JP2007514699A - (a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤を含む組み合わせ物およびその使用 - Google Patents
(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤を含む組み合わせ物およびその使用 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、増殖性疾患を有する温血動物、とりわけヒトの処置法であって、該動物に(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤を含む組み合わせ物を投与する方法、特に増殖性疾患の進行遅延または処置のための同時、別々または連続的使用のための上記で定義の(a)および(b)と所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む組み合わせ物、および最終的に白血病、特にイマチニブ耐性白血病の進行遅延または処置の処置用医薬の製造のための少なくとも1個のハイプシン化阻害剤の使用に関する。
Description
本発明は、(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)とりわけここで定義の通りの少なくとも1個のハイプシン化阻害剤を含む組み合わせ物を動物に投与することを含む、増殖性疾患を有する温血動物、とりわけヒトの処置法;上記で定義の(a)および(b)ならびに所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む同時、別々または連続的使用のための、特に増殖性疾患、とりわけ腫瘍疾患および白血病の進行遅延または処置用の組み合わせ物;このような組み合わせ物を含む医薬組成物;増殖性疾患の進行遅延または処置用医薬の製造のための、このような組み合わせ物の使用、および最終的にイマチニブ耐性白血病の進行遅延または処置用医薬の製造のための少なくとも1個のハイプシン化阻害剤の使用;およびこのような組み合わせ物を含む、商業用包装物に関する。
N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよびそれらの、とりわけ抗増殖剤としての使用は、1993年10月6日公開のEP−A−0564409、および多くの他の国の対応出願に記載されている。この化合物はまたイマチニブ[国際一般名]として既知であり、以後そのように記載する。
選択的チロシンキナーゼ阻害剤イマチニブ(以前はSTI571、Gleevec(登録商標))は、Ablチロシンキナーゼ類Bcr−Abl、c−Abl、v−AblおよびAbl関連遺伝子(ARG)のATP結合部位ならびに血小板由来増殖因子受容体(PDGF)アルファおよびベータおよびヒト幹細胞因子(SCF)c−kitの受容体を占拠することにより、チロシン残基のリン酸化を遮断することが示されている。初期慢性相(CP)、急性相(AP)および骨髄急性転化(BC)の患者を含む慢性骨髄性白血病(CML)での多くの試験に基づき、イマチニブは慢性骨髄性白血病の新規ゴールドスタンダートと見なされる。加えて、イマチニブは消化器間質腫瘍(GIST)の個体、c−kitの構成的活性化を伴う腫瘍物および骨髄増殖性疾患の患者および染色体5q33上のPDGF−R−ベータ遺伝子の再配列に持続的応答を誘発する。
これらの、特にCPにおける有望な結果にもかかわらず、イマチニブに対する耐性の発生がAPおよびBCで頻繁に起こり、緩解は通常6−12ヶ月しか続かない。従って、特に末期疾患のために、相乗的処置戦略が緊急に必要とされる。
治療成功をさらに高めるために、相乗的処置アプローチのための新規スクリーニング戦略を確立する必要がある。ここに記載の通り、非処置と対照的なイマチニブ処置Bcr−Abl陽性細胞系の異なって発現されるタンパク質の分析を、Bcr−Abl発現により制御され、かつおそらく相乗的治療的介入のための新規標的として役立つであろうタンパク質の検出のために使用する。
驚くべきことに、本発明により、(a)イマチニブまたはその薬学的に許容される塩、および(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤を含む組み合わせ物存在下のBcr−Abl細胞系における細胞毒性およびアポトーシスが、いずれかのタイプの処置パートナー単独で達成できる効果よりも大きい、すなわち相加以上のまたは相乗効果であることが判明した。故に、この組み合わせを増殖性疾患の処置、特にイマチニブ耐性白血病を含むがこれに限定されない白血病の処置に使用し得ることがここで企図される。さらに、ハイプシン化阻害剤が、特に白血病、特にイマチニブまたはその薬学的に許容される塩に耐性の白血病の処置に有用であることが企図される。
従って、第一の態様において、本発明は、白血病、特にイマチニブ耐性白血病を有する温血動物の処置法であって、該動物に白血病に対して治療的有効な量である少なくとも1個のハイプシン化阻害剤量を投与することを含む方法に関する(ここで、該化合物はまたその薬学的に許容される塩の形で存在できる)。
第2の態様において、本発明は、白血病、特にイマチニブ耐性白血病を有する温血動物の処置に有用な薬剤の製造のための、少なくとも1個のハイプシン化阻害剤の使用に関する。
第3の態様において、本発明は、白血病、特にイマチニブ耐性白血病を有する温血動物の処置法であって、該動物に白血病に対して治療的有効な量である少なくとも1個のハイプシン化阻害剤を投与することを含む方法に関する(ここで、該化合物はまたその薬学的に許容される塩の形で存在できる)。
さらに、本発明は、(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤(ここで、両活性成分はいずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)および所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む;同時、別々または連続的使用のための組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせ物に関する。
本発明はまた増殖性疾患を有する温血動物の処置法であって、該動物に併用で増殖性疾患に対して治療的有効である量の(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤(ここで、両化合物はまたそれらの薬学的に許容される塩の形で存在できる)を含む組み合わせ物を投与することを含む、方法に関する。
