JP2007523093A - 非CpG核酸を使用した全身性免疫活性化法 - Google Patents

非CpG核酸を使用した全身性免疫活性化法 Download PDF

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Abstract

本発明は、全身性の抗原非特異的免疫応答及び強力な抗原特異的免疫応答の両方を哺乳動物において誘発するのに有効な全身免疫活性化法に関する。当該方法は、癌、アレルギー性炎症に付随する疾患、又は感染症を含む疾患から哺乳動物を守るために特に有効である。かかる方法に有用な治療組成物も開示される。

Description

本発明は、遺伝子による免疫化ストラテジーを使用して、哺乳動物において免疫応答を誘発する組成物及び方法に関する。より具体的に、本発明は、哺乳動物における全身性の非特異的(つまり、抗原非特異的)免疫応答、並びに抗原特異的免疫応答を誘発する組成物及び方法を含む。当該免疫応答の両方ともが、免疫化法において有用である。
ワクチンは、疾患を予防し、そして既存の疾患を治療するために広く使用されている(治療ワクチン)。しかしながら、病原体による感染、癌、及び免疫応答の誘発による治療の影響を受けやすい他の疾患を含む様々な疾患に対する安全かつ有効なワクチン及びアジュバントを開発するための差し迫った必要性が残る。
免疫応答の誘発及び/又は調節の影響を受けやすい哺乳動物の疾患のうちの主要な3のタイプは、感染症、アレルギー性炎症性疾患、及び癌を含むが、本発明はこれらの疾患タイプの治療に限定されない。感染症は、感染因子(つまり、感染症病原体)により引き起こされ、その例は、ウイルス、細菌、寄生虫、酵母、及び他の真菌を含む。アレルギー性炎症性疾患では、アレルゲンが、アレルギー体質の又は感作された動物における炎症に関与する細胞をリクルートする炎症メディエーターの放出を引き起こし、その存在が、組織損傷を招き、そしてしばしば死を招きうる。癌は、DNA修復、DNA損傷の阻止、又は損傷を受けたDNAを有する細胞の増殖阻止を遺伝的にできないことから生じうるし、及び/又は未制御の細胞増殖及びDNA合成を導く生物学的機能不全又は遺伝子の突然変異から生じうる。
かかる疾患から哺乳動物を守る試みにおいて用いられる従来の試薬は、感染因子又は未制御の生物学的機能に関与する細胞を破壊する試薬、又はかかる細胞の活性を調節する試薬を含む。しかしながら、かかる試薬は、不所望の副作用をもたらしうる。例えば、ウイルスDNAの複製を乱す抗ウイルス薬は、治療を受けた患者における通常細胞のDNA複製を乱すことが多い。アレルギー性炎症における抗炎症薬及び症状軽減薬の使用は、その副作用のため、又は炎症応答の基礎原因を攻撃できないことのため、重大な問題である。癌細胞を破壊する化学療法薬を用いた他の治療法は、典型的に、出血、嘔吐、下痢、潰瘍、脱毛、及び二次癌及び二次感染へのかかりやすさの増加といった副作用を招く。
疾患治療の他の方法は、患者の免疫系を調節して、患者の自然防御機構を助けることを含む。患者における免疫応答を制御しようとして使用された従来の試薬及び方法は、不所望の副作用をもたらし、そして限られた有効性しか有さない。例えば、癌を治療するために使用される免疫薬理学的試薬(例えば、インターロイキン)は、患者の循環系において短時間しか存在せず、そして大量投与を除いて効果がない。免疫制御の医学的な重要性のため及び現存する免疫薬理学的試薬が不適切であるため、免疫系の具体的な役割を制御する試薬及び方法は、長年の研究課題である。
ワクチンは、疾患を予防するためのみに使用されるばかりでなく、既存の疾患を治療するためにも使用されうる(つまり、治療ワクチン)。免疫系のTリンパ球により認識される多くの腫瘍抗原が近年同定されてきており、そして有効なワクチン候補として考えられている。従来のワクチンは、一般的に(1)アジュバントと投与される精製された抗原、又は(2)患者に投与されて免疫応答を生じさせるが、重大な疾患又は病気を引き起こさない病原体の弱毒化形態のいずれかからなる。
対照的に、遺伝子ワクチンは、免疫応答を生じさせる抗原をコードするDNA配列を含む。遺伝子ワクチンが抗原特異的免疫応答を生じさせるようにするために、関心の遺伝子が、哺乳動物の宿主において発現されなければならない。遺伝子発現は、ワクチン接種された患者において関心の外来遺伝子を発現するウイルス・ベクター(例えば、アデノウイルス、ポックスウイルス)を使用することにより達成され、そしてコードされたタンパク質に対する免疫応答を誘導した。或いは、外来遺伝子をコードするプラスミドDNAが、免疫応答を誘導するために使用された。これらのいわゆる「裸」のDNAワクチンの投与の主な投与経路は、筋肉内又は経皮投与である。おそらく、ウイルス・デリバリー・システムが、裸のDNAワクチンよりも強い炎症及び免疫活性化を誘導するので、ウイルスベクター・システムは、裸のDNAシステムよりも優れた免疫応答を誘導することが一般的に認められる。主に補体カスケードによりウイルス成分を認識する結果として非特異的免疫応答を誘導するウイルス・ワクチンの性質は、かかる免疫応答がワクチンの再投与を妨げることが多いので、潜在的な欠点になる。
その結果、安全であり、抗原特異的であり、そして免疫応答の誘発による治療の影響を受けやすい疾患、例えば感染症、アレルギー、及び癌を予防及び/又は治療するために効果的である免疫応答を生じさせることができるより優れたワクチンを提供することへのニーズが存在する。
要約
本発明の一の実施態様は、一般的に、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する方法に関する。当該方法は、静脈内投与及び腹腔内投与から選ばれる投与経路により、哺乳動物に治療用組成物を投与するステップを含む。当該治療組成物は、(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b) 転写制御配列に発現可能なように結合されていない単離核酸分子を含む。別の実施態様では、投与経路は、静脈内投与である。本方法のさらなる実施態様では、単離核酸分子は、非コード配列を含む。一の実施態様では、単離核酸分子は、細菌核酸配列を含まない。
従って、本発明の別の実施態様は、哺乳動物において、全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する組成物である。かかる組成物は、(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b) 転写制御配列に発現可能なように結合されていない単離核酸分子を含む。一の実施態様では、核酸分子は、細菌核酸配列を含まない。
本発明の別の実施態様は、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する組成物であって、(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル、及び(b) 単離された非コード核酸配列を含む組成物に関する。本発明の別の実施態様は、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する組成物であって、(a) 少なくとも10ヌクレオチド長を超え、そしてCpGモチーフを含まない単離された非コード核酸配列を含む組成物に関する。
本発明のさらなる実施態様は、一般的に、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する方法に関する。当該方法は、静脈内投与及び腹腔内投与から選ばれる投与経路により、当該哺乳動物に治療組成物を投与するステップを含む。当該治療組成物は、(a) CpGモチーフを含まない単離核酸分子であって、発現可能なように転写制御配列に結合されていない単離核酸分子を含む。別の実施態様では、投与経路は静脈内投与である。当該方法のさらなる実施態様では、単離核酸分子は、非コード配列を含む。
本発明の組成物は、医薬として許容される賦形剤をさらに含みうる。医薬として許容される賦形剤は、例えば、非イオン性希釈剤、及びより好ましくは5%ブドウ糖液(D5W)を含みうる。
本発明の上記方法及び組成物は、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する利点を有し、そしてより具体的に哺乳動物において全身性の抗ウイルス免疫応答を誘発する利点を有する。さらに、本発明の方法及び組成物は、哺乳動物において、全身性の抗腫瘍免疫応答を誘発することができる。かかる抗腫瘍免疫応答は、哺乳動物における腫瘍の低下をもたらしうる。かかる抗腫瘍免疫応答は、哺乳動物における腫瘍の低下をもたらしうる。本発明の方法及び組成物は、哺乳動物におけるアレルギー性炎症に対する全身性の防御的免疫応答を誘発することができる。本発明の方法及び組成物により誘発される全身性の抗原非特異的免疫応答は、哺乳動物における効果細胞活性、及び特にナチュラルキラー(NK)細胞活性を増加をもたらし、そしてさらに哺乳動物においてIFNγの産生増加をもたらしうる。
本発明のさらに別の実施態様は、哺乳動物において免疫原特異的免疫応答及び全身性非特異的免疫応答を誘発する方法に関する。当該方法は、静脈内投与及び腹腔内投与から選ばれる投与経路により、哺乳動物に治療組成物を投与することを含む。治療組成物は以下の:(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b)免疫原をコードする単離核酸配列を含む組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は、転写制御配列に発現可能なように結合されている。特に適した転写制御配列は、ラウス肉種ウイルス(RSV)制御配列、サイトメガロウイルス(CMV)制御配列、アデノウイルス制御配列、及びサル・ウイルス(SV-40)制御配列を含む。本発明の当該方法は、哺乳動物における全身性の免疫原非特異的免疫応答、並びに哺乳動物において強力な治療効果を有する免疫原特異的免疫反応の両方を誘発する特有の利点を有する。一の他の好ましい実施態様では、免疫原は、腫瘍抗原、感染症病原菌抗原、又はアレルゲンである。
哺乳動物が癌を有している場合、当該免疫原は、好ましくは腫瘍抗原である。本方法の一の実施態様において、治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含むことができる。ここで当該組換え核酸分子の各々は、自己腫瘍サンプルから単離された全RNAから増幅されたcDNA配列を含み、ここで当該cDNA配列の各々は、腫瘍抗原又はその断片をコードし、そして転写制御配列に発現可能なように結合されている。別の実施態様では、治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含み、当該組換え核酸分子の各々は、組織学上の同じ腫瘍タイプの複数のアロジェネイック腫瘍サンプルから単離された全RNAから増幅されたcDNA配列を含み、ここで当該cDNA配列の各々は、腫瘍抗原又はその断片をコードし、そして転写制御配列に操作可能なように結合されている。
本発明の方法及び組成物は、黒色腫、扁平上皮細胞癌、乳癌、頭部及び頸部癌、甲状腺癌腫、軟部肉腫、骨肉腫、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、脈管腫、血管肉腫、肥満細胞腫瘍、原発性肝癌、肺癌、膵癌、消化器癌、腎細胞癌、造血系新生物、及びそれらの転移性癌を含む癌を治療するために特に有用である。本発明の組成物及び方法は、原発性肺癌又は転移肺癌の治療に特に有用である。
従って、本組成物に有用である腫瘍抗原は、好ましくは黒色腫、扁平上皮癌、乳癌、頭部及び頸部癌、甲状腺癌、軟部肉腫、骨肉腫、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、脈管種、血管肉腫、肥満細胞腫瘍、原発肝癌、肺癌、膵癌、消化器癌、腎細胞癌、造血系新生物、及びそれらの転移性癌からなる群から選ばれる癌由来である。腫瘍抗原は、好ましくは、T細胞により認識されるエピトープを有する腫瘍抗原、B細胞により認識されるエピトープを有する腫瘍抗原、腫瘍抗原により過度に発現される腫瘍抗原、及び/又は腫瘍細胞及び非腫瘍細胞により発現される腫瘍抗原の群から選ばれる。
免疫原が、哺乳動物において発現される腫瘍抗原である場合、本発明の方法は、癌の緩和、癌に付随する腫瘍の大きさの低減、癌に付随する腫瘍の排除、転移癌の予防、癌の予防、及び癌に対する効果細胞免疫の刺激から選ばれる結果をもたらす。腫瘍抗原が静脈内投与される場合、抗原が哺乳動物の肺組織において発現され、そして哺乳動物における転移肺癌を予防する。
免疫原が感染症病原の抗原である場合、本発明の方法及び組成物は、感染症を患う哺乳動物に有用であり、そして特に慢性感染症を患う哺乳動物に有用である。かかる免疫原は、細菌、ウイルス、寄生虫、及び真菌を含む感染症病原体由来でありうる。かかる感染症病原体は、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、及びカンジダを含む。感染症病原体がウイルス、特にヒト免疫不全ウイルス、及びネコ免疫不全ウイルスである場合、本発明は特に有用である。別の実施態様では、本方法は、感染症が結核である場合に特に有用である。本実施態様では、免疫原は、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の抗原、又はより具体的には抗原85でありうる。
哺乳動物の組織中で、病原体抗原の発現は、疾患の緩和、疾患に付随する定着した病巣の退行、疾患の症状の緩和、疾患に対する免疫化、疾患に対する効果細胞免疫の刺激の群から選ばれる結果をもたらす。
本方法の一の実施態様では、治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含み、ここで当該組換え核酸分子の各々は、感染症病原体から単離された全RNAから増幅されたcDNA配列を含み、ここで当該cDNA配列の各々が感染症病原体由来の免疫原又はその断片をコードし、そして転写制御配列に発現可能なように結合する。
哺乳動物が、アレルギー性炎症に付随する疾患を患う場合、免疫原はアレルゲンである。適切なアレルゲンは、植物の花粉、薬剤、食物、毒液、昆虫排出物、カビ、動物体液、動物の毛髪、及び動物の鱗屑を含む。哺乳動物が、アレルギー性気道疾患、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び食物アレルギーから選ばれる疾患を患っている場合、当該方法は特に有用である。哺乳動物の組織におけるアレルゲンの発現は、疾患の緩和、疾患症状の緩和、疾患に対する脱感作、および疾患に対する保護的免疫応答の刺激からなる群から選ばれる結果をもたらす。
本方法の別の実施態様では、治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含み、ここで当該組換え核酸分子の各々はアレルゲンから単離された全RNAから増幅されたcDNA配列を含み、ここで当該cDNA配列は、アレルゲン又はその断片をコードし、そして転写制御配列に発現可能なように結合される。
本発明のさらに別の実施態様は、哺乳動物において全身性の非特異的免疫応答を誘発する方法であって、静脈内投与及び腹腔内投与から選ばれる投与経路により、当該哺乳動物に治療組成物を投与することを含み、ここで当該治療組成物が、以下の:(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b) サイトカインをコードする単離核酸配列を含む組換え核酸分子(ここで当該拡散分子は、転写制御配列に発現可能なように結合されている)を含む方法に関する。本発明の方法は、特に全身性の抗ウイルス性免疫応答;全身性の抗腫瘍免疫応答;哺乳動物のアレルギー性炎症に対する防御免疫応答;及び/又は哺乳動物における腫瘍の低下に特に有用である。さらに当該方法は、哺乳動物におけるIFNγの産生を増加させ、及び/又は哺乳動物におけるナチュラル・キラー(NK)細胞活性を増加させる。一の実施態様では、投与経路は静脈内投与である。サイトカインは、造血成長因子、インターロイキン、インターフェロン、免疫グロブリン・スーパーファミリー分子、腫瘍壊死因子ファミリー分子、及び/又はケモカインを含みうる。一の実施態様では、サイトカインは、インターロイキンであり、そしてより好ましい実施態様では、当該インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、又はインターフェロン-γ(IFNγ)の群から選ばれ、そしてさらにより好ましい実施態様では、当該インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-18(IL-18)、又はインターフェロン-γ(IFNγ)の群から選ばれる。
本発明の別の実施態様は、癌を患う哺乳動物において腫瘍抗原特異的免疫応答及び全身性の非特異的免疫応答を誘発する方法に関する。当該方法は、静脈内投与及び腹腔内投与から選ばれる投与経路により、哺乳動物に治療組成物を投与することを含む。治療組成物は以下の:(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b) 腫瘍サンプルから単離された全RNA(ここで当該RNAは腫瘍抗原をコードする)を含む。一の実施態様では、投与経路は静脈内投与である。別の実施態様では、哺乳動物に投与する前に、RNAをポリ-A・RNAについて濃縮する。
本発明のさらに別の実施態様は、感染症を患う哺乳動物において、病原体-抗原-特異的免疫応答及び全身性の非特異的免疫応答を誘発する方法に関する。かかる方法は、静脈内投与及び腹腔内投与から選ばれる投与経路により、哺乳動物に治療組成物を投与することを含み、ここで当該組成物は、以下の:(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b) 感染症病原体から単離された全RNA(ここで、当該RNAは、病原体抗原をコードする)を含む。別の実施態様では、投与経路は静脈内投与である。
本発明の別の実施態様は、哺乳動物に全身投与して、免疫原特異的免疫応答及び全身性の非特異的免疫応答を誘発するための組成物に関する。本組成物は、(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b) 免疫原をコードする単離核酸配列を含む組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は、発現可能なように転写制御配列に結合されている。当該組成物は、約1:1〜約1:64の核酸:脂質比を有する。
一の実施態様では、本方法により哺乳動物に投与される本発明の上記組成物のいずれかは、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含みうる。この実施態様では、サイトカインをコードする核酸配列は、転写制御配列に発現可能なように結合されている。免疫原をコードする核酸配列を含む組成物において、サイトカインをコードする核酸配列は、免疫原をコードする核酸配列を含む組換え核酸分子と同じ又は別の組換え核酸分子中に存在しうる。サイトカインをコードする核酸配列及び免疫原をコードする核酸配列は、同じ又は異なる転写制御配列に発現可能なように結合されうる。好ましい実施態様では、サイトカインは、造血成長因子、インターロイキン、インターフェロン、免疫グロブリン・スーパーファミリー分子、腫瘍壊死因子ファミリー分子、及び/又はケモカインの群から選ばれる。一の実施態様では、サイトカインは、インターロイキンであり、そしてより好ましい実施態様では、当該インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、又はインターフェロン-γ(IFNγ)の群から選ばれ、そしてさらに好ましい実施態様では、当該インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-18(IL-18)、又はインターフェロン-γ(IFNγ)の群から選ばれる。
本発明の組成物及び方法のいずれかにおいて使用するために適したリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、任意のリポソームを含みうる。特に好ましいリポソームは、カチオン性リポソームである。別の好ましいリポソームは、多重膜小胞脂質及び押し出し脂質を含み、多重膜小胞脂質がより好ましい。リポソームの組成は、非限定的に、DOTMA及びコレステロール、DOTAP及びコレステロール、DOTIM及びコレステロール、並びにDDAB及びコレステロールから選ばれ、そしてDOTAP及びコレステロールが特に好ましい。
本方法により投与される本発明の組成物は、約1:1〜約1:64の核酸:脂質比を有する。幾つかの実施態様では、当該組成物は、約1:10〜約1:40の核酸:脂質比を有する。他の適切な割合は、以下でさらに設定される。
本発明の方法及び組成物は、好ましくは、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ウシ、ウマ、又はブタを含む哺乳動物において、より好ましくはヒトにおいて免疫応答を誘発するために使用される。
本発明の更なる利点及び新規の特徴は、以下の詳細な記載においてある程度記載され、そして、以下の明細書の実験においてある程度当業者に明らかになるか、又は本発明を実行することにより理解されうる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された手段、組合せ、組成物、及び方法によって理解され、そして実現されよう。
本発明は、一般的に、哺乳動物、及び特に免疫応答の誘発による治療の影響を受けやすい疾患を患う哺乳動物において、免疫応答を誘発するための新規の遺伝子による免疫化のストラテジー及び治療組成物に関する。本発明の方法を使用する治療の影響を特に受けやすい疾患は、癌、アレルギー性炎症、及び感染症を含む。一の実施態様では、本発明の方法及び組成物は、特に原発肺癌、肺代謝疾患、アレルギー性喘息、及びウイルス疾患の予防及び治療に特に有用である。別の実施態様では、本発明の方法及び組成物は、慢性閉塞性肺疾患の治療に有用である。さらに、本発明の方法に従った免疫応答の誘発は、免疫学的診断及び研究用ツール及び検定の開発及び実現に有用でありうる。
