JP2007521252A - 化合物ライブラリーおよび薬剤発見方法 - Google Patents

化合物ライブラリーおよび薬剤発見方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、リード発見および設計に用いるために迅速且つ効率的に合成され得る、そしてさらなる薬剤発見のために容易に拡大され得る化合物を提供する。本発明は、新規の薬剤リードを設計し、同定するためのこのような化合物ライブラリーの使用方法も提供する。

Description

本出願は、Blaney等による米国特許仮出願(表題:化合物ライブラリーおよび薬剤発見方法)(60/462,638(2003年4月11日出願))(60/531,197(2003年12月19日出願))(これらの記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に対する優先権を主張する。本出願は、PCT出願PCT/US04/ (Blaney等)(上記と同じ)(2004年4月9日出願)(代理人認可番号022132001110PC)(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)にも関連する。
序論
新規の化合物は、疾患および障害を治療および予防するために絶えることなく捜し求められている。コンビナトリアル・ケミストリーの出現は、新規治療薬の開発に用いるための数千〜数十万の化合物を研究者に設計させ、合成させてきた。製薬会社ならびにコンビナトリアル・ケミストリーを専門に扱う会社は、多数の化合物を含有する化合物ライブラリーを購入し、またはこのようなライブラリーを合成するための施設を建築して、次に高処理量スクリーニングを用いて、特定の標的に対する活性に関して数千〜数百万の化合物をスクリーニングし得る。これらの方法を用いて、アッセイにおいて最も望ましい結果を有する化合物、例えば最強の結合プロフィールを有するものが選択される。薬剤発見のこの方法は一般に、この種の研究を実行するための資源を有する会社にのみ利用可能である。しかしこのような会社に関してさえ、この方法は、多大な努力および資源によっており、そして結局は、結合化合物または生化学的活性を有する化合物をほとんど無作為に見つけ出すこと、即ちリード化合物に開発され得る「ヒット」によっている。さらにリード候補はしばしば、さらなる開発のためには大きすぎる。その溶解度、吸収、代謝特性またはその他の特性を改善するようリード候補を修飾するのがしばしば望ましい。リード候補が大きすぎて修飾されず、そして望ましい治療特性を依然として保持する場合には、研究者は貴重な時間を失う。
多数の化合物の高処理量スクリーニングから得られる結果は限定される。研究者は、最良検定結果を有することが無作為に見出される化合物を選択する。これらの化合物は、必ずしも、治療的成功の最良の機会を最終的に有するものであるというわけではない。さらに数百〜数千の擬陽性が最初のスクリーニングで起こり得る。これらの擬陽性は、任意数の因子のためであり得るが、この例としては検定の「ノイズ」、凝集、タンパク質変性および検定の妨害が挙げられる(これらに限定されない)。研究者たちは、これらの擬陽性化合物を検定し、ならびに治療判定基準を満たさない化合物を開発する有意量の努力を拡大しなければならない。さらに、あまり望ましくない初期アッセイ結果のため、多数の考え得るリード化合物が見落とされ得る。擬陰性結果を有するこれらの化合物は、実際、望ましい治療の質を有する有益なリード候補をもたらし得る。しかし伝統的スクリーニング方法下では、これらの化合物は見落とされる可能性があると思われる。良好なリード、特に弱活性阻害剤はしばしば、伝統的高処理量スクリーニングアプローチを用いて検出するのが非常に難しい。
さらにまた、望ましいアッセイ結果を有するために一旦化合物が選択されれば、コンビナトリアル合成がしばしばもう一回実施されて、リード化合物を最適化する。この最適化はしばしば盲検方式で実行され、この場合、無作為変更がリード分子の異なる部分になされ、これが次にスクリーニングされる。これは、さらなる非効率性を生じて、好機を失う。
研究者がスクリーニング必要とされる化合物の数を低減するために試みた一方法は、初期コンピューター処理スクリーニングを実施して、多数の化合物をタンパク質モデルにドッキングして、どの化合物が標的とおそらくほとんど結合するかを確定することである。このような努力の結果はしばしば合成が難しい化合物を含み、これが実際のスクリーニングの範囲、ならびに高処理量スクリーニングに必要な始動時間を厳格に限定し得る。
したがって一般的組合せライブラリーベースの薬剤発見方法を用いると、多数の問題が存在する。第一に、この種の研究を実行するためには多量の資源が費やされねばならず、第二に、実際のアッセイ数を低減するよう意図されたコンピューター処理方法はしばしば、合成が難しく、時間および資源を浪費し得る化合物を選択し、第三に、結合および生物学的活性アッセイは、活性の一定の閾値を満たさないリード候補を容易に見落とし得るし、活性を有する化合物についての情報は、化合物の活性を改善するために成されるための適切な修飾に化学者を向けないし、そして第四に、大きすぎて研究時間を浪費せずに特性改善を開発するのに用いることができないリード候補がしばしば同定される。
本発明は、これらの問題に対する解決法を提供し、あるものは研究者が弱ヒットを認識し、最適化するのを可能にし、あるものは初期ヒットが治療要件、例えばADMET要件を満たすよう開発され得る見込みを増大し、そしてあるものはリード最適化に研究者を導く情報を提供する数百〜数千の化合物からなる膨大な化合物ライブラリーを得るために必要な資源および時間を要しない薬剤発見の方法を提供する。
本明細書中の文書の引用は、いずれもが関連従来技術であるということの承認として意図されない。日付に関する記述または文書の内容に関する表現は全て、出願人に利用可能な情報に基づいており、日付または文書の内容の正確さに関するいかなる承認も与えない。
本発明の詳細な説明
本発明は、治療的特性を有するリード化合物を開発するために有用なコアフラグメントライブラリーの設計方法を提供する。本発明は、同一分子中に、視覚化および機能的特性を有するコアフラグメントを含むライブラリーも提供し、即ちそれらは、構造決定のために容易に用いられるよう、そして薬剤設計のために容易に修飾されるよう設計される。本発明は、生物物理学的または生化学的アッセイの使用を、1つまたは複数の試験化合物、例えばライブラリーの化合物および生物学的標的分子間の物理的相互作用の決定と結びつける。本発明は、リード化合物を迅速且つ効率的に発見し、ならびに活性改良のためにリード化合物の最適化を誘導するための情報を生成する方法を提供する。一態様において、本発明は、伝統的高処理量スクリーニングに固有のもの(これらに限定されない)を含めた問題を回避するために、結晶化または浸漬を用いて、生物学的標的分子に会合するコアフラグメントの結晶を分析する工程を包含する。本発明は、効力、選択性および薬剤様特性を最適化するための手引きを提供することにより、その結合部位に最適にぴったり入る化合物を設計するために標的分子の結合部位を迅速に、効率的に且つ系統的に探求する方法も提供する。
伝統的高処理量スクリーニングでは、アッセイのバックグラウンド「ノイズ」、凝集、変性タンパク質およびアッセイ妨害に伴う問題のため、数百〜数千の擬弱ヒット、即ち何らかの活性を示すが、しかしアッセイの所望の範囲あるいは検出閾値またはカットオフ内でない化合物が存在し得る。本発明は、限定選定コアフラグメントライブラリーとその後の「弱ヒット」を利用する能力を用いて、さらなる薬剤発見のために所望の活性より低い活性を有するコアフラグメントを初期スクリーニングすることを可能にする。したがって初期発見研究のためには、大型コンビナトリアルライブラリーは必要とされない。その代わり、一旦研究者が特定の標的に有用な化合物の一般的設計に関して結晶視覚化から何らかの方向を有すると、大型の、しかしより集中されたコンビナトリアルライブラリーが次に用いられ得る。
薬剤候補の治療的に望ましい特性としては、一定の判定基準、例えばADMET、ならびにLipinskiの5の原則を満たすものが挙げられる。初期スクリーニングライブラリー中の多数の相対的に小さいコアフラグメントまたはコア部分の使用は、リード候補がベースとして小コアフラグメントを用いて設計され得る、という利点を有する。コアフラグメントの多くは、異常分散特性を有する置換基を含む。例えば臭素(Br)原子は、それが生物学的標的分子に結合される場合に、断片の精確な配向のX線結晶学的決定を手助けする異常分散特性を有する。臭素原子は、例えば、一段階または二段階合成化学のための有用な置換基としても役立つ。これらのコアフラグメントは初期リードを得るために用いられ、そして置換基を修飾するかあるいはより大きいかまたはより小さい置換基を付加することにより、コアフラグメントが修飾されてさらに強力になり得る。さらに、化合物上に残された間隙を用いて、治療要件を満たすのを手助けする置換基を付加し得る。例えば溶解度を増強する置換基は、大きすぎて治療的に有効な化合物に開発されない化合物を生じることなく、付加され得る。
本発明は、複数のコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーであって、前記コアフラグメントが次式:
Figure 2007521252
(式中、Zは、異常分散し得るハンドルであり;
Qは、中心コアであり;
Qは、各化合物上で同一であるかまたは異なり得るし;
Rは、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
R’は、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
nは、整数0であるかまたはそれより大きく;
mは、整数0であるかまたはそれより大きく;
(m+n)は、Q上の利用可能な結合の数より大きくなり得ない)
を有するコアフラグメントライブラリーを提供する。
「大多数」という用語は一般に、所定の集団の半数(50%)または約半数より多いことを指す。本発明のいくつかの実施形態では、本用語は、約60%より多い、約70%より多い、約80%より多い、または約90%より多いと定義され得る。一例では、m=0であり、mは、例えば6未満、5未満、4未満、3未満または2未満であり得る。一例では、n=0であり、そしてmは例えば3未満または2未満であり得る。一例では、nは1であり、そしてmは2である。本発明のいくつかの態様では、R’は、ライブラリー中の少なくとも約95%、約90%または約75%の化合物に関してQ上の同一位置にある。本発明のいくつかの態様では、n=1であり、そして少なくとも約95%、約90%または約75%の化合物に関して、各化合物は互いに他の化合物とR’でのみ異なる。本発明のいくつかの態様では、nは整数1またはそれ以上であり、そしてZは独立してBr、R”Br、S、SR”、Se、SeR’、Clからなる群から選択され;そしてR”は独立してHまたは官能基、例えば直鎖または分枝鎖アルキルまたはヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、環または縮合環であり、官能基は付加的置換基により修飾され得る。本発明のいくつかの態様では、R’は、表1のハンドルからなる群から選択される。本発明のいくつかの態様では、Zは、Brを含む表1のハンドルからなる群から選択される。本発明のいくつかの態様では、R”は、表1のハンドルからなる群から選択され、例えばBrを含まない表1のハンドルからなる群から選択される。本発明の一態様では、Zは、BrまたはR”Brである。本発明は、生物学的標的分子およびコアフラグメントライブラリーを含む混合物も提供する。
本発明は、線状ライブラリーも提供し、例えば一態様では、複数の化合物を含む化合物ライブラリーであって、前記化合物が次式:
Figure 2007521252
(式中、Zは、異常分散し得るハンドルであり;
Qは、中心コアであり、そして核化合物に関して、Qは同一であり;
Rは、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
R’は、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
nは、整数0であるかまたはそれより大きく;mは、整数0であるかまたはそれより大きく;そして
(m+n)は、Q上の利用可能な結合の数より大きくなり得ないが;
但し、ライブラリー中の化合物の大多数に関して、同一R基はQ上の同一位置にあり;
ライブラリー中の化合物の大多数に関して、R’はQ上の同一位置にあり;そして
ライブラリー中の化合物の大多数に関して、nは各々同一である)
を有する化合物ライブラリーが提供される。
本発明は、生物学的標的分子および線状ライブラリーの化合物を含む混合物も提供する。
本発明の一態様では、複数のコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーであって、コアフラグメントの各々が2またはそれ以上のハンドル、ならびに17未満の非水素原子を含むコアフラグメントライブラリーが提供される。コアフラグメントは少なくとも1つの単一または縮合環系を含む中心コアを含み得るし、あるいはコアフラグメントは、閉環を含まない中心コアを含み得る。コアフラグメントは、例えば少なくとも1つの異種原子を含み、少なくとも1つの異種原子は、例えば中心コア中の環の一部であり得る。一態様では、本発明は、複数のコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーであって、コアフラグメントの各々が2またはそれ以上のハンドルを含み、コアフラグメントの少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも約95%が4未満の水素結合供与体を有し、コアフラグメントの少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも約95%が4未満の水素結合受容体を有し、そしてコアフラグメントの少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも約95%が6未満、5未満または4未満の算定LogPを有するコアフラグメントライブラリーを提供する。
本発明のライブラリーは、それらがコアフラグメントのコンピューターまたは電子工学的表示のコレクションであるバーチャルライブラリーであり得る。ライブラリーは、「ウエット」または物理学的ライブラリーでもあり得るが、この場合、それらは、例えば合成または生成により実際に得られるコアフラグメントのコレクションであり、あるいはそれらはウエットおよびバーチャルの組合せであり、コアフラグメントの中には生成されたものもあり、バーチャルのままのものもあり、あるいは両方である場合もある。本発明のライブラリーは、例えば少なくとも約10、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約500、少なくとも約750、少なくとも約1,000または少なくとも約2,500のコアフラグメントまたは化合物を含み得る。本発明のライブラリーは、例えば約101未満、約61未満、約41未満、約21未満または約11未満のコアフラグメントまたは化合物を含み得る。本発明のライブラリーは、より大きいライブラリーの少なくとも2つの成員を含むより大きいライブラリーのサブセットを包含し得る。本発明のライブラリーのコアフラグメントの少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%または少なくとも約90%は、例えば異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む。本発明のライブラリーのコアフラグメントの少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも95%は、6未満、5未満、または例えば4未満の水素結合受容体を有する。本発明のライブラリーのコアフラグメントの少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも95%は、6未満、5未満、または例えば4未満の水素結合供与体を有する。本発明のライブラリーのコアフラグメントまたは化合物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも95%は、6未満、5未満、または例えば4未満の算定LogP値を有する。本発明のライブラリーのコアフラグメントまたは化合物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも95%は、約350ダルトン未満、例えば約300ダルトン未満、約250ダルトン未満または約200ダルトン未満の分子量を有する。
本発明は、線状化合物ライブラリー、または1つより多い線状ライブラリーを含むライブラリーも提供する。例えば一態様では、複数の化合物を含む線状化合物ライブラリーであって、各化合物が中心コアおよび2またはそれ以上のハンドルを含み、そしてハンドルの少なくとも1つが異常分散特性を有する置換基を含む線状化合物ライブラリーが提供される。例えばライブラリーの化合物の少なくとも約50%は約300ダルトン未満の分子量を有し、あるいは化合物の少なくとも約50%は約5未満の異種原子を含むコアフラグメントを有する。
線状ライブラリーも本発明の態様において提供される。例えば一態様では、複数の化合物を含む線状化合物ライブラリーであって、各化合物が、以下の:
a.同一中心コア;
b.n個のハンドルであって、上記ハンドルが各化合物上の同一位置に結合されるハンドル;そして
c.上記ライブラリーの別の化合物上の誘導置換基とは異なる少なくとも1つの誘導置換基
を含み、前記誘導置換基が1つのハンドルに由来し、そしてn+1が整数であり、そして中心コア上の利用可能な結合の数未満またはその数と等しいライブラリーが提供される。
化合物上の誘導置換基は、例えばコンピューター的方法を用いて選択されたものであり得る。上記化合物上の誘導置換基は、例えば生物学的標的分子に対する生物学的活性を改善するために選択されたものであり得る。
誘導置換基は、例えば生物学的標的分子に会合するコアフラグメントの構造を得ることを包含するスクリーニング過程後に選択されたものであり得る。一態様では、誘導置換基の各々は、上記コアフラグメント上の一次ハンドルを修飾することにより合成される。別の態様では、本発明の2またはそれ以上の線状化合物ライブラリーを含む化合物ライブラリーが提供される。
1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのコンピュータープロセッサー実行可能命令であって、コンピューター出力装置を介して、本発明のコアフラグメントライブラリーまたは化合物ライブラリーの表示および/または操作を生じる命令も、本発明の範囲に包含される。例えばプロセッサー実行可能命令は、1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置で提供され、この場合、命令は、コンピューター出力装置を介して、本発明のライブラリー、例えばコアフラグメントまたは化合物ライブラリーの表示および/または操作を生じ、ライブラリーは複数のコアフラグメントまたは化合物を含み、各コアフラグメントまたは化合物は中心コアおよび2またはそれ以上のハンドルを含み、ハンドルの少なくとも1つは異常分散特性を有する置換基を含み、そしてハンドルは一段階または二段階化学合成方法を用いて容易に修飾され得る。本発明は、1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのプロセッサー実行可能命令であって、命令がコンピューター出力装置を介して、分析のための構造の組合せの表示および/または操作を生じ、組合せが、本発明のライブラリーの1つまたは複数の成員の構造、ならびに生物学的標的分子を含む命令も提供する。本発明の一態様では、ライブラリーの1つまたは複数の成員の構造は、生物学的標的分子の基質結合ポケット構造の少なくとも一部との相互作用として表現されまたは表示され得る。プロセッサー実行可能命令は、本明細書中に記載された1つまたは複数の構造の表示および/または操作のためのコンピューター読取り保存媒体からのデータの回収を指図する1つまたは複数の命令を任意に包含し得る。
2またはそれ以上の組の化合物を含む化合物ライブラリーであって、各組の化合物が中心コアおよび2またはそれ以上のハンドルを含み、そしてハンドルの少なくとも1つが異常分散特性を有する置換基を含むライブラリーも本発明において提供される。
本発明の別の態様では、組合せが提供される。例えば本発明のコアフラグメントまたは化合物ライブラリー、ならびに生物学的標的分子を含む分析のための構造の組合せであって、構造がライブラリーの成員、標的分子およびそれらの組合せを含む組合せが、本発明において提供される。本発明のコアフラグメントまたは化合物ライブラリーの一成員、ならびに生物学的標的分子を含む分析のための構造の組合せであって、構造がライブラリー成員、生物学的標的分子、およびそれらの組合せを含む組合せも、本発明において提供される。組合せは、バーチャル、例えばコンピューター表現、あるいは実際またはウエット、例えば物理学的実態であり得る。一例では、ライブラリーの少なくとも1つの成員は、標的分子のリガンド結合部位の一部と結合する。組合せのいくつかの態様において、ライブラリー成員対標的分子の濃度比は、例えば約50,000、約25,000、約10,000、約1,000、約100または約10 mol/molの比率である。組合せのいくつかの態様では、ライブラリー成員の濃度は、溶液の溶解点に近いか、溶解点であるかまたはそれを超える。
本発明は、本発明のライブラリーから選択される複数のコアフラグメントまたは化合物、ならびに生物学的標的分子を含むX線結晶構造解析による分析のための混合物も提供する。生物学的標的分子は、例えばタンパク質または核酸であり得る。生物学的標的分子は、例えば結晶であり得る。
新規の化合物またはリード候補の設計方法が、本発明において提供される。例えば本発明の一態様では、生物学的標的分子に対する活性を有するリード候補の設計方法であって、以下の:本発明のライブラリーを生成し、1つまたは複数の構造を確定し、そして本発明のいくつかの実施形態においては、生物学的標識分子に会合するライブラリーの少なくとも2つの成員の構造を確定し、そして少なくとも1つのリード候補を設計するために構造からの情報を選択することを包含する方法が提供される。本方法は、生物学的標的分子に会合するリード候補の構造を確定する過程をさらに包含し得る。一態様では、本方法は、化合物の少なくとも1つの二次ライブラリーを設計する過程をさらに包含するが、この場合、二次ライブラリーの各化合物は中心コアおよび2つまたはそれ以上のハンドルを含み、そして二次ライブラリーの各化合物は少なくとも1つのハンドルまたは誘導置換基で二次ライブラリーの各々の他の化合物と異なる。本発明の一態様では、二次ライブラリーの化合物の中心コアおよびリード候補の中心コアは同一である。一態様では、本方法は、以下の:二次ライブラリーを生成し、そして生物学的標的分子に会合する二次ライブラリーの1つまたは複数の、本発明のいくつかの実施形態では少なくとも2つの化合物の構造を確定する過程をさらに包含する。生物学的標的分子は、例えばタンパク質、または例えば核酸であり得る。生物学的標的分子は、例えば結晶であり得る。本方法は、例えば生物学的標的分子と少なくとも1つのコアフラグメントとの複数の混合物を調製することを包含し得る。本方法は、例えば生物学的標的分子と複数のコアフラグメントとの混合物を調製することを包含し得る。本方法は、例えば生物学的標的分子に対する1つまたは複数の、本発明のいくつかの実施形態では少なくとも2つのコアフラグメントの生物学的活性を検定する過程をさらに包含し得る。アッセイは、例えば生化学的活性アッセイ、あるいは例えば生物物理学的アッセイ、例えば結合アッセイであり、その例としては、質量分光分析の使用を含むアッセイが挙げられるが、これに限定されない。生物学的活性アッセイは、例えば生物学的標的分子と会合する、コアフラグメントまたは化合物の構造を得る前に、後に、または同時に実行され得る。一例では、生物学的活性アッセイで検定されたコアフラグメントまたは化合物のサブセットが構造決定過程のために選択される。別の例では、構造決定過程に用いられるコアフラグメントまたは化合物のサブセットは、生物学的活性アッセイで検定される。本発明の一態様では、構造は、X線結晶構造解析を含む方法を用いて確定される。一例では、本方法は、コンピューター計算法を用いて1つまたは複数の、本発明のいくつかの実施形態では少なくとも2つのコアフラグメント前記生物学的標識分子との結合を分析する過程をさらに包含し得る。
一例では、本方法は、少なくとも1つの二次ライブラリーを設計するために構造についての情報を選択するか、そうでなければ用いる過程をさらに包含するが、この場合、二次ライブラリーは、コアフラグメントライブラリーの少なくとも1つのコアフラグメントから得られ、そしてコアフラグメント上の少なくとも1つのハンドルにおける修飾を有する化合物を含む。二次ライブラリーは、例えば線状ライブラリー、複数の線状ライブラリー、または組合せライブラリーであり得る。本方法は、例えば生物学的標的分子に対する化合物のうちの1つまたは複数の、本発明の一実施形態では少なくとも2つの生物学的活性を検定する過程をさらに包含し得る。
本発明は、生物学的標的分子に対する活性を有するリード候補の設計方法であって、以下の:本発明の混合物を生成し、生物学的標的分子に会合する混合物の少なくとも1つの化合物の構造を確定し、そして少なくとも1つのリード候補を設計するための構造から情報を選択することを包含する方法も提供する。
