JP2007510737A - 癌処置のためのセラミド異化阻害剤としてのppmp - Google Patents

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Abstract

本発明は、レチノイン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩、およびセラミド分解阻害剤としてのD−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩を含むセラミドを産生するレチノイドを投与することを含む過増殖性疾患の処置方法に関し、ここで前記過増殖性疾患は腫瘍であり;そして、セラミドを産生するレチノイドを、腫瘍にネクローシス、アポトーシスまたは両方をもたらすための有効量で投与し、かつセラミド分解阻害剤を、セラミドを産生するレチノイドおよびセラミド分解阻害剤を別々に投与したときの和によりもたらされると予期される以上に、ネクローシス、アポトーシスまたは両方を増すための有効量で投与する。

Description

発明の詳細な説明
関連出願の相互参照
本出願は、2003年11月12日に出願された米国特許出願第10/712,763号に優先権を主張し、それは本明細書中に完全に記載するのと同程度に図面を含むその全体を参照により本明細書に包含する。
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する記載
本明細書中に記載した研究のための補助金は、国立衛生研究所の許可の下に、連邦政府により一部提供された。米国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
発明の背景
発明の分野
本発明は一般的に、腫瘍などの過増殖性疾患の処置に関する。
背景
米国では毎年約130万の小児および成人の癌の新症例があり、結果として55万人以上の死者をだすことが見積もられている。これらの癌には、生殖系、消化器系、呼吸器系、胸部、泌尿器系、皮膚、口腔および咽頭、内分泌系、脳および神経系の癌、軟組織の癌、骨および関節の癌、眼および眼窩の癌、リンパ腺の癌(例えばリンパ腫など)、ならびに血液の癌(例えば白血病など)が含まれる。故に、癌は米国で2番目に多い死亡原因である。
従って、かかる癌の処置のための改善された治療法が必要とされている。
発明の概要
本発明の目的は、多数の癌のための化学療法の改善された有効性のための薬剤および該薬剤の使用方法を提供することである。
本発明のこの局面および下記により当業者に明らかとなり得る本発明の他の局面は、セラミドを産生する抗癌剤または処置、およびセラミド分解阻害剤またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む過増殖性疾患を処置する方法により達成され、ここで前記過増殖性疾患は腫瘍であり、セラミドを産生する抗癌剤または処置は、腫瘍のネクローシス、アポトーシスまたは両方をもたらすための有効量で投与され、そしてセラミド分解阻害剤は、セラミドを産生する抗癌剤または処置およびセラミド分解阻害剤を別々に投与したときの和によりもたらされると予期される以上に腫瘍のネクローシス、アポトーシスまたは両方を増すための有効量で投与される。
本発明のこの局面および他の局面はまた、セラミドを産生する抗癌剤または処置、およびセラミド分解阻害剤またはその薬学的に許容される塩を含む過増殖性疾患を処置するための製剤により達成され、ここで前記過増殖性疾患は腫瘍であり、そしてセラミドを産生するレチノイドは、腫瘍のネクローシス、アポトーシスまたは両方をもたらすための有効量で投与され、そしてセラミド分解阻害剤は、セラミドを産生する抗癌剤または処置およびセラミド分解阻害剤を別々に投与したときの和によりもたらされると予期される以上に腫瘍のネクローシス、アポトーシスまたは両方を増すために有効な量で投与される。
図面の簡単な説明
図1は、セラミドの代謝経路の一部を示す。
図2は、セラミド増加と4−HPR(フェンレチニド)の細胞毒性の相関関係を示す。
図3は、4−HPRにより誘導されるセラミドが細胞毒性であり、特にデノボのセラミド合成の阻害剤であるL−シクロセリンが、4−HPRおよび4−HPR/サフィンゴールの細胞毒性を減少させることを示す。
図4は、4−HPRにより誘導されるセラミドが細胞毒性であり、特にグルコシルセラミド合成酵素(GSC)の過剰発現が、MCF−7乳癌細胞で4−HPRの細胞毒性を減じ、サフィンゴールの細胞毒性相乗効果を無効にすることを示す。
図5は、GSCおよび1−O−ACSが神経芽腫細胞株および白血病細胞株で発現され、それ故に治療的介入のための標的であることを示す。
図6は、D,L−トレオ−PPMPが、耐性神経芽腫細胞株で4−HPRの細胞毒性に相乗作用することを示す。
図7は、D,L−トレオ−PPMPが、多剤耐性神経芽腫細胞株で4−HPRにより誘導されるセラミドを増加することを示す。
図8は、D,L−トレオ−PPMPが、ALL(急性リンパ芽球性白血病)細胞株で4−HPRの細胞毒性に相乗作用したことを示す。
図9は、D−トレオ−PPMPが、L−トレオ−PPMPよりもセラミドを増加することを示す。
図10は、D−トレオ−PPMPが、神経芽腫細胞株で4−HPRの細胞毒性により強く相乗作用することを示す。
図11は、D−トレオ−PPMPが、前立腺細胞株で4−HPRの細胞毒性により強く相乗作用することを示す。
図12は、可能なD−トレオ−PPMPの合成方法を示す。
図13は、ラットでの4−HPRの連続静脈点滴を示す。
発明の詳しい説明
上記の詳細ならびに本発明の他の利点および目的が得られる方法を完全に理解するために、本発明のより詳しい説明が、その特定の態様を参照することにより提供されるだろう。
現在の臨床に用いる多くの癌化学療法剤は、直接的または間接的にDNAに損傷を与え、ほとんどの細胞にp53依存性のアポトーシスにより死をもたらす。機能的なp53を有しない腫瘍細胞(成人の癌の約1/2、および多くの再発性小児癌)は、p53依存性の化学療法剤に、最大でもわずかな応答しか示さない。治療が寿命の何年もの延長をもたらし得る、化学療法剤に高応答の小児癌でさえ、現在の化学療法の変異誘発の可能性が、二次的な悪性腫瘍の高いリスクを生じる。故に、DNA損傷を引き起こすことなく悪性細胞に細胞毒性であり、かつp53非依存性である化学療法剤の開発は、薬剤耐性の共通機構を回避し、初期および後期の両方の副作用を減じる可能性を提供する。この記載に合う1つの方法は、癌細胞の細胞死を促進する脂質であるセラミドの選択的な過剰産生である。フェンレチニドは、悪性細胞でセラミド産生を刺激するが正常細胞では刺激しない薬剤である。ドキソルビシンは、癌細胞でセラミドを増加し得る化学療法剤のもう1つの例である。かかる方法の重要な要素は、腫瘍細胞がセラミドを無毒化する能力を減少させる薬剤を開発することであり、本発明者らはかかる薬剤の1個が、1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール(PPMP)のD−トレオ−立体異性体であることをここで証明する。
PPMPはセラミド異化の阻害剤であり、そのようなものとして、細胞毒性レチノイドであるフェンレチニド(4−HPR)の抗癌活性を増強することができる。本発明者らは:1)フェンレチニドが、インビトロで投与量および時間依存的に、小児および成人癌の両方の固形癌および急性白血病細胞株でデノボ合成によりセラミドを非常に増加させること;そして、2)セラミド異化の阻害剤、例えばPPMPが、アルキル化剤耐性および/または機能的p53欠損を有する細胞株でさえ、4−HPR細胞毒性を相乗的に増加させることを発見した。本発明者らの研究は、とりわけ、グリコシルセラミド合成酵素および1−O−アシルセラミド合成酵素の両方の阻害剤であるD−トレオ−PPMPが、4−HPRにより誘導されるセラミドの異化を阻止し、その結果、インボトロでの4−HPR細胞毒性の相乗的増加をもたらすことを示す。インビボでのデノボセラミドの刺激および操作は、全体的に化学療法の新規な形態を示す。従って、D−トレオ−PPMPは、許容される全身毒性を有する小児および成人癌患者の両方で、4−HPR、および他のセラミドを産生する抗癌剤または処置の抗癌効果を増加する可能性が高いであろう。セラミドを産生する抗癌剤または処置は、直接的または間接的にセラミドの増加または産生をもたらす何らかの薬剤または処置である。
本発明の方法には、例えばD−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルなどの可能性のある薬剤の、腫瘍、癌、新生物組織ならびに他の前癌性および非新生物性過増殖疾患または過形成疾患の増殖を阻害または予防することにより細胞毒性レチノイドであるフェンレチニド(4−HPR)などの化合物の抗癌活性を増加するために、セラミド異化の阻害剤としての使用が含まれる。前記方法を、一般的には前癌性および非新生物性または非悪性過増殖性疾患を伴う腫瘍、癌および新生物組織を含む過剰増殖性細胞である標的細胞のネクローシスもしくはアポトーシス機構、または両方により増殖を阻害し、および/または細胞毒性を誘導するために用いることができる。
