JP2007515422A - 糖尿病性網膜症および黄斑変性における結晶腔形成の処置のための薬剤 - Google Patents

糖尿病性網膜症および黄斑変性における結晶腔形成の処置のための薬剤 Download PDF

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Abstract

Nrf2タンパク質の核移行、および細胞傷害性代謝産物を解毒および除去する遺伝子産物の引き続く増加を刺激する薬剤が、糖尿病性網膜症、または加齢性黄斑変性における結晶腔形成を処置する方法において提供される。Nrf2/ARE経路に作用する、構造的に多様な薬剤は、化学的に多様な細胞保護特性を有する酵素およびタンパク質の発現を誘導し、そして毒性代謝産物および生体異物に対する防御となる。薬剤としては、特定の求電子物質および抗酸化剤(例えば、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ゲニステイン以外のフラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン)、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログが挙げられる。

Description

(発明の分野)
本発明は、糖尿病性網膜症および加齢性黄斑変性における結晶腔の形成のための予防薬剤および治療剤
の分野に関する。
(発明の背景)
糖尿病性網膜症は、血管を裏打ちする細胞における変化に起因して、糖尿病に発達する眼の疾患である。糖尿病におけるように、グルコースのレベルが高い場合、グルコースは多数の方法で損傷の原因となり得る。例えば、グルコース、またはグルコース代謝物は、タンパク質のアミノ酸基に結合して、組織の損傷につながる。さらに、過剰なグルコースがポリオール経路に入り、結果としてソルビトールの蓄積を引き起こす。網膜の細胞はソルビトールを代謝し得ず、そしてソルビトールは、高い細胞内浸透圧、細胞内水腫、障害性拡散、組織の低酸素症、毛細血管細胞損傷、および毛細血管の弱体化の一助となり得る。糖尿病性網膜症は、毛細血管基底膜の肥厚に関与し、そして周皮細胞が毛細血管の内皮細胞へ接触するのを防ぐ。周皮細胞の減少は、毛細血管の漏れを増加させ、そして血液網膜関門の崩壊につながる。弱体化された毛細血管は、動脈瘤の形成およびさらなる漏れにつながる。高血糖のこれらの効果はまた、網膜における神経機能を害し得る。これが、非増殖性糖尿病性網膜症と呼ばれる糖尿病性網膜症の初期ステージである。
網膜毛細血管は、糖尿病において閉塞され得、網膜中の虚血の領域の原因となる。灌流されない組織は、現存する血管からの新たな血管の増殖誘発(新脈管形成)によって応答する。新たな血管は脆弱であり、そして眼に血液を漏出しがちであるので、これらの新たな血管はまた、失明(増殖性糖尿病性網膜症と呼ばれる状態)の原因となり得る。
報告によれば、ゲニステイン(ダイズに見られるイソフラボノイド)の経口投与は、実験的に誘導された糖尿病のラットにおいて網膜血管の漏れを減少させる(非特許文献1)。報告によれば、特許文献1として公開された、Gao,X.らに対するPCT特許出願第PCT/US02/40457号、ヒト網膜色素上皮細胞において、スルホラファン(sulforaphane)によるフェーズII解毒酵素の誘導を提供する。しかし、上皮細胞は血管内皮細胞とは異なり、そして内皮細胞による特定の治療剤への生物学的応答は、上皮細胞の生物学的応答から予測され得ない。
ヒト糖尿病における良好な糖血症制御を維持することの難しさを考えると、網膜毛細血管細胞および網膜神経の損傷を阻害するか、または遅延する薬剤の開発は、糖尿病性網膜症において生じる初期の細胞性損傷を減少させる手段を提供する。
黄斑変性は、高い明瞭度の視力を担う中央網膜の部分(網膜黄斑と呼ばれる)における、光受容体の減少である。加齢性黄斑変性(AMD)は、「乾燥した」または「湿った」のいずれかとして記載される。湿った、滲出性の、新生血管の形態のAMDは、AMDを有する人の約10%に発症し、そして、網膜色素上皮(RPE)を通って増殖する異常な血管によって特徴付けられ、結果として、出血、滲出、瘢痕、または漿液性網膜剥離を引き起こす。AMD患者の90%は乾燥した形態を有し、これは網膜色素上皮の萎縮、および黄斑光受容体の減少により特徴付けられる。現在、AMDのいずれの形態に対しても治療法は無いが、減衰についてのいくらかの成功が、光ダイナミック療法で得られている。
結晶腔(ドルーセン)は、RPEの下に、加齢とともに蓄積する残骸様物質である。結晶腔は、眼底検査を用いて観察される。正常な眼は結晶腔を有さない黄斑を有し得るが、しかし結晶腔は網膜末梢に豊富であり得る。黄斑における軟らかい結晶腔の存在は、黄斑の視力のいかなる減少も無く、AMDの初期ステージと考えられる。結晶腔は、様々な脂質、多糖類、およびグリコサミノグリカンを、いくつかのタンパク質、改変されたタンパク質、またはタンパク質付加物とともに含む。
報告によれば、Crabb,J.W.ら(非特許文献2)は、正常ドナーの眼およびAMDドナーの眼から単離された結晶腔のプロテオーム解析を提供する。報告によれば、培養されたヒトRPE細胞の化学的酸化剤からの保護は、オルチプラッツ(oltipraz)、ジチオールエチオン(dithiolethione)(非特許文献3)、スルホラファン、イソチオシアネート(非特許文献4)、およびジメチルフマレート(非特許文献5)によって提供される。しかし、これらの参考文献からは、このような処置によって結晶腔形成が影響されることのいかなる示唆も提供されない。
国際公開第03/051313号パンフレット Invest Ophthalmol Vis Sci、2001、42、2110−2114 Crabb,J.W.ら、Proc Natl Acad Sci 99:23、14682−14687 Invest Ophthalmol Vis Sci、2002、43、3550−3554 Proc Natl Acad Sci、2001、98、15221−15226 Prog Ret Eye Res、2000、19、205−221
結晶腔形成を扱い、それによってAMDの進行性質を管理する、一般的に受け入れられている治療的方法は存在しない。健康および福祉におけるAMDの影響、および先行する処置の方法の不備を鑑みて、初期ステージのAMD、特に結晶腔沈着の形成を扱う、改善された処置の方法を有することが望ましい。
(発明の要旨)