本発明は、コアフラグメントライブラリーが一次生物学的標的分子に対してスクリーニングされ、そして最終的に二次生物学的分子に対する活性のために開発され得る方法も包含する。本発明のいくつかの態様では、一生物学的標的分子に対する活性を有することが見出されたコアフラグメントまたは化合物は、他の生物学的標的分子に対してスクリーニングされ得るが、この場合、それらは例えば同一の活性を有し得るし、あるいは増強された活性を有することさえあり得る。二次生物学的標的分子は、例えば関連タンパク質であり得るし、例えば同一タンパク質ファミリー、例えばプロテアーゼ、ホスファターゼ、核ホルモン受容体またはキナーゼファミリーからであり得る。したがって、二次生物学的標的分子に対する活性を有する候補化合物の設計方法であって、以下の:本発明のリード候補を生成し、リード化合物と二次生物学的標的分子との相互作用を確定し、そして二次ライブラリーの各化合物がリード候補中に見出される中心コアおよび中心コア上のハンドルの少なくとも1つにおける修飾を含む化合物の少なくとも1つの二次ライブラリーを設計することを包含する方法が、本発明において提供される。
本発明の別の方法では、コアフラグメントまたは化合物ライブラリーは結晶化前に結合または生物学的活性アッセイに用いられ、そして活性の一定の閾値を示すコアフラグメントまたは化合物が結晶化および構造決定のために選択される。結合または活性アッセイは、結晶化と同時に、またはその後にも実施され得る。任意の複雑な構造を決定する能力のために、特定のコアフラグメントまたは化合物がヒットであるか否かを確定するための閾値は、伝統的高処理量スクリーニングアッセイより包括的であるよう設定され得るが、これは多数の擬陽性の生成が工程に大いに負の影響を及ぼすというわけではないからである。例えば結合アッセイからの弱結合剤が結晶化に用いられ、そして任意の擬陽性は容易に取り除かれ得る。本発明の他の方法では、結合または生物学的活性アッセイが結晶化後に実施され、情報が構造データとともに得られて、追跡調査組合せライブラリーの方向を確定するために用いられ得る。
本発明の一態様では、誘導化合物は、一ハンドルに修飾を有するコアフラグメントを含む各線状ライブラリーから選択されて、誘導置換基を消磁、そして各線状ライブラリーに関しては、修飾されるハンドルは異なるハンドルであり、一化合物中に最良得点ハンドルを有する新規の誘導化合物が選択される。この選択誘導化合物は、新課程の線状ライブラリー設計およびスクリーニングの基礎として用いられ得るし、あるいはより伝統的な組合せライブラリーの基礎であり得る。選択誘導化合物はコンピューター処理精密加工にも付され得るが、この場合、それはスクリーニング用の改良された化合物の個々の設計のための基礎として役立ち得る。当該サイクルは、所望のICならびにその他のリード化合物特性を有するリード化合物であるとみなされ得る新規の誘導化合物が得られるまで継続する。
本発明は、本発明のコアフラグメントおよび化合物ライブラリーの設計方法も提供する。薬剤発見のためのコアフラグメントライブラリーの設計方法であって、合成的に許容可能なまたは市販のコアフラグメントの一覧をスクリーニングするかまたは再検討し、そしてライブラリーに関するコアフラグメントを選択することを包含する方法が提供されるが、この場合、コアフラグメントの各々は、2またはそれ以上のハンドル、ならびに17未満の非水素原子を含む。ライブラリーのコアフラグメントは、例えばその中心コア中に、少なくとも1つの単一または縮合環系を含む。ライブラリーのコアフラグメントは、例えばそれらの中心コア中に、少なくとも1つの環系上の少なくとも1つの異種原子を含む。
ライブラリー設計のための基礎コアフラグメントとして用いるためのコアフラグメントに関するスクリーニング方法であって、以下の:本発明のライブラリーを生成し、生物学的標的分子に対する結合活性を有する成員に関してライブラリーをスクリーニングし、そしてライブラリー設計のための基礎コアフラグメントとして用いるために結合活性を有する成員(単数または複数)のコアフラグメントを選択することを包含する方法も、本発明において提供される。
本発明の方法により得られるリード候補および候補化合物、本発明の方法により得られるライブラリー、ならびに本発明の方法により選択されるコアフラグメントを伴う化合物を含むライブラリーも、本発明において提供される。
本発明は、生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性を有するリード候補の同定または設計方法であって、以下の:異常分散特性を有するコアフラグメントまたは化合物に結合された生物学的標的分子の構造を得て、化合物上のハンドルまたは誘導置換基を機能性炭素、窒素、酸素、イオウまたはリン原子を含む二次置換基で置換する過程を包含してリード候補分子を合成し、そして生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性に関してリード候補分子を検定することを包含する方法も提供する。いくつかの態様では、異常分散原子、例えばBrは、生物学的標的分子との結合を手助けすることが見出され得る。この場合、原子は二次置換基上にも存在し、そしていくつかの態様では、異常分散特性を有する置換基を含むハンドルは存続するが、一方、別のハンドルは修飾されるかまたは置換される。
本発明は、生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性を有するリード候補の設計方法であって、以下の:生物学的標的分子を、1つまたは複数の、そして本発明のいくつかの実施形態では少なくとも2つのコアフラグメントまたは化合物を含む混合物と組合せ(ここで、コアフラグメントまたは化合物のうちの少なくとも1つは異常分散特性を有する置換基を含む)、置換基の異常分散特性を用いて生物学的標的分子に結合されるコアフラグメントまたは化合物を同定し、異常分散置換基を機能性炭素または窒素原子を含む置換基で置換する過程を包含してリード候補分子を合成し、そして生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性に関してリード候補分子を検定することを包含する方法も提供する。
本発明は、試験化合物と複合された標的タンパク質の構造を迅速に得る能力、ならびに迅速且つ許容可能な合成化学を使用する能力を利用する。
本発明の一実施形態では、コアフラグメントの初期ライブラリーは、利用可能な化合物フラグメント、例えば研究者により、または研究者に代わって合成されるもの、ならびに市販のライブラリーから入手可能なものからコアフラグメントを選択することにより選択される。初期コアフラグメントライブラリーは、例えばコアフラグメントの少なくとも約25%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%が約250 D未満の分子量を有するコアフラグメントで構成される。初期コアフラグメントライブラリーは、例えばコアフラグメントの少なくとも約25%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%が約5未満の異種原子を有するコアフラグメントで構成される。初期コアフラグメントライブラリーは、例えばコアフラグメントの少なくとも約25%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%が異常散乱し得る置換基、例えばBr(これに限定されない)を含むコアフラグメントで構成される。一態様では、初期コアフラグメントライブラリーは、例えばコアフラグメントの少なくとも約25%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%がBrを含有するコアフラグメントで構成される。初期コアフラグメントライブラリーは、例えばコアフラグメントの少なくとも約25%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%がハンドルを含むコアフラグメントで構成される。ライブラリー中のコアフラグメントは、独立して、例えば約2、約3、約4または約5あるいはそれ以上のハンドルを含み得る。
定義
コアフラグメント」または「コア部分」とは、リード候補または薬剤候補に対する合成前駆体の一部であるよう選択されるかまたは設計される分子またはその一部である。コアフラグメントは、「ハンドル」とも呼ばれる1、2または3あるいはそれ以上の化学置換基を含む。コアフラグメントは、好ましくは望ましいリード化合物の特性、例えば低分子複雑性(少数の水素結合供与体および受容体、少数の回転可能結合、ならびに低分子量)、ならびに低疎水性を示す。コアフラグメントは小さいため、例えばLipinskiの5の原則を満たすことにより、望ましい薬剤特質を有するよう、ハンドルでまたはコア構造でコアフラグメントを修飾することにより、コアフラグメントをリードまたは薬剤候補にさらに開発するかまたは作り上げ得る。好ましいコアフラグメント特性はリード様特性を包含し、当業者に既知であり、そしてTeague, S.J., et al., Agnew. Chem. Int. Ed. 38: 3743-3748, 1999;Oprea, T.I., et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 41: 1308-1315, 2001;およびHann, M.M. et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 41: 856-864, 2001に記載されている。望ましいコアフラグメントとしては、例えば以下の一般的特性:Mr<約350、<約300または<約250、clogP<約3、約5未満の環、ならびにLlogP<約5または<約4:のうちの多数または全てを有する分子が挙げられるが、これらに限定されない。その他の一般的特性としては、約11未満の非末端単結合、約6未満の水素結合供与体、ならびに約9未満の水素結合受容体が挙げられ得る。したがってコアフラグメントは、より多くの複雑性および重量が、一般特性を保持しながら、リード候補への化合物の開発および構築中に付加され得るよう、設計される。
コアフラグメントは、環状または非環状構造を含む中心コアを含み得る。コアフラグメントは、例えば丸で囲まれたハンドルを有する以下のうちの1つのような分子であり得るが、これらに限定されず、そしてこれらは説明のためだけのものである:
Figure 2007521252
非環状中心コアのその他の例としては、ハイプシン、プトレシン、γ−アミノ酪酸および2−ヒドロキシプトレシンが挙げられるが、これらに限定されない。
あるいはコアフラグメントの非ハンドル部分は、1)環状構造、例えば本明細書中に記載された環状構造のいずれかを、2)1つまたは複数の本明細書中に開示されたハンドルとともに含み得る。したがっていずれか1つまたは複数の上記のハンドル(これらに限定されない)を含む環状構造は、「コアフラグメント」の範囲内である。
中心コア」または「コア足場」とは、本明細書中に記載されたようなハンドルを一般的に含まないが、しかし内部ハンドル、例えば中心環の1つの一部である原子を含み得る分子である。コアフラグメントは、中心コア、ならびに少なくとも1つのハンドルを含む。中心コアの例としては、任意の環状または非環状構造、例えば本明細書中に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態では、中心コアは、1つまたは複数のハンドルを欠くコアフラグメントの一部分である。本発明の化合物としては、中心コアおよび1つまたは複数のハンドルを含むものが挙げられる。
中心コアは、好ましくは望ましいリード化合物の特性、例えば低分子複雑性(少数の水素結合供与体および受容体、少数の回転可能結合、ならびに低分子量)、ならびに低疎水性を示す。中心コアは小さいため、例えばLipinskiの5の原則を満たすことにより、望ましい薬剤特質を有するよう、コアを修飾することにより、コアをリードまたは薬剤候補にさらに開発するかまたは作り上げ得る。好ましいコア特性はリード様特性を包含し、当業者に既知であり、そしてTeague, S.J., et al., Agnew. Chem. Int. Ed. 38: 3743-3748, 1999;Oprea, T.I., et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 41: 1308-1315, 2001;およびHann, M.M. et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 41: 856-864, 2001に記載されている。望ましい中心コアとしては、例えば以下の一般的特性:Mr<約350、<約300または<約250、clogP<約3、約5未満の環、ならびにLlogP<約5または<約4:のうちの多数または全てを有する分子が挙げられるが、これらに限定されない。その他の一般的特性としては、約11未満の非末端単結合、約6未満の水素結合供与体、ならびに約9未満の水素結合受容体が挙げられ得る。したがって中心コアは、より多くの複雑性および重量が、一般特性を保持しながら、リード候補への分子の開発および構築中に付加され得るよう、設計される。
ハンドル」とは、種々の反応性基が置換されるかまたは付加され得るコアフラグメントまたは中心コア上の部位に共有結合された機能性化学物質群または置換基である。ハンドルは、結合形成反応のために用いられる。例えば中心コアの一部である炭素原子は、メチル基ハンドルに結合され得る。この部位も中心コア内である。例えば環内の炭素原子上の水素原子は、ハンドルであり得る。ハンドルは、好ましくは、一段階または二段階化学工程を用いて、その他のハンドルまたは誘導置換基により修飾されるかまたは置換され得る。保護化および脱保護化過程も必要とされ得る。本発明の一態様では、この修飾は、他のハンドルに保護基を付加する必要性を伴わずに、各ハンドルで独立して実行され得る。ハンドルは、異常散乱し得る置換基を含み得る。
一段階または二段階合成に有用な反応としては、例えば図8に示された例が挙げられ、そして例えばSuzukiカップリング、Heckカップリング、Sonogashiraカップリング、Wittig反応、アルキルリチウム媒介性縮合、ハロゲン化、SN2置換(例えばN、OS)、エステル生成およびアミド生成、ならびに本明細書中に示されたもののようなハンドルを生成するために用いられ得るその他の反応が挙げられる。その他の反応は、例えば図8に提示されている。反応は、必要とされる精製の各々に基づいても選択され得る。
本発明のいくつかの態様に用いられ得るハンドルとしては、H、ハロゲン化ベンジル、ベンジルアルコール、ハロゲン化アリル、アリルアルコール、カルボン酸、アリールアミン、ヘテロアリールアミン、ベンジルアミン、アリールアルキルアミン、アルキルアミノ、フェノール、ハロゲン化アリール、ハロゲン化ヘテロアリール、塩化ヘテロアリール、アリールアルデヒド、ヘテロアリールアルデヒド、アリールアルキルアルデヒド、アルキルアルデヒド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アリールアルキル、ケトン、アリールチオール、ヘテロアリールチオール、尿素、イミド、アリールボロン酸、エステル、カルバメート、tert−ブチルカルバメート、ニトロ、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、ビニルメチル、2−または2,2−置換ビニル、2−置換アルキン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化シクロアルキル、ハロゲン化スルホニル、無水カルボン酸、エポキシドおよびスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ハンドルとしては、臭化ベンジル、ベンジルアルコール、臭化アリル、アリルアルコール、カルボン酸、アリールアミン、ヘテロアリールアミン、ベンジルアミン、アリールアルキルアミン、フェノール、臭化アリール、臭化へテロアリール、塩化ヘテロアリール、アリールアルデヒド、ヘテロアリールアルデヒド、アリールアルキルアルデヒド、ケトンアリールチオール、ヘテロアリールチオール、尿素、イミドおよびアリールボロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン化物としては、例えばヨウ化物、臭化物、フッ化物および塩化物が挙げられ得る。ハロゲン化物は、異常散乱し得るハロゲン化物、例えば臭化物またはヨウ化物を包含する。
本発明において具体化されたハンドルとしては、表1に列挙されたものが挙げられるが、これらに限定されない。慣例により、これらのハンドルは「直接」ハンドルまたは「潜在性」ハンドルと考えられ、あるものはどちらかとして機能する能力を有し、これは表1に「両方」として示されている。直接ハンドルは、事前の修飾を伴わずに別の官能基または部分と直接反応し得る、あるいは、典型的には単一ポット反応(しかし必ずというわけではない)での試薬および/または触媒の付加により反応性にされ得る官能基または部分である。直接ハンドルの例としては、臭化ベンジル中のBr、カルボン酸、アミン、フェノール、臭化アリール中のBr、アルデヒド、チオール、ボロン酸またはエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。潜在性ハンドルは、別個の工程での事前の修飾を必要とする官能基または部分であり、その後、それは単離されることもされないこともあり、あるいはin situで生成されて、より反応性の種を産生し得る(即ち直接ハンドルを生成する)。潜在性ハンドルは、官能基またはその他の部分とのその近接性または結合性により、反応性にされる部分も含み得る。潜在性ハンドルの例としては、ニトロ(これはアミンに還元され得る)、アリールメチル(これはアリールブロモメチルに、またはアリールカルボン酸に転化され得る)、オレフィン(これは酸化的切断を受けて、エポキシド、アルデヒドまたはカルボン酸を生じ得る)等が挙げられるが、これらに限定されない。上記の慣例の採用は、本発明内のハンドルとみなされる化学的部分の範囲を冷笑するために役立ち、そしてそれが表1に示されたものに限定されないことは明らかである。付加的ハンドルは本発明の範囲内であり、当該技術分野で訓練されたそして化学文献を利用する者には明白である。
Figure 2007521252
誘導置換基」は、ハンドルに由来する化合物上の置換基である。誘導置換基は、例えば元のハンドルの原子のいくつかが残存する修飾ハンドルであり得る。あるいは誘導置換基は、異なる置換基でハンドルを置換するかまたは入れ換えることにより完全に修飾され得る。あるいは誘導置換基は、ハンドルへの置換基の付加により修飾され得る。誘導置換基は、例えばコアフラグメント上のハンドルに由来する。誘導置換基は、一段階または二段階合成、例えば本明細書中に提示されたもの(しかし考え得る保護または脱保護過程を含まない)を用いて、修飾、置換または入れ換えが可能であり得る。あるいは誘導置換基は、一段階または二段階合成方法を用いて、修飾、置換または入れ換えを可能にし得る。さらなる修飾、置換または入れ替えを可能にする誘導置換基は、もちろん、本発明を実施する熟練者により望ましいと考えられるような反応に付され得る。
単環」とは、約3〜約8、または約4〜約6個の環原子を有するシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環を指す。単環は、1個より多い環原子で、別の閉環に直接結合されることにより縮合されない。
縮合環」とは、縮合アリールまたはシクリル環を指す。例えば約6またはそれ未満の、約5またはそれ未満の、約4またはそれ未満の、約3またはそれ未満の、あるいは2またはそれ未満の環が縮合され得る。各環は、独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアリール、ヘテロシクロアリール、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニル環からなる群から選択され、その環の各々は、独立して置換されまたは非置換され、約4〜約10、約4〜約13、または約4〜約14個の環原子を有する。
中心コアまたはコアフラグメント中の環の数は、単または縮合環系の数を指す。したがって例えば縮合環は、一環であると考えられ得る。本発明の目的のための例として、フェニル環、ナフタレンおよびノルボルナン(これらに限定されない)は全て一環であると考えられるが、一方、縮合されないビフェニルは、二環であると考えられる。
異種原子」とは、N、O、SまたはPを指す。いくつかの実施形態では、異種原子は、指示された場合、N、OまたはSを指す。異種原子は、任意の酸化形態の窒素、イオウおよびリン、ならびに第四級化形態の任意の塩基性窒素を包含する。
ライブラリー」とは、コアフラグメントまたは化合物のコレクションである。ライブラリーはバーチャルであり得るが、この場合、それは本明細書中に記載されたようなコンピューター分析に用いられる構造のイン・シリコまたは電子コレクションである。ライブラリーは物理的であり得るが、この場合、コアフラグメントまたは化合物の組が合成され、単離されまたは精製される。
リード候補」とは、生物学的標的分子と結合し、そして標的タンパク質の活性を変調するよう設計される化合物である。リード候補は、動物における障害または疾患を治療するために用いられるべき薬剤候補または薬剤を開発するために、例えば上記動物のタンパク質と、あるいは上記動物障害または疾患に関連づけられ得る、そして細胞における、動物モデルにおけるまたは標的生物におけるさらなる試験のために選択される細菌、ウイルス、真菌またはその他の生物と相互作用することにより、用いられ得る。リード候補は、植物疾患または障害を変調するための組成物を開発するために、例えば植物タンパク質活性を変調することにより、あるいは上記疾患または障害に関連づけられる細菌、ウイルス、真菌またはその他の生物と相互作用することによっても、用いられ得る。
薬剤候補」とは、生物学的標的分子に対する生物学的活性を有し、それが意図された治療用途で動物、例えばヒト臨床試験において評価されるのに適したADMET(吸収、分布、代謝、排泄および毒性)特性を有するリード候補である。
化合物ライブラリー」とは、薬剤発見のために用いられる1つより多い化合物を含む一群である。ライブラリー中の化合物は、他の化合物フラグメントに連結されるよう意図された化合物フラグメントであり得るし、あるいは化合物は、他の化合物との連結なしに用いられるよう意図されたより大きな化合物であり得る。
「複数」とは、「複数」という名詞が文中で修飾する全てのもののうちの1つより多くである。
「得る」という用語は、例えばコアフラグメント、化合物、生物学的標的分子またはライブラリーを得る任意の方法を指す。このようなコアフラグメント、化合物、生物学的標的分子またはライブラリーを得るために用いられる方法は、合成、購入、あるいはコアフラグメント、化合物、生物学的標的分子またはライブラリーが得られる任意の手段を包含する。
「〜に対する活性」とは、化合物が生物学的標的分子と結合することにより結合活性を有し得るし、あるいは標的活性アッセイにおいて存在する場合、それは標的の酵素的またはその他の生物学的活性に及ぼす作用を有し得る、ということを意味する。生物学的活性および生化学的活性は、標的生物学的分子の任意のin vivoまたはin vitro活性を指す。非限定例としては、in vitro、細胞または生物体レベルアッセイにおける標的分子の活性が挙げられる。標的分子として酵素タンパク質を用いる非限定例として、活性は少なくとも、1つまたは複数の基質との標的分子の結合、標的分子による生成物または反応体の放出、あるいは標的分子の全体的触媒活性を包含する。これらの活性は、in vitroまたは細胞ベースのアッセイにおいて、あるいは生物体に及ぼす活性の作用に基づいた表現型アッセイにおいて直接または間接的にアクセスされ得る。標的分子がキナーゼであるさらなる非限定例として、活性は少なくとも、その標的ポリペプチドおよび/またはその他の基質(例えば非限定例としてのATP)とのキナーゼの結合、ならびに標的ポリペプチドをリン酸化する実際的活性を包含する。
試験コアフラグメントまたは化合物と会合して、または相互作用で生物学的標的分子の結晶を得ることは、標的タンパク質との会合または相互作用において、結晶で化合物を得る任意の方法を包含する。この方法は、1つまたは複数の考え得る化合物またはリガンドの溶液中に結晶を浸漬し、あるいは1つまたは複数の考え得る化合物またはリガンドの存在下で標的タンパク質をインキュベートすることを包含する。
コアフラグメント、ハンドル、ハロゲン化物、置換基または分子は、それが、慣用的X線源またはシンクロトロンから実験的に利用可能である波長の入射X線の吸光度を示す原子を含有する場合、「異常分散可能」または異常散乱可能である。例としては、臭素、例えばブロモ誘導体、ヨウ素、セレンおよびイオウ、例えばSHまたはSR(ここで、Rは官能基である)の形態が挙げられるが、これらに限定されない。
「または」とは、ある群の一成員または別の成員、あるいは1つより多い成員を意味する。例えばA、BまたはCは、以下のいずれかを示し得る:A単独;B単独;C単独;AおよびB;BおよびC;AおよびC;A、BおよびC。
会合」とは、互いに密接に近接する2つまたはそれ以上の分子の状態を指す。2つの分子は、例えば水素結合、ファンデルワールス、静電気または疎水性相互作用により非共有的に、あるいは共有的に会合され得る。
活性部位」は、標的タンパク質活性のために基質と会合する標的タンパク質中の部位を指す。この部位は、例えば触媒作用に関与する残基、ならびに基質を結合するのに関与する残基を包含し得る。阻害剤は、活性部位の残基と結合し得る。