本方法により処置され得る腫瘍、癌および新生物組織の例には、例えば乳癌、骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫および他の肉腫、白血病、リンパ腫、洞腫瘍、卵巣癌、尿道癌、膀胱癌、前立腺および他の泌尿生殖器癌、結腸癌、食道癌および胃癌ならびに他の消化管癌、肺癌、骨髄腫、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、内分泌癌、皮膚癌、ならびに神経膠腫および神経芽腫を含む悪性または良性の脳または中枢および末梢神経系腫瘍などの悪性腫瘍が含まれるが、それらに限定されない。
前癌性および非悪性過増殖性疾患の例には、骨髄異形性疾患、子宮頸部上皮内癌、ガードナー症候群のような家族性腸ポリープ、口腔白板症、組織球増殖症、ケロイド、血管腫、過剰増殖性動脈狭窄、炎症性関節炎、角化症および関節炎を含む丘疹落屑性発疹が含まれるが、それらに限定されない。また、疣などのウイルスにより誘導される過増殖性疾患、および感染性単核球症、瘢痕形成などのEBVにより誘導される疾患も含まれる。その方法を、過増殖性疾患を有するかまたは発症する危険があると知られているかまたは予期される何らかの対象に用いることができる。
過増殖性疾患の処置は、過剰増殖性細胞の塊または数の増殖または増加を阻害するかもしくは遅延するか、または他の解剖学的位置に広がるのを阻止し、ならびに過剰増殖性腫瘍の大きさまたは過剰増殖性細胞の数を減ずる、細胞を殺す方法を示す。処置は、過剰増殖性腫瘍の治療または完全な撤廃を意味することを意図される必要はない。処置有効量とは、過剰増殖性細胞の増殖率を低下させ、過剰増殖性細胞の塊の大きさを減少させ、そして/または過剰増殖性細胞の数を減少させる、細胞死をもたらすのに有効な量である。可能性のある薬剤には、2個またはそれ以上の化合物が共に、個々の化合物のみの投与よりも治療的に優れた効果を有するように第一の化合物の活性を増強するのに十分な量で含まれる。
組合せでの2個またはそれ以上の化合物の投与は、2個の化合物が、一方の存在が他方の生物学的効果を変更する十分近い時間内に投与されることを意味する。その2個の化合物は、同時にまたは逐次に投与され得る。同時投与は、投与前に化合物を混合することによるか、または同じ時間点であるが異なる解剖学的位置に、または異なる投与経路の使用で化合物を投与することにより行われ得る。
本化合物の投与は、患者のセラミドレベルに影響を及ぼす。セラミドは、スフィンゴミエリンとスフィンゴ糖脂質のスフィンゴ脂質前駆体である。図1を参照すると、セラミドは、デノボ合成により異なる細胞成分で産生されるか、またはスフィンゴミエリナーゼの作用によるスフィンゴミエリンの分解により産生される。セラミドレベルは、デノボ合成および/またはグルコシルセラミド、1−O−アシルセラミド、およびスフィンゴミエリンなどの非毒性脂質画分へのセラミドの変換の調節により厳しく制御されている。セラミドはまた、様々なセラミダーゼによりスフィンゴシンに同化される。セラミドは、TNF−α、Fas、放射線療法、任意の化学療法剤、および熱ショックを含むいくつかの細胞死−シグナル経路におけるセカンドメッセンジャーとして関与している。セラミドに対する細胞応答は、その細胞成分に依存して変化する。細胞死シグナリングでのスフィンゴミエリンにより誘導されるセラミドの役割は明確にされつつあるが、本データはデノボ合成により誘導されるセラミドの細胞毒性機能を支持する。セラミドは、ミトコンドリアの電子伝達を乱し、活性酸素種(ROS)の生成をもたらすことが報告されており、セラミドは、アポトーシス(カスパーゼ)活性化の結果として産生され得る。セラミドは、p53非依存的に低酸素条件下で細胞死を起こすことが報告されている。セラミドは、カスパーゼ、ERK1/2(生存を支持する)、およびJNK/SAPK(死を支持する)、ホスファターゼの活性化を含む細胞死シグナリング/応答への影響を活性にし、そしてサイクリン依存性キナーゼ、Cdk2およびテロメアーゼ活性を不活性にし得る多数のキナーゼを活性化することが示されている。
図1を参照すると、セラミドの代謝経路の一部が記載され、ここでデノボセラミド合成では、L−シクロセリンにより阻害されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)が、セリンおよびパルミトイル−CoAのケト−スフィンガニンへの凝縮を触媒し、それがD−エリトロ−ジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン)に還元される(1)。スフィンガニンは、フモニシンBにより阻害される(ジヒドロ)セラミド合成酵素(CS)によりジヒドロセラミドにアシル化され、その後、セラミドに脱飽和される(2)。あるいは、スフィンゴミエリンが、様々なスフィンゴミエリナーゼによりセラミドに加水分解される(3)。セラミドは、様々なセラミダーゼによりスフィンゴシンに異化される(4)。スフィンゴシンは、スフィンゴシンキナーゼ(SK)によりスフィンゴシン−1−リン酸塩(S−1−P)にリン酸化される(5)。セラミドは、ゴルジにより誘導されるグリコシルセラミド合成酵素(D,L−トレオ−PPMPにより阻害される)によりグルコシルセラミドに異化されるか(6)、または1−O−アシルセラミド合成酵素(ヒトレシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ様リゾホスホリパーゼ)(D,L−エリトロ−、およびD,L−トレオ−PPMPにより阻害される)により1−O−アシルセラミドに異化される(7)。
セラミドにより仲介される細胞毒性の多くの研究が、セラミドの細胞局在を人工的に侵すことができる外生の、短鎖の、C2−またはC6−セラミドなどの細胞貫通セラミドを用いている。重要なことには、C2およびC6−セラミド、ならびに可能性のあるすべての短鎖セラミドのスフィンゴシン骨格が、セラミダーゼおよび(恐らくゴルジ)セラミド合成酵素の作用により内生の長鎖セラミドおよび他のスフィンゴ脂質に再生されることが証明されている。この発見は、短鎖セラミドを用いて得られたデータの解釈を複雑にするが、デノボ合成されたセラミドの細胞毒性の役割を支持する。
セラミド異化の阻害剤をここに記載する。セラミドは、図1に示されるように様々なセラミダーゼにより分解され、そしてスフィンゴミエリン、グルコシルセラミド、および1−O−アシルセラミドに異化される。セラミドの細胞毒性は、その分解および異化を減少する阻害剤により増加され得る。かかる阻害剤には、1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールの任意の立体異性体(PDMP)およびそのより活性な相同体PPMPが含まれ、それらはグルコシルセラミド合成酵素および1−O−アシルセラミド合成酵素を阻害する。セラミドを増加させるレチノイドであるフェンレチニド(4−HPR)の細胞毒性は、インビトロでの多数の固形癌および白血病細胞株でこれらの薬剤により相乗作用を受ける。グルコシルセラミド形成の阻害はまた、MCF7乳癌細胞株のドキソルビシンに対する薬剤耐性を無効にすることも発見され得る。実際に、グルコシルセラミド合成(GCS)の阻害、またはセラミドの多数の薬剤による増加は、可能性のある化学療法であり得る。残念なことに、タモキシフェン、シクロスポリン、およびベラパミルなどの、GCS活性を阻害することが報告されている臨床的に利用可能な薬剤は、インビトロで小児患者またはほとんどの成人患者で達成不可能なレベルでしか阻害しない。より重大なことには、GCSおよび1−O−アシルセラミドを同時に阻害する臨床用途の抗癌剤は知られていない。故に、セラミド異化の阻害剤が、セラミド(例えば4−HPRなど)を介して作用する癌化学療法剤の効果を増強し得るため、臨床用途のためのセラミド異化を阻害することができる新規の薬剤を開発する必要がある。
