JP2007523191A - 血液腫瘍の治療のためのβ−ラパコンの使用 - Google Patents

血液腫瘍の治療のためのβ−ラパコンの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、血液癌および前癌性血液癌症状の治療において有効な薬剤を使用する方法を提供する。さらにまた、本発明は、血液細胞における細胞増殖の阻害剤として作用する能力を有する薬剤を提供する。

Description

発明の詳細な説明
(関連出願の相互参照)
本願は、35 U.S.C.§119(e)の下での、2004年2月20日に出願された米国出願番号第60/545,914号の利益を主張する。
(発明の背景)
リンパ腫および白血病を包含する血液癌は、アメリカ合衆国において主要な癌死亡原因である(“Cancer Facts and Figures 2003,” American Cancer Society)。例えば、非ホジキンリンパ腫はアメリカ合衆国において癌死亡原因の第6位であり、また、症状が非特異的であり、しばしば、感染性病因の作用に起因するために特に油断のならないものである。非ホジキンリンパ腫は、患者の約3分の1だけが治癒することができる。(“Neoplasms of the Hematopoitic System: Non-Hodgkin's Lymphomas,”in Cancer Medicine, 5th Edition, Bast et al. eds., B.C. Decker Inc., Hamilton, Ontario)。さらに、2003年には種々の白血病により約22,000人が死亡したと推定される。(“Cancer Facts and Figures 2003,” American Cancer Society)。
手術および放射線療法は癌が早期に発見された場合には治癒を期待できるが、転移性疾患に関する現行の薬物療法はほとんど対症的であり、めったに長期治療に使用されない。市場に新しく入ってくる化学療法でさえ、患者の生存率の改善は年数ではなく月数で測定されており、一次治療として、ならびに耐性腫瘍の治療における二次および三次治療として、現存する薬剤と組み合わせて有効な新しい薬物が引き続き必要とされている。
癌細胞は本質的には異質である。例えば、単一の組織または細胞型内で、複数の変異「メカニズム」が癌の発生を引き起こすことがある。そのようなものとして、異質性は、しばしば、異なる個体に由来した同一組織の同一タイプの腫瘍に由来する癌細胞間に存在する。いくつかの癌と関連付けられるしばしば見られる変異「メカニズム」は、一の組織型と別の組織型との間で異なることがある(例えば、結腸癌を引き起こすしばしば見られる変異「メカニズム」と、白血病を引き起こすしばしば見られる「メカニズム」とは異なることがある)。したがって、特定の癌が特定の化学療法薬に応答するかどうかを予測するのはしばしば困難である。(Cancer Medicine, 5th Edition, Bast et al. eds., B.C. Decker Inc., Hamilton, Ontario)。
β−ラパコン(β-lapachone)は、限られた数の癌において抗癌活性を有することが報告されている薬剤である。例えば、β−ラパコンの有効量をタキサン誘導体と組み合わせて投与することを含む腫瘍治療のための方法および組成物が報告されている(WO 00/61142)。さらに、米国特許第6,245,807号には、ヒト前立腺疾患の治療において使用するための、β−ラパコン誘導体の中でも特にβ−ラパコンの使用が記載されている。単一薬剤としては、β−ラパコンは、ヒト卵巣癌(Li, C.J. et al., (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(23): 13369-13374)、ヒト前立腺癌(Li, C.J. et al., (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(23): 13369-13374)、ヒト乳癌(Li, C.J. et al., (2000) AACR Proc., p. 9)およびヒト多発性骨髄腫(WO 03/011224)の異種移植マウスモデルにおいて、腫瘍の数を減少させること、腫瘍サイズを縮小させること、または生存期間を延ばすこと、またはこれらの組み合わせも報告されている。
β−ラパコンは、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、限られた数の腫瘍モデルにおいて腫瘍サイズを縮小させることが報告されているが、ある種のヒト血液癌の治療のための有効な薬剤であることは報告されていない。
(発明の概要)
本発明は、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が治療される)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫が治療される)を含む、リンパ腫の治療方法を提供する。
本発明はまた、白血病の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、白血病が治療される)を含む、白血病の治療方法を提供する。
本発明はまた、骨髄腫瘍の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、骨髄腫瘍が治療される)を含む、骨髄腫瘍の治療方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌をβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の有効量と接触させること(ここで、該接触がリンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が治療される)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫が治療される)を含む、リンパ腫の治療方法を提供する。
本発明はまた、白血病の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、白血病が治療される)を含む、白血病の治療方法を提供する。
本発明はまた、骨髄腫瘍の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、骨髄腫瘍が治療される)を含む、骨髄腫瘍の治療方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌をβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の有効量と接触させること(ここで、該接触がリンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体に治療上有効量のa)医薬上許容される担体と組み合わせたβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩およびb)医薬上許容される担体と組み合わせたゲムシタビンまたはその医薬上許容される塩を投与すること(ここで、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が治療される)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、肺癌細胞を有効量のa)β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩およびb)ゲムシタビンまたはその医薬上許容される塩と接触させること(ここで、該接触がリンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体に治療上有効量のa)医薬上許容される担体と組み合わせたβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体およびb)医薬上許容される担体と組み合わせたゲムシタビンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体を投与すること(ここで、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が治療される)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、肺癌細胞を有効量のa)β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体およびb)ゲムシタビンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体と接触させること(ここで、該接触がリンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する方法を提供する。
本発明は、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児リンパ腫、ならびにリンパ球および皮膚原発リンパ腫を包含する)、白血病(小児白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、および肥満細胞白血病を包含する)、骨髄腫瘍、および肥満細胞腫瘍(総称して「本発明の血液癌」という)からなる群から選択される血液癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される血液癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌の細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントを活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント経路を活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント調節因子を活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞において選択的に細胞死を活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍、肥満細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、良性単クローン性γグロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫症、リンパ腫様丘疹症、真性赤血球増多症、慢性骨髄性白血病、原発性骨髄線維症、および本態性血小板増多症(総称して「本発明の血液細胞増殖性障害」という)からなる群から選択される細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される細胞増殖性障害を治療または予防する)を含む、本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。
本発明は、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、β−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントを活性化すること(ここで、β−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント経路を活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント調節因子を活性化すること(ここで、β−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および本発明の血液癌からなる群から選択される癌の1つまたはそれ以上の細胞において選択的に細胞死を活性化すること(ここで、β−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液癌からなる群から選択される癌を治療する)を含む、本発明の血液癌からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、β−ラパコンの誘導体もしくはアナログまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される細胞増殖性障害を治療または予防する)を含む、本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および血液細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントを活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液細胞増殖性障害を治療または予防する)を含む、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および血液細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント経路を活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液細胞増殖性障害を治療または予防する)を含む、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および血液細胞における1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント調節因子を活性化すること(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液細胞増殖性障害を治療または予防する)を含む、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。
本発明はまた、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること、および血液細胞において選択的に細胞死を活性化する(ここで、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、またはその代謝物が本発明の血液細胞増殖性障害を治療または予防する)を含む、本発明の血液細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が治療される)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療方法を提供する。本発明はまた、血液系の細胞増殖性障害の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、血液系の細胞増殖性障害が治療または予防される)を含む、血液系の細胞増殖性障害の治療または予防方法を提供する。本発明はまた、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療に有用な医薬品の製造のためのβ−ラパコンの使用を提供する。本発明はまた、血液系の細胞増殖性障害の治療または予防に有用な医薬品の製造のためのβ−ラパコンの使用を提供する。本発明はまた、血液癌の治療に有用な医薬品の製造のためのβ−ラパコンのアナログまたは誘導体の使用を提供する。本発明はまた、血液系の細胞増殖性障害の治療または予防に有用な医薬品の製造のためのβ−ラパコンのアナログまたは誘導体の使用を提供する。
理論によって制限されないが、本発明は、細胞周期チェックポイント活性化調節物質(例えば、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体)による細胞周期チェックポイントの活性化についての理解および該活性化のための方法を含み、また、一部該理解および該方法に基づく。細胞周期チェックポイントの活性化は、一般に、Activated Checkpoint TherapyTMまたはACTTMと称される。すなわち、多くの癌細胞は、それらの分子調節物質の1つ(例えばp53)における変異に続発するそれらの細胞周期チェックポイント機能が不完全である。癌細胞が発癌プロセスの間に遺伝的エラーを蓄積していくのは、一つには、この理由による。細胞死は、少なくとも一部は、癌細胞における未制御増殖駆動と人工的に誘発されたチェックポイント遅延との間の対立によって誘発されると考えられるので、細胞周期チェックポイント機能を活性化する治療薬は、癌細胞における細胞死を選択的に促進することができる。ACTTMは、1つまたはそれ以上のチェックポイントを活性化し、それにより細胞周期進行対停止に関する相反するシグナルを生じることによって細胞増殖周期の間にチェックポイントにて細胞死が生じる傾向を利用する。2つ以上のチェックポイントが活性化される場合、未制御増殖シグナルおよび遺伝子異常を有する癌細胞は複数のチェックポイントにて遮断され、相乗的細胞死を促進する「衝突」を引き起こす。
ACTTMは、正常細胞と比べて癌細胞に対して選択性を提供し、したがって、選択性の低い治療法よりも安全である。第一に、ACTTM法は、細胞周期チェックポイントを活性化するが、破壊しない。第二に、増殖シグナルが十分に制御されている正常細胞は、調節された方法でチェックポイントにて遅延され得、その結果、細胞死を起こしがちな衝突を引き起こさない。第三に、G1チェックポイント制御が損なわれていない正常細胞はG1にて停止すると思われる。他方、ほとんどの癌細胞はG1チェックポイント欠陥を持っており、それにより癌細胞はS期およびM期チェックポイントを強制する薬物に対する感受性がより高まるので、癌細胞はS期、G2期およびM期において遅延されると思われる。β−ラパコンはG1およびS期化合物であり、細胞とβ−ラパコンとの接触はG1またはS細胞周期チェックポイントの活性化を引き起こす。図1は、細胞周期に対するβ−ラパコンおよびタキソールの作用ポイント案の図を示す。
