JP2007523355A - 微細流体素子及びそれを備えた診断及び分析装置 - Google Patents
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Abstract
前記微細流体が流動する第1断面と所定区間の長さとを有する流入部と、前記流入部に隣接するように配置されて、前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記流入部でさらに界面の曲率が低下して、流動速度が減少するように前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、前記流動遅延部に隣接するように配置されて、前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より断面積の小さい第3断面を有する所定区間の長さを有する流動回復部と、を備えることを特徴とする微細流体素子を提供する。これによって、毛細管力による自然的な流動で、流路の形状設計を通じて追加的な操作及びエネルギーを必要とせずに、極少量の流体の流れを定量的に調節でき、かつ製作が容易であり、使用が単純となる。
Description
本発明は、微細流体素子及びそれを備えた診断及び分析装置に係り、さらに詳細には、毛細管力による自然的な毛細管の流動で極少量の流体の流れを定量的に調節できる微細流体素子及びそれを備えた診断及び分析装置に関する。
極少量の流体を移送及び制御する流動発生及び制御に関する微細流体技術は、診断及び分析装置の駆動を可能にする核心的な技術であって、このような技術は、多様な駆動原理で具現され得る。そのうち、流体注入部分に圧力を加える圧力駆動方式、微細流路間に電圧を印加して流体を移送する電気泳動法や電気浸透圧法、そして毛細管力を利用した毛細管流動方式などが主である。
人為的な圧力による圧力駆動方式の微細流体素子の代表的な例として、 特許文献1があるが、特許文献1は、疏水性の流体素子で流路断面積の調節、流路の疏水性の調節などの受動型バルブを利用した流体回路素子を開示している。また、その他にも、特許文献2は、圧力勾配を有する流路を設計して、複数の流路で流体を均一に分配する微細流体素子を開示している。
一方、毛細管流動方式は、微細流路から自然的に発生する毛細管現象を利用するので、追加的な装置なしに流体注入部分に置かれた極少量の流体が自然的かつ即刻に与えられた流路に沿って移動する長所を有する。したがって、現在、これを活用した微細流体システムの設計に関する研究が活発に行われている。特許文献3は、多孔性の物質を使用せずとも、微細流路での自然的な毛細管の流動のみを利用して試料を移送し、試料の反応を誘発して光学的な方法で試料内の特定の物質を検出する診断用のバイオチップを開示している。そして、 特許文献4は、診断装置から離れた二つの地点の間に、試料の移送のために六角形の柱を適切に配列して毛細管力を発生させる装置を開示している。
ところが、従来の微細流体素子及びそれを備えた診断及び分析装置においては、診断及び分析装置で全体的な所要時間を最小化しつつも、試料間の反応のための十分な反応時間を提供するために、反応が起こる区間に試料が到達した特定の時点でのみ流動速度を減少させるか、または反応の選別性のための洗浄効果のために、特定の時点でのみ流動速度を上昇させる形態の流路の設計が重要であるにもかかわらず、このような技術についての研究がほとんどされていないという問題点があった。このような問題点を考慮して、界面張力を部分的に強化または弱化させるか、または毛細管壁面の表面エネルギーを部分的に変化させて平衡接触角を変える方法などが考えられるが、このような方法は、追加装置や追加作業を必要とするという問題点がある。
米国特許第6296020号明細書
米国特許第6637463号明細書
米国特許第6271040号明細書
米国特許第6113855号明細書
本発明の目的は、従来のそのような問題点を解決するために、毛細管力による自然的な流動で、流路の形状設計を通じて追加的な操作及びエネルギーを必要とせずに、極少量の流体の流れを定量的に調節できるだけでなく、製作が容易であり、その使用が単純な微細流体素子及びそれを備えた診断及び分析装置を提供することである。
前記目的は、本発明によって、微細流体が流動する微細流路を有する微細流体素子において、前記微細流体が流動する第1断面と所定区間の長さとを有する流入部と、前記流入部に隣接するように配置されて、前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記流入部でさらに界面の曲率が低下して、流動速度が減少するように前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、前記流動遅延部に隣接するように配置されて、前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より断面積の小さい第3断面を有する所定区間の長さを有する流動回復部と、を備えることを特徴とする微細流体素子により達成される。
ここで、前記流動遅延部の前記所定区間の長さは、前記流動遅延部の幅より短いことが望ましい。
そして、前記流入部の第1断面、前記流動遅延部の第2断面、そして前記流動回復部の第3断面は、各区間の長さで各断面積がそれぞれ一定に維持されるように構成できる。
また、前記流入部の前記長手方向の壁部と前記流動遅延部の長手方向の横方向の壁部とがなす角度は、45°ないし90°であることが望ましい。
そして、前記第2断面は、前記第1断面と、高さは同じであるが、幅を広く構成してもよいが、前記第2断面の幅を、前記第1断面の幅より3倍広く構成してもよい。
また、前記第2断面は、前記第1断面と、幅は同じであるが、高さを高く構成してもよいが、前記第2断面の高さは、前記第1断面の高さより2倍高く、前記第2断面及び前記第1断面の上面は、同一平面にあるように構成できる。
そして、前記第1断面と前記第3断面とは同じであることが望ましい。
また、前記流動回復部から排出される微細流体が流動する第4断面を有する流入部と、前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記第4断面から前記第4断面より大きい面積を有する第5断面まで所定の長さを持って次第に拡張される断面拡張部と、前記第5断面と実質的に同じ断面を有する流動加速部と、をさらに備えるように構成してもよい。