PPMPは、GCSおよび1−O−ACS阻害剤である、1−フェニル−2−[デカノイルアミノ]−3−モルホリノ−1−プロパノール(PDMP)の相同体である。PPMPは(その前駆化合物であるPDMPと同様に)、2個の不斉炭素を有し、それ故に4個の立体異性体:D−トレオ−PPMP;L−トレオ−PPMP;D−エリトロ−PPMP;および、L−エリトロ−PPMPを有する。PPMPは、D,L−トレオ−PPMPおよびD,L−エリトロ−PPMPのそのラセミ混合物形態で用いられることが多く、これらのラセミ混合物は通常、“PPMP”と称される。PPMPは、無傷細胞でPDMPよりも10から20倍活性である。PDMPは、元々はゴーシェ病などのスフィンゴ糖脂質蓄積疾患の処置のためのグリコシルセラミド合成酵素(GCS)の阻害剤として開発された。しかしながら、N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJ)、PPPP(P4)、または4’−ヒドロキシ−P4などの他のグリコシルセラミド合成酵素阻害剤とは異なり、D−トレオ−PDMPは、処置した細胞の増殖の用量依存的な低下と関係する内生セラミドを増加することが示されている。それにより、D−トレオ−PDMPは、蓄積疾患の処置のためには望ましくない薬剤であるが、この増殖阻害特性により、マウスのエールリッヒ腫瘍細胞、ラットモデルのC6神経膠腫細胞を処置するため、およびマウスルイス肺癌転移を減らすために耐容性の良好な化学療法剤として使用されている。
本発明者らは、D−トレオ−PPMPが、セラミドの分解を阻害し、フェンレチニドなどのセラミドを増加する抗癌剤の抗癌活性を増加するための優れたPPMPの立体異性体であり、故に本目的のために何らかの他のPPMP化合物より好ましいことを明らかにする。D−トレオ−PDMPは、1−O−アシルセラミド合成酵素(レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ様リゾホスホリパーゼ)およびグリコシルセラミド合成酵素(GCS)を同時に阻害するその能力により、セラミドを増加するその能力を生じ得る。1−O−アシルセラミド合成酵素(1−O−ACS)は、最近、1位の炭素でセラミドをアシル化し得る酵素であると特徴付けられ、広範に発現される。アシル基転移は、セラミドストレス下で細胞に同化バッファとして働くと仮定され、セラミドをさらなる同化のために非毒性で貯蔵することを可能とする。D,L−エリトロ−PDMPはGCSを阻害せず、またセラミド蓄積および増殖阻害を引き起こし、故に1−O−ACSを阻害する可能性がある。本発明者らはまた、予期せぬ事に、L−トレオ−PPMPがグルコシルセラミドの形成を阻害せず、それ故にそのラセミ混合物であるD,L−PPMPが、セラミド異化の阻害においてD−トレオ−PPMPよりも活性が低く、セラミドレベルを増加することを明らかにする。興味深いことには、L−トレオ−PDMPは、GCSを阻害しないが、むしろスフィンゴ糖脂質生合成を刺激する。
さらに、PDMPおよびPPMPは、MCF−7乳癌細胞、KG1aおよびK562白血病細胞、ならびにKB子宮頸癌細胞でのP−糖タンパク質により仲介される多剤耐性(MDR)表現型を逆戻りさせる。それらはまた、MCF−7乳癌およびHepG2肝細胞癌細胞でドキソルビシンにより誘導されるアポトーシスを増強し、増加したセラミドに伴って、神経芽腫細胞でタキソールおよびビンクリスチン細胞毒性に相乗作用を示す。
本発明者らは、D−トレオ−PPMPが、上記の他の化学療法剤および処置とも相乗作用し得ることを認識し、細胞毒性のセラミドを増加するレチノイドであるフェンレチニド(4−HPR)との組合せの使用のためのGCSおよび1−O−ACS阻害剤として有効であることを発見した。
フェンレチニド
合成レチノイド(ビタミンA誘導体)、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチナミド(フェンレチニド、4−HPR)は、1−12μM濃度の4−HPRで、神経芽腫、結腸直腸癌、頭部および頸部癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、膵臓癌、および白血病/リンパ腫を含むインビトロの様々な癌細胞株に細胞毒性であることが示されている。4−HPRは、アポトーシス、ネクローシス、またはアポトーシス/ネクローシス混合型による細胞死を誘導する。4−HPRは、白血病/リンパ腫の細胞株、ならびに小細胞および非小細胞性肺癌においてp53非依存的に細胞毒性となることが報告されている。4−HPRはまた、神経芽腫細胞株においてアポトーシス/ネクローシス混合型によりp53−およびカスパーゼ−非依存的に細胞死を誘導し得る。細胞死は、Bcl−2を過剰発現する白血病細胞では遅延されるが、それでもなお起こる。前立腺癌および乳癌細胞株で4−HPRにより誘導されるアポトーシスは、TGF−βにより誘導されるものと同じである。4−HPR細胞毒性は、PC−3前立腺癌細胞で活性化するc−Jun N末端キナーゼ(JNK)と関係がある。
臨床的には、低用量の経口4−HPR(200−900mg/日;1から3μM血漿レベル)は、乳癌、膀胱癌、子宮頸癌、気管支癌、黒色腫、および口腔癌において、最小の毒性を有する化学予防剤として研究されているが、報告された成功例はわずかである。しかしながら、前癌口腔病変(白斑症)の30%の減少、および対側性乳癌および卵巣癌の減少が、低用量4−HPRを用いて報告されている。
成人および小児固形腫瘍における高用量経口4−HPRのフェーズI治験により、下記の結果が得られている。小児にて、7日間3週間毎に投与された経口4−HPRの最大耐性量(MTD)は、2475mg/m/日であり、それは最小の全身毒性で6から10μMの4−HPR血漿レベルを達成した。同様の結果が、より低い血漿レベルであるが、1800mg/m/日のフェーズII治験のために推奨される‘実際的’用量で、成人の高用量経口4−HPR治験において観察された。現在利用可能な経口4−HPR製剤の低い吸収性が、両治験の主な投与制限であると思われる。
4−HPR細胞毒性の機序は複雑である。4−HPRは、かなりのレチノイド受容体−非依存性細胞毒性を有する。活性酸素種(ROS)は、HL−60骨髄性白血病細胞株、子宮頸癌および扁平上皮細胞癌細胞での4−HPR細胞毒性に寄与し、4−HPRは、神経芽腫細胞株でROSを増加する。ROSは、5種の頭頸部癌細胞株、ならびに5種の肺癌細胞株で検出されたが、抗酸化剤は、これらの細胞株のうち2種でしか4−HPRにより誘導されるアポトーシスを阻害しなかった。故に、ROSは、4−HPR曝露と関連付けられるが、すべての場合における細胞毒性への正確な寄与は明確にされていない。
さらに、4−HPRは、デノボ合成の刺激により時間および用量依存的にインビトロで感受性神経芽腫、白血病、およびPNET/ユーイング肉腫細胞株でセラミドの多量の、新規の増加を引き起こし得る。重要なことには、4−HPRは正常線維芽細胞および末梢血単核細胞で非毒性であり、セラミドの増加がわずかであり、そして骨髄性前駆細胞で非毒性であった。p53変異および/または高レベルアルキル化剤耐性を有する細胞株を含む、神経芽腫、肺癌、黒色腫、前立腺癌、結腸癌、乳癌および膵臓癌の癌細胞株では、D,L−トレオ−PPMPおよびサフィンゴールなどのセラミド異化または活性の調節剤による4−HPR細胞毒性の著しい相乗作用がある。グルコシルセラミドおよび1−O−アシルセラミド合成酵素の阻害剤であるD,L−トレオ−PPMPはさらに、6個の急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株のうち4個で4−HPRにより誘導されるセラミドレベル、および細胞毒性を増加させる。図面において、D、L−トレオ−PPMPは、セラミドレベル、および4−HPRに曝露された前立腺癌細胞株の細胞毒性をさらに増加することが示される。特記すべき事には、4−HPRを含む薬剤組合せで見られる細胞毒性は、正常な線維芽細胞および骨髄性前駆細胞に非毒性であった用量レベルで生じた。興味深いことに、4−HPRは、不死化された(形質転換されていない)急速に増殖するB細胞リンパ球芽様細胞株で非毒性であり、かつセラミドの増加はわずかであり、4−HPR細胞毒性およびセラミド誘導の明白な悪性特有の特性を支持する。
その新規セラミドを用いる作用機序で4−HPRを用いる療法は、既存の治療に耐性である多くの固形腫瘍および造血性悪性腫瘍(例えば白血病およびリンパ腫など)に対して効果的であり得、かつ現在の処置レジメンに容易に組み込まれ得る。多くの癌化学療法処置が、身体内での望まれない副作用、とりわけ骨髄中の正常な造血細胞に対する毒性(すなわち、骨髄毒性)により作用が限定される。骨髄毒性は、抗癌効果のために送達され得る抗癌剤(複数可)の量を制限し、赤血球細胞および血小板の輸血を必要とさせ、そして患者に感染を起こしやすくし得る。故に、最小の骨髄毒性である化学療法は、明らかな利点を有する。例えば、フェーズI治験により、高用量4−HPR、および4−HPR+D−トレオ−PPMPが最小の骨髄毒性であることが確認された場合、それらは地固め(Consolidation)、または暫定的維持(Interim Maintenance)のフェーズIIウインドウ、現在の高リスク急性リンパ芽球性白血病(ALL)プロトコールのフェーズ、および神経芽腫における骨髄破壊的治療後への包含が検討され得る。これは、微小残存病変の再発において、願わくは疾患耐性クローンの拡大より前にセラミドを用いた攻撃を開始することができる。さらに、最小の骨髄毒性の4−HPRを用いる治療を、現在の急性骨髄性白血病(AML)治療の長期の骨髄回復相の後期に用いることができる。あるいは、4−HPRを用いた治療が中程度の骨髄毒性作用を有する場合、早期の処置相にそれらを組み込むことはあまり望まれず、それらは、神経芽腫におけるALL維持相中もしくは後、または現在のAML治療の前回のコースからの骨髄の回復後、または骨髄破壊的治療前に用いられ得る。さらに、かかる毒性のわずかなセラミドを用いる化学療法剤を、多くの固形腫瘍の現在の治療前または後に併用することができる。
