JP2007511498A - Et−743とドキソルビシンとを使用することを含むガンの併用療法 - Google Patents
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Abstract
ガンに対するヒトの体の治療方法を提供する。1つの態様として、治療量のドキソルビシンを、0.5〜1mg/m2の用量範囲のET−743との併用で投与する。関連する態様として、治療に有効な量のET−743を、40〜80mg/m2の用量範囲のドキソルビシンとの併用で投与する。
Description
本発明は、ガン(cancer)に対する処置の組合せ関し、さらに詳細には併用療法に関するものである。
本発明は、ガンの治療のためのエクテナサイジン743の使用、特に、癌の治療のために、エクテナサイジン743を他の活性薬剤であるドキソルビシンと併用して使用することに関する。
ガンは、一群の悪性の新生物からなり、臨床で観察される症例の大部分を占める癌腫と、白血病、リンパ腫、中枢神経系腫瘍、および肉腫を含む他のより頻度の少ないガンとの2種類に分けることができる。癌腫は上皮組織が起源であるのに対し、肉腫は中胚葉組織に由来する結合組織とそれらの構造体とから発現する。肉腫は、たとえば、筋肉または骨組織によく発症し、骨、膀胱、腎臓、肝臓、肺、耳下腺、脾臓などで発現する。
ガンは侵襲性であり、新たな部位に転移する傾向がある。ガンは、周囲の組織に直接的に伝播し、またリンパ系および循環系を経て播種する可能性もある。
ガンに対しては、外科手術、局所疾患に対する放射線、および薬物を含む多くの治療法を採ることができる。しかし、多くのタイプのガンにおいて採用可能な治療法の有効性は限られていて、臨床的な利点を持つ、新たな、改良された治療方式が求められている。
このことは、進行したおよび/または転移性の疾患を有する患者に特に当てはまる。また、抵抗性の獲得または付随する毒性による投薬治療の制限のため同じ治療法による処置ではほとんど効果がない確立された治療法を以前に受けた後に、進行性の疾患が再発している患者にも当てはまる。
化学療法は、遠隔転移を伴う進行ガンの治療に必要であり、外科手術前に腫瘍を縮小させるのに有用であることが多いため、ガンの治療において重要な役割を果たす。
多くの抗ガン剤が様々な作用機序に基づいて開発されてきた。
多くの抗ガン剤が様々な作用機序に基づいて開発されてきた。
最も一般的に用いられる抗ガン剤のタイプとして、DNAアルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、葉酸拮抗薬、5−フルオロウラシル、ピリミジン拮抗薬)、微小管破壊剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル)、DNA干渉物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、シスプラチン)、ホルモン療法剤(例えば、タモキシフェン、フルタミド)が挙げられる。理想的な抗新生物薬は、非悪性細胞に対する毒性の割に広範な治療指数をもってガン細胞を選択的に死滅させるであろう。また、その薬に長期間曝露した後でも、悪性細胞に対する有効性も保持するであろう。
残念ながら、現在のところ理想的なプロファイルを持つ化学療法は1つもない。大部分の化学療法は治療指数が非常に狭く、実質的にいずれの場合においても、わずかに致死量に満たない濃度の化学療法剤に曝されたガン細胞は、そのような薬剤に対して耐性ができ、さらに他のいくつかの抗新生物薬に対して交差耐性ができることが極めて多い。
エクテナサイジン類(以下、ETsと略記する。)は、海生被嚢動物Ecteinascidia turbinataから単離された非常に効力のある抗腫瘍剤である。いくつかのエクテナサイジン類については、既に特許および科学論文で報告されている。例えば、熱帯性海生無脊椎動物Ecteinascidia turbinataから抽出された新規化合物について記載した米国特許第5,089,273号を参照されたい。この特許の中で、これらの化合物はエクテナサイジン類729、743、745、759A、759B、および770として名称付けられている。これらの化合物は、哺乳類において抗菌性および/または抗腫瘍性の薬剤として有用である。米国特許第5,478,932号には、カリブ海の被嚢動物Ecteinascidia turbinataから抽出され、リンパ腫P388、黒色腫B16、卵巣肉腫M5076、ルイス肺癌、ならびに、LX−1ヒト肺癌腫およびMX−1ヒト乳房癌腫の異種移植片に対してin vivoでの防御効果があるエクテナサイジン類が記載されている。
