JP2007503818A - 代謝酵素活性及び代謝産物レベルの同時検出のための質量分析法 - Google Patents

代謝酵素活性及び代謝産物レベルの同時検出のための質量分析法 Download PDF

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Abstract

本発明は、個体における代謝障害を検出する方法を提供する。この方法は、(a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含有する試料を、該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と、少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能であるような条件下で接触し、反応混合物を作成する工程;(b)該反応混合物を、該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触し、被験試料を作成する工程であり、ここで該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物は、該試薬中に溶解している工程、並びに、(c)質量分析を用い、該被験試料中に含まれる該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程を含み、ここで決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量は、該代謝障害の存在又は非存在に相関している。

Description

本発明は概して、診断用医薬品、より詳細に述べると代謝障害を診断する方法に関する。
代謝は、栄養素から体の分子構造を構築する(同化)及びそれらをエネルギーに分解する(異化)プロセスである。代謝プロセスは、成長を生じ、エネルギーを産生し、衰弱をなくし、及び体内の栄養素分布を制御する。体のホメオスタシス、又は恒常状態は、正常な代謝の結果である。
酵素は、代謝プロセス時にひとつの分子の別の分子への転換を触媒するので、これらは代謝において重要な役割を果たす。代謝酵素に欠陥があるか又は個体において異常な量存在する場合、代謝障害が生じ得る。代謝障害は、酵素の非存在もしくは過剰生成又は欠陥のある酵素の生成につながる遺伝形質に起因することが多い。
例として、不活性な遺伝子により生じた欠損は、体がある種のアミノ酸又は脂肪型を分解するために必要なある酵素(又は酵素類)を生成することを妨害し得る。このような酵素欠損は典型的には、栄養素の正常な代謝を妨害し、栄養素又はその代謝産物が体内で毒性レベルまで蓄積することを引き起こす。酵素欠損は、酵素が代謝プロセスの正常な最終生成物を作成することができない場合には、栄養欠乏も引き起こし得る。代謝障害から生じる栄養欠乏は、成長及び発達の不良、並びにその他の重症の健康問題につながり得る。
多くの遺伝性代謝障害は、出生後の生命にとって最初の数週又は数ヶ月で致命的であり、例えばピルビン酸のアセチルコエンザイムA(CoA)への転換における重症の欠損症、一部の尿素回路欠損、及び果糖プロセシングの重症の欠損がある。治療可能な代謝障害を伴う乳児及び小児は、先進国においては新生児スクリーニングにおいて確定されることが多い。例えばフェニルケトン尿症の試験は、先進国においては日常的に行われる。フェニルケトン尿症は、米国において新生児16,000名に約1名発生する、かなり一般的な遺伝性代謝障害の例である。フェニルケトン尿症の個体は、フェニルアラニン(アミノ酸)の分解に必要な酵素を生成しない。幸いなことに、この代謝障害が認められた場合、これは食事制限によりうまく治療することができる。
残念ながら、新生児(newborn)は典型的には、他の代謝障害、例えばホモシステイン尿症、カエデシロップ尿症、有機酸障害、及び脂肪酸酸化障害などについてはスクリーニングされない。結果的に、これらの障害は、損傷が発生し、並びに発達の遅れ及び精神遅滞などの作用が顕在化し始めた後、乳児(infant)及び小児(child)において検出されることが多い。しかしこのような作用は、早期検出及び持続的な食事制限により軽減又は回避することができることが多い。このような早期検出は、酵素活性又は代謝マーカー(代謝産物)に関する血液試料の試験が関与している。
複数の遺伝性代謝障害に関する広範な新生児試験の一部は、各試験に要する経費のために利用不可能である。経費を削減するひとつの方法は、単独の試験において複数の酵素活性及び代謝産物を試験することである。しかし、多-酵素/代謝産物試験の開発は、代謝産物試験と比べ、酵素試験に必要な条件が異なることにより妨げられている。現在、酵素試験及び代謝産物試験を、単独の患者試料から同時に行うことはできない。
従って、個体における代謝障害を効率的に診断する方法の必要性が存在する。本発明は、この必要性を満足し、更に関連した利点を提供する。
本発明は、個体における代謝障害の検出法を提供する。
この方法は、(a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含有する試料を、該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と接触させて、少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用して少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で、反応混合物を作成する工程、(b)該反応混合物を、該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触させて、被験試料を作成する工程であって、該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物が、該試薬中に可溶性である工程、並びに、(c)質量分析を用い、該被験試料中に含まれる該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を検出する工程を含み、ここで決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量は、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることに関する。本発明の方法において使用される試料は、例えば、血液のような体液試料であることができ、及び生後1ヶ月以内の新生児(neonate)(ネオネート)、新生児(newborn)、小児又は成人から得ることができる。ひとつの態様において、この方法は、工程(a)において、試料を1種又は複数の参照基質と接触することを含むことができる。別の態様において、この方法は、工程(b)において、試料を1種又は複数の参照生成物と接触することを含むことができる。更なる態様において、この方法は、工程(d)において、決定前に、少なくとも1種の生成物に相当する1種又は複数の参照生成物を添加することを含むことができる。更に別の態様において、この方法は、工程(d)において、決定前に、試料中に含まれる1種又は複数の代謝被検体に相当する1種又は複数の参照被検体を添加することを含むことができる。
本発明は、個体において代謝障害を検出する別の方法を提供する。この方法は、(a)個体由来の試料を、乾燥型で該1種又は複数の基質を含有する容器と、少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能であるような条件下で接触し、ここで試料は、水溶液中に、(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含有する工程;(b)1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬を添加する工程であり、1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物が、試薬中に可溶性である工程、(c)質量分析を用い、得られる混合物中の1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を検出する工程を含み、ここで決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量は、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることに関与している。本発明の方法において使用される試料は、例えば、血液のような体液試料であることができ、及びネオネート、新生児、小児又は成人から得ることができる。ある態様において、容器は更に、1種又は複数の参照基質、1種又は複数の代謝被検体、1種又は複数の参照生成物、又はそのような参照の組合せを含むことができる。
本発明は、同時に単独の試料から少なくとも2種の関連マーカーの検出を可能にする代謝障害診断試験の発見に関する。特に本発明者らは、質量分析を用い、ひとつの試料を使用し、代謝被検体に加え、代謝酵素の活性を同時に検出することができることを発見した。
本発明は、単独の試料から1種又は複数の代謝障害の少なくとも2種のマーカー又は指標を検出することに関連している。少なくとも1種の指標は、試料中の代謝の指標となる酵素の活性に対応し、及び少なくとも1種の指標は、試料中に内在性に含まれた代謝被検体の存在及び量に対応している。先行する質量分析を使用する遺伝子スクリーニングの臨床的方法は、単に単独の試料中の代謝被検体を検出した。特にChace(米国特許第6,258,605号及び第6,455,321号明細書)は、分析前のメタノール抽出により患者試料(乾燥血液スポット)を調製することを開示している。このような条件下で、酵素は失活され、その結果、酵素活性の測定は、実行不可能であり、更には企図されない。
逆に、酵素活性を決定する周知の方法は、代謝被検体の検出は含まないが、代わりに酵素生成物上のタグ、例えば蛍光タグを測定する。タグ付き生成物の検出様式は、患者試料中に存在する代謝被検体を同時に検出することができない。酵素アッセイに関する蛍光定量法の別の欠点は、蛍光基でタグ付けされた人工基質は、そのような基質に対する酵素活性が本質的に低下され、従ってこのアッセイの感度が低下され、それらの天然の対応物とは十分に異なることである。本発明の方法の利点は、天然の基質に対する代謝の指標となる酵素活性の検出に関連することができる。