「細胞周期チェックポイント活性化調節物質」なる用語は、本明細書で用いる場合、好ましくはチェックポイント媒介DNA修復メカニズムを活性化することにより、または細胞周期活性を調節する細胞経路における機能不全または変異のために失われたチェックポイント活性を復元することにより、細胞におけるチェックポイント活性化を変更する(好ましい実施態様においては、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントを活性化する)能力を有する化合物をいう。当該技術分野において知られているように、主要な細胞周期チェックポイントは、G1/S期移行時およびG2/M期移行時に生じる。モデルでは、4つの主要な細胞周期チェックポイントが遺伝物質の完全性をモニターする。DNA合成は、G1の間の調製が細胞周期継続のために満足のいくものであったかを細胞が決定する制限ポイント(Rポイント)を過ぎただけで始まる。第2のチェックポイントは、S期における複製開始の間に生じる。第3および第4のチェックポイントは、それぞれ、G2期およびM期に生じる。細胞周期チェックポイント活性化の調節は、さらに、例えば、C.J. Li et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1999), 96(23), 13369-13374、およびY. Li et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100(5), 2674-2678、およびPCT公開WO 00/61142(Pardee et al.)にて検討されている。本発明で用いる好ましい細胞周期チェックポイント活性化調節物質は、好ましくは実質的なDNA損傷を引き起こすことなく、チェックポイント活性化を誘発する(すなわち、好ましくはG1/S期にて、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントを活性化する)。また、ある種の好ましい細胞周期チェックポイント活性化調節物質は、細胞中のE2F(より好ましくは、E2F1)のレベルまたは活性を増大させる能力を有する。細胞中のE2F活性またはレベルを上昇させる能力を有する化合物を包含する細胞周期チェックポイント活性化調節物質についてのスクリーニング方法としては、PCT特許出願番号PCT/US03/22631(Li et al.)に記載されているものが挙げられる。ある種の実施態様では、好ましい細胞周期チェックポイント活性化調節物質は、細胞が癌性細胞である場合には、該細胞中のE2Fのレベルまたは活性を、細胞死(例えば、アポトーシス)を引き起こすのに十分な量増大させる能力を有する。より好ましい細胞周期チェックポイント活性化調節物質は、細胞が癌性細胞である場合には、該細胞中のE2F1のレベルまたは活性を、細胞死(例えば、アポトーシス)を引き起こすのに十分な量上昇させる能力を有する。一の態様では、細胞周期チェックポイント活性化調節物質は、β−ラパコンではない。
理論によって制限されないが、DNA損傷に対する細胞性応答はATM/ATRシグナル伝達経路によって調節される(ここで、ATMおよびATRはホスファチジル−イノシトール−3キナーゼファミリー(PI3K)のプロテインキナーゼである)。DNA損傷に応答して、ATMおよびATRはそれぞれChk2およびChk1をリン酸化し、次に、細胞周期のG1/S期で細胞を停止させることに関与する種々の基質を活性化し、また、DNA修復に関与するタンパク質を誘発および活性化する。Chk2は、腫瘍抑制因子BRCA1を含むDNA修復に関与するタンパク質を活性化し、それによりDNA損傷後のDNA修復能を増強することが示されている。Chk2はまた、p53を直接リン酸化すること、およびp53を分解の標的とするユビキチンリガーゼであるMdm2を阻害することの両方によってp53を安定化することが示されている。かかる条件下にて、p53のレベル増加は、G1/S停止、DNA修復、および修復不可能なDNA損傷をもつ細胞におけるアポトーシスを引き起こす。理論によって制限されないが、Chk2は、条件に依存して、細胞周期停止およびDNA修復を誘発したり、DNA損傷が重篤すぎる場合には細胞死(例えば、アポトーシス)を開始したりすることができる重要な細胞周期調節因子であると考えられる。ある種の実施態様では、好ましい細胞周期チェックポイント活性化調節物質は、細胞が癌性細胞である場合には、該細胞中のChk2のレベルまたは活性を、細胞死(例えば、アポトーシス)を引き起こすのに十分な量増大させる能力を有する。
理論によって制限されないが、E2F1はE2Fファミリーの核転写因子における関連タンパク質の1つであり、このファミリーは、細胞周期の調節に非常に重要である。E2F1は、G1/Sチェックポイントの通過を促進することによって細胞増殖に必要とされる。正常細胞の増殖の間に、転写活性なE2F1は、Rbのリン酸化の後に不活性E2F1/Rb複合体から遊離される。E2F1レベルは上昇し、G1を経る進行を促進する。細胞がS期の終わりに向かって移動する時、E2F1レベルは進行が続くように減少しなければならない。細胞周期におけるこの時点でのE2F1の持続的上昇は、S期チェックポイントの活性化およびその結果生じる細胞死(例えば、アポトーシスによる)を引き起こす。かくして、細胞周期の期およびE2F1上昇の動態に依存して、この調節タンパク質は、細胞増殖を促進すること、または細胞周期遅延、DNA修復もしくは細胞死を誘発することのいずれかを行うことができる。細胞周期のG1期の間、Rbのリン酸化は、Rb−E2F1複合体の分解を引き起こして活性E2F1を遊離し、次いで、重要な細胞周期エフェクターの転写を促進することによってS期への移行を刺激する。S期の間、E2F1は進行が続くように分解されなければならない。しかしながら、DNA損傷の存在下では、E2F1レベルは減少するのではなくむしろ増加し、細胞周期遅延およびDNA修復を生じ、損傷が重篤な場合には細胞死を生じる。本明細書で用いる場合、「E2F」は、E2F転写因子ファミリー(E2F−1、E2F−2、E2F−3を包含するが、これらに限定されるものではない)である。
本明細書で用いる場合、「細胞周期チェックポイント経路」とは、細胞周期チェックポイントの調節に関与する生化学的経路をいう。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイントを含む1つまたはそれ以上の機能に対する刺激効果または抑制効果またはその両方を有し得る。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイントの調節に寄与する少なくとも2つの物質合成物(composition of matter)、好ましくは、タンパク質から構成されている。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイント経路の1つまたはそれ以上のメンバーの活性化を介して活性化され得る。好ましくは、細胞周期チェックポイント経路は生化学的シグナル伝達経路である。
本明細書で用いる場合、「細胞周期チェックポイント調節因子」とは、細胞周期チェックポイントの調節において少なくとも部分的に機能することができる物質合成物をいう。細胞周期チェックポイント調節因子は、細胞周期チェックポイントを含む1つまたはそれ以上の機能に対する刺激効果または抑制効果またはその両方を有し得る。一の態様では、細胞周期チェックポイント調節因子はタンパク質である。別の態様では、細胞周期チェックポイント調節因子はタンパク質ではない。一の態様では、細胞周期チェックポイント調節因子は、ATM、ATR、Chk1、Chk2、E2F1、BRCA1、Rb、p53、p21、Mdm2、Cdc2、Cdc25、および14−4−3[シグマ]からなる群から選択される。
I.組成物
本明細書で用いる場合、「β−ラパコン」なる語句は、3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン−5,6−ジオンならびにその誘導体およびアナログをいい、化学構造:
Figure 2007523191
を有する。好ましい誘導体およびアナログを以下に記載する。
単純な非水溶性オルトナフトキノンであるβ−ラパコン(3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン−5,6−ジオン)は、1882年にPaternoによって初めてラパチョ(lapacho)の木の心材から単離された(Hooker, SC, (1936) I. Am. Chem. Soc. 58:1181-1190;Goncalves de Lima, O, et al., (1962) Rev. Inst. Antibiot. Univ. Recife. 4:3-17を参照)。β−ラパコンの構造は、1896年にHookerによって確立され、1927年にFieserによって初めて合成された(Hooker, SC, (1936) I. Am. Chem. Soc. 58:1181-1190)。β−ラパコンは、例えば、主にブラジルに生えているタベブイア・アベラネダエ(Tabebuia avellenedae)から容易に単離される天然ラパコールの単純な硫酸処理によって得ることができるか、またはオーストラリアに生えているロマティア(lomatia)の種子から容易に合成される(Li, CJ, et al., (1993) J. Biol. Chem. 268:22463-33464)。β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログを処方する方法は、米国特許第6,458,974号および米国公開番号US-2003-0091639-A1に記載されているように行うことができる。
本明細書で用いる場合、β−ラパコンの誘導体またはアナログとしては、例えば、3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)−2H−ナフト[1,2−b]ピラン−5,6−ジオン、3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−ナフト[1,2−b]チオピラン−5,6−ジオンおよび3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ナフト[1,2−b]チオピラン−5,6−ジオンが挙げられる。β−ラパコンの他の誘導体またはアナログは、PCT国際出願PCT/US93/07878(WO94/04145)および米国特許第6,245,807号に記載されている。PCT国際出願PCT/US00/10169(WO 00/61142)には、3位に、および2位に結合しているメチル基の代わりに、様々な置換基を有していてよいβ−ラパコンが記載されている。米国特許第5,763,625号、第5,824,700号および第5,969,163号には、2位、3位および4位に様々な置換基を有するアナログおよび誘導体が記載されている。さらにまた、数多くの学会誌が1つまたはそれ以上の下記位置に置換基を有するβ−ラパコンアナログおよび誘導体を報告している:2位、3位、8位および/または9位(Sabba et al., (1984) J Med Chem 27:990-994(2位、8位および9位に置換基);Portela and Stoppani, (1996) Biochem Pharm 51:275-283(2位および9位に置換基);Goncalves et al., (1998) Molecular and Biochemical Parasitology 1:167-176(2位および3位に置換基)を参照)。β−ラパコンの他の誘導体またはアナログは、ラパコンの「α」位および「β」位において硫黄含有複素環を有する(Kurokawa S, (1970) Bulletin of The Chemical Society of Japan 43:1454-1459;Tapia, RA et al., (2000) Heterocycles 53(3):585-598;Tapia, RA et al., (1997) Tetrahedron Letters 38(1):153-154;Chuang, CP et al., (1996) Heterocycles 40(10):2215-2221;Suginome H et al., (1993) Journal of the Chemical Society, Chemical Communications 9:807-809;Tonholo J et al., (1988) Journal of the Brazilian Chemical Society 9(2):163-169;およびKrapcho AP et al., (1990) Journal of Medicinal Chemistry 33(9):2651-2655)。
また、β−ラパコンの誘導体またはアナログとしては、還元β−ラパコン(例えば、R'およびR”が共に水素である式Ia)および還元β−ラパコンの誘導体(例えば、R'およびR”が各々独立して、水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルキルカルボニルまたはその医薬上許容される塩である式Iaを参照)が挙げられる。
Figure 2007523191
β−ラパコンは本発明にかかる組成物に用いる好ましいG1/S期化合物であるが、本発明はこの点において限定されず、ラパコールのようなβ−ラパコン誘導体またはアナログ、ならびにその医薬組成物および処方物は本発明の一部である。かかるβ−ラパコンアナログとしては、式:
Figure 2007523191
で示される化合物を記載するPCT国際出願PCT/US93/07878(WO 94/04145)に記載されているものが挙げられる。ここで、RおよびR1は、各々独立して、水素、置換および非置換アリール、置換および非置換アルケニル、置換および非置換アルキルおよび置換または非置換アルコキシである。該アルキル基は、好ましくは、炭素原子1〜約15個、より好ましくは、炭素原子1〜約10個、さらにより好ましくは、炭素原子1〜約6個を有する。他に修飾されない限りアルキルなる用語は、環状および非環状のどちらの基も表すが、もちろん、環状の基は少なくとも3個の炭素環構成メンバーを含むであろう。一般に環状の基よりも直鎖または分枝鎖非環状アルキル基の方が好ましい。一般に分枝鎖よりも直鎖アルキル基の方が好ましい。アルケニル基は、好ましくは、炭素原子2〜約15個、より好ましくは、炭素原子2〜約10個、さらにより好ましくは、炭素原子2〜6個を有する。特に好ましいアルケニル基は、炭素原子3個を有しており(すなわち、1−プロペニルまたは2−プロペニル)、アリル基が特に好ましい。フェニルおよびナフチルは一般に好ましいアリール基である。アルコキシ基としては、1個またはそれ以上の酸素結合を有するこれらのアルコキシ基が挙げられ、好ましくは、炭素原子1〜15個、より好ましくは、炭素原子1〜約6個を有する。置換されたRおよびR1基は、例えば、炭素原子1〜10個または炭素原子1〜6個を有するアルキル基のようなアルキル基、炭素原子2〜10個または炭素原子2〜6個を有するアルケニル基のようなアルケニル基、炭素原子6〜10個を有するアリール基、フルオロ、クロロおよびブロモのようなハロゲン、ならびに、ヘテロアルキル(例えば、1個またはそれ以上のヘテロ原子結合(かくして、アルコキシ、アミノアルキルおよびチオアルキルを含む)および炭素原子1〜10個または炭素原子1〜6個を有するヘテロアルキル)を含むN、OおよびSのような1個またはそれ以上の適当な基によって1つまたはそれ以上の利用可能な位置で置換されていてもよい。
本発明において意図する他のβ−ラパコンアナログは、下記構造:
Figure 2007523191
を有するβ−ラパコンアナログおよび誘導体が記載されている米国特許第6,245,807号に記載されているものを包含する。ここで、RおよびR1は、各々独立して、水素、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ハロゲン、置換アルキル、非置換アルキル、置換アルケニル、非置換アルケニル、置換アリール、非置換アリール、置換アルコキシ、非置換アルコキシ、およびその塩から選択され、ここで、環炭素原子間に点線を引いた二重結合は任意の環二重結合を表す。
さらなるβ−ラパコンアナログおよび誘導体は、下記構造:
Figure 2007523191
を有する化合物が記載されているPCT国際出願PCT/US00/10169(WO 00/61142)に記載されている。ここで、R5およびR6は、独立して、ヒドロキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、−−(CH2)n−フェニルから選択され得る;R7は、水素、ヒドロキシル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、−−(CH2)n−アミノ、−−(CH2)n−アリール、−−(CH2)n−ヘテロアリール、−−(CH2)n−ヘテロサイクル、または−−(CH2)n−フェニルであり、ここで、nは、0〜10の整数である。
他のβ−ラパコンアナログおよび誘導体は、米国特許第5,763,625号、米国特許第5,824,700号および米国特許第5,969,163号、ならびに以下の位置:2位、8位および/または9位のうちの1つまたはそれ以上の位置に置換基を有するβ−ラパコンを記載しているSabba et al., J Med Chem 27:990-994(1984)のような科学学術論文に記載されている。Portela et al., Biochem Pharm 51:275-283(1996)(2位および9位に置換基);Maruyama et al., Chem Lett 847-850(1977);Sun et al., Tetrahedron Lett 39:8221-8224(1998);Goncalves et al., Molecular and Biochemical Parasitology 1:167-176(1998)(2位および3位に置換基);Gupta et al., Indian Journal of Chemistry 16B: 35-37(1978);Gupta et al., Curr Sci 46:337(1977)(3位および4位に置換基);DiChenna et al., J Med Chem 44: 2486-2489(2001)(モノアリールアミノ誘導体)も参照。
より好ましくは、本発明において意図するアナログおよび誘導体は、一般式VおよびVI:
Figure 2007523191
式V 式VI