そして、前記流動加速部は、内部に前記微細流体が流動する長手方向の横側に所定間隔を空いて前記長手方向に沿って整列されて、内部に複数の流路を形成する少なくとも一つの加速壁を有することが望ましい。
また、前記断面拡張部から前記流動加速部へ流入される前記微細液体が前記複数の流路に分離されて流動するように、前記加速壁の前記断面拡張部側の端部がとがっていることが望ましい。
そして、前記加速壁は、前記流動加速部の長手方向に長く形成された薄板であることが望ましい。
また、前記流動加速部の流路の表面は、親水性処理が行われたことが望ましい。
そして、前記流入部は、前記微細流体が内部に存在する固定抗体と反応する検出部と連結された流路でありうる。
また、本発明によれば、前述した微細流体素子を備えた診断及び分析装置が提供される。
一方、本発明の目的は、微細流体が流動する微細流路を有する微細流体素子を備えた診断及び分析装置において、前記微細流体が流動する主流路と、前記主流路と連結されて、前記主流路から流入される微細流体を複数の前記微細流体素子に分岐する複数の分岐調節路と、を備え、前記各分岐調節路は、前記主流路に連結され、前記主流路の断面積より小さい断面積の第1断面を有する副流路と、前記副流路に連結されて、前記副流路から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記副流路でさらに界面の曲率が低下して、流動速度が低下するように前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より小さい第3断面を有する流動回復部と、を備えることを特徴とする微細流体素子を備えた診断及び分析装置によっても達成される。
ここで、前記主流路内を流動する前記微細流体が、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内の前記微細流体の流動方向の上流にある前記副流路の断面積が、前記微細流体の流動方向の下流にある前記副流路の断面積より大きいことが望ましい。
そして、前記主流路内を流動する前記微細流体が、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内の前記微細流体の流動方向の上流にある前記分岐調節路の数が、前記微細流体の流動方向の下流にある前記分岐調節路の数より多いことが望ましい。
また、前記主流路内を流動する前記微細流体が、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内の前記微細流体の流動方向の上流にある前記副流路の所定区間の長さが、前記微細流体の流動方向の下流にある前記副流路の所定区間の長さより長いことが望ましい。
そして、前記主流路内を流動する前記微細流体が進行するにつれて毛細管力が向上して、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内には、長手方向に沿って配置される少なくとも一つの加速壁が設置されることが望ましい。
また、前記微細流体素子と連結された排出微細流路と、前記排出微細流路と連結されて前記排出微細流路の末端で前記微細流体を停止させる流動停止路と、前記各流動停止路に連結されて、前記各微細流体素子の内部に存在する空気を前記排出微細流路を通じて外部に排出する排出管路と、をさらに備えるように構成できる。
そして、前記各微細流体素子は、前記副流路から排出される微細流体が流動する第1断面と所定区間の長さとを有する流入部と、前記流入部に隣接するように配置されて、前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記流入部でさらに界面の曲率が低下して流動速度が低下するように、前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、前記流動遅延部に隣接するように配置されて、前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より小さい第3断面を有する所定区間の長さを有する流動回復部と、を備えることが望ましい。
また、前記各微細流体素子は、前記流動回復部から排出される微細流体が流動する第4断面を有する流入路と、前記流入路から排出される微細流体が流入され、前記第4断面から前記第4断面より大きい面積を有する第5断面まで所定区間の長さを有して次第に拡張される断面拡張部と、前記第5断面と実質的に同じ断面を有する流動加速部と、をさらに備えることが望ましい。
ここで、前記流入路は、前記流動回復部から流入された微細流体が、内部に存在する固定抗体と反応する検出部と連結された流路でありうる。
以下では、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。
本発明は、毛細管効果で、流れる流体の速度を特定の領域で効果的に低下あるいは上昇させるものであって、まず、毛細管流動の根本的な原因である界面での圧力差及び接触角の現象についてのモデル方程式を整理し、これを利用した流動を遅延させる流動遅延モジュール及び流動加速モジュールの設計原理を説明する。
毛細管流動の発生は、気体−液体の界面で発生する圧力の不連続的な変化に起因し、界面が曲率を有して曲がった場合に発現される。界面曲率の原因は、気体−液体の界面と固体の壁面とが出合う三重点で、界面と壁面とがなす接触角(θ)である。一般的に、接触角は、壁面と界面とがなす液体方向への角度で定義するが、壁面が気体より液体とさらに親密な場合、0<θ<π/2であり、逆の場合、π/2<θ<πとして与えられる。流体が流れる流路の断面が直方形である場合についての管のコーナー効果を無視すれば、流動効果を除外した圧力の変化量は次のように表現できる。
図1は、一般的な微細流路の概略図であって、これに示すように、一般的な微細流路は、数十から数百μmの深さ及び幅を有するように製作される。数式1で、深さをb、幅をcで表現し、大部分の場合、b<cの条件で製作される。したがって、ΔPの発生に対する寄与によって、bを1次長さ、cを2次長さと言える。界面で発生した圧力の変化は、界面の位置(a)と結びつき、ΔP/aの圧力勾配を発生させ、これは、流体の動きを形成する。発生した流動は、層流の領域に含まれ、圧力勾配項及び流路壁面による抵抗力項(Π)と流速(v)は、次の関係を有する。
流動通過の断面積が直方形である場合、抵抗力項は、図1の1次長さ(b)及び2次長さ(c)について次のように与えられる。