本発明によれば、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する、遺伝子産物のその後の増加は、糖尿病性網膜症に起因する網膜血管損傷および神経損傷の遅延または防止に、保護効果または治療効果を提供する。このような薬剤はまた、黄斑変性に付随する結晶腔沈着の形成に阻害的効果を提供する。本明細書中で使用される場合、「Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性」とは、Nrf2の利用可能性または核への輸送を増強する薬剤を意味する。Nrf2タンパク質の核への移行は、細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物の発現のその後の増加を可能にする。
本発明の方法は、被験体において、糖尿病性網膜症を処置する方法を提供し、この方法は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、被験体に投与する工程を包含する。被験体は、糖尿病性網膜症もしくは結晶腔形成を発症する危険があり得るか、または、糖尿病性網膜症もしくは結晶腔形成の症状を有し得る。Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する本発明の薬剤は、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ゲニステイン以外のフラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン(ethoxyquin)、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含み得る。1つの実施形態において、この薬剤は、イソチオシアネート(例えば、スルホラファン)またはその薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む。別の実施形態において、この薬剤は、1,2−ジチオール−3−チオン(例えば、オルチプラッツ)またはその薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む。
本発明の方法はさらに、被験体の網膜下結晶腔形成を阻害する方法を提供し、この方法は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含む、有効量の組成物を被験体に投与する工程を包含する。この薬剤は、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む。
本発明のさらなる実施形態は、被験体における糖尿病性網膜症に対する、試験薬剤の治療応答を予測する方法であり、ここでこの試験薬剤はNrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する。この方法は、網膜細胞の第一のサンプルを酸化ストレスに曝露する工程、網膜細胞の第二のサンプルを、試験薬剤と併せて酸化ストレスに曝露する工程;そして、曝露された第一のサンプルに由来する生細胞数を、曝露された第二のサンプルに由来する生細胞数と比較する工程を包含する。第二サンプルに由来する生細胞数が、第一のサンプルに由来する生細胞数より多い場合、この試験薬剤は、被験体における糖尿病性網膜症に治療反応を提供することが予測される。
Nrf2タンパク質の核移行、および細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物の発現のその後の増加を刺激する薬剤の投与は、眼内注射、徐放性送達デバイスの移植、または局所投与、経口投与、鼻腔内投与、全身性注射、あるいは他の全身性投与によってであり得る。
本発明の方法のさらなる実施形態において、糖尿病性網膜症または結晶腔形成を患う被験体が診断され、そして本発明の別の実施形態において、被験体は糖尿病性網膜症または結晶腔形成の症状を有する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤の、糖尿病性網膜症、および加齢性黄斑変性における結晶腔の形成を処置する方法としての使用に関する。
用語「糖尿病性網膜症を処置する」とは、本明細書中で使用される場合、糖尿病性網膜症またはその症状の発症を遅延もしくは予防するか、その進行を抑制するか、または、その効果を軽減することを意味する。Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激することは、糖尿病状態における網膜毛細血管および網膜のニューロンの保護のために提供される。
用語「結晶腔形成を処置する」とは、本明細書中で使用される場合、網膜下領域に存在する結晶腔の発症を遅延もしくは予防するか、その進行を抑制するか、または、その効果を軽減することを意味する。Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞障害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激することは、結晶腔形成を処置することによる黄斑の保護のために提供される。
Nrf2の核移行は、特定の求電子物質および酸化物質に曝露された細胞において誘導される。Nrf2の核移行により誘導された遺伝子は、求電子物質に対する保護を増強し、そして損傷を受けたタンパク質の修復または分解を促進する、解毒酵素を生じる。これらの酵素の誘導は、転写レベルで調節され、この酵素をコードする遺伝子のプロモーターに見られる、特定のエンハンサー(抗酸化物質応答エレメント(antioxidant response element)すなわちARE)により媒介される。AREの配列の前後関係、化学誘発物質の性質、および細胞型は、特定の遺伝子におけるエンハンサーの活性に影響を与える。
転写因子であるNrf2は、NF−E2転写因子ファミリーのメンバーであり、抗酸化物質応答エレメント(ARE)媒介性の遺伝子発現をアップレギュレートすることを担っている。Nrf2は、プロモーターのARE(抗酸化物質応答エレメント)領域に結合することによって遺伝子発現を誘導し、恒常的に、または、酸化ストレスシグナルに応答して、遺伝子の転写を活性化する。通常の条件下では、Nrf2は、リプレッサータンパク質Keap1(アクチン細胞骨格に係留された細胞質タンパク質)により結合されて、細胞質中に存在すると考えられる。理論に束縛されることは望まないが、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤は、Nrf2との相互作用のために、細胞質ゾル因子Keap1のシステインリッチな介在領域と競合し得ると考えられる(Dinkova−Kostova,A.T.ら,Proc Natl Acad Sci,USA,99:11908−11913(2002))。特定の化合物(例えば、スルホラファン)によるNrf2−Keap1複合体の分裂は、Nrf2を遊離して、核へと移行させ得、核において、Nrf2は、遺伝子のARE領域において他の転写因子(すなわち、Maf、c−Junなど)とヘテロ二量体化して、AREが調節する遺伝子発現の誘導をもたらし得る。