さらに、4−HPRおよびPPMPは、結腸癌、乳癌、および前立腺癌を含む少なくとも数種の成人悪性腫瘍で抗癌活性を有し得る。
レチノイドおよびセラミド分解阻害剤を用いる過増殖性疾患の処置は、一般にMaurerらによる米国特許第6,352,844号および第6,368,831号に記載され、それらは参照により本明細書中に包含される。
さらに、以下の実施例に記載のように、D−トレオ−PPMPは、予想外に4−HPRにより誘導されるセラミドの異化の阻害に最も有効であり、L−トレオ−PPMPおよびD,L−エリトロ−PPMPと比較したとき、および本方法に用いたとき、4−HPR細胞毒性に相乗作用することが分かった。さらに、PPMPは、PDMPよりも10−20倍活性であり、D−トレオ−PPMPは予想外にすべてのPPMPおよびPDMP化合物の最も好ましい立体異性体である。
加えて、D−トレオ−PPMPの適用は、純粋である(すなわち、ラセミ混合物ではない)単剤の必要を満たし、ここで薬剤の活性は、2個の分子化合物(molecular entity)の未知の貢献というよりむしろ、単一の分子化合物によるとされ得、故に抗癌効果に影響し得る薬物動態作用および薬理作用を非常に単純化し、ならびに連邦食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)による規制の検討を非常に簡素化する。さらにD−トレオ−PPMPは、GCSおよびACSの両方に対して同時に阻害活性を示し、結果として多数の癌のための化学療法の改善された有効性に影響し得る。
D−トレオ−PPMPの合成
図12を参照すると、D−トレオ−PPMPの合成は、D−ガーナーアルデヒド(Garner aldehyde)にフェニルクプラートを立体選択的に付加させることによりなされ得る。その合成付加は、主産物としてD−トレオイソ型をもたらし得る。微量のL−エリトロイソ型(約5%)を、合成の後期にクロロホルムから結晶化することにより除去することができる。合成を、D−セリンからD−ガーナーアルデヒドを生成するための4段階合成法で開始する。本発明者らは、サフィンゴールの産生と同じ方法を用いてキログラムスケールで、L−セリンからL−ガーナーアルデヒドを合成した。ガーナーアルデヒドを、クロマトグラフィーなしに98+%ee純度で28%全収率で得た。フェニルクプラートを、ヨウ化銅(I)および臭化フェニルマグネシウムの反応によりインサイチュウで産生することができる。フェニルクプラートのD−ガーナーアルデヒドへの付加により、中間体6を産する。中間体6のHClを用いた脱保護により、D−トレオ−1−フェニル−2−アミノ−プロパン−1,3−ジオール7を産する。中間体7を活性化パルミチン酸と反応させ、その後、塩基加水分解により中間体8を形成させる。中間体8の第一級ヒドロキシ基をメシラートに変換し、その後、モルホリンで置換し最終産物であるD−トレオ−PPMPを得ることができる。本発明者らの合成法は、エナンチオマー的に純粋なPPMPの高効率で、実践的な合成法である。記載された反応のほとんどは、本発明者らの実験室でキログラムスケールで成功裏に行われた。最初の2gのバッチが、所望のPPMPエナンチオマーが同定されてから6から8週間以内に供され得ることが見込まれる。合成の現在の方法の変法およびD−トレオ−PPMPの他の合成法は、当業者に容易に理解される。
製剤および投与
活性化合物を、様々な状態の処置のために単一の医薬的担体または別個の医薬的担体で投与するために製剤することができる。前記担体は、製剤中のすべての他の成分と混合可能でなければならず、患者に有害であってはならない。担体は、固体または液体または両方であり得、好ましくは、0.5%から95%重量の活性化合物を含み得る錠剤などの単位用量剤形として化合物と共に製剤される。1個またはそれ以上の活性化合物を、基本的に前記要素を混合すること、および所望により1個またはそれ以上の助剤を包含することからなる薬学の何らかの既知の技術により製造され得る製剤に組み込むことができる。
本発明の製剤は、任意の所定の場合に最も適する経路が、処置される状態の特性および重症度ならびに用いられる特定の活性化合物の特性に依存して変化するかもしれないが、経口、経直腸、口腔内(例えば、舌下)、膣内、非経腸的(例えば、皮下、筋肉内、皮内または静脈内)、局所的(気管表面を含む皮膚および粘膜面の両方)および経皮投与に適する。
経口投与に適する製剤は、粉末または顆粒として、水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油または油中水エマルジョンもしくはリポソーム製剤として、所定の量の活性化合物(複数可)をそれぞれ含むカプセル、トローチ、または錠剤などの別個の単位で存在し得る。かかる製剤を、活性化合物および適する担体(それは、1個またはそれ以上の助剤を含み得る)を結合させる工程を含む、薬学の任意の適する方法により製造することができる。一般的に、製剤を、液体もしくは微粉化固体担体、または両方と共に活性化合物を均一によく混合し、その後必要であれば、得られた混合物を成形することにより製造することができる。例えば、錠剤を、活性化合物(複数可)を含む粉末または顆粒を、所望により1個またはそれ以上の助剤と共に圧縮または成形することにより製造することができる。他の送達製剤が当業者に示唆され得る。
何らか1個の活性成分の治療的有効投与量は、化合物、患者によっていくらか変化し得、患者の状態および送達経路などの因子に依存して変化し得る。かかる投与量を、本明細書の開示を考慮して既知の薬理学的方法により決定することができる。
全身的処置のためのフェンレチニドに関して、約1、2、または3μMから10または20μM、または100μMの血漿レベルを達成するための用量;典型的には、1日あたり、1m体表面積あたり(経口用量で)50、100、500、1000、2000、または3000mgを用いることができる。
広く動物にて試験されているPPMPの非経腸的薬剤であるPDMPは、耐容性が良好で、インビボでグルコシルセラミドを減少させることができる。PDMPの半減期は約1時間であり、それはP−450系により同化される。すぐれた活性(10から20倍活性)にもかかわらず、同様の研究結果がPPMPには報告されていない。PDMPは、Myrj52のような非イオン性界面活性剤の不存在下で水溶液に不和であることが報告されるが、この界面活性剤はげっ歯動物の肝臓に蓄積する。本発明者らは、マウスへの静脈および腹腔内送達のためにPPMPをDiluent−12に成功裏に可溶化した。さらに、LYM−X−SORB技術(参照により本明細書中に包含される米国特許第4,874,795号に記載される)、4−HPRを含む比較的不溶性の薬剤を溶解することができる非リポソーム性の脂質を用いた経口薬送達系は、経口送達のためにPPMPを製剤する可能性を有する。LYM−X−SORBベクターは、嚢胞性線維症を有する小児の慢性的な投与で良好な耐容性であることが証明されている。
本発明者らは、マウスに腹腔内投与される高用量の4−HPR+D−トレオ−PPMPは良好な耐容性であることを確かめた。本発明者らは、4−HPRおよびD−トレオ−PPMPの両方をNCI Diluent−12(50/50 Cremophor EL/エタノール)に15mg/mlで溶解し、ここで注射用にNSで1:3に希釈した。本発明者らは、動物に悪影響が観察されない状態で、10日の休薬期間で隔てたそれぞれ5日の2コースにて、125mg/kg/日の4−HPRと、125mg/kg/日までのD−トレオ−PPMPを分割用量で腹腔内に共投与した。体重は安定していた。マウスはその後60日以上生存した。これらの結果は、4−HPRとD−トレオ−PPMPが、インビボで良好な耐容性であることを証明した。
経口送達のためのPPMPの製剤