疑似正常状態を過程すれば、界面の位置についての次の常微分方程式が得られる。
図1のように、流動通過の断面積が直方形であり、一定の場合、界面位置、流動速度及び圧力分布に関する理論解が得られる。図2で、2b=50μm、2c=200μm、γ=0.07N/m、θ=π/3である場合に、毛細管流動の圧力分布の経時変化を表した。図2で、圧力の傾斜が負数である区間が液状領域であり、圧力の変化のない区間が気体状領域であり、傾斜が突然変わる地点が界面の位置に該当する。液状領域の圧力の変化に反応して発生した流動は、界面の位置を移動させ、界面の位置が移動すると、圧力変化の傾斜は少しずつ緩慢になり、したがって、界面の移動速度は経時的に低下する。
本発明の流動遅延モデルを構成する核心的なアイディアは、ΔPを減少させる方法であって、1次長さあるいは2次長さに対して壁面に屈曲を与えることによって、界面の曲率を効果的に調節して流動を特定の領域で遅延させることである。図3は、界面の曲率変化を考慮した流動遅延モデルの概念図であって、図3に示すように、半球形の界面の場合、界面で発生する圧力(ΔP)の原因となる界面の曲率は、界面と壁面とが出合う接触地点で、界面に接する直線と界面の前進方向(ei)とがなす角度のコサイン値に比例する。このとき、壁面の形状が一定の単純直線型の壁面である場合、界面と壁面とがなす接触角(θ)と一致する。界面の曲率を変化させる方法、すなわち、接触地点で、界面に接する直線と界面の前進方向(ei)とがなす角度を変化させる方法は、図3で、δθwに変化を与える方法と、δθiに変化を与える方法とに分けて考えられる。このとき、δθiを変化させる方法は、壁面の構成物質の熱力学的な状態を変化させるものであるので、このために、流路の設計時に特定の壁面に対する追加的な作業を行わねばならない。これに対し、壁面に屈曲を与えて、δθwに変化を与えることは、フォトリソグラフィーなどの技術を利用して製作すれば、追加作業が不要である。また、δθiを通じた界面の曲率変化は、壁面の物性に関係する制限的な範囲でのみ可能である一方、δθwを通じた界面の曲率変化は、さらに広範な範囲で可能である。本発明では、後者の方法を採択した。
図4Aは、本発明の第1実施形態に係る流動遅延モデルの微細流体素子の簡略図であり、図4Bは、本発明の第2実施形態に係る流動遅延モデルの微細流体素子の簡略図である。本発明の第1実施形態に係る流動遅延モデルの微細流体素子は、微細流路の2次長さを変化させた壁面の屈曲を有する流動遅延モデルであり、本発明の第2実施形態に係る流動遅延モデルの微細流体素子は、微細流路の1次長さを変化させた壁面の屈曲を有する流動遅延モデルである。図4A及び図4Bに示すように、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る微細流体素子10、10aは、微細流体が流動する第1断面と所定区間の長さとを有する流入部11、11aと、流入部11、11aに隣接するように配置されて、流入部11、11aから排出される微細流体が流入され、微細流体が毛細管力による流動時に流入部11、11aでより界面の曲率が低下して、流動の速度が低下するように第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部13、13aと、流動遅延部13、13aに隣接するように配置されて、流動遅延部13、13aから排出される微細流体が流入され、流動遅延部13、13aの第2断面より断面積の小さい第3断面と所定区間の長さとを有する流動回復部15、15aと、を有する。
供給された毛細管の流動は、流入部11、11aと流動遅延部13、13aとの境界領域の遅延境界領域12、12aで流動遅延効果を発生し、遅延境界領域12、12aを通過する間、遅延効果は持続される。遅延境界領域12、12aを通過した毛細管の流動は、流動遅延部13、13aを通過し、流動遅延部13、13aと流動回復部15、15aとの間の境界領域である回復境界領域14、14aと接しつつ、界面の曲率が上昇して、以前の流速を回復する。次第に回復される流速は、流動回復部15、15aに移送されつつ、以前の流速で回復されて流動を持続する。
本実施形態では、壁面の屈曲が終わる位置に該当する流動回復部15、15aにおいて、流体が通過する断面積が流入部11、11aと同じく設計された。これにより、特定の位置、特定の時間に流動を一時的に遅延させる流動遅延モデルの目的に合わせて、流動遅延モデルを通過した毛細管の流動は通過前の速度で回復される。上記で強調したように、このような流動遅延効果は、壁面の角度の変化を通じて調節できる。
図4A及び図4Bに例示したように、屈曲が直角である場合、流動が完全に停止することを防止するために、流体を取り囲んだ四面のうち、少なくとも1面以上で平面を維持して初めて毛細管流動を持続させうる。一方、一般的に、流動遅延部13、13aの区間の長さは、流動遅延部13、13aの幅より短くて初めて流動を持続させうるので、一般的に流動遅延部13、13aの区間の長さが幅より短く構成される。また、流入部11、11aの第1断面、流動遅延部13、13aの第2断面、流動回復部15、15aの第3断面は、各区間の長さで各断面積が次第に変わるように構成してもよいが、本実施形態では、各区間の長さでそれぞれ一定に維持されるように構成されている。そして、流入部11、11aの長手方向の壁部と、流動遅延部13、13aの長手方向の横方向の壁部とがなす角度は90°に構成され、第1実施形態で第2断面は、第1断面と高さは同じであるが、第2断面の幅が第1断面の幅より約3倍さらに広く、第2実施形態では、第2断面が第1断面と幅は同じであるが、第2断面の高さが第1断面の高さより2倍さらに高いが、第2断面及び第1断面の上面は、同一平面にあるように構成されている。
特に、図4Bの1次長さを変化させた壁面屈曲の場合、一面にのみ屈曲を与え、残りの三面に平面を維持させたが、壁面が十分に親水性を確保して初めて持続的な毛細管の流動を保障できる。したがって、持続的な毛細管の流動を保障するためには、図4Aのように、2次長さのみ変化させて壁面の屈曲を形成し、1次長さは維持して、流動遅延部を製作することが必要である。各領域のサイズを調節すれば、流動遅延効果を制御できるが、遅延境界領域12、12aが長く持続される場合、流動通過の断面積の拡大の影響によって、流動遅延の効果が大きくなる。したがって、壁面の屈曲を形成するとき、流動遅延区間の長さを短くする代わりに、屈曲を周期的に形成させて、流動の遅延効果を反復的に発生させることが有利である。すなわち、流動遅延モデルの設計時に、壁面に大きい屈曲を与えるより、小さい屈曲を反復的に形成し、全体的な屈曲の数で流動遅延の定量的な効果を生成することが有利である。
