。
3.細胞ペレットをSFM+PDGF/FGFに再懸濁した。
4.細胞に新しい成長因子を48時間ごとに与え、前駆細胞に迅速に分裂させるために高濃度を維持した。
5.実験分析の前に、細胞をわずか4〜5回しか継代させていない。
6.乏突起膠細胞の前駆細胞を必要とする実験は全て、これらの条件下で継続的に維持された細胞を用いて行われた。全ての細胞の95%超が、A2B5免疫陽性であり、さらに、2’3’−環状ヌクレオチド3’−ホスホジエステラーゼII mRNAを発現した。
7.成熟した乏突起膠細胞を発生させるために、平板培養してから24時間後に、前駆細胞をSFM(IGF−I含有または非含有)に切り替え、実験分析前7日間、これらの条件下で成長させた。
8.あるいは、高濃度化されたラットの中枢のグリア−4(Glia−4,CG4)前駆細胞系を用いて、B−104神経芽細胞腫細胞系由来の30%調整培地が追加された基礎培地(DMEM,以下を含む;2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、ビオチン(40nM)、インスリン(1μM)およびN1)中で維持してもよい。分化を誘導するために、CG4細胞の培地を、1%ウシ胎仔血清(2日後に除去した)およびインスリン(500nM)を含む基礎培地に切り替えた。A2B5、および、MBP免疫反応性を用いて、未成熟の培養物および成熟した培養物それぞれにおいて、>95%を超えて高濃度化されたことを確認した。
ラット/マウス培養物の化合物での処理
1.細胞を10,000〜15,000細胞/ウェルで24ウェルのPDLでコーティングされたプレートに置き、細胞をマイトジェン(10ng/ml)の存在下で一晩培養した。
2.マイトジェンの存在下で:
a.次の日、古い培地を除去し、新しい培地(マイトジェン含有)に化合物を添加した。
b.化合物の用量反応の評価は、6種の異なる濃度(10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、および0.1nM)で行われた;
c.各化合物濃度に対して3連のウェルで実験した。
3.マイトジェンの非存在下で:
a.次の日、古い培地を除去し、新しい培地(マイトジェン非含有)に化合物を添加した。
b.化合物の用量反応の評価は、6種の異なる濃度(10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、および0.1nM)で行われた;
c.各化合物濃度に対して3連のウェルで実験した。
4.実験分析で使用する前7日間、処理した細胞を培養した。
ヒト乏突起膠細胞培養
細胞の調製
1.ヒトニューロスフェア(E19.5−E22ヒト胎児皮質から回収された)を、前駆培地:PDGF、および、FGFが追加されたDMEM/F12(100μg/mlトランスフェリン、30nMトリヨードチロニン、20nMヒドロコルチゾン、20nMプロゲステロン、10nMビオチン、1×微量元素、30nMセレン、60μMプトレシン、0.1%BSA、5U/mlペンストレップ、25μg/mlインスリン)で2週間培養した。
2.20U/mlパパインを37℃で30〜50分間用いてニューロスフェアを解離した。
3.細胞を、50,000〜100,000細胞/ウェルの密度で、PDLでコーティングされた培養皿で、PDGF/FGFを含む前駆培地中で平板培養し、37℃、5〜6%CO2でインキュベートした。
4.48時間ごとに培地と成長因子を補充した。
ヒト培養物の化合物での処理
1.平板培養の24〜48時間後に、古い培地を除去し、新しい培地(マイトジェン含有)に化合物を添加した。
2.化合物の用量反応の評価は、3〜6種の異なる濃度(10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、および0.1nM)で行われた。
3.各化合物濃度に対して3連のウェルで実験した。
5.実験分析で使用する前7日間、処理した細胞を培養した。
ラット/マウス/ヒト乏突起膠細胞に特異的な免疫染色
化合物と接触させた後、乏突起膠細胞に特異的な抗体を用いて、乏突起膠細胞の分化を加速/促進する化合物の能力を評価した(例えば、O4、O1またはミエリン塩基性タンパク質の免疫反応性は、化合物で処理した培養物と未処理の培養物の間では経時的であった)。
1.細胞を、ポリ−D−リシンで処理した4−ウェルのチャンバースライドで、5×103〜20×103細胞/ウェルで平板培養し、上述のようにして成長させた。PDGFおよびFGF非含有でインビトロで毎日測定して、細胞の分化の程度が高まる乏突起膠細胞集団に対して連続的に染色した。
2.37℃で30分間の生染色を用いて、乏突起膠細胞の段階に特異的な細胞表面マーカー(例えばA2B5、O4、および、O1など)の発現を検出した。
