JP2007523956A - 腫瘍細胞増殖を阻害するための方法 - Google Patents

腫瘍細胞増殖を阻害するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明の方法は、それを必要としている被験者において腫瘍細胞の増殖を阻害するために、インスリン様増殖因子受容体阻害剤を使用する。

Description

発明の分野
本発明は、腫瘍細胞増殖の阻害に関する。
発明の背景
インスリン様増殖因子-1(IGF-1)および-2(IGF-2)は、それらのI型受容体(IGF-1RまたはCD221)によって媒介される分裂促進的および抗アポトーシス特性による多種多様のヒト異常増殖の病態生理学に関与するとされている。機能的IGF-1Rの発現は種々の腫瘍形成モデルにおける悪性形質転換に必要とされる。しかし、一部には、臨床的に適用可能なIGF-1R機能の低分子阻害剤がないことにより、ならびに一部には腫瘍細胞増殖および生存においてIGF/IGF-1R経路を阻害する臨床的影響の不確かさにより当技術分野は主要な抗癌治療法としてIGF-1R経路の阻害を適用していない。さらに、正常組織におけるIGF-1Rの広範な発現は、IGF/IGF-1R経路阻害の特異性および毒性に関する懸念を生じている。
発明の概要
本発明は、一部には、広範囲の腫瘍型において強力な抗腫瘍作用を有するIGF-1R機能の特異的な阻害の多数の戦略の発見に基づいている。
種々の局面において、本発明は、細胞障害剤または化学療法剤およびインスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を含有する組成物を被験者に投与することによってまたは組織に接触させることによって腫瘍細胞増殖を阻害する方法を提供する。
IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤と同時に投与される。または、IGF-1R阻害剤は細胞障害剤または化学療法剤の後に投与される。例えば、IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤の1、2、3、6、12、24または48時間またはそれ以上の後に投与される。IGF-1R阻害剤は、単回投与としてまたは事前選択された時間にわたって複数回投与として投与される。例えば、IGF-1R阻害剤は1日〜2日間にわたって投与される。用量は治療量以下である。最適には、IGF-1R阻害剤は、異常なグルコース恒常性を生じる用量が投与される。例えば、IGF-1R阻害剤は被験者の高血糖、ケトン症または糖尿(glucosuria)を生じる用量が投与される。
細胞障害剤は、放射線治療または化学療法剤などの細胞死を生ずることができる任意の薬剤である。化学療法剤は、癌を治療するために典型的に使用される任意の薬剤である。例示的な化学療法剤はドキソルビシン、メルファランまたはデキサメサゾンである。
別の局面において、腫瘍細胞増殖は、インスリン様増殖因子(例えば、IGF-1またはIGF-2)の濃度(例えば、血清濃度または腫瘍微小環境濃度)を低下させる化合物を含有する第1の組成物およびインスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を含む第2の組成物を被験者に投与することによって阻害される。IGF(例えば、IGF-1)は肝臓によって産生される。または、IGFは腫瘍および/または腫瘍関連間質細胞によって産生される。IGF-1の濃度を低下させる化合物は当技術分野において公知であり、ソマトスタチンまたはそのアナログが挙げられる。第2の組成物は第1の組成物と同時に投与される。または、第2の組成物は、第1の組成物の後に投与される(例えば、1、2、3、6、12、24、48時間またはそれ以上)。
さらに別の局面において、本発明は、インスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤および抗糖尿病剤を含む組成物を被験者に投与することによって腫瘍細胞増殖を阻害する方法を提供する。抗糖尿病剤はインスリンポリペプチド、インスリン感受性エンハンサー(例えば、チアゾリジネオジオン(thiazolidineodione)またはビグアニド)およびインスリン分泌エンハンサー(例えば、グルコシダーゼ阻害剤)である。
よりさらに別の局面において、本発明は、IGF-1Rの発現(例えば、細胞表面発現)または活性を減少させる化合物を含む組成物を被験者に投与することによって腫瘍細胞増殖を阻害する方法を提供する。任意に、本発明の方法は、IGF-1R阻害剤を含む組成物を被験者に投与する段階をさらに含む。
IGF-1Rの発現または活性を減少させる化合物には、例えば、siRNAまたはIGF-1Rアンチセンス核酸が挙げられる。さらに別の化合物には、IGF-1Rの細胞内輸送を阻害する化合物;IGF-1Rの翻訳後修飾を阻害する化合物;IGF-1Rの分解もしくはユビキチン化を増強する化合物;またはIGF-1Rの正しい3次元構造を乱す化合物が挙げられる。
本発明は、さらに、細胞または組織にインスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を接触させることによって、組織、例えば腫瘍組織の血管形成を減らすまたは細胞のアポトーシスを誘導する方法を提供する。
特に規定しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書に記載するものと同様または等価な方法および材料を本発明を実施または試験する際に使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書に記載する全ての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は全体の内容が参照により組み入れられる。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が支配する。また、方法および例は例示的なものにすぎず、限定する意図のものではない。
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明は、インスリン増殖因子-1受容体(IGF-1R)の阻害剤がインビトロにおける種々の腫瘍細胞種に対して、従来の療法または他の標的化療法に耐性の高い細胞においても抗腫瘍活性を有するという発見に基づいている。
インスリン様増殖因子-1(IGF-1)および-2(IGF-2)は、I型受容体(IGF-1RまたはCD221)によって媒介される分裂促進的で、抗アポトーシス特性による多種多様のヒト異常増殖の病態生理学に関与するとされている。機能的IGF-1Rの発現は種々の腫瘍形成モデルの悪性形質転換に必要とされる。しかし、これまで、IGF-1R経路の阻害は主要な抗癌治療法としての適用が成功していない。これは、臨床的に適用可能なIGF-1R機能の低分子阻害剤が存在しないことだけでなく、腫瘍細胞増殖および生存において、他のサイトカイン/増殖因子カスケードと比較して、IGF/IGF-1R経路を阻害する相対的な影響が十分に解明されていないということによるものであった。また、癌を治療するための方法としてのIGF-1Rの阻害は、インスリン受容体(IR)はIGF-1Rと相同性が高く、ほとんどの阻害剤はこの2つの受容体をほとんど区別できないことによって複雑になっている。本発明は、癌治療におけるIGF-1R機能の治療的標的化の有用性を実証し、IGF-1R阻害の治療ウィンドウを拡大するための具体的な方法を実証することによって、当技術分野のこの欠陥を克服している。
IGF-1R阻害は、抗増殖およびアポトーシス促進性分子的結果の多面的な一群を与えることを総合的な転写およびプロテオミクス分析は示しており、IGF-1R阻害剤が腫瘍細胞を他の抗癌剤に感受性にする能力の機械的な説明を提供している。IGF-1R阻害はまた他の増殖因子に対する腫瘍細胞応答を弱め、骨微小環境によって与えられる薬剤耐性表現型を克服し、血管形成促進性サイトカインの産生を抑制する。びまん性MMの臨床的に関連するマウスモデルでは、選択的IGF-1Rチロシンキナーゼ阻害剤ADW-742またはNVP-AEW541の全身投与は腫瘍増殖を抑制し、生存を延長し、細胞障害性化学療法の抗腫瘍作用を増強する。これらの結果は、IGF-1Rを標的化する臨床的な治療法の開発の論理的根拠を提供している。
血清中のIGFは多数の異常増殖における腫瘍細胞増殖、生存および薬剤耐性の重要な促進因子を構成していることおよびIGF-1Rの阻害はこれらの作用を有意に抑制することが本明細書において実証されている。1つ以上の低分子IGF-1Rキナーゼ阻害剤の全身投与のインビボにおける有効性もさらに実証されており、選択的なIGF-1R阻害はインビボにおいて望ましい治療ウィンドウを有する抗腫瘍活性を達成する。
従って、本発明は、IGF-1R阻害剤を他の療法と併用して使用して腫瘍細胞増殖を阻害する方法を提供し、このような併用は、IGF-1R阻害剤の単独使用の以前の限界を克服する。これらの方法はIGF-1Rの全ての治療的標的化に適用可能である。
腫瘍細胞増殖の阻害は、細胞周期に入る腫瘍細胞の数の減少、腫瘍細胞の細胞死または腫瘍細胞の転移の減少を含むことが意味される。腫瘍は固形腫瘍である。または、腫瘍は血液腫瘍である。本発明の方法を用いる治療に好適な腫瘍には、癌、肉腫、腺癌、リンパ腫、白血病または多発性骨髄腫(MM)が挙げられるが、それに限定されるわけではない。例えば、本発明の方法は、骨癌、脳腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、皮膚癌、肝臓癌、甲状腺癌、副腎癌、胃癌、腎臓癌、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫を治療するのに有用である。
種々の局面において、本発明は、IGF-1R発現または活性を阻害する化合物(本明細書においてIGF-1R阻害剤と呼ぶ)を被験者に投与する段階を含む。IGF-1R発現または活性の低下は、それぞれ、細胞が産生するIGF-1R分子の数の減少またはIGF-1R分子のチロシンキナーゼ活性の低下によって規定される。例えば、IGF-1Rの活性はチロシンリン酸化を検出することによって測定される。化合物は、例えば:(i)低分子キナーゼ阻害剤などの低分子(例えば、IGF-1Rチロシンキナーゼ阻害剤)、(ii)抗IGF-1R中和抗体(例えば、抗-IR3またはJB-1)または(iii)IGF-1R受容体アンタゴニストである。
低分子キナーゼ阻害剤には、ADW-742、NVP-AEW541(本明細書においてAEW541とも呼ぶ)またはそれらのアナログもしくは異性体などの4-アミノ-5-フェニル-7-シクロブチル-ピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体が挙げられる。
例示的なIGF-1R阻害剤には、IGF-1Rチロシンキナーゼ阻害剤および式I
Figure 2007523956
(式中
Rはヒドロキシル、未置換、1もしくは2置換アミノまたは複素環基によって置換された低級アルキル;R1-(C=Y)-Z-基(式中、R1は未置換もしくは置換されている低級アルキル、未置換、1もしくは2置換アミノ、複素環基または遊離もしくはエーテル化ヒドロキシであり、Yは酸素、硫黄またはイミノであり、Zは存在しない、低級アルキルまたはアミノ-低級アルキルである);またはR2-スルホニルアミノ-低級アルキル基(式中、R2は未置換もしくは置換されている低級アルキル、未置換、1-もしくは2置換アミノまたは低級アルキル、低級アルコキシもしくはニトロで置換されていてもよいフェニルである)である。
上記および下記に使用する一般用語は、好ましくは、特に示さない限り、本発明の開示の枠の中で以下の意味を持つ。式Iの化合物を記載する場合には、これは式Iの化合物の互変体およびN-オキシドも含むことが意味される。複数形を化合物、塩等に使用する場合には、これは、1つの化合物、塩等も意味すると考えられる。
任意に存在する式Iの化合物の不斉炭素原子は(R)、(S)または(RS)配置、好ましくは、(R)または(S)配置で存在してもよい。二重結合または環の置換はシス-(=Z-)またはトランス(=E-)体で存在してもよい。従って、化合物は、異性体の混合物としてまたは純粋な異性体として、好ましくは、エナンチオマーピュアジアステレオマーとして存在してもよい。
接頭辞「低級」は、炭素原子数最大7を含み、特に炭素原子数最大4を有する基を示し、問題の基は未分岐または1つもしくは多数の分岐に分岐されている。
低級アルキルは、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルまたはn-ヘプチルである。未置換、1もしくは2置換アミノまたは複素環基で置換された低級アルキルであるRにおいて、低級アルキルは、好ましくは、メチルである。低級アルキルRは、好ましくは、メチル、イソプロピルまたはtert-ブチルである。
置換低級アルキルは、アミノ、N-低級アルキルアミノ、N,N-ジ-低級アルキルアミノ、N-低級アルカノイルアミノ、N,N-ジ-低級アルカノイルアミノ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、 低級アルコキシ-低級アルコキシ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオ、ハロゲンまたは複素環基などの1つ以上、好ましくは、1つの置換基が存在してもよい、上記で定義された低級アルキルである。置換低級アルキルRは、好ましくは、低級アルコキシ、低級アルコキシ-低級アルコキシで置換されたまたは最も好ましくは、複素環基で置換された低級アルキルである。
ハロゲンは、主に、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、特にフッ素、塩素または臭素である。
1または2置換アミノは、互いに独立に、例えば、未置換または置換されている低級アルキル;フェニル基が、例えば、未置換または置換されている低級アルキル、アミノ、N-低級アルキルアミノ、N,N-ジ-低級アルキルアミノ、N-低級アルカノイルアミノ、N,N-ジ-低級アルカノイルアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ-低級アルコキシ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオまたはハロゲンによって置換されていてもよいフェニルまたはフェニル-低級アルキル;アダマンチル;および複素環基から選択される1つまたは2つの基によって置換されたアミノである。
1または2置換アミノによって置換された低級アルキルであるRにおいて、1または2置換アミノは、好ましくは、それぞれ、N-低級アルキルアミノまたはN,N-ジ-低級アルキルアミノを表す。
1または2置換アミノRは、好ましくは、それぞれ、N-低級アルキルアミノまたはN,N-ジ-低級アルキルアミノであり、低級アルキル部分は、フェニル、低級アルキル-フェニル、低級アルコキシ-フェニル、モルホリニルまたはN,N-ジ-低級アルキルアミノによって置換されていてもよい。
複素環基は、特に炭素原子数最高20であり、かつ好ましくは、4または8員環であり、好ましくは、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の単環式基、または例えば、1つもしくは2つのベンゼン基が記載した単環式基に環化(annellated)(融合)している二環式もしくは三環式基を含む。結局好ましくは、複素環基は少なくとも1つの窒素環原子を含み、式Iの分子の基への複素環基の結合は窒素環原子を介して生じる。複素環基は、例えば、未置換または置換されている低級アルキル、アミノ、N-低級アルキルアミノ、N,N-ジ-低級アルキルアミノ、N-低級アルカノイルアミノ、N,N-ジ-低級アルカノイルアミノ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ-低級アルコキシ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオ、ハロゲン、フェニルまたはピリジルなどの1つ以上、好ましくは、1つまたは2つの基によって置換されていてもよい。最も好ましくは、複素環基はアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、アゼパニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルであり、基は、低級アルキル、ヒドロキシ-低級アルキル、遊離またはエーテル化ヒドロキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、フェニルおよびピリジルからなる群より互いに独立に選択される1つ以上、好ましくは、1つまたは2つの基によって置換されていてもよく、式Iの分子の基への複素環基の結合は窒素環原子を介して生じる。
複素環基で置換された低級アルキルであるRにおいて、複素環基は、好ましくは、アゼチジニル、ピロリジニル、ジ-低級アルキル-ピロリジニル、アミノカルボニル-ピロリジニル、ピペリジル、ヒドロキシル-ピペリジル、アミノカルボニル-ピペリジル、アゼパニル、低級アルキル-ピペラジニル、低級アルコキシルカルボニル-ピペラジニル、フェニル-ピペラジニル、ピリジル-ピペラジニル、モルホリニル、ジ-低級アルキル-モルホリニルまたはチオモルホリニルを表す。
