JP2007516984A - 治療用物質およびそのための用途 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般に、対象における免疫寛容の状態を増強またはそうでない場合は維持する治療用物質および方法に関する。本発明は、自己免疫性糖尿病などのこれらに限定されない自己免疫性疾患を防止または少なくとも発症を遅延させるための物質および方法をさらに提供する。さらに、本発明の物質および方法は、癌細胞または病原性生物およびウイルスに対するワクチン投与計画の有効性の向上、ならびにこのような実体に対する免疫応答の全般的強化において有用である。本発明は、病原性物質に誘発される自己免疫状態の防止をさらに可能とする。
Description
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、対象における免疫寛容の状態を強化またはそうでない場合は維持する治療用物質および方法に関する。本発明は、自己免疫性糖尿病などのこれらに限定されない自己免疫性疾患を防止または少なくとも発症を遅延させるための物質および方法をさらに提供する。さらに、本発明の物質および方法は、癌細胞または病原性の生物およびウイルスに対する、ならびにこのような存在に対する免疫応答を全般的に増強するためのワクチン投与計画の有効性の向上において有用である。本発明は、病原性物質に誘発される自己免疫状態の防止をさらに可能とする。
発明の分野
本発明は、一般に、対象における免疫寛容の状態を強化またはそうでない場合は維持する治療用物質および方法に関する。本発明は、自己免疫性糖尿病などのこれらに限定されない自己免疫性疾患を防止または少なくとも発症を遅延させるための物質および方法をさらに提供する。さらに、本発明の物質および方法は、癌細胞または病原性の生物およびウイルスに対する、ならびにこのような存在に対する免疫応答を全般的に増強するためのワクチン投与計画の有効性の向上において有用である。本発明は、病原性物質に誘発される自己免疫状態の防止をさらに可能とする。
先行技術の説明
本明細書における参考文献の書誌一覧も本明細書の末尾に列記する。
本明細書における参考文献の書誌一覧も本明細書の末尾に列記する。
本明細書における任意の先行技術の参考文献は、その先行技術がいずれかの国において広く一般的な知識の一部を構成することについての承認または何らかの形式の示唆ではなく、またそのように見なされるべきではない。
免疫防御系は、侵入する微生物に対する効果的な応答と生体の自らの組織に対する自己免疫の回避の間で微妙なバランスを示す。通常は自己免疫を防止または制限する多くの調節制御系があるが、これらは時に機能不全を起こす。これらの制御系には、自己反応性細胞が抹消免疫系に侵入する前に胸腺内においてこれらを排除する「中枢寛容性」が含まれる。これは、自己反応性細胞の排除または活性化、および自己免疫応答を減弱または防止する「調節T細胞」の産生を伴う複数の末梢制御メカニズムによって補強される。
樹状細胞(DC)は、Tリンパ球による免疫応答を開始するために必要な抗原提示細胞の系である。免疫応答の開始に加えて、DCは免疫の調節において重要な役割を担うことが明らかとなっている(Steinman et al Ann N Y Acad Sci., 987: 15-25, 2003, Shortman and Liu, Nat Rev Immunol, 2: 153-163, 2002, Belz et al Immunol Cell Biol., 80: 463-468, 2002, Matzinger, Annu Rev Immunol., 12: 991-1045, 1994)。胸腺のDCは、自己反応性T細胞の発現の排除において重要な役割を担う。末梢では、DCは得られる免疫応答のタイプ(例えば、Th1対Th2)を決定することができる。より最近の証拠では、末梢リンパ系臓器のDCは自己免疫寛容の維持において重要な役割を担い得ることが示されている。現在の一般的見解によると、休止または未成熟状態のDCは自己抗原を提示して反応性T細胞において免疫寛容を誘発するとされている。しかし、同じDCが様々な「危険」シグナル(微生物生成物または炎症性サイトカイン)によって活性化されると、それらはT細胞性免疫応答を誘発する。しかしながら、自己反応性T細胞が十分に排除または抑制されない場合、および続いて活性化されたDCがこれらの自己反応性T細胞に対して自己抗原を提示する場合、自己免疫が生じ得る。
DCは異種性であり、マウスリンパ系臓器には約5つの異なるDCタイプがある(Shortman and Liu, Nat Rev Immunol., 2: 153-163, 2002, Vremec et al J Immunol 164: 2978-2986, 2000, Henri et al J Immunol 167: 741-748, 2001)。さらに、I型インターフェロンを産生する「形質細胞様」細胞を含めて、DC内への発現能を持つ一群の細胞を単離することができる(O'Keeffe et al J Exp Med., 196: 1307-1319, 2002)。これらのDCサブタイプのすべてがヒトにおいて同定されている訳ではないが、同様の異種性が存在する可能性が高い(Shortman and Liu, Nat Rev Immunol., 2: 153-163, 2002)。マウスの場合、高いCD8α+発現を特徴とするDCサブセットは、その非活性化状態において自己寛容性の維持に特に関与する可能性がある。CD8α+ DCは胸腺における主たるDCサブタイプであり、胸腺においてそれらは自己反応性T細胞の発現の排除をほぼ司っている。CD8α+ DCは、培養試験(Suss and Shortman, J Exp Med., 183: 1789-1796, 1996, Kronin et al J Immunol 157: 3819-3827, 1996)および無傷マウス(Belz et al J Immunol 168: 6066-6070, 2002)において多くの調節作用を示す。従って、未成熟DCが免疫寛容を維持して活性化DCが免疫応答を誘発するという一般的状況に加えて、一部のDCサブセットは自己寛容性の維持および自己免疫性疾患の防止において特殊な役割を担い得る。
DCは、効果の面では強力ではあるが、珍しい細胞であり、リンパ系臓器の細胞の2・3パーセントを占めるのみである。リンパ系臓器における大半のDCは寿命が比較的短いが(Kamath et al J Immunol 165: 6762-6770, 2000)、形質細胞様のプレDCはもっとゆっくりとした代謝回転を示す(O'Keeffe et al J Exp Med 196: 1307-1319, 2002)。これらの数は、骨髄前駆細胞からの継続的な分化によって維持される。
DC値を調節する物質を特定して、DC、より具体的には異なるDCタイプの変動値に基づく治療プロトコールを開発する必要がある。
発明の概要
文脈からそうでないことが要求される場合を除いて、本明細書を通して「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」という語尾変化は、記載される要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群を含んで、その他の何らかの要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群を排除しないことを意味することが理解される。
文脈からそうでないことが要求される場合を除いて、本明細書を通して「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」という語尾変化は、記載される要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群を含んで、その他の何らかの要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群を排除しないことを意味することが理解される。
本発明は、一部の物質がDCまたはそれらの特定の集団の値を選択的に増強できるかどうかの判断に一部基づく。DC値の増加、または少なくとも特定の値の維持は、免疫学的寛容状態の促進(DCが休止状態の場合など)または免疫を強化するための活性化DCの増加に役立つ。特に、Flt-3リガンド(Flt-3L)と呼ばれfms様チロシンキナーゼ-3としても知られるチロシンキナーゼレセプターFlt-3のリガンド、またはFlk-2(胎児肝キナーゼ-2)は、形質細胞様DCおよびCD8+ DCまたはヒトなどの非免疫動物におけるそれらの同等物などであるがこれらに限定されないDCの特定のサブタイプを選択的に増加させることができる。これらのDCのサブタイプの選択的増加は、対象における免疫寛容状態の維持を促進する。さらに、活性化されたDCの増加は免疫応答の強化に役立つ。後者は、病原性物質に対する応答の促進の点で重要である。これは、病原性物質に誘発される自己免疫状態の治療に有用である。
従って、本発明は、Flt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物、または自己免疫性病理学の発生率の抑制および免疫寛容原性ワクチンの有効性の向上に有用なFlt-3Lのアゴニスト/Flt-3Lレセプターアゴニストなどの物質を提供する。
本発明の物質および方法は、自己免疫性疾患の防止または少なくとも発症の遅延、ならびに癌およびウイルスを含む病理学的物質に対する免疫応答の増強を可能とする。
従って、本発明は、対象における自己免疫性疾患の発症を防止するための方法であって、DCまたは一つもしくは複数のそれらのサブタイプの値を選択的に増加させる物質の有効量を該対象に投与する段階を含む方法を提供する。
より具体的には、本発明は、対象における1型糖尿病(自己免疫性糖尿病)などであるがこれらに限定されない自己免疫性疾患の発症を防止するための方法であって、Flt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの有効量を、寛容性発生性DCまたは休止状態のDCの量を増加させ得る期間および条件下において該対象に投与する段階を含む方法を意図する。
本発明のもう一つの態様において、対象における寛容原性の程度の調節、Flt-3Lもしくは誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの寛容原性状態を増強または維持する有効量を該対象に投与する段階を含む方法を意図する。
本発明は、癌細胞または病原性生物およびウイルスに対する免疫応答の増強をさらに意図する。本発明のこの局面は、病原性物質によって惹起される自己免疫性疾患の治療を可能とする。非限定的な一つの例は、ウイルス誘発性の自己免疫性糖尿病である。
免疫系の一般的増強は、ヒトなどのマウス以外の動物における形質細胞様DCおよびCD8+ DCまたはそれらの同等物を含む群などから活性化DCの値を増加させることによって達成される。
好ましい態様の詳細な説明
本明細書で用いられる用語は、治療および本発明の特定の態様の説明を目的とするのみであり、限定的であることを意図するものではない。
本明細書で用いられる用語は、治療および本発明の特定の態様の説明を目的とするのみであり、限定的であることを意図するものではない。
本発明は、一般的に予防の方法およびそのための有用な物質に関する。特に、本発明は、少なくともDC、特に一部のDCサブタイプおよび具体的には形質細胞様DCもしくはCD8+ DCまたはヒトにおけるようなマウス以外のそれらの同等物の値を選択的に増加させる物質の投与によって自己免疫性の状態、異常または疾患の発症を防止するための方法を意図する。この局面は、自己免疫状態を惹起する病原性物質を攻撃することによって、癌細胞もしくは病原性物質に対する免疫応答を増強または自己免疫状態を治療するための方法に及ぶ。このような状態の一つの例は、ウイルスに惹起される糖尿病である。「CD8+ DC」という記載には、マウス、ヒトおよびマウス以外のCD8+ DCの同等物が含まれる。特に好ましい態様において、この物質はFlt-3Lもしくは誘導体、同族体、化学的類似物、模倣物質、化学機能的同等物および/またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストである。
従って、本発明の一つの局面は、対象における自己免疫性疾患の発症を防止するための方法であって、DCまたは一つもしくは複数のそれらのサブタイプの値を選択的に増加させる物質の有効量を該対象に投与する段階を含む方法を提供する。
より具体的には、本発明は、対象における自己免疫性疾患の発症を防止するための方法であって、Flt-3Lもしくは誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質またはそのFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの有効量を、免疫寛容原性DC、または休止状態のDCもしくは活性化DCの量を増加させ得る期間および条件下において該対象に投与する段階を含む方法を意図する。
Flt-3Lまたはその同族体は、それを投与される種と同一の種由来(即ち、同種Flt-3L)であり得て、または異なる動物種(異種Flt-3L)であり得る。Flt-3L(またはその同族体)は、ヒト、ヒト以外の霊長類、家畜動物、実験動物、伴侶動物、捕獲野生動物および鳥類由来であることが意図される。これらのタイプの動物の例は以下においてさらに既定される。
好ましくは、DCサブタイプは、Flt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの投与後に対象において選択的に増加する、形質細胞様DCもしくはCD8+ DC、またはヒトなどのマウス以外の種におけるそれらの同等物である。
本発明は、寛容原性状態の増強、ワクチン接種計画の有効性の向上、および/または免疫寛容性と免疫の間の免疫応答性の調節に及ぶ。これらの状態は、対象における寛容性の「調節」または寛容原生状態の維持もしくは増強という用語に含まれる。
従って、本発明のもう一つの局面は、対象における寛容原性の状態の維持を含む対象における寛容原性の程度を調節する方法であって、Flt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの寛容原性状態を増強または維持する有効量を該対象に投与する段階を含む方法を意図する。
本発明のこの局面は、活性化DCを増加させることによって免疫応答を増強するための方法に及ぶ。さらなる態様において、本発明は、病原対に対する免疫応答を増強してこれを根絶または実質的に低下させることによって病原性物質に引き起こされる自己免疫性疾患の発症の防止に及ぶ。