で示される化合物を包含するものである。ここで、環炭素原子間に点線を引いた二重結合は、任意の環二重結合を表し、RおよびR1は、各々独立して、水素、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ハロゲン、置換アルキル、非置換アルキル、置換アルケニル、非置換アルケニル、置換アリール、非置換アリール、置換アルコキシ、非置換アルコキシ、およびその塩から選択される。アルキル基は、好ましくは、炭素原子1〜約15個、より好ましくは、炭素原子1〜約10個、さらにより好ましくは、炭素原子1〜約6個を有する。アルキルなる用語は、環状および非環状のどちらの基も表す。一般に環状の基よりも直鎖または分枝鎖非環状アルキル基の方が好ましい。一般に分枝鎖よりも直鎖アルキル基の方が好ましい。アルケニル基は、好ましくは、炭素原子2〜約15個、より好ましくは、炭素原子2〜約10個、さらにより好ましくは、炭素原子2〜6個を有する。特に好ましいアルケニル基は、炭素原子3個を有しており(すなわち、1−プロペニルまたは2−プロペニル)、アリル基が特に好ましい。フェニルおよびナフチルは一般に好ましいアリール基である。アルコキシ基としては、1個またはそれ以上の酸素結合を有するこれらのアルコキシ基が挙げられ、好ましくは、炭素原子1〜15個、より好ましくは、炭素原子1〜約6個を有する。置換されたRおよびR1基は、例えば、炭素原子1〜10個または炭素原子1〜6個を有するアルキル基、炭素原子2〜10個または炭素原子2〜6個を有するアルケニル基、炭素原子6〜10個を有するアリール基、フルオロ、クロロおよびブロモのようなハロゲン、ならびに、ヘテロアルキル(例えば、1個またはそれ以上のヘテロ原子結合(かくして、アルコキシ、アミノアルキルおよびチオアルキルを含む)および炭素原子1〜10個または炭素原子1〜6個を有するヘテロアルキル)を含むN、OおよびSのような1個またはそれ以上の適当な基によって1つまたはそれ以上の利用可能な位置で置換されていてもよい;ここで、R5およびR6は、独立して、ヒドロキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、−−(CH2)n−アリール、−−(CH2)n−ヘテロアリール、−−(CH2)n−ヘテロサイクル、または−−(CH2)n−フェニルから選択され得る;R7は、水素、ヒドロキシル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、−−(CH2)n−アミノ、−−(CH2)n−アリール、−−(CH2)n−ヘテロアリール、−−(CH2)n−ヘテロサイクル、または−−(CH2)n−フェニルであり、ここで、nは0〜10の整数である。
本発明において意図する好ましいアナログおよび誘導体はまた、下記一般式VII:
Figure 2007523191
で示される化合物を包含する。ここで、R1は、(CH2)n−R2であり、ここで、nは、0〜10の整数であり、R2は、水素、アルキル、アリール、複素環式芳香族、複素環、脂肪族、アルコキシ、アリルオキシ、ヒドロキシル、アミン、チオール、アミド、またはハロゲンである。
本発明において意図するアナログおよび誘導体はまた、4−アセトキシ−β−ラパコン、4−アセトキシ−3−ブロモ−β−ラパコン、4−ケト−β−ラパコン、7−ヒドロキシ−β−ラパコン、7−メトキシ−β−ラパコン、8−ヒドロキシ−β−ラパコン、8−メトキシ−β−ラパコン、8−クロロ−β−ラパコン、9−クロロ−β−ラパコン、8−メチル−β−ラパコンおよび8,9−ジメトキシ−β−ラパコンを包含する。
本発明において意図する好ましいアナログおよび誘導体はまた、下記一般式VIII:
Figure 2007523191
で示される化合物を包含する。ここで、R1〜R4は、各々独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、−−(CH2)n−アリール、−−(CH2)n−ヘテロアリール、−−(CH2)n−ヘテロサイクル、または−−(CH2)n−フェニルからなる群から選択されるか;またはR1およびR2が一緒になって上記の群から選択される単一の置換基となり、R3およびR4が一緒になって上記の群から選択される単一の置換基となり、この場合、----は二重結合である。
本発明において意図する好ましいアナログおよび誘導体はまた、ダンニオン(dunnione)および2−エチル−6−ヒドロキシナフト[2,3−b]−フラン−4,5−ジオンを包含する。
本発明において意図する好ましいアナログおよび誘導体はまた、下記一般式IX:
Figure 2007523191
で示される化合物を包含する。ここで、R1は、H、CH3、OCH3およびNO2から選択される。
本発明の方法およびキットにおいて有用なさらなる好ましいβ−ラパコンアナログは、式X:
Figure 2007523191
によって表されるかまたはその医薬上許容される塩、またはその位置異性体混合物である(2002年11月18日に出願された米国仮出願番号第60/427,283号を優先権主張して2003年11月18日に出願された、“NOVEL LAPACHONE COMPOUNDS AND METHODS OF USE THEREOF”なる発明の名称のPCT特許出願PCT/US2003/037219もまた参照)。ここで、R1〜R6は、各々独立して、H、OH、置換および非置換C1−C6アルキル、置換および非置換C1−C6アルケニル、置換および非置換C1−C6アルコキシ、置換および非置換C1−C6アルコキシカルボニル、置換および非置換C1−C6アシル、−(CH2)n−アミノ、−(CH2)n−アリール、−(CH2)n−ヘテロサイクル、および−(CH2)n−フェニルからなる群から選択されるか;または、R1またはR2のうちの1つとR3またはR4のうちの1つ;またはR3またはR4のうちの1つとR5またはR6のうちの1つが、4〜8個の環構成メンバーを有する縮合環を形成し;R7〜R10は、各々独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、ニトロ、シアノまたはアミドであり;nは0〜10の整数である。
好ましい実施態様では、R1およびR2はアルキルであり、R3〜R6は、独立して、H、OH、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、置換もしくは非置換アシル、置換アルケニルまたは置換アルキルカルボニルであり、R7〜R10は水素である。別の好ましい実施態様では、R1およびR2は、各々、メチルであり、R3〜R10は、各々、水素である。別の好ましい実施態様では、R1〜R4は、各々、水素であり、R5およびR6は、各々、メチルであり、R7〜R10は、各々、水素である。
本発明の方法およびキットにおいて有用なさらなる好ましいβ−ラパコンアナログは、式XI:
Figure 2007523191
によって表されるかまたはその医薬上許容される塩、またはその位置異性体混合物である(2003年11月18日に出願された、“NOVEL LAPACHONE COMPOUNDS AND METHODS OF USE THEREOF”なる発明の名称のPCT特許出願PCT/US2003/037219もまた参照)。ここで、R1〜R4は、各々独立して、H、OH、置換および非置換C1−C6アルキル、置換および非置換C1−C6アルケニル、置換および非置換C1−C6アルコキシ、置換および非置換C1−C6アルコキシカルボニル、置換および非置換C1−C6アシル、−(CH2)n−アミノ、−(CH2)n−アリール、−(CH2)n−ヘテロサイクル、および−(CH2)n−フェニルからなる群から選択されるか;またはR1またはR2のうちの1つとR3またはR4のうちの1つが、4〜8個の環構成メンバーを有する縮合環を形成し;R5〜R8は、各々独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、ニトロ、シアノまたはアミドであり;nは、0〜10の整数である。式XIのある実施態様では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、各々同時にHではない。
本発明の化合物の全ての立体異性体は、混合物または純粋な形態もしくは実質的に純粋な形態のいずれかであることが意図される。本発明にかかる化合物の定義は、全ての起こり得る立体異性体(例えば、各不斉中心についてのRおよびS配置)およびそれらの混合物を含む。特に、ラセミ形態および特定の活性を有する単離した光学異性体を含む。ラセミ形態は、例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶、分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離のような物理的方法によって分割することができる。個々の光学異性体は、例えば、光学活性酸との塩形成の後の結晶化のような慣用的な方法によってラセミ化合物から得ることができる。さらにまた、二重結合におけるE配置およびZ配置のような全ての幾何異性体は、特記しない限り本発明の範囲内である。本発明のある種の化合物は、互変異性体の形態で存在し得る。当該化合物のかかる互変異性体は全て、特記しない限り、本発明の範囲内であると考える。本発明はまた、β−ラパコンのアナログまたは誘導体の1つまたはそれ以上の位置異性体混合物も包含する。
本明細書で用いる場合、「塩」なる用語は、医薬上許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩および酒石酸塩を含む酸付加塩;Na、K、Liのようなアルカリ金属陽イオン、MgまたはCaのようなアルカリ土類金属塩、または有機アミン塩を挙げることができる。
本明細書で用いる場合、「代謝物」なる用語は、β−ラパコンと同様のインビボ活性を示す、β−ラパコンの代謝の産物、またはその医薬上許容される塩、アナログもしくは誘導体を意味する。
本明細書で用いる場合、「プロドラッグ」なる用語は、アミノ酸部分または他の水可溶化部分のような1つまたはそれ以上のプロ部分と共有結合した本発明の化合物を意味する。本発明の化合物は、加水分解性、酸化性および/または酵素性遊離メカニズムを介してプロ部分から遊離され得る。一の実施態様では、本発明のプロドラッグ組成物は、水溶性の増強、安定性の向上、および薬物動態プロファイルの改善の付加利益を示す。プロ部分は、所望のプロドラッグ特性を得るように選択され得る。例えば、プロ部分、例えば、アミノ酸部分または他の水可溶化部分は、溶解性、安定性、生物学的利用能、および/またはインビボ送達もしくは取り込みに基づいて選択され得る。
II.治療方法
本明細書で用いる場合、「対象体」は、いずれもの哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダであり得る。好ましい実施態様では、対象体は、ヒトである。
本明細書で用いる場合、「必要とする対象体」は、血液系の細胞増殖性障害に罹患している対象体、または血液系の細胞増殖性障害を発症するリスクが人口全般と比べて高くなっている対象体である。一の態様では、必要とする対象体は、血液系の前癌症状を有する。好ましい態様では、必要とする対象体は、血液癌に罹患している。一の態様では、該対象体は、血液系の過剰細胞増殖を特徴とする既知の(すなわち、診断された)症状(例えば、癌)に罹患しているものであり得る。
本明細書で用いる場合、「免疫細胞」は、免疫応答において機能するいずれもの細胞であるか、または免疫応答において機能する細胞の直接前駆体であり、造血細胞、リンパ球、骨髄細胞、リンパ球前駆体、B細胞前駆体、T細胞前駆体、リンパ球、B細胞、T細胞、形質細胞、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、ナチュラルキラー細胞(すなわち、NK細胞)、肥満細胞および樹状細胞を包含するがこれらに限定されるものではない。本明細書で用いる場合、「白血球(white blood cell)」(すなわち、白血球(leukocyte))は、ヘモグロビンを欠く血液細胞であり、リンパ球、B細胞、T細胞、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球および好塩基球を包含するがこれらに限定されるものではない。本明細書で用いる場合、「リンパ球」は、骨髄にて作り続けられている白血球の一種であり、血液、リンパ節、脾臓、胸腺、腸壁および骨髄中に存在することができ、Bリンパ球およびTリンパ球を包含するがこれらに限定されるものではない。本明細書で用いる場合、「単球」は、貪食能を有する大型白血球であり、組織中に移入するとマクロファージに転換する。本明細書で用いる場合、「好中球」は、貪食能を有する白血球であり、分葉核(lobed nucleus)および顆粒状細胞質で区別される。本明細書で用いる場合、「ナチュラルキラー細胞」は、溶解メカニズムを介しておよびIFN−γを分泌することによって自然免疫応答において機能する、BまたはT細胞とは異なる、骨髄由来リンパ球のサブセットである。
本明細書で用いる場合、「細胞増殖性障害」なる用語は、細胞の未制御増殖または異常増殖またはその両方が望ましくない症状または疾患(癌性であってもなくてもよい)の発症を引き起こす可能性がある症状をいう。一の態様では、細胞増殖性障害は、例えば、血液癌および血液系の前癌症状を包含する。「血液系の細胞増殖性障害」は、血液系の細胞に関する細胞増殖性障害である。一の態様では、細胞増殖性障害は、血液系の前癌または前癌症状を包含する。一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、血液系の非癌性細胞増殖性障害を包含する。別の態様では、細胞増殖性障害は、腫瘍部位から離れている他の組織または器官における転移病変を含む血液癌を包含する。一の態様では、「前癌細胞」または「前癌性細胞」は、前癌または前癌症状である細胞増殖性障害が現れている細胞である。別の態様では、「癌細胞」または「癌性細胞」は、癌である細胞増殖性障害が現れている細胞である。いずれもの再現性のある測定手段が、癌細胞または前癌性細胞を同定するために使用され得る。好ましい態様では、癌細胞または前癌性細胞は、組織試料(例えば、生検試料)の組織学的分類またはグレード分けによって同定される。別の態様では、癌細胞または前癌性細胞は、適当な分子マーカーの使用によって同定される。
一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、血液細胞を冒すあらゆる形態の細胞増殖性障害、例えば、血液系の良性および前悪性の血液症状、ならびに血液系の癌を包含する。一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、血液癌および血液系の前癌症状を包含する。一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、血液系の過形成、化生および異形成を包含する。一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、血液系の散発性および遺伝性細胞増殖性障害を包含する。一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、血液系の良性腫瘍を包含する。一の態様では、治療される血液系の細胞増殖性障害は、免疫細胞の細胞増殖性障害を包含する。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、白血球の細胞増殖性障害を包含する。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、リンパ球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球または好塩基球の細胞増殖性障害を包含する。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、T細胞またはB細胞の細胞増殖性障害を包含する。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、骨髄芽球または単芽球の細胞増殖性障害を包含する。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、単核細胞(例えば、リンパ球および単球)または顆粒球(例えば、好中球、好酸球および好塩基球)の細胞増殖性障害を包含する。一の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、形質細胞の細胞増殖性障害(例えば、多発性骨髄腫)を包含する。別の態様では、血液系の細胞増殖性障害は、形質細胞の細胞増殖性障害(例えば、多発性骨髄腫)を包含しない。
一の態様では、治療される血液系の細胞増殖性障害は、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児リンパ腫、ならびにリンパ球および皮膚原発リンパ腫を包含する)、白血病(例えば、小児白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病および肥満細胞白血病を包含する)、骨髄腫瘍、および肥満細胞腫瘍を包含する。別の態様では、治療される血液系の細胞増殖性障害は、骨髄異形成症候群、良性単クローン性γグロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫症、リンパ腫様丘疹症、真性赤血球増多症、慢性骨髄性白血病、原発性骨髄線維症、および本態性血小板増多症を包含する。別の態様では、治療される血液系の細胞増殖性障害は、骨髄異形成症候群である(例えば、不応性貧血、環状鉄芽球性不応性貧血、多系列異形成を伴う不応性血球減少症、多系列異形成を伴う環状鉄芽球性不応性血球減少症、芽球増加型不応性貧血−1(RAEB−1)、芽球増加型不応性貧血−2(RAEB−2)、未分類骨髄異形成症候群(MDS−U)、および単離del(5q)と関係しているMDS)。他の代表的な血液系の細胞増殖性障害は、当業者に知られている。
好ましい態様では、血液系の細胞増殖性障害は、本発明の血液癌または本発明の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される。好ましい態様では、本発明の組成物は、本発明の血液癌または本発明の血液細胞増殖性障害を治療するために使用することができる。
一の態様では、治療される血液癌としては、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児リンパ腫、ならびにリンパ球および皮膚原発リンパ腫)、白血病(例えば、小児白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病および肥満細胞白血病)、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍が挙げられる。治療される癌としては、肉腫、癌腫および腺癌が挙げられるがこれらに限定されるものではない。一の態様では、治療される血液癌は、免疫細胞の癌を包含する。別の態様では、血液癌は、白血球の癌を包含する。別の態様では、血液癌は、リンパ球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球または好塩基球の癌を包含する。別の態様では、血液癌は、T細胞またはB細胞の癌を包含する。別の態様では、血液癌は、骨髄芽球または単芽球の癌を包含する。別の態様では、血液癌は、単核細胞(例えば、リンパ球および単球)または顆粒球(例えば、好中球、好酸球および好塩基球)の癌を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される。一の態様では、治療される血液癌は、形質細胞の癌(例えば、多発性骨髄腫)を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、形質細胞の癌(例えば、多発性骨髄腫)を包含しない。
