JP2007525192A - 化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)を使用する遺伝子発現のRNA干渉仲介抑制 - Google Patents

化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)を使用する遺伝子発現のRNA干渉仲介抑制 Download PDF

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Abstract

本発明は、治療用、化粧品用、薬用化粧品用、予防薬用、診断用、標的検証用、およびゲノム上の発見用アプリケーションの使用を含む、様々なアプリケーションにおける遺伝子発現の調節に有効な方法および試薬に関する。特に、本発明は低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および標的核酸配列に対してRNA干渉(RNAi)を仲介できる短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)分子、等の化学修飾した低分子核酸に関する。低分子核酸は、任意の疾患(例、癌、増殖性、炎症性、代謝性、自己免疫、神経系、眼疾患)、状態、形質(例、発毛および脱毛)、遺伝子発現あるいは細胞、組織、または器官における作用の調節に対応する遺伝子型または表現型の治療に有効な低分子核酸である。そのような低分子核酸は、全身的、局所的、または外用的に投与することができる。

Description

本出願は、2003年4月16日付米国特許出願10/417,012の継続出願である2003年4月24日付米国特許出願10/422,704の継続出願である2003年8月29日付米国特許出願10/652,791の一部継続出願である2003年5月23日付米国特許出願10/444,853の一部継続出願である2003年10月23日付米国特許出願10/693,059の一部継続出願である2003年11月24日付米国特許出願10/720,448の一部継続出願である2004年1月14日付米国特許出願10/757,803の一部継続出願である2004年4月16日付米国特許出願10/826,966の一部継続出願である。本出願は、2003年2月20日付国際特許出願PCT/US03/05346の一部継続出願、および2003年2月20日付国際特許出願PCT/US03/05028の一部継続出願でもあり、これら両出願は2002年2月20日付米国仮出願60/358,580、2002年3月11日付米国仮出願60/363,124、2002年6月6日付米国仮出願60/386,782、2002年8月29日付米国仮出願60/406,784、2002年9月5日付米国仮出願60/408,378、2002年9月9日付米国仮出願60/409,293、および2003年1月15日付米国仮出願60/440,129の利益を主張する。本出願は、2003年4月30日付米国特許出願10/427,160の一部継続出願およびの2002年5月17日付国際特許出願PCT/US02/15876の一部継続出願でもある。本出願は、2003年12月3日付米国特許出願10/727,780の一部継続出願でもある。また本出願は、2004年2月10日付米国仮出願60/543,480の利益も主張する。本出願は、2004年2月13日付米国特許出願10/780,447の一部継続出願としての優先権も主張する。また本出願は、2001年5月18日付米国仮出願60/292,217、2002年3月6日付米国仮出願60/362,016、2001年7月20日付米国仮出願60/306,883、および2001年8月13日付米国仮出願60/311,865の優先権の利益を主張し、これらはすべて2003年4月30日付米国特許出願10/427,160および2002年5月17日付国際特許出願PCT/US02/15876の優先出願である。本出願は、上記の全出願の利益を主張し、図も含めてその全体を参照することによりここに組み込まれる。
本発明は、治療用、化粧品用、薬用化粧品用、予防薬用、診断用、標的の確認用、およびゲノム上の発見用アプリケーションの使用を含む、様々なアプリケーションにおける遺伝子発現の調節に有効な方法および試薬を含む。特に、本発明は低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および標的核酸配列に対してRNA干渉(RNAi)を仲介できる短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子、等の化学修飾した合成低分子核酸を含む。
以下はRNAiに関する関連技術の考察である。この考察は、以下に続く本発明を理解するためだけに提供する。要約は下記の任意の研究が請求の範囲に記載の発明に対する先行技術であることを認めるものではない。出願人は、化学修飾した低分子干渉核酸がsiRNAと同様のRNAi仲介能力を持ち、インビボで高い安定性および作用を持つため、この考察はsiRNAに限定されず、siNA全体に適用できることをここに示す。
RNA干渉は、低分子干渉(siRNA)によって仲介される動物における配列特定転写後遺伝子抑制を意味する(ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;ファイヤー(Fire)ら,1998年,ネイチャー誌(Nature),391,806;ハミルトン(Hamilton)ら,1999年,サイエンス誌(Science),286,950−951;リン(Lin)ら,1999年,ネイチャー誌(Nature),402,128−129;およびストラウス(Strauss),1999年,サイエンス誌(Science),286,886)。植物において対応するプロセス(ハイフェッツ(Heifetz)ら、国際PCT公開WO99/61631)は、一般に転写後遺伝子サイレンシングまたはRNAサイレンシングと呼ばれ、菌類においてはクエリングとも呼ばれる。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防ぐために使用され、様々な植物相および動物相が一般的に共有する進化的に保存された細胞防御機構であると考えられている(ファイヤー(Fire)ら,1999年,トレンド遺伝学誌(Trends Genet.),15,358)。外来遺伝子発現からのそのような保護は、ウィルス感染または特に同種の一本鎖RNAまたはウィルスゲノムRNAを破壊する細胞応答を介したホストゲノムへのトランスポゾン要素のランダムな統合から派生した二本鎖RNA(dsRNA)の生成に応答して発生しうる。細胞にdsRNAが存在すると、まだ完全には解明されていない機序を通じてRNAi応答を誘発する。この機序は、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特定切断を生じるタンパク質キナーゼPKRおよび2’、5’−オリゴアデニル酸合成酵素のdsRNA仲介作用に起因するインターフェロン応答性といった二本鎖RNA特定のリボヌクレアーゼを含む他の周知の機序とは異なるように思われる(例として、米国特許6,107,094;5,898,031;クレメンス(Clemens)ら,1997年,ジャーナル・オブ・インターフェロン・アンド・サイトカイン・リサーチ誌(J.Interferon & Cytokine Res.),17,503−524;アダ(Adah)ら,2001年,カレント・メディカル・ケミストリー誌(Curr.Med.Chem.),8,1189を参照)。
細胞に長鎖dsRNAが存在すると、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の作用が誘発される(バス(Bass),2000年,セル誌(Cell),101,235;ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;ハモンド(Hammond)ら、2000,ネイチャー誌(Nature),404,293)。ダイサーはdsRNAを低分子干渉RNA(siRNA)として知られる短鎖dsRNAへの処理に関与する(ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;バス(Bass),2000年,セル誌(Cell),101,235;バースタイン(Berstein)ら,2001年,ネイチャー誌(Nature),409,363)。ダイサー作用から派生する低分子干渉RNAは、一般的に約21から約23ヌクレオチド長であり、約19の塩基対二重鎖を含む(ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;エルバシール(Elbashir)ら,2001年,遺伝子と発生誌(Genes Dev.),15,188)。ダイサーは、21および22ヌクレオチドの低分子一時RNA(stRNA)を翻訳調整において実装される保存構造の前駆RNAから切除する場合にも実装されているハットヴァーグナー(Hutvagner)ら,2001年,サイエンス誌(Science),293,834)。RNAi応答は、一般にRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるエンドヌクレアーゼ複合体も特徴とする。これはsiRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を持つ一本鎖RNAの切断を仲介する。標的RNAの切断は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中間で発生する(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,遺伝子と発生誌(Genes Dev.),15,188)。
RNAiは様々なシステムで研究されている。ファイヤー(Fire)ら(1998年,ネイチャー誌(Nature),391,806)は、シー・エレガンス(C.elegans)において初めてRNAiを観察し、バハミアン(Bahamian)とザーブル(Zarbl)(1999年,分子細胞生物学誌(Molecular and Cellular Biology),19,274−283)およびウィアニー(Wianny)とゲッツ(Goetz)(1999年,ネイチャー細胞生物学誌(Nature Cell Biol.),2,70)は哺乳類系においてdsRNAが仲介するRNAiについて記述している。ハモンド(Hammond)ら(2000年,ネイチャー誌(Nature),404,293)は、dsRNAとともに導入されるショウジョウバエ細胞におけるRNAiについて記述している。エルバシール(Elbashir)ら(2001年,ネイチャー誌(Nature),411,494)およびトゥッシュル(Tuschl)ら(国際PCT公開WO01/75164)は、ヒト胚腎臓およびHeLa細胞を含む培養哺乳類細胞内の合成21ヌクレオチドRNAの二重鎖導入によって誘導されるRNAiについて記述している。ショウジョウバエ胚の溶解物における最近の研究(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877およびトゥッシュル(Tuschl)ら,国際PCT公開WO01/75164)によって、効率的なRNAi作用の仲介に必須のsiRNA長、構造、化学組成、および配列に対する特定の要件が明らかになった。これらの研究は、3’端ジヌクレオチド突出部を含む場合、21ヌクレオチドのsiRNA二重鎖が最も活性であることを示している。さらに、一方または両方のsiRNA鎖を2’−デオキシ(2’−H)または2’−O−メチルヌクレオチドと完全に置換した場合はRNAiを不活性化したのに対し、3’端siRNA突出ヌクレオチドを2’−デオキシヌクレオチド(2’−H)と置換した場合は耐性を示した。またsiRNA二重鎖の中心にある単一のミスマッチ配列も、RNAiを不活性化することを示した。加えて、これらの研究は標的RNAにおける切断部位がガイド配列の3’端ではなくsiRNAガイド配列の5’端によって定義されることも示している(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877)。他の研究によって、siRNA二重鎖の標的相補鎖上にある5’−リン酸がsiRNAの作用を必要とすること、およびsiRNA上に5’−リン酸を維持するためにATPが利用されることが明らかになっている(ニカネン(Nykanen)ら,20001年,セル誌(Cell),107,309)。
研究では、2−ヌクレオチド3’−突出部を持つ21−mer siRNA二重鎖の3’端ヌクレオチド突出部分をデオキシリボヌクレオチドと置換してもRNAiの作用に悪影響を与えないことが証明されている。siRNAの各末端にある4つまでのヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドと置換する場合は優れた耐性を持つが、デオキシリボヌクレオチドを完全に置換する場合はRNAiが不活性化されることが報告されている(エルバシール(Elbashir)ら,2001,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877およびトゥッシェル(Tuschl)ら,国際PCT公開WO01/75164)。さらに、エルバシール(Elbashir)ら(前述)は、siRNAを2’−O−メチルヌクレオチドと置換することで完全にRNAiが不活性化されることも報告している。リー(Li)らの国際PCT公開WO00/44914、およびビーチ(Beach)らの国際PCT公開WO01/68836は、少なくとも1つの窒素または硫黄ヘテロ原子を含むためにsiRNAがリン酸−糖骨格またはヌクレオシドのいずれかを修飾することがあると仮定しているが、そのような修飾がsiRNAにおいてどの程度耐性を持つかということは想定しておらず、そのような修飾siRNAに関する詳細な説明も例証も提供されていない。またクロイツァー(Kreutzer)らのカナダ特許出願2,359,180も、二本鎖RNA依存タンパク質キナーゼPKR、特に2’−アミノまたは2’−O−メチルヌクレオチド、および2’−Oまたは4’−Cメチレン橋を含むヌクレオチドの活性に対抗するためのdsRNA構成に使用する特定の化学修飾について記述している。しかし、クロイツァー(Kreutzer)らも同様に、それらの修飾がどの程度dsRNA分子において耐性を持つかについての例証または説明を提供していない。
パリッシュ(Parrish)ら(2000年,分子細胞誌(Molecular Cell),6,1077−1087)は、長い(>25nt)siRNA転写物を使用して、シー・エレガンス(C.elegans)におけるunc−22遺伝子を標的とする特定の化学修飾をテストした。その著者らは、チオリン酸ヌクレオチド類似体をT7およびT3RNAポリメラーゼに組み込むことによってチオリン酸残基をそれらsiRNA転写物に導入することについて記述しており、2つのホスホロチオエート修飾塩基を持つRNAのRNAiとしての有効性を著しく低減したことを観察した。さらに、パリッシュ(Parrish)らは、2つ以上の残基のホスホロチオエート修飾がインビトロでRNAを著しく不安定化したため、干渉作用を分析できなかったと報告した(前記1081ページ)。またこの著者らは、長いsiRNA転写物におけるヌクレオチド糖の2’位での特定の修飾をテストし、特にウリジンからチミジンおよび/またはシチジンからデオキシシチジンへの置換の場合に、デオキシヌクレオチドをリボヌクレオチドと置換することで干渉作用が大幅に減少することを発見した(同様)。さらに、彼らはsiRNAのセンスおよびアンチセンス鎖、4−チオウラシル、5−ブロモウラシル、5−イオドウラシル、ウラシルの3−(アミノアリル)ウラシル、およびグアノシンのイノシンにおいて、置換を含む特定の塩基修飾のテストを行った。4−チオウラシルおよび5−ブロモウラシルの置換は耐性を持つように思われたが、パリッシュ(Parrish)はイノシンがいずれかの鎖に組み込まれた場合に干渉作用を著しく減少させると報告した。またパリッシュ(Parrish)は、5−イオドウラシルおよび3−(アミノアリル)ウラシルをアンチセンス鎖に組み込むことで、RNAi作用も大幅に減少することを報告した。
長鎖dsRNAの使用について記述されている。例えば、ビーチ(Beach)ら(国際PCT公開WO01/68836)は、内生的に派生したdsRNAを使用して遺伝子発現を減衰させる特定の方法について説明している。トゥッシェル(Tuschl)ら(国際PCT公開WO01/75164)は、ショウジョウバエのインビトロRNAiシステムについて、また特定の機能的ゲノムアプリケーションおよび特定の治療用アプリケーションに対する特定のsiRNA分子の使用について説明している。しかし、トゥッシェル(Tuschl)(2001年,化学と生物化学誌(Chem.Biochem.),2,239−245)は、インターフェロン応答性を活性化する危険性があるため、RNAiを遺伝性疾患またはウィルス感染の治療に使用することについて疑問視している。リー(Li)ら(国際PCT公開WO00/44914)は、特定の標的遺伝子の発現を減衰するために、特定の長い(141−488塩基対)酵素合成したdsRNAまたはベクター発現したdsRNAの使用について説明している。ツェルニッカ−ゲッツ(Zernicka−Goetz)ら(国際PCT公開WO01/36646)は、特定の長さ(550−714塩基対)の酵素合成したdsRNA分子またはベクター発現したdsRNA分子を使用して、哺乳類細胞における特定遺伝子の発現を抑制する方法について説明している。ファイヤー(Fire)ら(国際PCT公開WO99/32619)は、線虫類における遺伝子発現の抑制に使用するため、特定の長鎖dsRNA分子を細胞に導入する特定の方法について説明している。プラティンク(Plaetinck)ら(国際PCT公開WO00/01846)は、特定の長鎖dsRNA分子を使用して、細胞内の特定表現型の付与に関与する特定の遺伝子を識別する方法について説明している。メロー(Mello)ら(国際PCT公開WO01/29058)は、dsRNA仲介RNAiに関与する特定遺伝子の識別について説明している。パチャック(Pachuck)ら(国際PCT公開WO00/63364)は、特定の長さ(少なくとも200ヌクレオチド)のdsRNA構成について記述している。デション・ダパイェット(Deschamps Depaillette)ら(国際PCT公開WO99/07409)は、特定の抗ウィルス剤と結合する特定のdsRNAから構成される特定の組成物について説明している。ウォーターハウス(Waterhouse)ら(国際PCT公開WO99/53050および1998年米国サイエンスアカデミー会報(PNAS),95,13959−13964)は、特定のdsRNAを使用して、植物細胞における核酸の形質発現を減少させる方法について説明している。ドリスコール(Driscoll)ら(国際PCT公開WO01/49844)は、標的生物体において遺伝子のサイレンシングを促進するために使用する特定のDNA発現構成について触れている。
様々なRNAiおよび遺伝子サイレンシングシステムに関する他の報告もある。例えば、パリッシュ(Parrish)ら(2000年,分子細胞(Molecular Cell),6,1077−1087)は、シー・エレガンス(C.elegans)のunc−22遺伝子を標的とする特定の化学修飾dsRNAについて説明している。グロスニクラウス(Grossniklaus)(国際PCT公開WO01/38551)は、特定のdsRNAを使用して、植物におけるポリコーム遺伝子発現を規制する特定の方法について説明している。チュリコフ(Churikov)ら(国際PCT公開WO01/42443)は、特定のdsRNAを使用して、生物体の遺伝子特性を修飾する特定の方法について説明している。コゴニ(Cogoni)ら(国際PCT公開WO01/53475)は、アカパンカビのサイレンシング遺伝子を分離する特定の方法およびその使用について説明している。リード(Reed)ら(国際PCT公開WO01/68836)は、植物における遺伝子サイレンシングの特定の方法について説明している。ホルネル(Honer)ら(国際PCT公開WO01/70944)は、特定のdsRNAを使用して、パーキンソン病モデルとして遺伝子組み換え線虫類を用いた薬物スクリーニングの特定方法について説明している。ディーク(Deak)ら(国際PCT公開WO01/72774)は、ショウジョウバエにおいてRNAiに関連する特定のショウジョウバエ由来の遺伝子産物について説明している。アルンド(Arndt)ら(国際PCT公開WO01/92513)は、RNAiを強化する要素を使用することによって遺伝子発現を仲介する特定の方法について説明している。トゥシュリル(Tusclil)ら(国際PCT公開WO02/44321)は、特定の合成siRNA構成について説明している。パチャック(Pachuk)ら(国際PCT公開WO00/63364)およびサティシュチャンドラン(Satishchandran)ら(国際PCT公開WO01/04313)は、特定の長さ(250塩基対以上)のdsRNA、ベクター発現したdsRNAを使用して、特定のポリヌクレオチド配列の機能を抑制する特定の方法および組成物について説明している。エチェベッリ(Echeverri)ら(国際PCT公開WO02/38805)は、RNAiを介して識別される特定のシー・エレガンス(C.elegans)遺伝子について説明している。クロイツァー(Kreutzer)ら(国際PCT公開WO02/055692、WO02/055693およびEP1144623Bl)はdsRNAを使用した遺伝子発現の抑制方法について説明している。グラハム(Graham)ら(国際PCT公開WO99/49029およびWO01/70949、AU4037501)は、特定のベクター発現したsiRNA分子について説明している。ファイヤー(Fire)ら(米国特許6,506,559)は、RNAiを仲介する特定の長さのdsRNA(299−1033塩基対)構成を使用したインビトロ遺伝子発現の抑制方法について説明している。マルティネス(Martinez)ら(2002年,セル誌(Cell),110,563−574)はHela細胞におけるRNA干渉を仲介する特定の5’−リン酸化一本鎖siRNAを含む特定の一本鎖siRNA構成について説明している。ハーボース(Harborth)ら(2003年,アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense&Nucleic Acid Drug Development),13,83−105)は、化学的および構造的に修飾した特定のsiRNA分子について説明している。チウ(Chiu)とラナ(Rana)(2003年,RNA,9,1034−1−48)は、化学的および構造的に修飾した特定のsiRNA分子について説明している。ウルフ(Woolf)ら(国際PCT公開WO03/064626およびWO03/064625)は化学修飾した特定のdsRNA構成について説明している。
本発明は、細胞におけるRNA機能および/または遺伝子発現の調節に有効な化合物、組成物、および方法を含む。特に、本発明は低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、およびRNA干渉(RNAi)によって細胞内の遺伝子発現を調節できる短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子、等の化学修飾した合成低分子核酸を特徴とする。本発明のsiNA分子は化学修飾できる。化学修飾したsiNAを使用することで、インビボヌクレアーゼ分解に対する耐性および/または細胞摂取が増加し、野生型siRNA分子の様々な特性を改善することができる。本発明の化学修飾したsiNA分子は、様々な治療用、化粧品用、薬用化粧品用、予防薬用、診断用、農業用、標的の確認用、およびゲノム上の発見用、遺伝子工学および薬理ゲノム学的アプリケーションに有効な試薬および方法を提供する。
1つの態様においては、本発明は細胞、生物体、または対象の疾患、状態、または形質の持続または進行に関連する遺伝子の発現、例えば低分子干渉核酸(siNA)分子を使用して1つまたは複数の疾患、状態または形質に関連する一塩基変異多型(SNP)等の多型変異体を含む遺伝子およびそのバリアント等の発現の調節に有効な化合物、組成物、および方法を特徴とする。本発明は、低分子核酸を使用したRNA干渉(RNAi)による細胞、生物体、または対象の疾患、状態、または形質の維持または進行に関連する遺伝子の発現および作用の調節に有効な化合物、組成物、および方法にも関する。特に、本発明は低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子等の低分子核酸、また細胞、生物体、または対象における疾患、状態、または形質の進行または維持に関連する遺伝子および/または対立遺伝子の発現調節に使用する方法を特徴とする。
限定を目的としない例において、化学修飾したヌクレオチドを核酸分子に導入することで、体外から送達される野生型RNA分子に固有のインビボの安定性および生物学的利用能に関する潜在的な限界を克服する強力なツールが提供される。例えば、化学修飾した核酸分子は血清中でより長い半減期を持つ傾向があるため、化学修飾した核酸分子の使用によって、低用量の特定核酸分子で指定の治療効果を挙げることが可能になる。さらに、特定の化学修飾は、特定の細胞または組織のターゲティングおよび/または核酸分子の細胞摂取を向上させることによって、核酸分子の生物学的利用能を改善できる。そのため、例えばすべてのRNA核酸分子と比較する場合等、化学修飾した核酸分子の活性が野生型核酸分子と比べて低い場合でも、修飾された核酸分子の安定性および/または送達が向上したことによって、その分子の全体活性は野生型分子と比べて優れている。野生型の未修飾siRNAとは異なり、化学修飾したsiNAは、ヒトにおいてインターフェロンを活性化する可能性を最小限に抑えることもできる。
1つの態様においては、本発明は、1つまたは複数のsiNA分子および細胞、生物体、または対象における疾患、状態、または形質の維持および/または進行に関連するタンパク質をコードする遺伝子の発現を独立してまたは共同して調節する方法を特徴とする。そのような遺伝子は、本明細書およびPCT/US03/05028(国際PCT公開WO03/74654)の表Vに記載のジンバンクアクセッション番号で参照される配列を含むコード配列を含む。それらの遺伝子はすべて本明細書に記載の遺伝子に関する定義の範囲内に含まれる。本発明の様々な観点および態様に関する以下の記述は、典型的な遺伝子を参照して提供される。しかし、様々な観点および態様は、遺伝子突然変異、代替スプライスバリアント、対立遺伝子多型、および細胞、生物体、または対象における疾患、状態、または形質の進行または維持に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)といった多型等の他の遺伝子も対象とする。それらの追加遺伝子は、本明細書に記載する一般的な遺伝子の場合と同様の方法を使用して標的部位が分析される。このため、他の遺伝子の調節およびそのような他の遺伝子の調節の効果を本明細書に記載のように実施、判定、および計測することができる。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は約19から約21塩基対を含む。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御するsiNA分子を特徴とする。ここで、前記遺伝子はタンパク質コード配列を含む。1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御するsiNA分子を特徴とする。例えば、前記遺伝子は非コード配列または遺伝子発現に関与する調節要素を含む。
1つの態様においては、本発明はRNAに対してRNAi作用を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は表Iに示すジンバンクアクセッション番号を持つ配列または本明細書およびPCT/US03/05028(国際PCT出願公開WO03/74654)の表Vに記載のジンバンクアクセッション番号で参照される配列、または当該技術において周知の配列、等のコード配列または非コード配列を持つ任意のRNAに相補的な配列を含む。別の態様においては、本発明はRNAに対してRNAi作用を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は変形(例、突然変異、多型、代替スプライスバリアント)コード配列を持つRNAに相補的な配列、例えば、表Iには示されていないが当該技術分野において周知の疾患、状態、または形質の維持および/または進行に関連する他の突然変異遺伝子を含む。表IIIおよび表IVに示す化学修飾、または本明細書に記載の化学修飾を本発明の任意のsiNA構造に適用することができる。別の態様においては、本発明のsiNA分子は遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用することで遺伝子発現の抑制を仲介できるヌクレオチド配列を含む。例えば、前記siNAは遺伝子の染色質構造またはメチル化パターンを調節する細胞過程によって遺伝子発現の調節を仲介し、遺伝子の転写を防ぐ。
1つの態様においては、RNA干渉遺伝子サイレンシング応答のメディエーターとして作用する本発明の核酸分子は、化学修飾した二本鎖核酸分子である。野生型二本鎖RNA対応物と同様に、それらのsiNA分子は一般的に約19から約25ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの間に約19の塩基対を含む二重鎖から構成される。最も活発なsiRNA分子は、例えば、19塩基対および2ヌクレオチド3’突出部を持つ21ヌクレオチド二重鎖のような1から3ヌクレオチドの突出末端を持つそのような二重鎖を持つと考えられる。それら突出部分はインビボでエンドヌクレアーゼによって容易に加水分解される。研究では、2ヌクレオチド3’突出部を持つ21−mer siRNA二重鎖の3’突出部分をデオキシリボヌクレオチドと置換してもRNAiの作用に悪影響を及ぼさないことが証明されている。前記siRNAの各末端にある4つまでのヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドと置換する場合は優れた耐性を持つこと、デオキシリボヌクレオチドを完全に置換する場合はRNAiを不活性化することが報告されている(エルバシール(Elbashir)ら,2001,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877)。さらに、エルバシール(Elbashir)ら(前述)は、siRNAを2’−O−メチルヌクレオチドと置換することで完全にRNAiが不活性化されることも報告している。リー(Li)らの国際PCT公開WO00/44914、およびビーチ(Beach)らの国際PCT公開WO01/68836は、少なくとも1つの窒素または硫黄ヘテロ原子を含むためにsiRNAがリン酸−糖骨格またはヌクレオシドのいずれかを修飾することがあると仮定しているが、そのような修飾がsiRNAにおいてどの程度耐性を持つかということを想定しておらず、そのような修飾siRNAに関する詳細な説明も例証も提供されていない。クロイツァー(Kreutzer)とリンメル(Limmer)のカナダ特許出願2,359,180も、二本鎖RNA依存タンパク質キナーゼPKR、特に2’−アミノまたは2’−O−メチルヌクレオチド、および2’−Oまたは4’−Cメチレン橋を含むヌクレオチドの活性化に対抗するためのdsRNA構成に使用する特定の化学修飾について記述している。しかし、クロイツァー(Kreutzer)とリンメル(Limmer)も同様に、それらの修飾がどの程度dsRNA分子において耐性を持つかについての例証または説明を提供していない。
1つの態様においては、本発明は細胞内の標的核酸分子に対する特異性を持つ化学修飾したsiNA構造を特徴とする。そのような化学修飾に関する限定を目的としない例は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、2’−デオキシリボヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、および逆位のデオキシ脱塩基残基の結合が含まれる。それらの化学修飾は、様々なsiNA構成で使用される場合、細胞内のRNAi作用を保存すると同時に、それら化合物の血清安定性を劇的に向上させる。さらに、パリッシュ(Parrish)ら(前述)により公開されたデータに反して、出願人は複数の(1より多い)ホスホロチオエート置換が優れた耐性を示し、修飾したsiNA構造に対する血清の安定性を大幅に向上させることを示す。
1つの態様においては、本発明の化学修飾したsiNA分子は、一方または両方の鎖を化学修飾できる二本の鎖を持つ二重鎖を含む。ここで、各鎖は約19から約29(例、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドである。1つの態様においては、本発明の化学修飾したsiNA分子は、一方または両方の鎖を化学修飾できる二本の鎖を持つ二重鎖を含む。ここで、各鎖は約19から約23(例、約18、19、20、21、22、23または24)ヌクレオチドである。1つの態様においては、本発明のsiNA分子はRNAiを仲介する能力を維持しながら修飾ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドを使用して、安定性、作用、および/または生物学的利用能等のインビトロまたはインビボ特性を改善することができる。例えば、本発明のsiNA分子はsiNA分子に存在するヌクレオチドの合計数の比率で修飾ヌクレオチドを含むことができる。そのため、本発明のsiNA分子は、一般的にヌクレオチド配列部位の約5から約100%(例、ヌクレオチド配列部位の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)の修飾ヌクレオチドを含むことができる。指定のsiNA分子に存在する修飾ヌクレオチドの実際の比率は、前記siNAに存在するヌクレオチドの合計数により異なる。前記siNA分子が一本鎖である場合、修飾比率は前記一本鎖siNA分子に存在するヌクレオチドの合計数に基づく。同様に、siNA分子が二本鎖である場合、修飾比率はセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に存在するヌクレオチドの合計数に基づく。さらに、指定のsiNA分子に存在する修飾ヌクレオチドの実際の比率は、前記siNAに存在するプリン・ヌクレオチドおよびピリミジン・ヌクレオチドの合計数にも基づく。例えば、前記siNA分子に存在するすべてのピリミジン・ヌクレオチドおよび/またはプリン・ヌクレオチドが修飾される。
本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、その3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。前記アンチセンス領域は、その5’端に約1つから約5つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。本発明のsiNA分子の3’端ヌクレオチド突出部は、核酸糖、塩基、または骨格で化学修飾したリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むことができる。前記3’端ヌクレオチド突出部は、1つまたは複数のユニバーサル塩基リボヌクレオチドを含むことができる。前記3’端ヌクレオチド突出部は、1つまたは複数の非環状ヌクレオチドを含むことができる。前記3’端ヌクレオチド突出部は、図22に示すキャップ部のような1つまたは複数のキャップ部を含むことができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は平滑末端を含む。例えば、この末端は突出するヌクレオチドを含まない。例えば、本明細書に記載する修飾(例、化学式IからVIIのヌクレオチドまたは「Stab00」から「Stab25」(表IV)を含むsiNA構造またはその任意の組み合わせを含む)および/または本明細書に記載の任意の長さを持つ本発明のsiNA分子は、平滑末端または突出するヌクレオチドを持たない末端を含むことができる。
1つの態様においては、本発明の任意のsiNA分子は1つまたは複数の平滑末端を含むことができる。例えば、平滑末端は突出するヌクレオチドを持たない。限定を目的としない例において、平滑末端siNA分子は、前記siNA分子の各鎖に存在するヌクレオチド数と等しい塩基対を持つ。別の態様においては、siNA分子は1つの平滑末端を含む。例えば、アンチセンス鎖の5’端およびセンス鎖の3’端は突出するヌクレオチドを持たない。別の態様においては、siNA分子は1つの平滑末端を含む。例えば、アンチセンス鎖の3’端およびセンス鎖の5’端は突出するヌクレオチドを持たない。別の態様においては、siNA分子は2つの平滑末端を含む。例えば、アンチセンス鎖の5’端およびセンス鎖の3’端と同様に、アンチセンス鎖の3’端およびセンス鎖の5’端は突出するヌクレオチドを持たない。平滑末端siNA分子は、例えば約18から約30のヌクレオチド(例、約18、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)を含むことができる。平滑末端siNA分子に存在する他のヌクレオチドは、例えばRNA干渉を仲介するsiNA分子の作用を調節するため、ミスマッチ、バルジ、ループ、またはゆらぎ塩基対を含むことができる。
「平滑末端」とは左右対称の末端または突出するヌクレオチドを持たない二本鎖siNA分子の末端を意味する。二本鎖siNA分子の二本の鎖は、末端に突出するヌクレオチドを持たず、互いに一直線に並んでいる。例えば、平滑末端siNA構成は、siNA分子のセンス領域およびアンチセンス領域の間で相補的な末端ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、標的遺伝子の発現を下方制御するための本発明は二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、siNA分子は1つまたは複数の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は約19から約23ヌクレオチド(例、約19、20、21、22、または23ヌクレオチド)長である。
1つの態様においては、本発明は標的遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子はリボヌクレオチドを持たず、二本鎖siNAの各鎖が約19から約23ヌクレオチド(例、約19、20、21、22、または23ヌクレオチド)を含む。
1つの態様においては、本発明の二本鎖siNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。また、二本鎖siNA分子のもう一方の鎖は、前記標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は約19から約23ヌクレオチド(例、約19、20、21、22、または23ヌクレオチド)を含み、各鎖はもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約19のヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含む。ここで、センス領域は前記標的遺伝子のヌクレオチドまたはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。前記アンチセンス領域および前記センス領域はそれぞれ約19から約23ヌクレオチド(例、19、20、21、22、または23ヌクレオチド)を含み、前記アンチセンス領域は前記センス領域のヌクレオチドに相補的な少なくとも約19のヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記アンチセンス領域は標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は前記アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片の集合である。ここで、第一断片は前記siNA分子のセンス領域を含み、第二断片は前記siNA分子のアンチセンス領域を含む。別の態様においては、前記センス領域はポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーであるリンカー分子を仲介してアンチセンス領域に結合される。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記センス領域にあるピリミジン・ヌクレオチドは2’−O−メチルピリミジン・ヌクレオチドであり、前記センス領域にあるプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドを含む。1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記センス領域に存在するピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、前記センス領域に存在するプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記ピリミジン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、前記プリン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記ピリミジン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、前記プリン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−デオキシプリン・ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記センス領域はその5’端、3’端、またはその両方に末端キャップ部を含む。別の態様においては、末端キャップ部は図22に示すような逆位のデオキシ脱塩基部または任意の他のキャップ部である。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は遺伝子によってコードされたRNAの発現を調節するRNAi作用を持つ。多くの遺伝子は、互いにある程度の配列相同性を共有することができるため、異なる遺伝子標的の間で共有される配列または特定の遺伝子標的に固有の代替配列のいずれかを選択することによって、siNA分子を一群の遺伝子(および関連する受容体またはリガンド遺伝子)または代替の特定遺伝子を標的とするようにデザインできる。そのため1つの態様においては、1つのsiNA分子を持つ複数の遺伝子または遺伝子ファミリー(例、アイソフォーム、スプライスバリアント、突然変異した遺伝子等)異なる遺伝子を標的とするようにsiNA分子をデザインして、複数の遺伝子間で配列相同性を持つRNA配列の保存領域を標的とすることができる。別の態様においては、高度の特異性のためsiNA分子がRNAi作用を仲介する必要がある特定の遺伝子の特定のRNA配列に固有の配列を標的とするようsiNA分子をデザインすることができる。
1つの態様においては、本発明のsiNAを使用して遺伝子または遺伝子ファミリーの発現を抑制する。ここで、前記遺伝子または遺伝子ファミリーの配列は配列相同性を共有する。そのような相同配列は、例えば配列アラインメントを使用して、当該技術分野において周知のように識別することができる。siNA分子は、例えば完全に相補的な配列を使用して、または非正準塩基対(例、ミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対)を組み込んで追加の標的配列を提供することによって、そのような相同配列を標的とするようにデザインすることができる。ミスマッチが識別される場合、非正準塩基対(例、ミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対)を使用して1つ以上の遺伝子配列を標的とするsiNA分子を生成できる。限定を目的としない例において、UUおよびCC塩基対といった非正準塩基対を使用して、異なるVEGFおよび/またはVEGFR配列(例、VEGFR1およびVEGFR2)をターゲティングできるsiNA分子を生成する。このように、本発明のsiNAを使用する利点は、siNAが受容体のRNAと相互作用し、RNAiを仲介してVEGF受容体の発現を抑制できるように、単一のsiNAをVEGF受容体(例、VEGFR1、VEGFR2、および/または3)の間に保存されるヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含めてデザインすることができることである。この方法によると、1つ以上のsiNA分子を使用して異なる受容体を標的とする代わりに、単一のsiNAを使用して1つ以上のVEGF受容体の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、本発明は、標的RNAに対してRNAi作用を有するsiNA分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は本明細書で参照するジンバンクアクセッション番号を持つ配列、等の配列をコードする標的遺伝子を持つ任意のRNAに相補的な配列を含む。別の態様においては、本発明は標的RNAに対してRNAi作用を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、siNA分子は他の配列を持つRNAに相補的な配列を含む。例えば当該技術分野において、突然変異した遺伝子は疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型に関連することが知られている。表Iおよび表IVに示す化学修飾または本明細書に記載の化学修飾は、本発明の任意のsiNA構成に適用できる。別の態様においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用するヌクレオチド配列を含み、それによって標的遺伝子の発現抑制を仲介する。例えば、前記siNAは標的遺伝子の染色質構造またはメチル化パターンを調節し、前記標的遺伝子の転写を防ぐ細胞過程によって標的遺伝子発現の調節を仲介する。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型に関連する(例、機能の取得に関連する)ハプロタイプ多型に起因する標的タンパク質の発現を下方制御または抑制するために使用される。標的遺伝子、または標的タンパク質あるいはRNAレベルの分析を使用して、そのような多型を持つ対象、または疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型が進行する危険性のある対象を識別することができる。それらの対象は、本発明のsiNA分子および標的遺伝子の発現または発現したタンパク質の作用に関連する疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型の治療に有効な他の組成物を用いた治療、等の治療に対して影響を受けやすい。このように、標的タンパク質またはRNAレベルの分析を使用して、対象の治療の種類および一連の治療計画を決定することができる。タンパク質またはRNAレベルのモニタリングを使用して、治療の結果を予測したり、疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型に関連する特定タンパク質のレベルおよび/または作用を調節する化合物および組成物の有効性を判断することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型に関連するSNPを含む配列等の特定の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型に関連する対立遺伝子に固有の配列を持つ遺伝子転写物の一部に相補的な配列を含む。このように、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域に特定の対立遺伝子に固有の配列に対して相補的な配列を含めて、疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型に関連する対立遺伝子に対する選択的なRNAiの仲介における特異性を提供することができる。
別の態様においては、本発明は、例えばヌクレオチド配列または標的遺伝子の配列の一部に対して相補的なsiNA分子のアンチセンス領域にあるヌクレオチド配列等のヌクレオチド配列を含むsiNA分子を特徴とする。別の態様においては、本発明は例えば標的遺伝子配列またはその一部を含む配列に相補的なsiNA構造のアンチセンス領域等の領域を含むsiNA分子を特徴とする。
本発明の1つの態様においては、siNA分子は約19から約29(例、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29)ヌクレオチドを持つアンチセンス鎖を含む。ここで、前記アンチセンス鎖は標的タンパク質をコードするRNA配列に対して相補的であり、前記siNAはさらに約19から約29(例、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29)ヌクレオチドを持つセンス鎖を含む。またここで、前記センス鎖および前記アンチセンス鎖は少なくとも約19の相補的ヌクレオチドを持つ異なるヌクレオチド配列である。
本発明の別の態様においては、本発明のsiNA分子は約19から約29(例、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29)ヌクレオチドを持つアンチセンス領域を含む。ここで、前記アンチセンス領域は、標的タンパク質をコードするRNA配列に対して相補的であり、前記siNAはさらに約19から約29またはそれ以上(例、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、またはそれ以上)のヌクレオチドを持つセンス領域を含む。ここで、前記センス領域および前記アンチセンス領域は、少なくとも約19の相補的なヌクレオチドを持つ線状分子を含む。
本発明の1つの態様においては、siNA分子は標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。さらに前記siNAはセンス鎖を含む。ここで、前記センス鎖は標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部を含む。
別の態様においては、siNA分子は標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含む。さらに前記siNA分子はセンス領域を含む。ここで、前記センス領域は標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は標的遺伝子によってコードされたRNAの発現を調節するRNAi作用を持つ。特定の遺伝子は、互いにある程度の配列相同性を共有することができるため、異なる遺伝子標的間で共有される配列または特定の遺伝子標的に固有の代替配列のいずれかを選択することによって、siNA分子を一群の遺伝子または代替の特定遺伝子(例、多型変異体)を標的とするようにデザインできる。そのため1つの態様においては、1つのsiNA分子を持つ一群の遺伝子を標的とするようにsiNA分子をデザインして、複数の遺伝子変異体間で相同性を持つRNA配列の保存領域を標的とすることができる。従って、1つの態様においては、本発明のsiNA分子は対象における標的遺伝子の一方または両方の対立遺伝子の発現を調節する。別の態様においては、高度の特異性のためsiNA分子がRNAi作用を仲介する必要がある特定遺伝子の特定RNA配列(例、単一の対立遺伝子または関連するSNP)に固有の配列を標的とするようsiNA分子をデザインすることができる。
1つの態様においては、RNA干渉遺伝子サイレンシング応答のメディエーターとして作用する本発明の核酸分子は、二本鎖核酸分子である。別の態様においては、本発明のsiNA分子は約19から約25(例、約19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの間に約19の塩基対を含む二重鎖から構成される。また別の態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば、約19塩基対および3’端モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、またはトリヌクレオチド突出部を持つ約21ヌクレオチドの二重鎖等の約1から約3(例、約1、2、または3)ヌクレオチドの突出端を持つ二重鎖を含む。
本発明の一側面は、標的遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。1つの態様においては、二本鎖siNA分子は1つまたは複数の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は約21ヌクレオチド長である。1つの態様においては、二本鎖siNA分子は任意のリボヌクレオチドを含まない。別の態様においては、二本鎖siNA分子は1つまたは複数のリボヌクレオチドを含む。1つの態様においては、二本鎖siNA分子の各鎖は約19から約29(例、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29)ヌクレオチドを含む。ここで、各鎖はもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な約19ヌクレオチドを含む。1つの態様においては、二本鎖siNA分子の第一鎖は標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第二鎖は標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。
別の態様においては、本発明はアンチセンス領域を含む標的遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記アンチセンス領域は前記標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列、およびセンス領域を含み、前記センス領域は前記標的遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、前記アンチセンス領域および前記センス領域はそれぞれ約19から約23(例、約19、20、21、22、または23)ヌクレオチドを含み、前記アンチセンス領域は前記センス領域のヌクレオチドに相補的な約19のヌクレオチドを含む。
別の態様においては、本発明はセンス領域およびアンチセンス領域を含む標的遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記アンチセンス領域は標的遺伝子によってコード化されたRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は前記アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNAを使用して1つ以上の遺伝子の発現を抑制する。ここで、前記遺伝子はある程度の配列相同性を共有する。そのような相同配列は、例えば配列アラインメントを使用して、当該技術分野において周知のように識別できる。siNA分子は、例えば完全に相補的な配列を使用し、またはミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対を組み込んで追加の標的配列を提供することによって、そのような相同配列を標的とするようにデザインすることができる。本発明のsiNAを使用する利点は、siNAが受容体のRNAと相互作用し、RNAiを仲介してVEGF受容体の発現を抑制できるように、単一のsiNAを遺伝子の間に保存されるヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含めてデザインし、RNAiを仲介して遺伝子の発現を抑制することができることである。この方法によると、単一のsiNAを使用して1つ以上の遺伝子の発現を抑制することができる。それによって、異なる遺伝子を標的とするために複数のsiNAを使用する必要がなくなる。前記の異なる遺伝子は、例えばサイトカインおよびそれに対応する受容体を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は遺伝子によってコードされたヌクレオチド配列または遺伝子に存在するヌクレオチド配列あるいはその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つsiNAをデザインすることを含む、2つ以上の遺伝子の発現を抑制するように単一のsiNAをデザインする方法を特徴とする。ここで、前記siNAはRNAiを仲介して遺伝子の発現を抑制する。例えば、単一のsiNAは両方の遺伝子によってコードされたRNAに保存される、または存在する相同配列またはその一部と結合することで2つの遺伝子の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、RNA干渉遺伝子サイレンシング応答のメディエーターとして作用する本発明の核酸分子は二本鎖の核酸分子である。別の態様においては、本発明のsiNA分子は約19から約25(例、約19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの間に約19塩基対を含む二重鎖から構成される。別の態様においては、本発明のsiNAは、例えば、約19塩基対および3’端モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、またはトリヌクレオチド突出部を持つ約21ヌクレオチドの二重鎖等、約1から約3(例、約1、2、または3)ヌクレオチドの突出端を持つ二重鎖を含む。
1つの態様においては、本発明は発現する核酸分子またはタンパク質配列をコードするRNAまたはDNA等のタンパク質配列をコードする核酸分子に対して特異性を持つ1つまたは複数の化学修飾したsiNA構成を特徴とする。そのような化学修飾の限定を目的としない例は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、「非環状」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、および末端グリセリルおよび/または逆位のデオキシ脱塩基残基の結合が含まれる。それらの化学修飾は、様々なsiNA構成で使用される場合に細胞内のRNAi活性を保存すると同時に、それら化合物の血清安定性を劇的に向上させる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はリボヌクレオチドを含まない。別の態様においては、本発明のsiNA分子は1つまたは複数のリボヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明はタンパク質を結合する二本鎖RNA(dsRBPについては、シルハヴィー(Silhavy)ら,2003年,一般ウィルス学誌(Journal of General Virology),84,975−980を参照)の作用を抑制する化合物または組成物の使用を特徴とする。dsRBPの作用の抑制に使用できる化合物および組成物の限定を目的としない例には、dsRBPと結合または相互作用し、結果的にdsRBPの作用を削減する低分子および核酸アプタマー、および/またはdsRBPをコードする核酸配列を標的とするsiNA分子が含まれる。そのような化合物および組成物の使用は、例えば、RNAiの監視から逃れるために細胞がウィルス感染している間にdsRBPが発現する場合等、dsRBPがsiNA仲介RNA干渉の有効性を無効または抑制できる生体系におけるsiNA分子の作用を改善することが期待されている。そのため、dsRBPの作用を不活性化または抑制することでRNA干渉作用を改善できる場合には、dsRBPの作用を抑制する試薬の使用が好まれる。そのような抗dsRBP試薬を単独で投与するか、または本発明のsiNA分子と併用する、あるいはsiNA投与前の細胞または対象の事前治療に使用することができる。別の態様においては、抗dsRBP試薬を使用して本発明のsiNA分子の有無に関わらず、HCV,HBV,またはHIV感染といったウィルス感染を治療する。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の第一鎖は遺伝子または前記遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列あるいはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第二鎖は遺伝子または前記遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子の各鎖は約19から約23のヌクレオチドを含み、各鎖はもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約19のヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は遺伝子または前記遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含み、前記siNAはさらにセンス領域を含む。ここで、前記センス領域は遺伝子または前記遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明はRNA干渉(RNAi)過程を仲介することで標的遺伝子の発現を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子はリボヌクレオチドを含まず、二本鎖siNA分子の各鎖は約21のヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明はウィルス(例、哺乳類ウィルス、植物ウィルス、C型肝炎ウィルス、ヒト免疫不全ウィルス、B型肝炎ウィルス、単純ヘルペスウィルス、サイトメガロウィルス、ヒト乳頭腫ウィルス、呼吸器合胞体ウィルス、またはインフルエンザウィルス)の増殖を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、ウィルスの複製を抑制するためにsiNA分子内にリボヌクレオチドの存在を必要せず、二本鎖siNA分子の各鎖は約21のヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。前記アンチセンス領域は遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列にまたはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は前記アンチセンス領域またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。また、前記アンチセンス領域に存在するプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−プリン・ヌクレオチドを含む。別の態様においては、前記アンチセンス領域に存在するプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドを含む。上記態様のいずれかにおいて、前記アンチセンス領域はその3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。別の態様においては、前記アンチセンス領域はその3’端にグリセリル修飾を含む。上述の任意のsiNA分子に関する別の態様においては、前記アンチセンス鎖(例、突出領域)の非相補領域に存在する任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片の集合である。ここで、第一断片は前記siNA分子のセンス領域を含み、第二断片は前記siNA分子のアンチセンス領域を含む。約19ヌクレオチドのsiNA分子の各断片は、siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドと塩基対形成し、siNA分子の各断片の少なくとも2つの3’端ヌクレオチドは、siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドと塩基対形成しない。1つの態様においては、siNA分子の各断片の2つの3’端ヌクレオチドはそれぞれ2’−デオキシ−チミジン等の2’−デオキシ−ピリミジン・ヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNA分子の各断片の21ヌクレオチドはすべて、前記siNA分子の他の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成する。別の態様においては、前記アンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部と塩基対形成する。別の態様においては、前記アンチセンス領域の21ヌクレオチドは、遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部と塩基対形成する。上記態様のいずれかにおいて、前記アンチセンス領域を含む断片の5’端は任意でリン酸基を含むことができる。
1つの態様においては、本発明はRNA配列の発現を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする(例、ここで前記標的RNA配列は遺伝子によってまたは遺伝子発現の過程に関与する遺伝子によってコードされる)。ここで、前記siNA分子はリボヌクレオチドを含まず、二本鎖siNA分子の各鎖は約21ヌクレオチド長である。リボヌクレオチドを含まないsiNA構造の例は、センス/アンチセンス化学反応の任意の組み合わせの表IVに示す安定化学反応の組み合わせである(例、Stab7/8、Stab7/11、Stab8/8、Stab18/8、Stab18/11、Stab12/13、Stab7/13、Stab18/13、Stab7/19、Stab8/19、Stab18/19、Stab7/20、Stab8/20、またはStab18/20)。
1つの態様においては、本発明はRNA干渉を仲介して標的RNAの切断を指示する化学合成した二本鎖RNA分子を特徴とする。ここで、前記RNA分子の各鎖は約21から約23ヌクレオチド長であり、RNA分子の一鎖は、RNA干渉を介して標的RNAの切断を指示するため、RNA分子の標的RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含む。またRNA分子の少なくとも一鎖は、デオキシヌクレオチド、2’−0−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−0−メソキシエチルヌクレオチド等、本明細書に記載の1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子を含む薬物を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子を含む有効成分を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は標的遺伝子の発現を下方制御するための二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、siNA分子は1つまたは複数の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は約21ヌクレオチド長である。
1つの態様においては、本発明は標的遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、siNA分子は1つまたは複数の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は約18から約28またはそれ以上(例、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、またはそれ以上)のヌクレオチド長である。
本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の一方の鎖は前記遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は前記アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。また、前記二本鎖siNA分子に存在するピリミジン・ヌクレオチドの大部分は糖修飾を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、タンパク質をコードするRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的である。1つの態様においては、siNA分子の各鎖は約19から約29(例、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含み、各鎖はもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約19のヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は2つのオリゴヌクレオチド断片の集合である。ここで、第一断片は前記siNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を含み、第二断片は前記siNA分子のセンス領域のヌクレオチド配列を含む。前記センス領域はポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーといったリンカー分子を介してアンチセンス領域に結合される。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子のセンス鎖に存在するピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、前記センス領域に存在するプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである。別の態様においては、前記センス領域に存在するピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、前記センス領域に存在するプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである。1つの態様においては、センス鎖は3’端および5’端を含む。ここで、末端キャップ部(例、逆位のデオキシ脱塩基部分)はセンス鎖の5’端、3’端、またはその両方に存在する。1つの態様においては、前記アンチセンス鎖は1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドおよび1つまたは複数の2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドを含む。1つの態様においては、前記アンチセンス鎖に存在するピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖に存在する任意のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである。1つの態様においては、前記アンチセンス鎖はその3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。別の態様においては、前記アンチセンス鎖はその3’端にグリセリル修飾を含む。別の態様においては、前記アンチセンス鎖の5’端は任意でリン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む。ここで、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は、前記アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。また、前記二本鎖siNA分子に存在するピリミジン・ヌクレオチドの大部分は糖修飾を含み、前記アンチセンス鎖のヌクレオチド配列はRNAの5’未翻訳領域のヌクレオチド配列またはその一部に相補的である。別の態様においては、前記アンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的である。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を抑制する二本鎖の低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は前記アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。また、前記二本鎖siNAに存在するピリミジン・ヌクレオチドの大部分は糖修飾を含み、siNA分子の二本鎖はそれぞれ21ヌクレオチドを含む。1つの態様においては、siNA分子の各鎖の約19ヌクレオチドは、siNA分子の他の鎖の相補ヌクレオチドと塩基対形成し、siNA分子の各鎖の少なくとも2つの3’端ヌクレオチドは、siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドと塩基対形成しない。1つの態様においては、siNA分子の各断片の2つの3’端ヌクレオチドは2’−デオキシ−チミジン等の2’−デオキシ−ピリミジンである。別の態様においては、siNA分子の各鎖は、siNA分子の他の鎖の相補ヌクレオチドと塩基対形成する。1つの態様においては、前記アンチセンス鎖の約19ヌクレオチドは、RNAのヌクレオチド配列またはその一部と塩基対形成する。別の態様においては、前記アンチセンス鎖の21ヌクレオチドは、RNAのヌクレオチド配列またはその一部と塩基対形成する。
1つの態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子および医薬的に許容し得る担体または希釈剤を含む組成物を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は少なくとも1つの修飾ヌクレオチドをsiNA分子に導入することを含む、リボヌクレアーゼによる切断に対するsiNA分子の安定性を高める方法を特徴とする。ここで、前記修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNAに存在するすべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNAにある修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンまたは2’−デオキシ−2’−フルオロウリジン・ヌクレオチドを含む。別の態様においては、前記siNAにある修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−フルオロシチジンおよび少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジン・ヌクレオチドを含む。別の態様においては、前記siNAに存在するすべてのウリジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロウリジン・ヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNAに存在するすべてのシチジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロシチジン・ヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNAに存在するすべてのアデノシン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシン・ヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNAに存在するすべてのグアノシン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオログアノシン・ヌクレオチドである。さらに前記siNAは、ホスホロチオエート結合等の少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含む。別の態様においては、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは、ピリミジン・ヌクレオチドを持つ位置といったリボヌクレアーゼによる切断に敏感なsiNAにおける特定の位置に存在する。
1つの態様においては、本発明は遺伝子の発現を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は前記アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。また、前記二本鎖siNAに存在するピリミジン・ヌクレオチドの大部分は糖修飾を含む。
1つの態様においては、本発明は標的核酸の発現を下方制御する二本鎖構造を持つ低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子はリボヌクレオチドを含む2’−ヒドロキシ基を必要とせず、siNA分子の二本鎖構造の各鎖は約21のヌクレオチドを含む、siNA分子は標的核酸のヌクレオチド配列またはその一部に対して相補性を持つヌクレオチド配列を含む。標的核酸は、哺乳類遺伝子、植物遺伝子、真菌遺伝子、細菌遺伝子、植物ウィルス遺伝子、または哺乳類ウィルス遺伝子、等の内在性遺伝子、外来遺伝子、ウィルス性核酸、またはRNAである。哺乳類ウィルス遺伝子の例としては、C型肝炎ウィルス、ヒト免疫不全ウィルス、B型肝炎ウィルス、単純ヘルペスウィルス、サイトメガロウィルス、ヒト乳頭腫ウィルス、呼吸器合胞体ウィルス、インフルエンザウィルス、および重症急性呼吸器症候群(SARS)が挙げられる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記アンチセンス領域は標的核酸のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は前記アンチセンス領域のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片の集合である。ここで、第一断片は前記siNA分子のセンス領域を含み、第二断片は前記siNA分子のアンチセンス領域を含む。前記センス領域はポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカー等のリンカー分子を介して前記アンチセンス領域に結合することができる。別の態様においては、各センス領域およびアンチセンス領域は約21ヌクレオチド長を含む。別の態様においては、前記siNA分子の各断片の約19ヌクレオチドは、前記siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドと塩基対形成し、前記siNA分子の各断片の少なくとも2つの3’端ヌクレオチドは、前記siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドと塩基対形成しない。別の態様においては、前記siNA分子の各断片の2つの3’端ヌクレオチドはそれぞれチミジン等の2’−デオキシ−ピリミジンである。別の態様においては、前記siNA分子の各断片の21ヌクレオチドはすべて、前記siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドと塩基対形成する。別の態様においては、前記siNA分子のアンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、標的核酸のヌクレオチド配列またはその一部と塩基対形成する。別の態様においては、前記siNA分子のアンチセンス領域の21ヌクレオチドは、標的核酸のヌクレオチド配列またはその一部と塩基対形成する。別の態様においては、前記アンチセンス領域を含む断片の5’端は任意でリン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は標的核酸またはその一部でコードされたRNAのヌクレオチド配列またはその一部に対して相補性を持つヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、ピリミジン・ヌクレオチドは前記センス領域に存在する場合2’−O−メチルピリミジン・ヌクレオチドであり、プリン・ヌクレオチドは前記センス領域に存在する場合2’−デオキシプリン・ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、ピリミジン・ヌクレオチドは前記センス領域に存在する場合2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、プリン・ヌクレオチドは前記センス領域に存在する場合2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記センス領域はその5’端、3’端、またはその両方に末端キャップ部を含む。前記キャップ部は、逆位のデオキシ脱塩基部分、逆位のデオキシチミジン部分、またはチミジン部分である。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、ピリミジン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、プリン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、ピリミジン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり、プリン・ヌクレオチドは前記アンチセンス領域に存在する場合2’−デオキシ−プリン・ヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記アンチセンス領域はその3’端にリン酸骨格の修飾を含む。前記リン酸骨格の修飾はホスホロチオエートである。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記アンチセンス領域はその3’端にグリセリル修飾を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここで、前記siNA分子のセンス領域およびアンチセンス領域はそれぞれ約21ヌクレオチドを含む。
限定を目的としない例において、化学修飾したヌクレオチドを核酸分子に導入することで、体外から送達された野生型RNA分子に伴うインビボの安定性および生物学的利用能に関する潜在的な限界を克服する強力なツールが提供される。例えば、化学修飾した核酸分子は血清中でより長い半減期を持つため、化学修飾した核酸分子を使用することで、低用量の特定核酸分子で指定の治療効果を挙げることが可能になる。さらに、特定の化学修飾は、特定の細胞または組織のターゲティングおよび/または核酸分子の細胞摂取を向上させることによって、核酸分子の生物学的利用能を改善できる。そのため、例えばすべてのRNA核酸分子と比較する場合等、化学修飾した核酸分子の活性が野生型核酸分子と比べて低い場合でも、修飾した核酸分子の安定性および/または送達が向上したことによって、その分子の全体活性は野生型分子と比べて優れている。野生型の未修飾siRNAとは異なり、化学修飾したsiNAは、ヒトにおいてインターフェロンを活性化する可能性を最小限に抑えることもできる。
ここに記載するsiNA分子の任意の態様において、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、前記アンチセンス領域の3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。ここに記載するsiNA分子の任意の態様において、アンチセンス領域は、約1つから約5つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を前記アンチセンス領域の5’端に含むことができる。本明細書に記載するsiNA分子の任意の態様において、本発明のsiNA分子の3’端ヌクレオチド突出部は、核酸糖、塩基、または骨格で化学修飾したリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載するsiNA分子の任意の態様において、3’端ヌクレオチド突出部は1つまたは複数のユニバーサル塩基リボヌクレオチドを含むことができる。本明細書にに記載するsiNA分子の任意の態様において、3’端ヌクレオチド突出部は、1つまたは複数の非環状ヌクレオチドを含むことができる。
本発明の1つの態様は、少なくとも1つの本発明のsiNA分子をコードする核酸配列を核酸分子の発現を許容するように含む発現ベクターを提供する。本発明の別の態様は、そのような発現ベクターを含む哺乳類細胞を提供する。哺乳類細胞はヒト細胞であってもよい。前記siNA分子の発現ベクターはセンス領域およびアンチセンス領域を含むことができる。前記アンチセンス領域は、タンパク質またはポリペプチドをコードするRNAまたはDNA配列に相補的な配列を含むことができ、前記センス領域は前記アンチセンス領域に相補的な配列を含むことができる。前記siNA分子は相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を持つ2つの個別の鎖を含むことができる。前記siNA分子は相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を持つ単一の鎖を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は、細胞内または再構成インビトロシステムにおいてRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾は化学式I
を持つ骨格修飾ヌクレオチド間結合を含む1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のヌクレオチドを含む。式中、RlおよびR2はそれぞれ、自然発生するまたは化学修飾できる任意のヌクレオチド、非ヌクレオチド、またはポリヌクレオチドであり、XおよびYはそれぞれ、O、S、N、アルキル、または置換アルキルであり、ZおよびWはそれぞれ、O、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリル、またはアラルキルである。またW、X、Y、およびZは任意ですべてOとは限らない。別の態様においては、本発明の骨格修飾はホスホノ酢酸および/またはチオホスホノ酢酸ヌクレオチド間結合を含む(例として、シーハン(Sheehan)ら,2003年,核酸リサーチ(Nucleic Acids Research),31,4109−4118を参照)。
化学式Iを持つ化学修飾ヌクレオチド間結合は、例えば、任意のZ、W、X、および/またはYはそれぞれ硫黄原子を含む場合、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方等のsiNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の化学式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に化学式Iを持つ約1つから約5つ(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学修飾ヌクレオチド間結合を含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に、1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の化学式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を持つピリミジン・ヌクレオチドを含むことができる。さらに別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNAは、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に、1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の化学式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を持つプリン・ヌクレオチドを含むことができる。別の態様においては、化学式Iのヌクレオチド間結合を持つ本発明のsiNA分子は、化学式IからVIIのいずれかを持つ化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むこともできる。
1つの態様においては、本発明は、細胞内または再構成インビトロシステムにおいてRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾は化学式II
を持つ1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のヌクレオチドを含み、
式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11およびR12はそれぞれH、OH,アルキル、置換アルキル、またはアラルキル、F,Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、Sアルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキラミノ、ポリアルキラミノ、置換シリル、または化学式IまたはIIのグループであり、R9はO、S、CH2、S=O、CHF、またはCF2であり、Bはアデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリン、または標的RNAに相補的または非相補的な任意の他の非自然発生塩基、等のヌクレオシド塩基、またはフェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノン、または標的RNAに対して相補的または非相補的な任意の他の非自然発生ユニバーサル塩基、等の非ヌクレオシド塩基である。
化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドは、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方等、siNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドまたは化学式IIの非ヌクレオチドを含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端に含むことができる。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステムにおいてRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は化学式III
を持つ1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含み、
式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11およびR12はそれぞれH、OH,アルキル、置換アルキル、アルカリル、またはアラルキル、F,Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、Sアルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキラミノ、ポリアルキラミノ、置換シリル、または化学式IまたはIIのグループであり、R9はO、S、CH2、S=O、CHF、またはCF2であり、Bはアデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリン、または標的RNAに相補的または非相補的な任意の他の非自然発生塩基、等のヌクレオシド塩基、またはフェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノン、または標的RNAに対して相補的または非相補的な任意の他の非自然発生ユニバーサル塩基、等の非ヌクレオシド塩基である。
化学式IIIの化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチドは、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方等、siNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、1つまたは複数の化学式IIIの化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIIの化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIIの化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIIの化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端に含むことができる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は化学式IIまたはIIIを持つヌクレオチドを含む。ここで、化学式IIまたはIIIを持つヌクレオチドは逆位構造にある。例えば、化学式IIまたはIIIを持つヌクレオチドは、一方または両方のsiNA鎖の3’端、5’端、またはその両方といった、3’−3’、3’−2’、2’−3’、または5’−5’構造にあるsiNA構造と結合される。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステムにおいてRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は化学式IV
を持つ5’端リン酸基を含み、
式中、XおよびYはそれぞれO、S、N、アルキル、置換アルキル、またはアルキルハロであり、ZおよびWはそれぞれO、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリル、またはアルキルハロまたはアセチルであり、および/またはW、X、Y、およびZは必ずしもすべてOではない。