さらに、本発明は、増殖性疾患に対して併用で有効量のここで定義される組み合わせ物および少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物に関する。
ここに記載の方法、組み合わせ物、組成物または使用において、組み合わせパートナー(a)および(b)は好ましくは相乗的有効量で投与する。
用語“増殖性疾患”は、悪性および非悪性増殖性疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、癌腫および白血病、腫瘍、血栓症、乾癬、再狭窄、硬化性皮膚炎(sclerodermitis)および線維症を含む。
本明細書で使用する用語“腫瘍”は、乳癌、黒色腫、類表皮癌、結腸および一般的にGI管の癌、GIST、肺癌、特に小細胞肺癌、および非小細胞肺癌、頭頚部癌、尿生殖器癌、例えば子宮頸、子宮、卵巣、精巣、前立腺または膀胱癌;ホジキン病またはカポジ肉腫を含むが、これらに限定されない。本発明の組み合わせ物が液性腫瘍および、特に、固形腫瘍の処置に有用であることが企図される。さらに、腫瘍タイプおよび使用する特定の組み合わせ物に依存して、腫瘍容積の減少が得られ得る。ここに記載の組み合わせ物はまた腫瘍の転移的拡散および微小転移の増殖または発症の阻害に適している。ここに記載の組み合わせ物は、特に予後の悪い患者、例えば非小細胞肺癌またはイマチニブ耐性白血病を有するこのような予後の悪い患者の処置に適している。
本明細書で使用する用語“白血病”は、慢性骨髄性白血病(CML)および急性リンパ球性白血病(ALL)、とりわけフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ球性白血病(Ph+ALL)ならびにイマチニブ耐性白血病を含むが、これらに限定されない。好ましくは、ここに記載の方法により処置すべき白血病の型はCMLである。
本明細書で使用する用語“イマチニブ耐性白血病”は、とりわけイマチニブがもはや治療効果がないか、または、治療効果減少した白血病と定義する。
本明細書で使用する用語“組み合わせ製剤”は、とりわけ上記で定義の組み合わせパートナー(a)および(b)を個々に、または組み合わせパートナー(a)および(b)の識別できる用量の異なって固定された組み合わせ剤の使用により、すなわち、同時にまたは異なる時点で投与できる点で、“複数パーツのキット”である。複数パーツのキットのパーツを、次いで、例えば、同時にまたは時間的にずらしで、すなわち、複数パーツのキットの任意のパーツに対して同じまたは異なる間隔で異なる時点で投与できる。非常に好ましくは、間隔は、該パーツの組み合わせ使用による処置疾患に対する効果が、組み合わせパートナー(a)および(b)のいずれか一方のみの使用により得られるであろう効果より大きくなるように選択する。組み合わせ製剤において投与すべき組み合わせパートナー(a)の組み合わせパートナー(b)に対する総用量の比率は、例えば処置すべき患者の亜集団の必要性に合うように、または、患者の特定の疾患、年齢、性別、体重などにより必要性が異なる単独の患者の必要性に合うように変化できる。好ましくは、少なくとも1個の有益な効果、例えば、組み合わせパートナー(a)および(b)の効果の相互の増強、特に相乗作用、例えば相加効果以上、さらなる有益な効果、少ない副作用、組み合わせパートナー(a)および(b)の一方または両方の非有効量での組み合わせ治療効果、および非常に好ましくは組み合わせパートナー(a)および(b)の強い相乗作用がある。
本明細書で使用する用語“進行遅延”は、処置すべき疾患の前段階または初期にある患者への組み合わせ物の投与を意味し、ここで、該患者は、例えば、対応する疾患の前形態であることが診断されているか、または、該患者は、例えば医学的処置または事故に起因する状態にあって対応する疾患を発症しそうな状態にある。
組み合わせパートナー(a)および(b)の言及はまた薬学的に許容される塩を含むと解釈することは理解されよう。この組み合わせパートナー(a)および(b)が、例えば、少なくとも1個の塩基性中心を有するとき、それらは酸付加塩を形成できる。対応する酸付加塩はまた、所望により、さらに塩基性中心を有して形成できる。酸性基(例えばCOOH)を有する組み合わせパートナー(a)および(b)はまた塩基と塩を形成できる。組み合わせパートナー(a)または(b)もしくはそれらの薬学的に許容される塩はまた水和物の形で使用でき、または、結晶化に使用した他の溶媒を含み得る。N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、すなわち組み合わせパートナー(a)は、好ましくは本発明ではそのモノメシル酸塩の形で使用される。ハイプシン化阻害剤の化学構造に依存して、その塩は存在しないかもしれない。
組み合わせパートナー(a)は、WO99/03854に記載の通りに製造および投与でき、とりわけN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンのモノメシル酸塩は、WO99/03854の実施例4および6に記載の通り製剤できる。
用語“ハイプシン化阻害剤”は、ハイプシンの形成をインビトロまたはインビボで減少できる試薬、薬剤または化学物質を意味する。ハイプシンは、真核生物開始因子5A(eIF−5A)におけるリシン残基の翻訳後修飾により形成される独特なアミノ酸であり、細胞生存および増殖に重要である(例えば、Chen et al., J. Chin. Chem. Soc., Vol. 46, No. 5, 1999参照)。最近、データは、細胞増殖が、インビトロでハイプシン形成に必須の金属酵素であるデオキシハイプシンヒドロキシラーゼを標的とするシクロピロクス、デフェリプロンおよびデフェロキサミンに暴露することにより細胞内で阻害し得ることを示している(Clement, et al. Int. J. Cancer 2002 Aug 1; 100(4): 491-8)。
ハイプシン化阻害剤は、細胞抽出物または他の調製物を、ハイプシン形成に適したプロセッシング条件下で、可能性のある阻害剤と接触させ、ハイプシン化活性のレベルを該阻害剤の存在下または非存在下で、または様々な量の阻害剤の存在下で測定する標準スクリーニングプロトコールを使用して容易に同定できる。この方法で、有用な阻害剤が同定できるだけでなく、このような阻害剤のインビボでのさらなるスクリーニングのための最適レベルを、インビトロで決定できる。適当なハイプシン化阻害剤の例は当業者に既知であり、シクロピロクス、デオキシスペルグアリン、インターフェロンアルファ、Ara−C、デフェロキサミン、デフェリプロンならびにヒドロキシピリドンのファミリーの属するさらなる化合物(例えば、Mycoses 1997; 40: 243-247参照)ならびに鉄キレート化剤の活性を有する他の化合物を含むが、これらに限定されない。後者はPCT公報WO03/039541、WO97/49395およびUS特許6,465,504および6,596,750に記載の化合物、例えば、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールを含む。