3.その後、細胞を、4%パラホルムアルデヒドで、室温で10分間で固定した。
4.固定染色手法を用いて、乏突起膠細胞の段階に特異的な細胞表面マーカー(例えばミエリン塩基性タンパク質、MBPなど)の発現を検出した。
5.PBSでリンスした。
6.1×PBSで希釈した0.1%トリトン/0.01%NaAzを用いて室温で10分間透過させた。
7.抗体希釈緩衝液(0.1%トリトン−X100および1%IgG非含有ウシ血清アルブミン;抗体を希釈するのにも用いた)中の5〜10%ヤギ血清で、室温で15分間ブロックした。
8.抗体希釈緩衝液で希釈した一次抗体を添加した。
9.穏やかに揺らしながら、4℃で一晩インキュベートした。
10.次の日、PBSで1×5分間、続いて3×各15分間室温でリンスした。
11.適切な二次抗体と共に、室温で45分間インキュベートした。
12.細胞核を、4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いて、室温で15分間染色した。
13.PBSで数回リンスし、蛍光顕微鏡を用いて評価した。
14.以下の条件を、経時的に、さらに異なる化合物用量で比較した:PDGF/FGF単独、SFM単独、SFM−IGF1単独、PDGF/FGFと化合物、SFMと化合物。
ラット/マウス/ヒトのブロモデオキシウリジン(BrdU)免疫染色
化合物が細胞増殖を促進しないことの確認
1.乏突起膠細胞の前駆細胞を10μMのBrdUで20時間標識し、次に、70%エタノール、または、4%パラホルムアルデヒドのいずれかで固定した。
2.PBSでの洗浄を3回はさんで、ビオチン化したマウス抗BrdUおよびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼで連続的に細胞をインキュベートした。
3.DABを用いてBrdU免疫反応性の比色的な可視化を行ない、総細胞数をカウンターを用いて評価した(染色はヘマトキシリン)。
4.2回の独立した観察でBrdU免疫陽性細胞を計数した。
ラット/マウス/ヒト培養物の画像解析:蛍光顕微鏡を用いて、化合物と接触させた後の乏突起膠細胞の分化の程度を定量した。この分析により、選択的アゴニストが、乏突起膠細胞の分化を加速/促進することが示された。
1.手動での細胞の計数:各実験条件あたり4ヶ所のフィールドをランダムに選択し、各フィールドで500〜600個の細胞を計数した。DAPI陽性細胞(総細胞数)細胞に対するMBP(またはO4)免疫陽性細胞(ミエリン鞘を有する、または有さない成熟したプロセスで生産された細胞)のパーセンテージを、コントロールと薬物で処理した群とで比較した。
2.自動の細胞の計数:蛍光顕微鏡を用いて、化合物と接触させた後の乏突起膠細胞の分化の程度を定量した。6ヶ所のフィールド/ウェルをランダムに選択して、総集団(約8〜15×103細胞を計数した/ウェル)のうちの分化している乏突起膠細胞の数を評価した。免疫蛍光法の画像は、ツァイス・アキシオカムHRc(Zeiss AxioCam HRc)を備えたツァイス・アキソビジョン(Zeiss AxioVision)デジタルイメージングシステムを用いて、上記顕微鏡に冷却したCCDカメラを連結して得た。全ての顕微鏡のイメージングパラメーターは、細胞の免疫蛍光強度の解析のための画像が得られるように設定された。全ての細胞(DAPIで核染色された)に対するMBP陽性(分化した)細胞のパーセンテージを、コントロールと薬物で処理した群とで比較した。このイメージング条件下では、細胞の自己蛍光は検出できなかった。
3.ヒト乏突起膠細胞の分化の分析:O4免疫陽性細胞/ウェルを手動で総数を求めた(二極および多極)。
図1に、ラット乏突起膠細胞培養を用いた結果を示し、図5および6に、ヒト乏突起膠細胞の混合された培養物を用いた結果を示す。その結果によれば、未処理コントロールと比較してミエリン塩基性タンパク質の発現の増加が測定されたことから、PPARデルタアゴニストは、ラットおよびヒト乏突起膠細胞の分化を強化または促進することが示された。この新規の発見は、MSおよびその他の脱髄性の障害などの病気に罹った、または損傷したCNSにおいて、化合物1および化合物2および選択的PPARデルタアゴニストは、一般的にインビボでの乏突起膠細胞の分化およびミエリン形成を強化、促進または刺激することを示唆するものと考えられる。
ラット/マウス/ヒトの定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR):化合物で誘導されたPPARデルタ経路の活性化および乏突起膠細胞の成熟の程度の評価(mRNAレベルの変化)。