結合部位」は、例えばリガンド、例えば天然基質、非天然基質、阻害剤、基質類似体、アゴニストまたはアンタゴニスト、タンパク質、補因子または小分子、ならびに、任意に、さらに種々のイオンまたは水と会合し、および/または小分子と結合するのに十分な内部キャビティを有し、そして薬剤を結合するための標的として用いられ得る標的タンパク質中の一領域を指す。本用語は活性部位を包含するが、しかしそれにより限定されない。
結晶」は、生物学的標的分子、例えば高分子薬剤受容体標的、例えばタンパク質、例えばポリペプチド(これに限定されない)および核酸標的、例えばDNA、RNAおよびリボソームサブユニット(これらに限定されない)、炭水化物標的、例えば糖タンパク質、結晶形態(これらに限定されない)を含む組成物を指す。「結晶」という用語は、ネイティブ結晶、ならびに本明細書中で定義されるような重原子誘導体結晶を包含する。以下の考察はしばしば、一例および非限定例として標的タンパク質を用いる。考察は、同様に全ての考え得る標的分子に当てはまる。
ハンドルでの「修飾」(または修飾する)とは、ハンドルそれ自体に対する合成的修飾、別のハンドルまたは誘導置換基による当該ハンドルの交換を包含することを意味する。修飾ハンドルは、それ自体、一段階または二段階化学工程を用いて修飾され得るかまたは入れ換えられ得るハンドルであり得る。修飾ハンドルは、容易に修飾されるかまたは入れ換えられるというものではない置換基であり得る。
単独でまたはより大きい部分の一部として用いられる「アルキル」および「アルコキシ」は、約1〜約8個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を指す。「低級アルキル」および「低級アルコキシ」は、約1〜約4個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシ基を指す。
シクリル」、「シクロアルキル」または「シクロアルケニル」は、約3〜約8個の炭素原子を含有する環状アルキルまたはアルケニル基を指す。「低級シクリル」、「低級シクロアルキル」または「低級シクロアルケニル」は、約3〜約6個の炭素原子を含有する環状基を指す。
単独でまたはより大きい部分の一部として用いられる「アルケニル」および「アルキニル」は、約2〜約8個の炭素原子を含有し、炭素間に1つまたは複数の不飽和結合を有する直鎖および分枝鎖の両方を包含する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、約2〜約5個の炭素原子を含有するアルケニルまたはアルキニル基を包含する。
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
単独で、または「アラルキル」におけるようにより大きい部分の一部として用いられる「アリール」は、6個の環炭素原子を有する芳香族環を指す。
縮合アリール」は、約6〜約10、約6〜約13または約6〜約14個の環炭素原子を有する縮合された約2〜約3つの芳香族環を指す。
縮合へテロアリール」は、約5〜約10、約5〜約13または約5〜約14個の環炭素原子を有する、環の少なくとも1つがヘテロアリールである縮合された約2〜約3つのヘテロアリール環を指す。
縮合シクロアルキル」は、約4〜約10、約4〜約13または約4〜約14個の環炭素原子を有する縮合された約2〜約3つのシクロアルキル環を指す。
縮合へテロシクロアルキル」は、約4〜約10、約4〜約13または約4〜約14個の環炭素原子を有する、環のうちの少なくとも1つがヘテロシクロアルキルである縮合された約2〜約3つのヘテロシクロアルキル環を指す。
ヘテロシクロアルキル」は、環炭素原子の代わりに1つまたは複数の異種原子を含むシクロアルキルを指す。
低級へテロシクロアルキル」は、約3〜6の環成員を含有するシクロアルキル基を指す。
ヘテロシクロアルケニル」は、環炭素原子の代わりに1つまたは複数の異種原子を含むシクロアルケニルを指す。「低級へテロシクロアルケニル」は、約3〜6の環成員を含有するシクロアルキル基を指す。「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、ヘテロアリールを指さない。
ヘテロアリール」は、炭素および1つまたは複数の異種原子を含む約3、約5、約6、約7または約8個の環原子を含有する芳香族環を指す。「低級へテロアリール」は、約3、約5または約6つの環成員を含有するヘテロアリールを指す。
「リンカー基」とは、化合物の2つの部分を連結する有機部分を意味する。リンカーは典型的には、酸素またはイオウのような原子、--NH--または--CH2--のようなユニット、あるいは原子の鎖、例えばアルキリデン鎖から成る。リンカーの分子量は、典型的には約14〜約200の範囲である。リンカーの例は当業者に既知であり、例えば飽和または不飽和C1-6アルキリデン鎖(これは任意に置換され、この場合、--C(O)--、--CONH--、CONHNH--、--CO2--、--NHCO2--、--O--、--NHCONH--、--O(C=O)--、--O(C=O)NH--、--NHNH--、--NHCO--、--S--、--SO--、--SO2--、--NH--、--SO2NH--またはNHSO2--により、鎖の2個までの飽和炭素が任意に置き換えられる)が挙げられるが、これらに限定されない。
「N保護化アミノ」という用語は、合成手法中の望ましくない反応に対してアミノ基を保護するよう意図された保護基を指す。一般的に用いられるN保護基は、Greene, “Protective Groups In Organic Synthesis,” (John Wiley & Sons, New York (1981))に開示されている。好ましいN保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
「O保護化カルボキシ」という用語は、化合物の他の機能性部位に関与する反応が実施される間、カルボン酸機能性を遮断するかまたは保護するために典型的に用いられるカルボン酸保護エステルまたはアミド基を指す。カルボキシ保護基は、Greene, “Protective Groups In Organic Synthesis,” (1981)に開示されている。さらにカルボキシ保護基は、プロドラッグとして用いられ、それによりカルボキシ保護基は、例えば酵素的加水分解により容易に切断されて、生物学的活性親を放出し得る。このようなカルボキシ保護基は当業者に周知であり、米国特許第3,840,556号および第3,719,667号に記載されているようなペニシリンおよびセファロスポリンブンヤにおけるカルボキシル基の保護に広範に用いられてきた。
LogP値は、例えば算定LogP値、例えば生物学的利用能を予測するための経験的記述語として一般的に用いられるオクタノール−水分配係数の対数であるLogPを予測するためのコンピュータープログラムにより確定されるものであり得る(例えばLipinskiの5の原則;Lipinski, C.A.,; Lombardo, F.; Dominy, B.W.; Feeney, P.J. (1997) Experimental and computational approaches to estimate solubility and permeability in drug discovery and development settings. Adv. Drug Delivery Rev. 23, 3-25)。算定logP値は、例えばSlogP値であり得る。SlogPは、Chemical Computing Group,www.chemcomp.com.からのMOEソフトウエア組で実行される。SlogPは、atomic contributionモデルに基づいている(Wildman, S.A., Crippen, G.M.; Prediction of Physicochemical Parameters by Atomic Contributions; J. Chem. Inf. Comput. Sci., 39(5), 868-873 (1999))。
実施例1:コアフラグメントライブラリーの選択および設計
コアフラグメントの選択
コンピューター的方法を用いて、本発明に用いられ得るハンドルを有するコアフラグメントを選択し得る。コアフラグメントは、例えば市販の化学ライブラリーを検索することにより選択され得る。コアフラグメントは、所望の分子量、例えば約150〜250ダルトンの分子量を有するよう選択される。ハンドルは、修飾または入れ換えと他のハンドルとの多数の組合せの合成に応じ易いよう選択される。
本発明の方法の一例では、以下の手法をたどる。化合物のライブラリー、例えば市販のライブラリーを検索して、さらなる精密加工に適した化合物を選択する。選択のための判定基準としては、2〜3のハンドル、ならびにリード様特性、例えば250 Dより低い分子量、および5未満の異種原子が挙げられるが、これらに限定されない。化合物のいくつかは、例えばBrを含み得る。
標的タンパク質および/または標的タンパク質結合部位の構造モデルを用いて、限定群の小分子、即ち選定ライブラリー設計のためのコアフラグメントを、出発点として選択する。当業者に既知のコンピューター的方法を用いて化合物断片の各々を設計し、標的タンパク質結合部位の一部にドッキングし得る。初期標的タンパク質構造モデルは、アポ構造物であり得るし、あるいは複合体であり得る。本発明の別の方法では、コアフラグメントライブラリーを、特定の標的分子に対するドッキングまたはスクリーニングなしで選択する。いくつかの態様では、特定の標的分子に対して向けられることなく、コアフラグメントライブラリーを選択する。
実施例2:コアフラグメントライブラリーのスクリーニング
初期コアフラグメントライブラリーが一旦選択されれば、それを、特定の生物学的標的分子、例えばタンパク質または核酸と結合するかまたはそれらに対する活性を有するコアフラグメントに関するスクリーニングに用い得る。生化学的または生物物理的アッセイを用いてコアフラグメントを先ずスクリーニングし、次に全てのコアフラグメントを構造決定方法に用い得る。あるいは構造決定方法を用いてコアフラグメントを先ずスクリーニングし、次にコアフラグメントのいくつかまたは全てを生化学的または生物物理的アッセイでスクリーニングする。あるいは2つの手法は同時的であり得る。生物物理的アッセイは、コアフラグメントまたは化合物と生物学的標的分子との間の会合を測定し得る任意の検定であり得るし、一方、生物学的アッセイは、例えばミリモル、マイクロモル、ナノモルまたはピコモル範囲であるようなIC50を測定するために用い得る。生物物理学的アッセイとしては、質量分光法、ならびに当業者に既知の結合親和性方法が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、X線結晶構造解析を用いて、標的タンパク質と結合するコアフラグメントに関してスクリーニングするために、コアフラグメントライブラリーを用いる。本発明の一態様では、標的タンパク質の存在下でコアフラグメントを結晶構造解析実験に付す。例えば、結晶化混合物中に存在する少なくとも2つのコアフラグメントを用いて、混合物としてコアフラグメントをスクリーニングし得る。結晶構造解析スクリーニングは、例えば単数または複数の試験コアフラグメントを含む溶液中に標的を含む結晶を浸漬することを包含し得る。結晶構造解析スクリーニングは、例えば標的タンパク質を単数または複数のコアフラグメントと混合し、その後、結晶化することを包含し得る。生化学的アッセイまたはその他の活性アッセイも、結合アッセイの前に、同時に、または後に実行し得る。所望の結合能力を有する、そして実行した場合には所望の生化学的またはその他の活性アッセイ結果を有する各コアフラグメントを、単独で、あるいはその他の1つまたは複数の他のコアフラグメントとの組合せで、線状ライブラリーを構築するための基礎として選択する。
実験的に、例えば結晶構造分析的に、生物物理学的にまたは生化学的に選択されたコアフラグメントの各々を、分子の小バーチャル化合物ライブラリー、あるいはコアフラグメントから容易に合成され得る誘導化合物に拡大する。本発明の一方法では、修飾ハンドルを含むコアフラグメントを含むin silico(またはコンピューター実行)ライブラリーが設計される。一方法では、線状ライブラリーであるようライブラリーを設計し、各ライブラリーは誘導化合物を含み、誘導化合物の少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%はハンドルの1つのみでライブラリー中の別の誘導化合物と異なる。これらのライブラリーをコンピューター的にスクリーニングして、それらが標的の所望の結合部位で結合し得るか否かを確定する。例えば合成により所望の結合特質を有するものを得て、例えば結晶構造解析実験および生物物理学的または生化学的アッセイを用いて調べる。
次にX線結晶構造解析によりそして生化学的に選択コアフラグメントをスクリーニングして、選択コアフラグメントのどれを線状ライブラリーのための基礎として用いるべきかを確定する。スクリーニングを、例えば任意の順序で実行し得る。一方法では、標的に対する活性に関して生化学的アッセイで、コアフラグメントを先ずスクリーニングする。当業者は、意図された標的に適した生化学的アッセイを選択し得る。次に各標的に関して確定されたような活性の一定の閾値を満たすコアフラグメントを、標的とともに結晶化後に、X線結晶構造解析に付す。次に標的の意図された活性部位と結合するコアフラグメントを、線状ライブラリー合成のために選択する。別の方法では、X線結晶構造解析を先ず実行し、次に標的の活性部位に結合するコアフラグメントを生化学的アッセイに付す。第三の方法では、2つのスクリーニング手法を同時にあるいは異なる時点で実行し、コアフラグメントのほとんどまたは全てを両手法に付して、所望の活性および結合特質を有するコアフラグメントを線状ライブラリー合成のために用いられるコアフラグメントとして選択する。
異常散乱し得るハンドルを有するコアフラグメントの選択は、いくつかの利点を有し、その例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。第一に、異常分散からのシグナルを有することは、結晶構造決定技法の感度を劇的に増大し、したがって、リガンドに関する通常差電子密度が曖昧である場合、弱いおよび/または有意に不調なリガンドが検出され得る。第二に、それは、結合リガンドの検出工程の自動化をより容易にする。これらの利点はともに、結晶学的スクリーニングを、慣用的アッセイ技法に代わるより実行可能なものにするのに役立つ。
構造データを得る前または後に、例えば本明細書中に記載されたような活性に関して、コアフラグメントまたは化合物を任意にスクリーニングし得る。初期スクリーニングでは、1つまたは複数のアッセイで、例えば結合および/または生物学的アッセイで、ライブラリーの各々をスクリーニングする。次に最も多くの活性を示すコアフラグメントまたは化合物を、さらなる分析のために選択する。高マイクロモル範囲またはそれより低い範囲のIC50を有するコアフラグメントまたは化合物を選択し得るが、これは、リードとしてのそれらの可能性を、さらなる分析により確証するためである。コアフラグメントまたは化合物が結合されるか否かを確定するための初期スクリーニングの別の方法は、異常散乱特性を有するコアフラグメントまたは化合物の存在下でタンパク質結晶を浸漬することによるものである。
実施例3:二次(線状または組合せ)薬剤様化合物ライブラリーの設計およびスクリーニング
コアフラグメントライブラリーが一旦スクリーニングされ、そして少なくとも1つのコアフラグメントが特定のアッセイ結果および/または生物学的標的分子との特定の相互作用を有すると同定されれば、コアフラグメントを精密加工して、さらなるスクリーニングおよび最適化のための二次(線状または組合せ)ライブラリーを開発し得る。コアフラグメントが所望の特質を有すると同定されない場合には、同一のまたは異なるコアフラグメントライブラリーをスクリーニングすることにより、スクリーニング過程を反復し得る。
次に標的/化合物複合体の構造分析を用いて、最高の活性を有するとして選択された二次ライブラリーの化合物を分析する。初期結晶化中に標的タンパク質を浸漬するかまたはそれとともにインキュベートすることにより、選択化合物を標的タンパク質とともに結晶化に付す。化合物の1つまたは混合物の存在下で標的タンパク質結晶を浸漬することにより、結晶を生成し得る。同様に、化合物の1つまたは混合物の存在下で標的タンパク質をインキュベートすることにより、結晶を生成し得る。次に結晶からX線回析データを収集し、データを分析して、構造を解明する。次に最も重要な官能基を、さらなる分析のために選択する。
線状または組合せライブラリーから所望の活性および結合特質を有する化合物が一旦選択されれば、それらを、さらなる精密加工のために用い得る。非限定例として、選択化合物は、異なるハンドルでのまたは同一ハンドルでの変化を有する第三級線状ライブラリーのための、あるいは第三級ライブラリーのようなより伝統的な組合せライブラリーのための基礎として役立ち得る。あるいは1つより多い線状ライブラリーから選択される化合物は、第三級線状ライブラリーまたは組合せライブラリーのための基礎を形成するために、組合され、用いられ得る。例えばハンドルA’BC(ここで、A’は誘導置換基である)を有する選択された化合物は、ハンドルABC’(ここでC’は誘導置換基である)を有する化合物と組合されて、A’、BまたはC’での付加的線状ライブラリーあるいは3つのハンドルのいずれかまたは全てに変化を有する組合せライブラリーのための基礎として用いられ得る。各回数の合成およびスクリーニングを実行する場合、より多くの薬剤様特質、より低いIC50ならびにその他のより多くの望ましい特質を有する化合物が選択される。
二次ライブラリーは、線状ライブラリーまたは組合せライブラリーであり得る。本発明の一態様では、ハンドルのうちの1つのみで修飾される一連の関連化合物を含む線状ライブラリーが開発される。化合物スクリーニングライブラリーは、1つのまたは1つより多い線状ライブラリーを含み得る。各線状ライブラリーにおいて、化合物は同一中心コアを有し、そして1つより多いハンドルが存在する場合、1つ以外の全てのハンドルは同一置換基を含む。非限定例として、各コアフラグメントに関して、合成ハンドル(単数または複数)は小選択ライブラリーを作製するために用いられる。各ハンドルでは、合成の便利な方法としてハンドルを用いて、多数の化合物が作られる。各ライブラリーに関して、化合物のほとんどは、1つのハンドルでの変化により他の化合物の各々と異なる。例えば薬剤様化合物が3つのハンドルを含むよう設計される場合、ハンドルの各々は、例えば合成的に結合される10個の異なる基を有する。例えば同時に1つのハンドルに修飾を有する同一中心コアを有する化合物を含む線状ライブラリーが生成され得る。線状ライブラリーは次に、例えばX線結晶構造解析を用いて標的との結合に関してスクリーニングされ、そして生化学的にまたは別の活性アッセイにおいてもスクリーニングされ得る。所望の結合活性、そして例えば生化学的活性を有する化合物がさらなる薬剤設計のために選択され、例としては、付加的化合物の開発のための中心コアとしての化合物の全部または一部の使用が挙げられるが、これらに限定されない。線状ライブラリーは、一度に全部または一定期間に亘って、構築され、検査され得る。この型のライブラリーでは、ライブラリーの成員としては例えば3つのハンドルA、BおよびCを有するコアフラグメントを表示する表2のものが挙げられる。各ハンドルは、例えば結合される10の異なる基を有し得る。この型の線状ライブラリーでは、表2に示したように、1つのハンドルだけが同時に就職される。この例では、修飾はハンドルCに存在する。別の例では、修飾はハンドルCに残存するが、しかしAおよびBではハンドルは依然として変わらず、異なる置換基、例えばハンドルCに関して以下に示した置換基のうちの1つ(これらに限定されない)を伴う。他の同様のライブラリー例では、CおよびBでのハンドルは依然として変わらず、修飾hがハンドルAに存在し、あるいはAおよびCでのハンドルは一定で、修飾はハンドルBに存在する。
Figure 2007521252
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この非限定例の方法を用いて、1つのハンドル部位に各々10の異なるハンドルを有する多数の化合物ライブラリーを、初期スクリーニングに用いる。各ライブラリー中の相対的少数の総化合物、例えば11未満、21未満、31未満、51未満、101未満の化合物を用いて、線状ライブラリーが一旦合成されれば、例えば標的タンパク質と化合物または化合物の混合物を混合し、次に複合体を結晶化することにより、あるいは化合物または化合物の混合物を含む溶液中に標的タンパク質結晶を浸漬することにより、あるいは直接酵素活性アッセイまたは結合アッセイにより、標的とともに結晶化するために化合物を用いるが、但し、アッセイは弱結合剤(約1 mMのKdまたはIC50)を検出し得る。混合物中に結晶を浸漬する方法は当業者に既知であり、そして例えば米国特許第6,297,021号(Nienaber等、2001年10月2日発行)で考察されている。混合物中に含まれるコアフラグメントまたは化合物の組合せは、例えば、構造の電子密度を検査した場合に、それがフラグメントまたは化合物の弁別をより容易にするよう設計され得る。一例では、混合物中のフラグメントまたは化合物の約半分が、異常分散特性を有する置換基、例えば臭素を含む。次に結晶をX線結晶構造解析的構造決定に付す。次に第二回の線状ライブラリー合成により、または付加的官能基を付加することによるハンドルの増築により、あるいは組合せライブラリーの合成により、さらなる精密加工のために、所望の結合特性を有する分子を選択する。
化合物の数は本実施例に提示されたものに限定されないが、しかし目標は限定選択数の化合物を有するライブラリーを作成することである、と当業者は認識する。これは、伝統的初期スクリーニングに用いられ得る数千〜数千のうちの数百の化合物と対照を成す。
次に第一段階で得られた情報を用いて、選択ライブラリーを用いた各ハンドルでのさらなる精密加工のために、各中心コア上の置換をさらに精製し得る。あるいはこの情報を用いて、より大きい群の化合物、例えば各ハンドルでの種々の基の全ての順列を含むよう分析を拡大し得る。例えば第一回の線状ライブラリースクリーニング後に選択された化合物を次に、新規の線状ライブラリーの基礎として用い、次にこれをスクリーニングする。あるいは選択化合物は、より伝統的な組合せライブラリーの基礎であり、次にこれをスクリーニングする。選択化合物はコンピューター薬剤設計のためにも用い、化合物の一部に特定の変更を作って、結合部位とのその接触を改良する。コンピューター化学ソフトウエアを用いて、さらなる分析のために化合物を設計し、ドッキングし、そして選択し得る。次にこれらの化合物を次回のアッセイおよび構造分析に付す。
本発明の一態様では、所望の構造−活性関係またはSARが一旦得られれば、さらなる活性最適化のために組合せライブラリーを開発し得る。例えば先行ライブラリーのスクリーニング結果と比較した場合にコアフラグメントライブラリーまたは線状ライブラリーの化合物の活性における約5倍、約10倍、約20倍、約100倍またはそれ以上の増大が認められる組合せライブラリーを設計し得る。この組合せライブラリーは一度に1つより多いハンドルでの変化を含み得る。それは、線状ライブラリー中の別個の化合物上で同定される特定のハンドルを組合せ得る。早期段階で得られる構造情報は、組合せライブラリーの設計を指図するのに役立ち得る。コアフラグメントライブラリースクリーニングから十分な情報および活性が得られるいくつかの態様では、コアフラグメントライブラリースクリーニング直後に組合せライブラリーを調製し、スクリーニングし得る。
コアフラグメントがさらに精密加工される場合、それはより大きくなり得る。精密加工フラグメントまたはリード候補の分子量は、例えば約500ダルトン未満、約450ダルトン未満、約400ダルトン未満、約350ダルトン未満または約300ダルトン未満であり得る。
実施例4:線状ライブラリーの合成のためのコアフラグメント−ハンドル組合せのコンピュータースクリーニング
ハンドル修飾をコンピューター的に選択するために、種々の方法を用い得る。一例では、所定のハンドルに適合性である考え得る試薬のプールからの各々の考え得る試薬、例えば約10,000の試薬を用いて、in silicoでバーチャル線状ライブラリーを生成し得る。線状ライブラリーをスクリーニングするために、強力な好ましいコンフォーマーをバーチャルライブラリーの各誘導体のために生成する。各コンフォーマーを、所望のタンパク質結合部位における結晶構造解析的に確定されたコアフラグメント位置に置き、エネルギー最小化に付す。好ましくない立体配座を除去し、MM/PBSA結合遊離エネルギー法を用いて最高得点置換基を選択する(P.A. Kollman, et al., Calculating Structures and Free Energies of Complex Molecules: Combining Molecular Mechanics and Continuum Models. Accts. Chem. Res. 33, 889-897 (2000))。