1つの態様においては、本発明は例えば、標的RNAに相補的な鎖等の標的相補鎖上に化学式IVの5’端リン酸基を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、siNA分子はすべてのRNAsiNA分子を含む。別の態様においては、本発明は標的相補鎖上に化学式IVの5’端リン酸基を持つsiNA分子を特徴とする。ここでsiNA分子は一方または両方の鎖の3’端に約1つから約4つの(例、約1、2、3、または4)デオキシリボヌクレオチドを持つ約1つから約3つの(例、約1、2、または3)ヌクレオチド3’端ヌクレオチド突出部も含む。別の態様においては、化学式IVの5’リン酸基は、例えば、化学式IからVIIのいずれかの化学修飾を持つsiNA分子といった本発明のsiNA分子の標的相補鎖上に存在する。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステムにおいてRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は1つまたは複数のホスホロチオエート、ホスホノ酢酸、および/またはチオホスホノ酢酸ヌクレオチド間結合を含む。例えば、限定を目的としない例において、本発明は一方のsiNA鎖に約1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を持つ化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。さらに別の態様においては、本発明は両方のsiNA鎖にそれぞれ約1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を持つ化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。前記ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖またはその両方にあるsiNA二重鎖の1つまたは両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に1つまたは複数のホスホロチオエート、ホスホノ酢酸、および/またはチオホスホノ酢酸ヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。さらに別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNAは、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。
1つの態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、前記センス鎖は1つまたは複数、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記センス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。ここで、前記アンチセンス鎖は約1つから約10またはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記アンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、1つまたは複数、例えばセンスおよび/またはアンチセンスsiNA鎖の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジン・ヌクレオチドは、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一の鎖あるいは異なる鎖の3’端、5’端、またはその両方に存在する末端キャップ分子の有無に関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチルおよび/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
別の態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、前記センス鎖は1つから約5つ、具体的には約1、2、3、4、または5つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記センス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。またここで、前記アンチセンス鎖は約1つから約5つまたはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記アンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、センスおよび/またはアンチセンスsiNA鎖の1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジン・ヌクレオチドは、同一または異なる鎖に存在する約1つから約5、またはそれ以上、たとえば約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチルおよび/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
1つの態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、前記アンチセンス鎖は1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチルおよび/または2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で末端キャップ分子をセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に含む。またここで、前記アンチセンス鎖は約1つから約10またはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記アンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、センスおよび/またはアンチセンスsiNA鎖の1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジン・ヌクレオチドは、約1つから約5つ、またはそれ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一または異なる鎖に存在する3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチルおよび/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
別の態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、アンチセンス鎖は約1つから約5つまたはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記センス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。またここで、前記アンチセンス鎖は、約1つから約5つまたはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または約1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、および任意で前記アンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、センスおよび/またはアンチセンスsiNA鎖の1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジン・ヌクレオチドは、約1つから約5つ、またはそれ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一または異なる鎖に存在する3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチルおよび/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
1つの態様においては、本発明はsiNA分子の各鎖に約1つから約5つ、具体的には約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を持つ化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。
別の態様においては、本発明は2’−5’ヌクレオチド間結合を含むsiNA分子を特徴とする。前記2’−5’ヌクレオチド間結合は、siNA配列鎖の一方または両方の3’端、5’端、またはその両方に存在し得る。さらに、前記2’−5’ヌクレオチド間結合は、siNA配列鎖の一方または両方にある様々な他の位置に存在し得る。例えば前記siNA分子の一方または両方の鎖にあるピリミジン・ヌクレオチドの各ヌクレオチド間結合は2’−5’ヌクレオチド間結合を含むことができ、または前記siNA分子の一方または両方の鎖にあるプリン・ヌクレオチドの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のヌクレオチド間結合は2’−5’ヌクレオチド間結合を含むことができる。
別の態様においては、本発明の化学修飾したsiNA分子は、2つの鎖を持つ二重鎖を含み、その一方または両方の鎖を化学修飾することができる。ここで、各鎖は約18から約27(例、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27)ヌクレオチド長であり、前記二重鎖は約18から約23(例、約18、19、20、21、22、または23)塩基対を持つ。またここで、前記化学修飾は化学式I−VIIのいずれかを持つ構造を含む。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、2つの鎖を持つ二重鎖を含み、その一方または両方の鎖は化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ化学修飾で化学修飾することができる。ここで、各鎖はそれぞれ2ヌクレオチド3’端ヌクレオチド突出を持つ約21のヌクレオチドで構成され、ここで前記二重鎖は約19の塩基対を持つ。別の態様においては、本発明のsiNA分子は一本鎖ヘアピン構造を含み、ここで前記siNAは約18から約23(例、約18、19、20、21、22、または23)塩基対を持つ約36から約70(例、約36、40、45、50、55、60、65、または70)ヌクレオチド長である。またここで、前記siNAは化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ化学修飾で化学修飾される約42から約50(例、約42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチドを持つ線状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、前記直線オリゴヌクレオチドは、約19塩基対および2−ヌクレオチド3’端ヌクレオチド突出部を持つヘアピン構造を形成する。別の態様においては、本発明の線状ヘアピンsiNA分子はステムループモチーフを含み、前記siNAのループ部分は生分解が可能である。例えば、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は、インビボのsiNA分子のループ部分の分解によって約2ヌクレオチドを含む3’端ヌクレオチド突出部等の3’端突出部を持つ二本鎖siNA分子を生成できるようにデザインされる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子はヘアピン構造を含む。ここで、siNAは約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15,16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)塩基対を持つ約25から約50(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチド長である。またここで、前記siNAは化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む1つまたは複数の化学修飾を含む。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ1つまたは複数の化学修飾で化学修飾される約25から約35(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35)ヌクレオチドを持つ線状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、前記線状オリゴヌクレオチドは、約3から約23(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23)塩基対および本明細書に記載のように化学修飾できる5’端リン酸基(例えば、化学式IVを持つ5’端リン酸基)を持つヘアピン構造を形成する。別の態様においては、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含む。ここで、前記siNA分子のループ部分は生分解が可能である。別の態様においては、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を含む。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は非対称のヘアピン構造を含む。ここで、siNAは約3から約20(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15,16、17、18、19、または20)塩基対を持つ約25から約50(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチド長である。またここで、前記siNAは化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む1つまたは複数の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ1つまたは複数の化学修飾で化学修飾される約25から約35(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35)ヌクレオチドを持つ線状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、前記線状オリゴヌクレオチドは、約3から約18(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18)塩基対および本明細書に記載のように化学修飾できる5’端リン酸基(例えば、化学式IVを持つ5’端リン酸基)を持つ非対称のヘアピン構造を形成する。別の態様においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含む。ここで、前記siNA分子のループ部分は生分解が可能である。別の態様においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を含む。
別の態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む個別のポリヌクレオチド鎖を持つ非対称の二本鎖を含む。ここで、前記アンチセンス領域は、約16から約25(例、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長であり、前記センス領域は約3から約18(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18)ヌクレオチド長である。前記センス領域および前記アンチセンス領域は少なくとも3つの相補的ヌクレオチドを持ち、前記siNAは化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ1つまたは複数の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、センス領域およびアンチセンス領域を含む個別のポリヌクレオチド鎖を持つ非対称の二本鎖構造を含む。ここで、前記アンチセンス領域は、約18から約22(例、約18、19、20、21、または22)ヌクレオチド長であり、前記センス領域は約3から約15(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)ヌクレオチド長である。前記センス領域およびアンチセンス領域は少なくとも3つの相補ヌクレオチドを持ち、前記siNAは化学式I−VIIまたはその任意の組み合わせを持つ1つまたは複数の化学修飾を含むことができる。別の態様においては、非対称の二本鎖siNA分子は、本明細書に記載のように化学修飾できる5’端リン酸基(例えば、化学式IVを持つ5’端リン酸基)を持つこともできる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、環状核酸分子を含む。ここで、前記siNAは約18から約23(例、約17、18、19、20、21、22、23、または24)塩基対を持つ約38から約70(例、約38、40、45、50、55、60、65、または70)ヌクレオチド長であり、前記siNAは化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせの構造を持つ化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ化学修飾で化学修飾される約42から約50(例、約42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチドを持つ環状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、前記環状オリゴヌクレオチドは、約19塩基対および2ループを持つダンベル型構造を形成する。
別の態様においては、本発明の環状siNA分子は2つのループモチーフを含む。ここで、前記siNA分子の1つまたは両方のループモチーフは生分解が可能である。例えば、本発明の環状siNA分子はインビボのsiNA分子のループ部分の分解によって約2ヌクレオチドを含む3’端ヌクレオチド突出部等の3’端突出部を持つ二本鎖siNA分子を生成できるようにデザインされる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば化学式V
を持つ化合物等の少なくとも1つ(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の脱塩基部分を含み、
式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、およびR13はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルカラミノ、ポリアルキラミノ、置換シリル、または化学式IまたはIIを持つグループであり、R9はO、S、CH2、S=O、CHFまたはCF2である。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば化学式VI
の化合物といった少なくとも1つ(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の逆位脱塩基部分を含み、
式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、およびR13はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、O−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルカラミノ、ポリアルキラミノ、置換シリル、または化学式IまたはIIを持つグループであり、R9はO、S、CH2、S=O、CHFまたはCF2であり、R3、R5、R8またはR13のいずれかが本発明のsiNA分子との結合点となる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば化学式VII
を持つ化合物等の少なくとも1つ(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の置換ポリアルキル部分を含み、
式中、nはそれぞれ1から12までの整数であり、R1、R2およびR3はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、CL、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルケニル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルカラミノ、ポリアルキラミノ、置換シリル、または化学式Iを持つグループであり、またR1、R2またはR3は本発明のsiNA分子との結合点となる。
別の態様においては、本発明は化学式VIIを持つ化合物を特徴とする。ここで、R1およびR2はヒドロキシル(OH)グループ、n=1であり、R3はOを含み本発明の二本鎖siNA分子の一方または両方の鎖の3’端、5’端、またはその両方との結合点、または本発明の二本鎖siNA分子の一本鎖siNA分子との結合点、または本発明の一本鎖siNA分子との結合点である。本明細書において当該修飾は「グリセリル」と呼ばれる(例えば、図22の修飾6)。
別の態様においては、本発明の化学式V、VIまたはVIIのいずれかを持つ部分は、本発明のsiNA分子の3’端、5’端、またはその両方に存在する。例えば、前記siNA分子のアンチセンス鎖、センス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に存在し得る。さらに、化学式VIIを持つ部分は本明細書に記載のようにヘアピンsiNA分子の3’端または5’端に存在し得る。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は化学式VまたはVIを持つ脱塩基残基を含む。ここで化学式VまたはVIを持つ前記脱塩基残基は、例えばsiNA鎖の一方または両方の3’端、5’端、またはその両方に3−3’、3−2’、2−3’、または5−5’構成に結合される。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えばその5’端、3’端、またはその任意の組み合わせに1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドを含む。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、例えばその5’端、3’端、またはその任意の組み合わせに1つまたは複数(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の非環状ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖は、前記センス鎖の3’端、5’端、またはその両方に逆位のデオキシ脱塩基部分または逆位のヌクレオチド等の末端キャップ部を含む(例として、図22を参照)。
1つの態様においては、本発明は本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含み、ここで前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明は、本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含み、ここで前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)。ここで、前記センス領域に存在する3’端ヌクレオチド突出部を含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明は、本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含み、ここで前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明は、本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含み、ここで前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。ここで、前記センス領域に存在する3’端ヌクレオチド突出部を含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明は、本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはアンチセンス領域を含み、ここで前記アンチセンス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明は、本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはアンチセンス領域を含み、ここで前記アンチセンス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する任意(例、1つまたは複数あるいはすべて)のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。ここで、前記アンチセンス領域に存在する3’端ヌクレオチド突出部を含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明は、本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはアンチセンス領域を含む。前記アンチセンス領域に存在する任意の(例、1つまたは複数あるいはすべての)ピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する任意の(例、1つまたは複数あるいはすべての)プリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数の2’−デオキシプリン・ヌクレオチドがプリン・ヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明は、センス領域およびアンチセンス領域を含む細胞または再構成インビトロシステムにおいてRNA干渉(RNAi)を仲介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。1つの態様においては、前記センス領域は1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および1つまたは複数の2’−デオキシプリン・ヌクレオチド(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)を含む。前記センス領域は、その3’端、5’端、またはその両端に任意で存在する逆位のデオキシ脱塩基修飾を含むことができる。さらに前記センス領域は、任意で約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含むことができる。前記アンチセンス領域は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および1つまたは複数の2’−O−メチルプリン・ヌクレオチド(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)を含む。前記アンチセンス領域は、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等、前記アンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両端に任意で存在する末端キャップ修飾を含むことができる。さらに前記アンチセンス領域は、任意で約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を含む。ここで、前記突出ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。それら化学修飾したsiNAの限定を目的としない例を、本明細書の図18および19ならびに表IVに示す。
センス領域およびアンチセンス領域を含む化学修飾した低分子干渉核酸に関する別の態様においては、前記センス領域は1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および1つまたは複数のプリン・リボヌクレオチドを含む(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドがプリン・リボヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドがプリン・リボヌクレオチドである)。また、前記センス領域はその3’端、5’端またはその両方に任意で存在する逆位のデオキシ脱塩基修飾も含む。さらに前記センス領域は、任意で約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含む。前記アンチセンス領域は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および1つまたは複数の2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドを含む(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・リボヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・リボヌクレオチドである)。前記アンチセンス領域は、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等の末端キャップ修飾を含むこともできる。この末端キャップ修飾は、前記アンチセンス配列の3’端および5’端またはその両方に任意で存在する。さらに、前記アンチセンス領域は任意で約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を含む。ここで、突出ヌクレオチドはさらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を含む。ここで、前記突出ヌクレオチドはさらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。それらの化学修飾siNA分子に関する限定を目的としない例を本明細書の図18および19並びに表IVに示す。
センス領域およびアンチセンス領域を含む化学修飾した低分子干渉核酸に関する別の態様においては、センス領域は1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドを含む(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択されるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される)。前記センス領域は、任意でその3’端、5’端、およびその両方に存在する逆位のデオキシ脱塩基修飾を含むことができる。前記センス領域は、さらに任意で約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含む。前記アンチセンス領域は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリンジンヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドを含む(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択されるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される)。前記アンチセンス領域は、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等、つまり、前記アンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾を含むこともできる。さらに前記アンチセンス領域は、約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を任意でを含む。ここで、前記突出ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
別の態様においては、好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖にあるが、任意でアンチセンス鎖およびセンス鎖の両方にある本発明のsiNA分子に存在する任意の修飾ヌクレオチドは、自然発生ヌクレオチドと同様の特性を持つ修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明はノーザン構造(例、ノーザン擬似回転サイクル、センガー(Saenger),核酸構造の原理(Principles of Nucleic Acid Structure),スプリンガー−ヴァーラグ(Springer−Verlag)ら,1984年を参照)を持つ修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。そのように、本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖にあるが、任意でアンチセンス鎖およびセンス鎖の両方にある本発明のsiNA分子に存在する化学修飾ヌクレオチドは、RNAiを仲介する能力を維持すると同時に、ヌクレアーゼ分解に対する耐性を示す。ノーザン構造を持つヌクレオチドに関する限定を目的としない例は、ロックされる核酸(LNA)ヌクレオチド(例、2’−O,4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド)、2’−メソキシエソキシ(MOE)ヌクレオチド、2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸分子(siNA)を特徴とする。ここで、前記化学修飾は化学修飾したsiNA分子に結合するコンジュゲートを含む。前記コンジュゲートは、共有結合を介して化学修飾したsiNA分子に結合する。1つの態様においては、前記コンジュゲートは、生分解性リンカーを介して化学修飾したsiNA分子に結合する。1つの態様においては、前記コンジュゲート分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方のいずれかの3’端で結合される。別の態様においては、前記コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方のいずれかの5’端で結合される。さらに別の態様においては、前記コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方のいずれかの3’端および5’端、あるいはその任意の組み合わせと結合される。1つの態様においては、本発明のコンジュゲート分子は、細胞等の生体系への化学修飾siNA分子の送達を促進する分子を含む。別の態様においては、化学修飾siNA分子に結合されるコンジュゲート分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または細胞摂取を仲介できる細胞受容体用のリガンドである。化学修飾siNA分子に結合できる本発明で企図される特定コンジュゲートの例は、ヴァーギース(Vargeese)らの米国特許出願10/201,394に記載されており、参照することによりここに組み込まれる。使用されるコンジュゲートのタイプおよび本発明のsiNA分子のコンジュゲートの範囲は、RNAi作用を仲介するsiNAの能力を維持しながら、向上した薬物動態プロファイル、生物学的利用能、および/またはsiNA構造の安定性について評価することができる。そのようにして、当業者は様々なコンジュゲートで修飾されたsiNA構造をスクリーニングし、当該技術分野において一般に知られているように、例えば動物モデルにおいて、siNAコンジュゲート複合体がRNAiを仲介する能力を維持しながら改善された特性を持つかどうかを判断することができる。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を仲介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含む。前記センス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)。また、前記センス領域の3’端、5’端、またはその両方には任意で逆位デオキシ脱塩基修飾が存在し、さらに前記センス領域は、任意で約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含む。またここで、化学修飾核酸分子はアンチセンス領域を含む。前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)、および、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾、つまり、前記アンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾が含まれる。さらに前記アンチセンス領域は、任意で約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を含む。ここで、前記突出ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。それら化学修飾siNAの限定を目的としない例を本明細書の図18および19および表IVに示す。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を仲介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含む。前記センス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。また前記センス領域の3’端、5’端、またはその両方には任意で逆位デオキシ脱塩基修飾が存在し、さらに前記センス領域は、任意で約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含む。またここで、化学修飾した核酸分子はアンチセンス領域を含む。前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)、および、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾、つまり、前記アンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾が含まれる。さらに前記アンチセンス領域は、約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を任意でを含む。ここで、前記突出ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。それら化学修飾したsiNAに関する限定を目的としない例を本明細書の図18および19および表IVに示す。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を仲介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNAはセンス領域を含む。前記センス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記センス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドはプリン・リボヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドがプリン・リボヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドがプリン・リボヌクレオチドである)。また前記センス領域の3’端、5’端、またはその両方には任意で逆位デオキシ脱塩基修飾が存在し、さらに前記センス領域は、任意で約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含む。またここで、前記siNAはアンチセンス領域を含む。前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。また、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾、つまり、前記アンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾が含まれる。さらに前記アンチセンス領域は、約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を任意でを含む。ここで、前記突出ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。それら化学修飾したsiNAの限定を目的としない例を本明細書の図18および19および表IVに示す。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を仲介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾したsiNAはセンス領域を含む。前記センス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、例えば前記センス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択されるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される)。また、前記センス領域の3’端、5’端、またはその両方には任意で逆位のデオキシ脱塩基修飾が存在し、さらに前記センス領域は任意で約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシリボヌクレオチドを持つ3’端突出部を含む。またここで、前記化学修飾した低分子干渉核酸分子はアンチセンス領域を含む。前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、また前記アンチセンス領域に存在する1つまたは複数のプリン・ヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択されるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メソキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドから構成されるグループから選択される)。また本明細書に記載または図22に示すような任意の修飾、つまり、前記アンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾等が含まれる。さらに前記アンチセンス領域は、約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の2’−デオキシヌクレオチドを持つ3’端ヌクレオチド突出部を任意でを含む。ここで、前記突出ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
1つの態様においては、本発明は、本発明の低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで前記siNAは、ヌクレオチド、非ヌクレオチド、またはsiNAのセンス領域をsiNAのアンチセンス領域に結合する混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを含む。1つの態様においては、本発明のヌクレオチドリンカーは22ヌクレオチド長のリンカーであり、例えば3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド長でありうる。別の態様においては、前記ヌクレオチドリンカーは、核酸アプタマーであってもよい。ここで使用する「アプタマー」または「核酸アプタマー」とは、標的分子に対して特異的に結合する核酸分子を意味する。ここで、前記核酸分子はその自然な状態において標的分子によって認識される配列を含む配列を持つ。代替として、アプタマーは標的分子と結合する核酸分子であってもよい。ここで、前記標的分子は核酸と自然に結合しない。前記標的分子は興味のある任意の分子であってよい。例えば、前記アプタマーを使用して、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合することができ、それによって自然発生するリガンドとタンパク質との相互作用を回避することができる。これは限定を目的としない例であり、当業者であれば当該技術分野において一般に知られている技術を使用して他の例を用意に実施できる(例えば、ゴールド(Gold)ら,1995年,生化学アニュアルレビュー(Annu.Rev.Biochem.),64,763;ブロディー(Brody)とゴールド(Gold),2000年,生物工学会誌(J.Biotechnol.),74,5;サン(Sun),2000年,分子治療学カレントオピニオン(Curr.Opin.Mol.Tlter.),2,100;クッサー(Kusser),2000年,生物工学会誌(J.Biotechnol.),74,27;ハーマン(Hermann)とパテル(Patel),2000年,サイエンス誌(Science),287,820;およびジャヤセナ(Jayasena),1999年,臨床化学誌(Clinical Chemistry),45,1628を参照)。
さらに別の態様においては、本発明の非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、または他のポリマー化合物(例、2から100エチレングリコール単位を持つポリエチレングリコール等)を含む。特定の例は、シーラ(Seela)とカイザー(Kaiser),核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1990年,18:6535および核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1987年,15:3113;クロード(Cload)とシェパーツ(Schepartz),米国化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.),1991年,113:5109;マ(Ma)ら,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1993年,21:2585および生物化学(Biochemistry) 1993年,32:1751;デュラン(Durand)ら,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1990,18:6353;マカーディ(McCurdy)ら,ヌクレオシドとヌクレオチド(Nucleosides & Nucleotides),1991年,10:287;イシュク(Jschke)ら,テトラヒドロン通信(Tetrahedron Lett.)1993年,34:301;オノ(Ono)ら,生物化学(Biochemistry),1991年,30:9914,アーノルド(Arnold)ら,国際公開WO89/02439;ウスマン(Usman)ら,国際公開WO95/06731;ドゥーディッチ(Dudycz)ら,国際公開WO95/11910、およびフェレンツ(Ferentz)とヴェルディン(Verdine),米国化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.),1991年,113:4000に記載のものを含み、それらはすべて参照することによりここに組み込まれる。さらに「非ヌクレオチド」は1つまたは複数のヌクレオチド単位として核酸鎖に組み込むことができる任意のグループまたは化合物を意味し、糖および/またはリン酸塩置換のいずれかを含む。また、残基はその酵素活性を示すことができる。前記グループまたは化合物は、例えば糖のC1位においてアデノシン、グアニン、ウラシル、またはチミン等の一般に認識されているヌクレオチド塩基を含まない場合は、脱塩基であってよい。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内で標的遺伝子に対するRNA干渉(RNAi)を仲介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記化学修飾は、前記化学修飾したsiNA分子と共有結合するコンジュゲートを含む。本発明で企図されるコンジュゲートに関する限定を目的としない例は、ヴァーギース(Vargeese)ら,2003年4月30日出願の米国特許出願10/427,160に記載のコンジュゲートおよびリガンドを含み、その全体は図とともに参照することによりここに組み込まれる。別の態様においては、前記コンジュゲートは生分解性リンカーを介して化学修飾siNA分子と共有結合する。1つの態様においては、前記コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端で結合される。
別の態様においては、前記コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端で結合する。さらに別の態様においては、前記コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端および5’端、またはその任意の組み合わせと結合する。1つの態様においては、本発明のコンジュゲート分子は、細胞等の生体系への化学修飾したsiNA分子の送達を促進する分子を含む。別の態様においては、化学修飾したsiNA分子に結合するコンジュゲート分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または細胞摂取を仲介できる細胞受容体用のリガンドである。化学修飾したsiNA分子に結合できる本発明で企図される特定コンジュゲートの例は、ヴァーギース(Vargeese)らの米国特許出願10/201,394に記載されており、参照することによりここに組み込まれる。使用されるコンジュゲートのタイプおよび本発明のsiNA分子のコンジュゲートの範囲は、RNAi作用を仲介するsiNAの能力を維持しながら、向上した薬物動態プロファイル、生物学的利用能、および/またはsiNA構造の安定性について評価することができる。そのようにして、当業者は様々なコンジュゲートで修飾したsiNA構造をスクリーニングし、当該技術分野において一般に知られているように、例えば動物モデルにおいて、siNAコンジュゲート複合体がRNAiを仲介する能力を維持しながら改善された特性を持つかどうかを判断することができる。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を仲介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、2つの個別のオリゴヌクレオチドの集合である前記siNAの一方または両方の鎖は任意のリボヌクレオチドを含まない。例えば、siNA分子は単一オリゴヌクレオチドの集合であってよく、ここで前記siNAのセンス領域およびアンチセンス領域は、前記オリゴヌクレオチドに存在する任意のリボヌクレオチド(例、2’−OHグループを持つヌクレオチド)を持たない個別のオリゴヌクレオチドを含む。別の例において、siNA分子は単一オリゴヌクレオチドの集合であってよく、ここで前記siNAのセンス領域およびアンチセンス領域は、本明細書に記載のヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによって結合されるか、または円状になる。ここで、前記オリゴヌクレオチドは前記オリゴヌクレオチドに存在する任意のリボヌクレオチド(例、2’−OHグループを持つヌクレオチド)を持たない。驚くべきことに、出願人はsiNA分子内のリボヌクレオチド(例、2’−ヒドロキシルグループを持つヌクレオチド)の存在はRNAi活性のサポートに必要不可欠ではないことを発見した。そのように、1つの態様においては、前記siNA内のすべての位置は化学式I、II、III、IV、V、VI、またはVII、あるいはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチド等の化学修飾したヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチドを含むことができ、細胞におけるRNAi作用をサポートするsiNA分子の能力をある程度維持することができる。
1つの態様においては、本発明はRNA干渉をサポートする目的でsiNA分子内に存在するために、2’−OHグループ(リボヌクレオチド)の存在を必要としないsiNA分子を特徴とする。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞または再構成インビトロシステム内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。ここで、前記siNA分子は標的核酸配列に対する相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含む。別の態様においては、本発明の前記一本鎖siNA分子は5’−端リン酸基を含む。別の態様においては、本発明の前記一本鎖siNA分子は5’−端リン酸基および3’−端リン酸基(例、2’,3’−環状リン酸)を含む。別の態様においては、本発明の前記一本鎖siNA分子は、約19から約29(例、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29)ヌクレオチドを含む。さらに別の態様においては、本発明の前記一本鎖siNA分子は、本明細書に記載の1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含む。例えば、前記siNA分子内のすべての位置は、科学式I−VIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチド等の化学修飾ヌクレオチドを含むことができ、細胞におけるRNAi作用をサポートするsiNA分子の能力をある程度維持することができる。
1つの態様においては、標的核酸配列に対して相補性を持つ前記一本鎖siNA分子は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および1つまたは複数の2’−O−メチルプリン・ヌクレオチド(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)を含む。別の態様においては、前記一本鎖siNA分子は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)を含み、および1つまたは複数の2’−デオキシプリン・ヌクレオチド(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)を含む。別の態様においては、前記一本鎖siNA分子は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)を含み、ここで前記アンチセンス領域に存在する任意のプリン・ヌクレオチドは、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドがLNAヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドがLNAヌクレオチドである)。別の態様においては、一本鎖siNA分子は、1つまたは複数の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチド(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、および1つまたは複数の2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドを含む(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチド、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドである)。一本鎖siNAは、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等の、前記アンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾を含むことができる。さらに前記一本鎖siNAは、任意で約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’端に含む。ここで、前記末端ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。さらに前記一本鎖siNAは、任意で5’端リン酸基等の末端リン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞または再構成インビトロシステム内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。ここで、前記siNA分子は標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含む。またここで、前記siNAに存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、前記アンチセンス領域に存在する任意のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。また本明細書に記載または図22に示すような任意の修飾、つまり、前記アンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾等が含まれる。さらに前記siNAは、前記siNA分子の3’端に任意で約1つから4つ(例、約1、2、3、または4)の末端2’−デオキシヌクレオチドを含む。ここで、前記末端ヌクレオチドは、さらに1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエート、ホスホノ酢酸、および/またはチオホスホノ酢酸ヌクレオチド間結合を含む。またここで、前記siNAはさらに任意で、5’端リン酸基等の末端リン酸基を含む。それらの例のいずれかにおいて、前記アンチセンス領域に存在する任意のプリン・ヌクレオチドは代替として2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)。また、それらの例のいずれかにおいて、前記siNAに存在する任意のプリン・ヌクレオチド(例、センス領域および/またはアンチセンス領域に存在するプリン・ヌクレオチド)は、代替としてロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドであってもよい(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドがLNAヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドがLNAヌクレオチドである)。また、それらの例のいずれかにおいて、前記siNAに存在する任意のプリン・ヌクレオチドは、代替として2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドである)。別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子に存在する任意の修飾ヌクレオチドは、自然発生リボヌクレオチドと同様の特性または特徴を持つ修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明はノーザン構造を持つ修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする(例、ノーザン擬似回転サイクル。Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,スプリンガー−ヴァーラグ(Springer−Verlag)ら,1984年を参照)。そのように、本発明の前記一本鎖siNA分子に存在する化学修飾ヌクレオチドは、好ましくはRNAi仲介能力を維持しながらヌクレアーゼ分解に対する耐性を持つ。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は細胞または再構築インビトロシステム内のRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。ここで、前記siNA分子は標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含む。ここで前記siNAに存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、siNAに存在する任意のプリン・ヌクレオチドは2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−O−メチルプリン・ヌクレオチドである)。また、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等の、前記アンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾を含む。さらに前記siNAは、約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’端に含む。ここで、前記末端ヌクレオチドはさらに、1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができ、さらに前記siNAは任意で5’−端リン酸基等の末端リン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞または再構築インビトロシステム内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。ここで前記siNA分子は標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含み、前記siNAに存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、前記siNAに存在する任意のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドは2’−デオキシプリン・ヌクレオチドまたは代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−デオキシプリン・ヌクレオチドである)。また、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等の、前記アンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾を含む。さらに前記siNAは、約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’端に含む。ここで、前記末端ヌクレオチドはさらに、1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができ、さらに前記siNAは任意で5’−端リン酸基等の末端リン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞または再構築インビトロシステム内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。ここで前記siNA分子は標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含み、前記siNAに存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、前記siNAに存在する任意のプリン・ヌクレオチドがロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドはLNAヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドがLNAヌクレオチドである)。また、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等の、前記アンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾を含む。さらに前記siNAは、約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’端に含む。ここで、前記末端ヌクレオチドはさらに、1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができ、さらに前記siNAは任意で5’−端リン酸基等の末端リン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞または再構築インビトロシステム内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。ここで前記siNA分子は標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含み、前記siNAに存在する1つまたは複数のピリミジン・ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のピリミジン・ヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである)、前記siNAに存在する任意のプリン・ヌクレオチドは2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドである(例、ここですべてのプリン・ヌクレオチドが2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドであるか、または代替として複数のプリン・ヌクレオチドが2’−メソキシエチルプリン・ヌクレオチドである)。また、本明細書に記載または図22に示す任意の修飾等の、前記アンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する末端キャップ修飾を含む。さらに前記siNAは、約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’端に含む。ここで、前記末端ヌクレオチドはさらに、1つまたは複数(例、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができ、さらに前記siNAは任意で5’−端リン酸基等の末端リン酸基を含む。
別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子に存在する任意の修飾ヌクレオチドは自然発生リボヌクレオチドと同様の特性または特徴を持つ修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明はノーザン構造を持つ修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする(例、ノーザン擬似回転サイクル。センガー(Saenger),核酸構造の原理(Principles of Nucleic Acid Structure),スプリンガー−ヴァーラグ(Springer−Verlag)ら,1984年を参照)。そのように、本発明の前記一本鎖siNA分子に存在する化学修飾ヌクレオチドは、好ましくはRNAiを仲介する能力を維持しながら、ヌクレアーゼ分解に対する耐性を持つ。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここでsiNA分子の1つが遺伝子のRNAに相補的な配列を含む、および(b)細胞内の遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内の遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つが前記遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、前記siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列とほぼ同様の配列を含む、および(b)細胞内の遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内の遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること、ここでsiNA分子の1つが前記遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、前記siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列とほぼ同様の配列を含む、また(b)細胞内の遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内にある1つ以上の遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つが遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、前記siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列とほぼ同様の配列を含む、および(b)細胞内の遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内にある1つ以上の遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は体外アプリケーションにおける試薬として使用される。例えば、siNA試薬は、治療効果を挙げるため対象に移植される組織または細胞に導入される。前記細胞および/または組織は、後に移植を受ける生物体または対象から採取するか、または移植前に別の生物体または対象から採取してよい。前記siNA分子を使用して、細胞または組織内の1つまたは複数の遺伝子発現を調節することができる。そのため、前記細胞または組織は、望ましい表現型を取得するか、またはインビボで移植された場合に機能を実施できる。1つの態様においては、特定のターゲット細胞を患者から抽出する。それらの抽出細胞は、それらの細胞によるsiNAの摂取に適した条件下で(例、カチオン脂質、リポソーム等の送達試薬を使用するか、または細胞へのsiNAの送達を促進するエレクトロポレーション等の技術を使用して)、特定のヌクレオチド配列を標的とするsiNAと結合される。その後、前記細胞は同一の患者または他の患者に再導入される。限定を目的としない体外アプリケーションの例には、臓器/組織移植、組織グラフと、または肺疾患の治療(例、再狭窄)あるいは静脈移植における新生内膜過形成およびアテローム性動脈硬化の予防における使用を含む。そのような体外アプリケーションを使用して、冠動脈および末梢バイパス移植術の障害に関連する状態を治療してもよい。例えば、そのような方法を末梢血管バイパス移植術および冠動脈移植術と併せて使用することができる。追加のアプリケーションは、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、認知症、ハンチントン舞踏病、または筋萎縮性側策硬化(ALS)のような神経分解状態の治療における使用を含む中枢神経系障害または損傷を治療するための移植を含む。
1つの態様においては、本発明は、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つが遺伝子のRNAに相補的な配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、siNA分子を特定の生物体から採取した組織外植細胞に導入することを含む、組織外植片における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。別の態様においては、さらに前記方法は、その生物体における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、組織を採取した生物体または別の生物体に組織外植片を再導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つが前記遺伝子のRNAに相補的な配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、siNA分子を特定の生物体から採取した組織外植細胞に導入することを含む、組織外植における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。別の態様においては、さらに前記方法は、その生物体における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、組織を採取した生物体または別の生物体に組織外植片を再導入することを含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つが前記遺伝子のRNAに相補的な配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、siNA分子を特定の生物体から採取した組織外植細胞に導入することを含む、組織外植における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。別の態様においては、さらに前記方法は、その生物体における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、組織を採取した生物体または別の生物体に組織外植片を再導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つは前記遺伝子のRNAに対して相補的な配列を含む、および(b)前記生物体における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、siNA分子を前記生物体に導入することを含む、生物体における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNA鎖の1つは前記遺伝子のRNAに対して相補的な配列を含む、および(b)前記生物体における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、siNA分子を前記生物体に導入することを含む、生物体における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は(a)本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNAは遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)前記細胞における遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、細胞にsiNA分子を導入することを含む、細胞内の遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNAは標的遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)前記生物体における標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を組織または器官に導入することから成る、組織または器官における遺伝子発現の調節する方法を特徴とする。別の態様においては、前記組織が眼組織であり、前記器官は眼である。別の態様においては、前記組織は肝細胞および/または肝組織を含み、前記器官は肝臓である。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNAは遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)細胞内の遺伝子発現を調節するのに適した条件下で、前記siNAをインビトロまたはインビボ細胞と結合することを含む、細胞内にある1つ以上の遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNAは遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現の調節に適した条件下で、前記siNA分子を特定の生物体から採取した組織外植細胞と結合することを含む、組織外植片における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。別の態様においては、さらに前記方法は、前記生物体における遺伝子発現の調節に適した条件下で、組織外植片を採取した生物体または別の生物体に再導入することを含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNAは遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現の調節に適した条件下で、前記siNA分子を特定の生物体から採取した組織外植細胞に再導入することを含む、組織外植片における1つ以上の遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。別の態様においては、さらに前記方法は前記生物体における遺伝子発現の調節に適した条件下で、組織外植片を採取した生物体または別の生物体に再導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここで前記siNAは遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現の調節に適した条件下で、前記siNA分子を前記生物体に導入することを含む、生物体における遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること、ここで前記siNAは遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む、および(b)組織外植における遺伝子発現の調節に適した条件下で、前記siNA分子を前記生物体に導入することを含む、生物体における遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、前記生物体における遺伝子発現の調節に適した条件下で、生物体を本発明のsiNA分子と結合することを含む、生物体における遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は、前記生物体における遺伝子発現の調節に適した条件下で、前記生物体と本発明の1つまたは複数のsiNA分子を結合することを含む、生物体における1つ以上の遺伝子発現を調節する方法を特徴とする。
本発明のsiNA分子は、様々なRNA分子のRNAiターゲティングを通じて標的遺伝子発現を下方制御するか、または抑制するようにデザインできる。1つの態様においては、本発明のsiNA分子を使用して標的遺伝子に対応する様々なRNAを標的とする。そのようなRNAの限定を目的としない例にはメッセンジャーRNA(mRNA)、標的遺伝子の代替RNAスプライスバリアント、標的遺伝子の転写後修飾RNA、標的遺伝子のプレmRNA、および/またはRNAテンプレートが含まれる。代替スプライシングが適切なエクソンを使用することで区別される一群の転写を生成する場合、本発明を使用して適切なエクソンを通じて遺伝子発現を抑制することができる。特に、遺伝子ファミリーメンバーの機能を抑制または区別することができる。例えば、代替としてスプライスされた膜貫通型ドメインを含むタンパク質は、膜結合型および分泌型の両方で発現することができる。本発明を使用して膜貫通型ドメインを含むエクソンを標的とすることで、タンパク質の分泌型に対向する膜結合型の製薬ターゲティングの機能的結果を判別することができる。それらRNA分子の標的に関連する本発明のアプリケーションの限定を目的としない例は、治療医薬アプリケーション、医薬品発見アプリケーション、分子診断および遺伝子機能アプリケーション、および例えば本発明のsiNA分子を用いた単一のヌクレオチド多型マッピングを使用した遺伝子マッピングを含む。そのようなアプリケーションは、周知の遺伝子配列または発現配列標識(EST)から取得可能な部分配列を使用して実装できる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子を使用して、1つまたは複数の遺伝子ファミリーに対応する保存配列を標的とする。そのようにして、複数の遺伝子標的をターゲットとするsiNA分子は治療効果を高めることができる。さらに、siNAを使用して、様々なアプリケーションにおける遺伝子機能の経路を特徴づけることができる。例えば、本発明を使用して、経路における標的遺伝子の活性を抑制し、遺伝子機能分析、mRNA機能分析、または翻訳分析において未同定の遺伝子の機能を判別することができる。本発明を使用して、医薬品開発に向けた様々な疾患および状態に関与する潜在的な標的遺伝子経路を判別することができる。本発明を使用して、例えば生前発育および生後発育、および/または癌の進行および/または維持、感染症、自己免疫、炎症、内分泌障害、腎疾患、肺疾患、循環器疾患、出生時欠傷、加齢、発毛、遺伝子発現に関連する任意の他の疾患、状態、遺伝子型、または表現型に関与する遺伝子発現の経路を理解することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子および/または方法を使用して、例えばジンバンクアクセッション番号で本明細書に参照されるRNA配列をコードする遺伝子等、ジンバンクアクセッション番号で参照されるRNAをコードする遺伝子の発現を下方制御または抑制する。
1つの態様においては、本発明は(a)事前設定された複雑性を持つsiNA構造のライブラリを生成すること、(b)標的RNA配列内のRNAi標的部位を判別するのに適した条件下で、上記(a)のsiNA構造を試験することから成る方法を特徴とする。1つの態様においては、(a)のsiNA分子は例えば約23ヌクレオチド長といった固定長の鎖を持つ。別の態様においては、(a)の前記siNA分子は異なる長さであり、例えば約19から約25(例、約19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長の鎖を持つ。1つの態様においては、アッセイには本明細書に記載の再構成インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の態様においては、前記アッセイには標的RNAが発言する細胞培養システムを含むことができる。別の態様においては、標的RNAの断片は、例えばゲル電気泳動、ノーザンブロット解析、またはRNAseタンパク質アッセイによって、検出可能なレベルの切断を分析し、標的RNA配列内の最適標的部位を判断する。前記標的RNA配列は、当該技術分野において周知のように、例えばクローニングおよび/またはインビトロシステムの転写、およびインビボシステムにおける細胞発現によって取得することができる。
1つの態様においては、本発明は(a)4N等の事前設定された複雑性を持つsiNA構造のランダムなライブラリを生成する、ここでNは各siNA構造鎖における塩基対ヌクレオチドの数を示す(例、19塩基対とともに21ヌクレオチドセンスおよびアンチセンス鎖を持つsiNA構造の場合、前記複雑性は419である、および(b)前記標的RNA配列内のRNAi標的部位を判別するのに適した条件下で、上記(a)のsiNA構造を試験することから成る方法を特徴とする。別の態様においては、(a)のsiNA分子は例えば約23ヌクレオチド長といった固定長の鎖を持つ。さらに別の態様においては、(a)のsiNA分子は異なる長さであり、例えば約19から約25(例、約19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長の鎖を持つ。1つの態様においては、前記アッセイには本明細書の例7に記載の再構築インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の態様においては、標的RNAの断片について、例えばゲル電気泳動、ノーザンブロット解析、またはRNAseタンパク質アッセイによって、検出可能なレベルの切断を分析し、標的RNA配列内の最適標的部位を判断する。別の態様においては、前記標的RNA配列は当該技術分野において周知のように、例えばクローニングおよび/またはインビトロシステムの転写、およびインビボシステムにおける細胞発現によって取得することができる。
別の態様においては、本発明は(a)標的遺伝子によりコードされるRNA標的の配列を分析する、(b)(a)のRNAの複数領域に対して相補的な配列を持つ複数セットのsiNA分子を合成する、および(c)前記標的RNA配列内のRNAi配列を判別するのに適した条件下で、(b)のsiNA分子を試験することから成る方法を特徴とする。1つの態様においては、(b)のsiNA分子は例えば約23ヌクレオチド長といった固定長の鎖を持つ。別の態様においては、(b)のsiNA分子は異なる長さであり、例えば約19から約25(例、約19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長の鎖を持つ。1つの態様においては、前記試験には本明細書に記載の再構築インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の態様においては、前記アッセイには標的RNAが発言される細胞培養システムを含むことができる。標的RNAの断片について、例えばゲル電気泳動、ノーザンブロット解析、またはRNAseタンパク質アッセイによって、検出可能なレベルの切断を分析し、標的RNA配列内の最適標的部位を判断する。前記標的RNA配列は当該技術分野において周知のように、例えばクローニングおよび/またはインビトロシステムの転写、およびインビボシステムにおける細胞発現によって取得することができる。
「標的部位」とは、標的配列に相補的なそのアンチセンス領域内に配列を含むsiNA構造により仲介される切断の「標的」とされる標的RNA内の配列を意味する。
「検出可能なレベルの切断」とは、標的RNAのランダムな分解によって生成されるRNAのバックグラウンドから切断産物を識別するのに十分な標的RNAの切断(および切断された生成RNAの形成)を意味する。標的RNAの1−5%の切断産物の生成は、検出の大部分の方法でバックグラウンドからの検出に十分である。
1つの態様においては、本発明は、医薬的に許容し得る担体または希釈剤に化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含む組成物を特徴とする。別の態様においては、本発明は、医薬的に許容し得る担体または希釈剤中の1つまたは複数の遺伝子を標的とする化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含む医薬組成物を特徴とする。別の態様においては、本発明は、対象における疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型に適した条件下で、本発明の組成物を対象に投与することを含む、対象における疾患、状態、形質、または表現型の診断方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、対象における疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型の治療または予防に適した条件下で本発明の組成物を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型の治療または予防方法を特徴とする。さらに別の態様においては、本発明は、対象における組織拒絶反応を削減または回避するのに適した条件下で本発明の組成物を対象に投与することを含む、対象における組織拒絶反応を削減または回避する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、対象における疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型の症状を軽減するのに適した条件下で、本発明の組成物を(単独または他の1つまたは複数の治療化合物と組み合わせて(併用または連続して)対象に投与することを含む、対象における疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型の症状を軽減する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は、化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成する、ここでsiNA鎖の1つが標的遺伝子のRNAに対して相補的な配列を含む、(b)細胞、組織、または器官における標的遺伝子発現の調節に適した条件下で、細胞、組織、または器官へsiNA分子を導入する、および(c)細胞、組織、または器官における任意の表現型変化を試験することによって遺伝子機能を判別することから成る遺伝子標的を確認する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は、(a)化学修飾できる本発明のsiNA分子を合成すること、ここで前記siNA鎖の1つが標的遺伝子のRNAに対する配列相補性を含む、(b)生体系における標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、siNA分子を生体系に導入すること、および(c)生体系における任意の表現型の変化を試験することによって遺伝子の機能を判別することから成る標的遺伝子を確認する方法を特徴とする。
「生体系」とはヒト、動物、植物、昆虫、細菌、ウィルス、またはその他を含む生物源から精製されたまたは精製フォームの材料を意味するがそれらに限定されない。ここで、前記システムはRNAi活性に必要な要素を含む。「生体系」という語は、例えば、細胞、組織、または器官、あるいはその抽出物を含む。また生体系という語は、インビトロ環境で使用できる再構成RNAiシステムを含む。
「表現型の変化」とは、本発明の核酸分子(例、siNA)との結合またはそれを用いた処理に応答して生じる細胞への任意の検出可能な変化を意味する。そのような検出可能な変化は、当該技術分野において知られている方法で試験できる形状、サイズ、増殖、運動性、タンパク質発現またはRNA発現、あるいは他の物理的または化学的変化を含むが、それらに限定されない。また、前記検出可能な変化は、緑色蛍光タンパク質(GFP)等のレポーター遺伝子/分子の発現、発現したタンパク質の識別に使用される様々なタグ、あるいは試験できる任意の他の細胞要素を含む。
1つの態様においては、本発明は、例えば細胞、組織、または器官等の生体系における標的遺伝子発現の調節に使用できる化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含むキットを特徴とする。別の態様においては、本発明は、例えば細胞、組織、または器官等の生体系における1つ以上の標的遺伝子発現の調節に使用できる化学修飾可能な本発明の1つ以上のsiNA分子を含むキットを特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、生体系における標的遺伝子発現の調節に使用できる化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含むキットを特徴とする。別の態様においては、本発明は、生体系における1つ以上の標的遺伝子発現の調節に使用できる化学修飾可能な本発明の複数のsiNA分子を含むキットを特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、化学修飾可能な本発明の1つまたは複数のsiNA分子を含む細胞を特徴とする。別の態様においては、本発明のsiNA分子を含む前記細胞は哺乳類細胞である。さらに別の態様においては、本発明のsiNA分子を含む前記細胞はヒト細胞である。
1つの態様においては、化学修飾可能な本発明のsiNA分子の合成は、(a)前記siNA分子の2つの相補鎖の合成、(b)二本鎖siNA分子の取得に適した条件下における2つの相補鎖のアニールから成る。別の態様においては、前記siNA分子の2つの相補鎖の合成は、固相オリゴヌクレオチド合成による。さらに別の態様においては、前記siNA分子の2つの相補鎖の合成は、固相タンデムオリゴヌクレオチド合成による。
1つの態様においては、本発明は、(a)siNA分子の第一オリゴヌクレオチド配列鎖を合成する、ここで前記第一配列は第二オリゴヌクレオチド配列の合成用骨格として使用できる切断可能なリンカー分子を含む、(b)前記第一オリゴヌクレオチド配列鎖の骨格上にあるsiNAの第二オリゴヌクレオチド配列を合成する、ここで前記第二オリゴヌクレオチド配列はさらにsiNA二重鎖を精製するのに使用できる化学部分を含む、(c)2つのsiNAオリゴヌクレオチド鎖をハイブリダイズして安定した二重鎖を形成するために適した条件下で、第二オリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して(a)のリンカー分子を切断する、および(d)第二オリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して、siNA二重鎖を精製することから成るsiNA二重鎖分子の合成方法を特徴とする。1つの態様においては、上記(c)における前記リンカー分子の切断は、メチラミン等のアルキラミン塩基を使用して、例えば、加水分解条件下で前記オリゴヌクレオチドの脱保護中に生じる。1つの態様においては、前記合成方法は、制御核ガラス(CPG)またはポリスチレン等の強固な支持体上の固相合成を含む。ここで、(a)の第一配列は、強固な支持体を骨格として使用して、スクシニルリンカー等の切断可能なリンカー上で合成される。第二鎖の合成用骨格として使用される(a)の前記切断可能なリンカーは、固支持体被覆リンカーとして同様の反応度を含むことができる。そのため、固支持体被覆リンカーおよび(a)の切断可能なリンカーの切断は同時に発生する。別の態様においては、結合したオリゴヌクレオチド配列の分離に使用できる(b)の化学部分は、例えばジメソキシトリチルグループ等の、本明細書に記載のトリチル−オン合成方法で使用できるトリチルグループを含む。さらに別の態様においては、ジメソキシトリチルグループ等の前記化学部分は、例えば酸性条件下を使用して精製中に除去される。
別の態様においては、siNA合成方法は、溶液相合成またはハイブリッド相合成である。ここで、siNA二重鎖の両鎖は、第二配列の合成用骨格として作用する第一配列に結合している切断可能なリンカーを使用して並行して合成される。個別のsiNA配列鎖のハイブリダイゼーションに適した条件下で前記リンカーを切断すると、二本鎖siNA分子が形成される。