このNrf2/ARE経路により発現される酵素およびタンパク質は、化学的に可変性の細胞保護的な特性を有し、そして、これらは、毒性の代謝産物および生体異物に対する防御となる。Nrf2/ARE経路を通って発現されることが知られている酵素およびタンパク質としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ、NADP(H)キノンオキシドレダクターゼ、γ−グルタミルシステインシンテターゼ、シャペロン/ストレス応答タンパク質、およびユビキチン/プロテアソームタンパク質が挙げられる。
Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤としては、例えば、以下が挙げられる:
マイケル付加アクセプター(例えば、α,β−不飽和カルボニル化合物)(例えば、マレイン酸ジエチルまたはフマル酸ジメチル);
ジフェノール(例えば、レスベラトール(resveratrol))、
ブチル化ヒドロキシアニソール(例えば、2(3)−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール)、
チオカルバメート(例えば、ピロリジンジチオカルバメート)、
キノン(例えば、tert−ブチル−ヒドロキノン)、
イソチオシアネート(例えば、スルホラファン、その前駆体であるグルコシノレート、グルコラファニン、またはフェネチルイソチオシアネート(PEITC))、
1,2−ジチオール−3−チオン(例えば、オルチプラッツ)、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、
エトキシキン、
クマリン(例えば、3−ヒドロキシクマリン)、
フラボノイド(例えば、結晶腔形成の処置のために、ケルセチンまたはクルクミン、糖尿病性網膜症の処置のために、ゲニステイン以外のフラボノイド(例えばケルセチンまたはクルクミン))、
硫化ジアリル、
インドール−3−カルビノール、
没食子酸エピガロ−3−カテキン、
エラグ酸、
これらの組み合わせ、または、これらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログ。
マイケル(Michael)アクセプターは、電子吸引基に隣接するアルケンを有する分子である。電子吸引基は、通常、カルボニルであるが、ニトリル基またはニトロ基でもあり得る。化学的な多様性により、これらの化合物は、求電子物質であり、そして、求核性のスルフヒドリル基と反応する能力を有する。「その薬理学的に活性な誘導体」とは、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する上記の化合物のいずれかに構造的に関連し、そこから誘導可能な薬剤であり、そして、例えば、そのエステル、アミドもしくは塩であり得る。「その薬理学的に活性ナアナログ」とは、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する上記化合物のいずれかに構造的に類似するが、例えば、異なる元素の1原子での1原子の置き換え、または、特定の官能基の存在のような、組成においてわずかに異なる薬剤である。1つの実施形態において、本発明は、糖尿病性網膜症または加齢性黄斑変性に関連する結晶腔形成の処置方法において、スルホラファン、オルチプラッツ、その薬理学的に活性なアナログ、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
スルホラファン(製品番号S6317,Sigma−Aldrich)は、例えば、キノンレダクターゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびグルタチオンレダクターゼを誘導することが知られている。酵素の誘導は、ヒト成人の網膜色素上皮細胞(Zhang,Y.ら,Proc Natl Acad Sci,USA,89:2399−2403(1992))を含む、種々の細胞株において観察されている。スルホラファンアナログとしては、例えば、6−(イソチオシアナト−2−ヘキサノン)、エキソ−2−アセチル−6−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−(イソチオシアナト−6−メチルスルホニルノルボルナン)、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノール、1−(イソチオシアナト−4−ジメチルホスホニルブタン、エキソ−2−(1−ヒドロキシエチル)−5−)イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−アセチル−5−イソチオシアナトノルボルナン、1−(イソチオシアナト−5−メチルスルホニルペンタン)、シス−3−(メチルスルホニル)(シクロヘキシルメチルイソチオシアネート)およびトランス−3−(メチルスルホニル)(シクロヘキシルメチルイソチオシアネート)が挙げられる。
用語「酸化ストレス」とは、本明細書中で使用される場合、反応性活性酸素種(ROS)(例えば、スーパーオキシドラジカル、水酸化イオンラジカル、過酸化水素、一重項酸素、または脂質過酸化物)のレベルの上昇をもたらす試薬に対する曝露を意味する。酸化ストレスは、ROSの産生を促進する生理学的条件を誘導することによって、および細胞性抗酸化系の損傷によって達成され、これは、実験的な糖尿病のラットにおいて、実験的なガラクトース血症のラットにおいて、Nrf2欠失マウスにおいて、および一連の加齢プロセスとして示された。
細胞培養系において、酸化ストレスはまた、ROSの産生または添加によって、あるいは抗酸化系の阻害によっても誘導される。例えば、過酸化水素およびt−ブチルヒドロペルオキシドが培養培地に添加され得る。メナジオンが添加されて、スーパーオキシドの供給源を提供し得る。4−ヒドロキシノネナルは脂質過酸化の最終産物であり、培地中に含まれ得て、そして、スーパーオキシドの存在下において一酸化窒素ドナーから過酸化亜硝酸が産生され得る。ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミンは、重要な細胞性抗酸化剤であるグルタチオンの生合成を阻害する。さらに、高グルコース下または高度なグリコシル化最終産物の存在下にて維持された細胞は、内因性ROSの生成を増加させる。
さらに、虚血性低酸素症および再灌流が、動物モデル、ならびに細胞培養系および器官培養系の双方において用いられて、例えば生物学的系への酸化ストレスを負わせ得る。