本発明の一例では、コアフラグメントが一旦選択されれば、それをin silico反応に付して、ハンドル当たり1つのバーチャルライブラリーを生成し得る。例えばOMEGA(OE)、Catalyst(Accelrys)、MOE(CCG)およびSYBYL(Tripos)のようなソフトウエアを用いて、結晶学的に書く対されたコアフラグメント位置に、例えばMOE(CCG)およびDOCKを用いて、立体的に許容可能なおよび/またはエネルギー的に好ましいコンフォーマーを生成する。例えばInsightII(Accelrys)、MOE(CCG)、SYBYL(Tripos)およびAMBERを用いて、コンフォーマー/結合部位組合せをエネルギー最小化に付し、そして好ましくない立体配座、例えば高分子内エネルギーを有するもの、例えば約5.0 kcal/molより高い分子内エネルギーを有するものを除去する。残りの立体配座からの最高得点置換基を、MM/PBSAで選択し、さらなる分析のために合成する。
その他のコンピューター化学法を用いて、線状または組合せライブラリーの構成成分を選択し得る。これらのプログラムは、化合部、例えばコアフラグメントに対する修飾を設計して、リード候補を得るためにも用いられ得る。
コンピューターモデリング技法を用いて、標的タンパク質に及ぼす科学化合物の考え得る変調または結合作用を査定し得る。コンピューターモデリングが強力な相互作用を示す場合には、分子を合成し、そして標的タンパク質と結合し、(抑制するかまたは活性化することにより)その活性に影響を及ぼすその能力に関して試験し得る。
例えば生物学的標的分子活性を抑制するかまたは活性化する化合物、あるいは標的タンパク質のその他の結合化合物の変調を、標的タンパク質の個々の結合ポケットまたはその他の領域と会合するそれらの能力に関して化学物質群またはフラグメントがスクリーニングされ、選択される一連の過程により、コンピューター的に評価し、設計し得る。標的タンパク質と会合するそれらの能力に関して化学物質群またはフラグメントをスクリーニングするためには、いくつかの方法が利用可能である。この方法は、例えば標的タンパク質同等物を基礎にしてコンピュータースクリーン上の活性部位のバーチャル検査により開始され得る。次に選択フラグメントまたは化学物質群を、標的タンパク質の個々の結合ポケット内に種々の配向で配置し、あるいはドッキングし得る(Blaney, J.M. and Dixon, J.S., Perspectives in Drug Discovery and Design, 1: 301, 1993)。Insight II(Accelrys, San Diego, CA)、MOE(CCG)およびSYBYL(分子モデリングソフトウエア、Tripos Associates, Inc., St. Louis, MO, 1992)のようなソフトウエア、その後のエネルギー最小化、ならびにCHARMM(Brooks, et al., J. Comp. Chem. 4: 187-217, 1983)のような標準分子力学力場を伴う分子動力学を用いて、手動ドッキングを達成し得る。DOCK(Kuntz et al., J. Mol. Biol., 161: 269-88, 1982;DOCKはUniversity of California, San Francisco, CAから入手可能である);AUTODOCK(Goodsell & Olsen, Proteins: Structure, Function, and Genetics 8: 195-202, 1990;AUTODOCKはScripps Research Institute, La Jolla, CAから入手可能である);GOLD(Cambridge Crystallographic Data Centre (CCDC); Jones et al., J. Mol. Biol. 245: 43-53, 1995);およびFLEXX(Tripos, St. Louis, MO; Rarey, M., et al., J.Mol. Biol. 261: 470-89, 1996);AMBER(Weiner, et al., J. Am. Chem. Soc. 106: 765-84, 1984);およびC2MMFF(Merck Molecular Force Field; Accelrys, San Diego, CA)のようなプログラムを用いて、より多くの自動化ドッキングを達成し得る。その他の適切なプログラムは、例えばHalperin, et al.に記載されている。
特殊化コンピュータープログラムも、フラグメントまたは化学物質群の選択工程に役立ち得る。これらの例としては、DOCK;GOLD;LUDI;FLEXX(Tripos, St. Louis, MO; Rarey, M., et al., J.Mol. Biol. 261: 470-89, 1996);およびGLIDE(Eldridge, et al., J. Comput. Aided Mol. Des. 11: 425-45, 1997; Schrodinger, Inc., New York)が挙げられる。その他の適切なプログラムは、例えばHalperin, et al.に記載されている。
その他の分子モデリング技法も、本発明にしたがって用いられ得る。例えばCohen et al., J. Med. Chem. 33: 883-94, 1990を参照。Navia & Murcko, Current Opinions in Structural Biology 2: 202-10, 1992; Balbes et al., Reviews in Computational Chemistry, 5: 337-80, 1994,(Lipkowitz and Boyd, Eds.)(VCH, New York); Guida, Curr. Opin. Struct. Biol. 4: 777-81, 1994も参照されたい。上記の方法による化合物の設計および選択中、化合物が標的タンパク質と結合し得る効率を、コンピューター評価により試験し、最適化し得る。例えば標的タンパク質阻害剤として機能するよう設計されまたは選択された化合物は、ネイティブ基質が結合される場合、活性部位残基により占められる容積と重複しない容積を占め得るが、しかしながら主鎖および側鎖の再配列を可能にする何らかの柔軟性が存在する、と当業者は認識する。さらに、例えば誘導適合を生じるような結合時のタンパク質再配列を利用し得る化合物を当業者は設計し得る。有効標的タンパク質阻害剤は、好ましくはその結合および遊離状態間のエネルギーの相対的に小さい差を実証しなければならない(即ちそれは結合時の結合および/または低立体配座歪みの小変形エネルギーを有さなければならない)。したがって最も効率的な標的タンパク質阻害剤は、例えば約10 kcal/mol以下の、例えば約7 kcal/mol以下の、例えば約5 kcal/mol以下の、例えば約2 kcal/mol以下の結合の変形エネルギーを用いて設計されるべきである。標的タンパク質阻害剤は、全体的結合エネルギーにおいて類似する1つより多い立体配座中のタンパク質と相互作用し得る。それらの場合、結合の変形エネルギーは、遊離化合物のエネルギーと阻害剤が酵素と結合した場合に観察される立体配座の平均エネルギーとの間の差であると理解される。エネルギーの算定方法は当業者に既知であり、例としてはMMFF94を用いるMOE v2004.03(Chemical Computing Group)またはMMFF94sを用いるOpen Eyeソフトウエアが挙げられる。MMFF94およびMMFF94s(Merck Molecular Mechanics Force Field)は、例えばHalgren, J. Comput. Chem., 17, 490-519 (1996); Halgren, J. Comput. Chem., 17, 520-552 (1996); Halgren, J. Comput. Chem., 17, 553-586 (1996); Halgren and Nachbar, J. Comput. Chem., 17, 587-615 (1996); Halgren, J. Comput. Chem., 17, 616-641 (1996); Halgren, J. Comput. Chem., 20, 720-729 (1999);およびHalgren, J. Comput. Chem., 20, 730-748 (1999)で考察されている。
標的タンパク質との結合のために選択されまたは設計される化合物は、その結合状態で、例えば標的タンパク質との反発的静電気的相互作用を欠くよう、さらにコンピューター的に最適化される。非補足的静電気的相互作用としては、反発的電荷−電荷、双極子−双極子および電荷−双極子相互作用が挙げられる。特に、阻害剤およびタンパク質間の全静電気的相互作用の和は、阻害剤がそれに結合される場合、結合のエンタルピーに中性にまたは望ましく寄与し得る。
特定のコンピューターソフトウエアは、化合物変形エネルギーおよび静電気的相互作用を評価するために当該技術分野で利用可能である。このような用途のために意図されたプログラムの例としては、以下のものが挙げられる:Gaussian 94, 改訂版C(Frisch, Gaussian, Inc., Pittsburgh, PA. (c)1995);AMBER, バージョン7(Kollman, University of California at San Francisco, (c)2002);QUANTA/CHARMM(Accelsys, Inc., San Diego, CA, (c)1995);Insight II/Discover(Accelsys, Inc., San Diego, CA, (c)1995);DelPhi(Accelsys, Inc., San Diego, CA, (c)1995)およびAMSOL(University of Minnesota)。これらのプログラムは、例えば当業者に周知であるようなコンピューター・ワークステーション、例えばLINUX、SGIまたはSunワークステーションを用いて実行され得る。その他のハードウエアシステムおよびソフトウエアパッケージが当業者に既知である。
本発明のコアフラグメント/ハンドル組合せを合成するための一般的合成方法は、例えば米国特許第5,756,466号に見出され得る。
実施例5:薬剤候補の設計
本発明の方法は、例えば本実施例に提示される工程を用いた薬剤候補の設計に用いられ得る。当業者は、本発明の方法に従って、これらの工程に略記された方法を実施し、これらの工程の順序または時機を修正し、ならびに付加工程を付加し得る。
1.市販のまたは注文合成分子からコアフラグメントライブラリーを選択し、
2.標的生体分子に対するヒットに関して、生化学的に、生物物理学的におよび/または結晶学的にコアフラグメントライブラリーをスクリーニングし、
3.各ハンドルでの全ての容易に合成される類似体へのヒットをコンピューター的に精密加工し(1ライブラリー/ハンドル)、
4.MM/PBSAでコンピューター的にバーチャルライブラリーを採点し、
5.合成のために最上位得点化合物を選択し、
6.過程5で選択された化合物を得て、
7.過程6の化合物を生化学的に検定し、
8.標的生体分子との会合において過程7からの選択活性化合物の結晶構造を解明し、
9、各線状ライブラリーからの最も活性な置換基のいくつかを用いて線状または組合せライブラリーを設計し、
10.過程9で設計された化合物を得て、
11.過程10の化合物を生化学的に検定し、
12.標的生体分子との会合において過程11からの選択活性化合物の結晶構造を解明し、
13.所望の活性が達成されるまで、過程3〜12の反復を継続する。
実施例6:SYK阻害剤の設計
本発明を用いて、生物学的標的分子に対する活性を有する強力な化合物を設計し、同定し得る。本発明の一態様では、コアフラグメントは、一標的タンパク質に対してスクリーニングされ、そして1つまたは複数のハンドルでの精密加工によりコアフラグメントが開発されると、その結果生じた精密加工化合物が別の標的タンパク質、例えば一次標的タンパク質と同一のタンパク質ファミリーの一成員であるタンパク質(これに限定されない)に対してスクリーニングされ得る。酵素活性を有する標的タンパク質の例の場合、他の標的は、IUPAC-IUBMNB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)を参考にしてNomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology(NC−IUBMB)により提供されるような同一または重複酵素分類(EC)を有する酵素タンパク質であり得る。以下は、図7に示したような一標的タンパク質が二次標的タンパク質に対する活性を有する化合物の開発に用いられる本発明の方法がどのように適用されるかの一例である。これらの方法が単一標的タンパク質の使用に関して(あるいは2つより多い標的タンパク質の使用に関してさえ)修正され得る、と当業者は容易に理解する。このような一方法においては、初期スクリーニングのために、そして分子の開発により、同一標的タンパク質を用いる。
異常分散特性を有する置換基を含むコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーを得る。コアフラグメントは、当業者に既知の方法を用いて合成し得るし、あるいは商業的供給元、例えばSIGMA-ALDRICH, LANCASTER, FLUKA, ACROS, MAYBRIDGE, and CHEMBRIDGEから獲得し得る。PAK4のキナーゼドメインの結晶は、例えばUSSN 10/406,676(4/2/03提出)(Crystals and structures of PAK4KD Kinase PAK4KD, Antonysamy, et al. (US-2003-0229453-A1))におけるように得られる(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)。浸漬混合物溶液中の各フラグメントに関して10 mMの試料濃度を用いて、5つのコアフラグメント混合物の溶液中に結晶を浸漬し、次に結晶を浸漬溶液から単離し、そしてUSSN 10/406,676(4/2/03提出)(Crystals and structures of PAK4KD Kinase PAK4KD, Antonysamy, et al. (US-2003-0229453-A1))に提示された方法に従って、構造決定に付す。タンパク質構造解明は、Pak4上の結合部位と会合するコアフラグメントを明示する。このような一フラグメントは、フラグメントAである。Pak4 PK−LDH結合アッセイ、例えば上記のUSSN 10/406,676に提示されたアッセイを用いることにより、生化学的活性に関して、Pak4に対してもコアフラグメントをスクリーニングする。Pak4に対するコアフラグメントAの生化学的活性は、IC50>1.5 mMである。
線状ライブラリーへのさらなる精密加工のために、コアフラグメントAを選択する。先ず、タンパク質およびコアフラグメントのX線複合構造に基づいて、精密加工されつつあるハンドルを選択する。その結合部位にコアフラグメントAを有するPak4タンパク質構造は、ハンドルXがPak4と直接的且つ特異的相互作用を成す、ということを示す。それゆえ、ハンドルYおよびZのみをさらなる精密加工のために選択する。適合性の市販の試薬を用いて、全ての考え得る合成誘導体を生成することにより、各ハンドルを、独立して、バーチャルライブラリー中に精密加工する。ハンドルの置換またはハンドルへの付加という修飾により、精密加工ハンドルまたは誘導置換基を設計し得る。例えば潜在的ハンドルYの芳香族メチル基をカルボン酸に酸化し、次にアミンと結合して、アミドを生成し得る。例えば潜在的ハンドルZの芳香族臭素を用いて、ボロン酸試薬とSuzukiカップリングを実施し得る。次に、例えば本明細書中の実施例3に記述したような中心コア−ハンドル組合せのコンピュータースクリーニング技法を用いることにより、2つの異なるコアフラグメントAハンドルYおよびZに修飾を有する線状ライブラリーの設計によりコアフラグメントAを精密加工し、そして線状ライブラリーを合成する。線状ライブラリーのサイズは、例えば10〜50化合物であり得る。線状ライブラリー化合物を、生化学的活性に関して標的タンパク質、例えばPak4およびSykに対してスクリーニングし、次に、全てのまたはいくつかの選択化合物を、単独で、またはSyk KDの結晶との混合物で、浸漬実験に用いる。性化学的活性を有する化合物を、構造実験のために、例えば生化学的活性を有さない化合物と同様に選択し得る(ともに次の設計段階に有用な情報を産生し得るので)。SYK PK−LDH結合アッセイを用いることによるSYK活性アッセイにも、線状ライブラリー化合物およびコアフラグメントAを用いる。2つの異なる線状ライブラリーからの2つの化合物、即ちハンドルYに修飾を有する線状ライブラリーからの化合物B、ならびにハンドルZに修飾を有する線状ライブラリーからの化合物Cは、コアフラグメントAと比較した場合にSYKに対する活性増大を示すと同定される例である。次に、化合物B、Cおよびその他の線状ライブラリー化合物の構造から得られる情報を用いて、中心コア−ハンドル組合せのコンピュータースクリーニング技法を用いることにより1つまたは1つより多いハンドルに修飾を有する化合物を含む組合せライブラリーを設計し、そして組合せライブラリーを合成する。組合せライブラリーのサイズは、例えば10〜50化合物であり得る。組合せライブラリー化合物を、生化学的活性に関してSykに対してスクリーニングし、次に、全てのまたはいくつかの選択化合物を、Syk Kdの結晶とともに浸漬実験に用いる。本発明の場合、化合物Dは、化合物B(ハンドルY)およびC(ハンドルZ)からの精密加工ハンドルの両方を含むよう設計された化合物の一例であり、そして化合物Eは、化合物Bと比較した場合、化合物Bの同一精密加工ハンドルYを含むが、しかし修飾ハンドルZを含む。化合物DおよびEは、本発明の方法を用いて設計され、同定され得るリード候補の例である。化合物DおよびEは、例えば付加的線状または組合せライブラリーの設計によりさらに精密加工され得るし、あるいはSYKとの会合における化合物DおよびEの構造を用いて、SYK結合部位との結合改良を示す化合物を設計し、これも生化学的活性に関して試験する。リード候補を細胞または動物において試験し、そして必要に応じて、溶解性またはADMET特性改善を示すようさらに精密加工し得る。
実施例6.1:化合物合成
本実施例および図7の化合物を、例えば本明細書中に示したように合成し得る。
例えば以下の方法を用いて、本出願の実施例の節および図7に示したSYK阻害剤化合物を調製し得る。
最終生成物の製造方法
一般的スキーム
Figure 2007521252
これらの方法を以下に示す:
A:
20℃〜100℃の範囲の温度で、適切な溶媒、例えば酢酸、DMFまたは塩化メチレン中で、遊離酸(R6=H)としてのまたはエステルとしての誘導体(a)を、適切なハロゲン化試薬、例えば臭素またはヨウ素または適切なハロゲン含有試薬、例えばICl、N−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミドと反応させることによる、必要なハロゲン化中間体(b)または(e)の合成。
B:
塩化オキサリル、塩化チオニル、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボニルジイミドまたは1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドのような試薬の使用によりカルボン酸を活性化し、その後、4−ジメチルアミノピリジン、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールのような添加剤の存在下でアミンR1NH2で処理することにより、またはアミンを用いずに、一般式(I)(式中、A、B、R1およびR2は式Iで定義されるようなものである)の化合物を生成するためのアミド中間体(d)および(e)の合成ならびにアミド生成。
アミド中間体(d)および(e)ならびに一般式I(式中、A、B、R1およびR2は式Iで定義されるようなものである)の化合物を生成するための代替的手法は、慣用的加熱またはマイクロ波照射を用いて、20℃〜250℃の範囲の温度で、溶媒、例えばDMSO、DMF、DMA、NMP、エタノール、ブタノールまたはペンタノール(これらに限定されない)中のアミンを用いて直接的に、あるいは適切な試薬または触媒、例えばトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリメチルアルミニウムまたはトリフルオロホウ素の存在下で、対応するエステル(a)、(b)または(c)を処理することから成る。
C:
ハロゲン含有中間体(b)および(e)を以下のものとカップリングすることによる、中間体(c)または一般式I(式中、A、B、R1およびR2は式Iで定義されるようなものである)の化合物を提供するための手法:
a)慣用的加熱またはマイクロ波照射を用いた20℃〜200℃の範囲の温度での、溶媒、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、水、エタノール、ジオキサン、トルエン、キシレンおよびそれらの混合物中の適切な金属触媒、例えば炭素上パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)、ならびに添加剤、例えばトリフェニルホスフィン、トリス−tert−ブチルホスフィン、2−(ビフェニル)ジクロロヘキシルホスファン、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、フッ化セシウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化カリウム(これらに限定されない)の存在下でのボロン酸またはエステル。
b)慣用的加熱またはマイクロ波照射を用いた20℃〜200℃の範囲の温度での、溶媒、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、水、ジオキサン、トルエン、キシレン、オルト−ジクロロベンゼンおよびそれらの混合物中の適切な金属触媒、例えば炭素上パラジウム、テトラクロロパラジウム酸リチウム、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)、ならびに添加剤、例えばトリフェニルホスフィン、トリス−tert−ブチルホスフィン、2−(ビフェニル)ジクロロヘキシルホスファン、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、トリフェニルアルシン、フッ化セシウム、フッ化カリウム、酸化銅(I)、酸化銀(I)および塩化リチウム(これらに限定されない)の存在下でのアリールスタンナン。
c)慣用的加熱またはマイクロ波照射を用いた20℃〜200℃の範囲の温度での、溶媒、例えばDMFまたはDMA中の適切な金属触媒、例えば酢酸パラジウム(II)、ならびに添加剤、例えばトリフェニルホスフィン、トリス−(オルト−トリル)ホスフィンおよびトリエチルアミンの存在下での電子欠損型オレフィン、例えばアクリル酸メチル。
上記の手法および技法により、ならびにLittke, A.F., et al., J. Am. Chem. Soc., 122: 4020-4028 (2000)に開示された技法を含めた既知の有機合成技法により、しかし、ボロン酸とのカップリングのために3−アミノ−6−ヨード−ピラジン−2−カルボン酸誘導体(スキーム4に例示)を利用して、実施例および図7の化合物を製造し得る(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)。以下の一般的反応スキームにより、化合物を製造し得る。
Figure 2007521252
上記の反応スキーム1において、2−アミノニコチン酸(a)は、N−ブロモスクシンイミド(NBS)による処理時に、臭素化ピリジン(b)を提供し、これを次にアミン(c)、4−ジメチル−アミノピリジン(DMAP)および塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)で処理して、アミド(d)を生じる。ボロン酸(e)、炭素上パラジウム(Pd/C)、トリフェニルホスフィン(PPh3)およびフッ化セシウムによる(d)のその後の処理により、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはCHであり、XはOであり、およびYはNHであり、そしてR2はアリールである)の化合物を得る。スキーム1に例示された一般反応は、R1NH2(c)の代わりにR14NHを利用することにより、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはCHであり、XはOであり、R2はアリールであり、そしてYはNR4である)の化合物の合成のためにも適用可能である。
代替的方法では、スキーム2に示すように、ボロン酸(e)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物[PdCl2(dppf)]およびフッ化セシウムによる(d)の処理は、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはCHであり、XはOであり、YはNHであり、そしてR2はアリールである)の化合物を提供する。スキーム2に例示した一般反応は、R1NH2(c)の代わりにR14NHを利用することにより、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはCHであり、XはOであり、R2はアリールであり、そしてYはNR4である)の化合物の合成のためにも適用可能である。
Figure 2007521252