1.トリゾール(TriZol)試薬を用いて培養した乏突起膠細胞からトータルRNAを抽出した。
2.その後、mRNAをRNアーゼ非含有DNアーゼで処理し、再度精製し、次に、RT反応(クロンテック(Clontech)のPCRキットのためのアドバンテージRT(Advantage RT))を用いてcDNAテンプレートに変換した。
3.SybrグリーンPCRマスターミックス(Sybr Green PCR Master Mix)を用いてPPARデルタ経路の構成要素の転写発現を定量した。
4.18SリボソームRNAプライマー/プローブミックス(186bpの産物)をTaqman2XPCRマスターミックスに懸濁し、これをインターナルコントロールとして用いた。
5.定量PCRは、リアルタイムTaqmanTM 技術(Gibson等,1996年)を用いて、モデル7700配列検出システム(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems),フォスターシティー,カリフォルニア州)を用いて行なった。
6.配列検出システムソフトウェア・バージョン1.91を用いて結果を解析した。
図2、3、4Aおよび4Bに、これらの分析の結果を示す。これらの結果から、PPARデルタ選択的アゴニストは、PPARデルタ受容体に結合し、乏突起膠細胞のPPARデルタ経路を直接活性化することが示唆され、これは、インビボでも同様に作用すると予想される。
ラットELISA分析:化合物で誘導されたPPARデルタ経路の活性化、および、乏突起膠細胞の成熟の程度の評価(タンパク質レベルの変化)。
1.プレートをPBSで洗浄し、次に、氷上で維持した。氷冷した溶解緩衝液(トリス50mM、pH7.4、MgCl2 2mM、EDTA 1mM、β−メルカプトエタノール5mM、ノニデット(Nonidet)P−40 1%、プロテアーゼ阻害剤カクテル(ロシュ(Roche)):1錠/50ml)200μlを各ウェルに添加した。
2.ピペットを上下させて用いることによって細胞を溶解させ、2000rpmで、4℃で5分間プレートを回転させた。上清をすぐ使用できるようにした。
3.標準、コントロールおよびサンプル50μlをウェルにピペットで入れた。
4.MBP分析緩衝液50μlを各ウェルに添加した。
5.回転式マイクロプレート振盪機で500〜700rpmで撹拌してウェルを室温で2時間インキュベートした。
6.MBP抗体−ビオチン結合体100μlを各ウェルに添加した。
7.ウェルを、回転式マイクロプレート振盪機で500〜700rpmで撹拌して室温で1時間インキュベートした。
8.洗浄溶液(Wash Solution)でウェルを5回洗浄した。吸収材上でプレートを反転させブロットを乾燥させた。
9.ストレプトアビジン−酵素結合体の濃縮物を、MBP ELISA分析緩衝液で1:50に希釈した。(分析で使用する直前に希釈しなければならない)。
10.ストレプトアビジン−酵素結合体の溶液100μlを各ウェルに添加した。
11.回転式マイクロプレート振盪機で、500〜700rpmで撹拌してウェルを室温で30分間インキュベートした。
12.洗浄溶液(Wash Solution)でウェルを5回洗浄した。吸収材上でプレートを反転させブロットを乾燥させた。
13.TMBクロモゲン溶液(TMB Chromogen Solution)100μlを各ウェルに添加した。
14.回転式マイクロプレート振盪機で、500〜700rpmで撹拌してウェルを室温で10〜20分間インキュベートした。直射日光に曝さないようにした。
15.停止溶液(Stopping Solution)100μlを各ウェルに添加した。
16.450nMに設定されたマイクロプレートリーダーを用いて、30分以内にウェル中の溶液の吸光度を読み取った。
通常得られた上記の結果(図1〜6に示される)によれば、PPARデルタアゴニストは、細胞を分裂が活性な状態に正常に維持し、細胞の分化を阻害するマイトジェンの存在下でも、乏突起膠細胞の分化を促進することが明らかである。従って、損傷を受けた、または病気に罹ったCNSにおいて、選択的PPARデルタアゴニストは、乏突起膠細胞の前駆細胞の分裂を引き起こし、ミエリンタンパク質を発現させ、脱髄した、または髄鞘形成が減少した軸索を鞘で覆うことが可能であると予想される。
インビボでのコンセプトモデルの証明
巣状病変:(化合物がミエリンの無傷な状態を保護するかどうか、または、再ミエリン化の速度を促進/強化するかどうかを評価するために用いられた)
1.7週齢のラットに自由に餌と水を摂取させ、実験で使用する前に最低4日間順応させた。