実施例Iに示したように、代謝の指標となる酵素ビオチニダーゼの活性に加え、αアミノ酸及びカルニチンの濃度が、単独の試料から同時に決定された。図1に示したように、その多重化(multiplex)の特徴にもかかわらず、ビオチニダーゼを検出する方法の感度(図1)は、周知の蛍光酵素アッセイ法と同等である。同様に、表3及び4に示したように、本発明の方法は、酵素活性を考慮することなく被検体を測定する周知の質量分析法と同等の感度を有する。単独の試料からの代謝被検体及び酵素活性の同時検出のこの発見を基に、本発明は、代謝障害を検出する方法を提供する。
代謝障害の検出は、代謝障害の易罹患性の診断又は予測に使用することができ、その理由は、この障害の生理的又は行動的症状が顕在化し始めているかどうかに関わりなく、本発明の方法を用いて試験される生化学的インジケーターは、代謝障害の指標であるからである。
本発明の方法は、代謝障害の治療を受けている個体などの、個体の代謝モニタリングにおいても有用である。非限定的例として、これらの方法は、特定の治療の治療効率の決定に使用することができる。この決定を基に、個体には、追加の又は代わりの治療の選択肢を提示することができる。本発明の方法は、食事制限のような、特定の治療モダリティに関する患者のコンプライアンスの評価においても有用であることができる。従って本発明は、療法及びコンプライアンスのスクリーニング、診断、予後判定、モニタリング、並びに1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の代謝の指標となる酵素活性の存在又は量の決定が有用であるような他の適用に利用可能である。
本発明の方法は、2種又はそれよりも多い被検体及び代謝の指標となる酵素の活性の同時検出に関連している。多重化されたフォーマットを提供することにより、本発明は、操作の数が個別に行われる試験よりも少ないので、技術的性能誤差を有利に低下する。更に複数の被検体及び酵素活性の同時検出に要するアッセイ経費は、より少ない材料(アッセイ容器、液体輸送材料など)を使用し、かつ必要な操作時間がより短いために、個別の試験に関連した試験よりもより少なくなる。
本願明細書において使用される用語「代謝障害」は、体の定常状態の代謝制御喪失を引き起こす何らかの体の異常な状態を意味する。代謝は、食物が体の活動のエネルギーを提供する形に体内で転換される生理的及び生化学的プロセスである。代謝は、体がその無数の活動のために使用する特異的分子の生成を含む。このような分子は、ホルモン、神経伝達物質、酵素のようなタンパク質、及び膜構成要素を含む。代謝は、細胞が老廃物を排泄することができる分解プロセスも含む。例証的代謝プロセスは、ビタミン及びミネラルの吸収及び修飾;分子がエネルギーを提供するか又は排泄されるための分解;アセチルCoA、非必須アミノ酸、コレステロール、長鎖脂肪酸、プロスタグランジン、複合脂質及びタンパク質の生成プロセス;並びに、解毒を可能にする分解プロセスを含む。従って代謝障害は、健康を調節する生物学的分子の正常な生成又は破壊を妨害する状態である。幼少期に生じ及び遺伝形質から生じる代謝障害は一般に、「先天性代謝異常」と称されるのに対し、疾患又は生活スタイルの結果として生じる代謝障害は、一般に遺伝的素因が存在するが、概して「後天性代謝障害」と称される。
上昇したアミノ酸、遊離カルニチン及びアシルカルニチンのレベルは、いくつかの代謝障害の1種又は複数の指標であることができる代謝産物の例である。遊離カルニチン及びアシルカルニチンは、脂肪酸酸化(FAO)障害及び有機酸尿症(OAD)として分類される障害のマーカーである。同様にアミノ酸は、アミノ酸症として集合的に知られるいくつかの代謝障害のマーカーとして使用される。
脂肪酸酸化(FAO)障害において、脂肪酸分解に必要な酵素は、利用可能でないか又は低下した活性を有する。体の主要エネルギー源であるグルコースのレベルが低い場合に、脂肪酸の分解又は酸化は、エネルギー産生に必要である。このエネルギー供給を伴わないと、一部の個体は、低血糖値の指標を再発する。空腹の場合、耳感染又は風邪などの疾患により引き起こされることが多い、代謝の危機が生じることがある。罹患した個体は、吐気、下痢、嗜眠、痙攣及び昏睡を示すことがある。FAO障害の診断の失敗は、肝臓、心臓及び腎臓における過剰な脂肪蓄積(fat buildup)を生じることがある。この蓄積は、肝不全、脳障害、並びに心臓及び目の合併症から筋肉の発達による全身の問題の範囲に及ぶ、様々な症状を引き起こすことができる。これらの臨床症状の多くは、死に至る。FAO障害に起因した多くの死亡は、SIDS又はライ症候群として誤診されている。
有機酸尿(OA)障害において、有機酸の代謝経路は、OA障害において破壊され、その結果の血液及び尿中のこれらの酸の蓄積は、体の酸-塩基バランスを変える。中間代謝経路への修飾又は適合の結果は、代謝アシドーシス、ケトーシス、高アンモニア血症、成長障害、敗血症又は昏睡を含む、多くの臨床症状を引き起こし得る。
アミノ酸代謝(アミノ酸症)の障害において、ある種のアミノ酸代謝に必要な酵素は、利用不能であるか又は低下した活性を有する。その結果として、罹患したアミノ酸及び代替代謝産物の濃度は、乳児の体内で増加する。これらの過剰は、死亡を含む乳児の健康に悪影響を及ぼす。いくつかの通常試験されたアミノ酸症は以下である:
フェニルケトン尿症(PKU)は、フェニルアラニンがチロシンに転換されない、芳香族アミノ酸代謝の障害である。PKUは、治療されないと、様々な程度の精神遅滞につながる。高フェニルアラニン血症は、精神遅滞及び筋肉硬直につながる。ホモシスチン尿症は、血管閉塞疾患、骨粗鬆症、ホモシスチン及びメチオニンの蓄積、並びに様々な発達遅延につながる。カエデシロップ尿症(MSUD)は、分枝鎖アミノ酸の代謝の障害により引き起こされ、血中のロイシン、イソロイシン及びバリンの上昇したレベルを生じる。治療されない場合、嗜眠の昏睡への進行、発達遅延、及び痙攣が発生するであろう。I型チロシン血症(遺伝性チロシン血症)は、急性肝不全又は慢性肝硬変及び肝細胞癌につながる。シトルリン血症は、痙攣、食欲不振、吐気及び嗜眠、その後速やかに致命的可能性のある昏睡につながる。
本願明細書において使用される用語「代謝の指標」は、酵素に関して使用される場合、酵素の量又は活性が、個体における代謝障害の結果として変更されることを意味する。従って代謝の指標となる酵素の量又は活性は、代謝障害を持たない個体と比べ、代謝障害を有する個体において増加又は減少され得る。代謝の指標となる酵素の活性は、代謝障害を有する個体において変更されるが、その個体は、その障害を有さないか又はその障害の表面的な徴候又は症状を有することは理解される。
本願明細書において使用される用語「代謝被検体」は、代謝障害を経験している個体の、代謝障害を経験していない個体と比べた体内の量、活性、又は生理的特徴が変更された物質を意味する。代謝被検体の例は、アミノ酸、脂肪酸及び有機酸、並びに他の小型分子、更には巨大分子、例えば核酸、ポリペプチド又は炭水化物などを含む。
本発明は、個体において代謝障害を検出する方法を提供する。ひとつの方法は、(a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含有する試料を、この1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と、その少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で接触し、反応混合物を作成する工程、(b)この反応混合物を、1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触し、被験試料を作成する工程であり、ここでこの1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物は、試薬中に可溶性である工程、並びに、(c)質量分析を用い、この被験試料中に含まれる1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程が関連している。
本発明は、代謝障害を検出する別の方法を提供する。この方法は、(a)個体由来の試料を、乾燥型で1種又は複数の基質を含有する容器と、少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能であるような条件下で接触し、少なくとも1種の反応生成物を生成し、この試料は、水溶液中に、(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体、を含有する工程、(b)1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬を添加する工程であり、ここで1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物は、試薬中に溶解している工程、(c)質量分析を用い、得られる混合物中の1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程を含み、ここで決定された1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量は、代謝障害の存在又は非存在に相関している工程が関連している。
本発明は、個体において代謝障害を検出する更なる方法を提供する。この方法は、(a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素及び(ii)1種又は複数の代謝被検体、を含有する試料を、1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と接触させ、少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用して少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で、反応混合物を作成する工程、(b)反応混合物を、1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触し、被験試料を作成する工程であり、ここで1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物は、試薬中に溶解している工程、(c)反応混合物を、1種又は複数の参照生成物及び1種又は複数の参照被検体と接触する工程、並びに、(d)質量分析を用い、被験試料中の1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を、1種又は複数の参照生成物及び1種又は複数の参照被検体に関して決定する工程を含み、ここで決定された1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量は、代謝障害の存在又は非存在に相関していることに関連している。