エクテナサイジン類の1種であるエクテナサイジン743(ET−743)は、in vitroおよびin vivoでマウスおよびヒトの腫瘍においてかなりの抗腫瘍活性がある新規なテトラヒドロイソキノリンアルカロイドであり、現在臨床試験中である。ET−743は、胸腺欠損マウスで培養された種々のヒト腫瘍の異種移植片(黒色腫、卵巣癌、乳癌を含む。)に対して強力な抗新生物活性がある。
ガン患者でのET−743の臨床開発計画は、1時間、3時間、24時間、および72時間の静脈内注入スケジュールと、毎日1時間を5日間の注入スケジュール(dx5)とを研究する第1相試験から着手された。肉腫、乳癌、および卵巣癌を有する患者に期待できる反応があった。その結果、この新規な薬剤は現在、種々の腫瘍性疾患を患うガン患者でのいくつかの第2相臨床試験により活発に開発されている。
ガンに対する人体への処置のためのET−743の使用についてのさらなる詳細は、その全体が本明細書に組み込まれている国際公開第00/69441号に記載されている。この特許明細書は、8ページおよび9ページにおいて、ET−743を他の薬剤との併用療法で使用しうることを指摘している。併用する他方の薬剤の候補リストが開示され、ドキソルビシンの記載がある。
ET−743についての最近の総説、すなわち、その化学、作用機序、ならびに前臨床および臨床開発については、「Yondelis(trabectedin,ET−743):海洋に起源をもつ抗癌剤の開発」van Kasteren,Ch.ら、2003,Anti−Cancer Drugs,14(7),487−502頁およびその参考文献を参照されたい。
作用機序の異なる複数の薬剤を使用する併用療法は、治療された腫瘍により耐性が生じるのを避けるのに役立つ、一般に認められた治療方法の1つである。他の抗ガン剤との併用でのET−743のin vitroでの活性については既に研究されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている国際公開第02/36135号を参照されたい。特に、国際公開第02/36135号には、ET−743のドキソルビシンとの併用についての記載がある。動物モデルでの試験で相乗的な効力が指摘されている。
Mecoらは、「肉腫におけるET−743とドキソルビシンの効果的な組合わせ−前臨床研究」について報告している(Cancer Chemother Pharmacol(2003)52:131−138)。この組合わせは、肉腫細胞系列およびヒト肉腫が移植されたマウスに対して調べられた。彼らは相加作用を報告しており、さらに、この組合わせが単独に与えられた各薬剤に対しては低い感受性を示す腫瘍に対して有効である可能性を示唆している。
国際公開第00/69441号パンフレット
国際公開第02/36135号パンフレット
van Kasteren,Ch.ら、2003,Anti−Cancer Drugs,14(7),487−502頁
Mecoら、Cancer Chemother Pharmacol(2003)52:131−138
本発明の目的は、ドキソルビシンと併用するET−743に基づいたガンの有効な併用療法を提供することである。
本発明に従い本発明者等は、エクテナサイジン743とドキソルビシンとを採用するガンの治療のための周期的投与プロトコールを用いた併用療法を提供する。本発明の併用療法のための代表的な投与プロトコールを開示する。第1相臨床試験から、ET−743とドキソルビシンとの併用は耐容性があり、実現可能であり、かつ抗腫瘍活性があると判断した。
本発明者等は、ET−743とドキソルビシンとを投与することを含むガン患者の治療方法も提供する。ET−743とドキソルビシンとを、あらかじめ定めたサイクルで同日に投与することが好ましい。
本発明者等はさらに、本発明の治療法を実施するための薬剤の調製における、ET−743の使用法を提供する。本発明者らは、本発明の治療法を実施するための薬剤の調製における、ドキソルビシンの使用法も提供する。本発明者らは、本発明の治療法を実行するための薬剤の調製における、ET−473およびドキソルビシンの使用法を提供する。