適当なハイプシン化阻害剤はまたハイプシン形成に必要な酵素活性を阻害することによりハイプシン化を阻害するもの、例えば、デオキシハイプシンシンターゼの遮断により作用するデオキシスペルグアリンおよびN1−グアニル−1,7−ジアミノヘプタン(GC−7;例えば、Jansson et al., J. Bacteriology 182: No. 4, 1158-1161参照)、ならびにデオキシハイプシン−ヒドロキシラーゼを阻害するシクロピロクスおよびデフェロキサミンを含むが、これらに限定されない。
本発明の好ましい態様において、該ハイプシン化阻害剤は、当業者に既知の抗真菌剤でであり、広く商業的に入手可能(例えばSigma, Taufkirchen, Germany)あるシクロピロクスまたは6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチル−2(1H)−ピリドン(例えば、Gupta A.K. and Skiner A.R., Intl. J. Dermatol. 2003 Sept; 42 Suppl 1: 3-9)である。
他の好ましい態様において、該ハイプシン化阻害剤は、4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]−トリアゾル−1−イル]安息香酸である。該化合物およびその製造法は、例えば、US6,465,504B1に記載されている。該薬剤は、例えば、US6,465,504B1またはWO2004/035026に記載の通り適用できる。
コード番号、一般名または商品名により同定した活性成分の構造は、標準概論“The Merck Index”の現行版からまたはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。その対応する内容は、引用により本明細書に包含する。
(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤(ここで、該活性成分はいずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)および所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む組み合わせ物は、以後、“本発明の組み合わせ物”と呼ぶ。ハイプシン化阻害剤の構造式に依存して、塩形態はあり得ない。
固形腫瘍疾患のような増殖性疾患の特性は、多因性である。特定の環境下で、異なる作用機構の薬剤を組み合わせ得る。しかしながら、異なる作用形態を有する何らかの組み合わせを考えるだけでは、必ずしも有益な効果を有する組み合わせには至らない。
白血病のような増殖性疾患の処置のための本発明の利用性は、“本発明の組み合わせ物”が相乗的に作用し、細胞毒性を引き起こし、アポトーシスを誘発する能力により証明される。特に、データが単剤としてのシクロピロクスがK562およびHL−60細胞の細胞生存能を阻害し、アポトーシスを誘発することを示すが、シクロピロクスとイマチニブの組み合わせ物は、これらの細胞において、細胞毒性およびアポトーシスの誘発の両方に対して相乗効果を示す。このような相乗効果はBcr−Abl陰性HL−60対照細胞では観察されない。これらのデータに基づき、そして多くのハイプシン化阻害剤が許容される毒性プロファイルの臨床的に認可された薬剤であるため、我々の結果は、Bcr−Abl−陽性白血病のおよびおそらく他のイマチニブ反応性疾患の患者の新規相乗的処置戦略の設計に重要な意味を有する。
さらなる利益は、“本発明の組み合わせ物”の活性成分の低用量が使用でき、例えば、該投与量がしばしば少ないだけでなく、また少ない頻度で投与されるか、または、副作用の発生を減少させるために使用できることである。これは処置すべき患者の望みおよび要求と合う。この相乗作用は有害事象の可能性の同様の増加とは関連しない。
確立された試験モデルおよび特にここに記載の試験モデルにより、“本発明の組み合わせ物”が、組み合わせパートナー単独で観察される効果と比較して、より有効な増殖性疾患の進行遅延または処置に使用し得ることを示すことができる。関連分野の当業者は、前記および後記の治療適応症および有益な効果を確認するための関連試験モデルの選択が十分に可能である。“本発明の組み合わせ物”の薬理学的活性は、例えば、本質的に後記の臨床試験または試験法により証明できる。
適当な臨床試験は、例えば、進行した増殖性疾患の患者でのオープンラベル非無作為化、用量漸増試験である。このような試験は、特に“本発明の組み合わせ物”の活性成分の相乗性を特に証明できる。増殖性疾患に対する有益な効果は、直接これらの試験の結果を通して、または、当業者にそれ自他基既知の試験設計の改変により決定できる。このような試験は、特に、活性成分を使用した単剤療法および“本発明の組み合わせ物”の効果の比較に適している。好ましくは、組み合わせパートナー(a)を固定した量で投与し、組み合わせパートナー(b)の用量を最大耐量に到達するまで増加させる。本試験の好ましい態様において、各患者は組み合わせパートナー(a)を毎日投与される。該処置の効果は、このような試験で、例えば、6週間毎の腫瘍の放射線学的評価により、18または24週間後に証明できる。
あるいは、プラセボ対照、二重盲検をここで記載の“本発明の組み合わせ物”の利益の証明に使用できる。
“本発明の組み合わせ物”はまた外科的介入、穏やかな長時間の全身温熱療法および/または放射線療法と組み合わせて適応できる。
“本発明の組み合わせ物”は組み合わせ製剤または医薬組成物であり得る。
併用で増殖性疾患に対して治療的有効である“本発明の組み合わせ物”を含む医薬組成物の提供は、本発明の目的の一つである。この組成物中、組み合わせパートナー(a)および(b)は一緒に、交互に、または別々に、1個の組み合わせ単位投与形態または2個の別々の単位投与形態で投与できる。単位投与形態はまた固定された組み合わせ物であり得る。