反応スキーム3において、2−アミノピラジン−3−カルボン酸メチルエステル(a)は、N−ヨードスクシンイミド(NIS)による処理時に、ヨウ素化ピラジン(b)を提供し、これを次にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)[Pd2(dba)3]、トリス−tert−ブチルホスフィンおよびフッ化カリウムの存在下でボロン酸(c)で処理して、結合ピラジン生成物(d)を生じる。DMSO中の取りフルオロメタンスルホン酸スカンジウムの存在下でのアミン(e)による(d)のその後の処理により、構造式(I)(式中、AはNであり、BはCHであり、XはOであり、YはNHであり、そしてR2はアリールである)の化合物を得る。
Figure 2007521252
代替的方法では、スキーム4に示すように、エタノール−水中の水酸化ナトリウムによる(d)の処理は、対応する酸を提供し、これは、DMF中のアミンR1NH2(f)および(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート[PyBOP]による処理時に、構造式(I)(式中、AはNであり、BはCHであり、XはOであり、YはNHであり、そしてR2はアリールである)の化合物をもたらす。
Figure 2007521252
反応スキーム5において、3−アミノピリダジン−4−カルボン酸(a)[J. Org. Chem. 1985, 50, 346-350]は、N−ヨードスクシンイミド(NIS)による処理時に、ピリダジン(b)を提供し、これを次にアミン(c)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBT)およ塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)で処理して、アミド(d)を生じる。ボロン酸(e)、炭素上パラジウムのような適切なパラジウム触媒系を、トリフェニルホスフィンまたはジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物およびフッ化セシウムとともに用いての(d)のその後の処理により、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはNであり、XはOであり、YはNHであり、そしてR2はアリールである)の化合物を得る。スキーム5に例示された一般反応は、R1NH2(e)の代わりにR14NHを利用することにより、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはNであり、XはOであり、R2はアリールであり、そしてYはNR4である)の化合物の合成のためにも適用可能である。
Figure 2007521252
反応スキーム6において、5−ブロモ2−アミノニコチン酸を、酢酸パラジウム(II)およびトリフェニルホスフィンの存在下で、アクリル酸メチル(b)およびトリエチルアミンで処理して、結合オレフィン(I)(式中、AはCHであり、BはCHであり、XはOであり、YはOHであり、そしてR2はCHCHCO2CH3である)を得る。
Figure 2007521252
スキーム7において、スキーム1に記載されたように合成した2−アミノ−5−ブロモニコチン酸を、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)および炭酸セシウムの存在下で、ボロン酸(b)と反応させる。スキーム7に例示された一般反応は、構造式(I)(式中、AはCHであり、BはCHであり、XはOであり、YはOHであり、そしてR2はアリールである)の化合物の合成のためにも適用可能である。
Figure 2007521252
5−ブロモ−2−アミノニコチン酸の合成
DMF(500 ml)中の2−アミノニコチン酸(25 g, 0.181 mol)の撹拌溶液に、室温で、N−ブロモスクシンイミド(33.5 g)を付加した。4時間後、反応を水でクエンチした。褐色固体を濾過し、水で数回洗浄した。その結果生じた固体をメタノール中に溶解し、活性炭で処理した。混合物を濾過し、溶液を濃縮して、11.5 gの5−ブロモ−2−アミノニコチン酸を淡黄色固体(11.2 g, 収率29%)を得た;
Figure 2007521252
2−アミノ−5−ブロモ−N−シクロプロピル−ニコチンアミドの合成
DMF(6 ml)中の5−ブロモ−2−アミノニコチン酸(0.50 g, 2.3 mmol)、EDCI(0.68 g, 3.45 mmol)およびDMAP(0.56 g, 4.60 mmol)の溶液に、シクロプロピルアミン(0.19 g, 3.45 mmol)を付加した。反応物を室温で一晩撹拌後、水でクエンチした。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥して、表題化合物を黄色固体として得た(0.406 g, 収率69%);
Figure 2007521252
2−アミノ−5−(3−クロロ−フェニル)−N−シクロプロピル−ニコチンアミドの合成
スミス製法バイアル中の2−アミノ−5−ブロモ−N−シクロプロピル−ニコチンアミド(51 mg, 0.2 mmol)、Pd/C(10重量%、10 mg, 5 mol%)、PPh3(10.5 mg, 20 mol%)および3−クロロフェニルボロン酸(37 mg, 0.24 mmol)に、DME(1 ml)、水(0.6 ml)およびCsFの4 N水溶液(0.4 ml)を付加した。Personal Chemistry SmithCreatorマイクロ波中で、160℃で1200秒間、反応を実行した。次に反応混合物を酢酸エチルで抽出し、併合抽出物を1NNaOH溶液で、次に水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空濃縮した。酢酸エチル/ヘキサンの勾配を用いたシリカゲル上での精製により、表題化合物を固体として得た(19 mg, 収率33%)。
Figure 2007521252
2−アミノ−5−(3−ベンジルオキシ−フェニル)−N−シクロプロピル−ニコチンアミドの合成
スミス製法バイアル中の2−アミノ−5−ブロモ−N−シクロプロピル−ニコチンアミド(51 mg, 0.2 mmol)、3−ベンジルオキシフェニルボロン酸(55 mg, 0.24 mmol)およびPdCl2(dppf)・CH2Cl2(29 mg, 0.04 mmol)に、DME(1 ml)、水(0.6 ml)およびCsFの4 N水溶液(0.4 mL)を付加した。Personal Chemistry SmithCreatorマイクロ波中で、160℃で1200秒間、反応を実行した。次に反応混合物を酢酸エチルで抽出し、併合抽出物を1NNaOH溶液で、次に水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空濃縮した。酢酸エチル/ヘキサンの勾配を用いたシリカゲル上での精製により、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(45 mg, 収率63%)。
Figure 2007521252
実施例7:標的タンパク質の発現
当業者に周知である技法を用いて、ポリペプチドを含めた標的タンパク質を、全部または一部、化学的に合成し得る(例えばCreighton, Proteins: Structures and Molecular Principles, W.H. Freeman & Co., NY, 1983参照)。これらの実例の目的のために、「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は互換性を有する。
標的ポリペプチドの合成のために、遺伝子発現系を用い得る。当業者に既知であるポリペプチドコード配列および適切な転写/翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技法、合成技法およびin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる。例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 2001およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associated and Wiley Interscience, NY, 1989に記載された技法を参照されたい。
宿主発現ベクター系を用いて、標的タンパク質を発現し得る。これらの例としては、微生物、例えば標的タンパク質コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌;標的タンパク質コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母;標的タンパク質コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;標的タンパク質コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染されたまたは標的タンパク質コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは動物細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質は、例えば個体におけるタンパク質の量を増大するためにタンパク質を発現することを、あるいは工学処理された治療用タンパク質を発現することを包含するヒト遺伝子療法系でも発現され得る。これらの系の発現素子は、それらの強度および特異性が様々である。
特定的に設計されたベクターは、宿主、例えば細菌−酵母または細菌−動物細胞間のDNAの往復を可能にする。適切に構築された発現ベクターは、以下のものを含有し得る:宿主細胞中での自律的複製のための複製の起点、1つまたは複数の選択可能なマーカー、限定数の有用な制限酵素部位、高コピー数への可能性、および活性プロモーター。プロモーターは、DNAと結合して、RNA合成を開始するよう指図するDNA配列と定義される。強力なプロモーターは、高頻度でmRNAを開始させるものである。
発現ベクターは、転写および翻訳に影響を及ぼす種々の素子、例えば構成性および誘導性プロモーターも含み得る。これらの素子はしばしば、宿主および/またはベクター依存性である。例えば細菌系でのクローニングの場合、誘導性プロモーター、例えばT7プロモーター、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)等を用い得る;昆虫細胞系でのクローニングの場合、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーターのようなプロモーターを用い得る;植物細胞系でのクローニングの場合、植物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば熱ショックプロモーター;RUBISCOの小サブユニットのためのプロモーター;クロロフィルa/b結合タンパク質のためのプロモーター)、あるいは植物ウイルス由来のプロモーター(例えばCaMVの35SRNAプロモーター;TMVのコートタンパク質プロモーター)を用い得る;哺乳類細胞系でのクローニングの場合、哺乳類プロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)、あるいは哺乳類ウイルスプロモーター(例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター;SV40プロモーター;ウシパピローマウイルスプロモーター;およびエプスタイン・バーウイルスプロモーター)を用い得る。
種々の方法、例えば形質転換、トランスフェクション、感染、プロトプラスト融合および電気穿孔を用いて、宿主細胞中にベクターを導入し得る。発現ベクター含有細胞をクローンにより増殖させて、個別に分析して、それらが標的タンパク質を産生するか否かを確定する。種々の選択方法、例えば抗生物質耐性を用いて、形質転換された宿主細胞を同定し得る。いくつかの手段、例えば抗標的タンパク質抗体との免疫学的反応性、ならびに宿主細胞関連標的タンパク質活性の存在(これらに限定されない)により、標的ポリペプチド発現宿主細胞クローンの同定を実行し得る。
標的タンパク質cDNAの発現は、in vitro産生合成mRNAを用いても実施し得る。種々の無細胞系、例えばコムギ胚芽抽出物および網状赤血球抽出物(これらに限定されない)において、ならびに細胞ベースの系、例えばカエル卵細胞中へのマイクロインジェクション(これに限定されない)において、合成mRNAを効率的に翻訳し得る。
最適レベルの標的タンパク質活性標的タンパク質を産生する標的タンパク質cDNA配列(単数または複数)を確定するために、修飾標的タンパク質cDNA分子を構築する。修飾cDNAの非限定例は、cDNAが発現される宿主細胞に関してcDNAにおけるコドン使用が最適化された場合である。cDNA分子で宿主細胞を形質転換して、標的タンパク質RNAおよび/またはタンパク質のレベルを測定する。
種々の方法、例えば免疫親和性および/またはリガンド親和性技法により、宿主細胞中の標的タンパク質のレベルを定量する−特異的親和性ビーズまたは標的タンパク質特異的抗体を用いて、35S−メチオニン標識化または非標識化標的タンパク質を単離する。SDS−PAGEにより、標識化または非標識化標的タンパク質を分析する。標的タンパク質特異的抗体を用いて、ウエスタンブロッティング、ELISAまたはRIAにより、非標識化標的タンパク質を検出する。
組換え宿主細胞中での標的タンパク質の発現後、標的タンパク質を回収して、活性形態の標的タンパク質を提供する。いくつかの標的タンパク質精製手法が利用可能であり、使用に適している。当業者に既知である分別またはクロマトグラフィー工程の種々の組合せまたは個々の適用により、細胞溶解物から、または状態調節培地から、組換え標的タンパク質を精製し得る。
さらに、全長新生標的タンパク質またはそのポリペプチド断片に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いて作製されたイムノアフィニティーカラムの使用により、他の細胞タンパク質から組換え標的タンパク質を分離し得る。当該技術分野で既知の他の親和性ベースの精製技法も用い得る。
あるいは、アンフォールド不活性形態で宿主細胞から、例えば細菌の封入体から、標的タンパク質を回収し得る。変性剤、例えば塩酸グアニジニウムを用いて、この形態で回収されたタンパク質を可溶化し、次に当業者に既知の方法、例えば透析を用いて活性形態にリフォールドし得る。
実施例7.1:SYKキナーゼドメインの発現
メーカーの使用説明書に従って、標準cDNA合成キットを用いて、ヒト肝臓cDNAを合成した。cDNA合成のための鋳型は、標準RNA単離キットを用いてHep G2細胞[ATCC HB-8065]から単離されたmRNAであった。以下のプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ヒト肝臓cDNAからSYKKDのためのオープンリーディングフレームを増幅した:
順方向プライマー:GAGGAGATCAGGCCCAAG
逆方向プライマー:CGTTCACCACGTCATAGTAG
PCR産物(推定840塩基対)を1.2%E−ゲル(カタログ番号#G5018-01, Invitrogen Corporation)上で電気泳動処理し、適切なサイズの帯域をゲルから切り出して、標準ゲル抽出キットを用いて溶離した。Invitrogen Corporationにより改造されたあつらえのTOPOであるGATEWAYTM(Invitrogen Corporation)適合pcDNA6 AttB HisCベクターに溶離DNAをTOPO結繋した。ベクターにTOPO結繋された後の、その結果生じた遺伝子の配列(開始配列から停止部位を通して)は、以下のようであった:ATG GCC CTT 3’[SYK]KD5’AA GGG CAT CAT CAC CAT CAC CAC TGA。このベクターを用いて発現されたSYKKDは、N末端メチオニン、SYKKDのキナーゼドメインおよびC末端6×Hisタグを有する。
TOPO結繋挿入物を含有するプラスミドを化学的コンピテントTOP10細胞(Invitrogen Corporation, カタログ番号#C4040-10)中に形質転換した。次に正配向での挿入物に関してコロニーをスクリーニングし、メーカーの使用説明書に従って、標準キットを用いて、2 ML培養から「ミニプレップ」手法を用いて小DNA量を精製した。ここで従った標準分子生物学プロトコールに関しては、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 2001およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associated and Wiley Interscience, NY, 1989に記載された技法も参照されたい。「正」配向であるDNAは、その場合、立証された配列であった。
標準GATEWAYTMBP組換えをpDONR201(Invitrogen Corporation, カタログ番号#11798014. Gateway technology カタログ番号#11821014)中に実施して、組換え反応物を化学的コンピテントTOP10細胞(Invitrogen Corporation, カタログ番号#C4040-10)に形質転換し、選択培地上にプレート化した。一コロニーをミニプレップ中に摘み取って、DNAを得た(「エントリーベクター」)。
「エントリーベクター」DNAをpDEST8TM(Invitrogen Corporation, カタログ番号#11804010)とともに標準GATEWAYTMLR組換えに用いて、化学的コンピテントTOP10細胞(Invitrogen Corporation, カタログ番号#C4040-10)に形質転換し、選択培地上にプレート化した。一コロニーをミニプレップ中に摘み取って、DNAを得た(「デスティネーションベクター」)。
次に「デスティネーションベクター」をDH10BAC化学的コンピテント細胞(Invitrogen Corporation, カタログ番号#10361012)中に形質転換したが、これは、部位特異的転位を用いて、大腸菌中で増殖されたバクミド中に外来遺伝子を挿入する。次に形質転換物を選択培地上でプレート化した。1〜2コロニーをミニプレップ中に摘み取った。Nautilus Genomicミニプレップキット(Active Motif, カタログ番号#50050)を用いて、バクミドDNAを精製した。次にPCRによりバクミドを立証した。
以下の標準Bac to Bacプロトコール(Invitrogen Corporation, カタログ番号#10359-016)を用いて、バクミドをトランスフェクトし、SF9細胞中で発現させた。
0日目
1%ペニシリン/ストレプトマイシン(カタログ番号#15140122, Invitrogen Corporation)を含有するSf−900II SFM(カタログ番号#10902-104, Invitrogen Corporation)2 ml中に35 mmウエル(6ウエルプレート)当たり9×10E5細胞を植え付ける。
27℃で1時間、細胞を付着させる。
Falcon 2059ポリプロピレン12×75 mm試験管中に、以下の溶液を調製する。
1.SYKミニプレップバクミドDNA(Nautilus GenomicDNAミニキット、 カタログ番号#50050, Active Motif)5 μlを、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有しないSf−900II SFM100 μl中に希釈する。
2.CellFECTIN試薬(カタログ番号#10362-010, Invitrogen Corporation)6 μlを、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有しないSf−900II SFM100 μl中に希釈する。
2つの溶液を一緒に併合して、室温で30分間インキュベートする。
古い培地を吸引し、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有しないSf−900II SFMを付加することにより、細胞を1回洗浄する。
培地を除去し、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有しないSf−900II SFM0.8 mlを各ウエルに付加する。脂質/DNAをウエルに付加する。
27℃インキュベーター中で5時間インキュベートする。
培地を除去し、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するSf−900II SFM2 mlと取り換える。
27℃インキュベーター中に入れる。
3日目、P1〜P2
T75組織培養フラスコ中に、総容積14 mlのペニシリン/ストレプトマイシンを含有するSf−900II SFM中の6×10E6 SF9細胞を植え付ける。1時間付着させる。
5 mlピペットを用いて、感染性P1 SYKバキュロウイルス粒子を含有する上清を6つのウエルのトランスフェクト化ウエルから取り出して、T75フラスコ中に直接移す。
27℃インキュベーター中に入れる。
10日目、P2〜P3
10日目に、SYKバキュロウイルス上清を収穫し、培地を激しくピペッティングすることにより細胞をフラスコ壁から除去する。
培地および細胞を15 ml滅菌円錐管中にピペッティングして、室温で5分間、@2000 rpmで管を遠心分離する。上清を保存する(P2)。
ウエスタンブロットにより、タンパク質発現に関して細胞を分析した。
P3感染
2×10E6細胞/mlで、500 ml懸濁フラスコ中にSF21細胞を植え付ける。総容積100 ml。
P2発現からの感染性SYK上清(14 ml)を懸濁フラスコに付加する。
120〜130 rpmで振盪しながら、27℃でインキュベートする。
72時間、タンパク質を発現する。
細胞1 mlを収穫し、ウエスタンブロット処理して、発現を確定する。
室温で15分間、3000 rpmでの遠心分離によりP3上清を収穫する。
ウイルス上清を滅菌濾過する。
SYKスケールアップ
2リットル懸濁フラスコ中の細胞1リットル中に、2×10E6細胞/mlでSF21細胞6リットルを植え付ける。P3 SYKバキュロウイルス15 ml/リットルで細胞を感染させる。120〜130 rpmで振盪しながら、27℃でインキュベートする。
タンパク質を48時間発現させる。各リットルから細胞1 mlを収穫し、ウエスタンブロット処理して、発現を確定する。残りの細胞を遠心分離により収集し、ペレットを−80℃で保存する。
室温で解凍後、細胞をクラッキング緩衝液(50 mMトリス−HCl、pH8.0;200 mMアルギニン;150 mMNaCl;10%グリセロール;0.1%イゲパル630)中に溶解し、遠心分離して細胞破砕屑を除去する。ニッケルを投入したIMACカラム(Pharmacia, Uppsala, Sweden)上で可溶性分画を精製し、50 mMトリス、pH7.8、10 mMメチオニン、10%グリセロール中の400 mMイミダゾールの段階勾配を用いてネイティブ条件下で溶離した。次に、GF4緩衝液(10 mMHEPES、pH7.5、10 mMメチオニン、500 mMNaCl、5 mMDTTおよび10%グリセロール)で平衡させたスーパーデックス200分離用カラムを用いて、ゲル濾過により、SYKタンパク質を精製した。精製SYKキナーゼドメインを含有する分画をプールし、13.2 mg/mlに濃縮した。得られたタンパク質は、質量分光分析により判定した場合、純度>98%であった。精製タンパク質の質量分光分析は、それがリン酸化されていないことを示した。
実施例8:標的タンパク質の結晶化
当該技術分野で既知の種々の方法を用いて、本発明のネイティブおよび重原子誘導体結晶を生成し得る。方法としては、バッチ、液架橋、透析および蒸気拡散が挙げられるが、これらに限定されない(例えばMcPherson, Crystallization of Biological Macromolecules, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1998; McPherson, Eur. J. Biochem. 189: 1-23, 1990; Weber, Adv. Protein Chem. 41: 1-36, 1991; Methods in Enzymology 276: 13-22, 100-110; 131-143, Academic Press, San Diego, 1997参照)。
一般に、タンパク質を沈殿するために必要な濃度の直ぐ下の濃度で沈殿剤を含有する水性緩衝液中に実質的に純粋な標的タンパク質ポリペプチドを溶解することにより、自然結晶を成長させる。沈殿剤の例としては、ポリエチレングリコール、硫酸アンモニウム、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、グリセロール、イソプロパノール、硫酸リチウム、酢酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、エタノール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジオキサン、t−ブタノールおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。制御蒸発により水を除去して、沈殿条件を生成し、これを、結晶成長が終わるまで保持する。