一般に、投与はDCまたはそれらのサブタイプの値が上昇するまで行われる。好ましくは、DCサブタイプは形質細胞様DCもしくはCD8+ DCまたはマウス以外(例えば、ヒト)の同等物から選択される。
本発明は、一般に、1型糖尿病および病原性物質(例えば、ウイルス)に誘発される糖尿病などであるがこれらに限定されない自己免疫性疾患の発症を予防するために応用することができる。この発症は早期に発症する可能性もあれば、遅発性に発症する可能性もある。好都合なことに、この治療は、自己免疫性疾患に対して遺伝的な素因を持つ対象、またはレニン-アンギオテンシン系の異常のために、アテローム性動脈硬化症、心臓疾患、肥満および/または感染に至るような一部の自己免疫性疾患を起こし易い対象に適している。
本明細書において用いられるように、「一つ(a)」「一つ(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数を含む。従って、例えば、「物質」という記載は単独の物質、および2つまたはそれよりも多い物質を含み、「Flt-3L」という記載は単独のFlt-3Lおよび2つまたはそれよりも多いFlt-3L様の物質を含む等々である。
従って、本発明は、Flt-3Lまたはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、Flt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストを単独またはToll様レセプターリガンド、寛容原性ワクチン、および/または一つもしくは複数のその他のサイトカインなどのその他の分子と組み合わせた投与に及ぶ。
Flt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの単独、またはToll様レセプターリガンド、寛容原性ワクチン、および/または一つもしくは複数のその他のサイトカインなどのその他の分子と組み合わせた投与が好ましいが、本発明はFlt-3LもしくはFlt-3L様分子の値を増加させるため、またはFlt-3LもしくはFlt-3L様分子の産生を阻害する遺伝的系の発現をダウンレギュレートするための遺伝的方法に及ぶ。遺伝的方法には、センスおよびアンチセンスデオキシリボヌクレオチドまたはリボデオキシリボヌクレオチド、干渉RNA、RNAi、短鎖干渉RNAおよびリボザイムが含まれる。
「対象」という用語は、とりわけ、対象がヒトまたは鳥類を含むヒト以外の動物であるかどうかに関わらず、個体、患者、標的、宿主またはレシピエントを含む。従って、「対象」という用語は、ヒト、ヒト以外の霊長類(例えば、ゴリラ、マーモセット、アフリカミドリザル)、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ)、実験動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、捕獲性野生動物(例えば、キツネ、シカ、狩猟動物)、および家禽(例えば、ニワトリ、アヒル、カモ、七面鳥)を含む鳥類を含む。
しかし、好ましい対象はヒトである。但し、本発明が銅物モデルに及ぶ限り、対象はマウス、ラット、ブタ、ヒツジ、ヒト以外の霊長類またはその他のヒト以外の動物である可能性がある。
「物質」は、治療用分子、予防用分子、化合物、活性物または活性成分として記載され得る。「物質」、「治療用分子」、「予防用分子」、「化合物」、「活性物」および「活性成分」という用語は、Flt-3Lもしくは誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストを含む。さらに、この物質、治療用分子、予防用分子、化合物、活性物または活性成分は、Flt-3L、ならびに1つまたは複数の誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、Flt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストおよび/またはToll様レセプターリガンドのようなもう一つのサイトカインなどの1種類の分子または複数(例えば、2つまたはそれよりも多く)の種類の分子であってもよい。さらなる態様において、Flt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストは、サイトカインもしくはToll様レセプターリガンドまたはその他のDC活性物質などのもう一つの分子に融合されてもよい。「融合」とは、2つもしくはそれよりも多くの分子間の化学結合の形成、または複合体もしくは凝集物のような一つの会合物を意味する。
多くの物質が投与される場合、これらは同時または連続的に提供される可能性がある。連続的とは、ナノ秒、秒、分、時、日もしくは週、またはその他の時間間隔を意味する。「同時に」は、融合分子の投与を含む。
投与される治療用化合物の量は、「有効量」として記載される。
物質の「有効量」という用語は、適切または十分な条件および量において投与された際に所望の治療的または生理学的効果を示すための物質の十分な量を意味する。従って、物質の「有効量」は、形質細胞様DCもしくはCD8+ DCなどのサブタイプ、またはそれらのマウス以外(例えば、ヒト)の同等物のDC値を増加させるためのその物質の十分な量を含む。単回または多くの用量が投与され得る。時に、所望の治療効果と共に、例えば、副作用などの望ましくない影響が発現する;従って、医師は適切な「有効量」の決定に際しては潜在的恩典を潜在的リスクに対して比較検討する。必要とされる正確な量は、対象の種、齢期および一般状態、投与モードなどに依存して、対象毎に異なるであろう。従って、正確な「有効量」を明記することは不可能であろう。しかし、当業者は、ごく定型的な実験を用いて、任意の個々のケースにおける適切な「有効」量を求めることができる。「医師」という用語には、ヒトを対象とする医師、獣医師、または医学分野の科学者が含まれる。
有効量は、1分、1時間、1日、1週間、または1カ月当たりのng/kg体重からg/kg体重で求められ得る。
本発明の物質は化学的またはタンパク性分子であり得る。
変異型、一部、誘導体、同族体、類似体または模倣物質という用語は、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を含むタンパク性分子に関して一様に、DCまたはそのサブタイプの値を増加させるためにFlt-3レセプターと相互作用するFlt-3Lまたはその同族体の別の型を含むことを意味する。
変異型は、一つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失または付加を含む、Flt-3Lまたはその同族体の自然発生性または人工的に作成される変異型であり得る。変異型は、突然変異もしくはその他の化学的方法によって惹起されることもあれば、または遺伝子組み換えもしくは合成的に作出されることもある。アラニンスキャニングは、重要なアミノ酸を識別するための有用な手法である(Wells, Methods Enzymol., 202: 2699-2705, 1991)。この手法では、アミノ酸残基がAlaによって置き換えられて、そのペプチドの活性に対する影響が調べられる。ポリペプチドの重要な領域を判定するために、ペプチドのそれぞれのアミノ酸残基がこの方法で分析される。変異型は、Flt-3Lレセプターへの結合能、および被リン酸化能、寿命、結合親和性、解離率、膜通過能、またはDCもしくはそのサブタイプの値の増加能などのその他の性状に関して検討される。
本物質の一部は、完全長のFlt-3LのFlt-3Lレセプター結合部分を含む。この一部は、少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個、より好ましくは少なくとも30個の連続したアミノ酸であり、これが必要な活性を示す。このタイプのペプチドは、標準的な組み換え核酸技術の応用を通して得ることもできれば、簡便な液相または固相合成技術を用いて合成することもできる。例えば、Nicholson編、Blackwell Scientific Publications刊行の「合成ワクチン」という表題の刊行物に含まれるAthertonおよびShephardによる第9章「ペプチド合成」に記載されるような液体合成または固相合成を参照とすることができる。または、ペプチドは、本発明のアミノ酸配列をendoLys-C、endoArg-C、endoGlu-Cおよびブドウ球菌(staphylococcus)V8プロテアーゼなどのプロテイナーゼで消化することによって産生することができる。消化された断片は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)技術によって精製することができる。このような任意の断片は、その作成方法に関わらず、本明細書において用いられる「誘導体」という用語によって内包されると理解されるべきである。
従って、誘導体(derivatives)または単数の誘導体(derivative)は、一部、変異型、同族体、断片、類似体、ならびにハイブリッドまたは融合分子および糖化変異体を含む。誘導体は、さらに、至適アラインメント後の比較ウィンドウを上回るアミノ酸配列同一性パーセントを示す分子を含む。好ましくは、特定の配列と参照配列の間の類似性パーセントが、少なくとも約60%であり、もしくは少なくとも約70%であり、もしくは少なくとも約80%であり、もしくは少なくとも約90%であり、または少なくとも約95%もしくは少なくとも約96%、97%、98%、99%などのそれよりも高い値である。好ましくは、本物質の種間、機能的同族体間または構造的同族体間の類似性パーセントは、少なくとも約60%であり、または少なくとも約70%であり、もしくは少なくとも約80%であり、もしくは少なくとも約90%であり、または少なくとも約95%もしくは少なくとも約96%、97%、98%、99%などのそれよりも高い値である。60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%などの、60%から100%の類似性または同一性パーセントも意図される。
本明細書で意図される類似物は、側鎖の修飾、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質合成中の非天然型アミノ酸および/またはそれらの誘導体の取り込み、ならびに架橋剤の使用およびタンパク性分子またはそれらの類似体に高次構造上の制限を課すその他の方法を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、この用語は、例えば、糖化、アセチル化、リン酸化などのポリペプチドの修飾を除外するものではない。例えば、アミノ酸(例えば、表1に示すような非天然のアミノ酸を含む)の一つまたは複数の類似体を含むポリペプチドまたは置換された結合を含むポリペプチドは、この定義に含まれる。このようなポリペプチドは、細胞内に侵入可能でなければならない場合がある。
本発明で意図される側鎖の修飾の例には、アルデヒドとの反応およびその後のNaBH4を用いた還元による還元的アルキル化のようなアミノ基の修飾;メチルアセチミデートを用いたアミジネート化;無水酢酸を用いたアシル化;シアン酸塩を用いたアミノ基のカルバモイル化;2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いたアミノ基のトリニトロベンゼン化;無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸を用いたアミノ基のアシル化;ならびにピリドキサル-5-ホスフェートを用いたリジンのピリドキシル化およびその後のNaBH4を用いた還元が含まれる。
アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサールおよびグリオキサールなどの試薬を用いた複素環式凝縮産物の形成によって修飾され得る。
カルボキシル基は、O-アシルイソ尿素形成を介したカルボジイミド活性化およびこれに続く、例えば対応するアミドへのその後の誘導体形成によって修飾され得る。
サルフヒドリル基は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドを用いたカルボキシメチル化;過ギ酸のシステイン酸への酸化;その他のチオール化合物を用いた混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸またはその他の置換型マレイミドとの反応;4-クロロ水銀安息香酸、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノールおよびその他の水銀を用いた水銀誘導体の形成;アルカリpHでのシアン酸塩を用いたカルバモイル化などの方法によって修飾され得る。
トリプトファン残基は、例えば、N-ブロモスクシニミドを用いた酸化、または2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルブロミドまたはスルフィニルハロゲン化物を用いたインドール環のアルキル化によって修飾され得る。反対側のチロシン残基は、3-ニトロチロシン誘導体を形成するためのテトラニトロメタンを用いたニトロ化によって変更され得る。
ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾は、ヨード酢酸誘導体を用いたアルキル化またはジエチルピロカルボネートを用いたN-カルベトキシル化によって行われ得る。
ペプチド合成における非天然アミノ酸および誘導体の組み入れの例には、ノルロイシン、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、t-ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルペンタン酸、2-チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD-イソ型の使用が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書において意図される非天然アミノ酸のリストを表1に示す。
架橋剤は、例えば、n=1からn=6の(CH2)nスペーサー基を持つ二機能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシサクシンイミドエステルなどのホモ二機能性架橋剤、ならびに通常、N-ヒドロキシサクシンイミドなどのアミノ反応性分子およびマレイミドまたはジチオ分子(SH)もしくはカルボジイミド(COOH)などのもう一つの基特異的反応性分子を含むヘテロ二機能性試薬を用いて、3D立体配座を安定化させるために用いることができる。さらに、ペプチドは、例えば、CαおよびNα-メチルアミノ酸の組み入れ、アミノ酸のCαおよびCβ原子の間に二重結合の導入、ならびにN末端およびC末端間、2本の側鎖間、および側鎖とN末端またはC末端の間のアミド結合の形成などの共有結合を導入することによる環式ペプチドまたは類似体の形成によって、立体配座的に拘束することができる。