PPMPを、LYM−X−SORBTM技術(LYM-DRUG製品、LLC、AVANTIおよびBioMolecular Products, Inc.の共同出資会社)を用いて経口送達のために製剤することができる。LYM−X−SORB(LXS)マトリックスは、FDA GRAS(一般に安全と見なされている)脂質:リゾホスファチジルコリン(LPC)、モノグリセリド(MG)、および遊離脂肪酸(FA)で構成された経口薬剤送達ビヒクルである。LXSモノマーマトリックスは、1:1のモル比のLXS/薬剤複合体に薬剤を包含することにより薬剤の溶解性および腸内吸収を改善する。1:4:2から1:2:4の間で変化するLPC:MG:FA比は、溶解される薬剤に依存して変わる。マトリックスは、脂肪酸の不飽和度を変えることにより室温で液体または固体であり得る。LXSは、例えばレチノイン酸、エストラジオール、シクロスポリンA、ジルチアゼム、およびプロゲステロンなどの不溶性の化合物を溶解性とすることができる。LXSは、生理学的濃度の重炭酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウム(胆汁酸塩)中で安定であり、腸溶液中で小さな粒状物を形成する(70nmから10nm未満)。LXSマトリックスは、嚢胞性線維症を有する小児の1年の治験で安全であることが証明されている。LXSを、経口送達用のPPMPを製剤するために用いることができる。
いくつかの方法が、前もって形成されたLXS共晶マトリックスに薬剤を組み込むために用いられ得る。LXS構成要素のモル組成は、下記の最適化送達物で変化し得る:リゾホスファチジルコリン:モノグリセリド:脂肪酸(1:4:2、1:3、1:2:4)。これらの構成要素のアシル基はまた、室温で固体、半固体、または液体LXS組成物に影響を与える飽和:不飽和で変化し得る。LXS:薬剤の最終的なモル比は、1:0.5から1:0.9の範囲であり得る。簡単には、LXSおよび固形薬剤を、必要であれば100−120℃まで熱し、薬剤を溶解させ、透明な粘性溶液を得た。薬剤がすぐに溶解しない場合、薬剤を組み込む第二の方法を検討する。一般に、LXS構成要素またはLXSマトリックスを、有機溶媒(例えば、クロロホルム:メタノール、20:1、v/v)に溶解し、そして原薬剤を溶解するまでわずかに加熱して加える。その後、溶媒を、透明な粘性溶液が得るために真空下で加熱し除去する。LXS/薬剤の共晶マトリックスの安定性を、下記のように評価することができる:LXS/薬剤マトリックスを室温で一晩放置した結果、安定な製剤を明確に示したままでなければならない。薬剤の結晶が出現する場合、次に他のLXS組成物、結合水を含むLXS、および/または他の薬剤を組み込む方法を、低級LXS:薬剤モル薬剤で検討する。(1モル以上の水を含むLXSが層状組織を形成し、6−8モルの結合水を含むLXSが逆六面体構造を形成すると認識されるはずである。)LXS/薬剤マトリックスが得られたならば、次にLXS/薬剤マトリックスを重炭酸ナトリウム溶液中で超音波分解し、その後クロマトグラフィーによりサイズ除去を行った。LXS/薬剤マトリックス(約70nm)が、最初にカラムから溶出され、あるとすれば遊離の薬剤がその後に溶出され得る。一般に安定なLXS/薬剤製剤は、動物およびヒトで良好/優れた生体利用性を有する。
さらに、PPMPは、NCI Diluent−12中で4−HPRと共に共送達用に製剤され得る。
静脈内送達のためのPPMPの製剤
本発明者らは、4−HPRのより高い結晶および組織レベルが、経口送達と比較して4−HPRの静脈内送達で得られることを発見した。4−HPRの該静脈内投与製剤は、本明細書に記載のとおり最小の全身毒性を保持したまま、現在の経口投与製剤よりも、げっ歯動物およびイヌ科の動物モデルでかなり高い4−HPR血漿(50−150μM)および組織レベルを得る。
PPMPを、Diluent−12中で静脈内送達用に製剤することができる。Diluent−12(50%Cremophor EL/50%エタノール)は、タキソールおよびシクロスポリンA用のビヒクルとして臨床的に用いられる。それは、アレルギー反応を緩和するために事前の投薬を必要とし、ヒマシ油を用いることの欠点を有する。しかしながら、必要であれば、この方法を用いることができることが証明されている。しかしながら、PPMPは、Lipoid E80、または他の類似のビヒクルを用いて乳化され得る。
該静脈投与製剤および経口投与製剤は、小型動物の薬物動態モデルおよび腫瘍異種移植モデルを用いて各経路の生体利用性および抗腫瘍活性の前臨床モデル化を可能とし得る。それぞれの製剤はまた、病院対在宅治療設定でそれぞれ別々の利点を有し得る。さらに、本明細書に記載のとおりに開発されたPPMPの静脈内投与製剤および/または経口投与製剤は、インビトロで4−HPRにより誘導されるセラミドの異化を効果的に阻害するインビボでの血漿および組織レベルを達成し得、それは許容できる毒性であることが分かり、そしてインビボで4−HPRの抗腫瘍活性を増強し得る。
以下の実施例において、DIMSCAN分析は細胞生存分析であって、単なるアポトーシス分析ではなく、故にアポトーシスおよびネクローシスの両方により死に至る癌細胞を示す。DIMSCANは、より従来的なコロニー形成分析と直接的に関連する。さらに、細胞株のDIMSCAN薬剤耐性プロファイルは、患者の前の治療と相関する。DIMSCANは、下記の新しい薬剤:13−シス−レチノイン酸、BSO+L−PAM、およびフェンレチニドについて神経芽腫の危険の高い患者での臨床活性をうまく予測した。細胞毒性分析を、4−5log以上の細胞死のダイナミックレンジを有する半自動デジタル画像顕微鏡(DIMSCAN)システムを用いて96ウェルマイクロプレートで行う。簡単には、治験薬でインキュベーション後にフルオレセイン二酢酸[10μg/ml(生体染色)]をマイクロプレートに加え、20分間インキュベートした。その後、エオシン−Y(800μg/ml)を、媒体および死細胞のバックグラウンド蛍光を消光するために加える。その後、そのプレートを、DIMSCANシステム用に設計されたビデオイメージングシステムソフトウェアによりそれぞれのウェルの相対的な蛍光が測定される状態で倒立顕微鏡上で読む。本発明者らは比較研究を行い、DIMSCANにより得られた相対的な蛍光値が、細胞密度(基準をトリパンブルー排除により計算する)およびコロニー形成分析と関連することを示した。本発明を、以下の限定されない実施例でより詳しく説明する。
実施例1
4−HPRは、インビトロで固形腫瘍および急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株に細胞毒性である。
上記のように、4−HPRは、インビトロで多くの腫瘍細胞型の細胞株に細胞毒性を引き起こし得る。アルキル化剤およびレチノイン酸に耐性の神経芽腫細胞株を処理する4−HPRの可能性を測定する調査の間、本発明者らは、4−HPRが、小児神経芽腫およびPNET/ユーイング肉腫、ならびにインビトロの肺癌、乳癌、結腸癌、黒色腫、および膵臓癌を含む多数の成人固形腫瘍の細胞株で1未満から4logの細胞死を引き起こしたことを発見した。神経芽腫細胞株において、4−HPR細胞毒性はp53−、および部分的にカスパーゼ−非依存性であって、アポトーシス/ネクローシス混合型による細胞死を誘導した。本発明者らは、4−HPRが多くの小児ALL細胞株に細胞毒性であったことも発見した。
実施例2
4−HPRは、固形腫瘍およびALL白血病細胞株でセラミドを増加した。
4−HPRは、細胞毒性の機構として、すべてではないが特定のインビトロの固形腫瘍細胞株および白血病細胞株で活性酸素種(ROS)を増加することが報告されている。本発明者らは、4−HPRが2個の神経芽腫細胞株でROSを増加させることを発見した。しかしながら、抗酸化剤は、神経芽腫細胞株で、特により高い4−HPR用量レベルで4−HPR細胞毒性をわずかに減じた。これらの結果は、特に高用量レベルで、神経芽腫細胞株の4−HPR細胞毒性に部分的ではあるが関与することを示唆する。故に、本発明者らは、4−HPR細胞毒性の別の機構を調査した。本発明者らは、神経芽腫の細胞株、ならびにインビトロのPNET/ユーイング肉腫、乳癌および肺癌細胞株で用量および時間依存的に13倍までかなりセラミドを増加したことを測定した。さらに、本発明者らは、セラミド開始後早期(曝露後2時間以内)の増加が、時間と共に進行し、細胞死の形態的証拠よりもかなり先行して起こることを発見した。本発明者らは、4−HPRがまた、多発性ALL細胞株でセラミドを非常に増加させることを証明した。これらのデータは、4−HPR処理により刺激されたセラミドの増加が、結果として後期の細胞死過程をもたらさなかったことを証明し、そしてそのセラミドの増加が、4−HPR細胞毒性の一因であり得る可能性を提起した。
実施例3
4−HPRは、デノボ合成の刺激によりセラミドを増加した。
本発明者らは、インビトロでの固形腫瘍およびALL細胞株で、4−HPR処理により増加したセラミドがデノボ合成により生じることを測定した。放射性同位元素標識実験により、膜スフィンゴミエリンが、4−HPR処理により減少されなかったことが明らかにされた。対照的に、L−シクロセリンおよびフモニシンBなどのデノボセラミド合成の阻害剤は、4−HPR処理によりもたらされたセラミドの増加を阻害した。さらに、4−HPRは、デノボセラミド合成の律速酵素であるセリンパルミトイルトランスフェラーゼおよびセラミド合成酵素(図1に示すような)の両方の活性を、酵素活性の直接分析により刺激した。