一実施形態では、ハンギングドロップまたはシッティングドロップにおいて、蒸気拡散により自然結晶を成長させる(McPherson, Preparation and Analysis of Protein Crystals, John Wiley, New York, 1982; McPherson, Eur. J. Biochem. 189: 1-23, 1990)。一般に、約25 μLまで、好ましくは約5 μl、3 μl、2 μlまたは1 μlまでの実質的に純粋なポリペプチド溶液を、ある容積のレザバー溶液と混合する。その比率は、生物物理学的状態によって変わり得る;例えば滴中のタンパク質容積:レザバー溶液の比は1:1であり、結晶化に必要な濃度の約半分の沈殿剤濃度を生じる。滴およびレザバー容積は一定の生物物理学的条件内で変わり得るが、依然として結晶化を可能にする、と当業者は認識する。シッティングドロップ法において、ポリペプチド/沈殿剤溶液を閉鎖容器中で、結晶を生成するために最適な沈殿剤濃度を有するより多量の水性レザバーと平衡させる。ハンギングドロップ法では、レザバー溶液と混合されたポリペプチド溶液を、例えばカバーガラスの真下の小滴として懸濁し、これをレザバーの上部に密封する。両方法に関して、結晶が成長するまで、通常は例えば2〜6週間まで、密封容器を放置する。結晶が形成されたか否かを確定するために、滴を定期的に検査するのが好ましい。滴を見るための一方法は、例えば顕微鏡を用いることである。高処理量目的のための、滴を検査するための一方法としては、例えば米国実用特許出願10/042,929号(2001年10月18日提出、表題「Apparatus and Method for Identification of Crystals By In-situ X-Ray Diffraction」)に見出され得る方法が挙げられる。このような方法は、例えば結晶成長インキュベーター、結晶成長インキュベーターに隣接するX線源(この場合、X線源は結晶成長インキュベーター中で成長した結晶物質を照射するよう設計される)、およびインキュベーター中で成長した結晶物質からの回析X線の存在を検出するよう設計されたX線検出器を含む自動装置を用いることを包含する。さらに好ましい方法では、電荷結合ビデオカメラが検出器系に含まれる。
上記の結晶化条件は変わり得る、と当業者は認識する。このような変異は単独でまたは組合せて用い得るし、そして当業者に既知の種々の容積のタンパク質溶液およびレザバー溶液を含み得る。所望のpH範囲が保持され、そして緩衝液の化学組成が結晶形成と適合性である限り、その他の緩衝溶液、例えばトリス、イミダゾールまたはMOPS緩衝液を用い得る。
重金属原子の塩を含有する母液中に自然結晶を浸漬することにより、重原子誘導体結晶を生成し得るし、そして自然結晶に関して上記したように、SeMetおよび/またはSeCys突然変異体からも生成し得る。
突然変異体タンパク質は、突然変異の性質およびタンパク質中のその位置によって、野生型タンパク質とわずかに異なる結晶化条件下で、あるいは非常に異なる結晶化条件下で結晶化し得る。例えば非保存的突然変異は、突然変異体の親水性の変化を生じ、これが次に、突然変異体タンパク質を野生型タンパク質より高可溶性にまたは低可溶性にし得る。典型的には、タンパク質が突然変異の結果としてより親水性になる場合、それは水性溶液中では野生型タンパク質より可溶性であり、そしてそれを結晶化させるためにはより高い沈殿剤濃度が必要とされる。逆に、タンパク質が突然変異の結果として低親水性になる場合、それは水性溶液中で低可溶性であり、そしてそれを結晶化させるためにはより低い沈殿剤濃度が必要とされる。突然変異が結晶格子接触に関与するタンパク質の領域に生じる場合、結晶化条件はより予測不可能な方法で影響を及ぼされ得る。
実施例8.1:SYKキナーゼドメインの結晶化および構造決定
本発明の分子構造座標が得られるヒトHomo sapiensSYKの結晶に関しては、25℃で一晩(pH8.5)インキュベートした100 μLレザバー溶液を含有する密封容器中の10 mMHepes、pH7.5、10%グリセロール、150 mMNaCl、5 mMDTTおよび10 mMメチオニン中のSYKポリペプチド(13.2 mg/ml)1 μl;ならびにレザバー溶液1 μl:25%(v/v)PEG3350および100 mMトリス(pH8.5)を含有するシッティングドロップは、回析品質結晶を提供する、ということが判明している。トレーをセットする1時間前に、1 mMAMP−PNPおよび2 mMMgCl2をポリペプチドに付加した。
本明細書中に述べたものより約10%まで、25%、40%または50%より大きいかまたは低い一定の生物物理学的条件内で、滴およびレザバー容積を変更し、そして依然として結晶化を可能にし得る、と当業者は認識する。
実施例8.2:結晶回析データ収集
結晶をそれらのトレーから個別に収穫し、レザバー溶液+15%グリセロールから成る凍結保護物質に移した。約2分後、結晶を収集し、液体窒素中に映した。次に結晶を液体窒素中で、Advanced Photon Source(Argonne National Laboratory)に移した。
実施例8.3:構造決定
プログラムMOSFLM(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main.html)を用いて、X線回析データを索引に載せ、統合し、そして次にプログラムSCALA(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main.html)を用いて併合した。構造因子振幅への強度データのその後の変換を、プログラムTRUNCATE(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main.html)を用いて実行した。プログラムMOLREP(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main.html)を用いた検索モデルとして1 IEP.pdbを用いた分子置換により、初期モデルを得た。プログラムXTALVIEW/XFIT(McRee, D.E.J. Structural Biology, 125: 156-65, 1993;CCMS(San Diego Super Computer Center)CCMS-request@sdsc.edu.から利用可能)を用いて、初期タンパク質モデルをその結果生じるマップに構築した。プログラムREFMAC(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main.html)を用いて、このモデルを改良し、プログラムXTALVIEW/XFIT(McRee, D.E.J. Structural Biology, 125: 156-65, 1993;CCMS(San Diego Super Computer Center)CCMS-request@sdsc.edu.から利用可能)を用いて、対話式修復を実行した。PROCHECK(Laskowski et al., J. Appl. Cryst. 26, 283-91, 1993)およびWHATCHECK(Vreend, G., J. Mol. Graph 8: 52-56, 1990; Hooft, R.W.W. et al., Nature 381: 272, 1996)を用いて原子モデルの立体化学的品質をモニタリングし、そしてSFCHECK(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main.html)を用いてX線データを分析した。
Figure 2007521252
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実施例8.4:構造分析
MOE(Chemical Computing Group, Inc., Montreal, Quebec, Canadaから利用可能)を用いて、原子重ね合わせを実施した。残余溶媒によって、利用可能な表面計算を、GRASP(Nicholls et al., “Protein folding and association: insights from the interfacial and thermodynamic properties of hydrocarbons,” Proteins, 11: 281-96, 1991)を用いて実行した。1.4 Åのプローブ半径を用いて、静電表面を算定した。
実施例9:生物学的標的分子の結晶/化合物相互作用
当業者に既知の種々の方法により、標的タンパク質および本発明のコアフラグメントまたは化合物の複合体の結晶を生成し得る(例えばMcPherson, Crystallization of Biological Macromolecules, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1998; McPherson, Eur. J. Biochem. 189: 1-23, 1990; Weber, Adv. Protein Chem. 41: 1-36, 1991; Methods in Enzymology 276: 13-22, 100-110; 131-143, Academic Press, San Diego, 1997参照)。一例では、結晶化トレーをセットする前に、化合物または化合物の混合物の存在下で、標的タンパク質をインキュベートし得る。別の例では、標的タンパク質を含む結晶を、化合物または化合物の混合物を含む溶液中に浸漬し得る。この浸漬方法では、空のおよび利用可能な結合部位を有する標的タンパク質を有するのが望ましい。これは、例えばリガンドの非存在下で、タンパク質単独の結晶を生成することにより、あるいは例えば、化合物の存在下で結晶が浸漬される前または同時に、結合部位からその後染み出るリガンドの存在下で、タンパク質の結晶を生成することにより、得られる。結晶を溶解しないかあるいは有害立体配座変化を引き起こす溶媒、例えばDMSO中に、化合物または化合物の混合物を溶解し得る。生物学的標的タンパク質を、試験コアフラグメントまたは化合物と、単独でまたは群で、併合し得る。例えばタンパク質またはタンパク質結晶を、例えば米国特許第6,297,021号(Nienaber等)で考察されているように、試験コアフラグメントまたは試験コア化合物の混合物とともにインキュベートし得る。
実施例9.1:阻害剤化合物の存在下でのSYK結晶の浸漬
実施例7の場合と同様に、精製SYK KDタンパク質を得た。4℃で7日間インキュベートした100 mMHepes(pH7.0)および10%PEG 6K(v/v)を用いて結晶を生成した以外は、結晶化条件は、実施例8と同様であった。結晶を収穫し、データ収集前に、ジメチルスルホキシド中のスタウロスポリンの0.01 mg/ml溶液0.5 μlを付加後の母液50 μl中に、結晶を浸漬した。
結晶データを実施例8と同様に収集し、そして分子置換のための参照モデルとして実施例8モデルを用いたことを除いて、構造決定は本質的に実施例8と同様であった。
実施例10:結晶の特性化
6つの数値、即ち3つの独自の端の長さ、a、bおよびc、ならびに3つの独自の角度α、βおよびγにより、結晶の単位セルの寸法を限定する。結晶を含む単位セルの型は、上記のようなこれらの変数の値によっている。
結晶をX線ビームに曝露すると、結晶周囲に回析X線の領域が存在するよう、結晶中の分子の電子がビームを回析する。あたかもそれが結晶中の原子の等価の平行平面組からの反射である(ブラッグの法則)よう回析を処理することにより、回析ビームが結晶から出てくる角度を計算し得る。結晶格子中の最も明白な平面組は、単位セルの面と平行であるものである。これらのおよびその他の平面組を、格子点により描き得る。3つのインデックスhklにより、平面の各組を同定する。インデックスhは、単位セルの端aがhkl平面の組により切断される部分の数を示し、インデックスkは単位セルの端bがhkl平面の組により切断される部分の数を示し、そしてインデックスlは単位セルの端cがhkl平面の組により切断される部分の数を示す。したがって、例えば平面235は、各単位セルの端aを半分に切断し、各単位セルの端bを3分の1に切断し、そして各単位セルの端cを5分の1に切断する。単位セルの面bcと平行な平面は平面100であり;単位セルの面acと平行な平面は平面010であり;そして単位セルの面abと平行な平面は平面001である。
検出器を回析X線の経路に配置する場合、事実上、回析の球面への切断、一連のスポットまたは反射を、静止結晶(非回転)について記録して、「静止」回析パターンを生成し得る。各反射は、一組の平行平面から反射するX線の結果であり、そして単位セル中の分子の分布に関連する強度、ならびにそのスポットを生じるビームが反射された平行平面に対応するインデックスhklにより特性化される。結晶がX線ビームに垂直な軸の周囲を回転させられる場合、多数の反射が検出器に記録されて、回析パターンを生じる。
その回析パターンから、結晶の単位セル寸法および空間群を確定し得る。第一に、反射の間隔は、単位セルの端の長さに反比例する。したがって、X線ビームが単位セルの面に垂直である場合に回析パターンが記録されると、検出器のxおよびy方向の反射の間隔、結晶−検出器距離、ならびにX線の波長から、単位セル寸法のうちの2つを推定し得る。3つの単位セル寸法全てを得るためには、X線ビームが単位セルの別の面と垂直であるよう、結晶は回転されなければならない、と当業者は理解する。第二に、回析パターン上のスポットの線間の角度により、単位セルの角度を確定し得る。第三に、視覚的検査により明白であり得るある種の反射の非存在ならびに回析パターンのそれぞれの性質は、結晶の内部対称または空間群を示す。したがって、その単位セルおよび空間群により、ならびにその回析パターンにより、結晶を特性化し得る。
単位セルの寸法が一旦確定されれば、ポリペプチドのサイズ、平均タンパク質密度、ならびにタンパク質結晶の典型的溶媒含量(通常は単位セル容積の30〜70%の範囲である)から、非対称単位注のポリペプチドのありそうに思われる数を推定し得る(Matthews, J. Mol. Biol. 33 (2): 491-97, 1968)。
データの収集および構造解明の決定
回析パターンは、フーリエ変換による分子の三次元形状に関連する。解明の決定方法は、本質的に、結晶中の分子の三次元画像を生じるよう、回析X線の焦点を再び合わせることである。X線の再焦点合わせは、この時点でレンズを用いて実行し得ないため、それは数学的操作により実行される。
回析の球面は結晶の内部対称によっている対称性を有し、このことは、結晶の一定配向が同一組の反射を生じる、ということを意味する。したがって高対称性を有する結晶はより反復的な回析パターンを有し、そして回析の完全な表示を有するためには、記録される必要があるより少ない独自の反射が存在する。データ収集の目標であるデータセットは、できるだけ多くの反射に関する一組の一貫して測定された索引付きの強度である。独自の反射の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%が記録される場合、完全データセットが収集される。一実施形態では、完全データベースは、一結晶を用いて収集される。別の実施形態では、完全データベースは、同一型の1つより多い結晶を用いて収集される。
X線源としては、回転アノードX線発生器、例えばRigaku RU-200、ミクロ供給源またはミニ供給源、シールドビーム源、あるいはシンクロトロン光源でのビーム線、例えばArgonne National LaboratoryでのAdvanced Photon Sourceが挙げられるが、これらに限定されない。回転アノードX線発生器での使用に関しては、好ましい異常散乱体としては、I、Cl、SおよびBrが挙げられるが、これらに限定されない。シンクロトロン光源での使用に関しては、好ましい異常散乱体としては、Br、I、Cl、SおよびSeが挙げられるが、これらに限定されない。回析パターンを記録するための適切な検出器としては、X線感光フィルム、マルチワイヤエリア検出器、リンで被覆された画像プレート、およびCCDカメラが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、回析の結晶球面の異なる部分からの回析を記録するために、結晶それ自体がゴニオスタットと呼ばれる可動性円の自動システムにより移動されるよう、検出器およびX線ビームは静止したままである。
特に高溶媒含量を有する高分子結晶からのデータ収集における最大の問題の1つは、X線ビーム中の結晶の急速分解である。分解を遅らせるために、データはしばしば、液体窒素温度で結晶から収集される。液体窒素への初期曝露を結晶が生き残るために、凍結保護剤の使用により、結晶内の氷の形成が防止され得る。適切な凍結保護剤としては、低分子量ポリエチレングリコール、エチレングリコール、スクロース、グリセロール、キシリトールおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。液体窒素への曝露前に、1つまたは複数の凍結保護剤を含む溶液中に結晶を浸漬し得るし、あるいは1つまたは複数の凍結保護剤を結晶化溶液に付加し得る。液体窒素温度でのデータ収集は、一結晶からの全データセットの収集を可能にし得る。
データ収集は、当業者が承知しているように、種々の因子、例えば結晶中のコアフラグメントまたは化合物の種類、および特定のビームラインにより得る最適エネルギーレベルで実施され得る。各ビームラインは、研究者により個別に較正される。一例では、セクター31 IDビームライン(APS, Argonne, Illinois)を用いて、12,659.4+/-0.3電子ボルトの純粋セレノメチオニンの試料のピークまたは最大X線吸収に関する較正を得る。共有結合臭素を含むコアフラグメントまたは化合物を含む結晶に関しては、APSで、例えば13,476〜13,480電子ボルトの範囲の、例えば13,476電子ボルト、セレノメチオニンの最大吸収のエネルギーより816.6電子ボルト高いエネルギーを用い得る。臭素原子からのシグナルの何らかのdimunitionを伴って、より大きなX線エネルギーを用い得る。
データセットが一旦収集されれば、その情報を用いて、結晶中の分子の三次元構造を決定する。この相情報は、結晶中の分子の三次元構造を得るために回析パターンに関してフーリエ変換を実施するために、下記の方法により獲得し得る。分子の画像を生成することは、事実上、X線を再焦点合わせする相情報の確定である。
相情報の一獲得方法は、重原子誘導体結晶を用いる等晶形置換によるものである。この方法では、重原子誘導体結晶中の分子に結合された重原子の位置を確定し、そして次にこの情報を用いて、自然結晶の三次元構造を解明するために必要な相情報を得る(Blundell et al., Protein Crystallography, Academic Press, 1976)。
相情報を得るための別の方法は、新規の結晶の観察された回析パターンを最もよく説明するために、その構造座標が新規の結晶の単位セル内に既知であるポリペプチドを配向し、配置することにより、その構造座標が未知であるポリペプチドの新規の結晶に関して初期相を算定する方法である分子置換によるものである。次に相を配向され、配置されたポリペプチドから算定し、そして観察された振幅と組合せて、新規の結晶を含む分子の構造の近似的なフーリエ合成を提供する(Lattman, Methods in Enzymology 115: 55-77, 1985; Rossmann, “The Molecular Replacement Method,” Int. Sci. Rev. Ser. No. 13, Gordon & Breach, New York, 1972)。
相決定の第三の方法は、多波長異常回析またはMADである。この方法では、進入X線照射のエネルギーに近い吸収端を有する少なくとも1つの重原子を含有する単一結晶からいくつかの異なる波長でX線回析データを収集する。X線および電子軌道間の共鳴は、同定されるべき重原子の位置を可能にするX線散乱の差をもたらし、これが次にポリペプチドの結晶に関する相情報を提供する。MAD分析についての詳細な考察は、Hendrickson, Trans. Am. Crystallogr. Assoc., 21: 11, 1985; Hendrickson et al., EMBO J. 9: 1665, 1990;およびHendrickson, Science, 254: 51-58, 1991に見出され得る。
相情報を決定する第四の方法は、単一波長異常分散またはSADである。この技法では、単一自然または重原子誘導体結晶から単一波長でX線回析データを収集し、そして自然結晶中のイオウまたは塩素のような原子からの、あるいは重原子誘導体結晶中の重原子からの異常散乱情報を用いて、相情報を抽出する。この段階的技法に関するデータを収集するために用いられるX線の波長は、異常散乱体の吸収端近くでないことが必要である。SAD分析についての詳細な考察は、Brodersen, et al., Acta Cryst., D56: 431-41, 2000に見出され得る。
相情報を決定する第五の方法は、異常散乱を用いた単一等晶形置換またはSIRASである。SIRASは、等晶形置換と異常散乱技法を組合せて、ポリペプチドの結晶に関する相情報を提供する。通常は自然および単一重原子誘導体結晶の両方から、単一波長でX線回析データを収集する。単一重原子誘導体結晶中の重原子の位置からのみ得られる相情報は、相角度の不明確さをもたらし、これは、重原子からの異常散乱を用いて解明される。重原子の位置および重原子の異常散乱の両方から、相情報を抽出する。SIRAS分析についての詳細な考察は、North, Acta Cryst. 18: 212-16, 1965; Mattews, Acta Cryst. 20: 82-86, 1966; Methods in Enzymology 276: 530-37, 1997に見出され得る。
相情報が一旦得られれば、それを回析データと組合せて、単位セル中の分子を構成する原子を取り囲む電子雲の画像である電子密度マップを生成する。一緒により近くに存在する原子は解像可能であるため、データの解像度が高いほど、電子密度マップの特徴をより区別可能である。次に、ガイドとして全ての利用可能な情報、例えばポリペプチド配列、ならびに分子構造および立体化学の確立された原則を用いて、コンピューターの助けを借りて、高分子のモデルを電子密度マップに構築する。電子密度マップの解釈は、マップに精確に適合する化学的に理にかなった立体配座を見出す一工程である。
モデルを生成後に、構造を改良する。改良は、観察された強度値と算定強度値間の差(R因子により測定)であり、そしてモデル中の各非水素原子の位置、温度因子および占有率の一関数である関数φを最小化する方法である。これは通常は、実空間改良の交互サイクル、即ち電子密度マップおよびモデル構築の算定、ならびに相互空間改良、即ち元の強度データと各成功モデルから生成された強度データとの間の一致を改善するためのコンピューター的試みを包含する。改良は、関数φが最小値に収斂した場合に終了するが、この場合、モデルは電子密度マップに適合し、そして立体化学的および立体配座的に理にかなっている。改良の最終段階中に、指示溶媒分子を構造に付加する。
実施例11:分子置換を用いた構造決定
プログラムMOSFLM(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main)を用いて、X線回析データを索引に載せ、統合し、そして次にプログラムSCALA(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて併合した。構造因子振幅への強度データのその後の変換を、プログラムTRUNCATE(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて実行した。EPMR(Kissinger, et al., 1999, Rapid Automated Molecular Replacement by Evolutionary Search, Acta Crystallographica, D55, 484-491, 1999)を用いて、既知の構造からの分子置換モデルを標的タンパク質結晶の単位セル中に配置する。
プログラムREFMAC(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)およびCNX(Brunger et al. Acta Cryst. D53, 240-55, 2000; Molecular Simulations, Crystallography and NMR Explorer 2000.1)を用いて、このモデルを改良し、プログラムXTALVIEW/XFIT(McRee, D.E.J. Structural Biology, 125: 156-65, 1993;CCMS(San Diego Super Computer Center)CCMS-request@sdsc.edu.から利用可能)を用いて、対話式修復を実行した。PROCHECK(Laskowski et al., J. Appl. Cryst. 26, 283-91, 1993)およびWHATCHECK(Vreend, G., J. Mol. Graph 8: 52-56, 1990; Hooft, R.W.W. et al., Nature 381: 272, 1996)を用いて原子モデルの立体化学的品質をモニタリングし、そしてSFCHECK(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いてX線データとモデルとの一致を分析する。