より具体的に本発明の遺伝子による免疫化法は、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと複合体形成された単離核酸分子を含む治療組成物の静脈内投与及び腹腔内投与(つまり、全身投与)により、哺乳動物において免疫応答を誘発することを含む。本発明者は、静脈内又は腹腔内注射により投与される場合、核酸とリポソームの組合せが、in vivoにおいて高度に免疫刺激性であるという驚くべき発見をした。免疫応答の強さは、核酸又はリポソームのいずれか単独の投与により誘導される応答よりずっと強く(実施例1b、1h、2b、12、及び13、並びに図30及び31を参照のこと)、そして複合体が静脈内又は腹腔内投与されたかにより左右される(実施例5及び6bを参照のこと)。さらに、この効果は、タンパク質が核酸によりコードされ、又は発現されるか否かには左右されず(実施例1及び2を参照のこと)、そして核酸の起源(例えば哺乳動物、細菌、昆虫、ウイルス)に左右されず(実施例1g、2c、12、及び13を参照のこと)、核酸のタイプ(例えば、DNA又はRNA)に左右されず(実施例7a-bを参照のこと)、そして使用される脂質のタイプにある程度は左右されない。そのようなものとして、本発明の核酸-脂質複合体は、静脈内又は腹腔内投与される場合、強力な、全身性の抗原非特異的免疫応答を誘導し、これはin vivoにおける複数の異なる免疫効果細胞の活性化をもたらす。本発明者により、本方法により投与されるかかる核酸-脂質複合体により生じる免疫応答が、強力な抗腫瘍、抗アレルギー、そして抗ウイルス性質を有するということがさらに発見された(実施例1a-c、1h-l、2a-d、8、及び9を参照のこと)。本発明のかかる治療組成物により誘導される免疫活性化は、LPS(エンドトキシン)又はポリI/C(抗ウイルス免疫応答の従来の誘導因子)のいずれかにより誘導される免疫活性化より、定量的により強力である(実施例1c及び1iを参照のこと)。さらに、誘導される免疫刺激のタイプ(例えば、誘導されるサイトカインのパターンにより特徴付けられる)はまた、LPS又はポリI/Cにより誘導されるパターンとは質的に異なっている。最後に、この効果はウイルス・デリバリー・システムを使用した際に経験してきた補体カスケードの問題と関連しないようである。
本発明の前においては、遺伝子治療法においてしばしば使用されるリポソーム・デリバリー・ビヒクルが、特にウイルスベクター・デリバリー・ビヒクルと比べて比較的免疫原性がないと当該技術分野の多くの当業者に示されていたので、これらの発見は驚くべきものであり、そうして実質的に免疫炎症応答を避けながら哺乳動物のある部位に遺伝子をデリバリーするのに有用である (例えば、Liuら、1997, Nature Biotechnology 15:167-173, Stewartら, 1992, Hum. Gene Ther. 3: 267-275; Zhuら, 1993, Science 261: 209-211; Canonicoら, 1994, J. Appl. Phys. 77: 415-419を参照のこと)。リポソームが比較的非免疫原性であるという認識により、当業者は、デリバリー・ビヒクルがin vivoで比較的害が少ないという自信を持って遺伝子をデリバリーするためにリポソームを使用するように動機付けられた。本発明は、この原理と矛盾する証拠を提供する。
本発明者の発見は、さらに驚くべきものであった。なぜなら、裸のDNAの投与(つまり筋肉内又は経皮デリバリーによる。当該DNAは、標的遺伝子にライゲーションされた細菌デリバリー・ベクターを含む)は、アジュバント効果をもたらし(つまり、細菌由来のベクターDNAのため生じる)、本発明の核酸:脂質複合体が、単独で投与されたDNA(つまり、裸のDNA)よりも有意に免疫刺激性であるからである(実施例の項を参照のこと)。本発明者によるこの発見は、かなり予期し難く、そうして遺伝子ワクチンの設計において新たな研究分野を示す。以前に記載された裸のDNAワクチンは、典型的に細菌プラスミドDNAを使用するように設計された。なぜなら、多くの文献の本文により、細菌及びある昆虫の核酸が免疫原性でありうるということが報告されたからである(例えば、Pisetskyら, 1996, Immunity, 5: 303-310 ; Pisetsky, 1996, Journal of Immunology 156: 421-423; Yamamotoら, 1994 Microbiol. Immunol. 38 (10): 831-836; Romanら, 1997, Nature Medicine, 3 (8): 849-854; Krieg, 1996, Trends in Microbiology, 4(2): 73-77; Sunら, 1996, Immunity, 4: 555-564; Staceyら, 1996, The Journal of Immunology, 157: 2116-2122; Satoら, 1996、Science, 273: 352-354; 又はBallas, 1996, The Journal of Immunology, 157: 1840-1845を参照のこと)。重要なことにこれらの文献は、裸のDNAワクチンの使用について、哺乳動物の核酸を特異的に除外しており、哺乳動物の核酸は免疫原性ではない旨を主張していた。その結果、本発明時において、哺乳動物源由来の核酸が免疫刺激性質を有するということは、全く予期できなかった。そして脂質と複合体形成された任意の源由来の核酸の効果が、特に脂質単独又は核酸単独の場合と比較して、低用量で本発明者により示された強力な免疫刺激効果を提供するように相乗効果を与えるということはさらに予期できるものではない。
本発明者の発見の観点から、従来の当業者は、免疫応答の誘発が所望されていない場合に、遺伝子治療のためにリポソーム・デリバリー・ビヒクルを誤って使用している可能性がある。さらに、本発明の主要な目的である遺伝子免疫化に関して、従来の当業者は、遺伝子ワクチンを設計する際に核酸:脂質複合体の優れた免疫刺激性を利用してこなかった。実際、多くの開示された具体的な遺伝子免疫化戦略は、リポソームデリバリーを利用せず、そして/又は、上記理由のため筋肉内、皮内、経口、又はエアロゾル・デリバリー経路により投与されていた。
本方法による投与と比べて、別の非全身経路の投与(つまり、静脈内投与又は腹腔内投与以外の投与)が、本発明の組成物の免疫刺激効果及び治療効果の両方を有意に低減することを、本発明者は開示する。具体的に、本発明の遺伝子免疫化法の効力が、裸のDNAを筋肉内又は経皮的にデリバリーする従来の遺伝子免疫化法(ここで、かかる方法は、本方法の10〜100倍以上のDNAを使用する)を用いて達成することができないということが発見された(実施例5及び6b-cを参照のこと)。遺伝子免疫化の開示において、本発明の特定の遺伝子免疫化法が他の可能な方法よりもかなり効果的であるという示唆がなかったので、本発明者の発見は驚くべきものである。
投与経路が静脈内投与である場合、免疫化(つまり、免疫応答の誘発)の一次作用部位は肺である。肺は、免疫学的にかなり活性な組織であり、効果細胞(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞)と抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞)の両方を多数含む。同様に、投与経路が腹腔内投与である場合、免疫化の一次作用部位は、脾臓と肺であり、その両方の組織は免疫学的に活性な組織である。理論に縛られることなく、これらの組織が、投与様式により組織及び全身の両方において、強力な抗原非特異的免疫応答を高めることができるということを本発明者は信じる。さらに、核酸:脂質複合体の核酸分子が免疫原をコードし、そして発現する場合、さらにこれらの組織は免疫原を発現することができ、そして組織内に現れた抗原に対する強い抗原特異的免疫応答を高めることができる。活性化免疫細胞は、次に、適切な抗原が現れた体の他の領域において免疫応答を誘発することができる。核酸:脂質複合体の投与は、哺乳動物において全身投与が可能である任意の部位で投与することができ(つまり、静脈内又は腹腔内投与)、当該部位は、免疫活性化の標的部位が投与部位に近い毛細血管床を有する第一組織ではない部位を含む。
遺伝子ワクチン及び遺伝子治療ビヒクルの使用は、当該技術分野に記載されてきた(例えば、1997年1月14日に交付されたWeinerらに対する米国特許第5,593,972号、1996年12月3日に交付されたFelgnerらに対する米国特許第5,580,859号、1996年12月31日に交付されたFelgnerらに対する米国特許第5,589,466号、1997年6月24日に交付されたDebsらに対する米国特許第5,641,662号、1997年10月14日に交付されたBrighamに対する米国特許第5,676,954号を参照のこと)。これらの刊行物は、様々な抗原及び他のタンパク質のいずれかをコードする核酸分子(例えば、DNA)を投与し(当該核酸分子は様々な投与経路により動物に投与される)、そして様々なデリバリー・メカニズムを使用することを含む遺伝子ワクチン及び/又は遺伝子治療法を広く開示した。しかしながら、これらの開示は、本発明者により開示された特定の遺伝子免疫化組成物及び方法の驚くべき利点及び予期できない効力を評価しなかった。実際、上記議論を考慮すると、上記刊行物により開示される遺伝子免疫化及び/又は遺伝子治療の方法及び組成物の多くは、本発明の特定の組成物及び方法よりも、in vivoで実施可能でなく、安全性が低く、及び/又は顕著に効果的ではないことが予期される。本発明者の発見により、動物を免疫化するように設計された遺伝子ワクチン及び動物のある部位に遺伝子をデリバリーするように設計された遺伝子治療法の両方の開発を、従来知られていない安全性と効力との関係を敬遠するために見直すべきであるという強い証拠が与えられる。
本方法により投与される核酸:脂質複合体の予期しない免疫刺激性質のため、本発明の遺伝子免疫化法は、従来のアジュバントを避けることができるので、ヒトの治療において特に有用である。これは、本方法の特別な利点となる。なぜなら、幾つかの従来のアジュバントは毒性を有するし(例えば、フロイントアジュバント及び他の細菌細胞壁成分)、そして他の従来のアジュバントは比較的効果が薄い(例えば、アルミニウム塩及びカルシウム塩)からである。さらに、米国でヒトに使用するために現在承認されているアジュバントは、アルミニウム塩、水酸化アルミニウム、及びリン酸アルミニウムだけであり、そのいずれも細胞媒介性の免疫を刺激することはない。さらに、以下の実施例に示されるように、アジュバント効果を有するとうたわれた従来の裸のDNAデリバリーは、抗原非特異的免疫応答を刺激する点については、本発明よりずっと効果が薄い。最後に、ウイルス・ベクターに基づく遺伝子ワクチンを投与する多くの方法とは違って、本方法は、免疫応答の非特異的アームに関連する結果、例えば補体カスケードを伴わずに、本明細書中に記載される治療組成物を繰り返しデリバリーするために使用することができる。
本発明の更なる実施態様では、本発明者は、上記方法の抗原非特異的免疫刺激効果を利用し、さらに強力な遺伝子免疫化戦略を開発した。当該戦略では、上記核酸-脂質複合体中の核酸配列が、哺乳動物の組織で発現される免疫原及び/又はサイトカインをコードする(つまり、転写制御配列に発現可能なように結合している。実施例4-9を参照のこと)。また、本発明者によって、抗原の発現により誘発される抗原特異的免疫応答と、核酸:脂質複合体により誘発される抗原非特異的である強力な免疫応答との組合せが、従来の遺伝子ワクチンよりもin vivoにおいて顕著に優れた効力を有するワクチンをもたらすということが発見された(実施例5、6b-c、9を参照のこと)。この効果は、サイトカインが組織で発現するように、サイトカインをコードする核酸分子を共投与することによりさらに高めることができる(実施例4及び7aを参照のこと)。
さらに、本組成物の静脈内投与に関して、癌患者においては、肺は、転移性腫瘍が転移する第一の部位である。本発明の方法は、癌を有する患者において特にうまくいく。なぜなら、当該方法は、原発腫瘍を低減又は除去するため、そしてすでに存在する任意の転移性腫瘍、例えば、巨大転移性腫瘍を制御するために十分強い免疫応答を誘導するからである。その結果、本発明の遺伝子免疫化法及び組成物は、従来の遺伝子免疫化法とは異なって、全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発し(従来のアジュバントに類似)、そして核酸が腫瘍抗原をコードする場合、哺乳動物において強力な抗原特異的な肺内での免疫応答(静脈内投与の場合。実施例1e、3、及び5を参照のこと)、又は脾臓及び/又は肝臓での免疫応答(腹腔内投与の場合。実施例1e及び11を参照のこと)の両方を誘発する。この免疫応答は、in vivoにおいて定着した腫瘍を有意に低減又は誘発するために有効である。
本発明の一の実施態様は、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する方法である。この方法では、(a)リポソーム・デリバリー・ビヒクル及び(b)単離された非コードCpG非含有オリゴヌクレオチドを含む治療組成物は、哺乳動物に静脈内投与又は腹腔内投与により投与される。本発明において使用するための非コード、CpG非含有オリゴヌクレオチドは、好ましくは約10〜500ヌクレオチド長の範囲である。10個のヌクレオチドが長さの下限のようである一方、非コード、CpG非含有オリゴヌクレオチドは、500塩基対を超えてもよいが、長さを増やすことからさらなる利点はないようである。さらに、長くする場合、同じ結果を達成するためにプラスミドDNAが利用されうる。本発明の方法によるかかる組成物の投与は、当該組成物が投与される哺乳動物における全身性の抗原非特異的免疫応答の誘発をもたらす。上記のように、当該免疫応答はさらに強い全身性の抗腫瘍、抗(つまり保護的)アレルギー性炎症、及び抗ウイルス性の性質を有する。かかる性質は、NK細胞の活性化(NK1.1などのNK細胞マーカーのアップレギュレーション又はIFNγの産生により計測される)、Th1型サイトカイン(例えばIFNγ)の産生、並びに単球細胞及びTリンパ球における抗原非特異的リクルート及び活性のアップレギュレーションを含む。
本発明の方法において有用な治療組成物は、コード(つまり、タンパク質又はペプチドの少なくとも一部をコードする)及び/又は非コード(つまり、タンパク質又はペプチドの任意の部分をコードしない)配列を含み、そしてDNA及び/又はRNAを含む任意の核酸配列を有する核酸を含む組成物を含む。本発明の上記の実施態様では、核酸分子によりコードされるタンパク質の発現が、全身性の抗原非特異的免疫応答の誘発に必要とされないので、分子は、必ずしも転写制御配列に操作可能なように結合されていない。しかしながら、さらなる利点(つまり、抗原特異的及び高められた免疫性)は、組成物中に免疫原及び/又はサイトカインをコードする核酸配列(DNA又はRNA)を含めることにより、獲得することができることに注意すべきである。
本発明の別の実施態様では、免疫応答を誘発する本方法は、以下の:(a)リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び (b) 免疫原をコードする核酸配列を含む組換え核酸分子 を含む治療組成物の哺乳動物への静脈内投与又は腹腔内投与を含むように改変されうる。本発明によると、「免疫原」及び「抗原」という用語は、互換性を持って使用できるが、「抗原」という用語は、液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発する(つまり抗原性である)タンパク質を記載するために使用され、そして「免疫原」という用語は、本明細書中で主にin vivoにおいて液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発するタンパク質を記載するために使用される。その結果、免疫原の哺乳動物への投与は、哺乳動物の組織内に現れる同じ又は類似のタンパク質に対して免疫原特異的(抗原特異的)免疫応答を高める。本発明によると、免疫原又は抗原は、タンパク質(天然又は合成)の任意の一部であり、液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発する。そのようなものとして、抗原又は免疫原のサイズは、約5〜12個のアミノ酸ほど小さくても良く、そして全長タンパク質ほど大きくてもよく、マルチマー及び融合タンパク質を含む。「免疫原」及び「抗原」という用語は、本発明を記載するために使用されるとき、超抗原を含まない。超抗原は、本明細書中で当業者により認識される用語として定義される。より具体的に、超抗原は、MHC分子の細胞体タンパク質部分(つまり、ペプチド結合溝ではない)に結合して、MHC:超抗原複合体を形成するタンパク質のファミリー内の分子である。T細胞の活性は、TCRがMHC:超抗原複合体に結合するときに改変されうる。ある状況下では、MHC:超抗原複合体は、細胞分裂の役割(つまり、T細胞の増殖を刺激する能力)を有するか又は抑制の役割(つまり、T細胞サブセットの欠失)を有しうる。
好ましい実施態様では、免疫原は、腫瘍抗原、アレルゲン、又は感染症の病原体の抗原(病原体抗原)の群から選ばれる。この実施態様では、核酸配列は、転写制御配列に操作可能なように結合し、その結果免疫原は、哺乳動物の組織において発現し、それにより哺乳動物において、上記抗原非特異的免疫応答に加えて、免疫原特異的免疫応答を誘発する。
本発明の方法のさらなる実施態様では、哺乳動物に投与される治療組成物は、サイトカインをコードする単離核酸分子(本明細書中で、「サイトカイン・コーディング核酸分子」とも呼ぶ)であって、1以上の転写制御配列に発現可能なように結合される核酸分子を含む。哺乳動物へのかかる治療組成物の投与は、静脈内で投与される場合、サイトカインをコードする核酸分子が哺乳動物の肺組織で発現し、そして腹膜投与の場合、サイトカインをコードする核酸分子が哺乳動物の脾臓組織及び肝臓組織において発現するという結果をもたらす。単数形の実体は、1以上の実体を指すことに注意すべきであり、例えば、「サイトカイン」は、1以上のサイトカインを指す。そのようなものとして、単数形、「1以上」、及び「少なくとも1」は、本明細書中で互換性を持って使用することができる。サイトカインをコードする核酸配列は、免疫原をコードする核酸配列と同じ組換え核酸分子上に存在してもよいし、又は異なる組換え核酸分子上に存在してもよい。
本発明の方法において有用な組成物は、以下に詳細に記載されるように、以下の:(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b)核酸分子を含み、ここでかかる核酸分子は以下の:(1) 転写制御配列に発現可能なように結合されていない単離核酸分子;(2) 単離非コード核酸配列;(3) 転写制御配列に発現可能なように結合する免疫原をコードする単離組換え核酸分子;及び/又は(4)サイトカインをコードする単離組換え核酸分子を含む(ここで当該核酸:脂質複合体は、約1:1〜約1:64の比を有する)。好ましい実施態様では、核酸:脂質複合体は、約1:10〜1:40の比を有する。かかる組成物の様々な成分は以下に詳細に記載されている。
哺乳動物における免疫応答の誘発は、広範囲の医学的疾患、特に癌、アレルギー性炎症、及び/又は感染症の有効な治療でありうる。本明細書中に使用されるとき、「誘発する」という用語は、「活性化する」、「刺激する」、「生じさせる」、「アップレギュレートする」と互換性を持って使用することができる。本発明によると、哺乳動物において「免疫応答を誘発する」という用語は、免疫応答の活性を特異的に制御又は影響を及ぼすことを指し、そして(例えば、免疫応答のあるタイプを誘発し、それは次に哺乳動物における免疫応答の優勢なタイプを、有害又は効果の薄いタイプから有効な又は保護的なタイプへと変化させることにより)免疫応答を活性化し、免疫応答をアップレギュレートし、免疫応答を高め、及び/又は免疫応答を変化させることを含みうる。例えば、Th2型応答を受けている哺乳動物においてTh1型応答を誘発すること、又はその逆は、有害なものから有益なものへと免疫応答の全体の効果を変更しうる。哺乳動物において全体の免疫応答を変更する免疫応答の誘発は、アレルギー性炎症、微生物感染、又は寄生虫感染の治療において特に有用でありうる。本発明によると、Th2型免疫応答(或いは、Th2免疫応答とも呼ばれる)により特徴付けられる疾患は、Th1型Tリンパ球(又はTh1リンパ球)の活性化に比べた際に、当該技術分野においてTh2型Tリンパ球(又はTh2リンパ球)として知られているヘルパーT細胞のサブセットの優勢な活性化に関連する疾患として特徴付けられる。本発明によると、Th2型Tリンパ球は、1以上のサイトカイン(まとめてTh2型サイトカインとして知られている)の産生により特徴付けられる。本明細書中で使用されるとき、Th2型サイトカインは、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、及びインターロイキン-15(IL-15)を含む。対照的に、Th1型リンパ球は、IL-2及びIFNγを含むサイトカインを産生する。或いは、Th2型免疫応答は、IgG1(そのおよそのヒト同等物は、IgG4である)及びIgEを含む抗体イソ型の優勢な産生により特徴付けられうるし、一方、Th1型免疫応答は、しばしばIgG2a又はIgG3抗体イソ型(そのおよそのヒト同等物は、IgG1、IgG2、又はIgG3である)の産生により特徴付けられる。
好ましくは、本発明の方法は、腫瘍、アレルゲン、又は感染症病原体に対する免疫応答を誘発する。特に、哺乳動物において免疫応答の誘発は、細胞媒介性の免疫応答(つまり、ヘルパーT細胞(Th)活性、細胞障害性T細胞(CTL)活性、NK細胞活性)及び/又は液性免疫(つまり、B細胞/免疫グロブリン活性)を制御することを指し、例えば、Th1型及び/又はTh2型細胞性及び/又は液性活性を制御することを含む。好ましい実施態様では、本発明の方法は、腫瘍、アレルゲン、又は感染症抗原に対する効果細胞免疫を増加又は誘発する。本明細書中で使用するとき、効果細胞免疫は、哺乳動物における効果細胞の数及び/又は活性を増大させることを指す。具体的に、T細胞活性化は、腫瘍細胞又は病原体の領域におけるT細胞の数及び/又は活性を増加させることを指す。同様に、NK細胞活性化は、NK細胞の数及び/又は活性を増大させることを指す。本発明の方法において、効果細胞免疫は、全身で及び治療組成物が第一に標的された哺乳動物の領域(つまり、静脈内投与では肺内、及び腹腔内投与では脾臓又は肝臓、しかしながら本組成物は、体の他の部位においても同様に有効である)の両方において誘発される。本発明によると、効果細胞は、ヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞、Bリンパ球、マクロファージ、単球及び/又はNK細胞を含む。例えば、本発明の方法は、腫瘍細胞、アレルゲン、又は病原体由来の抗原を提示された場合に、標的細胞を殺すことができるか又はサイトカインを放出することができる哺乳動物の効果細胞数を増加させるために行われうる。