実施例4
4−HPRは、正常細胞、および非形質転換細胞株で細胞毒性がわずかであった。
4−HPRの治療係数を調べるために、耐性神経芽腫を処置するための高用量4−HPRの能力を確立するため、本発明者らは、インビトロの正常および非悪性細胞株で4−HPRの細胞毒性を調べた。本発明者らは、インビトロで多くの型の癌細胞株に細胞毒性を引き起こした4−HPRの用量が、正常な線維芽細胞および正常な骨髄の骨髄性前駆細胞、ならびに正常な末梢血単核細胞、ならびにEBVにより不死化されたが非悪性のリンパ球芽様細胞株に対してわずかな毒性を示したことを測定した。従って、4−HPR細胞毒性は、悪性特異的事象である可能性が高く、高用量4−HPRはインビボでの許容される治療指標を有し得る。
実施例5
4−HPRは、正常細胞および非形質転換細胞株でセラミドを増加しなかった。
4−HPRが様々な腫瘍細胞型の細胞株でセラミドを増加し細胞毒性を引き起こしたことを確立するため、本発明者らは、4−HPRが正常細胞および非形質転換細胞株でセラミドを増加させたかどうかを調べた。本発明者らは、正常な線維芽細胞、ならびに正常な末梢血単核細胞およびEBVにより不死化されたが形質転換されていないリンパ球芽様細胞でセラミドをほんのわずかしか増加させなかったことを測定した。従って、デノボ合成によりセラミドを増加する4−HPRの能力は、悪性(形質転換された表現型)特異的事象である可能性が高い。さらに、高用量4−HPRは、インビボの有益な治療指標を有し得る。さらに、セラミド同化を阻害する第二の薬剤はまた、正常組織が4−HPRに対する反応でセラミドを増加させ得ないため、4−HPRとの組合せで有益な治療指標を有し得る。
実施例6
4−HPR細胞毒性は、セラミドレベルと相関する。
ROSは、高用量4−HPRにより誘導された細胞毒性のすべてを説明しなかったため、本発明者らは4−HPR細胞毒性でのデノボセラミドの役割と考えた。図2を参照すると、高用量4−HPRの細胞毒性はセラミドの量の増加と相関していた。正常なヒト線維芽細胞および神経芽腫細胞株を、4−HPRに曝露した。セラミドレベルを+24時間で分析した。細胞毒性を、+96から120時間でDIMSCANにより分析した。図2に示すように、4−HPRに感受性の細胞株は、+24時間、高いセラミドレベルを有した。
実施例7
4−HPRにより誘導されるセラミドは細胞毒性を仲介する。
ROSは、より高用量での4−HPRの細胞毒性のすべてを説明しなかったため、本発明者らは、細胞毒性の別の機構を調査した。本発明者らは、1)多量の、新規のセラミドの増加(13倍まで)が時間および用量依存的にデノボ合成により生じたこと、2)セラミドが、細胞死の形態学的証拠のかなり前に増加すること、3)セラミド増加が、4−HPRが非毒性である正常ヒト細胞および非悪性細胞株でわずかであったこと、そして4)4−HPR細胞毒性がセラミド増加の大きさ(図2に示すような)と関係することを観察した。従って、セラミドは、4−HPR細胞毒性に寄与する可能性が増す。4−HPR細胞毒性でのセラミドの役割をさらに調査するために、本発明者らは、4−HPR細胞毒性におけるデノボセラミド合成の阻害剤のみ、および多くの細胞株で4−HPR細胞毒性にかなり相乗作用するセラミド調節剤であるサフィンゴール(L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン)との組合せの効果を試験した。図3を参照すると、L−シクロセリンおよびフモニシンBは神経芽腫細胞株に対してそれ自体毒性を示したが、L−シクロセリンはセラミド増加を抑制し、そしてMCF−7/tet、MCF−7乳癌細胞株での4−HPR、および4−HPR+サフィンゴールの細胞毒性をかなり減少させた。さらに、図4を参照すると、グリコシルセラミド合成酵素(GCS)の過剰発現が、セラミドを減少させ、4−HPR単独の細胞毒性をかなり減少させ、そして4−HPR+サフィンゴールの細胞毒性相乗作用を実質的に無効にし、MCF−7/GCS細胞でテトラサイクリンを誘導し得るプロモーターを用いてデノボセラミドを非毒性グルコシルセラミドに変える。従って、4−HPRにより増加されるセラミドプールは、癌細胞に直接的に細胞毒性であり得、また、サフィンゴール合成の機構は、セラミドに直接的に依存する。さらに、これらの結果は、セラミドの非毒性グルコシルセラミドおよび1−O−アシルセラミドへの変換を阻害する薬剤がさらに、4−HPRにより誘導されるセラミドおよび細胞毒性を増加することを示唆する。
図3を参照すると、L−シクロセリンは、セリンパルミトイル転換酵素(SPT)の阻害剤である。MCF−7/tet乳癌細胞(対照)をL−シクロセリン(2mM)(+C)で前もってインキュベートせずにまたはしてエタノール4−HPR(H)または4−HPR+サフィンゴール(3:1の比)(H+S)に曝露し、そして+96時間にDIMSCAN分析で分析した。4−HPR(●);4−HPR/L−シクロセリン(O);4−HPR/サフィンゴール(3:1)(τ);4−HPR/サフィンゴール/L−シクロセリン(▽);L−シクロセリン(2mM)(□)。L−シクロセリンは、L−シクロセリンで処理した対照を標準化したとき4−HPRおよび4−HPR/サフィンゴールの細胞毒性を減じた。従って、デノボセラミドは、単剤の4−HPR細胞毒性、およびサフィンゴール細胞毒性相乗効果に寄与する。
図4を参照すると、GCSをtetを誘導し得る発現ベクターで形質転換し、3μMドキシサイクリンで誘導した。4−HPRによるセラミド生成は、神経芽腫細胞で用量依存性を示した。GCSの過剰発現は、セラミド(毒性)をグルコシルセラミド(非毒性)に変換し、ドキソルビシン耐性を与える。GCSの過剰発現は、単剤としてサフィンゴールにわずかに影響を与え、単剤として4−HPRの細胞毒性を減ずる(ROSおよびセラミドによる混合型細胞毒性と一致する)が、4−HPR+サフィンゴール(3:1のモル比)の細胞毒性相乗効果が全体としてほとんどなく、4−HPR+サフィンゴール細胞毒性相乗効果がセラミド依存性であることを意味する。統計的分析を、スチューデントの両側t検定で行う:6μM H+SでP<.0001;9μM H+SでP<.0001;12μM H+SでP=.0002。
実施例8
静脈内投与4−HPRは、高薬剤レベルを得る。
腫瘍の臨床治療においてセラミドを増加する4−HPRの能力を最大とするために、4−HPRの高い維持されたレベルが必要なようである。静脈内投与製剤の利用により、本発明者らは、ラットでの連続的な静脈注射(c.i.v.)を直接試験した。表1に示した結果は、4−HPRのc.i.v.送達が結果として血漿および組織における4−HPRの高い維持レベルをもたらすことを示す。本発明者らは、PKC−ζおよびスフィンゴシンキナーゼの推定阻害剤であるサフィンゴール(L−トレオ−ジヒドロスフィンガニン)が、ヒト神経芽腫マウス異種移植モデルで4−HPRの抗腫瘍活性を著しく増加させ得ることも決定した。従って、4−HPRの抗腫瘍活性は、セラミドの同化を調節する他の薬剤、例えばグリコシルセラミド合成酵素および1−O−アシルセラミド合成酵素の阻害剤などにより増加され得る。
実施例9
グルコシルセラミドおよび1−O−アシルセラミド合成阻害剤。
セラミド細胞毒性を減ずるための1つの細胞機構は、それを(図1に示すように)グルコシルセラミドおよび1−O−アシルセラミドなどの非毒性形態へ変換することである。グルコシルセラミドの増加レベルは、インビトロにおけるMCF−7乳癌細胞のドキソルビシン耐性と関係があり、グリコシルセラミド合成酵素(GCS)、またはGCSアンチセンス発現の薬理学的阻害剤は、ドキソルビシンにより誘導されるセラミドレベルを回復し、薬剤耐性を無効にする。D,L−トレオ−(1−フェニル−2−ヘキサデカノイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール)(PPMP)は、GCSおよび1−O−アシルセラミド合成酵素の両方を阻害することが報告される。対照的に、D,L−エリトロ−PPMPは、1−O−アシルセラミド合成活性のみを阻害し、グルコシルセラミドレベルの減少なしに細胞セラミドを増加する。PPMPは、関連化合物であるPDMPのより活性な同族体であり、それは120mg/kg/日×10日の投与量までげっ歯動物で良好な耐性であり、そしてインビボでエールリッヒ腹水腫瘍細胞の異種移植を達成することができる。さらに、本発明者らは、D,L−PPMPが、固形腫瘍細胞株で4−HPRおよび4−HPR+サフィンゴール、およびインビトロのALL細胞株で4−HPRの細胞毒性を増加することができることを報告した。
実施例10
グルコシルセラミド合成酵素(GCS)および1−O−アシルセラミド合成酵素(1−O−ACS)は、神経芽腫およびALLおよびAML白血病細胞株で広範に発現されている。