2.外科手術の前に、各動物の重さを量った。次に、ケタミン(100mg/ml)とキシラジン(20mg/ml)とを1.8:1の比率で併用してラットを麻酔した。外科手術の前に、ラットの腹腔内に0.15ml/180g体重の麻酔剤の溶液を注射した。IACUCガイドラインに従って、無菌条件を使用して動物を外科手術のために準備した。全ての外科機器をオートクレーブ処理した。毛を両耳の間で挟み、この領域をベタジンでこすり洗いし、滅菌生理食塩水で洗い、最後に予め包装された滅菌アルコール綿棒で拭いた。
3.外科手術のために、ラットを、頭部が安定して固定されるように設計された小動物用の定位機器に腹ばいに置いた。SDラットの頭蓋の位置がフラットになるように示されているため、切歯棒は、常に−3.9mmに設定された。
4.耳の間の頭蓋を覆う皮膚(予め毛を剃った)に切開術を施した。
5.骨の小さい領域(直径0.75mm)に、以下の座標:ラムダからAP−1.8、ML−3.1に穴を開けた。
6.骨を除去し、ラットの右の尾側の小脳脚、DV−7.1mmに、ハミルトン(Hamilton)μl注射器および注射針によって2μlのエチジウムブロミド、リゾレシチンまたはSIN−1を2分かけて注射した。あるいは、脊髄、脳梁または皮質に注射した。
7.さらに2分間、注射針をそこに留置した。
8.注射針を引き抜いた後、切開部を縫合した。
9.各ラットの後肢に、ブプレノルフィン0.003mgを筋肉内注射した。
10.ラットを意識が回復するまで暖かい棚に置いた。意識が回復したら、それらを飼育ケージに戻した。ラットが互いの縫合糸を引っ張り合うと予想されるため、1ケージあたりのラット数は、2匹以下とした。
11.マウスを用いて、類似の手法も行なわれた。
ラットの実験的アレルギー性脳脊髄炎(ラットEAE)病気モデル
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、感染しやすい動物で、脊髄ホモジネート全体または成分(ミエリン塩基性タンパク質)のいずれかで感作させた後に発症する神経系のT細胞介在の自己免疫疾患である。EAEげっ歯類モデルは、MS患者で観察された脳および脊髄の炎症を研究するのに適したツールである。齧歯類において、脊髄全体または脊髄の成分(例えばミエリン塩基性タンパク質)を注射すると、Tリンパ球の活性化に基づく自己免疫反応が誘発される。典型的には、臨床疾患は、接種後の8〜10日目ごろに発症するようになり、これは、軽度の歩行困難や尾の緊張減退から、完全麻痺や死に至る広範囲の行動異常として観察される。典型的には、体重減少が起こる。生き延びた動物において、自発的な回復が起こるが、多くの運動機能の回復のばらつきを伴う。種、アレルゲンおよび用いられる方法論に応じて、EAEモデルで試験される動物は、単回の(急性EAE)または数回の(慢性の再発性EAE)の病状発現の可能性がある。数種の治療パラダイムを用いてもよい:選択された薬物または治療の施与は、免疫化の前、無症候期間中または臨床疾患中のいずれでもよい。
動物
雌ルイス(Lewis)ラット、160〜220g(チャールス・リバー(Charles River))。
抗原
モルモット脊髄全体(ハーラン・バイオサイエンス(Harlan Biosciences))、
完全フロイントアジュバントH37Ra[1mg/mlヒト結核菌ミコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium Tuberculosis)H37Ra](ディフコ(Difco))。
追加抗原
ヒト結核菌(ディフコ(Difco))、
百日咳菌ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella Pertussis)[加熱死菌](ディフコ(Difco))。
抗原の製造:(動物約720匹用の)
1.凍結させたモルモット脊髄を5グラム量った。
2.丸底の遠心管中で、脊髄5gを0.9%食塩水(1g/ml)5mlに添加した。
3.氷上で、ティッシュ−テック(Tissue−tech)を用いて、組織が完全に破壊されるまで(約5分間)ホモジナイズした。
4.ヒト結核菌(20mg/ml完全フロイントアジュバントH37Ra)200mgが追加された完全フロイントアジュバントH37Ra(10ml)を添加した。
5.18ゲージのエマルジョンニードルを備えた10ml注射器に吸引させることによって、遠心管からホモジネート/アジュバントを抽出した。
6.2つの30mlガラス製注射器の間で、材料が注射針を通過させることが継続しにくくなるまで乳化した(約5分間{油相と水相間で分離しなくてもよい})。
7.即座に使用するか、または必要になるまで氷上で維持した(30分間を超えない)(凍結させない)。
プロトコール