本発明によると、抗原非特異的免疫応答(つまり、非特異的免疫応答)は、非特異的免疫細胞、例えばマクロファージ及び好中球の刺激、並びにサイトカイン産生、特にIFNγ産生の誘導、及びNK細胞、Bリンパ球、及び/又はTリンパ球などの効果細胞の抗原非特異的活性化を含む。より具体的に、本発明の当該方法及び組成物により誘発された全身性の抗原非特異的免疫応答は、哺乳動物におけるナチュラル・キラー(NK)細胞の機能及び数の増加をもたらす。ここでNK細胞の機能の増加は、本発明の組成物で免疫化されていない哺乳動物における、或いは本発明の組成物で非全身経路(つまり、静脈内投与ではなく、腹腔内投与ではない)の投与により本発明の組成物(デリバリーされる核酸の量及び核酸:脂質の比が同じ)で免疫化された哺乳動物におけるNK細胞の機能と比べて、NK細胞の機能レベルの検出可能な増加全てとして定義される。NK機能(つまり、活性化)は、適切な標的細胞に対する細胞毒性分析により計測される。NK細胞細胞毒性活性を計測するための適切な標的細胞の例は、YAC-1である。NK細胞毒性分析の例は、実施例1(図11)において示される。NK細胞活性化は、脾臓、リンパ節、肺、及び肝臓を含む様々な組織の細胞においてNK1.1/CD69のアップレギュレーションを測定することにより計測されうる。さらに、本発明の方法及び組成物により誘発される全身性の抗原非特異的免疫応答は、脾臓及び肺を含む様々な組織中のNK細胞によるIFNγの産生増加をもたらしうる。ここでIFNγ産生の増加は、本発明の組成物を投与されていない哺乳動物における、或いは非全身経路の投与により本発明の組成物(デリバリーされる核酸の量及び核酸:脂質比は同一である)を投与された哺乳動物におけるNK細胞によるIFNγ産生に比べて、IFNγ産生のレベルの検出可能な増加の全てとして定義される。IFNγ産生は、IFNγELISAにより計測できる(当該技術分野に知られている;実施例1、図10、及び実施例14、図32)。好ましくは、本発明の方法により投与される本発明の組成物は、血液、脾臓、又は肺由来の5×106個の単核細胞あたり少なくとも約100pg/mlのIFNγを誘発し、そしてより好ましくは少なくとも約500pg/mlのIFNγ、及びより好ましくは少なくとも約1000pg/mlのIFNγ、そしてさらに好ましくは少なくとも約5000pg/mlのIFNγ、さらにより好ましくは、少なくとも約10,000pg/mlのIFNγを誘発する。
従って、本発明の方法は、哺乳動物に免疫応答を誘発し、そうして、癌、アレルギー性炎症、及び/又は感染症を含む免疫応答の誘発に影響を受けやすい疾患から哺乳動物を防御する。本明細書中に使用されるとき、「疾患からの防御」という用語は、疾患の症状の低減;疾患の出現の低減、及び/又は疾患の重篤度の低減を指す。哺乳動物の防御は、哺乳動物に投与した際に、疾患が生じることを予防し、及び/又は疾患症状、徴候、又は原因を直す又は軽減するための、本発明の治療組成物の能力を指しうる。そのようなものとして、哺乳動物を疾患から防御することは、疾患の発症を予防すること(予防的処置)及び疾患を有する哺乳動物を治療すること(治療的処置)の両方を含む。特に、疾患からの哺乳動物の防御は、哺乳動物において免疫応答を誘発することにより、幾つかの場合、さらに過度の又は有害な免疫応答を抑制しうる有利な又は保護的な免疫応答を誘導することにより、達成される。「疾患」という用語は、哺乳動物の通常の健康状態の異常を指し、そして疾患が存在する状態、並びに異常(例えば感染、遺伝子突然変異、遺伝子欠損など)が生じるが、症状がいまだにあらわれていない状態を含む。
より具体的に、本明細書中に記載される治療組成物は、本発明の方法により哺乳動物に投与されるとき、好ましくは疾患の軽減、疾患の排除、疾患に付随する腫瘍又は病変の低減、疾患に付随する腫瘍又は病変の除去、原発性の疾患の発症からもたらされる二次的な疾患(例えば、原発癌から生じる転移癌)の予防、疾患の予防、及び疾患に対する効果細胞免疫の刺激を含みうる結果をもたらす。
本方法において使用される治療組成物の一の成分は、核酸配列であり、当該配列は、コード及び/又は非コード核酸配列を含み、そして(以下に記載される)オリゴヌクレオチド及び巨大核酸配列の両方を含みうる。「核酸分子」という用語は主に核酸分子の物質自体を指し、そして「核酸配列」という用語は主に核酸分子上のヌクレオチドの配列を指すが、この2つの用語は、互換性を持って使用することができる。本明細書中に使用されるとき、「コード」核酸配列は、ペプチド又はタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列を指し(例えば、オープンリーディングフレームの一部)、そしてさらに具体的に、転写制御配列に発現可能なように結合するペプチド又はタンパク質をコードし、その結果、ペプチド又はタンパク質が発現する核酸配列を指す。「非コード」核酸配列は、ペプチド又はタンパク質の部位をコードしない核酸配列を指す。本発明によると、「非コード」核酸は、転写単位の制御領域、例えばプロモーター領域を含みうる。「空のベクター」という用語は、「非コード」という用語と互換性を持って使用することができ、そして特にタンパク質コード部分がない核酸配列、例えば遺伝子インサートを含まないプラスミド・ベクターを指す。「発現可能なように結合された」という用語は、宿主細胞にトランスフェクションされた際(つまり、トランスフォーメーション、形質導入、又はトランスフェクション)に当該分子が発現される様式で、転写制御配列に核酸を結合することを指す。その結果、「転写制御配列に発現可能なように結合しない」核酸配列は、コード及び非コード核酸配列を含み、宿主細胞中にトランスフェクションされたときに、当該分子が発現することができる様式で転写制御配列に結合していない任意の核酸配列(コード核酸配列及び非コード核酸配列の両方を含む)を指す。この用語は、核酸分子における転写制御配列の存在を排除しないということが知られている。
本発明の幾つかの実施態様では、本発明の治療組成物中に含まれた核酸配列は、組換え核酸分子中に取り込まれ、そして免疫原及び/又はサイトカインをコードする。以下に詳細に記載するように、好ましい免疫原は、腫瘍抗原、アレルゲン、又は感染症病原体由来の抗原(つまり病原体抗原)を含む。「組換え分子」という用語は、主に転写制御配列に発現可能なように結合された核酸分子又は核酸配列を指すが、哺乳動物に投与される「核酸分子」という用語と互換性をもって使用することもできる。
本発明によると、生物学的に純粋な単離核酸分子又は核酸配列は、その天然環境から分離された核酸分子又は配列である。そのようなものとして、「単離」及び「生物学的に純粋な」という用語は、核酸分子が精製された程度を必ずしも反映する必要はない。本組成物において有用な単離核酸分子は、DNA、RNA、又はDNA若しくはRNAのいずれかの誘導体を含みうる。本組成物において有用な単離核酸分子は、オリゴヌクレオチド及びより長い配列を含むことがあり、タンパク質又はその断片をコードする核酸分子並びに制御領域、イントロン、又は他の非コードDNA若しくはRNAを含む核酸分子の両方を含む。典型的に、オリゴヌクレオチドは、約10〜約500ヌクレオチドの核酸配列を有し、そしてより典型的には少なくとも約25〜100ヌクレオチド長である。本発明の核酸:脂質複合体による免疫活性化を、原核細胞の核酸と同様に真核細胞の核酸により誘導することができ、核酸の起源にかかわらず本質的に免疫活性である核酸:脂質複合体のある性質が存在することを示唆する。その結果、核酸分子は、哺乳動物、細菌、昆虫、又はウイルス起源を含む任意の起源由来でありうる。なぜなら、本発明者により、核酸の起源が核酸-脂質複合体による免疫応答を誘発する能力に有意な影響を与えないということが発見されたからである。本発明の一の実施態様では、本発明の治療組成物において使用される核酸分子は、細菌核酸分子ではない。
免疫原(例えば、腫瘍抗原、アレルゲン、又は病原体抗原)をコードする単離核酸分子又はサイトカインをコードする単離核酸分子は、その天然起源から、B細胞及び/又はT細胞エピトープを有する腫瘍抗原タンパク質、B細胞及び/又はT細胞エピトープを有するアレルゲン、B細胞及び/又はT細胞エピトープを有する病原体抗原、又は相補するサイトカイン受容体に結合できるサイトカイン・タンパク質をコードすることができる全体(つまり完全)遺伝子又はその一部のいずれかとして取得されうる。核酸分子は、組換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、クローニング)又は化学合成を使用して産生されうる。核酸分子は、天然核酸分子及びそのホモログを含み、非限定的に、改変が本発明の方法において有用な免疫原又はサイトカインをコードする核酸分子の能力と実質的に干渉しないように、ヌクレオチドが挿入、欠失、置換、及び/又は反転された天然アレル・バリアント及び改変核酸分子を含む。
核酸分子ホモログは、当業者に知られている多くの方法を使用して産生することができる(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labs Press, 1989)。当該文献は、本明細書中にその全てを援用される。例えば、核酸分子は、非限定的に従来の突然変異技術及び組換えDNA技術、例えば部位特異的突然変異誘発法、突然変異を誘導するための核酸分子の化学処理、核酸断片の制限酵素切断、核酸断片のライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、及び/又は核酸配列の選択領域の突然変異誘導、オリゴヌクレオチド混合物の合成、及び核酸分子の混合物を「作る」ための混合物群のライゲーションなどを含む様々な技術を使用して改変されうる。核酸分子ホモログは、核酸によりコードされるタンパク質(例えば、腫瘍抗原、アレルゲン、又は病原体抗原免疫原性、又はサイトカイン活性など)の機能について選別することにより、改変された核酸の混合物から選ばれうる。腫瘍抗原、アレルゲン、若しくは病原体の抗原免疫原性、又はサイトカイン活性について選別する技術は、当業者に知られており、そして様々なin vitro及びin vivo試験を含む。
ここに開示されたように、本発明の免疫原又はサイトカインのタンパク質は、非限定的に、全長の免疫原又はサイトカインをコードする領域を有する核酸分子によりコードされるタンパク質、少なくとも1のT細胞エピトープ及び/又は少なくとも1のB細胞エピトープを含む部分的な免疫原領域を有する核酸分子によりコードされるタンパク質、相補するサイトカイン受容体に結合できるサイトカインをコードする領域を有する核酸分子によりコードされるタンパク質、融合タンパク質、並びに異なる免疫原及び/又はサイトカインの組合せを含むキメラタンパク質を含む。
本発明の一の実施態様は、腫瘍抗原、アレルゲン、又は病原体抗原を含む全長免疫原、或いはかかる免疫原のホモログの少なくとも一部をコードする単離核酸分子である。本明細書中に使用されるとき、「免疫原の少なくとも一部」は、T細胞及び/又はB細胞エピトープを含む免疫原タンパク質の一部を指す。一の実施態様では、免疫原をコードする核酸分子は、かかる免疫原の全コード領域を含む。本明細書中に使用されるとき、免疫原のホモログとは、ホモログをコードする核酸配列が天然免疫原に対する免疫応答を誘発できるタンパク質をコードするように、天然免疫原アミノ酸配列(天然、内在、又は野生型免疫原)に十分類似するアミノ酸配列を有するタンパク質である。
本発明の腫瘍抗原をコードする核酸分子は、T細胞により認識されるエピトープを有する腫瘍抗原、B細胞により認識されるエピトープを有する腫瘍抗原、腫瘍細胞により過度に発現される腫瘍抗原、及び腫瘍細胞及び非腫瘍細胞により発現される腫瘍抗原をコードする。好ましくは、本方法において有用な腫瘍抗原は、少なくとも1のT細胞エピトープ及び/又はB細胞エピトープを有する。その結果、哺乳動物の組織における腫瘍抗原の発現は、哺乳動物の組織において腫瘍に対する腫瘍抗原特異的な免疫応答を誘発する。上記のように、本発明者により、本発明の核酸:脂質複合体の投与が強力な、全身性の抗原非特異的抗腫瘍応答をin vivoで誘発し、そしてこの効果が当該核酸分子により発現される腫瘍抗原に対する抗原特異的免疫応答を高めるということが発見された。
好ましい実施態様では、本発明の核酸分子は、黒色腫、扁平上皮癌、乳癌、頭部及び頸部癌、甲状腺癌、軟部肉腫、骨肉腫、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、脈管腫、血管肉腫、肥満細胞腫瘍、原発肝癌、肺癌、膵癌、消化器癌、腎細胞癌、造血性新生物、及びそれらの転移性癌の群から選ばれる癌由来の腫瘍抗原をコードする。
本発明によると、本発明の病原体抗原をコードする核酸分子は、T細胞により認識されるエピトープを有する病原体抗原、B細胞により認識されるエピトープを有する病原体抗原、病原体のみから発現される病原体抗原、及び病原体及び他の細胞により発現される病原体抗原を含みうる感染症病原体由来の抗原をコードする。好ましくは、本方法において有用な病原体抗原は、少なくとも1のT細胞及び/又はB細胞エピトープを有し、そして病原体によってのみ発現される(つまり、感染哺乳動物の内在組織によっては発現されない)。その結果、哺乳動物の組織における病原体抗原の発現は、哺乳動物の組織において、並びに全身において病原体に対する抗原特異的免疫応答を誘発する。
本発明によると、病原体抗原は、細菌、ウイルス、寄生虫、又は真菌により発現される抗原を含む。本発明の方法において使用するための好ましい病原体抗原は、哺乳動物における慢性感染症疾患を引き起こす抗原を含む。本方法において使用するための特に好ましい病原体抗原は、免疫不全ウイルス(HIV)、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス及びカンジダ由来の免疫原である。
一の実施態様では、本発明の方法又は組成物に使用するための病原体抗原は、感染性肺疾患に付随する病原体、例えば結核菌由来の抗原を含む。より好ましい実施態様では、かかる病原体抗原は、マイコバクテリウム・ツベルクロシス由来の抗原、そしてさらに好ましくは、マイコバクテリウム・ツベルクロシス抗原85を含む。
本発明の別の実施態様において、本発明の方法又は組成物において使用するための病原体抗原は、ウイルス由来の免疫原を含む。上記のように、本発明者により、本発明の組成物及び方法が、ウイルス感染に対する治療及び予防に特に有用であるということが発見された。特に、本発明の方法により投与された核酸:脂質複合体は、核酸が免疫原をコードするか又は免疫原を発現するかに関わりなく、in vivoにおいて強力な、全身性の抗原非特異的抗ウイルス応答を誘発する。ウイルス抗原が哺乳動物の組織中で発現されるように、核酸配列が転写制御配列に発現可能なように結合されたウイルス抗原をコードする場合、本組成物は上記全身性の免疫応答に加えて、さらに強力なウイルス抗原特異的免疫応答を誘発する。好ましい実施態様では、免疫原は、ヒト免疫不全ウイルス及びネコ免疫不全ウイルスの群から選ばれるウイルス由来である。
本発明の別の実施態様は、全長アレルゲン又はアレルゲンタンパク質のホモログの少なくとも一部をコードするアレルゲンをコードする核酸分子を含み、そしてT細胞により認識されるエピトープを有するアレルゲン、B細胞により認識されるエピトープを有するアレルゲン、及びアレルギー性炎症に関与する疾患における感作物質であるアレルゲンを含む。本発明の治療組成物において使用するための好ましいアレルゲンは、植物の花粉、薬剤、食物、毒液、昆虫排出物、カビ、動物体液、動物毛髪、及び動物鱗屑を含む。
本発明の別の実施態様は、全長のサイトカイン又は当該サイトカイン・タンパク質のホモログの少なくとも一部をコードするサイトカインをコードする核酸分子を含む。本明細書中で使用されるとき、「サイトカインの少なくとも一部」は、サイトカイン活性を有し、そしてサイトカイン受容体に結合することができるサイトカイン・タンパク質の一部を指す。好ましくは、核酸分子をコードするサイトカインは、サイトカインの全長コード領域を含む。本明細書中で使用されるとき、サイトカインのホモログは、天然サイトカインアミノ酸配列に実質的に類似しており、そうしてサイトカイン活性 (つまり、天然又は野生型サイトカインに関連する活性)を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。本発明によると、サイトカインは、別の細胞の生物学的機能に影響を与えることができるタンパク質を含む。サイトカインにより影響される生物学的機能は、非限定的に、細胞成長、細胞分化、又は細胞死を含みうる。好ましくは、本発明のサイトカインは、細胞表面上の特異的受容体に結合することができ、それにより細胞の生物学的機能に影響することができる。
本発明のサイトカインをコードする核酸分子は、非限定的にリンパ球、筋肉細胞、造血系前駆細胞、マスト細胞、ナチュラル・キラー細胞、マクロファージ、単球、上皮細胞、内皮細胞、樹状細胞、間葉系細胞、ランゲルハンス細胞、肉芽腫及において見られる細胞、及び任意の細胞起源の腫瘍細胞、及びより好ましくは、間葉系細胞、上皮細胞、内皮細胞、筋細胞、マクロファージ、単球、T細胞、及び樹状細胞を含む細胞の生物学的機能に影響を及ぼすことができるサイトカインをコードする。
本発明の好ましいサイトカイン核酸分子は、造血系成長因子、 インターロイキン、 インターフェロン、 免疫グロブリン・スーパーファミリー分子、腫瘍壊死因子ファミリー分子、及び/又はケモカイン(つまり、細胞、特に食細胞の遊走及び活性化を制御するタンパク質)をコードする。本発明のより好ましいサイトカイン核酸分子は、インターロイキンをコードする。本発明の方法において有用であるさらにより好ましいサイトカイン核酸分子は、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、及び/又はインターフェロン-γ(IFNγ)をコードする。本発明の方法に有用である最も好ましいサイトカイン核酸分子は、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-18(IL-18)、及び/又はインターフェロン-γ(IFNγ)をコードする。
当業者に明らかであろうが、本発明は、全てのタイプの哺乳動物に由来するサイトカインに適用することが意図される。サイトカインの由来元の好ましい哺乳動物は、マウス、ヒト、及びペット動物(例えば、イヌ、ネコ)を含む。サイトカインの由来元のより好ましい哺乳動物は、イヌ及びヒトを含む。サイトカインの由来元のさらに好ましい哺乳動物は、ヒトである。
本発明によると、本発明のサイトカインをコードする核酸分子は、好ましくは治療される哺乳動物と同じ哺乳動物種に由来する。例えば、イヌ科(つまり、イヌ)の核酸分子に由来するサイトカインをコードする核酸分子は、好ましくはイヌ科の動物を治療するために使用される。本発明は、1以上の転写制御配列に発現可能なように結合して、組換え分子を形成する本発明の核酸分子を含む。上記のように、「発現可能なように結合する」という用語は、宿主細胞にトランスフェクション(つまり、トランスフォーメーション、形質導入、又はトランスフェクション)された際に核酸分子を発現できる様式で転写制御配列に結合することを指す。好ましくは、本発明の組成物において使用される核酸分子は、レシピエント哺乳動物において、当該分子の一過的発現を可能にする転写制御配列に発現可能なように結合する。長期の免疫応答の有害な影響(つまり、ショック、過度の炎症、免疫寛容)を避けるために、核酸分子によりコードされる免疫原又はサイトカインが、約72時間〜約1ヶ月、好ましくは約1週間〜約1ヶ月、より好ましくは約2週間〜約1ヶ月の間、免疫化された哺乳動物において発現されることは、本発明の好ましい実施態様である。1ヶ月を超える長期の発現は、長期の免疫活性化に付随する不所望の効果が生じる場合、望むものではない。しかしながら、特定の組成物についてかかる効果が生じないか、又は避けることができ若しくは制御できる場合、長期の発現が許容される。一の実施態様では、一過的な発現は、例えば適切な転写制御配列を選別することにより達成されうる。一過性の遺伝子発現に適した転写制御配列が以下に記載される。
転写制御配列とは、転写の開始、伸張、及び終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、転写の開始を制御する配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、及びリプレッサー配列である。適切な転写制御配列は、本発明の方法に有用である組換え細胞の少なくとも一つにおいて機能できる任意の転写制御配列を含む。様々なかかる転写制御配列は、当業者に知られている。好ましい転写制御配列は、哺乳動物、細菌、昆虫細胞、及び好ましくは哺乳動物細胞において機能する配列を含む。より好ましい転写制御配列は、非限定的に、サル・ウイルス40(SV-40)、α-アクチン、レトロウイルス性末端反復配列(LTR)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、tac、lac、tzp、trc、oxy-pro、omp/lpp、rrnB、バクテリオファージλ(λ)(例えば、λPL及びλPR、及びかかるプロモーターを含む融合タンパク質)、バクテリオファージT7、T7lac、バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α接合因子、ピキア(Pichia)アルコール酸化酵素、αウイルス・サブゲノムプロモーター(例えば、シンドビスウイルス・サブゲノムプロモーター)、バキュロウイルス、ヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス及び他のポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスの転写調節配列、並びに真核細胞において遺伝子発現を制御することができる配列を含む。さらに適した転写制御配列は、組織特異的プロモーター及びエンハンサーを含む(例えば、T細胞特異的エンハンサー及びプロモーター)。本発明の転写制御配列は、腫瘍抗原、アレルゲン、病原体抗原、又はサイトカインを含む免疫原をコードする遺伝子に元々付随している天然の転写制御配列を含む。
本発明において使用するための特に好ましい転写制御配列は、発現される核酸分子の一過的発現を可能にするプロモーターを含み、それにより核酸分子によりコードされるタンパク質の発現が許容され、免疫応答を誘発するために十分な時間の後に発現が終了することが許容される。免疫システムの長期の活性化に関する有害な効果は、核酸分子の一過性の発現を許容するプロモーターと他の転写制御因子を選択することにより避けることができる。これは、さらに本発明の方法と従来記載された遺伝子治療/遺伝子置換法の方法との間の違いのもう一つの点である。本発明において使用する免疫原及び/又はサイトカインをコードする核酸分子と共に用いる適切なプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター及び他の非レトロウイルスのウイルスに基づくプロモーター、例えばRSVプロモーター、アデノウイルス・プロモーター、及びサルウイルス・プロモーターを含む。LTR、組織特異的プロモーター、自己複製ウイルス由来のプロモーター、及びパピローマウイルスプロモーター(これらは、トランス遺伝子の長期間の発現を提供するので遺伝子治療/遺伝子置換法においてかなり所望されるものでありうる)は、本発明において使用するための好ましい転写制御配列ではない。