本発明に従った、組み合わせパートナー(a)および(b)の別々の投与のための、および固定された組み合わせ、すなわち、少なくとも2個の組み合わせパートナー(a)および(b)を含む1個のガレヌス組成物で投与するための、医薬組成物は、それ自体既知の方法で製造でき、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)への経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与に適し、治療的有効量の少なくとも1個の薬理学的に活性な組み合わせパートナーを単独で、またはとりわけ経腸または非経腸投与に適した1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む。
新規医薬組成物は、例えば、約10%から約100%、好ましくは約20%から約60%の活性成分を含む。経腸または非経腸投与用の組み合わせ治療のための医薬製剤は、例えば、単位形態、例えば糖衣錠、錠剤、カプセルまたは坐薬、およびさらにアンプルにあるものである。特記されない限り、これらはそれ自体既知の方法で、例えば慣用の混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥工程の手段により製造する。各々の投与形態に含まれる個々の組み合わせパートナーの単位含量が、複数の投与単位の投与により必要な有効量に到達できるため、それ自体有効量を構成する必要がないことは認識されよう。
特に、“本発明の組み合わせ物”の組み合わせパートナー各々の治療的有効量は、同時にまたは任意の順番で連続して投与でき、該成分は別々にまたは固定された組み合わせとして投与し得る。例えば、本発明の増殖性疾患の進行を遅延するまたは処置する方法は、併用で治療的有効量、好ましくは相乗的有効量、例えばここに記載する量に対応する1日投与量での(i)遊離形または薬学的に許容される塩形の組み合わせパートナー(a)の投与および(ii)遊離形または薬学的に許容される塩形の組み合わせパートナー(b)の、同時のまたは任意の順番で連続した投与を含み得る。“本発明の組み合わせ物”の個々の組み合わせパートナーは、治療の進行中に異なる時点で別々に投与でき、または、同時に別々のまたは単独の組み合わせ形態で投与できる。さらに、用語投与は、インビボで組み合わせパートナーそれ自体に変換する組み合わせパートナーのプロドラッグの使用を包含する。本発明は、従って同時または交互の処置の全てのこのようなレジメンを包含すると理解しべきであり、用語“投与”はそれに従って解釈すべきである。
連続投与の例は、最初にN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンを該治療に対する耐性が観察されるまで投与し、その後、ハイプシン化阻害剤を単独でまたはイマチニブと組み合わせて投与するものであり得る。
“本発明の組み合わせ物”に用いる各組み合わせパートナーの有効量は、用いる特定の化合物または医薬組成物、投与の形態、処置すべき状態、処置している状態の重症度に依存して変化し得る。故に、“本発明の組み合わせ物”のための投与レジメンは、投与経路ならびに患者の腎臓および肝臓機能を含む種々の因子に従い選択する。通常の技術の医師、臨床医または獣医師は状態の予防、進行の逆転または阻止に必要な単一活性成分の有効量を容易に決定し、処方できる。毒性を伴わない効果を発現する活性成分濃度の範囲を達成するための最適な詳細は、標的部位の活性成分の利用能の動態に基づく投与計画を必要とする。多くのハイプシン化阻害剤が他の適応症(例えば抗真菌、鉄キレート化剤)に治療的に有効であることが知られているため、有効かつ安全な投与範囲は当業者が容易に、そしてここに記載の適応症に関して過度の実験を行うことなく決定できる。
N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンモノメシル酸塩は、好ましくはヒトに約2.5から850mg/日、より好ましくは5から600mg/日および最も好ましくは20から300mg/日の範囲で投与する。ここで特記しない限り、該化合物は好ましくは1日1回から4回、より好ましくは1日1回投与する。
さらに、本発明は、増殖性疾患の進行遅延または処置のための“本発明の組み合わせ物”の使用および増殖性疾患の進行遅延または処置用医薬の製造のための“本発明の組み合わせ物”の使用に関する。
好ましくは、該増殖性疾患は白血病、イマチニブ耐性白血病および腫瘍である。
さらに、本発明は“本発明の組み合わせ物”を増殖性疾患の進行遅延または処置におけるそれらの同時、別々または連続的使用のための指示書と共に含む、商業的包装物を提供する。
さらに、本発明は“本発明の組み合わせ物”を増殖性疾患の進行遅延または処置におけるそれらの同時、別々または連続的使用のための指示書と共に含む、商業的包装物を提供する。
下記実施例は上記本発明を説明するが、本発明の範囲をいかなる方法でも限定することは意図しない。“本発明の組み合わせ物”の有益な効果(すなわち良好な治療限界、少ない副作用、相乗的治療効果およびここに記載の他の利益)はまたそれ自体関連分野の当業者に記載の他の試験モデルにより決定できる。相乗的治療効果は、例えば、当業者に既知の臨床試験または試験法により証明し得る。
ここに記載の本発明は、ここに記載の特定の方法、プロトコールおよび試薬に、それらが変化し得るため、限定しないことを意図する。ここに記載の用語は、特定の態様を記載する目的のためだけであり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することは意図しない。
他に定義しない限り、ここで使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が共通して理解しているのと同じ意味を有する。ここに記載のものと類似のまたは同等の任意の方法および剤量を本発明の実施または試験に使用できるが、好ましい方法、装置および材料をここに記載する。ここに記載の全ての刊行物は、本発明と関連して使用すべきである該刊行物中に報告された材料および方法を記載および開示する目的で、引用により本明細書に包含する。
本発明の実施に際し、分子生物学および細胞生物学における多くの慣用技術を使用する。これらの技術は既知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I, II, およびIII, 1997 (F. M. Ausubel ed.); Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に説明されている。
実施例
材料および方法:
試薬
