JP2007502943A - 金属平形ガスケット - Google Patents

Abstract

少なくとも１つの貫通孔２を有する少なくとも１つの機能層４と、機能層４を少なくとも部分的に覆う少なくとも１つの補償層５および／または被覆層８とで構成され、機能層４は、ガスケット１が取り付けられていない状態のとき、少なくとも貫通孔２の領域に少なくとも１つの異形断面体７，９，１２が付属する平坦な薄板部品として構成されており、この異形断面体によって、ガスケット１が取り付けられた状態のとき、機能層４の変形によって少なくとも１つの弾性的に作用する封止領域１５を形成可能である、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケット。

Description

本発明は、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットに関する。

鋼材でできているシリンダヘッドガスケットでは、通常、圧縮力が強まる線状の領域によって密閉能力が発揮される。通常、フルビード、ハーフビード、ストッパ、可塑性ストッパなどの機能部材が圧縮線を形成する。封止機能を実現するために、機能部材は、残りのシール面の厚さを超える一定の突出部を必要とする。さらに、密閉間隙が弾性作用で広がった場合にこれに追随できるようにするために、ある程度のスプリングバック能力が必要である。このようなビードを設けることは、シール部が作成されるまでの待機時間が長びく原因となることが多い、高い工具コストを必要とする。

欧州特許出願明細書ＥＰ-Ｂ０３６９０３３によって、金属平形ガスケットが公知となっている。この金属平形ガスケットは、少なくとも１つの開口部を備え、２つの平行で平坦な端面を有する個々のベースプレートを含んでいる。貫通孔の領域で、形態の異なる封止材料が両方の端面に装着される。これらの封止材料には、封止材料よりも少ない軸方向高さを有する基板を貫通孔側で付属させることができる。このような封止材料によって、取付状態でそれぞれの封止領域の間に歪みが生じたとき、ベースプレートの変形が起こるようにすることが意図されている。同明細書には単層の金属ガスケットが記載されているにすぎず、装着される封止材料は使用される金属よりも軟質なので、期待されている金属層の変形という効果が封止部材の領域に実際にどの程度まで生じるのか疑問である。

本発明の目的は、製造コストを減らすことができ、それと同時に、変形領域で、所与の弾性に加えて予め設定可能な復帰能力も与えられていることが望ましい、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットを改良することである。

この目的は、少なくとも１つの貫通孔を有する少なくとも１つの機能層(Funktionslage)
と、機能層を少なくとも部分的に覆う少なくとも１つの補償層(Ausgleichslage)および／または被覆層とで構成され、機能層は、ガスケットが取り付けられていない状態のとき、少なくとも貫通孔の領域で少なくとも１つの異形（特定）断面体(Profilkoerper)が付属する平坦な薄板部品として構成されており、この異形断面体によって、ガスケットが取り付けられた状態のとき、機能層の変形によって少なくとも１つの封止領域を形成可能である内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットによって達成される。

本発明の対象物の有利な発展例は従属請求項に記載されている。

本発明の別の思想によれば、異形断面体は非圧縮性材料でできている。この場合には金属またはプラスチックが好適である。

本発明の対象物によって多層の平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットが提供され、製造時に、通常であれば行われる機能層へのビードの取付が不要となり、したがって、工具コストと製造時間を大幅に削減することができる。本発明の対象物によって、多層の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットにおいて、ほぼどのような実際上の用途にも有用な数多くの設計形態を実現することが可能となる。

取付前には平坦である１つまたは複数の機能層は、たとえば両面に補償層を備えている。補償層は機能層を完全にではなく、所望の圧縮線の側でのみ覆う。このような構成の結果として、機能層は組立工程によって圧縮されてビード(Sicke)に類似する形状（ハーフビード／フルビード）となる。ただしこの場合、このビードは元の平坦な状態に戻るように変形しようとしており、すなわち弾性と復帰能力を示す。

機能層にばね鋼が用いられることによって、このような方策をいっそう促進することができる。

それぞれの補償層は厚さが異なっていてよく、たとえば１つの補償層がストッパの機能を担うことができる。さらに、複数の補償層が機能層の一方の面に配置されていてよく、他方の面の補償層に対する、もしくは場合によって存在している他の機能層に対するオフセットが守られる。

装着される補償層に代えて、適切な方法で異形断面が設けられた被覆層を設けることもできる。補償層と被覆層を組み合わせることも、同じく考えられる。

次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。

図１は、本例では２つの貫通孔２と複数の貫通ネジ穴３とを含むシリンダヘッドガスケット１を示している。このシリンダヘッドガスケット１は、以下の図面に示すように多層で構成されており、多種多様な構造形式が与えられていてよい。

図２から図１０はこのような種々の構造形態を示しており、それぞれ図１のＡ−Ａ線に沿った断面図として示されている。

図２は、機能層４と、補償層５と、異形断面体を構成する折り返されたストッパ部材７を備える、貫通孔２の領域に設けられた金属リング部材６とを示している。機能層４はばね鋼で製作されている。補償層５は、ストッパ部材７と反対を向いているほうの機能層４の面４’に設けられている。