DNA又はRNAのいずれかである本発明の組換え分子は、付加的な調節配列、例えば転写制御配列、複製起源、及び組換え細胞と適合する他の制御配列を含みうる。一の実施態様では、発現された免疫原又はサイトカイン・タンパク質がタンパク質産生細胞から分泌されることを可能にするように、本発明の組換え分子は分泌シグナル(つまり、シグナル断片の核酸配列)を含む。適切なシグナル部分は、以下の:(1)免疫原シグナル断片(例えば、腫瘍抗原、アレルゲン、又は病原体抗原のシグナル断片);(2)サイトカイン・シグナル断片;又は(3)本発明に記載される免疫原及び/又はサイトカイン・タンパク質の分泌を仕向けることができる異種性のシグナル断片を含む。
本発明の好ましい組換え分子は、免疫原をコードする核酸配列を含む組換え分子、サイトカインをコードする核酸配列を含む組換え分子、又は免疫原をコードする核酸配列とサイトカインをコードする核酸配列の両方を含んでキメラ組換え分子を形成する組換え分子(つまり、免疫原をコードする核酸配列とサイトカインをコードする核酸配列は、同じ組換え分子内に存在する)を含む。かかる組換えキメラ分子に含まれる核酸分子は、1以上の転写制御配列に発現可能なように結合され、ここでキメラ組換え分子内に含まれる各核酸分子は、同じ又は異なる転写制御配列を使用して発現されうる。
本発明の1以上の組換え分子は、本発明の方法に有用であるコードされた産物(つまり、免疫原タンパク質又はサイトカイン・タンパク質)を産生するために使用されうる。一の実施態様では、コードされた産物は、タンパク質を産生するために有効な条件下で本明細書に記載されるように核酸分子を発現することにより産生される。コードされたタンパク質を産生するための好ましい方法は、宿主細胞を1以上の組換え分子でトランスフェクションして、組換え細胞を形成することによる。トランスフェクションするための適切な宿主細胞は、トランスフェクション可能な任意の哺乳動物細胞を含む。宿主細胞は、トランスフェクションされていない細胞であってもよいし、又は少なくとも1の核酸分子ですでにトランスフォーメーションされている細胞であってもよい。本発明に記載される宿主細胞は、本発明に記載される免疫原(例えば腫瘍、アレルゲン、又は病原体)及び/又はサイトカインを産生できる任意の細胞でありうる。好ましい宿主細胞は、哺乳動物肺細胞、リンパ球、筋肉細胞、造血系前駆細胞、肥満細胞、ナチュラル・キラー細胞、マクロファージ、単球、上皮細胞、内皮細胞、樹状細胞、間葉系細胞、ランゲルハンス細胞、任意の細胞起源の肉芽腫及び腫瘍細胞において見られる細胞を含む。本発明のさらにより好ましい宿主細胞は、哺乳動物間葉系細胞、上皮細胞、内皮細胞、マクロファージ、単球、肺細胞、筋細胞、T細胞、及び樹状細胞を含む。
本発明によると、宿主細胞は、好ましくは、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと複合化された核酸分子の哺乳動物への静脈内投与又は腹腔内投与を受けて、in vivoで(つまり哺乳動物に)トランスフェクションされる。本発明による核酸分子の宿主細胞へのトランスフェクションは、任意の方法であって、当該方法により、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと投与される核酸分子がin vivoで細胞に挿入される方法によって達成され、そしてリポフェクションを含む。
組換えDNA技術の使用は、例えば、トランス遺伝子(つまり、組換え核酸分子)の発現期間、宿主細胞内の核酸分子のコピー数、核酸分子の転写効率、得られた転写産物の翻訳効率、及び転写後修飾効率により、トランスフェクションされた核酸分子の発現を改善することができるということが、当業者により認められる。本発明の核酸分子の発現を増加させるために有用な組換え技術は、非限定的に、核酸分子を高コピー数のプラスミドに発現可能なように結合すること、核酸分子を1以上の宿主細胞の染色体に組み込むこと、ベクター安定化配列をプラスミドに加えること、組換え分子の発現期間を増加させること、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換又は改変、翻訳制御配列(例えば、リボソーム結合部位、シャイン-ダルガノ配列)の置換又は改変、宿主細胞のコドン利用に調和させるための本発明の核酸分子の置換、及び転写産物を不安定化させる配列の除去を含む。本発明の発現された組換えタンパク質の活性は、かかるタンパク質をコードする核酸分子を断片化、改変、又は誘導化することにより改善されうる。さらに、転写制御配列を含む核酸分子、特にプラスミド部分は、例えばCpG成分を核酸に加えることによって核酸をさらに免疫刺激性にするように改変されうる。
本発明の方法の一の実施態様では、哺乳動物が癌を患う場合、当該哺乳動物に静脈内投与される治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含む。ここで組換え核酸分子の各々はcDNA配列を含み、cDNA配列の各々は腫瘍抗原又はその断片(つまり、上記腫瘍抗原の少なくとも一部、好ましくはT又はB細胞エピトープを含む部分)をコードする。cDNA配列は、自己腫瘍サンプルから単離された全RNAから増幅される。複数のcDNA配列の各々は、転写制御配列に発現可能なように結合される。癌を患う哺乳動物へのかかる治療組成物の投与は、哺乳動物の組織に(静脈内投与では肺に、そして腹腔内投与では脾臓及び肝臓に)腫瘍抗原をコードするcDNA配列の発現をもたらす。さらなる実施態様では、かかる治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は転写制御配列に発現可能なように結合されている。かかる治療組成物の哺乳動物への投与により、哺乳動物の上記組織においてサイトカインをコードする核酸配列の発現がもたらされる。本発明の実施態様により、自己腫瘍サンプルは、治療組成物が投与される哺乳動物に由来する。その結果、治療組成物中のcDNA配列は、癌に存在する腫瘍抗原をコードし、当該抗原に対し免疫応答が誘発されるであろう。この実施態様では、与えられた腫瘍サンプル内のどの抗原が最も免疫原性(最良の免疫原)であるかを知る必要はない。なぜなら、腫瘍サンプルにより発現される実質的に全ての抗原が哺乳動物に投与されるからである。さらに、複数の腫瘍抗原/免疫原に対する免疫原の誘発は、癌に対する免疫応答の治療効力を高める利点を有するようである。
本発明の方法の当該実施態様では、記載される複数の組換え核酸分子は、核酸分子のライブラリーを指し、そしてより具体的にcDNAライブラリーを指すこともある。cDNAライブラリーを作成する方法は、当該技術分野に周知である。かかる方法は、例えば上記Sambrookらにおいて開示されている。より具体的に、当該実施態様では、治療組成物は、腫瘍抗原又はその一部分をコードする複数の組換えcDNA分子であって、自己腫瘍サンプルにより発現される遺伝子を表すものを含む。かかる複数の組換え核酸分子は、例えば自己腫瘍サンプルから全RNAを単離し、当該RNAを複数のcDNA分子へと変換し、そして次にcDNA分子を組換えベクターにクローニングすることによりcDNAライブラリーを調製して、複数の組換え分子を形成することにより発現される。本明細書中に使用されるように、全RNAは、当該技術分野において知られている標準方法を使用して細胞サンプルから単離できるRNAの全てを指し、そして典型的に、mRNA、hnRNA、tRNA、及びrRNAを含む。細胞サンプル、例えば腫瘍サンプルから全RNAを単離する方法は、当該技術分野に知られている(例えば、上記Sambrookらを参照のこと)。全RNAからcDNAを増幅する前に、当該RNAは、ポリA・RNA(つまり、3’末端にポリAテールを含むRNAであり、mRNA、つまり細胞により発現されるタンパク質をコードする主要なRNA転写産物であることを指す。)を単離するように選択されうる。さらに別の実施態様では、かかるcDNAライブラリーは、哺乳動物の非腫瘍細胞(つまり、通常細胞)において発現している抗原をコードする核酸分子を取り除くために、哺乳動物の通常細胞サンプル由来のcDNAライブラリーに対して、かかるcDNAライブラリーをサブトラクションし、それにより腫瘍特異的免疫応答を濃縮し、そして有害な免疫応答を抑制する。核酸ライブラリーのサブトラクション法は、当該技術分野において知られている(上記Sambrookらを参照のこと)。
癌を有する哺乳動物において免疫応答を誘発する方法についての本発明のさらに別の実施態様では、哺乳動物に静脈内又は腹腔内投与される治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含み、ここで、組換え核酸分子の各々はcDNA配列を含み、当該cDNA配列の各々は腫瘍抗原又はその断片(つまり、上記の腫瘍抗原の少なくとも一部)をコードする。この実施態様では、cDNA配列は、同一の組織腫瘍タイプの複数の同種腫瘍サンプル(allogeneic tumor sample)から単離した全RNAから増幅される。複数のcDNA配列の各々は、転写制御配列に発現可能なように結合している。癌を患う哺乳動物にかかる治療組成物を投与することは、(前記のように投与経路に依存して)哺乳動物の組織において腫瘍抗原をコードするcDNA配列の発現をもたらす。さらなる実施態様では、かかる治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は転写制御配列に発現可能なように結合している。かかる治療組成物の哺乳動物への投与により、哺乳動物の組織においてサイトカインをコードする核酸配列の発現がもたらされる。
本発明のこの実施態様では、腫瘍抗原(つまり、cDNAライブラリー)をコードするcDNA配列を含む複数の組換え核酸分子は、同一の組織腫瘍タイプの複数の同種腫瘍サンプルから単離された全RNAから調製される。本発明によると、複数の同種腫瘍サンプルは、少なくとも主要組織適合複合体(MHC)及び典型的には他の遺伝子座において、遺伝的に異なる同一種の2以上の哺乳動物から単離される同一の組織腫瘍タイプの腫瘍サンプルである。その結果、主要抗原をコードする複数の組換え分子は、RNAの単離元の個人に存在する腫瘍抗原の実質的に全てを表す。本発明の当該方法の実施態様は、同一の組織腫瘍タイプの腫瘍からの腫瘍抗原の発現についての個々の患者間の元々の違いを補う遺伝子ワクチンを提供する。その結果、治療組成物の投与は、様々な腫瘍抗原に対して免疫応答を誘発するために効果的であり、その結果、同一の治療組成物は、多種多様な個人に投与することができる。本方法によりデリバリーされるかかる治療組成物は、治療として特に有用であるが、予防治療としても有用でありうる。複数の同種腫瘍サンプル由来のcDNAライブラリーを調製する方法は、自己腫瘍サンプルについて上記された方法と同じである。
哺乳動物において免疫応答を誘発する方法についての本発明のさらに別の実施態様では、哺乳動物に静脈内又は腹腔内投与される治療組成物は複数の組換え核酸分子を含み、ここで当該組換え核酸分子の各々はcDNA配列を含み、当該cDNA配列の各々は感染症病原体又はその断片由来の免疫原(つまり、上で定義された病原体抗原の少なくとも一部)をコードしている。この実施態様では、cDNA配列は、感染症病原体から単離された全RNAから増幅される。複数のcDNA配列の各々は、転写制御配列に発現可能なように結合している。感染症を患うか又は感染症にかかっている哺乳動物にそうした治療組成物を投与することにより、(上で記載したように投与経路によって)哺乳動物の組織に病原体抗原をコードするcDNA配列の発現がもたらされる。さらなる実施態様では、かかる治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は転写制御配列に発現可能なように結合している。かかる治療組成物を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物の組織において当該サイトカインをコードする核酸配列の発現がもたらされる。
本発明の当該実施態様において、RNAの単離元の病原体抗原をコードする複数の組換え分子は、感染症病原体中に存在する抗原の実質的に全てを意味する。この実施態様では、所定の病原体においてどの抗原が最も免疫原性(つまり、最良の免疫原)であるかを知ることは必要ではない。なぜなら、病原体により発現される実質的に全ての抗原が哺乳動物に投与されるからである。さらに、複数の病原体抗原/免疫原に対する免疫応答の誘発は、感染症に対する免疫応答の治療効力を高める利点を有するようである。感染症病原体からかかるcDNAライブラリーを調製する方法は、腫瘍サンプルについて上に記載された方法と同じである。
哺乳動物において免疫応答を誘発する方法についての本発明のさらに別の実施態様では、哺乳動物に静脈内又は腹腔内投与する治療組成物は、複数の組換え核酸分子を含み、ここで組換え核酸分子の各々は少なくとも1のアレルゲンから単離された全RNAから増幅されたcDNA配列を含む。当該実施態様では、cDNA配列は、全RNA又はその断片(ここでこれらは、少なくとも1のアレルゲンから単離される)から増幅された。複数のcDNA配列の各々は、転写制御配列に発現可能なように結合している。アレルギー炎症に付随する疾患を患うか又は当該疾患にかかる哺乳動物に、かかる治療組成物を投与することは、(上で記載したように、投与経路に応じて)哺乳動物の組織においてアレルゲンをコードするcDNA配列の発現をもたらす。さらなる実施態様では、かかる治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は、転写制御配列に発現可能なように結合している。かかる治療組成物を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物の組織においてサイトカインをコードする核酸配列の発現がもたらされる。本発明の当該実施態様では、アレルゲンをコードする複数の組換え分子は、RNAの単離元であるアレルゲン中に存在するエピトープの実質的に全てを表す。さらに、1超のアレルゲンが同時に投与されうる。
本発明の別の実施態様は、癌を患う哺乳動物において、腫瘍抗原特異的免疫応答及び全身性非特異的免疫応答を誘発する方法であって、当該哺乳動物に、以下の:(a) リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b)腫瘍サンプルから単離される全RNA(ここで当該RNAは腫瘍抗原又はその断片を含む)を含む治療組成物を静脈内投与又は腹腔内投与するステップを含む方法に関する。かかる治療組成物を哺乳動物へと投与することにより、当該哺乳動物の組織において、腫瘍抗原又はその断片をコードするRNAの発現がもたらされる。好ましい実施態様では、哺乳動物に治療組成物を投与する前に、上で記載されるようにポリA・RNAについて濃縮される。さらなる実施態様では、治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は転写制御配列に発現可能なように結合している。かかる治療組成物の哺乳動物への投与により、哺乳動物の組織においてサイトカインをコードする核酸配列の発現がもたらされる。
本発明の当該実施態様において、全RNA又はより好ましくはポリA濃縮RNA(当該濃縮RNAは上で記載されるように腫瘍サンプルから単離される(上記Sambrookらを参照のこと))は、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと複合体形成されて、そして癌を患う哺乳動物に静脈内又は腹腔内投与される。腫瘍サンプルの実質的に全ての腫瘍抗原をコードするRNAは、次に哺乳動物の組織において発現される。RNAは通常、RNAseにより血清中で迅速に分解されるが、本発明者により、カチオン性の脂質と複合体形成されたRNAは、遺伝子発現が生じる組織に複合体が達するまで、かかるRNAseから保護されるということが信じられている。本発明の方法の特定の実施態様によって、哺乳動物に直接RNAを投与する利点は、腫瘍組織又は宿主免疫細胞の実質的なin vitro操作を必要とすることなく、in vivoで複数の腫瘍抗原に対して直接免疫応答を誘発できるということである。本発明の当該実施態様の具体的な例は、実施例7a及び7bに記載される。
本発明の別の実施態様は、感染症を患う哺乳動物において病原体抗原特異的免疫応答及び全身性非特異的免疫応答を誘発する方法であって、当該哺乳動物に、(a)リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b)感染症病原体から単離される全RNA(ここで、当該RNAは病原体抗原又はその断片をコードする)を含む治療組成物を静脈内投与又は腹腔内投与するステップを含む方法に関する。哺乳動物へのかかる治療組成物の投与により、哺乳動物の組織において、病原体抗原又はその断片をコードするRNAの発現がもたらされる。好ましい実施態様では、上で記載されるように、RNAは治療組成物を哺乳動物へと投与する前に、ポリA・RNAについて濃縮される。さらなる実施態様では、治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は、転写制御配列に発現可能なように結合している。かかる治療組成物の哺乳動物への投与は、哺乳動物の組織において、サイトカインをコードする核酸配列の発現をもたらす。
本発明の別の実施態様は、アレルギー性炎症に付随する疾患を患う哺乳動物においてアレルゲン特異的免疫応答及び全身性の非特異的免疫応答を誘発する方法であって、哺乳動物に以下の:(a)リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び(b)アレルゲンから単離される全RNA(ここで当該RNAは、少なくとも1のアレルゲンタンパク質又はその断片をコードしている)を含む治療組成物を静脈内又は腹腔内投与するステップを含む方法に関する。かかる治療組成物の哺乳動物への投与は、哺乳動物の組織中において、少なくとも1のアレルゲン又はその断片をコードするRNAの発現をもたらす。好ましい実施態様では、上で記載されるように、RNAは哺乳動物に治療組成物を投与する前にポリA・RNAについて濃縮される。さらなる実施態様では、治療組成物は、サイトカインをコードする核酸配列を有する組換え核酸分子を含み、ここで当該核酸配列は、発現可能なように転写制御配列に結合されている。かかる治療組成物の哺乳動物への投与により、哺乳動物の組織において、サイトカインをコードする核酸配列の発現がもたらされる。
本発明の治療組成物は、リポソーム・デリバリー・ビヒクルを含む。本発明によると、リポソーム・デリバリー・ビヒクルは、静脈内で投与された場合に哺乳動物の肺組織に、そして腹腔内投与された場合に哺乳動物の脾臓及び肝臓組織に、本発明の治療組成物を優先的にデリバリーできる脂質組成物を含む。「優先的にデリバリーする」という用語は、当該リポソームが哺乳動物の肺又は脾臓及び肝臓組織以外の部位に核酸分子をデリバリーできるが、これらの組織がデリバリーされる主要な部位であることを意味する。
本発明のリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、哺乳動物の特定の部位を標的化するように改変され、それにより本発明の核酸分子を当該部位に標的化し、そして当該部位において本発明の核酸分子を利用することができる。適切な改変は、デリバリー・ビヒクルの脂質成分の化学式を操作することを含む。デリバリー・ビヒクルの脂質成分の化学式を改変することは、デリバリー・ビヒクルの細胞外又は細胞内標的化を誘発できる。例えば、ある化学基をリポソームの脂質の化学式に加えることができ、それは脂質二重層の荷電を変化させ、その結果リポソームは、特定の荷電特徴を有する特定の細胞と融合する。他の標的メカニズム、例えば外部からの標的化分子をリポソームに加えることによる標的化が、必ずしも本発明のリポソーム・デリバリー・ビヒクルの必須な要素ではない。なぜなら、免疫学的に活性な組織において有効な免疫活性化は、さらなる標的化メカニズムの助けを借りることなく、本組成物のデリバリー組成物及び経路によりすでに提供されているからである。さらに、本発明は、有効性のために、所定の核酸分子によりコードされるタンパク質が標的細胞(例えば、腫瘍細胞、病原体など)内で発現することを必要としない。タンパク質が標的部位の周辺において(つまり、標的部位に隣接して)発現する場合、例えばタンパク質が非標的細胞により発現される場合、本発明の組成物及び方法は有効である。
リポソーム・デリバリー・ビヒクルは、好ましくは、哺乳動物の好ましい部位に本発明の核酸分子をデリバリーするために十分な時間の間哺乳動物で安定のまま存在することができる。本発明のリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、少なくとも約30分間、より好ましくは少なくとも約1時間、そしてさらに好ましくは少なくとも約24時間の間投与された哺乳動物内で安定である。
本発明のリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、核酸分子を細胞へとデリバリーするために、標的細胞の原形質膜と融合できる脂質組成物を含む。好ましくは、本発明の核酸:脂質複合体が静脈内で投与されるとき、本発明の核酸:脂質複合体のトランスフェクション効率は、デリバリーされた核酸1マイクログラム(μg)につき、組織全タンパク質1ミリグラム(mg)あたり、少なくとも約1ピコグラム(pg)の発現タンパク質である。より好ましくは、本発明の核酸:脂質複合体のトランスフェクション効率は、デリバリーされた核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約10pgのタンパク質であり、そしてさらに好ましくはデリバリーされた核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約50pgのタンパク質であり、そして最も好ましくはデリバリーされた核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約100pgのタンパク質である。本発明の核酸:脂質複合体のデリバリー経路が腹腔内投与である場合、当該複合体のトランスフェクション効率は、デリバリーされた核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、1fgほどのタンパク質でありうる。
本発明の好ましいリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、約100〜500ナノメートル(nm)、より好ましくは約150〜450nm、そしてさらに好ましくは約200〜400nmの直径である。