個体における代謝障害を検出する別の方法は、(a)乾燥状態で1種又は複数の基質を含有する容器を、個体由来の試料と接触する工程であり、この試料は、(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含む工程、(b)この容器を、溶液と、少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能であるような条件下で接触する工程;(c)1種又は複数の酵素の対応する基質に作用する能力を阻害する試薬を添加する工程であり、ここで1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物は、試薬中に溶解している工程;(d)質量分析を用い、得られた混合物中の1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程であり、ここで決定された1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量は、代謝障害の存在又は非存在に相関していることに関連する。
更に本発明は、個体における代謝障害を検出する方法を提供し、これは、(a)試料をふたつの試料部分へ分離し、この試料は、(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含有する工程;(b)各試料部分を、1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と、各試料部分中の少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能であるような条件下で接触し、ふたつの反応混合物を作成する工程、(c)各反応混合物を、1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触し、被験試料を作成し、ここで試薬は、各反応混合物について同じ又は異なり、並びにここで1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物は、この試薬又は試薬類中に可溶性である工程、並びに、(d)これらふたつの反応混合物を一緒にし、被験試料を作成する工程、並びに、(e)質量分析を用い、被験試料中に含まれた1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程を含み、ここで決定された1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量は、代謝障害の存在又は非存在に相関していることに関連している。
更に別の本発明により提供された個体における代謝障害の検出の方法は、(a)試料をふたつの試料部分へ分離し、この試料は、(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び(ii)1種又は複数の代謝被検体を含有する工程、(b)各試料部分を、個別の容器と接触し、各容器は、乾燥型の該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質を含有する工程、(c)各容器を溶液と、各試料部分中の少なくとも1種の酵素が対応する基質に作用し少なくとも1種の生成物を生成することが可能であるような条件下で接触し、ふたつの反応混合物を作成する工程、(d)各反応混合物を、1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触し、被験試料を作成し、ここで該試薬は、各反応混合物について同じ又は異なることができ、並びに、1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物は、その試薬又は試薬類中に可溶性である工程、並びに、(e)ふたつの反応混合物を一緒にし、被験試料を作成する工程、並びに、(f)質量分析を用い、被験試料中に含まれた1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程を含み、ここで決定された1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量は、代謝障害の存在又は非存在に相関していることに関連している。
代謝障害を検出する前記方法のいずれかにおいて、1種又は複数の参照生成物及び/又は参照被検体は、質量分析の前に、被験試料に添加することができる。同様に1種又は複数の参照基質は、酵素反応を進行させる前に、反応混合物又は溶液へ添加することができる。このような添加は、以下により詳細に説明するように、これらの方法が定量的フォーマットで実行される場合に有用であることができる。
本発明の方法は、様々なフォーマットで実行することができる。典型的手順の例として、正常な個体又は代謝障害を有することが疑われる個体由来の試料は、容器内に配置される。試料の種類(例えば、全血、血清、組織)は、特定の代謝障害を基に選択され、及び酵素を放出するための試料の前処理が、試料の種類を基に行われる。試験対象の代謝障害に相関する酵素は公知であり、酵素基質も同じである。代謝障害、又は関連したもしくは異なる代謝障害に相関することがわかっている少なくとも1種の代謝被検体も公知である。
代謝疾患の酵素指標となる基質を含有する水溶液が、試料へ添加される。この酵素反応は、酵素が検出可能な又は所望の量の生成物を生成するのに十分な期間進行することができる。次に、検出されるべき参照被検体を含有する停止試薬の添加により、この反応は停止される。この試薬は、酵素を変性するが、溶液中のこの生成物及び代謝被検体の参照形(参照被検体)は維持する。この試料には、生成物、代謝被検体、及び参照被検体を検出するためにタンデム質量分析が施される。代謝被検体の量は、参照被検体を基に決定され、及びこの生成物の存在が検出される。
別の例として、正常な個体又は代謝障害を有することが疑われる個体由来の試料は、代謝の指標となる酵素基質を含む容器に添加される。試料が適当な溶液中に含まれる場合、酵素反応は進行することができる。試料がメンブレン又は紙の上のような乾燥型である場合、適当な溶液が、容器内にある場合この試料に適用される。酵素を可溶化するか又はその上で乾燥されている物質(存在する場合)から酵素を放出させるのに十分な期間の後、酵素反応が進行させられる。前述のようにこの酵素反応は、酵素が検出可能な量又は所望の量の生成物を生成するのに十分な期間進行することができる。その後この反応は、参照被検体及び参照生成物を含む停止試薬の添加により停止される。代謝被検体及び酵素生成物の量は、参照被検体及び生成物を基に検出される。
本発明の方法を実行する手順の更なる例は、停止試薬の添加後、この被験試料を、不溶性物質から可溶性物質を分離するように処理することができる。分離は、例えば、遠心、濾過などにより行うことができる。得られる透明化された被験試料にはその後、質量分析が施される。別の任意の工程は、例えば反応混合物及び試薬が非混和性である場合に、界面活性剤又は他の可溶化剤が、被験試料に添加される。
必要ではないが、この被験試料は、代謝被検体、酵素生成物及び/又は参照物質の量の検出を増強するために、質量分析前に誘導体化することができる。周知の誘導体化法の例は、試料の酸及びブタノールとの反応である。
本発明の方法は、1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の酵素生成物の存在又は量を同時に決定するために使用することができる。従ってこれらの方法は、2種又はそれよりも多い代謝被検体及び少なくとも1種の酵素生成物、3種又はそれよりも多い代謝被検体及び少なくとも1種の酵素生成物、4種又はそれよりも多い代謝被検体及び少なくとも1種の酵素生成物で、少なくとも5種の代謝被検体、少なくとも5種の代謝被検体、少なくとも10種の代謝被検体及び少なくとも20種の代謝被検体を、少なくとも1種の酵素生成物と共に含むものの存在又は量を同時に決定するために適用可能である。同様にこれらの方法は、1種又は複数の代謝被検体及び2種又はそれよりも多い酵素生成物、1種又は複数の代謝被検体及び3種又はそれよりも多い酵素生成物、1種又は複数の代謝被検体及び4種又はそれよりも多い酵素生成物、1種又は複数の代謝被検体及び5種よりも多い酵素生成物、更には1種又は複数の代謝被検体及び5種よりも多い酵素生成物の存在又は量(presence of amount)を同時に決定するために適用可能である。
本発明の方法は、「試料」を試験することによる、代謝障害の検出に関連している。本願明細書において使用される用語「試料」は、代謝状態の内在性酵素指標を有する1種又は複数の酵素、及び1種又は複数の内在性代謝被検体を含む生物学的液体、細胞、組織、又はそれらの画分を意味する。試料は、例えば個体から得られた標本であるか、又はそのような標本に由来することができる。例えば試料は、生検により得られた組織切片、又は組織培養物中に配置もしくはこれに適応された細胞であることができる。従って試料の例は、培養された線維芽細胞、培養された羊水細胞、及び絨毛膜絨毛試料を含む。試料は、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液、涙、粘液などの、生物学的液体標本であることもできる。試料は更に、望ましいならば、特定の細胞種を含む画分に分画することができる。例えば血液試料は、血清へ、又は赤血球もしくは白血球(white blood cells/leukocyte)のような特定の種類の血液細胞を含有する画分へ分画することができる。望ましいならば、試料は、組織及び液体試料の組合せなどの、個体由来の試料の組合せであることができる。
本発明の方法を使用するために、試料は、1種又は複数の代謝の指標となる酵素及び1種又は複数の内在性代謝被検体を含有する。本発明の方法を実行する間に酵素活性を溶液中で生じるさせるよう、試料は、代謝の指標となる酵素(複数)及び/又は内在性代謝被検体を溶液へ放出するように適当に処理することができる。試料中の酵素を放出又は可溶化するための周知の方法は、界面活性剤による処理、凍結/解凍処理、乾燥及び再水和などを含む。
