JP2007504177A - 医薬組成物、その製造方法及び治療上の使用 - Google Patents

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ボレスラフ,ヤン
キシルカ,ウラジミール
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マテイコヴァ,ボゼナ
カクルダ,ミラン
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プリヴァ−ラケマ,エー.エス.
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Abstract

本発明は、活性成分としてオキサリプラチン及び薬学的に許容可能なキャリアを含有する、真空中でのフリーズ・ドライにより調製される医薬組成物に関し、上記キャリアが、動物起源ではない少なくとも1種類のアルコール性の糖であり、オキサリプラチンと動物起源ではないアルコール性の糖又は動物起源ではないアルコール性の糖類との重量比が、1:3〜1:7である。本発明はまた、上記組成物を製造する方法及びオキサリプラチンに感受性のある腫瘍の治療におけるこの組成物の使用に関する。

Description

[発明の分野]
本発明は、フリーズ・ドライにより調製され、活性成分としてのオキサリプラチン及び薬学的に許容可能なキャリアを含有する医薬組成物、ウイルス汚染の危険性、特に動物の海面状脳症を引き起こす原因物による汚染の危険性を低減させるこの組成物の適用に関する。
[発明の背景]
オキサリプラチン(INN命名法に従ってオキサリプラチニウムに対して命名された)は、異性体の混合物から単離されることにより、1978年に光学的に純粋の形態で最初に生成された[J.Clin. Hematol. Oncol. 1977, 7(1), 197-210]。オキサリプラチンは、化学的には式Iの{トランス−(−)−1,2−シクロヘキサンジアミン}−(オキサラト)プラチニウム(II)錯体である。
Figure 2007504177
オキサリプラチンは、精巣及び卵巣の腫瘍、悪性黒色腫、気管支癌、及び特に転移性結腸癌の治療に、フルオロピリミジンと併用される細胞増殖抑制剤である。これまでに使用されたシスプラチニウムと比べて、オキサリプラチンは、腎臓毒性(nefrotoxicity)が低く、幅広い多種多様の抗腫瘍活性を示す。オキサリプラチンは、一般に投与量100〜135mg/mで2〜6時間の注入形態で適用される。注入溶液は、5%グルコース水溶液で最終薬物形態を希釈することによって調製される。
先行技術のフレームワーク内で、オキサリプラチンの水溶液を基本とした一連の液体薬物形態のオキサリプラチンが記載されているが、水溶液の安定性が不十分であるため、今まで用途が見出されていなかった。この不安定性の原因は、毒性のある白金アクア錯体に形成下にオキサリプラチンが加水分解で分解されるという公知の事実である。これまでに知られているオキサリプラチンの唯一安定な薬物形態は、真空中でのフリーズ・ドライ(凍結乾燥)により得られる粉末組成物がある。オキサリプラチンに加えて、この乾燥粉末状組成物は、真空でのフリーズ・ドライにより形成される乾燥オキサリプラチン混合物の凝集を確実のものとし、乾燥オキサリプラチン混合物の亀裂を抑えるラクトースから成るキャリアを含有する。そうでないと、フリーズ・ドライを行うバイアルから一部のオキサリプラチンが漏出することになる。これまでに使用された動物性の生成物であるラクトースキャリアの根本的な欠点は、ラクトースの中に存在し得るウイルスによる医薬組成物のウイルス汚染の危険性である。近年、このようなウイルスの汚染、とりわけ動物の海面状脳症の転移の危険性の低減は、動物、特にウシからの補助成分を含有するほとんどの薬物形態に関わる最近の問題を提示している。これまで利用されてきたオキサリプラチンの医薬組成物中のラクトースは、非常に良好な抗凍結効果を呈しており、オキサリプラチン凍結乾燥物の特性及びフリーズ・ドライプロセスの経済性を維持したままラクトースを別の好適なキャリアに換える問題は、今のところ満足に解決されていない。
[本発明の概要]
上述したウイルス汚染の危険性を原則的に取り除く別のキャリアでのラクトースキャリアの上記望ましい置き換えの問題は、真空中でのフリーズ・ドライで調製される、薬学的に許容可能なキャリアと共に活性成分としてのオキサリプラチンを含有する本発明の医薬組成物によって解決される。該組成物は、キャリアとして動物起源ではない少なくとも1種類のアルコール性の糖を含有し、オキサリプラチンと動物起源ではないこのアルコール性の糖又はアルコール性の糖類がオキサリプラチンとの重量比が1:3〜1:7であることを特徴とする。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、オキサリプラチンと動物起源ではないアルコール性の糖又は動物起源ではないアルコール性の糖類とを1:5の重量比で含有する。
本発明の医薬組成物において、動物起源ではないアルコール性の糖はマンニトールであることが好ましい。