本発明で使用するのに適切なリポソームは、任意のリポソームを含む。本発明の好ましいリポソームは、当業者に知られている遺伝子デリバリー法で通常使用されるリポソームを含む。好ましいリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、多重膜小胞(MLV)脂質及び押し出し脂質(extruded lipids)を含む。MLVの調製方法は、当該技術分野に周知であり、そして例えば実施例の欄に記載される。本発明によると、「押し出し脂質」は、MLV脂質と同じように調製されるが、Templetonら、1997, Nature Biotech., 15: 647-652に記載されるように、調製後に大きさを減少させるフィルターを通して押し出される脂質である。当該文献は、その全てを本明細書中に援用される。小さい単層小胞(small unilamellar vesicle)(SUV)脂質が本発明の組成物及び方法において使用されうるが、in vivoにおいて核酸と複合体形成する場合、多重膜小胞が、SUVより有意に免疫刺激性であるということが本発明者により明らかにされた(実施例2dを参照のこと)。より好ましいリポソーム・デリバリー・ビヒクルは、ポリカチオン性の脂質組成物(つまり、カチオン性リポソーム)を有するリポソーム、及び/又はポリエチレン・グリコールに結合されたコレステロール骨格を有するリポソームを含む。好ましいカチオン性リポソーム組成物は、非限定的にDOTMAとコレステロール、DOTAPとコレステロール、DOTIMとコレステロール、及びDDABとコレステロールを含む。本発明の方法においてデリバリー・ビヒクルとして使用する最も好ましいリポソーム組成物は、DOTAPとコレステロールを含む。
本発明のリポソームと核酸分子との複合体形成は、当該技術分野で標準的な方法を使用して達成されうる(例えば、実施例において記載されるセクションAの方法を参照のこと)。本発明によると、カチオン性脂質:DNA複合体は、本明細書中でCLDCとも呼ばれ、そしてカチオン性脂質:RNA複合体は、本明細書中でCLRCとも呼ばれる。リポソームに加えるための適切な本発明の核酸分子の濃度は、全身性免疫応答を誘発するように、哺乳動物において十分な量の核酸分子をデリバリーするのに有効な濃度を含む。核酸分子が、免疫原又はサイトカインをコードする場合、リポソームに加える核酸分子の適切な濃度は、細胞に十分な量の核酸分子をデリバリーするのに有効な濃度を含み、その結果当該細胞は、所望の様式で効果細胞免疫を調節するために十分な免疫原及び/又はサイトカイン・タンパク質を産生することができる。好ましくは、本発明の約0.1μg〜約10μgの核酸分子は、約8nmolのリポソームと混合され、より好ましくは約0.5μg〜約5μgの核酸分子は、約8nmolのリポソームと混合され、そしてさらに好ましくは約1.0μgの核酸分子は、約8nmolのリポソームと混合される。一の実施態様では、本発明の組成物における核酸対脂質の比(μg核酸:nmol脂質)は、好ましくは重量で少なくとも約1:1の核酸:脂質(つまり1μg核酸:1nmol脂質)であり、そしてより好ましくは、少なくとも約1:5、そしてより好ましくは少なくとも約1:10、そしてさらにより好ましくは少なくとも約1:20である。本明細書中に表される比は、組成物中のカチオン性脂質の量に基づいており、そして組成物の脂質の総量に基づいているわけではない。別の実施態様では、本発明の組成物における核酸対脂質の比は、好ましくは重量で約1:1〜約1:64の核酸:脂質であり;そしてより好ましくは重量で約1:5〜約1:50の核酸:脂質であり;そしてより好ましくは重量で約1:10〜約1:40の核酸:脂質であり;そしてさらに好ましくは重量で約1:15〜1:30の核酸:脂質である。別の特に好ましい核酸:脂質比は、約1:8〜1:16であり、1:8〜1:32がより好ましい。典型的に、核酸投与の非全身経路(つまり、筋肉内、気管内、皮内)は、約1:1〜約1:3の比を使用し、本発明に記載された全身投与経路は、脂質に比べてずっと少ない核酸で使用することができ、そして非全身経路と同等か又はそれより優れた結果を達成することができる。さらに、静脈内投与により投与される場合でさえ、遺伝子治療/遺伝子置換に設計された組成物は、典型的により、本発明の全身性免疫活性化組成物及び方法に比べて多い核酸を使用する(例えば、6:1〜1:10であり、1:10が使用されるDNAの最小量である)。
本発明の別の実施態様では、治療組成物は、医薬として許容される賦形剤をさらに含む。本明細書中で使用されるとき、医薬として許容される賦形剤は、本発明の方法において用いられる治療組成物を、適切なin vivo部位にデリバリーするのに適した任意の物質を指す。好ましい医薬として許容される賦形剤は、核酸分子が細胞に到達した際に核酸分子が細胞に入り込み、そして核酸分子が発現タンパク質をコードする場合に細胞が発現できる形態に、本発明の核酸分子を維持できる。本発明の適切な賦形剤は、標的核酸分子を細胞に輸送するが、特異的に輸送するわけではない賦形剤又は処方薬を含む(本明細書中で非標的化担体とも呼ばれる)。医薬として許容される賦形剤の例は、非限定的に水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖液、血清添加溶液、ハンクス溶液、他の生理的にバランスのとれた水溶液、油、エステル、及びグリコールを含む。水性担体は、化学安定性及び等張性を高めることによりレシピエントの生理条件に近づけるために必要とされる適切な補助剤を含みうる。特に好ましい賦形剤は、非イオン性の希釈液、好ましくは非イオン性緩衝液は、5%ブドウ糖液(DW5)である。
適切な補助剤は、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及びリン酸緩衝液、Tris緩衝液、及び炭酸水素緩衝液を調製するために使用される他の物質を含む。補助物質は、チメロサール、m又はoクレゾール、ホルマリン、及びベンゾルアルコールなどの防腐剤を含みうる。本発明の治療組成物は、慣用の方法及び/又は凍結乾燥により安定化されうる。
本発明によると、有効な投与法(つまり、有効な様式での治療組成物の投与)は、好ましくは哺乳動物が疾患から守られるように、哺乳動物における免疫応答の誘発をもたらす適切な投与様式及び用量パラメーターを含む。効果的な用量パラメーターは、特定の疾患についての当該技術分野に標準的な方法を使用して決定することができる。かかる方法は、例えば、生存率、副作用(つまり毒性)、及び疾患の進行又は退行の測定を含む。特に、癌を治療する際の本発明の治療組成物の用量パラメーターの有効性は、応答割合を評価することにより決定することができる。この応答割合とは、部分的又は完全な寛解で応答する患者の集合における治療された患者の割合を指す。寛解は、例えば、腫瘍サイズの計測又は組織サンプルにおける癌細胞の存在の顕微鏡による試験により決定されうる。
本発明によると、適切な一回用量は、適切な期間に渡り1回以上投与される場合に疾患を患う患者において免疫応答を誘発できる用量である。用量は、治療される疾患に左右されて変わりうる。癌の治療においては、適切な一回用量は、治療されている癌が、原発腫瘍であるか、又は転移癌であるかに左右されうる。静脈内投与技術又は腹腔内投与技術で使用するために適した本発明の治療組成物の用量は、哺乳動物の大きさに基づいて全身投与するための適正な一回用量を決定するために、当業者により使用されうる。
好ましい実施態様では、本発明の核酸:リポソーム複合体の適切な一回用量は、当該複合体を投与する哺乳動物の体重1kgあたり約0.1μg〜約100μgである。別の実施態様では、一回用量は、体重1kgあたり約1μg〜10μgである。別の実施態様では、適切な一回用量の核酸:脂質複合体は、哺乳動物に対して、少なくとも約0.1μgの核酸であり、より好ましくは少なくとも約1μgの核酸、さらに好ましくは少なくとも約10μgの核酸、さらにより好ましくは少なくとも約50μgの核酸、そしてさらにより好ましくは約100μgの核酸である。
好ましくは、本発明の核酸:リポソーム複合体が、哺乳動物で発現する核酸分子を含む場合、本発明の核酸:リポソーム複合体の適切な一回用量は、デリバリーされる核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約1pgのタンパク質をもたらす。より好ましくは、本発明の核酸:リポソーム複合体の適切な一回用量は、デリバリーされる核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約10pgのタンパク質をもたらし;そしてさらにより好ましくは、デリバリーされる核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約50pgのタンパク質をもたらし;そして最も好ましくはデリバリーされる核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、少なくとも約100pgのタンパク質をもたらす。本発明の核酸:脂質複合体のデリバリー経路が腹腔内投与である場合、本発明の核酸:リポソーム複合体の適切な一回用量は、デリバリーされる核酸1μgにつき、組織全タンパク質1mgあたり、約1fgほどの発現タンパク質をもたらす用量であり、上記量がより好ましい。
哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発するために適した本発明の治療組成物の一回用量は、静脈内又は腹腔内投与された際に本発明の治療組成物を投与されていない哺乳動物(つまり、対照哺乳動物)と比較して、哺乳動物において細胞性及び/又は液性免疫応答を誘発する、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと複合体形成した核酸分子の十分量である。本発明の核酸:脂質複合体中に含まれる核酸分子の好ましい用量は、上で記載された。
腫瘍に対する免疫応答を誘発する治療組成物の適切な一回用量は、癌を患う哺乳動物の組織の細胞に組換え分子をリポフェクションした後に、腫瘍を減少させ、そして好ましくは排除する、腫瘍抗原をコードする組換え分子の単独での又はサイトカインをコードする組換え分子との組合せにおける十分量である。
本発明によると、感染症に対して、及び/又はかかる疾患に付随する病変に対して免疫応答を誘発するために有用な治療組成物の一回用量であって、リポソームと混合された病原体をコードする組換え分子を単独で、又はリポソームと混合されたサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む用量は、腫瘍を治療するために使用される用量(上で詳細に記載されている)に実質的に類似する。同様に、アレルゲンに対して免疫応答を誘発するのに有用な治療組成物の一回用量であって、リポソームと混合されたアレルゲンをコードする組換え分子単独で、又はリポソームと混合されたサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む用量は、腫瘍を治療するために使用される用量に実質的に類似する。
哺乳動物への投与回数は、疾患の程度及び治療に対する個々の患者の応答に左右されることが明らかであろう。例えば、大きい腫瘍は、小さい腫瘍よりも多くの用量を必要としうる。しかしながら、幾つかの場合、大きい腫瘍を有する患者が小さい腫瘍を有する患者より、治療組成物に対して有利に応答するならば、大きい腫瘍を有する患者が、小さい腫瘍を有する患者よりも少ない用量しか必要としないこともある。こうして、適切な投与回数が所定の疾患を治療するために必要とされる任意の回数を含むということが本発明の範囲内に含まれる。
核酸:脂質複合体の投与と追加免疫との間の時間が、遺伝子治療/遺伝子置換についての典型的な投与法よりも著しく長いので、本発明の方法が、従来の遺伝子治療/遺伝子置換法と大幅に異なるということに注意すべきである。例えば、本発明の組成物及び方法を用いた免疫応答の誘発は、本発明に記載される疾患を治療するために必要に応じて、治療組成物の一回目の投与の後に、最初の投与後3〜4週で追加免疫し、場合により最初の追加免疫後3〜4週毎に次なる追加免疫をすることを含む。対照的に、遺伝子治療/遺伝子置換法は、典型的に、所望の遺伝子機能を生じさせる又は置換するのに十分な遺伝子発現を得るために、より頻繁な核酸投与(例えば毎週の投与)を必要とする。
転移癌に対する免疫応答を誘発するためにリポソーム・デリバリー・ビヒクルと複合体形成された腫瘍抗原をコードする組換え分子を単独で、又はサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む治療組成物の好ましい投与回数は、患者あたり約2回〜約10回の投与、より好ましくは、患者あたり約3回〜約8回の投与、そしてさらにより好ましくは患者あたり3回〜約7回の投与である。好ましくは、かかる投与は、上で記載されたように寛解の兆候が現れるまで3〜4週毎に一回、次に疾患がなくなるまで一ヶ月に一回与えられる。
本発明によると、感染症及び/又はかかる疾患に付随する病変に対して免疫応答を誘発するための治療組成物であって、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと複合体形成された病原体抗原をコードする組換え分子を単独で、又はサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む治療組成物の投与回数は、腫瘍を治療するために使用される投与回数(上で詳細に記載されている)に実質的に類似している。
治療組成物は、哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する様式で、そして組成物中の核酸分子が免疫原をコードする場合、疾患を治療される哺乳動物において、本発明の投与された組換え分子の、免疫原性タンパク質(腫瘍、病原体抗原、又はアレルゲンの場合)又は免疫調節性タンパク質(サイトカインの場合)への発現を可能にする様式で、哺乳動物に投与される。本発明の方法によると、治療組成物は、静脈内又は腹腔内注射により、そして好ましくは静脈内注射により投与される。静脈内注射は、当該技術分野における標準方法を使用して行われうる。本発明の方法によると、核酸:脂質複合体の投与は、特にリポソーム・デリバリー・ビヒクルが、カチオン性リポソームを含む場合、全身投与(つまり静脈内投与又は腹腔内投与)が可能である哺乳動物の任意の部位でなされうる。哺乳動物の任意の部位での投与は、静脈内投与又は腹腔内投与が用いられる場合、特に静脈内投与が用いられる場合、強力な免疫応答を誘発するであろう。適切な投与部位は、いくつかの部位を含み、ここで、免疫活性化標的部位は、投与部位の近くに毛細血管床を有する第一組織に限定されることはない(つまり、組成物は、標的免疫化部位から遠位の投与部位で投与されうる)。言い換えると、例えば、腎臓は投与部位の近くに毛細血管床を有する第一の組織ではないけれども、哺乳動物において腎臓腫瘍を治療するために使用される本発明の組成物は、哺乳動物の任意の部位で静脈内投与することが可能であり、そして強い抗腫瘍免疫応答を誘発し、そして腫瘍を低減又は除去するのに効果的である。特異的な免疫腫瘍効果(つまり、腫瘍の低下又は排除)が所望され、そして投与経路が静脈内である場合、投与部位は、任意の部位であってもよく、それにより、投与部位に対する腫瘍の位置に関わらず、組成物は静脈内投与されうる。抗腫瘍効果(免疫活性化/免疫付与ではない)に関する腹腔内投与では、腫瘍が腹膜腔に存在する場合、又は腫瘍が小さい腫瘍である場合、この投与モードを使用することが好ましい。免疫付与及び免疫活性化の場合、上で記載されるように、特に実施例の欄に記載されるように非全身経路に比べて、腹腔内投与は適切な投与モードである。
本発明の方法において、治療組成物は、脊椎動物綱である哺乳綱の任意のメンバー、例えば非限定的に霊長類、げっ歯類、家畜、ペット動物に投与されうる。家畜は、消費される哺乳動物又は有用な製品を生産する哺乳動物(例えば羊毛製品についてのヒツジ)を含む。守るべき好ましい哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ウシ、ウマ、及びブタを含み、ヒトとイヌは特に好ましく、そしてヒトが最も好ましい。本発明の治療組成物が、哺乳動物の近交系種における疾患に対して有効な免疫応答を誘発することが有効である一方で、哺乳動物の非近交系において疾患に対する免疫応答を誘発するのに特に有用である。
上記のように、本方法により投与される本発明の治療組成物は、様々な疾患、特に癌、アレルギー炎症、及び炎症性疾患を患う哺乳動物において免疫応答を誘発するために有用である。本発明の治療組成物は、静脈内又は腹腔内デリバリーされる場合、癌を患う哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有利であり、ここで、当該組成物は、癌細胞が免疫異物排除を避けるメカニズム(つまり、癌細胞が当該疾患に応答する哺乳動物によりもたらされる免疫応答を避けるメカニズム)に打ち勝つ。癌細胞は、例えばわずかな免疫原性しかないこと、細胞表面抗原を調整すること、そして免疫抑制を誘導することにより免疫異物排除を避けることができる。癌を患う哺乳動物において免疫応答を誘発する際に使用するための適切な治療組成物は、本発明の核酸:脂質複合体(ここで核酸は、転写制御配列に発現可能なように結合しないか、又はより好ましくは転写制御配列に発現可能なように結合する腫瘍抗原をコードする組換え分子を単独で、又はサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて(別々に又は一緒に)をコードする)を含む。本発明の治療組成物は、標的となる肺又は脾臓及び肝臓の細胞に進入する際、哺乳動物における全身性の非特異的免疫応答を誘発し、細胞障害性T細胞、ナチュラル・キラー細胞、Tヘルパー細胞、及びマクロファージを活性化する腫瘍抗原(及び、特別な実施態様では、サイトカイン・タンパク質)の産生をもたらす。かかる細胞活性化は、そうでなければかかる細胞の破壊をもたらす癌細胞に応答する免疫の相対欠如に打ち勝つ。
腫瘍抗原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、癌(腫瘍及び癌の転移形態の両方を含む)を患う哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有用である。治療組成物での治療は、従来の転移癌治療の不利点を克服する。例えば、本発明の組成物は、外科的方法を用いて治療できない分散性の転移癌細胞を標的化できる。さらに、かかる組成物の投与は、化学療法及び放射線療法により引き起こされる有害な副作用をもたらさず、そして繰り返し投与可能である。さらに、本発明の方法により投与された組成物は、典型的に、腫瘍細胞自身内での腫瘍抗原又はサイトカインの発現が腫瘍に対する効力を必ずしも提供しないような腫瘍小胞を標的化する。実際、本発明の一般的な利点は、組成物自身デリバリーが、強力な免疫応答を誘発し、そして少なくとも標的部位の近傍における(当該部位で、又は当該部位に隣接部位で)核酸分子の発現は、標的に対する有効な免疫活性化及び効力を提供する。
腫瘍抗原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、非限定的に黒色腫、扁平上皮癌、乳癌、頭部及び頸部癌、甲状腺癌腫、軟部肉腫、骨 肉腫、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、脈管腫、血管肉腫、肥満細胞腫瘍、原発肝癌、肺癌、膵癌、消化器癌、腎細胞癌、造血系新生物、及びそれらの転移癌を含む癌を患う哺乳動物において免疫応答を誘発するように好ましくは使用された。本発明の治療組成物で治療するための特に好ましい癌は、原発肺癌及び転移性肺癌を含む。本発明の治療組成物は、かかる癌を形成しうる腫瘍(悪性及び良性腫瘍を含む)を治療するために、哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有用である。好ましくは、癌を患う哺乳動物の肺組織において、(つまり静脈内デリバリーにより)腫瘍抗原を発現することは、癌の緩和、癌に付随する腫瘍の低減、癌に付随する腫瘍の排除、転移癌の予防、癌の予防、及び癌に対する効果細胞免疫の刺激からなる群から選ばれる結果をもたらす。
感染症病原体由来の免疫原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、免疫応答に反応する感染症を患う哺乳動物に免疫応答を誘発する利点を有する。免疫応答に反応する感染症は、病原体に対する免疫応答の誘発が本明細書の前部で記載された予防効果又は治療効果をもたらしうる病原体により引き起こされる疾患である。かかる方法は、病原体の伝播からもたらされる原発性の病変(例えば肉芽腫)に対する長期の標的化治療を提供する。本明細書中に使用されるとき、「病変」という用語は、哺乳動物を病原体で感染させることにより形成される病変を指す。感染症を患う哺乳動物において免疫応答の誘発において使用するための治療組成物は、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと混合された組換え分子をコードする病原体抗原を単独で、又は本発明のサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む。癌治療のための上記メカニズムと同様に、感染症を患う哺乳動物において、サイトカインを伴って又は伴わずに感染症病原体由来の免疫原について免疫応答を誘発することにより、病原体により形成された病変に対する免疫応答の相対的欠如に打ち勝つようなT細胞、ナチュラル・キラー細胞、及びマクロファージの細胞活性の増加がもたらされる。好ましくは、感染症を患う哺乳動物の組織における免疫原の発現により、疾患の緩和、疾患に付随する確立された病変の低減、疾患症状の緩和、疾患に対する免疫化、及び疾患に対する効果細胞免疫の刺激を含む結果がもたらされる。
本発明の治療組成物は、非限定的に細菌(宿主細胞内で生育する細胞内細菌を含む)、ウイルス、寄生虫(内部寄生虫を含む)、真菌(病原性真菌を含む)、及び内部寄生虫を含む病原体により引き起こされる感染症を患う哺乳動物において、免疫応答を誘発するために特に有用である。本発明の治療組成物で治療するための好ましい感染症は、慢性感染症、より好ましくは肺性感染症、例えば結核を含む。本発明の治療組成物で治療するための特に好ましい感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、及びカンジダを含む。
一の実施態様では、本発明の治療組成物が治療する感染症は、ウイルス疾患、より好ましくは、ヒト免疫不全ウイルス及びネコ免疫不全ウイルスを含むウイルスにより引き起こされるウイルス疾患である。