図4Cは、本発明の第3実施形態に係る微細流体素子の簡略図であって、本発明の第3実施形態に係る微細流体素子は、二つの流動遅延モデルが連続的に連結されたものであって、第1実施形態に対応する構成要素には、‘b’が付加されて指示される。したがって、流入部11bから供給された毛細管の流動は、第1流動遅延モデル16によって流動が遅延された後、再び第2流動遅延モデル17によって流動が遅延される。このとき、第1流動遅延モデル16の流動回復部15bは、第2流動遅延モデル17の流入部となる。このように、流動遅延モデル16、17を連続的に連結することによって、連結された流動遅延モデルの個数で流動遅延効果を調節する。
図4Dは、本発明の第4実施形態に係る微細流体素子の簡略図であって、本発明の第4実施形態に係る微細流体素子は、図4Bに示す流動遅延モデルが、2行2列の形態に配列されているものであり、第1実施形態に対応する構成要素には、‘c’が付加されて指示される。各流動遅延モデルは、図4Dに示すように、六面体であるか、または円柱などの多様な形状が可能であり、各流動遅延モデルのサイズ、間隔、個数を調節することによって、流動遅延の効果を調節できる。
図5Aないし図5Fは、本発明のさらに他の実施形態に係る微細流体素子の多様な形状の断面を示す図面である。四角形の微細流路に対して、遅延境界領域、流動遅延部及び回復境界領域の形状及び寸法を変化させることによって流動遅延の効果を調節する。図5Aの流動遅延モデルは、前述した第1実施形態ないし第3実施形態の図4Aないし図4Cのように、流入部の両壁面に遅延境界領域が垂直に連結された場合であり、流動遅延部の形状は四角形である。それに対し、図5Bの流動遅延モデルは、流入部の一壁面に遅延境界領域が垂直に連結されているので、流入部へ供給された毛細管の流動が遅延境界領域では遅延されるが、対向した壁面へは流動の流れを妨害せず、図5Aの流動遅延モデルに比べて遅延効果が低い。図5Cの流動遅延モデルは、流入部の一壁面に遅延境界領域が連結されており、流入部と遅延境界領域とがなす角度が鋭角である場合であり、流動遅延モデルの形状は台形である。流入部と遅延境界領域とがなす角度が鋭角であるため、図5Bの流動遅延モデルに比べて遅延効果が優れている。図5Dないし図5Fの流動遅延モデルは、図5Aないし図5Cの流動遅延モデルで流動遅延部の幅が狭い場合である。すなわち、流動遅延部の拡張した断面積が、図5Aないし図5Cより縮小した場合であり、図5Aないし図5Cの流動遅延モデルとそれぞれ比較したとき、拡張した断面積が縮小した図5Dないし図5Fの流動遅延モデルの流動遅延の効果が低い。
図6は、凹状に形成されたパターンが含まれた第1プレートを平坦な第2プレートに接合して製作した図5Aの流動遅延モデルについての実施形態である。さらに詳細には、流動遅延モデルと対応する形状を含む凸状の鋳型板を製作した後、PDMS(polydimethylsiloxane)を鋳型板にキャスティングして、凹状のパターンが含まれた第1プレートを製作する。製作された第1プレートに、外部から流体を注入できる入口及び外部に流体が排出され得る出口のための穴を開ける。第1プレート及びPMMA(polymethylmethacrylate)からなる第2プレートの表面を処理して親水性を調節した後、第2プレート及び第1プレートを接合する。表面処理以後、第1プレートは、水の接触角が56°であり、PMMAからなる第2プレートの水の接触角は、75°である。
超純水にProcion Red MX−5B(Aldrich Chemical Company,Inc.)発色剤を溶解させて製作された流動遅延モデルに供給する。前述したように、流動遅延モデルに供給された流体は、それぞれの流動遅延モデルを通過しつつ遅延の効果を発生させる。図6のように、流動遅延モデルの流入部を通過して遅延境界領域に到達した流体は、流速が顕著に低下する(図6.開始)。流体は、遅延境界領域を通過する間に遅延効果を維持し(図6.1分40秒、2分7.57秒)回復境界領域14、14aを接しつつ遅延効果を喪失し、流入部での流動に回復される(図6.2分7.60秒、2分7.63秒)。このとき、回復境界領域14、14aを通過して流動回復部に移送された流体を見れば、図6の2分7.63秒から2分13秒に、時間が0.5秒かかった。これを流動遅延部での遅延時間、2分7.57秒と比較すると、流動遅延部の効果を確認することができる。
図6の流動遅延モデルでは、流体が流動遅延部を通過せずに回復境界領域に移動して、屈曲内に空気が捕獲された。一般的には、捕獲された空気が流動に影響を与えないが、図5Dのような流動遅延モデルの場合、空気は捕獲されない。
本発明のさらに他の主な目的は、特定の領域で毛細管流動の流速を上昇させる流動加速モデルを提供することである。数式2から分かるように、界面の位置(a)が減少するにつれて、毛細管流動の速度は増大する。したがって、ΔPが固定された場合、界面の移動速度は、経時的に低下して、これを再び加速させる方法は、aが増大するのに合わせて、ΔPを増大させる方法以外にはないが、これを具現する方法は、非常に制限的である。しかし、診断装置の流路設計で、界面の移動速度ではない流路内部の特定の位置の速度を加速させることが必要である場合、本発明で開発した流動加速モデルは、強力な効果を発揮する。本発明で活用した流動関係式は、流体が通過する断面が異なる二つの流路が連結された場合についての、次の質量保存式である。
数式5でV1は、加速させようとする領域(D1)の速度であり、V2は、界面が位置する領域(D2)の流動速度に該当する。数式5で、V1を増大させる方法は、V2を増大させるか、または毛細管1次長さの比(b2/b1)あるいは2次長さの比(c2/c1)を増大させるということであると分かる。このとき、V2は、数式2の支配を受ける変数であるので、これを増大させることは非常に制限的であるが、毛細管1次あるいは2次長さの比は、相対的に非常に自由に変化させうる。本発明の流動加速モデル設計の特徴は、V1に対するb2/b1あるいはc2/c1の影響に注目した点である。