用語「網膜細胞」とは、本明細書中で使用される場合、例えば、上皮細胞、ニューロン、グリア、または周皮細胞を含み得る。
(投与様式)
本発明の薬剤は、当業者に周知の技術を用いて、眼に直接(例えば:局所用の眼ドロップまたは眼軟膏;盲嚢内の、または強膜の近くもしくは眼内に移植された、遅延放出デバイス;眼周囲注射、結膜注射、テノン嚢下注射、前房腔内(intracameral)注射、硝子体内注射、または小管内注射)、または、全身性(例えば:経口、静脈内注射、皮下注射または筋肉内注射;非経口送達、経皮送達または鼻腔内送達)に送達され得る。本発明の薬剤は、眼内挿入物または眼内移植デバイス内に処方され得ることがさらに企図される。
(被験体)
本明細書中で記載される、糖尿病性網膜症または結晶腔形成について処置される被験体は、糖尿病性網膜症、または加齢性黄斑変性につながる結晶腔形成を発症する危険のあるヒトまたは別の動物であっても、糖尿病性網膜症、または加齢性黄斑変性に関連する結晶腔形成の症状を有するヒトまたは別の動物であってもよい。
(処方および投薬量)
本発明の薬剤は、適切な眼科用キャリア中の、溶液、懸濁液またはエマルジョン(分散剤)として投与され得る。以下は、本発明により実施される可能な処方の例である。
Figure 2007515422
Figure 2007515422
Figure 2007515422
Figure 2007515422
さらなる実施形態において、眼科用組成物は、約0.1〜100ナノモル濃度(nM)の眼内濃度であるか、または、さらなる実施形態においては、1〜10nMの眼内濃度で提供されるように処方される。20μMまでのピーク血漿濃度が、全身投与について達成され得る。局所用組成物は、当業者の慣用的な指示に従って、1日1〜4回、眼の表面に送達される。処方物のpHは、4〜9、または4.5〜7.4であるべきである。全身用処方物は、例えば、約10mg〜1000mg、約10mg〜500mg、約10mg〜100mg、または125mgまでの、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤を含み得る。
「有効量」とは、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激し得る薬剤の量をいう。このような遺伝子発現の誘導は、反応性の求電子物質の毒性および他の毒性代謝産物に対する防御を提供する。従って、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤は、細胞傷害性に対する防御のために提供される。このような保護は、糖尿病性網膜症、または加齢性黄斑変性における結晶腔形成を発症する危険のある被験体における、症状の発症を遅延または防止する。処方物の有効量は、例えば、被験体の年齢、種族および性別、あるいは網膜症の重篤度、または結晶腔形成の度合いのような要因に依存し得る。1つの実施形態において、薬剤は、眼に局所的に送達され、治療用量で網膜または結晶腔に達し、それにより、糖尿病性網膜症または結晶腔形成のプロセスを寛解させる。
正確なレジメンは、臨床医の裁量に委ねられるが、得られる溶液は、好ましくは、1日に1〜4回、各眼に各溶液を1滴入れることによるか、または臨床医により指示されるように投与される。
(受容可能なキャリア)
眼科的に受容可能なキャリアは、眼への刺激がせいぜいほとんど〜全く生じず、必要な場合、適切な保存を提供し、そして、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する、本発明の1種以上薬剤を、均質な投薬形態で送達するキャリアである。眼科用の送達について、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤は、眼科的に受容可能な保存料、共溶媒、界面活性剤、増粘剤(viscosity enhancer)、浸透増強剤(penetration enhancer)、緩衝液、塩化ナトリウム、または水と組み合わせて、水性の滅菌眼科用懸濁液、溶液、または粘性もしくは半粘性のゲル、または、他の型の固形もしくは半固形の組成物(例えば、軟膏)を形成し得る。眼科用の溶液処方物は、生理学的に受容可能な等張水溶性緩衝液中にこの薬剤を溶解することによって調製され得る。さらに、眼科用溶液は、薬剤の溶解を補助するために、眼科的に受容可能な界面活性剤を含み得る。粘性成形化合物(viscosity building compound)(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)が、化合物の保持を改善するために、本発明の組成物に添加され得る。
滅菌眼科用軟膏処方物を調製するために、Nrf2タンパク質の核移行、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤は、適切なビヒクル(例えば、鉱油、液体ラノリン、または白色ワセリン)中で、保存剤と組み合わされる。滅菌眼科用ゲル処方物は、他の眼科用処方物についての当該分野で公知の方法に従って、例えば、CARBOPOL(登録商標)−940(BF Goodrich,Charlotte,NC)などの組み合わせから調製した親水性基材中にこの薬剤を懸濁することによって調製され得る。例えば、VISCOAT(登録商標)(Alcon Laboratories,Inc.,Fort Worth,TX)は、眼内注射のために使用され得る。本発明の薬剤が、眼にあまり浸透しない場合には、本発明の他の組成物は、浸透増強物質(例えば、CREMOPHOR(登録商標)(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)およびTWEEN(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート,Sigma Aldrich))を含有し得る。
(実施例1 Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤)
脈管内皮細胞(例えば、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC,VEC Technologies,Rensselaer,NY)を使用して、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤を決定する。例えば、コンフルエントな単層のウシ大動脈内皮細胞を、1%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地中で24時間まで候補薬剤に曝露する。Buckley,B.J.ら(Biochem Biophys Res Commum,307:973−979(2003))に記載されるように、細胞の溶解物、細胞質抽出物および核抽出物を調製し、イムノブロッティングを行い、定量する。次いで、薬剤なしの対照細胞と比較して、核の分画において検出されるNrf2の量を増加する薬剤を、実施例2に示すような高血糖模倣内皮細胞において、活性を試験する。