複素環基で置換された低級アルキルであるRにおいて、複素環基は、好ましくは、ピペリジル、低級アルキル-ピペラジニルまたはモルホリニルを表す。
複素環基R1は、好ましくは、ピロリジニル、ピペリジル、低級アルキル-ピペラジニルまたはモルホリニルである。
塩は、特に、式Iの化合物の薬学的に許容される塩(またはそのN-オキシド)である。このような塩は、塩基性窒素原子を有する式Iの化合物(またはそのN-オキシド)から好ましくは、有機または無機酸による例えば、酸負荷塩として、特に薬学的に許容される塩として形成される。カルボキシまたはスルホなどの負荷電基の存在下において、塩、例えば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩またはアンモニアもしくは三級モノアミンなどの好適な有機アミンとのアンモニウム塩などの金属またはアンモニウム塩は塩基で形成されてもよい。同一分子内の塩基性基および酸性基の存在下において、式Iの化合物(またはそのN-オキシド)が内部塩を形成してもよい。単離または精製目的のためには、薬学的に許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することもできる。遊離化合物の薬学的に許容される塩のみ(これが生じる場合には、薬学的組成物の形態)が治療的用途を達成し、従ってこれらが好ましい。
追加の低分子阻害剤には、チロホスチンおよびBlumら(Biochemistry 2000, 39, 157050-15712;全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる)によって記載されている他の低分子が挙げられる。
本発明の方法により使用される好ましいIGF1受容体阻害剤は国際公開公報第02/092599号(全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものであり、特に、以下の化合物またはその塩が挙げられる。
シス-7-(3-アミノメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-7-(3-アミノメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸ジメチルアミド;トランス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸ジメチルアミド;シス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルアミド;トランス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルアミド;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-ジメチルアミノメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-ジメチルアミノメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-メチルアミノメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-メチルアミノメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-グアニジン;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-グアニジン;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-メタンスルホンアミド;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-メタンスルホンアミド;トランス-N-(3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-4-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-4-ニトロ-ベンゼンスルホンアミド;プロパン-2-スルホン酸トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;エタンスルホン酸トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド; N-ジメチル-スルファミドトランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;N-ジメチル-スルファミドシス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸メチルエステル;シス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸メチルエステル;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸 2-メトキシエチルエステル;シス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸2-メトキシ-エチルエステル;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-エチル-尿素;シス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-エチル-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-プロピル-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-プロピル-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-イソプロピル-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-イソプロピル-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-ブチル-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-ブチル-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-tert-ブチル-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-tert-ブチル-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-ベンジル-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(3-メチル-ベンジル)-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(3-メチル-ベンジル)-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(4-メトキシ-ベンジル)-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3- (2-モルホリン-4-イル-エチル)-尿素; シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(2-モルホリン-4-イル-エチル)-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(2-ジメチルアミノ-エチル)-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(2-ジメチルアミノ-エチル)-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-尿素;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-尿素;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-尿素;シス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-尿素;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アセトアミド; シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アセトアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-イソブチルアミド;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-イソブチルアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2,2-ジメチル-プロピオンアミド;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2,2-ジメチル-プロピオンアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-ピペリジン-1-イル-アセトアミド;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-ピペリジン-1-イル-アセトアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-モルホリン-4-イル-アセトアミド;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-モルホリン-4-イル-アセトアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-アセトアミド;シス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-アセトアミド;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-モルホリン-4-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-ピロリジン-l-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン(ADW);トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン;トランス-7-[3-(アダマンタン-1-イルアミノメチル)-シクロブチル]-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-4-オール;トランス-7-(3-アゼパン-1-イルメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(2,5-ジメチル-ピロリジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-7-(3-アゼチジン-1-イルメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-3-カルボン酸アミド;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(4-ピリジン-2-イル-ピペラジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-チオモルホリン-4-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(2,6-ジメチル-モルホリン-4-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-(S)-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピロリジン-2-カルボン酸アミド;シス-7-(3-アゼパン-1-イルメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-4-オール;シス-4-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(4-フェニル-ピペラジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(4
-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-チオモルホリン-4-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-[3-(2,6-ジメチル-モルホリン-4-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン;シス-(R)-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピロリジン-2-カルボン酸アミド;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-3-カルボン酸アミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-エトキシ-アセトアミド;トランス-N-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-2-(2-メトキシ-エトキシ)-アセトアミド;トランス-1-(3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-メチル-尿素;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-3-メチル-尿素;トランス-ピロリジン-l-カルボン酸{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;トランス-ピペリジン-1-カルボン酸{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;トランス-モルホリン-4-カルボン酸{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;トランス-3-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-1,1-ジメチル-尿素;トランス-4-メチル-ピペラジン-l-カルボン酸{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-アミド;トランス-3-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-l,l-ジエチル-尿素;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸2-ジエチルアミノ-エチルエステル;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸 2-モルホリン-4-イル-エチルエステル;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸 2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-エチルエステル;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸 2-ジメチルアミノ-エチルエステル;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-カルバミン酸エチルエステル;トランス-4-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)- ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペラジン-l-カルボン酸エチルエステル;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-ピロリジン-1-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-7-(3-アゼチジン-1-イルメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-ブロモ-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル;トランス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチル}-メタノール;シス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-ブロモ-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル;シス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル;シス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチル}-メタノール;シス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル;トランス-3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブタンカルボン酸メチルエステル; シス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチル}-メタノール;トランス-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチル}-メタノール;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7-(3-ピロリジン-l-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-l-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-l-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-4-オール;トランス-7-(3-アゼチジン-1-イルメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7-{3-[(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-メチル]-シクロブチル}-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;トランス-((R)-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピロリジン-2-イル)-メタノール;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7-(3-ピロリジン-1-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン;シス-7-(3-アゼチジン-1-イルメチル-シクロブチル)-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-4-オール;シス-((R)-l-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-メチル-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピロリジン-2-イル)-メタノール;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-7-(3-ピロリジン-1-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-シクロブチル]-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-7-(3-アゼチジン-1-イルメチル-シクロブチル)-6-エチル-5-{3-[(Z)-2-エチ-(E)-イリデン-ヘキサ-3,5-ジエニルオキシ]-フェニル}-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン;シス-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピペリジン-4-オール;シス-((R)-1-{3-[4-アミノ-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-ピロロ [2,3-d]ピリミジン-7-イル]-シクロブチルメチル}-ピロリジン-2-イル)-メタノール;およびシス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-6-エチル-7-{3-[(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-メチル]-シクロブチル}-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン。これらの化合物のうち、トランス-5-(3-ベンジルオキシ-フェニル)-7-(3-ピロリジン-1-イルメチル-シクロブチル)-7H-ピロロ [2,3-d] ピリミジン-4-イルアミン (ADW-742)が最も特に好ましい。これらの化合物の調製は国際公開公報第02/092599号に記載されている。
被験体は、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物である。被験体は腫瘍に罹患しているまたは腫瘍を発症するリスクがある。
腫瘍増殖を阻害する方法
IGF-1R阻害と細胞障害性または化学療法治療の併用
腫瘍細胞の増殖は、細胞障害性または化学療法剤およびIGF-1R阻害剤を含む組成物を被験体に投与することによって阻害される。IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤の後に投与される。または、IGF-1R阻害剤は細胞障害剤または化学療法剤の前に投与される。IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤の1週間後以内に投与される。例えば、IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤の72、48、24または12時間後より前までに投与される。好ましくは、IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤の3時間〜12時間後以内に投与される。任意に、IGF-1R阻害剤は、細胞障害剤または化学療法剤と同時に投与される。
IGF-1R阻害剤の投与は単回投与である。または、投与は、多数回投与、例えば、1、2、3、4または5回以上の投与である。任意に、阻害剤は事前に選択された期間にわたって投与される。例えば、阻害剤は約1日〜2日間投与される。
細胞障害剤は、細胞の構造および機能に有害であり、最終的に細胞死を生ずることがある任意の薬剤である。例えば、細胞障害剤は化学療法剤または放射線治療である。化学療法剤は、癌を治療するために使用される任意の薬剤である。化学療法剤には、アルキル化剤(例えば、クロラムブシル、シクロホスファミド、チオテパおよびブスルファン);代謝拮抗剤(例えば、プリンアンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニストおよび葉酸アンタゴニスト);植物アルカロイドなどの有糸分裂抑制剤(例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、マイトマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン);抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシンおよびミトキサントロン);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ);副腎皮質ステロイドホルモン(例えば、プレドニゾロンおよびデキサメサゾン);性ホルモン(例えば、抗エストロゲン(タモキシフェン、フルベストラント))、アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール、レトロゾール)、プロゲスチン(メゲストロールアセテート)、抗アンドロゲン(ビカルタミド、フルタミド)およびLHRHアゴニスト(ロイプロリド、ゴセレリン)が挙げられる。他の化学療法剤には、L-アスパラギナーゼおよびトレチノイン、シクロホスファミドまたはサイトキサン(Cytoxan)(C)、メトトレキセート(M))、5-フルオロウラシルまたは5-FU(F)、アドリアマイシン(A)およびタキソール(T)、プレドニゾロン、5-フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン(ara-C)およびフルダラビンが挙げられる。
細胞障害性/化学療法的治療は、特定の腫瘍種のための標準的なプロトコールを使用して投与される。標準的なプロトコールは当技術分野において公知である。例えば、細胞障害剤または化学療法剤は、経口;静脈内、筋肉内、皮下またはくも膜下腔内に投与される。ある状況下では2つ以上の投与方法を同時に使用してもよい。
IGF-1R阻害剤および細胞障害剤/化学療法剤は標準的な治療量が投与される。またはIGF-1R阻害剤および細胞障害剤/化学療法剤は治療以下の用量が投与される。「標準的な治療量」とは、特定の化合物を単独で投与するとき、化合物の治療効果が検出される用量を意味する。例えば、IGF-1R阻害剤の標準的な治療量は、1つの薬剤として臨床的有用性を達成する可能性があると思われるおよび/またはグルコースホメオスタシスを調節して、阻害剤を投与する患者に例えば、高血糖、ケトン症または糖尿を生ずる用量である。同様に、細胞障害性/化学療法化合物の標準的な治療量は、化合物が臨床的利点を与える用量である。臨床的利点は、腫瘍サイズまたは転移などの特定の癌の1つ以上の症状の軽減である。
「治療量以下の用量」は、特定の化合物を単独で投与するとき、化合物の治療効果が検出されない用量を含む。
任意に、IGF-1R阻害剤は、その臨床的発現が高血糖、ケトン症および糖尿を含むグルコース代謝の混乱を生ずるのに十分な量が投与される。
IGFレベルを低下させることによるIGF-1R阻害の増強
別の局面において、腫瘍増殖は、IGF-1R阻害剤を、IGF、例えば、IGF-1またはIGF-2の濃度を低下させる化合物と併用して被験者に投与することによって阻害される。IGFは、肝臓、骨髄または腫瘍などの多数の異なる組織種によって産生される。血清中の大半のIGF-1は肝臓によって産生され、成長ホルモン依存的である。
化合物はIGFの濃度を全身的に(すなわち、血清濃度)低下させる。または、IGF濃度は局所的に低下される(すなわち、腫瘍の特定の微小環境)。IGF-1Rのリガンドの全身または局所濃度を減少させることによって、IGF-1Rの阻害は増強され、従って必要とされるIGF-1R阻害剤の量を低下させ、IGF-1R阻害の関連する副作用を減少させる。
例えば、血清または腫瘍微小環境におけるIGFレベルの測定は、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA、RT-PCR、組織(例えば、生検材料)におけるIGF-1の免疫組織化学的局在化を含む、当業者に公知のアッセイによって実施される。
被験者におけるIGFレベルの低下は、低分子の投与およびIGF転写および/または翻訳の阻害を含む、当技術分野において公知の方法によって実施される。例えば、IGF-1レベルは、ソマトスタチンおよびそのアナログによって、成長ホルモン産生の阻害剤によって、成長ホルモンの生体利用度を減少させる薬剤によって、成長ホルモン受容体の阻害剤によっておよび/または成長ホルモン受容体の下流のシグナリングカスケードの阻害剤によって減少される。ソマトスタチンアナログには、オクトレオチド(SMS 201-995)、ランレオチド、デプレオチド(depreotide)、バプレオチド(RC-160)、ソマチュリン(BIM 23014)、TT-232、AN-238が挙げられる。他の好適なソマトスタチンアナログは、その内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,465,613号に開示されているものである。成長ホルモン産生の阻害剤は、成長ホルモン分子のmRNA転写物に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)または低分子抑制(small inhibitory) RNA(siRNA)が挙げられる。成長ホルモンの生体利用度を減少させる薬剤には、成長ホルモンの中和抗体、可溶性成長ホルモン受容体または標的組織の受容体より高い親和性で成長ホルモンに結合するように工作することができる他のタンパク質が挙げられる。成長ホルモン受容体の阻害剤には、成長ホルモンがその受容体に結合するのを妨害するおよび/または標的組織において下流のシグナリング経路を活性化するのを妨害する中和抗体、抑制ペプチドまたは低分子阻害剤が挙げられる。シグナリングカスケードの下流の成長ホルモン受容体の阻害剤には、成長ホルモン受容体によって刺激され、IGFの産生増加を生じうるシグナリング経路を遮断することができるアンチセンスODN、siRNA構築物、ペプチド、低分子阻害剤または他の方法が挙げられる。
IGF-1転写は、例えば、IGF核酸の調節領域(例えば、IGF-1プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化し、標的細胞におけるIGF-1遺伝子の転写を妨害する三重らせん構造を形成することによって阻害される。例えば、Helene,1991. Anticancer Drug Des. 6: 569-84;Helene, et al. 1992. Ann. N. Y. Acad. Sci. 660: 27-36; Maher, 1992.Bioassays 14: 807-15(その内容が参照により本明細書に組み入れられる)参照。
または、IGF翻訳は、リボザイムなどのアンチセンス核酸によって阻害される。リボザイムは、相補的な領域を有するmRNAなどの1本鎖核酸を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、Haselhoff and Gerlach 1988. Nature 334: 585-591に記載されているハンマーヘッドリボザイム)を使用して、IGF-1 mRNA転写物を触媒作用により切断して、それによってIGF-1 mRNAの翻訳を阻害することができる。IGF-1をコードする核酸に特異性を有するリボザイムは、IGF-1 cDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。活性部位のヌクレオチド配列が、IGF-1をコードするmRNAの切断対象のヌクレオチド配列に相補的であるテトラヒメナ(Tetrahymena) L-19 IVS RNAの誘導体を構築することができる。例えば、Cechらに付与された米国特許第4,987,071号およびCechらに付与された米国特許第5,116,742号参照。IGF-1 mRNAを使用して、RNA分子プールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択することもできる。例えば、Bartel et al., (1993) Science 261: 1411-1418参照。
IGFをコードする例示的な核酸には、例えば、GENBANK(商標) 寄託番号 AY790940; CR541861; X05113; AY260957;もしくはE02872として入手可能なヒトIGF-1またはGENBANK(商標)寄託番号S62621; T29467; T27620; L15440; AH002704; M22373;もしくはM22372として入手可能なヒトIGF-2が挙げられる。
IGF-1R阻害剤およびIGFの濃度を低下させる化合物の投与の順序ならびに投与期間は抗腫瘍治療の有効性を決定する。本発明のいくつかの局面において、IGF-1R阻害剤およびIGFの濃度を低下させる化合物を同時に投与することが有利である。または、本発明の他の局面において、IGFの濃度を低下させる化合物の後、すなわちIGFの濃度を低下させる化合物の投与の3時間〜12時間後、約12時間後、約24時間後または約48時間後にIGF-1R阻害剤を投与することが有利である。
IGF-1R阻害と抗糖尿病治療の併用
IGF-1Rを阻害する化合物の投与はインスリン受容体も阻害する可能性があると思われ、異常なグルコースホメオスタシス、高血糖および糖尿病を生ずる可能性がある。IGF-1R活性の阻害の有効性の増強は、糖尿病の合併症を予防または軽減することによって達成することができる。従って、本発明の別の局面において、腫瘍増殖は、IGF-1R阻害剤を抗糖尿病剤と併用して被験者に投与することによって阻害される。
本明細書において使用する「抗糖尿病剤」には、有効な量が提供されるとき、糖尿病の臨床的に関連する1つ以上の症状を軽減、抑制または予防する任意の薬剤が挙げられる。糖尿病の症状には、異常なグルコース恒常性、渇きおよび排尿の増加、体重低下、筋肉の消耗、かすみ目、空腹感、疲労、高頻度の感染症、手足のしびれおよび刺痛、乾燥肌、頭痛、緩慢な創傷治癒が挙げられる。
抗糖尿病剤には、(i)外因的に投与されるインスリン;(ii)インスリン感受性を増強する薬剤(例えば、チアゾリジネジオン(例えば、ロシグリタゾン(AVANDIA(登録商標))、ピオグリタゾン(ACTOS(登録商標))、トログリタゾンおよびシグリダゾン);およびビグアニド(例えば、メトホルミン(GLUCOPHAGE(登録商標);GLUCOPHAGE(登録商標)XR)));(iii)インスリンの分泌を増強する薬剤(インスリン分泌促進物質、例えば、グリクラジド、トルブタミド、グリメピリド、グリベンクラミド、トラザミドおよびレパグリニドなどのスルホニルウレア;メグリチニド;エファロキサンなどのイミダゾリン;ならびに即効型インスリン分泌促進物質(例えば、ナテグリニドおよびレパグリニド);ならびにα-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース(PRECOSE)、ミグリトール(GLYSET))が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