本明細書で使用したように、用語「ET−743」の意味は天然のおよび合成のET−743にまで及び、薬学的に許容できる塩、エステル、溶媒和物、水和物、または、受容者への投与の都度化合物ET−743を(直接的または間接的に)供給することができるプロドラッグ化合物のいずれにも及ぶ。塩および他の誘導体類ならびにプロドラッグの調製は、当該技術分野で既知の方法により行うことができる。
通常、ET−743は、ET−743と賦形剤とが治療上の使用のために適切な処方、特に、マンニトールおよび適切なpHに緩衝されたリン酸塩を含む処方で無菌凍結乾燥された製品として提供され、貯蔵される。
現在のところ、ET−743は注入により投与することが好ましい。注入するステップは、通常、周期的な方式(サイクル)で反復される。例えば1サイクルから35サイクルにわたる適切なサイクルで反復することができる。このサイクルには、ET−743を注入する期間が含まれ、通常ET−743を注入しない期間も含まれる。概して、このサイクルは、数週間で行われ、したがって、標準的には1週間またはそれ以上のET−743注入期間と、サイクルを完了させるための1週間またはそれ以上の期間とを含む。
1つの実施態様では、1サイクルを3週間とすることが好ましい。あるいは、2から6週間とすることもできる。注入期間は、それ自体を各サイクル中の単回の投与時間、例えば、1〜72時間、さらに通例は1時間、3時間または24時間とすることができ、あるいは、好ましくは1〜5時間、特に好ましくは1〜3時間の注入時間で毎日注入する期間とすることもできる。こうして、ET−743は、例えば、3週間の各サイクルのそれぞれ最初の5日間投与することができる。本発明者らは現在のところ、各サイクルの始めに単回の投与をするか、例えば、21日ごとに1日目と8日目に投与する等、各サイクルで2回の投与をすることを選択している。
投与量は、既存の用量制限毒性データを考慮した投与スケジュールに従って選択する。用量制限毒性データについては、例えば、本明細書に取り込まれた国際公開パンフレット、および、van Kasteren,Ch.ら、2003,Anti−Cancer Drugs,14(7),487−502頁の「Yondelis(trabectedin,ET−743):海洋に起源をもつ抗癌剤の開発」を参照されたい。この文献は、その全文が参照により本明細書に取り込まれている。
各サイクルの始めの単回のET−743投与、または、各サイクルごとに2回のET−743投与の用量は、0.2〜2mg/m2の範囲が好ましく、より好ましくは0.4〜1.5mg/m2、最も好ましくは0.5〜1.2mg/m2の範囲である。本発明の組合わせにおいては特に、0.8mg/m2を下回る用量が好ましく、より好ましくは約0.2〜約0.775mg/m2、最も好ましくは、約0.5〜約0.75mg/m2の用量である。特に、約0.6または約0.7mg/m2の用量が好適である。
本発明に組み込まれたvan Kasterenの文献で指摘されているように、ET−743とデキサメタゾンとの併用には予想外の利点がある。この併用には、肝臓障害予防の役割がある。従って、通常は、ET−743を注入する時刻の前後に患者にデキサメタゾンを投与することが好ましい。例えば、デキサメタゾンを、ET−743の投与前であって同日に投与することが好ましい。デキサメタゾンの投与は、ET−743の投与の前または後に、1日またはそれ以上にわたって行うことができる。
ET−743は、ドキソルビシンとともに併用療法の一部として投与する。
ドキソルビシンは、例えば、乳癌、卵巣癌、移行細胞膀胱癌、気管支原性肺癌、甲状腺癌、胃癌、軟部組織の肉腫および骨原性肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、悪性リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、急性骨髄芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連するカポジ肉腫を含む多くのガンの処置に必要とされる。
本発明の1つの実施態様では、ドキソルビシンは、商標「Doxil」のもとに商業的に入手可能なものなどのペグ化されたリポソーム形態のドキソルビシンの形態をとらない。