この目的のために用いられ得る一方法は、分子置換である。この方法では、標的タンパク質構造座標からの相情報を用いて、未知の結晶構造、例えば本発明のコアフラグメントまたは化合物を含有する標的タンパク質複合体を確定し得る。この方法は、はじめから(ab initio)このような情報を確定することを試みるよりも迅速且つ効率的に新規の結晶中の未知のタンパク質に関する精確な三次元構造を提供し得る。したがって、本発明の開示に従ったその誘導時に、本発明のコアフラグメントまたは化合物との付加的相互作用のために、タンパク質の種々の結合部位内の修飾に関する考え得る部位を同定し得る。この情報は、最も効率的な結合相互作用、例えば標的タンパク質と化学物質分または化合物との間の疎水性相互作用増大を確定するための付加的ツールを提供する。
未知の結晶形態が既知の標的タンパク質結晶形態と同一の空間群および類似のセル寸法を有する場合には、既知の結晶形態由来の相を未知の結晶形態に直接適用し、次に未知の結晶形態に関する電子密度マップを算定し得る。次に差異電子密度マップを用いて、未知の結晶形態と既知の結晶形態との間の差異を検査し得る。差異電子密度マップは、例えば既知の結晶形態由来の一電子密度マップの、例えば未知の結晶形態由来の別の電子密度マップからの減法である。したがって2つの電子密度マップの全ての類似特徴を減法で排除すると、2つの構造間の差異のみが残留する。例えば未知の結晶形態が標的タンパク質複合体のものである場合には、このマップと自然非複合結晶由来のマップとの間の差異電子密度マップは、理想的には、リガンドの電子密度のみを示す。同様に、アミノ酸側鎖が2つの結晶形態で異なる立体配座を有する場合には、それらの差異は、差異電子密度マップ中のピーク(正の電子密度)および谷(負の電子密度)により強調され、2つの結晶形態間の差異を検出し易くする。しかしながら2つの結晶形態の空間群および/またはセル寸法が異なる場合には、このアプローチは働かず、そして未知の結晶形態に関する相を得るために、分子置換を用いなければならない。
上記の複合体の全てを、周知のX線回析技法を用いて試験し得るし、そして改良が当業者に許容される限界に、例えばR=0.2、Rfree=0.25(これに限定されない)に収斂するまで、約500Å〜少なくとも3.0Åに及ぶ、好ましくは1.5Åのデータに対して改良し得る。これは、X−PLOR、CNXまたはREFMAC(CCP4;Collaborative Computational Project, Number 4, ”The CCP4 Suite: Programs for Protein Crystallography,” Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994の一部)のようなコンピューターソフトウエアを用いて確定し得る。例えばBlundell et al., Protein Crystallography, Academic Press; Methods in Enzymology, Vols. 114 & 115, 1976; Wyckoff et al., eds., Academic Press; Methods in Enzymology, Vols. 276 & 277 (Carter & Sweet, eds., Academic Press 1997); “Application of Maximum Likelihood Refinement” G. Murshudov, A. Vagin and E. Dodson, (1996) in the Refinement of Protein Structures, Proceedings of Daresbury Study Weekend; G.N. Mrushudov, A.A. Vaginand E.J. Dodson, Acta Cryst. D53, 240-55, 1997; G.N. Murshudov, A. Lebedev, A.A. Vagin, K.S. Wilson and E.J. Dodson, Acta Cryst. Section D55, 247-55, 1999を参照されたい。例えばBlundell et al., Protein Crystallography, Academic Press; Methods in Enzymology, Vols. 114 & 115, 1976; Wyckoff et al., eds., Academic Press; Methods in Enzymology, Vols. 276 & 277 , 1985(Carter & Sweet, eds., Academic Press 1997);を参照されたい。したがってこの情報を用いて、本発明のコアフラグメントおよび化合物を結合する標的タンパク質を最適化し、そしてさらに重要なことには、付加的コアフラグメントおよび化合物を設計し、合成し得る。
実施例12:タンパク質−リガンド複合体のX線構造分析
プログラムMOSFLM(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて、X線回析データを索引に載せ、統合し、そして次にプログラムSCALA(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて併合する。構造因子振幅への強度データのその後の変換を、プログラムTRUNCATE(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて実行する。上記の方法のうちの1つにより以前に確定されたタンパク質の座標を用いて、そしてプログラムSFALLおよびFFT(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて、電子密度マップを算定する。異常散乱体を含有するリガンドに関しては、プログラムSFALLおよびFFT(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いて、異常差異マップを算定する。
リガンド、例えば本発明のコアフラグメントまたは化合物をマップ中に構築し、そしてプログラムXTALVIEW/XFIT(McRee, D.E.J. Structural Biology, 125: 156-65, 1993;CCMS(San Diego Super Computer Center)CCMS-request@sdsc.edu.から利用可能)を用いて、タンパク質モデルへの対する調整を行なった。プログラムREFMAC(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994; www.ccp4.ac.uk/main)またはCNX(Brunger et al. Acta Cryst. D53, 240-55, 2000; Molecular Simulations, Crystallography and NMR Explorer 2000.1)を用いて、タンパク質−リガンド複合体のこのモデルを改良し、プログラムXTALVIEW/XFIT(McRee, D.E.J. Structural Biology, 125: 156-65, 1993;CCMS(San Diego Super Computer Center)CCMS-request@sdsc.edu.から利用可能)を用いて、対話式修復を実行した。PROCHECK(Laskowski et al., J. Appl. Cryst. 26, 283-91, 1993)およびWHATCHECK(Vreend, G., J. Mol. Graph 8: 52-56, 1990; Hooft, R.W.W. et al., Nature 381: 272, 1996)を用いて原子モデルの立体化学的品質をモニタリングし、そしてSFCHECK(Collaborative Computational Project, Number 4, Acta. Cryst. D50, 760-63, 1994)を用いてX線データとモデルとの一致を分析する。
実施例13:処方物および投与
本発明の化合物またはコアフラグメントを含む製剤組成物が本発明により提供される。それらは、例えばプロテインキナーゼ活性を変調するための、ヒトシグナル伝達キナーゼ活性により媒介される状態、例えば癌および神経変性障害、ならびに異所性細胞骨格再編成、ニューロン細胞分化および細胞周期進行に関連した疾患の治療のための、例えば抗微生物剤として、抗ウイルス剤として有用である標的タンパク質モジュレーター、例えば阻害剤であり得る。本発明の薬学的調製物は、化合物の同位体誘導体、例えば19F、11Oおよび12Cを用いたPET試験においても有用である。
化合物およびコアフラグメントは典型的にはヒト患者のための治療に用いられるが、一方、それらは、類似のまたは同一の疾患を治療するために獣医学においても用いられ得るし、そして農業的使用のための作用物質として、例えば除草剤、殺真菌剤または殺虫剤としても用いられ得る。標的タンパク質作用剤を含有する製剤組成物も、標的タンパク質の相同体の活性を修飾するために用い得る。本発明の化合物は、幾何学的および光学的異性体を包含する。
治療的および/または診断的用途において、種々の投与方式のために、例えば全身および局所または局在投与のために、本発明の化合物およびコアフラグメントを処方し得る。技法および処方物は一般に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.) Lippincott, Williams & Wilkins (2000)に見出され得る。
本発明の化合物は、広範な投薬量範囲に亘って有効である。例えば成人の治療においては、0.01〜1000 mg、好ましくは0.5〜100 mg、さらに好ましくは1〜50 mg/日、さらに好ましくは5〜40 mg/日の投薬量を用い得る。最も好ましい投薬量は、10〜30 mg/日である。的確な投薬量は、投与経路、化合物が投与される形態、治療されるべき被験者、治療されるべき被験者の体重、ならびに担当医の選択および経験によっている。
化合物およびコアフラグメントの製薬上許容可能な塩は一般に当業者に周知であり、例としては、例えば酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシラート、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カルンシラート、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシラート、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ムケート、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、サブアセテート、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩またはテオクラートが挙げられるが、これらに限定されない。その他の製薬上許容可能な塩は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.) Lippincott, Williams & Wilkins (2000)に見出され得る。製薬上許容可能な塩としては、例えば酢酸塩、安息香酸塩、臭化物、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、ナプシル酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩または酒石酸塩が挙げられる。
治療されている特定の状態によって、作用物質(単数または複数)としての化合物およびコアフラグメントを、液体または固体剤形に処方し、全身的にまたは局所的に投与し得る。作用物質は、当業者に既知であるように、例えば時限性または持続性低放出形態で送達し得る。処方および投与に関する技法は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.) Lippincott, Williams & Wilkins (2000)に見出され得る。適切な経路としては、経口、頬、舌下、直腸、経皮、膣、経粘膜、鼻または腸投与;非経口送達、例えば筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに鞘内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻内または眼内注射が挙げられ得る。
注射用に、本発明の作用物質は、水溶液中に、例えば生理学的適合性緩衝液中に、例えばハンクス溶液、リンガー溶液または生理学的食塩緩衝液中に処方し得る。このような経粘膜投与のためには、透過されるべきバリアに適した浸透剤を処方物中に用いる。このような浸透剤は一般に、当該技術分野で既知である。前進投与に適した投薬量中に本発明の実施のために本明細書中に開示された化合物を処方するための製薬上許容可能な担体の使用は、本発明の範囲内である。担体および適切な製造実施の適正な選択により、本発明の組成物、特に溶液として処方されたものを、非経口的に、例えば静脈内注射により投与し得る。経口投与に適した投薬量中に当該技術分野で周知の製薬上許容可能な担体を用いて、化合物を容易に処方し得る。このような担体は、治療されるべき患者による経口摂取のための錠剤、ピル、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として、本発明の化合物を処方させ得る。
本発明に用いるための製剤組成物としては、活性作用物質(単数または複数)がその意図された目的を達成するのに有効な量で含有される組成物が挙げられる。有効量の決定は、特に本明細書中に提示された詳細な開示にかんがみて、十分に当業者の能力内である。
活性作用物質(単数または複数)のほかに、これらの製剤組成物は、制約的に用いられ得る調製物への活性化合物の加工処理を促す賦形剤および助剤を含む適切な製薬上許容可能な担体を含有し得る。経口投与のために処方される調製物は、錠剤、糖衣錠、カプセルまたは溶液の形態であり得る。
経口使用のための製剤調製物は、活性作用物質(単数または複数)を固体賦形剤と組合せ、任意にその結果生じた混合物を磨砕し、そして所望により、適切な助剤を付加後に、顆粒の混合物を加工処理して、錠剤または糖衣錠コアを生成することにより得られる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP:ポビドン)である。所望により、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸、あるいはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを付加し得る。
適切なコーティングを用いて、糖衣錠コアを提供する。この目的のために、濃縮糖溶液を用い得るが、これは任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール(PEG)および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。同定のため、あるいは活性化合物用量の異なる組合せを特性化するために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに付加し得る。
経口的に用い得る製剤調製物は、ゼラチン製の滑り嵌め式カプセル、ならびにゼラチン製の軟質密封カプセル、そして可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールを包含する。滑り嵌め式カプセルは、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、そして任意に安定剤と混合して、活性作用物質(単数または複数)を含入し得る。軟質カプセルでは、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール(PEG)中に、活性化合物を溶解または懸濁し得る。さらに、安定剤を付加し得る。
本発明は、本発明の単一態様の例証として意図される例示実施形態による範囲に限定されない。実際、本発明は、上記の説明および添付の図面に基づいて、さらなる修正が可能である、と理解される。本出願は、本発明が関連する当該技術分野内で既知のまたは通例の実施内に成るので、そして本明細書中に前記された本質的特徴に当てはめ得るので、概して、本発明の原則に従って、そして本発明の開示からのこのような逸脱を含めて、本発明の任意の変異、用途または適合を網羅するよう意図される。本出願全体を通して引用された参考文献は当業者の水準の実例であり、前に特定的に援用されたか否かにかかわらず、それらの記載内容は参照により本明細書中で援用される。
図1は、線状化合物ライブラリーの設計の一例を示す。 図2は、誘導体化合物ライブラリーを生成するためのハンドルの使用方法を表す。 図3は、線状化合物ライブラリー中の適切なハンドルを決定するのを補佐するためにコンピューター化学を用い、そしてin vitroアッセイを組入れて、SARを決定することを包含する本発明の初期スクリーニング方法を表す。 図4は、線状ライブラリーから選択された化合物から開発された組合せライブラリーを用いて初期SARを開発して、より活性な化合物を得る事をさらに包含する本発明の最適化方法を表す。 図5は、図4の組合せライブラリーの設計の一例を示す。 図6は、中心コア/ハンドル組合せを選択することによる線状ライブラリーのコンピューター処理設計方法を表す。 図7は、本発明の方法の態様を用いたキナーゼ阻害剤の設計の一例を表す。 図8は、本発明の一段階および二段階合成方法に用いられ得る合成方法の例の一覧を提示する。合成方法は、例えばMarch’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th Edition (Michael B. Smith and Jerry March, Wiley Interscience 2001, ISBN 0-471-58589-0に見出され得る(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)。

Claims (164)

  1. 複数のコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーであって、前記コアフラグメントが、次式:
    Figure 2007521252
    (式中、Zは、異常分散し得るハンドルであり;
    Qは、中心コアであり;
    Qは、各化合物上で同一であるかまたは異なり得るし;
    Rは、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
    R’は、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
    nは、整数0であるかまたはそれより大きく;
    mは、整数0であるかまたはそれより大きく;
    (m+n)は、Q上の利用可能な結合の数より大きくなり得ない)
    を有するコアフラグメントライブラリー。
  2. n=0である、請求項1記載のライブラリー。
  3. (m+n)が4未満である、請求項1記載のライブラリー。
  4. n=1である、請求項1記載のライブラリー。
  5. Zが独立してBr、R”Br、S、SR”、Se、SeR’、Clからなる群から選択され;そしてR”が独立してHまたは官能基である、請求項1記載のライブラリー。
  6. R’が表1のハンドルからなる群から選択される、請求項1記載のライブラリー。
  7. ZがBrを含む表1のハンドルからなる群から選択される、請求項1記載のライブラリー。
  8. R”が表1のハンドルからなる群から選択される、請求項5記載のライブラリー。
  9. R”がBrを含まない表1のハンドルからなる群から選択される、請求項5記載のライブラリー。
  10. ZがBrまたはR”Brである、請求項5記載のライブラリー。
  11. 生物学的標的分子および請求項1記載のライブラリーの複数のコアフラグメントを含む混合物。
  12. 生物学的標的分子および請求項1記載のライブラリーを含む混合物。
  13. 複数の化合物を含む化合物ライブラリーであって、前記化合物が次式:
    Figure 2007521252
    (式中、Zは、異常分散し得るハンドルであり;
    Qは、中心コアであり、そして核化合物に関して、Qは同一であり;
    Rは、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
    R’は、各々独立して、Hまたはハンドルであり;
    nは、整数0であるかまたはそれより大きく;mは、整数0であるかまたはそれより大きく;そして
    (m+n)は、Q上の利用可能な結合の数より大きくなり得ないが;
    但し、ライブラリー中の化合物の大多数に関して、同一R基はQ上の同一位置にあり;
    ライブラリー中の化合物の大多数に関して、R’はQ上の同一位置にあり;そして
    ライブラリー中の化合物の大多数に関して、nは各々同一である)
    を有する化合物ライブラリー。
  14. n=0である、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  15. 101未満の化合物を含む、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  16. 61未満の化合物を含む、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  17. 41未満の化合物を含む、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  18. 21未満の化合物を含む、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  19. R’がライブラリー中の化合物の95%に関してQ上の同一位置にある、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  20. R’がライブラリー中の化合物の90%に関してQ上の同一位置にある、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  21. 化合物の95%に関して、各化合物はR’のみで各々の他の化合物と異なる、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  22. 化合物の90%に関して、各化合物はR’のみで各々の他の化合物と異なる、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  23. n=1であり、そして化合物の95%に関して、各化合物はR’のみで各々の他の化合物と異なる、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  24. n=1であり、そして化合物の90%に関して、各化合物はR’のみで各々の他の化合物と異なる、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  25. nが整数1またはそれ以上であり、そしてZが独立してBr、R”Br、S、SR”、Se、SeR’、Clからなる群から選択され;そしてR”が各々独立してHまたは官能基である、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  26. R’が表1のハンドルからなる群から選択される、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  27. ZがBrを含む表1のハンドルからなる群から選択される、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  28. R”が表1のハンドルからなる群から選択される、請求項25記載の化合物ライブラリー。
  29. R”は、Brを含まない表1のハンドルからなる群から選択される、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  30. ZがBrまたはR”Brである、請求項25記載の化合物ライブラリー。
  31. R’がコンピューター処理方法を用いて選択される、請求項13記載の化合物ライブラリー。
  32. R’が生物学的標的分子に対する生物学的活性を改良するよう選択されていた、請求項31記載のライブラリー。
  33. R’がスクリーニング工程後に選択されていた請求項13記載のライブラリーであって、前記スクリーニング工程が生物学的標的分子との会合においてコアフラグメントの構造を生成することを包含するライブラリー。
  34. 前記構造がX線結晶構造解析を用いて得られる、請求項32記載のライブラリー。
  35. R’が前記コアフラグメント上の一次ハンドルを修飾することにより合成される、請求項32記載のライブラリー。
  36. 生物学的標的分子および請求項13記載のライブラリーの化合物を含む混合物。
  37. 請求項35記載の混合物の製造方法であって、以下の:
    a.請求項13記載のライブラリーを生成し、そして
    b.前記ライブラリーの化合物および生物学的標的分子の混合物を調製する
    ことを包含する方法。
  38. 1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのプロセッサー実行可能命令であって、前記命令が、コンピューター出力装置を介して、請求項1または13のいずれか一項に記載のコアフラグメントライブラリーの表示および/または操作を生じる命令。