阻害のための標的としてGCSおよび1−O−ACSを証明するため、本発明者らは、神経芽腫、白血病および正常細胞の細胞株集団で半定量的PCR分析によりこれらの酵素のmRNA発現レベルを測定した。図5を参照すると、その結果は、GCSおよび1−O−ACSの両方が、これらの癌型の多くの細胞株でmRNAを発現することを証明する。これらの結果は、これらの酵素が正常組織で広範に発現されるという他の報告を支持する。これらの結果が、これらの酵素が固形腫瘍(神経芽腫)の両方ならびに急性リンパ芽球性(ALL)および急性骨髄性(AML)白血病細胞株の両方でよく発現されることを示すため、それらは恐らく他の癌型でも広く発現されるだろう。
図5は、GCSおよび1−O−ACSのmRNA発現を示す。Taqman PCR分析を、正常細胞(骨髄、末梢血単核細胞(PBSC)および正常な線維芽細胞)、神経芽腫細胞株および急性白血病細胞株でのGCSおよび1−O−ACSの定量的mRNAレベルに用いた。結果を、骨髄細胞のそれを標準化する。その結果は、これらの酵素がこれらの癌型で発現され、治療標的としてのGCSおよび1−O−ACSを証明することを示す。
実施例11
PPMPは、神経芽腫細胞系でセラミドを増加させ、4−HPR耐性を無効にした。
4−HPRは、インビトロで4−HPR耐性のSK−N−RA神経芽腫のセラミドをわずかに増加したのみであった。D,L−トレオ−PPMPは、グリコシルセラミド合成酵素および1−O−アシルセラミド合成酵素の両方を阻害するが、一方、D,L−エリトロ−PPMPは、1−O−アシルセラミド合成酵素のみを阻害する。SK−N−RA細胞の4−HPR耐性の機構を研究するため、本発明者らは、SK−N−RA細胞を4−HPR−のみ、4−HPR+D,L−エリトロ−PPMP、または4−HPR+D,L−トレオ−PPMPのいずれかに曝露した。本発明者らは、4−HPR耐性が、セラミドを非毒性グルコシルセラミドおよびアシルセラミドへ変換する活性によるものであった場合、D,L−エリトロ−PPMPおよびD,L−トレオ−PPMPの両方がセラミドおよび4−HPR細胞毒性を増加させ得るが、両経路を阻害することによりD,L−トレオ−PPMPが部分的に相乗作用し得るという仮説を立てた。本発明者らは、D,L−エリトロ−PPMPが、4−HPRにより誘導されるセラミドおよび細胞毒性を増加したが、D,L−トレオ−PPMPは、(図6および7に示すような)4−HPRにより誘導されるセラミドおよび4−HPR細胞毒性をより強力に相乗作用したことを観察した。故に、例えばPPMPのようなセラミド同化の阻害剤は、4−HPRにより誘導されるセラミドを増加させ得、活性グルコシルセラミドおよびアシルセラミド合成酵素経路により癌細胞株での4−HPR細胞毒性に相乗効果を与える。
図6は、PPMPが耐性神経芽腫細胞株で4−HPR細胞毒性に相乗作用したことを示す。生存画分を、デジタル画像蛍光ベースの顕微鏡分析(DIMSCAN)を約5logの感度で用いて測定した。+96時間で分析を行った。3個の薬剤すべては、SK−N−RA神経芽腫細胞で個々に最小または非毒性であった。両薬剤は耐性を無効にし、4−HPR細胞毒性(C.I.<1)に相乗作用したが、D,L−トレオ−PPMPははより強力であった。D,L−エリトロ−PPMP(e−PPMP)は、1−O−アシルセラミド合成酵素の阻害剤である。D,L−トレオ−PPMP(t−PPMP)は、グリコシルセラミド合成酵素および1−O−アシルセラミド合成酵素の両方の阻害剤である。細胞毒性の相乗効果の測定を、組合せ指数(C.I.)により行った:相乗作用、C.I.<1;相加作用、C.I.=1;拮抗作用、(C.I.)>1。
図7は、PPMPが多剤耐性神経芽腫細胞系での4−HPRにより誘導されるセラミドをさらに増加させることを示す。セラミドおよびグルコシルセラミドレベルを、[H]−パルミチン酸で標識し、薄層クロマトグラフィーにより測定した。分析を+24時間で行った。4−HPR(10μM)は、SK−N−RA神経芽腫細胞でのセラミドをやや増加させた。1−O−アシルセラミド合成酵素の阻害剤であるD,L−エリトロ−PPMP(e−PPMP)は、4−HPRにより誘導されるグルコシルセラミドレベルに影響を与えなかったが(P=0.27)、4−HPRにより誘導されるセラミドをさらに増加させた(P=0.03)。グリコシルセラミド合成酵素および1−O−アシルセラミド合成酵素の両方の阻害剤であるD,L−トレオ−PPMP(t−PPMP)は、グルコシルセラミド形成を防止し(P=0.01)、さらに4−HPRにより誘導されるセラミドレベルをより大きく増加させた(P=0.002)。統計分析をスチューデントのt検定により行う。
実施例12
PPMPは、ALL細胞株での4−HPR細胞毒性に相乗作用した。
本発明者らは、4−HPRが6個の試験したインビトロのALL細胞株すべてで数倍logの細胞毒性をもたらし、時間および用量依存的方法でデノボ合成によりセラミドをかなり増加させたことを発見した。固形腫瘍細胞株でのPPMPで得られた本発明者らの結果により、本発明者らは、D,L−トレオ−PPMPなどのセラミド同化の阻害剤が、ALL細胞株で4−HPR細胞毒性にも相乗作用し得ることを仮定した。本発明者らは、D,L−トレオ−PPMPが、試験した細胞株でグルコシルセラミド形成を減少しセラミドを増加させ、そして6個の小児ALL細胞株のうち4個で4−HPR細胞毒性に相乗作用することを測定した。
図8は、D,L−トレオ−PPMPがALL細胞株で4−HPR細胞毒性を相乗的に増加させることを示す。D,L−PPMPは、6個のALL細胞株のうち4個で4−HPR細胞毒性に相乗作用した。+96時間にてDIMSCANにより分析した。●=4−HPR;■=PPMP;□=4−HPR+PPMP;(1:1のモル比)。細胞毒性相乗作用の測定を、組合せ指数(C.I.)により行う:相乗作用、C.I.<1;相加作用、C.I.=1;拮抗作用、C.I.>1;CEM,C.I.=1;MOLT−3,C.I.<1;MOLT−4,C.I.<1;NALM−6,C.I.<1;SMS−SB、3μM(C.I.>1)、6μM(C.I.>1)、9μM(C.I.=1);NALL−1、3μM(C.I.>1)、6μM(C.I.=1)、9μM(C.I.<1)。
実施例13
D−トレオ−PPMPは、最も活性なPPMP立体異性体である。
さらに、本発明者らは、D−トレオ−PPMPが最も活性なPPMP立体異性体であることを発見した。本発明者らの初期の研究は、PDMPの10−20倍の活性となることが報告されているため、ラセミ体D,L−PPMPを用いて行われた。図6および図7を参照すると、D,L−トレオ−PPMPは、D,L−エリトロ−PPMPよりも活性であった。しかしながら、親化合物の個々のエナンチオマー(すなわち、L−トレオ−およびD−トレオ)であるPDMPは、個別に用いたとき異なる活性の阻害を有していた。特に、D−トレオ−PDMPは、GCSおよび1−O−ACS活性を阻害し、グルコシルセラミドを減少させセラミドレベルを減少させたが、一方、L−トレオ−PDMPは、逆にスフィンゴ糖脂質レベルを上昇させた。これらの調査の詳細は、トレオ−PPMPのエナンチオマーについては報告されていない。故に、本発明者らは、神経芽腫細胞株、白血病細胞株および前立腺癌細胞株で4−HPRにより誘導されるグルコシルセラミド、セラミド、および細胞毒性に対するD−トレオ−PPMPおよびL−トレオ−PPMPの効果を測定した。
図9を参照すると、SK−N−RA神経芽腫細胞での予備的な結果は、D−トレオ−PPMPがグルコシルセラミド合成を阻害し、L−トレオ−PPMPよりもセラミドをより多く増加させることを示す。SK−N−RA神経芽腫細胞を、示された時間の間10μM濃度の薬剤に曝露した。脂質を、[H]−パルミチン酸で標識し、薄層クロマトグラフィーすることにより分析した。左側のパネルは、D−トレオ−PPMPがL−トレオ−PPMPよりも4−HPRにより誘導されるセラミドを増加させることを示す。右側のパネルは、D−トレオ−PPMPは4−HPRにより誘導されるグリコシルセラミド増加を防止するが、L−トレオ−PPMPは防止しないことを示す。まとめて、これは、両エナンチオマーが1−O−ACSを阻害し得るが、予期せぬ事に、D−トレオ−PPMPのみがGCS活性を阻害することを示す。故に、予期せぬ事に単剤としてのD−トレオ−PPMPが、すべての他のPPMP立体異性体よりも4−HPRにより誘導されるセラミドレベルを増加させることが分かった。さらに、PPMPがPDMPよりも10−20倍活性であるため、D−トレオ−PPMPは予期せぬ事にすべてのPPMPおよびPDMP化合物のうちで最も好ましい立体異性体である。