抗糖尿病剤は、IGF-1R阻害剤投与と同時、投与前または投与後に投与される。任意に、抗糖尿病剤は、IGF-1R阻害剤投与前または投与後の事前に選択した期間にわたって投与される。または、抗糖尿病剤は、耐糖能障害の徴候が明らかになったとき投与されて、高血糖の徴候および症状を寛解させるように漸増される。
IGF-1Rの発現または活性を減少させることによるIGF-1R阻害の増強
IGF(すなわち、IGF1またはIGF-2)は、IGF-1Rのシグナリングにより腫瘍細胞増殖およびアポトーシスに対する耐性を媒介する。IGFに対する腫瘍細胞の応答性は、腫瘍細胞表面のシグナリング-コンピテントIGF-1Rの発現によって大きく影響され、従って腫瘍細胞増殖はIGF-1Rの腫瘍細胞発現または活性の干渉によって阻害される。
従って、本発明の別の局面において、腫瘍細胞増殖は、IGF-1Rの発現(すなわち、細胞表面における)または活性を減少させる化合物を含む組成物を被験者に投与することによって阻害される。任意に、組成物はIGF-1R阻害剤をさらに含む。
IGF-1R発現または活性は、IGF-1R阻害剤遺伝子の転写を抑制することによって減少される。IGF-1R転写の阻害は、例えば、IGF-1R核酸の調節領域(例えば、IGF-1Rプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化し、標的細胞においてIGF-1R遺伝子の転写を妨害する3重らせん構造を形成することによって実施される。例えば、Helene,1991. Anticancer Drug Des. 6: 569-84; Helene, et al. 1992. Ann. N.Y. Acad. Sci. 660: 27-36; Maher, 1992.Bioassays 14: 807-15参照。または、IGF-1R遺伝子の転写は、IGF-1R遺伝子プロモーターの負のレギュレーターの活性を増加することによって減少される。
IGF-1R翻訳の阻害は、例えば、アンチセンスIGF-1R核酸、IGF-1R特異的低分子干渉性(small-interfering)RNAまたはIGF-1R特異的リボザイムによって実施される。
IGF-1R遺伝子の発現はRNA干渉によって減弱することができる。当技術分野において周知の一方法は、IGF-1R遺伝子の発現産物が、5'非翻訳(UT)領域、ORFまたは3'UT領域を含むIGF-1R遺伝子転写物の長さ少なくとも19〜25 ntのセグメントに相補的な特異的な2本鎖IGF-1R由来のsiRNAヌクレオチド配列によって標的化される低分子干渉性RNA(siRNA)媒介性遺伝子サイレンシングである。例えば、各々全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、PCT出願国際公開公報第00/44895号、国際公開公報第99/32619号、国際公開公報第01/75164号、国際公開公報第01/92513号、国際公開公報第 01/29058号、 国際公開公報第01/89304号、 国際公開公報第02/16620号および国際公開公報第02/29858号参照。標的遺伝子はIGF-1R遺伝子またはIGF-1R遺伝子の上流もしくは下流のモジュレーターである。IGF-1R遺伝子の上流または下流のモジュレーターの限定するものではない例には、例えば、IGF-1R遺伝子プロモーターに結合する転写因子、IGF-1Rポリペプチドと相互作用するキナーゼまたはホスファターゼおよびIGF-1Rシグナリング経路に関与するポリペプチドが挙げられる。
リボザイムは、IGF-1R mRNA転写物を酵素的に切断し、それによってIGF-1R mRNAの翻訳を阻害するために使用される。IGF-1Rをコードする核酸に対する特異性を有するリボザイムは、当技術分野において公知の方法によってIGF-1R cDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計される。または、IGF-1R mRNAは、RNA分子プールから、特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択するために使用することができる。例えば、Bartel et al., (1993) Science 261: 1411-1418参照。
IGFをコードする例示的な核酸には、例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NM000875、NM00876、NM04215またはAF064078として入手可能なヒトIGFが挙げられる。
さらに、IGF-1R発現または活性を阻害する化合物には、(i)前駆体IGF-1Rのタンパク質分解的処理を阻害する;(ii)新たに合成されたIGF-1Rの小胞体から細胞表面への細胞内輸送を妨害する;(iii)IGF-1Rタンパク質の翻訳後共有結合的修飾(例えば、グリコシル化または脂質抱合)を妨害する;(iv)IGF-1Rの適切な三次元的立体配座を崩壊する;(v)IGF-1Rの細胞内ドメインへのアダプタータンパク質のドッキングを防止する;(vi)IGF-1Rのインターナリゼーション、ユビキチン化(ubiquination)または分解を増強する化合物が挙げられる。
血管形成を軽減する方法
血管形成は、組織にIGF-1R阻害剤を投与することによって阻害される。治療対象の組織には、腸組織、心臓組織、肺組織、皮膚組織または肝臓組織が挙げられる。組織は腫瘍組織である。
血管形成の阻害は、IGF-1Rと接触させられていない組織と比較したとき、治療後の組織の血管組織形成の軽減によって特徴づけられる。組織は阻害剤と直接接触される。または、阻害剤は全身投与される。血管形成は、マトリゲルプラグアッセイなどの当技術分野において公知の方法によって評価される。
アポトーシスを調節する方法
アポトーシスを誘導する方法またはアポトーシスに細胞を感受性にする方法も本発明に含まれる。「アポトーシスを誘導する」は、プログラム細胞死が開始されることを意味する。アポトーシスは当技術分野において公知の方法によって測定され、例えば、アポトーシスはアネキシンV染色によって測定される。
一局面において、アポトーシスは、細胞をIGF-1R阻害剤と接触させることによって実施される。細胞は、例えば、腫瘍細胞である。IGF-1R阻害剤に暴露される、すなわち接触させられる細胞集団は任意の数の細胞、例えば、1つ以上の細胞であってもよく、インビトロ、インビボまたはエクスビボにおいて提供されてもよい。
一部の疾病状態は、罹患細胞のアポトーシスの下方制御の欠陥の発生に関連している。例えば、異常増殖は、少なくとも一部には、細胞増殖シグナルが細胞死シグナルより不適当に上回るアポトーシス耐性状態によって生じる。さらに、リンパ球増殖性状態、薬剤耐性癌を含む癌、関節炎、炎症、自己免疫疾患等などのある種の疾病状態は、細胞死調節の下方制御によって生じることがある。このような疾病状態において、アポトーシス機序を促進することが望ましいと思われる。
腫瘍細胞は、アポトーシスの生理的インデューサーならびに細胞障害剤および化学療法剤などの、アポトーシスを誘導する治療から自身を保護する抗アポトーシス機序の上方制御を有する。腫瘍細胞においてIGF-1R機能の阻害によって生じる多面的なアポトーシス促進性変化は、アポトーシスシグナルに対する感受性を回復する。
治療的投与
本発明は、IGF-1R発現または活性を低下させる化合物(「IGF-1R阻害剤」または「治療化合物」と本明細書において呼ぶ)を含む組成物を被験者に投与する段階を含む。
治療化合物の有効な量は、好ましくは、約0.1 mg/kg〜約150 mg/kgである。例えば、1、10、25、50、75、100、125 mg/kgのIGF-1R阻害剤を投与する。当業者によって認識されているように、有効な量は、投与経路、賦形剤の使用および特定の癌の症状を治療、予防または軽減するための他の抗癌剤または治療剤の使用を含む他の治療的治療(上記)との併用に応じて変わる。治療的療法は、標準的な方法を使用して癌に罹患している(または癌を発症するリスクのある)哺乳動物、例えば、ヒト患者を識別することによって実施される。
治療化合物(他の治療的処理、例えば、細胞障害剤、化学療法剤および抗糖尿病剤を含む)は、当技術分野において公知な方法を使用してこのような患者に投与される。好ましくは、化合物は、経口、経直腸、経鼻、局所的または非経口、例えば、皮下、腹腔内、筋肉内および静脈内に投与される。化合物は、任意に、癌を治療するための治療薬剤のカクテルの成分として製剤化される。非経口投与に好適な製剤の例には、等張生理食塩液の水溶液、5%グルコース液の水溶液または別の標準的な薬学的に許容される賦形剤の水溶液が挙げられる。PVPまたはシクロデキストランなどの標準的な可溶化剤も、治療化合物の送達のための薬学的賦形剤として使用される。
本明細書に記載する治療化合物は、従来の方法を使用して他の投与経路のための組成物に製剤化される。例えば、IGF-1R阻害剤は、経口投与のためのカプセルまたは錠剤に製剤化される。カプセルは、ゼラチンまたはセルロースなどの任意の標準的な薬学的に許容される材料を含んでもよい。錠剤は、治療化合物と固体担体および潤滑剤の混合物を圧縮することによって従来の手法により製剤化することができる。固体担体の例には、デンプンおよび糖ベントナイト(sugar bentonite)が挙げられる。化合物は、結合剤、例えば、ラクトースまたはマンニトール、従来のフィラーおよび錠剤化剤を含むハードシェル錠剤またはカプセルの形態で投与される。他の製剤には、軟膏、坐剤、ペースト、スプレー、パッチ、クリーム、ゲル、吸収性スポンジまたはフォームが挙げられる。このような製剤は当技術分野において公知の方法を使用して製造される。
IGF-1R阻害剤化合物は、化合物が罹患組織に直接接触すると有効になる。従って、化合物は局所的に投与される。例えば、骨髄腫を治療するためには、化合物は罹患皮膚領域に適用される。または、IGF-1R阻害剤は全身投与される。さらに、化合物は、被験者の隣接する周囲組織に化合物を徐々に放出する固体または吸収性マトリックスを(腫瘍内に直接または皮下に)植え込むことによって投与される。
例えば、消化器癌を治療するためには、化合物は全身投与されるかまたは胃組織に直接局所投与される。全身投与化合物は静脈内、経直腸または経口投与される。局所投与は、化合物含浸ウエハーまたは吸収性スポンジを胃組織に直接接触させて留置する。化合物または化合物の混合物は、ウエハーからの薬剤の拡散およびポリマーマトリックスの侵食によってインビボにおいて徐々に放出される。
肝臓癌は、例えば、肝臓の血管系に、化合物を含む溶液を注入することによって治療される。神経系の癌の治療には、化合物は静脈内またはくも膜下腔内に(すなわち、脳脊髄液への直接注入により)投与される。局所投与は、化合物含浸ウエハーまたは吸収性スポンジをCNS組織に直接接触させて留置する。化合物または化合物の混合物は、ウエハーからの薬剤の拡散およびポリマーマトリックスの侵食によってインビボにおいて徐々に放出される。または、化合物は、公知の方法を使用して脳または脳脊髄液に注入される。例えば、注入ポートとして使用するためのカテーテルの骨孔リングを頭蓋骨に開けた頭蓋骨の骨孔に固定するように位置決めする。カテーテルに接続している流体容器に、骨孔リングの上面に位置決めした隔壁から挿入した針またはスタイレットを接近させる。カテーテルアセンブリ(例えば、米国特許第5,954,687号に記載されているアセンブリ)は脳、脳付近または脳内の選択した位置へのまたは選択した位置からの流体の移動に好適な流体流動通路を提供して、ある期間にわたる薬剤の投与を可能にする。
肺癌は、例えば、吸入によって化合物を投与することによって治療される。化合物は、好適なプロペラント、例えば、二酸化炭素などのガスまたはネブライザーを含有する加圧容器またはディスペンサーからエアロゾルスプレーの形態で送達される。
等価物
当業者は、日常程度の実験を使用して本明細書に記載する具体的な手法の数多くの等価物を認識するまたは確認することができる。このような等価物は本発明の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲に含まれる。本願全体に引用されている全ての参照文献、公布された特許および公開されている特許出願の内容は参照により本明細書に組み入れられる。そのような特許、出願および他の書類の適当な要素、過程および方法を本発明および本発明の態様のために選択することができる。
実施例
本発明は以下の限定するものではない実施例においてさらに例示される。
実施例1.一般方法
細胞系および原発腫瘍検体
検討した全ての細胞系を表1に掲載する。デキサメサゾン(Dex)感受性親系統MM-1SおよびそのDex耐性サブラインMM-1R細胞はDr Steven Rosen(Northwestern University, Chicago, IL)の親切な提供を受けた;化学療法感受性親MM細胞系RPMI-8226/Sおよびその化学療法耐性サブユニットRPMI-8226/Dox40(ドキソルビシン耐性)、RPMI-8226/MR20(ミトキサントロン耐性)、RPMI-8226/LR5(メルファラン耐性)細胞は、Dr William Dalton(lee Moffitt Cancer Center, Tampa, FL)の親切な提供を受けた;OCI-My5細胞はDr Meissner(University of Ontario, Tronto, Canada)の提供を受けた;EJM、LP-1、KMM1、K620、OPM-1およびOPM-2細胞はDr Leif Bergsagelの提供を受けた;INA-6細胞はRenate Burger(University of Erlangen-Nuernberg, Germany)の提供を受けた;XG-1細胞はDr Pierfrancesco Tassone(University of Magna Grecia, Italy)から入手した;NCI-H929およびU266細胞はAmerican Type Cell Culture(ATCC)から購入した;MM-1S-myrAktおよびMM-1S-Bcl-2細胞は、それぞれ、Aktの構成的に活性なミリストイル化型およびBcl-2をコードする構築物によるMM-1S細胞の安定なトランスフェクションによって樹立した。MM-1S-TR13は、TRAIL/Apo2L感受性MM-1S親細胞のヒト組換え型のTRAIL/Apo2Lによる13連続サイクルの処理により樹立したTRAIL/Apo2L耐性サブラインである(N. Mitsiades、未公開の観察)。MM-SAR-1細胞は、プロテアソーム阻害剤PS-341に耐性の患者の原発性MM腫瘍細胞から樹立した。本発明者らはまた、B-リンパ芽球腫細胞系ARH-77、IM-9、HS Sultanおよび白血病細胞系REHおよびNALM-6(ATCCから購入)、ならびにびまん性大B細胞リンパ腫細胞系DHL-4、DHL-6、DHL-7、DHL-8およびDHL-10(Dr Margaret Shipp, Dana-Farber Cancer Institute Boston, MAによる親切な提供を受けた)、バーキットリンパ腫系Namalwaおよびリンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoblasmacytic lymphoma)(ワルデンシュトレームマクログロブリン血症)細胞系WM-WSU(Dr Ayad Al-Katib, Wayne State University, Detroit Cancer Centerの親切な寄贈)を含むヒトリンパ腫細胞系の一団も検討した。全ての細胞は、10%活性炭デキストラン処理したウシ胎仔血清(FBS;Hyclone, Logan, UT)ならびにL-グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン(Life Technologies)を添加したRPMI 1640 培地 (Life Technologies, Grand Island, NY)で培養し、例外としてINA-6およびXG-1細胞は、20% FBSおよび2.5 ng/mLのヒト組換えIL-6を添加した培地で培養した。従来の化学療法または高用量化学療法、サリドマイド(および/またはその免疫調節アナログ)、プロテアソーム阻害剤PS-341または他の治験剤に不応性の35人のMM患者の原発性MM腫瘍細胞を骨髄(BM)吸引試料から入手した(インフォームドコンセントの後)。0.86%塩化アンモニウムで赤血球細胞の溶血後、マイクロビーズ結合ヒト抗CD138 mAb(MACS、Miltenyi Biotech)を用いる免疫磁気分離に基づいた正の選択またはフィコエリスリン結合抗CD138 mAbを用いるフローサイトメトリーに基づいた正の選択によっておよび従来の検討におけるようにMM細胞を選択した。純度(>95%)は形態学およびフローサイトメトリー(Becton-Dickinson FACSort, Franklin Lakes, NJ)によって評価した。