別の態様においては、本発明は、(a)siNA分子の1つのオリゴヌクレオチド配列鎖を合成する、ここで前記配列は別のオリゴヌクレオチド配列の合成用骨格として使用できる切断可能なリンカー分子を含む、(b)(a)の骨格上にある第一配列鎖に対して相補性を持つ第二オリゴヌクレオチド配列を合成する、ここで前記第二配列はさらに結合オリゴヌクレオチド配列を分離するのに使用できる化学部分を含む、(c)切断可能なリンカーで結合される両方のsiNAオリゴヌクレオチド鎖を含む全長配列を分離するのに適した条件下、および2つのsiNAオリゴヌクレオチド鎖をハイブリダイズして安定した二重鎖を形成するために適した条件下で、第二オリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して(b)の生成物を精製することを含む、siNA二重鎖分子の合成方法を特徴とする。1つの態様においては、上記(c)における前記リンカー分子の切断は、例えば、加水分解条件下で前記オリゴヌクレオチドの脱保護中に生じる。別の態様においては、前記合成方法は、制御核ガラス(CPG)またはポリスチレン等の強固な支持体上の固相合成を含む。ここで、(a)の第一配列は、強固な支持体を骨格として使用して、スクシニルリンカー等の切断可能なリンカー上で合成される。第二鎖の合成用骨格として使用される(a)の前記切断可能なリンカーは、固支持体被覆リンカーとして同様の反応度または異なる反応度を含む。そのため、固支持体被覆リンカーおよび(a)の切断可能なリンカーの切断は、同時または連続的に発生する。1つの態様においては、結合したオリゴヌクレオチド配列の分離に使用できる(b)の化学部分は、例えばジメソキシトリチルグループ等のトリチルグループを含む。
別の態様においては、本発明は、(a)第一および第二配列を持つオリゴヌクレオチドを合成する、ここで第一配列は第二配列に対して相補的であり、第一オリゴヌクレオチド配列は切断可能なリンカーを介して第二配列と結合される、またここで末端5’保護グループ、例えば5’−O−ジメソキシトリチルグループ(5’−O−DMT)は第二配列を持つオリゴヌクレオチド上に残る、(b)前記オリゴヌクレオチドを脱保護することによって2つのオリゴヌクレオチド配列を結合するリンカーを切断する、および(c)例えば、本明細書に記載のトリチル−オン合成方法を使用して、二本鎖siNA分子を分離するのに適した条件下で(b)の生成物を精製することを含む、単一合成プロセスにおいて二本鎖siNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明のsiNA分子の合成方法は、スカリンジ(Scaringe)らの米国特許5,889,136;6,008,400;および6,111,086に記載の方法を含み、それら全体は参照することによりここに組み込まれる。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成システム内でRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで、前記siNA構造は、例えば、siNA構造のヌクレアーゼ抵抗を増加させる化学式I−VIIのいずれか、あるいはその任意の組み合わせを持つ1つまたは複数の化学修飾等の、1つまたは複数の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれか、あるいはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子へ導入すること、および(b)高いヌクレアーゼ抵抗を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下でステップ(a)のsiNA分子を組み立てることを含む、ヌクレアーゼ抵抗の高いsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は標的遺伝子に対するRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで、前記siNA構造は、前記siNA構造のセンス鎖およびアンチセンス鎖間の結合親和力を修正する本明細書に記載の1つまたは複数の化学修飾を含む。
1つの態様においては、siNA構造のセンス鎖とアンチセンス鎖の間の結合親和力を修正して、RNA干渉を仲介するsiNAの能力に関連するsiNAの作用を増加させる。別の態様においては、siNA構造のセンス鎖とアンチセンス鎖の間の結合親和力は減少する。前記siNA構造のセンス鎖およびアンチセンス鎖間の前記結合親和力は、1つまたは複数の化学修正ヌクレオチドを、siNAの二重鎖安定性を崩壊する(例、二本鎖のTmを低下させる)siNA配列に導入することによって減少させることができる。前記siNA構造のセンス鎖およびアンチセンス鎖間の前記結合親和力は、1つまたは複数のヌクレオチドを、ワトソン−クリック塩基対を形成しないsiNA配列に導入することによって減少させることができる。前記siNA構造のセンス鎖およびアンチセンス鎖間の前記結合親和力は、1つまたは複数のゆらぎ塩基対をsiNA配列に導入することによって減少させることができる。前記siNA構造のセンス鎖およびアンチセンス鎖間の前記結合親和力は、例えばsiNA配列のG−C内容を変える(例、siNA配列にあるG−C塩基対の数を減らす)等、siNAの核塩基組成を修正することによって減少させることができる。配列におけるそれらの修正および変更をsiNA配列の事前設定された位置に選択的に挿入して、siNA仲介RNAi活性を増加させることができる。例えば、そのような修正および配列変更を導入して、アンチセンス鎖の5’端とセンス鎖の3’端、アンチセンス鎖の3’端とセンス鎖の5’端の間、または代替としてsiNA二重鎖の中間のsiNA二重鎖安定性を崩壊することができる。別の態様においては、siNA活性の増加において観察された規則性または傾向に基づく合理的デザイン、またはsiNA構造の一部あるいは全体配列空間をカバーする組み合わせ選択プロセスをランダムに介して、そのような修正および配列変更を導入することでsiNA分子の最適なRNAi活性をスクリーニングする。
別の態様においては、本発明は(a)化学式1−VIIのいずれか、あるいはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)前記siNA分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖の間の結合親和力が高いsiNA分子を分離するのに適した条件下でステップ(a)のsiNA分子を組み立てることを含む、siNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖の結合親和力が高いsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学式1−VIIのいずれか、あるいはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)前記siNA分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖の間の結合親和力が低いsiNA分子を分離するのに適した条件下でステップ(a)のsiNA分子を組み立てることを含む、siNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖の結合親和力が低いsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成システム内でRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで前記siNA構造は、前記siNAのアンチセンス鎖と細胞内の相補標的RNA配列の間の結合親和力を修正する本明細書に記載の1つまたは複数の化学修飾を含む。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成システムにおいてRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで、前記siNA構造はそのアンチセンス鎖と細胞内の相補標的DNA配列の間の結合親和性を調節する本明細書に記載の複数の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入する、および(b)前記siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的RNA配列との間に高い結合親和性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)の前記siNA分子を試験することを含む、前記siNAのアンチセンス鎖と相補標的RNA配列との間に高い結合親和性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入する、および(b)前記siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的DNA配列との間に高い結合親和性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)の前記siNA分子を試験することを含む、前記siNAのアンチセンス鎖と相補標的DNA配列との間に高い結合親和性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入する、および(b)前記siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的RNA配列との間に低い結合親和性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)の前記siNA分子を試験することを含む、前記siNAのアンチセンス鎖と相補標的RNA配列との間に低い結合親和性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入する、および(b)前記siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的DNA配列との間に低い結合親和性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)の前記siNA分子を試験することを含む、前記siNAのアンチセンス鎖と相補標的DNA配列との間に低い結合親和性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成システム内でRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで、前記siNA構造は化学修飾したsiNA構造に対して配列相同性を持つ追加の内因性siNA分子を生成できる細胞ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を調節する本明細書に記載の複数の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入する、および(b)化学修飾したsiNA構造に対して配列相同性を持つ追加の内因性siNA分子を生成できるポリメラーゼ活性の高い細胞ポリメラーゼを仲介できるsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、化学修飾したsiNA構造に対して配列相同性を持つ追加の内因性siNA分子を生成できるポリメラーゼ活性の高い細胞ポリメラーゼを仲介できるsiNA分子を生成する方法を特徴とする。1つの態様においては、本発明は細胞または再構成システム内でRNAiを仲介する化学修飾したsiNA構造を特徴とする。ここで、前記化学修飾は、siNAと標的RNA分子、DNA分子および/またはタンパク質あるいはそのようなsiNA構造によって仲介されるRNAiの有効性を低下させる方法においてRNAiに必須の他の要素との相互作用に大きく影響しない。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNAに導入すること、および(b)高いRNAi活性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高いRNAi活性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
さらに別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNAに導入すること、および(b)標的RNAに対して高いRNAi活性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、標的RNAに対して高いRNAi活性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
さらに別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNAに導入する、および(b)遺伝子、クロモソームまたはその一部等のDNA標的に対して高いRNAi活性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、DNA標的に対して高いRNAi活性を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構成システム内でRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで前記siNAは前記siNA構造の細胞摂取を調節する本明細書に記載の1つまたは複数の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせsiNA分子に導入すること、および(b)高い細胞摂取を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い細胞摂取を持つ標的遺伝子に対するsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は標的遺伝子に対してRNAiを仲介するsiNA構造を特徴とする。ここで、前記siNA構造は、例えばポリエチレングリコールまたは前記siNA構造の薬物動態を改善する同等のコンジュゲートを結合することによって、または特定のインビボ組織型または細胞タイプを標的とするコンジュゲートを結合することによって、その生物学的利用能を高める本明細書に記載の1つまたは複数の化学修飾を含む。そのようなコンジュゲートの限定を目的としない例は、ヴァーギース(Vargeese)らの米国特許出願10/201,394に記載されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。
1つの態様においては、本発明は(a)コンジュゲートをsiNA分子構造に導入すること、および(b)高い生物利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い生物利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。そのようなコンジュゲートは、自然発生タンパク質試薬から派生するペプチド等の細胞レセプター用試薬、細胞ZIPコード配列を含むタンパク質局在化配列、抗体、核酸アプタマー、葉酸およびN−アセチルガラクトサミン等のビタミンおよび他の補因子、ポリエチレングリコール(PEG)等のポリマー、リン脂質、コレステロール、スペルミンまたはスペルミジン等のポリアミン、等を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列は、ガイド配列としてRNA干渉を効果的に仲介しない方法で化学修飾される、および/またはRNAiを促進する細胞タンパク質によって認識される。
1つの態様においては、本発明は標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列はガイド配列として、または標的核酸(例、RNA)配列に対して相補的な配列としてRNAi経路に入るのを回避する方法で、デザインまたは修飾される。そのようなデザインまたは修飾は、siNAの活性を強化し、および/または本発明のsiNA分子の特異性を向上させることが期待される。それらの修飾は任意のオフターゲット効果および/または付随する毒性を最小限にすることも期待される。
1つの態様においては、本発明は標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列はRNA干渉を仲介するためのガイド配列として作用することができない。
1つの態様においては、本発明は標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列は5’−ヒドロキシル(5’−OH)または5’−リン酸基を持たない。
1つの態様においては、本発明は標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列は前記第二配列の5’端に末端キャップ部を含む。別の態様においては、前記末端キャップ部は、逆位の脱塩基、逆位のデオキシ脱塩基、逆位のヌクレオチド部分、図22に示すグループ、アルキルまたはシクロアルキルグループ、ヘテロサイクル、または前記第二配列がガイド配列またはRNAiのテンプレートとして作用するRNAi活性を回避する他のグループを含む。
1つの態様においては、本発明は標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列は前記第二配列の5’端および3’端に末端キャップ部分を含む。別の態様においては、前記末端キャップ部分は、逆位の脱塩基、逆位のデオキシ脱塩基、逆位のヌクレオチド部分、図22に示すグループ、アルキルまたはシクロアルキルグループ、ヘテロサイクル、または前記第二配列がガイド配列またはRNAiのテンプレートとして作用するRNAi作用を回避する他のグループを含む。
1つの態様においては、本発明は(a)1つまたは複数の化学修飾をsiNA分子構造に導入する、および(b)高い特異性を持つsiNA分子の分離に適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、標的核酸(例、遺伝子またはそれに対応するRNA等のDNAまたはRNA)の発現を下方制御または抑制するための高い特異性を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。別の態様においては、特異性の向上に使用される前記化学修飾は、siNA分子の5’端、3’端、またはその両方に末端キャップ修飾を含む。前記末端キャップ修飾は、例えば図22に示す構造(例、逆位のデオキシ脱塩基部分)または前記siNA分子(例、センス鎖)の一部をオフターゲット核酸配列に対するRNA干渉を仲介不能にする任意の他の化学修飾を含むことができる。限定を目的としない例において、siNA分子はそのアンチセンス配列のみが対応する標的RNA配列の分解が仲介されるRISCのガイド配列として機能できるようにデザインされる。これは、RNAi機構によるガイド配列としてのセンス鎖認識を回避する化学修飾を前記センス鎖に導入し、siNAのセンス配列を不活性化することで実現できる。1つの態様においては、そのような化学修飾は、前記siNAのセンス鎖の5’端に任意の化学グループを含むか、またはセンス鎖のRNA干渉を仲介するガイド配列としての機能を不活性化する任意の他のグループを含む。それら修飾は、例えばセンス鎖の5’端がフリーの5’−ヒドロキシル(5’−OH)またはフリーの5’−リン酸基(例、リン酸、二リン酸塩、三リン酸塩、環状リン酸等)を持たない分子にする。そのようなsiNA構造の限定を目的としない例は、本明細書において「Stab9/10」、「Stab7/8」、「Stab17/22」、「Stab23/24」、および「Stab23/25」化学反応(表IV)およびそのバリアントとして記載されている。ここで、前記siNAのセンス鎖の5’端および3’端はヒドロキシルグループまたはリン酸基を含まない。
1つの態様においては、本発明は、siNA分子の鎖またはその一部がRNAi活性のテンプレートまたはガイド配列として作用するのを防ぐ1つまたは複数の化学修飾をsiNA分子構造に導入することを含む、標的核酸(例、遺伝子またはそれに対応するRNA等のDNAまたはRNA)の発現を下方制御または抑制するための高い特異性を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。1つの態様においては、前記siNA分子の不活性な鎖またはセンス領域は、例えば、標的核酸配列に対して相補性を持たない前記siNAの鎖または領域といった前記siNA分子のセンス鎖またはセンス領域である。1つの態様においては、そのような化学修飾は、5’−ヒドロキシル(5’−OH)または5’−リン酸基を含まない前記siNAのセンス鎖の5’端または領域に任意の化学グループを含むか、またはセンス鎖またはセンス領域のRNA干渉を仲介するガイド配列としての機能を不活性化する任意の他のグループを含む。そのようなsiNA構造の限定を目的としない例は、本明細書において「Stab9/10」、「Stab7/8」、「Stab7/19」、「Stab23/24」、および「Stab23/25」化学反応(表IV)およびそのバリアントとして記載されている。ここで、前記siNAのセンス鎖の5’端および3’端はヒドロキシルグループまたはリン酸基を含まない。
1つの態様においては、本発明は(a)複数の未修飾siNA分子を生成する、(b)前記標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介することにおいて活性なsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験する、(c)化学修飾(例、本明細書に記載の化学修飾または当該技術分野において周知の化学修飾)を(b)の活性siNA分子に導入する、および(d)前記標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介することにおいて活性な化学修飾したsiNA分子の分離に適した条件下で、(c)の前記化学修飾したsiNA分子を任意で再度スクリーニングすることを含む、標的核酸配列に対するsiNA分子をスクリーニングする方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は(a)複数の化学修飾したsiNA分子(例、本明細書に記載のsiNA分子または当該技術分野において周知のsiNA分子)を生成する、および(b)前記標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介することにおいて活性な化学修飾siNA分子の分離に適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、標的核酸配列に対するsiNA分子をスクリーニングする方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明は(a)賦形剤形をsiNA分子に導入する、および(b)高い生物学的利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い生物学的利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。そのような賦形剤は、シクロデキストリン、脂質、カチオン脂質、ポリアミン、リン脂質、ナノ粒子、レセプター、リガンド等のポリマーを含む。
別の態様においては、本発明は、(a)賦形剤形をsiNA分子に導入する、および(b)高い生物学的利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い生物学的利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。そのような賦形剤は、シクロデキストリン、脂質、カチオン脂質、ポリアミン、リン脂質等のポリマーを含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学式I−VIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入する、および(b)高い生物学的利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い生物学的利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、ポリエチレングリコール(PEG)は、本発明のsiNA化合物と共有結合させることができる。結合されたPEGは好ましくは約2,000から約50,000ダルトン(Da)の任意の分子量を持つ。
本発明を単独または試薬の少なくとも1つを持つキットの構成要素として使用し、RNAのインビトロまたはインビボ導入を実施して、サンプルおよび/または対象を試験することができる。例えば、前記キットの好ましい構成要素は、本発明のsiNA分子および本明細書に記載のように細胞へのsiNAの導入を促進する担体を含む(例、脂質および当該技術分野において周知の他のトランスフェクション方法を使用する。例としてベージェルマン(Beigelman)らの米国特許6,395,713)を参照)。例えば、遺伝子機能および/または作用の判定、または薬物最適化、および薬物発見において前記キットを標的の確認に使用することができる(例としてウスマン(Usman)らの米国特許出願60/402,996を参照)。そのようなキットには、ユーザーが本発明を実施できるよう指示も含まれている。
本明細書において使用する「低分子干渉核酸」、「siNA」、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「低分子干渉核酸分子」、「低分子干渉オリゴヌクレオチド分子」または「化学修飾低分子干渉核酸分子」という語は、例えばRNA干渉「RNAi」または遺伝子サイレンシングを配列特異的な方法で仲介することで、遺伝子の発現またはウィルスの増殖を抑制または下方制御できる任意の核酸分子を意味する。例として、ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;バス(Bass),2001年,ネイチャー誌(Nature),411,428−429;エルバシール(Elbashir)ら,2001年,ネイチャー誌(Nature),411,494−498;およびクラウツァー(Kreutzer)ら,国際PCT公開WO00/44895;ツェルニッカ−ゲッツ(Zernicka−Goetz)ら,国際PCT公開WO01/36646;ファイヤー(Fire),国際PCT公開WO99/32619;プラティンク(Plaetinck)ら,国際PCT公開WO00/01846:メロおよびファイヤー(Mello and Fire),国際PCT公開WO01/29058;デュシャン−デュパイエット(Deschamps−Depaillette),国際PCT公開WO99/07409;およびリー(Li)ら,国際PCT公開WO00/44914;オールシャー(Allshire),2002年,サイエンス誌(Science),297,1818−1819;ヴォルペ(Volpe)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,1833−1837;ジニュウェイン(Jenuwein),2002年,サイエンス誌(Science),297,2215−2218;およびホール(Hall)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,2232−2237;ハトヴァグナー(Hutvagner)とザモーレ(Zamore),2002年,サイエンス誌(Science),297,2056−60;マクマヌス(McManus)ら,2002年,RNA,8,842−850;レインハルト(Reinhart)ら,2002年,遺伝子と発生誌(Gene & Dev.),16,1616−1626;およびラインハルト(Reinhart)とバーテル(Bartel),2002年,サイエンス誌(Science),297,1831を参照)。本発明のsiNA分子の限定を目的としない例を本明細書の図18−20および表Iに示す。例えば、前記siNAは自己相補センス領域およびアンチセンス領域を含む二本鎖のポリヌクレオチド分子であってよい。ここで、前記アンチセンス領域は標的核酸分子ヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は前記標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を持つ。前記siNAは2つの個別のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。ここで、一方の鎖はセンス鎖であり、もう一方はアンチセンス鎖である。ここで前記アンチセンスおよびセンス鎖は自己相補である(例、各鎖は他の鎖にあるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むため、前記アンチセンス鎖およびセンス鎖は二重鎖または二本鎖構造を形成する。例えばここで、前記二本鎖領域は約19塩基対である)。前記アンチセンス鎖は標的核酸分子にあるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖は前記標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を含む。代替として、前記siNAは単一のオリゴヌクレオチドから組み立てられる。ここで前記siNAの自己相補センス領域およびアンチセンス領域は、核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカーによって結合される。前記siNAは自己相補センス領域およびアンチセンス領域を持つ二重鎖、非対称二重鎖、ヘアピンまたは非対称ヘアピン二次構造のポリヌクレオチドであってよい。ここで、前記アンチセンス領域は、個別の標的核酸分子にあるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は、前記標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列またはその一部を持つ。前記siNAは2つ以上のループ構造および自己相補センス領域およびアンチセンス領域を含むステムを持つ環状一本鎖ポリヌクレオチドであってよい。ここで、前記アンチセンス領域は標的核酸分子にあるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、前記センス領域は前記標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列またはその一部を持つ。またここで、前記環状ポリヌクレオチドはインビボまたはインビトロのいずれかで処理してRNAiを仲介できる活性siNA分子を生成することができる。また前記siNAは、標的核酸分子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含むこともできる(例えば、ここでそのようなsiNA分子は標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列またはその一部のsiNA分子内に存在する必要がない)。ここで、前記一本鎖ポリヌクレオチドはさらに、5’−リン酸等の末端リン酸基を含むことができる(例として、マルティネス(Martinez)ら,2002年,セル誌(Cell),110,563−574およびシュワルツ(Schwarz)ら,2002年,分子細胞(Molecular Cell),10,537−568を参照)、または5’,3’−二リン酸塩であってよい。ある態様においては、本発明のsiNA分子は、個別のセンスおよびアンチセンス配列または領域を含む。ここで、前記センス領域およびアンチセンス領域は当該技術分野において周知のヌクレオチドリンカー分子または非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合的に結合されるか、あるいは代替として、イオン相互作用、水素結合、フォン−デル−ワールス相互作用、疎水性相互作用および/またはスタッキング相互作用によって非共有結合的に結合される。ある態様においては、本発明のsiNA分子は標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、本発明のsiNA分子は前記標的遺伝子の発現を抑制する方法で、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。本明細書において使用するように、siNA分子はRNAのみを含むそれらの分子に限定する必要はないが、化学修飾ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドを包含する。ある態様においては、本発明の低分子干渉核酸分子はヌクレオチドを含む2’−ヒドロキシ(2’−OH)が欠如している。出願人は、ある態様において、RNAiを仲介するために2’−ヒドロキシグループを持つヌクレオチドの存在を必要としない低分子干渉核酸について、また任意でリボヌクレオチド(例、2’−OHグループを持つヌクレオチド)を含まない本発明の低分子干渉核酸分子について記載している。しかし、RNAiをサポートするためにsiNA分子内にリボヌクレオチドの存在を必要としないそのようなsiNA分子は、1つまたは複数の結合リンカー、あるいは2’−OHグループを持つ1つまたは複数のヌクレオチドを含む他の結合されたまたは関連するグループ、部分、または鎖を持つ。任意で、siNA分子はヌクレオチド位に約5、10、20、30、40、または50%のリボヌクレオチドを含むことができる。本発明の修飾された低分子干渉核酸分子は、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド「siMON」とも呼ばれる。本明細書において使用するように、siNAという語は、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)等、の配列特異的なRNAiを仲介できる核酸分子を説明するのに使用される他の語に等しいことを意味する。さらに、本明細書で使用されるRNAiという語は、例えば、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳抑制、または後成等、の配列特異的なRNAiを仲介できる核酸分子を説明するのに使用される他の語に等しいことを意味する。例えば、本発明のsiNA分子を後成的に抑制された遺伝子に転写後レベルまたは転写前レベルで使用することができる。限定を目的としない例において、本発明のsiNA分子による遺伝子発現の後成的規制は、遺伝子発現を変質するクロマティン構造のsiNA仲介修飾の結果生じる(例として、ヴァーデル(Verdel)ら,2004年,サイエンス誌(Science),303,672−676;パル−バードラ(Pal−Bhadra)ら,2004年,サイエンス誌(Science),303,669−672;オールシャー(Allshire),2002年,サイエンス誌(Science),297,1818−1819;ヴォルペ(Volpe)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,1833−1837;ジニュウェイン(Jenuwein),2002年,サイエンス誌(Science),297,2215−2218;およびホール(Hall)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,2232−2237を参照)。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は二重鎖形成オリゴヌクレオチド「DFO」である(例として、図93−94および2003年12月3日出願のヴァイシュ(Vaish)らの米国特許出願10/727,780を参照)。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は多機能または多数標的siNAである(例として、図95−101および2004年2月10日出願のJadhatiらの米国特許出願60/543,480を参照)。本発明の多機能siNAは、例えば、2つの個別の標的RNAに2つの標的RNA領域またはヌクレオチド配列等を標的とするヌクレオチド配列を含むことができる(例として表1の標的配列を参照)。
本明細書において使用する「非対称ヘアピン」は、アンチセンス領域、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むことができるループ部分、およびアンチセンス領域より少なく、前記センス領域が前記アンチセンス領域を持つ塩基対に対して相補的なヌクレオチドを十分に持ち、ループを持つ二重鎖を形成するに足るヌクレオチドを含むセンス領域を含む線状siNA分子を意味する。例えば、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は細胞またはインビトロシステム内でRNAiを仲介するのに十分な長さ(例、約19から約22ヌクレオチド)を持つアンチセンス領域、および約4から約8ヌクレオチドを持つループ領域、および前記アンチセンス領域に相補的な約3から約18のヌクレオチドを持つセンス領域を含むことができる(例として図74を参照)。前記非対称ヘアピンsiNA分子は、化学修飾可能な5’端リン酸基を含むこともできる(例として図75を参照)。前記非対称ヘアピンsiNA分子のループ部分は、本明細書に記載のヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子、または共有結合分子を含むことができる。
本明細書において使用する「非対称二重鎖」は、センス領域およびアンチセンス領域を含む2つの個別の鎖を持つsiNA分子を意味する。ここで前記センス領域はアンチセンス領域より少なく、前記センス領域が前記アンチセンス領域を持つ塩基対に対して相補的なヌクレオチドを十分に持ち、ループを持つ二重鎖を形成するに足るヌクレオチドを含む。例えば、本発明の非対称二重鎖siNA分子は細胞またはインビトロシステム内でRNAiを仲介するのに十分な長さ(例、約19から約22ヌクレオチド)を持つアンチセンス領域、および前記アンチセンス領域に相補的な約3から約18のヌクレオチドを持つセンス領域を含むことができる(例として図74を参照)。
「調節」とは、遺伝子の発現またはRNA分子のレベル、あるいは1つまたは複数のタンパク質またはタンパク質サブユニットをコードする同等のRNA分子、または1つまたは複数のタンパク質またはタンパク質サブユニットの活性が上方制御または下方制御されることを意味する。そのため、発現、レベル、または活性はモジュレーターが不在の場合に観察される場合より高いかまたは低くなる。例えば、「調節」は「抑制」を意味する場合もあるが、「調節」という語の使用はこの定義に限定されない。
「抑制」、「下方制御」、または「削減」とは、遺伝子の発現、またはRNA分子のレベル、あるいは1つまたは複数のタンパク質またはタンパク質サブユニットをコードする同等のRNA分子、または1つまたは複数のタンパク質またはタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸分子(例、siNA)が不在の場合に観測されるレベルより低くなる。1つの態様においては、siNA分子を用いた抑制、下方制御、または削減は、例えば、スクランブル配列またはミスマッチを持つsiNA分子等の不活性または弱力化した分子が存在する場合に観察されるレベルより低い。別の態様においては、本発明の核酸分子を用いた抑制、下方制御、または削減は、前記核酸分子が不在の場合より存在する場合のほうが大きい。
「回文配列」または「反復」核酸配列は、その5’から3’配列が二重鎖におけるその相補配列と同一である核酸配列を意味する。例えば、二重鎖における本発明の回文配列は、二重鎖の一方の鎖が5’から3’方向(左から右)に読み取られ、これと塩基対形成するもう一方の鎖の配列が3’から5’方向(右から左)に読み取られる場合に、同一の配列を持つ配列を含むことができる。別の態様においては、本発明の反復配列は、前記配列が自己ハイブリダイゼーションする場合に自己相補性を提供するよう配置された反復ヌクレオチドを持つ配列を含むことができる(例、5’−AUAU...−3’;5’−AAUU...−3’;5’−UAUA...−3’;5’−UUAA...−3’;5’−CGCG...−3’;5’−CCGG...−3’;5’−GGCC...−3’;5’−CCGG...−3’;またはその任意の拡大反復等)。前記回文または反復配列は、約2から約24までの偶数のヌクレオチドを含むことができる(例、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、または24ヌクレオチド)。回文配列または反復配列に必要なことは、二重鎖に単独でまたは長鎖核酸配列の一部として存在する場合に5’から3’配列が同一である核酸配列を含むことである。本発明の回文または反復配列は、例えばワトソン−クリックまたは非ワトソン−クリック塩基対を形成できる本明細書に記載の化学修飾を含むことができる。
「遺伝子」または「標的遺伝子」は、例えば、ポリペプチドをコードする構造遺伝子を含むがそれに限定されない核酸配列等、RNAをコードする核酸を意味する。遺伝子または標的遺伝子は、機能的RNA(fRNA)または低分子一時RNA(stRNA)、マイクロRNA(miRNA)、小核RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、小核小体RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、およびその前駆RNA等の非コードRNA(ncRNA)をコードすることもできる。そのような非コードRNAは、機能的または規制的細胞過程に関与するfRNAまたはncRNAの活性の調節におけるsiNA仲介RNA干渉の場合に標的核酸分子として機能することができる。そのため、疾患につながる異常なfRNAまたはncRNA活性を本発明のsiNA分子で調節することができる。fRNAおよびncRNAを標的とするsiNA分子を使用して、遺伝子刷り込み、転写、翻訳、または核酸処理(例、アミノ基転移、メチル化等)といった細胞過程に介在することで、生物体または細胞の遺伝子型または表現型を操作あるいは変質させることもできる。前記標的遺伝子は、細胞、内在性遺伝子、トランス遺伝子、または例えば、感染後細胞内に存在するウィルス等の病原体の遺伝子といった外来遺伝子から採取した遺伝子であってよい。標的遺伝子を含む細胞は、例えば、植物、動物、任意の生物体、原生動物、ウィルス、細菌、または菌類等の任意の生物体から採取できるか、または含まれる。植物の限定を目的としない例は、単子葉植物、双子葉植物、または裸子植物を含む。動物の限定を目的としない例は、脊椎動物または無脊椎動物を含む。菌類の限定を目的としない例は、カビまたはイースト菌を含む。
「非正準塩基対」は、反転ミスマッチ、単一水素結合ミスマッチ、トランス型ミスマッチ、三重塩基相互作用、および四重塩基相互作用を含むミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対といった任意の非ワトソン−クリック塩基対を意味する。そのような非正準塩基対の限定を目的としない例は、AC逆転フーグスティーン、ACゆらぎ、AU逆転フーグスティーン、GUゆらぎ、AAN7アミノ、CC2−カルボニル−アミノ(H1)−N3−アミノ(H2)、GA剪断、UC4−カルボニル−アミノ、UUイミノ−カルボニル、AC逆転ワトソン−クリック、GCN3−アミノ−アミノN3、AAN1−アミノ対称、AAN7−アミノ対称、GAN7−N1アミノ−カルボニル、GA+カルボニル−アミノN7−N1、GGN1−カルボニル対称、GGN3−アミノ対称、CCカルボニル−アミノ対称、CCN3−アミノ対称、UU2−カルボニル−イミノ対称、UU4−カルボニル−イミノ対称、AAアミノ−N3、AAN1−アミノ、ACアミノ2−カルボニル、ACN3−アミノ、ACN7−アミノ、AUアミノ−4−カルボニル、AUN1−イミノ、AUN3−イミノ、AUN7−イミノ、CCカルボニル−アミノ、GAアミノ−N1、GAアミノ−N1、GAアミノ−N7、GAカルボニル−アミノ、GAN3−アミノ、GCアミノ−N3、GCカルボニル−アミノ、GCN3−アミノ、GCN7−アミノ、GGアミノ−N7、GGカルボニル−イミノ、GGN7−アミノ、GUアミノ−2−カルボニル、GUカルボニル−イミノ、GUイミノ−2−カルボニル、GUN7−イミノ、psiUイミノ−2−カルボニル、UC4−カルボニル−アミノ、UCイミノ−カルボニル、UUイミノ−4−カルボニル、ACC2−H−N3、GAカルボニル−C2−H、UUイミノ−4−カルボニル2カルボニル−C5−H、ACアミノ(A)N3(C)−カルボニル、GCイミノアミノ−カルボニル、Gpsiイミノ−2−カルボニルアミノ−2−カルボニル、およびGUイミノアミノ−2−カルボニル塩基対を含む。
「相同配列」とは、例えば遺伝子、遺伝子転写および/または非コードポリヌクレオチド等の1つまたは複数のポリヌクレオチド配列で共有される核酸配列を意味する。例えば、相同配列は遺伝子ファミリーの異なるメンバー(例、VEFGr1、VEGFr2、および/またはVEGFr3等のVEGF受容体)、異なるタンパク質エピトープ(例、異なるウィルス鎖)、異なるタンパク質アイソフォーム(例、VDGF A、B、C、および/またはD)あるいはサイトカインおよびその対応する受容体(例、VEGFおよびVEGF受容体)といった完全に異なる遺伝子等、関連するが異なるタンパク質をコードする2つ以上の遺伝子で共有されるヌクレオチド配列であってよい。相同配列は非コードDNAまたはRNA、規制配列、イントロン、および転写制御または規制部位といった2つ以上の非コードポリヌクレオチドで共有されるヌクレオチド配列であってよい。また相同配列は、1つ以上のポリヌクレオチド配列で共有される保存配列領域を含むこともできる。前記相同配列は、部分的に相同な配列も本発明によって検討されるため(例、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%等)、完全に相同(例、100%)である必要はない。
「保存配列領域」は、世代間またはある生体システムまたは生物体から別の生体システムまたは生物体で大幅に変化しないポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド配列の1つまたは複数領域を意味する。前記ポリヌクレオチドはコードおよび非コードDNAおよびRNAを含むことができる。
「癌」は、異常細胞の制御不能な成長および拡散で特徴付けられる疾患のグループを意味する。
「センス領域」とは、siNA分子のアンチセンス領域に対して相補性を持つsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、siNA分子の前記センス領域は標的核酸配列とともに相同性を持つ核酸配列を含むことができる。
「アンチセンス領域」は、標的核酸配列に対して相補性を持つsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、siNA分子のアンチセンス領域は、任意で前記siNA分子のセンス領域に対して相補性を持つ核酸配列を含むことができる。
「標的核酸」とは、発現または活性が調節される任意の核酸配列を意味する。前記標的核酸は、例えば内在性DNAまたはRNA、ウィルスDNAまたはウィルスRNA、または遺伝子、ウィルス、細菌、菌類、哺乳類、または植物によりコードされる他のRNADNA「標的DNA」またはRNA「標的RNA」であってよい。
「相補性」とは、従来のワトソン−クリックまたは他の非従来的なタイプによって、核酸が別の核酸配列との水素結合を形成できることを意味する。本発明の核分子を参照して、相補配列を持つ核酸分子の結合自由エネルギーは、例えば核酸の関連機能にRNAi活性を促進させるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの判定は、当該技術分野においてよく知られている(例、ターナー(Turner)ら,1987年、量子生物学シンポジウム(CSH Symp.Quant.Biol.LII)pp.123−133;フライヤー(Frier)ら,1986年,米国科学アカデミー会報(Proc.Nat.Acad.Sci.USA)83:9373−9377;ターナー(Turner)ら,1987,J.Am.Chem.Soc.109:3783−3785を参照)。相補率は、第二の核酸配列とともに水素結合(例、ワトソン−クリック塩基対)を形成できる核酸分子における隣接残基の割合を示す(例、10ヌクレオチドを持つ第二の核酸配列と塩基対形成する第一オリゴヌクレオチドにある全10ヌクレオチド中5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドは、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%および100%相補であることを示す)。「完全に相補」とは、核酸配列のすべての隣接残基が第二の核酸配列における同数の隣接残基と水素結合することを意味する。
キシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖と、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖を含む(例として表I参照)。図26に示されるように、化学的に安定化された両方のsiNAコンストラクトは、相当する逆位のコントロールと比較して、用量依存的にHBV抗原の顕著な阻害を示す。強力な活性がある安定化されたsiNAコンストラクトを認めた、HepG2細胞のHBV RNAを標的とするStab7/8コンストラクトの別の直接選別は、図87に示されている。
本発明のsiNA分子は、癌または癌性疾患、感染症、循環器疾患、神経系の疾患、眼疾患、プリオン病、炎症性疾患、自己免疫疾患、肺疾患、腎疾患、肝疾患、ミトコンドリア病、内分泌疾患、生殖関連疾患、および当該技術分野において知られる状態、および細胞または生物体における遺伝子発現のレベルに対応する任意の他の兆候を含む広範な疾患および状態に対する新規の治療アプローチを示す(例えば、マクスウィッゲン(McSwiggen)国際PCT出願公開WO03/74654を参照)。
本明細書において使用する「増殖性疾患」または「癌」は、当該技術分野において知られる制御不能な細胞成長または増殖で特徴付けられる任意の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を意味し、カポジ肉腫等のAIDS関連癌;乳癌;骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、巨細胞腫、アダマンチノーム、および脊索腫等の骨癌;髄膜腫、グリア芽腫、低悪性度星細胞腫、オリゴデンドロ細胞腫、下垂体部腫瘍、神経鞘腫、および転移性脳癌等の脳癌;様々なリンパ腫を含む頭頸部癌;マントル細胞リンパ腫、非ホジキンズリンパ腫、腺腫、扁平上皮癌、喉頭癌、胆嚢および胆管癌、網膜芽腫等の網膜癌、食道癌、胃癌、多発性骨髄腫、卵巣癌、子宮癌、甲状腺癌、睾丸癌、子宮内膜癌、黒色腫、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌(非小細胞肺腫瘍を含む)、膵臓癌、肉腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌、頭頸部癌、皮膚癌、鼻咽頭癌、脂肪肉腫、上皮性癌、腎細胞癌、腺筋腫、耳下腺癌、子宮内膜肉腫、多剤耐性癌、および腫瘍血管形成に関連する新血管形成等の増殖性疾患および状態、黄斑変性(例、湿/乾AMD)、角膜新血管形成、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、近視性変性、および再狭窄および多発性嚢胞腎といった他の増殖性疾患および状態、および単独または他の治療との組み合わせで細胞または組織内の疾患関連遺伝子発現の調節に対応する任意の他の癌または増殖疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を含む。
本明細書において使用する「炎症疾患」または「炎症状態」は、炎症、急性炎症、慢性炎症、アテローム性動脈硬化、網膜症、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血性ショック、関節リウマチ、炎症性内臓疾患、炎症性骨盤疾患、疼痛、眼炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ不全、家族性好酸球増加症(FE)、常染色体劣性痙性失調症、咽頭炎症性疾患;結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症および他の塵肺症、および単独または他の治療との組み合わせで細胞または組織内の疾患関連遺伝子発現の調節に対応する任意の他の炎症性疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型等、の当該技術分野において知られる炎症またはアレルギー反応で特徴付けられる疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型を意味する。
本明細書において使用する「自己免疫疾患」または「自己免疫状態」は、多発性硬化症、糖尿病、狼瘡、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ヴェグナー肉芽腫症、自己免疫てんかん、ラスムッセン脳炎、強膜胆管炎、自己免疫肝炎、アジソン病、ハシモト甲状腺炎、線維筋痛、メニエール症候群;移植拒絶反応(例、同種移植の拒絶反応の回避)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グレイブ病、および単独または他の治療との組み合わせで細胞または組織内の疾患関連遺伝子発現の調節に対応する任意の他の自己免疫疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型等、の当該技術分野において知られる自己免疫で特徴付けられる任意の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を意味する。
「神経疾患」または「神経系疾患」は、ADHD、AIDS神経系合併症、透明中隔の不在、後天性てんか様失語症、急性散在性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、脳梁欠損、失認症、アイカルディ症候群、アレクサンダー病、アルパース病、交代性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化、無脳症、動脈瘤、エンジェルマン症候群、血管腫症、酸素欠乏症、失語症、失行、くも膜嚢胞、くも膜炎、アーノルド−キアリ奇形、動静脈奇形、アスパルテーム、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性運動失調、運動失調、注意欠陥多動性障害、自閉症、自律神経機能障害、腰痛、バース症候群、バッテン病、ベーチェット病、顔面麻痺、良性特発性眼瞼、良性局限性筋萎縮、良性頭蓋内圧亢進、ベルナルド−ロース症候群、ビンスワンガー病、眼瞼けいれん、ブロッホ・サルツバーガー症候群、腕神経叢分娩外傷、腕神経叢外傷、ブラッドベリー−エグルストン症候群、脳動脈瘤、脳外傷、脳および脊椎腫瘍、ブラウン・セカール症候群、球脊髄型筋萎縮症、カナバン病、手根管症候群、灼熱痛、海綿状腫、海綿状血管腫、海綿体奇形、頸髄中心部障害、脊髄中心部障害、中心性疼痛、頭部障害、小脳変性症、小脳形成不全、脳動脈瘤、脳動脈硬化、脳萎縮症、脳脚気、脳性巨人症、脳低酸素、脳性麻痺、脳−眼−顔面−骨障害、シャルコー・マリー・ツース病、キアーリ奇形、コレア、舞踏病有棘赤血球増加、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性起立不耐症、慢性疼痛、コケーン症候群II型、コフィンローリー症候群、遷延性植物状態を含む昏睡状態、複合性局所疼痛症候群、先天性両側顔面神経麻痺、先天性筋無力症、先天性筋障害、先天性血管海面奇形、大脳皮質基底核変性症、頭部動脈炎、頭蓋骨癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病、蓄積外傷疾患、クッシング症候群、巨大細胞性封入体症(CIBD)、サイトメガロ・ウィルス感染、ダンシングアイズ−ダンシングフィート症候群、ダンディ・ウォーカー症候群、ドーソン病、デュモルジエール症候群、デジェリン−クランケ麻痺、多発脳梗塞性認知症、皮質下認知症、レヴィー小体認知症、皮膚筋炎、進行性行動不全、デビック症候群、糖尿病性神経障害、広汎性硬化症、ドラベット症候群、自律神経障害、書字障害、失読症、嚥下障害、行動不全、筋失調症、早期幼児てんかん性脳症、トルコ鞍空虚症候群、嗜眠性脳炎、脳炎および髄膜炎、脳ヘルニア、脳症、脳三叉神経領域血管腫症、てんかん、エルブ麻痺、エルブ−デュシェンヌおよびデジェリン−クランケ麻痺、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性自律神経失調症、家族性血管腫、家族性特発性基底核硬化、家族性けいれん性麻痺、熱性発作(例、GEFSおよびGEFSプラス)、フィッシャー症候群、フロッピーインファント症候群、フリードリッヒ運動失調、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、ゲルストマン−シュトラウスラー−シェインカー病、巨細胞性動脈炎、巨細胞包含病、球様細胞白質萎縮症、舌咽神経痛、ギラン・バレー症候群、HTLV−1関連脊髄症、ハレルフォルデン・スパッツ病、頭部外傷、頭痛、継続性片頭痛、片側顔面けいれん、片麻痺変質、遺伝性神経病、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳ヘルペス、帯状ヘルペス、ヒラヤマ症候群、全前脳症、ハンチントン病、内水頭症、正常圧水頭症、水頭症、水脊髄症、副腎皮質機能亢進、傾眠症、筋緊張亢進、低血圧、低酸素症、免疫仲介脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、乳児低血圧、乳児フィタン酸蓄積症、乳児レフサム病、乳児けいれん、炎症性筋疾患、腸性脂肪異栄養症、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進、アイザック症候群、ジュベール症候群、キーンズ・セイアー症候群、ケネディ病、キンスブーメ症候群、クライネ−レヴィン症候群、クリペル−ファイル症候群、クリッペル−トレノネイ症候群(KTS)、クリューバー・ビューシー症候群、コルサコフ記憶喪失、クラッベ病、クーゲルバーグ・ウェランダー病、クール、ランバート−イートン筋無力症候群、ランドー−クレフナー症候群、外側大腿皮神経絞扼、外側髄症候群、学習障害、リー病、レノックス−ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、大脳白質萎縮症、レビン−クリチェリー症候群、レヴィー小体認知症、脳回欠損、閉じ込め症候群、ルウゲーリッグ病、ルーパス神経後遺症、ライム病−神経合併症、マシャド・ジョセフ病、大脳症、巨大脳髄症、メルカーソン・ローゼンタール症候群、髄膜炎、メンケス病、知覚異常性大腿神経痛、異染性白質萎縮症、小頭症、偏頭痛、ミラー・フィッシャー症候群、小発作、ミトコンドリア性筋障害、メビウス症候群、単肢筋萎縮症、運動ニューロン疾患、モヤモヤ病、粘膜脂質症、粘膜ポリサッカリド症、多発梗塞性認知症、多発性運動神経障害、多発性硬化症、起立性低血圧を伴う多系統萎縮症、多系統萎縮症、筋ジストロフィー、先天性筋無力症、重症筋無力症、脊髄分解性広汎性硬化症、ミオ乳児クローヌス脳症、ミオクローヌス、先天性筋障害、甲状腺中毒性、筋障害、先天性筋緊張症、筋緊張症、発作性睡眠、神経有棘赤血球増加、脳鉄蓄積を伴う神経変性、神経線維腫症、神経弛緩薬性悪性症候群、AIDSの神経合併症、ポンペ病の精神症状、視神経脊髄炎、神経筋緊張症、神経セロイド・リポフスチノーシス、ニューロン移動障害、遺伝性神経障害、神経サルコイドーシス、神経毒症、海綿母斑、ニーマン・ピック病、オサリバン−マクリード症候群、後頭神経痛、オカルト脊椎管癒合異常シーケンス、オオタハラ症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、眼球クローヌスミオクローヌス、起立性低血圧、使い過ぎ症候群、慢性疼痛、腫瘍随伴症候群、知覚異常、パーキンソン病、先天性標準緊張症、発作性舞踏病アテトーゼ、発作性片側頭痛、パリー−ロンバーグ、ペリツェウス・メルツバッハー病、ペナ・ショキールII症候群、神経周囲嚢胞、周期的麻痺、末梢神経障害、脳室周囲白質軟化症、遷延性植物状態、広汎性発達障害、フィタン酸蓄積症、ピック病、梨状筋症候群、下垂体部腫瘍、多発性筋炎、ポンプ病、孔脳、ポリオ後症候群、ヘルペス後神経痛、感染後脳脊髄炎、起立性低血圧、体位起立性頻脈症候群、起立性頻脈症候群、原発性側索硬化、プリオン病、進行性顔面片側萎縮症、進行性脊髄癆、進行性多病巣性白質脳障害、進行性硬化ポリオジストロフィー、進行性核上麻痺、偽脳腫瘍、ピリドキシン依存性およびピリドキシン反応性発作性疾患、ラムゼイ・ハント症候群I型、ラムゼイ・ハント症候群II型、ラスムッセン脳炎および他の自己免疫てんかん、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、幼児性レフサム病、レフサム病、反復運動障害、反復性のストレス障害、下肢静止不能症候群、レトロウィルス関連脊髄症、レット症候群、ライ症候群、リリー−デイ症候群、SUNCT頭痛、仙骨神経歯根嚢胞、コレラ、唾液腺病、サンドホフ病、シルダー病、裂脳、発作性障害、中隔−眼形成不全、小児乳児難治性癲癇(SMEI)、揺さぶられっ子症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、睡眠病、ソト症候群、痙縮、二分脊椎、脊髄梗塞、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳萎縮症、スティール−リチャードソン−オルシェフスキー症候群、全身硬直症候群、線条体黒質変性症、卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、嚥下障害、シデナム舞踏病、失神、梅毒性脊髄癆、空洞水脊髄症、脊髄空洞症、全身性エリテマトーデス、脊髄癆、遅発性ジスキネジー、タルロフ嚢胞、タイ・サックス病、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、甲状腺中毒性ミオパチー、疼痛性チック、トッド麻痺、トゥレット症候群、一過性脳虚血発作、感染性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、局所痙性対麻痺、結節硬化、起立性血管腫、側頭動脈炎を含む脈管炎、フォン・エコノモ病、フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)、フォン・レックリングハウゼン病、ウォーレンバーグ症候群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ウェスト症候群、ウィップル病、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、X連鎖脊髄および延髄筋萎縮症、およびツェルヴェーガー症候群を含む、中枢神経系または末梢神経系に影響する任意の疾患、障害、または状態を意味する。
本明細書において使用する「感染症」は、ウィルス、細菌、菌類、プリオンまたは寄生虫等の感染因子に関連する任意の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を意味する。本発明のsiNA分子を使用して標的とすることができる様々なウィルス遺伝子の限定を目的としない例は、C型肝炎ウィルス(HCV、例えばジンバンクアクセッション番号:D11168、D50483.1、L38318およびS82227)、B型肝炎ウィルス(HBV、例えばジンバンクアクセッション番号:AF100308.1)、ヒト免疫不全ウィルス1型(HIV−1、例えばジンバンクアクセッション番号:U51188)、ヒト免疫不全ウィルス2型(HIV−2、例えばジンバンクアクセッション番号:X60667)、西ナイルウィルス(WNV、例えばジンバンクアクセッション番号:NC001563)、サイトメガロウィルス(CMV、例えばジンバンクアクセッション番号:NC001347)、呼吸器合胞体ウィルス(RSV、例えばジンバンクアクセッション番号:NC001781)、インフルエンザウィルス(例えばジンバンクアクセッション番号:AF037412)、ライノウィルス(例えばジンバンクアクセッション番号:D00239、X02316、X01087、L24917、M16248、K02121、X01087)、パピローマウィルス(例えばジンバンクアクセッション番号:NC001353)、単純ヘルペスウィルス(HSV、例えばジンバンクアクセッション番号:NC001345)、およびHTLV(例えばジンバンクアクセッション番号:AJ430458)等の他のウィルスを含む。多くのウィルスゲノムの高い配列多様性のため、広範な治療アプリケーション用siRNA分子の選択がウィルスゲノムの保存領域に関与する可能性が高い。ウィルスゲノムの保存領域に関する限定を目的としない例は、5’−非コード領域(NCR)、3’−非コード領域(NCR、および/または内部リボソーム侵入部位(IRES)を含むがそれらに限定されない。様々なウィルスゲノムの保存領域に対してデザインされたsiRNA分子は、多様な患者におけるウィルス複製の効果的な阻害を可能にするであろうし、ウィルスゲノムの非保存領域における変異によって進化するウィルス準種に対するsiRNA分子の有効性も裏付けられるかもしれない。細菌感染の限定を目的としない例は、放線菌症、炭疽病、アスペルギルス症、菌血症、細菌感染およびミコース、バルトネラ感染、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、セパシア菌感染、カンピロバクター感染、カンジダ症、猫引っかき病、クラミジア感染、コレラ、クロストリジウム感染、コクシジオイデス症、交差感染、クリプトコッカス症、皮膚ミコース、ジフテリア、エールリヒア症、大腸菌感染、筋膜炎、壊死性、フゾバクテリウム感染、ガス壊疽、グラム陰性細菌感染、グラム陽性細菌感染、ヒストプラスマ症、膿痂疹、クレブシエラ菌感染、レジオネラ症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア菌感染、ライム病、マズラ菌症、類鼻疽、結核菌感染、マイコプラズマ感染、ミコース、ノカルジア菌感染症、爪甲真菌症、オルニトーシス、疫病、肺炎球菌感染、緑膿菌感染、Q熱、ネズミ咬熱、回帰熱、リウマチ熱、リケッチア感染、ロッキー山発疹熱、サルモネラ菌感染、猩紅熱、草原熱、敗血症、細菌性性感染症、細菌性皮膚疾患、ブドウ球菌感染、連鎖球菌感染、破傷風、ダニ仲介疾患、結核、野兎病、腸チフス、発疹チフス、発疹チフス、コレラ菌感染、イチゴ腫、エルシニア感染、動物原性感染症および接合菌症を含む。真菌感染の限定を目的としない例は、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、指爪および足爪の真菌感染症、真菌副鼻腔炎、ヒストプラスマ症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症、爪真菌感染、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、渓谷熱(コクシジオイデス症)、およびカビアレルギーを含む。
本明細書に使用される「眼疾患」は、類嚢胞黄斑浮腫、星芒状硝子体症、病的近視および後部ブドウ腫、トクソカリアシス(眼幼虫移行症)、網膜静脈閉塞症、後部硝子体剥離、けん引網膜裂傷、網膜上膜、糖尿病性網膜症、格子様変性、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、黄斑変性(例、湿性AMDまたは乾性AMD等の加齢性黄斑変性)、トキソプラズマ症、脈絡膜メラノーマ、後天性網膜分離症、ホーレンホルスト伝染病、特発性中心性漿液性網脈絡膜症、黄斑円孔、推定眼ヒストプラスマ症、網膜動脈瘤、網膜色素変性、網膜剥離、高血圧性網膜症、網膜色素上皮(RPE)剥離、パピロ静脈炎、眼性虚血症候群、コーツ病、レーバー粟粒動脈瘤、結膜新生物、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、急性細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎および春季角結膜炎、ウィルス性結膜炎、細菌性結膜炎、クラミジア結膜炎および淋菌性結膜炎、結膜裂傷、上強膜炎、強膜炎、瞼裂斑炎、翼状片、上方輪部角結膜炎(セオドアのSLK)、中毒性結膜炎、偽膜を伴う膜炎、巨乳頭結膜炎、テリエン角膜周辺変性症、アカントアメーバ角膜炎、真菌性角膜炎、糸状角膜炎、細菌性角膜炎、乾燥角膜炎/ドライアイ症候群、細菌性角膜炎、単純ヘルペス角膜炎、無菌角膜浸潤、角膜フリクテン炎、角膜擦過傷および再発性角膜びらん、角膜異物、角膜腐食、上皮基底膜ジストロフィー(EBMD)、サイジェソン点状表層角膜炎、角膜裂傷、サルツマン結節性変性、フーチ角膜内皮ジストロフィー、水晶体亜脱臼、様体ブロック緑内障、原発性開放隅角緑内障、色素分散症候群および色素性緑内障、偽落屑症候群および偽落屑性緑内障、前部ブドウ膜炎、原発性開放隅角緑内障、ブドウ膜緑内障および緑内障毛様体炎発症、色素分散症候群および色素性緑内障、急性閉塞隅角緑内障、前部眼内炎、前房出血、隅角後退緑内障、水晶体過敏性緑内障、偽落屑症候群および偽落屑性緑内障、アクセンフェルド−リーガー症候群、血管新生緑内障、扁平部炎、脈絡膜破裂、デュアン後退症候群、中毒性/栄養性視神経症、脳神経IIIの異所性再生、頭蓋内大損傷、頸動脈−海綿静脈洞瘻、前部虚血性視神経症、視神経浮腫および視神経乳頭水腫、脳神経III麻痺、脳神経IV麻痺、脳神経VI麻痺、脳神経VII(顔面神経)麻痺、ホルネル症候群、核間性眼筋麻痺、視神経頭部形成不全、視窩、緊張性瞳孔、視神経頭部ドルーセン、脱髄性視神経症(視神経炎、球後視神経炎)、一過性黒内障および一過性脳虚血発作、偽脳腫瘍、下垂体腺腫、伝染性軟属腫、涙管炎、疣贅および乳頭腫、眼瞼シラミおよびシラミ、眼瞼炎、麦粒腫、前中隔蜂巣炎、霰粒腫、基底細胞癌、眼部帯状疱疹、眼瞼シラミおよびシラミ、眼窩下壁骨折、慢性流涙症、涙嚢炎、単純ヘルペス、眼瞼炎、眼窩蜂巣炎、老人性内反、および扁平細胞腫等、の任意の眼疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型および関連する構造を意味する。
本発明の1つの態様においては、本発明のsiNA分子の各配列は、それぞれ約18から24ヌクレオチド長であり、ある態様においては、約18、19、20、21、22、23、または24ヌクレオチド長である。別の態様においては、本発明のsiNA二重鎖はそれぞれ、約17から約23の塩基対(例、約35、40、45、50、または55)ヌクレオチド長、または約38から約44(例、38、39、40、41、42、43、または44)ヌクレオチド長を含み、約16から約22(例、約16、17、18、19、20、21、または22)塩基対を含む。本発明の典型的siNA分子を表Iおよび/または図18−19に示す。
ここに使用する「細胞」は、通常の生物学的意味において使用され、多細胞生物体全体、特にヒトを示すものではない。前記細胞は、例えば鳥類、植物およびヒト、ウシ、羊、猿、ブタ、犬、および猫といった哺乳類等の生物体に存在し得る。前記細胞は原核(例、細菌細胞)または真核(例、ヒトまたは植物細胞)であってよい。前記細胞は体細胞または生殖細胞系起源、全能性または多能性、分割または非分割であってよい。また前記細胞は配偶子または胚、幹細胞、または完全に分化した細胞から派生するかまたはそれらを含んでもよい。
本発明のsiNA分子は直接追加されるか、またはカチオン脂質と複合、リポソーム内に包含、あるいは標的細胞または組織に送達することができる。核酸または核酸複合体は、生体高分子に組み込まれるか否かに関係なく、注射、輸液ポンプまたはステントを通じて生体外または生体内の関連組織に局所的に投与することができる。ある態様においては、本発明の核酸分子は表Iおよび/または図18−19に示す配列を含む。そのような核酸分子の例は、基本的にそれらの表および図において定義される配列を含む。さらに、表IVに記載される化学修飾構造は本発明のsiNA配列に適用することができる。
別の側面において、本発明は本発明の1つまたは複数のsiNA分子を含む哺乳類細胞を提供する。1つまたは複数のsiNA分子は同一または異なる部位を独立して標的とすることができる。
「RNA」とは、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を意味する。「リボヌクレオチド」とはβ−D−リボ−フラノーゼ部分にヒドロキシルグループを持つヌクレオチドを意味する。前記の語は、1つまたは複数のヌクレオチドの追加、削除、置換および/または変質によって、自然発生するRNAとは異なる変質RNAとともに、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分的に精製されたRNA等の分離されたRNA、基本的に純粋なRNA、合成RNA、組み換えによって生成されたRNAを含む。そのような変質は、例えば前記RNAの1つまたは複数のヌクレオチドにおけるsiNAの末端または内部への非ヌクレオチド材の追加を含むことができる。本発明のRNA分子にあるヌクレオチドは、自然発生でないヌクレオチドまたは化学合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド等の非標準ヌクレオチドを含むこともできる。これらの変質RNAは自然発生RNAの類似体と呼ばれる。
「対象」とは外植細胞の提供者または被提供者、あるいはその細胞自体である生物体を意味する。また「対象」とは本発明の核酸分子を投与できる生物体も意味する。対象はヒトまたはヒト細胞を含む哺乳類または哺乳類細胞であってよい。
「リガンド」という語は、受容体等の別の化合物と直接的あるいは間接的に相互作用できる薬剤、ペプチド、ホルモン、または神経伝達物質といった任意の化合物または分子を意味する。リガンドと相互作用する前記受容体は、細胞の表面に存在することができ、あるいは代替として細胞間受容体であってよい。前記リガンドと前記受容体の相互作用によって生化学反応が生じるか、あるいは単なる物理的相互作用または関連となる。
本明細書において使用する「ホスホロチオエート」という語は、化学式Iを持つヌクレオチド間結合を示す。ここでZおよび/またはWは硫黄原子を含む。このため、ホスホロチオエートという語はホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を意味する。
本明細書において使用する「ホスホノ酢酸」という用語は、化学式Iを持つヌクレオチド間結合を示す。ここでZおよび/またはWはアセチルまたは保存アセチルグループを含む。
本明細書において使用する「チオホスホノ酢酸」という用語は、化学式Iを持つヌクレオチド間結合を示す。ここでZはアセチルまたは保存アセチルグループを含み、Wは硫黄原子を含むか、あるいは代替としてアセチルまたは保存アセチルグループを含み、Zは硫黄原子を含む。
本明細書において使用する「ユニバーサル塩基」という用語は、ほとんど違いのない野生型DNA/RNA塩基を用いて塩基対を形成するヌクレオチド塩基類似体を示す。ユニバーサル塩基の限定を目的としない例は、C−フェニル、C−ナフチルおよび他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、および当該技術分野において周知の3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、および6−ニトロインドールといったニトロアゾール誘導体を含む(例として、ロークス(Loakes),核酸リサーチ(Nucleic Acids Research),29,2437−2447を参照)。
本明細書において使用する「非環状ヌクレオチド」という用語は、非環状リボース糖を持つ任意のヌクレオチドを意味する。例えば前記リボースカーボン(C1、C2、C3、C4またはC5)は、前記ヌクレオチドから離れて単独で存在するか、または組み合わされて存在している。
本発明の核酸分子を単独で、または他の薬剤と組み合わせてあるいは結合して使用することで、本明細書に記載の疾患または状態(例、癌および他の増殖状態、ウィルス感染、炎症疾患、自己免疫、肺疾患、腎疾患、眼疾患等)を治療することができる。例えば、特定の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を治療するために、治療に適した条件下で、前記siNA分子を単独で、または1つまたは複数の薬剤と併用して対象に投与するか、または当業者に明示の他の適切な細胞に投与することができる。
1つの態様においては、本発明は対象における疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における眼疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型を治療または予防する方法を特徴とする。ここで、前記疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型は、血管形成または血管新生に関連する。別の態様においては、前記疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型は、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、前立腺癌、結腸直腸癌、脳癌、食道癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭頸部癌、皮膚癌、鼻咽頭癌、脂肪肉腫、上皮性癌、腎細胞癌、腺筋腫瘍、耳下腺癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、子宮内膜肉腫、多剤耐性癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、血管新生緑内障、近視性変性、関節炎、乾癬、子宮内膜症、雌生殖、尋常性疣贅、結節硬化症の血管線維腫、ポートワイン母斑、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル−トレノネイ−ウェーバ症候群、オスラー−ウェーバー−レンデュ症候群、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)等の腎疾患、再狭窄、動脈硬化につながる腫瘍血管形成といった腫瘍血管形成および癌性状態、および遺伝子発現に関連するか、または細胞または組織内のRNA干渉に応答する任意の他の疾患または状態を含み、単独または他の治療と組み合わされる。
1つの態様においては、本発明は対象における眼疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における眼疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型を治療または予防する方法を特徴とする。ここで、前記眼疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型は、血管形成または血管新生に関連する。別の態様においては、前記眼疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型は、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、近視性変性、トラコーマ、眼の瘢痕、白内障、眼性炎症および/または眼性感染を含む。
1つの態様においては、本発明は対象における腫瘍血管形成の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における腫瘍血管形成を治療または予防する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は対象におけるウィルス感染の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象におけるウィルス感染を治療または予防する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は対象における自己免疫疾患の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における自己免疫疾患を治療または予防する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は対象における炎症の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における炎症を治療または予防する方法を特徴とする。
別の態様においては、前記siNA分子を前述の状態または疾患を治療するための他の周知の治療と組み合わせて使用することができる。例えば、前記分子を疾患、状態、形質、遺伝子型、または表現型を治療するための1つまたは複数の周知の治療薬と併用して使用することができる。本発明のsiNA分子と容易に組み合わせることができる他の治療約の限定を目的としない例は、酵素核酸分子、アロステリック核酸分子、アンチセンス、デコイ、またはアプタマー核酸分子、モノクローナル抗体等の抗体、小分子、および金属、塩およびイオンを含む他の有機的および/または無機的化合物である。
1つの態様においては、本発明は対象における疾患または状態の治療または予防に適した条件下で、単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む、対象における疾患または状態を治療または予防する方法を特徴とする。ここで前記疾患または状態は、血管形成または血管新生に関連する。別の態様においては、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、前立腺癌、結腸直腸癌、脳癌、食道癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭頸部癌、皮膚癌、鼻咽頭癌、脂肪肉腫、上皮性癌、腎細胞癌、腺筋腫瘍、耳下腺癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、子宮内膜肉腫および多剤耐性癌等を含むがそれらに限定されない癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、血管新生緑内障、近視性変性、関節炎、乾癬、子宮内膜症、雌生殖、尋常性疣贅、結節硬化症の血管線維腫、ポートワイン母斑、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル−トレノネイ−ウェーバ症候群、オスラー−ウェーバー−レンデュ症候群、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)等の腎疾患、再狭窄、動脈硬化につながる腫瘍血管形成といった血管形成に起因する前記疾患または状態、および、遺伝子発現に関連するか、または細胞または組織内のRNA干渉に応答する任意の他の疾患または状態の場合に、単独または他の治療と組み合わせて投与する。
1つの態様においては、本発明は対象における疾患または状態の治療または予防に適した条件下で、単独または1つまたは複数の他の治療化合物と組み合わせて、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む、対象における眼疾患または状態の治療または予防方法を特徴とする。ここで、前記眼疾患または状態は血管形成または血管新生(例えば、血管内皮成長因子、VEGF経路またはTGF−β経路にある遺伝子に関与するもの)に関連する。別の態様においては、前記眼疾患または状態は、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、血管新生緑内障、近視性変性、トラコーマ、眼の瘢痕、白内障、眼性炎症および/または眼性感染を含む。
1つの態様においては、本発明は局所投与に適した条件下で、組織または細胞を二本鎖RNAと結合することを含む、(例えば、眼内、腫瘍内、眼周囲、頭蓋内注射等、topical投与、カテーテル等によって)組織または細胞(例、眼球または網膜、脳、中枢神経系)に標的RNAのヌクレオチド配列またはその一部(例、標的RNAをコードするVEGFまたはVEGF受容体)に相補的なヌクレオチド配列を含むsiNA分子またはベクター発現siNA分子を局所的に投与する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は外用投与に適した条件下で、組織または細胞を二本鎖RNAと結合することを含む、組織、器官または細胞(例、皮膚、毛包)に、そのような器官、細胞または組織(例、無毛遺伝子、5−αレダクターゼ、裸遺伝子、デスモグレイン4遺伝子、TGF−β、PDGF、BCL−2等)において発現する標的RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むsiNA分子またはベクター発現siNA分子を外用投与する(例、真皮、経皮、毛包投与等)方法を特徴とするそのような外用投与を使用して、皮膚病、兆候、状態、形質、遺伝子型または表現型の治療、またはにきび、乾癬、黒色腫、脱毛症、脱毛等の場合に使用することができる。1つの態様においては、本発明は全身投与に適した条件下で、組織または細胞を二本鎖RNAと結合することを含む、(例、皮下、静脈注射、外用投与等によって)対象の組織または細胞に、標的RNAのヌクレオチド配列またはその一部(例、標的RNAをコードするVEGFまたはVEGF受容体)に相補的なヌクレオチド配列を含むsiNA分子またはベクター発現siNA分子で形成される二本鎖RNAを全身的に投与する方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は単独あるいは1つまたは複数の他の治療化合物と併用して、対象における腫瘍血管新生の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む対象における腫瘍血管新生の治療または予防方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は単独あるいは1つまたは複数の他の治療化合物と併用して、対象におけるウィルス感染または複製の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む対象におけるウィルス感染または複製の治療または予防方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は単独あるいは1つまたは複数の他の治療化合物と併用して、対象における自己免疫疾患の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む対象における自己免疫疾患の治療または予防方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は単独あるいは1つまたは複数の他の治療化合物と併用して、対象における神経疾患の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む対象における神経疾患(例、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、てんかん等)の治療または予防方法を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は単独あるいは1つまたは複数の他の治療化合物と併用して、対象における炎症の治療または予防に適した条件下で、本発明のsiNA分子を対象に投与することを含む対象における炎症の治療または予防方法を特徴とする。
本発明の他の機能および利点は、その好ましい態様に関する以下の記述および特許請求の範囲から明白となる。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の異なるsiNA構造の限定を目的としない例を示す。相補siNA配列鎖、鎖1および鎖2は縦一列に合成され、固定支持体上の固相合成に使用される切断可能なリンカーと同一または異なるヌクレオチドコハク酸塩または脱塩基コハク酸塩等の切断可能な結合で結合される。前記合成は固相または液相のいずれかであり、表示の例において、前記合成は固相合成である。前記合成を実施して、ジメソキシトリチル基等の保護基が縦列オリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチドで維持する。前記オリゴヌクレオチドの切断および脱保護時に、2つのsiNA鎖を同時にハイブリダイズし、siNA二重鎖を形成することによって、例えばトリチルを精製方法に適用して末端保護基を持つ二重鎖/オリゴヌクレオチドのみを分離する等、末端保護基の特性を利用して前記二重鎖を精製することができる。
図2は、本発明の方法によって合成した精製siNA二重鎖のMALDI−TOF質量スペクトルを示す。表示される2つのピークは、個別のsiNA配列鎖の予測質量に対応する。この結果は、単純なトリチル−オン精製方法を使用し、縦列合成で生成されたsiNA二重鎖を単一体として精製することができることを示す。
図3は、3’−TT末端を持つ全RNAからなるsiNA対照との比較で、化学修飾siNA構造の血清安定性の判定に使用される安定性アッセイの結果を示す。二重鎖安定性に関するTス値を示す。
図4は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。
図5は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。
図6は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。
図7は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。
図8は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。
図9は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。
図10は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した全RNA対照siNA構造との比較で、様々な3’端修飾siNA構造を含む化学修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。3’端ジチミジン(TT)を持つ全RNA siNA対照(siGL2)およびそれに対応する逆位の対照(Inv siGL2)を使用して、それら化学修飾siNAを本明細書に記載のルシフェラーゼアッセイにおいて1nMおよび10nM濃度で比較した。HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは「細胞」カラムで指定される。化学修飾したsiNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)で表示される。それらのSirna/RPI番号に対応する配列を表Iに示す。
図11は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。前記スクリーニングでは、センス鎖化学修飾およびアンチセンス化学修飾の様々な組み合わせを比較した。3’端ジチミジン(TT)を持つ全RNA siNA対照(siGL2)およびそれに対応する逆位の対照(Inv siGL2)を使用して、それら化学修飾siNAを本明細書に記載のルシフェラーゼアッセイにおいて1nMおよび10nM濃度で比較した。HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは「細胞」カラムで指定される。化学修飾したsiNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)で表示される。それらのSirna/RPI番号に対応する配列を表Iに示す。
図12は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。前記スクリーニングでは、センス鎖化学修飾およびアンチセンス化学修飾の様々な組み合わせを比較した。3’端ジチミジン(TT)を持つ全RNA siNA対照(siGL2)およびそれに対応する逆位の対照(Inv siGL2)を使用して、それら化学修飾siNAを本明細書に記載のルシフェラーゼアッセイにおいて1nMおよび10nM濃度で比較した。HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは「細胞」カラムで指定される。化学修飾したsiNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)で表示される。さらに、単独の前記アンチセンス鎖(Sirna/RPI30430)およびSirna/RPI(30063/30224)にマッチする化学的性質を持つ逆位の対照(Sirna/RPI30227/30229)を上記のsiNA二重鎖と比較した。
図13は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。前記スクリーニングでは、センス鎖化学修飾およびアンチセンス化学修飾の様々な組み合わせを比較した。3’端ジチミジン(TT)を持つ全RNA siNA対照(siGL2)およびそれに対応する逆位の対照(Inv siGL2)を使用して、それら化学修飾siNAを本明細書に記載のルシフェラーゼアッセイにおいて1nMおよび10nM濃度で比較した。HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは「細胞」カラムで指定される。化学修飾したsiNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)で表示される。これらSirna/RPI番号に対応する配列を表Iに示す。さらに、Sirna/RPI(30222/30224)にマッチする化学的性質を持つ逆位の対照(Sirna/RPI30226/30229)を上記のsiNA二重鎖と比較した。
図14は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した全RNA対照siNA構造との比較で、様々な3’端修飾siNA構造を含む化学修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。3’端ジチミジン(TT)を持つ全RNA siNA対照(siGL2)およびそれに対応する逆位の対照(Inv siGL2)を使用して、それら化学修飾siNAを本明細書に記載のルシフェラーゼアッセイにおいて1nMおよび10nM濃度で比較した。HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは「細胞」カラムで指定される。化学修飾したsiNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)で表示される。それらのSirna/RPI番号に対応する配列を表Iに示す。