本発明の方法において使用される試料の起源は、検出されるべき代謝の指標となる酵素(複数)及び代謝被検体(複数)に応じて決まるであろう。代謝の指標となる酵素及び代謝被検体が含まれる体液及び組織は、当業者に周知である。非限定的例として、ビオチニダーゼが代謝の指標となる酵素である場合全血試料を用いることができ;カルバミルリン酸合成酵素が代謝の指標となる酵素である場合は、肝生検を使用することができ;分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼが代謝の指標となる酵素である場合は、尿を使用することができ、及びα-L-フコシダーゼが代謝の指標となる酵素である場合、皮膚生検を使用することができる。
試料中の分子の活性又は完全性を保存する試料を得る方法は、当業者に周知である。このような方法は、適当な緩衝液、並びに/又は試料中の分子を保存するかもしくは変化を最小化するヌクレアーゼインヒビター、プロテアーゼインヒビター及びホスファターゼインヒビターを含むインヒビターの使用を含む。このようなインヒビターは、例えば、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチルグリコールビス(P-アミノエチルエーテル)N,N,N1,N1-四酢酸(EGTA)、プロテアーゼインヒビター、例えばフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、アプロチニン、ロイペプチン、アンチペインなど、並びにホスファターゼインヒビター、例えばリン酸塩、フッ化ナトリウム、バナジン酸塩などを含む。分子を単離するのに適当な緩衝液及び条件は、当業者に周知であり、及び例えば特徴付けられる試料中の分子の種類に応じて変動することができる(例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology (補遺47)、John Wiley & Sons, New York (1999);Harlow及びLane、Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988);Harlow及びLane、Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1999);Tietz Textbook of Clinical Chemistry、第3版、Burtis and Ashwood編集、W. B. Saunders, Philadelphia, (1999)参照のこと)。試料は、干渉物質の存在を除去又は最小化するために処理することもできる。
液体試料又は細胞抽出液を分画する様々な方法が、当業者に周知であり、これは細胞下分画、又はイオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性電荷-誘導クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技術を含む(Ausubelら、前掲、1999;Scopes、Protein Purification: Principles and Practice,第3版, Springer-Verlag, New York (1993);Burton及びHarding, J. Chromatoqr. A 814: 71-81 (1998))。例として、白血球を含有する個体由来の血清試料は、白血球を分離するために分画するか、又は、望ましいならば、例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞、顆粒球、単球、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞などへ亜分画することができる。
本発明の方法の使用のために、試料は、様々な物理的状態であることができる。例えば試料は、液体又は固体であることができ、液体中に溶解又は懸濁されることができ、エマルション又はゲルであることができ、並びに物質に吸収することができる。非限定的例として、試料は、液体血液試料、液体血清試料、液体白血球試料、乾燥した血液、血清、もしくは白血球試料、又は紙又は高分子支持体上に吸収されたそのような試料であることができる。実施例1は、本発明の方法における乾燥した血液試料の使用を説明している。
本発明の方法で使用される試料は、使用前に分離することができる。試料中に存在する特定の代謝の指標となる酵素活性が個別のアッセイ条件を必要とする場合、又は試料中に内在する特定の代謝被検体が、異なる溶液環境中に溶解される場合に、分離することが望ましい。分離は、試料中の代謝の指標となる酵素又は代謝被検体の検出と干渉する物質の存在を低下するため、及び試料の干渉部分中の1種又は複数の個別の代謝の指標となる酵素又は代謝被検体を検出するためにその干渉部分を保持するために望ましいこともある。
全ての年齢の個体は、代謝障害に罹患し得る。従って本発明の方法において使用される試料は、ネオネート、新生児、乳児、小児及び成人を含む、あらゆる年齢の個体から得ることができる。成人発症により特徴付けられる代謝障害の例は、シンドラー病(リゾソーム酵素α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ欠損症)、尿素サイクル障害及びスフィンゴリピドーシスを含む。本発明の方法は、ヒト及び非-ヒト個体に適用される。従ってこれらの方法は、例えば、代謝の指標となる酵素及び内在性代謝被検体が公知である獣医学対象又は研究対象から得た試料に使用することができる。非-ヒト動物の例は、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、サカナ、カメ及びトカゲを含む。本発明の方法は、内在性代謝の指標となる酵素及び内在性代謝被検体を含有する試料が得られる限りは、酵母、古細菌及び細菌、並びに植物などの、より下等な生物にも適用可能である。
本発明の方法は、少なくとも1種の「代謝の指標となる酵素」の酵素生成物の検出に関連している。いずれかの代謝の指標となる酵素は、基質がその酵素についてわかっている限りは、本発明の方法を用いアッセイすることができ、その基質は、選択された「試薬」中に溶解し、及びその基質は、望ましいならば、内部標準として使用するために、質量分析により明確に検出可能な形に修飾することができる。代謝の指標となる酵素は、酸化還元酵素、加水分解酵素、脱離酵素、転移酵素、連結酵素及び異性化酵素を含む、各酵素クラスにおいて示されている。非限定例として、周知の代謝の指標となる酵素及びそれらに関連した代謝障害を、下記表1に示す。代謝の指標となる酵素の具体例は、ビオチニダーゼである。





























表1:
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代謝の指標となる酵素の基質は、当業者に周知である。本願明細書において使用される用語「基質」は、代謝の指標となる酵素により作用される分子又は複合体を意味する。特に基質は、対応する酵素に対し生理的親和性を有し、及びこれに作用しなければならない。本発明の方法において有用な基質は、未変性であるか又は修飾することができる。本発明の方法において有用な修飾された基質は、未変性の基質と質量が異なり、及び対応する酵素により作用される能力を維持する。基質の質量の増加に有用な様々な化学的修飾反応は、当業者に周知である。基質に適した修飾の例は、同位体標識、並びに基質の質量又は質量対変化比を変更するいずれかの化学修飾を含む。一旦基質が修飾されたならば、活性は、未変性の基質対修飾された基質を使用する酵素活性の比較、又はこの生成物の既知の濃度の1種又は複数の参照生成物を使用する内部標準化による定量のような、慣習的方法を用い確認することができる。非限定的例として、代謝の指標となる酵素がビオチニダーゼである場合、基質は、未変性のビオシチン又は修飾されたビオシチンであることができる。
本願明細書において使用される用語「生成物」は、酵素活性に関して使用される場合、基質に作用する酵素の結果として生成される分子実体を意味する。従って試料中の生成物の存在又は量は、試料中の酵素活性の存在又は量に相関している。そのようなものとして、本発明の方法を用いて決定される生成物の量は、望ましいならば、例えば、被験試料と参照の酵素活性レベルの間の差異を評価する場合、慣習的計算を用い、酵素活性レベルとして表すことができる。
本発明の方法は、1種又は複数の代謝の指標となる酵素の、対応する基質に作用する能力を阻害する試薬の使用に関する。本願明細書において使用される用語「阻害」は、生成物の形成が検出不能又は有意でないように、酵素活性を低下又は阻止することを意味する。
本願明細書の本発明の方法において使用される「試薬」は、代謝の指標となる酵素の対応する基質に作用する能力を特異的に又は非特異的に阻害し、及び質量分析解析を実質的に干渉しないような化学物質であるか又はこれを含む。酵素反応を阻害する非特異的な試薬の例は、タンパク質を変性する化学物質であるカオトロピック剤、及びカオトロピック剤を含有する溶液である。カオトロピック剤の非限定的例は、アルコール、例えばメタノール、エタノール及びイソブチルアルコール;尿素及びグアニジン塩である。酵素反応を阻害する特異的試薬の例は、選択された酵素に有効な酵素インヒビターを含む。多数の酵素インヒビターが、広く使用され、及び当業者に周知である。本発明の方法に使用するための試薬は、例えば、代謝の指標となる酵素(複数)の活性を阻害する適性、並びに代謝被検体(複数)及び酵素生成物(複数)の溶解度を維持する能力を基に選択することができる。選択された試薬は、質量分析のバックグラウンドを最小化するために、最小数の成分を有するように選択することができる。選択された試薬は、特定の反応混合物又は溶液と混和性又は非混和性であることができ、迅速混合が、酵素反応が阻害されることを確実にするひとつの方法である。本発明において有用な試薬の例は、有機溶媒及びそれらの溶液、有機酸及びそれらの溶液、アルコール及びそれらの溶液、反応混合物又は溶液と比べ非極性である試薬、並びに反応混合物又は溶液とは異なるpHを有し、そのpHは酵素活性に不適切な環境を形成する試薬などである。非限定的例は、メタノール及びそれらの溶液;トリフルオロ酢酸及びそれらの溶液;並びに、アセトニトリル及びそれらの溶液を含む。質量分析の分野の業者は、質量分析測定とは干渉しない試薬を確定することができるであろう。