一の態様では、治療される血液癌は、白血病である。本明細書で用いる場合、「白血病」なる用語は、多発性骨髄腫を包含しない。一の態様では、治療される白血病は、急性白血病および慢性白血病を包含する。一の態様では、治療される白血病は、リンパ球に由来するリンパ球性白血病を包含する。別の態様では、治療される白血病は、骨髄性白血病(例えば、骨髄腫瘍)を包含する。別の態様では、治療される白血病は、小児白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞白血病、前リンパ球性白血病およびT細胞慢性リンパ球性白血病を包含する。
一の態様では、治療される血液癌は骨髄腫瘍である。本明細書で用いる場合、「骨髄腫瘍」なる用語は、多発性骨髄腫を含まない。本明細書で用いる場合、「骨髄腫瘍」なる用語は、骨髄系の細胞の癌、例えば、顆粒球(例えば、好中球、好酸球および好塩基球)または単球に由来する骨髄性(骨髄球性または骨髄性)白血病;例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病および骨髄異形成症候群をいう。
一の態様では、治療される血液癌はリンパ腫である。本明細書で用いる場合、「リンパ腫」なる用語は、多発性骨髄腫を含まない。一の態様では、治療される血液癌は、B細胞リンパ腫またはT細胞リンパ腫である。一の態様では、治療される血液癌は非ホジキンリンパ腫、ホジキン病(例えば、ホジキンリンパ腫)、小児リンパ腫、またはリンパ球および皮膚原発リンパ腫である。別の態様では、治療される血液癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);濾胞性リンパ腫;小リンパ球性リンパ腫(SLL);マントル細胞リンパ腫;節外性辺縁帯B細胞リンパ腫;粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫;節性辺縁帯B細胞リンパ腫;脾性辺縁帯B細胞リンパ腫;縦隔原発B細胞リンパ腫;バーキットリンパ腫;リンパ形質細胞性リンパ腫(ヴァルデンストレームマクログロブリン血症);中枢神経系(CNS)原発リンパ腫である。一の態様では、治療される血液癌は、末梢T細胞リンパ腫、例えば、皮膚T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、未分化大T/ヌル細胞リンパ腫、またはヌル細胞リンパ腫である。別の態様では、治療される血液癌は、前駆T−リンパ芽球性リンパ腫/白血病である。一の態様では、治療される血液癌は顆粒球性肉腫である。
一の態様では、治療される血液癌は肥満細胞腫瘍である。本明細書で用いる場合、「肥満細胞腫瘍」なる用語は、多発性骨髄腫を含まない。本明細書で用いる場合、「肥満細胞腫瘍」なる用語は、肥満細胞の癌(例えば、肥満細胞白血病、悪性肥満細胞症)をいう。
一の態様では、治療される血液癌は、30歳もしくはそれ以上の年齢の対象体または30歳よりも若い対象体に生じた。一の態様では、治療される血液癌は、50歳もしくはそれ以上の年齢の対象体または50歳よりも若い対象体に生じた。一の態様では、治療される血液癌は、70歳もしくはそれ以上の年齢の対象体または70歳よりも若い対象体に生じた。一の態様では、治療される血液癌は、p53、Rb、CDKN2A(P16INK4A)、FHIT、ATM myc、ras、bcr、abl、またはbaxにおける家族性変異または自然変異を同定するようにタイプ分けされた。別の態様では、治療される血液癌は、bcr−abl遺伝子融合を形成するようにフィラデルフィア染色体転座[t(9;22)]と関係している。一の態様では、治療される血液癌は、t(9;22)、t(10;11)、t(11;19)、t(5;12)、t(3;11)、t(15;17)、t(11;17)、およびt(5;17)からなる群から選択される染色体転座と関係している。別の態様では、治療される血液癌は、β−2−ミクログロブリン、Zap−70およびCD38からなる群から選択されるマーカーのレベルの増加と関係している。
一の態様では、治療される血液癌は、血液系の限局性腫瘍を包含する。一の態様では、治療される血液癌は、陰性の局所リンパ節生検と関連している血液系の腫瘍を包含する。一の態様では、治療される血液癌は、陽性の局所リンパ節生検と関連している血液系の腫瘍と関係している。別の態様では、治療される血液癌は、節性陰性状態(例えば、節陰性)または節性陽性状態(例えば、節陽性)を有するとタイプ分けされた血液系の腫瘍を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、体内の他の部位に転移した血液系の腫瘍を包含する。一の態様では、治療される血液癌は、リンパ節、肝臓、肺、骨髄、脳、脊髄、および脾臓からなる群から選択される部位に転移していると分類される。一の態様では、治療される血液癌は、高白血球数(例えば、15,000以上)、または低血中リンパ球数(例えば、600以下)の患者において生じていると分類される。別の態様では、治療される血液癌は、転移性、限局期、進行期、切除不能、切除可能、限局性(localized)、局所性(regional)、限局性−局所性(local-regional)、限局性進行型(locally advanced)、遠隔型、多中心性、両側性、同側性、対側性、新たに診断された、再発性、および手術不可能からなる群から選択される特徴に従って分類される。
一の態様では、治療される血液癌は、ステージ0、I、II、IIIまたはIVと段階分けされている。一の態様では、治療される血液癌は、Rai分類体系に従ってRaiステージ0、RaiステージI、RaiステージII、RaiステージIII、またはRaiステージIVと段階分けされている。一の態様では、治療される血液癌は、Binet分類体系に従ってBinetステージA、BinetステージB、またはBinetステージCと段階分けされている。一の態様では、治療される血液癌は、ステージI、IB、IE、II、IIB、IIE、III、IIIB、IIIE、IIIS、IIISE、IVまたはIVBと段階分けされている。一の態様では、治療される血液癌は、慢性期、加速期、または急性転化期(blast phase)と段階分けされている。一の態様では、治療される血液癌は、対癌米国合同委員会(American Joint Committee on Cancer)(AJCC)TNM分類体系に従って段階分けされている(ここで、腫瘍(T)には、Tis、T1、T2、T3、T4のステージが割り当てられおり;局所リンパ節(N)には、NX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3b、またはN3cのステージが割り当てられており;遠隔型転移(M)には、MX、M0、またはM1のステージが割り当てられている)。別の態様では、治療される血液癌は、対癌米国合同委員会(AJCC)分類に従ってステージ0、I、IA、IB、II、IIA、IIB、III、IIIA、IIIB、IIICおよびIV血液癌と段階分けされている。別の態様では、治療される血液癌は、AJCC分類に従ってグレードGX(例えば、グレードを評価できない)、グレード1、グレード2、グレード3またはグレード4のグレードが割り当てられている。
一の態様では、治療される血液癌は、直径約2センチメートルまたはそれ以下であると測定された腫瘍を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、直径約2〜約5センチメートルであると測定された腫瘍を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、直径約2センチメートルまたはそれ以上であると測定された腫瘍を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、直径5センチメートル以上であると測定された腫瘍を包含する。別の態様では、治療される血液癌は、顕微鏡像によって、高分化、中分化、低分化または未分化であると分類される。別の態様では、治療される血液癌は、有糸分裂カウント(例えば、細胞分裂の量)または核多形性(例えば、細胞の変化)に関して顕微鏡像によって分類される。別の態様では、治療される血液癌は、顕微鏡像によって、壊死の領域(例えば、細胞が死んでいるかまたは変性している領域)と関連していると分類される。一の態様では、治療される血液癌は、異常核型を有する、異常な数の染色体を有する、または外観が異常である1つまたはそれ以上の染色体を有すると分類される。一の態様では、治療される血液癌は、異数体、三倍体または四倍体であるか、または倍数性変化を有すると分類される。一の態様では、治療される血液癌は、染色体転座、または染色体全体の欠失もしくは重複、または染色体の一部の欠失、重複もしくは増幅の領域を有すると分類される。
一の態様では、治療される血液癌は、芽球を5%未満しか有していないとタイプ分けされた。別の態様では、治療される血液癌は、芽球を5%、10%、20%、30%または40%よりも多く有するとタイプ分けされた。別の態様では、治療される血液癌は、芽球および前骨髄球を5%、10%、20%、30%または40%よりも多く有するとタイプ分けされた。
一の態様では、治療される血液癌は、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリーまたはイメージサイトメトリーによって評価される。一の態様では、治療される血液癌は、細胞分裂の合成期にある(例えば、細胞分裂のS期にある)細胞を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%有するとタイプ分けされている。一の態様では、治療される血液癌は、低S期分画または高S期分画を有するとタイプ分けされている。
本明細書で用いる場合、「正常細胞」は、「細胞増殖性障害」の一部であると分類することができない細胞である。一の態様では、正常細胞は、望ましくない症状または疾患の発症を引き起こす可能性がある未制御増殖もしくは異常増殖がないかまたはそのどちらの増殖もない。好ましくは、正常細胞は、正常に機能する細胞周期チェックポイント制御メカニズムを有する。
本明細書で用いる場合、「細胞を接触させること」とは、化合物または他の物質合成物が細胞と直接接触しているか、または、細胞中にて所望の生物学的効果を誘発するのに十分に接近している状態をいう。
本明細書で用いる場合、「単独療法」とは、それを必要とする対象体への単一の活性化合物または治療用化合物の投与をいう。好ましくは、単独療法は、活性化合物の治療上有効量の投与を含むであろう。例えば、癌のβ−ラパコン単独療法は、癌の治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量の投与を含む。単独療法は、複数の活性化合物の組み合わせ(好ましくは、この組み合わせの各成分が治療上有効量で存在する)が投与される併用療法と対比され得る。一の態様では、β−ラパコン単独療法は、所望の生物学的効果を誘発するのに併用療法よりも効果的である。
一の態様では、併用療法としては、β−ラパコンとタキソール;β−ラパコンとドセタキセル;β−ラパコンとビンクリスチン;β−ラパコンとビンブラスチン;β−ラパコンとノコダゾール;β−ラパコンとテニポシド;β−ラパコンとエトポシド;β−ラパコンとアドリアマイシン;β−ラパコンとエポシロン;β−ラパコンとナベルビン;β−ラパコンとカンプトテシン;β−ラパコンとダウノルビシン;β−ラパコンとダクチノマイシン;β−ラパコンとミトキサントロン;β−ラパコンとアムサクリン;β−ラパコンとエピルビシン;またはβ−ラパコンとイダルビシンが挙げられる。好ましい態様では、併用療法は、β−ラパコンとゲムシタビンを包含する。別の態様では、併用療法としては、還元β−ラパコンとタキソール;還元β−ラパコンとドセタキセル;還元β−ラパコンとビンクリスチン;還元β−ラパコンとビンブラスチン;還元β−ラパコンとノコダゾール;還元β−ラパコンとテニポシド;還元β−ラパコンとエトポシド;還元β−ラパコンとアドリアマイシン;還元β−ラパコンとエポシロン;還元β−ラパコンとナベルビン;還元β−ラパコンとカンプトテシン;還元β−ラパコンとダウノルビシン;還元β−ラパコンとダクチノマイシン;還元β−ラパコンとミトキサントロン;還元β−ラパコンとアムサクリン;還元β−ラパコンとエピルビシン;または還元β−ラパコンとイダルビシンが挙げられる。好ましい態様では、併用療法は、還元β−ラパコンとゲムシタビンを包含する。
本明細書で用いる場合、「治療」とは、疾患、症状または障害と闘うことを目的とする患者の管理およびケアをいい、症状もしくは合併症の発症の予防、症状もしくは合併症の軽減、または疾患、症状もしくは障害の除去のための本発明の化合物の投与を含む。
一の態様では、本発明の血液癌の治療は、癌性細胞の数の減少をもたらす。好ましくは、治療後、癌性細胞の数は、治療前の数と比べて5%またはそれ以上減少し;より好ましくは、癌性細胞の数は、10%またはそれ以上減少し;より好ましくは、20%またはそれ以上減少し;より好ましくは、30%またはそれ以上減少し;より好ましくは、40%またはそれ以上減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれ以上減少し;最も好ましくは、75%以上減少する。癌性細胞の数は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、癌性細胞の数は、特定の倍率で癌性細胞をカウントすることによって測定され得る。好ましい態様では、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、または50倍である。別の態様では、癌性細胞の数は、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)によって測定される。別の態様では、癌性細胞の数は、免疫蛍光顕微鏡法によって測定される。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、腫瘍の大きさの縮小をもたらす。腫瘍の大きさの縮小はまた、「腫瘍退縮」ということもできる。好ましくは、治療後、腫瘍の大きさは、治療前のその大きさと比べて5%またはそれ以上縮小し;より好ましくは、腫瘍の大きさは、10%またはそれ以上縮小し;より好ましくは、20%またはそれ以上縮小し;より好ましくは、30%またはそれ以上縮小し;より好ましくは、40%またはそれ以上縮小し;さらにより好ましくは、50%またはそれ以上縮小し;最も好ましくは、75%またはそれ以上縮小する。腫瘍の大きさは、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、腫瘍の大きさは、腫瘍の直径として測定され得る。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、腫瘍容積の減少をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍容積は、治療前のその大きさと比べて5%またはそれ以上減少し;より好ましくは、腫瘍容積は、10%またはそれ以上減少し;より好ましくは、20%またはそれ以上減少し;より好ましくは、30%またはそれ以上減少し;より好ましくは、40%またはそれ以上減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれ以上減少し;最も好ましくは、75%またはそれ以上減少する。腫瘍容積は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、腫瘍の数の減少をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍の数は、治療前の数と比べて5%またはそれ以上減少し;より好ましくは、腫瘍の数は、10%またはそれ以上減少し;より好ましくは、20%またはそれ以上減少し;より好ましくは、30%またはそれ以上減少し;より好ましくは、40%またはそれ以上減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれ以上減少し;最も好ましくは、75%以上減少する。腫瘍の数は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、腫瘍の数は、肉眼でまたは特定の倍率で見ることができる腫瘍をカウントすることによって測定され得る。好ましい態様では、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍または50倍である。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、原発腫瘍部位から離れている他の組織または器官における転移病変の数の減少をもたらす。好ましくは、治療後、転移病変の数は、治療前の数と比べて5%またはそれ以上減少し;より好ましくは、転移病変の数は、10%またはそれ以上減少し;より好ましくは、20%またはそれ以上減少し;より好ましくは、30%またはそれ以上減少し;より好ましくは、40%またはそれ以上減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれ以上減少し;最も好ましくは、75%以上減少する。転移病変の数は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、転移病変の数は、肉眼でまたは特定の倍率で見ることができる転移病変をカウントすることによって測定され得る。好ましい態様では、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍または50倍である。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、治療対象体の集団の平均生存期間を、担体だけを投与されている集団と比べて延長させる。