図7Aは、毛細管の1次長さは一定に維持し、2次長さの比を増大させた場合の流動加速モデルの概略図である。毛細管の1次長さを一定に維持した理由は、界面の位置が2次長さの増大領域に移動する瞬間に、界面が経験する流動遅延の効果を最小化するためである。このときに留意せねばならない点は、c2/c1の増加によって界面での毛細管の圧力が低下し、これは、流速減少の効果を誘発するということである。本発明では、これについての対策として、界面が位置した領域に内部壁を挿入した流動加速モデルを設計し、これを図7Bに例示した。このとき、図7Bで挿入された内部壁の個数の増加は、ΔPの増加効果によって流速を上昇させるが、所定数以上の個数で挿入された内部壁は、壁面の抵抗力を向上させるので流速を減少させる。言い換えれば、挿入する内部壁の厚さ別にV1を最大化できる最適の壁数が存在する。このとき、数式5を利用すれば、挿入する壁の厚さによって壁の最適の数を理論的に予測できる。
図8Aで、a1=2000μm、2b1=50μm、2c1=200μm、2b2=50μm、2c2=2000μm、γ=0.07N/m、θ=π/3である場合の圧力分布の経時変化を表した。すなわち、単純直線流路に対する図2の計算条件がa1=2000μmまで維持され、毛細管2次長手方向に10倍長さが増加した条件に該当する。図8Aで、流体通過断面積の小さい領域(D1)で圧力は急変し、断面積の大きい領域(D2)で緩やかな傾斜を有して変わるということが確認できる。二つの領域(D1、D2)の圧力変化の傾斜の比は、流体通過断面積の比及び抵抗力項の比に反比例する。図8Aの計算条件は、抵抗力項の変化は相対的に少ない場合に該当するので、圧力変化の傾斜の比は、約10:1として与えられる。二つの領域の速度比は、面積比に反比例するので、断面積の小さい領域(D1)の速度は、断面積の大きい領域(D2)の速度の10倍を維持する。図2の結果と比較すると、図8Aの条件で流体通過断面積の拡大によって界面圧力の大きさが小さくなり、D2で圧力変化の傾斜は緩やかになったが、むしろD1では、圧力変化の傾斜が急増したということが確認できる。
図8Bは、領域別速度の経時変化の結果である。図面で点線の部分は、流体通過断面積の変化のない図2の条件についての計算結果であり、実線の部分は、断面積を10倍に拡大した図8Aの条件についての結果である。したがって、断面積の拡大は、界面の移動速度(V2)を低下させるが、D1での速度(V1)は、相対的に大きい値に維持させる効果をもたらすことが分かる。すなわち、毛細管の流動で流動通過断面積の拡大効果は、小さい断面積領域の速度の低下を抑制するものであると言える。
図8Cは、流動加速モデルの内部に壁を挿入して界面圧力を上昇させた場合に対する、D1領域の速度の経時変化の結果を図すグラフである。計算条件は、図8Aの場合と同じであり、D2領域に10μmの厚さの内部壁面がn個挿入された。図8Cで、内部壁の挿入は、界面発生の圧力を上昇させて、D1領域の速度(V1)を上昇させるということが確認できる。内部壁を過度に挿入する場合、壁面の抵抗力が向上するので、毛細管の流動速度が低下する。図8Cに示すように、内部壁20個の挿入は、あらゆる時間区間の速度を上昇させるが、内部壁を40個挿入する場合、流動加速モデルに界面が進入した初期の速度は上昇するが、内部壁面の抵抗力の向上によって速度は急減少して、t=1[s]での速度は、内部壁のない場合よりさらに低い値を有する。
本発明では、使用した数式モデルを使用すると、所定の条件で挿入する内部壁の数の最適値を計算でき、これについての結果を図8Dに示した。使用された計算条件は、図8Cの場合と同じであり、t=1[s]の結果に該当する。図8Dで内部壁面の厚さ別にV1を最大化できる最適の壁面の数が存在し、挿入された壁面が薄いほど、流速上昇の効果は大きくなるということが確認できる。本発明の理論結果から、可能なかぎり薄い内部壁の挿入は、界面圧力の発生量を増加させると共に、内部抵抗力を最小化するので、流動の加速に最も効果的であるということが分かる。但し、製作方法によって薄い壁の製作が制限されるので、本発明では、実際の微細流路の製作の容易性などを共に考慮して流動加速モデルを設計した。
図9Aは、本発明の第1実施形態に係る流動加速モデルの微細流体素子の概略図であって、図9Aに示すように、本発明に係る流動加速モジュールの微細流体素子20は、微細流体が流動する第1断面を有する流入部21と、流入部21から排出される微細流体が流入され、第1断面から第1断面より大きい面積を有する第2断面まで所定の長さを持って次第に拡張される断面拡張部22と、第2断面と実質的に同じ断面を有し、その内部に微細流体が流動する長手方向の横側に所定の間隔を空いて長手方向に沿って整列されて、内部に複数の流路を形成する少なくとも一つの加速壁24を有する流動加速部23と、を備える。
ここで、断面拡張部22の微細液体が複数の流路に分離されて流動するように、加速壁24の断面拡張部22側の先端部25はとがった形状を有し、毛細管力を向上させるための加速壁24は、流動加速部23の長手方向に長く形成された薄板である。そして、加速壁24によって流動加速部23は、少なくとも二つ以上の加速流路26を形成する。一方、流動加速部23の流路の表面に親水性処理を行える。
このような構成で流入部21に供給された毛細管の流動は、断面拡張部22を通じて複数の加速流路26に移送される。一つの加速流路は、断面積が小さいため、毛細管力が大きく、複数の加速流路を配列することによって、全体流動が移動する断面積は大きくなり、かつ細管力が増大する。したがって、断面拡張部22から加速流路26に移送された流動は、加速流路26のない場合に比べて流速が増大し、これは、流入部21の流速を顕著に上昇させる。
一方、毛細管の流動に対する抵抗力を最小化するために、挿入された加速壁24は薄いほど良く、断面拡張部22と加速流路26とが連結される地点での壁の先端部25は、とがった三角形の形状を維持することが効果的である。また、毛細管の流動に抵抗を与えないために、流入部21と断面拡張部22とが連結される地点、断面拡張部22と加速流路26とが連結される地点は、曲線に製作する。
図9B及び図9Cは、毛細管力を増大させるために、多様な形状の構造物を備える本発明の第2実施形態及び第3実施形態に係る流動加速モデルの概略図である。図9Aの第1実施形態に対応する構成要素には、それぞれ‘a’及び‘b’が付加されて指示されるが、これらの図面に示すように、図9Aの加速壁24に代えて円形や四角形などの多様な構造物を挿入することによって、流動加速モデルの毛細管力を増大させる。このとき、構造物は、流路の底面から上面まで連結される柱状であるか、または流路の底面から上面の高さまでの適切な高さを選択して製作できる。