選択された試薬の酵素反応を阻害する能力は、慣習的方法により決定することができる。例えば候補「試薬」の有効性は、進行中の酵素反応へのその試薬又は公知の酵素インヒビターの添加により、試験することができる。その後各条件下での酵素活性の量は、選択された試薬が、本発明の方法における使用に適しているかどうかを確認するために比較することができる。
本発明の方法は、少なくとも1種の「代謝被検体」を検出することに関する。様々な代謝被検体は、被検体が選択された試薬中に溶解し、既知の質量を有し、及び望ましいならば内部標準として使用するために修飾される限りは、本発明の方法を使用し検出することができる。特定の代謝障害に関連した代謝被検体は、当業者に周知である。非限定的例として、周知の代謝被検体及びそれらの関連した代謝障害は、先に表1に示されている。アミノ酸及びカルニチン代謝被検体は、表2に示されており、表3に示された一般的代謝障害に対応することができる。アミノ酸障害及び対応するアミノ酸代謝被検体も、表4に示されている。脂肪酸障害及び対応する脂肪酸代謝被検体は、表5に示され;追加の脂肪酸障害は表3に示されている。










































表2
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表3
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表4
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表5
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本発明の方法において、1種又は複数の代謝被検体の存在又は量を決定することができる。代謝被検体の量は、試料中の分子の絶対量又は分子の相対量を意味し、定常状態又は非定常状態の条件下で決定された量を含む。代謝被検体の量は、試料中の参照分子と比較して決定することができる。
本発明の方法は、少なくとも1種の代謝被検体及び/又は生成物の存在又は量の決定に関連し、ここで各代謝被検体及び/又は生成物の存在又は量は代謝障害の存在又は非存在に相関している。被験試料中の代謝被検体又は生成物の量を定量するために、以下に説明したように内部標準を使用することができる。本発明の方法を定量的に使用し、望ましいならば、被験試料の結果を、特定の被検体及び/又は生成物量の既知又は予め決定された標準量と比較することができる。本発明の方法を、試料中の代謝被検体又は酵素の存在が代謝障害の指標である場合、例えば検出された代謝被検体が異常な代謝過程の結果である場合、又は酵素活性が正常な試料中に検出されない場合には、定性的に使用することができる。これらの方法は、被験試料が、正常参照又は代謝障害参照のいずれかであることができる参照試料と比較される場合、定性的に使用することができる。この様式において、被検体又は生成物の相対量は、代謝障害の指標であることができる。
本発明の方法において有用な代謝被検体に関する内部標準、又は参照被検体は、質量分析により検出可能な被検体の修飾又はアナログであることができる。参照被検体は、独自の質量又は質量電荷比などの、独自の物理特性を基に代謝被検体から個別に検出可能である。加えて、適当な総合的(generic)参照標準を使用することができる。このような内部標準は、例えばクロマトグラフィーのような分離方法が質量分析の前に使用される場合、被検体又は生成物と同時溶離するであろう。質量分析に通常使用される内部標準は、被検体又は生成物の安定して同位体標識された形又は化学誘導体である。アミノ酸である代謝被検体のための内部標準の非限定的例は、同位体標識されたアミノ酸、例えば15N,2-13C-グリシン、2H4-アラニン、2H8-バリン、2H3-ロイシン、2H3-メチオニン、2H5-フェニルアラニン、2HH4-チロシン、2H3-アスパラギン酸、2H3-グルタミン酸、2H2-オルニチン2HCl、2H2-シトルリン、及び2H4-13C-アルギニン・HClなどである。カルニチンである代謝被検体の内部標準の非限定的例は、同位体標識されたカルニチン、例えば2H9-カルニチン、2H3-アセチルカルニチン、2H3-プロピオニルカルニチン、2H3-ブチリルカルニチン、2H9-イソ吉草酸カルニチン、2H3-オクタノイルカルニチン、2H9-ミリストイルカルニチン、及び2H3-パルミトイルカルニチンである。酵素生成物の内部標準、又は参照生成物は、質量分析により同定可能な生成物の修飾又はアナログであることができる。参照生成物は、独自の質量又は質量電荷比などの、独自の物理特性を基に生成物から個別に検出可能である。酵素生成物に関する内部標準の非限定的例は、生成物の同位体標識された形、例えば生成物の重水素型などである。
一般に各代謝被検体又は酵素活性のカットオフ値は、通常試験される被検体及び酵素に関しては当該技術分野において公知であろう。カットオフ値は、典型的には代謝障害の指標であると見なされる又は再試験の原因となる値を上回る又は下回る、被検体濃度もしくは酵素活性、又はそれらの比である。従って本発明に従い、特定の試料型における代謝被検体又は酵素活性(酵素生成物の存在又は量により示される)の参照レベルは、カットオフ値として確定され、それを上回る値は、被検体又は酵素活性の存在と、代謝障害の存在又は非存在の間に有意な相関がある。アミノ酸及びカルニチン/アシルカルニチンブチルエステルのカットオフ値の例は、米国特許第6,455,321号に開示されている。同じく新生児から得た血液試料中の代謝被検体の上昇した量の有意性を決定する方法も説明されている。この方法は、あらゆる年齢の対象から得た様々な種類の試料(例えば、血清及び組織生検)に適用することができる。
当業者は、カットオフのいずれかの側の値範囲を超えても臨床上の相関関係は依然有意である点で、一部のカットオフ値は、絶対値でないことを認めるが;しかし特定の試料型に関して被検体、酵素活性の最適なカットオフ値(例えば、変動するH-スコアなど)を選択することが可能である。本発明の方法で使用するために決定されたカットオフ値は一般に、公表された範囲と比較されるが、使用された方法論及び患者集団で区別することができる。最適なカットオフ値の改善は、使用される統計法の精巧さ、並びに様々な被検体、酵素活性及び試料型について参照レベル値を決定するために使用される試料の数及び給源に応じて決定されることは理解される。従って確立されたカットオフ値は、定期的再評価又は方法論もしくは集団分布の変化を基に、加減することができる。加えて例えば装置間の性能互換性が<10%であるような望ましい場合は、装置特異的カットオフ値を使用することができる。
得られる参照レベルが、参照レベルを下回る代謝被検体又は酵素活性量を有する個体の第二群よりも、それを上回る、代謝障害の異なる確率を有する個体の第一群が存在するような代謝被検体又は酵素活性の量を正確に提供するならば、この参照レベルは複数の方法により決定することができる。この参照レベルは、同じ代謝障害を有する患者集団における代謝被検体又は酵素活性量の比較により、決定することができる。これは、例えば患者の全コホートを図示し、ここで第一軸は代謝被検体又は酵素活性の量を表し、第二軸は所定の量のその試料が代謝被検体又は酵素活性を含むようなそのコホート内の個体数を表すような、ヒストグラム解析により実行することができる。個体の2種又はそれよりも多い個別の群は、代謝被検体又は酵素活性の同じ又は同様のレベルを有するコホートの部分集団の確定により決定することができる。その後参照レベルの決定は、これらの個別の群を最良に識別する量を基に行うことができる。この参照レベルは、ひとつの数字で、各個体に同等に適用可能であるか、又は参照レベルは、個体の特定の亜集団に従い変動することができる。例えば比較的高齢者の個体は、同じ代謝障害に関して、比較的若い個体とは異なる参照レベルを有する。
本発明の方法は、もうひとつの代謝被検体及び少なくとも1種の代謝の指標となる酵素生成物の量又は存在の決定に質量分析を使用する。質量分析装置の様々な機器構成を、本発明の方法において使用することができる。質量分析装置のいくつかの型が利用可能であり、様々な機器構成で作製することができる。一般に質量分析装置は、下記の主要構成部品を備える:試料注入口、イオン源、質量分離装置、検出器、真空システム、及び機器制御システム、並びにデータシステム。一般に試料注入口、イオン源、質量分離装置の違いは、機器の種類及びその能力を規定する。例えば、注入口は、キャピラリー-カラム液体クロマトグラフィーの給源であるか、又はマトリックス支援レーザー脱離において使用されるようなダイレクトプローブもしくはステージであることができる。一般的イオン源は、例えばナノスプレー及びマイクロスプレーを含むエレクトロスプレー、又はマトリックス支援レーザー脱離である。一般的質量分析装置は、四重極型マスフィルター、イオントラップ型質量分析装置、及び飛行時間型質量分析装置を含む。
イオン形成プロセスは、質量分析の出発点である。いくつかのイオン化法が利用可能であり、イオン化法の選択は、分析される試料によって左右される。例えば、アミノ酸分析に関しては、エレクトロスプレーイオン化(ESI)のような比較的穏やかなイオン化法が望ましい。ESIに関して、試料を含有する溶液は、強力な電界を形成する高電位で、細針を通り抜け、その結果高度に帯電した液滴の細かいスプレーが質量分析装置へと方向付けられる。他のイオン化法は、例えば、高速原子衝撃(FAB)法を含み、これは、中性原子の高-エネルギービームを使用し、固形試料に衝突させ、脱離とイオン化を引き起こす。マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)は、レーザーパルスを使用し、UV-吸収性化合物マトリックス内で結晶化された試料に衝突させる方法である。当該技術分野において公知の他のイオン化法は、例えば、プラズマ放電及びグロー放電、プラズマ脱離イオン化法、共鳴イオン化法、及び二次的イオン化法がある。
エレクトロスプレーイオン化法(ESI)は、本願明細書において説明した発明に有用ないくつかの特性を有する。例えばESIは、イオン化又は気化が困難であるアミノ酸及びカルニチンのような、生物学的分子に使用することができる。加えて、ESIの効率は、高感度の測定値の基礎を提供するように非常に高いことができる。更にESIは、溶液から帯電した分子を生成し、これは溶液中に存在する代謝被検体、生成物及び参照分子の分析に都合がよい。対照的に、MALDIのようなイオン化法は、イオン化法の前に試料の結晶化が必要である。