本発明のために、ドキソルビシンは、患者を処置するサイクルの一部として静脈注射により投与することが好ましい。ドキソルビシンは、塩酸塩などの薬学的に許容できる塩の形態とすることが好適である。慣用語法に従い、本明細書中の用語「ドキソルビシン」はドキソルビシンの塩を含む。
ドキソルビシンはET−743と同日に、その前または後に与えるのが好ましい。これら2種の薬物の投与は間隔を置いて行うことができ、約1時間の間隔が好ましい。サイクルが3週間である場合、第1日目にET−743とともに投与することが好ましい。その他の投与プロトコールは、本実施態様を考慮して設計することができる。
ドキソルビシンの投与量は、30〜100mg/m2/日の範囲が好ましく、より好ましくは40〜80mg/m2/日の範囲である。現在のところ本発明者らは、約50mg/m2/日または約60mg/m2/日の用量を選択している。ドキソルビシンの注入時間は、通常、最長で6時間であるが、1時間から3時間がより好ましく、1時間が最も好適である。
腫瘍のタイプおよびその疾患の進行段階により、本発明の治療法は腫瘍の成長のリスクを避け、腫瘍の退縮を促進し、腫瘍の増殖を停止させおよび/または転移を回避するのに有用である。特に、本発明の方法は、ヒト患者、とりわけ再発性のまたは以前の化学療法に対して難治性のヒト患者に好適である。第一選択の治療も想定されている。
本発明の併用療法は、上述したスケジュールおよび投与量に従って、肉腫、骨肉腫、卵巣癌、乳癌、黒色腫、直腸結腸癌、中皮腫、腎癌、子宮体癌、および肺癌の治療のために利用することが好ましい。肉腫の患者に最も好適であり、特に、軟部組織肉腫および乳癌を有する患者に好適である。
本発明のさらなる態様として、ET−743をドキソルビシンとの併用で投与するためのメディカルキットを提供する。このキットは、上述の投薬スケジュールに従ってET−743を投与するための印刷された取扱説明書と、少なくとも1サイクル分の用量単位のET−743の供給源とを含み、この場合において、各用量単位は、前述した治療のための有効量のET−743および製薬品として許容できる担体を含む。
用量の指針について上述したが、化合物類の的確な用量は、特定の処方設計、適用方法、ならびに、治療する特定の位置、宿主、および腫瘍によって様々である。年齢、体重、性別、食事、投与時間、排泄率、宿主の健康状態、薬剤の組合せ、反応感受性、疾患の重症度などの他の因子も考慮される。投与は、最大耐量の範囲内で、連続的または周期的に実施することができる。
(実施例1:第1相臨床試験)
この研究の目的は、未治療の転移性の軟部組織肉腫(STS)を有する患者および既治療だがアントラサイクリンでは未処置である進行した乳癌を有する患者(ABC)で、最小毒性シークエンス(LTS)と、ドキソルビシン(doxo)との併用におけるET−743の至適用量とを明確にすることである。
この研究の目的は、未治療の転移性の軟部組織肉腫(STS)を有する患者および既治療だがアントラサイクリンでは未処置である進行した乳癌を有する患者(ABC)で、最小毒性シークエンス(LTS)と、ドキソルビシン(doxo)との併用におけるET−743の至適用量とを明確にすることである。
投与量とLTSを探すこの多施設共同の試験では、患者らは、以下の21日ごとの用量レベルにおいて、シークエンスA(ET−743をDoxoの前に投与)と、その逆のシークエンスBとのいずれかで開始する群に連続して割り当てられる。
両薬剤の薬物動態(PK)は、上述の2つのシークエンスについて、第1サイクルと、患者が逆の順序の薬剤投与を受ける第2サイクルに測定した。交互のシークエンスは用量制限毒性(DLT)が観察された時点、すなわち初期レベルで3日間を超えてグレード4の血液毒性が観察できた時点で中止した。2種の薬剤投与(ET−743は、3時間の静脈内注入。Doxoは、制吐薬としてのステロイド類及び5HT3拮抗薬とともに1時間の静脈内注入。)の間隔を1時間置いて、いずれの薬剤も第1日目に投与した。ET−743のための経口のステロイド前投薬は、処置日の24時間前に48時間にわたって投与した。Doxoは60mg/m2の固定用量で投与したのに対し、ET−743は600μg/m2の投与から開始してその後段階的に増量し、各用量段階は少なくとも新たな3例からなるコホートとした。患者の治療は、進行性疾患(PD)となるか不耐性となるまで継続し、2サイクルごとに取り組みを再スタートした。