図10は、本発明に係る流動遅延モデル及び流動加速モデルを応用した本発明の第1実施形態に係る診断及び分析装置の概略図であって、本発明の第1実施形態に係る診断及び分析装置1は、外部で診断しようとする試料が供給される試料導入部101と、反応部102と、流動遅延モデル110、111と、検出部103と、流動加速モデル120と、を備える。
反応部102には、検出抗体と蛍光発色剤との結合体が予め含まれ、検出部103には、固定抗体が予め表面に固定される。診断及び分析装置1の試料導入部101を通じて供給された試料は、微細流路を通じて反応部102に移送される。反応部102では、試料内の抗原が検出抗体及び蛍光発色剤と反応して、抗原−抗体−蛍光発色剤結合体を構成する。この時反応時間を確保するために流動遅延モデル110、111が導入されて、流動遅延モデル110、111の設計によって反応部102での反応時間を調節できる。反応部102にあらかじめ含まれた検出抗体−蛍光発色剤結合体は、この装置に固定されていないために、反応部102での抗原−抗体−蛍光発色剤の結合体は、微細流路を通じて検出部103に移送される。検出部103には、固定抗体が表面に固定されており、抗原−抗体−蛍光発色剤の結合体が、検出部103の固定抗体と反応して検出部103に固定される。このとき、流動遅延モデル110、111を利用して検出部103の反応時間を調節する。検出部103での反応が完了した後、試料は、流動加速モデル120に移動する。流動加速モデル120の作用によって流動加速モデル120以前の微細流路にある試料の流速が増加し、これにより、検出部103に存在する不要な物質や非特異的に結びついた抗原−抗体−蛍光発色剤の結合体が除去される。
本発明のさらに他の目的は、前述した流動遅延技術を利用して、極少量の流体を複数の微細流体素子に均一に分岐させる流動分岐モデルを提供することである。前述したように、微細流路に屈曲を挿入して毛細管の流動を定量的に遅延させうる。したがって、一つの流体を複数の微細流路に分岐するとき、流体が供給された地点から近いほど微細流路に分岐される流動の遅延時間を延長させれば、それぞれの微細流路に分岐される流動を均一に調節できる。
図11は、流動遅延モデルを利用した流動分岐モデルを備えた本発明の第2実施形態に係る診断及び分析装置1aの概略図であって、図11に示すように、微細流体が流動する微細流路を有する微細流体素子を備えた診断及び分析装置1aは、微細流体が流動する主流路30と、主流路30と連結されて主流路30から流入される微細流体を複数の微細流体素子に分岐する複数の分岐調節路40と、を備える。ここで、各分岐調節路40は、主流路30に連結されて主流路30の断面積よりさらに小さい断面積の第1断面を有する副流路41と、副流路41に連結されて副流路41から排出される微細流体が流入されて、微細流体が毛細管力による流動時に副流路41でさらに界面の曲率が低下して流動速度が低下するように第1断面よりさらに大きい面積を有する第2断面を有し、微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部42と、流動遅延部42から排出される微細流体が流入され、流動遅延部42の第2断面より断面積が小さい第3断面を有する流動回復部43と、を備える。
このような構成によって、他の微細流体素子や外部から流入部31を通じて供給された流体は、主流路30に移送される。主流路30に移送された流体は、主流路30に連結されたそれぞれの分岐調節路40に順次に分岐され、流動遅延モデルに基づいて構成された分岐調節路40を通じて、微細流体素子210に流体が移送される。このとき、分岐調節路40は、流入部31から離れるほど遅延効果が大きいため、主流路30を通じて流体が排出部32に到達したとき、それぞれの副流路41に供給された流体は、ほぼ同時に対応する微細流体素子210に移送される。したがって、本流動分岐モデルを使用して、流入部31でから流入された一つの流体を複数の微細流路に均一に分岐する。すなわち、本実施形態では、主流路30内を流動する微細流体が、各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、主流路30内の微細流体の流動方向の上流にある分岐調節路の数が、微細流体の流動方向の下流にある分岐調節路の数よりさらに多く構成されている。しかし、主流路30内を流動する微細流体が、各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、主流路30内の微細流体の流動方向の上流にある副流路41の断面積が、微細流体の流動方向の下流にある副流路41の断面積よりさらに大きく構成してもよいということは言うまでもなく、また、主流路30内の微細流体の流動方向の上流にある副流路41の所定区間の長さが、微細流体の流動方向の下流にある副流路41の所定区間の長さよりさらに長く構成できるということは言うまでもない。また、主流路30内を流動する微細流体が進行するにつれて、毛細管力が向上して各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、主流路30内には長手方向に沿って配置される少なくとも一つの加速壁を設置できるということは言うまでもない。
図12は、本発明の流動遅延モデル、流動加速モデル及び流動分岐モデルを利用した本発明の第3実施形態に係る多重診断及び分析装置の概略図であって、本発明の第3実施形態に係る診断及び分析装置1bは、試料が供給される試料導入部301と、主流路330と、主流路330に連結された副流路341と、微細流体素子に該当する診断ユニット310と、診断ユニット310と連結された排出微細流路50と、副流路341と診断ユニット310との間に位置する流動遅延モデル320と、排出微細流路50と連結されて排出微細流路50の末端で微細流体を停止させる流動停止路60と、各流動停止路60に連結されて各微細流体素子の内部に存在する空気を排出微細流路50を通じて外部に排出する排出管路70と、を備える。
ここで、診断ユニット310に該当する各微細流体素子は、流動加速モデルを備え得る。すなわち、副流路341から排出される微細流体が流動する第4断面を有する流入路と、流入路から排出される微細流体が流入され、前記第4断面から前記第4断面積より大きい面積を有する第5断面まで、所定区間の長さを持って次第に拡張される断面拡張部と、第5断面と実質的に同じ断面を有し、その内部に微細流体が流動する長手方向の横側に所定間隔をおいて長手方向に沿って整列されて、内部に複数の流路を形成する少なくとも一つの加速壁を有する流動加速部と、を備えるように構成され得る。