ESIは、溶液から直接帯電した分子を生成することができるので、これは液体クロマトグラフィーシステムからの試料と適合性がある。例えば、質量分析装置は、HPLCなどの液体クロマトグラフィーシステムのための注入口を備え、画分はクロマトグラフィーカラムから質量分析装置へと流れる。この液体クロマトグラフィー及び質量分析装置のインライン配置は、時にLC-MSと称される。LC-MSシステムは、質量分析の前に、例えば、代謝被検体、生成物及び参照分子を複合混合物から分離するために使用することができる。加えてクロマトグラフィーを使用し、質量分析前に塩又は他の緩衝成分を試料から除去することができる。例えば、インライン又はオフラインの逆相HPLCカラムを使用する試料の脱塩は、イオン化法の効率を増加し、その結果質量分析による検出感度を改善する。
異なるイオン源と対をなすことができる、様々な質量分析器が利用可能である。当業者に公知でありかつ本願明細書に説明されるように、異なる質量分析器は、異なる利点を有する。検出のために選択された質量分析装置及び方法は、具体的なアッセイによって決まり、例えばより感度の良い質量分析器は、少量のイオンが検出のために生成される場合に使用することができる。質量分析器及び質量分析法のいくつかの種類を以下に説明する。
四重極型質量分析は、四重極型マスフィルター又は分析器を利用する。この型の質量分析器は、2本の電気的に接続されたロッドの2組セットとして配置された4本のロッドにより構成される。rf及びdc電圧の組合せが各ロッド対に印加され、これはイオンがマスフィルターの始まりから末端まで移動する間に、イオンの振動運動を引き起こす電界を形成する。これらの電界の結果は、一方のロッド対中のハイパスマスフィルター及び他方のロッド対中のロウパスフィルターの作成である。ハイパスフィルターとロウパスフィルターの間の重複は、両方のフィルターを通過し、かつ四重極の長さを横断することができる確定された(defined)m/zを残す。このm/zは、四重極マスフィルターにおいて選択され及び安定し続ける一方で、他のm/zは全て不安定な軌道を描き、マスフィルターに留まらない。質量スペクトルは、印加された電界を傾斜する(ramp)ことにより生じ、その結果マスフィルターを通り抜け検出器に到達する増大したm/zが選択される。加えて四重極は、単にrf-電界を印加することにより、全てのm/zのイオンを含みかつ透過するように設定することもできる。これは、四重極が、マスフィルタリングを伴わないイオン透過が必要であるような質量分析装置の領域において、レンズ又は焦点システムとして機能することを可能にする。これは、以下に更に説明するタンデム質量分析において使用されるであろう。
四重極型質量分析器、更には本願明細書に説明された他の質量分析器は、確定されたm/z又は質量範囲を分析するようにプログラムすることができる。この質量分析装置の特性は、本願明細書において説明された発明に有用である。代謝被検体、酵素生成物及び参照分子の質量範囲はアッセイ前にわかっているので、質量分析装置は、投射された正確な質量範囲のイオンは透過するが、より高い又はより低い質量範囲のイオンは排除されるようにプログラムすることができる。質量範囲を選択する能力は、アッセイにおけるバックグラウンドノイズを低下することができ、その結果シグナル対ノイズ比を増加し、更にそのアッセイの特異性を増大する。従って質量分析装置は、固有の分離工程に加え、代謝被検体、酵素生成物及び参照分子の検出及び同定を実現することができる。
イオントラップ質量分析は、イオントラップ質量分析器を利用する。これらの質量分析器において、全m/zのイオンが最初にトラップされ及び質量分析器において振動するように、電界が印加される。イオンは、イオン源からオクタポールレンズシステムのような焦点化装置を通りイオントラップへ侵入する。イオントラップは、励起前にトラップ領域において生じ、電極を通り検出器へ投入する。質量分析は、トラップからの及び検出器へのm/zが増加するイオンを投入する方法で、振動の振幅を増大する電圧を逐次印加することにより実現される。四重極型質量分析とは対照的に、選択されたm/zを有するもの以外の全てのイオンは、質量分析器の電界中に保持される。イオントラップのひとつの利点は、一度にトラップされるイオン数を慎重に制限する限りは、これらは非常に感度が良いことである。イオン数の制御は、イオンがトラップに射出されるのに要する時間を変動することにより実現される。イオントラップは低いm/z限界を有するが、イオントラップの質量分離は、四重極解像マスフィルターのそれに類似している。
飛行時間型質量分析は、飛行時間型質量分析器を使用する。この方法のm/z分析について、イオンは最初に、電界(高電圧により形成された)内での加速により、定量の運動エネルギーが与えられる。加速後、このイオンは、フィールドフリー領域又は「ドリフト」領域に侵入し、そこでこれはそのm/zに反比例する速度で移動する。従って低いm/zを伴うイオンは、高いm/zを伴うイオンよりも、より迅速に移動する。フィールドフリー領域の長さを移動するイオンに必要な時間を測定し、イオンのm/z計算に使用する。
この種の質量分析のひとつの検討事項は、試験されるイオンのセットは、同時に分析器に導入されることである。例えば、この種の質量分析は、短い良く確定されたパルスにおいてイオンを生じるMALDIなどのイオン化技術に良く適している。別の検討事項は、それらの運動エネルギー量に変動があるイオンにより作成された速度の広がりを制御することである。より長い飛行チューブ、イオン反射器、又はより高い加速電圧の使用は、速度の広がりを最小化する助けとなることができる。飛行時間型質量分析器は、四重極型又はイオントラップ型質量分析器よりも高レベルの感度及び広範なm/z範囲を有する。この質量分析器のスキャニングは不要であるので、同じくこの種の質量分析器で迅速にデータを得ることができる。
タンデム質量分析は、先に説明された質量分析器の組合せを利用することができる。更なる分析のために関心のあるイオンを分離することを目的として、タンデム質量分析装置は、それらのm/zに従いイオンを分離するために、第一の質量分析器を使用することができる。分離された関心のあるイオンは次に、フラグメントイオンに破壊され(衝突活性化解離又は衝突誘起解離と称される)、このフラグメントイオンは、第二の質量分析器により分析される。これらの型のタンデム質量分析装置システムは、ふたつの質量分析器が、通常衝突室により、空間内で分離されているので、空間システムにおけるタンデムと称される。タンデム質量分析装置システムは、ひとつの質量分析器が使用されるが、この質量分析器は、イオンを分離し、フラグメンテーションを誘導し、その後質量分析を実行するために逐次的に使用される、時間システムのタンデムも含む。
空間カテゴリーにおいてタンデムである質量分析装置は、1台よりも多い質量分析器を有する。例えばタンデム四重極型質量分析装置システムは、第一の四重極マスフィルター、それに続く衝突室、それに続く第二の四重極マスフィルター、並びに次に検出器を備える。別の配置は、第一の質量分析器のための四重極マスフィルター、及び第二の質量分析器のための飛行時間型質量分析器、これらふたつの質量分析器を分離する衝突室を伴う使用である。反射型の飛行時間、タンデムセクター及びセクター-四重極型質量分析を備える、別のタンデムシステムが、当該技術分野において公知である。
時間カテゴリーにおいてタンデムである質量分析装置は、異なる時点で異なる機能を発揮する1台の質量分析器を有する。例えばイオントラップ質量分析装置を用い、全m/zのイオンをトラップすることができる。関心のあるイオンのm/z以外の全m/zのイオンをトラップから投入する一連のrf走査機能が適用される。関心のあるm/zが分離された後、イオンのフラグメンテーションを誘導するために、トラップ内の気体分子の衝突を生じるように、rfパルスが適用される。その後フラグメント化されたイオンのm/z値が、質量分析器により測定される。フーリエ変換質量分析装置としても公知であるイオンサイクロトロン共鳴装置も、時間タンデムシステムの例である。
タンデム質量分析実験のいくつかの種類を、実験の各段階で選択されたイオンを制御することにより行うことができる。異なる種類の実験は、異なる操作モードを使用し、時には質量分析器の「走査」と称される。質量スペクトル走査と称される第一の例において、第一の質量分析器及び衝突室は、質量分析のために全てのイオンを第二の質量分析器へ透過させる。プロダクトイオン走査と称される第二の例において、関心のあるイオンは、第一の質量分析器において質量選択され、次に衝突室においてフラグメント化される。この形成されたイオンは次に、第二の質量分析器の走査により、質量分析される。プリカーサーイオン走査と称される第三の例において、第一の質量分析器は、質量分析されたイオンがフラグメンテーションのために衝突室へと逐次透過されるように走査される。第二の質量分析器は、検出器への透過のために、関心のあるプロダクトイオンを質量選択する。従ってこの検出器シグナルは、共通のプロダクトイオンへとフラグメント化することができる全てのプリカーサーイオンの結果である。他の実験様式は、一定の質量差が質量走査において説明されるニュートラルロススキャンを含む。これらの様々なタンデム質量分析走査手順の使用は、被検体の巨大なセットを、複数の実験と同様に、単独の実験において測定する場合に利点である。
前述のことを考慮し、当業者は、例えば四重極型質量分析、イオントラップ質量分析、飛行時間型質量分析及びタンデム質量分析のような様々な質量分析法は、イオン源と質量分析器の様々な組合せを使用することができ、このことはカスタマイズ可能な検出プロトコールの柔軟なデザインを可能にすることを認める。加えて質量分析装置は、逐次又は同時のいずれかで、イオン源から質量分析装置へと全てのイオンを透過するようにプログラムすることができる。更に質量分析装置は、他のイオンをブロックする間に、質量分析装置への透過のための特定の質量のイオンを選択するようプログラムすることができる。質量分析装置におけるイオンの移動を正確に制御する能力は、例えば複数の実験から、多数の被検体が分析される場合に利点となり得る検出プロトコールにおけるより多くの選択を可能にする。