(実施例2 高血糖を模倣する細胞の保護)
高血糖を模倣する条件下で培養したウシ網膜内皮細胞(BREC)を、Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤と合わせ、次いでこの曝露した細胞を、例えば以下に記載するように、脂質過酸化物の形成の程度を測定することで、または細胞間細胞接着分子−1(ICAM−1)の発現レベルを測定することでか、高血糖の効果の保護について試験する。薬剤を含まないコントロールの培養物と比較して、試験培養物において、脂質過酸化物の程度がより低いこと、またはICAM−1の発現レベルがより低いことは、その薬剤が高血糖の効果からの保護を提供することを示す。
(脂質過酸化物の形成についてのアッセイ)
単離したウシ網膜微小血管内皮細胞(BRMEC、VEC Technologies、Rensselaer、NY)を、Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤で処理、または前処理する。この薬剤は必要に応じて除く。処理した細胞を、その薬剤への曝露に先立って、その間に、またはその後のいずれかに、培養物中において25mMのD−グルコースに、10日間まで曝露する。細胞中での脂質過酸化物の形成を、市販されるキット(Lipid Hydroperoxide Assay Kit カタログ番号705002、Cayman Chemical Co.、Ann Arbor、MI)を用いて測定し、そして正常な(5mM)D−グルコースに曝露した細胞において観察される脂質過酸化物の形成と比較する。この薬剤に曝露しない細胞と比較して、この薬剤に曝露した細胞における脂質過酸化物の形成の度合いがより少ないことは、この薬剤が高血糖の効果からの保護を提供し、そしてこの薬剤が糖尿病性網膜症の処置に有用であることを示す。
(乳酸脱水素酵素活性を用いた、酸化剤に対する保護のアッセイ)
単離したBRECを、Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤で処理、または前処理する。この処理した細胞を、酸化剤のストレス(例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド(0.5mM以下)またはメナジオン(0.25mM以下))に、例えば24時間まで曝露する。細胞生存性を、この薬剤に曝露していない細胞と比較して、この薬剤に曝露した培養物中の、細胞溶解によって培養培地中に放出された乳酸脱水素酵素(LDH)活性、および/または生存細胞に残存するLDH活性を測定することで、決定する。この薬剤に曝露していないコントロールの培養物と比較して、培地中へのLDHの放出量がより低いことは、細胞の生存、この薬剤が酸化剤の効果からの保護を提供すること、およびこの薬剤が糖尿病性網膜症の処置に有用であることを示す。
(ICAM−1レベルのアッセイ)
単離したBRECを、Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤で処理、または前処理する。高血糖のインビトロモデルとして、この処理した細胞を、メチルグリオキサル(MG)および/またはMG−改変したBSAに曝露し、ここで、この高血糖モデルにおいて、高血糖の結果として、細胞間細胞接着分子−1(ICAM−1)の発現の増加が起きる。増加したICAM−1レベルは、白血球の脈間内皮への接着(白血球停滞)を促進し、そして毛細血管の不灌流(nonperfusion)につながる。BioVendorから市販される抗ICAM−1抗体(Brno、Czech、Republic;Heidelberg、Germany、カタログ番号RE 11228C100、クローンMEM−111由来の抗ICAM−1モノクローナル抗体)、またはZymed Laboratoriesから市販される抗ICAM−1抗体(South San Francisco、CA;MY−13モノクローナル抗ICAM−1、Burasら、Am J Cell Phys 278:C292−C302(2000))を用いた、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、ICAM−1のレベルを測定する。薬剤に曝露されないコントロールの培養物と比較して、ICAM−1のレベルがより低いことは、この薬剤が高血糖の効果からの保護を提供し、そしてこの薬剤が糖尿病性網膜症の処置に有用であることを示す。
上記のアッセイにおいて、Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤(例えば、スルフォラファン、オルチプラッツ、または他のNrf2経路誘導物質)は、高血糖状態または酸化ストレスに対する処置または前処置として、提供され得る。
(実施例3 Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤の、インビボの保護効果)
Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤を受ける、ストレプトゾトシンで誘導された糖尿病のラットにいて、網膜血管の透過性を試験し、そして、この薬剤を受けないそのラットにおける網膜血管の透過性と比較する。この方法は、Nakajima,Mら(Investigative Ophthalmology & Visual Sicience 42:9、2001年8月、2110〜2114頁)から改変する。手短に言うと、非糖尿病性コントロール群のラット、糖尿病性コントロール群のラット、およびNrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤を受ける、糖尿病性群のラットを、灌流後の細胞外空間におけるアルブミンを見ることで、網膜血管の透過性について分析する。糖尿病を、ストレプトゾトシンの注射によって誘導する。網膜血管の透過性を、血管外に遊出したアルブミンのウェスタンブロット分析を用いて測定する。網膜ホスホチロシンのレベル、および核内増殖抗原(PCNA)もまた、ウェスタンブロット分析によって評価され得る。糖尿病性コントロール群のラットと比較して、この薬剤で処理した糖尿病性群のラットにおいて、透過性のレベルがより低いこと、すなわち細胞外に遊出したアルブミンがより少ないことは、この薬剤が高血糖の効果からの保護を提供し、そしてこの薬剤が糖尿病性網膜症の処置に有用であることを示す。