  39. 複数のコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーであって、前記コアフラグメントの各々が以下の:
    a.2つまたはそれ以上のハンドル;ならびに
    b.17未満の非水素原子
    を含むライブラリー。
  40. 前記コアフラグメントの各々が300ダルトンまたはそれ未満の分子量を有する、請求項39記載のライブラリー。
  41. 前記コアフラグメントの各々が少なくとも単一または縮合環系を含む、請求項39記載のライブラリー。
  42. 少なくとも1つの前記コアフラグメントが少なくとも1つの単一または縮合環系を含む、請求項39記載のライブラリー。
  43. 前記コアフラグメントの各々が少なくとも1つの異種原子を中心コア中に含む、請求項39記載のライブラリー。
  44. 前記コアフラグメントの少なくとも1つが少なくとも1つの異種原子を中心コア中に含む、請求項39記載のライブラリー。
  45. 前記コアフラグメントの各々が少なくとも1つの異種原子を少なくとも1つの環上に含む、請求項40記載のライブラリー。
  46. 前記コアフラグメントの少なくとも1つが少なくとも1つの異種原子を少なくとも1つの環上に含む、請求項39記載のライブラリー。
  47. 少なくとも10のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  48. 少なくとも50のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  49. 少なくとも100のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  50. 少なくとも500のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  51. 少なくとも750のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  52. 少なくとも1,000のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  53. 少なくとも2500のコアフラグメントを含む、請求項39記載のライブラリー。
  54. コアフラグメントの少なくとも40%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項39記載のライブラリー。
  55. コアフラグメントの少なくとも50%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項39記載のライブラリー。
  56. コアフラグメントの少なくとも75%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項39記載のライブラリー。
  57. 異常分散特性を有する前記置換基がBrである、請求項54記載のライブラリー。
  58. コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の水素結合受容体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  59. コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の水素結合受容体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  60. コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の水素結合受容体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  61. コアフラグメントの少なくとも95%が4未満の水素結合受容体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  62. コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の水素結合供与体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  63. コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の水素結合供与体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  64. コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の水素結合供与体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  65. コアフラグメントの少なくとも95%が4未満の水素結合供与体を有する、請求項39記載のライブラリー。
  66. コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の算定LogP値を有する、請求項39記載のライブラリー。
  67. コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の算定LogP値を有する、請求項39記載のライブラリー。
  68. コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の算定LogP値を有する、請求項39記載のライブラリー。
  69. a.コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の水素結合供与体を有し;
    b.コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の水素結合受容体を有し;そして
    c.コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の算定LogP値を有する、
    請求項39記載のライブラリー。
  70. a.コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の水素結合供与体を有し;
    b.コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の水素結合受容体を有し;そして
    c.コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の算定LogP値を有する
    、請求項39記載のライブラリー。
  71. a.コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の水素結合供与体を有し;
    b.コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の水素結合受容体を有し;そして
    c.コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の算定LogP値を有する
    、請求項39記載のライブラリー。
  72. コアフラグメントの少なくとも50%が300未満の分子量を有する、請求項39記載のライブラリー。
  73. コアフラグメントの少なくとも75%が300未満の分子量を有する、請求項39記載のライブラリー。
  74. コアフラグメントの少なくとも90%が300未満の分子量を有する、請求項39記載のライブラリー。
  75. コアフラグメントの少なくとも50%が300未満の分子量を有する、請求項69記載のライブラリー。
  76. コアフラグメントの少なくとも75%が300未満の分子量を有する、請求項69記載のライブラリー。
  77. コアフラグメントの少なくとも90%が300未満の分子量を有する、請求項69記載のライブラリー。
  78. 1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのプロセッサー実行可能命令であって、前記命令が、コンピューター出力装置を介して、請求項39記載のコアフラグメントライブラリーの表示および/または操作を生じる命令。
  79. 複数のコアフラグメントを含むコアフラグメントライブラリーであって、
    a.前記コアフラグメントの各々が2またはそれ以上のハンドルを含み;
    b.コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の水素結合供与体を有し;
    c.コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の水素結合受容体を有し;そして
    d.コアフラグメントの少なくとも50%が4未満の算定LogP値を有する
    ライブラリー。
  80. a.コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の水素結合供与体を有し;
    b.コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の水素結合受容体を有し;そして
    c.コアフラグメントの少なくとも75%が4未満の算定LogP値を有する
    、請求項79記載のコアフラグメントライブラリー。
  81. a.コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の水素結合供与体を有し;
    b.コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の水素結合受容体を有し;そして
    c.コアフラグメントの少なくとも90%が4未満の算定LogP値を有する
    、請求項79記載のコアフラグメントライブラリー。
  82. 少なくとも10のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  83. 少なくとも50のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  84. 少なくとも100のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  85. 少なくとも500のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  86. 少なくとも750のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  87. 少なくとも1,000のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  88. 少なくとも2500のコアフラグメントを含む、請求項79記載のライブラリー。
  89. コアフラグメントの少なくとも40%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項79記載のライブラリー。
  90. コアフラグメントの少なくとも50%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項79記載のライブラリー。
  91. コアフラグメントの少なくとも75%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項79記載のライブラリー。
  92. 異常分散特性を有する前記置換基がBrである、請求項89記載のライブラリー。
  93. コアフラグメントの少なくとも50%が300未満の分子量を有する、請求項79記載のライブラリー。
  94. コアフラグメントの少なくとも75%が300未満の分子量を有する、請求項79記載のライブラリー。
  95. コアフラグメントの少なくとも90%が300未満の分子量を有する、請求項79記載のライブラリー。
  96. 1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのプロセッサー実行可能命令であって、前記命令が、コンピューター出力装置を介して、請求項79記載のコアフラグメントライブラリーの表示および/または操作を生じる命令。
  97. 複数の化合物を含む線状化合物ライブラリーであって、各化合物が、以下の:
    a.同一中心コア;
    b.n個のハンドルであって、前記ハンドルが各化合物上の同一位置に結合されるハンドル;そして
    c.前記ライブラリーの別の化合物上の誘導置換基とは異なる少なくとも1つの誘導置換基
    を含み、前記誘導置換基が1つのハンドルに由来し、そしてn+1が整数であり、そして中心コア上の利用可能な結合の数未満またはその数と等しいライブラリー。
  98. 前記化合物上の前記誘導置換基がコンピューター的方法を用いて選択された、請求項97記載のライブラリー。
  99. 前記化合物上の前記誘導置換基が生物学的標的分子に対する生物学的活性を改善するために選択された、請求項98記載のライブラリー。
  100. 前記誘導置換基がスクリーニング工程後に選択されており;前記スクリーニング工程が生物学的標的分子との会合においてコアフラグメントの構造を生成することを包含する、請求項97記載のライブラリー。
  101. 前記構造がX線結晶構造分析を用いて得られる、請求項100記載のライブラリー。
  102. 誘導置換基の各々が前記コアフラグメント上のハンドルを修飾することにより合成される、請求項100記載のライブラリー。
  103. 前記化合物の少なくとも40%が異常分散特性を有する置換基を含む少なくとも1つのハンドルを含む、請求項97記載のライブラリー。
  104. 前記化合物の少なくとも50%が異常分散特性を有する置換基を含む少なくとも1つのハンドルを含む、請求項97記載のライブラリー。
  105. 前記化合物の少なくとも60%が異常分散特性を有する置換基を含む少なくとも1つのハンドルを含む、請求項97記載のライブラリー。
  106. 前記化合物の少なくとも75%が異常分散特性を有する置換基を含む少なくとも1つのハンドルを含む、請求項97記載のライブラリー。
  107. 前記一次ハンドルが異常分散特性を有する置換基を含む、請求項102記載のライブラリー。
  108. 異常分散特性を有する前記置換基がBrである、請求項107記載のライブラリー。
  109. 化合物の50%またはそれ以上が300ダルトン未満の分子量を有し;あるいは
    化合物の50%またはそれ以上が5未満の異種原子を含むコアフラグメントを含む
    、請求項97記載のライブラリー。
  110. 化合物の50%またはそれ以上が300ダルトン未満の分子量を有し;そして
    化合物の50%またはそれ以上が5未満の異種原子を含む
    、請求項109記載のライブラリー。
  111. 1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのプロセッサー実行可能命令であって、コンピューター出力装置を介して、請求項97記載のライブラリーの表示および/または操作を生じる命令。
  112. 請求項97記載の2またはそれ以上の化合物ライブラリーを含む化合物ライブラリー。
  113. 1つまたは複数のコンピューター読取り保存装置でのプロセッサー実行可能命令であって、前記命令が、コンピューター出力装置を介して、請求項112記載のライブラリーの表示および/または操作を生じる命令。
  114. 請求項1、13、39、79、97または112のいずれか一項に記載のライブラリー、ならびに生物学的標的分子を含む分析のための構造の組合せであって、前記構造が前記ライブラリーの成員、前記標的分子およびそれらの組合せを含む構造の組合せ。
  115. 請求項1、13、39、79、97または112のいずれか一項に記載のライブラリーの成員、ならびに生物学的標的分子を含む分析のための構造の組合せであって、前記構造が前記ライブラリー成員、前記標的分子およびそれらの組合せを含む構造の組合せ。
  116. 前記ライブラリーの少なくとも1成員が前記標的分子の基質結合ポケットの一部と結合する、請求項114記載の組合せ。
  117. 前記ライブラリーの成員が前記標的分子の基質結合ポケットの一部と結合する、請求項115記載の組合せ。
  118. ライブラリー成員対標的分子の濃度比が1,000 mol/molの比率である、請求項114記載の組合せ。
  119. 請求項1、39または79記載のライブラリーから選択される複数のコアフラグメント、ならびに生物学的標的分子を含むX線結晶構造解析による分析のための混合物。
  120. 前記生物学的標的分子がタンパク質である、請求項119記載の混合物。
  121. 前記生物学的標的分子が核酸である、請求項119記載の混合物。
  122. 前記生物学的標的分子が結晶である、請求項119記載の混合物。
  123. 生物学的標的分子に対する活性を有するリード候補の設計方法であって、以下の:
    a.請求項1、39または79のいずれか一項に記載のライブラリーを生成し、
    b.前記生物学的標識分子に会合する前記ライブラリーの少なくとも2つの成員の構造を確定し、そして
    c.少なくとも1つのリード候補を設計するために構造からの情報を選択する
    ことを包含する方法。
  124. 前記生物学的標的分子に会合する前記リード候補の構造を確定する過程をさらに包含する、請求項123記載の方法。
  125. 化合物の少なくとも1つの二次ライブラリーを設計する過程をさらに包含する請求項123記載の方法であって、
    a.前記二次ライブラリーの各化合物が中心コアおよび2つまたはそれ以上のハンドルを含み、そして
    b.前記二次ライブラリーの各化合物が少なくとも1つの誘導置換基により前記二次ライブラリーの各々の他の化合物と異なる
    方法。
  126. 前記中心コアおよび前記リード候補の中心コアが同一である請求項125記載の方法。
  127. 以下の:
    a.前記二次ライブラリーを生成し、そして
    b.前記生物学的標的分子に会合する前記二次ライブラリーの少なくとも2つの化合物の構造を確定する
    過程をさらに包含する、請求項125記載の方法。
  128. 前記生物学的標的分子がタンパク質である、請求項123記載の方法。
  129. 前記生物学的標的分子が核酸である、請求項123記載の方法。
  130. 前記生物学的標的分子と少なくとも1つの前記コアフラグメントとの複数の混合物を調製することを包含する、請求項123記載の方法。
  131. 前記生物学的標的分子と複数の前記コアフラグメントとの混合物を調製することを包含する、請求項123記載の方法。
  132. 前記生物学的分子が結晶である、請求項128記載の方法。
  133. 前記結晶生物学的標的分子が複数の前記コアフラグメントの存在下で浸漬される、請求項132記載の方法。
  134. 前記生物学的標的分子に対する前記少なくとも2つのコアフラグメントの生物学的活性を検定する過程をさらに包含する、請求項123記載の方法。
  135. 前記検定が生化学的活性アッセイである、請求項123記載の方法。
  136. 前記アッセイが生物物理学的アッセイである、請求項123記載の方法。
  137. 前記アッセイが結合アッセイである、請求項123記載の方法。
  138. 前記生物学的活性アッセイが前記構造を得る前に実行される、請求項137記載の方法。
  139. 前記生物学的活性アッセイが前記構造を得た後に実行される、請求項137記載の方法。
  140. 生物学的活性アッセイで検定されたコアフラグメントのサブセットが構造決定過程のために選択される、請求項138記載の方法。
  141. 構造がX線結晶構造解析を含む方法を用いて確定される、請求項123記載の方法。
  142. コンピューター計算法を用いて前記少なくとも2つのコアフラグメントと前記生物学的標識分子との結合を分析する過程をさらに包含する、請求項123記載の方法。
  143. 少なくとも1つの二次ライブラリーを設計するために前記構造についての情報を選択する過程をさらに包含する請求項123記載の方法であって、前記二次ライブラリーが前記コアフラグメントライブラリーの少なくとも1つのコアフラグメントから得られ、そして前記コアフラグメント上の少なくとも1つのハンドルにおける修飾を有する化合物を含む方法。
  144. 前記二次ライブラリーが線状ライブラリーである、請求項144記載の方法。
  145. 前記二次ライブラリーが請求項13、97または112記載のライブラリーである、請求項143記載の方法。
  146. 前記生物学的標的分子に対する前記化合物のうちの前記少なくとも2つの生物学的活性を検定する過程をさらに含む、請求項143記載の方法。
  147. 生物学的標的分子に対する活性を有するリード候補の設計方法であって、以下の:
    a.請求項11または12のいずれか一項に記載の混合物を生成し、
    b.前記生物学的標的分子に会合する前記混合物の少なくとも1つのコアフラグメントの構造を確定し、
    c.少なくとも1つのリード候補を設計するための構造物から情報を選択する
    ことを包含する方法。
  148. 二次生物学的標的分子に対する活性を有する候補化合物の設計方法であって、以下の:
    a.請求項123記載の方法によりリード候補を生成し、
    b.前記リード化合物と二次生物学的標的分子との相互作用を確定し、
    c.前記二次ライブラリーの各化合物が前記リード候補中に見出される中心コアおよび前記中心コア上のハンドルの少なくとも1つにおける修飾を含む化合物の少なくとも1つの二次ライブラリーを設計する
    ことを包含する方法。
  149. 薬剤発見のためのコアフラグメントライブラリーの設計方法であって、合成的に許容可能なまたは市販のコアフラグメントの一覧をスクリーニングするかまたは再検討し、そして前記ライブラリーに関するコアフラグメントを選択することを包含する方法であって、前記コアフラグメントの各々が以下の:
    a.2またはそれ以上のハンドル、ならびに
    b.17未満の非水素原子
    を含む方法。
  150. コアフラグメントの各々が少なくとも1つの単一または縮合環系を含む、請求項149記載のライブラリー。
  151. 前記コアフラグメントの各々が中心コア中に少なくとも1つの異種原子を含む、請求項149記載のライブラリー。
  152. 前記コアフラグメントが少なくとも1つの環系上に少なくとも1つの異種原子を含む、請求項150記載のライブラリー。
  153. コアフラグメントの少なくとも40%が異常分散特性を有する置換基を含むハンドルを含む、請求項149記載の方法。
  154. 異常分散特性を含む前記置換基がBrである、請求項153記載の方法。
  155. ライブラリー設計のための基礎コアフラグメントとして用いるためのコアフラグメントに関するスクリーニング方法であって、以下の:
    a)請求項1、39または79のいずれか一項記載のライブラリーを生成し、
    b)生物学的標的分子に対する結合活性を有する成員に関して前記ライブラリーをスクリーニングし、そして
    c)ライブラリー設計のための基礎コアフラグメントとして用いるために結合活性を有する成員(単数または複数)のコアフラグメントを選択する
    ことを包含する方法。
  156. 生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性を有するリード候補の同定方法であって、以下の:
    a.異常分散特性を有する一次ハンドルを含む化合物に結合された前記生物学的標的分子の構造を得て、
    b.前記化合物上の前記ハンドルを機能性炭素、窒素、酸素またはイオウ原子を含む二次置換基で置換する過程を包含してリード候補分子を合成し、
    c.前記生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性に関して前記リード候補分子を検定する
    ことを包含する方法。
  157. 前記二次置換基が機能性炭素または窒素原子を含む、請求項156記載の方法。
  158. 生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性を有するリード候補の設計方法であって、以下の:
    a.生物学的標的分子を少なくとも2つの化合物を含む混合物と組合せ(ここで、前記化合物のうちの少なくとも1つは異常分散特性を有する置換基を含む)、
    b.前記生物学的標的分子に結合される化合物を同定し、
    c.前記異常分散置換基を機能性炭素、窒素、酸素またはイオウ原子を含む置換基で置換する過程を包含してリード候補分子を合成し、
    d.前記生物学的標的分子に対する生物物理学的または生化学的活性に関して前記リード候補分子を検定する
    ことを包含する方法。
  159. 前記置換基が機能性炭素または窒素原子を含む、請求項158記載の方法。
  160. 過程bの前記化合物の前記同定が前記置換基の異常分散特性を用いる、請求項158記載の方法。
  161. 請求項123、156または158のいずれか一項に記載の方法により得られるリード候補。
  162. 請求項149記載の方法により得られるライブラリー。
  163. 請求項155記載の方法により選択されるコアフラグメントを含むライブラリー。
  164. 請求項148記載の方法により得られる候補化合物。
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