好ましくは、平均生存期間は、30日以上;より好ましくは、60日以上;より好ましくは、90日以上;最も好ましくは、120日以上延びる。集団の平均生存期間の延長は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長は、例えば、活性化合物での治療開始後の平均の生存の長さを集団について算出することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、活性化合物での1回目の治療の完了後の平均の生存の長さを集団について算出することによって測定することができる。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、治療対象体の集団の平均生存期間を未治療対象体の集団と比べて延長させる。好ましくは、平均生存期間は、30日以上;より好ましくは、60日以上;より好ましくは、90日以上;最も好ましくは、120日以上延びる。集団の平均生存期間の延長は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長は、例えば、活性化合物での治療開始後の平均の生存の長さを集団について算出することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、活性化合物での1回目の治療の完了後の平均の生存の長さを集団について算出することによって測定することができる。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、治療対象体の集団の平均生存期間を、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体ではない薬物での単独療法を受けている集団と比べて延長させる。好ましくは、平均生存期間は、30日以上;より好ましくは、60日以上;より好ましくは、90日以上;最も好ましくは、120日以上延びる。集団の平均生存期間の延長は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長は、例えば、活性化合物での治療開始後の平均の生存の長さを集団について算出することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、活性化合物での1回目の治療の完了後の平均の生存の長さを集団について算出することによって測定することができる。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、治療対象体の集団の死亡率を、担体だけを投与されている集団と比べて低下させる。別の態様では、血液癌の治療は、治療対象体の集団の死亡率を未治療集団と比べて低下させる。さらなる態様では、血液癌の治療は、治療対象体の集団の死亡率を、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体ではない薬物での単独療法を受けている集団と比べて低下させる。好ましくは、死亡率は、2%以上;より好ましくは、5%以上;より好ましくは、10%以上;最も好ましくは、25%以上低下する。好ましい態様では、治療対象体の集団の死亡率の低下は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。別の好ましい態様では、集団の死亡率の低下は、例えば、活性化合物での治療開始後の単位時間当たりの平均疾患関連死亡数を集団について算出することによって測定することができる。別の好ましい態様では、集団の死亡率の低下はまた、例えば、活性化合物での1回目の治療の完了後の単位時間当たりの平均疾患関連死亡数を集団について算出することによって測定することができる。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、腫瘍増殖率の低下をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍増殖率は、治療前の数と比べて少なくとも5%低下し;より好ましくは、腫瘍増殖率は、少なくとも10%低下し;より好ましくは、少なくとも20%低下し;より好ましくは、少なくとも30%低下し;より好ましくは、少なくとも40%低下し;より好ましくは、少なくとも50%低下し;さらにより好ましくは、少なくとも50%低下し;最も好ましくは、少なくとも75%低下する。腫瘍増殖率は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、腫瘍増殖率は、単位時間当たりの腫瘍の直径の変化にしたがって測定される。
別の態様では、本発明の血液癌の治療は、腫瘍再増殖の減少をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍再増殖は、5%未満であり;より好ましくは、腫瘍再増殖は、10%未満;より好ましくは、20%未満;より好ましくは、30%未満;より好ましくは、40%未満;より好ましくは、50%未満;さらにより好ましくは、50%未満;最も好ましくは、75%未満である。腫瘍再増殖は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、腫瘍再増殖は、例えば、治療の後に起こった先の腫瘍収縮の後の腫瘍の直径の増加を測定することによって測定される。別の好ましい態様では、腫瘍再増殖の減少は、治療をやめた後に腫瘍が再発しないことによって示される。
別の態様では、本発明の細胞増殖性障害の治療または予防は、細胞増殖率の低下をもたらす。好ましくは、治療後、細胞増殖率は、少なくとも5%;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;さらに好ましくは、少なくとも50%;最も好ましくは、少なくとも75%低下する。細胞増殖率は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、細胞増殖率は、例えば、単位時間当たりの組織試料中の分裂細胞の数を測定することによって測定される。
別の態様では、本発明の細胞増殖性障害の治療または予防は、増殖細胞の割合の減少をもたらす。好ましくは、治療後、増殖細胞の割合は、少なくとも5%;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;さらにより好ましくは、少なくとも50%;最も好ましくは、少なくとも75%減少する。増殖細胞の割合は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、増殖細胞の割合は、例えば、組織試料中の非分裂細胞の数に対する分裂細胞の数の割合を定量化することによって測定される。別の好ましい態様では、増殖細胞の割合は、分裂指数に相当する。
別の態様では、本発明の細胞増殖性障害の治療または予防は、細胞増殖の領域または帯域の大きさの減少をもたらす。好ましくは、治療後、細胞増殖の領域または帯域の大きさは、治療前のその大きさと比べて少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;さらにより好ましくは、少なくとも50%減少し;最も好ましくは、少なくとも75%減少する。細胞増殖の領域または帯域の大きさは、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。好ましい態様では、細胞増殖の領域または帯域の大きさは、細胞増殖の領域または帯域の直径または幅として測定され得る。
別の態様では、本発明の細胞増殖性障害の治療または予防は、異常な外観または形態を有する細胞の数または割合の減少をもたらす。好ましくは、治療後、異常な形態を有する細胞の数は、治療前のその大きさと比べて少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;さらにより好ましくは、少なくとも50%減少し;最も好ましくは、少なくとも75%減少する。異常な細胞外観または形態は、いずれもの再現性のある測定手段によって測定され得る。一の態様では、異常な細胞形態は、例えば倒立組織培養顕微鏡を使用して、顕微鏡法によって測定される。一の態様では、異常な細胞形態は、核多型の形態をとる。
本明細書で用いる場合、「選択的に」なる用語は、一の集団における方が別の集団におけるよりも高い頻度で生じる傾向にあることを意味する。一の態様では、比較される集団は細胞集団である。好ましい態様では、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体は、癌または前癌細胞に対して選択的に作用するが、正常細胞に対しては作用しない。別の好ましい態様では、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体は、一の分子標的(例えば、E2F−1)を調節するように選択的に作用するが、別の分子標的(例えば、プロテインキナーゼC)を有意には調節しない。別の好ましい態様では、本発明は、キナーゼのような酵素の活性を選択的に阻害する方法を提供する。好ましくは、ある事象が集団Aにおいて集団Bと比べて2倍以上の頻度で生じる場合には、その事象は集団Aにおいて集団Bと比べて選択的に生じている。より好ましくは、ある事象が集団Aにおいて5倍以上の頻度で生じる場合には、その事象は選択的に生じている。より好ましくは、ある事象が集団Aにおいて集団Bと比べて10倍以上、より好ましくは50倍以上、さらにより好ましくは100倍以上、最も好ましくは1000倍以上の頻度で生じる場合には、その事象は選択的に生じている。例えば、細胞死が癌細胞において正常細胞と比べて2倍以上の頻度で生じる場合には、その細胞死は癌細胞において選択的に生じると言われる。
好ましい態様では、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体は、分子標的(例えば、E2F−1)の活性を調節する。一の態様では、調節することとは、分子標的の活性を刺激または阻害することをいう。好ましくは、本発明の化合物が分子標的の活性を、該化合物の存在だけを欠いている以外は同一の条件下での分子標的の活性と比べて少なくとも10%刺激または阻害する場合には、この本発明の化合物は分子標的の活性を調節している。より好ましくは、本発明の化合物が分子標的の活性を、該化合物の存在だけを欠いている以外は同一の条件下での分子標的の活性と比べて少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍、少なくとも100倍刺激または阻害している場合には、この本発明の化合物は分子標的の活性を調節している。分子標的の活性は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。分子標的の活性は、インビトロまたはインビボで測定され得る。例えば、分子標的の活性は、酵素活性アッセイまたはDNA結合アッセイによってインビトロで測定することができるか、または、分子標的の活性は、レポーター遺伝子の発現についてアッセイすることによってインビボで測定することができる。
一の態様では、本発明の化合物の添加が分子標的の活性を、該化合物の存在だけを欠いている以外は同一の条件下での分子標的の活性と比べて10%未満しか刺激または阻害しない場合、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体は分子標的の活性を有意には調節していない。
本明細書で用いる場合、「イソ酵素選択的」なる用語は、第2のイソ型の酵素と比べて選択的な第1のイソ型の酵素の阻害または刺激(例えば、キナーゼイソ酵素βと比べて選択的なキナーゼイソ酵素αの阻害または刺激)を意味する。好ましくは、本発明の化合物は、生物学的効果を得るのに必要とされる投与量において最低4倍差、好ましくは、10倍差、より好ましくは50倍差を示す。好ましくは、本発明の化合物は、阻害の範囲の全体にわたってこの差を示し、該差は、目的の分子標的に対するIC50、すなわち、50%阻害にて例示される。
好ましい実施態様では、必要とする細胞または対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、E2Fファミリーの転写因子のメンバー(例えば、E2F−1、E2F−2、またはE2F−3)の活性の調節(すなわち、刺激または阻害)をもたらす。本明細書で用いる場合、E2Fファミリーの転写因子のメンバーの活性は、E2Fファミリーメンバーによって行われるいずれもの生物学的機能または活性をいう。例えば、E2F−1の機能は、E2F−1のその同族DNA配列への結合を包含する。E2F−1の他の機能は、細胞核への移動および転写の活性化を包含する。
一の態様では、血液癌または細胞増殖性障害の治療は、細胞死を引き起こし、好ましくは、細胞死は、集団中の細胞の数の少なくとも10%の減少をもたらす。より好ましくは、細胞死は、少なくとも20%の減少;より好ましくは、少なくとも30%の減少;より好ましくは、少なくとも40%の減少;より好ましくは、少なくとも50%の減少;最も好ましくは、少なくとも75%の減少を意味する。集団中の細胞の数は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。一の態様では、集団中の細胞の数は、蛍光活性化細胞分取(FACS)によって測定される。別の態様では、集団中の細胞の数は、免疫蛍光顕微鏡法によって測定される。別の態様では、集団中の細胞の数は、光学顕微鏡法によって測定される。別の態様では、細胞死を測定する方法は、Li et al., (2003) Proc Natl Acad Sci USA. 100(5): 2674-8に示されるとおりである。好ましい態様では、細胞死は、アポトーシスの結果生じる。
好ましい態様では、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の有効量は、正常細胞に対して有意には細胞毒性でない。治療上有効量の化合物の投与が10%を超える正常細胞においてアポトーシスを誘発しない場合には、化合物の治療上有効量は、正常細胞に対して有意には細胞毒性でない。治療上有効量の化合物の投与が10%を超える正常細胞において細胞死を誘発しない場合には、化合物の治療上有効量は、正常細胞のバイアビリティーに有意には影響を及ぼさない。
一の態様では、活性化することとは、1つまたはそれ以上の物質合成物(例えば、タンパク質または核酸)を、所望の生物学的機能を果たすのに適した状態におくことをいう。一の態様では、活性化され得る物質合成物はまた活性化されていない状態である。一の態様では、活性化した物質合成物は、抑制性生物学的機能または刺激性生物学的機能またはその両方の機能を有することができる。
一の態様では、上昇とは、物質合成物(例えば、タンパク質または核酸)の所望の生物学的活性の増強をいう。一の態様では、上昇は、物質合成物の濃度の増加を介して生じ得る。
一の態様では、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体によるチェックポイント分子の予定外発現の刺激は、癌および前癌細胞の特徴である、欠陥のあるチェックポイントを有する細胞における細胞死を引き起こす。一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、チェックポイント分子E2Fの予定外発現を刺激する。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、E2Fチェックポイント経路の活性化を引き起こす。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、E2Fチェックポイント経路の活性化を引き起こす。好ましい態様では、E2F経路活性は、10%以上;25%以上;50%以上;2倍以上;5倍以上;最も好ましくは、10倍以上増大する。別の好ましい態様では、E2F活性は、10%以上;25%以上;50%以上;2倍以上;5倍以上;最も好ましくは、10倍以上増大する。E2F活性の誘発およびE2Fレベルの上昇を測定する方法は、Li et al., (2003) Proc Natl Acad Sci U S A. 100(5): 2674-8に示されるとおりである。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、E2F転写因子の上昇を引き起こす。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、E2F転写因子の上昇を引き起こす。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、血液癌細胞において選択的にE2F転写因子の上昇を引き起こすが、正常細胞においては引き起こさない。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、血液癌細胞において選択的にE2F転写因子の上昇を引き起こすが、正常細胞においては引き起こさない。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、E2F転写因子の予定外活性化を刺激する。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、E2F転写因子の予定外活性化を刺激する。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、血液癌細胞において選択的にE2F転写因子の予定外活性化を刺激するが、正常細胞においては刺激しない。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、血液癌細胞において選択的にE2F転写因子の予定外活性化を刺激するが、正常細胞においては刺激しない。
無傷の調節メカニズムを有する正常細胞においては、チェックポイント分子の強制発現(例えば、細胞をβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体と接触させることによって誘発される)は、実質的に重要であることが報告されていない発現パターンを引き起こす。対照的に、癌および前癌細胞は、欠陥のあるメカニズムを有しており、その結果、予定外チェックポイント分子(例えば、E2F)の抑制のない発現または持続性発現またはその両方を引き起こし、癌および前癌細胞における選択的細胞死をもたらす。本発明は、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与による予定外チェックポイント分子の抑制のない発現または持続性発現またはその両方を包含し、提供する。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントの活性化を引き起こす。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイントの活性化を引き起こす。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント経路の活性化を引き起こす。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント経路の活性化を引き起こす。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント調節因子の活性化を引き起こす。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、1つまたはそれ以上の細胞周期チェックポイント調節因子の活性化を引き起こす。