本発明はまた、オキサリプラチンと動物起源ではない少なくとも1種類のアルコール性の糖との滅菌水溶液であって、オキサリプラチンと動物起源ではないアルコール性の糖又は動物起源ではないアルコール性の糖類とを1:3〜1:7の重量比で含有し、前記化合物の総計の濃度が2.8〜3.2重量%である滅菌水溶液を、バイアル中へ該バイアルの利用可能な容積の最大で60%の容積に等しい容量において投入し、直ちに該バイアルの内容物を2〜8℃に冷却した後、−35〜−45℃の最終温度まで0.1〜0.5℃/分の直線的温度低下で凍結し、この温度で1〜6時間放置し、その後真空中でフリーズ・ドライにかけることを特徴とする、上記の医薬組成物を製造する方法に関する。
本発明はまた、最終的には、オキサリプラチンに対して感受性のある腫瘍の治療に適用するための上記の医薬組成物に関する。
好適な薬学的に許容可能な溶媒への溶解後、本発明の医薬組成物は、不溶性の物質も混濁もない透明な溶液を与えるので、非経口的な適用が特に適当である。本発明の組成物は容易に調製されることができ、極めて安定であるため、その適用はウイルス汚染の危険性を何ら示さない。
本発明による方法は、ラクトースでの作業の既存の形態を変えることなく、ラクトースをマンニトールに単に換える場合に起こり得る問題を解決する。ラクトースを単にマンニトールに換える溶液の調製中に、凍結した溶液の体積が変わることで機械的張力が増大する結果、ガラス瓶に亀裂が入り、凍結乾燥物がバイアルから漏出することがよくあるが、それが特に明らかなのは、フリーズ・ドライ処理中にバイアルの底がはずれることである。本発明による凍結処理の温度様式は、フリーズ・ドライ処理中の上記したバイアルの亀裂を著しく防止することが分かった。すなわち、最良のフリーズ・ドライ率を達成するためには、フリーズ・ドライの前に水溶液中のオキサリプラチンと少なくとも1種類のアルコール性の糖との総計の濃度を2.8〜3.2重量%にしなければならないことが分かった。さらに、凍結乾燥物の質を変えることなく、バイアルから凍結乾燥物を漏出させることなく、そしてバイアルに亀裂を生じさせることなく、バイアルを、利用可能なバイアルの容積の最大で60%まで、上記重量比のオキサリプラチンとマンニトールとの滅菌溶液で満たすことができることが分かった。これはフリーズ・ドライ装置の性能を利用する点から非常に有益な解決策を提示する。
その特性のために、本発明の医薬組成物はオキサリプラチンに感受性のある腫瘍の治療に適用するのに特に好適である。
以下に、本発明を個々の実施例を用いて詳細に説明するが、それらの実施例は本発明を具体的に説明するのみであって、本発明の範囲を限定するものではない。
GMP条件下で、0.50kgのオキサリプラチン(薬局方品質)及び2.50kgのマンニトール(薬局方品質)を70kgの水に20〜25℃で徐々に溶解する。得られた溶液を0.22μmのフィルターに通して濾過することにより滅菌し、第一級加水分解等級20H型の抗体用の無色透明なバイアル(Saint Gobain Desjonqueres)に充填する。このときの溶液量は、バイアル当り50mgの溶解した活性成分に相当する。充填されたバイアルにフリーズ・ドライ用のストッパーを取り付け、5℃まで予冷しておいたフリーズ・ドライチャンバー内に入れる。その環境でバイアル中の溶液の温度が平衡になった後、バイアル中の溶液を最終温度が−40℃になるまでゆっくり凍結させる(直線的温度低下0.2℃/分)。凍結溶液をこの温度で4時間放置後、直ちに真空中でフリーズ・ドライにかける。
得られた凍結乾燥物は白色の緻密形状であり、0.8重量%の水を含有する。得られた物質を溶解すると、Ph.Eur.Art.2.2.1.に一致した透明な溶液となる。
GMP条件下で、0.50kgのオキサリプラチン(薬局方品質)及び2.50kgのマンニトール(薬局方品質)を70kgの水に20〜25℃で徐々に溶解する。得られた溶液を0.22μmのフィルターに通して濾過することにより滅菌し、第一級加水分解等級20H型の抗体用の無色透明なバイアル(Saint Gobain Desjonqueres)に充填する。このときの溶液量は、バイアル当り溶解した活性成分100mgに相当する。充填されたバイアルにフリーズ・ドライ用のストッパーを取り付け、5℃まで予冷しておいたフリーズ・ドライチャンバー内に入れる。その環境でバイアル瓶の溶液の温度が平衡になった後、バイアル瓶の溶液を最終温度が−40℃になるまでゆっくり凍結させる(直線的温度低下0.2℃/分)。凍結溶液をこの温度で4時間放置後、直ちに真空中でフリーズ・ドライにかける。
得られた凍結乾燥物は白色の緻密形状であり、1.0重量%の水を含有する。得られた物質を溶解すると、Ph.Eur.Art.2.2.1.に一致して透明な溶液となる。
この実施例では、実施例1で調製された医薬組成物を40℃、75%の相対湿度で保存した場合の、その医薬組成物の安定性を試験する。得られた結果を以下の表1に示す。
Figure 2007504177
表1に示すパーセンテージは重量%である。
この実施例では、実施例2で調製された医薬組成物を40℃、75%の相対湿度で保存した場合の、その医薬組成物の安定性を試験する。得られた結果を以下の表2に示す。
Figure 2007504177
表2に示すパーセンテージは重量%である。