図15は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。前記スクリーニングでは、固定アンチセンス鎖の化学的性質との比較で、センス鎖の化学的性質の様々な組み合わせを比較した。3’端ジチミジン(TT)を持つ全RNA siNA対照(siGL2)およびそれに対応する逆位の対照(Inv siGL2)を使用して、それら化学修飾siNAを本明細書に記載のルシフェラーゼアッセイにおいて1nMおよび10nM濃度で比較した。HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは「細胞」カラムで指定される。化学修飾したsiNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)で表示される。
図16は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用したsiNA滴定試験の結果を示す。ここで、ホスホロチオエート修飾したsiNA構造のRNAi作用を、2つの末端チミジン残留物を除きすべてリボヌクレオチドから構成されるsiNA構造のそれと比較する。
図17は、RNAiに関与する標的RNA分解の限定を目的としない機構図案を示す。例えばウィルス、トランスポゾン、または他の外来RNA等の外来一本鎖RNAからRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)により生成される二本鎖RNA(dsRNA)は、siNA二重鎖を順に生成するダイサー(DICER)酵素を活性化する。代替として、発現したsiNAの合成を適切な手段で細胞に直接導入することができる。標的RNAを認識する活性siNA複合体に形成の結果として、RISCエンドヌクレアーゼ複合体により標的RNAが分解されるか、またはRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)により追加のRNAが合成される。これによってダイサーを活性化し、追加のsiNA分子を生成することでRNAi応答を増幅することができる。
図18A−Fは、本発明の化学修飾siNA構造の限定を目的としない例を示す。図中、Nは任意のヌクレオチド(アデノシン、グアニン、シトシン、または任意でチミジン)を示す。例えばチミジンは丸括弧で指定した突出領域(N N)で置換することができる。前記siNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖に対する様々な修飾を示す。
図18A:前記センス鎖は21ヌクレオチドを含む。ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、存在するすべてのヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除いてリボヌクレオチドであり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載の他の化学修飾を含むことができる。前記アンチセンス鎖は、任意で3’端グリセリル部分を持つ21ヌクレオチドを含む。ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは、標的RNA配列に対して任意で相補的であり、また存在するすべてのヌクレオチドは、(N N)ヌクレオチドを除いてリボヌクレオチドであり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載の他の化学修飾を含むことができる。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、前記アンチセンス鎖における前記(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図18B:前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’デオキシ−2’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、また、すべてのプリン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、メチル2’−Oメチル修飾されたヌクレチオドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、ここで述べられているその他科学修飾を構成する。前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’デオキシ−2’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、また、すべてのプリン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、メチル2’−Oメチル修飾されたヌクレチオドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、ここで述べられているその他科学修飾を構成する。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、前記アンチセンス鎖における前記(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図18C:前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み5’−及び3’−端末キャップ部分を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、2’−デオキシ2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、本明細書に記載されているその他科学修飾を構成する。前記アンチセンス鎖は、任意で3’端グリセリル部分を持つ21ヌクレオチドを含む。ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは、標的RNA配列に対して任意で相補的であり、また存在するすべてのピリミジン・ヌクレオチドは、(N N)ヌクレオチドを除いて2’−デオキシ2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載の他の化学修飾を含むことができる。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、前記アンチセンス鎖における前記(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図18D:前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み5’−及び3’−端末キャップ部分を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、2−’デオキシ2−’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、本明細書に記載されているその他科学修飾を構成する。またここでは全てのプリン・ヌクレオチドは2−’デオキシ修飾されたヌクレオチドである可能性がある。前記アンチセンス鎖は、任意で3’端グリセリル部分を持つ21ヌクレオチドを含む。ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは、標的RNA配列に対して任意で相補的である。ここでは、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’デオキシ−2’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、また、すべてのプリン・ヌクレオチドは(NN)ヌクレチオドを除き、メチル2’−Oメチル修飾されたヌクレチオドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、ここで述べられているその他科学修飾を構成する。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、前記アンチセンス鎖における前記(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図18E:前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み5’−及び3’−端末キャップ部分を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、2’−デオキシ2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、本明細書に記載されているその他科学修飾を構成する。前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’デオキシ−2’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、また、すべてのプリン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、メチル2’−Oメチル修飾されたヌクレチオドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、ここで述べられているその他科学修飾を構成する。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは本明細書に記載の他修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、前記アンチセンス鎖における前記(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図18F:前記センス鎖は21ヌクレオチドを含み5’−及び3’−端末キャップ部分を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは(N N)ヌクレチオドを除き、2−’デオキシ2−’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、本明細書に記載されているその他科学修飾を構成する。またここでは全てのプリン・ヌクレオチドは2−’デオキシ修飾されたヌクレオチドである可能性がある。前記アンチセンス鎖は、任意で3’−端グリセリル部分を持つ21ヌクレオチドを含む。ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは、標的RNA配列に対して任意で相補的である。ここでは、1つ3’−端ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート結合のヌクレオチドを有し、すべてのピリミジン・ヌクレオチドは2’デオキシ−2’フルオロ修飾されたヌクレオチドである可能性があり、また、すべてのプリン・ヌクレオチドは(NN)ヌクレチオドを除き、メチル2’−Oメチル修飾されたヌクレチオドである可能性があり、リボヌクレチオド、デオキシヌクレチオド、普遍的科学修飾、ここで述べられているその他科学修飾を構成する。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、前記アンチセンス鎖における前記(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。A−F構造配列アンチセンス鎖は本発明の標的核酸配列を構成する。さらに、グリセリル部分(L)が、図4 A−Fに示されている構造のようにアンチセンス鎖の3’−端に見られる場合は、修飾ヌクレチオド結合は任意である。
図19は、本発明の特定の化学修飾siNA配列の限定を目的としない例を示す。A−Fは、図18A−Fに記載の化学修飾をC型肝炎ウィルス(HCV)を標的とする代表的なsiNAに適用したものである。しかし、そのような化学修飾は本発明で企図される任意の標的配列に適用することができる(例として、マクスウィッゲン(McSwiggen)らの国際PCT公開WO03/74654においてアクセッション番号で参照される標的配列を参照)。表示の例(構造1、2、および3)は19の代表的な塩基対を持つが、本発明の種々の態様は、本明細書に記載の任意の数の塩基対を含む。括弧付きの領域は、例えば約1、2、3、または4ヌクレオチド長、存在する場合は好ましくは約2ヌクレオチド長のヌクレオチド突出部を示す。そのような突出部は存在する場合としない場合(例、平滑末端)がある。そのような平滑末端は、例えばsiNA二重鎖に存在するすべてのヌクレオチドが塩基対であるsiNA分子の一端または両端に存在することができる。構造1および2をRNAi作用に対して個別に使用することができる。構造2は生分解性リンカーとして任意で指定できるポリヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーを含むことができる。1つの態様においては、構造2に示されるループ構造は生分解性リンカーを含むことができ、その結果としてインビボおよび/またはインビトロで構造1を形成する。別の態様においては、構造3を使用して、同じ原理で構造2を生成することができる。ここでリンカーを使用して、インビボおよびインビトロで活性siNA構造2を生成する。任意で別の生分解性リンカーを利用して、インビボおよびインビトロで活性siNA構造1を生成することもできる。そのようにして、siNA構造の安定性および/または作用をインビボまたはインビトロおよび/またはインビトロで使用するsiNA構造のデザインに基づいて調節することができる。
図20は、本発明の異なるsiNA構造の限定を目的としない例を示す。表示の例(構造1、2、および3)は19の代表的な塩基対を持つが、本発明の種々の態様は本明細書に記載の任意の数の塩基対を含む。括弧付きの領域は、例えば約1、2、3、または4ヌクレオチド長、存在する場合は好ましくは約2ヌクレオチド長のヌクレオチド突出部を示す。そのような突出部は存在する場合としない場合(例、平滑末端)がある。そのような平滑末端は、例えばsiNA二重鎖に存在するすべてのヌクレオチドが塩基対であるsiNA分子の一端または両端に存在することができる。構造1および2をRNAi作用に対して個別に使用することができる。構造2は生分解性リンカーとして任意で指定できるポリヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーを含むことができる。1つの態様においては、構造2に示されるループ構造は生分解性リンカーを含むことができ、その結果としてインビボおよび/またはインビトロで構造1を形成する。別の態様においては、構造3を使用して、同じ原理で構造2を生成することができる。ここでリンカーを使用して、インビボおよびインビトロで活性siNA構造2を生成する。任意で別の生分解性リンカーを利用して、インビボおよびインビトロで活性siNA構造1を生成することもできる。そのようにして、siNA構造の安定性および/または作用をインビボまたはインビトロおよび/またはインビトロで使用するsiNA構造のデザインに基づいて調節することができる。
図21は、メッセンジャーRNA等、特定の標的核酸配列内のsiNA仲介RNAiの標的部位を判定するのに使用する方法を図示する。(A)一群のsiNAオリゴヌクレオチドを合成する。ここでsiNA構造のアンチセンス領域は標的核酸配列上の標的部位に対して相補性を持ち、またセンス領域はsiNAの前記アンチセンス領域に対して相補的な配列を含む。(B)前記配列を細胞に導入する。(C)前記標的核酸配列の調節に関連する表現型の変化に基づいて細胞を選択する。(D)選択した細胞から前記siNAを分離し、一定の順序に配列して前記標的核酸配列内で有効な標的部位を識別する。
図22は、例えば、本発明のsiNA配列の3’端を安定化するのに使用できる異なる安定した化学的性質(1−10)の限定を目的としない例を示し、(1)[3−3’]−逆位デオキシリボース;(2)デオキシリボヌクレオチド;(3)[5’−3’]−3’−デオキシリボヌクレオチド;(4)[5’−3’]−リボヌクレオチド;(5)[5’−3’]−3’−O−メチルリボヌクレオチド;(6)3’−グリセリル;(7)[3’−5’]−3’−デオキシリボヌクレオチド;(8)[3’−3’]−デオキシリボヌクレオチド;(9)[5’−2’]−デオキシリボヌクレオチド;および(10)[5−3’]−ジデオキシリボヌクレオチドを含む。図に示す修飾および未修飾骨格に加え、それらの化学的性質を、例えば化学式Iを持つ骨格修飾等の本明細書に記載の異なる骨格修飾と組み合わせることができる。さらに、表示の5’末端修飾に対する2’−デオキシヌクレオチドは、例えば化学式I−VIIまたはその任意の組み合わせを持つ修飾等、本明細書に記載の別の修飾または未修飾ヌクレオチドであってよい。
図23は、ラット角膜モデルの血管形成を使用したVEGF誘発血管形成のsiNA仲介抑制の限定を目的としない例を示す。VEGFR1 RNAのsiNA標的部位2340(Sirna/RPI29695/29699として表示される)を3つの異なる濃度の逆位の対照(Sirna/RPI29983/29984として表示される)、およびsiNAを投与していないVEGF対照と比較した。
図24は、未処理およびマッチする化学逆位配列対照との比較で、25nMのHepG2細胞におけるHBVプレゲノムRNAを標的とする安定したsiNA構造(「Stab4/5」、表IVを参照)のHBsAgのスクリーニングの限定を目的としない例を示す。前記siNA鎖およびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス/アンチセンス)で表示される。
図25は、未処理およびマッチする化学逆位配列対照との比較で、0.5、5、10および25nMのHepG2細胞におけるHBVプレゲノムRNAの262および1580位を標的とする安定したsiNA構造(「Stab4/5」、表IVを参照)の用量反応HBsAgのスクリーニングの限定を目的としない例を示す。前記siNA鎖およびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス/アンチセンス)で表示される。
図26は、未処理およびマッチする化学逆位配列対照との比較で、5、10、25、50および100nMのHepG2細胞におけるHBVプレゲノムRNAの1580位を標的とする2つの異なる安定した化学的性質(「Stab7/8」および「Stab7/11」、表IVを参照)の用量反応比較を示す。前記siNA鎖およびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス/アンチセンス)で表示される。
図27は、RNAi作用を仲介する能力を保持しながらヌクレアーゼに抵抗する本発明の化学修飾したsiNA構造の識別に使用する方法の限定を目的としない例を示す。知識に基づいたデザインパラメータに基づいて、化学修飾をsiNA構造に導入する(例、2’−修飾、塩基修飾、骨格修飾、末端キャップ修飾等を導入する)。前記修飾構造を適切なシステム(例、ヌクレアーゼ抵抗には表示のヒト血清、またはPK/送達パラメータには動物モデル)において試験した。同一のアプローチを使用して、高い薬物動態プロファイル、送達およびRNAi作用を持つsiNAコンジュゲート分子を識別することができる。次にRNAi作用を維持しながら特定の特徴を有する首位のsiNA構造を識別し、さらに修飾して再度アッセイすることができる。同一のアプローチを使用して、高い薬物動態プロファイル、送達およびRNAi作用を持つsiNAコンジュゲート分子を識別することができる。
図28は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab4/5、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。前記構造を異なる濃度(5nM、10nM、25nM、50nM、および100nM)で9日間比較した。HBsAgレベルに基づく作用を3日目、6日目、および9日目に判定した。
図29は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab4/7、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。HBsAgレベルに基づく作用を3日目、6日目、および9日目に判定した。前記構造を異なる濃度(5nM、10nM、25nM、50nM、および100nM)で9日間比較した。HBsAgレベルに基づく作用を3日目、6日目、および9日目に判定した。
図30は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab7/11、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。HBsAgレベルに基づく作用を3日目、6日目、および9日目に判定した。前記構造を異なる濃度(5nM、10nM、25nM、50nM、および100nM)で9日間比較した。HBsAgレベルに基づく作用を3日目、6日目、および9日目に判定した。
図31は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab9/10、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。前記構造を異なる濃度(5nM、10nM、25nM、50nM、および100nM)で9日間比較した。HBsAgレベルに基づく作用を3日目、6日目、および9日目に判定した。
図32は、対照(29593/29600)との比較で、様々な濃度(1nM、5nM、10nM、および25nM)のsiNA構造によるHCV/ポリオウィルスキメラ(29579/2986;29578/29585)のウィルス複製抑制を示す用量反応試験の限定を目的としない例を示す。
図33は、対照(29593/29600)との比較で、様々な濃度(1nM、5nM、10nM、および25nM)のsiNA構造によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す用量反応試験の限定を目的としない例を示す。
図34は、対照(30052/30054)との比較で、化学修飾siRNA構造(30051/30053)によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す限定を目的としない例を示す。
図35は、対照(30056/30058)との比較で、化学修飾siRNA構造(30055/30057)によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す限定を目的としない例を示す。
図36は、脂質対照および逆位siNA対照構造29593/29600との比較で、10nM処理のHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製を標的とする幾つかの化学修飾siRNA構造の限定を目的としない例を示す。
図37は、脂質対照および逆位siNA対照構造29593/29600との比較で、25nM処理の化学修飾siRNA構造によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す限定を目的としない例を示す。
図38は、未処理の細胞(「細胞」)、リポフェクタミンを導入した細胞(「LFA2K」)、および逆位のsiNA対照構造との比較で、25nM処理のHuh7 HCVレプリコンシステムのウィルス複製を標的とする幾つかの化学修飾siRNA構造の限定を目的としない例を示す。
図39は、未処理の細胞(「細胞」)、リポフェクタミンを導入した細胞(「LFA」)および逆位のsiNA対照構造との比較で、5、10、25、および100nM処理のHuh7 HCVレプリコンシステムにおいてHCV RNAの291、300、および303位を標的とする化学修飾siNA分子(Stab4/5、表IVを参照)を使用する用量反応試験の限定を目的としない例を示す。
図40は、未処理細胞(「細胞」)、脂質移入された細胞(「脂質」)および逆位siNA対照構造との比較で、25nM処理の化学修飾siRNA構造(Stab7/8、表IVを参照)によるHuh HCVウィルス複製抑制を示す限定を目的としない例を示す。
図41は、逆位siNA対照構造との比較で、siNA分子(Stab 7/8, 表IVを参照)を用いた用量反応試験の結果を示す限定を目的としない実験例を示す。Huh7HCVレプリコンシステムにおけるHCV 327位を標的とし、5、10、25、50,100nM処理のsiNA分子を用いる。
図42は、葉酸コンジュゲートを生成する核酸分子の合成後修飾の合成スキームを示す。
図43は、オリゴヌクレオチドまたは核酸−葉酸コンジュゲートを生成する合成スキームを示す。
図44は、オリゴヌクレオチドまたは核酸−葉酸コンジュゲートを生成する代替合成スキームスキームを示す。
図45は、葉酸コンジュゲートを生成する核酸分子の合成後修飾の代替合成スキームを示す。
図46は、本発明のN−アセチル−D−ガラクトサミン−2’−アミノウリジンホスホラミダイトコンジュゲートの合成に関する合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図47は、本発明のN−アセチル−D−ガラクトサミン−2’−トレオニンホスホラミダイトコンジュゲートの合成に関する合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図48は、本発明のN−アセチル−D−ガラクトサミンsiNA核酸コンジュゲートの限定を目的としない例を示す。例に示すWは、例えばリボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含む核酸ダイマー、トリマー、またはテトラマー等の生分解性リンカーを示す。siNAは、二本鎖siNAのセンス鎖の3’端、5’端またはその両端および/またはsiNAのアンチセンス鎖の3’端でコンジュゲートさせることができる。一本鎖siNA分子はsiNAの3’端で接合することができる。
図49は、本発明のコンジュゲートリンカーから派生したドデカン酸の合成に関する合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図50は、本発明のオキシム結合核酸/ペプチドコンジュゲートの合成に関する合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図51は、本発明のリン脂質から派生したsiNAコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。例に示されたCLは生分解性リンカーに言及しており、例えばリボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含む核酸ダイマー、トリマー、またはテトラマー等の生分解性リンカーを示す。siNAは、二本鎖siNAのセンス鎖の3’端、5’端またはその両端および/またはsiNAのアンチセンス鎖の3’端でコンジュゲートさせることができる。一本鎖siNA分子はsiNAの3’端で接合することができる。
図52は、本発明のリン脂質から派生したsiNAコンジュゲートの生成に関する合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図53は、本発明のポリ−N−アセチル−D−ガラクトサミン核酸コンジュゲートの生成に関する限定を目的としない例を示す。
図54は、ホスホラミダイトアプローチを使用した本発明のsiNAコレステロールコンジュゲートの合成の限定を目的としない例を示す。
図55は、NHSエステルカップリングを使用した本発明のsiNA PEGコンジュゲートの合成の限定を目的としない例を示す。
図56は、NHSエステルカップリングを使用した本発明のsiNAコレステロールコンジュゲートの合成の限定を目的としない例を示す。
図57は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。
図58は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図59は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図60は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図61は、本発明の様々なsiNAリン脂質コンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図62は、本発明の様々なsiNAリン脂質コンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図63は、本発明の様々なsiNAガラクトサミンコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図64は、本発明の様々なsiNAガラクトサミンコンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。
図65は、本発明の様々なsiNA汎用コンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。図中のCONJは、本明細書に記載および本明細書中の化学式における任意の生物活性化合物または任意の他のコンジュゲート化合物を示す。
図66は、本発明の様々なsiNA汎用コンジュゲートの限定を目的としない例を示す。ここで、様々なリンカーの化学的性質および/または切断可能なリンカーを二本鎖siNA分子の異なる位置に利用することができる。図中のCONJは、本明細書に記載および本明細書中の化学式における任意の生物活性化合物または任意の他のコンジュゲート化合物を示す。
図67は、コンジュゲートまたは非コンジュゲートsiNA分子をマウスに投与した後の肝臓における正常siNAの薬物動態分散の限定を目的としない例を示す。
図68は、脂質の導入を使用せず、HBV細胞培養システムにおいてマッチする化学的非コンジュゲートのsiNA構造との比較で、コンジュゲートsiNA構造の作用に関する限定を目的としない例を示す。図に示すように、siNAコンジュゲートは試薬を導入する必要なく細胞培養において有効性を提供する。
図69は、ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のモノ−ガラクトサミンホスホラミダイトの合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図70は、トリ−ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のトリ−ガラクトサミンホスホラミダイトの合成スキームの限定を目的としない例を示す。
図71は、トリ−ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のトリ−ガラクトサミンホスホラミダイトの合成スキームの限定を目的としない別の例を示す。
図72は、トリ−ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のトリ−ガラクトサミンホスホラミダイトの代替合成スキームの限定を目的としない別の例を示す。
図73は、コレステロールコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のコレステロールNHSエステルの合成スキームの限定を目的としない別の例を示す。
図74は、本発明の線形二本鎖構造及びその非対称派生を含むリン酸化siNA 分子の限定を目的としない例を示す。
図75は、本発明の化学修飾末端リン酸基の限定を目的としない例を示す。
図76は、ラット角膜モデルにおけるVEGF誘導新生血管の抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGF誘導血管形成の抑制に関して、「Stab9/10」化学的性質(Sirna#31270/31273)を持つVEGFrl349位活性siNAを3つの異なる濃度(2.0μg、1.0μg、および0.1μg用量反応)で試験し、各濃度でマッチする化学逆位対照siNA構造(Sirna#31276/31279)およびsiNAを投与していないVEGF対照と比較した。図に示すように、「Stab9/10」化学的性質(Sirna#31270/31273)を持つ活性siNA構造は、0.1μgから2.0μgの濃度でマッチする化学逆位対照siNAと比較して、ラット角膜モデルにおけるVEGF誘導血管形成の抑制に非常に効果的である。
図77は、適合する逆位の対照と比較して、導入後A)3日目、B)9日目、およびC)21日目のHBsAgレベルの減少におけるStab4/5(Sirna30355/30366)、Stab7/8(Sirna30612/30620)、およびStab7/11(Sirna30612/31175)化学的性質および全リボsiNA構造(Sirna30287/30298)を持つ修飾siNA構造の作用を示す。また、siNA濃度D)100nM、E)50nM、およびF)25nMにおける時間関数として対応する抑制率も示している。
図78は、本発明の線形二本鎖構造及びその非対称派生を含むリン酸化siNA 分子の限定を目的としない例を示す。
図79は、本発明の科学的修飾されたリン塩酸酸化端グループの限定を目的としない例を示す。
図80は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBV DNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。
図81は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBVS抗体(HBsAg)の減少に関する限定を目的としない例を示す。
図82は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBV RNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。
図83は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理5日後、7日後のマウスにおける血清HBV DNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。
図84は、すべてのStab7/8化学修飾siNA構造を使用したスクリーニングから選択したルシフェラーゼRNA80、237、および1478位を標的とするStab7/8化学修飾したsiNA構造を利用した、ルシフェラーゼ発現の用量依存的減少アッセイの限定を目的としない例を示す。
図85は、すべてのStab7/8化学修飾siNA構造を使用したスクリーニングから選択したルシフェラーゼRNA1544および1607位を標的とするStab7/8化学修飾したsiNA構造を利用した、ルシフェラーゼ発現の用量依存的減少アッセイの限定を目的としない例を示す。
図86は、未処理、脂質、および逆位の対照と比較して、レプリコンシステムにおいてHCV RNAの様々な部位を標的とするStab7/8siNA構造のアッセイスクリーニングの限定を目的としない例を示す。図に示すように、幾つかのStab7/8構造をHCV RNAレベルの減少で示されるような潜在的抗HCV作用で識別した。
図87は、未処理、および逆位の対照と比較して、HEpG2細胞においてHBV RNAの様々な部位を標的とするStab7/8siNA構造のアッセイスクリーニングの限定を目的としない例を示す。図に示すように、幾つかのStab7/8構造をHBV S抗原レベルの減少で示されるような潜在的抗HBV作用で識別した。
図88は、未処理の細胞およびマッチする化学逆位対照との比較で、HEpG2細胞におけるHBV RNAの1580位を標的とする化学修飾siNA構造(例、Stab7/8、7/10、7/11、9/8、および9/10)の様々な組み合わせに関するアッセイスクリーニングの限定を目的としない例を示す。図に示すように、試験した化学的性質の組み合わせは、HBV S抗原レベルの減少で示されるような潜在的抗HBV作用を示した。
図89は、未処理の細胞およびマッチする化学逆位対照との比較で、HEpG2細胞におけるHBV RNAの1580位を標的とする化学修飾siNA構造(例、Stab7/8、9/10、6/11、16/8、16/10、18/8および18/10)の様々な組み合わせに関するアッセイスクリーニングの限定を目的としない例を示す。図に示すように、試験した化学的性質の組み合わせは、HBV S抗原レベルの減少で示されるような潜在的抗HBV作用を示した。
図90は、未処理の細胞およびマッチする化学逆位対照との比較で、HEpG2細胞におけるHBV RNAの1580位を標的とする化学修飾siNA構造(例、Stab4/8、4/10、7/5、7/10、9/5,9/8および9/11)の様々な組み合わせに関するアッセイスクリーニングの限定を目的としない例を示す。図に示すように、試験した化学的性質の組み合わせは、HBV S抗原レベルの減少で示されるような潜在的抗HBV作用を示した。
図91は、適合する化学逆位対照と比較して、HBV RNAの1580位を標的とするポリエチリミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)で形成したStab9/10siNAを流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBV DNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。
図92は、適合する化学逆位対照と比較して、HBV RNAの1580位を標的とするポリエチリミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)で形成したStab9/10siNAを流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBsAgの減少に関する限定を目的としない例を示す。
図93は、ポリエチリミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)導入剤の一般的な構造の限定を目的としない例を示す。
図94Aは、パリンドロームおよび/または標的核酸配列において識別される反復核酸配列を利用する自己相補DFO構造のデザインに使用される方法の限定を目的としない例を示す。(i)パリンドロームまたは反復配列は核酸標的配列において識別される。(ii)配列は前記標的核酸配列および前記パリンドローム配列に相補的となるようデザインされる。(iii)相補配列の非パリンドローム/反復部位の逆位反復配列は、相補配列の3’端に付加され、核酸標的に対する配列相補性を持つ自己相補DFO分子を生成する。(iv)前記DFO分子は自己組織化し、二本鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。図94Bは、二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の限定を目的としない代表的な例を示す。図94Cは、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化スキームの限定を目的としない例を示す。図94Dは、遺伝子発現の調節につながる標的核酸配列との相互作用が後に続く、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化スキームの限定を目的としない例を示す。
図95は、問題となる任意の標的核酸配列に配列相補性を持つDFO構造に組み込まれるパリンドロームおよび/または反復核酸配列を利用した自己相補DFO構造のデザインに関する限定を目的としない例を示す。それらのパリンドローム/反復配列を組み込むことによって、二重鎖を形成するようにDFO構造をデザインすることができる。ここで、各鎖は例えばRNAiによって標的遺伝子の発現の調節を仲介することができる。最初に標的配列を識別する。次に相補配列を生成する。ここでヌクレオチドまたは非ヌクレオチド修飾(XまたはYで表示)を、人工パリンドローム(図ではXYXYXYで表示)を生成する相補配列に導入する。逆反復の非パリンドローム/反復相補配列は前記相補配列の3’端に付加され、前記核酸標的に対して配列相補性を含む自己相補DFOを生成する。前記DFOは自己組織化して二本鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。
図96は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む本発明の多機能siNA分子に関する限定を目的としない例を示す。図96Aは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二相補領域は多機能siNAにある各ポリヌクレオチド配列の3’端に位置する。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。図96Bは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二相補領域は多機能siNAにある各ポリヌクレオチド配列の5’端に位置する。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。
図97は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる区別できる領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分子に関する限定を目的としない例を示す。図97Aは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。 ここで、第二相補領域は多機能siNAにあるポリヌクレオチド配列の3’端に位置する。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。図97Bは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第一相補領域は多機能siNAにあるポリヌクレオチド配列の5’端に位置する。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。 1つの態様においては、それら多機能siNA構造はインビボまたはインビトロで処理され、図96に示す多機能siNA構造を生成する。
図98は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む本発明の多機能siNA分子に関する限定を目的としない例を示す。ここで多機能siNA構造はさらに自己相補的な、パリンドローム、あるいは反復領域を含み、それによって、異なる標的核酸配列に対してRNA干渉を仲介することのできる、より短い二機能のsiNA構造が可能になる。図98Aは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二相補領域は多機能siNAにある各ポリヌクレオチド配列の3’端に位置する。ここで第一および第二相補領域は、さらに自己相補的な、パリンドロームあるいは反復地域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。図98Bは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二相補領域は多機能siNAにある各ポリヌクレオチド配列の5’端に位置する。ここで第一および第二相補領域は、さらに自己相補的な、パリンドローム あるいは反復領域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。
図99は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる区別できる領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分子に関する限定を目的としない例を示す。ここで多機能siNA構造はさらに自己相補的な、パリンドロームあるいは反復領域を含み、それによって、異なる標的核酸配列に対してRNA干渉を仲介することのできる、より短い二機能のsiNA構造をが可能になる。図99Aは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第二相補領域は多機能siNAにあるポリヌクレオチド配列の3’端に位置する。ここで第一および第二相補領域は、さらに自己相補的な、パリンドロームあるいは反復地域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。図99Bは、第一標的核酸配列(相補領域1)に対して相補的な第一領域、および第二標的核酸配列(相補領域2)に対して相補的な第二領域を持つ多機能siNA分子の限定を目的としない例を示す。ここで、第一相補領域は多機能siNAにあるポリヌクレオチド配列の5’端に位置する。ここで第一および第二相補領域は、さらに自己相補的な、パリンドロームあるいは反復領域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列の破線部分は、siNA二重鎖の対応部分に関して相補性を持つが、標的核酸配列に対する相補性は持たない。1つの態様においては、それら多機能siNA構造はインビボまたはインビトロで処理され、図98に示す多機能siNA構造を生成する。
図100は、例えばサイトカインおよびそれに対応する受容体、異なるウィルス鎖、ウィルス感染または複製に関与するウィルスおよび細胞タンパク質、または疾患の維持または進行に関与する一般的または分岐生物経路に関与するウィルスおよび細胞タンパク質といった異なるタンパク質をコードする個別のRNA分子等の2つの個別の標的核酸分子を本発明の多機能siNA分子がどのように標的とすることができるかに関する限定を目的としない例を示す。多機能siNA構造の各鎖は、標的核酸分子を分離するための相補性を持つ領域を含む。前記多機能siNA分子は、siNAの各鎖がRISC複合体に利用されて対応する標的のRNA干渉仲介切断を開始するようにデザインされる。それらのデザインパラメータは、siNA構造の各末端の不安定化を含むことができる(例として、シュワルツ(Schwarz)ら,2003年,細胞(Cell),115,199−208を参照)。そのような不安定化は、例えばグアノシン−シジチン塩基対、代替塩基対(例、ゆらぎ)を使用して、または当該技術分野において知られる末端ヌクレオチド位における化学修飾ヌクレオチドを不安定化することで実現できる。
図101は、RNAの代替のコード領域、RNAのコード領域および非コード領域、あるいはRNAのスプライスバリアント領域のような、同一標的核酸分子内の2つの個別の標的核酸分子配列を、本発明の多機能siNA分子がどのように標的とすることができるかに関する限定を目的としない例を示す。多機能siNA構造の各鎖は、標的核酸分子の個別の領域に相補性を持つ領域を含む。前記多機能siNA分子は、siNAの各鎖がRISC複合体に利用されて対応する標的領域のRNA干渉仲介切断を開始するようにデザインされる。それらのデザインパラメータは、siNA構造の各末端の不安定化を含むことができる(例として、シュワルツ(Schwarz)ら,2003年,細胞(Cell),115,199−208を参照)。そのような不安定化は、例えばグアノシン−シジチン塩基対、代替塩基対(例、ゆらぎ)を使用して、または当該技術分野において知られる末端ヌクレオチド位における化学修飾ヌクレオチドを不安定化することで実現できる。
図102は、流体力学的注射を介してHBV発現ベクターで事前処理したマウスにおけるBV RNAの263位を標的とするStab7/8siNA構造の全身的静脈投与に続く血清HBV DNAレベルの用量依存的減少の限定を目的としない例を示す。siNA処理グループを逆位の対照または食塩水グループと比較した。前記食塩水グループとの比較で、30mg/kgグループにおいて0.93ログの統計的に重要な(P<0.01)減少が観察された。この結果は、全身投与したsiNAのインビボ作用を示している。
図103は、HBVCo−HDIマウスモデルにおいて、マッチする化学逆位対照、同一配列を持つ全RNA siNA構造(RNA活性)、および対応する全RNA逆位対照(RNA Inv)との比較で、完全に安定したsiNA構造の作用を示す。1μgのpWTD HBVベクターおよび0、0.03、0.1、0.3、または1.0μgのsiNAを含む流体力学的尾静脈注射(HDI)をC57BL/J6マウスで実施した。天然RNAおよび安定した化学的性質における活性siNA二重鎖および逆位の配列対照を試験した。注射後72時間で血清HBV DNAおよびHBsAgのレベルを計測した。図103AはHBV血清DNAレベルの結果、図103Bは血清HBsAgレベルの結果、および図103Cは本試験の肝臓HBV RNAレベルの結果を示す。
図104は、図95に記載の問題となる任意の標的核酸配列に対して配列相補性を持つDFO構造に組み込まれるパリンドロームおよび/または反復核酸配列を利用した自己相補DO構造のデザインに関する限定を目的としない例を示す。パリンドローム/反復配列は、標的核酸配列の一部と相互作用できる化学修飾ヌクレオチドを含む(例、ワトソン−クリック塩基対または2−アミノプリンまたは2−アミノ−1,6−ジヒドロプリンヌクレオチドまたはユニバーサルヌクレオチド等の非ワトソン−クリック塩基対を形成できる修飾した塩基類似体の使用)。
図105は、本発明のDFO分子を使用したVEGFR1 RNA発現の抑制に関する限定を目的としない例を示す。化合物番号32808、32809、32810、32811、および32812から生成した二重鎖DFO構造を、VEGFR1 RNA(化合物番号32748/32755、33282/32289、31270/31273)、マッチする化学逆位対照(化合物番号32772/32779、32296/32303、31276/31279)、および導入剤対照(LF2K)に対して周知の作用を持つsiNA分子とともに試験した。図に示すように、自己相補DFO配列32812は、VEGFR1 RNAの潜在的抑制を示す。化合物番号の配列は表Iに示す。
図106は、HBsAgレベルで試験されるような本発明のDFO分子を使用するHBV RNA発現の抑制に関する限定を目的としない例を示す。化合物32221および同一配列(32221フォールド)で形成されるヘアピンから生成される二重鎖DFO構造を、HBV RNA(化合物番号31335/31337)、マッチする化学逆位対照(化合物番号31336/31338)、および未処理の細胞(未処理)に対して周知の作用を持つsiNA構造とともに試験した。図に示すように、自己相補DFO配列32221は、二重鎖としてHBV HBsAgの顕著な抑制を示す。化合物番号の配列は表Iに示す。
図107は、人工的に生成された200K遺伝子配列において6ヌクレオチドから14ヌクレオチドの様々なパリンドロームが発生する可能性を判定する方法を使用することで得られた結果に関する限定を目的としない例を示す。シミュレーションでは、通常6−merパリンドロームが指定の各64ヌクレオチド配列に対して1回発生することが明らかとなった。8−merパリンドロームは、各250ヌクレオチド配列に対して1回発生することがわかった。それらの計算頻度は指定の標的配列におけるパリンドロームの観察頻度と適合する。これによって、平均約78の6−merパリンドロームが任意の指定5K遺伝子に存在することを推定することができる。
図108は、Luc2、TGB−β受容体−1、VEGF、VEGFR1、VEGFR2、HIVNL23、ワクシニア、およびHCVを含む様々な遺伝子における6−merパリンドロームの存在の判定に使用した試験の限定を目的としない例を示す。この判定により、各遺伝子配列において多くのパリンドローム部位が識別された。このアルゴリズムでは、ワトソン−クリック塩基対のみを考慮し、任意のミスマッチおよびゆらぎ塩基対の存在は除外した。ミスマッチ、ゆらぎ塩基対、および非ワトソン−クリック塩基対を含めることで、追加の最小二重鎖形成オリゴヌクレオチドのデザインに適した多くの半パリンドローム部位が生じる。
図109は、TGF−β受容体−1標的RNA発現のDFOを仲介とした減少の限定を目的としない例を示す。表Iに自己相補DFOパリンドローム/反復配列(例、化合物番号35038、35041、35044、および35045)をTGFβ受容体−1RNA標的に対してデザインし、細胞培養実験および無関係の対照(対照1、対照2)、および導入対照を伴う未処理の細胞(LF2K)においてスクリーニングした。5μL/ウェルのNMUMg細胞を25および100nM DFOと混合した脂質とともに導入した。DFO導入混合物の継続存在下で細胞を37℃で24時間培養した。24時間後、RNAを各ウェルの処理細胞から生成した。最初に導入混合物を含む上清を除去および廃棄し、次に前記細胞を溶解して各ウェルからRNAを生成した。正常化する目的で、TGF−β受容体mRNAおよび対照遺伝子(36B4、RNAポリメラーゼサブユニット)に関して、処理に続く標的遺伝子の発現をRT−PCRにより評価した。図に示すように、DFO構造はこのシステムにおいてTGF−β受容体−1RNA発現の潜在的抑制を示した。
図110は、HepG2細胞におけるHBVおよびPKC−αRNAを標的とする多機能siNA構造を使用したHBV RNAの抑制の限定を目的としない例を示す。
図111は、HepG2細胞におけるHBVおよびPKC−αRNAを標的とする多機能siNA構造を使用したPKC−αRNAの抑制の限定を目的としない例を示す。
[図112(A〜H)]図112(A−H)は、本発明の連結された多機能siNA構造の限定を目的としない例を示す。表示の例において、リンカー(例、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー)は2つのsiNA領域(例、2つのセンス、2つのアンチセンス、または代替として1つのセンス領域および1つのアンチセンス領域)を結合する。第一標的配列および第二標的配列に対応する個別のセンス(またはセンスおよびアンチセンス)配列 は、多機能siNAにおいてそれらに対応するセンスおよび/またはアンチセンス配列に対してハイブリダイズする。さらに、選択的または高い送達および/または薬物動態特性を目的として、様々なコンジュゲート、リガンド、アプタマー、ポリマーまたはレポーター分子をリンカー領域に接続することができる。
図113は、様々なデンドリマーベースの多機能siNAデザインの限定を目的としない例を示す。
図114は、様々な超分子の多機能siNAデザインの限定を目的としない例を示す。
図115は、30ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーの限定を目的としない例を示す。30塩基対の二重鎖は、ダイサーによっていずれかの末端から22および8塩基対生成物に切断される(8塩基対部分は表示せず)。表示を簡略化するため、ダイサーにより生成される突出部は表示しないが、補うことができる。3つの標的配列を示す。必要な配列の重複単位はグレーのボックスで表示する。安定した化学的性質において試験する場合、親30塩基対siNAのN’は、ダイサー切断が可能な2’−OH位の部位を提示している。ダイサーRNaseIIIによる30mer二重鎖の処理では精密に22+8に切断されるのではなく、一連の近似する生成物(初期位として22+8を持つ)が生成される。そのため、ダイサーによる処理で一連の活性siNAが産出される。
図116は、40ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーの限定を目的としない例を示す。40塩基対の二重鎖は、ダイサーによっていずれかの末端から20塩基対生成物に切断される。表示を簡略化するため、ダイサーにより生成される突出部は表示しないが、補うことができる。4つの標的配列を青、薄青色、赤およびオレンジの4色で示す。必要な配列の重複単位はグレーのボックスで表示する。このデザイン形式はより大きなRNAに拡大することができる。化学的に安定したsiNAがダイサーにより結合される場合、次に戦略的に配置されたリボヌクレオチド結合によってデザイナー切断生成物が可能になり、我々の多機能デザインのレパートリーをさらに拡大することができる。例えば、約22ヌクレオチドのダイサー標準に限定されない切断生成物によって、例えば約3から約15ヌクレオチドの範囲で重複する標的配列単位を持つ多機能siNA構造を実現することができる。
図117は、HBVの263位を標的とする多機能siNA構造を可能にするダイサーによるHBV RNAの抑制の限定を目的としない例を示す。siNAアンチセンス鎖(例、3’−TT突出部を持つ二重鎖における21ヌクレオチド鎖)の最初の17ヌクレオチドが標的RNAに対して相補的である場合、25nMで強固なサイレンシングが観察された。同一形式で16ヌクレオチドのみが相補性を持つ場合、80%のサイレンシングが認められた。
図118は、本発明の追加の多機能siNA構造デザインの限定を目的としない例を示す。1つの態様においては、コンジュゲート、リガンド、アプタマー、ラベル、または他の部分を多機能siNAの一領域に結合することで高い送達または薬物動態プロファイリングが実現する。
図119は、本発明の追加の多機能siNA構造デザインの限定を目的としない例を示す。1つの態様においては、コンジュゲート、リガンド、アプタマー、ラベル、または他の部分を多機能siNAの一領域に結合することで高い送達または薬物動態プロファイリングが実現する。
図120は、RNAiの有効性に関して、完全な塩基対配列長のsiNA構造の効果を判定するためにデザインされた実験の限定を目的としない例を示す。siNA仲介抑制のために十分に特徴付けられた部位であるHBV RNAの263位を選択した。siNA分子は3’端ジヌクレオチドTT突出部を持つ約19から39リボヌクレオチド塩基対の長さである。複製可能なHBV DNAを持つヒト肝細胞の癌細胞ラインHep G2は、HBVタンパク質の発現が生じ、ビリオンが生成される。HBV RNAに対して標的となる異なる長さのsiNAの有効性を試験するため、HBVプレゲノムRNA内の263位を標的とする幾つかのsiNA二重鎖をHBVゲノムDNAとともに25nMで一度、12.5μg/mlの脂質とともにHep G2細胞に導入した。またRT PCRで分析した次のレベルのHBV RNAを263位に逆位の対照で処理した細胞および未処理の細胞と比較した。図に示すように、19から39塩基対のsiNA構造は、このシステムにおけるHBV RNAの抑制においてすべて有効であった。
本発明の核酸分子の作用機序
以下の考察は、現在知られている低分子干渉RNAを介したRNA干渉の機構を論じるものであり、本発明を限定する意図はなく、従来技術であると承認するものではない。本出願人は、本明細書にて化学的に修飾された低分子干渉核酸がsiRNA分子同様に類似の、または改善されたRNAiを仲介する能力を有すること、また、改良された安定性とインビボ活性を有すると期待されることを示し、従って、本考察はsiRNAのみに限定されず、siNA全体に応用され得る。「RNAiを仲介する改良された能力」または「改良されたRNAiアクティビティー」の語は、インビトロまた/もしくはインビボでRNAiアクティビティーを測定したものを含んで意味し、RNAiアクティビティーはRNAiを仲介するsiNAの活性と本発明のsiNAの安定性、双方の反映である。本発明では、全てのRNA、複数のリボヌクレオチドを含むsiRNAもしくはsiNAと比較して、これらの活性による結果はインビトロまた/もしくはインビボで上昇し得る。ある場合においては、siNA分子の活性または安定性は低下し得るが(すなわち10倍未満)、siNA分子の全体的な活性はインビトロまた/もしくはインビボで改良された。
RNA干渉は、動物における低分子干渉RNA(siRNA)によって仲介される配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングの過程を指す(ゼイモア(Zamore)等、2000、セル誌(Cell)、101、25−33、ファイヤー(Fire)等、1998、ネイチャー誌(Nature)、391、806)。植物においてこれに相当する過程は、一般的に転写後遺伝子サイレンシング、またはRNAサイレンシング、菌類ではクエリング(quelling)とも呼ばれる。この転写後遺伝子サイレンシングの過程は、様々なフローラや門で一般的に共有される外来遺伝子の発現を防ぐために用いられる、進化上保存された細胞の防衛機構であると考えられている(ファイヤー(Fire)等、1999、トレンド遺伝学誌(Trends Genet.)、15、358)。このような外来遺伝子の発現からの防御は、ウィルス感染による二重鎖RNA(dsRNA)産物、またはトランスポゾン因子の宿主ゲノムへのランダムな組み込みに対して、相同的な一本鎖RNAを特異的に破壊する細胞応答で対処するために進化したのかもしれない。その機構はまだ完全には明らかにされていないが、dsRNAまたはウィルスのゲノムRNAが細胞内に存在することによってRNAi反応が引き起こされる。この機構は、dsRNAに仲介されるプロテインキナーゼPKRの活性化の結果起こる反応と、リボヌクレアーゼLによる非特異的なmRNA切断の結果起こる2’、5’−オリゴアデニル生成とで異なるようである。
長鎖dsRNAが細胞内に存在すると、ダイサーと呼ばれるリボヌクレーゼIII酵素の活性を刺激する。ダイサーは、dsRNAが低分子干渉RNA(siRNA)として知られるdsRNAの短い断片になる過程に関わっている(バースタイン(Berstein)等、2001、ネイチャー誌(Nature)、409、363)。ダイサー活性によって生じる低分子干渉RNAは、一般的に約21から約23ヌクレオチドの長さで、約19塩基対の二重鎖を含む。ダイサーは、翻訳制御に関連した保存構造であるRNA前駆体からの21および22ヌクレオチドの低分子の一時RNA(stRNA)除去にも関係している(ハットヴァーグナー(Hutvagner)等、2001、サイエンス誌(Science)、293、834)。RNAi反応はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と一般的に呼ばれる、siRNAとの相同配列を持つ一本鎖RNAの切断を仲介するsiRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体としての役割がある。標的RNAの切断はsiRNA二重鎖であるガイド配列に相補的な中央の領域で行われる(エルバシール(Elbashir)等、遺伝子と発生誌)Genes Dev.)、15、188)。加えて、RNA干渉は、おそらくクロマチン構造を制御し、それによって標的遺伝子配列の転写を防ぐという細胞機構を通じた、短いRNA(例えば、マイクロRNA、またはmiRNA)によって仲介される遺伝子サイレンシングにも関わっている可能性がある(例えば以下の文献を参照:オールシャー(Allshire)、2002、サイエンス誌(Science)、297、1818−1819;ヴォープ(Volpe)等、2002、サイエンス誌(Science)、297、1833−1837;ジニュウェイン(Jenuwein)2002、サイエンス誌(Science)、297、2215−2218;ホール(Hall)等、2002、サイエンス誌(Science)、297、2232−2237)。例えば、本発明のsiNA分子は、転写物であるRNAとの相互作用を介して、または特定の遺伝子配列との相互作用の代わりとして遺伝子サイレンシングの仲介に使われる可能性があり、そのような相互作用は転写レベルまたは転写後レベルで遺伝子サイレンシングを引き起こす。
RNAiは様々なシステムで研究されてきた。ファイヤー(Fire)等、1998、ネイチャー誌(Nature)、391、806、は、線虫(C.elegance)で初めてRNAiを観察した。ウィアニー(Wianny)とゲッツ(Goetz)、1999、ネイチャー細胞生物学誌(Nature Cell Biol.)2、70、は、マウスの胚においてRNAiはdsRNAによって仲介されていると述べた。ハモンド(Hammond)等、2000、ネイチャー誌(Narue)、404、293、はdsRNAを形質移入したショウジョウバエ(Drosophila)細胞におけるRNAiについて述べた。エルバシール(Elbashir)等、2001、ネイチャー誌(Nature)、411、494、は、ヒトの胚の腎臓およびHeLa細胞を含むほ乳類の細胞における21ヌクレオチドの二重鎖の合成RNAの導入によるRNAi誘導について述べた。ショウジョウバエ(Drosophila)の胚ライセートにおける最近の研究では、siRNAの長さ、構造、化学組成、配列といった効率的なRNAiアクティビティーの仲介に最も重要な特定の必要条件が明らかになった。これらの研究は、21ヌクレオチドのsiRNA二重鎖は3’端の2ヌクレオチドの突出を含んでいる場合に最も活性が高いという事を示した。更に、片方または双方のsiRNA鎖を2’デオキシ、または2’−O−メチルヌクレオチドで置換した場合RNAiアクティビティーは消滅し、一方でsiRNAヌクレオチド3’端のデオキシヌクレオチドによる置換は耐用性を示した。siRNA二重鎖の中央のミスマッチ配列も、同様にRNAiアクティビティーを消滅させる事が示された。加えて、これらの研究は標的RNAの切断部位の位置はsiRNAの3’端ではなく5’端によって規定されるという事も示された(エルバシール(Elbershir)等、2001、欧州分子生物学協会誌(EMBO J.)、20、6877)。siRNA二重鎖の標的相補鎖の5’リン酸がsiRNA活性に必要であり、siRNAの5’リン酸部分の維持にATPが用いられると別の研究が示したが(ニカネン(Nykanen)等、2001、セル誌(Cell)、107、309)、一方で、外因的に導入された場合には5’リン酸が欠けているsiRNA分子は活性であり、siRNAコンストラクトの5’リン酸化がインビボで起こるのかもしれないと示唆されている。
本発明の二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)
1つの態様においては、本発明は、二重鎖オリゴヌクレオチドへと自己集合することができる二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)を含むsiNA分子を特色としている。本発明の二重鎖形成オリゴヌクレオチドは、化学的に合成するか、転写単位および/またはベクターから発現することができる。本発明のDFO分子は、様々な治療、診断、農業、畜産、標的の確認、ゲノム上の発見、遺伝子工学、薬理ゲノミクス上の応用に、有用な試薬と方法を供給する。
本明細書においては便宜上、二重鎖形成オリゴヌクレオチドまたはDFO分子と呼ぶが、本出願人は本明細書において、これらに限定されない特定のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の配列特異的な調節の有力なメディエーターであることを示す。二重鎖オリゴヌクレオチドになるよう自己集合するようデザインされた、二重鎖オリゴヌクレオチドのそれぞれの鎖が、標的核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を含む線状のポリヌクレオチド配列群である点において、本発明のオリゴヌクレオチドは、当該分野で知られている他の核酸配列(例えば、siRNA、miRNA、stRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)とは異なる。従って本発明の核酸分子は、二重鎖のそれぞれの鎖に同じポリヌクレオチド配列を含み、それぞれの鎖が標的核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を含む、機能的な二重鎖へと自己集合することができる。
一般的に、二重鎖のオリゴヌクレオチドは、一つの鎖のオリゴヌクレオチド配列が二つ目の鎖のオリゴヌクレオチド配列と相補的である、二つの異なるオリゴヌクレオチド配列の集合によって形成され、そのような二重鎖オリゴヌクレオチドは二つの分離したオリゴヌクレオチドが集合するか、または、当該分野ではしばしばヘアピン様ステムループ構造(例えば、shRNA、または短いヘアピンRNA)と呼ばれる、二重鎖構造を形成するように折り畳まった一つの分子から形成される。当該分野で知られる二重鎖のそれぞれの鎖に全て共通の特徴がある全てのこれらの二重鎖オリゴヌクレオチドには、特徴的なヌクレオチド配列がある。
当該分野で知られる二重鎖核酸分子とは異なり、本出願人は、新規の、潜在的な費用効率が高い、一本鎖または線状のオリゴヌクレオチドから二重鎖核酸分子を形成する簡便な方法を開発した。二重鎖オリゴヌクレオチドの二つの鎖は、同じヌクレオチド配列を持ち、非共有結合で互いに結合された本発明に従って形成された。前述の二重鎖オリゴヌクレオチド分子は、合成後に当該分野で既知の手法と試薬によって容易に結合することができ、本発明の範囲内である。1つの態様においては、二重鎖を形成する本発明(二重鎖形成オリゴヌクレオチド)の一本鎖オリゴヌクレオチドは、第一の領域と第二の領域を含み、第二の領域は第一の領域のヌクレオチド配列の逆方向反復のヌクレオチド配列を含むか、もしくは、二重鎖の片方の鎖のヌクレオチド配列が二本目の鎖のヌクレオチド配列と同一である二重鎖オリゴヌクレオチドを、自己集合して形成するような部分を含む。上述の二重鎖形成オリゴヌクレオチドの限定を目的としない例が図94および95に描かれている。これらの二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)は状況に応じて特定のパリンドロームまたは反復配列を含むことができ、そのようなパリンドロームまたは反復配列は、DFOの第一の領域と第二の領域の間に存在する。
1つの態様においては、本発明は、二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)中に標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列である二重鎖を形成する自己相補的な核酸配列を含むDFO分子であることを特徴とする。DFO分子は自己相補配列を単独で、またはそのような自己相補配列による集合の結果生じた二重鎖を含む可能性がある。
1つの態様においては、本発明の二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)は第一の領域と第二の領域を含み、第二の領域はDFO分子が二重鎖ヌクレオチドに自己集合できるように第一の領域のヌクレオチド配列の逆方向反復のヌクレオチド配列を含む。そのような二重鎖オリゴヌクレオチドは、遺伝子発現を調節する低分子干渉核酸(siNA)として作用することができる。本発明のDFO分子によって二重鎖形成された二重鎖オリゴヌクレオチドのそれぞれの鎖は、標的核酸分子(例えば、標的RNA)の同じヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列領域を含む可能性がある。
1つの態様においては、本発明は、二重鎖オリゴヌクレオチドへと自己集合できる一本鎖のDFOであることを特徴とする。本出願人は意外にも、自己相補性のヌクレオチド領域を有する一本鎖オリゴヌクレオチドが容易に二重鎖オリゴヌクレオチド構造に自己集合できるということを見いだした。このようなDFOは、配列特異的に遺伝子発現を阻害することができる二重鎖へと自己集合することができる。本発明のDFO分子は、第二領域のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を持つ第一領域を含み、その第一領域の配列は標的核酸(例えばRNA)に相補的である。DFOは、二重鎖オリゴヌクレオチドそれぞれの鎖の一部分が標的核酸配列に相補的な配列を含む二重鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。
1つの態様においては、本発明の二重鎖オリゴヌクレオチドは、二重鎖オリゴヌクレオチドの二本の鎖は互いに共有結合で結合されていない、また、二重鎖オリゴヌクレオチドのそれぞれの鎖は標的核酸分子またはその一部のヌクレオチド配列と同一の配列に対して相補的なヌクレオチド配列を含んでいるという点を特徴とする。別の態様においては、二重鎖オリゴヌクレオチドの二本の鎖は少なくとも約15、望ましくは約16、17、18、19、20、または21ヌクレオチドの同一のヌクレオチド配列を共有している。
1つの態様においては、本発明のDFO分子は化学式DFO−I:
の構造を有し、
式中、Zは場合によっては1か所以上の修飾されたヌクレオチド(2−アミノプリン、2−アミノ−1,6−ジヒドロプリン、またはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)を含んだ、例えば約2から24ヌクレオチドの偶数の長さ(例えば、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22または24ヌクレオチド)のパリンドロームまたは反復核酸配列を含み、Xは、例えば約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を示し、X’は、Xかその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在していても存在していなくてもよく、式中の配列XおよびZは、標的核酸配列またはその一部に相補的な核酸配列を単独または同時に含み、その長さは標的核酸配列またはその一部と相互作用するのに十分な長さ(例えば、塩基対)である。例えば、Xは標的RNAやその一部に相補的な、約12から約21以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)の長さのヌクレオチドを単独で含むことができる。限定を目的としない他の例では、XおよびZのヌクレオチド配列の長さは共に、標的RNAやその一部に相補的なXが存在している場合には、約12から21、もしくはそれ以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)のヌクレオチドである。更に、限定を目的としない他の例では、Xが存在しない場合、標的RNAやその一部に相補的なZのヌクレオチド配列の長さは約12から約24、もしくはそれ以上(例えば、約12、14、16、18、20、22、24、またはそれ以上)のヌクレオチドである。1つの態様においては、X、Z、およびX’は、Xおよび/またはZは、標的RNAやその一部のヌクレオチド配列と相互作用するのに十分な長さ(例えば、塩基対)のヌクレオチド配列を含んでいるオリゴヌクレオチドである。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチド、XおよびZ、またはZおよびX’、またはX、ZおよびX’の長さは同一か異なっているかのどちらかである。
ある配列が、本明細書中で他の配列と相互作用するのに「十分な」長さ、(すなわち塩基対)と述べられている場合には、二つの配列間に形成される結合の数(例えば、水素結合)が二つの配列が相互作用させる条件かで二重鎖を形成することができる十分な長さを意味する。そのような条件は、インビトロ(例えば、診断やアッセイ目的)もしくはインビボ(治療上の目的)であり得る。そのような長さを決定するのは容易で日常的作業である。
1つの態様においては、本発明は、DFO分子はDFO−I (a):
のような特徴を有し、
式中、Zは1か所以上の修飾されたヌクレオチド(2−アミノプリン、2−アミノ−1,6−ジヒドロプリン、またはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)を含んだ、例えば約2から24ヌクレオチドの偶数の長さ(例えば、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22または24ヌクレオチド)のパリンドロームまたは反復配列様の核酸配列を含み、Xは、例えば約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を示し、X’は、Xかその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在している場合もしていない場合もあり、式中の配列XおよびZは、標的核酸配列またはその一部に相補的な核酸配列をそれぞれ単独で含み、その長さは標的核酸配列またはその一部と相互作用するのに十分な長さである。例えば、Xの配列は標的RNAやその一部に相補的な、約12から約21以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)の長さのヌクレオチドを単独で含むことができる。限定を目的としない他の例では、XおよびZのヌクレオチド配列の長さは共に、(Xが存在している場合)標的RNAやその一部に相補的な、約12から21、もしくはそれ以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)のヌクレオチドである。更に、限定を目的としない他の例では、Xが存在しない場合、標的RNAやその一部に相補的なZのヌクレオチド配列の長さは約12から約24、もしくはそれ以上(例えば、約12、14、16、18、20、22、24、またはそれ以上)のヌクレオチドである。1つの態様においては、X、Z、およびX’は、Xおよび/またはZは、標的RNAやその一部のヌクレオチド配列と相互作用するのに十分な長さ(例えば、塩基対)のヌクレオチド配列を含んでいるオリゴヌクレオチドである。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチド、XおよびZ、またはZおよびX’、またはX、ZおよびX’の長さは同一か異なっているかのどちらかである。1つの態様においては、化学式I(a)の二重鎖オリゴヌクレオチドの構造は、一つかそれ以上、具体的には1、2、3、もしくは4のミスマッチを含み、このようなミスマッチの範囲が標的遺伝子の発現を阻害する二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を減少させることはない。
1つの態様においては、本発明のDFO分子は化学式DFO−II:
の構造を含み、
式中、XおよびX’は約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドをそれぞれ独立に含み、式中のXは例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、X’は配列Xまたはその一部に相補的なヌクレオチド配列を有する例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在している場合もしていない場合もあり、式中のXは標的核酸配列(例えばRNA)もしくはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、その長さは標的核酸配列またはその一部と相互作用(例えば塩基対)するのに十分な長さである。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは、比較的安定な二重鎖オリゴヌクレオチドを形成するのに十分な長さである。
1つの態様においては、本発明は化学式DFO−II(a):
の構造を持つ二重鎖オリゴヌクレオチド構造を特徴とし、
式中、XおよびX’は約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドをそれぞれ独立に含み、式中のXは例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、X’は配列Xまたはその一部に相補的なヌクレオチド配列を有する例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在している場合もしていない場合もあり、式中のXは標的核酸配列(例えばRNA)もしくはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、その長さは標的核酸配列またはその一部と相互作用(例えば塩基対)するのに十分な長さである。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは、比較的安定な二重鎖オリゴヌクレオチドを形成するのに十分な長さである。1つの態様においては、化学式II(a)の二重鎖オリゴヌクレオチドの構造は、一つかそれ以上、具体的には1、2、3、もしくは4のミスマッチを含み、このようなミスマッチの範囲が標的遺伝子の発現を阻害する二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を減少させることはない。
1つの態様においては、本発明のDFO分子は化学式DFO−I(b):
の構造を含むのを特徴とし、
式中、Zは、1か所かそれ以上の他のヌクレオチドと塩基対形成を容易にすることができる非標準の、もしくは修飾されたヌクレオチド(2−アミノプリンまたはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)を場合によって含んだ、パリンドロームもしくは反復核酸配列を含む。Zは、標的核酸(例えばRNA)分子のヌクレオチド配列と相互作用(例えば塩基対)するのに十分な長さ、望ましくは少なくとも12ヌクレオチドの長さで、具体的には約12から約24ヌクレオチド(例えば約12、14、16、18、20、22もしくは24ヌクレオチド)でありうる。pは末端リン酸基を表し、これは存在していてもよく存在していなくてもよい。
1つの態様においては、化学式DFO−I、DFO−I(a)、DFO−I(b)、DFO−II(a)またはDFO−IIのいずれかを含むDFO分子は、本明細書で述べられた、しかしこれに限定されない、例えば化学式I〜VIIのいずれかを含むヌクレオチドや、表IVに述べられた安定化反応、もしくは本明細書で述べられた様々な例のような他の修飾ヌクレオチドや非ヌクレオチドとのいずれかの組み合わせの化学修飾を含む。
1つの態様においては、化学式DFO−I、DFO−I(a)およびDFO−I(b)を有するDFOコンストラクトのZのパリンドロームまたは反復配列または修飾されたヌクレオチド(2−アミノプリンまたはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)は、標的核酸配列の一部分と相互作用できる化学修飾されたヌクレオチド(例えば、ワトソン−クリック塩基対または非ワトソン−クリック塩基を形成することができる、修飾された塩基アナログ)を含む。
1つの態様においては、例えば化学式DFO−IまたはDFO−IIを有するDFOといった本発明のDFO分子は、約15から約40ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチド)を含む。1つの態様においては、本発明のDFO分子は一つかそれ以上の化学修飾を含む。限定を目的としない例において、化学修飾されたヌクレオチドおよび/また非ヌクレオチドの本発明の核酸への導入は、外因的に供給された修飾されていないRNA分子特有のインビボでの安定性と生物学的利用能の潜在的な限界を乗り越える強力なツールを提供する。化学修飾された核酸は血清中または細胞内または組織内でより長い半減期を持つ傾向にあるため、例えば、化学修飾された核酸分子の利用は特定の核酸分子の用量をより少なくすることができる。更に、特定の化学修飾は、半減期を改善するだけでなく核酸分子の特定の器官や細胞、組織へのターゲティングを容易にし、および/また核酸分子の細胞への取込みを改善することによって、生物学的利用能および/また核酸分子の作用強度を向上させる。従って、化学修飾された核酸分子の活性が、インビトロで野生型の/修飾されていない核酸分子との比較で、例えば修飾されていないRNAと比較した場合に活性が減少したとしても、安定性と作用強度、効果持続期間、生物学的利用能、および/また分子の供給が改善されるために、修飾された核酸分子の全体的な活性は野生型または修飾されていない核酸分子より高い可能性がある。
本発明の多機能または多標的のsiNA分子
1つの態様においては、本発明は、細胞や組織、または生物体といった生体系のなかで、一つかそれ以上の遺伝子の発現を調節する多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子を含むことを特徴とする。本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子は、標的核酸配列の一つ以上の領域を標的とすることができ、もしくは一つ以上の別々の標的核酸分子の配列を標的とすることができる。本発明の多機能siNA分子は、化学的に合成するか、転写単位および/またはベクターから発現することができる。本発明の多機能siNA分子は、治療、診断、農業、畜産、標的の確認、ゲノム上の発見、遺伝子工学、および薬理ゲノミクス上の応用へとヒトへの様々な応用のための有用な試薬や方法を提供する。
本明細書においては便宜上、多機能低分子干渉核酸分子または多機能siNA分子と呼ぶが、本出願人は本明細書において、これに限定されない特定のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の配列特異的な調節の有力なメディエーターであることを示す。本発明の多機能siNA分子は、多機能siNAコンストラクトのそれぞれの鎖が、一つかそれ以上の標的核酸分子の異なる核酸配列に相補的な核酸配列を含むようにデザインされている点で、当該分野で知られている他の核酸配列(例えば、siRNA、miRNA、stRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)とは異なる。本発明の単一の多機能siNA分子(一般的に二重鎖分子)は、従って一つ以上(例えば2、3、4、5、もしくはそれ以上)の異なる標的核酸、標的分子を標的とすることができる。本発明の核酸分子は、同じ標的核酸配列の一つ以上(例えば2、3、4、5、もしくはそれ以上)の領域を標的とすることもできる。このような本発明の多機能siNA分子は、一つまたはそれ以上の標的核酸分子の発現の下方調節や阻害に有用である。例えば、本発明の多機能siNA分子は、サイトカインとそれに対応する受容体をコードする標的核酸分子、ウィルスおよびウィルスタンパク質、ウィルスの感染および/また複製に対応する細胞のタンパク質、もしくは異なる系統の特定のウィルスをコードする核酸分子を標的とすることができる。一つの多機能siNAコンストラクトで一つかそれ以上の標的核酸分子の発現を抑制または阻害することによって、本発明の多機能siNA分子は、ある疾患に関連した経路のうちの複数の標的の同時阻害を提供することができる一群の有効な治療薬となる。このような同時阻害は、個々の前臨床および臨床開発努力もしくは複雑な規制認可手続きの必要なしに、相乗的な治療上の処置戦略を提供することができる。
標的核酸分子(例えばメッセンジャーRNA)の一つ以上の領域を標的とする多機能siNA分子の利用は、遺伝子発現の有効な阻害を提供すると期待される。例えば、本発明の単一の多機能siNAコンストラクトは、保存された領域と可変領域の双方を標的とすることができ、それによって単一遺伝子によってコードされた異なるスプライスバリアントの下方調節や阻害を可能にし、もしくは標的核酸分子のコード領域および非コード領域双方のターゲティングを可能にする。
一般的に、二重鎖のオリゴヌクレオチドは、一つの鎖のオリゴヌクレオチド配列が二つ目の鎖のオリゴヌクレオチド配列と相補的である二つの異なるオリゴヌクレオチド配列の集合によって形成され、そのような二重鎖オリゴヌクレオチドは一般的に二つの分離したオリゴヌクレオチド(例えばsiRNA)が集合することによって形成される。代わりに、二重鎖はそれ自身が折り畳まる単一分子(例えば、shRNA、または短いヘアピンRNA)から形成されることができる。これらの二重鎖オリゴヌクレオチドは、RNA干渉を仲介し、二重鎖オリゴヌクレオチドのたった一か所のヌクレオチド配列領域(ガイド配列、もしくはアンチセンス配列)が標的核酸配列に相補的であり、もう一方の鎖(センス配列)は標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含んでいるという、いずれにも共通の特徴を持つということが当該分野で知られている。一般的にアンチセンス配列は活性型のRISC複合体に保持され、配列特異的RNA干渉の仲介のためにアンチセンス配列と標的配列の相補的な塩基対形成を用いて、RISCを標的ヌクレオチド配列へ導く。ある培養細胞系では、ある種の非修飾siRNAは「オフターゲット」効果を示すということが当該分野で知られている。このオフターゲット効果は、RISC複合体中のsiRNAのアンチセンス配列の代わりのセンス配列の関与に関係しているとの仮説が設けられている(例えば、シュワルツ(Schwarz)等、2003、セル誌(Cell)、115、199−208を参照のこと)。この例では、センス配列はRISC複合体を、本来の標的配列とは異なる配列(オフターゲット配列)へと導き、その結果オフターゲット配列の阻害が起ると考えられている。これらの二重鎖核酸分子では、それぞれの鎖は異なる標的核酸配列に相補的である。しかし、これらのdsRNAによって影響されるオフターゲットは完全には予測することができず、非特異的である。
当該分野で知られる二重鎖核酸分子とは異なり、本出願人は、単一の多機能siNAコンストラクトを用いて一つ以上の標的核酸配列の発現を下方調節もしくは阻害する新規の、潜在的な費用効率が高い、簡便な方法を開発した。本発明の多機能siNA分子は、二重鎖または部分的に二重鎖になるようデザインされ、そのようなそれぞれの鎖の一部分、もしくは多機能siNAの領域は、選んだ標的核酸配列に相補的である。このように本発明の多機能siNA分子は互いに相補的な標的配列に限定はしないが、どちらかと言えば任意の二つの異なる標的核酸配列である。本発明の多機能siNA分子は、それぞれの鎖もしくは多機能siNA分子の領域が標的核酸配列に相補的であり、標的核酸配列に対してRNA干渉を仲介するのに適切な長さ(例えば、約16から約28ヌクレオチドの長さで、約18から約28ヌクレオチドの長さであると望ましい)であるようにデザインされている。標的核酸配列と、多機能siNAの鎖もしくは領域の間の相補性は、RNA干渉による標的核酸配列の切断に十分(少なくとも約8塩基対)でなければならない。本発明の多機能siNAは、前述のシュワルツ(Schwarz)等が述べたような、あるsiRNA配列に見られるオフターゲット効果を最低限にすると期待される。
29塩基対と36塩基対の間の長さのdsRNA(トゥーシュル(Tuschl)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第02/44321号)はRNAiを仲介しないということが報告されてきた。これらdsRNAは非活性型である一つの理由は、RISC複合体が効果的多コピーの標的RNAと相互作用できないように標的RNA配列と相互作用し、その結果、効力とRNAi過程の効率の著しい低下を招いている、鎖の代謝回転もしくは解離の欠如かもしれない。本出願人は、本発明の多機能siNAはこの障害を乗り越え、RNAi過程の効率と効力を向上させることができる点を、驚きを持って見いだした。上述のように、本発明の例においては、約29から約36塩基対の間の長さの多機能siNAは、多機能siNA分子のそれぞれの鎖の一部がRNAiを効果的に仲介するに十分な長さ(例えば約15から約23塩基)の標的核酸に相補的であるヌクレオチド配列領域と、標的核酸に相補的でないヌクレオチド配列領域を含むようにデザインすることができる。相補的な部分と非相補的な部分両方を多機能siNAのそれぞれの鎖に持つことによって、多機能siNAは、阻害的な代謝回転もしくは解離(それぞれの鎖の長さがそれぞれの標的核酸配列に対するRNAiを仲介するには長すぎる場合)なしに標的核酸配列に対してRNA干渉を仲介することができる。更に、本発明の内部重複配列を有する多機能siNA分子のデザインは、多機能siNA分子を、RNA干渉のために好きな(少ない)サイズにすることや、治療薬(例えば、それぞれの鎖が独立的に約18から約28ヌクレオチドの長さの場合)として利用するのに適切なサイズにすることができる。限定を目的としない例を、添付の図96−101、および112にて説明する。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は第一の領域と第二の領域を含み、多機能siNAの第一の領域は第一の標的核酸分子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、多機能siNAの第二の領域は第二の標的核酸分子の核酸配列に相補的な核酸配列を含む。1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は第一の領域と第二の領域を含み、多機能siNAの第一の領域は第一の標的核酸分子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、多機能siNAの第二の領域は第二の標的核酸分子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、多機能siNAの第一の領域と第二の領域は、相補性をある程度共有する別々の核酸配列を含むことができる(例えば、約1から10の相補ヌクレオチド)。ある態様においては、多機能siNAコンストラクトは、当該分野で知られた方法と試薬によって容易に合成後に結合される、別々の核酸配列を含むことができる。代わりに、多機能siNAの第一の領域と第二の領域は、ヘアピンもしくはステムループ構造にあるような、ある程度の自己相補性をもつ単一の核酸配列を含むことができる。そのような二重鎖およびヘアピン様の多機能低分子干渉核酸の、限定を目的としない例を図96および97にてそれぞれ説明する。これらの多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は、場合によっては特定の重複ヌクレオチド配列を含むことがあり、そのような重複ヌクレオチド配列は多機能siNAの第一の領域と第二の領域の間に存在する(図98および99の例を参照のこと)。
1つの態様においては、本発明は多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子を特徴とし、多機能siNA分子においては多機能siNAのそれぞれの鎖は独立に、異なる標的核酸配列に相補的な核酸配列の第一の領域と、標的配列に相補的でない第二のヌクレオチド配列を含む。それぞれの鎖の標的核酸配列は、同一の標的核酸分子、または異なる標的核酸分子にある。
1つの態様においては、多機能siNAは二つの鎖を含み、その二つの鎖は(a)第一の鎖は標的核酸配列に相補的な配列をもつ領域(相補領域1)と標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域1)を含み、(b)第一の鎖のヌクレオチド配列に相補的な標的ヌクレオチド配列とは異なる標的核酸配列に相補的な配列をもつ領域(相補領域2)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域2)、(c)第一の鎖の相補領域1は、二本目の鎖の非相補領域2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、一本目の鎖の非相補領域1のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む二本目の鎖の相補領域2を含む。相補領域1および相補領域2の標的核酸配列は、同一の標的核酸分子、または異なる標的核酸分子の中にある。