異なる質量分析装置は、異なるレベルの分解能、すなわち質量が密に関連したイオン間でピークを分解する能力を有する。分解能は、R=m/δmとして定義される(式中、mはイオン質量であり、δmは、質量スペクトルのふたつのピーク間の質量の差異である。)。例えば分解能1000を有する質量分析装置は、m/zが100.1のイオンから、m/zが100.0のイオンを分解することができる。従って当業者は、検出される被検体(複数)に適した分解能を有する質量分析装置を選択するであろう。
質量分析装置は、小さい質量差を伴うイオンを分解し、及び高精度でイオンの質量を測定することができる。従って、質量分析装置は例え密接に関連した分子の質量であっても識別することができるので、質量の類似した被検体を、同じ実験で使用することができる。質量分析法を用いて達成される高度の分解能及び質量精度は、被検体の大きいセットを互いに識別することができるので、これらの使用を可能にする。
当該技術分野において、追加の質量分析法が周知である(例えば、Burlingameら、Anal. Chem. 70: 647R-716R (1998);Kinter及びSherman, New York (2000))。代謝被検体を検出する質量分析法の例は、Chace DH, Hillman SL, Van Hove JLK, Naylor EW. Clin Chem 1997 ; 43: 210613;Rashed MS, Bucknall MP, Little Dら, Clin Chem, 1997 ; 43: 112941;Matern D, Strauss AW, Hillman SL, Mayatepek E, Millington DS, Trefz FK. Pediatr Res 1999 : 46: 459、及びMillington DS, Kodo N, Terada N, Roe D, Chace DH. International Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes 1991 ; 111: 21128を含む。
本発明の方法の1種又は複数の工程は、望ましい場合は、自動化することができる。当業者は、自動化のための自動試料採取器、液体操作装置、ロボット、コンピュータ、及び他の慣習的な実験装置の使用法を知っているであろう。
括弧内又はその他で先に示された全ての雑誌記事、参考文献、及び特許の引用は、先に言及されたかどうかに関わりなく、本願明細書に参照として組入れられている。
本発明の様々な態様の機能に実質的に影響を及ぼさない修飾も、本願明細書に記された発明の定義に含まれることが理解される。従って下記実施例は、本発明を例証することを意図し、限定するものではない。
実施例1
本実施例は、患者試料由来の代謝被検体及び代謝の指標となる酵素生成物の量の同時決定を説明する。
酵素ビオチニダーゼは、ビオチニダーゼ欠損症と称される代謝障害の公知の代謝の指標となる酵素である。治療されない状態において、新生児の深刻な、ビオチニダーゼ欠損症は典型的には過換気、咽頭喘鳴及び無呼吸を随伴することが多い、痙攣、低血圧、及び発疹のような、神経学的及び皮膚-関連した症状により特徴付けられる。年長の小児も、脱毛、運動失調、発達遅延、神経感覚性聴覚障害、視神経萎縮、及び再発性感染症を有することがある。部分的ビオチニダーゼ欠損症の個人は、特にストレス時に、低血圧、皮膚発疹、及び脱毛を有することがある。一旦検出されると、ビオチニダーゼ欠損症はしばしば、ビオチン投与により治療可能である。
これまで、深刻なビオチニダーゼ欠損症の個体は、平均の正常血清ビオチニダーゼ活性の<10%を有することが確立されている。部分的ビオチニダーゼ欠損症を有する個体は、平均の正常血清ビオチニダーゼ活性の10〜30%を有する。従って正常な参照レベルと比較したビオチニダーゼ活性の低下は、ビオチニダーゼ欠損症の指標であることが理解される。
アシルカルニチン及びα-アミノ酸もアッセイした。血漿アシルカルニチンプロファイルの異なるパターンは、脂肪酸酸化障害(MCAD、VLCAD、SCAD、MAD、LCHAD、及びCPTII)に加え、一部の有機酸血症(プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症、イソ吉草酸血症、1型グルタル酸血症、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症、β-ケトリオラーゼ欠損症など)の診断を示すことができる。血漿アミノ酸分析は、特異的アミノ酸障害、例えばフェニルケトン尿症(PKU)、カエデシロップ尿症(MSUD)、尿素サイクル欠損症、非ケトン性低血糖症及びホモシスチン尿症を検出する。この分析は、最初のスクリーニングとして、振戦に対する全身の機能不全を伴う患者においても指標である。代謝障害の評価に関して、血漿アミノ酸は、年齢を合致させた正常値と比較される。
酵素ビオチニダーゼの活性並びにα-アミノ酸及びアシルカルニチン被検体の量は、下記のように同時に測定した:
紙の上の乾燥血液試料は各々、マイクロウェルプレートのウェルへパンチ孔をあけた。各試料は同位体標識したビオシチン(ビオチニダーゼの基質)を含有する緩衝液50μlで再構成し、この混合物を、42℃で17時間インキュベーションした。次にα-アミノ酸及びアシルカルニチンの、並びにビオチニダーゼ反応の生成物の同位体標識した内部標準を含有するメタノール140μlを添加し、このプレートを27℃で30分間振盪した。このプレートを次に、アルミフォイルで覆い、自動試料採取装置上に配置した。各処理した試料は、タンデム質量分析により分析し、ビオチニダーゼ生成物、内在性α-アミノ酸及び内在性アシルカルニチンの濃度を、内部標準を基に定量した。
表6及び7は、前記方法を用い得たデータを、酵素活性を同時に測定することのない代謝被検体についての周知の質量分析スクリーニング法を用いて得たデータと比較して示している。勾配1は、比較した方法間で同一の結果を示している。
表6:α-アミノ酸(AA)比較:
Figure 2007503818
表7:アシルカルニチン比較:
Figure 2007503818
これらの結果は、前述の方法は、α-アミノ酸及びアシルカルニチンが抽出され及び酵素活性を同時に測定することなく測定される周知の質量分析スクリーニング法と相関するデータを生じることを示している。これらの結果は、前述の方法は、α-アミノ酸及びアシルカルニチンの濃度を同時に測定することなく、タグ付き生成物の蛍光を測定する公知の酵素活性スクリーニング法と相関するデータを生じることも示している。
図1は、本発明の方法を使用する、ビオチニダーゼ活性及び代謝被検体(アミノ酸及びカルニチン)の同時検出を示す。

Claims (57)

  1. 個体における代謝障害を検出する方法であって、
    (a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び
    (ii)1種又は複数の代謝被検体、
    を含有する試料を、該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と、少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用して、少なくとも1種の生成物を生成することが可能である条件下で接触させて、反応混合物を調製する工程、
    (b)該反応混合物を、該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触させて被験試料を調製する工程であって、該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物が、該試薬中に溶解性である工程、及び
    (c)質量分析を用い、該被験試料中に含まれる該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を検出する工程、
    を含み、決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量が、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることを特徴とする方法。
  2. 前記試料が、体液試料である、請求項1記載の方法。
  3. 前記体液試料が、血液である、請求項2記載の方法。
  4. 前記試料が、乾燥している、請求項1記載の方法。
  5. 前記個体が、代謝障害を有することが疑われるヒトである、請求項1記載の方法。
  6. 前記個体が、ネオネートである、請求項1記載の方法。
  7. 前記個体が、新生児である、請求項1記載の方法。
  8. 前記個体が、小児である、請求項1記載の方法。
  9. 前記個体が、成人である、請求項1記載の方法。
  10. 前記代謝障害が、先天性代謝異常である、請求項1記載の方法。
  11. 前記代謝障害が、後天性代謝障害である、請求項1記載の方法。
  12. 前記代謝の指標となる酵素が、酸化還元酵素、加水分解酵素、脱離酵素、転移酵素、連結酵素及び異性化酵素からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  13. 酵素が、加水分解酵素である、請求項12記載の方法。
  14. 酵素が、ビオチニダーゼである、請求項13記載の方法。
  15. 前記基質が、ビオシチンである、請求項14記載の方法。
  16. 前記代謝被検体が、1種又は複数のアミノ酸である、請求項1記載の方法。
  17. 前記代謝被検体が、アシルカルニチン又は複数のアシルカルニチンである、請求項1記載の方法。
  18. 工程(a)が、該試料を、1種又は複数の参照基質と接触することを更に含む、請求項1記載の方法。
  19. 工程(b)が、該試料を1種又は複数の参照生成物と接触することを更に含む、請求項1記載の方法。
  20. 工程(d)が、決定前に、少なくとも1種の生成物に対応する1種又は複数の参照生成物を添加することを更に含む、請求項1記載の方法。
  21. 工程(d)が、決定前に、該試料中に含まれた1種又は複数の代謝被検体に対応する1種又は複数の参照被検体を添加することを更に含む、請求項1記載の方法。
  22. 前記反応混合物が、水性である、請求項1記載の方法。
  23. 前記試薬が、非水性である、請求項22記載の方法。
  24. 前記試薬が、有機溶媒を含む、請求項23記載の方法。
  25. 前記試薬が、アルコールを含む、請求項23記載の方法。