イマチニブの貯蔵溶液(10mg/ml)を、該化合物をDMSO/H2O(1:1)に溶解することにより製造し、−20℃で貯蔵する。媒体中のジメチルスルホキシドの最終濃度は0.1%未満であり、本試験における細胞増殖阻害に影響はない。シクロピロクス(Sigma, Taufkirchen, Germany)をインビトロ実験のために新たにPBS(10mg/ml)に溶解する。
材料および方法:
試薬
イマチニブの貯蔵溶液(10mg/ml)を、該化合物をDMSO/H2O(1:1)に溶解することにより製造し、−20℃で貯蔵する。媒体中のジメチルスルホキシドの最終濃度は0.1%未満であり、本試験における細胞増殖阻害に影響はない。シクロピロクス(Sigma, Taufkirchen, Germany)をインビトロ実験のために新たにPBS(10mg/ml)に溶解する。
細胞培養技術
K562細胞をDSMZ(Bielefeld, Germany)から得た。HL−60系はDr. Buehring(Tuebingen, Germany)から恵与された。両方の細胞系を10%ウシ胎児血清(FCS)(Biochrom KG, Berlin, Germany)含有RPMI 1640培地(Gibco-BRL, Invitrogen, UK)で培養する。細胞を37℃で加湿雰囲気中、空気中5%CO2でインキュベートする。
K562細胞をDSMZ(Bielefeld, Germany)から得た。HL−60系はDr. Buehring(Tuebingen, Germany)から恵与された。両方の細胞系を10%ウシ胎児血清(FCS)(Biochrom KG, Berlin, Germany)含有RPMI 1640培地(Gibco-BRL, Invitrogen, UK)で培養する。細胞を37℃で加湿雰囲気中、空気中5%CO2でインキュベートする。
細胞溶解およびタンパク質可溶化
タンパク質サンプルを、1000μgのタンパク質を産生する107 K562細胞から単離する。
細胞をサンプル緩衝液に溶解し、続いて12000gで5分遠心分離する。上清中のタンパク質濃度をBradford(Bradford, M., Anal. Biochem. 72, 248(1976))法に従い決定する。
タンパク質サンプルを、1000μgのタンパク質を産生する107 K562細胞から単離する。
細胞をサンプル緩衝液に溶解し、続いて12000gで5分遠心分離する。上清中のタンパク質濃度をBradford(Bradford, M., Anal. Biochem. 72, 248(1976))法に従い決定する。
二次元(2D)ゲル電気泳動
等電点電気泳動を、先に記載の通り行う(Goerg et al.. Electrophoresis 21, 1037-1053(2000))。サンプルをIPGストリップ(pH4−7、18cm、Amersham Biosciences)に、ゲル再水和により適用する。Multiphor II(Pharmacia, Sweden)での等電点電気泳動後、IPGストリップを2×15分、1回目の平衡化について1%DTTまたは2回目の平衡化について4.8%ヨードアセトアミドを含む、6M ウレア、4%SDS、50mM Tris−HCl、pH8.8について平衡化する。ストリップを垂直SDS−PAGEゲル上に置き、0.6%アガロースで重層する。SDS−PAGEをAmersham Biosciences IsoDaltシステムで、1.5mm厚および15%T、2.5%Cのアクリルアミド濃度のゲルを使用して行う。2Dゲルを一晩コロイド状クーマシィーで染色し、続いて1日脱染する。
等電点電気泳動を、先に記載の通り行う(Goerg et al.. Electrophoresis 21, 1037-1053(2000))。サンプルをIPGストリップ(pH4−7、18cm、Amersham Biosciences)に、ゲル再水和により適用する。Multiphor II(Pharmacia, Sweden)での等電点電気泳動後、IPGストリップを2×15分、1回目の平衡化について1%DTTまたは2回目の平衡化について4.8%ヨードアセトアミドを含む、6M ウレア、4%SDS、50mM Tris−HCl、pH8.8について平衡化する。ストリップを垂直SDS−PAGEゲル上に置き、0.6%アガロースで重層する。SDS−PAGEをAmersham Biosciences IsoDaltシステムで、1.5mm厚および15%T、2.5%Cのアクリルアミド濃度のゲルを使用して行う。2Dゲルを一晩コロイド状クーマシィーで染色し、続いて1日脱染する。
質量分析法
ゲル内消化を、わずかに変えて先に記載の通り行う(Shevchenko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 93, 14440-14445(1996))。タンパク質スポットをゲルから摘出し、ミリポア精製水および50%アセトニトリル/水で洗浄する。乾燥後、トリプシン(シークエンシンググレード、Promega, Mannheim, Germany)を各サンプルに添加する。トリプシン消化したタンパク質フラグメントをゲルマトリックスから5%ギ酸および50%アセトニトリル/5%ギ酸で抽出する。抽出物をプールし、高速真空濃縮器で濃縮する。ZipTips(C18-ZipTip, Millipore, Bedford, MA, USA)で精製後、一定量をアルファ−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸/ニトロセルロースのスポット上に沈着させ、N2 337nmレーザーを備えたReflex III MALDI-TOF質量分析計(Bruker Daltonic, Bremen, Germany)で分析する。全ての測定を、23kVの加速電圧および遅延パルスイオン抽出(delayed-pulsed ion extraction)の、陽イオン反射モードで行う。トリプシン消化したフラグメントの配列確認を、ナノエレクトロスプレータンデム質量分析法により、ナノフローエレクトロスプレーイオン化源を備えたハイブリッド4極直交加速時間飛行型質量分析計(QSTAR Pulsar i, Applied Biosystems/MDS Sciex, Foster City, CA, USA)により行う。精製したアリコートをナノエレクトロスプレー針(BioMedical Instruments, Zoellnitz, Germany)に負荷し、タンデムマススペクトルを、選択した前駆体イオンの衝突誘発減衰により得る。該装置は外的に目盛り決めする。