(実施例4 Nrf2タンパク質の核移行を刺激する活性を有する薬剤による、結晶腔形成の阻害)
ARPE−19細胞株(ATCC CRL−2502)に由来する、培養されたヒト網膜色素上皮(RPE)細胞を、Nrf2の核移行を刺激する薬剤で処理する。この薬剤による処理は、酸化ストレス状態へのRPE細胞の曝露に先行し得るか、または同時に行い得る。この酸化ストレスを、インキュベート培地中で、7日間まで、t−ブチルヒドロペルオキシド(ICN Biomedicals、Irvine、CA)、メナジオン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)、またはS−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン(SNAP、Sigma−Aldrich)、あるいはこれらの薬剤の組み合わせの包含によって産生する。培養培地へのブチオニンスルホキシイミン(Sigma−Aldrich)の包含による、グルタチオン生合成における律速酵素(γ−グルタミルシステイン合成酵素)の阻害を、単独で、または他の上記の薬剤との組み合わせで用いる。処理の過程の間に、定量的イムノアッセイを行って、マロンジアルデヒド(MDA)、4−ヒドロキシノネナル(HNE)、ニトロチロシン、および、糖化最終産物(AGE)のRPE細胞性タンパク質への改変の形成をモニターする。これらのアッセイは、抗MDA抗血清、および抗HNE抗血清(Alpha Diagnostics、San Antonio、TX)、抗AGE抗体(Wako Chemicals、Richmond、VA)、および抗ニトロチロシン抗体(Upstate Biotechnology、Lake Placid、NY)を用いる。この薬剤に曝露しない細胞と比較して、この薬剤に曝露した細胞における、1つ以上のタンパク質改変のレベルの減少は、抗酸化酵素および抗酸化タンパク質、ならびにフェーズIIの解毒酵素をコードする遺伝子の発現の増加に起因する、タンパク質改変の形成阻害、または結晶腔に見られる付加生成物の形成阻害を示す。
(実施例5 インビトロの酸化ストレスのアッセイ;ケルセチン前処理の保護効果)
本実施例は、培養された網膜内皮細胞を酸化ストレスに曝露し、ケルセチンによる前処理の保護効果を評価する研究を提供する。さらに、本実施例は、非増殖性糖尿病性網膜症における治療効果について、化合物をスクリーニングするアッセイ系を提供する。
ウシ網膜内皮細胞(BREC)(VEC Technologies、Rensselaer、NY)を、MCDB−131完全培地(VEC Technologies、Rensselaer、NY)中において、5%CO内で、37℃において、フィブロネクチン(50mg/ml)でコートしたプラスチック製の器物上で培養した。無血清培地(SFM)条件のために、5ml/500mlでの100×抗生物質/抗真菌剤、10mMのL−グルタミン、および0.1%のBSA(全て、Life Technologies Inc.、Grand Island、NYから入手)を補った、MCDB−131を用いた。
10,000細胞/ウェルでBRECを播種し、そして完全培地(10%ウシ胎仔血清(FBS))中で、0.2ml/ウェルにて、3日間、接着させ、そして培養した。次の24時間を、この完全培地を、25μMのケルセチン、100μMのDL−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン(BSO、Sigma、St.Louis、MO)、および0.1%のDMSOを同時に加えたSFMで置換した。翌日、全ての培地を、0〜500μMのt−ブチルヒドロペルオキシド(ICN Biomedicals、Irvine、CA)を含むSFM(0.1ml/ウェル)で置換した。5%のCO内で、37℃での4時間のインキュベート後、Promega CellTiter 96(登録商標)AQueous 非放射性細胞増殖アッセイキット(Promega Corporation、Madison、WI)から入手した、20部分のMTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内部塩)および1部分のPMS(フェナジンメトスルフェート(phenazine methosulfate))の混合物を20μl添加することで、アッセイを開始した。このプレートを3時間恒温器に戻し、次いで、ブランクの平均の減算から得た正味の490nmにおける吸収を記録して、そして生存細胞のレベルの測定として用いた。
1条件あたり6ウェルを用い、このアッセイを3回行った。吸収値を、t−ブチルヒドロペルオキシドを含まないコントロールのウェルが100%に等しいように規格化し、そして3回のアッセイからのデータをプールした。全体的な統計的差異を、処理群の間に見出した(図を参照のこと;分散分析、P<0.05)。図のデータに示すように、t−ブチルヒドロペルオキシドへの曝露は、結果として、全ての濃度において細胞生存性の有意な減少を引き起こした。さらに、ケルセチン単独による前処理から、各々のt−ブチルヒドロペルオキシド濃度についてのコントロール群における生細胞数と比較して、より高い生細胞数を得た。BSO単独による前処理は、細胞生存性への効果を全く有さなかったが、しかし全てのt−ブチルヒドロペルオキシド濃度の毒性を、有意に亢進した。ケルセチンおよびBSOの組み合わせの前処理は結果として、100μMのt−ブチルヒドロペルオキシド曝露群は除いて、ケルセチン単独による前処理で見られたものと同じ細胞生存性を得た。この群においては、組み合わせの前処理は、細胞生存性を部分的にしか、回復しなかった。
本研究において、BSO前処理は、引き続くt−ブチルヒドロペルオキシドへの曝露の毒性を亢進した。t−ブチルヒドロペルオキシドはグルタチオンペルオキシダーゼによって大きく除かれるので、そしてBSOは、グルタチオン生合成における律速酵素であるγ−グルタミルシステイン合成酵素を阻害するので、この結果は予測されたものである。ケルセチンは、γ−グルタミルシステイン合成酵素の触媒作用サブユニットのプロモーターをトランス活性化することで、グルタチオンのレベルを増加させることが報告されている(Myhrstadら、2002、Free Radical Biology and Medicine、32:386−393)。ケルセチンおよびBSOの組み合わせた前処理による、BSOの毒性亢進の減少は、Nrf2/ARE経路を解した酵素の発現を通してケルセチンが抗酸化剤効果を有する機構と一致する。
本明細書中に列挙される参考文献は、これらが、本明細書中に示されるものに対して例示的な手順または他の詳細な補足を提供する程度まで、具体的に参考として援用される。