模倣物質はもう一つの有用な化合物群である。この用語は、それが模倣する分子、特にFlt-3Lまたはその同族体とある程度の化学的類似性を持つが、Flt-3Lレセプターとの相互作用はアンタゴナイズまたはアゴナイズ(模倣)する物質について記載することを意図する。ペプチド模倣物質は、タンパク質二次構造のエレメントを模倣するペプチド含有分子であり得る(Johnson et al Peptide Turn Mimetics in Biotechnology and Pharmacy, Pezzuto et al Eds., Chapman and Hall, New York, 1993)。ペプチド模倣物質使用の背景にある基礎となる根拠は、タンパク質のペプチド骨格は主として、抗体と抗原、酵素と基質または足場タンパク質などの分子相互作用を促進するようにアミノ酸側鎖を配置するように存在するということである。ペプチド模倣物質は、天然分子と同様の分子相互作用を可能とするように設計される。Flt-3Lのペプチド性または非ペプチド性模倣物質は、DCまたはそのサブタイプの値を増加させる物質として有用であり得る。
薬学的に活性な化合物の模倣物質の設計は、「リード」化合物に基づく医薬品開発への公知のアプローチである。これは、その活性化合物が合成するには困難であるもしくはコストがかかる場合、または、例えば、消化管内でプロテアーゼによって速やかに消化される傾向があることからペプチドは経口用組成物に関しては不適切な活性物質であるなど、活性化合物が特定の投与方法にとって不適切である場合に、望ましい可能性がある。模倣物質の設計、合成および試験は、一般に、標的とする特性について多くの分子を手当たり次第にスクリーニングすることを避けるために用いられる。
標的とする所与の特性を持つ化合物からの模倣物質の設計には、一般に複数の段階が取り入れられる。第一に、標的とする特性の決定において重大および/または重要な、化合物の特定の一部が決定される。ペプチドの場合、これは、例えば各残基を順番に置換するなど、ペプチドのアミノ酸残基を体系的に変化させることによって実施することができる。ペプチドのアラニンスキャンは、このようなペプチドモチーフを洗練するために広く用いられる。化合物の活性領域を構築するこれらの一部または残基は、その「ファルマコフォア」として公知である。
一旦、ファルマコフォアが見つかると、例えば、分光学的技術、x線回折データおよびNMRなどの様々な情報源からのデータを用いて、例えば、立体化学、結合、サイズ、および/または電荷などの物理的特性に従ってその構造がモデル化される。このモデリングの過程では、コンピュータ解析、類似性マッピング(原子間の結合ではなくファルマコフォアの電荷および/または体積をモデル化する)およびその他の技術を用いることができる。
このアプローチの変異型として、リガンドおよびその結合パートナーの三次元構造がモデル化される。これは、リガンドおよび/または結合パートナーが結合時に立体配座を変化させる場合に特に有用であり得て、このモデルは模倣物質の設計においてこの点を考慮に入れることができる。モデル化は、線形配列または三次元立体配座と相互作用する阻害剤を作成するために利用することができる。
続いて、ファルマコフォアを模倣する化学官能官能基を移植することができる鋳型分子を選択する。この鋳型分子およびそれに移植される化学官能基は、模倣物質が合成し易いように簡便に選択することができて、薬学的に許容される可能性が高く、またインビボでは分解されないがリード化合物の生物活性は保持される。または、模倣物質がペプチドに基づく場合は、ペプチドを環化することによってさらなる安定性が達成され得て、その硬性が向上する。続いて、このアプローチによって見出された模倣物質(mimetic)または模倣物質(mimetics)をスクリーニングして、それらが標的とする特性を持つかどうか、またはそれはどの程度であるかを見極めることができる。次いで、インビボまたは臨床試験のための一つまたは複数の最終的模倣物質を得るために、さらなる至適化または修飾を行うことができる。
合理的な薬剤設計の目的は、例えば、ポリペプチドのより活性もしくはより安定な型である薬剤、または、例えばインビボにおいてポリペプチドの機能を促進または干渉する薬剤を作成するために、生物学的に活性な関心対象のポリペプチドまたはそれらが相互作用する小分子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤または促進剤)の構造類似体を産生することである。例えば、Hodgson(Bio/Technology 9: 19-21, 1991)を参照されたい。一つのアプローチにおいて、先ず、x線回折、コンピュータモデリング、または最も典型的にはアプローチの組み合わせによって関心対象のタンパク質の三次元構造を決定する。ポリペプチドの構造に関する有用な情報は、同種タンパク質の構造に基づくモデリングによっても得られる可能性がある。合理的薬剤設計の一例は、HIVプロテアーゼ阻害剤の開発である(Erickson et al Science 249: 527-533, 1990)。
薬剤スクリーニングの一つの方法は、好ましくは競合結合アッセイにおいて、組換え型ポリヌクレオチドを用いて安定的に形質転換されてポリペプチドまたは断片を発現する真核または原核宿主細胞を利用する。このような細胞は、可変型または固定型のいずれも、標準的な結合アッセイにおいて使用することができる。例えば、標的もしくは断片と試験対象である物質の間の複合体形成を測定することができて、または標的もしくは断片と公知のリガンドの間の複合体形成が試験対象の物質によって促進または干渉される程度を調べることができる。
スクリーニング操作には、(i)薬剤と標的の間の複合体の存在、または(ii)標的をコードする核酸分子の発現量の変化についてのアッセイが含まれる。アッセイの一つの型は、競合結合アッセイを伴う。このような競合結合アッセイでは、標的は一般に標識される。遊離している標的は任意の推定複合体から分離し、遊離(即ち、複合体形成していない)標識の量は試験対象である物質の標的分子への結合の指標である。遊離型ではなく結合型の標的の量を測定することもできる。標的ではなく化合物を標識すること、および試験対象である薬剤の存在下および非存在下において標的に結合する化合物の量を測定することも可能である。
薬剤スクリーニングのもう一つの手法は標的に対する適切な結合親和性を持つ化合物に関する高処理スクリーニングを提供し、これについてはGeysen(International Patent Publication No. WO 84/03564)に詳細に記載されている。簡潔に記載すると、多くの異なる小さなペプチド試験化合物は、プラスチックピンまたは何らかのその他の表面などの固体基質上に合成される。ペプチド試験化合物を標的と反応させて、洗う。続いて、結合型標的分子は、当技術分野において周知の方法によって検出される。この方法は、非ペプチドの化学的実体に関するスクリーニングに適応され得る。従って、この局面は、標的のアンタゴニストまたはアゴニストをスクリーニングするための組み合わせアプローチに及ぶ。
精製された標的は、前記の薬物スクリーニング技術における使用のために、プレートに直接コーティングすることができる。但し、標的の固相への固定化には、標的に対する非中和抗体を使用してもよい。または、標的は、結合および識別を促進するために簡便に選択されたタグを持つ融合タンパク質として発現させることもできる。
従って、本発明はDCの値、および/またはFlt-3Lもしくはその同族体を模倣またはFlt-3Lのレセプターとの相互作用をアゴナイズする寛容原性状態を調節するための物質も提供する。
このような物質はスクリーニングプログラムの結果として識別および単離され得て、または、Flt-3L、そのレセプターまたはその同族体の1-D、2-Dもしくは3-D構造に基づいて開発され得る。
適切な物質の同定後、その物質は、調製の際、すなわち、例えば医薬品、薬学的組成物または薬物などの組成物の加工および製剤の際、製造および/または使用され得る。これらは、治療または予防の方法として個体に投与され得る。または、それらは、パッチもしくは徐放性カプセル、または埋め込み剤に組み入れることもできる。
「化合物」、「活性物質」、「薬理学的活性物質」、「医薬品」、「活性物」および「薬剤」という用語は、本明細書では、所望の薬理学的および/または生理学的作用を引き起こす化学的化合物そ示すために互換的に用いられる。上記の通り、活性物質は一つに結合し、一つに融合し、および/または凝集物もしくは複合体として存在し得る。この用語は、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、類似体などを含むがこれらに限定されない、本明細書において具体的に記載されるそれらの活性物質の薬学的に許容され、かつ、薬理学的に活性な成分をさらに含む。「化合物」、「活性物質」、「薬理学的に活性な物質」、「医薬品」、「活性物」および「薬剤」という用語が用いられる場合、これには活性物質自体、および薬学的に許容される、薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝物、類似体などが含まれることが理解されるべきである。「化合物」という用語は、専ら化学的化合物として解釈されるべきではなく、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにRNA、DNAおよびそれらの化学的類似体などの遺伝的分子に及ぶ。
従って、本発明は、対象におけるDCもしくはそのサブタイプの値を調節、または免疫寛容の状態を維持もしくは増強、または免疫応答を増強する本発明の物質を含む、パッチまたは徐放性製剤を含む薬学的組成物、医薬品、薬剤またはその他の組成物に及ぶ。
さらに、本発明は、本発明の化合物を薬学的に許容される賦形剤、溶媒または担体、および任意でその他の成分と混合する段階を含む、薬学的組成物を作成する方法を意図する。多くの組成物が提供される場合、これらの組成物は同時または連続的に投与され得る。連続的投与は、ナノ秒、秒、分、時間または日の範囲内での投与を含む。好ましくは、秒または分の範囲内である。
遺伝的分子に関して、変異型、一部、誘導体、同族体、類似体または模倣物質という用語は、タンパク性分子との関連からこれらの型に与えられた意味に、必要に応じて変更を加えた類似の意味を持つ。すべての場合において、変異型は、本明細書に示される技術または当技術分野において現在周知である技術から選択される技術を用いて、本明細書において提案される機能の能力に関して検討される。
核酸型の場合、誘導体は、親分子またはその部分に対して少なくとも60%の同一性を持つヌクレオチド配列を含む。核酸分子の「部分」は、少なくとも約10個のヌクレオチド、または好ましくは約13個のヌクレオチド、もしくはより好ましくは少なくとも約20個のヌクレオチドの最小サイズを持つと規定されて、少なくとも約35個のヌクレオチドの最小サイズを持つこともある。この規定には、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個のヌクレオチドを含む10〜35個のヌクレオチドの範囲、および50、100、300、500、600個のヌクレオチドを含む35個よりも多いヌクレオチドのすべてのサイズ、またはこれらの値の範囲内の任意の数のヌクレオチドを持つ核酸分子が含まれる。少なくとも約60%の同一性を持つということは、至適アラインメントとした場合に、核酸分子が参照のFlt-3Lコード分子と少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を含むことを意味する。
または、もしくはさらに、誘導体または同族体核酸分子は、低ストリンジェントな条件下において参照配列(またはその相補型)にハイブリダイズする能力に基づいて定められる。
本明細書で用いられるように「類似性」または「同一性」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸レベルでの比較した配列間の完全な同一性を含む。ヌクレオチドレベルにおいて非同一性である場合、それにも関わらず、構造、機能、生化学および/または高次構造レベルで互いに関連する異なるアミノ酸を生じる配列間の差違は「類似性」に含まれる。アミノ酸レベルにおいて非同一性である場合、それに関わらず、構造、機能、生化学および/または立体配座レベルで互いに関連するアミノ酸は「類似性」に含まれる。特に好ましい態様において、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の比較は類似性ではなく同一性のレベルについて行われる。
二つまたはそれよりも多いポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列相関性を説明するために用いられる用語には、「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列類似性」、「配列同一性」、「配列類似性パーセント」、「配列同一性パーセント」、「実質的に類似」および「実質的に同一」が含まれる。「参照配列」は、長さの点で、ヌクレオチドおよびアミノ酸残基を含めて、少なくとも12モノマー単位であるがしばしば15〜18モノマー単位、時には30モノマー単位のように、少なくとも25またはそれよりも多いモノマー単位である。2つのポリヌクレオチドはそれぞれ(1)2つのポリヌクレオチド間で類似する配列(即ち、完全ポリヌクレオチド配列の一部分のみ)、および(2)2つのポリヌクレオチド間で相違する配列を含み得るので、2つ(またはそれよりも多い)ポリヌクレオチド間の配列比較は一般に配列類似性の限定領域を特定および比較するための「比較ウィンドウ」を通して2つのポリヌクレオチドの配列を比較することによって行われる。「比較ウィンドウ」は、参照配列と比較される一般に隣接する12の残基を持つ概念上のセグメントを指す。比較ウィンドウは、2つの配列の至適アラインメントに関して、参照配列(付加または欠失を含まない)に比して約20%またはそれよりも低い付加または欠失(即ち、ギャップ)を含み得る。比較ウィンドウのアライニングのための配列の至適アラインメントは、コンピュータによるアルゴリズムの実行(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Drive Madison, WI, USA)または選択される任意の様々な方法によって作製される検査およびベストアラインメント(即ち、比較ウィンドウを通じて最も高いパーセントの相同性が得られる)によって実施することができる。参照は、例えば、Altschulら(Nucl. Acids Res. 25: 3389, 1997)に開示されるBLASTのようなプログラムに対しても行うことができる。配列解析に関する詳細な考察は、Ausubelら(「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons Inc, 1994- 1998、第15章)のユニット19.3に記載されている。