ゲル内消化を、わずかに変えて先に記載の通り行う(Shevchenko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 93, 14440-14445(1996))。タンパク質スポットをゲルから摘出し、ミリポア精製水および50%アセトニトリル/水で洗浄する。乾燥後、トリプシン(シークエンシンググレード、Promega, Mannheim, Germany)を各サンプルに添加する。トリプシン消化したタンパク質フラグメントをゲルマトリックスから5%ギ酸および50%アセトニトリル/5%ギ酸で抽出する。抽出物をプールし、高速真空濃縮器で濃縮する。ZipTips(C18-ZipTip, Millipore, Bedford, MA, USA)で精製後、一定量をアルファ−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸/ニトロセルロースのスポット上に沈着させ、N2 337nmレーザーを備えたReflex III MALDI-TOF質量分析計(Bruker Daltonic, Bremen, Germany)で分析する。全ての測定を、23kVの加速電圧および遅延パルスイオン抽出(delayed-pulsed ion extraction)の、陽イオン反射モードで行う。トリプシン消化したフラグメントの配列確認を、ナノエレクトロスプレータンデム質量分析法により、ナノフローエレクトロスプレーイオン化源を備えたハイブリッド4極直交加速時間飛行型質量分析計(QSTAR Pulsar i, Applied Biosystems/MDS Sciex, Foster City, CA, USA)により行う。精製したアリコートをナノエレクトロスプレー針(BioMedical Instruments, Zoellnitz, Germany)に負荷し、タンデムマススペクトルを、選択した前駆体イオンの衝突誘発減衰により得る。該装置は外的に目盛り決めする。
データベース検索(NCBInr、非冗長タンパク質データベース)を、システインのカルボキシメチル化および可変の修飾としてのメチオニン酸化(確率値p<0.05)を行なった上で、Matrix Science(Perkins et al., Electrophoresis 20, 3551-3567(1999))からのMASCOTソフトウエアを使用して行う。
ウェスタンブロッティング
タンパク質抽出のために、細胞を氷上で50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、1%NP−40、0,25%Na−デオキシコレート、5mM EDTA、1mM NaF、25mM Na3VO4および0,1mM PMSF含有溶解緩衝液中に均質化する。溶解物を氷上に10分放置し、細胞残骸を14000rpmで20分、4℃でペレット化する。上清を−80℃で凍結する。溶解物のタンパク質濃度を、BCA Protein Assay Kit(Pierce, Rockford, USA)で決定する。
タンパク質抽出のために、細胞を氷上で50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、1%NP−40、0,25%Na−デオキシコレート、5mM EDTA、1mM NaF、25mM Na3VO4および0,1mM PMSF含有溶解緩衝液中に均質化する。溶解物を氷上に10分放置し、細胞残骸を14000rpmで20分、4℃でペレット化する。上清を−80℃で凍結する。溶解物のタンパク質濃度を、BCA Protein Assay Kit(Pierce, Rockford, USA)で決定する。
タンパク質(20μg)を12.5%SDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜上にBio-Rad Transblotシステムを使用して移す。TBS−Tween/5%w/v BSAで1時間遮断後、膜をTBS−Tween/5%w/v BSAで希釈した一次抗体とインキュベートする。下記一次抗体を使用する:Vinculin、RHO-GDI。洗浄後、膜を1時間、TBS−T/5%w/v BSAで希釈したHRP接合ウサギ抗ヤギIg(1/10000)またはウサギ抗マウスIg(1/10000)のいずれかとインキュベートする。洗浄後、増強された化学ルミネセンスキット(Amersham Pharmacia Biotech UK Ldt.)を使用して、二次抗体を可視化する。
MTTアッセイ
K652およびHL−60細胞を96ウェル平底マイクロタイタープレート(Becton Dickinson, Heidelberg, Germany)に、150μlの各培地中に1.5×104細胞/ウェルで播種する。細胞を24時間プレインキュベートし、その後イマチニブ(0から3μM)またはシクロピロクス(0から81μM)または両剤の組み合わせ物を漸増濃度で添加する。
K652およびHL−60細胞を96ウェル平底マイクロタイタープレート(Becton Dickinson, Heidelberg, Germany)に、150μlの各培地中に1.5×104細胞/ウェルで播種する。細胞を24時間プレインキュベートし、その後イマチニブ(0から3μM)またはシクロピロクス(0から81μM)または両剤の組み合わせ物を漸増濃度で添加する。
全ての分析はトリプリケートで行う。24および48時間後、各ウェルの生存可能細胞を、3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトゾリウムブロマイド(MTT)を紫色ホルマザンに変換する能力についてアッセイする(Twentyman et al., Br. J. Haematol. 71, 19-24(1989), Arnould et al., Anticancer Res. 10, 145-154(1990))。従って、10μlの10mg/ml MTT溶液を各ウェルに添加する。2時間、37℃のインキュベーション時間後、該紫色ホルマザンを溶解緩衝液(15%ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]のDMF/H2O 1:1溶液、pH4.5)を添加し、一晩暗所で振盪することにより放出させる。サンプルの吸光度を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)プレート読み取り器(Dynatech MR7000)で570nmで測定する。IC50の点でのイマチニブについての用量−効果相関を、Calcusyn Software(Biosoft, Cambridge, UK)を使用して、半有効法(Chou et al, Eur. J. Biochem. 115, 207-216(1981), Chou et al., Adv. Enzyme Regul. 22, 27-55(1984))により計算する。IC50は、50%細胞増殖阻害を産生する薬剤の濃度と定義し、0.5の影響を受けたフラクション(Fa値)に対応する。