1つの態様においては、多機能siNAは二つの鎖を含み、その二つの鎖は(a)第一の鎖は、遺伝子(例えば哺乳類遺伝子、ウィルス遺伝子やゲノム、バクテリア遺伝子、もしくは植物遺伝子)に由来する標的核酸配列に相補的な配列をもつ領域(相補領域1)と標的ヌクレオチド配列に相補配列を持たない領域(非相補領域1)を含み、(b)多機能siNAの二本目の鎖は、相補領域1の遺伝子とは異なる遺伝子由来の標的核酸配列に相補的な配列を有する領域(相補領域2)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域2)を含み、(c)第一の鎖の相補領域1は、二本目の鎖の非相補領域2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、一本目の鎖の非相補領域1のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む二本目の鎖の相補領域2を含む。
別の1つの態様においては、多機能siNAは二つの鎖を含み、その二つの鎖は(a)第一の鎖は、遺伝子(例えば哺乳類遺伝子、ウィルス遺伝子やゲノム、バクテリア遺伝子、もしくは植物遺伝子)に由来する標的核酸配列に相補的な配列をもつ領域(相補領域1)と相補領域1の標的ヌクレオチド配列に相補配列を持たない領域(非相補領域1)を含み、(b)多機能siNAの二本目の鎖は、相補領域1の核酸配列とは異なる遺伝子由来の標的核酸配列に相補的な配列を有する領域(相補領域2)を含むが、もし相補領域1の標的核酸配列および相補領域2の標的核酸配列の双方が同じ遺伝子に由来する場合には、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域2)を含み、(c)第一の鎖の相補領域1は、二本目の鎖の非相補領域2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、一本目の鎖の非相補領域1のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む二本目の鎖の相補領域2を含む。
1つの態様においては、本発明は、多機能siNAが、第一の配列が標的核酸分子中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一の領域を含んだ配列と、第二の配列が同一標的核酸分子中の別々のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含んだ配列の、二つの相補核酸配列を含む、多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子であることを特徴とする。第一の配列の第一領域は、第二配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的でもあり、第二の配列の第一領域は第一の配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的であることが望ましい。
1つの態様においては、本発明は、多機能siNAが、第一の配列が第一の標的核酸分子中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一の領域を含んだ配列と、第二の配列が第二の標的核酸分子中の別々のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含んだ配列の、二つの相補核酸配列を含む、多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子であることを特徴とする。第一の配列の第一領域は、第二配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的でもあり、第二の配列の第一領域は第一の配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的であることが望ましい。
1つの態様においては、本発明は、第一領域および第二領域を含み、その第一領域は第一の標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含み、第二領域は別の第二の標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含む、多機能siNA分子であることを特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、第一領域および第二領域を含み、その第一領域は標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含み、第二領域は別の同一標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含む、多機能siNA分子であることを特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、多機能siNAの一本の鎖が第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含み、二本目の鎖が第二の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含む、二重鎖の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子であることを特徴とする。第一および第二の標的核酸配列は別の標的核酸分子に存在するか、もしくは同一の標的核酸分子中の異なる領域でありうる。上述のように、本発明のsiNA分子は異なる遺伝子の発現、同一遺伝子のスプライスバリアント、一つ以上の遺伝子転写物の変異領域と保存領域の両方、もしくは同一遺伝子もしくは異なる遺伝子もしくは遺伝子転写物のコード配列と非コード配列の両方を標的として利用することができる。
1つの態様においては、本発明の標的核酸分子は、単一のタンパク質をコードする。別の態様においては、標的核酸分子は一つ以上のタンパク質(例えば1、2、3、4、5もしくはそれ以上のタンパク質)をコードする。上述のような本発明の多機能siNAコンストラクトはいくつかのタンパク質の発現を下方調節もしくは阻害するのに利用することができる。例えば、多機能siNA分子は、一本の鎖に一つのタンパク質をコードしている遺伝子(例えば、血管内皮増殖因子もしくはVEGFのようなサイトカイン)に由来する第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有し、第二の鎖は二つのタンパク質をコードする遺伝子(VEGF受容体1およびVEGF受容体2のような二つの異なる受容体、もしくはVEGFのような単一のサイトカイン)に由来する標的核酸分子中に存在する第二の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する領域を含み、特定の生物学的経路を、例えばサイトカインとサイトカイン受容体、もしくはリガンドとリガンド受容体を標的にすることによって、下方調節、阻害もしくは遮断するのに利用することができる。
1つの態様においては、本発明は、異なる型のサイトカイン、もしくはリガンド、およびサイトカイン受容体もしくはリガンドに存在する、保存されたヌクレオチド配列を活用している。一本の鎖がサイトカインの様々なアイソフォームの間で保存されている標的核酸配列に相補的である配列を含み、もう一方の鎖がサイトカイン受容体の間で保存されている標的核酸配列に相補的である配列を含むという具合に多機能siNAをデザインすることによって、単一の多機能siNAを用いて、選択的また効果的に生物学的経路もしくは生物学的経路の複数の遺伝子を、調節もしくは阻害することが可能である。
限定を目的としない別の態様においては、多機能siNA分子は、一本の鎖が二つのタンパク質(例えばVEGF−A、VEGF−B、VEGF−Cおよび/またVEGF−Dのいずれかを含むVEGFのようなサイトカインの二つのアイソフォーム)をコードする標的核酸分子内に存在する第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有し、第二の鎖が更に二つのタンパク質(例えばVEGFR1、VEGFR2および/またVEGFR3のような二つの異なるサイトカイン受容体)をコードする標的核酸分子中に存在する第二の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含む領域を含み、サイトカインの異なるアイソフォームおよび前述のサイトカイン受容体を標的とすることによって、特定の生物学的経路を下方調節、阻害、もしくは遮断するために利用することができる。
限定を目的としない別の態様においては、多機能siNA分子は、一本の鎖がウィルスもしくはウィルスタンパク質(例えばHIV)をコードする標的核酸分子に由来する第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有し、第二の鎖が細胞のタンパク質(例えばHIVのCCR5受容体のようなウィルス受容体)をコードする標的核酸分子中に存在する第二の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含む領域を含み、ウィルスやウィルスの感染もしくは複製に必要な細胞タンパク質を標的とすることによって、ウィルスの複製と感染を下方調節、阻害、もしくは遮断するために利用することができる。
限定を目的としない別の態様においては、多機能siNA分子は、一本の鎖がウィルスゲノム(例えばHIVゲノムRNA)のような標的核酸分子内に存在する第一の標的核酸配列(例えば保存配列)に相補的なヌクレオチド配列を有し、第二の鎖がウィルスタンパク質(例えばTAT、REV、ENVもしくはNEFといったHIVタンパク質)に由来する標的核酸分子内に存在する第二の標的核酸配列(例えば保存配列)に相補的なヌクレオチド配列を含む領域を含み、ウィルスやウィルスの感染もしくは複製に必要な細胞タンパク質を標的とすることによって、ウィルスの複製と感染を下方調節、阻害、もしくは遮断するために利用することができる。
1つの態様においては、本発明は、ウィルスの異なる系統、アイソタイプ、もしくは型、およびこれらのウィルスの異なる系統、アイソタイプ、もしくは型によってコードされる遺伝子に存在する、保存されたヌクレオチド配列を活用している。一本の鎖がウィルスの様々な系統、アイソタイプ、もしくは型の間で保存されている標的核酸配列に相補的である配列を含み、もう一方の鎖がウィルスによってコードされているタンパク質の間で保存されている標的核酸配列に相補的である配列を含むという具合に多機能siNAをデザインすることによって、単一の多機能siNAを用いて、選択的また効果的にウィルスの複製もしくは感染を阻害することが可能である。
1つの態様においては、本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は、それぞれの鎖にある領域を含み、一本の鎖内の領域にはサイトカインに相補的なヌクレオチド配列を含み、第二の鎖の領域には相当するサイトカイン受容体に対して相補的なヌクレオチド配列を含んでいる。限定を目的としないサイトカインの例は、血管内皮増殖因子(例えばVEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D)、インターロイキン(例えば、IL−1alpha、IL−1beta、IL−2、IL−3、IL−4、IL−)5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13)、腫瘍壊死因子(例えば、TNF−アルファ、TNF−ベータ)、コロニー刺激因子(例えば、CSF)、インターフェロン(例えば、IFN−ガンマ)、神経成長因子(例えば、NGF)、上皮細胞成長因子(例えば、EGF)、血小板由来成長因子(例えば、PDGF)、繊維芽細胞成長因子(例えば、FGF)、形質転換成長因子(例えば、TGF−アルファおよびTGF−ベータ)、エリスロポエチン(例えば、Epo)、およびインシュリン様成長因子(例えば、IGF−1,IGF−2)を含み、限定を目的としないサイトカイン受容体の例は、上述のそれぞれのサイトカイン受容体を含む。
1つの態様においては、本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は第一領域と第二領域を含み、第一領域は第一のウィルス系統のウィルスRNAに相補的なヌクレオチド配列を含み、第二領域は第二のウィルス系統のウィルスRNAに相補的なヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、第一および第二領域は異なるウィルス系統もしくは分類、もしくはウィルス系統の共通または保存されたRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を含むことができる。限定を目的としないウィルスでのには、C型肝炎ウィルス(HCV)、B型肝炎ウィルス(HBV)、1型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−1)、2型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−2)、西ナイルウィルス(WNV)、サイトメガロウィルス(CMV)、呼吸器抱合体ウィルス(RSV)、インフルエンザウィルス、ライノウィルス、ヒトパピローマウィルス(HPV)、単純ヘルペスウィルス(HSV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、およびHLTVのようなウィルスが含まれる。
1つの態様においては、本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は第一領域と第二領域を含み、第一領域は、一つかそれ以上のウィルス(例えば一つまたはそれ以上のウィルスの系統)をコードするウィルスRNAに相補的なヌクレオチド配列を含み、第二領域は一つかそれ以上のインターフェロンアゴニストタンパク質をコードするウィルスRNAに相補的なヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、第一領域は異なるウィルス系統もしくは分類、もしくはウィルス系統の共通または保存されたRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を含むことができる。限定を目的としないウィルスでの例には、C型肝炎ウィルス(HCV)、B型肝炎ウィルス(HBV)、1型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−1)、2型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−2)、西ナイルウィルス(WNV)、サイトメガロウィルス(CMV)、呼吸器抱合体ウィルス(RSV)、インフルエンザウィルス、ライノウィルス、ヒトパピローマウィルス(HPV)、単純ヘルペスウィルス(HSV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、およびHLTVのようなウィルスが含まれる。限定を目的としないインターフェロンアゴニストタンパク質の例には、RNAサイレンシングを阻害もしくは抑制ができるいずれのタンパク質が含まれる(例えばE3LまたはNS1のようなRNA結合タンパク質かそれに同等なもの。例としてリー(Li)等、2004、米国サイエンスアカデミー会報(PNAS)、101、1350−1355を参照のこと)。
1つの態様においては、本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は第一領域と第二領域を含み、第一領域はウィルスRNAに相補的なヌクレオチド配列を含み、第二領域はウィルスの感染および/また複製に関わる細胞RNAに相補的なヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、第一および第二領域は異なるウィルス系統もしくは分類、もしくはウィルス系統の共通または保存されたRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を含むことができる。限定を目的としないウィルスの例は、C型肝炎ウィルス(HCV)、B型肝炎ウィルス(HBV)、1型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−1)、2型ヒト免疫不全ウィルス(HIV−2)、西ナイルウィルス(WNV)、サイトメガロウィルス(CMV)、呼吸器抱合体ウィルス(RSV)、インフルエンザウィルス、ライノウィルス、ヒトパピローマウィルス(HPV)、単純ヘルペスウィルス(HSV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、およびHLTVのようなウィルスを含む。限定を目的としないウィルスの感染および/また複製に関わる細胞RNAの例は、細胞性受容体、細胞性表面分子、細胞性酵素、細胞性転写因子および/また細胞分裂、二次メッセンジャー、および細胞性アクセサリー分子を含み、細胞性アクセサリー分子は、インターフェロンアゴニストタンパク質(例えばE3LまたはNS1のようなRNA結合タンパク質かそれに同等なもの。例としてリー(Li)等、2004、米国サイエンスアカデミー会報(PNAS)、101、1350−1355を参照のこと)、インターフェロン調節因子(IRF)、細胞性PKRタンパク質キナーゼ(PKR)、ヒトの真核型転写開始因子2B(elF2Bガンマおよび/またelF2ガンマ)、ヒトDEADボックスタンパク質(DDX3)、ポリピリミジン・トラクト結合タンパク質のようなHVCの3’−UTRのポリ(U)トラクトに結合する細胞性タンパク質、CD4受容体、CXCR4(フューシン(Fusin)、LESTR、NPY3R)、CCR5(CKR−5、CMKRB5)、CCR3(CC−CKR−3、CKR−3、CMKBR3)、CCR2(CCR2b、CMKBR2)、CCR1(CKR1、CMKBR1)、CCR4(CKR−4)、CCR8(ChemR1、TER1、CMKBR8)、CCR9(D6)、CXCR2(IL−8RB)、STRL33(ボンゾ(Bonzo))、TYMSTR)、US28、V28(CMKBRL1、CX3CR1、GPR13)、GPR1、GPR15(BOB)、Apj(AGTRL1)、ChemR23受容体、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、HSPG2、SDC2、SDC4、GPC1、SDC3、SDC1、ガラクトセラミド、赤血球で発現される糖脂質、N−ミリスチン酸転移酵素(NMT,NMT2)、グリコシル化酵素、gp−160プロセシング酵素(PCSK5)、リボヌクレオチド還元酵素、ポリアミン生合成酵素、SP−1、NF−カッパB(NFKB2、RELA、およびNFKB1)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)、インターロイキン1アルファ(IL−1alpha)、インターロイキン6(IL−6)、ホスホリパーゼC(PLC)、プロテインキナーゼC(PKC)、サイクロフィリン、(PPID,PPIA,PPIE,PPIB,PPIF,PPIG,およびPPIC)、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAP−Kinase,MAPK1)、および細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK−Kinase)、を含んでいるがこれらに限定はしない(例として、シャング(Schang)、2002、抗菌化学療法誌(Journal of Antimicrobial Chemotherapy)、50、779−792、および、ルードヴィッヒ(Ludwig)等、2003年、分子医学の動向(Trends. Mol. Med.)、9、46−52を参照のこと)。
1つの態様においては、本発明の二重鎖多機能siNA分子は化学式MF−I
の構造を含み、
式中、5’−p−XZX’−3’および5’−p−YZY’−3’はそれぞれ、独立に約20ヌクレオチドと約300ヌクレオチド、望ましくは約20と約200ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約100ヌクレオチド、約20と約40ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約40ヌクレオチド、約24と約38ヌクレオチド、もしくは約26と約38ヌクレオチドの間の長さのオリゴヌクレオチドであり、XZは第一の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、YZは第二の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、Zは自己相補的な約1から24ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24ヌクレオチド)の長さの核酸配列を含み、XはY’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、YはX’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、それぞれのpは、独立に存在しているか欠損しているそれぞれ末端リン酸基を含み、XZおよびYZはそれぞれ、独立に第一および第二の標的核酸配列もしくはその一部と安定に相互作用(すなわち塩基対)するのにそれぞれ十分な長さがある。例えば、XおよびYはそれぞれ、標的RNAもしくはその一部のような、異なる標的核酸分子中の標的ヌクレオチド配列に相補的な、約12から21もしくはそれ以上の長さのヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)の配列を独立に含む。限定を目的としない別の態様においては、第一の標的核酸配列(例えばRNA)もしくはその一部に相補的なXおよびZを合わせたヌクレオチド配列の長さは、約12から約21ヌクレオチドもしくはそれ以上(約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)である。限定を目的としない別の態様においては、第二の標的核酸配列(例えばRNA)もしくはその一部に相補的なXおよびZを合わせたのヌクレオチド配列の長さは、約12から約21ヌクレオチドもしくはそれ以上(約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)である。1つの態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、同一標的核酸分子中に存在する。別の態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、別の標的核酸分子中に存在する。1つの態様においては、Zはパリンドロームもしくは反復配列を含む。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一ではない。1つの態様においては、化学式I(a)のコンストラクトの二重鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現の阻害への二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を著しく損なうことのない程度の一つかそれ以上の、具体的には1、2、3、もしくは4つのミスマッチを含む。
1つの態様においては、本発明の二重鎖多機能siNA分子は化学式MF−II:
の構造を含み、
式中、5’−p−XX’−3’および5’−p−YY’−3’はそれぞれ、独立に約20ヌクレオチドと約300ヌクレオチド、望ましくは約20と約200ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約100ヌクレオチド、約20と約40ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約40ヌクレオチド、約24と約38ヌクレオチド、もしくは約26と約38ヌクレオチドの間の長さのオリゴヌクレオチドであり、Xは第一の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、Yは第二の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、XはY’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、YはX’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、それぞれのpは、独立に存在していたり欠損しているそれぞれ末端リン酸基を含み、XおよびYはそれぞれ、独立に第一および第二の標的核酸配列もしくはその一部と安定に相互作用(すなわち塩基対)するのにそれぞれ十分な長さがある。例えば、XおよびYはそれぞれ、標的RNAもしくはその一部のような、異なる標的核酸分子中の標的ヌクレオチド配列に相補的な、約12から21もしくはそれ以上の長さのヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)の配列を独立に含む。1つの態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、同一標的核酸分子中に存在する。別の態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、別の標的核酸分子中に存在する。1つの態様においては、Zはパリンドロームもしくは反復配列を含む。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一ではない。1つの態様においては、化学式I(a)のコンストラクトの二重鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現の阻害への二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を著しく損なうことのない程度の一つかそれ以上の、具体的には1、2、3、もしくは4つのミスマッチを含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−III:
の構造を含み、
式中、X、X’、YおよびY’は、独立に、約15ヌクレオチドと約50ヌクレオチド、のぞましくは約18から約40ヌクレオチド、もしくは約19および約23ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、XはY’領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X’はY領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、XとX’はそれぞれ、独立にそれぞれ第一および第二の標的核酸配列、もしくはその一部と安定な相互作用(すなわち塩基対)するのに十分な長さであり、Wは、Y’配列とY配列を結合するヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーを指し、多機能siNAはRNA干渉による第一と第二の標的配列の切断を指示する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、末端リン酸基はX配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はX’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、WはY配列とY’配列を、生分解性リンカーを介して結合する。1つの態様においては、Wは結合、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、もしくはポリマーを更に含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−IV:
の構造を含み、
式中、X、X’、YおよびY’は、独立に、約15ヌクレオチドと約50ヌクレオチド、のぞましくは約18から約40ヌクレオチド、もしくは約19および約23ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、XはY’領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X’はY領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、YとY’はそれぞれ、独立にそれぞれ第一および第二の標的核酸配列、もしくはその一部と安定な相互作用(すなわち塩基対)するのに十分な長さであり、Wは、Y’配列とY配列を結合するヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーを指し、多機能siNAはRNA干渉による第一と第二の標的配列の切断を指示する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、末端リン酸基はX配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はX’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、WはY配列とY’配列を、生分解性リンカーを介して結合する。1つの態様においては、Wは結合、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、もしくはポリマーを更に含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−V:
の構造を含み、
式中、X、X’、YおよびY’は、独立に、約15ヌクレオチドと約50ヌクレオチド、のぞましくは約18から約40ヌクレオチド、もしくは約19および約23ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、XはY’領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X’はY領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X、X’、YまたはY’はそれぞれ、独立にそれぞれ第一および第二、第三、第四の標的核酸配列、もしくはその一部と安定な相互作用(すなわち塩基対)するのに十分な長さであり、Wは、Y’配列とY配列を結合するヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーを指し、多機能siNAはRNA干渉による第一と第二、第三および/または第四の標的配列の切断を指示する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、末端リン酸基はX配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はX’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、WはY配列とY’配列を、生分解性リンカーを介して結合する。1つの態様においては、Wは結合、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、もしくはポリマーを更に含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子の(例えば、化学式13−17を有する)X領域とY領域は、同一標的核酸分子の一部分である別々の標的核酸配列に相補的である。1つの態様においては、前述の標的核酸配列は、RNA転写物のコード領域内の異なる位置にある。1つの態様においては、前述の標的核酸配列は同一RNA転写物のコード領域と非コード領域を含む。1つの態様においては、前述の標的核酸配列は選択的スプライシングを受けた転写物の領域、もしくはそのような選択的スプライシングを受けた転写物の前駆体の領域を含む。
1つの態様においては、化学式MF−I〜MF−Vのいずれかを有する多機能siNA分子は、本明細書で限定を目的とせずに述べられるように、例えば、本明細書で述べられたような化学式I〜VIIのいずれかを有するヌクレオチド、表IVで述べられるような安定化反応、もしくは本明細書の様々な例で述べられたような修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドのその他の組み合わせのような化学修飾を含むことができる。
1つの態様においては、多機能siNAコンストラクトのZ中のパリンドロームもしくは反復配列もしくは修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリンやユニバーサル塩基のような修飾塩基をもつヌクレオチド)は、標的核酸配列(例えば、ワトソンクリック塩基対もしくは非ワトソンクリック塩基対を形成することができる修飾塩基アナログ)の一部と相互作用することができる化学修飾ヌクレオチドを含む化学式MF−IまたはMF−IIを有する。
1つの態様においては、例えば多機能siNA分子のそれぞれの鎖に化学式13−17を有する本発明の多機能siNA分子は、単独で約15から約40ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチド)を含む。1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は一つかそれ以上の化学修飾を含む。限定を目的としない例において、化学修飾されたヌクレオチドおよび/また非ヌクレオチドの本発明の核酸への導入は、外因的に供給された修飾されていないRNA分子特有のインビボでの安定性と生物学的利用能の潜在的な限界を乗り越える強力なツールを提供する。化学修飾された核酸は血清中または細胞内または組織内でより長い半減期を持つ傾向にあるため、例えば、化学修飾された核酸分子の利用は特定の核酸分子の用量をより少なくすることができる。更に、特定の化学修飾は、半減期を改善するだけでなく核酸分子の特定の器官や細胞、組織へのターゲティングを容易にし、および/また核酸分子の細胞への取込みを改善することによって、生物学的利用能および/また核酸分子の作用強度を向上させる。従って、化学修飾された核酸分子の活性が、インビトロで野生型の/修飾されていない核酸分子との比較で、例えば修飾されていないRNAと比較した場合に活性が減少したとしても、安定性と作用強度、効果持続期間、生物学的利用能、および/また分子の供給が改善されるために、修飾された核酸分子の全体的な活性は野生型または修飾されていない核酸分子より高い可能性がある。
また別の態様においては、本発明は、二つのアンチセンスsiNA鎖が、互いに一方の端でつなぎ止められた相当するセンス鎖にアニールされるように、それぞれのセンス鎖の一方の端がもう一方のsiNA分子のセンス鎖端とつなぎ止められている、二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする(図112参照)。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
1つの態様においては、本発明は、二つのアンチセンスsiNA鎖の5’端が互いに逆を指して(反対方向で)互いに一方の端でつなぎ止められた(図122(A)参照)対応するセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のセンス鎖の5’端に他のsiNA分子のセンス鎖の5’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
1つの態様においては、本発明は、二つのアンチセンスsiNA鎖の5’端が互いに向き合って互いに一方の端でつなぎ止められた(図122(B)参照)対応するセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のセンス鎖の5’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
1つの態様においては、本発明は、一方のアンチセンスsiNA鎖の5’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図122(C−D)参照)対応するセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のセンス鎖の5’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
1つの態様においては、本発明は、一方のセンスsiNA鎖の5’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図112(G−H)参照)対応するアンチセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のアンチセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のアンチセンス鎖の5’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。1つの態様においては、第一のアンチセンス鎖の5’端と第二のアンチセンス鎖の3’端の間の結合は、多機能siNAのそれぞれのアンチセンス鎖の5’端が標的RNAのRNA干渉による切断を仲介するのに適した遊離の5’端を持つよう、容易に切断されるような方法(例えば、生分解性リンカー)でデザインされている。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
1つの態様においては、本発明は、一方のセンスsiNA鎖の3’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図112(E)参照)対応するアンチセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のアンチセンス鎖の5’端に他のsiNA分子のアンチセンス鎖の5’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。1つの態様においては、第一のアンチセンス鎖の5’端と第二のアンチセンス鎖の5’端の間の結合は、多機能siNAのそれぞれのアンチセンス鎖の5’端が標的RNAのRNA干渉による切断を仲介するのに適した遊離の5’端を持つよう、容易に切断されるような方法(例えば、生分解性リンカー)でデザインされている。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
1つの態様においては、本発明は、一方のセンスsiNA鎖の5’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図112(F)参照)対応するアンチセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のアンチセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のアンチセンス鎖の3’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。1つの態様においては、第一のアンチセンス鎖の5’端と第二のアンチセンス鎖の5’端の間の結合は、多機能siNAのそれぞれのアンチセンス鎖の5’端が標的RNAのRNA干渉による切断を仲介するのに適した遊離の5’端を持つよう、容易に切断されるような方法(例えば、生分解性リンカー)でデザインされている。本明細書に記載されるように、テザーまたはリンカーは当該分野で一般的に知られているようにヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。
この多機能のアプローチにはいくつかの潜在的な利点とバリエーションがある。例えば、二つの遺伝子に存在する配列を標的とするsiNAに、相同性がある標的部位との組合わせが用いられた場合(例えばVEGF−R1とR2を標的とするFlt−1の3646部位)、そのデザインは二つ以上の部位を標的とするよう利用することができる。例えば単一の多機能siNAは、VEGF−R1 RNAとVEGF−R2 RNA(二つのRNAの間の保存配列を標的とする多機能siNAの一方のアンチセンス鎖を用いる)およびVEGF RNA(VEGF RNAを標的とする多機能siNAの第二のアンチセンス鎖を用いる)を標的とするよう利用することができる。このアプローチは、サイトカインとその二つの主要な受容体を単一の多機能siNAを用いて標的とすることができるようになる。
核酸分子の合成
100ヌクレオチド以上の長さの核酸の合成は、自動化された方法では困難であり、そのような分子による治療コストは非常に高額である。本発明では低分子核酸モチーフ(「低分子」とは、100ヌクレオチドを越えない核酸モチーフをさし、望ましくは80ヌクレオチドを越えない長さであり、最も望ましくは50ヌクレオチドを越えない長さである。例えば、個別のsiNAオリゴヌクレオチド配列もしくはタンデムに合成されたsiNA配列)は、外因的な供給として用いられるのが望ましい。これらの分子の単純な構造は、標的のタンパク質領域および/またRNA構造に核酸が侵入する能力を上昇させる。典型的な本発明の分子は化学的に合成され、その他は同様にして合成される。
オリゴヌクレオチド(例えば、特定の修飾を受けたオリゴヌクレオチド、またはリボヌクレオチドが欠けているオリゴヌクレオチドの部分)は、例えばカラザーズ(Caruthers)等、1992、酵素学手法(Methods in enzymology)、211、3−19、トンプソン(Thompson)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第99/54459号、ウィンコット(Wincott)等、1995、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)、23、2677−2684、ウィンコット(Wincot))1997、分子生物学手法誌(Methods Mol. Biol)、74、59、ブレナン(Brennan)等、1998、バイオテクノロジーとバイオ工学(Biotechnol Bioeng.)61、33−45、およびブレナン(Brennan)、米国特許番号第6,001,311号に述べられているような当該分野で知られているプロトコールを用いて合成された。これら全ての参考文献は、本明細書の参考文献に盛り込まれている。オリゴヌクレオチドの合成は、5’端のジメトキシトリチルや3’端のホスホラミダイトのような、一般的な核酸保護基とカップリング基を利用する。限定を目的としない例において、小規模合成は394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems, Inc.)核酸合成装置で、2’−O−メチル化ヌクレオチドのカップリングステップは2.5分、2’−デオキシヌクレオチドもしくは2’−デオキシ−2−フルオロヌクレオチドのカップリングステップは45秒の0.2μmolスケールのプロトコールを用いて行われた。表Vは、合成サイクルで用いられた試薬の量と接触回数をまとめている。また、0.2μmolスケールでの合成は、プロトジーン社(Protogene)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto, CA))製造の装置のような96穴プレート核酸合成装置でサイクルへの最低限の修正で行うことができる。33倍過剰(60μL中に0.11M=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホラミダイト、および105倍過剰のS−エチルテトラゾール(60μL中に0.25M=15μmol)を、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連した2’−O−メチル残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。22倍過剰(40μL中に0.11M=4.4μmol)のデオキシホスホラミダイト、および70倍過剰のS−エチルテトラゾール(40μL中に0.25M=10μmol)を、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連したデオキシ残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置の比色定量法で測定したトリチル分画のカップリングの平均収量は、通常97.5−99%である。その他の394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置のオリゴヌクレオチド合成試薬は、塩化メチレン中に3%TCAのデトリチル化溶液(ABI)、キャップ形成はTHF(ABI)中に16%N−メチルイミダゾールおよびTHF中に10%無水酢酸/10%2、6−ルチジンで行い、酸化溶液はTHF中に16.9mMI2、49mMピリジン、9%の水(パースペクティブTM(PERSEPTIVETM))、を含む。バーディック&ジャクソン(Burdick & Jackson)の合成グレードのアセトニトリルは、試薬瓶から直接使用した。S−エチルテトラゾール溶液(アセトニトリル中に0.25M)は、アメリカ・インターナショナル・ケミカル社(American International Chemical, Inc)より入手した個体から調整した。また、ホスホロチオエート結合の導入には、ビューケージ(Beaucage)試薬(アセトニトリル中に0.05Mの3H−1,2−ベンゾジチオール−3−one1,1−ジオキシド)が用いられた。
DNAオリゴヌクレオチドの脱保護は、以下の通り行われた。ポリマー結合のトリチル付きオリゴヌクレオチドは4mLのガラスキャップ付きのバイアルに移され、65℃で10分間、40%メチルアミン水(1mL)に懸濁された。−20℃に冷却後、ポリマー担体から上澄が除かれた。担体は1.0mLのEtOH:MeCN:H2O/3:1:1で3回洗浄され、激しく撹拌され、その後上澄は最初の上澄みに加えられた。オリゴヌクレオチドを含む、合わせた上澄は、白色粉末になるまで乾燥された。
本研究の特定のsiNA分子を含むRNAの合成に用いられた方法は、ウスマン(Usman)等、1987、米国化学学会誌(J. Am. Chem. Soc.)109、7845、スケアリンジ(Scaringe)等、1990、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)18、5433、およびウィンコット(Wincott)等、1995、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)23−2677−2684、ウィンコット(Wincott)等、1997、分子生物学手法誌(MethodsMol. Bio.)74、59で述べられた方法に従っており、また、5’端ではジメトキシトリチル、また3’端ではホスホロラミダイトといった、一般的な核酸の保護基およびカップリング基を用いた。限定を目的としない例において、小規模合成は394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置で、アルキルシリル保護されたヌクレオチドのカップリングステップは7.5分、2’−O−メチル化ヌクレオチドのカップリングステップは2.5分で0.2μmolスケールのプロトコールを用いて行われた。表Vは、合成サイクルで用いられた試薬の量と接触回数をまとめている。また、0.2μmolスケールでの合成は、プロトジーン社(Protogene)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto,CA))製造の装置のような96穴プレート核酸合成装置でサイクルへの最低限の修正で行うことができる。33倍過剰(60μL中に0.11M=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホラミダイト、および75倍過剰のS−エチルテトラゾール(60μL中に0.25M=15μmol)を、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連した2’−O−メチル残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。66倍過剰(120μL中に0.11M=13.2μmol)のアルキルシリル(リボ)保護されたホスホラミダイト、および150倍過剰のS−エチルテトラゾール(120μL中に0.25M=30μmol)を、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連したリボ残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置の比色定量法で測定したトリチル分画のカップリングの平均収量は、通常97.5−99%である。その他の394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置のオリゴヌクレオチド合成試薬は、塩化メチレン中に3%TCAのデトリチル化溶液(ABI)、キャップ形成はTHF(ABI)中に16%N−メチルイミダゾールおよびTHF中に10%無水酢酸/10%2、6−ルチジンで行い、酸化溶液はTHF中に16.9mM I2、49mMピリジン、9%の水(パースペクティブ(商標)(PERSEPTIVETM))、を含む。バーディック&ジャクソン(Burdick & Jackson)の合成グレードのアセトニトリルは、試薬瓶から直接使用した。S−エチルテトラゾール溶液(アセトニトリル中に0.25M)は、アメリカ・インターナショナル・ケミカル社(American International Chemical, Inc)より入手した個体から調整した。また、ホスホロチオエート結合の導入には、ビューケージ(Beaucage)試薬(アセトニトリル中に0.05Mの3H−1,2−ベンゾジチオール−3−one−1,1−ジオキシド)が用いられた。
RNAの脱保護は、ツーポットまたはワンポットプロトコールのいずれかを用いて行われた。ツーポットプロトコールでは、ポリマー結合のトリチル付きオリゴリボヌクレオチドが4mLのガラスのねじ蓋付きのバイアルに移され、65℃で10分間、40%メチルアミン水(1mL)に懸濁された。−20℃に冷却後、ポリマー担体から上澄が除かれた。担体は1.0mLのEtOH:MeCN:H2O/3:1:1で3回洗浄され、激しく撹拌され、その後上澄は最初の上澄みに加えられた。オリゴリボヌクレオチドを含む、合わせた上澄は、白色粉末になるまで乾燥された。塩基が脱保護されたオリゴリボヌクレオチドは、無水TEA/HF/NMP溶液(HFが1.4Mの濃度になるように、N−メチルピロリジノン溶液を1.5mL、TEAを750μL、TEA・3HFを1mLを混合した溶液を300μL)に懸濁され、65℃に加熱された。1.5時間後、オリゴマーは1.5M NH4HCO3でクェンチされた。
または、ワンポットプロトコールでは、ポリマー結合のトリチル付きオリゴリボヌクレオチドはガラスのねじ蓋付きのバイアルに移され、65℃で15分間、33%のエタノール性メチルアミンDMSO:1/1(0.8mL)溶液に懸濁される。バイアルを室温にし、TEA・3HF(0.1mL)が加えられ、バイアルは65℃で15分間加熱された。試料は−20℃に冷却され、その後1.5M NH4HCO3でクェンチされた。
トリチル付きオリゴマーの精製には、クェンチされたNH4HCO3溶液がアセトニトリルで予備洗浄されたC−18を含むカートリッジにロードされ、その後50mM TEAAが加えられた。ロードされたカートリッジを水で洗浄した後、RNAは0.5%TFAで13分間、脱トリチル化された。カートリッジは次いで水で再び洗浄され、1M NaClで塩が交換され、再び水で洗浄された。オリゴヌクレオチドは次に30%アセトニトリルで溶出された。
段階的なカップリングの平均収量は、一般的に>98%である(ウィコット(Wincott)等、1995、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)23、2677−2684)。これらの当該分野で普通の技術は、上述の例に含むがしかし96穴フォーマットに限定されない、より大規模もしくは小規模へと適応させることが可能である。
あるいは、本発明の核酸分子は別々に合成し、例えば、ライゲーション(ムーア(Moore)等、1992、サイエンス誌(Science)256、9923、ドレーパー(Draper)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第93/23569号、シャバロヴァ(Shabarova)等、1991、核酸研究誌(Nucleic Acids Research)19、4247、ベロン(Bellon)等、1997、ヌクレオシドとヌクレオチド誌(Nucleosides & Nucleotides)、16、951、ベロン(Bellon)等、1997、バイオコンジュゲート化学(Bioconjugate Chem.)8、204)、もしくは合成および/また脱保護の後に、ハイブリダイゼーションによって、合成後に互いに結合することも可能である。
本発明のsiNA分子は、本明細書の実施例1に述べられたように、タンデム合成法によって合成することも可能であり、双方のsiNA鎖が切断可能なリンカーによって隔てられ、後にハイブリダイズさせたsiNA二重鎖の精製を可能にする別々のsiNA断片または鎖を供給する、一本の連続したオリゴヌクレオチド断片または鎖として合成される。リンカーはポリヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーでありうる。本明細書で述べられたように、siNAのタンデム合成は、96穴もしくは類似のより大きい多穴プラットフォームのようなマルチウェル/マルチプレート双方に容易に適応することができる。本明細書で述べられたように、siNAのタンデム合成は、バッチリアクター、合成カラムなどを採用した大規模合成プラットフォームに容易に適応することができる。
siNA分子は、二本の別々の核酸鎖、もしくは、一方の断片がセンス領域を含み、二本目の断片がRNAのアンチセンス領域を含む断片から組み立てることも可能である。
本発明の核酸分子は、例えば、2’−アミノ、2−C−アリール、2−フルオロ、2’−O−メチル、2’−Hのヌクレアーゼ耐性基で修飾することによって(総説には、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(TIBS)17,34、ウスマン(Usman)等、1994、核酸シンポジウムシリーズ(Nucleic Acids Symp.Ser.)31,163を参照)、安定性を向上させるために広範囲に修飾することができる。siNAコンストラクトは、通常のゲル電気泳動によって精製するか、もしくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC、前述のウィンコット(Wincott)等を参照、当該文献は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)で精製することができ、水に再懸濁される。
本発明の別の観点では、本発明のsiNA分子はDNAもしくはRNAベクターに挿入された転写単位から発現される。組み替えベクターは、DNAプラスミド、もしくはウィルスベクターでありうる。siNAを発現するウィルスベクターは、これに限定はしないが、アデノ随伴ウィルス、レトロウィルス、アデノウィルス、もしくはアルファウィルスに基づいて構築することができる。siNA分子を発現可能な組み替えベクターは、本明細書で述べられるように供給され、標的細胞内で存続する可能性がある。
本発明の核酸分子の活性の最適化
修飾(塩基、糖および/またリン酸)の化学合成された核酸分子は、血清リボヌクレアーゼによる分解が妨げられ、その効力が増大する可能性がある(例えば、エックスタイン(Eckstein)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第92/07065号、ペロート(Perrault)等、1990、ネイチャー誌(Nature)、344、565、ピーケン(Pieken)等、サイエンス誌(Science)、253、314、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(Trends in Biochem. Sci.)17、334、ウスマン(Usman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第93/15187号、ロッシー(Rossi)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第91/03162号、スプロート(Sproat)米国特許番号第5,334,711号、ゴールド(Gold)米国特許番号第6,300,074号、前述のバーギン(Burgin)等といった、これら全ての本明細書の参考文献に盛り込まれている文献を参照)。上述の全ての文献は、本明細書で述べた核酸分子の塩基、リン酸および/また糖部分に対する様々な化学修飾につて述べている。細胞内での効果を高める、また核酸分子から塩基を取り除くような、オリゴヌクレオチド合成の時間を短縮し必要な試薬を減らすような修飾が望ましい。
核酸の安定性と効力を著しく向上させる、核酸に導入することができる糖、塩基、リン酸修飾について述べている当該分野の例がいくつかある。例を挙げると、オリゴヌクレオチドは、例えば、2’−アミノ、2’−C−アルキル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−アルキル、2’−H,ヌクレオチド塩基修飾(総説として、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(TIBS)、17、34、ウスマン(Usman)ら、1994、核酸シンポジウムシリーズ(Nucleic Acids Symp. Ser.)31、163、バーギン(Burgin)等、1996、生化学誌(Biochemistry)、35、14090を参照)といったヌクレアーゼ耐性基による修飾によって、安定性を向上させ、および/また生物学的活性を向上させるために修飾される。核酸分子の当修飾は当該分野において広範囲に述べられてきた(エックスタイン(Eckstein)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第92/07065号、ペロート(Perrault)等、1990、ネイチャー誌(Nature)、344、565−568、ピーケン(Pieken)等、サイエンス誌(Science)、253、314−317、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(Trends in Biochem. Sci.)17、334−339、ウスマン(Usman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第93/15187号、スプロート(Sproat)米国特許番号第5,334,711号、および、べーゲルマン(Beigelman)等、1995、生化学雑誌(J. Biol. Chem.)、270、25702、べーゲルマン(Beigelman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第97/26270号、べーゲルマン(Beigelman)等、米国特許番号第5,716,824号、ウスマン(Usman)等、米国特許番号第5,627,053号、ウールフ(Woolf)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第98/13526号、1998年4月20出願のトンプソン(Thompson)等、米国特許出願第60/082,404号、カーペイスキー(Karpeisky)等、1998、テトラヒドロン通信(Tetrahedron Lett.)、39、1131、アーンショー(Earnshaw)およびゲイト(Gait)、1998、バイオポリマー(核酸科学)(Biopolymerrs(Nucleic Acid Science))、48、39−55、ヴァーマ(Verma)およびエックスタイン(Eckstein)、1998、生化学アニュアルレビュー(Annu. Rev.Biochem.)、67、99−134、およびバーリナ(Burlina)等、1997、生体無機医薬品化学(Bioorg Med.Chem.)、5、1999−2010、といった、これら全ての本明細書の参考文献に盛り込まれている文献を参照)。上述の文献は、糖、塩基、および/またリン酸やそのような修飾を、触媒作用を変化させずに核酸分子に組み込む位置を決定するための一般的な手法と戦略を述べており、本明細書の一部としてここに引用する。このような内容の観点では、本発明のsiNA核酸分子を修飾する本明細書で述べられたように、siNAのRNAiを促進する能力が著しく損なわれない限りは、類似の修飾を用いることができる。
ホスホロチオエート、ホスオロジチオエート、および/または5’−メチルホスホネート結合を伴うオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合の化学修飾は安定性を向上させる一方、過剰な修飾はある毒性や活性の低下を引き起こす可能性がある。従って、核酸分子をデザインする際にはヌクレオチド間結合の含量は最低限にするべきである。これらの結合の密度の減少は、毒性を低下させ、その結果これらの分子の効力と高い特異性を向上させるはずである。
活性を維持し、または向上させる化学修飾を有する低分子干渉核酸(siNA)分子が提供される。このような核酸は一般的に、修飾されていない核酸よりもヌクレアーゼにより耐性でもある。従って、インビトロおよび/またインビボ活性は著しく低下しないはずである。調節が目的である場合、標的RNAが、望ましくないタンパク質のレベルが低下するに十分長く調節されるよう、翻訳されるまで外因的に供給される治療用の核酸分子が細胞中で安定であるべき場合もある。この期間は、病状によって数時間から数日の間で様々である。RNAおよびDNAの化学合成(ウィンコット(Wincott)等、1995、核酸研究(NucleicAcids Res.)、23、2677、カラザーズ(Caruthers)等、1992、酵素学手法(Methods in Enzymology)、211、3−19(本明細書の一部としてここに引用する))の改良は、上述のように、ヌクレオチド修飾でヌクレアーゼ耐性を向上させることによって修飾された核酸分子の能力が拡大した。
1つの態様においては、本発明の核酸分子は一つかそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のG−クランプヌクレオチド(G−clamp nucleotide)を含む。G−クランプヌクレオチドは、修飾シトシンアナログであり、その修飾によってワトソン−クリック型とフーグスティーン型双方に二重鎖中の相補的なグアニジン面となる水素結合を可能にする。リン(Lin)およびマテウッチ(Matteucci)、1998、アメリカ化学学会誌(J. Am. Chem. Soc.)、120、8531−8532を参照のこと。オリゴヌクレオチド中の一つのG−クランプアナログ置換は、相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした際の、らせんの熱安定性とミスマッチ識別が大幅に向上する結果になる可能性がある。本発明の核酸分子へのこのようなヌクレオチドの含有は、核酸標的、相補鎖、もしくは鋳型鎖への親和性と特異性の双方を向上する結果になる。別の態様においては、本発明の核酸分子は一つかそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の、a2’,4’−Cメチレンビシクロヌクレオチドのような「ロックされた核酸」(LAN)ヌクレオチドを含む(例として、ウェンゲル(Wengel)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第00/66604号、および国際公開特許第99/14226号を参照)。
別の態様においては、本発明は本発明のsiNAのコンジュゲートおよび/また複合体を特徴とする。このようなコンジュゲートおよび/また複合体は、細胞のような生体システムへのsiNA分子の供給を促進するために利用することができる。本発明によって提供されるコンジュゲートおよび/また複合体は、治療のための化合物を、細胞膜を越えて輸送することによって、薬物動態を変化させることによって、および/また本発明の核酸分子の局在を調節することによって、治療活性を与えることができる。本発明は、小分子、脂質、コレステロール、リン脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、抗体、毒素、マイナスに帯電したポリマー、および、例えばタンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、ポリエチレングリコール、またはポリアミンといったその他のポリマーを含むがこれに限定しない、細胞膜を越える分子の送達のための新規のコンジュゲートおよび/また複合体のデザインと合成を含む。一般的に、述べられた輸送体は、個別に、または多成分系の一部として生分解性リンカーと共に、または無しで利用される。これらの化合物は、異なる組織由来の数多くの細胞タイプへの血清存在下、または非存在化での本発明の核酸分子の送達と局在化を改善すると期待される(スレンガー(Sullenger)およびセック(Cech)、米国特許番号第5,854,038号参照)。本明細書で述べられる分子のコンジュゲートは、生分解性核酸リンカー分子のような、生分解性のリンカーを介して生物学的に活性がある分子に結合される。
1つの態様においては、本発明は化学式1を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、もしくは保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R12はアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールの直鎖または分岐鎖で、R2はsiNA分子かその一部分である。
1つの態様においては、本発明は化学式2を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、もしくは保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R12はアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールの直鎖または分岐鎖で、R2はsiNA分子かその一部分である。
1つの態様においては、本発明は化学式3を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、もしくは保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R12はアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールの直鎖または分岐鎖で、R2はsiNA分子かその一部分である。
1つの態様においては、本発明は化学式4を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、もしくは保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R2はsiNA分子かその一部分であり、R13はアミノ酸側鎖である。
1つの態様においては、本発明は化学式5を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1およびR4はそれぞれ独立に保護基、または水素で、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素、アルキルもしくは窒素保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R12はアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールの直鎖または分岐鎖で、R9およびR10はそれぞれ独立に、窒素を含む基、シアノアルコキシ、アルコキシ、アリールオキシ、もしくはアルキル基である。
1つの態様においては、本発明は化学式6を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、もしくは保護基で、R2はsiNA分子かその一部分であり、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、Lは分解性リンカーである。
1つの態様においては、本発明は化学式7を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1、R3、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、もしくは保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R12はアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールの直鎖または分岐鎖で、R2はsiNA分子かその一部分である。
1つの態様においては、本発明は化学式8を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1およびR4はそれぞれ独立に保護基、または水素で、R3、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素、アルキルもしくは窒素保護基で、「n」はそれぞれ独立に0から約200までの整数であり、R12はアルキル、置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールの直鎖または分岐鎖で、R9およびR10はそれぞれ独立に、窒素を含む基、シアノアルコキシ、アルコキシ、アリールオキシ、もしくはアルキル基である。
1つの態様においては、本発明の化合物のR13は、例えば、−CH2O−または−CH(CH2)CH2O−の、アルキルアミノもしくはアルコキシ基を含む。
1つの態様においては、本発明の化合物のR12は、例えば、−(CH2nOHの、アルキルヒドロキシルを含み、nは約1から約10までの整数を含む。
別の態様においては、本発明の化学式6のLはセリン、スレオニン、もしくは感光性の結合(photolabile linkage)を含む。
1つの態様においては、本発明の化合物のR9は、リン保護基である、例えば、−OCH2CH2CN(オキシエチルシアノ)を含む。
1つの態様においては、本発明の化合物のR10は、窒素保護基を含み、例えば、N(R14)はR14が約1から約10炭素を有するアルキル直鎖または分岐鎖である。
別の態様においては、本発明の化合物のR10は、約4から約7の原子を含むヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を含み、酸素、窒素、硫黄を含む約1から約3のヘテロ原子を有する。
別の態様においては、本発明の化合物のR1は、トリチルまたは置換トリチル基のような酸に不安定な保護基を含み、例えば、ジメソキシトリチルまたはモノメトキシトリチル基である。
別の態様においては、本発明の化合物のR4は、タートブチル、Fm(フルオレニルメトキシ)、またはアリル基を含む。
1つの態様においては、本発明の化合物のR6は、TFA(トリフルオルアセチル)基を含む。
別の態様においては、本発明の化合物のR3、R5、R7およびR8は、独立に水素を含む。
1つの態様においては、本発明の化合物のR7は、独立にイソブチル、ジメチルホルムアミド、もしくは水素を含む。
別の態様においては、本発明の化合物のR12は、メチル基またはエチル基を含む。
1つの態様においては、本発明は化学式27を有する化合物であることを特徴とし、
「n」は約0から約20の整数であり、R4はHもしくは陽イオンの塩であり、XはsiNA分子もしくはその一部であり、R24は脱離基を含む硫黄であり、例えば以下の基を含む。
または
1つの態様においては、本発明は化学式39を有する化合物であることを特徴とし、
式中、「n」は約0から約20の整数で、XはsiNA分子またはその一部であり、Pはリンを含んでいる基である。
別の態様においては、本発明のチオール含有リンカーは化学式41を有する化合物であり、
式中、「n」は約0から約20の整数で、Pは、例えばホスフィン、亜リン酸、またはリン酸といったリンを含んでいる基であり、R24は更に保護基を含むまたは含まないアルキル、置換アルキル、アルコシル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、または置換アルキニル基のいずれかの基である。
1つの態様においては、本発明は化学式43を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは分解性の核酸リンカーを含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子またはアミノ酸を含み、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、もしくは標識であり、nは約1から約100までの整数で、N’は約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式44を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、nは約1から約50までの整数で、PEGは化学式45を有する化合物を表し、
式中、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、もしくは標識であり、nは約1から約100までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式175を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wはそれぞれ存在もしくは欠失し得るリンカー分子、または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子、または化学結合を含み、PEGは化学式45を有する化合物を表し、
式中、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、もしくは標識であり、nは約1から約100までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式47を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、それぞれのWはリンカーまたは化学結合を含み、Wは独立に同一または異なっていてもよく、存在もしくは欠失していてもよく、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子、または化学結合を含み、それぞれのQは独立に疎水基またはリン脂質を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、nは約1から約10までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式48を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、それぞれのWは独立に存在もしくは欠失していてもよいリンカーまたは化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、Bは、例えば飽和または不飽和リンカー、分岐した、または環状のアルキル基、コレステロール、もしくはそれらの派生物といった親油基を表す。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式49を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、Bは、例えば飽和または不飽和リンカー、分岐した、または環状のアルキル基、コレステロール、もしくはそれらの派生物といった親油基を表す。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式50を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、それぞれQは独立に疎水基もしくはリン脂質を含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式51を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子、またはアミノ酸を含み、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、もしくは標識であり、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコース等の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、nは約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式52を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子、またはアミノ酸を含み、それぞれR1、R2、R3、R4およびR5は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、もしくは標識であり、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、nは約1から約20までの整数である。別の態様においては、XはsiNA分子またはその一部である。別の態様においては、Yはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式53を有する化合物であることを特徴とし、
式中、Bは保護基を含む、もしくは含まないH、ヌクレオシド塩基、もしくは非ヌクレオシド塩基を含み、それぞれR1は独立にO、N、S、アルキル、もしくは置換Nで、それぞれR2は独立にO、OH、H、N、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルハロ、S、N、置換Nもしくはリンを含む基で、それぞれR3は独立にNもしくはO−Nを含み、それぞれR4は独立にO、CH2,、S、スルホン、スルホキシを含み、XはH、除去可能な保護基、siNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、それぞれのnは約1から約50までの整数であり、N’は約1から約10までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式54を有する化合物であることを特徴とし、
式中、Bは保護基を含む、もしくは含まないH、ヌクレオシド塩基、もしくは非ヌクレオシド塩基を含み、それぞれR1は独立にO、OH、H、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルハロ、S、N、置換Nもしくはリンを含む基で、XはH、除去可能な保護基、siNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式55を有する化合物であることを特徴とし、
式中、それぞれR1は独立にO、N、S、アルキル、もしくは置換Nで、それぞれR2は独立にO、OH、H、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルハロ、S、N、置換Nもしくはリンを含む基で、それぞれR3は独立にH、OH、アルキル、置換アルキル、もしくはハロを含み、XはH、除去可能な保護基、siNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、それぞれのnは約1から約50までの整数であり、N’は約1から約100までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式56を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1はH、アルキル、アルキルハロ、N、置換N、もしくはリンを含んでいる基を含み、R2はH、O、OH、アルキル、アルキルハロ、ハロ、S、N、置換N、もしくはリンを含んでいる基を含み、XはH、除去可能な保護基、siNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、それぞれのnは約0から約20までの整数であり、別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式57を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができ、
または
式中、Trは例えばトリチル、モノメトキシトリチル、もしくはジメトキシトリチルといった除去可能な保護基であり、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、それぞれのnは約1から約20までの整数である。
別の態様においては、化学式52、53、54、55、56、57を有する化合物は、カルボニルに隣接するそれぞれの窒素は、独立に窒素に隣接するカルボニルに置換されるか、またはそれぞれの窒素に近接したカルボニルは、カルボニルに近接した窒素に置換することができることを特徴とする。
別の態様においては、本発明は化学式58を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカーまたはアミノ酸を含み、Vは、例えばヒト血清アルブミンタンパク質、アンテナペディアペプチド、カポジ繊維芽細胞成長因子ペプチド、カイマンクロコダイル(Caiman crocodylus)のIg(5)のL鎖ペプチド、HIVの外被糖タンパク質gp41ペプチド、HIV−1のTatペプチド、インフルエンザのへマグルチニンの外被糖タンパク質ペプチド、もしくはトランスポータンA(transportan A)ペプチドといったシグナルタンパク質やペプチドを含む。それぞれのnは約1から約50までの整数であり、N’は約1から約100までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式59を有する化合物であることを特徴とし、
式中、それぞれのR1は独立にO、S、N、置換N、もしくはリンを含む基を含み、それぞれのR2は独立にO、S、もしくはNを含み、Xは、H、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、もしくはその他の生物学的な活性分子を含み、nは約1から約50までの整数であり、Qは場合によっては欠失していてもよいHもしくは除去可能な保護基を含み、それぞれのWは存在または欠失していてもよいリンカーまたは化学結合を含み、Vは、例えばヒト血清アルブミンタンパク質、アンテナペディアペプチド、カポジ繊維芽細胞成長因子ペプチド、カイマンクロコダイル(Caiman crocodylu)のIg(5)のL鎖ペプチド、HIVの外被糖タンパク質gp41ペプチド、HIV−1のTatペプチド、インフルエンザのへマグルチニンの外被糖タンパク質ペプチド、もしくはトランスポータンA(transportan A)ペプチドといったシグナルタンパク質やペプチド、または化学式45を有する化合物を含み、
式中、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、除去可能な保護基、siNA分子またはその一部を含み、nは約1から約100までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式60を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができ、
または
式中、Trは例えばトリチル、モノメトキシトリチル、もしくはジメトキシトリチルといった除去可能な保護基であり、nは約1から約50までの整数であり、R8は例えばフタノリル、トリフルオロアセチル、FMOC、またはモノメトキシトリチル基といった窒素保護基である。
別の態様においては、本発明は化学式61を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、それぞれのWは独立に同一または異なっていてもよく、存在もしくは欠失し得るリンカーまたは化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれ5は独立に、例えばヒト血清アルブミンタンパク質、アンテナペディアペプチド、カポジ繊維芽細胞成長因子ペプチド、カイマンクロコダイル(Caiman crocodylus)のIg(5)のL鎖ペプチド、HIVの外被糖タンパク質gp41ペプチド、HIV−1のTatペプチド、インフルエンザのへマグルチニンの外被糖タンパク質ペプチド、もしくはトランスポータンA(transportan A)ペプチドといったシグナルタンパク質またはペプチドを含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、nは約1から約10までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式62を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、それぞれのVは、独立に例えばヒト血清アルブミンタンパク質、アンテナペディアペプチド、カポジ繊維芽細胞成長因子ペプチド、カイマンクロコダイル(Caiman crocodylus)のIg(5)のL鎖ペプチド、HIVの外被糖タンパク質gp41ペプチド、HIV−1のTatペプチド、インフルエンザのへマグルチニンの外被糖タンパク質ペプチド、もしくはトランスポータンA(transportan A)ペプチドといったシグナルタンパク質やペプチドを含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、nは約1から約10までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式63を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、それぞれのVは、独立に例えばヒト血清アルブミンタンパク質、アンテナペディアペプチド、カポジ繊維芽細胞成長因子ペプチド、カイマンクロコダイル(Caiman crocodylus)のIg(5)のL鎖ペプチド、HIVの外被糖タンパク質gp41ペプチド、HIV−1のTatペプチド、インフルエンザのへマグルチニンの外被糖タンパク質ペプチド、もしくはトランスポータンA(transportan A)ペプチドといったシグナルタンパク質やペプチドを含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、それぞれR1、R2、R3は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、R4はエステル、アミドもしくは保護基を表し、それぞれのnは独立に約1から約10までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式64を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、Aは窒素含有基を含み、Bは親油性基を含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式65を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部であり、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、RVは任意の化学式35−38の脂質、もしくはリン脂質構成要素を含み、R6は窒素含有基を含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式92を有する化合物であることを特徴とし、
式中、Bは保護基を含む、もしくは含まないH、ヌクレオシド塩基、もしくは非ヌクレオシド塩基を含み、それぞれR1は独立にO、OH、H、N、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルハロ、S、N、置換Nもしくはリンを含む基で、Xは、H、除去可能な保護基、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素的な核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、生物学的な活性分子もしくは標識を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、R2はO、NH、S、CO、COO、ON=C、またはアルキルを含み、R3はアルキル、アルコキシ、もしくはアミノアシル側鎖を含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式86を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R1はH、アルキル、アルキルハロN、置換Nもしくはリンを含む基で、R2はH、O、OH、アルキル、アルキルハロ、S、N、置換Nもしくはリンを含む基で、XはH、除去可能な保護基、siNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、R3はO、NH、S、CO、COO、ON=C、またはアルキルを含み、R4はアルキル、アルコキシ、もしくはアミノアシル側鎖を含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含み、それぞれのnは独立に約0から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式87を有する化合物であることを特徴とし、
式中、Xはタンパク質、ペプチド、抗体、脂質、リン脂質、オリゴ糖、標識、生物学的な活性分子である、例えば、葉酸、ビタミンA、E、B6、B12のようなビタミン、補酵素、抗生物質、抗ウィルス剤、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、もしくは酵素的な核酸、アロザイム、アンチセンス核酸、siNA、2、5−Aキメラ、デコイ、アプタマーもしくは三量体形成オリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチド、もしくはポリエチレングリコールのようなポリマーを含む。Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、YはsiNAまたはその一部を含み、R1はH、アルキル、または置換アルキルを含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式88を有する化合物であることを特徴とし、
式中、Xはタンパク質、ペプチド、抗体、脂質、リン脂質、オリゴ糖、標識、生物学的な活性分子である、例えば、葉酸、ビタミンA、E、B6、B12のようなビタミン、補酵素、抗生物質、抗ウィルス剤、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、もしくは酵素的な核酸、アロザイム、アンチセンス核酸、siNA、2、5−Aキメラ、デコイ、アプタマーもしくは三量体形成オリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチド、もしくはポリエチレングリコールのようなポリマーを含む。Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、YはsiNAまたはその一部を含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式99を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、それぞれWは独立に存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、もしくは分岐したそれらの誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含む。
別の態様においては、本発明は化学式100を有する化合物であることを特徴とし、
XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、SGは、例えばガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、もしくは分岐したそれらの誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、もしくはフコースといった糖の、それぞれDまたはL、アルファもしくはベータアイソマーを含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、化学式99しくは100を有する任意の化合物のSG構成要素は、化学式101の化合物を有し、
式中、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含む。
1つの態様においては、化学式99を有する化合物のW−SG構成要素は、化学式102の化合物を有し、
式中、R1はO、OH、H、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルハロ、S、N、置換N、保護基、もしくは化学式66を有する別の化合物を含み、R1は独立にH、OH、アルキル、置換アルキル、もしくはハロ、および、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、R3はOもしくは化学式63のR3を含み、nは約1から約20までの整数である。
1つの態様においては、化学式99を有する化合物のW−SG構成要素は、化学式103の化合物を有し、
式中、R1はH、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルハロ、S、N、置換N、保護基、もしくは化学式67を有する別の化合物を含み、それぞれR1は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、R3はHもしくは化学式63のR3を含み、nは約1から約20までの整数である。
1つの態様においては、本発明は化学式104を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR3中のOR5は除去可能な保護基であり、R4はO、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