一の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、血液癌細胞において選択的に細胞死を誘発または活性化する。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、血液癌細胞において選択的に細胞死を誘発または活性化する。別の態様では、細胞のβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体との接触は、血液系の細胞増殖性障害に冒されている1つまたはそれ以上の細胞において選択的に細胞死を誘発する。好ましくは、必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与は、血液系の細胞増殖性障害に冒されている1つまたはそれ以上の細胞において選択的に細胞死を誘発する。
好ましい態様では、本発明は、癌の治療または予防を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体を投与することによる癌の治療または予防方法であって、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の投与が以下のことの1つまたはそれ以上を引き起こす、方法に関する:細胞周期のG1および/またはS期における細胞の蓄積、正常細胞ではそうではないが癌細胞における細胞死を介する細胞毒性、少なくとも2の治療指数をもつ動物における抗腫瘍活性、および細胞周期チェックポイントの活性化(例えば、E2Fファミリーの転写因子のメンバーの活性化または上昇)。本明細書で用いる場合、「治療指数」とは、最大耐性量を有効投与量で割ったものである。
さらなる態様では、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体は、化学療法剤と組み合わせて投与することができる。血液癌のような細胞増殖性障害に対して活性を有する代表的な化学療法剤は当業者に知られており、Physician's Desk Reference, 59th Edition, Thomson PDR (2005)のような参考書に見ることができる。例えば、該化学療法剤は、タキサン、アロマターゼ阻害物質、アントラサイクリン、微小管標的薬(microtubule targeting drug)、トポイソメラーゼ毒薬(topoisomerase poison drug)、標的モノクローナルまたはポリクローナル抗体、分子標的または酵素の阻害物質(例えば、キナーゼ阻害物質)、またはシチジンアナログ薬であり得る。好ましい態様では、該化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、GLEEVEC(登録商標)(イマタニブ(imatanib))、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル)、IRESSA(登録商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVATM(エルロチニブ)、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、araC、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキセート(MTX)、TAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)、ZOLADEX(登録商標)(ゴセレリン)、AVASTINTM(ベバシズマブ)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポシロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノニビシン(daunonibicin)、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシンまたはイダルビシン、またはwww.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.aspに挙げられている薬剤であり得るが、これらに限定されるものではない。別の態様では、該化学療法剤は、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)のようなサイトカインであり得る。別の態様では、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体は、放射線療法と組み合わせて投与され得る。さらに別の態様では、β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体は、CMF(シクロホスファミド、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシンおよび5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシンおよびシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシン、およびシクロホスファミド)、ACTまたはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド、およびパクリタキセル)、またはCMFP(シクロホスファミド、メトトレキセート、5−フルオロウラシルおよびプレドニゾン)(これらに限定されない)のような標準的な化学療法組み合わせと組み合わせて投与することができる。
好ましい態様では、血液癌のような血液系の細胞増殖性障害は、その治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩、代謝物、アナログもしくは誘導体の治療上有効量をゲムシタビンの治療上有効量と組み合わせて投与することによって治療される。GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン塩酸塩)は、抗腫瘍活性を示すヌクレオシドアナログである2'−デオキシ−2',2'−ジフルオロシチジン・一塩酸塩(β異性体)である。ゲムシタビンは、膵癌、乳癌、非小細胞血液癌、卵巣癌および膀胱癌を包含する種々の癌を治療するために、単独療法で、または、他の薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル))と組み合わせて、使用することができる。ゲムシタビンは、細胞期特異性を示し、主にDNA合成(S期)を受けている細胞を死滅させ、また、G1/S境界を経る細胞の進行を遮断する。理論によって制限されないが、ゲムシタビンヌクレオチドがDNAに取り込まれた後は、成長DNA鎖に付加できるさらなるヌクレオチドは1個だけであると考えられる。再び理論によって制限されないが、DNAポリメラーゼεは、ゲムシタビンヌクレオチドを除去することおよび成長DNA鎖を修復することができない(例えば、マスクドチェインターミネーション)と考えられる。CEM Tリンパ芽球腫細胞において、ゲムシタビンは、プログラム細胞死(例えば、アポトーシス)の特徴の1つであるヌクレオソーム間DNAフラグメンテーションを誘発する。
本明細書で用いる場合、「白血球減少症」は、血液中を循環している白血球の数が減少する症状、例えば、白血球数(WBC)が正常範囲以下である状態である。一の態様では、成人対象体では、正常な白血球数は、全血1μlあたり約5,000〜11,000cuである。一の態様では、成人対象体では、白血球数が約5,000cu/μl以下である場合に白血球減少症が存在する。別の態様では、成人対象体では、白血球数が約3,000〜5,000cu/μlである場合に軽度の白血球減少症が存在し、白血球数が約1,500〜3,000cu/μlである場合に中等度の白血球減少症が存在し、白血球数が約1,500cu/μl未満である場合に重度の白血球減少症が存在する。白血球数は、いずれもの再現性のある手段によって測定され得る。一の態様では、白血球数は、自動白血球カウントを行うことができる医学的診断装置によって測定される。
本明細書で用いる場合、「好中球減少症」は、血液中を循環している好中球の数が減少する症状である。一の態様では、成人対象体では、正常な好中球数は、全血1cc3あたり約1,000〜1,500細胞である。一の態様では、成人対象体では、好中球数が約1,000細胞/cc3以下である場合に好中球減少症が存在する。別の態様では、成人対象体では、好中球数が約500〜1,000細胞/cc3である場合に軽度の好中球減少症が存在し、好中球数が約200〜500細胞/cc3である場合に中等度の好中球減少症が存在し、好中球数が約200細胞/cc3未満である場合に重度の好中球減少症が存在する。好中球減少症は、いずれもの再現性のある手段によって評価され得る。一の態様では、好中球減少症は、白血球カウントおよびディファレンシャルを行うことによって評価される。一の態様では、ディファレンシャルは、100個の白血球を計数し、それらを核の形状および外観、色ならびに粒度によって好中球、バンド、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、または異型もしくは未成熟細胞のいずれかであると同定することによって行われる。一の態様では、白血球数は、自動白血球カウントを行うことができる医学的診断装置によって測定される。一の態様では、ディファレンシャルは、光学顕微鏡を使用して手動で行われる。別の態様では、ディファレンシャルは、医学的診断装置によって自動的に行われる。
本明細書で用いる場合、「単球減少症」は、血液中を循環している単球の数が減少する症状である。一の態様では、成人対象体では、正常な単球数は、全血1cc3あたり約40〜180細胞である。一の態様では、成人対象体では、単球数が約35細胞/cc3以下である場合に単球減少症が存在する。別の態様では、単球のパーセンテージがディファレンシャルアッセイ法を使用して約2%未満である場合に単球減少症が存在する。単球減少症は、いずれもの再現性のある手段によって評価され得る。一の態様では、単球減少症は、白血球カウントおよびディファレンシャルを行うことによって評価される。一の態様では、ディファレンシャルは、100個の白血球を計数し、それらを核の形状および外観、色ならびに粒度によって好中球、バンド、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、または異型もしくは未熟細胞のいずれかであると同定することによって行われる。一の態様では、白血球数は、自動白血球カウントを行うことができる医学的診断装置によって測定される。一の態様では、ディファレンシャルは、光学顕微鏡を使用して手動で行われる。別の態様では、ディファレンシャルは、医学的診断装置によって自動的に行われる。
本明細書で用いる場合、「リンパ球減少症」は、血液中を循環しているリンパ球の数が減少する症状である。一の態様では、成人対象体では、正常なリンパ球数は、全血1cc3あたり約400〜1,200細胞である。一の態様では、成人対象体では、リンパ球数が約350細胞/cc3以下である場合にリンパ球減少症が存在する。別の態様では、リンパ球のパーセンテージがディファレンシャルアッセイ法を使用して約20%未満である場合にリンパ球減少症が存在する。リンパ球減少症は、いずれもの再現性のある手段によって評価され得る。一の態様では、リンパ球減少症は、白血球カウントおよびディファレンシャルを行うことによって評価される。一の態様では、ディファレンシャルは、100個の白血球を計数し、それらを核の形状および外観、色ならびに粒度によって好中球、バンド、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、または異型もしくは未熟細胞のいずれかであると同定することによって行われる。一の態様では、白血球数は、自動白血球カウントを行うことができる医学的診断装置によって測定される。一の態様では、ディファレンシャルは、光学顕微鏡を使用して手動で行われる。別の態様では、ディファレンシャルは、医学的診断装置によって自動的に行われる。
一の態様では、免疫細胞の変化したプロフィールは、白血球カウントおよびディファレンシャルを行うことによって評価され得る。一の態様では、成人対象体では、免疫細胞の正常なプロフィールは、全血1μlあたり約5,000〜11,000cuの総白血球数;全血1cc3あたり約1,000〜1,500細胞の好中球数;好中球50〜60%;リンパ球20〜40%;単球2〜6%;好酸球1〜4%;および好塩基球0.5〜1%を含む。一の態様では、免疫細胞の変化したプロフィールは、規定パラメーターの1つ、または規定パラメーターの2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つにおいて正常なプロフィールと異なるプロフィールである。一の態様では、白血球数は、自動白血球カウントを行うことができる医学的診断装置によって測定される。一の態様では、ディファレンシャルは、光学顕微鏡を使用して手動で行われる。別の態様では、ディファレンシャルは、医学的診断装置によって自動的に行われる。
当業者は、本明細書に記載した既知の技術または等価技術の詳細な説明のために一般的な参考書を参考にすることができる。これらの参考書としては、以下のものを挙げることができる:Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (2005);Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2000);Coligan et al., Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, N.Y.;Enna et al., Current Protocols in Pharmacology, John Wiley & Sons, N.Y.;Fingl et al., The Pharmacological Basis of Therapeutics (1975), Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition (1990)。これらの参考書は、もちろん、本発明の態様を行ったり使用したりする際にも参考にすることができる。
本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体は、投与に適した医薬組成物中に配合することができる。かかる組成物は、典型的には、当該化合物(すなわち、当該活性化合物を含む)および医薬上許容される賦形剤または担体を含む。本明細書で用いる場合、「医薬上許容される賦形剤」または「医薬上許容される担体」とは、医薬投与に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、ならびに等張および吸収遅延剤などを含むものである。適当な担体は、当該技術分野における標準的な参考書であるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。かかる担体または希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。医薬上許容される担体としては、ラクトース、白土、シュークロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸などのような固体担体が挙げられる。代表的な液体担体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油および水などが挙げられる。同様に、該担体または希釈剤は、単独でまたはワックス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメチルメタクリレートなどと一緒に使用する、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような当該技術分野で知られている時間遅延物質を含むことができる。他の充填剤、賦形剤、フレーバー、および当該技術分野で知られているような他の添加剤もまた本発明の医薬組成物に含むことができる。リポソーム、および固定油のような非水性ビヒクルもまた使用することができる。医薬的活性物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は当該技術分野では周知である。いずれもの慣用的な媒体または薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補助的な活性化合物を当該組成物中に配合することもできる。
併用療法の一部として提供される本発明の医薬組成物は、固体、半固体または液体(例えば、懸濁剤またはエアゾール剤など)としての投与剤形で存在し得る。好ましくは、当該組成物は、正確な投与量の1回投与に適した単位投与剤形で投与される。当該組成物はまた、所望の処方に依存して、動物またはヒト投与用の医薬組成物を処方するために一般的に使用される賦形剤であると定義される医薬上許容される非毒性担体または希釈剤を含んでもよい。該希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響を及ぼさないように選択される。かかる希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液、およびハンクス液である。β−ラパコンの可溶化のための好ましい担体は、水可溶化担体分子であるヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。Poloxamer、Povidone K17、Povidone K12、Tween 80、エタノール、Cremophor/エタノール、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコールおよびTrappsolのような、β−ラパコンおよび/またはS期化合物と組み合わせるための他の水可溶化剤が意図される。さらにまた、本発明は水可溶化剤に限定されず、リピオドールおよび落花生油のような油性可溶化剤を使用することもできる。