アポトーシス
K562およびHL−60(2×105細胞/ウェル)を24ウェル組織プレートで上記の条件下培養する。24時間のプレインキュベーション後、細胞を0.15μM イマチニブおよび漸増濃度のシクロピロクス(0から81μM)とインキュベートし、アポトーシス細胞のフラクションをNicoletti et al. (Nicoletti et al., J. Immunol. Methods 139, 271-279(1991))に従ったフローサイトメトリーで測定する24から48時間前にサンプル採取する。
K562およびHL−60(2×105細胞/ウェル)を24ウェル組織プレートで上記の条件下培養する。24時間のプレインキュベーション後、細胞を0.15μM イマチニブおよび漸増濃度のシクロピロクス(0から81μM)とインキュベートし、アポトーシス細胞のフラクションをNicoletti et al. (Nicoletti et al., J. Immunol. Methods 139, 271-279(1991))に従ったフローサイトメトリーで測定する24から48時間前にサンプル採取する。
簡単に言うと、低張性溶解緩衝液(1mlあたり1%クエン酸ナトリウム、0.1%Trition X-100、50μg ヨウ化プロピジウム)中で細胞を溶解することにより核を調製し、続いて、フローサイトメトリーにより分析する。低二倍体DNAを含む2Nピークの左側の核をアポトーシスと見なす。フローサイトメトリー分析は、CELLQUEST分析ソフトウェアを使用してFACScalibur(Becton Dickinson)で行う。
実施例1
異なって発現されるタンパク質
Bcr−Ablチロシンキナーゼにより誘発される細胞内シグナル伝達カスケードの描写は、フィラデルフィア染色体(Ph)−陽性白血病の生物学の良い理解の必要条件である。本実施例において、十分に確立されたBcr−Abl陽性K562細胞系のイマチニブでインビトロで24および48時間処置した際の異なって発現されるタンパク質を決定する。
異なって発現されるタンパク質
Bcr−Ablチロシンキナーゼにより誘発される細胞内シグナル伝達カスケードの描写は、フィラデルフィア染色体(Ph)−陽性白血病の生物学の良い理解の必要条件である。本実施例において、十分に確立されたBcr−Abl陽性K562細胞系のイマチニブでインビトロで24および48時間処置した際の異なって発現されるタンパク質を決定する。
Bcr−Abl−陽性K562細胞からのタンパク質の二次元ゲル分析を行い、4マイクロモルのイマチニブ存在下および非存在下で24時間インキュベートしたK562細胞由来のタンパク質プロファイルを作製する。合計1000μgタンパク質を4−7のpH範囲のIPGゲル(第一次元)、15%アクリルアミドゲル(第二次元)を使用した2Dゲル電気泳動により分離し、タンパク質をコロイド状クーマシーで可視化する。特定のタンパク質スポットを、それらが対照で非常に発現されるため、MALDI−MSおよびESI−MS/MSによるさらなる特徴付けのために選択する(データは示していない)。
処置対非処置細胞の比較分析により、19種の異なって発現されるタンパク質を検出でき、そのうち7種がイマチニブ処置で過剰発現され、一方、12種が下方制御されることが判明する。3回の独立した実験で24および48時間の両方で再現性よく検出される候補タンパク質のみを、示唆発現の観点で有意と見なす。
実施例2
タンパク質の同定
K562細胞においてBcr−Ablシグナル伝達と関連するイマチニブが誘発する異なって発現されるタンパク質を分析するためのプロテオミクスアプローチを使用して、タンパク質は異なって制御されることが判明する。一度同定されたら、それらを既知の生物学的機能により分類できる。
タンパク質の同定
K562細胞においてBcr−Ablシグナル伝達と関連するイマチニブが誘発する異なって発現されるタンパク質を分析するためのプロテオミクスアプローチを使用して、タンパク質は異なって制御されることが判明する。一度同定されたら、それらを既知の生物学的機能により分類できる。
候補タンパク質の同定はペプチドマス−フィンガープリンティングならびに上記のMASCOTサーチツールおよびNCBInrデータベースを使用したペプチド配列決定を介して行う。
選択した代表的タンパク質の免疫ブロットを、2Dゲルの結果を確認するためにまた行う。細胞抽出物を溶解緩衝液中に製造し、等量のタンパク質を12,5%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、ニトロセルロース膜に移す。α−チューブリンの検出を使用して、全レーン中の同等なタンパク質含量を確認する(データは示していない)。
結果は、分析し、同定したタンパク質の中で、7種が細胞サイクル制御および増殖制御と関連し得て、7種が接着斑と細胞骨格組織化の制御に関与し、2種のタンパク質が核輸入/輸出に重要な役割を有し、2種のタンパク質がアミノ酸/プリン代謝に関与し、さらに2種の残りのタンパク質の機能は未知である。翻訳後ハイプシン化により活性化することが既知の唯一の既知真核生物タンパク質である特に興味深いタンパク質、eIF5Aの下方制御が、さらなる試験の焦点となった。
実施例3
eIF5Aならびにイマチニブとシクロピロクスの相乗効果
基礎となる機構はほとんど理解されていないが、インターフェロン−アルファおよびAra−Cおよび現在CML処置に使用されている他の薬剤の活性は、eIF5Aのハイプシン化の阻害に関連する可能性が示唆されている。
eIF5Aならびにイマチニブとシクロピロクスの相乗効果
基礎となる機構はほとんど理解されていないが、インターフェロン−アルファおよびAra−Cおよび現在CML処置に使用されている他の薬剤の活性は、eIF5Aのハイプシン化の阻害に関連する可能性が示唆されている。
ハイプシン化は2段階機構により段階的に誘発される。第一段階で、酵素デオキシハイプシンシンターゼにより触媒され、4−アミノブチルのeIF5a前駆体のリシン残基へのNAD依存性移動によりデオキシハイプシン中間体が形成される。第二段階は、eIF5aの活性化形態を産生し、デオキシハイプシンヒドロキシラーゼと呼ばれる第二の酵素によるデオキシハイプシン中間体の側鎖のヒドロキシル化が関与する。