  26. 前記試薬が、メタノールである、請求項25記載の方法。
  27. 前記質量分析が、タンデム質量分析である、請求項1記載の方法。
  28. 個体における代謝障害を検出する方法であって、
    (a) 乾燥状態の1種又は複数の基質を含有する容器を、水溶液中に、
    (i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び
    (ii)1種又は複数の代謝被検体、
    を含有する個体由来の試料と、少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用して、少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で、接触させる工程、
    (b)該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬を添加する工程であって、該1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物が、該試薬中に可溶性である工程、
    (c)質量分析を用い、得られる混合物中の該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程、
    を含み、決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量が、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることを特徴とする方法。
  29. 前記試料が、体液試料である、請求項28記載の方法。
  30. 前記体液試料が、血液である、請求項29記載の方法。
  31. 前記試料が、乾燥している、請求項30記載の方法。
  32. 前記個体が、代謝障害を有することが疑われるヒトである、請求項28記載の方法。
  33. 前記個体が、ネオネートである、請求項28記載の方法。
  34. 前記個体が、新生児である、請求項28記載の方法。
  35. 前記個体が、小児である、請求項28記載の方法。
  36. 前記個体が、成人である、請求項28記載の方法。
  37. 前記代謝障害が、先天性代謝異常である、請求項28記載の方法。
  38. 前記代謝障害が、後天性代謝障害である、請求項28記載の方法。
  39. 前記代謝の指標となる酵素が、酸化還元酵素、加水分解酵素、脱離酵素、転移酵素、連結酵素及び異性化酵素からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
  40. 酵素が、加水分解酵素である、請求項39記載の方法。
  41. 酵素が、ビオチニダーゼである、請求項40記載の方法。
  42. 前記基質が、ビオシチンである、請求項41記載の方法。
  43. 前記代謝被検体が、1種又は複数のアミノ酸である、請求項28記載の方法。
  44. 前記代謝被検体が、アシルカルニチン又は複数のアシルカルニチンである、請求項28記載の方法。
  45. 前記容器が、1種又は複数の参照基質を更に含む、請求項28記載の方法。
  46. 前記容器が、該試料中の1種又は複数の代謝被検体に対応する1種又は複数の参照被検体を更に含む、請求項28記載の方法。
  47. 前記容器が、1種又は複数の参照生成物を更に含む、請求項28記載の方法。
  48. 前記試薬が非水性である、請求項28記載の方法。
  49. 前記試薬が、有機溶媒である、請求項48記載の方法。
  50. 前記試薬が、アルコールを含む、請求項28記載の方法。
  51. 前記アルコールが、メタノールである、請求項50記載の方法。
  52. 前記質量分析が、タンデム質量分析である、請求項28記載の方法。
  53. 前記容器が、マルチ-ウェルプレートのウェルである、請求項28記載の方法。
  54. 個体における代謝障害を検出する方法であって、
    (a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び
    (ii)1種又は複数の代謝被検体、
    を含有する試料を、該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と、少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用して、少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で接触させて、反応混合物を調製する工程、
    (b)該反応混合物を、該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触させて、被験試料を調製する工程であって、該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物が、該試薬中に溶解性である工程、
    (c)該反応混合物を、1種又は複数の参照生成物及び1種又は複数の参照被検体と接触させる工程、及び
    (d)質量分析を用い、該被験試料中に含まれた該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を、該1種又は複数の参照生成物及び1種又は複数の参照被検体に関して決定する工程、
    を含み、決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量が、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることを特徴とする方法。
  55. 個体における代謝障害を検出する方法であって、
    (a)(i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び
    (ii)1種又は複数の代謝被検体、
    を含有する試料を、2つの試料部分へ分離する工程、
    (b)各試料部分を、該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質と、各試料部分中の少なくとも1種の該酵素が、対応する基質に作用して、少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で接触させて、2つの反応混合物を調製する工程、
    (c)各反応混合物を、該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触させて、被験試料を調製する工程であって、該試薬が、各反応混合物について同じ又は異なることができ、該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物が、該試薬又は試薬類中に可溶性である工程、
    (d)2つの反応混合物を一緒にして、被験試料を調製する工程、並びに
    (e)質量分析を用い、該被験試料中に含まれた該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程、
    を含み、決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量が、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることを特徴とする方法。
  56. 個体における代謝障害を検出する方法であって、
    (a) (i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び
    (ii)1種又は複数の代謝被検体試料、
    を2つの試料部分へ分離する工程、
    (b)各試料部分を、個別の容器と接触させる工程であって、各容器が、乾燥形態で該1種又は複数の酵素の1種又は複数の基質を含有する工程、
    (c)各容器を溶液と、各試料部分中の少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用して、少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件下で接触させて、2つの反応混合物を調製する工程、
    (d)各反応混合物を、該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬と接触させて、被験試料を調製する工程であって、該試薬が各反応混合物と同じ又は異なることができ、かつ該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物が、該試薬又は試薬類中に可溶性である工程、
    (e)2つの反応混合物を一緒にして、被験試料を作成する工程、及び
    (f)質量分析を用い、該被験試料中に含まれた該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程、
    を含み、決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量が、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることを特徴とする方法。
  57. 個体における代謝障害を検出する方法であって、
    (a)乾燥形態で1種又は複数の基質を含有する容器を、
    (i)1種又は複数の代謝の指標となる酵素、及び
    (ii)1種又は複数の代謝被検体、
    を含有する個体由来の試料と接触させる工程、
    (b)該容器を、溶液と、少なくとも1種の該酵素が対応する基質に作用して、少なくとも1種の生成物を生成することが可能な条件を生じるように接触させる工程、
    (c)該1種又は複数の酵素が対応する基質に作用する能力を阻害する試薬を添加する工程であって、該1種又は複数の代謝被検体及び少なくとも1種の生成物が、該試薬中に可溶性である工程、
    (d)質量分析を用い、得られる混合物中の該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量を決定する工程、
    を含み、決定された該1種又は複数の代謝被検体及び該少なくとも1種の生成物の存在又は量が、該代謝障害の存在又は非存在に相関していることを特徴とする方法。
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