本明細書で用いられるように「配列類似性」および「配列同一性」という用語は、配列が比較ウィンドウを通してヌクレオチド単位またはアミノ酸単位で同一または機能的もしくは構造的に類似する程度を指す。従って、例えば「配列同一性パーセント」は比較ウィンドウを通して至適にアラインされた2つの配列を比較することによって算出される値であり、対応する位置の数を求めるために双方の配列において同一の核酸塩基(A、T、C、G、Iなど)または同一のアミノ酸残基(Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、CysおよびMetなど)が出現する位置の数が求められて、この対応する位置の数を比較ウィンドウの位置の数(即ち、ウィンドウサイズ)で割って、得られた値に100を乗じることによって配列同一性パーセントが得られる。本発明では、「配列同一性」は、DNASISコンピュータプログラム(Windows版Version 2.5;Hitachi Software engineering Co., Ltd., South San Francisco, California, USA)により、ソフトウェアに同梱の参照マニュアルで用いられる通りの標準既定値を用いて算出される「一致パーセント」を示すと理解される。配列類似性にも同様のコメントが当てはまる。
好ましくは、特定の配列と参照アミノ酸配列の間の類似性パーセントが、少なくとも約60%であり、または少なくとも約70%であり、もしくは少なくとも約80%であり、もしくは少なくとも約90%であり、または少なくとも約95%もしくは少なくとも約96%、97%、98%、99%などのそれよりも高い値である。60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%など、60%から100%の類似性パーセントも意図される。
本明細書での低ストリンジェンシーという記載には、ハイブリダイゼーションのための少なくとも約0から少なくとも約15% v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩、ならびに洗浄条件のための少なくとも約1Mから少なくとも約2Mの塩が含まれる。一般に、低ストリンジェンシーは約25〜30℃から約42℃である。温度は変化させることが可能であり、ホルムアミドを置換して、かつ/または代替的なストリンジェンシー条件を与えるために、より高い温度を使用することができる。必要な場合は、ハイブリダイゼーションについては少なくとも約16% v/vから少なくとも約30% v/vのホルムアミドおよび少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mの塩、ならびに洗浄条件については少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mの塩を含むおよび包含する中等度のストリンジェンシー、またはハイブリダイゼーションについては少なくとも約31% v/vから少なくとも約50% v/vのホルムアミドおよび少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mの塩、ならびに洗浄条件については少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mの塩を含むおよび包含する高ストリンジェンシーなどの、代替となるストリンジェントな条件を適用することが可能である。一般に、洗浄はTm=69.3+0.41(G+C)%で実施される(Marmur and Doty, J. Mol. Biol. 5: 109, 1962)。しかし、二重鎖核酸分子のTmは不適正塩基対の数が1%増加する毎に1℃低下する(Bonner and Laskey, Eur. J. Biochem. 46: 83, 1974)。これらのハイブリダイゼーション条件にホルムアミドを加えてもよい。従って、特に好ましいストリンジェンシーの値は以下のように定められる: 低ストリンジェンシーは、25〜42℃において6×SSC緩衝液、0.1% w/v SDSである;中等度のストリンジェンシーは20℃〜65℃の範囲の温度において、2×SSC緩衝液、0.1% w/v SDSである;高ストリンジェンシーは少なくとも65℃の温度において0.1×SSC緩衝液、0.1% w/v SDSである。
Flt-3LをコードするDNAの発現を調節する核酸分子に対する参照は、DNA(ゲノム、cDNA)、RNA(センスRNA、アンチセンスRNA、mRNA、tRNA、rRNA、低分子干渉RNA(SiRNA)、ミクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA(SnoRNA)、核内低分子(SnRNA))リボザイム、アプタマー、DNAザイム、またはその他のリボヌクレアーゼ型複合体などの遺伝物質を含む。その他の核酸分子は、プロモーターもしくはエンハンサー、または転写を調節するその他の調節領域を含むであろう。
従って、本発明は、Flt-3LをコードするDNAまたはRNAの発現を調節する核酸構築物を用いて対象における寛容原性状態を調節する遺伝的アプローチに及ぶ。
一つの例において、Flt-3Lをコードする核酸分子はFlt-3Lの値を増加させるために用いられる。または、この核酸分子はFlt-L3の阻害剤の一時的または永久的遺伝子スライシングを惹起する可能性がある。
「核酸」、「ヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成型および混合ポリマー、センス鎖およびアンチセンス鎖の双方を含み、化学的または生化学的に修飾され得て、または当業者によって容易に認識されるように、非天然または誘導体形成されたヌクレオチド塩基対を含み得る。このような修飾には、例えば、標識、メチル化、(モルフォリン環などの)類似体を用いた一つまたは複数の天然のヌクレオチドの置換、無電荷結合などのヌクレオチド間修飾(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)、電荷結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント分子(例えば、ポリペプチド)、介入物質(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤、アルキル化剤、および修飾結合(例えば、α-アノマー核酸など)が含まれる。水素結合およびその他の化学的相互作用を介して設計された配列に対する結合能においてポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。このような分子は当技術分野では公知であり、例えば、ペプチド結合が分子骨格のリン酸結合に代わる分子が含まれる。
例えば、アンチセンスポリヌクレオチドは、転写物のスライシングにおいて有用である。さらに、Flt-3L阻害剤をコードする核酸分子のすべてまたは一部を含むポリヌクレオチドベクターは、プロモーターの制御下においてアンチセンスの配向で位置して細胞内に導入され得る。細胞内でのこのようなアンチセンス構築物の発現は、標的の転写および/または翻訳に干渉するであろう。さらに、RNAiまたはsiRNAを誘導するための相互抑制効果およびメカニズムを用いることもできる。または、アンチセンスまたはセンス分子は、そのまま投与することもできる。この後者の態様において、アンチセンスまたはセンス分子は組成物として製剤化され、その後、任意の数の方法によって標的細胞に投与され得る。
アンチセンスおよびセンス分子の変化は、モルフィリンヌクレオチド誘導体およびホスホロジアミデート結合からなるオリグヌクレオチドであるモルフォリノの使用を伴う(例えば、Summerton and Weller, Antisense and Nucleic Acid Drug Development 7: 187-195, 1997)。このような化合物が胚に注入されると、mRNAとの干渉作用が観察される。
一つの態様において、本発明は、Flt-3L阻害分子をコードする核酸分子の機能または作用の調節に使用するためにオリゴヌクレオチドおよび同様の種などの化合物を使用し、即ち、オリゴヌクレオチドは転写または転写後の遺伝子スライシングを惹起する。これは、内因性リガンドをコードする一つまたは複数の核酸分子を特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供することによって行われる。このオリゴヌクレオチドは細胞に直接提供してよく、または細胞内で作成されてもよい。本明細書で用いられるように、「標的核酸」および「阻害剤をコードする核酸分子」という用語は、便宜上、阻害剤をコードするDNA、これらのDNAから転写されるRNA(プレmRNAおよびmRNAまたはそれらの部分を含む)、およびこれらのRNAから派生するcDNAを含むように用いられている。本発明の化合物と標的核酸のハイブリダイゼーションは、一般に、「アンチセンス」と記載される。従って、本発明のいくつかの好ましい態様の実践に含められるべきと考えられる好ましいメカニズムは、本明細書では「アンチセンス阻害」と記載される。このようなアンチセンス阻害は、典型的には、少なくとも1本の鎖またはセグメントが開裂、分解、またはその他の方法で機能不能となるような、オリゴヌクレオチド鎖またはセグメントの水素結合に基づくハイブリダイゼーションに基づく。この点に関して、本発明では、具体的な核酸分子およびそれらのこのようなアンチセンス阻害のための機能を標的とすることが好ましい。
干渉されるDNAの機能は、複製および転写を含むことができる。例えば、複製および転写は、内因性の細胞性鋳型、ベクター、プラスミド構築物またはその他に由来し得る。干渉されるRNAの機能は、RNAのタンパク質翻訳部位への転座、RNA合成部位から離れた細胞内部位へのRNAの転座、RNAからのタンパク質の翻訳、一つまたは複数のRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびそのRNAに移植またはそのRNAによって促進され得るRNAを含む触媒活性または複合体形成などの機能が含まれ得る。
当技術分野において公知の通り、ヌクレオシドは塩基-糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常は、複素環式塩基である。このような複素環式塩基の2つの最も一般的なクラスは、プリンおよびピリミジンである。ヌクレオチドおよびヌクレオシドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合するリン酸基をさらに含む。
ペントフラノシル糖を含むヌクレオチドにおいて、リン酸基は糖の2'、3'または5'ヒドロキシル分子のいずれかに連結することができる。オリゴヌクレオチドの形成では、このリン酸基が線形重合化合物を形成するために隣接するヌクレオシドに相互に共有結合する。また、この線形重合化合物のそれぞれの末端はさらに結合して環状化合物を形成するが、一般的には線形化合物が好ましい。さらに、線形化合物は内部核酸塩基相補性を持ち得て、従って、完全または部分的に二本鎖化合物を生じるような方法で折りたたまれ得る。オリゴヌクレオチド内では、リン酸基は一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するとして記載される。RNAおよびDNAの通常の結合または骨格は3'-5'ホスホジエステル結合である。
本発明において有用な好ましいアンチセンス化合物の具体例には、修飾骨格または非天然ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書において規定される通り、修飾骨格を持つオリゴヌクレオチドは骨格にリン原子を保持するものおよび骨格にリン原子を持たないものを含む。本明細書のため、また当技術分野においてしばしば参照されるように、ヌクレオシド間骨格内にリン原子を持たない修飾オリゴヌクレオチドはオリゴヌクレオシドと考えることもできる。
内部にリン原子を含む好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格には、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'-アルキレンホスホネート,5'-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよびその他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3'-アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート、ならびに通常の3'-5'結合を持つボラノホスフェート、これらの2'-5'結合類似体、および一つまたは複数のヌクレオシド間結合が3'-3'、5'-5'、または2'-2'結合である逆極性を持つ類似体が含まれる。逆極性を持つ好ましいオリゴヌクレオチドは3'-大部分のヌクレオチド間結合の位置に3'-3'結合、即ち、脱塩基であり得る(核酸塩基を欠くか、またはその所定の位置にヒドロキシル基を持つ)一つの逆ヌクレオシド残基を含む。様々な塩、混合塩および遊離酸の型も含まれる。
本発明のもう一つの態様において、Flt-3Lとそのレセプターの相互作用を促進してFlt-3の効果を高める物質が同定される。
本発明のこの方法は、異常免疫系に関連する様々な状態の防止における用途を見出する。特に意図される局面において、本発明は自己免疫性疾患の発症の防止、寛容原性状態の維持、および/または癌もしくは病原性物質に対するなどの寛容原性ワクチンの投与計画の強化に有用である。
本明細書において意図される自己免疫性疾患には、活動性慢性肝炎、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性無酸素症、セリアック病、クローン病、クッシング症候群、皮膚筋炎、I型糖尿病、円板状エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性副腎萎縮、特発性血小板減少症、インスリン依存性糖尿病、ランバートン-イートン症候群、ルポイド肝炎、リンパ球減少症、複合性結合織疾患、多発性硬化症、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫性症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、レイノー病、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、慢性関節リウマチ、シュミット症候群、強皮症-クレスト、シェーグレン症候群、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺中毒症、B型インスリン抵抗性、潰瘍性大腸炎およびヴェゲナー肉芽腫症が含まれる。