原発性MM患者試料は、IRB承認プロトコールに準拠して、診断用または再病期診断用骨髄吸引を受けた直後の骨髄吸引試料から単離した。MM細胞は、CD138+ MM細胞の負の選択のために、モノクローナル抗体(mAb)の特注のRosetteSepカクテル(StemCell Technologies Inc, Vancouver, Canada)を使用して精製した。接着骨髄間質細胞を単離するために、MM細胞精製過程のCD138-分画を20% FBS添加培地で培養した。末梢血B細胞は、MM患者の末梢血試料のフィコール密度遠心分離によって単離した。
抗体および試薬
PS-341(ボルテゾミブ)はMillennium Pharmaceuticals (Cambridge, MA)により提供された。他の試薬は以下のように入手した:Calbiochem社製のマウス抗ヒトIGF-1R中和モノクローナル抗体aIR3およびApo2L/TRAIL;Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)社製のBcl-2、Bcl-XL、Al/Bfl-1、FKHRL-1およびそのリン酸化型、Bax、Raf、リン酸化および総MEK1/2、IKK-a、Bcl-2、Bcl- XL、 GAPDHのマウスモノクローナル抗体;Upstate Biotechnologies (Lake Placid, NY)社製のFLIPのモノクローナル抗体;Chemicon社製のRANKLに対するウサギポリクローナル抗体;Cell Signaling Technologies (Beverly, MA)社製のhsp90、 Akt、 ホスホ-Akt、Bmx、IKK-a、Raf-1、RhoA、srcおよびp70S6Kに対するモノクローナル抗体;R & D Systems, Inc. (Minneapolis, MN)社製のヒト組換えIGF-1およびIL-6、cIAP-1、cIAP-2およびXIAPに対するポリクローナル抗血清ならびにIGF-1R、 IL-6R、CD138、CD38およびCD45RAに対するPE結合モノクローナル抗体またはMsIgG1対照抗体(未結合型またはFITCもしくはPE結合型);Sigma Chemical Co. (St Louis, MO)社製のMTT、デキサメサゾン、ドキソルビシンおよびメルファラン;Bachem Bioscience (King of Prussia, PA)社製のJB-1アンタゴニストペプチド;Novus Biologicals (Littleton, CO)社製のPE結合抗IGF-2Rモノクローナル抗体;細胞内フローサイトメトリー分析のためのFix&Perm透過性キット(Caltag Technologies);ならびにAmersham (Arlington Heights, IL)社製の、ペルオキシダーゼ標識抗マウスおよび抗ウサギ二次抗体を含む高感度ケミルミネッセンス(ECL)キット。
トランスフェクションおよびレトロウイルス形質導入
ミリストイル化(構成的に活性な)AktもしくはBcl-2(Upstate Biotechnologies, Lake Placid, NY)をコードするベクターまたは空(neo)ベクターによるMM-1S細胞の安定なトランスフェクションは、以前に記載されているように、リポフェクタミン2000(Life Technologies)およびG418-含有選択培地を使用して実施した。pGC-gfp/lucベクター(C. G. Fathman, Stanford Universityの親切な寄贈)またはpMMP-LucNeoによるMM-1SおよびMM-1R細胞のレトロウイルス形質導入は以前に記載されているように実施した。
エクスビボにおける薬剤感受性アッセイ
IGF-1R阻害剤処理した細胞の細胞生存率を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)比色アッセイを使用して調査した。細胞を70%〜80%集密度で48ウェルプレートにおいて平板培養し(〜50,000細胞/mL、ウェルあたり200μL)、次いで示した処理を行って18時間インキュベーションした。各処理の終了時に、細胞を1 mg/mlのMTTと共に37℃において4時間インキュベーションし;次いで、イソプロパノールおよび1N HCl(23:2, v/v)をピペット操作を激しく行いながら添加してホルマザン結晶を溶解した。生存細胞の染料吸光度(A)を570 nmにおいて測定し、基準波長として630 nmを使用した。細胞の生存率は、未処理の対照の値の割合として評価した。全ての実験は少なくとも3回反復し、各実験条件は各実験において少なくとも四つ組で(quadruplicate)反復した。
IGF-1R阻害のインビボにおける抗腫瘍作用
ADW-742のインビボにおける抗MM作用は、SCID/NODマウスのルシフェラーゼ発現MM細胞の広汎性骨病変モデルにおいて評価し、以前に記載されているように全身生物発光画像法で連続的にモニターした。簡単に説明すると、雄(6〜8週齢)のSCID/NODマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME)を、137Csγ-照射源を使用して致死未満量を照射した(300 rad)。3時間〜6時間後、5×106 MM-1S-luc+細胞の100μLのリン酸緩衝生理食塩液(PBS)溶液を尾静脈を介して各マウスに注射した。マウスは、体重の変化、感染症の徴候および麻痺について毎日モニターし、総撮像時間2分、bin 2を用いるIn Vivo Imaging System(IVIS, Xenogen Corp, Alameda, CA)を使用する全身生物発光画像法によって毎週モニターした。総全身生物発光法は、関心対象の標準化された領域を含む各マウスを通過する光子流束(光子/sec)を積分することによって定量化する(Living Images, Xenogen)。ADW-742(Novartis Pharma AG, Basel, Switzerland)は25 mM酒石酸で製剤化し、腹腔内注射または強制経口投与によって投与した。メルファラン(Alkeran, GlaxoSmithKline, Research Triangle Park, NC)は製造業者の指示により製剤化し、腹腔内注射によって投与した。全ての動物調査は、Dana-Farber Cancer Institute Animal Care and Use Committeeにより承認されていた。
フローサイトメトリー、免疫ブロット法および機能的アッセイ
IGF-1RおよびIGF-2Rのフローサイトメトリー分析は、EPICS-XL-MCLフローサイトメーター(Beckman Coulter)で以前に記載されているように実施した。以前に記載されているプロトコールを免疫ブロット分析;TRAPテロメラーゼ活性アッセイ;20Sプロテアソームキモトリプシン活性アッセイ; NF-κBおよびHIF-1a転写活性の定量的評価のためのDNA結合活性ELISAに適用した。VEGFおよびIGF-1 ELISAは製造業者の指示により実施した(R & D Systems, Minneapolis, MN)。
IGF-1R阻害の分子プロファイリング
血清の存在下または非存在下においてIGF-1R阻害剤(ADW-742、α-IR3)で処理したMM細胞の遺伝子発現プロファイルを、総RNA抽出および精製、cDNAの合成およびビオチン化cRNA、ヒトU133A Affymetrixチップとのハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションシグナルを検出するためのHP ChipScannerにおけるスキャニングのために以前に記載されているプロトコールを使用してU133Aオリゴヌクレオチドマイクロアレイ(Affymetrix Inc, Santa Clara, CA)を使用して分析した。走査像出力ファイルのその後の分析は、以前の検討と同様に、Affymetrix GeneChip Microarray Analysis Suite 5.0ソフトウェア(Affymetrix)で分析し、正規化し、階層的クラスタ分析、機能的クラスタリングおよび関連ネットワークアルゴリズムによって分析した。IGF-1R阻害剤処理したMM細胞のシグナリング状態のハイスループット広範囲プロテオミクス解析は、以前に記載されているように(Mitsiades CS et al. Semin Oncol. 2003 Apr; 30 (2): 156-60 およびMitsiades N et al. Blood. 2003 Mar 15; 101 (6): 2377-80)、KPKS-1.0およびKPSS-1.0プラットホームを使用する多重免疫ブロットアレイによって実施した。
統計分析
インビトロアッセイ結果の統計学的有意性は、2元分散分析、次いでダンカンのpost-hoc試験によって調査した。生物発光画像調査の統計学的有意さはスチューデントの両側検定によって判定した。全ての分析において、P<0.05は統計学的に有意性があるとみなされた。インビボにおける抗腫瘍作用の評価については、マウスの全生存率は、腫瘍細胞の静脈内注射から犠牲時または死亡時までの時間と規定し、異なる治療群をカプラン-マイヤー生存率分析で比較した。
IGF-1R阻害の遺伝子発現およびプロテオミクスプロファイリング
総RNAを抽出し、Qiagen RNeasyキット(Qiagen, San Diego, CA)で精製した。5マイクログラムの総RNAを、T7-d(T)24プライマー
Figure 2007523956
およびSuperscript II (GIBCO-BRL, Rockville, MD)を用いる第1鎖cDNA合成に使用した。第2鎖cDNAの合成は、反応に大腸菌(Escherichia coli) DNAリガーゼ、大腸菌(E. coli) DNAポリメラーゼIおよびRNase Hを添加することによって16℃において実施し、次にT4 DNAポリメラーゼを添加して、新たに合成されたcDNAの末端を平滑末端化した。フェノール/クロロホルムおよびエタノール沈殿によってcDNAを精製した。BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit (Enzo diagnostics, Farmingdale, NY)を使用して、精製したcDNAをインビトロ転写反応において37℃において5時間インキュベーションして、ビオチン標識したcRNAを作製した。200 mM Tris-アセテート(pH 8.1)、500 mM KOAcおよび150 mM MgOAcを含有する緩衝液中で94℃において35分間インキュベーションすることによってcRNA(20μg)を断片化した。真核細胞ハイブリダイゼーション対照(対照cRNAおよびオリゴヌクレオチドB2を含有する)と混合した15μgの調整した断片化cRNAを含有するハイブリダイゼーションカクテルに事前に平衡にしたヒトU133A Affymetrixチップを45℃において16時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーションカクテルの除去後に、チップを流体ステーションで低ストリンジェンシー緩衝液(EDTA、0.01% Tween 20および0.005%消泡剤を含有する6×標準リン酸生理食塩液)で10サイクル(2ミックス/サイクル)および高ストリンジェンシー緩衝液(100 mM N-モルホリノ-エタンスルホン酸(MES)、0.1 M NaClおよび0.01% Tween 20)で4サイクル(15ミックス/サイクル)洗浄し、SAPE(ストレプトアビジンフィコエリスリン)で染色した。この過程の次に、正常ヤギIgGおよびビオチン化マウス抗ストレプトアビジン抗体と共にインキュベーションし、SAPEで再染色した。チップをHP ChipScanner (Affymetrix Inc, Santa Clara, CA)でスキャンしてハイブリダイゼーションシグナルを検出した。走査像出力ファイルをチップの大きな欠損およびハイブリダイゼーションアーチファクトについて目で調査し、次いでAffymetrix GeneChip Microarray Analysis Suite 5.0 software (Affymetrix)で分析した。全てのアレイの平均強度値が150の標的強度に調節されるように、各GeneChipの像をスケーリングした。GeneChip Microarray Analysis Suite 5.0ソフトウェアによって作製された発現分析ファイルをフラットテキストファイルとしてMicrosoft Excelにエクスポートし、さらなる分析に使用した。データ解析を実施して、IGF-1R阻害剤処理した試料とそれぞれの対照間で少なくとも2倍異なるシグナルを同定した。これらの結果は、スチューデントのt検定において0.0025より小さいp値についてスクリーニングして、誘導されているまたは抑制されている転写物を同定した。階層的クラスタ分析のためには、データをGene ClusterおよびTree Viewソフトウェア(Stanford University, Stanford, CA)にインポートした。データマイニングに使用する追加のソフトウェアにはGeneSpring 5.0 (Silicon Genetics)が挙げられる。データは、対数スケールでの値により色フォーマットのデータ表示を可能にするRainbowプログラム(Charles BaileyおよびTowia Libermannにより開発)およびwww.dchip.orgにおいて学究的なユーザーが無料で利用可能であるDNAチップアナライザー(dChip)3を使用して可視化した。全ての遺伝子のアノテーションおよび情報は、NetAffxウェブサイト(Affymetrix)およびUnChip(Alberto Riva, Atul ButteおよびIsaac Kohane; Childrens Hospital, Boston)を使用して取り込み、データファイルに加えた。アノテートしたデータは機能的な関係により選別した。
MM細胞のシグナリング状態のプロテオミクス解析
PS-341処理したMM細胞のシグナリング状態のハイスループット広範囲プロテオミクス解析は、以前に記載されているように(Mitsiades CS et al. Semin Oncol. 2003 Apr; 30(2): 156-60およびMitsiades N et al. Blood. 2003 Mar 15; 101(6): 2377-80)、KPKS-1.0およびKPSS-1.0プラットフォームを使用する多重免疫ブロット分析アレイによって実施した。
プロテアソームキモトリプシン活性、NFκBおよびHIF-1αDNA結合活性
20Sプロテアソームキモトリプシン活性アッセイは、記載されているように[Shringarpure 2003]実施した。NFκBおよびHIF-1αのDNA結合活性の転写活性は以前に報告されているように測定した。Libermann TA, et al.,Proc Natl Acad Sci USA; 2002 99: 14374-14379; Mitsiades N. et al., 2002,99: 4079-4086; Mitsiades N. et al., 2002; Blood 99: 4525-4530 およびMitsiades N., et al 2003 Blood; 101: 2377-2380。
AEW541で処理したMM細胞におけるIGF-1Rリン酸化の評価
AEW-541による処理の結果のIGF-1Rリン酸化の抑制の程度を評価するために、NVP-AEW541処理したMM細胞試料をホスホIGF-1RキャプチャーELISAによって処理した。簡単に説明すると、11人のMM患者の未精製の骨髄吸引試料をNVP-AEW541(250 nM、15分)または等容量のDMSO対照でエクスビボにおいて処理した。その後、各患者の薬剤処理試料および対照試料の各々を、CD138+MM細胞の負の精製のためのモノクローナル抗体(mAb)の特注RosetteSepカクテルを使用する負の選択によって精製した(カクテルは、CD2、CD14、CD33、CD41、CD45RAおよびCD66bに対する抗体を含む)。(追加の患者のBM吸引試料の同時操作は、この過程により、>95%のCD138+CD38+MM細胞の集団が単離されることを確認した)。次いで、精製した細胞をペレット化し、-80℃において凍結し、全ての患者のそれぞれの薬剤処理試料および対照試料の収集が完了するまで保存した(異なる患者の試料を処理し、異なる経過時間においてMM細胞精製のために処理した)。全ての患者の試料を収集したら、それぞれの細胞ペレットを溶解し、次いでIGF-1RキャプチャーELISAのために処理した。簡単に説明すると、Nunc-Immuno(商標)96MicroWell(商標)プレートに、マウス抗ヒトIGF-1R抗体(Santa Cruz, sc-462)をコーティングし、次にウサギ抗ヒトホスホIGF-1R(Tyr1131)/ホスホIR(Tyr1146)Ab(3021 L, Cell Signaling Technologies, Beverly MA)と共にインキュベーションし、その後ビオチン化2°Ab(Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc, # 711-066-152)と共にインキュベーションし、次にストレプトアビジンHRP結合物と共にインキュベーションし、ABTS/H2O2基質を使用して検出した。
AEW541で処理したMM細胞におけるAktリン酸化の評価