さらに、医薬組成物または処方物はまた、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療性および非免疫性安定剤などを含むこともできる。かかる希釈剤または担体の有効量は、成分の溶解性または生物学的活性などの点から見て医薬上許容される処方物を得るための有効な量である。リポソーム処方物もまた本発明において意図されるものであり、記載されている。例えば、米国特許第5,424,073号を参照。
本発明の目的のために、本明細書に記載されるG1/S期薬または化合物、またはその誘導体もしくはアナログ、およびS期薬または化合物、またはその誘導体もしくはアナログは、それらの医薬上許容される塩、好ましくはナトリウム;ハロゲン置換(好ましくは塩素またはフッ素)を含有するアナログ;アンモニウムまたは置換アンモニウム塩(好ましくは第2もしくは第3アンモニウム塩)を含有するアナログ;アルキル、アルケニル、アリールまたはそれらのアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、アルコキシ、アルケニルオキシ置換誘導体(好ましくはメチル、メトキシ、エトキシ、またはフェニルアセテート)を含有するアナログ;およびナフチルアセテートのような天然アナログを包含する。また、本明細書に記載されるG1/S期化合物またはその誘導体もしくはアナログ、およびS期化合物またはその誘導体もしくはアナログは、水溶性ポリマーと結合してもよく、または水溶性キレート化剤または放射性核種で誘導体化されてもよい。水溶性ポリマーの例としては、ポリグルタミン酸ポリマー、ポリカプロラクトンとのコポリマー、ポリグリコール酸、ポリアクチン酸、ポリアクリル酸、ポリ(2−ヒドロキシエチル1−グルタミン)、カルボキシメチルデキストラン、ヒアルロン酸、ヒト血清アルブミン、ポリアルギン酸またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性キレート化剤の例としては、DIPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)、EDTA、DTTP、DOTAまたはそれらの水溶性塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。放射性核種の例としては、111In、90Y、166Ho、68Gaおよび99mTcなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
β−ラパコンの水不溶性のために、医薬担体または可溶化剤は、本発明の治療方法に使用するのに十分な量のβ−ラパコンを提供できるように使用することができる。例えば、Jiang et al.の米国特許公開20030091639、およびBoothman et al.の米国特許公開20040001871を参照。この公開公報には、投与に十分なレベルのβ−ラパコンの可溶化を可能にするための、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(HPBCD)を包含するシクロデキストリンのような錯化剤の使用が記載されている。Boothman et al.の米国特許公開20040001871もまた参照。実施態様では、G1/S期薬またはそのアナログもしくは誘導体は、Poloxamer、Povidone K17、Povidone K12、Tween 80、エタノール、Cremophor/エタノール、ポリエチレングリコール(PEG)400、プロピレングリコール、Trappsol、α−シクロデキストリンまたはその誘導体もしくはアナログ、β−シクロデキストリンまたはその誘導体もしくはアナログ、およびγ−シクロデキストリンまたはその誘導体もしくはアナログからなる群から選択される医薬上許容される水可溶化担体分子と一緒に投与される。
一の態様では、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体は、慣用的な方法に従って本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、プロドラッグ、代謝物、アナログもしくは誘導体(活性成分として)の治療上有効量(例えば、腫瘍増殖の阻害、腫瘍細胞の死滅、細胞増殖性障害の治療または予防などを介して所望の治療効果を得るのに十分な有効レベル)を標準的な医薬担体または希釈剤と組み合わせることによって(すなわち、本発明の医薬組成物を製造することによって)調製される適当な投与剤形で投与される。これらの方法は、所望の製剤を得るために必要に応じて、成分の混合、造粒、および圧縮または溶解を含むことができる。
本発明の医薬組成物は、その意図された投与経路と適合するように処方される。投与経路の例としては、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば、吸入投与)、経皮投与(局所投与)、および経粘膜投与が挙げられる。上記したように静脈内投与が好ましいけれど、本発明はこの点において限定されず、当該化合物は、当該技術分野において知られているいずれもの手段によって投与することができる。かかる仕様としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(頬腔投与および舌下投与を含む)または非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与および皮内投与を含む)が挙げられる。投与の容易さおよび患者にとっての快適さに関しては、経口投与が一般に好ましい。しかしながら、経口投与は、静脈内投与よりも高い投与量の投与を必要とすることがある。当業者は、特定のケースにおいてどの投与剤形が最良であるかを決定することができ、必要とされる投与量と1ヶ月当たりの投与回数とのバランスをとることが必要である。非経口、皮内または皮下用途に使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分を含むことができる:注射用蒸留水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような等張性の調節のための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに密閉され得る。
非経口、皮内または皮下用途に使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分を含むことができる:注射用蒸留水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような等張性の調節のための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに密閉され得る。
本発明の化合物または医薬組成物は、現在化学療法に使用されている周知の方法の多くにおいて対象体に投与することができる。例えば、癌の治療については、本発明の化合物は、腫瘍に直接注射しても、血流または体腔中に注射しても、または、経口摂取させても、パッチを用いて皮膚を介して投与してもよい。用量は、有効な治療を構成するのに十分であるが、許容できない副作用を引き起こすほど高くはない量を選択すべきである。患者の病状(例えば、癌および前癌など)および患者の健康状態は、好ましくは、治療の間および治療後の相当期間、厳密にモニターされるべきである。
本明細書で用いる場合、「治療上有効量」なる用語は、同定された疾患または症状を治療、寛解または予防することができるか、または検出可能な治療効果または阻害効果を示すことができる医薬物の量をいう。該効果は、当該技術分野で知られているいずれものアッセイ方法によって検出することができる。対象体のための正確な有効量は、対象体の体重、サイズおよび健康;症状の性質および程度;および投与のために選択された治療薬または治療薬の組み合わせに依存するであろう。所定の状況についての治療上有効量は、臨床医のスキルおよび判断の範囲内である通常の実験によって決定することができる。好ましい態様では、治療される疾患または症状は癌である。別の態様では、治療される疾患または症状は細胞増殖性障害である。
いずれの化合物についても、治療上有効量は、最初は、細胞培養アッセイ(例えば、腫瘍性細胞の)、または動物モデル(通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌまたはブタ)のいずれかで予測することができる。該動物モデルはまた、適当な投与濃度範囲または経路を決定するために使用することもできる。かかる情報は、次に、ヒトにおける投与に有用な用量および経路を決定するために使用することができる。治療的/予防的効力および毒性は、細胞培養物または実験動物における標準的な製薬方法、例えば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%にとって致命的な用量)によって決定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比は、治療指数であり、比ED50/LD50として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。当該用量は、使用される剤形、患者の感受性、および投与経路に応じてこの範囲内で異なってよい。
投薬および投与は、十分なレベルの活性薬剤を提供できるように、または所望の効果を維持できるように調節される。考慮することができるファクターとしては、病状の重篤度、対象体の全体的な健康、対象体の年齢、体重および性別、食生活、投与時間および投与回数、薬物組み合わせ、反応感受性、および治療に対する耐性/応答が挙げられる。長時間作用性医薬組成物は、特定の処方物の半減期およびクリアランス速度に応じて、3〜4日ごと、毎週、または2週間ごとに投与することができる。
本発明の活性化合物を含有する医薬組成物は、一般的に知られている方法で、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠調製、研和(levigating)、乳化、カプセル化、封入(entrapping)、または凍結乾燥のプロセスによって、製造され得る。医薬組成物は、活性化合物の医薬的に使用することができる製剤への調製を容易にする賦形剤および/または補助剤を含む1種類またはそれ以上の医薬上許容される担体を使用して慣用的な方法で処方することができる。もちろん、適当な処方物は、選択された投与経路に依存する。
注射用途に適した医薬組成物としては、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および無菌注射溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末が挙げられる。静脈内投与について、適当な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、ニュージャージー州パーシパニィ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、当該組成物は、無菌でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度に流動的であるべきである。それは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌類のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適当な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には所要の粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌・抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールなどによって行うことができる。多くの場合、当該組成物中に等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含ませるのが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、当該組成物中に、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることによってもたらすことができる。
無菌注射液剤は、適当な溶媒中の所要の量の活性化合物を上記成分の1つまたは組み合わせと配合し、必要に応じて、次に、濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散液剤は、基本的な分散媒および上記にて列挙されたものからの所要の他の成分を含有する無菌ビヒクルに当該活性化合物を配合することによって調製される。無菌注射液剤の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、予め滅菌濾過した溶液から活性成分といずれものさらなる所望の成分とを合わせた粉末が得られる真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または可食性の医薬上許容される担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入したり、圧縮して錠剤にしたりすることができる。治療のための経口投与の目的のために、当該活性化合物は、賦形剤と配合することができ、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の剤形で使用することができる。経口組成物はまた、流動担体中の化合物を口に含み、すすいで、吐き出すかまたは飲み込むマウスウォッシュとして使用するための流動担体を使用して調製することもできる。医薬的に適合する結合剤、および/または補助剤は、当該組成物の一部として含ませることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤およびトローチ剤などは、以下の成分または類似の性質をもつ化合物のいずれかを含有することができる:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、Primogelまたはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesのような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;シュークロースまたはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバーのようなフレーバー剤。
吸入による投与のためには、当該化合物は、適当な噴射剤(例えば、二酸化炭素のようなガス)を含有する加圧容器もしくはディスペンサーまたはネブライザーからのエアゾールスプレーの剤形で送られる。
全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によるものであり得る。経粘膜または経皮投与のためには、透過する障壁に適合した浸透剤が処方に使用される。かかる浸透剤は、当該技術分野で一般的に知られており、例えば、経粘膜投与のためには、洗浄剤(detergent)、胆汁酸、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐剤の使用を介して行うことができる。経皮投与のためには、活性化合物は、当該技術分野で一般的に知られているような軟膏剤(ointments)、軟膏剤(salves)、ゲル剤またはクリーム剤に処方される。
一の態様では、活性化合物は、植込錠およびマイクロカプセル型送達システムを包含する、制御放出製剤のような、当該化合物を身体からの急速な排除から保護する医薬上許容される担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。該物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的とするリポソームを包含する)はまた、医薬上許容される担体として使用することもできる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に知られている方法に従って製造することができる。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与剤形の経口または非経口組成物を処方するのが特に好都合である。本明細書で用いられる単位投与剤形とは、治療される対象体のための単一の投薬量として適する物理的に個別の単位をいう;各単位は、所望の治療効果が得られるように算出された活性化合物の予め決定された量を所要の医薬担体と共に含有する。本発明の単位投与剤形に関する詳細は、活性化合物の固有の特徴およびもたらされる特定の治療効果によって決定づけられるものであり、直接それらに左右される。
治療用途においては、本発明に従って使用される医薬組成物の用量は、選択された用量に影響を及ぼす因子の中で特に、薬剤、受容患者の年齢、体重および臨床症状、ならびに治療を施す臨床医または開業医の経験および判断に応じて異なる。一般的に、投与量は、腫瘍の増殖の緩徐化および好ましくは退縮をもたらすのに十分であるべきであり、また、好ましくは癌の完全な退縮をもたらすのにも十分であるべきである。投与量は、約0.01mg/kg/日〜約3000mg/kg/日の範囲であり得る。好ましい態様では、投与量は、約1mg/kg/日〜約1000mg/kg/日の範囲であり得る。一の態様では、用量は、1回投与、分割投与または連続投与で、約0.1mg/日〜約70g/日;約0.1mg/日〜約25g/日;約0.1mg/日〜約10g/日;約0.1mg〜約3g/日;または約0.1mg〜約1g/日の範囲であろう(該用量は、患者の体重(kg)、体表面積(m2)および年齢に合わせて調整され得る)。医薬物の有効量は、臨床医または他の有資格オブザーバーが気付くような客観的に同定可能な改善をもたらすものである。例えば、患者における腫瘍の退縮は、腫瘍の直径に関して測定され得る。腫瘍の直径の減少は、退縮を示す。退縮はまた、治療をやめた後に腫瘍が再発しないことによっても示される。本明細書で用いる場合、「有効な量」なる用語は、対象体または細胞において所望の生物学的効果を生じる活性化合物の量をいう。