一つの特に重要な疾患は自己免疫性糖尿病(またはI型糖尿病)である。この疾患には、ウイルスに誘発される糖尿病などの病原性物質に惹起される糖尿病も含まれる。
本明細書で意図される癌には、ABL1プロトオンコジーン、エイズ関連性の癌、聴神経腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞癌、副腎皮質癌、突発性骨髄様化生、脱毛症、胞状軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、形成不能性貧血、星状細胞腫、毛細血管拡張運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNS腫瘍、乳癌、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頚癌、小児の脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児の軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞性リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、腺管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、脳室上衣細胞腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼の癌、眼の黒色腫、網膜芽腫、ファロピウス管癌、ファンコニー貧血、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、消化器癌、消化管カルチノイド腫瘍、泌尿生殖器癌、生殖細胞の腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科系の癌、血液学的な悪性腫瘍、毛様細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒト乳頭腫ウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭の癌、眼球内黒色腫、島細胞癌、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞-組織球症、喉頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、腎黄紋筋肉腫様腫瘍、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔癌、多発性内分泌新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、ミエローマ、骨髄増殖性疾患、鼻部癌、鼻咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽腫、神経線維腫症、ナイミーヘン染色体不安定症候群、メラノーマ以外の皮膚癌、肺非小細胞癌(NSCLC)、眼球癌、食道癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、オストミー卵巣癌、膵癌、副鼻腔癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢性神経外胚葉腫瘍、下垂体癌、真性多血症、前立腺癌、稀な癌および関連疾患、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ロスムンド-トムソン症候群、唾液腺癌、肉腫、シュワン細胞腫、セザリー症候群、皮膚癌、肺小細胞癌(SCLC)、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌(膀胱)、移行細胞癌(腎-腎盂/尿管)、栄養膜癌、尿道癌、尿路系癌、ウロプラキン、子宮肉腫、子宮癌、腟癌、外陰部癌、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で用いられるように「治療(treating)」および「治療(treatment)」という用語は、症状の程度および/または頻度の軽減、症状および/または根本原因の排除、症状および/またはそれらの根本原因の発症の防止、ならびに損傷の回復または改善を指す。従って、例えば、患者の「治療」は、感受性個体における特定の異常または有害な生理学的事象の防止、および異常または疾病の阻害または退行の惹起による臨床的に症候性の個体の治療を含む。但し、好ましくは、本発明は自己免疫性疾患の発症を防止するために用いられる。一般に、このような状態または異常は自己免疫性疾患または癌などの状態を含み、この場合、目的は癌に対するワクチンの有効性を改善することである。本明細書で用いられるように「患者」は、動物を指し、好ましくは哺乳動物を指し、より好ましくは本発明の薬学的製剤および方法から恩典を受けることができるヒトを指す。本明細書に記載される薬学的製剤および方法から恩典を受けることができる動物の種類に関する制限はない。ヒトまたはヒト以外の動物であるかどうかに関わらず、患者は、個体、対象、動物、宿主、標的またはレシピエントと記載してもよい。本発明の化合物および方法は、ヒト用医薬品、動物用医薬品、および一般的に家畜または野生動物の管理に用途を持つ。便宜上、「動物」とは、家禽、小鳥、猟鳥などの鳥類を含む。
好ましい動物は、ヒトもしくはその他の霊長類、家畜動物、実験動物、伴侶動物または捕獲野生動物である。
従って、本発明は、Flt-3Lもしくは誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニスト、および一つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む薬学的組成物などの組成物を提供する。
「薬学的に許容される」担体、賦形剤または希釈剤は、生物学的またはその他の点で有害でない材料からなる薬学的媒質を意味し、即ち、その材料は、いかなるまたは実質的な有害反応を惹起することなく、選択された活性物質と共に対象に投与することができる。担体は、賦形剤、および希釈剤、界面活性剤、着色剤、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、保存剤などのその他の添加物を含んでもよい。
同様に、本明細書において提供される化合物の「薬理学的に許容される」塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは誘導体とは、生物学的またはその他の点で有害でない塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは誘導体である。
リポソーム/DNA複合体は、直接、インビボにおいて遺伝子導入を介在できることが示されている。標準的なリポソーム調製では遺伝子導入過程は非特異的であるが、例えば、直接のインサイチュー投与後に腫瘍沈着においてインビボにおける局在的な取り込みおよび発現が報告されている。
ポリヌクレオチドがセンスもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたはリボザイムもしくはDNAザイムをコードする場合、発現によってセンスもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたはリボザイムもしくはDNAザイムが産生されるであろう。従って、この状況において、発現はタンパク質産物が合成されることを必要としない。発現ベクター内にクローニングされるポリヌクレオチドに加えて、このベクターは真核細胞において機能するプロモーターも含む。クローニングされたポリヌクレオチド配列はこのプロモーターの制御下にある。適切な真核生物性プロモーターは上記のプロモーターを含む。発現ベクターは、選択可能マーカーおよび本明細書に記載されるその他の配列などの配列をさらに含んでもよい。
物質は、慣例的な薬学的化合物合成技術に従って調製される薬学的組成物として製剤化される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版(1990, Mack Publishing, Company, Easton, PA, U.S.A.)を参照されたい。この組成物は、活性物質または活性物質の薬学的に許容される塩を含み得る。これらの組成物は、一つの活性物質に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当技術分野において周知のその他の材料を含んでよい。このような材料は無毒でなければならず、かつ、活性成分の有効性を干渉してはならない。担体は、例えば、局所、静脈内、経口、気管、または上神経性(epineural)または非経口などの投与に望ましい調製物の剤形に依存して、様々な剤形をとり得る。
経口投与のため、化合物は、カプセル、丸剤、タブレット、ロゼジン、粉剤、懸濁剤または乳剤などの固体または液体調製物に製剤化することができる。経口投与剤形の組成物の調製では、(例えば、懸濁剤、エリキシル剤および溶液などの)経口用液体調製物の場合は、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香料剤、保存剤、着色剤、懸濁剤などの通常の任意の薬学的媒質;または(例えば、粉末、カプセル、およびタブレットなどの)経口用固体調製物の場合はデンプン、糖、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いてよい。明らかに固体の薬学的担体が用いられる場合は、投与が簡便であることから、タブレットおよびカプセルが最も有利な経口投与単位剤形である。所望ならば、タブレットは標準的な技術によって糖でコーティングまたは腸溶コーティングしてよい。活性物質は、消化管の通過および同時に血液脳関門を通過できるように安定とするために、カプセル化することができる。例えば、International Patent Publication No. WO 96/11698を参照されたい。
非経口投与のため、化合物は薬学的担体に溶解して、懸濁剤もしくは溶液のいずれかとして投与することができる。適切な担体の例は、水、生理食塩液、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、または動物油、植物油もしくは合成油である。担体は、例えば、保存剤、懸濁剤、可溶化剤、緩衝剤などのその他の成分を加えてもよい。化合物がくも膜下腔内に投与される場合は、脳脊髄液に溶解してもよい。
活性物質は、好ましくは治療上有効量にて投与される。実際の投与量ならびに投与の速度および時間経過は、治療される状態の特徴および程度に依存するであろう。例えば、投与量、時期などの決定などの投与の処方は一般医または専門医の責任の範囲内であり、典型的には治療しようとする異常、個々の患者の状態、送達部位、投与の方法、および医師が把握しているその他の要因を考慮する。技術およびプロトコールの例は、前記のRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
または、抗体または細胞特異的リガンドもしくは特異的核酸分子などのターゲティング系の使用によって、活性物質を一定のタイプの細胞により特異的に送達するため、ターゲティング療法を使用することができる。ターゲティングは、例えば、物質が容認できないほど有毒である、またはさもなければ非常に高い用量を必要とする、もしくはさもなければ標的細胞に侵入できないなどの様々な理由により望ましい場合がある。
これらの物質を直接投与する代わりに、それらを、例えば上記のようなウイルスベクター内などの標的細胞内、または米国特許第5,550,050号、ならびにInternational Patent Publication Nos. WO 92/19195、WO 94/25503、WO 95/01203、WO95/05452、WO 96/02286、WO 96/02646、WO 96/40871、WO 96/40959およびWO 97/12635に記載されるような細胞に基づく送達系内で産生することができる。このベクターを標的細胞に対してターゲティングすることができる。細胞に基づく送達系は患者の体内の所望の標的部位に埋め込むように設計されて、標的物質のためのコード配列を含む。または、この物質は、治療しようとする細胞内で産生またはこの細胞にターゲティングされる活性化物質によって活性型に転換されるための前駆型として投与することができる。例えば、欧州特許出願第0425731A号およびInternational Patent Publication No. WO 90/07936を参照されたい。
本発明は、以下の非限定的な実施例によって、より詳細に説明される。
実施例1
マウス
すべてのマウスは特定病原体除去条件下において生産された。本発明者らの施設の場合、使用されるNOR/Lt雌の累積糖尿病発生率は一般に300日までに70〜80%である。対照のNOR/Lt雌(Prochazka et al Diabetes 41: 98-106, 1992)およびC57BL/6J雌は糖尿病を発症しない。NODコンジェニック系統を作出するために、C57BL/6の雌をNODの雄と交配した。続いて、戻し交配1の世代を得るために、(NOD×B6)F1雌をNODの雄に戻し交配した。次に、Y染色体およびミトコンドリアゲノムが確実にNOD由来とするために、NODの雄または雌を用いて、遺伝子型解析結果に基づいて適切な戻し交配子孫を用いて、その後10回の戻し交配を実施した。遺伝子型解析結果は標準的な方法による尾の生検標本から抽出したDNA試料に基づき、既に述べられた糖尿病感受性部位に隣接するマーカー(Serreze et al Curr Dir Autoimmune 4: 31-67, 2001)を含む約10cMのゲノムワイドスキャンに加えて、4番染色体の多型マーカーで類別した。すべてのマーカーの位置および4番染色体の先端からのおおよそのcM距離は、マウスゲノムデータベース(www.informatics.jax.org/)から得た。
マウス