NVP-AEW-541による処理の結果のAktリン酸化の抑制の程度を評価するために、9人のMM患者(IGF-1Rリン酸化キャプチャーELISAの患者と異なる)の未精製骨髄吸引試料を、AEW541(250 nM、15分間)または等容量のDMSO対照でエクスビボにおいて処理した。その後、各患者の薬剤処理試料および対照試料の各々を、(先のアッセイに記載するように)CD138+MM細胞の負の精製のためのモノクローナル抗体(mAb)の特注RosetteSepカクテルを使用する負の選択によって精製した。次いで、精製した細胞をペレット化し、-80℃において凍結し、全ての患者のそれぞれの薬剤処理試料および対照試料の収集が完了するまで保存した(異なる患者の試料を処理し、異なる経過時間において処理し、精製した)。全ての患者の試料を収集したら、それぞれの細胞ペレットを溶解し、次いで市販のキット(Pathscan (登録商標)ホスホ-Aktl (Ser473) サンドイッチ ELISA キット, Cell Signaling, Beverly, MA)を使用するホスホ-AktサンドイッチELISAのために処理した。簡単に説明すると、上記実験の細胞ペレットを、各プレートに1 mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を添加した1×細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technologies, Beverly MA,#9803)によって溶解し、超音波処理し、4℃において10分微小遠心分離した。上清を新しいチューブに移し、タンパク質含量が等しくなるように分け、溶解緩衝液で1:1希釈し、次いで抗ホスホSer473-Akt特異的抗体をコーティングした96-ウェルのウェルにデュープリケートで添加した。4℃において終夜インキュベーションした後、ウェルをAkt1(2H10)検出mAbと共にインキュベーションし、洗浄し、次いでHRP結合二次抗体に接触させ、次にTMB基質を添加して25℃において30分インキュベーションし、100μlのSTOP溶液を添加してから、STOP溶液の添加後30分以内に450 nmにおいて吸光度を測定する。
実施例2.血液悪性腫瘍および固形腫瘍におけるIGF-1R発現の特徴づけ
フローサイトメトリーを使用して、2つの異なる抗-ヒトIGF-1Rモノクローナル抗体を使用してIGF-1Rの発現について75の血液腫瘍細胞系および固形腫瘍細胞系の一団(表1)を検討した。血液悪性腫瘍(多発性骨髄腫、種々のサブタイプの白血病およびリンパ腫)および固形腫瘍(前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌、甲状腺癌、卵巣癌、腎臓癌、副腎癌、肉腫および網膜芽細胞腫)を含む試験した全ての細胞系においてIGF-1Rの普遍的な細胞表面発現が見出された。IGF-1R発現がインビトロにおける増殖によって誘導されるアーチファクトであるという可能性を排除するために、従来の化学療法または高用量化学療法ならびにサリドマイド、その免疫調節性アナログ(CC-5013)およびプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(PS-341)を含む、MMに対する治療器具に最近加えられたクラスの抗腫瘍剤に耐性を有する患者の試料を含む単離直後の35の原発性多発性骨髄腫(MM)腫瘍検体を調査した。IGF-1Rの細胞表面発現もこれらの原発患者試料に普遍的に存在した(図7)。興味深いことに、表面IGF-1R発現の程度と腫瘍の種類、組織学的サブタイプまたは抗癌剤(例えば、アルキル化剤、アントラサイクリン、デキサメサゾン、サリドマイド、CC-5013、TRAIL/Apo2LまたはPS-341)との間に識別可能な関連パターンはなかった。
Figure 2007523956
実施例3.IGF-1R阻害剤のインビトロにおける抗腫瘍作用の分析
腫瘍細胞におけるIGF-1R活性の特異的な阻害の機能的な影響をMTT比色生存率アッセイによってインビトロにおいて定量して、IGF-1R機能の阻害が、生存腫瘍細胞集団の増加を刺激する(IGFを含有する)血清の能力を抑制することができる程度を評価した。これらのアッセイは、無血清条件と比較する際に、10%または20%ウシ胎仔血清および/または健康なドナーのプール血清または多発性骨髄腫(MM)患者の血清の使用に関係した。IGF-1R機能の特異的な阻害は、中和モノクローナル抗体α-IR3;IGF-1様競合的ペプチドアンタゴニストJB-1または選択的IGF-1Rキナーゼ阻害剤ADW-742(Novartis Pharma AG, Basel, Switzerland)を使用することにより実施した。細胞キナーゼ活性アッセイは、ADW-742は、インスリン受容体(IR)よりIGF-1Rに対して>16倍強力な阻害作用を有し、キナーゼはIGF-1Rとの最も高い相同性を有することを実証した(細胞自己リン酸化アッセイにおいて、それぞれ、IC50 0.17および2.8 μM)。3つ全ての抗IGF-1R阻害方法は、試験した全ての細胞系において生存腫瘍細胞の総集団の血清刺激的増加を有意に抑制する(図1a、b、e)。これらの結果は、IGFがインビトロにおける腫瘍細胞の増殖を刺激する血清の能力の主要なメディエーターであること、およびIGF-1R機能の特異的な阻害が増殖/成長を刺激する他の血清成長因子の能力に優先することを示している。
IGF-1R阻害に応答する細胞種特異的な差を求めるために、58の血液腫瘍細胞系および固形腫瘍細胞系の生存率に対するADW-742の影響をアッセイした。血清誘導性の細胞増殖の用量依存的な阻害が全ての細胞系において観察される(図1e)。グループとして、MM細胞系はADW-742の影響に感受性が大きいと思われ、IC50値は、一般に、ほとんどの他の血液および固形腫瘍細胞系において観察される比較的高いIC50値と比較して0.1μM〜0.5μMの範囲である。
さらに、単離直後の短期培養アッセイにおいて原発患者試料から精製したMM細胞の生存率に対するIGF-1R阻害の影響を立証した。試験した全ての原発患者試料において、中和抗体またはADW-742によるIGF-1Rの阻害は血清誘導性増殖を完全に抑制する(図1c、d)。特異性の対照としての抗IL-6受容体(IL-6R)中和抗体は血清培養MM細胞の生存率に識別可能な影響を示さない(図1a、c、d)。この所見は、MMおよび他の疾病、例えば、前立腺癌、の腫瘍細胞増殖、生存率および薬剤耐性におけるIL-6の広く認識されている役割に反すると思われ、IL-6の血清濃度は腫瘍細胞を刺激するのに十分でない可能性を生じている。しかし、IL-6の外因的な投与(血清IL-6レベルより2〜3 log高い1ng/mL〜10ng/mL範囲のレベル)に対するMMおよび前立腺癌細胞の応答もIGF-1R阻害によって抑制されると判定された(図8)。これらの所見は、腫瘍細胞における増殖因子受容体系の階層におけるIGF-1R機能の役割を強調している。
さらに、ADW-742、α-IR3またはJB-1は、従来の(細胞障害性化学療法、デキサメサゾン)または治験中の(サリドマイド、CC-5013、TRAIL/Apo2L、PS-341)抗癌剤(図1)ならびに多剤耐性疾病を有するMM患者の原発性腫瘍細胞にも活性である(図1d)。さらに、IGF-1R阻害剤に対するMMまたは他の異常増殖の感受性の程度はIGF-1Rの表面発現レベルに関連しない(図7)。IGF/IGF-1RカスケードはIGF受容体2(IGF-2R、IGF-IIR、CD222またはCIMPR)の発現により抑制されうるので、表1に開示する腫瘍細胞団におけるIGF-2Rの発現を分析した。IGF-2Rは少数の腫瘍細胞系の表面にしか発現されないが、試験した腫瘍細胞団全ての細胞内に見られる(図9)。表面または細胞内IGF-2R発現の程度と腫瘍の種類、組織学的サブタイプまたは上記の従来および検討中の抗癌剤の一団に対する耐性との間には識別可能な関連は観察されなかった。また、IGF-2RレベルとIGF-1R阻害に対する感受性の間には明らかな関連はない。
実施例4.選択的IGF-1Rキナーゼ阻害剤ADW-742のインビボにおける抗腫瘍作用の測定
MMのマウス異種移植片モデルにおけるIGF-1R阻害のインビボにおける抗腫瘍活性を調査した。MM細胞系MM-1Sは、選択マーカー(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼまたは高感度GFP)に融合したホタルルシフェラーゼを安定して発現するように工作した。致死未満量を照射したNOD/SCIDマウスにMM-1S-Luc細胞を静脈内注射し、ルシフェリンをマウスに注射することによってルシフェラーゼ発現腫瘍細胞によって発光される可視光線の連続全身非侵襲的画像化によって追跡した。MMの生物学に対する腫瘍の微小環境の重要性を考慮して、びまん性MM骨格病変のモデルシステムを樹立した。MM-1S-Luc細胞を静脈内注射すると骨髄および骨に生着し、軸骨格(椎骨、頭蓋骨、骨盤)および長骨のびまん性骨病変が一貫して樹立される(図2a)。これらのMM病変の解剖学的分布はヒトMM患者における疾病症状と一致しており、びまん性内臓浸潤への進行は、臨床的に高悪性度MMにおける悪性血漿細胞(例えば、血漿細胞白血病)の播種性骨格および骨外性関与を反復する。
ADW-742によるIGF-1R阻害のインビボにおける抗腫瘍効果を前記の同所性MMモデルにおいて分析した。致死未満量を照射したNOD/SCIDマウスにMM1S-Luc細胞を注射し、連続的に画像化して腫瘍負荷をモニターした。2週間〜3週間後、腫瘍負荷が同様に増加したマウス群を対照群および治療群に分割した。このMMモデルでは、ADW-742単独療法(10 mg/kg 腹腔内、1日2回)は腫瘍の増殖を有意に抑制し(図2b)、マウスの生存を延長する(図2c)。治療群間の体重の差はなく(P=0.82)、他の有意な治療関連毒性はない。同一の腹腔内投与による第2の検討ならびに50 mg/kgで1日2回経口投与されるADW-742を利用する第3の検討で矛盾しない結果が得られた。
実施例5.IGF-1R阻害の分子的事象
IGF-1R活性化および逆にその阻害に関与する分子的経路を検討するために、(血清の存在下または非存在下において)IGF-1R阻害剤に曝露した結果MM細胞において誘発される分子的事象を、(U133A Affymetrixオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いる) 遺伝子発現プロファイリングおよび(多重免疫ブロット分析を使用する)シグナル伝達プロテオミクスプロファイリングを使用して特徴づけた。広汎な分子プロファイリングアッセイにおいて検出される所見の機能的な重要性は、特定の機構アッセイによって確認する。
広汎な発現プロファイリングは、無血清細胞を血清刺激細胞と区別する明確な転写プロファイルを明らかにする(図3a)。生理的レベルのIGF-1(それ以外には、無血清)単独で処理した細胞は、血清に接触させた細胞と一致した発現プロファイルを有する。逆に、血清接触細胞をα-IR3またはADW-742で処理すると、発現プロファイルは、監督されていない階層的クラスタリングによって示されるように、無血清条件において増殖される細胞の発現プロファイルと群をなす(図3a)。従って、血清に含まれるIGFによるIGF-1Rの活性化は血清の転写的影響の主要な部分を構成する。さらに、ADW-742または特異的な中和抗体によるIGF-1R阻害の広汎な影響は一致しており、従ってADW-742活性の特異性をさらに支持する。注目すべきことに、IGF-1R阻害剤(ADW-742およびα-IR3)で処理したMM細胞の遺伝子発現プロファイルは、他の強力な抗MM剤(ボルテゾミブ、hsp90阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(deactylase)阻害剤を含む)で処理したMM細胞のプロファイルに対応する他のクラスターとは別個の独特のクラスターに対応することを監督されていない階層的クラスタ分析は示している。これはIGF-1R阻害の独特の分子的事象が非特異的細胞障害性または抗増殖作用を反映していないことを示している。
発現プロファイリング調査、プロテオミクス解析およびその後の確認アッセイは、IGF-1または血清への腫瘍細胞の曝露は、ADW-742またはα-IR3を用いたIGF-1R阻害によって抑制される多面性の高い増殖性/抗アポトーシス分子的事象群に関連することを示している(図3〜5およびS4)。IGF-1R阻害は細胞周期進行/増殖に関与する遺伝子の発現の減少およびRbリン酸の減少;カスパーゼ阻害剤(例えば、FLIP、XIAP、cIAP-2、サバイビン)および他の抗アポトーシス調節因子(例えば、A1/Bfl-1)のレベルの減少;DNA合成およびDNA損傷の修復に関与する多数の遺伝子の抑制;テロメラーゼ活性の構成的および血清刺激の有意な減少;発癌性形質転換に関与する遺伝子(例えば、c-myb、DEK)の抑制およびAuroraファミリーのキナーゼのリン酸化(および総レベル)の減少;26Sプロテアソームサブユニットをコードする転写物の発現の減少、プロテアソーム機能を調節する他の遺伝子の調節(例えば、ユビキチン特異的プロテアーゼおよびユビキチン結合酵素)およびプロテアソーム活性の構成的および血清誘導性活性化の抑制;グルコースおよび他の代謝物の取り込みを調節する核原形質輸送および他の溶質キャリアタンパク質の遺伝子の発現の減少;ヒートショックタンパク質(例えば、hsp90)の抑制;PI-3K/Akt経路(Akt、p70S6K、GSK3β、FKHRL-1を含む)、Raf/ERK1/2経路(MEK1/2)、Src、STAT3およびFAK(focal adhesion kinase)の重要なキナーゼおよびキナーゼ標的のリン酸化の減少;Akt、p70S6K、Raf、Src、Bmx、IKKおよびPDK1(PI-3K-dependent kinase)を含む、増殖性/抗アポトーシス応答に関与するキナーゼの総細胞内レベルの抑制;ならびにIKKおよびAktのそれぞれ2つの下流標的であるNF-κBおよびHIF-1αの転写活性化の抑制を生じる。
血清によって刺激され、逆にADW-742によって阻害される多面性の高い増殖性/抗アポトーシス経路群は、IGF-1Rによって媒介される強力な増殖/生存シグナルおよび多種多様の腫瘍種類に対するIGF-1R阻害剤の主要な影響をこの検討において説明している。これらの検討によって解明されるIGF-1R阻害のいくつかの分子的事象は、(例えば、Akt、FKHRL-1、NF-κBおよびHIF-1α機能またはカスパーゼ阻害剤発現に関係する)以前に報告されている所見に一致しているが、以前に同定されていない所見も観察された。例えば、IGF-1R阻害は、PI-3K/Akt、Ras/Raf/ERK1/2、IKK/NF-κBまたは他のシグナリングカスケードの要素のリン酸化の変化だけでなく、Akt、RafおよびIKKなどの主要なキナーゼを含む、これらの経路の要素の細胞内濃度を調節することによって腫瘍細胞のシグナリング状態を調節する。IGF/IGF-1Rシグナリングはいくつかのシグナリングエフェクター(例えば、Akt、Raf、IKK)を活性化/上方制御し、他のサイトカイン/増殖因子およびそれらの受容体によって誘発されるシグナル伝達カスケードに関与する。血清培養MM細胞のIGF-1R阻害剤処理の転写プロファイルは無血清条件のプロファイルに匹敵しており(図3a)、血清中に存在する全増殖因子スペクトルに対する腫瘍作用の転写応答のIGF-1R機能の重要な役割を強調している。
実施例6.IGF-1R阻害による腫瘍細胞の他の抗癌剤に対する感受性化
IGF-1R阻害によって抑制されるいくつかの経路は、アポトーシス促進治療に対する腫瘍細胞の耐性に重要であるおよび/または抗癌治療の公知の標的を構成する。限定するものではない例として、Akt、NF-κBおよびカスパーゼ阻害剤は多数のカスパーゼ依存的アポトーシス促進性抗癌治療(デキサメサゾン、TRAIL/Apo2L、プロテアソーム阻害剤、サリドマイドアナログを含む)に対する抵抗性を示すが、NF-κB活性およびDNA損傷修復遺伝子は細胞障害性化学療法に対する腫瘍細胞の耐性に重要な役割を果たす。また、プロテアソーム機能は、最近登場した低分子阻害剤PS-341の標的である。
IGF-1R阻害剤がインビトロにおいて他の抗癌治療に対して腫瘍細胞を感受性にする能力を判定した。ADW-742またはα-IR3は、種々の細胞障害性化学療法剤(ドキソルビシン、メルファラン)、デキサメサゾン、TRAIL/Apo2LもしくはPS-341(図6a〜cおよび12)に対するMM細胞の感受性、前立腺癌細胞のドキソルビシンに対する感受性またはSK-N-MC肉腫細胞のFasライゲーションに対する応答を増強する。これらのデータは、多数の異常増殖における抗癌剤応答を減弱する際のIGF/IGF-1Rシグナリングの広域的な役割および広域スペクトルの抗癌治療法の抗腫瘍作用を増強する際のIGF-1R阻害剤の有用性の可能性を示している。
さらに、IGF-1R阻害によるプロテアソーム機能の抑制は、プロテアソーム機能の増殖因子媒介性調節の第1の証拠を提供している。この所見は、IGF-1R阻害とPS-341の実証されている相乗作用の限定するものではない機構的な説明を提供しており(図6b)、IGF-1R誘導性シグナリングはPS-341に対するMM細胞の感受性を減弱するという観察に一致しており、プロテアソーム阻害剤の抗腫瘍作用を増強するIGF-1R阻害剤の臨床的適用のための大きな関わりを有する。
実施例7.腫瘍細胞とBM微小環境およびVEGF産生との相互作用に対するIGF-1R阻害の影響