本研究では、患者22例が参加し、評価が可能であった。この患者らは、正常な肝臓、腎臓、心臓、および血液系の機能を有し、研究への参加に適切なガンの一般状態(performance status)にある必要がある。参加は乳癌および軟部組織肉腫に限った。以前の化学療法についての制限も適用した。すなわち、以前にしたアジュバント療法(adjuvant therapy)は、再発が終了から6ヶ月以上経過後であって、受容するDoxo等価体の最大累積投与量が280mg/m2以下となる場合には許容した。表1は、患者および研究の特徴を示す。
第1サイクルの用量制限毒性(DLT)は以下のとおりに規定される。
a)7日間を超えたグレード4の絶対好中球数(ANC)
b)熱性好中球減少
c)グレード4の血小板またはヘモグロビン(Hb)
d)3日間またはそれ以上のグレード3の口内炎
e)肝臓については、グレード3以上のアルカリホスファターゼ(AlkPhos)ならびに第28日目までのビリルビン/アミノ基転移酵素/AlkPhosのグレードおよび回復の有無を問わない上昇
a)7日間を超えたグレード4の絶対好中球数(ANC)
b)熱性好中球減少
c)グレード4の血小板またはヘモグロビン(Hb)
d)3日間またはそれ以上のグレード3の口内炎
e)肝臓については、グレード3以上のアルカリホスファターゼ(AlkPhos)ならびに第28日目までのビリルビン/アミノ基転移酵素/AlkPhosのグレードおよび回復の有無を問わない上昇
表2は用量増量レベルおよび各レベルへの該当患者の発生、ならびに各用量レベルで経験されたDLTの数を示している。
700μg/m2に達するまでは、患者にはDLTが全く観察されなかった。用量を800μg/m2にまで増量したところ、このレベルではDLTが4例観察された(2例はシークエンスAであり、7日間を超えるグレード4のANCおよび熱性好中球減少による。残りの2例はシークエンスBであり、7日間を超えるグレード4のANCおよびrade3の無力症および熱性好中球減少である。)。ET−743およびドキソルビシンの血漿中動態についての両シークエンスを受けた患者間の比較では、有意な薬物動態学的相互作用が認められなかった。
抗腫瘍活性が観察された。すなわち、患者5例には部分反応(PR)が確認され(ET−743の用量レベル600μg/m2で2例、ET−743の用量レベル700μg/m2で1例、ET−743の用量レベル800μg/m2で2例。)、さらに患者5例には(6月間を越える)長期間にわたる病態の安定(SD)がみられた(ET−743の用量レベル600μg/m2で2例、ET−743の用量レベル700μg/m2で1例、ET−743の用量レベル800μg/m2で2例。)。表3に抗腫瘍活性データを示す。
本研究の目的に対しては、患者6例のうち2例がDLTを経験した時点で最大耐量(MTD)に達した。
MTDは、800μg/m2のET−743および60mg/m2のDoxoでの長期にわたるグレード4の好中球減少/熱性好中球減少により規定された。最も関連のある非血液系の毒性は、高い用量で複数のサイクル後にトランスアミナーゼ類が可逆的に変換することであった。初回の用量レベルでのグレード4の好中球減少は、同一患者に交互のシークエンスAおよびBを適用する効果をなくさせた。毒性は、両シークエンスで類似しており、投与の順番はいずれの薬剤の薬物動態にも影響を与えなかった。抗腫瘍活性はDoxoとの併用におけるET−743が600〜700μg/m2の場合に観察された。
(実施例2:第1相臨床試験)
もう一つの第1相研究は、ET−743とドキソルビシンの組合せで行われた。本研究の目的は、ドキソルビシン(doxo)との併用におけるET−743の安全プロファイルおよび至適用量を、進行した婦人科癌および乳癌ならびに肉腫を有する患者で明らかにすることである。
もう一つの第1相研究は、ET−743とドキソルビシンの組合せで行われた。本研究の目的は、ドキソルビシン(doxo)との併用におけるET−743の安全プロファイルおよび至適用量を、進行した婦人科癌および乳癌ならびに肉腫を有する患者で明らかにすることである。
研究の用量増量段階では、ET−743の用量レベル6種が検討された(300、400、500、600、700、および800μg/m2)。これに対し、ドキソルビシンは50mg/m2の固定用量で投与した。Doxoは静脈注射により投与し、その後直ちにET−743を3時間の注入により投与した。Doxoは第1日目にのみ投与したが、ET−743はサイクルの第1日目と第8日目に投与した。サイクルは21日ごとに繰り返した。