アレルゲンである免疫原をコードする核酸分子を含む本発明の治療組成物は、アレルギー性炎症に付随する疾患を患う哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有利である。アレルギー性炎症に付随する疾患は、アレルゲンなどの感作物質に対する免疫応答の一のタイプ(例えば、Th2型免疫応答)の誘発は、哺乳動物において炎症に関与する細胞をリクルートする炎症性メディエーターの放出をもたらしうる。炎症メディエーターの存在は、組織損傷を導き、そしてしばしば死を導きうる。実施例の欄に詳細に記載されるように、本発明の方法はTh1型応答を誘発する。Th1型応答は、理論に固執することなく、アレルギー性炎症を緩和するか又は低減する予防又は治療効果を有しうる。アレルギー性炎症に付随する疾患を患う患者における免疫応答の誘発に使用される治療組成物は、リポソーム・デリバリー・ビヒクルと混合されたアレルゲンをコードする組換え分子を単独で、又はサイトカインをコードする組換え分子と組み合わせて含む。上記の癌の治療用メカニズムに類似して、アレルゲンで引き起こされたアレルギー性炎症に付随する疾患を患う哺乳動物において、サイトカインを伴って又は伴わずに免疫応答を誘発するすることは、Th1型T細胞、ナチュラル・キラー細胞、及びマクロファージ細胞の活性化をもたらし、それは同抗原に対するTh2型免疫応答の有害な効果より勝っている。好ましくは、アレルギー性炎症に付随する疾患を患う哺乳動物の組織においてアレルゲンの発現は、疾患の緩和、疾患症状の緩和、疾患に対する脱感作、及び疾患に対する保護免疫応答の刺激を含む結果をもたらす。
本発明の組成物及び方法を使用して治療するのに好ましいアレルギー性炎症に付随する疾患は、アレルギー性気道疾患、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び食物アレルギーを含む。
以下の実施例は、例示の目的で提供され、そして本発明の範囲を制限するように意図するものではない。
以下の実施例1〜7では、以下の実験方法及び材料を使用した。
A.カチオン性脂質DNA複合体(CLDC)の調製
以下の実験において使用されるカチオン性リポソームは、(他に特記がない限り)1:1のモル比で混合されたDOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン)とコレステロールからなり、丸底チューブ中で乾燥し、次に50℃で6時間熱することにより5%ブドウ糖液(D5W)で再水和した。これらは以前に記載されたとおりに行った(Solodinら、1995, Biochemistry 34: 13537-13544、当該文献はその全てを本明細書中に援用される)。他の脂質(例えば、DOTMA)を、指摘したように幾つかの実験で同様に調製した。この方法により、多重膜小胞(MLV)からなるリポソームの形成がもたらされた。本発明者は、当該リポソームが小さい単層小胞(SUV)に比べて最適なトランスフェクション効率を与えることを発見した。MLV及び関連する「押し出し脂質」の生産はまた、Liuら1997, Nature Biotech. 15: 167-173;及びTempletonら、1997, Nature Biotech. 15:647-652においても記載されており、両文献は本明細書中にその全てを援用される。以前に記載されえたように、改変アルカリ溶解法及びポリエチレン・グリコール沈殿法(上記Liuら、1997)を使用して、プラスミドDNA(pCR3.1, Invitrogen)をE.coliから精製した。注射用にDNAを、蒸留水に溶かした。真核生物DNA(サケ精巣及び子ウシ胸腺)をSigma Chemical Companyから購入した。本明細書中に報告された多くの実験では、プラスミドDNAは、(他に記載がない限り)遺伝子インサートを含まず、そして「非コード」又は「空ベクター」DNAと呼んだ。
以下の実験において使用されるカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)を、室温で5%ブドウ糖液(D5W)中の脂質の溶液にDNAをゆっくり加えることにより調製し、次に適切な混合を保証するために数回ゆっくりピペッティングした。DNA:脂質比は、1:8であった(1.0μgのDNA対8nmol脂質)。CLDCを30〜60分の調製時間で使用した。(指摘された)幾つかの実験において使用される小さい単層小胞(SUV)を調製するために、以前に記載されたように(Liuら,1997)上記のとおりにMLVリポソームを使用して形成されたCLDCを5分間の超音波処理にかけた。
B.遺伝子コンストラクト
抗原特異的免疫化実験では、プラスミドに基づく真核細胞発現ベクターをin vivoにおいて遺伝子を発現するために利用した。サイトカインcDNA(IL-2、IFNγ、IL-2)用の発現ベクター(pCR3.1,Invitrogenを使用)は、例えば上記Sambrookらに記載されるように、通常のマウス脾臓から調製されたRNAをPCR増幅を使用して構築した。Dr.Cori Gormanからβ-gal発現コンストラクトを頂いた。これらの遺伝子コンストラクトでの免疫化では、所望の遺伝子コンストラクトを含むCLDCを尻尾静脈(つまり、静脈内投与)から、又は腹腔内(記載した通り)に注射し、総DNA量5.0〜10μgのDNAをデリバリーした。
RNA免疫化実験では、腫瘍細胞(B16細胞又はCT-26細胞;以下を参照のこと)をin vitroで成長させ、標準方法(上記Sambrookを参照のこと)を使用して、ポリA濃縮されたRNAを抽出した。RNAを水に溶解し、そしてリポソームと混合体形成する前に凍結した。脂質:DNA複合体について上で記載した比と同じ脂質:RNA比を使用してカチオン性脂質RNA複合体(CLRC)を調製した。
1以上の遺伝子を同じ動物に同時に投与する場合、プラスミドDNAを最初に混合し、次にリポソームに加えてCLDCを形成した。
C.免疫活性化のin vivo評価
マウス(他に記載がない限り一群あたり3匹)を、個々の実験において記載されるように、100μlのCLDCを含むD5W(上記の通りに調製した)を一回静脈内又は腹腔内に注射した。対照マウスに100μlのD5Wを注射した。3種の異なる系統のマウスを実験で評価した(C57Bl/6、BALB/c、ICR)が、多くのデーターは、C57Bl/6を使用して作成された。他に特記されない限り、注射されたDNAの総量は、1マウスあたり10μgであった。注射後の様々な時点において、脾臓組織と肺組織を回収し、単核細胞調製品を作成し、そして細胞を活性化マーカーの発現又はサイトカイン放出についてアッセイした(以下を参照のこと)。
D. 免疫活性化のin vitro評価
通常の(未処理)マウスから得た脾臓細胞を、脂質のみ、DNAのみ、又はカチオン性脂質DNA複合体(CLDC)のいずれかを含む10%FBS添加改変Eagles細胞培養培地中でインキュベーションして、免疫活性化の効果を評価した。これらの実験における最終DNA濃度は、1.0μg/ml培地であった。細胞の活性化をフローサイトメトリーにより評価し、そしてサイトカイン放出をELISAにより定量した(以下を参照のこと)。
E.フローサイトメトリー
初期活性化マーカーであるCD69(CD69は、活性化T細胞、B細胞、マクロファージ、及びNK細胞においてアップレギュレーションされる)を初期免疫細胞活性化を評価するために使用した。単一細胞懸濁液をNH4Cl溶解法によりマウスの脾臓から調製し(Sambrook、上記)、そして肺単核細胞をコラゲナーゼによる分解により肺組織から調製した。簡潔に説明すると、肺組織を1時間37℃で0.02%コラゲナーゼ中で消化させた。肺単核細胞をFicoll勾配遠心により消化された組織から単離した。各実験について、他に記載されない限り、脾臓及び肺細胞を治療群あたり3の動物から調製した。
最初に脾臓リンパ球をゲート通過させることにより設定した分析ゲートでBecton-Dickinson FACSCaliburフローサイトメトリーを用いて細胞を分析した。10,000〜30,000のゲート通過時の事象を各細胞タイプについて分析した。細胞活性化の分析では、CD69陽性細胞数を定量するために抗CD-69フィコエリスリン(Pharmingen, San Diego, CA)を用いて3色のフローサイトメトリー分析を行った。T細胞を評価するために細胞を二重染色した(抗αβTCR抗体(ビオチンH57.597;Pharmingen)とCD4又はCD8のいずれかに対する抗体(FITC RM4-5;Pharmingen又はFITC53-6.7;Pharmingen))。B細胞を抗-B220(Pharmingen)及び抗CD3(FITC2C11)を用いて二重標識し;マクロファージを抗CR-3(ビオチン・Mac-1;Pharmingen)及びFITC抗-IAb又は抗IAdを使用して評価した。CD69を発現する二重陽性細胞の割合は、各細胞型について測定し、そして平均(±SD)CD69+細胞数をプロットした。
F.細胞毒性アッセイ
YAC-1細胞を標的として使用して、標準の4時間にわたる51Cr放出アッセイを使用して、新たに単離された肺及び脾臓単核細胞に存在する細胞毒性活性を定量した。簡潔に記載すると、肺又は脾臓からの効果細胞を、濃度を低減させて加えて、Linbroプレートのウェルを二つ組みにし、当該ウェルに予め1時間51Crで標識された5×103標的細胞を加えた。プレートを37℃で4時間インキュベーションし、次に各ウェルからの上清を回収し、そして放射活性を有する51Crの存在量を自動γカウンターにより測定した。特異的溶解割合を以下の通りに計算した。
Figure 2007523093
G.in vivoにおけるNK細胞の減少
50μlのラビット抗アシアロGM1抗血清(Wako Bioproducts, Richmond, VA)の一回の単回腹腔内注射(i.p.)により、in vivoでマウスからNK細胞を減少させた。対照動物には50μl非免疫ラビット血清を注射した。別の実験では、NK細胞(PK-136)に対するモノクローナル抗体をi.p.注射することにより、NK細胞を減少させ、そして対照マウスには、無関係のアイソタイプ適合抗体を注射した。これらの処理が、脾臓及び肺において(フローサイトメトリーにより測定するとき)検出できるNK細胞を排除し、そして脾臓細胞における細胞毒性活性を排除した(データー未掲載)。
H.サイトカイン・アッセイ
in vivo又はin vitro刺激の後に脾臓細胞上清中へのサイトカインの放出を計測した。in vivo刺激後のサイトカイン放出アッセイでは、脾臓又は肺単核細胞はi.v.注射後6又は24時間でマウスから調製し、次にさらに18時間5×106細胞/mlの濃度で培養し、その後上清を回収した。サイトカイン放出のin vitro刺激では、in vitroにおいて、1mlあたり1.0μgの最終DNA濃度で、脾臓細胞をDNA、脂質、又はDNA+脂質で18時間インキュベーションし、その時点でサイトカイン・アッセイ用に上清を回収した。当該技術分野に知られているとおりにサンドウィッチELISAを用いてインターフェロンγ(IFNγ)をアッセイした。
I.腫瘍暴露実験
B16(F10クローン)細胞をDr.Isiah Fidler(M D Anderson,Houston, TX)から頂き;MCA-205細胞をDr. Jack Routes(National Jewish)から頂き;CT26細胞をDr.Nicholas Restifo(National Cancer Institute)から頂き;4Tl細胞をDr.Susan Rosenbergから頂いた。全ての細胞系列を必須アミノ酸及び非必須アミノ酸、ペニシリン及びグルタミン、並びに5%ウシ胎児血清を添加した改変イーグル培地中に37℃で維持し、そしてマイコプラズマ不存在条件を維持するために定期的にシプロフロキサシン(10μg/ml)で処理した。β-galでトランスフェクションされたCT-26腫瘍細胞系列(CL-25として知られている)をDr.Nicholas Restifoから頂いた。
実験的に肺転移を確立するために、マウス(処理群あたり4匹)に、2.5×105腫瘍細胞を側尾静脈から一回注射した。DNA-脂質複合体での治療を、腫瘍注射後3日で開始し、そして腫瘍注射後10日に一回繰り返した。対照マウスは、i.v.でD5Wのみを注射した。腫瘍注射後17日〜20日でマウスを屠殺し、そして、肺にIndiaインク溶液を拭きいれ、腫瘍解剖顕微鏡の下で肺あたりの総塊を手作業で計数することにより肺あたりの腫瘍塊数を測定した(Wexterら、1966, J. Natl. Cancer Inst. 36:41-645を参照のこと。当該文献は本明細書中にその全てを援用される)。
実施例1
以下の実験a〜lと図1〜12は、非コードDNA(空ベクター)で形成されたカチオン性リポソームDNA複合体(CLDC)の全身投与が、in vivoで強力な免疫応答を誘発することを示す。
(a) 以下の実験により、空ベクターDNAを含むCLDCの静脈内(i.v.)注射が、in vivoにおいて5の異なる免疫効果細胞集合の顕著な活性化を誘導することをが示される。この実験では、空ベクター・プラスミドDNAで複合体形成された1:1モル比で混合されたDOTAPとコレステロールとからなるCLDCが調製された(上記セクションAを参照のこと)。記載されるようにC57Bl/6マウスに、CLDC(マウス1匹あたり10μgの空ベクターDNA)を含む100μlのDW5を静脈内注射した。注射後24時間で、脾臓細胞を、希釈液(D5W)を注射された対照マウスとCLDCを注射されたマウスから回収した。細胞をCD4+及びCD8+T細胞、NK細胞、B細胞、及びマクロファージを評価するために特異的抗体で、並びにCD69(初期活性化マーカー)に対する抗体で標識し、そしてフローサイトメトリーにより分析した(セクションE)。対照マウス(白棒)及び3のCLDCを注射されたマウス(黒色棒)のCD69/免疫効果細胞染色からの結果を示す。CLDC(空ベクター)の注射により、全ての関連免疫効果細胞集合においてCD69の顕著なアップレギュレーションが誘導され、そして同様の結果は、早くも投与後6時間において観察された(データー未掲載)。これらの結果により、CLDC(空ベクター)の全身投与が大規模で迅速な免疫活性化を誘導するということが示唆された。
(b) 以下の実験により、CLDCがin vivoで免疫活性化を誘導するが、脂質又はDNAのみは誘導しないことが示される。C57Bl/6マウスにDNAのみ(空ベクター;10μg)、脂質のみ(DOTAP:コレステロール)、又はDNA+脂質(CLDC-空ベクター)を上記(セクションA及びC)のように静脈内注射し、そしてT細胞、NK細胞上でのCD69発現(免疫活性化)のアップレギュレーションが24時間後にフローサイトメトリーにより評価された(セクションE)。図2A(CD69+/CD8+細胞)及び図2B(CD69+/NK1.1細胞)において表されるデーターにより、DNA及びカチオン性脂質が一緒に複合体形成された場合に生じる相乗的免疫刺激相互作用が明らかに記載される。同様の結果は、またCD4+細胞B細胞、及びマクロファージについても得られた(データー未掲載)。
(c) 以下の実験は、LPS、ポリI/C、及びCLDC(空ベクター)の免疫活性化効力を比較する。C57Bl/6マウスに、10μgずつのLPS、ポリI/C、又はCLDC(DNA10μg)を注射し、そして24時間後にフローサイトメトリーにより、脾臓細胞をCD69のアップレギュレーションについて分析した(セクションA、C、及びEに記載される)。図3により、CLDCの注射が従来の免疫活性化刺激であるLPS又はポリI/Cのいずれよりも実質的に強い免疫活性化を誘導し、これはCLDCの極度に強い免疫活性化効力を示唆することが示される。
(d) 以下の実験により、本発明により投与されたさらに低い用量のCLDCでさえ強力な免疫活性化を誘導することが示された。C57Bl/6マウスにCLDC(空ベクター)を用量を低下させてi.v.注射し、そして免疫活性化(NK細胞についてのCD69アップレギュレーション)を24時間後に評価した(セクションA、C、及びEを参照のこと)。図4により、極度に低用量のCLDC(100ng)でさえ、有意な免疫活性化を誘導できることが示される。
(e) 以下の実験により、CLDCの腹腔内及び静脈内投与の両方が、強力な免疫活性化を誘導することが示される。CLDC(空ベクター)を静脈内(i.v.)又は腹腔内(i.p.)のいずれかでC57Bl/6マウスに投与し、そして脾臓NK細胞における免疫活性化(CD69アップレギュレーション)をフローサイトメトリーにより評価した(セクションA、C、及びEを参照のこと)。図5により、いずれかの経路によるCLDCの投与が実質的な免疫活性化を誘導するが、i.v.経路がi.p.経路よりも強力であることが示された。
(f) 以下の実験により、本発明に記載されるCLDCの投与により誘発された免疫活性化が、異なる脂質製剤により誘導されうるということが示される。(A及びCに記載されるように)幾つかの異なる脂質組成物のリポソームを使用して調製されるCLDC(空ベクター)(MLVとして剤形される)をC57Bl/6に投与した。注射後24時間において、脾臓細胞での免疫活性化の程度(CD69アップレギュレーション)を評価した(セクションE)。図6により、3の異なる化学組成を有する脂質によって、同等の免疫活性化が誘導されることが示され、CLDCの免疫活性化性質は一般的な性質であり、そして1の特定の脂質組成物に依存しないということが示唆される。
(g) 以下の実験により、CLDCによる免疫活性化が、DNAの起源に独立しているということが示される。細菌DNAが哺乳動物において免疫刺激性である一方で、真核細胞由来のDNAは免疫刺激性ではないということが前に確立されていた(例えば、上記Pisetskyら, 1996;上記 Pisetsky, 1996; 上記Yamamotoら, 1994; 上記Romanら, 1997; 上記Krieg, 1996;上記 Sunら, 1996; 上記Staceyら, 1996; 上記Satoら, 1996; 又は上記Ballas, 1996を参照のこと)。それゆえ、細菌DNA(空ベクター・プラスミドDNA)又は2の異なる起源(サケ精子又は子ウシ胸腺)由来の真核細胞DNAのいずれかと剤形されたCLDCの能力をin vivoで評価した。C57Bl/6マウスにこれらの起源のうちの一つ由来のDNAを含有するCLDCをi.v.注射した(1のマウスにつき10μgのDNAをデリバリーするようにそれぞれ剤形される)(セクションA及びCを参照のこと)。CLDCのi.v.注射の24時間後、脾臓NK細胞でのCD69のアップレギュレーションの程度は、フローサイトメトリーにより評価された(セクションE)。図7により、マウスが真核細胞又は細菌のDNAで構成されたCLDCで注射された場合でも、免疫活性化が観察されるということが示される。サケ精子又は子ウシ胸腺DNAのみの注射は、CD69のアップレギュレーションを誘導しなかった(データー未掲載)。こうして、CLDCの免疫活性化性質は、驚くべきことにDNA起源から独立しており、そして免疫活性化は、カチオン性脂質及びRNAの複合体により誘導されうる(以下の実施例7を参照のこと)。
(h) 以下の実験により、サイトカインの放出が、CLDCにより誘導されるが、DNA又は脂質のみでは誘導されないことが示される。脾臓細胞をin vitroでCLDC(空ベクター)、DNAのみ(からベクター)、又は脂質のみ(DOTAP:コレステロール)とインキュベーションし、そして上清をIFNγについて評価した(他のサイトカインについても評価した(データー未掲載)(セクションD及びHを参照のこと)。図8はIFNγのELISAの結果を示す。CD69アップレギュレーションについてみると、サイトカイン放出はCLDCによってのみ引き起こされ、そしていずれの成分のみによっては引き起こされない。こうして、DNA-脂質複合体の製剤は、明らかに、プラスミドDNA及び脂質のみが有している任意の免疫刺激性質を明らかに顕著に強調する。
(i) 以下の実験により、CLDCの注射がin vivoにおいてIFNγの産生を誘導することが示される。C57Bl/6マウス(一群につき3匹)に10μgのCLDC(空ベクター)、ポリI/C、又はLPSのいずれかを、(セクションA及びCに記載されるように)i.v.により注射した。6時間後、脾臓細胞を回収し、そしてさらに12時間in vitroで培養した。次に、上清のサイトカインレベルを計測した(セクションH)。図9は、CLDC注射に対するin vivoにおけるサイトカイン応答が、他の2の従来の免疫活性刺激(LPS、ポリI/C)とは明確に異なることが示され、それによりCLDCと他のいわゆる非特異的免疫刺激とのあいだの顕著な差が示される。
以下の実施例により、NK細胞が、CLDCのi.v.注射により誘発されるIFNγ産生の原因であることが示される。CLDC(空ベクター)の注射後、IFNγを産生する細胞タイプを決定するために、(セクションGにおいて記載されるように)C57Bl/6マウスに何も処理を施さない(対照)か、CLDCを注射しさらに抗NK細胞抗体を使用してNK細胞を枯渇させる(EV/aNK)か、CLDCを注射し処理を施さない(EV/-)か、又はCLDCを注射しさらに無関係の抗血清で処理した(EV/NRS)。CLDCの注射後24時間における脾臓及び肺細胞により産生されたIFNγの量が定量された(セクションH)。この実験により、NK細胞がCLDCのi.v.投与により誘導されるIFNγの主な原因であることがが示される。
(k)以下の実験により、CLDCの静脈内注射が脾臓細胞において高レベルのNK活性化を誘導するこが示される。図11により、CLDC(空ベクター)のi.v.注射の24時間後に回収された脾臓細胞が、主要標的細胞の高い殺傷レベルを示す(腫瘍細胞毒性)ことが示された(セクションFを参照のこと)。腫瘍細胞殺傷活性の原因となる細胞タイプを同定するために、(セクションGに記載されるように)C57Bl/6にCLDCの注射をする前に、48時間NK細胞を枯渇させる(アシアロGM1)か、又は無関係の抗血清(NRS)で処理させるか、又は未処理であった(対照)。この実験により、NK細胞が、CLDCの注射により誘発される腫瘍細胞殺傷活性の原因となる主な細胞タイプであるということが示される。
(l) 以下の実験により、CLDCの腹腔内注射が免疫活性化を誘導することが示される。脾臓細胞を、何もコードしない(空ベクター;EV)か又はIL2遺伝子をコードする(IL-2)CLDC10μg(10μgのDNA)の腹腔内注射の24時間後にC57Bl/6から回収し、そしてCD8+及びNK1.1+細胞の両方におけるCD69のアップレギュレーションについてアッセイした(セクションA、B、C、及びE)。図12A(CD8+)及び図12B(NK1.1+)により、空ベクター又はIL-2遺伝子を有するCLDCの腹腔内注射が免疫活性化を誘導することを示すが、効果はi.v.デリバリーにより誘導されるほどの大きさではなかった(図5を参照のこと)。IL-2をコードするCLDCにより、CLDCに比べて高い免疫活性化を示した(空ベクター)。
実施例2
以下の実験a〜d及び図13〜16により、非コードDNA(空ベクター)で形成されたCLDCが、本発明の方法に従って投与されるとき、in vivoで強力な抗腫瘍効果を発揮するということが示される。