すべてのマウスは特定病原体除去条件下において生産された。本発明者らの施設の場合、使用されるNOR/Lt雌の累積糖尿病発生率は一般に300日までに70〜80%である。対照のNOR/Lt雌(Prochazka et al Diabetes 41: 98-106, 1992)およびC57BL/6J雌は糖尿病を発症しない。NODコンジェニック系統を作出するために、C57BL/6の雌をNODの雄と交配した。続いて、戻し交配1の世代を得るために、(NOD×B6)F1雌をNODの雄に戻し交配した。次に、Y染色体およびミトコンドリアゲノムが確実にNOD由来とするために、NODの雄または雌を用いて、遺伝子型解析結果に基づいて適切な戻し交配子孫を用いて、その後10回の戻し交配を実施した。遺伝子型解析結果は標準的な方法による尾の生検標本から抽出したDNA試料に基づき、既に述べられた糖尿病感受性部位に隣接するマーカー(Serreze et al Curr Dir Autoimmune 4: 31-67, 2001)を含む約10cMのゲノムワイドスキャンに加えて、4番染色体の多型マーカーで類別した。すべてのマーカーの位置および4番染色体の先端からのおおよそのcM距離は、マウスゲノムデータベース(www.informatics.jax.org/)から得た。
実施例2
FL投与
既に述べられている通り(Maraskovsky et al J Exp Med 184: 1953-1962, 1996;O'Keefe et al Blood 99: 2122-2130, 2002)、マウス血清アルブミン(MSA)1μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩液(PBS)の0.1ml中10μgのFL(ヒトまたはマウスのいずれか)を1日1回、連続10日間、皮下注射した。対照マウスにはPBS-MSA担体溶液のみを注射した。
FL投与
既に述べられている通り(Maraskovsky et al J Exp Med 184: 1953-1962, 1996;O'Keefe et al Blood 99: 2122-2130, 2002)、マウス血清アルブミン(MSA)1μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩液(PBS)の0.1ml中10μgのFL(ヒトまたはマウスのいずれか)を1日1回、連続10日間、皮下注射した。対照マウスにはPBS-MSA担体溶液のみを注射した。
実施例3
糖尿病の評価
80日齢以降週1回、BM-Test Glycemic(登録商標)試験紙を用いて、マウスの尿を検査した。続いて、陽性を示したマウスについて後眼窩静脈血試料を用いて血糖値を確認した。マウスは、血糖値が連続2日間にわたって11mMを上回ったら糖尿病と判定した。次いで、病理学的評価に備えて、糖尿病マウスを屠殺して膵臓を摘出した。
糖尿病の評価
80日齢以降週1回、BM-Test Glycemic(登録商標)試験紙を用いて、マウスの尿を検査した。続いて、陽性を示したマウスについて後眼窩静脈血試料を用いて血糖値を確認した。マウスは、血糖値が連続2日間にわたって11mMを上回ったら糖尿病と判定した。次いで、病理学的評価に備えて、糖尿病マウスを屠殺して膵臓を摘出した。
実施例4
FL
組換え型mFLはトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣株化細胞によって産生して、アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。哺乳動物株化細胞で産生された組換え型hFLはSearle(St. Louis, Mo.)より提供された。マウスDC集団に対する両調製物の機能的効果および用量反応性については既に示されている(O'Keefe et al 2002、前記)。
FL
組換え型mFLはトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣株化細胞によって産生して、アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。哺乳動物株化細胞で産生された組換え型hFLはSearle(St. Louis, Mo.)より提供された。マウスDC集団に対する両調製物の機能的効果および用量反応性については既に示されている(O'Keefe et al 2002、前記)。
実施例5
樹状細胞の単離、濃縮および分析
DCの単離およびフローサイトメトリー分析の操作に関する詳細は既に記載されている(Vremec et al J Immunol 164: 2978-2986, 2000;O'Keefe et al J Exp Med 196: 1307-1319, 2002;Henri et al J Immunol 167: 741-748, 2001)。すべてのDCを抽出するために、脾臓または胸腺を刻んで室温にて軽度のコラゲナーゼ消化に供した後、EDTAで処理した。この操作ではDCは活性化されない。次に、ナイコデンツ媒質中での遠心分離によって最も軽い樹状細胞を選別した。DC以外の細胞系譜は、細胞をCD3、Thy-1、CD19、GR-1および赤血球に対するmAbでコーティングし、次にコーティングした細胞を抗Ig磁気ビーズで枯渇させることによって除去した。この操作は、pDCの消失を惹起しなかった。次に、このDC濃縮調製物をカウントして、ヨウ化プロピジウムと共に四重蛍光色素抱合mAbで標識した。これを、蛍光イソチオシアネートについてはFL1を用いて、フィコエリトリンについてはFL2を用いて、Cy5についてはFL3を用いて、Alexa 594についてはFL4を用いて、またFL5チャネルはヨウ化プロピジウムで着色した死細胞および自己蛍光細胞を排除するように設定して、FACStar Plus装置(Becton Dickinson, San Jose, CA)で分析(場合によってはソーティング)した。DCの主な区分はpDC(DC11cint CD45RAhi)およびcDC(CD11chi CD45RA−)であった。cDCはさらなる染色によって、CD4−8−、CD4−8+およびCD4+8−のサブタイプに分割された。
樹状細胞の単離、濃縮および分析
DCの単離およびフローサイトメトリー分析の操作に関する詳細は既に記載されている(Vremec et al J Immunol 164: 2978-2986, 2000;O'Keefe et al J Exp Med 196: 1307-1319, 2002;Henri et al J Immunol 167: 741-748, 2001)。すべてのDCを抽出するために、脾臓または胸腺を刻んで室温にて軽度のコラゲナーゼ消化に供した後、EDTAで処理した。この操作ではDCは活性化されない。次に、ナイコデンツ媒質中での遠心分離によって最も軽い樹状細胞を選別した。DC以外の細胞系譜は、細胞をCD3、Thy-1、CD19、GR-1および赤血球に対するmAbでコーティングし、次にコーティングした細胞を抗Ig磁気ビーズで枯渇させることによって除去した。この操作は、pDCの消失を惹起しなかった。次に、このDC濃縮調製物をカウントして、ヨウ化プロピジウムと共に四重蛍光色素抱合mAbで標識した。これを、蛍光イソチオシアネートについてはFL1を用いて、フィコエリトリンについてはFL2を用いて、Cy5についてはFL3を用いて、Alexa 594についてはFL4を用いて、またFL5チャネルはヨウ化プロピジウムで着色した死細胞および自己蛍光細胞を排除するように設定して、FACStar Plus装置(Becton Dickinson, San Jose, CA)で分析(場合によってはソーティング)した。DCの主な区分はpDC(DC11cint CD45RAhi)およびcDC(CD11chi CD45RA−)であった。cDCはさらなる染色によって、CD4−8−、CD4−8+およびCD4+8−のサブタイプに分割された。
実施例6
DCによるIL-12産生
アッセイ手順は、既に記載された通りであった(Hochrein et al J Exp Med 192: 823- 833, 2000;Hochrein et al J Immunol 166: 5448-5455, 2001)。精製してソーティングしたDCを、固定および加熱殺菌した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)またはToll様レセプター9アゴニストであるCpGのいずれか、およびサイトカイン(GM-CSF、IFN-γおよびIL-4)の至適混合物を含む修正RPMI 1640培地で0.5×106細胞/mlにて培養した。18時間後に捕捉抗体としてmAb R29A5および検出抗体としてc17.8 mAbを用いて、上清のELISAアッセイによりIL-12 p70の産生を調べた;一般的に用いられる検出mAb R15D9はNOD IL-12 p70と反応せず、そのため、偽陰性の結果が得られることに注意されたい。
DCによるIL-12産生
アッセイ手順は、既に記載された通りであった(Hochrein et al J Exp Med 192: 823- 833, 2000;Hochrein et al J Immunol 166: 5448-5455, 2001)。精製してソーティングしたDCを、固定および加熱殺菌した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)またはToll様レセプター9アゴニストであるCpGのいずれか、およびサイトカイン(GM-CSF、IFN-γおよびIL-4)の至適混合物を含む修正RPMI 1640培地で0.5×106細胞/mlにて培養した。18時間後に捕捉抗体としてmAb R29A5および検出抗体としてc17.8 mAbを用いて、上清のELISAアッセイによりIL-12 p70の産生を調べた;一般的に用いられる検出mAb R15D9はNOD IL-12 p70と反応せず、そのため、偽陰性の結果が得られることに注意されたい。
実施例7
NODマウスにおけるDCサブセットの値
DCの数またはサブタイプバランスがNODマウスにおいて異常であるかどうかを調べるために、脾臓のDC集団を分析し、糖尿病抵抗性ではあるがMHC適合性であり遺伝的にほぼ等しいNOR系統(Prochazka et al 1992、前記)、およびC57BL/6マウスのそれと比較した。NODは、55日齢(図1、表2)および110日齢(糖尿病発症直前)の双方において、脾臓DCの数およびバランスにおいてNORとは異なっていた。両系統とも、110日齢の時点では、割合は55日齢で見られたものとほぼ等しかったが、DCの絶対数は30%低かった。NODマウスはNORに比して全般的にやや低いDC値を示し、CD4−8−DCは中等度に減少したが、CD8+ cDCサブタイプにはより顕著な絶対的および相対的減少が見られた[p>0.001]。主たるCD4+8−の脾臓DCサブタイプは通常の値で存在した。これは、NODマウスにおけるCD8− DCの再生に関して報告されたPrasadおよびGoodnow Int Immunol 14: 677-684, 2002、ならびにCD8+DCの欠損を報告したVasquezら、Clin Exp Immunol 135 : 209-218, 2004と一致する。一方、本発明者らは胸腺のDC値には変化がなく、CD4−8+ cDCが主な集団である。NODの脾臓のDCは、MHC II、共刺激分子、およびMOR脾臓のDCに対する一連のその他のマーカーに関してほぼ等しい値を示した。C57BL/6マウスは一般に相対的DCサブセット分布においてNOR対照マウスとほぼ等しく、認められた唯一の差はNODおよびNORの双方に比してCD11cの表面発現が少ないこと、およびDC全体の数が多いことである(表2)。NODマウスの末梢CD8+ cDCにおける相対的欠乏は、どの系統が比較に用いられるかに関わらず、明白であった。
NODマウスにおけるDCサブセットの値
DCの数またはサブタイプバランスがNODマウスにおいて異常であるかどうかを調べるために、脾臓のDC集団を分析し、糖尿病抵抗性ではあるがMHC適合性であり遺伝的にほぼ等しいNOR系統(Prochazka et al 1992、前記)、およびC57BL/6マウスのそれと比較した。NODは、55日齢(図1、表2)および110日齢(糖尿病発症直前)の双方において、脾臓DCの数およびバランスにおいてNORとは異なっていた。両系統とも、110日齢の時点では、割合は55日齢で見られたものとほぼ等しかったが、DCの絶対数は30%低かった。NODマウスはNORに比して全般的にやや低いDC値を示し、CD4−8−DCは中等度に減少したが、CD8+ cDCサブタイプにはより顕著な絶対的および相対的減少が見られた[p>0.001]。主たるCD4+8−の脾臓DCサブタイプは通常の値で存在した。これは、NODマウスにおけるCD8− DCの再生に関して報告されたPrasadおよびGoodnow Int Immunol 14: 677-684, 2002、ならびにCD8+DCの欠損を報告したVasquezら、Clin Exp Immunol 135 : 209-218, 2004と一致する。一方、本発明者らは胸腺のDC値には変化がなく、CD4−8+ cDCが主な集団である。NODの脾臓のDCは、MHC II、共刺激分子、およびMOR脾臓のDCに対する一連のその他のマーカーに関してほぼ等しい値を示した。C57BL/6マウスは一般に相対的DCサブセット分布においてNOR対照マウスとほぼ等しく、認められた唯一の差はNODおよびNORの双方に比してCD11cの表面発現が少ないこと、およびDC全体の数が多いことである(表2)。NODマウスの末梢CD8+ cDCにおける相対的欠乏は、どの系統が比較に用いられるかに関わらず、明白であった。
実施例8
NODマウスのCD8+ DCによる生物活性IL-12の産生
NODマウスに残ったCD8+ cDCが機能的に正常であるかどうかを確認するために、細胞のIL-12産生能を調べた。CD8+ cDCは、通常、その他のDCサブタイプよりも大幅に高い生物活性IL-12 p70産生能を持ち(Hochrein et al 2001、前記)、従って、Th1反応を惹起する傾向がある。精製されてソーティングされたNODマウス脾臓由来のCD8+ cDCを、最大IL-12産生を引き起こすことが先に示されている刺激を用いて培養した(Hochrein et al 2000、前記)。NOD CD8+ cDCはIL-12 p40および生物活性IL-12 p70の実質的な量を産生することができたが、C57BL/6マウス由来のCD8+ cDCによって産生される量のわずか半分ほどであった(図2)。IL-12産生能のこの部分的低下がインビボにおいて免疫学的結果を持つかどうかは明らかでない。
NODマウスのCD8+ DCによる生物活性IL-12の産生