1.雌ルイスラット(チャールス・リバー)に自由に餌と水を摂取させ、実験で使用する前に最低3日間順応させた。
2.まず、体重160および220グラムのラットで、5%イソフルラン(エラン(Aerrane),フォートドッジ)、30%O2、70%N2Oで2〜5分間誘発した。
3.次に、ラットを、循環水加熱毛布(ゲイマー(Gaymar))上で(背面を上にして)、麻酔ガスの自発呼吸のためのノーズコーン中に置いた。イソフルランを2%に減
少させた。
4.抗原または生理食塩水のいずれかの2回の皮下注射(各0.1ml)を、後肢の腹側表面に与えた。
5.ノーズコーンから動物を離し、重さを量り、番号を付けた。
6.ラットを麻酔から覚醒させ、それぞれのケージに入れた。
7.動物を、EAE誘発の兆候に関して毎日観察した(以下の基準を参照)。
ステージ:0 正常
ステージ:1 異常なゲートおよび尾の緊張減退
ステージ:2 後肢の片方または両方の軽度だが明確な衰弱
ステージ:3 後肢の片方または両方の重度の衰弱または軽度の運動失調
ステージ:4 重度の不全対麻痺および最小の後肢の動き
ステージ:5 後肢の動きなし、および対麻痺
ステージ:6 自発的な動きがない瀕死状態および呼吸機能の障害。前肢の関与の程度の増加、ならびに尿および便失禁が起こる場合もある。
ステージ:7 死亡。
免疫化の10日後に治療を開始した。このモデルにおける疾患の症状は、典型的には、接種の10〜11日後に現れるため、このタイムポイントが、MSの急性発症の初期のフェーズを示すと考えることができる。これは、このようにして治療開始を遅らせることで、従来用いられてきた接種時または接種の前に薬物が投与されるプロトコールよりも厳密に、臨床症状を模擬していると判断されている(Teitelbaum D.等.,Proc Natl Acad Sci USA 1999年;96:3842〜3847およびBrod S.A.等,Ann Neurol 2000年;47:127〜131)。
培養されたラットの乏突起膠細胞における、PPARデルタアゴニストによるミエリン塩基性タンパク質(MBP)の免疫反応性の強化を説明する。 このグラフは、培養されたラットの乏突起膠細胞における化合物1によるMBPのmRNAの強化を示す。 このグラフは、培養されたラットの乏突起膠細胞における化合物2によるMBPのmRNAの強化を示す。 培養されたラットの乏突起膠細胞におけるPPARデルタアゴニストの経路の活性化を確認する転写マーカーに対する化合物1の作用を説明する。 さらに、培養されたラットの乏突起膠細胞におけるPPARデルタアゴニストの経路の活性化を確認する転写マーカーに対する化合物1の作用を説明する。 化合物1の作用を受けたヒト乏突起膠細胞の混合された培養物におけるO4免疫陽性細胞の数の増加を示す。 化合物2の作用を受けたヒト乏突起膠細胞の混合された培養物におけるO4免疫陽性細胞の数の増加を示す。

Claims (7)

  1. 治療上有効な量のhPPARデルタアゴニストを投与することを含む、患者の脱髄疾患を治療するための方法。
  2. hPPARデルタアゴニストは、選択的アゴニストである、請求項1に記載の方法。
  3. 脱髄疾患は、多発性硬化症、シャルコー−マリー−ツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロトフィー、ギラン・バレー症候群、ならびに脊髄損傷、神経障害および神経損傷を含むミエリンを形成するグリア細胞が損傷を受ける障害からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 脱髄疾患は、多発性硬化症である、請求項3に記載の方法。
  5. アゴニストは、式(1)および式(2):
    Figure 2007530703
    で示される化合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 式(1)および式(2):
    Figure 2007530703
    で示される化合物からなる群より選択される化合物を、多発性硬化症、シャルコー−マリー−ツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、脳脊髄炎、視神経脊髄炎、副腎白質ジストロトフィー、ギラン・バレー症候群、ならびに脊髄損傷、神経障害および神経損傷を含むミエリンを形成するグリア細胞が損傷を受ける障害を治療するのに有効な量で、少なくとも1種の製薬上許容できるキャリアーと組み合わせて含む医薬組成物。
  7. 多発性硬化症を治療するのに有効な量を含む、請求項6に記載の医薬組成物。
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