本発明の化合物は、Physician's Desk Reference, 59th Edition, Thomson PDR (2005)(「PDR」)に記載されているもののような、一般に認められた効果的な用量範囲で臨床医によって適当であることが見出されたいずれもの方法で、ゲムシタビンのようなS期化合物と組み合わせて投与することができる。一般に、ゲムシタビンは、約10mg/m2〜約10,000mg/m2、好ましくは、約100mg/m2〜約2000mg/m2、最も好ましくは、約500〜約1500mg/m2の用量で静脈内投与される。一の実施態様では、ゲムシタビンは、約100mg/m2〜約2000mg/m2の用量で静脈内投与される。一の実施態様では、ゲムシタビンは、約1000mg/m2の用量で静脈内投与される。用量は、例えば週1回、好ましくは約1〜6週間、繰り返すことができる。用量は約30分間〜約6時間にわたって、典型的には約3時間にわたって投与するのが好ましい。
ゲムシタビンのようなS期薬は、その量を通常投与される量から減らすのが好ましいであろうが、β−ラパコンまたはそのアナログもしくは誘導体のようなG1/S期薬と一緒に類似の投与計画で投与されるであろう。例えば、ゲムシタビンは、β−ラパコンを患者に投与したと同時またはその後に投与するのが好ましい。ゲムシタビンをβ−ラパコンの後に投与する場合、ゲムシタビンは、好都合には、β−ラパコンを投与して約24時間後に投与する。
本明細書に記載される併用療法薬は、1つずつ連続して、または、両方の薬剤もしくは薬剤の1つを、免疫抑制剤、増強剤および副作用緩和剤を包含するがこれらに限定されるものではない他の治療薬と一緒に含有するカクテルまたは組み合わせにおいて、投与することができる。上記のように、治療的組み合わせは、連続投与される場合、S期薬(例えば、ゲムシタビン)の前にG1/S期薬成分(例えば、β−ラパコン)を投与する場合がより効果的であり得る。例えば、G1/S期薬成分(例えば、β−ラパコン)は、S期薬(例えば、ゲムシタビン)の投与の少なくとも1時間(より好ましくは、少なくとも2時間、4時間、8時間、12時間、または24時間)前に投与される。別の実施態様では、G1/S期薬成分(例えば、β−ラパコン)は、S期薬(例えば、ゲムシタビン)の投与の少なくとも1時間(より好ましくは、少なくとも2時間、4時間、8時間、12時間、または24時間)後に投与される。該治療薬は、好ましくは、静脈内投与、または筋肉注射、皮下注射、髄腔内注射もしくは腹腔内注射によって全身投与されるであろう。一の実施態様では、S期薬は、G1/S期薬の投与と同時または後に投与される。別の実施態様では、S期薬は、G1/S期薬の投与の後に投与される。別の実施態様では、S薬は、G1/S期薬を投与してから24時間以内に投与される。
S期薬または化合物との組み合わせに関する併用療法の他の成分は、G1/S期薬(好ましくは、β−ラパコンまたはそのアナログもしくは誘導体)である。
β−ラパコンは、様々な薬理効果を有することが示されている。β−ラパコンは、DNA損傷剤に対して細胞を感作させるDNA修復阻害剤であることが示されている(Boorstein, R.J., et al., (1984) Biochem. Biophys. Res. Commun., 118:828-834;Boothman, D.A., et al., (1989) J. Cancer Res., 49:605-612)。β−ラパコンは、一般的にイヌ、ラットおよびマウスにおいて耐容性がよい。
本発明は、対象体における癌もしくは前癌症状の治療方法または癌の予防方法であって、医薬組成物が約0.15μM〜約50μMの血漿濃度を維持し、癌もしくは前癌症状を治療するかまたは癌を予防するような、β−ラパコン、またはその誘導体もしくはアナログ、またはその医薬上許容される塩、またはその代謝物、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物の治療上有効量を該対象体に投与することを含む方法を提供する。一の態様では、血漿濃度は、約0.1μM〜約100μM、約0.125μM〜約75μM;約0.15μM〜約50μM;約0.175μM〜約30μM;および約0.2μM〜約20μMであり得る。別の態様では、当該医薬組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも1週間、少なくとも24時間、少なくとも12時間、少なくとも6時間、少なくとも1時間、適当な血漿濃度を維持することができる。さらなる態様では、当該医薬組成物の適当な血漿濃度は無制限に維持され得る。さらに別の態様では、対象体は、約0.5μM−時〜約100μM−時、約0.5μM−時〜約50μM−時、約1μM−時〜約25μM−時、約1μM−時〜約10μM−時;約1.25μM−時〜約6.75μM−時、約1.5μM−時〜約6.5μM−時のAUC(曲線下面積)範囲にて医薬組成物に曝露され得る。当該医薬組成物は、1日あたり約2mg/m2〜5000mg/m2、より好ましくは、1日あたり約20mg/m2〜2000mg/m2、より好ましくは、1日あたり約20mg/m2〜500mg/m2、最も好ましくは、1日あたり約30〜300mg/m2の投与量で投与することができる。好ましくは、ヒトについて投与される量は1日あたり2mg/m2〜5000mg/m2である。別の態様では、当該医薬組成物は、1日あたり受容者の体重1kgにつき約10〜1,000,000μg;好ましくは、1日あたり受容者の体重1kgにつき約100〜500,000μg、より好ましくは、1日あたり受容者の体重1kgにつき約1000〜250,000μg、最も好ましくは、1日あたり受容者の体重1kgにつき約10,000〜150,000μgの用量で投与することができる。当業者は、医薬組成物が投与される対象体に応じて、1日あたりのmg/m2または1日あたりの受容者の体重1kgについてのμgにて適当な用量を決定することができる。
他の化学療法薬の使用と同様に、個々の患者は、治療医が適当であると思う方法でモニターされるであろう。用量はまた、米国国立癌研究所(National Cancer Institute)の一般毒性判定基準(Common Toxicity Criteria)を使用して、重篤な好中球減少症または重篤な末梢神経障害が生じる場合、またはグレード2またはそれよりも高いレベルの粘膜炎が観察される場合には、減らすこともできる。
β−ラパコンのようなG1/S期化合物を投与する際には、かかる化合物の通常の投与量は、個々に、上記したように使用される。しかしながら、併用療法を使用する場合、低い投与量、好ましくは、個々の量の75%またはそれ以下、より好ましくは、50%またはそれ以下、さらにより好ましくは、40%またはそれ以下を使用するのが好ましい。ここで用いる場合、「有効量」なる用語は、本発明の併用投与計画においていずれかの他の活性薬剤と組み合わせて病状を治療するのに有効な量をいう。
治療用途では、本発明に従って使用される薬剤の投与量は、選択された用量に影響を及ぼす因子の中で特に、薬剤、受容患者の年齢、体重および臨床症状、ならびに治療を施す臨床医または開業医の経験および判断に応じて異なる。一般的に、投与量は、腫瘍の増殖の緩徐化および好ましくは退縮をもたらすのに十分であるべきであり、また、好ましくは癌の完全な退縮をもたらすのにも十分であるべきである。医薬物の有効量は、臨床医または他の有資格オブザーバーが気付くような客観的に同定可能な改善をもたらすものである。患者の腫瘍退縮は、典型的には、腫瘍の直径を参照して測定される。腫瘍の直径の減少は退縮を示す。退縮はまた、治療をやめた後に腫瘍が再発しないことによっても示される。好ましい実施態様では、少なくとも20%、より好ましくは、50%、80%、90%、95%または99%の腫瘍サイズまたは腫瘍組織量の減少が好ましい。
当該医薬組成物は、投与説明書と一緒に容器、パック、またはディスペンサー中に含ませることができる。
実施例1
増殖性ヒト白血病またはリンパ腫細胞を6ウェルプレートにて1ウェルあたり1000個播種し、48時間インキュベートする。β−ラパコンを5μl未満の濃縮溶液(0.1%未満の最終DMSO濃度に相当する)中にてディッシュに加える。β−ラパコンをDMSO中20mMの濃度で溶解し、完全培地で希釈する。対照プレートには、同量のDMSOだけを与える。1〜4時間曝露した後、細胞をすすぎ、無薬物培地を加えてよい。培養物を10〜20日間そのままにしてコロニー形成を可能にし、次いで、固定し、改良ライト−ギムザ染色法(Sigma)で染色してよい。細胞が30個を超えるコロニーを生き残ったものとしてスコアを付ける。細胞を完全な湿度下、5%CO2中にて37℃に維持する。
別法として、β−ラパコンの不在下または存在下(例えば、2、4、8、および20μM)で1〜24時間培養したヒト白血病またはリンパ腫細胞の細胞死をMTTアッセイによって測定する。すなわち、MTTアッセイは、96ウェルプレート中に1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし、完全増殖培地中にて48時間培養し、β−ラパコンで1〜24時間処理し、無薬物培地で24時間培養することによって行われる。該培養培地にMTT溶液を加え、2時間後、ELISAリーダーで光学濃度を読み取ることができる。
別法として、β−ラパコンの不在下または存在下で培養したヒト白血病またはリンパ腫細胞の細胞死を蛍光活性化細胞選別装置(FACS)分析によって測定する。別法として、β−ラパコンの不在下または存在下で培養したヒト白血病またはリンパ腫細胞の細胞死をLi et al., (2003) Proc Natl Acad Sci U S A. 100(5): 2674-8に記載された方法によって測定する。
実施例2
標準条件下にて他の抗腫瘍剤との比較を可能にする、60個の癌細胞系のNCIインビトロスクリーンにてβ−ラパコンを試験する。NCIアッセイは、投与の条件を摸倣するようには設計されていない標準的な条件下にて行われ、エンドポイントとしてスルホローダミンBアッセイを使用する。β−ラパコンは、−4.5〜−5.3の間のLC50(50%死亡率を生じるlog10モル濃度)、および全ての細胞の平均値−5.07をもって、多くの細胞型に対して幅広く活性である。60個の系のNCIセットは、少なくとも4つの白血病細胞系、CCRF−CEM(急性リンパ芽球性白血病);HL−60(急性骨髄性白血病);K562(慢性骨髄性白血病);MOLT−4(急性リンパ芽球性白血病);および1つのリンパ腫細胞系SR(リンパ性リンパ腫)を包含する。60個の系のNCIセットはまた、細胞系RPMI−8226(多発性骨髄腫)を包含する。公的に入手可能なデータを有する一般的な癌型のための多くのFDA承認化学療法薬と比べると、全細胞にわたってβ−ラパコンの平均値を超える承認薬はなく、ミトキサントロンだけがそれに等しい。図2を参照。
図1は、細胞周期に対するβ−ラパコンおよびタキソールの作用ポイント案の図を示す。 図2は、インビトロでのNCI60アッセイにおけるヒト癌細胞の生き残りに対するβ−ラパコンの効果を示す。

Claims (39)

  1. リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が治療される)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌の治療方法。
  2. リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌が肥満細胞腫瘍である、請求項1記載の方法。
  3. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与が細胞周期チェックポイントの活性化をもたらす、請求項1記載の方法。
  4. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与がE2Fの活性の調節をもたらす、請求項1記載の方法。
  5. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与がリンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する、請求項1記載の方法。
  6. 細胞死がアポトーシスである、請求項5記載の方法。
  7. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が非経口投与される、請求項1記載の方法。
  8. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が注射により投与される、請求項1記載の方法。
  9. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が静脈内投与される、請求項1記載の方法。
  10. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が経口投与される、請求項1記載の方法。
  11. リンパ腫の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、リンパ腫が治療される)を含む、リンパ腫の治療方法。
  12. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与が細胞周期チェックポイントの活性化をもたらす、請求項11記載の方法。
  13. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与がE2Fの活性の調節をもたらす、請求項11記載の方法。
  14. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与がリンパ腫における細胞死を誘発する、請求項11記載の方法。
  15. 細胞死がアポトーシスである、請求項14記載の方法。
  16. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が非経口投与される、請求項11記載の方法。
  17. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が注射により投与される、請求項11記載の方法。
  18. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が静脈内投与される、請求項11記載の方法。
  19. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が経口投与される、請求項11記載の方法。
  20. 白血病の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、白血病が治療される)を含む、白血病の治療方法。
  21. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与が細胞周期チェックポイントの活性化をもたらす、請求項20記載の方法。
  22. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与がE2Fの活性の調節をもたらす、請求項20記載の方法。
  23. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与が白血病における細胞死を誘発する、請求項20記載の方法。
  24. 細胞死がアポトーシスである、請求項23記載の方法。
  25. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が非経口投与される、請求項20記載の方法。
  26. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が注射により投与される、請求項20記載の方法。
  27. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が静脈内投与される、請求項20記載の方法。
  28. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が経口投与される、請求項20記載の方法。
  29. 骨髄腫瘍の治療を必要とする対象体にβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量を医薬上許容される担体と組み合わせて投与すること(ここで、骨髄腫瘍が治療される)を含む、骨髄腫瘍の治療方法。
  30. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与が細胞周期チェックポイントの活性化をもたらす、請求項29記載の方法。
  31. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与がE2Fの活性の調節をもたらす、請求項29記載の方法。
  32. かかる治療を必要とする対象体へのβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の治療上有効量の投与が骨髄腫瘍における細胞死を誘発する、請求項29記載の方法。
  33. 細胞死がアポトーシスである、請求項32記載の方法。
  34. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が非経口投与される、請求項29記載の方法。
  35. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が注射により投与される、請求項29記載の方法。
  36. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が静脈内投与される、請求項29記載の方法。
  37. β−ラパコンまたはその医薬上許容される塩が経口投与される、請求項29記載の方法。
  38. リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌をβ−ラパコンまたはその医薬上許容される塩の有効量と接触させること(ここで、該接触がリンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する)を含む、リンパ腫、白血病、骨髄腫瘍および肥満細胞腫瘍からなる群から選択される癌における細胞死を誘発する方法。
  39. 細胞死がアポトーシスである、請求項38記載の方法。
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