患者3例〜6例のコホートを、観察された毒性のタイプと程度にしたがって、各用量レベルで処置した。主要な試験対象患者基準は以下のとおりである。
−進行した固形癌(好ましくは以下のタイプ:婦人科癌および乳癌ならびに軟部組織肉腫)を有する。
−既投与のdoxoの最大累積投与量が300mg/m2以下であり、既投与のエピルビシンの最大累積投与量が540mg/m2以下。
−ECOG一般状態が1以下。
−正常な肝臓、腎臓、心臓、および血液系の機能を有する。
−進行した固形癌(好ましくは以下のタイプ:婦人科癌および乳癌ならびに軟部組織肉腫)を有する。
−既投与のdoxoの最大累積投与量が300mg/m2以下であり、既投与のエピルビシンの最大累積投与量が540mg/m2以下。
−ECOG一般状態が1以下。
−正常な肝臓、腎臓、心臓、および血液系の機能を有する。
本研究では、患者20例が参加し、評価が可能であった。表4は、該当患者の発生および用量増量状況を示す。
この研究の終了時に、ET−743のMTDは700μg/m2、DoxoのMTDは50mg/m2と規定された。
Claims (18)
- 治療に有効な量のドキソルビシンをET−743との併用で投与する工程を含み、かつ、ET−743の投与量が0.5〜1mg/m2の範囲である、ガンに対するヒトの体の治療方法。
- 治療に有効な量のET−743をドキソルビシンとの併用で投与する工程を含み、かつ、ドキソルビシンの投与量が40〜80mg/m2の範囲である、ガンに対するヒトの体の治療方法。
- ドキソルビシンとET−743とを異なる時刻に投与する別個の薬剤として提供する、請求項1または2に記載の方法。
- ドキソルビシンを前記ET−743の投与前に投与する、請求項3に記載の方法。
- ドキソルビシンとET−743とを静脈内注射により投与する、請求項4に記載の方法。
- 前記静脈内注射の注入時間が、ドキソルビシンについては最長で3時間、ET−743については最長で24時間である、請求項5に記載の方法。
- 前記静脈内注射の注入時間が、ドキソルビシンについては約1時間、ET−743については約3時間である、請求項6に記載の方法。
- 前記注入を1週間から6週間の間隔を置いて実施する、請求項7に記載の方法。
- 前記の双方の薬の注入を21日ごとに1回実施する、請求項8に記載の方法。
- 前記ドキソルビシンの注入を第1日目に、前記ET−743の注入を第1日目と第8日目に、それぞれ21日ごとに実施する、請求項8に記載の方法。
- ドキソルビシンを最大60mg/m2の用量で投与し、続いてET−743を最大0.7mg/m2の用量で投与する、請求項9または10に記載の方法。
- ドキソルビシンを約60mg/m2の用量で投与し、続いてET−743を約0.7mg/m2の用量で投与する、請求項11に記載の方法。
- ドキソルビシンを約50mg/m2の用量で投与し、続いてET−743を約0.6mg/m2の用量で投与する、請求項11に記載の方法。
- 患者が、肉腫、骨肉腫、卵巣癌、乳癌、黒色腫、結腸直腸癌、中皮腫、腎臓癌、子宮内膜癌、および肺癌から選ばれるガンを有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記患者が、肉腫、卵巣癌、子宮内膜癌、および乳癌から選ばれるガンを有する、請求項14に記載の方法。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法のための薬剤の調製における、ドキソルビシンの使用。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法のための薬剤の調製における、ET−743の使用。
- ET−743をドキソルビシンとの併用で投与するためのメディカルキットであって、少なくとも1サイクル分の投与量単位のET−743の供給源と、投薬スケジュールに従ってET−743を投与するための印刷された取扱説明書とを含み、各投与量単位が治療のための有効量のET−743と製薬品として許容できる担体とを含む、メディカルキット。
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