NODマウスに残ったCD8+ cDCが機能的に正常であるかどうかを確認するために、細胞のIL-12産生能を調べた。CD8+ cDCは、通常、その他のDCサブタイプよりも大幅に高い生物活性IL-12 p70産生能を持ち(Hochrein et al 2001、前記)、従って、Th1反応を惹起する傾向がある。精製されてソーティングされたNODマウス脾臓由来のCD8+ cDCを、最大IL-12産生を引き起こすことが先に示されている刺激を用いて培養した(Hochrein et al 2000、前記)。NOD CD8+ cDCはIL-12 p40および生物活性IL-12 p70の実質的な量を産生することができたが、C57BL/6マウス由来のCD8+ cDCによって産生される量のわずか半分ほどであった(図2)。IL-12産生能のこの部分的低下がインビボにおいて免疫学的結果を持つかどうかは明らかでない。
NODマウスの脾臓における様々なDCサブタイプの総数をNORおよびC57BL/6対照マウス、ならびにコンジェニックNOD.B6-Chr4マウスと比較した。NODマウスの値に対するFL投与の影響も示す。結果はDC濃縮調製物における総細胞数から算出し、図1および3などの解析では相対的値を併記した。マウスは約55日齢であった。結果は5回の実験の平均値±SDを示しす。但し、FL投与については2回の実験の平均値±範囲である。すべてのアッセイは少なくとも3検体の脾臓のプールについて行った。
実施例9
NODマウスにおけるDC異常の背後にある遺伝的要因
NODマウスにおいてDC欠乏をもたらす遺伝的変異が糖尿病発症の素因にもなるかどうかを判定するために、コンジェニックマウスの系統を使用した。NODコンジェニックマウスの系統は、4番染色体上のC56BL/6由来区間を用いて作出した(NOD.B6-Chr4とする)。この区間はD4Mit31(〜51.3cM)に対して遠位に位置して、D4Mit256(〜82.7cM)を含めてそこまでのすべての遠位マーカーを含む。NOD.B6-Chr4コンジェニック雌マウス(n=53)を糖尿病に関してモニターした結果、NOD雌マウス(n=56)に比して糖尿病の発生率に顕著な減少が実証された(300日齢までに72%から32%、P>0.001)。NOD.B6-Chr4コンジェニックマウスにおける脾臓DCサブタイプの値およびバランスは、NOD、NORおよびC57BL/6と同等であった。
NODマウスにおけるDC異常の背後にある遺伝的要因
NODマウスにおいてDC欠乏をもたらす遺伝的変異が糖尿病発症の素因にもなるかどうかを判定するために、コンジェニックマウスの系統を使用した。NODコンジェニックマウスの系統は、4番染色体上のC56BL/6由来区間を用いて作出した(NOD.B6-Chr4とする)。この区間はD4Mit31(〜51.3cM)に対して遠位に位置して、D4Mit256(〜82.7cM)を含めてそこまでのすべての遠位マーカーを含む。NOD.B6-Chr4コンジェニック雌マウス(n=53)を糖尿病に関してモニターした結果、NOD雌マウス(n=56)に比して糖尿病の発生率に顕著な減少が実証された(300日齢までに72%から32%、P>0.001)。NOD.B6-Chr4コンジェニックマウスにおける脾臓DCサブタイプの値およびバランスは、NOD、NORおよびC57BL/6と同等であった。
4番染色体上のC57BL/6由来区間の置換は、NORマウスの値に対して、脾臓のCD8+ cDC値を増加させた[p>0.001](表2、図3)。DC全体の絶対数は増加せず、C57BL/6マウスよりも低い値を維持した。pDCおよびCD4−8− DCの値にある程度の増加が見られたが、これらは統計学的有意には達しなかった。全体的な結果は、CD8+ cDCの相対的値および正常なDCサブタイプバランスが回復することであった(図3)。T細胞、B細胞またはその他の造血細胞の値に変化は認められなかった。胸腺DCに変化はなかった。従って、末梢CD8+ cDCの欠乏は、NODマウスの4番染色体のこの大きな区間にある遺伝子によって決定され、公知の糖尿病感受性遺伝子座はこの区間に含まれる。
実施例10
NODマウスにおけるFL投与のDCに対する影響
本発明者らは、C57BL/6マウスへのFLの投与はDC値を全体的に増加させるばかりでなく、CD8+ cDCおよびpDCのサブタイプを選択的に増加させることを示している(Maraskovsky et al 1996、前記;O'Keefe et al 2002、前記)。これはマウスFL(mFL)で特に顕著であったが、DC値の全体的な増加はヒトFL(hFL)を用いた場合よりも少なかった。FL投与後、MHC IIおよび共刺激分子の値は活性化DCよりも休止期DCに特徴的であった。DC値は、投与後1週にベースラインまで減少した。NODマウスにおいて欠乏したCD8+ cDCサブタイプがC57BL/6マウスではFLによって増加したので、本発明者らはFL投与がNODのDC不均衡を是正し得るかどうか調べた。
NODマウスにおけるFL投与のDCに対する影響
本発明者らは、C57BL/6マウスへのFLの投与はDC値を全体的に増加させるばかりでなく、CD8+ cDCおよびpDCのサブタイプを選択的に増加させることを示している(Maraskovsky et al 1996、前記;O'Keefe et al 2002、前記)。これはマウスFL(mFL)で特に顕著であったが、DC値の全体的な増加はヒトFL(hFL)を用いた場合よりも少なかった。FL投与後、MHC IIおよび共刺激分子の値は活性化DCよりも休止期DCに特徴的であった。DC値は、投与後1週にベースラインまで減少した。NODマウスにおいて欠乏したCD8+ cDCサブタイプがC57BL/6マウスではFLによって増加したので、本発明者らはFL投与がNODのDC不均衡を是正し得るかどうか調べた。
NODマウスに一日当たりhFLまたはmFLの10μgを10日間投与し、続いて、11日目に脾臓のDC値および亜集団のバランスを測定した。双方の投与が全体的なDC値の増加を惹起した。CD8+ cDCおよびpDCの値は顕著に増加し、主なDCサブタイプとなった(図1および表2)。CD4−8−およびCD4+8−のcDCサブセットが増加したが、CD8+ cDCよりも小規模であった。
実施例11
hFL投与後のNODマウス糖尿病発生率の減少
FL投与は一時的にNODマウスのDC不均衡を改善し、約5日間にわたってCD8+DCを主なサブタイプとしたことから、これらの投与が糖尿病発生率を抑制または遅延させるかどうかを調べた。雌性NODマウスに50日齢の時点でhFLまたはmFLのいずれかを投与して、糖尿病の発生率を連続的にモニターした。最も顕著な影響はhFLで見られ、DC値の最も顕著な増加が惹起された。約100日齢から発生する糖尿病の累積発生率は、68%から14%に減少した[p>0.001](図4)。FL投与は50日齢に開始されたので、DC値に対する影響は70日過ぎには認められないであろうが、糖尿病発症を防止する長期作用があると思われた。並行試験では、FLの投与または無投与に関わらず、いずれのNORマウスも糖尿病にはならなかった。
hFL投与後のNODマウス糖尿病発生率の減少
FL投与は一時的にNODマウスのDC不均衡を改善し、約5日間にわたってCD8+DCを主なサブタイプとしたことから、これらの投与が糖尿病発生率を抑制または遅延させるかどうかを調べた。雌性NODマウスに50日齢の時点でhFLまたはmFLのいずれかを投与して、糖尿病の発生率を連続的にモニターした。最も顕著な影響はhFLで見られ、DC値の最も顕著な増加が惹起された。約100日齢から発生する糖尿病の累積発生率は、68%から14%に減少した[p>0.001](図4)。FL投与は50日齢に開始されたので、DC値に対する影響は70日過ぎには認められないであろうが、糖尿病発症を防止する長期作用があると思われた。並行試験では、FLの投与または無投与に関わらず、いずれのNORマウスも糖尿病にはならなかった。
195日齢の時点でhFL投与NODマウス、無投与NODマウスおよび対照マウスの膵の切片を組織学的に検査して、単核細胞浸潤および膵島の破壊を調べた。病理学は糖尿病発生率の結果と概ね一致した。NOR対照マウスでは間隔を置いた長軸方向の切片7検体につき平均43個の島が認められ、hFL投与後には7切片当たり平均57個の島が認められた;C57BL/6マウスが浸潤を示さなかったのとは対照的に、大半の島は島周辺に軽度の単核細胞浸潤を示した。非糖尿病に分類された無投与NODマウスが7切片当たり35個の島を示したのに比して、糖尿病に分類された無投与NODマウスでは7切片当たり平均9個の細胞しか認められなかった;両ケースとも、残った島における顕著な単核細胞浸潤およびβ細胞の一部破壊が見られた。非糖尿病(大部分)のhFL投与NODマウスは7切片当たり平均47個の島を有し、この島は中等度の単核細胞浸潤を示したが、β細胞の破壊は低いレベルであった。
実施例12
mFLの反復投与による糖尿病発症の完全阻止
mFLの単回投与は、糖尿病の発症を一時的に阻害するのみであった。次に、mFLの異なる投与時期の効果について調べた。NODマウスに対して、自己免疫過程がちょうど始まる20日齢からmFLを10日間投与した結果、100〜150日齢の糖尿病発生率が若干の統計学的に有意でない減少を示したが、その後は差はなかった(図5)。mFLを50日齢から投与した場合、120〜200日の糖尿病発生率が顕著に減少したが、hFLの結果とは対照的にこの効果は辛うじて有意であり、最終的にはマウスは糖尿病となった(図5)。mFLを、β細胞破壊が始まる100日齢で投与したところ、糖尿病発症からの速やかな保護の証拠はなかったが、データからは250〜370日齢の遅発性糖尿病発生率の低下が示唆された(図5)。
mFLの反復投与による糖尿病発症の完全阻止
mFLの単回投与は、糖尿病の発症を一時的に阻害するのみであった。次に、mFLの異なる投与時期の効果について調べた。NODマウスに対して、自己免疫過程がちょうど始まる20日齢からmFLを10日間投与した結果、100〜150日齢の糖尿病発生率が若干の統計学的に有意でない減少を示したが、その後は差はなかった(図5)。mFLを50日齢から投与した場合、120〜200日の糖尿病発生率が顕著に減少したが、hFLの結果とは対照的にこの効果は辛うじて有意であり、最終的にはマウスは糖尿病となった(図5)。mFLを、β細胞破壊が始まる100日齢で投与したところ、糖尿病発症からの速やかな保護の証拠はなかったが、データからは250〜370日齢の遅発性糖尿病発生率の低下が示唆された(図5)。
これらのデータは、mFL投与が自己免疫プロセスの開始に対する一時的な保護ウィンドウを提供し、これはNODマウスの若成齢期を通じて任意の時期に開始し得るが、約100日後には糖尿病となることを示す。「ウィンドウ」全体を網羅するmFLの反復投与が自己免疫プロセスの開始を完全に遮断することができるかどうか調べるために、1群のNODマウスに先のすべてのmFL投与を併用して、20日齢から10日間、50日齢からさらに10日間、100日齢でさらに10日間、mFLを投与した。このmFLの反復投与により、糖尿病発症の完全な防止効果が予測された[p>0.001](図5)。1匹のmFL投与マウスは300日齢まで糖尿病を発症しなかったが、無投与マウスの累積発生率は75%に達した。
実施例13
NODマウスのDC集団の分析
DCは、Vremec 2000、前記;O'Keefeら、2002、前記;Henriら、2001、前記)の単離および分析技術を用いて、8週齢のNODマウス(自己免疫性の膵β細胞破壊または明らかな糖尿病発症の十分に前)の脾臓から単離した。DCの値を、密接に関連するが非糖尿病性の(つまり、C57BL/6のような他の正常マウスの系統とほぼ等しい)NORマウスのそれと比較した。FL投与前後の脾臓における通常のDCサブタイプの総数を表3および表4に示す。
NODマウスのDC集団の分析
DCは、Vremec 2000、前記;O'Keefeら、2002、前記;Henriら、2001、前記)の単離および分析技術を用いて、8週齢のNODマウス(自己免疫性の膵β細胞破壊または明らかな糖尿病発症の十分に前)の脾臓から単離した。DCの値を、密接に関連するが非糖尿病性の(つまり、C57BL/6のような他の正常マウスの系統とほぼ等しい)NORマウスのそれと比較した。FL投与前後の脾臓における通常のDCサブタイプの総数を表3および表4に示す。
これまでに確立されている3つのすべてのDCサブタイプ(CD4+8−、CD4−8−、CD4−8+)がNODおよび対照NORマウスの双方に存在した。しかし、NODマウスではCD4−8+ DCサブタイプの割合および絶対数の双方が低下して、NODマウスの総DC数の値は全体的に若干減少した。
2つの系統における形質細胞様「プレDC」集団の値についても比較した。NODマウスは、通常のCD8+ DCに加えて形質細胞様プレDCの値も減少した。
NODマウスにおける自己免疫の発現は、一部には、休止状態の寛容原性DC数の全体的な減少、もしくは一つの特定のDCサブタイプの数の減少、または異なるDCサブタイプ間の割合の不均衡が原因であった。胸腺におけるDC(特にCD8α+ DC)数が減少すると、有効な中枢性免疫寛容が低下する可能性がある。末梢のCD8α+ DC数が減少すると、様々なメカニズムを介して有効な末梢性免疫寛容が低下する可能性がある。
Flt-3Lの投与によって、全リンパ系臓器における全体のDC値が著しく増加する。さらに、CD8− DCよりもCD8+ DCおよび形質細胞様DCが比較的大幅に増加する。この割合の変化は、マウスFlt-3L(mFlt-3L)を使用した場合に特に顕著であるが、mFlt-3Lが引き起こすDC全体の増加はヒトFlt-3L(hFlt-3L)よりも軽度であった。
従って、DC値がこのマウスの系統においても増強され得るかどうか、またDCサブセットの不均衡が改善され得るかどうかを調べるために、Flt-3L投与のNODマウスに対する効果について試験を行った。NODマウスは、Flt-3Lに対してC57BL/6マウスと同程度に反応した(表3)。(胸腺および脾臓を含めて)試験したすべてのリンパ系臓器において、DCが全般的に増加した。さらに、CD8+ DCおよび形質細胞様DCの値は示差的に増加して、投与マウスの場合、これらは無投与マウスに比して、もやは相対的に低い値ではなく、相対的に高い値であった。
実施例14
Flt-3L注射による糖尿病の防止
NODマウスにおけるDC全体の任意の欠乏、ならびにCD8+ DCおよび形質細胞様DCの任意の相対的欠乏がFlt-3L投与によって解決したことから、NODマウスにおける糖尿病の発生率に対するこれらの投与の影響について調べた。一連のNODマウスに対して50日齢の時点でhFlt-3L(1日当たり10μgを10日間)投与し、続いてマウスを345日齢まで観察した。それらを、生理食塩液の溶媒のみを注射した対応するNODマウスと注意深く比較した。さらに、対照NORマウスを同一投与計画に供して、Flt-3Lまたは生理食塩液対照のいずれかを投与した。週1回、尿試料についてケトン体の値を測定した。陽性の尿検査結果が得られた場合は血清検査を行い、血糖値が20mmol/リットルを超えたら糖尿病陽性と診断した。次に、病理学的検査に備えて、糖尿病マウスを屠殺して膵臓を採取した。数匹の対照マウスも病理学的検査のために屠殺した。