このような構成で、試料導入部301を通じて供給された試料は、主流路330に移送される。主流路330に移送された試料は、副流路341を通じてそれぞれの微細流体素子の診断ユニット310に供給される。流動遅延モデル320から延びた微細流路343は、診断ユニット310の入口311に連結されており、診断ユニット310の出口312は、排出微細流路50に連結されている。このとき、主流路330に移送された試料が主流路330の末端332に到達すれば、それぞれの副流路341に移送された試料が同時に対応する診断ユニット310に達し、複数の診断ユニット310に均一に供給される。一方、診断ユニット310の内部に存在する空気が排出されるように、排出微細流路50には排出管路70が連結されて、空気排出口71を介して外部に空気が抜け出る。このとき、診断ユニット310の試料が排出管路70に流入されることを防止するために、排出微細流路50と排出管路70との間に流動停止路60を挿入する。排出微細流路50の幅が狭く、流動停止路60で断面積が急激に拡張されるため、試料は、流動停止路60で停止する。
一方、複数の診断ユニット310が相異なる微細流体素子に代替されて、一つの流体から多様な機能、例えば、免疫反応、ポリメラーザ連鎖反応(PCR)及びDNA混成化反応などを同時に行える多重微細流体素子の具現が可能である。
本発明で製作される微細流路は、凹状のパターンを含むプレートを平坦に、または凸状または凹状のプレートで覆って形成する。このプレートは、ポリマー、金属、シリコン、ガラス、PCB(Printed Circuit Board)などの多様な素材が可能であり、望ましくは、ポリマー物質を備える。例えば、PMMA(polymethylmethacrylate)、PC(polycarbonate)、COC(cycloolefin copolymer)、PDMS(polydimethylsiloxane)、PA(polyamide)、PE(polyethylene)、PP(polypropylene)、PPE(polyphenylene ether)、PS(polystyrene)、POM(polyoxymethylene)、PEEK(polyetherketone)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PVC(polyvinylchloride)、PVDF(polyvinylidene fluoride)、PBT(polybutyleneterephthalate)、FEP(fluorinated ethylenepropylene)のようなプラスチックをいう。このような物質は、射出成形、ホットエンボシングまたはキャスティングのような鋳型の成形に多く利用されている。特に、このような物質は、一般的に不活性物質であり、かつ製作の容易性、低コスト及び使い捨て性に起因して前記微細流路に望ましい。
本発明によって微細流路を製作する方法は、微細流路と対応する形状の凸状に形成された鋳型板を製作し、鋳型板上に凹状のプレートの型を取った後、それぞれのプレート及び第2プレートの表面の親水性を調節して、凹状のプレートを第2プレートに接合する。
前述した実施形態では、流動加速部に加速壁が設置された場合について説明したが、流動加速部の断面積を流入部より拡張することによって、流入部の流速の上昇を十分に誘導できれば、流動加速部に加速壁を設置しなくてもよいということは言うまでもない。
また、前述した実施形態では、微細流体素子の断面積の形状が四角形である場合について説明したが、これは、例示的なものであって、微細流体素子の断面積の形状は円形など、多様な形状であってもよいということは言うまでもない。
本発明によれば、毛細管力による自然的な流動で、流路の形状設計を通じて追加的な操作及びエネルギーを必要とせずに、極少量の流体の流れを定量的に調節できるだけでなく、製作が容易であり、使用の単純な微細流体素子及びそれを備えた診断及び分析装置が提供される。
Claims (26)
- 微細流体が流動する微細流路を有する微細流体素子において、
前記微細流体が流動する第1断面と所定区間の長さとを有する流入部と、
前記流入部に隣接するように配置されて、前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記流入部でさらに界面の曲率が低下して、流動速度が減少するように前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、
前記流動遅延部に隣接するように配置されて、前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より断面積の小さい第3断面を有する所定区間の長さを有する流動回復部と、を備えることを特徴とする微細流体素子。 - 前記流動遅延部の前記所定区間の長さは、前記流動遅延部の幅より短いことを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。
- 前記流入部の第1断面、前記流動遅延部の第2断面、そして前記流動回復部の第3断面は、各区間の長さで各断面積がそれぞれ一定に維持されることを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。
- 前記流入部の前記長手方向の壁部と前記流動遅延部の長手方向の横方向の壁部とがなす角度は、45°ないし90°であることを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。
- 前記第2断面は、前記第1断面と、高さは同じであるが、幅が広いことを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。
- 前記第2断面の幅は、前記第1断面の幅より3倍広いことを特徴とする請求項5に記載の微細流体素子。
- 前記第2断面は、前記第1断面と、幅は同じであるが、高さが高いことを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。
- 前記第2断面の高さは、前記第1断面の高さより2倍高く、前記第2断面及び前記第1断面の上面は、同一平面にあることを特徴とする請求項7に記載の微細流体素子。
- 前記第1断面と前記第3断面とは、同じであることを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。