eIF5aは、ハイプシン合成の崩壊が細胞サイクル停止に至るため、細胞増殖に必須であるように見える。マイナーなヒトアイソフォーム、eIF5a2が癌遺伝子であることが疑われている。eIF5aが特異的mRNAの輸送および/または翻訳を促進することが推測される。故に、Bcr−Abl誘発eIF5a上方制御は、おそらく、Bcr−Abl陽性白血病で観察される増加した細胞増殖に役割を有するであろう。同様に、Bcr−Ablの阻害はその抗増殖性作用を、eIF5a発現の阻害を介して発揮し得る。
この仮説を試験するために、我々は、Bcr−Abl陽性白血病細胞をハイプシン化阻害剤およびイマチニブで処置することにより、相加的あるいは相乗効果させ検出できるか否かを研究した。特に、我々は、細胞毒性およびアポトーシスを測定することにより、Bcr−Abl陽性K562細胞に対するイマチニブおよびシクロピロクスの相乗効果の可能性を分析した。
テトラゾリウムベースのMTTアッセイを使用して、我々は、増殖阻害を、シクロピロクスまたはイマチニブ単独、ならびに、両剤の組み合わせへの24時間暴露後に、K562細胞およびまたBcr−Abl陰性HL−60細胞で定量した。該細胞を下記濃度のシクロピロクスまたはイマチニブで処置した:K562細胞を0、0.33、1、3、9、27、81μM シクロピロクスおよび/または0、0.01、0.037、0.11、0.33、1.0、3.0μM イマチニブで処置した;HL−60細胞を0、0.33、1、3、9、27、81μM シクロピロクスおよび/または0、0.33、1、3、9、27、81μM イマチニブで処置した。
抗増殖効果はシクロピロクス単独でも検出されたが、データはイマチニブおよびシクロピロクスの組み合わせが、Bcr−Abl陽性K562細胞における細胞毒性に対して著しく相乗作用することを示す。対照的に、Bcr−Abl陰性骨髄性白血病細胞系HL60を両剤で処置したとき、Bcr−Abl陰性HL−60細胞がこの組み合わせにより影響されないため、イマチニブとの相乗効果は観察されなかった。結果は少なくとも3回の独立した実験の代表である(データは示していない)。
アポトーシスはまた、上記方法において記載した通りの、低二倍体核のフローサイトメトリーでの評価により24時間後に測定した。これらの実験において、K562およびHL−60細胞を0.15μM イマチニブと漸増濃度のシクロピロクス(0から81μM)で処置した。データは、イマチニブがBcr−Abl−陽性K562細胞をシクロピロクス誘発アポトーシスに対して感受性にするが、Bcr−Abl陰性HL−60細胞はしないことを示す。結果は少なくとも3回の独立した実験の代表である(データは示していない)。
我々の発見は、Bcr−Abl−陽性白血病の細胞サイクル制御におけるeIF5Aの中心的役割を支持し、このタンパク質を今後の治療の可能性のある新規標的と位置付ける。興味深いことに、ハイブシン化を阻害することが既知の物質の中で、デフェロキサミン(鉄過剰状態の薬剤)およびシクロピロクス(局所的使用抗真菌剤)が、許容される毒性プロファイルで臨床的に認可された薬剤である。故に、ここで報告した結果に基づき、イマチニブと組み合わせるまたは組み合わせないハイプシン化阻害剤での臨床処置戦略が、Bcr−Abl陽性白血病およびイマチニブで処置している他の疾患実体(entity)におけるイマチニブに対する臨床的耐性の発症の減少に使用できることが意図される。
Claims (17)
- 増殖性疾患を有する温血動物の処置法であって、該動物に(a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤(ここで、両化合物はまたそれらの薬学的に許容される塩の形で存在できる)を、併用で増殖性疾患に対して治療的有効である量で含む組み合わせ物を投与することを含む、方法。
- 増殖性疾患が白血病またはイマチニブ耐性白血病である、請求項1記載の方法。
- 白血病、特にイマチニブ耐性白血病を有する温血動物の処置法であって、該動物に少なくとも1個のハイプシン化阻害剤(該化合物はまたその薬学的に許容される塩の形で存在できる)を、白血病に対して治療的有効である量で投与することを含む、方法。
- (a)N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび(b)少なくとも1個のハイプシン化阻害剤(ここで、両活性成分は、いずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)および所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む;同時、別々または連続的使用のための、組み合わせ物。
- 化合物(a)をそのモノメタンスルホン酸塩で使用する、請求項4記載の組み合わせ物。
- 組み合わせ製剤または医薬組成物である、請求項4または5記載の組み合わせ物。
- 増殖性疾患に対して併用で治療的有効量の請求項4または5の組み合わせ物および少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
- 増殖性疾患の進行遅延または処置のための請求項4から7のいずれかに記載の組み合わせ物の使用。
- 増殖性疾患の進行遅延または処置用医薬の製造のための請求項4から7のいずれかに記載の組み合わせ物の使用。
- 増殖性疾患が白血病またはイマチニブ耐性白血病である、請求項8または9に記載の組み合わせ物の使用。
- 白血病、特にイマチニブ耐性白血病の進行遅延または処置用医薬の製造のための、少なくとも1個のハイプシン化阻害剤の使用。
- 白血病、特にイマチニブ耐性白血病の進行遅延または処置のための、少なくとも1個のハイプシン化阻害剤の使用。
- 組み合わせパートナー(a)および(b)が相乗的有効量で投与される、請求項1から10のいずれかに記載の方法、組み合わせ物、組成物または使用。
- 増殖性疾患の進行遅延または処置におけるそれらの同時、別々または連続的使用のための指示書と共に、請求項4から7のいずれかに記載の組み合わせ物を含む、商業的包装物。
- ハイプシン化阻害剤がデフェロキサミン、シクロピロクス、デオキシスペルグアリン、デフェリプロンおよびGC−7からなる群から選択される、請求項1から14のいずれかに記載の方法、組み合わせ物、組成物、商業的包装物または使用。
- ハイプシン化阻害剤が4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]−トリアゾル−1−イル]安息香酸である、請求項1から14のいずれかに記載の方法、組み合わせ物、組成物、商業的包装物または使用。
- ハイプシン化阻害剤がシクロピロクスである、請求項1から14のいずれかに記載の方法、組み合わせ物、組成物、商業的包装物または使用。
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