Flt-3L注射による糖尿病の防止
NODマウスにおけるDC全体の任意の欠乏、ならびにCD8+ DCおよび形質細胞様DCの任意の相対的欠乏がFlt-3L投与によって解決したことから、NODマウスにおける糖尿病の発生率に対するこれらの投与の影響について調べた。一連のNODマウスに対して50日齢の時点でhFlt-3L(1日当たり10μgを10日間)投与し、続いてマウスを345日齢まで観察した。それらを、生理食塩液の溶媒のみを注射した対応するNODマウスと注意深く比較した。さらに、対照NORマウスを同一投与計画に供して、Flt-3Lまたは生理食塩液対照のいずれかを投与した。週1回、尿試料についてケトン体の値を測定した。陽性の尿検査結果が得られた場合は血清検査を行い、血糖値が20mmol/リットルを超えたら糖尿病陽性と診断した。次に、病理学的検査に備えて、糖尿病マウスを屠殺して膵臓を採取した。数匹の対照マウスも病理学的検査のために屠殺した。
生理食塩液を投与したNODマウスに対するFlt-3L投与マウスにおける糖尿病の累積発生率から、合計で24匹のFlt-3L投与マウスおよび24匹の生理食塩液対照NODマウスにおいて、NODマウスのhFlt-3L投与の結果として糖尿病発生率が極めて顕著かつ長期に減少した。
NORマウスを用いた対照実験において、Flt-3L投与または対照のいずれにも、糖尿病になったマウスはいなかった。Flt-3L投与の結果として、死亡率もしくは病理学のその他の徴候の増加、または苦悩は見られなかった。
組織学的切片より、無投与NODマウスおよび糖尿病になったすべてのマウスにおいて自己免疫性の膵組織破壊、およびFlt-3L投与に伴うこの破壊の顕著な減少が確認された。保護されたFlt-3L投与マウスにおいてある程度の膵島炎(膵臓の単核細胞浸潤)が見られたが、β細胞の破壊は著しく抑制された。同様の膵島炎がNORマウスにおいて見られて、それらに糖尿病になったマウスはいなかった。
実施例15
Flt-3L投与の時期
Flt-3L投与は自己免疫性β細胞破壊の最終のエフェクター期を遮断することによって糖尿病を防止した可能性があり、さもなければもっと早期段階で初期の自己免疫性反応の発生の防止に作用した可能性がある。50日齢からの10日間の投与が、通常なら100日齢以降に発症する自己免疫性糖尿病を防止したという事実は、エフェクター期ではなく開始に対する作用を示唆した。このことを調べるために、Flt-3Lの超早期(20日齢)、50日齢または100日齢(最終の自己免疫性破壊が開始する直前)の投与の効果を比較した。
Flt-3L投与の時期
Flt-3L投与は自己免疫性β細胞破壊の最終のエフェクター期を遮断することによって糖尿病を防止した可能性があり、さもなければもっと早期段階で初期の自己免疫性反応の発生の防止に作用した可能性がある。50日齢からの10日間の投与が、通常なら100日齢以降に発症する自己免疫性糖尿病を防止したという事実は、エフェクター期ではなく開始に対する作用を示唆した。このことを調べるために、Flt-3Lの超早期(20日齢)、50日齢または100日齢(最終の自己免疫性破壊が開始する直前)の投与の効果を比較した。
hFlt-3Lの在庫がなかったため(世界的な問題)、これらの実験ではmFlt-3Lを使用した。これはDC値に対して抑制された効果を示し(hFlt-3Lにおける30倍に比して、12倍のDC増加)、糖尿病発生率に対する影響はより一過性であることが証明された。しかし、これによって、効果の時期に関するいくつかの重要な局面が試験可能となった。
20日齢から30日齢での投与は100日齢から200日齢までの糖尿病の発生率をある程度減少させたが、200日齢以降は糖尿病の発生率は減少しなかった;糖尿病の発症が遅延したのみであった。mFlt-3Lを50日齢で投与すると230日齢まで、特に120日齢から230日齢まで糖尿病の発生率が抑制されたが、この場合も同様に(かつhFlt-3Lとは対照的に)、この保護は永続的ではなく240日以降の累積発生率に差はなかった。mFlt-3Lを100日齢で投与すると糖尿病の初期発生率に対する影響はなく、170日〜250日齢に軽微な影響のみが認められたが、250日以降には累積発生率に対する影響が顕著であった。このように、mFlt-3Lを100日齢で投与しても既に自己免疫性破壊が進行しているマウスに対しては保護効果はなかったが、遅発性糖尿病のマウスに対しては強い保護を示した。全体的に見て、Flt-3L投与は、投与開始後80〜150日にその保護効果を示した。従って、その効果は自己免疫性反応の開始に対するものであると思われ、自己免疫性プロセスが一旦開始されると、β細胞破壊のエフェクター期に対しては効果がないと思われる。
当業者は、本明細書に述べられる発明が具体的に述べられる以外の変更および修正を受け入れる余地があることを認識するであろう。本発明はこのようなすべての変更および修正を含むことが理解されるべきである。本発明は、さらに本明細書において引用または記載されるすべての工程、特徴、組成物および化合物を個々にまたは一括して含み、任意の二つまたはそれよりも多い該工程または特徴のあらゆる組み合わせを含む。
Claims (27)
- 対象における自己免疫性疾患の発症を防止するための方法であって、Flt-3Lおよび/もしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはDCもしくは1つもしくは複数のそのサブタイプの値を選択的に増加させるFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの有効量を該対象に投与する段階を含む方法。
- 物質がFlt-3Lである、請求項1記載の方法。
- Flt-3Lおよび/もしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストがサイトカインと併用投与される、請求項1または2記載の方法。
- Flt-3Lおよび/もしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3LレセプターアゴニストがToll様レセプターリガンドと併用投与される、請求項2または3記載の方法。
- 併用投与が連続的投与である、請求項3または4記載の方法。
- 併用投与が同時投与である、請求項3または4記載の方法。
- 対象がヒト、ヒト以外の霊長類、家畜動物、実験動物、伴侶動物、捕獲野生動物または鳥類である、請求項1記載の方法。
- 患者がヒトである、請求項7記載の方法。
- Flt-3Lまたはその同族体がそれを投与される種と同一の種に由来する、請求項1記載の方法。
- Flt-3Lまたはその同族体がそれを投与される種と異なる種に由来する、請求項1記載の方法。
- 自己免疫性疾患が、活動性慢性肝炎、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性無酸素症、セリアック病、クローン病、クッシング症候群、皮膚筋炎、I型糖尿病、円板状エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性副腎萎縮、特発性血小板減少症、インスリン依存性糖尿病、ランバートン-イートン症候群、ルポイド肝炎、リンパ球減少症、複合性結合織疾患、多発性硬化症、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫性症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、レイノー病、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、慢性関節リウマチ、シュミット症候群、強皮症-クレスト、シェーグレン症候群、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺中毒症、B型インスリン抵抗性、潰瘍性大腸炎およびヴェゲナー肉芽腫症である、請求項1記載の方法。
- 自己免疫性疾患が糖尿病である、請求項11記載の方法。
- 対象における寛容原性を調節し、または癌もしくは病原性物質に対する免疫応答のレベルを増強する方法であって、該対象にFlt-3Lもしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3Lレセプターアゴニストの有効量を投与する段階を含む方法。
- 物質がFlt-3Lである、請求項13記載の方法。
- Flt-3Lおよび/もしくはその誘導体、同族体、化学的類似体、模倣物質、化学機能的同等物質、またはFlt-3-Flt-3LレセプターアゴニストがToll様レセプターリガンドと併用投与される、請求項13または14記載の方法。
- 併用投与が連続的投与である、請求項14または15記載の方法。
- 併用投与が同時投与である、請求項14または15記載の方法。
- 対象がヒト、ヒト以外の霊長類、家畜動物、実験動物、伴侶動物、捕獲野生動物または鳥類である、請求項13記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項18記載の方法。
- Flt-3Lまたはその同族体がそれを投与される種と同一の種に由来する、請求項13記載の方法。
- Flt-3Lまたはその同族体がそれを投与される種と異なる種に由来する、請求項13記載の方法。
- 癌の治療における、請求項13記載の方法。
- 癌がABL1プロトオンコジーン、エイズ関連性の癌、聴神経腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞癌、副腎皮質癌、突発性骨髄様化生、脱毛症、胞状軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、形成不能性貧血、星状細胞腫、毛細血管拡張運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNS腫瘍、乳癌、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頚癌、小児の脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児の軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞性リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、腺管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、脳室上衣細胞腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼の癌、眼の黒色腫、網膜芽腫、ファロピウス管癌、ファンコニー貧血、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、消化器癌、消化管カルチノイド腫瘍、泌尿生殖器癌、生殖細胞の腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科系の癌、血液学的な悪性腫瘍、毛様細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒト乳頭腫ウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭の癌、眼球内黒色腫、島細胞癌、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞-組織球症、喉頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、腎黄紋筋肉腫様腫瘍、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔癌、多発性内分泌新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、ミエローマ、骨髄増殖性疾患、鼻部癌、鼻咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽腫、神経線維腫症、ナイミーヘン染色体不安定症候群、メラノーマ以外の皮膚癌、肺非小細胞癌(NSCLC)、眼球癌、食道癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、オストミー卵巣癌、膵癌、副鼻腔癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢性神経外胚葉腫瘍、下垂体癌、真性多血症、前立腺癌、稀な癌および関連疾患、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ロスムンド-トムソン症候群、唾液腺癌、肉腫、シュワン細胞腫、セザリー症候群、皮膚癌、肺小細胞癌(SCLC)、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌(膀胱)、移行細胞癌(腎-腎盂/尿管)、栄養膜癌、尿道癌、尿路系癌、ウロプラキン、子宮肉腫、子宮癌、腟癌、外陰部癌、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍である、請求項22記載の方法。
- 病原性物質に惹起される自己免疫性疾患の予防における、請求項22記載の方法。
- 自己免疫性疾患が、活動性慢性肝炎、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性無酸素症、セリアック病、クローン病、クッシング症候群、皮膚筋炎、I型糖尿病、円板状エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性副腎萎縮、特発性血小板減少症、インスリン依存性糖尿病、ランバートン-イートン症候群、ルポイド肝炎、リンパ球減少症、複合性結合織疾患、多発性硬化症、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫性症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、レイノー病、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、慢性関節リウマチ、シュミット症候群、強皮症-クレスト、シェーグレン症候群、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺中毒症、B型インスリン抵抗性、潰瘍性大腸炎およびヴェゲナー肉芽腫症である、請求項24記載の方法。
- 自己免疫性疾患が糖尿病である、請求項25記載の方法。
- 自己免疫性疾患がウイルス誘発性糖尿病である、請求項26記載の方法。
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