- 請求項1に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 前記流動回復部から排出される微細流体が流動する第4断面を有する流入部と、
前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記第4断面から前記第4断面より大きい面積を有する第5断面まで所定の長さを持って次第に拡張される断面拡張部と、
前記第5断面と実質的に同じ断面を有する流動加速部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流体素子。 - 前記流動加速部は、内部に前記微細流体が流動する長手方向の横側に所定間隔を空いて前記長手方向に沿って整列されて、内部に複数の流路を形成する少なくとも一つの加速壁を有することを特徴とする請求項11に記載の微細流体素子。
- 前記断面拡張部から前記流動加速部へ流入される前記微細液体が前記複数の流路に分離されて流動するように、前記加速壁の前記断面拡張部側の端部がとがっていることを特徴とする請求項11に記載の微細流体素子。
- 前記加速壁は、前記流動加速部の長手方向に長く形成された薄板であることを特徴とする請求項11に記載の微細流体素子。
- 前記流動加速部の流路の表面は、親水性処理が行われたことを特徴とする請求項11に記載の微細流体素子。
- 前記流入部は、前記微細流体が内部に存在する固定抗体と反応する検出部と連結された流路であることを特徴とする請求項11に記載の微細流体素子。
- 請求項11に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 微細流体が流動する微細流路を有する微細流体素子を備えた診断及び分析装置において、
前記微細流体が流動する主流路と、
前記主流路と連結されて、前記主流路から流入される微細流体を複数の前記微細流体素子に分岐する複数の分岐調節路と、を備え、
前記各分岐調節路は、
前記主流路に連結され、前記主流路の断面積より小さい断面積の第1断面を有する副流路と、
前記副流路に連結されて、前記副流路から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記副流路でさらに界面の曲率が低下して、流動速度が低下するように前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、
前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より小さい第3断面を有する流動回復部と、を備えることを特徴とする微細流体素子を備えた診断及び分析装置。 - 前記主流路内を流動する前記微細流体が、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内の前記微細流体の流動方向の上流にある前記副流路の断面積が、前記微細流体の流動方向の下流にある前記副流路の断面積より大きいことを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 前記主流路内を流動する前記微細流体が、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内の前記微細流体の流動方向の上流にある前記分岐調節路の数が、前記微細流体の流動方向の下流にある前記分岐調節路の数より多いことを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 前記主流路内を流動する前記微細流体が、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内の前記微細流体の流動方向の上流にある前記副流路の所定区間の長さが、前記微細流体の流動方向の下流にある前記副流路の所定区間の長さより長いことを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 前記主流路内を流動する前記微細流体が進行するにつれて毛細管力が向上して、前記各微細流体素子にほぼ同時に到達するように、前記主流路内には、長手方向に沿って配置される少なくとも一つの加速壁が設置されることを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 前記微細流体素子と連結された排出微細流路と、前記排出微細流路と連結されて前記排出微細流路の末端で前記微細流体を停止させる流動停止路と、前記各流動停止路に連結されて、前記各微細流体素子の内部に存在する空気を前記排出微細流路を通じて外部に排出する排出管路と、をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
- 前記各微細流体素子は、
前記副流路から排出される微細流体が流動する第1断面と所定区間の長さとを有する流入部と、
前記流入部に隣接するように配置されて、前記流入部から排出される微細流体が流入され、前記微細流体が毛細管力による流動時、前記流入部でさらに界面の曲率が低下して流動速度が低下するように、前記第1断面より大きい面積を有する第2断面を有し、前記微細流体が流動する方向に所定区間の長さを有する流動遅延部と、
前記流動遅延部に隣接するように配置されて、前記流動遅延部から排出される微細流体が流入され、前記流動遅延部の第2断面より小さい第3断面を有する所定区間の長さを有する流動回復部と、を備えることを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。 - 前記各微細流体素子は、
前記流動回復部から排出される微細流体が流動する第4断面を有する流入路と、
前記流入路から排出される微細流体が流入され、前記第4断面から前記第4断面より大きい面積を有する第5断面まで所定区間の長さを有して次第に拡張される断面拡張部と、
前記第5断面と実質的に同じ断面を有する流動加速部と、をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。 - 前記流入路は、前記流動回復部から流入された微細流体が、内部に存在する固定抗体と反応する検出部と連結された流路であることを特徴とする請求項25に記載の微細流体素子を備えた診断及び分析装置。
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