腫瘍の増殖を支持する間質成分の重要性は、BM微小環境の間質成分が、種々の抗腫瘍治療に対して腫瘍細胞に保護作用を与える、特にMMなどの骨指向性悪性腫瘍において周知である。IGFはBM間質細胞(BMSC)および骨芽細胞によってBM環境において局所的に産生され、MM細胞とBMSCとの同時培養はインビトロにおいてIGF-1の産生を有意に増強するので(図12c)、この保護作用は、IGF-1Rを標的とする治療法に特に関係する。しかし、MM細胞とBMSCの同時培養アッセイにおいて、この相互作用は、BMSCの生存率に影響を与えなかった濃度においても(図12c)、MM細胞に対するADW-742の抗腫瘍作用には勝てない(図12a)。さらに、IGF-1誘導性のHIF-1α活性を抑制する能力と矛盾することなく、ADW-742は腫瘍細胞および骨髄間質細胞によるVEGFの産生を低下し(図12d)、甲状腺癌細胞(図12e)またはMM細胞などの種々の腫瘍種類によるVEGFのIGF-1誘導性分泌を抑制し、IGF-1R阻害の抗-血管形成作用が推定されることを示唆している(図12d)。これらの結果は、IGF/IGF-1Rシグナリングは、腫瘍細胞の間質保護または腫瘍関連血管形成を含む、腫瘍細胞とそれらの局所的な微小環境の相互作用において重要な役割を果たしていることを示しており、他の抗腫瘍療法のインビボにおける有効性を最大にするためにIGF-1Rキナーゼ阻害剤を使用する追加の機構的論拠を提案している。
実施例8.ADW-742によるIGF-1R阻害のインビボにおける化学療法感受性作用
腫瘍細胞に対するADW-742のインビトロにおける化学療法感受性作用に基づいて、びまん性骨格MM-1S-luc病変の臨床的に関連のあるSCID/NODモデルを、低用量メルファラン(2.5 mg腹腔内、週1回)後に投与したADW-742(10 mg/kg腹腔内、1日2回、週4日)の間欠的投与のインビボにおける作用について評価した。ADW-742の持続的な投与と異なり、ADW-742の間欠的投与は有意な抗腫瘍作用を示さない(図6d、データは示していない)。しかし、インビトロにおけるデータと矛盾することなく、治療量以下のメルファランと治療量以下のADW-742の併用は、マウスの生存を延長する際に相乗作用を有する(図6d)。これらの結果を合わせて考慮すると、細胞障害性治療によるIGF-1/IG-1Rシグナリングの抑制は、主要な抗アポトーシスシグナルを除去することによって従来の治療の有効性を増強することが実証される。
実施例9:多発性骨髄腫細胞系の一団に対するNVP-AEW541のインビトロにおける抗増殖作用
血清(IGFを含む)がMM細胞系の増殖を刺激する能力をIGF-1R機能の阻害が抑制することができる程度を評価するために、濃度を増加させたNVP-AEW541に曝露させた細胞にMTT比色生存率アッセイを適用した(図13)。
実施例10:原発性多発性骨髄腫腫瘍試料の生存率に対するインビトロにおけるNVP-AEW541の影響
次いで、単離直後に実施した短期培養アッセイにおいて、原発患者試料から精製したMM細胞の生存率に対してIGF-1R阻害の影響を試験した。0.5μMのNVP-AEW541は、原発性MM細胞の基底状態の生存ならびに血清刺激した生存を有意に阻害した(図14)。
実施例11:IL-6応答に対するIGF-1Rキナーゼ阻害の影響
原発性MM細胞の生存に対するNVP-AEW541(0.5μM)の影響を抗IL-6療法(2μg/mL)と比較したとき、後者は、驚くことに、ほとんどまたは全く影響を与えないことが見出されたが、NVP-AEW541は、以前に観察されたように、血清刺激生存を抑制した(図15)。この所見は、IL-6の血清濃度は腫瘍細胞を刺激するのに十分でないという可能性を生じる上で、腫瘍細胞増殖、生存および薬剤耐性におけるIL-6の広汎に認識されている役割に反すると思われる。MM.Hallek M, et al 1998 Blood; 91: 3-21ならびにAnderson KCおよびLust JA 1999 Semin Hematol; 36: 14-20。しかし、本発明者らは、IL-6の外因的投与(血清IL-6レベルより2〜3 log大きい1ng/mL〜10ng/mL範囲のレベルである。Nakashima J. et al 2000 Clin Cancer Res; 6: 2702-2706)に対するMM細胞の応答もIGF-1R阻害によって抑制されることをさらに見出した(図16)。これらの所見は、腫瘍細胞の増殖因子受容体系の階層化におけるIGF-1R機能の明らかな重要な役割を強調している。
実施例12:NVP-AEW541の骨髄間質細胞と異なる原発性MM細胞の生存の選択的な妨害
MM細胞は、隣接環境の正常細胞よりIGF-1Rシグナリングの阻害に対する感受性が強いかどうかを評価するために、原発性MM細胞、正常な骨髄間質細胞および末梢血B細胞を0.5μMのNVP-AEW541に接触させた。化合物によるIGF-1Rキナーゼ活性の阻害は、3人の患者から入手した原発性MM細胞の生存を有意に妨害することが示されたが、骨髄間質細胞または末梢血B細胞の生存には影響しなかった(図17)。
実施例13:多発性骨髄腫を治療するためのNVP-AEW541と標準的な化学療法剤の併用調査
IGF-1Rシグナリングは細胞生存シグナルを提供するということおよびこれは、インビトロにおけるMM細胞の生存を持続する際に主要な役割を果たすと思われるということを考慮して、多発性骨髄腫患者を治療するためにクリニックにおいて使用される化学療法剤の併用実験を原発性MM試料を使用して評価した。NVP-AEW541は、デキサメサゾン(図18)、ドキソルビシン(図19)およびメルファラン(図20)の作用に対して原発性MM細胞を相乗作用的に感受性にすることが見出された。また、NVP-AEW541は、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(PS-341)に対して原発性MM細胞を感受性にした(図21)。
実施例14:NVP-AEW541によるプロテアソームのキモトリプシン(chemotryptic)活性の阻害
以前の調査は、IGF-Iシグナリングは選択したプロテアソームサブユニットの発現を促進し(Mitsiades CS, et al. 2004 Cancer Cell; 5: 221-230)、MM細胞を、PS-341などのプロテアソーム阻害剤に対して感受性を低くすることを示した。Mitsiades N. et al, 2002 Proc Natl Acad Sci USA; 99:14374-14379。0.5μMのNVP-AEW541は、原発性MM試料において、キモトリプシン(chemotryptic)活性として測定するとき、プロテアソーム機能を阻害することが見出された(図22)。
実施例15:NVP-AEW541によるNFkBのDNA結合活性の阻害
MM細胞のIGF-Iシグナリングは、IKKの活性化などの下流の多数の事象を誘発するという観察に基づいて(Mitsiades CS, et al. 2004 Cancer Cell; 5: 221-230)、DNA結合活性の関数として測定した、NFkBの活性に対するNVP-AEW541の影響を試験した。NVP-AEW541は、0.5μMにおいて、NFkB DNA結合活性を有意に妨害することが見出された(図23)。
実施例16:NVP-AEW541によるHIF-1αのDNA結合活性の阻害
IGF-Iシグナリングは、HIF-1α転写活性およびVEGF発現を誘導することによって血管形成促進機能を有することが報告されている。Fukuda R., et al. 2002 J Biol Chem; 277: 38205- 38211。
矛盾することなく、0.5μMのNVP-AEW541は、原発性多発性骨髄腫細胞においてHIF-1αDNA結合活性を阻害することが見出された(図24)。
実施例17:NVP-AEW541へのエクスビボにおける曝露による原発性多発性骨髄腫試料におけるホスホIGF-1RおよびホスホAktレベルのモニタリング
IGF-1Rリン酸化レベルまたは下流のAktリン酸化の薬力学的な変化の検出に好適な方法を開発する可能性を評価するために、原発患者由来の多発性骨髄腫試料を0.25μM NVP-AEW541またはその溶媒DMSOでエクスビボにおいて処理した。次いで、CD138+多発性骨髄腫細胞を負の選択によって濃縮し、ホスホIGF-IRおよびホスホAktのレベルをキャプチャーELISAによってモニターするために使用した。NVP-AEW541に接触させた試料は、矛盾することなく、媒体処理対照と比較して、ホスホIGF-IR(図25)およびホスホAkt(図26)のレベルの顕著な低下を示した。
実施例18:多発性骨髄腫の同所性マウスモデルにおけるNVP-AEW541の有効性
ネオマイシンホスホトランスフェラーゼに融合したホタルルシフェラーゼコード領域をコードするレトロウイルスをMM1S細胞に形質導入することによってMM1S-LucNeo細胞を作製した(pMMP-LucNeo)。形質導入した細胞は、1 mg/mlの有効濃度G418を含有する培地(RPMI、10% FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン)中で増殖することによって選択した。
NOD-ACIDマウス(Jackson Laboratory)に、137Cs源から致死未満量の300 radを照射した。照射の3時間後に、中期対数増殖期の合計5×106 MM1S-LucNeo細胞を300μL容量のPBSを用いて尾静脈を介して各マウスに注射した。マウスは滅菌条件下で維持した。
Xenogen In Vivo Imaging System(IVIS 100)を用いて生物発光画像法を実施した。マウスは、ケタミン150 mg/kgおよびキシラジン12 mg/kgを腹腔内注射して麻酔し、同時にD-ルシフェリン50 mg/kgを腹腔内注射により投与した。画像化は、D-ルシフェリン注射の15分後に、セッティング2分およびビンセッティング2で実施した。マウスは等温条件下において回復させた。マウスは、腫瘍接種後2週間から開始して毎週画像化した。腫瘍負荷が増加したマウスを統計学的に等価な2群に分割し、治療は腫瘍接種の4週間後に開始した。NVP-AEW541を25 mM酒石酸で5 mg/ml濃度に溶解し、10μL/体重1gmを1日2回強制経口投与によって投与し、最終用量を50 mg/kg経口、1日2回とした。媒体対照は25 mM酒石酸単独とし、10μL/体重1gmを投与した。
同所性多発性骨髄腫の腫瘍増殖に対するAEW541投与の影響を、インビボにおける生物発光画像法によって評価した。15日の治療により腫瘍負荷は有意に低下した(p=0.04、スチューデントのt検定)。注目すべきことに、媒体治療動物8匹のうち4匹は、治療8日目の画像化と治療15日目の画像化の間に死亡した。疾病のために死亡する動物は腫瘍負荷が最も高いので、治療群の腫瘍負荷の有意差は抗腫瘍効果の真の差の過小評価であった可能性がある。治療8日目以降は体重の差はなかった(p=0.58)。
これらの結果は、多発性骨髄腫の同所性異種移植マウスモデルにおけるNVP-ADW742のインビボにおける有効性を実証するより包括的な調査の延長である(Mitsiades et al. 2004 Cancer Cell; 5: 221-230)。腫瘍抑制の程度はNVP-AEW541(図27)およびNVP-ADW742(Mitsiades et al. 2004 Cancer Cell; 5; 221-230; 図3)の有効性を比較して類似しており、これら2つの化合物のインビトロにおける有効性における類似性に一致している。
実施例19:乳癌増殖に対するAEW541の影響の評価
骨転移モデルにおいて乳癌細胞の増殖に対するAEW541の影響を検討した。ヒト骨チップに乳癌細胞系(MDA-MB231-LucNeo)を接種し、ヌードマウスに植え込んだ。骨チップおよび腫瘍細胞を2週間「根付かせ」、次いでAEW541による治療を開始した。腫瘍細胞の増殖をその後4週間にわたって画像化によって追跡し、骨への乳癌転移のこのマウスモデルにおける明白な抗腫瘍作用を実証した(図28)。
実施例20:AEWを使用する抗腫瘍治療の併用
他の標的治療と併用したAEW541の使用の可能性を評価した。グリオーマ細胞系(U87-LucNeo)をヌードマウスの脳に定位的に植え込んだ。植え込みから10日後に、マウスを、AEW541単独、AMD3100単独(CXCR4阻害剤)、両方の併用または媒体対照で治療する群に分割した。腫瘍の増殖を画像化によってモニターし、AMD3100と併用したAEW541の相加的な抗腫瘍効果を明らかにした。図29。
デキサメサゾン耐性MM-1R細胞系に対するIGF-1R阻害剤ADW-742(0.5μM)、α-IR3(2μg/ml)およびJB-1(2μg/ml)のインビトロにおける抗腫瘍活性を実証する棒グラフである。細胞は、血清の存在下または非存在下においてIGF-1R阻害剤(またはそれらのそれぞれの対照、DMSO、MsIgG1抗体もしくはスクランブルペプチド(scrambled peptide))またはIL-6R中和抗体(10μg/ml)と共に2日間インキュベーションした。結果はそれぞれの媒体対照に対して表されている。 薬剤感受性および耐性MM細胞系ならびに前立腺癌、乳癌および甲状腺癌細胞系の一団に対する72時間のα-IR3 2μg/mLまたはADW-742 0.5μMの影響の結果を実証する棒グラフである。結果は、生存腫瘍細胞の総集団の血清誘導性の増加の抑制の割合として表されている。 従来の高用量化学療法、サリドマイド、免疫調節性サリドマイド誘導体CC-5013およびPS-341に抵抗性の患者から単離された原発性MM腫瘍細胞に対するα-IR3、ADW-742および抗IL-6R(1aに明記する濃度)のインビトロにおける活性を実証する棒グラフである。 従来の治験中の療法に抵抗性の患者から単離された原発性MM腫瘍細胞団に対するα-IR3およびADW-742のインビトロにおける活性を実証するチャートである。図1eは、0μM〜10μM、72時間のADW-742に対するMM(黒い文字)、他の血液悪性腫瘍(赤い文字)および固形腫瘍(青い文字)の細胞系の一団の用量応答マトリックスを示すチャートである。相対的な生存率は割り当てられた色スケールで可視化されている。 5×106個のMM-1S-Luc+ヒトMM細胞を静脈内注射したSCID/NODマウスの全身生物発光画像法の代表的な結果を示す写真画像である。細胞の注射後3週間の画像は、びまん性疾患への進行を伴う脊椎、頭蓋骨および骨盤の病変を明らかにしている。 ADW-742(10 mg/kg腹腔内投与1日2回19日間)を受けたマウス対媒体処理マウスにおける総腫瘍負荷の定量化を示す線グラフである。データは平均±SD、群あたりn=6として表した。 ADW-742処理マウス対対照SCID/NODマウスのカプラン-マイヤー生存曲線を示す線グラフである。マウスは、図2bに示す用量で19日間治療した。ADW-742で処理したマウスは対照マウスより全生存率の中央値が長かった(それぞれ、38日対21日、P=0.02、対数-ランク試験)。 10%ウシ胎仔血清、ADW-742 0.5μM、α-IR3 2μg/mlまたはIGF-1 200ng/mLの存在下または非存在下において示した時間の間培養したMM-1S細胞の転写プロファイルの監督されていない階層的クラスタ解析を示すチャートである。 0.5μMのADW-742の存在下または非存在下において血清含有培地中で培養したMM-1S細胞のシグナリング状態のプロテオミクス解析のデンシトメトリー結果を示す棒グラフである。ADW-742処理状況におけるリン酸化状態の結果およびシグナリングメディエーターの総レベル(図3c)をそれぞれの対照に対する%として示す(2回の個々の反復実験の平均±SD)。IGF-1R阻害の上記の結果の特異性は、MEK1/2などのキナーゼの総レベルまたはNMDA受容体などの標的のリン酸化状態を含む、それぞれの陰性対照に対する有意な影響がないこと(NS)によって示される。他の全ての差はp<0.05で有意であった。 0.5μMのADW-742の存在下または非存在下において血清含有培地中で培養したMM-1S細胞のシグナリング状態のプロテオミクス解析のデンシトメトリー結果を示す棒グラフである。ADW-742処理状況におけるシグナリングメディエーターの総レベルを測定した結果をそれぞれの対照に対する%として示す(2回の個々の反復実験の平均±SD)。IGF-1R阻害の上記の結果の特異性は、MEK1/2などのキナーゼの総レベルまたはNMDA受容体などの標的のリン酸化状態を含む、それぞれの陰性対照に対する有意な影響がないこと(NS)によって示される。他の全ての差はp<0.05で有意であった。 20Sプロテアソーム活性に対するIGF-1R阻害の影響を示す棒グラフである。MM1S細胞は、10%ウシ胎仔血清、a-IR3 2μg/ml、ADW-742 0.5μMまたは抗IL-6R抗体2μg/mlの存在下または非存在下において24時間増殖した。 テロメラーゼ活性に対するIGF-1R阻害の影響を示す写真および棒グラフである。 NF-κB DNA結合活性に対するIGF-1R阻害の影響を示す棒グラフである。 HIF-1α DNA結合活性に対するIGF-1R阻害の影響を示す棒グラフである。 抗アポトーシスシグナリングカスケードに対するIGF-1R阻害の影響を示すウェスタンブロットの写真画像の一群である。