図10を参照すると、D−トレオ−PPMPは、相乗作用する4−HPR細胞毒性ではL−トレオ−PPMPよりも活性であった。SK−N−RA神経芽腫細胞を+96時間の間、示された薬剤に曝露し、結果をDIMSCANにより分析した。H=4−HPR;L−トレオ=L−トレオ−PPMP;D−トレオ=D−トレオ−PPMP。D−トレオ−PPMPが、L−トレオ−PPMPよりも4−HPR細胞毒性に相乗作用する可能性が高いという結果を示す。これらの結果は、図9に示すセラミドデータの結果と相関した。
同様の結果が、BM185マウスALL白血病細胞で観察された。図11を参照すると、D−トレオ−PPMPがPC−3前立腺癌細胞でセラミドを増加させ、4−HPR細胞毒性をより効率よく増加させたという結果も示される。まとめると、これらの結果は、L−トレオ−PPMPよりもむしろD−トレオ−PPMPが優れたセラミド分解阻害剤であることを示す。
図11は、D−トレオ−PPMPが、同用量のL−トレオ−PPMPよりも前立腺癌細胞株での4−HPR細胞毒性により相乗作用し得ることを示す。図11の左側のパネルは、示された薬剤で処理されたアンドロゲン非依存性の、PTENヌル、前立腺癌細胞系であるPC−3細胞であって、DIMSCAN分析により+96hで分析される細胞毒性を示す。D−トレオ−PPMPは、L−トレオ−PPMPを示した(P<0.04)よりも強く4−HPR細胞毒性に相乗作用(C.I.<1)した。図11の右側のパネルは、示される薬剤(10μM)で処理されたPC−3細胞を示す。脂質を、+24時間で[H]−パルミチン酸で標識し、薄層クロマトグラフィーにより分析した。D−トレオ−PPMPは、4−HPRで処理された細胞でセラミドを増加した(P=0.035)。相乗作用を、組合せ指数(C.I.)により分析した:相乗作用、C.I.<1;相加作用、C.I.=1;拮抗作用、C.I.>1。統計分析をスチューデントのt検定により行う。
本発明は、特定の態様および実施例について記載するが、本発明の改変および適応が本発明の精神および範囲から逸脱しないで可能であることは、当業者により容易に理解されるだろう。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1は、セラミドの代謝経路の一部を示す。 図2は、セラミド増加と4−HPRの細胞毒性の相関関係を示す。 図3は、4−HPRにより誘導されるセラミドが細胞毒性であり、特にデノボのセラミド合成の阻害剤であるL−シクロセリンが、4−HPRおよび4−HPR/サフィンゴールの細胞毒性を減少させることを示す。 図4は、4−HPRにより誘導されるセラミドが細胞毒性であり、特にグルコシルセラミド合成酵素(GSC)の過剰発現が、MCF−7乳癌細胞で4−HPRの細胞毒性を減じ、サフィンゴールの細胞毒性相乗効果を無効にすることを示す。 図5は、GSCおよび1−O−ACSが神経芽腫および白血病細胞株で発現され、故に治療的介入のための標的であることを示す。 図6は、D,L−トレオ−PPMPが、耐性神経芽腫細胞株で4−HPRの細胞毒性に相乗作用することを示す。 図7は、D,L−トレオ−PPMPが、多剤耐性神経芽腫細胞株で4−HPRにより誘導されるセラミドを増加することを示す。 図8は、D,L−トレオ−PPMPが、ALL細胞株で4−HPRの細胞毒性に相乗作用したことを示す。 図9は、D−トレオ−PPMPが、L−トレオ−PPMPよりもセラミドを増加することを示す。 図10は、D−トレオ−PPMPが、神経芽腫細胞株で4−HPRの細胞毒性により強く相乗作用することを示す。 図11は、D−トレオ−PPMPが、前立腺細胞株で4−HPRの細胞毒性により強く相乗作用することを示す。 図12は、可能なD−トレオ−PPMPの合成方法を示す。 図13は、ラットでの4−HPRの連続静脈点滴を示す。

Claims (20)

  1. セラミドを産生する抗癌剤または処置;および
    D−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むセラミド分解阻害剤;
    を施すことを含む、腫瘍および/または癌である過増殖性疾患を処置する方法。
  2. セラミドを産生する抗癌剤または処置が、セラミドを産生するレチノイン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むレチノイドを含む、請求項1に記載の方法。
  3. セラミドを産生するレチノイドが、フェンレチニドまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、請求項2に記載の方法。
  4. セラミドを産生するレチノイドおよびセラミド分解阻害剤を静脈内、経口的または局所的に投与する、請求項3に記載の方法。
  5. セラミドを産生するフェンレチニドまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むレチノイド;および
    D−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むセラミド分解阻害剤;
    を投与することを含む、腫瘍および/または癌である過増殖性疾患を処置する方法。
  6. セラミド分解阻害剤が、本質的にD−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルからなる、請求項5に記載の方法。
  7. セラミドを産生するレチノイドおよびセラミド分解阻害剤を静脈内、経口的または局所的に投与する、請求項6に記載の方法。
  8. セラミドを産生する抗癌剤または処置;および
    D−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むセラミド分解阻害剤;
    を含む、腫瘍および/または癌である過増殖性疾患を処置するための製剤。
  9. セラミドを産生する抗癌剤または処置が、セラミドを産生するレチノイン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むレチノイドを含む、請求項8に記載の製剤。
  10. セラミドを産生するレチノイドが、フェンレチニドまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、請求項9に記載の製剤。
  11. セラミドを産生するレチノイドおよびセラミド分解阻害剤を静脈内、経口的、または局所的に投与する、請求項10に記載の製剤。
  12. セラミドを産生するフェンレチニドまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むレチノイド;および
    D−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むセラミド分解阻害剤;
    を含む、腫瘍および/または癌である過増殖性疾患を処置するための製剤。
  13. セラミド分解阻害剤が、本質的にD−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルからなる、請求項12に記載の製剤。
  14. 該製剤が静脈内、経口的、または局所的に投与される、請求項12に記載の製剤。
  15. セラミドを産生する抗癌剤または処置;および
    本質的にD−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルからなるセラミド分解阻害剤;
    を投与することを含む、腫瘍および/または癌である過増殖性疾患を処置する方法。
  16. セラミドを産生する抗癌剤または処置が、セラミドを産生するレチノイン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むレチノイドを含む、請求項15に記載の方法。
  17. セラミドを産生するレチノイドが、フェンレチニドまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、請求項16に記載の方法。
  18. セラミドを産生する抗癌剤または処置;および
    本質的にD−トレオ−PPMPまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルからなるセラミド分解阻害剤;
    を含む、腫瘍および/または癌である過増殖性疾患を処置するための製剤。
  19. セラミドを産生する抗癌剤または処置が、セラミドを産生するレチノイン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むレチノイドを含む、請求項18に記載の製剤。
  20. セラミドを産生するレチノイドが、フェンレチニドまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、請求項19に記載の製剤。
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