1つの態様においては、本発明は化学式105を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、R2はO、OH、H、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、N、置換N、保護基、またはヌクレオチド、ヌクレオシド、もしくはオリゴヌクレオチドまたはその一部を含み、R1は独立にH、OH、アルキル、置換アルキル、もしくはハロ、またそれぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、nは約1から約20までの整数である。
1つの態様においては、本発明は化学式106を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、R1はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数である。
別の態様においては、本発明は化学式107を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、それぞれWは独立に存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、コレステロールはコレステロールまたはそのアナログ、誘導体、またはその代謝物を含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
別の態様においては、本発明は化学式108を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、Yは存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、それぞれR1、R2、R3およびR4は独立にO、OH、H、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、コレステロールはコレステロールまたはそのアナログ、誘導体、またはその代謝物を含む。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、化学式107を有する化合物のW−コレステロール構成要素は、化学式109の化合物を有し、
式中、R1は化学式107で述べたようなR3を含み、nは独立に約1から約20までの整数である。
1つの態様においては、本発明は化学式110を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R4はO、アルキル、アルキルハロ、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
1つの態様においては、本発明は化学式111を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、nは独立に約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式112を有する化合物であることを特徴とし、
式中、nは独立に約1から約20までの整数である。別の態様においては、化学式80を有する化合物は、siNA分子またはその一部のような生物学的活性分子とNHSエステルを介してカップリングすることによって、化学式79を有する化合物を作り出すのに用いられる。限定を目的としない例において、NHSエステルカップリングは、核酸の糖に存在するアミノリンカー分子(例えば、2’−アミノリンカー)、またはsiNA分子の塩基(例えば、C5アルキルアミノリンカー)構成要素のような、siNA分子に存在する遊離のアミンとの結合を介して達成される。
1つの態様においては、本発明は化学式113を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、R4はO、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
別の態様においては、化学式113を有する化合物は、siNA分子またはその一部のような生物学的活性分子とホスホラミダイトを介してカップリングすることによって、化学式111を有する化合物を作り出すのに用いられる。
1つの態様においては、本発明は化学式114を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、nは約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式115を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、それぞれnは独立に約1から約20までの整数である。
別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式116を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、R4はO、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
別の態様においては、化学式116を有する化合物は、siNA分子またはその一部のような生物学的活性分子とホスホラミダイトを介してカップリングすることによって、化学式114または115を有する化合物を作り出すのに用いられる。
1つの態様においては、本発明は化学式117を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、R4はO、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
別の態様においては、化学式117を有する化合物は、siNA分子またはその一部のような生物学的活性分子とホスホラミダイトを介してカップリングすることによって、化学式105を有する化合物を作り出すのに用いられる。
1つの態様においては、本発明は化学式118を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式119を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式120を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、R4はO、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
別の態様においては、化学式120を有する化合物は、siNA分子またはその一部のような生物学的活性分子とホスホラミダイトを介してカップリングすることによって、化学式118または119を有する化合物を作り出すのに用いられる。
1つの態様においては、本発明は化学式121を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、Wは存在もしくは欠失し得るリンカー分子または化学結合を含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数である。別の態様においては、Wはアミド、リン酸、リン酸エステル、ホスホラミデート、もしくはチオリン酸エステル結合からなる基の中から選択される。
1つの態様においては、本発明は化学式122を有する化合物であることを特徴とし、
式中、R3はH、OH、アミノ,置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、リン脂質、標識、もしくはその一部、またはR5中のOR5は除去可能な保護基であり、R4はO、アルキル、ハロアルキル、O−アルキル、O−アルキルシアノ、S、S−アルキル、S−アルキルシアノ、Nもしくは置換Nを含み、それぞれR7は独立に存在もしくは欠失し得る、例えばアセチル基のようなアシル基を含み、それぞれnは独立に約1から約20までの整数であり、
式中、R1は以下の基を含むことができ、
または
式中、R2は以下の基を含むことができる。
または
別の態様においては、化学式122を有する化合物は、siNA分子またはその一部のような生物学的活性分子とホスホラミダイトを介してカップリングすることによって、化学式121を有する化合物を作り出すのに用いられる。
1つの態様においては、本発明は化学式94を有する化合物であることを特徴とし、
式中、XはsiNA分子またはその一部を含み、それぞれのYは独立に存在もしくは欠失し得るリンカー分子を含み、Wは生分解性の核酸リンカー分子を含み、Zは、例えば酵素的な核酸、アロザイム、アンチセンス核酸、siNA、2、5−Aキメラ、デコイ、アプタマーもしくは三量体形成オリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、または抗体といった、生物学的活性分子を含む。
別の態様においては、本発明の化学式94を有する化合物のWは、5’−シチジン−デオキシチミジン−3’、5’−デオキシチミジン−シチジン−3’、5’−シチジン−デオキシウリジン−3’、5’−デオキシウリジン−シチジン−3’、5’−ウリジン−デオキシチミジン−3’、もしくは5’−デオキシチミジン−ウリジン−3’を含む。
更に別の態様においては、本発明の化学式94を有する化合物のWは、5’−アデノシン−デオキシチミジン−3’、5’−デオキシチミジン−アデノシン−3’、5’−アデノシン−デオキシウリジン−3’、5’−デオキシウリジン−アデノシン−3’、を含む。
別の態様においては、本発明の化学式94を有する化合物のYは、リン含有結合、ホスホラミデート結合、ホスホジエステル結合ホスホロチオエート結合、アミド結合、エステル結合、カルバミン酸結合、ジスルフィド結合、オキシム結合、またはモルフォリノ結合を含む。
別の態様においては、本発明の化学式89および91を有する化合物は、ペプチドまたはタンパク質のN−末端のセリンまたはスレオニン残基の過ヨウ素酸エステル酸化によって生成される。
1つの態様においては、本発明の化学式43、44、46−52、58、61−65、85−88、92、94、95、99、100、105−108、111、114、115、118、119または121を有する化合物は、siNA分子もしくはその一部を含む。1つの態様においては、siNA分子は、センス鎖もしくはsiNAの領域の、5’端、3’端、もしくは5’端と3’端の両方で結合され得る。1つの態様においては、siNA分子は、アンチセンス鎖もしくはsiNAの領域の3’端で本発明の化合物と結合され得る。1つの態様においては、センス鎖およびアンチセンス鎖の双方、もしくはsiNAの領域は、本発明の化合物と結合される。1つの態様においては、センス鎖のみ、もしくはsiNAの領域が、本発明の化合物と結合される。1つの態様においては、アンチセンス鎖のみ、もしくはsiNAの領域は、本発明の化合物と結合される。
1つの態様においては、本発明の化学式43、44、46−52、58、61−65、85−88、92、94、95、99、100、101、107、108、111、114、115、118、119または121を有する化合物のWおよび/またYは、例えば二量体、三量体、または四量体といった、リボヌクレオチドおよび/またデオキシヌクレオチドを含む核酸配列のような、分解性もしくは切断可能なリンカーを含む。限定を目的としない核酸切断リンカーの例は、アデノシン−デオキシチミジン(A−dT)二量体またはシチジン−デオキシチミジン(C−dT)二量対である。更に別の態様においては、本発明の化学式43、44、48−51、58、63−65、96、99、100、107、108、111、114、115、118、119または121を有する化合物のWおよび/またYは、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)エステル結合、オキシム結合、ジスルフィド結合、ホスホラミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホヂエステル結合、またはNHC(O)、CH3NC(O)、CONH、C(O)NCH3、S、SO、SO2、O、NH、NCH3基である。別の態様においては、本発明の化学式43、44、46−52、58、61−65、85−88、92、94、95、99、100、101、107、108、111、114、115、118、119または121を有する化合物の分解性リンカーであるWおよび/またYは、カルボキシペプチダーゼの活性によって切断に感受性があるリンカーを含む。
別の態様においては、化学式43、44、46−52、58、61−65、85−88、92、94、95、99、100、101、107、108、111、114、115、118、119または121のWおよび/またYは、化学式45を有するポリエチレングリコールリンカーを含む。
式中、ZはH、OH、O−アルキル、SH、S−アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ、置換アミノ、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質、もしくは標識であり、nは約1から約100までの整数である。
1つの態様においては、本発明の核酸結合体は、例えば、ミリジェン9050(Miligen 9050)合成機のような自動ペプチド合成機、および/また、アプライドバイオシステムズ社(ABI) の394、390Z、もしくはファルマシア社(Pharmacia) のオリゴプロセス(OligoProcess)、オリゴパイロット(OligoPilot)オリゴマックス(OligoMax)、またはAKTA合成機のような自動オリゴヌクレオチド合成機の固層合成によって構築される。別の態様においては、本発明の核酸結合体は、合成後に、例えば、固層オリゴヌクレオチド合成の後、構築される(図45、50、53、73参照)。
別の態様においては、化学式58−63および96を有する化合物のVは、SEQ ID NO.1114−1123(表V)を有するペプチドを含む。
1つの態様においては、本発明の核酸結合体は、合成後に、例えば、固層オリゴヌクレオチド合成の後、構築される。
本発明は、ヌクレオシド、非ヌクレオシド誘導体を含む組成物、および結合体を提供する。本発明はまた、RNA、DNAおよびPNAに基づく結合体を含む、核酸、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体も提供する。本発明の化合物のヌクレオシド、ヌクレオチド、非ヌクレオシド、核酸分子への結合は、例えばヌクレオチド間結合、5’、3’および2’−ヒドロキシのようなヌクレオシド糖ヒドロキシ基、および/またアミノ基およびカルボキシル基のような核酸塩基の位置における任意の位置で可能である。
本発明の結合の例は、本明細書の化学式の化合物として述べられているが、その他のペプチド、タンパク質、リン脂質、およびポリアルキルグリコール誘導体は、化学式1−122の化合物の様々なアナログを含め、これに限定はしないが本明細書で述べられた化合物の異なるアイソマーを含め、本発明によって提供されている。
本発明の葉酸結合体の例は、本明細書の化学式で示された化合物として述べられているが、一方、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸、テトラヒドロプテリン、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸、1−デアザ、3−デアザ、5−デアザ、8−デアザ、10−デアザ、1,5−デアザ、5,10−ジデアザ、8,10−ジデアザ、および5,8−ジデアザ葉酸、抗葉酸、およびプテロイン酸を含む本発明の化学式の様々な葉酸アナログを含む、その他の葉酸および抗葉酸誘導体は、本発明によって提供される。本明細書において使用するように「葉酸」の用語は、プテロイン酸誘導体とアナログを含む、葉酸と葉酸誘導体を指して意味する。
本発明は細胞のような生態系への分子の送達を可能にする組成物および結合体を特徴とする。本発明で提供される結合体は、細胞膜を越えて治療化合物を運搬することによって治療活性を与える。本発明は、siNA分子を含む、しかしそれに限定されない、分子の送達のための新規薬剤デザインおよび合成を含む。一般的に、記述されている運搬体は、単独もしくは多要素システムの一部として用いられるようデザインされている。本明細書の化学式で一般的に示される本発明の化合物は、血清存在下または非存在下で、異なる組織に由来する数多くの細胞タイプへの分子の送達を向上すると期待される。
別の態様においては、本発明の化合物は、送達される所定の分子を封入したリポソームのような脂質集合体の表面構成成分として提供される。リポソームは単層または多重層であることができ、異なる機構によって細胞へ封入物質を導入する事ができる。例えば、リポソームは細胞膜と融合することによって細胞質へ封入物質を直接導入する事ができる。もしくは、リポソームは、酸性の液胞(すなわち、エンドソーム)に区分され、リポソームと酸性の液胞から細胞質へと内容物を放出する事ができる。
1つの態様においては、本発明は、ホスファチジルコリン(様々な鎖の長さで、例えば卵黄のホスファチジルコリン)、コレステロール、陽イオン性脂質、および1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−ポリチレングリコール2000(DSPE−PEG2000)を含む、本明細書で述べられる化合物の脂質集合体製剤を特徴とする。脂質集合体の陽イオン性脂質構成要素は、1,2,−ジアシル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)のような、当該分野で知られている任意の陽イオン性脂質である可能性がある。別の態様においては、この陽イオン性脂質集合体は、本明細書中の任意の化学式で述べられた共有結合化合物を含む。
別の態様においては、ポリエチレングリコール(PEG)は本発明の化合物に共有結合で結合している。結合したPEGは、任意の分子量でよいが、2000−50,000ダルトンの間が望ましい。
本発明の化合物と手法は、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸分子、脂質、ペプチド、タンパク質、および/また非ヌクレオシド低分子の細胞への導入に有用である。例えば、本発明はヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、脂質、ペプチド、タンパク質、および/また非ヌクレオシド低分子の、細胞内に存在する対応の標的作用部位への送達に有用である。
1つの態様においては、本発明の化合物は、高親和性葉酸受容体、およびASGPr受容体のような細胞の受容体と相互作用できる分子の結合体を提供し、効果的な送達、およびそれに続く生体膜を越えた化合物結合体の放出を可能にする多数の特徴を提供する。化合物は、受容体リガンドと、細胞の受容体と優先的に相互作用できる長さの送達される化合物との間に、化学結合を利用する。更に、リガンドと送達される化合物の間の化学結合は、例えば、ヒドロキシル基のような、求核試薬に隣接したリン酸結合を利用する分解性結合としてデザインすることができる。pHまたはヌクレアーゼとの相互作用の結果であるヒドロキシル基またはそれと同等の基の脱プロトン化は、加水分解する可能性のある環状リン酸中間体を生じるリン酸の求核攻撃の結果生じる。この切断機構は、塩基またはRNAヌクレアーゼの存在下でのRNA切断に類似している。もしくは、その他の分解性結合は、UV照射、細胞性ヌクレアーゼ、pH、温度などといった、様々な要因への反応する結合を選択する事ができる。分解性結合の利用は、送達された化合物の、例えば細胞の細胞質、または特定の細胞器官といった所定の系への放出を可能にする。
本発明は、化合物や興味のある分子と容易に結合される、ホスホラミダイト由来のリガンドも提供する。本発明のホスホラミダイト化合物は、核酸ホスホラミダイトのを骨格として用いる必要なしに、興味のある分子への結合体の直接結合させることができる。上述のように、ホスホラミダイト化学反応は、本発明の化合物を興味のある化合物へのカップリングに、例えばN6位のアデノシン、または2’−デオキシ−2’−アミノ作用といった、リガンドのアミノ基への縮合のような別の縮合反応の必要なしに、直接用いることができる。加えて、本発明の化合物は、オリゴヌクレオチドのための非核酸に基づく結合リンカーの導入に用いることができ、このリンカーは核酸に基づくホスホラミダイトを使用するよりもより効率的なオリゴヌクレオチド合成のカップリングを提供することができる。この改善されたカップリングは、ペンダントアルキル結合を有する脱塩基または非核酸骨格の立体配置を考慮に入れることができる。
三リン酸基を用いた本発明の化合物は、結合体分子のオリゴヌクレオチドへの酵素的な組み込みに用いられる。そのような酵素的な組み込みは、結合体が合成後に酵素的結合または選択反応に用いられる場合に有用である(例として、マチューリック−アダミック(Matulic−Adamic)等、2000、生物有機医化学通信(Bioorg Med. Chem. Lett.)、10、1299−1302、リー(Lee)等、2001、核酸研究(NAR)、29、1565−1573、ジョイス(Joyce)、1989、遺伝子誌(Gene)、82、83−87、ビュードリー(Beaudry)等、1992、サイエンス誌(Science)、257、635−641、ジョイス(Joyce)、1992、サイエンティフィック・アメリカン誌(Scientific American)、267、90−97、ブレーカー(Breaker)等、1994、バイオテクノロジーの傾向(TIBTECH)12、268、バーテル(Bartel)等、1993、サイエンス誌(Science)261、1411−1418、ソシュタック(Szostak)、1993、生物科学の傾向(TIBS)17、89−93、クマール(Kumar)等、1995、アメリカ実験生物学会連合誌(FASEB J.)、9、1183、ブレーカー(Breaker)、1996、バイオテクノロジーのカレントオピニオン(Curr. Op.Biotech.)、7、442、サントーロ(Santoro)等、1997、米国科学アカデミー会報(Proc.Natl. Acad.Sci)、94、4262、タン(Tang)等、1997、RNA誌(RNA)3、914、ナカマエ(Nakamaye)とエックスタイン(Eckstein)、1994、前述、ロング(Long)とウーレンベック(Uhlenbeck)、1994、前述、イシザカ(Ishizaka)等、1995、前述、ヴェイシュ(Vaish)等、1997、生物化学(Bioclaemistry)36、6495、クワバラ(Kuwabara)等、2000、化学生物学のカレントオピニオン(Curr. Opina. Cleem. Biol.)、4、669参照)。
本明細書において使用する「生分解性リンカー」という用語は、例えば、本発明のsiNA分子に対する生物学的活性分子、または本発明のsiNA分子のセンスおよびアンチセンス分子といった、ある分子を他の分子と結合するように生分解リンカーとしてデザインされた核酸または非核酸リンカー分子を指す。生分解性リンカーは、特定の組織や細胞タイプへの送達といった、特定の目的のためにその安定性を調節できるようにデザインされている。核酸に基づく生分解性リンカー分子の安定性は、様々な化学的性質を用いることによって調節でき、例えば、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、および、2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−アミノ、2’−O−アミノ、2’−C−アリル、2’−O−アリル、およびその他の2’−修飾のような、化学的に修飾されたヌクレオチド、もしくは塩基を修飾したヌクレオチドの組み合わせである。生分解性核酸リンカー分子は、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドのような、二量体、三量体、四量体、もしくはより長い核酸分子である場合か、もしくは、例えば、ホスホラミデートまたはホスホジエステル結合のような、リンに基づく結合を有する単一ヌクレオチドを含むことができる。生分解性核酸リンカー分子は、核酸バックボーン、核酸糖、もしくは核酸塩基の修飾を含むことができる。
本明細書において使用する「生分解性」という用語は、例えば酵素的な分解、もしくは化学的な分解といった生体系での分解を指す。
本明細書において使用する「生物学的活性分子」という用語は、系の生物学的反応を誘発または修飾する能力をもつ化合物または分子を指す。本発明によって単独または他の分子との組み合わせで検討された生物学的に活性なsiNA分子の限定を目的としない例は、抗生物質、コレステロール、ホルモン、抗ウィルス剤、ペプチド、タンパク質、化学療法剤、低分子、ビタミン、補酵素、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、酵素的核酸、アンチセンス核酸、三量体形成オリゴヌクレオチド、2,5−Aキメラ、siNA、dsRNA、アロザイム、アプタマー、デコイ、およびそのアナログといった治療上の活性分子を含む。本発明の生物学的活性分子は、例えば、脂質、およびポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコールおよびその他のポリエステルのようなポリマーといった、薬物動態を調節できる、および/また他の生物学的活性分子の薬物動態を調節できる分子も含む。
本明細書において使用する「リン脂質」という用語は、少なくとも一つ以上のリン基を含む疎水性分子を指す。例えば、リン脂質は、リン含有基および飽和もしくは不飽和アルキル基、場合によってはOH、COOH、オキソ、アミン、もしくは置換アリールまたはアリール基を含むことができる。
本明細書において使用する「アルキル」という用語は、飽和脂肪族炭化水素を指し、直鎖、分岐鎖の「イソアルキル」、および環状アルキル基を含む。「アルキル」という用語は、アルコキシ、アルキル−チオ、アルキル−チオ−アルキル、アルコキサルキル、アルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C1−C6ヒドロカルビル、アリールまたは置換アリールも含む。アルキル基は1から12の炭素を有するのが望ましい。炭素が約1から7までの低アルキル基がより望ましく、炭素が約1から約4は更に望ましい。アルキル基は置換されていてもされていなくてもよい。置換される場合には、望ましい置換基は、ヒドロキシ、オキシ、チオ、アミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アルキ−チオ、アルキル−チオ−アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、シリル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C1−C6ヒドロカルビル、アリールまたは置換アリール基を含む。「アルキル」の用語は、少なくとも一か所の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖、分岐鎖、および環状基を含むアルケニル基も含む。アルケニル基は2から12の炭素を有するのが望ましい。炭素が約2から7までの低アルケニル基がより望ましく、炭素が約2から約4は更に望ましい。アルケニル基は置換されていてもされていなくてもよい。置換される場合には、望ましい置換基は、ヒドロキシ、オキシ、チオ、アミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アルキ−チオ、アルキル−チオ−アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、シリル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C1−C6ヒドロカルビル、アリールまたは置換アリール基を含む。「アルキル」という用語は、少なくとも一か所の炭素−炭素三重結合を含み、直鎖、分岐鎖、および環状基を含むアルキニル基も含む。アルキニル基は2から12の炭素を有するのが望ましい。炭素が約2から7までの低アルキニル基がより望ましく、炭素が約2から約4は更に望ましい。アルキニル基は置換されていてもされていなくてもよい。置換される場合には、望ましい置換基は、ヒドロキシ、オキシ、チオ、アミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アルキ−チオ、アルキル−チオ−アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、シリル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C1−C6ヒドロカルビル、アリールまたは置換アリール基を含む。アルキル基または本発明の一部分は、アリール、アルキルアリール、炭素環アリール、ヘテロ環アリール、アミドおよびエステル基を含むことができる。アリール基の望ましい置換基は、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシ、SH、OH、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアミノ基である。「アルキルアリール」基は、アリール基(上述)に共有的に結合したアルキル基(上述)を指す。炭素環アリール基は、芳香環の環原子が全て炭素原子である基である。炭素原子は場合によっては置換される。ヘテロ環アリールは、芳香環の環原子として、約1から約3のヘテロ原子を有し、残りの環原子が炭素原子である基である。適切なヘテロ原子は酸素、硫黄、および窒素を含み、およびフラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、および同様の基を含み、いずれも場合によって置換される。「アミド」は、Rがアルキル、アリール、アルキルアリール、もしくは水素のいずれかである場合の、C(O)−NH−Rを指す。「エステル」は、Rがアルキル、アリール、アルキルアリール、もしくは水素のいずれかである場合の、−C(O)−OR’を指す。
本明細書において使用する「アルコキシアルキル」という用語は、例えば、メトキシエチルまたはエトキシメチルのような、アルキル−O−アルキルエステルを指す。
本明細書において使用する「アルキル−チオ−アルキル」の用語は、例えば、メチルチオメチルまたはメチルチオメチルのような、アルキル−S−アルキルチオエステルを指す。
本明細書において使用する「アミノ」という用語は、当該分野で知られているように、有機ラジカルによる一つかそれ以上の水素ラジカルの置換による、アンモニア由来の窒素含有基を指す。例えば、「アミノアシル」および「アミノアルキル」の用語は、アシルおよびアルキル置換基を有する特定のN置換有機ラジカルをそれぞれ指す。
本明細書において使用する「アミノ化」という用語は、アミノ基または置換アミンが有機分子に導入される過程を指す。
本明細書において使用する「環外アミン保護部分」という用語は、例えばアシルまたはアミド基といった、オリゴヌクレオチド合成に適合するアミノ保護基を指す。
本明細書において使用する「アルケニル」という用語は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含むようにデザインされた数の炭素原子の直鎖、または分岐した炭水化物を指す。「アルケニル」の例は、ビニル、アリル、および2−メチル−ヘプテンを含む。
本明細書において使用する「アルコキシ」という用語は、親分子の一部分に酸素架橋を通じて結合した、示された数の炭素原子のアルキル基を指す。アルコキシ基の例は、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシを含む。
本明細書において使用する「アルキニル」という用語は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含むようにデザインされた数の炭素原子の直鎖、または分岐した炭水化物を指す。「アルキニル」の例は、プロパルジル、プロピン、および3−ヘキシンを含む。
本明細書において使用する「アリル」という用語は、少なくとも一つの芳香環を含んでいる芳香族炭水化物環系を指す。芳香環は場合によっては他の芳香族炭水化物環系または非芳香族炭水化物環系に融合、またそうでない場合には添加することができる。アリル基の例は、例えば、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンおよびビフェニルを含む。
本明細書において使用する「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含むC3−C8の環状炭水化物を指す。シクロアルケニルの例は、シクロプロぺニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエン、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエン、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、およびシクロオクテニルを含む。
本明細書において使用する「シクロアルキル」という用語は、C3−C8の環状炭水化物を指す。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。
本明細書において使用する「シクロアルキルアルキル」という用語は、上で定義されたようなアルキル基を介して母体分子部分に添加された、C3−C7のシクロアルキル基を指す。シクロアルキルアルキル基の例は、シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルエチルを含む。
本明細書において使用する「ハロゲン」もしくは「ハロ」という用語は、塩素、臭素、およびヨウ素を指して表す。
本明細書において使用する「ヘテロシクロアルキル」という用語は、窒素、酸素、硫黄のうちから選択された、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでいる非芳香族環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、場合によっては他のヘテロシクロアルキル環および/また非芳香族炭水化物環に融合または添加することができる。望ましいヘテロシクロアルキル基は、3から7の構成要素を有する。ヘテロシクロアルキル基の例は、例えばピペラジン、モルフォリン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピロリジン、およびピラゾールを含む。望ましいヘテロシクロアルキル基はピペリジニル、ピペラジニル、モルフォリニル、およびピロリジニルを含む。
本明細書において使用する「ヘテロアリル」という用語は、窒素、酸素、硫黄のうちから選択された、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでいる芳香環系を指す。ヘテロアリル環は、一つかそれ以上のヘテロアリル環、芳香族または非芳香族炭水化物環系またはヘテロシクロアルキル環に、融合またそうでない場合には添加することができる。ヘテロアリル基の例は、例えばピリジン、フラン、チオフェン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、およびピリミジンを含む。望ましいヘテロアリルの例は、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、キノリル、ピラジニル、ピリミジル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、およびベンゾピラゾリルを含む。
本明細書において使用する「C1−C6ヒドロカルビル」という用語は、1−6炭素原子を有し、場合によっては一つかそれ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含んでいる直鎖、分岐した、または環状のアルキル基を指す。ヒドロカルビル基の例は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、セクブチル、タートブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、3−メチルペンチル、ビニル、2−ペンテン、シクロプロピルメチル、シクロプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルおよびプロパジルを含む。一つまたは二つの二重もしくは三重結合を含んでいるC1−C6ヒドロカルビルと本明細書中で言及された際には、少なくとも二つの炭素は、一つは二重結合または三重結合、少なくとも4つの炭素は、二つの二重または三重結合としてアルキル中に存在すると理解される。
本明細書において使用する「保護基」という用語は、例えば、O、N、P、またはSといった容易に原子に導入されるまたは原子から除去される、当該分野で知られている基を指す。保護基は、特定の化合物もしくは興味のある中間体形成と競合して生じる可能性のある、望ましくない反応を防ぐために用いられる。「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」第三版、1999、グリーンT. W(Greene, T. W)および関連の文献も参照のこと。
本明細書において使用する「窒素保護基」という用語は、容易に窒素に導入される、または窒素から除去される、当該分野で知られている基を指す。窒素保護基の例は、Boc、Cbz、ベンゾイル、ベンジルを含む。「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」第三版、1999、グリーンT. W(Greene, T. W)および関連の文献も参照のこと。
本明細書において使用する「ヒドロキシ保護基」、もしくは「ヒドロキシ保護」という用語は、容易に酸素、特にOH基に導入される、または酸素、特にOH基から除去される、当該分野で知られている基を指す。ヒドロキシ保護基の例は、モノメトキシトリチルおよびジメトキシトリチルといったトリチルまたは置換トリチル基、もしくはタート−ブチルジメチル、トリメチルシリルまたはタート−ブチルジフェニルシリル基のような置換シリル基を含む。「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」第三版、1999、グリーンT. W(Greene, T. W)および関連の文献も参照のこと。
本明細書において使用する「アシル」という用語は、Rがアルキル、またはアリルである、−C(O)R基を指す。
本明細書において使用するように、「リン含有基」という用語は、リン原子を含んでいる化学基を指す。リン原子は三価または五価であることができ、O、H、N、S、C、またはハロゲン原子で置換することができる。本発明のリン含有基の例は、リン原子がO、H、N、S、C、またはハロゲン原子で置換されたものを含むがこれには限定せず、ホスホン酸、アルキルホスホン酸、リン酸、二リン酸、三リン酸、ピロリン酸、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミデート、ホスホラミダイト基、ヌクレオチド、核酸分子を含む。
本明細書において使用する「ホスフィン」もしくは「亜リン酸」という用語は、例えば化学式97を有する化合物のような三価のリンの化学種を指し、
式中、Rは以下の基を含むことができ、
または
式中、SおよびTは独立に以下の基を含む。
または
本明細書において使用する「リン酸」という用語は、例えば化学式98を有する化合物のような五価のリンの化学種を指す。
式中、Rは以下の基を含むことができ、
または
式中、SおよびTはそれぞれ独立に、硫黄、または酸素原子または、以下の基を含むことができ、
または
式中、Mは硫黄または酸素原子を含む。本発明のリン酸は、ヌクレオチドリン酸を含み、化学式98の任意のR、S、またはTは、核酸もしくはヌクレオシドへの結合を含む。
本明細書において使用する「陽イオン性塩」という用語は、例えば、トリエチルアンモニウム(TEA)塩のような、正味の正電荷を有する任意の有機塩、無機塩を指す。
本明細書において使用するように、「分解性リンカー」の用語は、様々な条件下で切断可能なリンカー部分を指す。切断のための適切な条件は、pH、UV照射、酵素活性、温度、加水分解、除去、および置換反応を含むがこれに限定されず、結合の熱力学特性である。
本明細書において使用する「感光性リンカー」という用語は、特定のUV波長下で選択的に切断される、当該分野で知られているリンカー部分である。感光性リンカーを含んでいる本発明の化合物は、興味のある標的細胞または組織への化合物の送達に用いることができ、次いでUV線源の存在下で放出されることができる。
本明細書において使用する「核酸結合体」という用語は、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド結合体を指す。
本明細書において使用する「脂質」という語は、任意の親油性化合物を指す。限定を目的としない脂質化合物の例は、脂肪酸、およびを直鎖、分岐鎖、飽和および不飽和脂肪酸、カロチン、テルペン、胆汁酸、および、コレステロールとその誘導体またはそのアナログを含むステロイドを含む脂肪酸誘導体を含む。
本明細書において使用する「葉酸」という用語は、例えば、抗葉酸、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸、テトラヒドロプテリン、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸、1−デアザ、3−デアザ、5−デアザ、8−デアザ、10−デアザ、1,5−デアザ、5,10−ジデアザ、8,10−ジデアザ、および5,8−ジデアザ葉酸、およびプテロイン酸誘導体のような葉酸のアナログと誘導体を指す。
本明細書において使用する「中性電荷の化合物」という用語は、中性、または生理的pHで中性または非荷電の組成物を指す。そのような化合物の例は、コレステロールおよびその他のステロイド、コレステリルヘミコハク酸(CHEMS)、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、例えばオレイン酸、ホスファチジン酸またその誘導体のような脂肪酸、ホスファチジルセリン、ポリエチレングリコール結合ホスファチジルアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンおよび関連のバリアント、およびファルネソール、ポリプレノール、トコフェノールおよびその修飾体、ジアシルサクシニルグリセロール、膜融合性ペプチドまたは孔形成ペプチド、ジオレオイルホスフォチジルエタノールアミン(DOPE)、セラミドおよび同様のものを含むプレニル化化合物である。
本明細書において使用する「脂質集合体」という用語は、脂質がリポソーム、ミセル(非ラメラ相)、もしくはその他の一つかそれ以上の脂質の集合体である脂質を含む組成物を指す。
本明細書において使用する「窒素含有基」という用語は、窒素や置換窒素を含む任意の化学基または部分を指す。限定を目的としない窒素含有基の例は、アミン、置換アミン、アミド、アルキルアミン、アルギニンまたはリジンのようなアミノ酸、スペルミンのようなポリアミン、ピリジンのような環状アミン、ウラシル、チミジンおよびシトシンを含むピリミジン、モルフォリノ、フタルイミド、およびグアニンとアデニンを含むプリンのようなヘテロ環アミンである。
外因的に送達された治療核酸分子(例えば、siNA分子)は、RNAの逆転写がRNA転写物のレベルを減少させるのに十分長い間調節されるまで、場合によっては細胞内で安定である。核酸分子は、有効な細胞内の治療剤として機能するよう、ヌクレアーゼに耐性である。本発明また当該分野で述べられた、核酸分子の化学合成における改良点は、上述のようにそのヌクレアーゼの安定性を向上させるためのヌクレオチド修飾の導入によって、核酸分子の修飾の可能性を拡大した。
さらに別の態様においては、RNAiに関わるタンパク質の酵素活性を維持または向上させるような化学修飾を有するsiNA分子が提供される。そのような核酸は、修飾されていない核酸よりも一般的にヌクレアーゼにより耐性である。従って、インビトロおよびインビボ活性が著しく低くなることはないはずである。
核酸に基づく本発明の分子の利用は、併用療法(例えば、異なる遺伝子を標的とした複数のsiNA分子、既知の低分子修飾因子とカップリングされた核酸分子、もしくは異なるモチーフ、および/また化学薬品また生物学的分子といった分子の併用による断続的な治療)の可能性を提供することによって、疾患の進行に対するより良い治療を導くだろう。siNA分子による対象の治療は、酵素的な核酸分子(リボザイム)、アロザイム、アンチセンス、2,5−Aオリゴアデニレート、デコイ、およびアプタマーのような異なるタイプの核酸分子の併用も含むことができる。
別の観点では、本発明のsiNA分子は、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖のみ、もしくはsiNA鎖両方に、一つかそれ以上の5’および/また3’キャップ構造を含む。
「キャップ構造」は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端に組み込まれている化学修飾を意味する(例として、本明細書の参考文献に盛り込まれている、アダミック(Adamic)等、米国特許番号第5,998,203号を参照)。これらの末端修飾は、核酸分子をヌクレアーゼ分解から保護し、細胞内への送達および/また送達を助ける。キャップは5’端(5’キャップ)または3’端(3’キャップ)もしくは両端に存在することができる。限定を目的としない5’キャップの例は、逆位のデオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド、1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、1,5−無水ヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、アルファ−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート結合、スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’−セコヌクレオチド、非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆位ヌクレオチド部分、3’−3’−逆位脱塩基部分、3’−2’−逆位ヌクレオチド部分、3’−2’−逆位脱塩基部分、1,4−ブタンジオールリン酸、3’−ホスホラミデート、ヘキシルリン酸、アミノヘキシルリン酸、3’−リン酸、3’−ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または架橋もしくは非架橋メチルホスホン酸部分を含むが、これに限定されない。
限定を目的としない3’キャップの例は、グリセリル、逆位のデオキシ塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド、1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、5’−アミノアルキルリン酸、1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸、3−アミノプロピルリン酸、6−アミノヘキシルリン酸、1,2−アミノドデシルリン酸、ヒドロキシプロピルリン酸、1,5−無水ヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、アルファ−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート、スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’−セコヌクレオチド、3,4−ジヒドロブチルヌクレオチド、3,5−ジヒドロペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分、5’−5’−逆位脱塩基部分、5’−ホスホロラミデート、5’−ホスホロチオエート、1,4−ブタンジオール、5’−アミノ、架橋および/または非架橋5’−ホスホラミデート、ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジチオエート、架橋および/または非架橋メチルホスホン酸、および5’−メルカプト部分を含むが、これに限定はしない(さらに詳細は、本明細書の参考文献に盛り込まれている、ビューケージ(Beaucage)およびアイヤー(Iyer)、1993、テトラヒドロン誌(Tetrahedron)49、1925参照のこと)。
「非ヌクレオチド」は、残りの塩基が酵素活性を示すことができる、糖および/またリン酸置換基のいずれかを含む、核酸鎖の一つまたはそれ以上のヌクレオチド単位の位置に組み込まれることができる、任意の基または化合物を意味する。基または化合物は、一般的に認められるアデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンのようなヌクレオチド塩基を含まない、すなわち1’位の塩基が欠けている脱塩基である。
本明細書において使用する「ヌクレオチド」という用語は、当該分野で認められているような天然の塩基(標準)、および当該分野でよく知られている修飾塩基を指す。そのような塩基は、一般的にヌクレオチド糖部分の1’位に位置している。ヌクレオチドは一般的に、塩基、糖、およびリン酸基を含む。ヌクレオチドは、非修飾、もしくは糖、リン酸および/また塩基部分で修飾、(また、ヌクレオチドアナログ、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチド、などと互換的に呼ばれる。例として、以下全て本明細書の参考文献として盛り込まれている、ウスマン(Usman)およびマックスウィッゲン(McSwiggen)、前述、エックスタイン(Eckstein)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第92/07065号、ウスマン(Usman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第93/15187号、ウールマン(Uhlman)およびパイマン(Peyman)、前述、を参照のこと)でありうる。リンバック(Limbach)等、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)、22、2183に要約されているように、当該分野で知られている修飾核酸塩基の例がいくつかある。限定を目的としない核酸に導入可能な塩基修飾一部の例は、イノシン、プリン、ピジリン−4−one、ピジリン−2−one、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、5−リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)、もしくは6−アザピリミジン、もしくは6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピン、およびその他を含む(バーグン(Burgin)等、1996、生化学誌(Biochemistry)、35、14090、ウールマン(Uhlman)およびパイマン(Peyman)、前述)。この観点で「修飾塩基」は、1’位の、またはそれに同等に位置する、アデニン、グアニン、シトシン、およびウラシル以外のヌクレオチド塩基を意味する。
1つの態様においては、本発明は、一つもしくはそれ以上のホスホロチオエート、ホスホノ酢酸、および/またチオホスホノ酢酸、ホスホロジチオエート、メチルホスホン酸、ホスホトリエステル、モルフォリノ、アミデート、カルバミン酸、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホン酸、シリホンアミド、スルファミン酸、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、および/またアルキルシリル、置換基を含む、リン酸骨格修飾された修飾siNA分子を特徴とする。オリゴヌクレオチド骨格修飾の概説としては、ハンジカー(Hunziker)およびリューマン(Leumann)、1995、「核酸アナログ:合成と特性(Nucleic Acid Analogues : Synthesis and Properties, in Modern Synthetic Methods)」、VCH, 331−417、およびメスメーカー(Mesmaeker)等、1994、「アンチセンス研究の炭水化物修飾における、オリゴヌクレオチドのための新規のバックボーン交換(Novel Backbone Replacefnents for OligoTaucleotides, in Carbohydrate Modifications in Antisense Research)」、ACS、24−39を参照のこと。
「脱塩基」は、塩基が欠けた、またはその他の化学基を1’の塩基の位置に有する糖部分を意味する。アダミック(Adamic)等、米国特許番号第5,998,203号参照。
「非修飾ヌクレオシド」は、β−D−リボ−フィラノースの1’位の炭素に結合したアデニン、シトシン、グアニン、チミン、もしくはウラシル塩基の一つを意味する。
「修飾されたヌクレオシド」は、非修飾ヌクレオチド塩基、糖および/またリン酸の化学構造に修飾を含む任意のヌクレオチド塩基を意味する。限定を目的としない修飾された核酸の例は、化学式I−VIIおよび/また本明細書で述べられたその他の修飾として示されている。
本発明で述べられたような2’−修飾ヌクレオチドと結合している場合、「アミノ」は、修飾され得る、または修飾され得ない2’−NH2または2’−O−NH2を意味する。このような修飾基は、例えば、エックスタイン(Eckstein)等、米国特許番号第5,672,695号、およびマチューリック−アダミック(Matulic−Adamic)等、米国特許番号第6,248,878号で述べられており、双方とも参照することでその全体が本明細書に組み込まれる。
核酸のsiNA構造への様々な修飾は、これらの分子の利用を向上させるために行う事ができる。このような修飾は、有効期限、インビトロでの半減期、安定性、例えば、細胞膜の透過性を向上させ、また標的細胞の認識能や結合能を与えることによって、標的部位へのそのようなオリゴヌクレオチドの導入の簡便さを向上させることになる。
核酸分子の投与
本発明のsiNA分子はあらゆる疾患、感染症もしくは遺伝子発現に関わる状況、および、細胞または組織内の遺伝子産物のレベルに影響され得るその他の徴候の治療に、単独で、もしくは他の治療との組み合わせで適応することができる。限定を目的としないこのような疾患や状況の例は、当該分野で知られているように、癌または癌性疾患、感染症、神経性疾患、眼疾患、プリオン病、炎症性疾患、自己免疫疾患、肺疾患、腎疾患、肝疾患、ミトコンドリア病、内分泌疾患、生殖関連疾患および状態、および細胞または生物体内で発現された遺伝子産物のレベルに影響され得るその他の徴候を含む(例として、マックスウィッゲン(McSwiggen)、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第03/74654号を参照)。例えば、siNA分子は、リポソームを対象へ投与するための担体、希釈剤、およびその塩を含む送達手段を含むことが可能であり、および/また薬剤的に許容できる剤形として存在することが可能である。核酸分子の送達の方法はアクタール(Akhtar)等、1992、細胞生物学の傾向(TrendsCell Bio.)、2、139、アンチセンスオリゴヌクレオチド治療学のための送達戦略(Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics)アクタール(Akhtar)編、1995、モウラー(Maurer)等、1999、分子膜生物学誌(Mol. Membr. Biol.)、16、129−140、ホフランド(Hofland)およびフアン(Huang)、1999、実験薬理学ハンドブック(Handb. Exp. Pharmacol.)、137、165−192、およびリー(Lee)等、2000、米国癌学会シンポジウムシリーズ(ACS Symp.Ser.)、752、184−192、で述べられており、これらは全て参照することで本明細書に組み込まれる。べーゲルマン(Beigelman)等、米国特許番号第6,395,713号、およびサリヴァン(Sullivan)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第94/02595号、は更に核酸分子の送達のための一般的な方法を述べている。核酸分子は、当該分野の技術者に知られている様々な方法で細胞に投与することができ、その方法には、リポソームへの封入、イオン注入による方法、もしくは生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例として、ゴンザレス(Gonzalez)等、1999、バイオ結合化学誌(Bioconjugate Chem.)、10、1068−1074、ワン(Wang)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第03/47518号、および国際公開特許第03/46185号を参照)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)およびPLGAミクロスフェア(例として、米国特許番号第6,447,796号および米国特許番号第2002130430号を参照)、生分解性ナノカプセル、および生体接着性ミクロスフェア、またはタンパク質性ベクター(オヘア(O’Hare)およびノーマンド(Normand)、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第00/53722号)といった他の担体への組み込みによる方法が含まれるが、それに限定しない。別の態様においては、本発明の核酸分子は、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)もしくはポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)の誘導体のようなポリエチレンイミンとその誘導体との調剤もしくは複合体とすることも可能である。あるいは、核酸/溶媒の配合は、直接注射または輸液ポンプを用いて局所的に送達される。本発明の核酸分子の直接注射は、皮下注射、筋肉注射、または皮内注射のいずれであっても、標準的な針と注射器の手法、もしくは、コンリー(Conry)等、1999、臨床癌研究誌(Clin. Cancer Res.)、5、2330−2337、および、バリー(Barry)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第99/31262号といったこれらの文献で述べられているような無針注射技術を用いて行うことができる。当該分野の多くの例において、浸透圧ポンプによる(チュン(Chun)等、1998、神経科学通信(Neuroscience Letters)、257、135−138、ダルディン(D’Aldin)等、1998、分子脳研究(Mol. Brain Research)、55、151−164、ドライデン(Dryden)等、1998、内分泌学雑誌(J.Endocrino1.)、157、169−175、ガーニカー(Ghirnikar)等、1998、神経科学通信(Neuroscience Letters)、247、21−24を参照)、または直接注射による(ブローダス(Broaddus)等、1997、神経外科学フォーカス(Neurosurg Focus)、3、記事4)オリゴヌクレオチドの中枢神経系への送達方法が述べられている。その他の送達経路は、経口(錠剤または丸薬の形状)および/またくも膜下腔内送達(ゴールド(Gold)、1997、神経科学誌(Neuroscience)、76、1153−1158)を含むが、これに限定しない。核酸の送達と投与のより詳しい解説は、サリヴァン(Sullivan)ら、前述、ドレーパー(Draper)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第93/23569号、ベーゲルマン(Beigelman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第99/05094号、およびクリムック(Klimuk)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第99/04819号で提供されており、これら全ては参照することにより本明細書に組み込まれる。本発明の分子は医薬剤として利用が可能である。医薬剤は対象における病状を防止し、発症を調節、もしくは治療する(症状をある程度の、望ましくは全て緩和する)。
加えて、本発明は、本発明の核酸分子の中枢神経系および/また末梢神経系への送達方法の利用を特徴とする。実験は、ニューロンによるインビボでの効率的な核酸の取込みを示した。神経細胞への核酸の局所的な投与の一例として、ソマー(Sommer)等、1998、アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense Nuc. Acid Drug Dev.)、8、75、は、15量体のホスホロチオエートのc−fosに対するアンチセンス核酸分子が、ラットにおいてマイクロインジェクションで脳に投与された研究が述べられている。テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)もしくはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)でラベルされたアンチセンス分子は、注射後30分でニューロンによって過剰に取り込まれた。拡散した細胞質染色および核染色がこれらの細胞で観察された。神経細胞への核酸の全身投与の一例として、イパ(Epa)等、2000、アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense Nuc. Acid Drug Dev.)、10、469は、PC12細胞のニューロトロフィン受容体のp75を標的とするために、ベータ−シクロデキストリン−アダマンタン−オリゴヌクレオチド結合体が用いられた、インビボのマウスでの研究について述べている。2週間にわたる腹腔内投与の後、p75ニューロトロフィン受容体アンチセンスの顕著な取込みが、後根神経節(DRG)細胞で観察された。加えて、著しい、継続的なp75の下方調節がDRGニューロンにおいて観察された。核酸のニューロンへのターゲティングの更なるアプローチは、ブローダス(Broaddus)等、1998、神経外科雑誌(J. Neurosurg)、88(4)、734、カート(Karte)等、1997、欧州薬理学誌(Eur Pharmocol.)、340(2/3)、153、バンナイ(Bannai)等、1998、脳研究(Brain Research)、784(1、2)、304、ラジャクマール(Rajakumar)等、1997、シナプス(Synapse)、26(3)、199、ウーポン(Wu−pong)等、1999、バイオ薬理学誌(BioPharm)、12(1)、32、バンナイ(Bannai)等、1998、脳研究プロトコール(Brain Res. Protoc.)、3(1)、83、シマントフ(Simantov)等、1996、神経科学(Neuroscience)、74(1)、39、に述べられている。従って本発明の核酸分子は、反復伸展遺伝子発現の調節のために反復伸展する対立遺伝子バリアントを発現する細胞への送達、取り込みが許容できる。本発明の核酸分子の送達、反復伸展のターゲティングには、様々な異なる戦略が提供される。利用可能な中枢神経系への送達の従来アプローチには、くも膜下腔内および脳室内投与、カテーテルとポンプの埋め込み、直接注射、または損傷または病変部位での灌流、脳動脈系への注入、もしくは血液脳関門の化学的な、または浸透圧による開口を含むが、これに限定はしない。その他のアプローチでは、例えば、複合体や生分解性ポリマーの利用といった、様々な輸送体、および担体系の使用を含めることができる。更に、例えば、カプリット(Kaplitt)等、米国特許番号第6,180,613号、およびデイビッドソン(Davidson)、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第04/013280号に述べられたような遺伝子治療アプローチは、中枢神経系で核酸分子を発現させるために利用可能である。
加えて、本発明は本発明の核酸分子の、単球とリンパ球を含む、造血細胞への送達手法の利用を特徴とする。これらの手法は、ハートマン(Hartmann)等、1998、薬理学と実験治療学誌(J. Pharmacol. Exp. Ther.)、285(2)、920−928、クローネンウェット(Kronenwett)等、1998、血液誌(Blood)、91(3)、852−862、フィリオン(Filion)およびフィリップス(Phillips)、1997、生化学と生物物理会報(Biochim. Biophys. Acta.)、1329(2)、345−356、マー(Ma)およびウェイ(Wei)、1996、白血病研究(Leuk. Res.)、20(11/12)、925−930、およびボンガーツ(Bongartz)等、1994、核酸研究(Nucleic Acids Research)、22(22)、4681−8によって詳細に述べられている。上述のこのような手法は、遊離オリゴヌクレオチド、陽イオン性の脂質製剤、そしてpH感受性リポソームや免疫リポソームを含むリポソーム製剤、および、造血細胞をオリゴヌクレオチドで形質移入するための膜融合ペプチドに結合されたオリゴヌクレオチドを含むバイオコンジュゲートの利用を含む。
1つの態様においては、眼症状(例えば、黄斑変性症、糖尿病性網膜症)の治療のための化合物、分子、もしくは組成物は、被験者に眼球内、または眼球内手段によって投与される。別の態様においては、眼症状(例えば、黄斑変性症、糖尿病性網膜症など)の治療のための化合物、分子、もしくは組成物は、被験者に眼球周辺、または眼球周辺的な手段によって投与される(例として、アールハイム(Ahlheim)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第03/24420号を参照)。1つの態様においては、siNA分子および/また製剤もしくはその配合成分は、被験者に眼球内、または眼球内手段によって投与される。別の態様においては、siNA分子および/また製剤もしくはその配合成分は、被験者に眼球周辺、または眼球周辺的な手段によって投与される。眼球周辺投与は、siNA分子および製剤もしくはその配合成分の被験者への投与に、一般的に低侵襲性のアプローチを提供する。(例として、アールハイム(Ahlheim)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第03/24420号を参照)。眼球周辺投与の利用は、網膜剥離の危険を最低限にするための投薬回数より頻回の投薬または投与が可能になり、黄斑変性症およびその他の眼症状のための臨床上適切な投与経路を提供し、また薬剤の送達のための貯蔵器(例えば、インプラント、ポンプ、またはその他の機器)を利用する可能性もまた提供する。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子、および製剤もしくはその配合成分は、直接、または局所的に(例えば、局在的に)、真皮または濾胞に当該分野で一般的に知られているように投与された(例として、ブランド(Brand)、2001、分子治療学カレントオピニオン(Curr.Opin. Mol. Ther.)、3、244−8、レグニア(Regnier)等、1998、薬剤標的雑誌(J. Drug Target)、5、275−89、カニッカナン(Kanikkannan)、2002、バイオドラッグ(BioDrugs)、16、339−47、ライト(Wraight)等、2001、薬理学と治療誌(Pharmacology & Therapeutics)、90、89−104、およびプリート(Preat)およびドゥジャーディン(Dujardin)、2001、科学技術と実践:薬理科学誌(STP PharmaSciences)、11、57−68を参照)。
1つの態様においては、本発明の経皮送達システムは、例えば水性および非水性のゲル、クリーム、複合的な乳剤、マイクロエマルジョン、リポソーム、軟膏、水性および非水性の溶液、ローション、エアロゾル、炭化水素基剤および粉末、および、溶解剤、浸透促進剤(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、およびアミノ酸)、親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィルおよびポリビニルピロリドン)などの賦形剤を含むことができる。本発明で利用可能なリポソームの例は、以下を含む:(1)セルフェクチン(CellFectin)、1:1.5(M/M)陽イオン性油脂のリポソーム製剤、N,NI,NII,NIII−テトラメチル−N,NI,NII,NIII−テトラパルミット−y−スペルミンとジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(ギブコBRL(GIBCO BRL)、(2)サイトフェクチンGSV(Cytofectin GSV)、2:1(M/M)陽イオン性油脂のリポソーム製剤およびDOPE(グレンリサーチ(Glen Research))、(3)DOTAP(N−[l−(2,3−ジオレオイルオキシ)−N,N,N−トリメチル−メチル硫酸アンモニウム](ベーリンガーマンハイム(Boehringer Manheim))、(4)リポフェクタミン(Lipofectamine)、3:1(M/M)多価陽イオン性油脂のリポソーム製剤DOSPAおよび天然油脂のDOPE(ギブコBRL(GIBCO BRL)。
1つの態様においては、本発明の経粘膜の送達システムは、パッチ、錠剤、座薬、膣座薬、ゼリーおよびクリームを含み、溶解剤やエンハンサー(例えば、ポリピレングリコール、胆汁酸塩、アミノ酸)、またその他の溶媒(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステルとその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒアルロン酸のような親水性ポリマー)のような賦形剤を含むことができる。
1つの態様においては、本発明の核酸分子は、中枢神経系または末梢神経系に投与される。実験は、ニューロンによるインビボでの効率的な核酸の取込みを示した。神経細胞への核酸の局所的な投与の一例として、ソマー(Sommer)等、1998、アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense Nuc. Acid Drug Dev.)、8、75、は、15量体のホスホロチオエートのc−fosに対するアンチセンス核酸分子が、ラットにおいてマイクロインジェクションで脳に投与された研究が述べられている。テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)もしくはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)でラベルされたアンチセンス分子は、注射後30分でニューロンによって過剰に取り込まれた。拡散した細胞質染色および核染色がこれらの細胞で観察された。神経細胞への核酸の全身投与の一例として、イパ(Epa)等、2000、アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense Nuc. Acid Drug Dev.)、10、469は、PC12細胞のニューロトロフィン受容体のp75を標的とするために、ベータ−シクロデキストリン−アダマンタン−オリゴヌクレオチド結合体が用いられた、インビボでのマウスの研究について述べている。2週間にわたる腹腔内投与の後、p75ニューロトロフィン受容体アンチセンスの顕著な取込みが、後根神経節(DRG)細胞で観察された。加えて、著しい継続的なp75の下方調節がDRGニューロンにおいて観察された。核酸のニューロンへのターゲティングの更なるアプローチは、ブローダス(Broaddus)等、1998、神経外科雑誌(J. Neurosurg)、88(4)、734、カール(Karle)等、1997、欧州薬理学誌(Eur Pharmocol.)、340(2/3)、153、バンナイ(Bannai)等、1998、脳研究(Brain Research)、784(1、2)、304、ラジャクマー(Rajakumar)等、1997、シナプス(Synapse)、26(3)、199、ウーポン(Wu−pong)等、1999、バイオ薬理学誌(BioPharm)、12(1)、32、バンナイ(Bannai)等、1998、脳研究プロトコール(Brain Res. Protoc.)、3(1)、83、シマントフ(Simantov)等、1996、神経科学(Neuroscience)、74(1)、39、に述べられている。本発明の核酸分子は従って、中枢神経系および/また末梢神経系の細胞へ送達、取込みが許容できる。
本発明の核酸分子の中枢神経系への送達には様々な異なる戦略が提供されている。利用可能な中枢神経系への送達の従来アプローチには、くも膜下腔内および脳室内投与、カテーテルとポンプの埋め込み、直接注射、または損傷または病変部位での灌流、脳動脈系への注入、もしくは血液脳関門の化学的な、または浸透圧による開口を含むが、これに限定しない。その他のアプローチでは、例えば、複合体や生分解性ポリマーの利用といった、様々な輸送体、および担体系の使用を含めることができる。更に、例えば、カプリット(Kaplitt)等、米国特許番号第6,180,613号、およびデイビッドソン(Davidson)、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第04/013280号に述べられたような遺伝子治療アプローチは、中枢神経系で核酸分子を発現させるために利用可能である。
1つの態様においては、本発明の核酸分子は、適切な肺組織に核酸分子の迅速で局所的な取込みをもたらす、エアロゾルの吸引、もしくは吸引装置で投与される乾燥剤形のスプレー、または噴霧器といった肺送達を通じて投与される。吸引可能な微粉末化された核酸成分の乾燥粒子を含む固形微粒子配合物は、乾燥または凍結乾燥された核酸配合を粉砕し微粉末化された成分を、例えば400メッシュの網を通して大きな塊を粉砕するか分離することによって調整可能である。本発明の核酸成分を含む固形微粒子配合は、他の治療化合物と同様にエアロゾル製剤として利用できるようにするための分散剤を、状況に応じて含むことができる。適切な分散在はラクトースであり、これは重量比で1:1といったような適切な比率で核酸化合物と混合することができる。
本発明の核酸成分を含む液体粒子のエアロゾルは、噴霧器(例として、米国特許番号第4,501,729号を参照)のような適切な方法によって発生させることができる。噴霧器は市販の装置で、通常は空気または酸素の圧力ガスの加速によって、狭いベンチュリー開口部を通して、または活性成分の溶液または超音波撹拌によって、懸濁液を治療のためのエアロゾルに変えるものである。噴霧器での使用のために適切な剤形は、液体担体中に40%w/wまで、望ましくは20%w/w以下の量で活性成分を含む。通常、担体は水、または希釈アルコール水溶液、望ましくは、例えば塩化ナトリウムまたはその他の適切な塩の添加によって、体液と等張にされる。任意の添加物は、もし製剤が滅菌状態で調整されるのでなければ保存料を含み、例えばヒドロキシ安息香酸メチル、抗酸化剤、香料、揮発性油、緩衝剤、および乳化剤、そしてその他の製剤界面活性剤を含む。活性成分と界面活性剤を含む固体粒子のエアロゾルは、いかなる固体微粒子エアロゾル発生器でも同様に発生させることができる。被験者への治療用固体微粒子投与のためのエアロゾル発生器は、上の説明のように吸引可能な粒子を発生させ、人への投与に適切な割合で治療成分を所定の計測された用量で含む体積のエアロゾルを発生させる。固体粒子エアロゾル発生器のタイプの一例は、吸入器である。吸入による投与のために適切な剤形は、吸入器を用いて送達可能な微細に粉砕した粉末を含む。吸入器では、例えば本明細書で述べられた治療を行うために効果的な計量された用量の粉末は、通常ゼラチンやプラスチックでできたカプセルまたはカートリッジに入れられ、穴を開けるかその場で開封するかし吸入器を通して空気を吸い込むことにより、または手動ポンプにり粉末が送達される。吸入器で使用する粉末は活性成分単独か、もしくは、活性成分、ラクトースのような適切な粉末希釈剤、場合によっては界面活性剤を含む粉末混合物である。活性成分は、一般的に製剤の0.1から100w/w含まれる。第二のタイプのエアロゾル発生器の例は、定量吸入器を含む。定量吸入器は加圧されたエアロゾル分配器で、一般的に液化高圧ガス中に活性成分製剤の懸濁液または溶液が入っている。この装置を使う際、活性成分を含む微細粒子の噴霧を作るため、一定用量を送達するために適合させた弁を通して製剤を放出する。適切な高圧ガスは、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、またそれらの混合物といった一部のクロロフルオロカーボン化合物を含む。製剤は、例えばエタノール、乳化剤、およびその他のオレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、高酸化剤、および適切な香料といった製剤界面活性剤といった、一つかそれ以上のコソルベントを更に含むことができる。肺送達のその他の手法は、例えば、米国特許出願番号第20040037780号、および米国特許番号第6,592,904号、第6,582,728号、第6,565,885号で述べられている。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、参照することで図を含めた全体が本明細書に組み込まれる米国特許番号第20010007666号で述べられたような膜破壊剤との複合体とされる。別の態様においては、膜破壊剤、または媒介物およびsiNA分子は、本明細書の参考文献に図を含めた全体が組み込まれている米国特許番号第6,235,310号で述べられたような、油脂である陽イオン性油脂またはヘルパー油脂分子と共に複合体とされる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、ポリエチレンイミン(例えば線状または分岐したPEI)および/または、ガラクトースPEI、コレステロールPEI、抗体誘導体PEI、およびポリエチレングリコールPEI(PEG−PEI)誘導体のような、例えばグラフトされたPEI(例として、本明細書の参考文献に盛り込まれた、オグリス(Ogris)等、2001、米国製薬科学者協会薬理科学誌(AAPS PharmSci)、3、1−11、ファーグソン(Furgeson)等、2003、バイオコンジュゲート化学誌(Bioconjugate Chem.)、14、840−847、クナース(Kunath)等、2002、医薬研究誌(Phramaceutical Research)、19、810−817、チョイ(Choi)等、2001、韓国化学学会紀要(Bull. Korean Chem. Soc.)、22、46−52、ベッティンガー(Bettinger)等、1999、バイオコンジュゲート化学誌(Bioconjugate Chem.)、10,558−561、ピーターソン(Peterson)等、2002、バイオコンジュゲート化学誌(Bioconjugate Chem.)、13、845−854、アーバッカー(Erbacher)等、1999、遺伝子医薬誌プレプリント(Journal of Gene Medicine Preprint)、1、1−18、ゴッドビー(Godbey)等、1999、米国科学アカデミー会報(PNAS USA)、96、5177−5181、ゴッドビー(Godbey)等、1999、放出制御誌(Journal of Controlled Release)、60、149−160、ディーボルド(Diebold)等、1999、生物学化学誌(Journal of Biological Chemistry)、274、19087−19094、トーマス(Thomas)およびクリバノフ(Klibanov)、2002、米国科学アカデミー会報(PNAS USA)、99、14640−14645、サガラ(Sagara)、米国特許番号第6,586,524号を参照)を含むポリエチレンイミン誘導体と共に調剤または複合体とされる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、バイオコンジュゲートを含み、例えばヴァーギース(Vargeese)等、米国特許出願第10/427,160号、2003年4月30日申請、米国特許番号第6,528,631号、米国特許番号第6,335,434号、米国特許番号第6,235,886号、米国特許番号第6,153,737号、米国特許番号第5,214,136号、米国特許番号第5,138,045号で述べられる核酸結合体がある。
従って、本発明は、安定剤、緩衝剤やそういったような許容できる担体を用いた、一つかそれ以上の本発明の核酸を含む医薬組成物であることを特徴とする。本発明のポリヌクレオチドは、医薬成分を形成するための安定剤、緩衝剤やそういったようなものを含むか含まない標準的な方法で被験者に投与(例えば、RNA、DNAもしくはタンパク質)、導入される可能性がある。リポソーム送達機構が望まれる場合には、リポソーム形成のための標準的なプロトコールに従うことができる。本発明の成分は、調剤され、錠剤、カプセル、経口投与のためのエリキシル剤、直腸投与のための座薬、滅菌溶液、注入物質投与のための懸濁液、また当該分野で知られているその他の配合として用いられる可能性もある。
本発明は、述べられた化合物の医薬的に許容できる剤形も含む。これらの剤形は、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸といった、例えば酸添加塩のような上述化合物の塩を含む。
薬理成分もしくは製剤とは、例えば、全身投与、細胞または例えばヒトを含む対象へといった投与に適切な形の成分または製剤をさす。適切な形は、一つは用途、または例えば経口、経皮、もしくは注入による、といった摂取経路によって決まる。そのような形は成分または製剤が標的細胞(すなわち細胞への送達には、マイナスに荷電した核酸が望ましい)への到達を妨げないようにしなければならない。例えば、血流へ注入される薬理成分は可溶性でなければならない。その他の要素は、毒性および成分または製剤が効果を発揮するのを妨げるような剤形というような考察を含めて、当該分野で知られている。
「全身投与」とは、インビボの体内吸収もしくは薬剤の血流への蓄積の後、全身くまなく分配されることを意味する。全身吸収にいたる投与経路は、静脈内、皮下、腹腔内、吸引、経口、肺内、および筋肉内を含むが、これに限定しない。これらそれぞれの投与経路は、本発明のsiNA分子を到達可能な病変組織に曝す。循環に対する薬剤全体の比率は、分子量またはサイズの関数として示されている。本発明の化合物を含んでいるリポソーム、またはその他の薬剤担体の利用は、例えば網膜内皮系(RES)の組織といった特定の組織タイプへ薬剤が局在する可能性が潜在的にある。リンパ球やマクロファージのような細胞の表面との薬剤の会合を可能にすることができるリポソーム製剤は、また有用である。このアプローチは、ガン細胞のような異常細胞に対するマクロファージやリンパ球の免疫認識の特異性の利点を活かして、標的細胞への薬剤の送達を向上させることができる。
「医薬的に許容できる製剤」とは、望ましい活性のために最も適切な肉体的な部位で、本発明の核酸分子の効果的な分配を可能にする成分または製剤を意味する。本発明の核酸分子を含む製剤のための適切な物質の限定を目的としない例は、中枢神経系への薬剤の侵入を向上させることができる(ジョリエット・ライアント(Jolliet−Riant)およびティルメント(Tillement)、1999、基礎臨床薬理学誌(Fundam. Clin. Pharinaeol.)、13、16−26)(プルロニック(Pluronic)P85のような)P−糖タンパク質阻害剤、脳内への埋込みの後に持続放出するポリ(DL−ラクチド−コグリコイド)マイクロスフェアのような生分解性のポリマー(エマーリックD.F.(Emerich, DF)等、1999、Cell Transplant、8、47−58)(アルカーメス社(Alkermes, Inc.)、マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge, MA)、脳血液関門を越えて薬剤を送達でき、神経細胞の吸収機構を変えることができる、ポリシアノアクリル酸ブチルでできたような薬剤が入ったナノ粒子(神経−精神薬理学と生物精神医学の進歩(Prog Neuro −Psychopharm Biol Psychiat)、23、941−949、1999)を含む。本発明の核酸分子のための送達戦略のその他の限定を目的としない例は、ボアード(Boado)等、1998、薬理科学誌(J.Pliarm. Sci.)、87、1308−1315、タイラー(Tyler)等、1999、欧州生化学学会連合通信(FEBS Lett.)、421、280−284、パードリッジ(Pardridge)等、1995、米国科学アカデミー会報(PNAS USA)、92、5592−5596、ボアード(Boado)、1995、応用薬剤送達総説誌(Adv. Drug Delivery Rev.)、15、73−107、アードリアン−ヘラーダ(Aldrian−Herrada)等、1998、核酸研究誌(Nucleic AcidsRes.)、26、4910−4916、およびタイラー(Tyler)等、1999、米国科学アカデミー会報(PNAS USA)、96、7053−7058で述べられた素材を含む。
本発明は、ポリ(エチレングリコール)油脂(PEG修飾された、または長期循環リポソーム、またはステルスリポソーム)表面修飾されたリポソームを含む成分の利用も特徴とする。これらの剤形は、標的組織における薬剤の蓄積を増加させる手段を提供する。この種類の薬剤担体は、オプソニン作用や単核食作用形(MPSまたはRES)による排除に耐性であり、そのために血液循環時間が長くなり、封入された薬剤への組織暴露が向上する(レーシック(Lasic)等、化学総説誌(Chem. Rev.)、1995、95、2601−2627、イシワタ(Ishiwata)、化学薬理学紀要(Cherra. Pharm. Bull.)、1995、43、1005−1011)。このようなリポソームが、腫瘍に選択的に、おそらく血管外遊出し血管新生された標的組織での捕捉によって、蓄積するのが示されている(レーシック(Lasic)等、サイエンス誌(Science)、1995、267、1275−1276、オク(Oku)、1995、生化学と生物物理学会報(Biochem. Biophys. Acta)、1238、86−90)。長期循環リポソームは、特に、MPS組織に蓄積することで知られている旧来の陽イオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態と薬力学を向上させる(リュー(Liu)等、生物化学雑誌(J. Biol. Chem.)1995、42、24864−24870、チョイ(Choi)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第96/10391号、アンセル(Ansell)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第96/10390号、ホーランド(Holland)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許第96/10392号)。長期循環リポソームはまた、代謝上活動的である肝臓や脾臓のようなMPS組織に蓄積するのを防ぐ能力に基づいて、陽イオン性のリポソームと比較して薬剤をヌクレアーゼ分解から大いに保護すると思われる。
本発明はまた、医薬的に許容できる担体または希釈剤中の目的とする化合物の薬学的に効果的な量を含む、保存または投与のために調整された組成物も含む。治療上の使用で許容できる担体または希釈剤は薬学分野でよく知られており、例えば、レミントンの薬剤科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、マック出版社(Mack Publishing Co.)、(A.R.ジェナーロ(A.R. Gennaro)編、1985)に記載されており、本新生の参考文献に盛り込まれている。例えば、保存料、安定剤、色素と香料剤が提供される。これらは、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。加えて、抗酸化剤と懸濁化剤を使用することができる。
医薬的に効果的な用量は、病状の防止、発生の抑制、もしくは治療(ある程度の症状、望ましくは全ての症状の緩和)に必要な用量である。医薬的に効果的な用量は、疾患のタイプ、用いられた組成物、投与の経路、治療されたほ乳類のタイプ、考慮すべき特定のほ乳類の肉体的な特徴、併用薬剤、および当該分野の熟練者に認知されているその他の要因によって決まる。一般的に、陰性に帯電したポリマーの効能次第で、体重当たり、一日当たり、0.1mg/kgと100mg/kgの間の量の活性成分が投与される。
本発明の核酸分子およびその製剤は、経口的に、局所的に、非経口的に、吸引やスプレーで、もしくは経直腸的に、従来の非毒性の医薬的に許容できる担体、アジュバント、および/また溶剤を含む、用量単位の製剤が投与され得る。本明細書で使われているように、非経口的という用語は、ここでは経皮的、皮下、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、またはくも膜下注射または輸液技術および同等のものを含む。加えて、本発明の核酸分子と医薬的に許容できる担体を含む医薬製剤が提供される。一つまたはそれ以上の本発明の核酸分子は、一つまたはそれ以上の非毒性の医薬的に許容できる担体、および/また希釈剤、および/またアジュバント、およびもし求められるのであればその他の活性成分と共同して存在することができる。本発明の核酸分子を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、薬用キャンディー、水性または油性の懸濁液、分散可能な粉末か顆粒、乳液、ハードまたはソフトカプセル、またはシロップまたはエリキシル剤といった、経口での使用に適切な形であり得る。
経口で使用する意図の配合は、医薬組成物の製造のために当該分野で知られている任意の方法に従って調合することができ、そのような配合は医薬品として洗練された口当たりの良い調合になるように、一つかそれ以上の甘味料、香料、着色料、または保存料を含むことができる。錠剤は、非毒性の医薬的に許容される、錠剤の製造に適切な賦形剤との混合として活性成分を含む。それらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムや炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性の希釈剤や、例えばコーンスターチやアルギニン酸のような整粒および崩壊剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシアのような結合剤、および例えばステアリン酸マグネシウムやステアリン酸、もしくはタルクのような潤滑剤であり得る。錠剤はコーティングなし、または従来法によってコーティングすることができる。ある場合には、そのようなコーティングは消化管での分散と吸収を遅らせ、長い期間に渡って作用を持続させるための、従来技術で調剤することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリンやジステアリン酸グリセリンのような時間遅延剤が用いられる。
経口で使用する製剤は、活性成分が、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンといった不活性の固形希釈剤と混合されて入っている、硬質ゼラチンカプセルであってもよく、もしくは活性成分が水または例えばピーナッツオイル、流動パラフィン、またはオリーブオイルといったオイル溶剤に混合された、ソフトゼラチンカプセルであってもよい。
水性懸濁液は、水性懸濁液を製造するのに適切な賦形剤との混合物として活性物質を含む。そのような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムやメチルセルロース、ヒドロプロピル−メチルセルロース、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アカシアガムのような懸濁剤であり、分散剤や湿潤剤は、例えば、レシチンまたは例えばステアリン酸ポリオキシエチレンのような酸化アルキレンと脂肪酸の天然のリン脂質である縮合生成物、または例えばヘプタデカチレンオキシセタノールのような酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなエチレンオキサイドと脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、またはポリエチレンソルビタンモノオレエートのようなエチレンオキサイドと脂肪酸とヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物でありうる。水性懸濁液は、例えばパラヒドロキシ安息香酸エチル、もしくはイソプロピルといった一つまたはそれ以上の保存料、もしくは一つまたはそれ以上の着色料、一つまたはそれ以上の香料、および一つまたはそれ以上のサッカロースやサッカリンのような甘味料を含むことができる。
油性懸濁液は、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナッツオイルのような植物性オイル、もしくは流動パラフィンのような鉱物油中に活性成分を懸濁することによって調剤することができる。油性懸濁液は、例えば蜜ろう、固形パラフィン、もしくはセチルアルコールのような増粘剤を含むことができる。口当たりの良い経口製剤になるよう甘味料と香料を加えてもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
水の添加による水性懸濁液の調整に適切な分散可能な粉末および顆粒は、分散剤、もしくは湿潤剤、懸濁剤、および一つまたはそれ以上の保存料との混合剤として活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤、または懸濁剤は、既に上で例示されたものである。例えば甘味料、香料、着色料といった付加的な賦形剤が与えられることができる。
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の剤形もあり得る。油層は植物油または鉱物油、またはその混合物であり得る。適切な乳化剤は、例えばアカシアガム、トラガカントガムといった天然のガムや、例えばダイズレシチン、および、例えばソルビタンモノオレエートといった脂肪酸とヘキシトール、無水物由来のエステルまたは部分エステルといった天然のリン脂質や、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような部分エステルとのエチレンオキサイドとの縮合生成物であり得る。また乳液は、甘味料と香料を含むことができる。
シロップやエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース、またはサッカロースといった甘味料とともに調剤され得る。そのような製剤は、粘滑剤、保存料、および香料と着色料を含むことができる。医薬組成物は注射可能な滅菌水性懸濁液、または油性懸濁液の形に含ませることができる。この懸濁液は、上述の当該分野で知られている適切な分散剤もしくは湿潤剤、および懸濁剤を用いて調整され得る。滅菌注射製剤は、例えば1、3−ブタンジオール溶液のような、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶剤の滅菌注射溶液、または懸濁液でありうる。許容できる賦形剤および溶媒のなかで使用できるものは、水、リンガー溶液、等張の塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌された不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。この目的のために、合成モノグリセリド、もしくはジグリセリドを含めて、任意の平凡な不揮発性油が用いられ得る。加えて、オレイン酸のような脂肪酸が注射製剤に用いられる。
本発明の核酸分子は、例えば、経直腸投与のための薬剤として、座薬の形でも投与することができる。これらの配合は、通常の温度では固体だが、直腸の温度では液体で、従って直腸で融けて薬剤が放出されるような、適切な刺激性のない賦形剤と混合して薬剤を調整することができる。そのような素材には、ココアバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
本発明の核酸分子は、滅菌溶媒で非経口的に投与することができる。薬剤は、溶媒と用いられる濃度によるが、溶媒に懸濁もしくは溶解のいずれでもよい。局部麻酔、保存料、緩衝剤のような都合の良い補助剤が溶媒に溶解することができる。
体重キログラム当たり、一日当たり約0.1mgから約140mgのオーダーの投与量レベルが上述の病状の治療に有用である(対象辺り、一日当たり、約0.5mgから約7g)。一回の投薬形態にするために担体物質と混合される活性成分の量は、治療されるホストと特定の投与方法によって様々である。投薬量単位の様式は通常約1mgから約500mgの間の活性成分を含む。
任意の特定対象への特定の投与量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食習慣、、投与の時間、投与経路、および排出率、薬剤の組み合わせと治療中の特定の疾患の重症度を含む様々な要因によって決まることが分かっている。
ヒト以外の動物への投与には、配合は動物飼料や飲み水に加えることができる。動物が医薬的に適切な量の組成物をその食餌と共に摂取するように、動物飼料や飲み水の組成物として調剤すると便利である可能性がある。飼料もしくは飲み水に添加するプレミックスとして組成物を提示するのも便利である可能性がある。
本発明の核酸分子は、全体的な治療効果を増大させるために、その他の治療化合物との組み合わせで対象に投与されることができる。ある徴候を治療するための多数の化合物の使用は、薬効を増大させる一方で副作用を軽減することができる。
1つの態様においては、本発明は特定の細胞タイプへの本発明の核酸分子の投与に適した組成物を含む。例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)(ウー(Wu)およびウー(Wu)、1987、生物化学雑誌(J. Biol. Chem.)262、4429−4432)は肝細胞に独特であり、アシアロオロソムコイド(ASOR)のような分岐したガラクトース末端をもつ糖タンパク質に結合する。別の態様においては、葉酸受容体は多くのガン細胞で過剰発現されている。そのような糖タンパク質、合成糖結合体、または葉酸の受容体への結合は、オリゴ糖鎖の分岐の度合いに強く依存した親和性によって行われる。例えば、三分岐構造(triantennary)、二分岐鎖(biantennary)、単鎖(monoantennary)より強い親和性で結合する(バエンツィガー(Baenziger)およびフィート(Fiete)、1980、セル誌(Cell)、22、611−620、コノリー(Connolly)等、1982、生物化学雑誌(J.Biol.Chem.)、257、939−945)。リー(Lee)およびリー(Lee)、1987、糖結合体雑誌(Glycoconjugate J.)、4、317−328、は、ガラクトースと比較して受容体に対してより高い親和性を有するN−アセチル−D−ガラクトサミンを炭水化物部位として用いてこの高特異性を得た。「クラスター形成効果」は、マンノシル末端糖タンパク質または糖結合体の結合および取り込みについて述べられている(ポンピポム(Ponpipom)等、1981、医化学雑誌(J. Med. Chem)、24、1388−1395)。外因化合物を、細胞膜を越えて輸送するためのガラクトース、ガラクトサミン、または葉酸の結合体の利用は、例えば肝臓疾患の治療、肝臓癌、またはその他の癌を標的とした送達アプローチを提供することができる。バイオコンジュゲートの利用は、治療に必要な治療化合物の必要用量の低減をも提供することができる。更に、治療上の生物利用能、薬力学上、薬物動態上のパラメーターは本発明の核酸バイオコンジュゲートの利用を通じて調節することができる。限定を目的としないそのようなバイオコンジュゲートの例が、ヴァーギース(Vargeese)等、米国特許出願第10/201,394号、2001年8月13日申請、およびマトゥリック−アダミック(Matulic−Adamic)等、米国特許出願第10/151,116号、2002年5月17日申請、で述べられている。1つの態様においては、本発明の核酸分子は、B型肝炎ウィルスの外被タンパク質S、M、Lのようなナノ粒子との複合体を形成、または共有敵に結合される(ヤマド(Yamado)等、2003、ネイチャーバイオテクノロジー誌(Nature Biotechnology)、21、885)。1つの態様においては、本発明の核酸分子は、例えばT−細胞、肝細胞、乳ガン細胞、卵巣癌細胞、黒色腫細胞、腸上皮細胞、前立腺細胞、精巣細胞、非小細胞肺癌細胞、小細胞肺癌細胞、などを含む非アポトーシス性のヒト腫瘍細胞特異的に、ヒトの腫瘍細胞への特異性によって送達される。
1つの態様においては、本研究のsiNA分子は内皮細胞もしくは腫瘍細胞を特異的に標的とするようデザイン、または製剤される。例えば、内皮細胞もしくは腫瘍細胞を特異的に標的とするよう、PEI−PEG−葉酸、PEI−PEG−RGD、PEI−PEG−ビオチン、PEI−PEG−コレステロール、および、内皮細胞および/また腫瘍細胞を特異的に標的とすると当該分野で知られているその他の結合体を含む様々な製剤および結合体が利用される。
以下は、本発明の核酸の選択、単離、合成および活性を示す、限定を目的としない例である。
実施例1:siNAコンストラクトのタンデム合成
典型的な本発明のsiNA分子は、例えばスクシニルに基づくリンカーのような切断可能なリンカーを用いて、タンデムに合成された。本明細書で述べられたようにタンデム合成の後、高収量でRNAi分子を供給するワンステップ精製過程が行われた。このアプローチは、高処理能力のRNAiスクリーニングの一助としてsiNA合成に適しており、マルチカラムもしくはマルチウェルシステムプラットホームに容易に適応することができる。
siNAオリゴと5’端のジメトキシトリチル(5’−O−DMT)基がそのまま残った(トリチルオン合成)相補オリゴのタンデム合成の完了後、オリゴヌクレオチドは上述のように脱保護される。脱保護後、siNA配列鎖は自然にハイブリダイズされる。このハイブリダイゼーションは、一方の鎖が5’−O−DMT基を保持し、一方で相補鎖が末端5’−ヒドロキシルを含む二重鎖を生じる。一方の分子のみがジメトキシトリチル基を持つにも関わらず、新規に形成された二重鎖は、ルーチンの固相抽出精製(トリチルオン精製)のあいだ単一分子のように振舞う。この鎖は安定な二重鎖由来であるため、このジメトキシトリチル基(またはその他のトリチル基、またはその他の疎水性部分のような同等の基)だけで、例えばC18カートリッジを用いることによって、一対のオリゴを精製することができる。
逆位のデオキシ脱塩基コハク酸、またはグリセリルコハク酸リンカー(図1参照)、または同等の切断可能なリンカーのようなタンデムリンカーを導入する目的で、標準的なホスホラミダイト合成化学反応が用いられた。限定を目的としないリンカーカップリング条件で利用可能な例は、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)のような活性化試薬の存在下で、ジイソプロピルエチルアミン(DIPA)および/またDMAPのような障害塩基を含む。リンカーがカップリングされた後、末端の5’−O−DMTをそのまま残したままの第二の配列の合成を完了させるために、標準的な合成化学反応が利用された。合成の後、この結果合成されたオリゴヌクレオチドは、本明細書で述べられた過程に従って脱保護され、例えば50mM NaOAcまたは1.5M NH4H2CO3のような適切なバッファーでクェンチされた。
二重鎖siNAの精製は、例えば、ウォーターズ社(Waters)のC18 SepPak lgカートリッジを用いて、1カラム容量(CV)のアセトニトリル、2CVのH2O、および2CVの50mM NaOAcで、固相抽出精製を用いて容易に達成される。試料がロードされた後、1CVのH2Oまたは50mM NaOAcで洗浄された。カラムはその後、例えば1CVのH2Oで洗浄され、次いで、例えば1CVの1%のトリフルオロ酢酸(TFA)水溶液をカラムに通した後、2回目の1CVの1%のTFA酢酸水溶液をカラムに加え約10分間放置することによって、カラム上、脱トリチル化が行われた。残留TFA溶液が除かれ、カラムはH2O、次いで1CVの1M NaCI、さらにH2Oで洗浄された。二重鎖siNA産物はその後、例えば、1CVの20%CAN水溶液を用いて溶出される。
図2は、精製されたsiNAコンストラクトのMALDI−TOF質量分析の例であり、それぞれのピークは、siNA二重鎖のそれぞれのsiNA鎖の計算上の質量に一致する。同一の精製siNAは、キャピラリーゲル電気泳動による解析では三つのピークを与え、一つのピークはおそらく二重鎖siNAに相当し、二つのピークはおそらく分離したsiNA配列鎖に相当する。同一のsiNAコンストラクトのイオン交換HPLC分析では、単一ピークのみを示す。精製siNAコンストラクトの、後述のルシフェラーゼレポーターアッセイを用いたテストでは、別々に合成されたオリゴヌクレオチド配列鎖から生成さらたsiNAコンストラクトと比較して、同等のRNAi活性が示された。
実施例2:化学修飾されたsiNAコンストラクトの血清安定性
修飾なしのsiNAオリゴヌクレオチド(二つのチミジンヌクレオチド突出を含んでいる)と比較した化学修飾siNAコンストラクトのヒト血清中の安定性を測定するために、化学修飾がsiNAコンストラクトに導入された。RNA二重鎖の血清安定性の検討で、全ての二つのチジミンヌクレオチドを含むRNAヌクレオチドからなるsiNAコンストラクトの血清中半減期は15秒であったが、これに対して化学修飾されたsiNAコンストラクトは、修飾の程度によって1日から3日間、血清中で安定なままであった(図3参照)。siNAの一方の鎖(鎖1)が内部標識され(標識された全ての材料が二重鎖を形成するよう保証するため)1.5倍濃度の相補siNA鎖(鎖2)と二重鎖を形成することによって、RNAi安定性試験が行われた。二重鎖になったsiNAコンストラクトは、マウスまたはヒトの90%血清中に終濃度2μMのsiNA(鎖2の濃度)でインキュベートされ、30秒、1分、5分、30分、90分、4時間10分、16時間24分、および49時間のタイムポイントで安定性をテストされた。タイムポイントは、15%の変成ポリアクリルアミドゲルで泳動され、ホスホイメージャーで解析された。
内部標識は、ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)のリン酸化反応および32P−γ−ATPで、鎖2の3’側から数えて13番目のヌクレオチドへの、放射線ラベルされたリン酸付加によって行われた。残り8塩基長の断片の、T4 RNAリガーゼによるライゲーションの結果、鎖2の21塩基長の全長が得られた。RNAiの二重鎖化は、適切な濃度のsiNAオリゴヌクレオチドを加え、95℃で5分間加熱し、次いでゆっくりと室温まで冷却することによって行われた。反応は、100%血清をsiNA二重鎖に加え、37℃でインキュベートし、次いで望ましいタイムポイントで一定分量を除くことによって行われた。この調査の結果は図3に要約されている。図3に示されるように、3’端のジチミジン(TT)修飾以外は全てリボヌクレオチドであるsiNAコンストラクトと比較して、化学修飾されたsiNA分子は血清安定性が著しく向上した。
実施例3:任意のRNA配列中の潜在的siNA標的部位の特定
ウィルスやヒトmRNA転写物のような、興味のあるRNA標的の配列は、例えば、コンピューターの折り畳みアルゴリズムを用いることによって標的部位が選別された。限定を目的としない例において、ジンバンク(Genbank)のようなデータベース由来の遺伝子配列またはRNA遺伝子転写物が、標的に相補性を持つsiNA標的を作成するために用いられた。このような配列はデータベースから得ることができ、もしくは当該分野で知られているように、実験的に決定することができる。例えば変異や欠失を含んでいるリボザイム、またはアンチセンス、または疾患や病状、形質、遺伝子型もしくは表現型に関連していることが知られているそれらの部位、といった、例えばその他の核酸分子の研究に基づく効果的な標的部位であると決定された既知の標的部位は、その部位を標的とするsiNA分子のデザインに用いることができる。標的RNA中のどの部位が最も適切な標的部位かを決定するには、様々な要素が用いられる。これらの要因には、RNAの2次、3次構造、標的配列のヌクレオチド塩基組成、標的配列の様々な領域の間の相同性の程度、またはRNA転写物中の標的配列の相対位置が含まれるが、これに限定されない。これらの決定に基づいて、siNA分子の効率の選別のためにRNA転写物中に任意の数の標的部位を選ぶことができ、例えば、用いられるsiNAコンストラクトのサイズに応じて、転写産物内に1から1000の任意の標的部位が選ばれる。当該分野で知られているマルチウェルまたはマルチプレートアッセイ、またはsiNAの組み合わせライブラリーのスクリーニングアッセイ方法を用いることによって、siNA分子のスクリーニングのための標的遺伝子の発現の効果的な減少を測定する高処理能力のスクリーニングアッセイが開発可能である。
実施例4:RNA中の部位を標的とするsiNA分子の選択
以下の限定を目的としない方法は、遺伝子配列または転写物を標的とするsiNAを選択するために用いることができる。
標的配列は、標的配列中に含まれる全ての断片のリスト、または特定の長さの部分配列、例えば23ヌクレオチドの断片のリストとしてコンピューター上で解析される。この手法は、一般的には特注のパールスクリプトを用いて行われるが、オリゴ(Oligo)、マックベクター(MacVector)、またはGCGウィスコンシンパッケージ(GCG Wisconsin Package)でも同様に使用することができる。
ある態様においては、siNAは一つ以上の標的配列に対応し、それは例えば同じ遺伝子の異なる転写物を標的としたり、一つ以上の遺伝子の異なる転写物を標的としたり、またはヒト遺伝子と動物の相同遺伝子両方を標的とする事例である。この場合、特定の長さの部分配列のリストがそれぞれの標的に対して作成され、次にそれぞれのリストで一致する配列を見つけるために比較が行われる。ほとんどの、または全ての標的配列に存在している部分配列を見つけるのを目的として、部分配列は任意の配列を含む標的配列の数によって順位付けされる。あるいは、この順位付けは変異標的配列のような、標的配列に固有の部分配列を特定することができる。このようなアプローチは、正常配列の発現には影響せずに変異配列を特異的に標的とするようにsiNAを利用できるようにするだろう。
ある態様においては、siNA部分配列が望みの標的配列には存在するが、一つ以上の配列では欠失している。このような、パラログファミリー遺伝子が存在する遺伝子をsiNAが標的とする場合には、パラログは標的から外れることになる。上述の事例2として、特定の長さの部分配列のリストがそれぞれの標的に対して作成され、次にそれぞれのリストで標的遺伝子に存在するが、標的としないパラログには存在しない配列を見つけるために比較が行われる。
順位付けされたsiNA部分配列は更に解析され、GC含有量によって順位付けすることができる。GCを30−70%含んでいる部位に優先順位が与えられ、GCを40−60%含んでいる部位に更に優先順位が与えられる。
順位付けされたsiNA部分配列は更に解析され、自己折り畳みと内部ヘアピンによって順位付けすることができる。弱い内部折り畳みが優先で、強いヘアピン構造は避けられる。
順位付けされたsiNA部分配列は更に解析され、配列中にGGGまたはCCCの連続があるかどうかによって順位付けすることができる。いずれかの鎖のGGG(もしくは更に多くのG)は、オリゴヌクレオチド合成に問題を生じる場合があり、またRNAiアクティビティーを妨げる恐れがあり得るので、ほかに適切なふさわしい配列があるなら避けられる。CCCは、アンチセンス鎖にGGGが対応するので、標的鎖で調査される。
順位付けされたsiNA部分配列は更に解析され、配列の3’端にUUのジヌクレオチド(ウリジンジヌクレオチド)を有するかどうか、および/または配列の5’端にAA(アンチセンス配列に3’UUをもたらす)があるかどうかによって順位付けすることができる。これらの配列は、TTチミジンジヌクレオチド末端のsiNA分子をデザインできる。
上述のように、順位付けされた部分配列のリストから、4つか5つの標的部位が選ばれた。例えば、23ヌクレオチドを有する部分配列においては、それぞれ選ばれた23塩基長の配列の右21ヌクレオチドがデザインされ、siNA二重鎖の上側の(センス)鎖として合成され、一方、それぞれ選ばれた23塩基長の配列の左21ヌクレオチドの逆方向の相補ヌクレオチドがデザインされ、、siNA二重鎖の下側の(アンチセンス)鎖として合成された(表I参照)。もし末端TT残基が(第7段落で述べられたように)配列に望まれるのであれば、センスおよびアンチセンス双方の鎖の二つの3’末端ヌクレオチドはオリゴの合成前にTTに置き換えられる。
siNA分子は、最も活性が高いsiNA分子を特定するため、または標的RNA配列中の最も望ましい標的部位を特定するために、インビトロ、細胞培養、または動物モデル系で選択された。
代替のアプローチにおいて、標的配列に特異的なsiNAコンストラクトのプールは、ヒトHeLa細胞のような標的RNAを発現している細胞の標的部位の選択に用いられる。このアプローチに用いられる一般的な戦略は、図21に示されている。限定を目的としないこのようなプールの例は、標的RNA配列に相補的なアンチセンス配列と、アンチセンス配列に相補的なセンス配列を有する配列を含んでいるプールである。標的遺伝子を発現している細胞(例えば、HeLa細胞)は、siNAコンストラクトのプールで形質移入され、遺伝子サイレンシングに関連した表現型を示した細胞が分類される。siNAコンストラクトのプールは、例えば高処理能の方法で、本明細書で述べられたように化学修飾され合成される可能性がある。表現型の変化(例えば、標的RNAレベル、または標的タンパク質発現の減少)で陽性を示している細胞由来のsiNAは、例えば、アッセイ中の位置分析によって特定され、アッセイで特定されたsiNAアンチセンス鎖に相当する相補配列に基づく、標的RNA配列中の最も適切な標的部位を決定するのに用いられる。
実施例5:化学修飾されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティー
低分子干渉核酸(siNA)は、遺伝子調節の強力な道具として出現しつつある。全てがリボースのsiNA二重鎖は、RNAi経路を活性化するが、上述の実施例2で示されたように、ヌクレアーゼ感受性と血清中での半減期の短さ故に医薬組成物としての利用が限られた。インビボでの応用のためのヌクレアーゼ耐性のsiNAコンストラクトを開発するために、ルシフェラーゼRNAを標的とし、安定化化学修飾を含むsiNAは、HeLa細胞で活性が試験された。本調査に用いられたsiNAオリゴヌクレオチド配列の配列は、表Iに示されている。修飾には、一方または双方のsiNA鎖のホスホロチオエート結合(P=S)、2’−O−メチルヌクレオチド、または2’−フルオロ(F)ヌクレオチド、および、3’−グリセリル、3’−逆位脱塩基、3’−逆位チミジン、およびまたチミジンを含んだ3’端の安定化化学反応を含む。化学的に安定化されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティーは、全てリボヌクレオチドから成るコントロールsiNAコンストラクトと、二つのチミジンヌクレオチド突出を含む3’端を除く全ての位置で比較された。本明細書で述べられたような安定化修飾を含んでいる活性siNA分子は、向上されたヌクレアーゼ耐性によって、インビボ応用に有用であると立証されるだろう。
ルシフェラーゼのレポーターシステムは、化学修飾されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティーを、二つのチミジンヌクレオチド突出を含んでいる全てRNAヌクレオチドからなるsiNAコンストラクトと比較して試験するために利用された。センスおよびアンチセンスsiNA鎖(それぞれ20uM)は緩衝液(100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウム)中で1分間90℃、次いで1時間37℃のインキュベートによってアニールされた。ホタルのルシフェラーゼ(pGL2)およびウミシイタケのルシフェラーゼ(pRLSV40)をコードするプラスミドは、プロメガバイオテク社(Promega Biotech)から購入された。
HeLa S3細胞は、5%FBSを含むDMEM中で、37℃で培養され、形質移入の24時間前に96穴プレートのウェル当たり、100ulの培地中に15,300細胞で播種された。形質移入には、4ulのリポフェクタミン2000(ライフテクノロジー社(Life Technologies))が96ul OPTI−MEMに加えられ、ボルテックスされ、室温で5分間インキュベートされた。100ulの希釈された脂質が5ulのpGL2(200ng/ul)、5ulのpRLSV40(8ng/ul)、6ulのsiNA(終濃度25nMまたは10nM)、および84ulのOPTI−MEMを含むマイクロタイターチューブに加えられ、軽くボルテックスされ、室温で20分間インキュベートされた。次いで形質転換混合液は軽く混合され、100ulの培地中にHeLa S3細胞を入れた3つのウェルに、それぞれ50ulが加えられた。細胞は形質移入後20時間インキュベートされ、製造者(プロメガバイオテク(Promega Biotech))の取扱説明書に従ってデュアルルシフェラーゼアッセイ(Dual luciferase assay)を用いてルシフェラーゼ発現が解析された。この調査の結果は、図4−16に要約されている。本調査のsiNA鎖の配列は、表Iに示され、表中、Sirna/RPI番号によって参照される。標準化されたルシフェラーゼ活性はホタルルシフェラーゼ活性の同じ試料のウミシイタケルシフェラーゼ活性に対する割合として報告される。エラーバーは三組みの形質移入の標準偏差を表す。図4−16に示されるように、化学修飾されたコンストラクトのRNAiアクティビティーは、二つのチミジンヌクレオチド突出を含む3’端を除く全ての位置で、全てがリボヌクレオチドから構成される修飾されていないコントロールsiNAコンストラクトとしばしば同程度である。ある態様においては、化学修飾されたコンストラクトのRNAiアクティビティーは、全てがリボヌクレオチドから構成される化学修飾されていないコントロールsiNAコンストラクトより高い。
例えば、図4はホスホロチオエート修飾されたsiNAコンストラクトを用いた選択から得られた結果を示す。Sirna/RPI27654/27659コンストラクトは両鎖の全てのピリミジンヌクレオチドにホスホロチオエート置換を含み、Sirna/RPI27657/27662コンストラクトはそれぞれの鎖に5’端3’−ホスホロチオエート置換を含み、Sirna/RPI27649/27658コンストラクトはアンチセンス鎖のみホスホロチオエート全置換を含むが、一方Sirna/RPI27649/27660およびSirna/RPI27649/27661コンストラクトは、修飾されていないセンス鎖とアンチセンス鎖中に様々な程度のホスホロチオエート置換を有する。これら全てのコンストラクトは、スクランブルsiNAコントロールコンストラクト(27651/27652)と比較して、顕著なRNAiアクティビティーを示す。
図5は、上述の同じコントロールと比較した、ホスホロチオエート(Sirna/RPI28253/28255およびSirna/RPI28254/28256)およびユニバーサル塩基置換(Sirna/RPI28257/28259およびSirna/RPI28258/28260)を用いた選択によって得られた結果を示し、これらの修飾は、修飾されていないコントロールsiNAコンストラクトと比較した場合、同等またはより良いRNAiアクティビティーを示す。
図6は、センス鎖に10か所(Sirna/RPI28244/27650)または5か所(Sirna/RPI28245/27650)の2’−O−メチル置換を含む、2’−O−メチル修飾siNAコンストラクトを用いた選択によって得られた結果を示し、共に修飾されていないコントロールsiNAコンストラクトと同程度の活性がある。
図7は、2’−O−メチルまたは2’−O−デオキシ−2’−フルオロで修飾されたsiNAコンストラクトを用いた選択によって得られた結果を、二つのチミジンヌクレオチド突出を含んでいる3’末端を除く、全ての位置が全てリボヌクレオチドで構成されたコントロールと比較して示している。
図7は、それぞれの鎖の3’端に5つ、5’端に一つのホスホロチオエートが存在し、それぞれの鎖に6つのホスホロチオエート置換を含んでいるsiNAコンストラクト(Sirna/RPI28460/28461)を比較している。このモチーフは、二つのチミジンヌクレオチド突出を含んでいる3’末端を除く、全ての位置が全てリボヌクレオチドで構成されたコントロールsiNAコンストラクトと、非常に類似した活性を示す。
図9は、siNAのアンチセンス鎖に3’逆位デオキシ塩基キャップ構造を有するsiNAを作成するのに逆位脱塩基コハク酸リンカーが用いられる実施例1で述べられている、本発明の方法で合成されたsiNAコンストラクトを比較している。このコンストラクトは、二つのチミジンヌクレオチド突出を含んでいる3’末端を除く、全ての位置が全てリボヌクレオチドで構成されたコントロールsiNAと比較して改善された活性を示す。
図10は、3’−グリセリル修飾されたsiNAコンストラクトを含む、化学修飾されたsiNAコンストラクトの、全RNAコントロールsiNAコンストラクトと比較した、ルシフェラーゼのレポーターシステムを用いたRNAiアクティビティー選択の結果を示す。これらの化学修飾されたsiNAは、3’末端ジチミジン(TT)を有する全RNAsiNAコントロール(siGL2)、およびそれに対応する逆位コントロール(Inv siGL2)を用いて、本明細書で述べられるように1nMおよびl0nMの濃度で、ルシフェラーゼアッセイで比較された。HeLa細胞のルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは、「細胞」の列に表される。化学修飾されたsiNAコンストラクトのセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)によって示される。これらのSirna/RPI番号に相当する配列は表Iに示される。図に示されるように、3’端修飾siNAコンストラクトは、修飾されていないコントロールsiNA(siGL2)コンストラクトに比べて顕著なRNAiアクティビティーを保持している。
図11は、化学修飾されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティー選択の結果を示す。選択は、様々な組み合わせのセンス鎖の化学修飾とアンチセンスの化学修飾を比較した。これらの化学修飾されたsiNAは、3’末端ジチミジン(TT)を有する全RNAsiNAコントロール(siGL2)、およびそれに対応する逆位コントロール(Inv siGL2)を用いて、本明細書で述べられるように1nMおよびl0nMの濃度で、ルシフェラーゼアッセイで比較された。HeLa細胞のルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは、「細胞」の列に表される。化学修飾されたsiNAコンストラクトのセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)によって示される。これらのSirna/RPI番号に相当する配列は表Iに示される。図に示されるように、化学修飾されたSirna/RPI30063/30430、Sirna/RPI30433/30430、およびSirna/RPI30063/30224コンストラクトは、修飾されていないコントロールsiNAコンストラクトに比べて顕著なRNAiアクティビティーを保持している。注目すべきは、Sirna/RPI30433/30430はsiNAコンストラクトであり、従って、このコンストラクトは双方の類似したRNAiアクティビティー、およびリボヌクレオチドを有するsiNAコンストラクトと比較して改善された、インビボでの安定性の双方を有すると期待される。
図12は、化学修飾されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティー選択の結果を示す。選択は、様々な組み合わせのセンス鎖の化学修飾とアンチセンスの化学修飾を比較した。これらの化学修飾されたsiNAは、3’末端ジチミジン(TT)を有する全RNAsiNAコントロール(siGL2)、およびそれに対応する逆位コントロール(Inv siGL2)を用いて、本明細書で述べられるように1nMおよびl0nMの濃度で、ルシフェラーゼアッセイで比較された。HeLa細胞のルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは、「細胞」の列に表される。化学修飾されたsiNAコンストラクトのセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)によって示される。これらのSirna/RPI番号に相当する配列は表Iに示される。図に示されるように、化学的に修飾されたSirna/RPI30063/30224およびSirna/RPI30063/30430コンストラクトは、修飾されていないコントロールsiNA(siGL2)コンストラクトに比べて顕著なRNAiアクティビティーを保持している。加えて、アンチセンス単独(Sirna/RPI30430)、および逆位コントロール(Sirna/RPI30227/30229、Sirna/RPI(30063/30224)に一致した化学修飾を有する)は、上述のsiNA二重鎖と比較された。アンチセンス鎖(Sirna/RPI30430)単独では、この配列を用いたsiNA二重鎖に比べて遥かに低い抑制効果だった。
図13は、化学修飾されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティー選択の結果を示す。選択は、様々な組み合わせのセンス鎖の化学修飾とアンチセンスの化学修飾を比較した。これらの化学修飾されたsiNAは、3’末端ジチミジン(TT)を有する全RNAsiNAコントロール(siGL2)、およびそれに対応する逆位コントロール(Inv siGL2)を用いて、本明細書で述べられるように1nMおよびl0nMの濃度で、ルシフェラーゼアッセイで比較された。HeLa細胞のルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは、「細胞」の列に表される。化学修飾されたsiNAコンストラクトのセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)によって示される。これらのSirna/RPI番号に相当する配列は、表Iに示される。加えて、逆位コントロール(Sirna/RPI30226/30229、Sirna/RPI30222/30224に一致した化学修飾を有する)は、上述のsiNA二重鎖と比較された。図に示されるように、化学修飾されたSirna/RPI28251/30430、Sirna/RPI28251/30224、およびSirna/RPI30222/30224コンストラクトは、修飾されていないコントロールsiNAコンストラクトに比べて顕著なRNAiアクティビティーを保持しており、化学修飾されたSirna/RPI28251/30430コンストラクトは、コントロールsiNA(siGL2)コンストラクトと比較して活性の向上を示す。
図14は、3’−グリセリル修飾されたsiNAコンストラクトを含む、化学修飾されたsiNAコンストラクトの、全RNAコントロールsiNAコンストラクトと比較した、ルシフェラーゼのレポーターシステムを用いたRNAiアクティビティー選択の結果を示す。これらの化学修飾されたsiNAは、3’末端ジチミジン(TT)を有する全RNAsiNAコントロール(siGL2)、およびそれに対応する逆位コントロール(Inv siGL2)を用いて、本明細書で述べられるように1nMおよびl0nMの濃度で、ルシフェラーゼアッセイで比較された。HeLa細胞のルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは、「細胞」の列に表される。化学修飾されたsiNAコンストラクトのセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)によって示される。これらのSirna/RPI番号に相当する配列は、表Iに示される。図に示されるように、化学修飾されたSirna/RPI30222/30546、30222/30224、30222/30551、30222/30557および30222/30558コンストラクトは、コントロールsiNAコンストラクトと比べて顕著なRNAiアクティビティーを保持している。
図15は、化学修飾されたsiNAコンストラクトのRNAiアクティビティー選択の結果を示す。選択は、様々な組み合わせのセンス鎖の化学修飾とアンチセンスの化学修飾が固定されたアンチセンス鎖化学修飾を比較した。これらの化学修飾されたsiNAは、3’末端ジチミジン(TT)を有する全RNAsiNAコントロール(siGL2)、およびそれに対応する逆位コントロール(Inv siGL2)を用いて、本明細書で述べられるように1nMおよびl0nMの濃度で、ルシフェラーゼアッセイで比較された。HeLa細胞のルシフェラーゼ発現のバックグラウンドレベルは、「細胞」の列に表される。化学修飾されたsiNAコンストラクトのセンスおよびアンチセンス鎖はSirna/RPI番号(センス鎖/アンチセンス鎖)によって示される。これらのSirna/RPI番号に相当する配列は、表Iに示される。図に示されるように、化学修飾されたSirna/RPI30063/30430、30434/30430、および30435/30430コンストラクトは全て、コントロールsiNA(siGL2)コンストラクトと比べてより高い活性を示した。
実施例6:RNAiアクティビティー力価測定
力価測定アッセイは、RNAiアクティビティーに必要なより低い範囲のsiNA濃度を決定するために、二つのチミジンヌクレオチド突出を含んでいる、全てがリボヌクレオチドで構成されたコントロールsiNAコンストラクトと、センス鎖とアンチセンス鎖双方に5つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含んだ化学修飾されたsiNAコンストラクトの両方で行われた。アッセイは上述のように行われたが、siNAコンストラクトは2.5nMと0.025nMの間の最終濃度に希釈された。結果は図16に示されている。図16に示されるように、逆位のsiNA配列コントロールと比較した際に、化学修飾されたsiNAコンストラクトはコントロールsiNAコンストラクトと類似した濃度依存のRNAiアクティビティーを示した。
実施例7:siNAデザイン
siNA標的部位は、標的RNAの配列解析によって選ばれ、場合によっては、実施例4で述べられるようなsiNA分子のライブラリーを用いて、あるいは本明細書の実施例9で述べられるようなインビトロsiNAシステムを用いて、折り畳み基盤(siNAの標的への接近可能性を決定するために解析された任意の配列の構造)上の標的部位が優先順位付けされた。siNA分子はそれぞれの標的に結合できるようデザインされ、場合によってはsiNA分子が標的配列と相互作用できるかどうか評価するために、個別にコンピューターで折り畳みが解析された。様々なsiNA分子の長さが、活性を最適化するために選ばれる可能性がある。一般的に、標的RNAと結合または相互作用するのに十分な数の相補ヌクレオチド塩基が選ばれるが、相補性の度合いはsiNA二重鎖に適応するように調節することができ、または長さや塩基組成は様々である。このような方法を用いることにより、例えば任意の遺伝子転写物に相当するRNA配列のように、任意の既知のRNA配列中の部位を標的とするようにsiNA分子をデザインすることができる。
化学的に修飾されたsiNAコンストラクトは、RNAiアクティビティーを仲介する能力を保ちつつ、インビボでの全身投与のためのヌクレアーゼ安定性、および/また薬物動態、局在、および送達特性を提供するようにデザインされる。本明細書で述べられるように、化学的修飾は本明細書で述べられる、または当該分野で一般的に知られている合成的な方法を用いて合成的に導入される。次に、合成siNAコンストラクトは、血清中、および/また細胞/組織抽出物(例えば肝臓抽出物)中のヌクレアーゼに対する安定性がアッセイされる。合成siNAコンストラクトは、本明細書で述べられたルシフェラーゼレポーターアッセイのような適切なアッセイ、またはその他のRNAiアクティビティーを定量できるその他の適切なアッセイを用いて、RNAiアクティビティーも平行して試験される。ヌクレアーゼに対する安定性とRNAiアクティビティーの両方を有する合成siNAコンストラクトは、更に修飾され、安定性と活性アッセイで再評価することができる。例えば治療成果をもたらす主要なsiNA組成物(例として、図27を参照)を選ぶための標的スクリーニングアッセイで、安定化された活性なsiNAコンストラクトの化学修飾は、任意の選ばれたRNAを標的とする任意のsiNA配列に応用され利用される可能性がある。
実施例8:siNAの化学合成と精製
siNA分子は、例えば、本明細書で述べられるRNA配列中の標的配列のような、RNAメッセージ中の様々な部位と相互作用するようデザインすることができる。siNA分子の一方の鎖の配列は、上述の標的部位配列に相補的である。siNA分子は本明細書で述べられる方法を用いて化学的に合成することができる。コントロール配列として用いられる不活性siNA分子は、標的配列と相補的にならないようにsiNA分子の配列を混ぜ合わせることによって合成することができる。一般的に、siNAコンストラクトは、本明細書で述べられたような固相オリゴヌクレオチド合成法を用いて合成することができる(例として、本明細書の参考文献にすべて盛り込まれている、ウスマン(Usman)ら、米国特許番号第5,804,683号、5,831,071号、5,998,203号、6,117,657号、6,353,098号、6,362,323号、6,437,117号、6,469,158号、スケアリンジ(Scaringe)等、米国特許番号第6,111,086号、6,008,400号、6,111,086号、参照)。
限定を目的としない例において、RNAオリゴヌクレオチドは、当該分野で知られているようなホスホラミダイト化学反応を用いる段階的な方法で合成される。標準的なホスホラミダイト化学反応は、5’−O−ジメトキシトリチル、2’−O−タートブチルジミチルシリル、3’−O−2−シアノエチルlN,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト基、および環外アミノ保護基(例えば、N6−ベンゾイルアデノシン、N4アセチルシチジン、およびN2−イソブチリルグアノシン)の任意ヌクレオチドの利用を伴う。あるいは、上述のスケアリンジ(Scaringe)によって述べられるようなRNA合成における、酸に不安定な2’−O−オルトエステル保護基、例えば、本明細書の参考文献に盛り込まれている、ウスマン(Usman)ら、米国特許番号第5,631,360号で述べられているような、N−フタロイル保護に利用できる2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオチドとの結合で2’−O−シリルエステルを用いることができる。
固相合成の間、それぞれのヌクレオチドは連続的に(3’−から5’−方向に)固相支持体結合オリゴヌクレオチドに加えられる。鎖の3’端の最初のヌクレオチドは、様々なリンカーを用いて、固相(例えば、調節された微細孔ガラスまたはポリスチレン)に共有的に結合されている。ヌクレオチド前駆体であるリボヌクレオチドホスホラミダイト、および活性化剤が混合すると、最初のヌクレオチドの5’端に第二のヌクレオチドホスホラミダイトのカップリングが生じる。次に、支持体は洗浄され、未反応の5’−ヒドロキシル基は、不活性な5’−アセチル部分をもたらすために、無水酢酸のようなキャップ試薬でキャップされる。三価のリン結合は、より安定なリン酸結合にするために酸化される。ヌクレオチド添加サイクルの終わりに、5’−O−保護基が適切な条件下(例えばトリチルに基づく基では酸性条件、シリルに基づく基にはフッ素)で切断される。このサイクルは、それぞれの部分配列ヌクレオチドごとに繰り返される。
カップリング効率を最適化するために、例えば、合成されるsiNAの特定の化学組成によって、異なるカップリング時間、異なる試薬/ホスホラミダイト濃度、異なる接触回数、異なる固相支持体、および固相支持体リンカー化学反応を用いることによって、合成条件を変更することができる。siNAの脱保護および精製は、ウスマン(Usman)ら、米国特許番号第5,831,071号、米国特許番号第6,353,098号、米国特許番号第6,437,117号、およびベロン(Bellon)米国特許番号第6,054,576号、米国特許番号第6,162,909号、米国特許番号第6,303,773号、あるいは、上述のスケアリンジ(Scaringe)に一般的に述べられているように行うことができ、これらの文献は本明細書の参考文献として全体が盛り込まれている。加えて、脱保護の条件は可能な限り最高の収量とsiNAコンストラクトの純度が得られるように変更することができる。例えば、申請者は、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが、不適切な脱保護条件下で分解しうることを観察した。このようなオリゴヌクレオチドは、メチルアミン水を用いて約35℃で、30分間で脱保護される。もし、2’−デオキシ−2’−フルオロを含んでいるヌクレオチドがリボヌクレオチドも含む場合には、メチルアミン水を用いて約35℃で、30分間で脱保護された後、TEA−HFが加えられ、、約65℃で更に15分間反応が持続される。
実施例9:siNA活性評価のためのインビトロRNAiアッセイ
無細胞系でRNAiを再現するインビトロアッセイが、標的RNAに特異的なsiNAコンストラクトの評価に用いられる。そのアッセイは、トゥシュル(Tuschl)等、1999、遺伝子と発生誌(Genes and Development)13,3191−3197およびゼイモア(Zamore)等、2000、セル誌(Cell)、101、25−33によって述べられるシステムを含み、標的RNAに用いるために改変された。ショウジョウバエ(Drosophila)のシンチウム胚盤葉由来の抽出液が、インビトロのRNAiアクティビティーの再構成に用いられた。標的RNAは、T7RNAポリメラーゼを用いて適切なプラスミドからのインビトロ転写によって、または本明細書で述べられるように化学合成によって作成された。センスおよびアンチセンスsiNA鎖(例えば、それぞれ20uM)は緩衝液(例えば、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウム)中で1分間90℃で、次いで1時間37℃のインキュベートによってアニールされ、溶解緩衝液(例えば、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウム)で希釈された。アニーリングはTBE緩衝液中のアガロースゲルでゲル電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色して、モニターすることができる。ショウジョウバエ溶解液は、オレゴンR(Oregon R)系のハエの、酵母を塗ったモラセス寒天上で回収したゼロから2時間の胚を用い、卵膜除去して溶解して調整された。溶解液は遠心され、上澄が分離された。アッセイは、50%溶解液[vol/vol]、RNA(終濃度10−50pM)、および10%[vol/vol]のsiNAを含む(終濃度10nM)溶解緩衝液を含んでいる反応混合液を含む。反応混合液は、10mMクレアチンリン酸、10ug.mlクレアチンホスホキナーゼ、100uM GTP、100uM UTP、100uM CTP、500uM ATP、5mM DTT、0.1U/uL RNasin(プロメガ(Promega))、およびそれぞれ100uMのアミノ酸も含む。酢酸カリウムの終濃度は100mMに調節された。反応液は氷上で予め混合され、RNAを加える前に25℃で10分間プレインキュベートされ、その後25℃で更に60分間インキュベートされた。反応液は4倍量の1.25x受動的溶解緩衝液(Passive Lysis Buffer、プロメガ(Promega))でクェンチされた。標的RNAの切断は、RT−PCR解析、または当該分野で知られているその他の方法でアッセイされ、反応液からsiNAが除外されたコントロール反応と比較された。
あるいは、アッセイのために内部標識された標的RNAが、[alpha−32P]CTP存在下でのインビトロ転写で調製され、スピンクロマトグラフィーによってG50セファデックスカラムに通し、更なる精製なしに標的RNAとして用いられた。場合によっては、標的RNAはT4ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を用いて5’−32P−末端標識された。アッセイは上述のように行われ、RNAiによって生じた標的RNAと特異的RNA切断産物は、ゲルのオートラジオグラフで視覚化された。切断の割合は、無傷のコントロールRNA、またはsiNAなしのコントロール反応からのRNAとアッセイによって生じた切断産物を表すバンドの、ホスホイメージャー(登録商標)(Phosphor Imager(登録商標))による定量によって測定された。
1つの態様においては、このアッセイは、siNAに仲介されるRNAi切断のRNA標的の標的部位を決定するために用いられる。この際、複数のsiNAコンストラクトが、RNAiに仲介されたRNA標的の切断のために、例えば標識された標的RNAの電気泳動によって、またはノーザンブロット、同様に当該分野でよく知られているその他の方法によって、アッセイ反応液が解析されることにより選択される。
実施例10:インビボにおける標的RNAの核酸阻害
標的RNAを標的としたsiNA分子は、上述のようにデザインされ合成される。これらの核酸分子は、例えば以下のような方法を用いて、インビボでの切断活性を試験することができる。
特定の遺伝子転写物のsiNAターゲティングの効率を試験するために、二つの形式が用いられる。第一は、RNAおよびタンパク質阻害の程度を測定するために、標的を発現している細胞(例えば、HeLa)に対して試薬が試験される。siNA試薬はRNA標的にたいし対して選択される。RNA阻害は、細胞への適切な形質移入媒介物によるこれらの試薬の送達後に測定される。アクチンに対する標的RNAの相対量は、増幅のモニターであるリアルタイムPCR(例えば、アプライドバイオシステムズ社7700タックマン(ABI 7700 Taqman))を用いて測定される。無関係の標的に対して、オリゴヌクレオチド配列の混合物、または同一の全長と化学組成の、しかしそれぞれのいちのヌクレオチドがランダムに置換された、ランダムに選ばれたsiNAコントロールが比較された。標的への第一および第二の主要試薬が選ばれ、最適化が行われた。最適な形質移入媒体の濃度が選択された後、主要siNA分子でRNA阻害の経時的解析が行われた。加えて、RNA阻害を測定するために、細胞プレーティングフォーマットを用いることもできる。
細胞へのsiNAの送達
細胞(例えば、HeLa)は、例えば、形質移入の前日にEGM−2(バイオホワイタッカー社(BioWhittaker))中に6穴のシャーレのウェル当たり1x105細胞で播種された。siNA(終濃度は例えば、20nM)および陽イオン性脂質(例えば、終濃度20g/ml)は、EGM基本培地(バイオホワイタッカー社(BioWhittaker))中で、37oCで30分間、ポリスチレン試験管内で混合された。ボルテックスの後、混合されたsiNAはそれぞれのウェルに加えられ、示された時間インキュベートされた。最初の最適化実験のために、細胞は例えば1x103で96穴プレートに播種され、siNA混合物が前述のように加えられた。siNAの細胞への送達の効率は、脂質と混合された蛍光siNAを用いて測定される。6穴シャーレ中の細胞は、siNAと共に24時間インキュベートされ、PBSで洗浄され、2%パラホルムアルデヒドで室温にて5分間固定される。siNAの取込みは、蛍光顕微鏡を用いて視覚化される。
タックマン(Taqman)およびライトサイクラー(Lightcycler)によるmRNAの定量
siNA送達後、例えばキアゲン(Qiagen)の6ウェル用RNA精製キット、96ウェル用またはアールエヌイージ(Rneasy)抽出キットを用いて、細胞から全RNAが調製された。タックマン(Taqman)解析には、二色素標識されたプローブがレポーター色素、FAMまたはJOEで合成され、5’端に共有結合され、クエンチャー色素のTAMRAは3’端に結合される。ワンステップRT−PCR増幅は、例えば、アプライドシステムズ社プリズム7700(ABI PRISM 7700)配列検出機で、10μlのトータルRNA、100nMのフォワードプライマー、900nMのリバースプライマー、100nMのプローブ、1Xタックマン(Taqman)PCR反応緩衝液(パーキンエルマー・アプライドシステムズ社(PE−Applied Biosystems))、5.5mM MgCl2、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPをそれぞれ300μM、10Uリボヌクレアーゼ阻害剤(プロメガ社(Promega)),1.25Uアンプリタックゴールド(AmpliTaq Gold)(パーキンエルマー・アプライドシステムズ社(PE−Applied Biosystems))および10U M−MLV逆転酵素(プロメガ社(Promega))、から構成される50μlの反応液を用いて行われる。温度サイクリング条件は、48℃で30分、95℃で10分、次いで40サイクルの95℃で15秒、60℃で1分、で構成することができる。mRNAレベルの定量は、全細胞RNAの希釈系列(300、100、33、11ng/反応)から生成された標準に対する相対値として測定され、同時に実行されたB−アクチンまたはGAPDH mRNAのタックマン(Taqman)反応に対して標準化される。興味のあるそれぞれの遺伝子の上流および下流プライマー、および蛍光で標識されたプローブがデザインされる。サイバーグリーンI(SYBR Green I)色素の特定のPCR産物へのリアルタイムの取込みは、ライトサイクラー(Lightcycler)を用いてガラス毛細管で測定することができる。コントロールのcRNAを用いて、それぞれのプライマー対の標準曲線が作成される。数値は、それぞれの試料のGAPDHに対する相対発現量として表現される。
ウェスタンブロッティング
核抽出物は、標準的な微量調製技術を用いて調製することができる(例として、アンドリュー(Andrews)およびフォーラー(Faller)、1991、核酸研究誌(Nucleic Acids Research)、19、2499参照)。例えば、TCA沈澱を用いて、上澄からタンパク質抽出物が調整された。等量の20%TCAが細胞上澄に加えられ、氷上で1時間インキュベートされ、5分間の遠心でぺレットにされる。ぺレットはアセトンで洗浄され、乾燥され、水に再懸濁される。細胞のタンパク質抽出物は、10%ビス−トリスのニューペイジ(NuPage)(核抽出物)または4−12%トリス−グリシン(上澄抽出物)のポリアクリルアミドゲルで泳動され、ニトロセルロース膜上にトランスファーされる。非特異的な結合は、例えば5%の脱脂粉乳で1時間、次いで一次抗体で、4oCで16時間インキュベートすることによってブロックすることができる。次いで、洗浄、例えば、二次抗体が適用され(1:10,000希釈)、室温で1時間、スーパーシグナル試薬(SuperSignal reagent)(ピアース(Pierce))でシグナルが検出される。
実施例11:動物モデル
当該分野で知られているように、インビボでsiNAコンストラクトを選択するために、例えば、酵素的核酸分子(リボザイム)および/またアンチセンスのような、その他の核酸技術の評価に用いられている動物モデルのような、様々な動物モデルを用いることができる。このような動物モデルは、本明細書で述べられたsiNA分子の効果の試験に用いられる。限定を目的としない例において、抗血管形成剤としてデザインされたsiNA分子は、動物モデルを用いて選択することができる。血管形成および/また転移に関わる、VEGFR(例えば、VEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3)のような遺伝子への対抗を目的とした、本発明のsiNAのような核酸分子の抗血管形成効果を試験するために用いることができるいくつかの動物モデルがある。一般的には、通常は血管がない組織では容易に血管の増加が追跡できるため(パンディー(Pandey)等、1995、サイエンス誌(Science)、268、567−569)、ラットやウサギの角膜モデルが血管形成研究のために用いられてきた。これらのモデルにおいて、血管形成因子(例えば、bFGFまたはVEGF)で前処理された小さなテフロンやヒドロンのディスクは、角膜に外科的に形成されたポケットに挿入される。血管形成は3から5日後にモニターされる。VEGFR mRNAへの対抗を目的としたsiNA分子は、このディスク同様に、または実験の時間経過を通じて目に滴下して送達されるだろう。別の目のモデルでは、VEGFの発現増加と網膜での血管新生の双方を原因とした低酸素症が示されてきた(ピアース(Pierce)等、1995、米国科学アカデミー会報(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、92、905−909、シュワイキ(Shweiki)等、1992、臨床研究雑誌(J. Clin. Invest.)、91、2235−2243)。
抗血管新生剤の選択のための、いくつかの動物モデルが存在する。これらは、角膜損傷後の角膜血管形成(バーガー(Burger)等、1985、角膜誌(Cornea)4、35−41、レプリー(Lepri)等、1994、眼薬理学雑誌(J. Ocular Pharmacol)、10、273−280、オーマーロッド(Ormerod)等、1990、米国感染症学雑誌(Am. J. Pathol)、137:1243−1252)、または成長因子の角膜内への埋め込み(グラント(Grant)等、1993、糖尿病学誌(Diabetologia)36、282−291、パンディー(Pandey)等、1995上述、ジーチェ(Zieche)等、1992、実験室研究(Lab. Invest.)、67、711−715)、成長因子を含んでいるマトリゲル基質への血管成長(パッサニティ(Passaniti)等、1992上述)、ホルモン操作後の女性の生殖器の血管新生(シュワイキ(Shweiki)等、1993臨床研究雑誌(Clin. Invest.)91、2235−2243)、高度に血管新生した固形腫瘍における腫瘍成長の阻害に関わるいくつかのモデル(オレイリー(O’Reilly)等、1994、セル誌(Cell)79、315−328、センガー(Senger)等、1993、癌と転移総説(Cancer and Metas Rev.)、12、303−324、タカハシ(Takahasi)等、1994、癌研究(Cancer Res.)、54、4233−4237、キム(Kim)等、1993上述)、およびマウスの角膜における一過性の低酸素状態に誘導された血管新生(ピアース(Pierce)等、1995、米国科学アカデミー会報(Proc. Natl. Acad. Sci. USA.)92、905−909)を含む。
上述のパンディー(Pandey)等、で述べられた角膜モデルは、最も一般的で、且つよく特性が明らかにされた抗血管新生剤の効果スクリーニングモデルである。このモデルは、刺激剤(成長因子、熱またはアルカリによるやけど、内毒素)によって血管が無血管組織への動員に関わる。角膜モデルは、テフロン小粒に向けて血管を動員するためのVEGF−ヒドロン溶液に浸されたテフロン小粒を角膜間質内の埋め込み利用し、これは標準的な顕微鏡および画像解析技術を用いて定量することができる。抗血管新生効果を評価するために、siNA分子は局所的に眼に、またはテフロン小粒上のヒドロンに結合して適用される。この無血管角膜はマトリゲルモデル(後述)同様に、バックグラウンドが低いアッセイを提供する。角膜モデルはウサギで広く行われているが、ラットにおける研究も行われてきた。
マウスモデル(パッサニティ(Passaniti)等、上述)は、基底膜の抽出物であるマトリゲル、または液体状態の成長因子や抗血管新生剤を、注入前にしみ込ませることができるミリポアフィルターディスクを利用する非組織モデルである。体温での皮下投与では、マトリゲルまたはミリポア(登録商標)(Millipore(登録商標))フィルターディスクは、固形の埋め込み物を形作る。マトリゲルまたはミリポア(登録商標)(Millipore(登録商標))フィルターディスクにしみ込ませたVEGFは、マトリゲルまたはミリポア(登録商標)(Millipore(登録商標))フィルターディスクのマトリックス内で血管を動員するために用いられる(フィルターディスクは、内皮細胞特異的なvWF(第VIII因子抗原)免疫組織学法、トリクロム−マッソン染色、またはヘモグロビン含有量のために、組織学的に処理することができる。角膜のように、マトリゲルまたはミリポアフィルターディスクは無血管であるが、組織ではない。マトリゲルまたはミリポアフィルターディスクモデルにおいて、siNAモデルは、その抗血管新生効率を試験するために、マトリゲルまたはミリポア(登録商標)(Millipore(登録商標))フィルターディスクのマトリックス中に入れて投与される。従って、このモデルでの送達問題は、ラット角膜モデルにおいて、ヒドロンでコートされたテフロン小粒でのsiNA分子の送達によって、siNAがそれぞれのマトリックス内に一様に存在するために、あまり問題ではないかもしれない。
ルイス肺癌とB−16マウスメラノーマモデルは、広く認められた原発性および転移性の癌のモデルであり、抗癌剤の一次スクリーニングに用いられる。これらのマウスモデルは、免疫不全マウスの使用に依存していないので、比較的安価であり、飼育場所の懸念が最小限になる。ルイス肺癌とB−16マウスメラノーマモデルは共に、C57BL/6Jマウスの転移性の高悪性度細胞株(ルイス肺癌系は3LLまたはD122、LLc−LN7。B−16−BL6メラノーマ)由来の約106の腫瘍細胞の皮下への埋め込みを必要とする。あるいは、ルイス肺モデルは、腫瘍球(直径約0.8mm)の外科的な埋め込みによって作成することができる。転移反応もまた静脈内に直接腫瘍細胞を注入することによって作成してもよい。ルイス肺モデルでは顕微的転移が埋め込み後約14日、21−25日以内に定量可能な顕微的転移腫瘍に発展するのを観察することができる。B−16マウスメラノーマは、埋め込み後4日に始まる腫瘍血管新生で類似の経時変化を呈する。原発性および転移性腫瘍は共に、これらのモデルで同一の動物において21−25日後に存在するため、有効性の指標として、複数の測定を行うことができる。原発性腫瘍の体積、成長潜伏期、同様に顕微的および肉眼的な肺転移病巣の数または転移を示している動物の数を定量することができる。その割合が生涯期間中の増加もまた計測することができる。従って、これらのモデルは、siNA分子の全身投与およびsiNAの製剤のスクリーニングのための、適切な有効性のアッセイを提供するだろう。
ルイス肺およびB−16メラノーマモデルにおいて、多種多様な薬剤の全身薬物投与は、継続的または複数投与の投薬計画におけるいずれの場合も、通常、腫瘍の移植/接種1−7日後に始める。siNAの、組織レベルで期待された十分な薬力学的効果が達成されるかどうかを決定するために、同時的な薬学動態研究を行うことができる。さらに、原発性腫瘍および二次的な肺転移が取り除かれ、様々なインビトロ試験(つまり、標的RNAの減少)の対象とすることができる。
オーノ−マツイ(Ohno−Matsui)等、2002、米国感染症誌(Am. J. Pathology)160、711−719は、血管内皮成長因子の誘導可能な発現下のマウスにおける重症増殖性網膜症および網膜剥離のモデルについて記載している。このモデルでは、VEGF導入遺伝子の発現は、重症増殖性網膜症および網膜剥離に関連している眼のVEGFのレベルを上昇させる結果となった。更に、モリ(Mori)等、2001、細胞生理学誌(J. Cellular Physiology)、188、253−263は、重症増殖性網膜症および網膜剥離へのsiNA治療の効果を評価するために本発明のsiNA分子の硝子体内または網膜内注入と併用して使用できる、レーザーで誘導される脈絡膜血管新生のモデルを記載している。
siNA活性の評価のためのこれらのモデルの利用において、VEGFR1、VEGFR2、および/またVEGFR3のタンパク質レベルは、FACS解析によって臨床的に、実験的に測定することができる。
VEGFR1、VEGFR2、および/またVEGFR3をコードするmRNAのレベルは、ノーザン解析、リボヌクレアーゼ保護、プライマー伸長解析および/また定量的RT−PCRによって評価される。siNA分子はVEGFR1、VEGFR2、および/またVEGFR3タンパク質をコードするmRNAをブロックし、従ってその結果VEGFR1、VEGFR2、および/またVEGFR3の活性レベルがインビトロで20%以上減少する。このようなsiNA分子を、本明細書で述べられた技術を用いて特定することができる。
実施例12:インビボでの血管新生のsiNAを介した阻害
この試験の目的は、上記の実施例11で議論された、VEGFR誘導血管新生のラット角膜モデルを用いて、VEGFR1を標的としたsiNAの抗血管新生活性を評価することである。図23に示されたsiNA分子は、RNA標的と相互作用することができないために不活性な、対応する逆位コントロールを有する。siNA分子およびVEGFRは、フィルターディスク法を用いて共送達される。直径0.057のニトロセルロースフィルターディスク(ミリポア(登録商標)(Millipore(登録商標)))は適切な溶液に浸漬され、パンディー(Pandey)等、上述、によって述べられたように外科的にラットの角膜に埋め込まれる。
本試験での血管新生のための刺激は、角膜の間質中に埋め込まれた30μMのVEGFのフィルターディスク処理である。この用量は、埋め込み後5日の用量反応試験で角膜周辺の血管の網目状の成長からディスクに向かって再現可能な血管新生を生じる。VEGFの溶媒のみでのフィルターディスク処理は、血管新生反応を示さない。siNAは、ディスクで三段階の異なる濃度で、VEGFと共投与された。刺激投与に伴う一つの懸念は、VEGF受容体が刺激される可能性があるために、siNAは血管新生を阻害できないのではないかという点である。しかし、申請者は、低量のVEGF刺激は血管新生反応を維持するのに必須であることを示唆する、VEGF投与による血管新生の正常復帰を観察した。アンチVEGF−R mRNAの刺激投与を用いたVEGF受容体の生成のブロックは、VEGFで処理されたフィルターディスクによる正常な血管新生誘導を軽減する可能性がある。
材料と方法
試験化合物とコントロール
82mM Tris−Cl、pH6.9中に75μMのR&Dシステムズ社(R&D Systems)の担体フリーVEGF。siNA、1.67μG/μL,部位2340(SIRNA/RPI29695/29699)センス/アンチセンス。
siNA、1.67μG/μL、部位2340の逆位コントロール(SIRNA/RPI29983/29984)センス/アンチセンス。siNA 1.67μg/μL、部位2340(Sirna/RPI30196/30416)センス/アンチセンス。
動物
SD系(Harlan Sprague−Dawley)ラット、約225−250g、オス45個体、1群あたり動物5個体。
飼育
動物は二群に分けて飼育される。飼料、水、温度、および湿度は、実験動物の扱いと利用のためのガイド1996(1996 Guide for the Care and Use of Laboratory Animals (NRC))を踏まえた薬理学試験施設実行基準(Pharmacology Testing Facility performance standards (SOP’s))に従って記録された。動物は少なくとも実験前に7日間施設に慣れさせる。この間、動物は一般的健康状態が観察され、血清学的なベースライン監視のために採血された。
実験群
それぞれの溶液(VEGFおよびsiNAs)は、表IIIに述べられた実験群で示された1X溶液の終濃度で調製された。
siNAアニーリング条件
siNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖はH2O中で1.67mg/mL/鎖の濃度で1分間アニールされ、次いで3.34mg/mLのsiNA二重鎖を生成するために37℃で1時間インキュベートされる。眼当たり20μgの処理のために、3.34mg/mL二重鎖6μLが眼に注入された(下記参照)。3.34mg/mL二重鎖siNAは、用量反応アッセイのために連続希釈することができる。
VEGFフィルターディスクの調製
角膜への埋め込みのために、直径0.57mmのニトロセルロース・ディスクが、孔径0.45μmのニトロセルロースフィルター膜(ミリポア社(Millipore Corporation))から調製され、82mM Tris’HCl(pH6.9)中に75μM VEGFの溶液1μLに、30分間、氷上のふたをしたペトリ皿中で浸された。VEGF(83mM Tris−Cl pH6.9)の溶媒のみに浸したフィルターディスクは、全く血管新生反応を誘発しなかった。
角膜手術
本試験で用いられたラット各モデルは、コッホ(Koch)等、上述、および、パンディー(Pandey)等、上述、より改変された。簡単に、角膜は0.5%ポビドンヨード溶液で、次いで通常の生理食塩水と二滴の2%のリドカインで洗浄された。解剖顕微鏡下(ライカMZ−6(Leica MZ−6))、間質ポケットが形成され、予浸されたフィルターディスク(上記参照)が、その縁が角膜縁から1mmになるようにポケットに挿入された。
試験溶液の結膜内注入
ディスク挿入直後、先端外径40−50μmの注入器(当研究室にて作成)がVEGF浸漬フィルターディスクの直ぐ近くである、角膜縁から1mm離れたところから間質組織に挿入された。600nLの試験溶液(siNA、逆位コントロールまたは、滅菌水溶媒)が1.2μL/minの速度でシリンジ・ポンプ(Kdサイエンティフィク社(Kd Scientific))を用いて投与された。注射器はその後取り除かれ、70%エタノールと滅菌水で連続的にすすがれ、毎回の注入の間に滅菌水に浸された。試験溶液が注入されたらすぐに、動物の総自発運動量が回復しはじめるまでは微小動脈瘤クリップを用いてまぶたを閉じたままにしておく。処置後、動物は加温パッドで37℃に暖められた。
血管新生反応の定量
ディスクの埋め込み5日後、動物は0.4mg/kgのアトロピン投与によって安楽死させ、角膜はデジタル画像撮影された。新生血管の表面領域(NSA、画素の単位で表現される)は、死後の血液で満たされた角膜血管がコンピューター化された形態計測器(イメージ・プロ・プラス(Image Pro Plus)、メディアサイバネティクス社(Media Cybernetics)、v2.0)で測定された。それぞれの平均NSAは、血管新生が最大であった角膜縁とフィルターディスクの間の領域の同一のサイズの三つ組みで測定された。これらの領域の血液で満たされた角膜血管に相当する画素数は、NSA指数を算出するために合計された。NSA群平均が計算された。それぞれの処置群からのデータは、VEGF/siNA担体処理コントロールNSAに対して標準化され、最終的にVEGF誘導血管新生の阻害率として表現された。
統計
測定の後、処置群平均の正規性、VEGFにより誘導された血管新生の阻害割合の群平均が、分散の一元配置分散分析の対象とされた。
次いで、ダネット検定(VEGFコントロールとの比較)およびターキー・クレーマー検定(その他全ての群平均の比較)を含む、優位性のための二要因多重比較が、アルファ=0.05で行われた。統計解析はJMPv.3.1.6(SASインスティテュート社(SAS Institute))を用いて行われた。
試験の結果は図23および76に図画として表現される。図23に示されるよう、3段階の濃度のVEGFr1部位4229活性siNA(Sirna/RPI29695/29699)は、逆位のsiNAコントロール(Sirna/RPI29983/29984)およびVEGFコントロールと比較して、血管新生の阻害に有効であった。センス鎖に2’−デオキシ−2’−フルオロピリミヂン、および5’と3’端に逆位のデオキシ脱塩基残基のあるリボプリンを有し、アンチセンス鎖に2’−デオキシ−2’−フルオロピリミヂン、および3’ホスホロチオエートのヌクレオチド間結合末端を有するリボプリンを含んでいる、化学的に修飾されたバージョンのVEGFr1部位4229活性siNA(Sirna/RPI30196/30416)は、類似の阻害を示した。更に、「Stab9/10」の化学修飾を有するVEGFr1部位349活性siNA(Sirna#31270/31273)は、3段階の異なる濃度(2.0ug、1.0ug、および0.1μgの用量反応)で、それぞれの濃度の相当する化学修飾の逆位コントロールsiNAコンストラクト(Sirna#31276/31279)と、siNAコンストラクトが投与されなかったVEGFコントロールとの比較で、VEGF誘導血管新生の阻害が試験された。図76に示されるように、「Stab9/10」の化学修飾を有する活性siNAコンストラクト(Sirna#31270/31273)は、ラット角膜モデルにおいて、相当する化学修飾の逆位コントロールsiNAと比較して、0.1μgから2.0ugの濃度でVEGF誘導血管新生を非常に効果的に阻害する。これらの結果は、本明細書で述べられたような異なる化学修飾された組成を有するsiNA分子が、インビボで血管新生を顕著に阻害することができること示す。
実施例13:本発明のsiNA分子を用いたHBVの阻害
psHBV−1およびsiNAによるHepG2細胞の形質移入
ヒトの肝臓細胞腫瘍細胞株、Hep G2は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、25mMHEPES,100単位のペニシリン、および、100μg/mlのストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法のイーグル培地で培養された。適格なcDNA複製物を作成するために、形質転換の前にHBVゲノム配列はpsHBV−1ベクターに含まれた細菌プラスミド配列から切り出された。適格なcDNA複製物を作成するために、当該分野で知られているその他の方法を使用することができる。これは、EcoRIとHindIIIで制限消化することによって行われた。消化の完了後、分子間ライゲーションに有利なように、希釈条件下(20μg/ml)でライゲーションが行われた。全ライゲーション混合液はキアゲンスピンカラムで濃縮された。
siNA活性選択および用量反応アッセイ
ヒト肝細胞腫瘍細胞株HepG2の複製能のあるHBV DNAによる複製形質転換の結果、HBVタンパク質の発現とウィルス粒子産生を生じる。HBV RNAを標的としたsiNAの有効性を試験するために、HBVプレゲノムRNA中の異なる部位を標的としたいくつかのsiNA二重鎖が、脂質とともに12.5μg/ml、25nMで、Hep G2細胞へHBVゲノムDNAと共に共形質移入され、それに続く、分泌されたHBVの表面抗原(HBsAg)のレベルがELISAによって解析された(図24参照)。逆位配列の二重鎖がネガティブコントロールとして用いられた。続いて用量反応試験が行われ、siNA二重鎖が0.5、5、10、および25nMで脂質とともに12.5ug/mlでHep G2細胞にHBVゲノムDNAと共に共形質移入され、それに続く、分泌されたHBVの表面抗原(HBsAg)のレベルがELISAによって解析された(図25参照)。
siNA処理後のHBsAgレベルの解析
siNA活性を明らかにするため、HbsAgレベルがsiNAの形質移入の後に測定された。イミュロン4(Immulon 4)(ダイナックス社(Dynax))マイクロタイターのウェルは抗HBsAg Mab(バイオストライド社(Biostride)B88−95−31ad, ay)を炭酸緩衝液(Na2CO315mM、NaHCO335mM、pH9.5)中に1μg/mlで、4℃でオーバーナイトでコーティングされた。ウェルはPBST(PBS、0.05% トゥイーン(登録商標)(Tween(登録商標)) 20)で4回洗浄され、PBST、1%BSAで37℃で1時間ブロックされた。その後上述のように洗浄され、ウェルは307℃で30分間乾燥された。ビオチン化ヤギ抗HBsAg(アキュレート社(Accurate)YVS1807)はPBSTで1:1000に希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。ウェルはPBSTで4回洗浄された。ストレプトアビジン/アルカリホスファターゼ結合体(ピアース社(Pierce)21324)はPBSTで250ng/mlに希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。上述のように洗浄後、p−ニトロフェニルリン酸基質(ピアース社(Pierce)37620)がウェルに加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。その後、405nmの吸光度が測定された。HBV選別試験の結果は図24に要約されており、HBVプレゲノムRNAの部位262および1580を標的とする主要なsiNAコンストラクトを用いた用量反応アッセイの結果は、図25に示される。図25に示されるように、HBV RNAの部位262および1580を標的とするsiNAコンストラクトは、逆位のsiNAコントロールと比較して、ウィルスの複製/活性の顕著な用量反応阻害を提供する。
HBV RNA部位1580を標的とする異なる化学的安定化siNAモチーフの比較
二つの異なるsiNA安定化化学修飾が、逆位の一致する化学修飾コントロールを用いて、用量反応HBsAgアッセイで比較された。「Stab7/8」(表IV)コンストラクトは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを5’および3’末の逆位のデオキシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖と、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−O−メチルプリンヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖を含む。「Stab7/11」(表IV)コンストラクトは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを5’および3’末の逆位のデオキシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖と、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖を含む(例として表I参照)。図26に示されるように、化学的に安定化された両方のsiNAコンストラクトは、相当する逆位のコントロールと比較して、用量依存的にHBV抗原の顕著な阻害を示す。強力な活性がある安定化されたsiNAコンストラクトを認めた、HepG2細胞のHBV RNAを標的とするStab7/8コンストラクトの別の直接選別は、図87に示されている。
HBV RNA部位1580を標的とする異なる化学的安定化siNAモチーフの経時的評価
異なる安定化化学修飾を有する4つの異なるsiNAコンストラクトは、安定化されていないsiRNAコンストラクトと用量反応HBsAgアッセイで比較され、その結果は図28−31に示されている。異なるコンストラクトは、安定化されていないリボヌクレオチドコントロールsiRNAコンストラクト(Sirna/RPI#30287/30298)と異なる濃度(5nM、10nM、25nM、50nM、および100nM)で9日以上に渡って比較された。HBsAgレベルに基づく活性は、第3日、6日、9日目に測定された。「Stab4/5」(表IV)コンストラクトは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを5’および3’末の逆位のデオキシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖(Sirna/RPI#30355)と、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖(Sirna/RPI#30366)を含む(データは図28に示される)。「Stab7/8」(表IV)コンストラクトは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを5’および3’末の逆位のデオキシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖(Sirna/RPI#30612)と、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−O−メチルプリンヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖(Sirna/RPI#30620)を含む(データは図29に示される)。「Stab7/11」(表IV)コンストラクトは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを5’および3’末の逆位のデオキシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖(Sirna/RPI#30612)と、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドと2’−デオキシプリンヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖(Sirna/RPI#31175)を含む(データは図30に示される)。「Stab9/10」(表IV)コンストラクトは、リボヌクレオチドを5’および3’末の逆位のデオキシ脱塩基残基と共に有するセンス鎖(Sirna/RPI#31335)と、リボヌクレオチドを3’末ホスホロチオエート結合と共に有するアンチセンス鎖(Sirna/RPI#31337)を含む(データは図31に示される)。図28−31に示されるように、化学的に安定化されたsiNAコンストラクトは全て、安定化されていないsiRNAコンストラクトと比較して、実験過程を通じて用量依存的に顕著に大きなHBV抗原の阻害を示す。
stab4/5(Sirna30355/30366)、stab7/8(Sirna30612/30620)、およびstab7/11(Sirna30612/31175)の上述のsiNAコンストラクトを用いて、修飾されたsiNAコンストラクトの効果の期間を明らかにするために、全てのRNAコントロールsiNA(Sirna30287/30298)と比較して、形質移入後21日に至るまで第二の試験が行われた。単独の形質移入が、HBVの部位1580を標的とするsiRNAで行われ、培養液はその後3日毎に交換された。分泌されたHBsAgは、形質移入後、第3、6、9、12、15、18、21日目にモニターされた。図77は、形質移入後、A.3日目、B.9日目、およびC.21日目の、HBsAgレベルの減少でsiNAの活性を、相当する逆位のコントロールと比較して示す。また、D.100nM、E.50nM、およびF.25nMのsiNA濃度での、相当する時間に対する阻害割合が示される。
実施例14:本発明のsiNA分子を用いたHCVの阻害
HeLa細胞におけるHCV/ポリオウィルスキメラのsiNA阻害
HCV/ポリオウィルスキメラの阻害が、21ヌクレオチドsiNA二重鎖を用いてHeLa細胞において検討された。HCV RNAの5’非翻訳領域(UTR)の高度に保存された3つの領域を標的とするように、7つのsiNAコンストラクトがデザインされた。siNAは、HCVの5’−UTRに依存した二つの細胞培養システムで選別された。一つはHCV/ルシフェラーゼ遺伝子の翻訳に必要で、一方はHCV/ポリオウィルスキメラ(PV)の複製に関わる(本明細書の参考文献に盛り込まれた、ブラット(Blatt)等、米国特許出願第09/740,332号、2000年12月18日申請、を参照)。同じ領域(1ヌクレオチドでシフトされている)を標的とする二つのsiNA(29579/29586;29578/29585)は、双方のシステム(図32参照)で逆位のコントロールsiNA(29593/29600)と比較して活性である。例えば、HCVPV複製の85%以上の減少がsiNA処理細胞で、逆位のコントロールsiNA(29593/29600)と比較して観察され(図32)、IC50=〜2.5nMであった(図33)。インビトロでの応用のためのヌクレアーゼ耐性siNAを開発するために、siNAは安定化化学修飾を含むよう修飾することができる。このような修飾には、一方または双方のsiNA鎖での、ホスホロチオエート結合(P=S)、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−フルオロ(F)ヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基ヌクレオチド、5’および/また3’端修飾、および様々なその他のヌクレオチドおよび非ヌクレオチド修飾を含む。それらのいくつかのコンストラクトが、HCV/ポリオウィルスキメラシステムで試験され、ウィルス複製の顕著な減少が示された(図34−37)。図34−37に示されたsiNAコンストラクトは、Sima/RPI番号で照会され、コンストラクトの配列と化学修飾を示した表IIIと相互参照される。siNA活性は、相対コントロール(未処理細胞、スクランブルされた不活性コントロール配列、または形質移入コントロール)と比較された。図に示されるように、本発明のsiNAコンストラクトは、HCV/ポリオウィルスキメラシステムにおいて、HCV RNAの阻害能をもたらす。上述のように、化学修飾された、ヌクレアーゼ耐性siNA分子を含むsiNAコンストラクトは、慢性的なHCV感染症の治療のための治療剤の重要な一群に相当するのである。
HCVレプリコンシステムにおけるHCV RNA発現のsiNA阻害
加えて、HCVレプリコンシステムがHCV RNAを標的とするsiNAの有効性の試験に用いられた。試薬は、RNAとタンパク質の阻害の程度を明らかにするため、Huh7細胞(例として、ランドール(Randall)等、2003、米国科学アカデミー会報(PNAS USA)100,235−240を参照)を用いた細胞培養で試験された。siNAは、本明細書で述べられるように、HCV標的に対して選択された。RNA阻害は、Huh7細胞への適切な形質移入剤によってこれらの試薬が送達された後に測定された。アクチンに対する標的RNAの相対量が、増幅のモニターであるリアルタイムPCR(例えば、アプライドバイオシステムズ社7700タックマン(ABI 7700 Taqman))を用いて測定される。無関係の標的に対してデザインされたオリゴヌクレオチド配列の混合物、または同一の全長と化学組成の、しかしそれぞれの位置のヌクレオチドがランダムに置換され、ランダムに選ばれたsiNAコントロールと比較された。標的への第一および第二の主要試薬が選ばれ、最適化が行われた。最適な形質移入媒体の濃度が選択された後、主要siNA分子で阻害のRNA経時的解析が行われた。加えて、RNA阻害を測定するために、細胞プレーティングフォーマットを用いることもできる。限定を目的としない、siNAを介したHCV RNAの阻害アッセイへの多標的選択の例は、図38に示されている。siNA試薬(表I)は25nMでHuh7に形質移入され、HCV RNAが未処理細胞(表の「細胞」の列)とリポフェクタミン(表の「LFA2K」の列)を比較して定量された。表に示されるように、いくつかのsiNAコンストラクトは、Huh7レプリコンシステムにおいてHCV RNA発現の顕著な阻害を示す。化学的に修飾されたsiNAコンストラクトは、上述のように選択され、限定を目的としないStab7/8(表IV参照)の化学修飾siNAコンストラクト選択の例は、図40に示されている。化学修飾されたsiNAコンストラクト(Stab4/5、表IV参照)を用いた、5nM、10nM、25nMおよび100nMの濃度で、相当する化学修飾の逆位コントロールと比較された追加の用量反応試験は、図39に示される。一方、Stab7/8コンストラクトの用量反応試験は、5nM、10nM、25nMおよび100nMの濃度で、相当する化学修飾の逆位コントロールと比較され、図41に示される。活性能をもった安定化されたsiNAコンストラクトを特定するための、HCV RNAを標的とするStab7/8コンストラクトの別の直接選択は、図86に示される。
実施例15:siNA分子を用いたほ乳類細胞における標的送達
限定を目的としない例において、本発明の組成物と方法は、ほ乳類細胞における、例えば細胞成長、増殖、アポトーシス、形態、血管新生、分化、移動、ウィルス増殖、薬剤耐性、シグナル伝達、細胞周期調節、または温度感受性、またはその他の過程といった、興味のある過程に関わる遺伝子の発見に用いられる。第一にランダム化したsiNAライブラリーを作成する。これらのコンストラクトは、ほ乳類細胞の内部でライブラリーからsiNAが発現することができるベクターに挿入される。もしくは、合成siNA分子のプールが作成される。
レポーターシステム
本明細書で述べられた細胞の過程に関わる、特定のタンパク質の発現に役割を果たしている遺伝子を発見するために、容易にアッセイすることができる、興味のある特定の遺伝子が発現された時にレポーター分子が共発現される、レポーターシステムが構築された。レポーターシステムは、緑色蛍光タンパク質(GFP)または当該分野で知られており、容易に入手できるその他のレポータータンパク質のようなレポーター遺伝子コードをしている遺伝子を含むプラスミドコンストラクトとからなる。GFP遺伝子のプロモーター領域は、GFP遺伝子の効果的な転写を指令するのに十分な、興味のあるタンパク質のプロモーター部分で置き換えられる。プラスミドは、ネオマイシン耐性のような、プラスミドを含んでいる細胞を選択するための薬剤耐性遺伝子を含むことができる。
標的送達のための宿主細胞系
標的への送達のための宿主として細胞系が選択された。細胞系は、例えば、siNAコンストラクトが発現されることによって調節され特定できるような、タンパク質の調節をコントロールしている上流遺伝子のような、興味のあるタンパク質を発現していることが知られているのが望ましい。細胞は、培養中でもタンパク質の発現特性を保持していることが望ましい。レポータープラスミドは、例えば陽イオン性脂質剤を用いて細胞に形質移入される。形質移入の後、細胞は、例えば600Rg/mLのジェネテシン(Geneticin)による選択下で、限界希釈クローニングの対象とされた。プラスミドを保持している細胞は、ジェネテシン処理で生き残り、生き残った単一細胞に由来するコロニーを形成する。その結果得られたクローン細胞系はGFP産生を上方調節する能力をフローサイトメトリーで選別される。例えば、緑膿菌(Pseudonmonas aeruginosa)培養後の滅菌したM9細菌培地(シュードモナス培養上澄、PCM)による細胞処理がプロモーターの誘導に用いられた。PCMは、フォルボールミリスチン酸酢酸(PMA)が添加される。プロモーター誘導によく反応するクローン細胞系が、その後の試験のためにレポーター系として選別された。
siNAライブラリーの構築
siNAライブラリーは、ランダム化されたアンチセンス領域と自己相補的なセンス領域を有するヘアピンsiNAコンストラクトを含むオリゴヌクレオチドで構築された。ライブラリーは、ランダム化された配列を有するsiNAコンストラクトを合成して構築される。もしくは、siNAライブラリーは、ウスマン(Usman)等、米国特許出願第60/402,996号(本明細書の参考文献に盛り込まれている)に述べられているように構築される。siNAの5’と3’オリゴ配列は、クローニングのための制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含んでいる。3’末端配列は、DNAポリメラーゼ伸張を開始するためのステムループを形成する。ヘアピンDNA構造コンストラクトは90℃で融解され、DNAポリメラーゼがdsDNAコンストラクトを生成できるようにする。二重鎖siNAライブラリーは、例えば、ヒト神経成長因子受容体(hNGFr)レポーター遺伝子を含むレトロウィルスベクターの5’LTRに位置する、U6+27転写単位にクローニングされる。5’LTRのU6+27/siNA転写単位の位置づけは、ベクターが宿主細胞ゲノムに組み込まれる際に、転写単位の重複が生じる。その結果、siNAはRNAポリメラーゼIIIによってU6+27から、また5’LTRによって指令されたRNAポリメラーゼII活性によって転写される。siNAライブラリーは、上記のように選別されたクローン細胞への感染、および形質導入に用いられる、レトロウィルス粒子にパッケージされる。hNGFr受容体のアッセイは、siNAコンストラクトが組み込まれた細胞の割合を示すために用いられる。ランダム化された領域とは、完全なランダム配列、および/また部分的にランダムな配列の領域を意味する。完全なランダム配列とは、A、T、GおよびCヌクレオチドまたは修飾されたその派生物が、配列中のそれぞれの位置で理論的に等しい配列を意味する。部分的にランダムな配列とは、A、T、GおよびCヌクレオチドまたは修飾されたその派生物が、配列中のそれぞれの位置で等しくない配列を意味する。部分的にランダムな配列は、従って一か所かそれ以上の完全にランダムな位置と、一か所かそれ以上の特徴付けられたヌクレオチドを有することができる。
誘導に無反応な細胞の濃縮
PCMおよびPMAプロモーター誘導因子での処理の後、GFPレポーターがより少ない細胞を濃縮するために、siNAライブラリーを含む細胞の選別が行われる。より少ないGFP産生は、ムチンプロモーターの活性化に関わる遺伝子に対するRNAiアクティビティーに起因する可能性がある。あるいは、siNAは、ムチン/GFP転写物を直接標的とした結果、GFPを減少させている可能性がある。
細胞は、150cm2形式の細胞培養フラスコ当たり1x106といった特定の密度で播種され、ウシ胎児血清を含む適切な細胞培養液で培養される。72時間後、細胞培養液は血清無しの培地に交換される。血清欠乏24時間後、細胞はGFP産生を誘導するPCM(40%まで)およびPMA(50nMまで)を添加した血清を含む培地で処理される。20時間から22時間後、例えば、ファックスタープラス(FACStar Plus)細胞選別機で、細胞はGFPレベルをモニターされる。選別は、GFP産生を誘導された選別されていないコントロール試料のうち、90%以上のsiNAライブラリー細胞がバックグラウンドのレベル以上である場合に行われた。二つの細胞分画が一連の選別で回収された。適切な一連の選別の後、選別された細胞中に存在するM1画分がsiNA分子のデータベース作成のために選択された。
選別された細胞からのsiNA配列の回収
選別されたsiNAライブラリー細胞から、標準的な手法を用いてゲノムDNAが調達される。レトロウィルスベクターのsiNAの5’および3’にハイブリダイズされるネステッド・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーが、ライブラリー細胞DNAの特定のクローンからのsiNA配列の回収および増幅に用いられる。PCR産物は、バクテリアクローニングベクターにライゲートされる。プラスミドの形に回収されたsiNAライブラリーは、siNA配列のデータベースを作成するのに用いることができる。例えば、バクテリアコロニーからプラスミドを単離すること、または直接コロニーPCRによって、E.coliDNAにクローニングされたライブラリーが調整され、siNA配列が決定される。第二の方法は、siNAライブラリーをクローン化された細胞の形質移入に用いることができる。安定に形質移入された細胞のクローン系が確立され、例えば、PCMおよびPMAで誘導される。GFP誘導に反応しないこれらの系は、単一siNA組み込みイベントがPCRで調査される。双方の手法で得られた固有のsiNA配列は、標的タグ配列(TST)データベースに加えられる。
バイオインフォマティクス
単離されたsiNAコンストラクトのアンチセンス領域の配列は、公的または私的な遺伝子データバンクと比較される。遺伝子の一致は、完全または不完全一致に準じて蓄積される。見込みのある遺伝子標的は、それぞれの遺伝子に一致する多数の異なるsiNA配列によって分類される。一つ以上のsiNAと完全一致する遺伝子が標的検証試験のために選択される。
標的遺伝子の検証
タンパク質発現の調節因子であると標的を立証するために、siNA試薬はジンバンクからの遺伝子のcDNA配列を標的とするようにデザインされる。siNA試薬は、クローン化された細胞への投与の前に、適切な濃度(例えば、5−50nMまたはそれ以下)で陽イオン性脂質剤と混合される。細胞はsiNA試薬で、例えば72時間から96時間処理される。siNA処理の終了前に、例えば、PCM(40%まで)およびPMA(50nMまで)がプロモーターを誘導するために添加される。24時間の誘導後、細胞は回収され、表現型および分子要因がアッセイされる。siNA処理された細胞での低減されたGFP発現は(フローサイトメトリーで計測される)、標的遺伝子の確認の証拠として解釈される。siNA処理された細胞の標的RNAのノックダウンは、標的の確認完了のために、内因性のRNAの減少とGFP RNAの減少とを関連づけることができる。
実施例16:薬学動態が向上したsiNAコンストラクトのスクリーニング
限定を目的としない例において、siNAコンストラクトはインビボで薬学動態特性が、全てRNA、もしくは修飾されていないsiNAコンストラクトと比較して、向上したものが選択された。知識に基づいたデザイン要因(例えば、2’−修飾の導入、塩基修飾、骨格修飾、末端キャップ修飾、または共有的に結合された結合体など)に基づいて、化学修飾がsiNAコンストラクトに導入された。修飾されたコンストラクトは、適切なシステム(例えば、示されているヌクレアーゼ耐性のためのヒト血清、またはPK/送達要因のための動物モデル)において試験された。平行して、siNAコンストラクトは、例えばルシフェラーゼレポーターアッセイのような細胞培養システムで、RNAi活性が試験された。主要なsiNAコンストラクトは、RNAi活性を保持した上で特定の特性を有するものが特定され、さらに修飾され、再度アッセイされることができる。この同じアプローチは、薬学動態学的特性、送達、局在送達、細胞による取込み、およびRNAiアクティビティーが向上したsiNA結合分子の特定に用いることができる。