これらの確証的なイムノブロット分析は、血清含有培地におけるMM-1S細胞のADW-742処理(500 nM)は、Akt、MEK1/2およびFKRHL-1リン酸化の早期抑制、ならびにAkt、Bmx、IKK-αおよび骨染色体異常誘発刺激因子(および溶骨性MM病変における骨吸収のメディエーター)RANKLの細胞内レベルの減少などの多面的な抗増殖的/アポトーシス促進的分子事象を示している。 MM-1S細胞において、デキサメサゾン (Dex,、0.1μM,、72時間) のインビトロにおける抗MM活性がADW-742処理(インキュベーションの最後の24時間において750nM)によって増強されることを示す棒グラフである。 MM-1S細胞において、ドキソルビシン(Doxo、50 ng/mL、48時間)のインビトロにおける抗MM活性がADW-742処理(インキュベーションの最後の24時間において750nM)によって増強されることを示す棒グラフである。 IGF-1R阻害(α-IR3 2μg/mLによる)がMM-1S細胞に対するPS-341(2 nM、終夜インキュベーション)の活性を増強することを示す棒グラフである。細胞は10%FBSの存在下において培養し、結果は3回の個々の実験の平均±SDとして表す。 MM-1S-Luc細胞を静脈内注射した2週間後に、びまん性MM病変が確立したNOD-SCIDマウス群を、生物発光画像法で評価したとき統計学的に等価な腫瘍負荷を有する4つのコホートに分類した検討の結果を示す線グラフである。コホートは、メルファラン単独(2.5 mg/kg腹腔内投与、週1回)、ADW-742単独(10 mg/kg腹腔内、1日2回、週4日)、メルファランの18時間後ADW-742または媒体対照で処理した。2剤併用を投与したマウスの総生存の延長によって示されるように(対数-ランク試験、P=0.0008)、ADW-742はメルファランのインビボにおける抗腫瘍作用を増強した。 薬剤感受性および薬剤耐性MM細胞系(MM-1S、MM-1R、RPMI-8226/S、RPMI-8226/Dox40、OCI-My5、OPM-1、S6B45)、従来の薬剤または治験薬剤に耐性の患者の原発性MM腫瘍細胞(MM患者#1、#2、#3)の細胞表面IGF-1R(影つき曲線)のフローサイトメトリー分析を示すトレースの一群である。結果は、試験した全腫瘍試料団および2つの異なる抗IGF-1R-特異的mAbを用いた分析の代表である。影なし曲線はアイソタイプ一致対照に対応する。 固形腫瘍細胞系(ACHNおよびCAKI-1腎細胞癌、MCF-7およびMDA-MB-231乳癌、PC-3およびLNCaP前立腺癌、SW-480結腸直腸癌およびSKOV-3卵巣癌)の細胞表面IGF-1R(影つき曲線)のフローサイトメトリー分析を示すトレースの一群である。結果は、試験した全腫瘍試料の一団および2つの異なる抗IGF-1R-特異的mAbを用いた分析の代表である。影なし曲線はアイソタイプ一致対照に対応する。 血清の存在下において、INA-6 MM細胞は、72時間のインキュベーション後にMTTアッセイによって示すとき、示した濃度のIL-6に反応性であることを示す線グラフである。しかし、この反応性は、血清の非存在下またはADW-742(500 nM)との同時処理時には抑制される。 血清の存在下において、PC-3前立腺癌細胞は、72時間のインキュベーション後にMTTアッセイによって示すとき、示した濃度のIL-6に反応性であることを示す線グラフである。しかし、この反応性は、血清の非存在下またはADW-742(500 nM)との同時処理時には抑制される。 悪性細胞における細胞表面および細胞内IGF-2R発現を示すトレースの一群である。多発性骨髄腫(OPM-2、MM-SV、MM-AS、KMM1、S6B45、U266、K620)および白血病細胞(HL-60、REH)の細胞表面(ミディアムグレイ曲線)および細胞内(影つき曲線)IGF-2Rの代表的なフローサイトメトリー分析。(黒およびライトグレイ曲線は、それぞれ、細胞表面および細胞内IGF-2R分析のアイソタイプ一致対照に対応する)。 IGF-1刺激の転写シグニチャー(signature)を示す表の例示である。 ADW-742(インキュベーションの最後の24時間において750 nM)およびα-IR3(インキュベーションの最後の24時間において2μg/ml)はデキサメサゾン(0.1μM、72時間)に対するMM-1S細胞の感受性を増強することを示す棒グラフである。 ADW-742(インキュベーションの最後の24時間において750 nM)およびα-IR3(インキュベーションの最後の24時間において2μg/ml)はドキソルビシン(50 ng/mL、48時間)に対するMM-1S細胞の感受性を増強することを示す棒グラフである。 ADW-742(インキュベーションの最後の24時間において750 nM)およびα-IR3(インキュベーションの最後の24時間において2μg/ml)はメルファラン(1μM、48時間)に対するMM-1S細胞の感受性を増強することを示す棒グラフである。 ADW-742の存在下または非存在下において20%血清中で72時間培養後のMM患者のBM吸引液(間質細胞などの骨微小環境のCD138+ MM細胞およびCD138-正常細胞を含有する)の未精製骨髄(BM)単核細胞のフローサイトメトリー分析の結果を示す散布図である。ADW-742処理(500 nM)により、悪性細胞のCD138+集団は有意に抑制されるが、BM間質細胞はされない。 MTT比色生存率アッセイによって評価するとき、ADW-742(500 nM、72時間)はBM間質細胞(BMSC)の生存率に有意に影響しないことを示す棒グラフである。 MM細胞とBMSCの24時間の同時培養は同時培養上清におけるIGF-1レベルの増加を誘発することを示す棒グラフである。上清中のIGF-1レベルは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって評価した。 ADW-742(500 nM、24時間)によるIGF-1R阻害は、骨髄腫細胞およびBMSCによるVEGFの構成的および同時培養誘発的分泌を抑制することを示す棒グラフである。 ADW-742(750 nM)がSW579乳頭状甲状腺癌細胞によるVEGFのIGF-1(無血清培地において200 ng/mL)誘導的分泌を抑制することを示す棒グラフである。 薬剤感受性および耐性MM細胞系の一団に対する72時間のNVP-AEW541の影響の結果の比較を示す略図である。結果は、生存腫瘍細胞の総集団の血清誘導性の増加の抑制の割合として表されている。 従来の療法および治験療法に耐性の患者から単離された原発性MM腫瘍細胞の一団に対するNVP-AEW541のインビボにおける活性を示す棒グラフである。 細胞障害性化学療法、サリドマイド、CC-5013およびPS-341に耐性の患者から単離された原発性MM腫瘍細胞に対するNVP-AEW541(0.5μM)および抗IL-6Rのインビトロにおける活性を示す棒グラフである。 IGF-IR阻害がIL-6に対する腫瘍細胞の応答性を抑制することを示す線グラフである。血清の存在下において、原発性MM細胞は、72時間のインキュベーション後にMTTアッセイによって示すとき、示した濃度のIL-6に反応性である。しかし、この反応性は、血清の非存在下またはNVP-AEW541(0.5μM)との同時処理の結果抑制される。 NVP-AEW541(0.5μM)との接触の結果、原発性MM細胞、骨髄間質細胞および末梢B細胞の生存率を示す棒グラフである。 デキサメサゾン(0.1μM)またはNVP-AEW541(250 nM)単独または併用の存在下におけるMM細胞生存率を示す棒グラフである。 50 ng/mLのドキソルビシンまたはNVP-AEW541(250 nM)単独または併用の存在下におけるMM細胞生存率を示す棒グラフである。 メルファラン(1μM)またはNVP-AEW541(250 nM)単独または併用の存在下におけるMM生存率を示す棒グラフである。 ボルテゾミブ(5 nM) またはNVP-AEW541(250 nM)単独または併用の存在下におけるMM生存率を示す棒グラフである。 血清の存在下または非存在下においてプロテアソームのキモトリプシン(chemotryptic)活性に対するNVP-AEW541(0.5μM)の影響を示す棒グラフである。 IGF-Iの存在下または非存在下におけるNFκB DNA結合活性に対するNVP-AEW541(0.5μM)の影響を示す棒グラフである。 IGF-Iの存在下または非存在下においてHIF-1α DNA結合活性に対するNVP-AEW541(0.5μM)の影響を示す棒グラフである。 NVP-AEW541によるMM細胞におけるIGF-1Rリン酸化の阻害を示す棒グラフである。 NVP-AEW541によるMM細胞におけるAktリン酸化の阻害を示す棒グラフである。 多発性骨髄腫の正所性モデルにおけるNVP-AEW541の影響を示す線グラフである。骨にMM1S-LucNeo疾患が確立されているマウスを、NVP-AEW541 50 mg/kgを1日2回経口投与する処理群(群あたりn=8)または媒体対照に分割した。腫瘍負荷は、毎週インビボにおいて画像化することによって評価した。各動物について、腫瘍負荷はベースライン(治療1日目)と比較して表し、データは平均±SDとして表す。治療15日目には、スチューデントのt-検定によりp=0.04であった。 乳癌細胞の増殖に対するAEW541の影響を示す線グラフである。 AMD3100と併用したAEW541の腫瘍細胞増殖に対する影響を示す線グラフである。 ADW742およびNVP-AEW541の構造および化学式を例示する略図である。

Claims (59)

  1. 細胞障害剤または化学療法剤およびインスリン様増殖因子受容体(IGF-1R)阻害剤を含む組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者において腫瘍細胞増殖を阻害する方法。
  2. 組成物が薬剤と同時に投与される、請求項1記載の方法。
  3. 組成物が薬剤の48時間後以内に投与される、請求項1記載の方法。
  4. 組成物が薬剤の24時間後以内に投与される、請求項1記載の方法。
  5. 組成物が薬剤の12時間後以内に投与される、請求項1記載の方法。
  6. 組成物が薬剤の3時間〜12時間後以内に投与される、請求項1記載の方法。
  7. 組成物が事前に選択された期間にわたって投与される、請求項1記載の方法。
  8. 事前に選択された期間が約1日〜2日である、請求項2記載の方法。
  9. 薬剤の用量が治療量以下である、請求項1記載の方法。
  10. IGF-1R阻害剤の用量が治療量以下である、請求項1記載の方法。
  11. IGF-1R阻害剤の用量が、高血糖、ケトーシスまたは糖尿(glucosurioa)を生ずるのに十分な量である、請求項1記載の方法。
  12. IGF-1R阻害剤が低分子チロシンキナーゼ阻害剤、抗IGF-1R中和抗体またはIGF-1Rアンタゴニストである、請求項1記載の方法。
  13. 低分子チロシンキナーゼ阻害剤がADW-742、NVP-AEW541またはそれらのアナログもしくは異性体である、請求項12記載の方法。
  14. IGF-1R抗体がα-IR3である、請求項12記載の方法。
  15. IGF-1RアンタゴニストがJB-1である、請求項12記載の方法。
  16. 細胞障害剤が放射線療法である、請求項1記載の方法。
  17. 化学療法剤がドキソルビシン、メルファランまたはデキサメサゾンである、請求項1記載の方法。
  18. インスリン様増殖因子の濃度を低下させる化合物を含む第1の組成物およびインスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を含む第2の組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者において腫瘍細胞増殖を阻害する方法。
  19. 濃度が血清濃度である、請求項12記載の方法。
  20. 濃度が腫瘍微環境濃度である、請求項12記載の方法。
  21. IGFが肝臓によって産生される、請求項12記載の方法。
  22. IGFが腫瘍によって産生される、請求項12記載の方法。
  23. 化合物がソマトスタチンまたはそのアナログである、請求項12記載の方法。
  24. 第2の組成物が第1の組成物と同時に投与される、請求項12記載の方法。
  25. 第2の組成物が第1の組成物の48時間後以内に投与される、請求項12記載の方法。
  26. 第2の組成物が第1の組成物の24時間後以内に投与される、請求項12記載の方法。
  27. 第2の組成物が第1の組成物の12時間後以内に投与される、請求項12記載の方法。
  28. 第2の組成物が第1の組成物の3時間〜12時間後以内に投与される、請求項12記載の方法。
  29. IGF-1R阻害剤が低分子チロシンキナーゼ阻害剤、抗IGF-1R中和抗体またはIGF-1Rアンタゴニストである、請求項12記載の方法。
  30. 低分子チロシンキナーゼ阻害剤がADW-742、NVP-AEW541またはそれらのアナログもしくは異性体である、請求項29記載の方法。
  31. IGF-1R抗体がα-IR3である、請求項29記載の方法。
  32. IGF-1RアンタゴニストがJB-1である、請求項29記載の方法。
  33. インスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤および抗糖尿病剤を含む組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者において腫瘍細胞増殖を阻害する方法。
  34. 抗糖尿病剤がインスリンポリペプチド、インスリン感受性エンハンサーおよびインスリン分泌エンハンサーである、請求項30記載の方法。
  35. インスリン感受性エンハンサーがチアゾリジネオジオン(thiazolidineodione)またはビグアニドである、請求項34記載の方法。
  36. インスリン分泌エンハンサーがグルコシダーゼ阻害剤である、請求項34記載の方法。
  37. IGF-1R阻害剤が低分子チロシンキナーゼ阻害剤である、請求項30記載の方法。
  38. 低分子チロシンキナーゼ阻害剤がADW-742、NVP-AEW541またはそれらのアナログもしくは異性体である、請求項37記載の方法。
  39. インスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)の発現または活性を減少させる化合物を含む組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者において腫瘍細胞増殖を阻害する方法。
  40. インスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を含む組成物を被験者に投与する段階をさらに含む、請求項39記載の方法。
  41. 化合物がIGF-1Rの細胞表面発現を減少させる、請求項39記載の方法。
  42. 化合物がIGF-1R siRNAまたはIGF-1Rアンチセンス核酸である、請求項30記載の方法。
  43. 化合物が:
    a. IGF-1Rの細胞内輸送を阻害する;
    b. IGF-1Rの翻訳後修飾を阻害する;
    c. IGF-1Rの分解もしくはユビキチン化を増強する;または
    d. IGF-1Rの正しい3次元構造を乱す、
    請求項30記載の方法。
  44. IGF-1R阻害剤が低分子チロシンキナーゼ阻害剤、抗IGF-1R中和抗体またはIGF-1Rアンタゴニストである、請求項40記載の方法。
  45. 低分子チロシンキナーゼ阻害剤がADW-742、NVP-AEW541またはそれらのアナログもしくは異性体である、請求項44記載の方法。
  46. IGF-1R抗体がα-IR3である、請求項44記載の方法。
  47. IGF-1RアンタゴニストがJB-1である、請求項44記載の方法。
  48. 組織にインスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を接触させる段階を含む、組織における血管形成を減少させる方法。
  49. 組織が腫瘍組織である、請求項48記載の方法。
  50. IGF-1R阻害剤が低分子チロシンキナーゼ阻害剤、抗IGF-1R中和抗体またはIGF-1Rアンタゴニストである、請求項48記載の方法。
  51. 低分子チロシンキナーゼ阻害剤がNVP-ADW-742、NVP-AEW541またはそれらのアナログもしくは異性体である、請求項50記載の方法。
  52. IGF-1R抗体がα-IR3である、請求項50記載の方法。
  53. IGF-1RアンタゴニストがJB-1である、請求項50記載の方法。
  54. 細胞にインスリン様増殖因子受容体-1(IGF-1R)阻害剤を接触させる段階を含む、細胞のアポトーシスを誘導する方法。
  55. 細胞が腫瘍細胞である、請求項54記載の方法。
  56. IGF-1R阻害剤が低分子チロシンキナーゼ阻害剤、抗IGF-1R中和抗体またはIGF-1Rアンタゴニストである、請求項54記載の方法。
  57. 低分子チロシンキナーゼ阻害剤がADW-742、NVP-AEW541またはそれらのアナログもしくは異性体である、請求項56記載の方法。
  58. IGF-1R抗体がα-IR3である、請求項56記載の方法。
  59. IGF-1RアンタゴニストがJB-1である、請求項56記載の方法。
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