当業者は、本開示を踏まえ、本明細書中に開示される実施形態の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解する。本明細書中に開示される実施形態のすべては、本開示を踏まえて、過度の実験をすることなしに作製かつ実行され得る。本発明の全内容は、本開示およびその等価な実施形態に示される。本明細書は、本発明が権利を与えられる保護の全範囲を不当に狭くするものとして解釈されるべきでない。
本明細書中で使用される場合、そして、特に示されない限り、用語「a」および「an」は、「1つ」、「少なくとも1つ」、または「1つ以上」を意味するものと理解される。
図は、酸化ストレスであるt−ブチルヒドロペルオキシドに曝露した網膜内皮細胞における、ケルセチンの細胞保護効果を示す。記号は以下の通りである:
Figure 2007515422

Claims (73)

  1. 被験体において、糖尿病性網膜症を処置するための方法であって、該方法は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含し、ここで、該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ゲニステイン以外のフラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、方法。
  2. 前記被験体が、糖尿病性網膜症を発症する危険がある、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被験体が、糖尿病性網膜症の症状を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記投与が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与によるものである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記投与が、眼内投与によるものである、請求項1に記載の方法。
  10. 被験体において、糖尿病性網膜症を処置するための方法であって、該方法は、糖尿病性網膜症を患う被験体を診断する工程、ならびに、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含し、
    ここで、該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ゲニステイン以外のフラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、方法。
  11. 被験体の網膜下の結晶腔形成を阻害する方法であって、該方法は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含し、
    ここで、該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、方法。
  12. 前記被験体が、網膜下の結晶腔形成を発達させる危険にある、請求項11に記載の方法。
  13. 前記被験体が、網膜下の結晶腔形成を発達させる症状を有する、請求項11に記載の方法。
  14. 前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項11に記載の方法。
  17. 前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記投与する工程が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与によるものである、請求項11に記載の方法。
  19. 前記投与する工程が、眼内投与によるものである、請求項11に記載の方法。
  20. 被験体の、網膜下の結晶腔形成のための処置方法であって、該方法は、網膜下の結晶腔形成を患う被験体を診断する工程、ならびに、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含し、
    ここで、該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、方法。
  21. 前記薬剤が、ゲニステイン以外のフラボノイドを含む、請求項2に記載の方法。
  22. 前記薬剤がケルセチンを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記薬剤が、ゲニステイン以外のフラボノイドを含む、請求項3に記載の方法。
  24. 前記薬剤がケルセチンを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 被験体において、糖尿病性網膜症に対する試験薬剤の治療的応答を予測する方法であって、ここで該試験薬剤はNrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有し、該方法は、以下:
    網膜細胞の第一のサンプルを酸化ストレスに曝露する工程;
    網膜細胞の第二のサンプルを、該試験薬剤と組み合わせて、該酸化ストレスに曝露する工程;および
    該曝露された第一のサンプルに由来する生細胞数を、該曝露された第二のサンプルに由来する生細胞数と比較する工程;
    を包含し、ここで、該第二のサンプルに由来する生細胞数が、該第一のサンプルに由来する生細胞数よりも多い場合、該試験薬剤は、該被験体において糖尿病性網膜症に対する治療的応答を提供すると予測される、方法。
  26. 前記網膜細胞が、内皮細胞、ニューロン、グリア、または周皮細胞である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記網膜細胞が内皮細胞である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記酸化ストレスが、酸化剤の存在に起因する、請求項25に記載の方法。
  29. 前記酸化ストレスが、酸化剤除去のインヒビターの存在に起因する、請求項25に記載の方法。
  30. 被験体における、糖尿病性網膜症の処置のための医薬の調製における有効量の組成物の使用であって、該有効量の組成物は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有し、
    ここで該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ゲニステイン以外のフラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、使用。