実施例17:適応症
本発明のsiNA分子は、遺伝子の発現の調節を通じて、様々な疾患や病態の治療に用いることができる。本明細書で述べられた方法を用いて、化学修飾されたsiNA分子は、任意の数の標的遺伝子の発現を調節するようにデザインすることができ、標的遺伝子は癌、代謝疾患、ウィルス、バクテリアまたは真菌感染症のような感染性疾患、神経系疾患、筋骨格疾患、免疫系疾患、シグナル経路や細胞メッセンジャーに関係する疾患、分子ポンプやチャネルを含む輸送システムに関わる疾患を含むが、それに限定しない。
限定を目的としない、本発明のsiNA分子を用いて標的とすることができる様々なウィルス遺伝子の例は、C型肝炎ウィルス(HCV、例えば、ジンバンクアクセッション番号:D11168、D50483.1、L38318およびS82227)、B型肝炎ウィルス(HBV、例えば、ジンバンクアクセッション番号:AF100308.1)、ヒト免疫不全ウィルス1型(HIV−1、例えば、ジンバンクアクセッション番号:U51188)、ヒト免疫不全ウィルス2型(HIV−2、例えば、ジンバンクアクセッション番号:X60667)、西ナイルウィルス(WNV、例えば、ジンバンクアクセッション番号:NC_001563)、サイトメガロウィルス(CMV、例えば、ジンバンクアクセッション番号:NC_001347)、呼吸器合胞体ウィルス(RSV、例えば、ジンバンクアクセッション番号:NC_001781)、インフルエンザウィルス(例えば、ジンバンクアクセッション番号:AF037412)、ライノウィルス(例えば、ジンバンクアクセッション番号:D00239、X02316、X01087、L24917、M16248、K02121、X01087)、パピローマウィルス(例えば、ジンバンクアクセッション番号:NC_001353)、単純ヘルペスウィルス(HSV例えば、ジンバンクアクセッション番号:NC_001345)、およびHTLV(例えば、ジンバンクアクセッション番号:AJ430458)等のその他のウィルスを含む。多くのウィルスゲノムの高度な配列多様性のために、広範な治療アプリケーション用siRNA分子の選択がウィルスゲノムの保存領域に関与する可能性が高い。限定を目的としない、ウィルスゲノムの保存領域の例は、5’非コード領域(NCR)、3’非コード領域(NCR)、LTR領域および/また配列内リボソーム進入部位(IRES)を含むが、それらに限定されない。様々なウィルスゲノムの保存領域に対してデザインされたsiNA分子は、多様な患者群におけるウィルス複製の効果的な阻害を可能にするであろうし、ウィルスゲノムの非保存領域の変異によって進化するウィルス準種に対するsiNA分子の効果も裏付けられるかもしれない。
限定を目的としない、本明細書で述べられた方法を用いて本発明のsiNA分子を用いて標的とすることができるヒト遺伝子の例は、例えば一般的にジンバンク(Genbank)の受入番号で参照されるような、任意のヒトRNA配列を含む。これらのRNA配列は、遺伝子発現を阻害し、従って、疾患や病態、またはそれらの遺伝子の発現に関連する感染症を無効にするsiNA分子をデザインするために用いることができる。そのような、限定を目的としない本発明のsiNAを用いて標的とすることができるヒト遺伝子の例は、VEGF(例えば、ジンバンクアクセッション番号:NM_003376.3)、VEGFr(例えばVEGFR1、ジンバンクアクセッション番号:XM_067723、例えばVEGFR2、ジンバンクアクセッション番号:AF063658)、HER1、HER2、HER3、およびHER4(例えば、それぞれジンバンクアクセッション番号:は、NM_005228、NM_004448、NM_001982、およびNM_005235)、テロメラーゼ(TERT、例えばジンバンクアクセッション番号:NM_003219)、テロメラーゼRNA(例えばジンバンクアクセッション番号:U86046)、NfkappaB、Rel−A(例えばジンバンクアクセッション番号:NM_005228)、NOGO(例えばジンバンクアクセッション番号:AB020693)、NOGOr(例えばジンバンクアクセッション番号:XM_015620)、RAS(例えばジンバンクアクセッション番号:NM_004283)、RAF(例えばジンバンクアクセッション番号:XM_033884)、CD20(例えばジンバンクアクセッション番号:X07203)、METAP2(例えばジンバンクアクセッション番号:NM_003219)、CLCA1(f例えばジンバンクアクセッション番号:NM_001285)、ホスホランバン(例えばジンバンクアクセッション番号:NM_002667)、PTP1B(例えばジンバンクアクセッション番号:M31724)、PCNA(例えばジンバンクアクセッション番号:NM_002592.1)、PKC−アルファ(例えばジンバンクアクセッション番号:NM_002737)、およびその他を含む。
本発明のsiNA分子は、殺虫剤、抗ウィルスや抗真菌剤としての使用、または油やでんぷんの特性やストレス耐性のような植物の特質の調節を含む、植物における内因的または外因的遺伝子発現のsiNAを用いた調節に伴う、様々な農業的な応用に利用することもできる。
実施例18:診断上の利用
本発明のsiNA分子は、例えば、治療、工業、環境、農業、および/また研究のような様々な応用における標的分子(例えば、RNA)の特定のような、様々な診断上の応用に利用することができる。そのようなsiNA分子の診断上の利用は、例えば、細胞溶解液または部分精製された細胞溶解液を用いる、RNAi再構成システムの利用を伴う。本発明のsiNA分子は、例えば、疾患細胞中の遺伝的浮動や変異を検査するための、または、細胞中のウィルスRNAのような内因性または外因性の存在を検出するための診断手段として用いることができる。siNA活性と標的RNAの構造の間の密接な関係故に、塩基対と標的RNAの3次元構造が変わり、分子の任意の領域の変異を検出することができる。本発明で述べられた複数のsiNA分子を用いることにより、RNAの構造、また細胞と組織内同様にインビトロでの機能に重要なヌクレオチドの変化をマップすることができる。siNA分子と標的RNAの切断は、遺伝子発現の阻害や特定の遺伝子産物の疾患または感染の進行における役割を明らかにするのに用いることができる。この方法で、その他の遺伝子標的が疾患の重要な調節因子として明らかにされる可能性がある。これらの実験は、併用療法(例えば、異なる遺伝子を標的とする複数のsiNA分子、既知の低分子阻害剤と結合したsiNA分子、またはsiNA分子および/またそのたの化学的または生物学的分子との断続的な併用治療)の可能性を提供することによって、疾患進行へのより良い治療を導き出すだろう。本発明のsiNA分子のその他のインビトロ利用は、当該分野でよく知られており、疾患、感染症、または関連の病体に関連するmRNAの存在の検出を含む。このようなRNAは、例えば、蛍光共鳴放射転移(FRET)のような標準的手法を用いて、siNAによる治療後、切断産物の存在の測定によって検出される。
特定の例においては、標的RNAの野生型のみ、または変異型のみを切断するsiNA分子がアッセイに用いられる。第一のsiNA分子(すなわち、標的RNAの野生型のみを切断するもの)は、試料中の野生型RNAの存在を確認するのに用いられ、第二のsiNA分子(すなわち、標的RNAの変異型のみを切断するもの)は試料中の変異型RNAを確認するのに用いられる。反応コントロールとして、反応中のsiNAの相対的効率、また「標的でない」RNA種は切断されていないことを示すために、野生型および変異RNA双方の合成基質が双方のsiNA分子によって切断される。合成基質からの切断産物は、試料群中の野生系と変異RNAの解析のためのサイズマーカーを作るのに役立つ。すなわち、それぞれの解析には、二つのsiNA分子、二つの基質、および一つの未知の試料で、合計6つの反応が必要である。切断産物の存在は、それぞれのRNAの全長および切断断片がポリアクリルアミドゲルの1レーンで解析できる、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて検出される。変異RNAの発現と標的細胞における望ましい表現系が変化するという想定される危険性の洞察を得るために、結果の定量が絶対に必要というわけではない。表現系の発展にタンパク質産物が関わっている(すなわち、疾患に関係した、または感染に関係した)mRNAの発現は、危険を証明するに十分である。もし比較可能な特定の活性のプローブが双方の転写物に用いられるなら、RNAレベルの定性的な比較で十分であり、初期診断の費用を低減する。RNAレベルが定性的に、または定量的に比較されるかどうかに関わらず、野生型に対する変異型のより高い比率は、より高い危険性と相関している。
実施例19:siNA結合体の合成
本発明のsiNA分子への結合部分の導入は、固相合成の間に上述のホスホラミダイト化学反応を用いて、または合成後に、例えば、siNAに存在するアミノリンカーへのN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)エステル結合を用いて成し遂げられる。一般的に、固相合成の間に導入される結合は、ホスホラミダイトアプローチを用いた合成サイクルの最後のカップリング反応として、核酸配列の5’端に添加される。カップリング条件は、例えば、効率的なカップリングを達成するためにカップリング時間、試薬の濃度の変更によって、高収量カップリングのために最適化することができる。上述のように、siNA分子のセンス鎖の5’端は、反応性のあるカップリングに利用可能なリン基を有する結合部分(例えば、化学式18、22、25、43、44、45、51、59、60、68、76、81、85、86、89、92、94、または98を有する化合物)で、5’末結合を提供するホスホラミダイトアプローチを用いて、容易に結合される(例として、図65参照)。
反応性のあるリン基と保護されたヒドロキシ基を有する結合前駆体は、siNA配列中の任意の場所に結合部分を組み込むために用いることができる(例として、図66参照)。例えば、ホスホラミダイトアプローチを用いて、ホスホラミダイトと保護されたヒドロキシルを含んでいる結合部分(例えば、本明細書の化学式59、60、68、81、85、86、89、92、94、もしくは98を有する化合物)は、固相合成ホスホラミダイトカップリングを用いて、siNA配列中の望みの位置に第一にカップリングされる。第二に、保護基(例えば、ジメトキシトリチル)の除去は、siNA配列への更なるヌクレオチドのカップリングを可能にする。このアプローチは、siNA分子中の任意の位置に結合部分を位置させることを可能にする。
結合誘導体は合成後にsiNA分子に導入することもできる。合成後の結合は、siNA分子の任意の位置の適切な官能基が存在する場所(例えば、ヌクレオチド塩基上に存在するC5アルキルアミンリンカー、またはヌクレオチド糖上に存在する2’−アルキルアミンリンカーはNHS結合部分のための結合点を提供することができる)に結合部分の導入を可能にする。一般的に、siNA分子に存在する反応性のある化学基は、合成後に脱マスキングされるので、従って、結合の合成後カップリングが生じるようになる。限定を目的としない例において、ヌクレオチドを含む保護されたアミノリンカー(例えばTFA保護のC5プロピルアミノチミヂン)は、固相合成の間にsiNAの望みの位置に導入される。siNAの切断と脱保護の後、センス鎖および/またアンチセンス鎖の3’端、センス鎖の3’および/また5’端、またはsiNA配列中ではループの一部分である単鎖ヘアピンsiNA配列といったsiNA配列の望む位置に、結合体のNHAエステルカップリングのために、遊離アミンが利用可能になる。
結合部分は、固相合成および合成後のカップリングの両方のアプローチを用いて、siNA分子の異なる位置に導入することができる。例えば、固相合成はsiNAの5’端(例えば、センス鎖)に結合部分を導入するのに用いることができ、合成後カップリングはsiNAの3’端(例えばセンス鎖および/またアンチセンス鎖)に結合部分を導入するのに用いることができる。上述のように、3’および5’結合を有するsiNAセンス鎖は合成することが可能である(例として、図65を参照)。結合部分は、5’端、3’端、および/またsiNA分子のループ部分のようなその他の組み合わせで導入されることができる(例として、図66を参照)。
実施例20:siNA結合体の薬物動態(図67)
B型肝炎ウィルス(HBV)RNAの部位1580を標的とする、3つのヌクレアーゼ耐性siNA分子が、Stab7/8化学修飾(表IV)と5’末結合部分を用いてデザインされた。
一つのsiNA結合体は、siNAのセンス鎖に結合した、分岐したコレステロール結合体を含む。「コレステロール」siNA結合体分子は以下のような構造を持ち、
式中、Tはチミジンを、Bは逆位のデオキシ脱塩基を、Gは2’−デオキシグアノシンを、Aは2’−デオキシアデノシンを、Gは2’−O−メチルグアノシンを、Aは2’−O−メチルアデノシンを、uは2’−フルオロウリジン、cは2’−フルオロシチジン、aはアデノシン、そしてsはホスホロチオエート結合を表す。
別のsiNA結合体は、siNAのセンス鎖に結合した、分岐したリン脂質結合体を含む。「リン脂質」siNA結合体分子は以下のような構造を持ち、
式中、Tはチミジンを、Bは逆位のデオキシ脱塩基を、Gは2’−デオキシグアノシンを、Aは2’−デオキシアデノシンを、Gは2’−O−メチルグアノシンを、Aは2’−O−メチルアデノシンを、uは2’−フルオロウリジン、cは2’−フルオロシチジン、aはアデノシン、そしてsはホスホロチオエート結合を表す。
別のsiNA結合体は、siNAのセンス鎖に結合した、分岐したポリエチレングリコール(PEG)結合体を含む。「PEG」siNA結合体分子は以下のような構造を持ち、
式中、Tはチミジンを、Bは逆位のデオキシ脱塩基を、Gは2’−デオキシグアノシンを、Aは2’−デオキシアデノシンを、Gは2’−O−メチルグアノシンを、Aは2’−O−メチルアデノシンを、uは2’−フルオロウリジン、cは2’−フルオロシチジン、aはアデノシン、そしてsはホスホロチオエート結合を表す。
コレステロール、リン脂質、およびPEG結合体は、マウスにおいて、一致した化学修飾と配列を有する非結合siNAコンストラクトと比較して、薬物動態学的な特性を評価された。この調査は、約26g(6−7週齢)のメスのCD−1マウスにて行われた。動物は3個体のグループで飼育された。飼料と水は自由に提供された。温度と湿度は,実験動物の扱いと利用のためのガイド1996(1996 Guide for the Care and Use of Laboratory Animals(NRC))を踏まえた薬理学試験施設実行基準(Pharmacology Testing Facility performance standards (SOP’s))に従って記録された。動物は実験前に少なくとも3日間施設に慣らされた。
260nmでの吸光度が、アニーリング前のHBV siNA保存溶液の実際の濃度を測定するのに用いられた。適切な量のHBV siNAが、マウスの平均体重に応じて滅菌された獣医学グレードの通常の生理的食塩水(0.9%)で希釈された。少量のアンチセンス鎖(Stab7)が、ガンマ32P−ATPで内部標識された。32P−ATP標識された保存液は過剰量のセンス鎖(Stab8)と混合され、アニールされた。アニーリングは未標識の薬剤との混合前に確認された。それぞれのマウスは、30mg/kg(二重鎖に基づく)、および約10x106cpm(約15cpm/ngの特異的活性)の皮下のボラス投与を受けた。
タイムポイント(1、4、8、24、72、96時間)あたり、3個体の動物がCO2吸入によって安楽死させられ、その後直ちに全採血された。血液は心臓から採取され、ヘパリン処理した試験管に回収された。全採血後、動物は10−15mlの獣医学グレードの滅菌生理食塩水で心臓を介して灌流された。肝臓試料が採取され、凍結された。
組織試料は化合物の定量の前に、消化緩衝液中でホモジナイズされた。無傷の化合物の定量は、シンチレーション計測により測定され、次いでPAGEおよびホスホイメージ解析された。結果は図43に示される。図に示されるように、結合されたsiNAコンストラクトは、結合されていないsiNAと比較して、肝臓PKが非常に向上したことが示された。
実施例21:siNA結合体の細胞培養(図68)
上記、実施例20で述べられたsiNAコンストラクトのコレステロール結合体およびリン脂質結合体は、HBV細胞培養システムで、細胞培養での有効性が評価された。
HepG2細胞のpsHBV−lおよびsiNAによる形質移入
ヒトの肝臓細胞腫瘍細胞株、Hep G2は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPES,100単位のペニシリン、および、100μg/mlのストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法のイーグル培地で培養された。適格なcDNA複製物を作成するために、形質転換の前にHBVゲノム配列はpsHBV−1ベクターに含まれた細菌プラスミド配列から切り出された。適格なcDNA複製物を作成するために、当該分野で知られているその他の方法を使用することができる。これは、EcoRIとHindIIIで制限消化することによって行われた。消化の完了後、分子間ライゲーションに有利なように、希釈条件下(20μg/ml)でライゲーションが行われた。全ライゲーション混合液がキアゲンスピンカラムで濃縮された。
siNA活性の選択と用量反応アッセイ
ヒト肝細胞腫瘍細胞株Hep G2の複製能のあるHBV DNAによる複製形質転換の結果、HBVタンパク質の発現とウィルス粒子産生を生じる。HBV RNAに対して標的とされたsiNA結合物の有効性を試験するために、実施例12で述べられたコレステロールsiNA結合体とリン脂質siNA結合体が、非結合コントロールsiNAと比較された(図68参照)。逆位配列二重鎖は、非結合siNAのためのネガティブコントロールとして用いられた。脂質と共に12.5ug/mlのHBVゲノムDNAが形質移入されたHep G2細胞で用量反応試験が行われた。HBV DNAによる形質移入の24時間後、細胞培養液が取除かれ、siNA二重鎖が脂質無しで10uM、5uM、2.5uM、1uMおよび100nmで細胞に加えられ、その結果分泌されたHBV表面抗原(HBsAg)のレベルがELISAで、処理72時間後に解析された(図44参照)。siNA活性を明らかにするため、HbsAgレベルがsiNAの形質移入の後に測定された。イミュロン4(Immulon 4)(ダイナックス社(Dynax))マイクロタイターのウェルは抗HBsAg Mab(バイオストライド社(Biostride)B88−95−31ad, ay)を炭酸緩衝液(Na2CO315mM,NaHCO335mM,pH9.5)中に1μg/mlで、4℃でオーバーナイトでコーティングさ
れた。ウェルはPBST(PBS、0.05% トゥイーン(登録商標)(Tween(登録商標))20)で4回洗浄され、PBST、1%BSAで、37℃で1時間ブロックされた。その後上述のように洗浄され、ウェルは37℃で30分間乾燥された。ビオチン化ヤギ抗HBsAg(アキュレート社(Accurate)YVS1807)はPBSTで1:1000に希釈され、ウェル内で、37℃で1時間インキュベートされた。ウェルはPBSTで4回洗浄された。ストレプトアビジン/アルカリホスファターゼ結合体(ピアース社(Pierce)21324)はPBSTで250ng/mlに希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。上述のように洗浄後、p−ニトロフェニルリン酸基質(ピアース社(Pierce)37620)がウェルに加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。その後、405nmの吸光度が測定された。図68に示されるように、リン脂質およびコレステロール結合体は、形質移入剤(脂質)無しに細胞に送達された非結合siNAコンストラクトと比較して、HBsAg発現の用量依存性の顕著な阻害を示した。
実施例22:siNAコンストラクトの生体外での安定性
化学修飾されたsiNAコンストラクトは、細胞培養システム中でサイレンシングを保持する一方、ヌクレアーゼへの耐性を向上させる目的で、デザインされ合成される。合成された鎖は、Stab4、Stab5、Stab7、Stab8、Stab11(表IV)と呼び、安定性と活性の範囲が示された3組の二重鎖で試験された。これらの二重鎖は、別々に修飾されたセンス鎖とアンチセンス鎖を含んだ。修飾された全てのセンス鎖とアンチセンス鎖は、5’および3’末に逆位の脱塩基キャップを含み、一方アンチセンス鎖は3’末ホスホロチオエート結合を持つ。その結果は、薬剤によって選択される環境の生体外モデルにおけるヌクレアーゼ耐性における化学修飾の効果の特徴を明らかにする。
活性siNAは血清中と肝臓抽出物中での分解に対する耐性を評価された。血液中の安定性はsiNAの全身投与のために必要条件になるだろうし、抗HBVまたは抗HCV siNAは、肝臓の細胞内環境内での安定性および活性が必要になる。肝臓抽出物は、多数の分解的な酵素が存在している極端なヌクレアーゼモデルを提供する可能性がある。マウスとヒトのシステムの両方が評価された。
siNA二重鎖の個別の鎖は、32Pで内部標識され、単鎖または二重鎖siRNAとして、ヒトまたはマウス血清および肝臓抽出物中でインキュベートされた。それぞれのデータは表VIに示される。実験の全期間に渡って、リボヌクレアーゼ活性のレベルは一定であることが確認された。全てRNAであるsiNA分解の程度と傾向(3分のタイムポイント)は、血清または肝臓抽出物の37℃で24時間までのプレインキュベーション後、変化しなかった。
全てリボース残基を含んでいるsiRNAの生物学的活性は、よく調べられている。これらの化合物の血清中での極端な不安定さ(tl/2=0.017時間)は、全身への医薬応用での利用には化学修飾が必要であることを明確に示している。Stab4/5二重鎖修飾は、ヒトおよびマウス血清中(tl/2=10−408時間)、また肝臓抽出物(tl/2=28−43時間)での顕著な安定性を提供する。ヒトの血清においては、Stab4/5二重鎖中のStab4鎖の化学修飾は、Stab5鎖の化学修飾よりも高い安定性を有する(t1/2=408対39時間)。この結果は、末端修飾の安定性における効果を際立たせる。全体に修飾されたStab7/11コンストラクト(リボヌクレオチドは存在しない)は、Stab4/5コンストラクトから全てのプリン位置のリボヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドに置換することによって作成された。別の全体に修飾されたコンストラクト、Stab7/8は、アンチセンス鎖の全てのプリン位置を2’−O−メチルヌクレオチドで置き換えて作成された。これは、最も安定なアンチセンス鎖化学修飾であると観察され、ヒト肝臓抽出物ではtl/2=816時間であった。
Stab8修飾の劇的な安定性は、表VIIに示されるように、二重鎖でない単鎖がヒトの血清や肝臓抽出物中でインキュベートされた場合にも観察された。二重鎖コンストラクトで、個々の鎖で観察された結果と比べて、約5倍の血清中の安定性上昇がみられた。肝臓抽出物では、siNA二重鎖は単鎖に比べて更に一層高い安定性をもたらす。例えば、Stab5化学修飾は、Stab4/5二重鎖単独の安定性と比較して100倍以上、より安定である。
末端修飾は、二重鎖状態でのセンス対アンチセンスの安定性での比較、またはStab4とStab5の単鎖の安定性の比較でみられるように、ヒト血清中での安定性に多大な影響を及ぼす。従って、Stab4/5化学修飾二重鎖上の数多くの3’アンチセンスのキャップ部分は、そのヒト血清中での安定性への貢献について評価された。これらの修飾の構造は図22に示されており、その結果の半減期は表VIIIに示されている。1時間程度の短い半減期から770時間以上までの、広い範囲での異なる安定性が観察された。従って、2’−フルオロ修飾されたピリミジンの存在下では、3’−エクソヌクレアーゼがヒト血清中での二重鎖への主要な攻撃機構となる。すなわち、数多くの化学修飾はこの部位の攻撃を最低限にする。これらの結果は、3’−エクソヌクレアーゼに対する感受性は、血清中での分解の主要経路であることを示唆する。
実施例23:水力学的な注入によって送達されたsiNA分子の活性
HBV RNAを標的とした化学的に安定化されたsiRNAの活性の評価には、複製能を有するHBVベクターの水力学的な尾静脈注入を用いた、インビボのマウスモデルが用いられてきた。マウスにおける水力学的な核酸の送達は、この技術により圧倒多数の核酸が肝臓に送達されたことを示した、リウ(Liu)等、1999、遺伝子治療誌(Gene Therapy)、6、1258−1266によって述べられてきた。HBVマウスモデルを開発するための水力学的技術の利用は、ヤン(Yang)等、2002、米国科学アカデミー会報(PNAS)、99、13825−13830で述べられてきた。ベクターに基づくモデルにおいて、肝臓においてHBVは約10日で複製し、その結果、肝臓で検出可能なレベルのHBV RNAおよび抗原、および血清中にHBV DNAと抗原が生じた。
HBVに対する化学的に安定化されたsiNAの活性を評価するために、siNAの
HBVベクターとの共注入が、マウス系統C57BL/J6で行われた。用いられたHBVベクター、pWTD、は完全なHBVゲノムの頭−尾ダイマーである(例として、バックウォルド(Buckwold)等、1996、ウィルス学雑誌(J. Virology)、70、5845−5851参照)。20gのマウスに、生理的食塩水中に10μgまたは1μgのpWTD、および100μgのsiNA二重鎖を含む合計1.6mlの注射剤が尾静脈に5秒以内に注入された。より大きなマウスに対しては、マウスの血液用量の140%のレベルを維持するように用量が割り増された。注入は3cc注射器と27gl/2の針を用いて行われた。動物は注入後、27時間目に屠殺された。動物はsiNAコンストラクトと一致する化学修飾の逆位コントロールで処理された。HBV DNA(図80)およびHBsAg(図81)の血清中のレベルの解析は、リアルタイムPCRおよびELISAでそれぞれ行われた。肝臓のHBV RNAのレベル(図82)はリアルタイムPCRで解析された。別の実験では、血清中のHBV DNAレベル(図83)の解析は、siNAおよびHBVベクターの共注入後5日および7日に行われた。
同じモデルが、ポリエチレンイミン・ポリエチレン・グリコール・トリ−N−アセチル−ガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL、図93)で製剤されたsiNAの有効性の評価に用いられた。活性siNA(化合物#31335/31337)製剤は、非活性の逆位コントロールsiNA(化合物#31336/31338)製剤と比較された。HDIによる混乱から肝臓が回復できるように、全身投与はHDI後96時間に開始された。それぞれの群は2日間の投与を受け、最後の投与の24時間後に動物は屠殺された。動物は、PEI−PEG−triGalと共に調剤されたsiNAを、siNAの濃度0.1、0.3、および1.0mg/kg/日で投与された。HBV DNA(図91)およびHBsAg(図92)の血清中のレベルの解析は、リアルタイムPCRとELISAでそれぞれ行われた。肝臓中のHBV RNAのレベルは、リアルタイムPCRで解析された。図に示されるように、活性型PEI−PEG−triGAL siNA製剤は、非活性型の製剤と比較して、血清中でHBV DNAとHBsAgレベルの著しい阻害を示す。
実施例23:静脈内投与によって送達され全身投与されたsiNA分子のインビボ活性
一旦、HBVに対する修飾siNAのインビボでの有効さが上述のHDIによる共投与によって示されると、従来型の静脈内注射による全身投与されたこの分子の抗HBV活性のレベルが、HBVベクターのHDI送達後に検討された。水力学的注入後に初期の肝臓障害の報告があったため、siNAの投与はHDI72時間後に開始された。HDI後の肝臓ALT/ASTレベルと組織病理学的検査は共に、肝臓はHDIに誘導された初期障害後72時間までに概ね正常な状態に戻るとの文献報告を確認した(データは示されていない)。siNAの全身投与のインビボ活性を評価するために、0.3ugのpWTD HBVベクターがHDI投与され、72時間後にsiNAまたは逆位コントロールが標準的な静脈注射で30、10、または3ug/kgで、二日間投薬された。動物は最後の投与と血清HBV DNAのレベルが検査された18時間後に屠殺された。図102は、siNA(Stab7/8 33214/33254、表III)、逆位コントロール(Stab7/8 33578/33579、表III)、および生理的食塩水処理群の血清HBV DNAのlog10コピー/mlを示す。逆位コントロールと生理的食塩水群と比較して、血清HBV DNAレベルの用量依存の減少がsiNA処理群で観察された。生理的食塩水群との比較で、30mg/kg群で統計的に有意な(P<0.01)、0.93logの減少が観察された。この結果は、全身投与のインビボ活性を示す。図103は、完全に安定化されたsiNA(Stab活性型=33214/33254、表III)コンストラクトの、一致する化学修飾の逆位コントロール(Stab逆位=33578/33579、表III)、同一の配列を有する全てがRNAのsiNAコンストラクト(RNA活性型)および、相当する全てがRNAの逆位コントロール(RNA逆位)の、上述のHBV Co−HDIマウスモデルにおける活性を示す。1ugのpWTDベクターを含んでいるHBVと0、0.03、0.1、0.3または1.0ugのsiNAの水力学的尾静脈注入(HDI)がC57BL/J6マウスで行われた。共に野生型のRNAである活性siNA二重鎖と逆位配列コントロール、および安定化化学修飾が試験された。血清HBV DNAおよびHBsAgのレベルが注入72時間後に測定された。野生型RNAと安定化されたsiNAの両方で、HBV DNAとHBsAg双方の用量依存の減少が観察された。しかし、安定化されたsiNA処理群で観察された減少の規模は、両方の高用量レベルの端のポイントで1.5log以上であった。図103AはHBVの血清DNAレベル、図103Bは血清のHBsAgレベル、図103Cは肝臓でのHBV RNAレベルの、本研究での結果を示す。
実施例24:化学修飾されたsiNAを用いた活性選択
標的核酸分子(例えば、RNA)に対する化学修飾された活性なsiNA分子を特定するために、二つの形式を使うことができる。一つの形式は、適切なシステム(例えば、細胞培養または動物モデル)での修飾されていないsiNAコンストラクトの選択、次いで、特定された配列への化学修飾例の応用、そして修飾されたコンストラクトの再スクリーニングを伴う。別の形式は、化学的に修飾された例(例として以下を参照。上述のようにStab7/8HCVの選択は図86に示され、Stab7/8HBVの選択は図87に示される)を特定するために、化学修飾されたコンストラクトの直接スクリーニングを伴う。後者のアプローチは、様々な組み合わせの化学修飾(例えば、本明細書の表Vに示されるStab1−18)に特異的な活性コンストラクトを特定するのに有用である可能性がある。加えて、このような化学修飾の異なる反復は、活性な化学修飾された例を用いて評価される可能性や、特定の化学修飾を有する活性コンストラクト選択のための適切な規則性がこのアプローチを用いて確立される可能性がある。限定を目的としないそのような活性選択の例が以下に述べられる。
ルシフェラーゼRIV,4を標的とするStab7/8コンストラクトの活性選択
HeLa細胞は、ウェルあたり0.5ulのリポフェクタミン2000(lipofectamine2000)を用いて、pGF3ベクター(250ng/well)、ウミシイタケルシフェラーゼベクター(10ng/well)、および、siNA(0.5−25nM)で共形質移入された。形質移入後24時間、細胞はルシフェラーゼ活性をプロメガ・デュアル・ルシフェラーゼ・アッセイ・キット(Promega Dual Luciferase Assay Kit)を用いて、取扱説明書に従ってアッセイされた。高レベルの活性を有するsiNAコンストラクトが特定され、0.5から25nMまでの範囲の濃度の用量反応アッセイで試験された。部位80、237、および1478を標的とするsiNAコンストラクトの結果は図84に示され、部位1554および1607は図85に示される。図に示されるように、いくつかの活性Stab7/8コンストラクトが、強力な用量関連のルシフェラーゼ発現の阻害を示すと特定された。
HepG2細胞におけるHBV RNAを標的とするsiNAコンストラクトの組み合わせの活性選択
上の実施例13で述べられたHBV HepG2細胞培養システムは、siNA分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖と一致する化学修飾の逆位コントロールとの比較で、様々な化学修飾の組み合わせ(表V)の有効性の評価に用いられた。siNA活性を明らかにするため、HbsAgレベルがsiNAの形質移入の後に測定された。イミュロン4(Immulon 4)(ダイナックス社(Dynax))マイクロタイターのウェルは、抗HBsAg Mab(バイオストライド社(Biostride)B88−95−31ad, ay)を炭酸緩衝液(Na2CO315mM,NaHCO335mM,pH9.5)中に1μg/mlで、4℃でオーバーナイトでコーティングされた。ウェルはPBST
(PBS、0.05% トゥイーン(登録商標)(Tween(登録商標))20)で4回洗浄され、PBST、1%BSAで37℃で1時間ブロックされた。その後上述のように洗浄され、ウェルは37℃で30分間乾燥された。ビオチン化ヤギ抗HBsAg(アキュレート社(Accurate)YVS1807)はPBSTで1:1000に希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。ウェルはPBSTで4回洗浄された。ストレプトアビジン/アルカリホスファターゼ結合体(ピアース社(Pierce)21324)はPBSTで250ng/mlに希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。上述のように洗浄後、p−ニトロフェニルリン酸基質(ピアース社(Pierce)37620)がウェルに加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。その後、405nmの吸光度が測定された。HBV siNAの組み合わせの選択の結果は、図88−90に示される。図に示されるように、異なるセンス鎖とアンチセンス鎖の化学修飾の様々な組み合わせが(例えば、Stab7/8、7/10、7/11、9/8、9/10、6/10、16/8、16/10、18/8、18/10、4/8、4/10、7/5、9/5、および9/11の化学修飾を有するセンス/アンチセンスコンストラクト)、活性なsiNAコンストラクトに生じる。
実施例25:二重鎖形成オリゴヌクレオチドが仲介する遺伝子発現抑制、パリンドローム頻度パリンドローム頻度検出
DFOコンストラクトをデザインするにあたって、標的配列中のパリンドローム部位の探索は、非DFOオリゴヌクレオチドの活性部位を無作為に選択した場合とは逆に、DFOを介した遺伝子発現の阻害に非常に適した標的部位を提供することができる。パリンドロームの長さは、DFOの全体の長さで規定することができる。様々なパリンドロームが生じる可能性は、6ヌクレオチドから14ヌクレオチドの範囲で、人工的に生成した200K遺伝子配列で、マイクロソフトエクセルのアルゴリズムによって計算される(図107参照)。シミュレーションは、一般的に6塩基長のパリンドロームが64ヌクレオチドの配列ごとに一回生じることが示された。8塩基長パリンドロームは、250ヌクレオチド配列ごとに1回生じることが分かった。これらの計算された頻度は、決められた標的配列中のパリンドロームに観察される頻度と非常に一致した。このことで、任意の5Kの遺伝子には平均で約78の6塩基長パリンドロームが存在するはずであると推定することができる。様々な遺伝子中の6塩基長パリンドロームの存在の評価の結果、多数のパリンドローム部位が特定された(図108参照)。このアルゴリズムは、ワトソン−クリックゆらぎ塩基対のみを考慮しており、任意のミスマッチおよびゆらぎ塩基対の存在は除外している。ミスマッチ、ゆらぎ塩基対、非ワトソン−クリック塩基対を含めると、最低限の二重鎖を形成するオリゴヌクレオチドのデザインに適切な、非常に多数のセミ−パリンドローム部位が見つかる可能性がある。
パリンドローム部位がほ乳類細胞においてRINAiを誘導することができる自己相補的なオリゴのデザインと探索に用いることができるという仮説を検証するために、我々はmTGFbR1遺伝子中の12のパリンドローム部位を無作為に選択した。これらの部位は、以前述べられたようなsiRNAの単鎖のデザインに含まれている。これらのsiRNAはいずれも二重鎖形態にTT突出を含まなかったが、3’−エクソヌクレアーゼから保護するために逆位の脱塩基ヌクレオチドを含んでいた。E147Ts細胞におけるRNAi反応のためのこれらのDFOの解析は、12配列のうち4配列で、25nMの濃度で40%以下にmRNAレベルを減少させる結果となった。別の日の活性配列の再試験は約80%mRNAをノックダウンする結果になった。
12のDFOからの4つの活性DFOの特定は、RNAi反応に対する標準的な21bpのsiRNA二重鎖のスクリーニングと同じ手順である。このことは、自己相補的なオリゴはRNAi機構に基づく第二世代薬剤のデザインとして代替となれる可能性を示す。
VEGFR1を標的とする自己相補的なDFOコンストラクト
本明細書で述べられる方法を用いて、パリンドロームまたは反復ヌクレオチド配列を含んでいる自己相補的なDFOコンストラクトは、VEGFR1標的RNAに対してデザインされた。これらのDFOコンストラクトは、興味のある標的核酸配列中のパリンドロームまたは反復配列の特定に用いられた。一般的にこれらのパリンドローム/反復配列は、標的核酸配列の5’領域に始まるように約2から約12ヌクレオチドの長さを含むものが選択された。パリンドローム/反復配列に近隣の標的核酸配列に相補的な核酸配列は、DFO分子のパリンドローム/反復配列の5’端に組み込まれた。最後に、パリンドローム/反復配列の5’端の配列の逆位反復核酸配列は、全長DFO配列が自己相補配列を含むように、パリンドローム/反復配列の3’端に挿入された。DFOコンストラクトのこのデザインによって、両鎖が同じ配列を含む二重鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる(例えば、図94参照)。一般的に、より長い反復が標的核酸配列で特定されれば、その結果DFO配列はより短くなる。例えば、もし標的配列が17ヌクレオチドの長さであり、配列の中に反復が見つからなければ、その結果のDFOコンストラクトは、例えば、17+0+17=34の長さになる。最初の17ヌクレオチドは標的核酸配列に相補的な配列を表し、0はパリンドローム配列の欠如を表し、二つ目の17ヌクレオチドは最初の17ヌクレオチドの逆位反復配列を表す。もし2ヌクレオチドの反復が用いられた場合、その結果生じるDFOコンストラクトは、例えば、15+2+15=32ヌクレオチドの長さになる。もし4ヌクレオチドの反復が用いられた場合、その結果生じるDFOコンストラクトは、例えば、13+4+13=30ヌクレオチドの長さになる。もし6ヌクレオチドの反復が用いられた場合、その結果生じるDFOコンストラクトは、例えば、11+6+11=28ヌクレオチドの長さになる。もし8ヌクレオチドの反復が用いられた場合、その結果生じるDFOコンストラクトは、例えば、9+8+9=26ヌクレオチドの長さになる。もし10ヌクレオチドの反復が用いられた場合、その結果生じるDFOコンストラクトは、例えば、7+10+7=24ヌクレオチドの長さになる。もし12ヌクレオチドの反復が用いられた場合、その結果生じるDFOコンストラクトは、例えば、5+12+5=22ヌクレオチドの長さになる、などである。従って、標的部位におけるそれぞれのヌクレオチドの削減のために、DFO長は2ヌクレオチド短縮することができる。同じ原則が、14から24ヌクレオチドを含む標的部位のような、異なる長さのヌクレオチド配列を有する標的部位に利用できる。加えて、5’と3’突出配列(例えば、TT)の様々な組み合わせを、パリンドローム/反復配列を含んでデザインされたDFOコンストラクトに導入することができる。更に、パリンドローム/反復配列は、自己相補的なパリンドローム/反復配列DFOコンストラクトを品位の核酸配列に対してデザインすることができるように、興味のある任意の標的核酸配列に相補性を有するDFO配列の5’端に追加することができる(例として、図95−96参照)。
表Iに示される(化合物#32808、32809、32810、32811、および32812)自己相補的なDFOのパリンドローム/反復配列は、VEGFR1RNAに対してデザインされ、化学修飾されたsiNAコンストラクト(化合物#32748/32755、33282/32289、31270/31273)と共に一致する化学修飾の逆位コントロール(化合物#32772/32779、32296/32303、31276/31279)による既知の活性と、また形質移入コントロール(LF2K)と共に未処理細胞と、細胞培養実験において選別された。図105参照のこと。HAEC細胞は、VEGFR1の部位1229を標的とする25nMのDFOとの脂質混合物、0.25ug/ウェルで形質移入された。細胞は、DFO形質移入混合液の継続的な存在下で37℃で24時間インキュベートされた。24時間目に、RNAがそれぞれの処理細胞のウェルから調整された。形質移入混合液である上澄が最初に取り除かれ捨てられ、次いで細胞が溶解され、それぞれのウェルからRNAが調整された。処理後の標的遺伝子の発現は、RT−PCRで、VEGFR1mRNAと標準化のためにコントロール遺伝子(36B4,RNAポリメラーゼのサブユニット)について評価された。VEGFR1の部位1229を標的とする29ヌクレオチドの自己相補的なDFOコンストラクトである化合物#32812が、このシステムにおいてVEGFR1 RNA発現の強力な阻害を示した。
HBV RNAを標的とする自己相補的なDFOコンストラクト
パリンドロームまたは反復ヌクレオチド配列を含む自己相補的なDFOコンストラクトは(表I参照)、HBV標的RNAに対してデザインされ、HepG2細胞中で選択された。ヒト肝細胞腫瘍細胞株Hep G2の複製能のあるHBV DNAによる複製形質転換の結果、HBVタンパク質の発現とウィルス粒子産生を生じる。ヒトの肝臓細胞腫瘍細胞株、Hep G2は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPES,100単位のペニシリン、および、100μg/mlのストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法のイーグル培地で培養された。適格なcDNA複製物を作成するために、形質転換の前にHBVゲノム配列はpsHBV−1ベクターに含まれた細菌プラスミド配列から切り出された。適格なcDNA複製物を作成するために、当該分野で知られているその他の方法を使用することができるこれは、EcoRIとHindIIIで制限消化することによって行われた。消化の完了後、分子間ライゲーションに有利なように、希釈条件下(20μg/ml)でライゲーションが行われた。全ライゲーション混合液がキアゲンスピンカラムで濃縮された。
HBV RNAを標的としたDFOの有効性を試験するために、HBVプレゲノムRNA中の異なる部位を標的としたいくつかのDFO二重鎖が、脂質とともに12.5μg/ml、25nMで、Hep G2細胞へHBVゲノムDNAと共に共形質移入され、それに続く、分泌されたHBVの表面抗原(HBsAg)のレベルがELISAによって解析された。自己相補配列を含むDFOコンストラクト(化合物#32221)は、HBVの部位1580を標的とする化学修飾されたsiNA(化合物#31335/31337)、相当する一致した化学修飾の逆位コントロール(化合物#31336/31338)、および未処理細胞と共にアッセイされた。自己相補的なDFOコンストラクトは、アニール前の二重鎖(化合物#32221)または単鎖のヘアピン(化合物#32221折畳み)の両方で試験され、ゲル電気泳動で確認された(図106参照)。イミュロン4(Immulon 4)(ダイナックス社(Dynax))マイクロタイターのウェルは抗HBsAg Mab(バイオストライド社(Biostride)B88−95−31ad, ay)を炭酸緩衝液(Na2CO315mM,NaHCO335mM,pH9.5)中に1μg/mlで、4℃でオーバーナイトでコーティングされた。ウェルはPBST(PBS、0.05% トゥイーン(登録商標)(Tween(登録商標))20)で4回洗浄され、PBST、1%BSAで37℃で1時間ブロックされた。その後上述のように洗浄され、ウェルは37℃で30分間乾燥された。ビオチン化ヤギ抗HBsAg(アキュレート社(Accurate)YVS1807)はPBSTで1:1000に希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。ウェルはPBSTで4回洗浄された。ストレプトアビジン/アルカリホスファターゼ結合体(ピアース社(Pierce)21324)はPBSTで250ng/mlに希釈され、ウェル内で37℃で1時間インキュベートされた。上述のように洗浄後、p−ニトロフェニルリン酸基質(ピアース社(Pierce)37620)がウェルに加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。その後、405nmの吸光度が測定された。図106に示されるように、二重鎖型の自己相補DFOコンストラクト32221は、HBsAgの著しい阻害を示す。
本明細書で述べられる方法を用いて、パリンドロームまたは反復ヌクレオチド配列を含んでいる自己相補的なDFOコンストラクトは、TGF−ベータ受容体標的RNAに対してデザインされた。表Iに示される(例えば、化合物#35038、35041、35044、および35045)自己相補的なDFOのパリンドローム/反復配列は、TGF−ベータ受容体RNA標的に対してデザインされ、細胞培養実験と、無関係のコントロール(コントロール1、コントロール2)と形質移入コントロール(LF2K)と共に未処理細胞で選別された。図109参照。NmuMg細胞は、25および100nM DFOとの脂質混合物0.5uL/ウェルで形質移入された。細胞は、DFO形質移入混合液の継続的な存在下で37℃で24時間インキュベートされた。24時間目に、RNAがそれぞれの処理細胞のウェルから調整された。形質移入混合液である上澄が最初に取り除かれ捨てられ、次いで細胞が溶解され、それぞれのウェルからRNAが調整された。処理後の標的遺伝子の発現は、RT−PCRで、TGF−ベータ受容体mRNAと標準化のためにコントロール遺伝子(36B4,RNAポリメラーゼのサブユニット)について評価された。図109に示されるように、DFOコンストラクトは、このシステムにおいてTGF−ベータ受容体RNA発現に強力な阻害を示した。
実施例26:遺伝子発現の多機能siNAに仲介される阻害
多機能siNAデザイン
一度、多機能siNAコンストラクトのための標的部位が特定されると、siNAのそれぞれの鎖は、例えば、約18と約28ヌクレオチドの間で異なる標的核酸配列に相補的である、相補領域の範囲がデザインされる。それぞれの相補領域は、約4から約22ヌクレオチドの標的配列に相補的でないが、その他の配列の相補領域に相補を含む、直近の隣接領域と共にデザインされる(例として、図96を参照)。ヘアピンコンストラクトも同様にデザインすることができる(例として、図97を参照)。異なる標的核酸配列と共通の相補、パリンドローム、または反復配列は、多機能siNAコンストラクトの全体の長さの短縮に用いることができる(例として、図98と99を参照)。
限定を目的としない例において、多機能siNAは二つの別々の核酸配列を標的とするようデザインされた。目標は、二つの異なるsiNAを一緒にして、二つの異なる標的に対して活性型の一つのsiNAにすることである。siNAは、それぞれの鎖の5’が、下に下線で示されたような二つのsiRNAの一つの「アンチセンス」配列で始めるという方法で結合された。
3’TTAGAAACCAGACGUAAGUGU GGUACGACCUGACGACCGU 5’ SEQ ID NO: 1124
5’ UCUUUGGUCUGCAUUCACAC CAUGCUGGACUGCUGGCATT3’ SEQ ID NO: 1125
RISCは、2つの鎖をいずれも5’端から取り込むと予想される。つまり、それぞれの鎖を運ぶ二種類の活性RISCの集団があることになる。それぞれの鎖の5’の19ntは、分解のための個別の標的配列のガイド配列として作用する。
別の態様においては、多機能siNA分子のサイズは、重複を見つける、または個別のsiNAの長さを切り詰める、のいずれかによって短縮される。以下に述べられる実施例は、任意の第一の標的配列に対して、第二の標的配列中の共通の相補配列が見つかり得るということを示している。
一方とは独立に生成された、二つの長い配列の間に生じると期待される、数多くの短いポリヌクレオチド配列(例えば、14ヌクレオチド未満)の自然発生的な一致が検証された。均一なランダム発生プログラムSAS V8.1を用いたシミュレーションが、{ACGU}の文字の繰り返しで生成される4,000文字の文字列に利用された。この配列は、次ぎにS1を位置(1,2...n)から、S2を位置(2,3...,n+l)から、S 4000−n+lを位置(4000−n+1,...,4000)から、配列を完全に最後のセットまでとることによって作られた、ほぼ4000の重複した組に切断された。この過程は第二の4000文字の文字列で繰り返された。(サイズnの)同一のセットの存在が、二つの文字列の間の配列の同一性が、分類および一致−結合ルーチンによって照合された。この過程は9−11文字のセットで繰り返された。結果は、長さn=9文字で平均55の一致配列(39から72の範囲)、サイズn=10で13の共通セット、および11文字の平均で4つ(0から6の範囲)の一致、であった。4000の選択の最初の文字列の長さは、VEGFR1およびVEGFR2両方のコード領域のおよその長さである。この単純なシミュレーションは、他方とは独立に生成された任意の二つの長いコード領域が、多機能siNAコンストラクトの長さを短縮するのに用いることができる、短い共通配列を持つということ示唆している。この例において、サイズは9の共通配列は、偶然だけで>1%の確立で生じた。
以下は、VEGFR1とVEGFR2を標的とし、それぞれの鎖は14ntの自己相補領域(下線)を含む全長24ntを有する多機能siNAコンストラクトの例である。VEGFRlを標的としているsiNA‘1’とVEGFR2を標的としているsiNA‘2’(相補領域は下線で示されている)のそれぞれのアンチセンス領域が用いられている。
siNA‘1’
5’CAAUUAGAGUGGCAGUGAG (SEQ ID NO: 1126)
3’GUUAAUCUCACCGUCACUC (SEQ ID NO : 1127)
siNA‘2’
AGAGUGGCAGUGAGCAAAG 5’ (SEQ ID NO : 1128)
UCUCACCGUCACUCGUUUC 3’ (SEQ ID NO : 1129)
多機能siNA
CAAUUAGAGUGGCAGUGAGCAAAG (SEQ ID NO: 1130)
GUUAAUCUCACCGUCACUCGUUUC (SEQIDNO: 1131)
別の態様においては、多機能siNAコンストラクトの長さは、それぞれの標的配列の相同配列で塩基対を少なくしても、効果的なRNAiアクティビティーを許容できるかどうかを判断することによって短縮される。もしそうであるなら、多機能siNAの全体の長さは下に示されるように短縮することができる。以下の仮説的な例において、4ヌクレオチド(太字)は、それぞれ19ヌクレオチドのsiNA‘1’とsiNA‘2’コンストラクトから減らされる。その結果の多機能siNAは、30塩基対の長さである。
siNA‘1’
5’CAAUUAGAGUGGCAGUGAG (SEQ ID NO: 1126)
3’GUUAAUCUCACCGUCACUC (SEQ ID NO: 1127)
siNA‘2’
AGAGUGGCAGUGAGCAAAG 5’ (SEQ ID NO: 1128)
UCUCACCGUCACUCGUUUC 3’ (SEQ ID NO: 1129)
多機能siNA
CAAUUAGAGUGGCAGUGGCAGUGAGCAAAG (SEQ ID NO: 1132)
GUUAAUCUCACCGUCACCGUCACUCGUUUC (SEQ ID NO: 1133)
HBVおよびPKC−アルファRNAを標的とする多機能siNAコンストラクト
限定を目的としない例において、HBVおよびPKC−アルファRNAを標的とする多機能siNAコンストラクトは、活性を評価された(図110および111参照)。多機能siNAは、表Iに相互参照される化合物番号によって参照される。全RNAが25nMの通常(単一標的)および二機能siNAでの処理72時間後のHepG2細胞から調整された。定量的RT−PCRは、インビトロジェン社(Invitrogen)スーパースクリプトIIIプラチナ・ワンステップ定量的RT−PCRシステム(SuperScript III Platinum One−Step Quantitative RT−PCR System)を用いて、アプライドバイオシステムズ社(ABI)のプリズム7700配列検出機(PRISM 7700 Sequence Detector instrument)で行われた。PCR産物は、36B4のPCR産物に対して標準化された。PKC−アルファの部位1143は、PKC−アルファ単独、またはHBV−PKC−アルファの組み合わせsiNAによって標的にされる。図110に示されるように、HBV−PKC−アルファ(34710/34711および34712/34713)を標的としている多機能siNAは、HBVの部位263および1583を標的とする個々のsiNA分子に類似したレベルで、適切なコントロール(部位263へのHBV逆位コントロールsiNA、無関係な二機能VEGFR1/VEGFコントロール、およびPKC−アルファの部位1143のみを標的としているsiNAコンストラクト)と比較して、HBV RNA発現の阻害に有効である。図111に示されるように、HBV−PKC−アルファ(34710/34711および34712/34713)を標的としている多機能siNAは、PKC−アルファの部位1143を標的としている個別のsiNA分子に類似したレベルで、適切なコントロール(無関係な二機能VEGFR1/VEGFコントロール、HBVの部位263および1583を標的としているsiNAコンストラクト、および未処理細胞)と比較して、PKC−アルファRNA発現の阻害に有効である。
その他の多機能siNAデザイン
単一siRNA分子が複数の標的をサイレンスできるような3種類の更なる多機能siNAデザインが提示される。第一の方法は、siNA(または多機能siNA)を結合するためのリンカーを利用する。この方法で、干渉反応を誘因する見込みのある長い連続したRNAを作ること無しに、多くの強力なsiNAを結合できるようになる。第二の方法は、重複している、または結合された多機能デザインのデンドリマー状の伸長であるか、あるいは、それに代わる超分子形式でのsiNAの編成である。第三の方法は、長さが30塩基対以上のらせんを用いる。これらのsiNAのダイサーによる作用で、新しい、活性型の5’アンチセンス端を露呈する。従って、長いsiNAは、本来の5’端で規定される部位と、ダイサー作用によって作られた新しい末端によって規定される部位とを標的にすることができる。従来型の多機能siNA(センスおよびアンチセンス鎖がそれぞれ標的を規定する)との併用で用いた場合、このアプローチは例えば4つかそれ以上の部位を標的とするように用いることができる。
I.テザー二機能siNA
基本的なアイディアは、二つのアンチセンスsiNA鎖が単一のセンス鎖にアニールされた、多機能siNAのデザインへの新しいアプローチである。センス鎖オリゴヌクレオチドは、リンカー(例えば、本明細書で述べられた非ヌクレオチドリンカー)と、siNA鎖のアンチセンスにアニールする二つの断片を含む(図112参照)。リンカーは、場合によってはヌクレオチドに基づくリンカーを含むことがある。いくつかの見込みのある利点と、このアプローチのバリエーションは以下を含むが、それに限定しない、
1.二つのアンチセンスsiNAは独立である。従って、標的部位の選択は、二つの部位の間の保存配列のための要求によって制約されない。任意の二つの高度に活性なsiNAは、多機能siNAを構築するために組み合わせることができる。
2.相同性、二つの遺伝子(例えば、VEGF−R1とR2を標的とするFlt−1の3646部位)に存在する配列を標的とするsiNAを有する標的部位の組み合わせが用いられた場合、そのデザインは二つ以上の部位を標的とするよう利用することができる。例えば単一の多機能siNAは、VEGF−R1 RNAとVEGF−R2 RNA(二つのRNAの間の保存配列を標的とする多機能siNAの一方のアンチセンス鎖を用いる)およびVEGF RNA(VEGF RNAを標的とする多機能siNAの第二のアンチセンス鎖を用いる)を標的とするよう利用することができる。このアプローチは、サイトカインとその二つの主要な受容体を単一の多機能siNAを用いて標的とすることができるようになる。
3.遺伝子を標的とするために、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を用いる多機能siNAは、テザー多機能デザインに組込むこともできる。このことは、単一の複合体で64かそれ以上を標的とする可能性を残している。
4.二つ以上のアンチセンス鎖siNAを、単一のテザーセンス鎖にアニールすることが可能かもしれない。
5.このデザインは、長く続くdsRNAを回避する。従って、インターフェロン反応を起こしにくい。
6.リンカー(または、本明細書で述べられた結合体のように、それに結合した修飾)は、複合体の薬物動態学特性を向上させる、またはリポソームへの組み込みを向上させることができる。リンカーに導入された修飾は、直接siNAに結合された場合と同一程度に、siNA活性に影響を与えるべきではない(例として、図118と119参照)。
7.センス鎖は、更なる結合部位を提供するために、アニールされたアンチセンス鎖をこえて延長できる。
8.複合体の極性は、両方のアンチセンスの3’端がリンカーと近隣するように、および、5’端がリンカーとなはれているように、またはその組み合わせになるように、取り替えることができる。
デンドリマーおよび超分子siNA
デンドリマーsiNAアプローチにおいて、siNAの合成は、最初にデンドリマーの鋳型を合成することから始め、次いで様々な機能的siNAが結合される。様々なコンストラクトが図113に描かれている。結合できる機能的siNAの数は、用いられるデンドリマーのサイズによってのみ限定される。
多機能siNAへの超分子アプローチ
超分子形式は、デンドリマー合成の難問を単純化する。この形式において、siNA鎖は標準的なRNA化学反応によって合成され、次いで様々な相補鎖がアニーリングされる。個々の鎖の合成は、ヘクサエチレングリコールのようにほかのsiNAのセンス鎖が5’に3’方向で順に続くような、5’端に核酸または合成リンカーが続く、一つのsiNAのアンチセンス、センス配列を含む。典型的な三機能、または四機能のsiNAの例は、図114に描かれている。似たような原理に基づいて、様々な鎖のアニーリング効率が達成される限り、より多機能なsiNAコンストラクトをデザインすることができる。
ダイサー作用可能な多機能siNA
多標的の生物情報学的解析を用いて、異なる標的配列の間で共有される同一配列が、約2から約14ヌクレオチドの長さの範囲で同定することができる。これらの同一領域は、ダイサーによる作用が二次機能的な5’アンチセンス部位を露呈するように、延長されたsiNAらせん(例えば、>30塩基対)の中にデザインすることができる(例えば図115参照)。例えば、最初のsiNAアンチセンス鎖の17ヌクレオチド(例えば、3’TT突出を有する二重鎖中の21ヌクレオチド鎖)が標的RNAに相補的である場合、強いサイレンシングが25nMで観察された。80%サイレンシングが、同一形式での僅か16ヌクレオチド相補で観察された(図117参照)。
約30から40かそれ以上の塩基対のsiNAデザインへのこの特性の組み込みの結果、更なる多機能siNAコンストラクトが生じる。図115の例は、ダイサー−リボヌクレアーゼIIIによる過程の後、いかにして30塩基対の二重鎖が3つの別の配列を標的にできるかを描いている。これらの配列は、ウィルスと宿主因子のメッセージ、または任意の経路の複数のポイント(例えば、炎症カスケード)のような、同一mRNA上、または別のRNA上に存在できる。更に、40塩基対の二重鎖は、四つの標的配列を標的とする単一の二重鎖を提供するために、二機能デザインを直列に組合わせることができる。更により多数のアプローチは、5つまたは6つの標的を一つの多機能二重鎖でサイレンスするための相同性配列(例えば、VEGFR−1/VEGFR−2)を含むことができる。図115の例は、いかにしてこれを達成できるかを示している。30塩基対二重鎖は、ダイサーによって両端から22および8塩基対産物に切断される(8b.p.断片は示されていない)。容易な提示のため、ダイサーによって作られた突出は示されないが、補われることができる。3つの標的配列が示される。重複した必要な配列の同一性は、灰色の四角で示される。親の30b.p.のsiNAのN’は、2’−OH位置の推奨部位であり、もしこの化学修飾の安定性がテストされたのであれば、ダイサー切断を可能にする。ダイサー−リボヌクレアーゼIIIによる30塩基長二重鎖の作用は、正確に28+8に切断しないが、むしろ一連の非常に関連した産物(原発部位では22+8)を産生する点に留意せよ。従って、ダイサーによる作用は一連の活性siNAを生じる。別の限定を目的としない例は、図116に示される。40塩基対の二重鎖は、ダイサーによって両端から20塩基対の産物に切断される。容易な提示のため、ダイサーによって作られた突出は示されないが、補われることができる。4つの標的配列は、青、水色、赤、オレンジの4色で示される。重複した必要な配列の同一性は、灰色の四角で示される。このデザイン形式は、大きなRNAに伸展することができる。もし化学的に安定化されたsiNAがダイサーに結合した場合、戦略的に配置されたリボヌクレオチド結合は、我々の、更に広範囲な多機能的デザインのレパートリーをもたらす、意図的に作られた切断産物を可能にすることができる。例えば、ダイサーに限定されない、標準的な約22ヌクレオチドの切断産物は、標的配列が同一の多機能siNAコンストラクトが、例えば、約3から約15ヌクレオチドの範囲から重複する。
このアプローチの別の重要な観点は、そのエスケープ変異を制限する能力である。内部標的部位を露出する過程は、アンチセンス5’端の8ヌクレオチドに相補的なエスケープ変異がsiNAの効果を減少させないように保証することができる。もし、約17ヌクレオチドの相補がRISCに仲介される標的切断に必要であるなら、例えば、8/17または47%で起こりえるエスケープ変異を、これは制限するだろう。
実施例27:siNA長と塩基対歩行実験
siNA長歩行
RNAiの有効性おける、siNAコンストラクトの塩基対配列の長さの影響を測定するために、実験がデザインされた。siNAを介する阻害でよく特徴が明らかにされているHBV RNAの部位263と、3’末端ジヌクレオチドTT突出を伴う、長さ19から39ヌクレオチド塩基対までの長さのsiNA分子が選ばれた。ヒト肝細胞腫瘍細胞株Hep G2の複製能のあるHBV DNAによる複製形質転換の結果、HBVタンパク質の発現とウィルス粒子産生を生じる。HBV RNAを標的としたsiNAの長さの違いの効果を試験するために、HBVプレゲノムRNA中の部位263を標的とするいくつかのsiNA二重鎖が、HBVゲノムDNAと共に、脂質中25nM、12.5ug/mlでHepG2細胞に共形質移入され、続くHBV RNAのレベルがRT PCRによって、部位263の逆位siNAで処理された細胞コントロールと未処理細胞と比較され、解析された。結果は図120に要約される。図に示されるように、19から39塩基対のsiNAコンストラクトは、このシステムのHBV RNA阻害において全て有効であった。
siNA長歩行
RNAiの有効性における、一定の長さのsiNA中にある、標的RNAに相補的なヌクレオチドの様々な数の影響を測定するために、実験がデザインされた。14から18ヌクレオチド塩基対の範囲、3’末端ジヌクレオチドTT突出を伴うと21ヌクレオチドの固定長のsiNA分子がHBV RNAの部位263を標的とするようデザインされた。ヒト肝細胞腫瘍細胞株Hep G2の複製能のあるHBV DNAによる複製形質転換の結果、HBVタンパク質の発現とウィルス粒子産生を生じる。HBV RNAを標的としたsiNAの異なる塩基対組成の効果を試験するために、HBVプレゲノムRNA中の部位263を標的とするsiNA二重鎖が、HBVゲノムDNAと共に、脂質中25nM、12.5ug/mlでHepG2細胞に共形質移入され、続くHBV RNAのレベルがRT PCRによって、部位263の逆位siNAで処理された細胞コントロールと未処理細胞と比較され、解析された。結果は図117に要約される。図に示されるように、21ヌクレオチドコンストラクト中の16、17、および18塩基対のsiNAコンストラクトは、このシステムのHBV RNA阻害において全て有効であったが、一方で、それぞれ全長18、19、および20ヌクレオチドの、相当する16、17、および18塩基対のコンストラクトもまた有効であったが、程度は低かった。このように、このデータは、siNAの全長はRNAiの有効性をもたらす上で、塩基対形成したヌクレオチドの絶対数よりも、より決定的である可能性があるということを示唆している。例えば、より長いオリゴヌクレオチド(例えば、20かそれ以上のヌクレオチド)中の19塩基対未満のsiNA(例えば、18、17、または16塩基対)は、依然、RNA干渉の仲介に効果的である。
明細書の中で述べられた全ての特許と出版物は、本発明が属する技術分野の熟練者のレベルを表すものである。本開示に引用された全ての参考文献は、各文献を参照することでその全体が個別に本明細書に組み込まれるのと同様に、本明細書に組み込まれる。
当業者は、目的を遂行するために本発明はよく適合されていること、また、述べられた目的と利点を達成していることを容易に理解することであろう。好ましい例の目下の代表例として本明細書で述べられた方法と組成物は例示的なものであり、本発明の範囲の限定を目的としない。当業者に見いだされるだろう変更やその他の用途は、請求の範囲によって定義される、本発明の精神に含まれるものである。
当業者には、様々な置換と修飾は本明細書で開示される本発明が、本発明の範囲と精神から離れることなく行われ得るということが容易に理解できるだろう。従って、このような付加的な態様は本発明および請求項の範囲に含まれる。本発明は当業者に、本明細書で述べられた、RNAiアクティビティーを仲介するための活性が向上した核酸コンストラクトを作成するための、様々な化学修飾の組み合わせおよび/または置換を試験することを悟らせる。このように向上された活性には、向上された安定性、向上された生物学的利用能、および/またRNAiを仲介する細胞反応の向上された活性化を含む可能性がある。従って、本明細書で述べられた個別の実施例は限定を目的とせず、当業者は、容易に本明細書で述べられた修飾の個別の組み合わせを、RNAiアクティビティーが向上したsiNA分子特定のための無駄な実験を行うことなく試験できることが容易に理解できる。
本明細書で適切に述べられた本発明は、本明細書で具体的に開示されなかった、任意の要素や要素群、制限項目または制限項目群が欠落していても実践することができる。従って、例えば、本明細書のそれぞれの例において、任意の「・・・を含む」「本質的に・・・からなる」および「からなる」の語は、他の二つのいずれかと置き換えてもよい。使用された用語や表現は、説明の用語として用いられるのであって、限定のためではなく、このような用語や表現で示され述べられた特徴、またはその一部分である任意の同等のものを排除する意図はないが、請求された本発明の範囲で、様々な修飾が可能であることが認識される。従って、本発明は好ましい例によって具体的に開示されているが、本明細書で開示されたコンセプトの任意の特性、変形、およびバリエーションは当業者によって行われることができること、そして説明と添付特許請求の範囲によって明確にされたように、変形およびバリエーションは、本発明の範囲であると考えられるということが理解されるべきである。
加えて、当業者であれば、本発明の特性や側面がマーカッシュ・グループまたは、他の代替グループの観点で述べられている場合には、本発明が、マーカッシュ・グループまたはその他のグループにおける任意の個々メンバーまたはサブグループのメンバーの観点でも述べられていることを認識するであろう。
図1は、本発明の異なるsiNA構造の例を示す。 図2は、本発明の方法によって合成した精製siNA二重鎖のMALDI−TOF質量スペクトルを示す。 図3は、3’−TT末端を持つ全RNAからで構成されるsiNA対照との比較で、化学修飾siNA構造の血清安定性の判定に使用される安定性アッセイの結果を示す。 図4は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図5は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図6は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図7は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図8は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図9は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した幾つかのホスホロチオエート修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図10は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した全RNA対照siNA構造との比較で、様々な3’端修飾siNA構造を含む化学修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図11は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図12は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図13は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図14は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用した全RNA対照siNA構造との比較で、様々な3’端修飾siNA構造を含む化学修飾siNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図15は化学修飾したsiNA構造のRNAi作用のスクリーニング結果を示す。 図16は、ルシフェラーゼレポーターシステムを使用したsiNA滴定試験の結果を示す。 図17は、RNAiに関与する標的RNA分解の限定を目的としない機構図案を示す。 図18は、本発明の化学修飾siNA構造を示す。 図19は、本発明の特定の化学修飾siNA配列を示す。 図20は、本発明の異なるsiNA構造を示す。 図21は、メッセンジャーRNA等、特定の標的核酸配列内のsiNA仲介RNAiの標的部位を判定するのに使用する方法を図示する。 図22は、例えば、本発明のsiNA配列の3’端を安定化するのに使用できる異なる安定した化学的性質(1−10)を示す。 図23は、ラット角膜モデルの血管形成を使用したVEGF誘発血管形成のsiNA仲介抑制を示す。 図24は、未処理およびマッチする化学逆位配列対照との比較で、HepG2細胞におけるHBVプレゲノムRNAを標的とする安定したsiNA構造のHBsAgスクリーニングを示す。 図25は、未処理およびマッチする化学逆位配列対照との比較で、HepG2細胞におけるHBVプレゲノムRNAの262および1580位を標的とする安定したsiNA構造の用量反応HBsAgスクリーニングを示す。 図26は、未処理およびマッチする化学逆位配列対照との比較で、HepG2細胞におけるHBVプレゲノムRNAの1580位を標的とする2つの異なる安定した化学的性質の用量反応比較を示す。 図27は、RNAi作用を仲介する能力を保持しながらヌクレアーゼに抵抗する本発明の化学修飾したsiNA構造の識別に使用する方法を示す。 図28は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab4/5、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。 図29は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab4/7、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。 図30は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab7/11、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。 図31は、不安定なsiRNA構造との比較で、HBV RNAの1580位を標的とする化学修飾したsiNA構造(Stab9/10、表IV)の用量反応経時変化HBsAgアッセイにおける代表的なデータを示す。 図32は、対照(29593/29600)との比較で、様々な濃度(1nM、5nM、10nM、および25nM)のsiNA構造によるHCV/ポリオウィルスキメラ(29579/2986;29578/29585)のウィルス複製抑制を示す用量反応試験を示す。 図33は、対照(29593/29600)との比較で、様々な濃度(1nM、5nM、10nM、および25nM)のsiNA構造によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す用量反応試験を示す。 図34は、対照(30052/30054)との比較で、化学修飾siRNA構造(30051/30053)によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す。 図35は、対照(30056/30058)との比較で、化学修飾siRNA構造(30055/30057)によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す。 図36は、脂質対照および逆位siNA対照構造29593/29600との比較で、10nM処理のHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製を標的とする幾つかの化学修飾siRNA構造を示す。 図37は、脂質対照および逆位siNA対照構造29593/29600との比較で、25nM処理の化学修飾siRNA構造によるHCV/ポリオウィルスキメラのウィルス複製抑制を示す。 図38は、未処理の細胞(「細胞」)、リポフェクタミンを導入した細胞(「LFA2K」)、および逆位のsiNA対照構造との比較で、25nM処理のHuh7 HCVレプリコンシステムのウィルス複製を標的とする幾つかの化学修飾siRNA構造を示す。 図39は、未処理の細胞(「細胞」)、リポフェクタミンを導入した細胞(「LFA」)および逆位のsiNA対照構造との比較で、5、10、25、および100nM処理のHuh7 HCVレプリコンシステムにおいてHCV RNAの291、300、および303位を標的とする化学修飾siNA分子(Stab4/5、表IVを参照)を使用する用量反応試験を示す。 図40は、未処理細胞(「細胞」)、脂質移入された細胞(「脂質」)および逆位siNA対照構造との比較で、25nM処理の化学修飾siRNA構造(Stab7/8、表IVを参照)によるHuh HCVウィルス複製抑制を示す。 図41は、逆位siNA対照構造との比較で、siNA分子(Stab 7/8, 表IVを参照)を用いた用量反応試験の結果を示す限定を目的としない実験例を示す。 図42は、葉酸コンジュゲートを生成する核酸分子の合成後修飾の合成スキームを示す。 図43は、オリゴヌクレオチドまたは核酸−葉酸コンジュゲートを生成する合成スキームを示す。 図44は、オリゴヌクレオチドまたは核酸−葉酸コンジュゲートを生成する代替合成スキームスキームを示す。 図45は、葉酸コンジュゲートを生成する核酸分子の合成後修飾の代替合成スキームを示す。 図46は、本発明のN−アセチル−D−ガラクトサミン−2’−アミノウリジンホスホラミダイトコンジュゲートの合成に関する合成スキームを示す。 図47は、本発明のN−アセチル−D−ガラクトサミン−2’−トレオニンホスホラミダイトコンジュゲートの合成に関する合成スキームを示す。 図48は、本発明のN−アセチル−D−ガラクトサミンsiNA核酸コンジュゲートを示す。 図49は、本発明のコンジュゲートリンカーから派生したドデカン酸の合成に関する合成スキームを示す。 図50は、本発明のオキシム結合核酸/ペプチドコンジュゲートの合成に関する合成スキームを示す。 図51は、本発明のリン脂質から派生したsiNAコンジュゲートを示す。 図52は、本発明のリン脂質から派生したsiNAコンジュゲートの生成に関する合成スキームを示す。 図53は、本発明のポリ−N−アセチル−D−ガラクトサミン核酸コンジュゲートの生成を示す。 図54は、ホスホラミダイトアプローチを使用した本発明のsiNAコレステロールコンジュゲートの合成を示す。 図55は、NHSエステルカップリングを使用した本発明のsiNA PEGコンジュゲートの合成を示す。 図56は、NHSエステルカップリングを使用した本発明のsiNAコレステロールコンジュゲートの合成を示す。 図57は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートを示す。 図58は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートを示す。 図59は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートを示す。 図60は、本発明の様々なsiNAコレステロールコンジュゲートを示す。 図61は、本発明の様々なsiNAリン脂質コンジュゲートを示す。 図62は、本発明の様々なsiNAリン脂質コンジュゲートを示す。 図63は、本発明の様々なsiNAガラクトサミンコンジュゲートを示す。 図64は、本発明の様々なsiNAガラクトサミンコンジュゲートを示す。 図65は、本発明の様々なsiNA汎用コンジュゲートを示す。 図66は、本発明の様々なsiNA汎用コンジュゲートを示す。 図67は、コンジュゲートまたは非コンジュゲートsiNA分子をマウスに投与した後の肝臓における正常siNAの薬物動態分散を示す。 図68は、脂質の導入を使用せず、HBV細胞培養システムにおいてマッチする化学的非コンジュゲートのsiNA構造との比較で、コンジュゲートsiNA構造の作用を示す。図に示すように、siNAコンジュゲートは試薬を導入する必要なく細胞培養において有効性を提供する。 図69は、ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のモノ−ガラクトサミンホスホラミダイトの合成スキームを示す。 図70は、トリ−ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のトリ−ガラクトサミンホスホラミダイトの合成スキームを示す。 図71は、トリ−ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のトリ−ガラクトサミンホスホラミダイトの合成スキームの限定を目的としない別の例を示す。 図72は、トリ−ガラクトサミンコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のトリ−ガラクトサミンホスホラミダイトの代替合成スキームの限定を目的としない別の例を示す。 図73は、コレステロールコンジュゲート核酸分子の生成に使用できる本発明のコレステロールNHSエステルの合成スキームの限定を目的としない別の例を示す。 図74は、本発明の線形二本鎖構造及びその非対称派生を含むリン酸化siNA 分子を示す。 図75は、本発明の化学修飾末端リン酸基を示す。 図76は、ラット角膜モデルにおけるVEGF誘導新生血管の抑制を示す。VEGF誘導血管形成の抑制に関して、「Stab9/10」化学的性質(Sirna#31270/31273)を持つVEGFrl349位活性siNAを3つの異なる濃度(2.0μg、1.0μg、および0.1μg用量反応)で試験し、各濃度でマッチする化学逆位対照siNA構造(Sirna#31276/31279)およびsiNAを投与していないVEGF対照と比較した。 図77Aは、適合する逆位の対照と比較して、HBsAgレベルの減少における修飾siNA構造の作用を示す。 図77Bは、適合する逆位の対照と比較して、HBsAgレベルの減少における修飾siNA構造の作用を示す。 図77Cは、適合する逆位の対照と比較して、HBsAgレベルの減少における修飾siNA構造の作用を示す。 図77Dは、適合する逆位の対照と比較して、HBsAgレベルの減少における修飾siNA構造の作用を示す。 図77Eは、適合する逆位の対照と比較して、HBsAgレベルの減少における修飾siNA構造の作用を示す。 図77Fは、適合する逆位の対照と比較して、HBsAgレベルの減少における修飾siNA構造の作用を示す。 図78は、本発明の線形二本鎖構造及びその非対称派生を含むリン酸化siNA 分子を示す。 図79は、本発明の科学的修飾されたリン塩酸酸化端グループを示す。 図80は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBV DNAの減少を示す。 図81は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBVS抗体(HBsAg)の減少を示す。 図82は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBV RNAの減少を示す。 図83は、マッチする化学逆位対照および食塩水対照との比較で、HBV RNAを標的とする化学修飾したsiNA(Stab7/8およびStab9/10)を流体力学的に投与して処理5日後、7日後のマウスにおける血清HBV DNAの減少を示す。 図84は、すべてのStab7/8化学修飾siNA構造を使用したスクリーニングから選択したルシフェラーゼRNA80、237、および1478位を標的とするStab7/8化学修飾したsiNA構造を利用した、ルシフェラーゼ発現の用量依存的減少アッセイを示す。 図85は、すべてのStab7/8化学修飾siNA構造を使用したスクリーニングから選択したルシフェラーゼRNA1544および1607位を標的とするStab7/8化学修飾したsiNA構造を利用した、ルシフェラーゼ発現の用量依存的減少アッセイを示す。 図86は、未処理、脂質、および逆位の対照と比較して、レプリコンシステムにおいてHCV RNAの様々な部位を標的とするStab7/8siNA構造のアッセイスクリーニングを示す。 図87は、未処理、および逆位の対照と比較して、HEpG2細胞においてHBV RNAの様々な部位を標的とするStab7/8siNA構造のアッセイスクリーニングを示す。 図88は、未処理の細胞およびマッチする化学逆位対照との比較で、HEpG2細胞におけるHBV RNAの1580位を標的とする化学修飾siNA構造(例、Stab7/8、7/10、7/11、9/8、および9/10)の様々な組み合わせに関するアッセイスクリーニングを示す。 図89は、未処理の細胞およびマッチする化学逆位対照との比較で、HEpG2細胞におけるHBV RNAの1580位を標的とする化学修飾siNA構造(例、Stab7/8、9/10、6/11、16/8、16/10、18/8および18/10)の様々な組み合わせに関するアッセイスクリーニングを示す。 図90は、未処理の細胞およびマッチする化学逆位対照との比較で、HEpG2細胞におけるHBV RNAの1580位を標的とする化学修飾siNA構造の様々な組み合わせに関するアッセイスクリーニングを示す。 図91は、適合する化学逆位対照と比較して、HBV RNAの1580位を標的とするポリエチリミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)で形成したStab9/10siNAを流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBV DNAの減少を示す。 図92は、適合する化学逆位対照と比較して、HBV RNAの1580位を標的とするポリエチリミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)で形成したStab9/10siNAを流体力学的に投与して処理したマウスにおける血清HBsAgの減少を示す。 図93は、ポリエチリミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)導入剤の一般的な構造を示す。 図94Aは、パリンドロームおよび/または標的核酸配列において識別される反復核酸配列を利用する自己相補DFO構造のデザインに使用される方法を示す。 図94Bは、二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の限定を目的としない代表的な例を示す。 図94Cは、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化スキームを示す。 図94Dは、遺伝子発現の調節につながる標的核酸配列との相互作用が後に続く、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化スキームを示す。 図95は、問題となる任意の標的核酸配列に配列相補性を持つDFO構造に組み込まれるパリンドロームおよび/または反復核酸配列を利用した自己相補DFO構造のデザインを示す。 図96は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む本発明の多機能siNA分子を示す。 図97は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる区別できる領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分子を示す。 図98は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む本発明の多機能siNA分子を示す。 図99は、異なる標的核酸配列の切断を対象としたRNAiをそれぞれ仲介できる区別できる領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分子を示す。 図100は、例えばサイトカインおよびそれに対応する受容体、異なるウィルス鎖、ウィルス感染または複製に関与するウィルスおよび細胞タンパク質、または疾患の維持または進行に関与する一般的または分岐生物経路に関与するウィルスおよび細胞タンパク質といった異なるタンパク質をコードする個別のRNA分子等の2つの個別の標的核酸分子を本発明の多機能siNA分子がどのように標的とすることができるかを示す。 図101は、RNAの代替のコード領域、RNAのコード領域および非コード領域、あるいはRNAのスプライスバリアント領域のような、同一標的核酸分子内の2つの個別の標的核酸分子配列を、本発明の多機能siNA分子がどのように標的とすることができるかを示す。 図102は、流体力学的注射を介してHBV発現ベクターで事前処理したマウスにおけるBV RNAの263位を標的とするStab7/8siNA構造の全身的静脈投与に続く血清HBV DNAレベルの用量依存的減少を示す。 図103Aは、HBVCo−HDIマウスモデルにおいて、マッチする化学逆位対照、同一配列を持つ全RNA siNA構造(RNA活性)、および対応する全RNA逆位対照(RNA Inv)との比較で、完全に安定したsiNA構造の作用を示す。 図103Bは、HBVCo−HDIマウスモデルにおいて、マッチする化学逆位対照、同一配列を持つ全RNA siNA構造(RNA活性)、および対応する全RNA逆位対照(RNA Inv)との比較で、完全に安定したsiNA構造の作用を示す。 図103Cは、HBVCo−HDIマウスモデルにおいて、マッチする化学逆位対照、同一配列を持つ全RNA siNA構造(RNA活性)、および対応する全RNA逆位対照(RNA Inv)との比較で、完全に安定したsiNA構造の作用を示す。 図104は、図95に記載の問題となる任意の標的核酸配列に対して配列相補性を持つDFO構造に組み込まれるパリンドロームおよび/または反復核酸配列を利用した自己相補DO構造のデザインを示す。 図105は、本発明のDFO分子を使用したVEGFR1 RNA発現の抑制を示す。 図106は、HBsAgレベルで試験されるような本発明のDFO分子を使用するHBV RNA発現の抑制を示す。 図109は、TGF−β受容体−1標的RNA発現のDFOを仲介とした減少を示す。 図110は、HepG2細胞におけるHBVおよびPKC−αRNAを標的とする多機能siNA構造を使用したHBV RNAの抑制を示す。 図111は、HepG2細胞におけるHBVおよびPKC−αRNAを標的とする多機能siNA構造を使用したPKC−αRNAの抑制を示す。 図112は、本発明の連結された多機能siNA構造を示す。 図113は、様々なデンドリマーベースの多機能siNAデザインを示す。 図114は、様々な超分子の多機能siNAデザインを示す。 図115は、30ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーを示す。 図116は、40ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーを示す。 図117は、HBVの263位を標的とする多機能siNA構造を可能にするダイサーによるHBV RNAの抑制を示す。 図118は、本発明の追加の多機能siNA構造デザインを示す。 図119は、本発明の追加の多機能siNA構造デザインを示す。 図120は、RNAiの有効性に関して、完全な塩基対配列長のsiNA構造の効果を判定するためにデザインされた実験を示す。

Claims (20)

  1. 化学式MF−III
    を持つ構造を含む多機能siNA分子であって、
    式中、
    (a)X、X'、YおよびY'はそれぞれ約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、
    (b)Xは領域Y'に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、
    (c)X'は領域Yに存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、
    (d)XおよびX'はそれぞれ第一および第二標的核酸配列、またはその一部と安定して相互作用するに足る長さであり、
    (e)Wはヌクレオチドまたは配列Y'およびYを結合する非ヌクレオチドリンカーを示し、かつ
    (f)前記多機能siNAはRNA干渉を介して第一および第二標的配列の切断を指示する、
    ことを特徴とする多機能siNA。
  2. Wが配列Y'の3'端と配列Yの3'端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  3. Wが配列Y'の3'端と配列Yの5'端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  4. Wが配列Y'の5'端と配列Yの5'端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  5. Wが配列Y'の5'端と配列Yの3'端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  6. 末端リン酸基が配列X、X'、Y、またはY'のいずれかの5'端に存在する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  7. Wが生分解性リンカーを介して配列YとY'を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  8. Wがコンジュゲート、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、またはポリマーをさらに含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  9. 配列X、X'、Y、またはY'のいずれかが3'端キャップ部を含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  10. 前記末端キャップ部が逆位のデオキシ脱塩基部分である、請求項9に記載の多機能siNA分子。
  11. 前記末端キャップ部が逆位のデオキシヌクレオチド部分である、請求項10に記載の多機能siNA分子。
  12. 前記末端キャップ部がジヌクレオチドである、請求項10に記載の多機能siNA分子。
  13. 前記ジヌクレオチドがジチミジン(TT)である、請求項12に記載の多機能siNA分子。
  14. 前記siNA分子がリボヌクレオチドを含まない、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  15. 前記siNA分子がリボヌクレオチドを含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  16. 前記siNAにおける任意のプリン・ヌクレオチドが2'−O−メチルピリミジン・ヌクレオチドである、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  17. 前記siNAにおける任意のプリン・ヌクレオチドが2'−デオキシプリン・ヌクレオチドである、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  18. 前記siNAにおける任意のピリミジン・ヌクレオチドが2'−デオキシ−2'−フルオロピリミジン・ヌクレオチドである、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  19. X、X'、Y、およびY'がそれぞれ約19から約23ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  20. 許容し得る担体または希釈剤中に請求項1に記載の多機能siNA分子を含む医薬組成物。

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