(a) 以下の実験により、本方法により哺乳動物に投与されるとき強力な抗腫瘍効果を発揮することが示される。CLDCの抗腫瘍効果(空ベクター)は、転移癌の4の異なるマウスモデル:MCA-205(C57Bl/6;線維肉腫、図13A);B16(C57Bl/6;黒色腫;図13B);CT26(BALB/c;結腸癌;図13C);及び4T1(BALB/c;乳癌;図13D)において評価された。各モデルにおいて、腫瘍は、マウス1匹あたり2.5×105腫瘍細胞のi.v.注射によりマウスの肺において確立された(一群あたり4匹)。腫瘍細胞注射の3日後、100μlCLDCのi.v.投与での治療が行われ(セクションA及びCにおいて記載されるようにMLVリポソームに複合体形成された10μgの空ベクターDNA)、そして7日に一回繰り返された。対照マウスには希釈液(D5W)を注射した。第二回目の注射の7日後(腫瘍細胞を最初に注射後17日)マウスを屠殺し、上で記載されるように(上記Wexterら、1966)手作業による計数により、腫瘍塊数を測定した。図13A〜Dにより、4の異なる腫瘍モデル及び2異なるマウス種(C57Bl/6及びBALB/c)を使用して、CLDCの全身投与により強力な抗腫瘍活性が発揮されるということが示される。
(b) 以下の実験により、CLDCの全身投与が抗腫瘍活性を誘導するが、DNA又は脂質のみの投与は誘導しないことが示された。3日目の確立されたMCA-205腫瘍(セクションI)を有するC57Bl/6マウス(一群あたり4匹)を、MLVリポソームのみ、空ベクターDNAのみ、又はCLDC(空ベクター)のそれぞれのi.v.注射で2回処理した(セクションA及びIを参照のこと)。肺腫瘍転移数を、腫瘍注射後17日で測定し、そして結果を図14に示す。この実験により、CLDCが抗腫瘍活性を誘導するが、2つの構成要素のみ(DNA又は脂質のみ)は、抗腫瘍活性を誘導しない。
(c) 以下の実験により、CLDCの抗腫瘍活性は、DNAの起源から独立していることが示される。上記実験(a)及び(b)において、CLDCで観察される腫瘍活性が、細菌DNAのみで剤形されたCLDCの性質であるかを決定するために、三日目の確立されたMCA-205肺転移を有するマウスを、プラスミド(細菌)DNA又は真核細胞DNA(子ウシ胸腺又はサケ精巣由来)のいずれかを使用して形成されたCLDCで治療した。図15により、細菌又は真核細胞DNAのいずれかで剤形されたCLDCが抗腫瘍活性を誘導するが、細菌DNAがかなり強力な活性を有するということが明らかに示された。
(d) 投与されたCLDCのタイプが、当該組成物の抗腫瘍活性に有意に影響するかを測定する。従来の研究者は、肺への全身性遺伝子運搬を標的するためにSUV(小単層ビヒクル)として剤形されるCLDCを使用した。しかしながら、本発明の発明者は、MLVとして剤形されるCLDCの全身投与が、空のベクターDNAが投与される場合でさえ、かなり大きい抗腫瘍活性を誘導することを発見した。図16はこの差を明確に示す。図16により、SUV又はMLVとして剤形されるCLDCを使用して投与される10μgの空ベクターで治療される場合、MLV製剤が有意に強い抗腫瘍活性をもたらすことが示される。
実施例3
以下の実験及び図17A-Cにより、CLDCの静脈内注射が、肺組織において選択的に遺伝子発現を誘導することが示される。C57Bl/6マウスに、レポーター遺伝子(Dr.Robert Debsから頂いた)をコードするCLDCをi.v.注射し、 そして種々の組織における遺伝子発現の位置を24時間後に測定した(セクションA、B、及びCを参照のこと)。図17Aに示されるように、ルシフェラーゼ遺伝子発現は、もっぱら肺組織に限定された。図17B及び17Cにおいて、IL-2又はIFNγをコードするCLDCの注射は、マウスから得られた肺組織におけるサイトカイン発現の決定により示される場合、IL-2及びIFN-γの効果的な腹腔内発現をもたらすことが示される。非コードCLDC(EV)の注射をさらなる対照として含めた。
実施例4
以下の実験及び図18A〜Fにより、CLDCデリバリーを用いたサイトカイン遺伝子の投与は、空ベクターのみを超える抗腫瘍効果を改善するということが示される。実施例2において記載されるように、3の異なる腫瘍モデルを用いて(MCA-205、図18A及び18D;CT26、図18B及び18E;B16、図18C及び18F)、我々はこれらの遺伝子を発現するプラスミドDNAを含有するCLDCを使用して、サイトカイン遺伝子(IL-2、IFNγ、及びIL-12)のi.v.デリバリーの抗腫瘍効果を評価し、そして空ベクターDNAにより誘導された抗腫瘍効果と比較した(セクションA、B、C及びIを参照のこと)。3日目の処理モデル(図18A、図18B、及び図18C)及び6日目の治療モデル(図18D、18E、及び18F)の両方において、NK細胞を刺激するサイトカインの添加は、空ベクターDNAのみに比べて優れた抗腫瘍活性を誘導し、そしてこの更なる抗腫瘍効果は、特に6日目の治療モデルにおいて強調された。サイトカイン遺伝子により誘導される追加の抗腫瘍効果は、CLDCの投与に固有の開始免疫活性化を高め、そしてかなりの部分、当該活性化に左右されることが信じられている。
実施例5
以下の実験及び図19A及び図19Bにより、オブアルブミンをコードするDNAを有するCLDCの投与が、強い全身性の抗原特異的免疫応答を誘導するということが示された。
以下の実験により、抗原遺伝子をコードするCLDCの静脈内注射は、強力な全身性抗原特異的免疫応答を誘導することが示され、そして静脈内(i.v)DNA免疫化が筋肉内(i.m.)DNA免疫化よりも強力であるということが示される。C57Bl/6マウス(一群あたり3匹)を、オブアルブミン(OVA)遺伝子をコードするDNA100μgで筋肉内(IM)で免疫化するか、又はOVA遺伝子をコードする100μgのCLDCで静脈内(IV)で免疫化する(セクションA、B、C)。3週後、脾臓細胞を回収し、そしてそのOVA発現標的細胞を溶解するその能力(CTL活性)について評価した(セクションF)。結果を図19A及び19Bに示す。OVA特異的CTLを検出するために、免疫化マウス由来のリンパ球を、対照細胞系列(白丸)又はOVA発現標的細胞(黒丸)に対する細胞障害活性について評価した。図19Aは、OVAを発現する標的細胞を殺傷する有意により強い効果が存在することを示し、抗原をコードするCLDCでの免疫化が、in vivoにおける抗原特異的免疫応答を誘導する有効な方法であるということが示された。図19Bにより、静脈内投与によりCLDCを用いたDNAの10分の1の量の投与が、筋肉内注射で観測された抗原特異的CTL活性と同等のレベルを誘導することが示された。
実施例6
以下の実験a〜d及び図20〜23により、腫瘍抗原をコードするDNAを有するCLDCの投与が、in vivoにおいて強い抗腫瘍活性及び抗原特異的免疫応答を誘導することが示された。
(a) 以下の実験により、in vivoにおいて、腫瘍抗原をコードするCLDCでの全身性免疫化が、強い抗腫瘍活性を誘導することが示される。BALB/cマウス(一群あたり4匹)に、2.5×105CL-25腫瘍細胞をi.v.で与えて、肺転移を確立させた(セクションI)。CL-25腫瘍細胞系列は、CT26大腸癌細胞系列から誘導され、そしてβ-gal抗原を発現するように改変された。CL-25腫瘍細胞の投与の3日後、マウスにコードしない(EV)又はβ-gal遺伝子(B-gal)をコードするCLDCを一週間あけて2回i.v.投与した(セクションA、B、及びC)。2回目の処理の1週間後、マウスを屠殺し、そして抗腫瘍効果を肺腫瘍塊数を計数することにより定量した。図20により、腫瘍数が空ベクターCLDC(EV)の投与により有意に低減されるが、特異的な腫瘍抗原、β-gal(B-gal)をコードするCLDCの投与によりさらに低下されるということが示された。本実験により、腫瘍抗原(単数又は複数)をコードするCLDCのi.v.投与が、確立された腫瘍に対して免疫応答を誘発する有効なアプローチであるということが示される。
(b) 以下の実験により、i.v.投与されたCLDC媒介性の腫瘍抗原に対する免疫化が効果的な抗腫瘍免疫を誘導する一方、筋肉内(IM)又は皮内免疫化が当該免疫を誘導しないということが示された。確立したCL25肺腫瘍を患うマウス(1群あたり4匹)を、β-gal・DNAでの静脈内DNA免疫化により治療した(セクションA、B、C、及びI)。図21により、100μgのβ-gal・DNAの筋肉内投与又は皮内投与で治療されたマウスが、対照マウスに比較して検出できる抗腫瘍効果を示さないということが示された。対照的に、β-gal・CLDCで治療されたマウス(βgal/IV;マウス一匹あたり10μg(10)又は1μg(1))は、対照マウス又は空ベクター(EV/IV)CLDCのi.v.投与で治療されたマウスに比べて、有意に肺腫瘍量を低下するが、空ベクターCLDCのi.v.投与が、DNAのi.m.又はi.d.投与に比べて明白な抗腫瘍効果を有した。こうして、CLDCを用いたi.v.投与による腫瘍抗原の10分の1又は100分の1の量の投与が、従来のDNA免疫化アプローチよりも有効であった。
以下の実験により、腫瘍抗原でのCLDC媒介性の静脈内免疫化が、in vivoにおける抗原特異的液性応答を誘導することが示される。異なる経路のDNA投与を介した免疫化の相対効力は、β-ガラクトシダーゼ遺伝子(β-gal)をコードするプラスミドDNAを用いて、BALB/cマウス(1群あたり4匹)で評価した。2週間のインターバルで、血清を各マウスから回収し、そして抗体ELISAアッセイを用いて、β-galタンパク質に対する抗体でアッセイした。皮内及び筋肉内経路により免疫化されたマウスを、50μgβ-galプラスミドDNAで一回注射した。マウスは、静脈内経路及び腹腔内経路により、カチオン性リポソーム(CLDC)に複合体形成した10μgのDNAを受けた。対照動物は治療されなかった。平均β-gal特異的抗体レベル(1:1000血清希釈)を、マウスの各群について決定し、そして4の異なる時点の各々についてプロットした。図22により、10μgのDNAを含むCLDCの静脈内投与が、50μgの皮内投与に応答する抗原特異的液性免疫応答と同様の応答を誘発することが示された。そして静脈内及び腹腔内投与の両者が、β-galDNAの腹腔内又は筋肉内注射のいずれよりも強力な免疫応答を誘発した。
(d) 以下の実験により、腫瘍抗原でのCLDC媒介性の免疫化が、脾臓細胞によるIFNγの抗原特異的産生を誘導する。CLDC媒介性の免疫化の有効性を評価する別の方法として、IFNγ(抗腫瘍効力を有するサイトカイン)の放出を、空ベクターCLDC(EV)、IL-2・CLDC(つまり、IL-2をコードするDNA)又はβ-gal・CLDC(β-galをコードするDNA)で1週間おいて2回免疫化したマウスの脾臓細胞において定量した(セクションA、B、C、及びH)。図23により、CL25(β-galトランスフェクション)細胞系列でin vitroにおいて再暴露する場合、脾臓細胞によるIFNγ産生により計測すると、β-galCLDCで免疫化されたマウスが強力な抗原特異的免疫応答を高めることが示される。対照的に、空ベクターCLDC(EV)又はIL-2CLDC(IL-2)で免疫化されたマウス由来の脾臓細胞が、かなり少しのIFNγしか産生しなかった。これらのデーターは、CLDCを用いた抗原特異的免疫化の有効性をさらに立証する。この有効性は、任意のCLDCの全身投与により引き起こされる固有の免疫応答に起因する。固有の免疫応答の強力な誘導は、疑い様もなく、抗原をコードするDNAに対する強力な免疫応答を誘導する際に強力なアジュバントとして役に立つ。
実施例7
以下の実験a-b及び図24及び25により、腫瘍抗原をコードするRNAを有するCLDCの投与が、強力な抗腫瘍免疫性及び腫瘍特異的CTL応答をin vivoで誘導するということが示される。
(a) 以下の実験により、腫瘍RNA+サイトカインでのCLDC媒介性の免疫化が強力な抗腫瘍免疫を誘導するということが示された。腫瘍細胞由来のポリA濃縮RNAを使用してマウスを免疫化する能力は、カチオン性脂質に対しRNAを複合体化させて、カチオン性脂質RNA複合体(CLRC)を形成することにより評価された(セクションA及びB)。3日目の確立されたCT26肺腫瘍転移を患うBALB/cマウスにおいて、抗腫瘍効果を評価した(セクションI)。自己腫瘍細胞細胞からRNA(CT26RNA)を単離し、又は無関係の対照腫瘍細胞系列からRNA(C57Bl/6RNA)を単離し、カチオン性脂質に複合体形成し、次にi.v.で注射して、マウス一匹あたり約50μgのRNAをデリバリーした(セクションC)。マウスの一の群を、IL-2遺伝子のみをコードするDNAを含有するCLDC(IL-2)で治療し、そして最後の群を、CT26RNA及びIL-2遺伝子をコードするDNAの両方を含むCLRC(CT26+IL-2)で治療した。CLDCの二回目の注射の7日後に、肺腫瘍量を定量した。図24により、RNAがCLRCと混合され、そして全身デリバリーされた場合、腫瘍に対してマウスを免疫化するために効果的に使用されうるということが示され、そして当該抗腫瘍効果が、RNAとIL-2をコードするDNAとの共投与により高められうるということが示された。
(b) 本実験により、腫瘍特異的RNAでの免疫化が、腫瘍特異的CTL応答を誘導することが示される。確立されたCT26腫瘍を有するマウスは、無関係のRNA(B16)、IL-2遺伝子をコードするDNA、全CT26RNA(CT26)、又は全CT26RNA+IL-2遺伝子をコードするDNA(CT26/IL-2)を含むCLRCで2回免疫化された(セクションA、B、及びI)。2回目の免疫化の1週間の後、脾臓細胞を回収し、そしてin vitroでCT26標的細胞を溶解するその能力についてアッセイした(セクションF)。図25により、CT26RNA又はCT26RNA+IL-2のいずれかでの免疫化が、最も高いレベルの抗腫瘍CTL活性を誘導することが示された。こうして、未選択の腫瘍抗原の広範囲(ライブラリー)でCLDC媒介性の免疫化は、腫瘍特異的免疫化を誘導しうるし、そして当該免疫化はサイトカイン遺伝子の共投与により増加されうる。
実施例8
以下の実験及び図26により、IL-2をコードするDNAを含むCLDCの腹腔内投与がFeLVウイルス・タイタ-の低下を誘導するということが示される。慢性的にネコ白血球ウイルス(FeLV)に感染しているネコが毎週(4週間)治療され、そしてプラスミドDNAをコードするネコIL-2遺伝子を使用して(上記のように)調製された250μgのCLDCを一月に2回腹腔内注射した。治療後様々な時点で、血液を回収し、そしてFeLVp27の血清レベルを、ELISAを用いて測定した(当該検定は、Dr.Ed Hoover, Colorado State Universityにより行われた)。その一方、IL-2・CLDC治療の前の2ヶ月間、FeLVp27レベルは、比較的一定に維持されていた(データー未掲載)。
実施例9
以下の実験a〜b及び図27〜29により、本発明の組成物及び方法が、アレルギー性喘息のマウスモデルにおいて気道過敏反応を無くし、そして気道好酸球の流入を低減するということが示された。
(a) BALB/cマウス(治療群あたり少なくとも8)を以下のようにオブアルブミンに感作させた。簡潔に記載すると、100μlのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に20μgのオブアルブミン(OVA)(Inject Alum;Pierce, Rockfold,IL)と20mgのミョウバン(Al(OH)3)とを含むもの、又はPBSを、腹腔内(i.p.)注射することにより感作させた。マウスをオブアルブミンに暴露する72時間前に、IFNγ・CLDC(IFN-γ)又は空のベクター(CLDC)(EV)の静脈内投与でマウスを治療した。対照は、治療されていないOVA感作マウス(IPN)、並びに気道感作を受けていない非治療マウス(IP)を含んだ。マウスは、続いて1%OVA/PBS溶液をOVAエアロゾルで20分間暴露を受けた。メタコリンの増加量の投与後の気道応答性(Penh)は、全身プレチスモグラフィーを用いて評価された(Buxco, Troy, NY)(喘息は、メタコリンなどの収縮性アゴニストへの気道の感受性を増加させることが知られている)。このシステムでは、抑制を受けていない自発呼吸をするマウスを、プレチスモグラフィーのメイン・チャンバー中に配置し、そして当該チャンバーと参照チャンバーとの間の圧力差を記録する。得られたボックス圧力シグナルは、動物の呼吸サイクル間の体積及び結果として生じた圧力変化により引き起こされる。これらのボックス圧力シグナルから、呼吸サイクル、一回換気量、及び中断時間(Penh)を計算できる。Penhは、最大吸入対最大呼吸ボックス圧シグナルの割合の関数を示す。Penhは、ベンチレーションされた動物における2個のチャンバーの従来のプレチスモグラフィーにより計測される肺抵抗性と密接に相関する。図27により、アレルゲン感作及び暴露されたマウスであって、IFNγ・CLDCの静脈内投与を受けたマウスが、メタコリン暴露に対する有意に低い気道過敏反応性を示し(つまり、対照(IP)マウスとほぼ同じ)、一方、気道応答性は、非治療動物において高いままであった。低いメタコリン感作用量において、空ベクター(CLDC)で治療された動物は、メタコリンへの過敏反応性の低下を示した。さらに、IFNγ・CLDC及び空ベクターの静脈内投与は、組換えIFNγタンパク質の投与よりもかなりよくメタコリンに対する気道の過敏反応性を低減した(データー未掲載)。
(b) この実験では上記セクション(a)に記載されるように、BALB/cマウスをオブアルブミンで感作し、そして静脈内(IV)又は気管内(IT)のいずれかでデリバリーされたCLDCを用いて治療した。好酸球の気道への浸潤の程度(気道アレルゲン感作の計測)を、気管支肺胞洗浄液(BALF)で定量した。1mlのBALF液あたりの好酸球の平均数を、各群のマウスについてプロットした(未感作対照{IP};感作、未治療対象{IPN};及びIFNγ・CLDC、気管内EV・CLDC、静脈内IFNγCLDC、又は静脈内EV・CLDCで治療された感作を受けたマウス)。図28により、静脈内CLDCでの治療(EV及びIFNγCLDCの両方)が、対照(IPN)動物に比較して好酸球浸潤を有意に低下することが示される。
実施例10
以下の実施例により、CLDCの静脈内投与を受けたマウス由来の脾臓及び肺が、かなりの量のIFNγを産生するが、気管内投与を受けたマウス由来の脾臓及び肺ではIFNγを産生しない事が示された。
BALB/cマウスは、上記実験に記載されるように、静脈内又は気管内のいずれかで10μgのDNAを含むCLDCを投与された。投与の24時間後、動物の単離脾臓細胞(図29A)及び単離肺細胞(図29B)から、IFNγ産生を計測した。図29A及び29Bにより、CLDCの気管内投与を受けたマウスと対照的に、CLDCの静脈内投与を受けたマウスは、かなりの量のIFNγを産生することが示される。
実施例11
IL-2をコードするDNAを含むCLDCの静脈内投与がイヌにおける転移肺腫瘍を根絶するということが以下の実施例により示される。
イヌ患畜は、骨肉腫のため後ろ足切断術を受け、次に腫瘍転移の予防のためにアジュバント化学療法を受けた。骨肉腫は、原発腫瘍を完全に取り除いた後(切断術)でさえ容易に肺へと転移するイヌの悪性腫瘍である。切断術の後のイヌの平均生存時間は4ヶ月であり、死は腫瘍の転移のため生じる。イヌ骨肉腫は、こうしてヒトにおける骨肉腫の高度に関連があり、かつ有用な動物モデルである。
この患畜が切断術及びアジュバン化学療法を受けた6ヶ月後、イヌを再評価し、そして転移腫瘍を胸部のレントゲン写真で肺において転移腫瘍を見つけた。イヌIL-2遺伝子をコードするCLDCの静脈内投与を使用して、イヌを癌免疫治療試験に付した。最大500μg(10μg/kg体重)のCLDCの増加量でイヌを12週間毎週治療した。6週の治療後、部分的な腫瘍退行を胸部レントゲンで観察し、そして12回の治療により、肺腫瘍塊数の90%の退行が観察された。さらなる治療を一ヶ月に一回行い、そして当該試験に入った1.2年後において緩和状態で生存する。
この実施例により、マウスに加えて哺乳動物におけるがん治療として、全身投与されたCLDCの強力な効力が示される。こうして、自然発生する高度に悪性な転移腫瘍(骨肉腫)を患う大きい非近交系動物(イヌ)において、ここで使用される用量において最小の毒性で効力が示された。
実施例12
この実施例により、CpGモチーフを含まない合成の非コードオリゴヌクレオチドが、カチオン性リポソームに複合体形成する場合、in vivoで免疫活性化を引き起こすことができるということが示される。in vitro及びin vivoで評価した際に、当該オリゴヌクレオチドがそれ自身、非刺激性であることが知られている。マウス(一群あたり3匹)に、評価される合成オリゴヌクレオチド7.5μgを遊離オリゴヌクレオチドとして又はDOTIM及びコレステロールの1:1モル比から構成されるカチオン性リポソームに複合体形成されたヌクレオチドとして、各々i.v.で注射した。以下の群の10mer〜100merの範囲の様々な長さの合成オリゴヌクレオチド:
Figure 2007523093
を構築した。
これらの合成オリゴヌクレオチドは、CpG配列を含まず、そしてコード情報を含まない。ポジティブ・コントロールとして、2個のCpGモチーフ(下線)を含む合成20merオリゴヌクレオチド(5'-tccatgacgttcctgacgtt-3'(配列番号6)が含められた。ネガティブ・コントロールとして、マウスにリポソームのみ("lipos”)、リポソームを含まない非コードオリゴヌクレオチド(”オリゴ/-”;50merのオリゴと75merのオリゴとの50:50混合体)、又はリポソームを含まないCpGオリゴヌクレオチド(”CpG/-”)を注射した。注射後6時間において、マウスを屠殺し、そして脾臓細胞を回収し、そしてフローサイトメトリーによる評価の準備をした。免疫活性化を評価するために、脾臓細胞をT細胞マーカーCD8を含む特異的マーカー及びCD69(かなり早期の活性化マーカー)発現のアップレギュレーションについて染色した。I型インターフェロンに左右されることが知られているCD69のアップレギュレーションを全身免疫活性化のマーカーとして評価した。図30に結果を示す。
10merよりも長いCpG非含有オリゴヌクレオチドの注射は、対照動物と比べて、CD69発現のアップレギュレーションにより反映されるように、すべてCD8+T細胞の有意な免疫活性化をもたらす。50及び75merのオリゴヌクレオチドの場合、免疫活性化は、CpG含有オリゴヌクレオチドにより誘発される免疫活性化とほぼ同じ程度の高さであった。しかしながら、合成オリゴヌクレオチドは、それ自身、免疫活性化を誘発せず、そうして免疫活性化がカチオン性リポソームとの複合体形成に強く依存することが示される。カチオン性リポソームは、それ自身は免疫活性ではない。こうして、CpGモチーフを含まない合成オリゴヌクレオチドは、実際、カチオン性リポソームに複合体形成する場合に免疫刺激性であった。DNAが哺乳動物又は真核起源であるか否かに関わらず、カチオン性リポソームがDNAの様々な異なる起源に複合体形成しうるということがさらに示唆される。