  31. 前記被験体が、糖尿病性網膜症を発症する危険がある、請求項30に記載の使用。
  32. 前記被験体が、糖尿病性網膜症の症状を有する、請求項30に記載の使用。
  33. 前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項30に記載の使用。
  34. 前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求33に記載の使用。
  35. 前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項30に記載の使用。
  36. 前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項35に記載の使用。
  37. 前記薬剤が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、請求項30に記載の使用。
  38. 前記薬剤が、眼内注射のために調製される、請求項30に記載の使用。
  39. 被験体における、網膜下の結晶腔形成の阻害のための医薬の調製における有効量の組成物の使用であって、該有効量の組成物は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有し、
    ここで該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、使用。
  40. 前記被験体が、網膜下の結晶腔形成を発達させる危険にある、請求項39に記載の使用。
  41. 前記被験体が、網膜下の結晶腔形成を発達させる症状を有する、請求項39に記載の使用。
  42. 前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項39に記載の使用。
  43. 前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求42に記載の使用。
  44. 前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項39に記載の使用。
  45. 前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項44に記載の使用。
  46. 前記医薬が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、請求項39に記載の使用。
  47. 前記医薬が、眼内投与のために調製される、請求項39に記載の使用。
  48. 前記薬剤が、ゲニステイン以外のフラボノイドを含む、請求項31に記載の使用。
  49. 前記薬剤がケルセチンを含む、請求項48に記載の使用。
  50. 前記薬剤が、ゲニステイン以外のフラボノイドを含む、請求項32に記載の使用。
  51. 前記薬剤がケルセチンを含む、請求項50に記載の使用。
  52. 被験体における、糖尿病性網膜症の処置のための組成物であって、該組成物は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有し、
    ここで該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ゲニステイン以外のフラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、組成物。
  53. 前記被験体が、糖尿病性網膜症を発症する危険にある、請求項52に記載の組成物。
  54. 前記被験体が、糖尿病性網膜症の症状を有する、請求項52に記載の組成物。
  55. 前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項52に記載の組成物。
  56. 前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求55に記載の組成物。
  57. 前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項52に記載の組成物。
  58. 前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項57に記載の組成物。
  59. 前記組成物が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、請求項52に記載の組成物。
  60. 前記組成物が、眼内投与のために調製される、請求項52に記載の組成物。
  61. 被験体の、網膜下の結晶腔形成を阻害するための組成物であって、該組成物は、Nrf2タンパク質の核移行のための刺激活性を有する薬剤の有効量、および受容可能なキャリアを含有し、
    ここで該薬剤が、マイケル付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、組成物。
  62. 前記被験体が、網膜下の結晶腔形成を発達させる危険にある、請求項61に記載の組成物。
  63. 前記被験体が、網膜下の結晶腔形成を発達させる症状を有する、請求項61に記載の組成物。
  64. 前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項61に記載の組成物。
  65. 前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求64に記載の組成物。
  66. 前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項61に記載の組成物。
  67. 前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項66に記載の組成物。
  68. 前記組成物が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、請求項61に記載の組成物。
  69. 前記組成物が、眼内注射のために調製される、請求項61に記載の組成物。
  70. 前記薬剤が、ゲニステイン以外のフラボノイドを含む、請求項62に記載の組成物。
  71. 前記薬剤がケルセチンを含む、請求項70に記載の組成物。
  72. 前記薬剤が、ゲニステイン以外のフラボノイドを含む、請求項63に記載の組成物。
  73. 前記薬剤がケルセチンを含む、請求項72に記載の組成物。
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