Claims (5)

  1. 活性成分としてオキサリプラチン及び薬学的に許容可能なキャリアを含有する、真空でのフリーズ・ドライにより調製される医薬組成物であって、前記キャリアが動物起源ではない少なくとも1種類のアルコール性の糖であり、オキサリプラチンと前記動物起源ではないアルコール性の糖又は動物起源ではないアルコール性の糖類との重量比が1:3〜1:7であることを特徴とする医薬組成物。
  2. 前記医薬組成物が、オキサリプラチンと動物起源ではないアルコール性の糖又は動物起源ではないアルコール性の糖類とを1:5の重量比で含有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記動物起源ではないアルコール性の糖がマンニトールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. オキサリプラチンと動物起源ではない少なくとも1種類のアルコール性の糖との滅菌水溶液であって、オキサリプラチンと動物起源ではないアルコール性の糖又は動物起源ではないアルコール性の糖類とを1:3〜1:7の重量比で含有し、前記化合物の総計の濃度が2.8〜3.2重量%である滅菌水溶液を、バイアル中へ該バイアルの利用可能な容積の最大で60容量%に等しい容量において投入し、直ちに該バイアルの内容物を2〜8℃の温度に冷却した後、−35〜−45℃の最終温度まで0.1〜0.5℃/分の直線的温度低下で凍結し、この温度で1〜6時間放置し、その後真空でフリーズ・ドライにかけることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物の製造方法。
  5. オキサリプラチンに感受性のある腫瘍の治療用の請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11507945A (ja) * 1995-11-03 1999-07-13 サノフィ 安定な凍結乾燥医薬処方
JP2002504524A (ja) * 1998-02-25 2002-02-12 サノフィ−シンテラボ オキサリプラチン溶液組成物
JP2002513396A (ja) * 1997-02-05 2002-05-08 フアルマシア・アンド・アツプジヨン・カンパニー 高度に不溶性な白金錯体の脂質複合体及びリポソーム

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