実施例13
CpGモチーフを含まない合成非コードオリゴヌクレオチドが、カチオン性リポソームと複合体形成した場合、in vivoでB細胞の免疫活性化を引き起こしうるか否かを決定するために、実施例12に記載されるように実験を行った。マウス(一群あたり3匹)に、評価される合成オリゴヌクレオチド7.5μgをi.v.で、遊離オリゴヌクレオチドとして、又は1:1のDOTIM:コレステロールの分子比から構成されるカチオン性リポソームに複合体形成するヌクレオチドとして各々注射した。(実施例12に記載されるように)10mer〜100merの範囲の様々な長さの一群の合成オリゴヌクレオチドを構築した。これらの合成オリゴヌクレオチドは、CpG配列を含まず、そしてコード情報を含まなかった。ポジティブ・コントロールとして、2個のCpGモチーフを含む合成20merのオリゴヌクレオチドを含めた。ネガティブ・コントロールとして、リポソームのみ、リポソームを伴わない非コードオリゴヌクレオチド("オリゴ/-”;50mer及び75merのオリゴの50:50混合体)、又はリポソームを伴わないCpGオリゴヌクレオチド(”CpG/-”)をマウスに注射した。注射後6時間において、マウスを屠殺し、そして脾臓細胞を回収し、そしてフローサイトメトリーによる評価にかけた。免疫活性化を評価するために、脾臓細胞をB細胞マーカーB220を含む特異的マーカーについて、及びCD69(かなり早期の活性化マーカー)発現のアップレギュレーションについて免疫染色した。I型インターフェロンに依存すると知られているCD69のアップレギュレーションは、全身免疫活性化のマーカーとして評価された。
図31に示されるように、10merより長いCpG非含有オリゴヌクレオチドの注射は、全て、対照動物と比べて、CD69発現の上方制御により反映されるように、B細胞のかなりの免疫活性化をもたらした。50〜75merのオリゴヌクレオチドの場合、免疫刺激は、CpG含有オリゴヌクレオチドにより誘発されるのとほぼ同程度の高さであった。しかしながら、合成オリゴヌクレオチドは、それ自身、免疫活性化を誘発せず、そうして免疫活性化がカチオン性リポソームとの複合体形成につよく依存するということが示される。カチオン性リポソームは、それ自身、免疫活性ではない。そうして、CpGモチーフを含まない合成オリゴヌクレオチドは、カチオン性リポソームに複合体形成する場合実際免疫刺激性であり、そしてT細胞に加えて、B細胞の著しい活性化をもたらしうる。未掲載データーにより、カチオン性リポソームに複合体形成した合成非CpGオリゴヌクレオチドの注射によるin vivoでのマクロファージの著しい活性化が示される。
実施例14
以下の実施例により、リポソームと複合体形成した非CpGオリゴヌクレオチドが注射された場合、誘導された免疫活性化がIFN-γの放出をもたらすということが示される。マウスに、カチオン性リポソームDOTIMと複合体形成した10μgのDNAをi.v.で注射した。注射されたDNAは、2個のCpG配列を含む20merのオリゴヌクレオチド(配列番号6)(”CpG”)、非コードプラスミドDNA(”DNA”);CpG配列を含む合成10mer(配列番号1)(”10mer”)、又はCpG配列を含まない50mer及び75merの合成オリゴヌクレオチド(それぞれ、配列番号3及び配列番号4)の50:50混合体(”50mer+75mer”)のいずれかからなる。3時間後、脾臓を回収し、そして単一細胞懸濁液を調製した。細胞を一晩培養し、そして上清へのIFN-γの一次的な放出をELISAにより定量した。結果を図32に示す。リポソームCpGオリゴヌクレオチド複合体の注射は、いくらかのIFNγ放出を誘発する一方で、プラスミドDNA又は50/75merオリゴヌクレオチドと複合体形成されたリポソームの注射は、より優れたIFN-γの放出を誘発した。CpGオリゴヌクレオチドのみの注射(リポソームを含まない)は、IFN-γ放出を誘発しなかった(データー未掲載)。リポソーム-10mer複合体の注射は、IFN-γ放出を誘導せず、CD69アップレギュレーションについての従来のデーターと一致した(図30及び31)。
実施例15
以下の実施例により、リポソームに複合体形成した非CpGオリゴヌクレオチドの注射が、免疫活性化及びIFN-αの放出を誘導することが示された。マウスに、カチオン性リポソームDOTIMと複合体形成した10μgのDNAをi.v.注射した。注射されたDNAは、2個のCpG配列を含む20merのオリゴヌクレオチド(配列番号6)("CpG”);非コードプラスミドDNA(”DNA”);CpG配列を含まない合成10mer配列(配列番号1)(”10mer”);又はCpG配列を含まない50mer及び75merの合成オリゴヌクレオチド(配列番号3及び配列番号4)の50:50混合物(”50mer+75mer”)のいずれかからなる。3時間後、脾臓を回収し、そして単一細胞懸濁液を調製した。細胞を一晩培養し、そして上清へのIFN-αの一次的な放出を、ELISAにより定量した。結果を図33に示す。リポソームCpGオリゴヌクレオチド複合体の注射は、リポソームに複合体形成したプラスミドDNAの注射と同様に、かなりの量のIFN-αの放出を誘発した。対照的に、CpGオリゴヌクレオチド単独の注射は、IFN-α放出を引き起こさなかった(データー未掲載)。興味深いことに、50mer〜75merの長さの非CpGオリゴヌクレオチドの注射は、多量のIFN-αを放出し、リポソームとの複合体の形成が、真核細胞のDNAでさえ強力な免疫刺激性にするということが示された。さらに、IFN-αの放出の誘導は、オリゴヌクレオチドの長さにより決定的に影響され、短いオリゴヌクレオチド(例えば、10mer)はIFN-αの放出を誘発しなかった。
形質細胞様DCがin vivoにおけるIFN-α産生の最も多い起源であるので、これらの結果は、形質細胞様DCをこれらの複合体の標的として強く関連付ける。
要約すると、上記実験は、以下のことを示した:
1. 初期活性化マーカー(CD69)のアップレギュレーションにより、NK細胞障害活性の誘導により、NK細胞数の増加により、及びin vivoでのサイトカイン放出の誘導により評価されるとき、空ベクター(非コード)プラスミドDNAを含むCLDCの全身注射が、強力な免疫活性化を誘導する。
2. (本明細書中で評価される量量での)in vitro又はin vivoにおける免疫刺激は、DNA及びカチオン性脂質(CLDC)の複合体により誘導され、そしてDNA又は脂質のみのいずれによっても誘導されない。
3. CLDCにより誘導される免疫活性化は、LPS(内毒素)又はポリI/C(抗ウイルス免疫応答の従来の誘導物質)により誘導される活性化より定量的に強力である。さらに、誘導される免疫刺激のタイプ(例えば、誘導されるサイトカインのパターン)は、LPSにより誘導されるタイプとは質的に異なる。
4. CLDCによる免疫活性化は、原核細胞DNAと同様に真核細胞DNAにより誘導され、DNAの起源に関わらず、元々は免疫活性であるCLDCのいくらかの性質が存在することが示唆される。
5. 免疫活性かは、RNAを含むCLDCの複合体により誘導される。
6. DNA及び脂質の任意の複合体が、いくらかの免疫活性化をおそらく誘導しうるが、MLVリポソームを用いて調製されたCLDCは、有効な抗腫瘍応答を誘導する最大及び最適免疫刺激を誘導する。
7. CLDCを用いた腫瘍抗原遺伝子の全身投与は、抗原特異的液性免疫を誘導することについて、DNA免疫化の従来の経路(例えば筋肉内)よりも有効であり、そして他のもの (例えば、DNAの高用量での皮内投与)に同等である。しかしながら皮内投与は、全身投与で観察される抗腫瘍効果をもたらさない。
8. CLDCを用いた10分の1量のDNAの静脈内投与による全身投与は、筋肉内注射で観察される抗原特異的CTL活性の同等のレベルを誘導する。
9. 静脈内投与された、腫瘍抗原に対するCLDC媒介性の免疫化は、有効な抗腫瘍免疫を誘導する一方、筋肉内(IM)又は皮内(ID)免疫化は有効な抗腫瘍免疫を誘導しない。
10. サイトカインをコードする遺伝子と抗原をコードする(つまり、免疫原をコードする)遺伝子の組合せ投与が、抗原遺伝子に対する優れた免疫応答及び優れた抗腫瘍活性を誘導する。
11. MLVリポソームを用いて調製されたCLDCの全身i.v.投与は、肺組織における優先的トランスフェクションを誘導する。さらに、あるサイトカイン遺伝子(例えば、NK細胞を刺激する遺伝子)をコードするCLDCのi.v.投与は、(確立された肺腫瘍に対して)空ベクターDNAの投与より強い抗腫瘍効果を誘導する。
12. CLDCの全身投与により誘導される原発抗腫瘍エフェクター細胞は、NK死亡である。
13. CLDCの投与に対するサイトカイン応答は、急性ウイルス感染への応答の特徴であり、そしてマクロファージ、NK細胞、及び体の他の細胞タイプからのIFNγの放出により占められる。この応答パターンは、理想的に、癌、ウイルス感染の治療に適しており、そしてあるタイプのワクチンについてのアジュバントとして役に立つ。
14. サイトカインをコードするDNAを含有するCLDCの全身投与は、ウイルス・タイターの低下を誘導する。
15. サイトカインをコードするDNAを含有するCLDCの全身投与は、気道過敏性を低下し、そしてアレルギー性喘息モデルにおいて気道好酸球の流入を低減する。
本発明の様々な実施態様が詳細に記載される一方で、これらの実施態様の変更及び順応を当業者が思いつくことは明らかであろう。しかしながら、かかる変更及び順応は、以下の特許請求の範囲において記載されるように本発明の範囲内である。
「含む(comprise、comprising、include、including、及びincludes)」という用語は、本明細書において及び以下の特許請求において使用されるとき、記載された特徴、成分、構成要素、又はステップの存在を特定することを意図するが、1以上の他の特徴、成分、構成要素、ステップ、又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。
図1は、CLDCの静脈内注射が、in vivoにおいて5個の異なる免疫エフェクターの著しい活性化を誘導することを示す棒グラフである。 図2Aは、CLDCの静脈内注射が、in vivoにおいてCD8+細胞の免疫活性化を誘導するが、脂質又はDNA単独では誘導しないことを示す棒グラフである。 図2Bは、CLDCの静脈内投与が、in vivoにおいてNK1.1+細胞の免疫活性化を誘導するが、脂質又はDNA単独では誘導しないことを示す棒グラフである。 図3は、in vivoにおけるLPS、ポリI/C、及びCLDCの免疫活性化効力を比較する棒グラフである。 図4は、CLDCによる免疫活性化ついてのin vivo用量応答を示す棒グラフである。 図5は、免疫活性化の際のCLDCの投与経路の影響を示す棒グラフである。 図6は、免疫活性化が、幾つかの異なる脂質で形成されたCLDCにより誘導されうることを示す棒グラフである。 図7は、CLDCによる免疫活性化が、DNA起源に無関係であることを示す棒グラフである。 図8は、免疫細胞によるIFNγの放出が、CLDCの投与により誘導されるが、脂質又はDNA単独では誘導されないことを示す棒グラフである。 図9は、in vivoにおいてCLDCの投与が、脾細胞によるIFNγの産生を誘導するが、ポリI/C又はLPSは誘導しないことを示す棒グラフである。 図10Aは、NK細胞がCLDC注射の静脈内投与により誘発される脾臓におけるIFNγ産生の起源であることを示す棒グラフである。 図10Bは、NK細胞がCLDC注射の静脈内投与により誘発される肺単核細胞におけるIFNγ産生の起源であることを示す棒グラフである。 図11は、CLDCの投与が、脾細胞において、高レベルのNK活性を誘導することを示す折れ線グラフである。 図12Aは、CLDCの腹腔内投与が、in vivoにおけるCD8+脾細胞における免疫活性かを誘導することを示す棒グラフである。 図12Bは、CLDCの腹腔内投与が、in vivoにおいてNK1.1+脾細胞における免疫活性かを誘導することを示す棒グラフである。 図13Aは、CLDCがin vivoにおいて線維肉種に対して強力な抗腫瘍効果を発揮することを示す棒グラフである。 図13Bは、CLDCがin vivoにおいて黒色腫腫瘍細胞に対して強力な抗腫瘍効果を発揮することを示す棒グラフである。 図13Cは、CLDCがin vivoにおいて結腸癌に対する強力な抗腫瘍効果を発揮することを示す棒グラフである。 図13Dは、CLDCがin vivoにおいて乳癌に対して強力な抗腫瘍効果を発揮することを示す棒グラフである。 図14は、CLDCの全身投与が、in vivoにおいて抗腫瘍活性を誘導するが、DNA又は脂質単独では誘導しないことを示す棒グラフである。 図15は、CLDCの抗腫瘍活性が、DNA起源とは独立していることを示す棒グラフである。 図16は、投与されたCLDCのタイプが、抗腫瘍活性に有意に影響することを示す棒グラフである。 図17Aは、CLDCの静脈内投与が、肺組織において選択的な遺伝子発現を誘導することを示す棒グラフである。 図17Bは、IL-2をコードするCLDCの静脈内投与が、肺内でのIL-2発現を誘導することを示す棒グラフである。 図17Cは、IFNγをコードするCLDCの静脈内投与が、肺内でのIFNγ発現を誘導することを示す棒グラフである。 図18Aは、3の異なるサイトカイン遺伝子をコードするCLDCの3日間の投与が、空のベクターのみの投与に対して、in vivoにおける線維肉種腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を改善することを示す棒グラフである。 図18Bは、3の異なるサイトカイン遺伝子をコードするCLDCの3日間の投与が、空のベクターのみの投与に対して、in vivoにおける結腸癌腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を改善することを示す棒グラフである。 図18Cは、3の異なるサイトカイン遺伝子をコードするCLDCの3日間の投与が、空のベクターのみの投与に対して、in vivoにおける黒色腫腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を改善することを示す棒グラフである。 図18Aは、3の異なるサイトカイン遺伝子をコードするCLDCの6日間の投与が、空のベクターのみの投与に対して、in vivoにおける線維肉種腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を改善することを示す棒グラフである。 図18Bは、3の異なるサイトカイン遺伝子をコードするCLDCの6日間の投与が、空のベクターのみの投与に対して、in vivoにおける結腸癌腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を改善することを示す棒グラフである。 図18Cは、3の異なるサイトカイン遺伝子をコードするCLDCの6日間の投与が、空のベクターのみの投与に対して、in vivoにおける黒色腫腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を改善することを示す棒グラフである。 図19Aは、オブアルブミンをコードするCLDCの静脈内投与がin vivoにおいて強力な、全身性の抗原特異的免疫応答を誘導することを示す、折れ線グラフである。 図19Bは、抗原をコードするCLDCでの静脈内免疫化が、抗原をコードするDNAの筋肉内注射よりも少なくとも10倍強力な免疫活性化の免疫誘導因子であるということを示す折れ線グラフである。 図20は、腫瘍抗原をコードするCLDCでの全身免疫化が、強い抗腫瘍活性を誘導することを示す棒グラフである。 図21は、腫瘍抗原をコードするCLDCの静脈内投与が、有効な抗腫瘍免疫を誘導し、一方腫瘍抗原をコードするDNAの筋肉内又は皮内投与が抗腫瘍免疫を誘導しないということを示す棒グラフである。 図22は、腫瘍抗原をコードするCLDCの静脈内投与が、in vivoにおいて腫瘍抗原に対する強力な液性免疫を誘導することを示す棒グラフである。 図23は、腫瘍抗原でのCLDC介在性の免疫化が、脾細胞による抗原特異的なIFNγの産生を誘導することを示す棒グラフである。 図24は、サイトカインをコードするDNAを伴って及び伴わずに腫瘍RNAを用いたCLRC介在性の免疫化が、in vivoにおいて強い抗腫瘍活性化を誘導することを示す棒グラフである。 図25は、腫瘍特異的RNAを含むCLRCでの免疫化が、in vivoにおいて腫瘍特異的CTL応答を誘導することを示す棒グラフである。 図26は、IL-2をコードするDNAを含むCLDCでの腹腔内免疫化がFelVウイルス・タイターの低下を誘導することを示す折れ線グラフである。 図27は、IFNγをコードするDNAを含むCLDCで静脈内投与による肺トランスフェクションが、気道の発達を阻害することを示す折れ線グラフである。 図28は、IFNγをコードするDNAを含むCLDCで静脈内投与による肺トランスフェクションアレルゲンで感作及びボウロされたマウスにおいて気道への好酸球の流入を阻害することを示す棒グラフである。 図29Aは、CLDCの静脈内投与が気管内投与に比べて脾臓からのIFNγの放出を誘導するということを示す棒グラフである。 図29Bは、CLDCの静脈内投与が気管内投与に比べて肺からのIFNγの放出を誘導するということを示す棒グラフである。 図30は、活性化カチオン性リポソームに含められたCpG非含有オリゴヌクレオチドが、T細胞を活性化することを示す棒グラフである。 図31は、活性化カチオン性リポソームに含められたCpG非含有オリゴヌクレオチドがB細胞を活性化することを示す棒グラフである。 図32は、リポソームに含められたCpG非含有オリゴヌクレオチドの注射が、免疫活性か及びIFN-γの放出を誘導することを示す棒グラフである。 図33は、リポソームに含められたCpG非含有オリゴヌクレオチドの注射が、免疫活性化及びIFN-αの放出を誘導することを示す棒グラフである。

Claims (22)

  1. 哺乳動物において、全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発するための治療組成物であって、以下の:
    a. リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び
    b. 以下の:
    i. CpGモチーフを含まないオリゴヌクレオチド;及び
    ii. 遺伝子インサート又はその断片を有さない単離核酸ベクター
    からなる群から選ばれる単離核酸分子
    を含み、ここで、当該治療組成物が、当該哺乳動物に全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する、前記治療組成物。
  2. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、多重膜小胞脂質及び押し出し脂質からなる群から選ばれる脂質を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、多重膜小胞脂質を含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、カチオン性リポソームを含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、DOTMA及びコレステロール;DOTAP及びコレステロール;DOTIM及びコレステロール;並びにDDAB及びコレステロールからなる群から選ばれる脂質の対を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、DOTAP及びコレステロールを含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 医薬として許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記賦形剤が、非イオン性希釈剤を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記賦形剤が、5%ブドウ糖液である、請求項7に記載の組成物。
  10. 前記組成物が、約1:1〜約1:64の核酸対脂質比を有する、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも10塩基対の長さである、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記オリゴヌクレオチドが、10〜100塩基対の範囲の長さである、請求項11に記載の組成物。
  13. 哺乳動物において全身性の抗原非特異的免疫応答を誘発する方法であって、当該哺乳動物に、当該免疫応答を誘発するために有効な量の組成物を投与することを含み、ここで当該組成物が、以下の:
    a. リポソーム・デリバリー・ビヒクル;及び
    b. 以下の:
    i. CpGモチーフを含まないオリゴヌクレオチド;及び
    ii. 遺伝子インサート又はその断片を有さない単離核酸ベクター
    からなる群から選ばれる単離核酸分子
    を含む、前記方法。
  14. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、多重膜小胞脂質及び押し出し脂質からなる群から選ばれる脂質を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、多重膜小胞脂質を含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、カチオン性リポソームを含む、請求項13に記載の方法。
  17. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、DOTMA及びコレステロール;DOTAP及びコレステロール;DOTIM及びコレステロール;並びにDDAB及びコレステロールからなる群から選ばれる、脂質の対を含む、請求項13に記載の方法。
  18. 前記リポソーム・デリバリー・ビヒクルが、DOTAP及びコレステロールを含む、請求項13に記載の方法。
  19. 前記組成物が、医薬として許容される賦形剤をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  20. 前記賦形剤が、非イオン性希釈剤を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記賦形剤が、5%ブドウ糖液である、請求項21に記載の方法。
  22. 前記組成物が、約1:1〜約1:64の核酸対脂質比を有する、請求項13に記載の方法。
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