図２ａは、図２のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。層４，５，６が圧縮される結果、ストッパ７は補償層５とともに機能層４の変形を引き起こし、この変形によって、弾性的に作用する封止領域１５がハーフビードの形態で形成される。

図３は変形例を示しており、すなわち機能層４と、補償層５と、機能層４に装着された、異形断面体を構成するプラスチックからなるストッパ部材７とを示している。この場合にも補償層５は、ストッパ部材７と反対を向いているほうの機能層４の面４’に配置されている。

図３ａは、図３のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。層４および５が圧縮される結果、ストッパ７は補償層５とともに機能層４の変形を引き起こし、この変形によって、弾性的に作用する封止領域１５が同じくハーフビードの形態で形成される。

図４は、２つの機能層４と、ストッパ部材７を含むリング部材６と、異形断面を形成するストッパ部材７の範囲外の領域に配置された２つの補償層５とを示している。

図４ａは、図３のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。２つの機能層４と２つの補償層５が圧縮される結果、ストッパ７は２つの補償層５とともに機能層４の変形を引き起こし、この変形によって、弾性的に作用する封止領域１５が形成される。

図５には、補償層５を備える同じく２つの機能層４と、それぞれの機能層４の間に設けられた、異形断面体を構成するストッパ部材７とが示されている。

図５ａは、図５のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。２つの機能層４と２つの補償層５が圧縮される結果、異形断面体を構成するストッパ７は２つの補償層５とともに機能層４の変形を引き起こし、この変形によって、弾性的に作用する封止領域１５が形成される。

図６はさらに別の変形例を示している。機能層４と、補償層５と、被覆層８と、すでに図２および図４のところで言及したストッパ部材７を含む金属リング部材６とが設けられている。本例では被覆層８は、ストッパ部材７と補償層５の間に設けられた切欠き１０と向かい合う異形断面体９を機能層側に有している。

図６ａは、図６のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。機能層４、補償層５、異形断面体９を備える被覆層８、およびストッパ部材７を備えるリング部材６が圧縮されると、ばね鋼からなる機能層４は、本例ではフルビードとして構成される、ビード状に構成されて弾性的に作用する封止領域１５を形成しながら、リング部材６の方向へ押圧される。

図７は、機能層４と、補償層５と、被覆層８と、ストッパ部材７とを示している。さらに、被覆層８には異形断面体９が設けられている。

図７ａは、図７のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。機能層４、補償層５、および被覆層８が圧縮される結果、被覆層に設けられた異形断面体９、ストッパ部材７、および補償層５が機能層４の変形を引き起こし、この変形によって、弾性的に作用する封止領域１５が形成される。

図８は、機能層４と、補償層５と、被覆層８と、ストッパ部材７とを示している。図７とは異なり、異形断面体９はここでは別個の部品として被覆層８と結合されている。

図８ａは、図８のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。機能層４、補償層５、および被覆層８が圧縮される結果、異形断面体９、ストッパ部材７、および補償層５が機能層４の変形を引き起こし、この変形によって、弾性的に作用する封止領域１５が形成される。

図９は、１つの機能層４と２つの被覆層８を示している。機能層４は、取り付けられていない状態では、平坦なばね鋼部材として構成されている。下側の被覆層８は溝１１を有しているのに対して、上側の被覆層８は、この溝１１と向かい合う一体化された異形断面体１２を備えている。

図９ａは、図９のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。機能層４および２つの被覆層８が圧縮されると、溝１１と異形断面体１２の領域で機能層４の材料変形が起こり、それによって弾性的な封止領域１５が形成される。

さらに別の変形例が図１０に示されている。この場合にも、１つの機能層４と２つの被覆層８が設けられている。下側の被覆層８は相前後して位置する複数の切欠き１１を備えており、それに対して上側の被覆層８は、それぞれの切欠き１１と向かい合う一体化された異形断面体１２を備えている。

図１０ａは、図１０のシリンダヘッドガスケット１がシリンダブロック１３とシリンダヘッド１４の間で圧縮された状態を示している。ばね鋼からなる機能層４の変形が図９ａと同様に起こり、それより、この場合にも弾性的な封止領域１５が形成される。

シリンダヘッドガスケットを示す平面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダヘッドガスケットの設計形態を示す、図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図２に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図３に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図４に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図５に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図６に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図７に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図８に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、図９に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。 シリンダブロックとシリンダヘッドの間で圧縮された状態にある、１０に示すシリンダヘッドガスケットの設計形態の取付状況を示す図である。

符号の説明

１ シリンダヘッドガスケット
２ 貫通孔
３ 貫通ネジ穴
４ 機能層
４’ 面
５ 補償層
６ リング部材
７ ストッパ部材
８ 被覆層
９ 異形断面体
１０ 切欠き
１１ 溝
１２ 異形断面体
１３ シリンダブロック
１４ シリンダヘッド

Claims (12)

1. 少なくとも１つの貫通孔（２）を有する少なくとも１つの機能層（４）と、前記機能層（４）を少なくとも部分的に覆う少なくとも１つの補償層（５）および／または被覆層（８）とで構成され、前記機能層（４）は、ガスケット（１）が取り付けられていない状態のとき、少なくとも前記貫通孔（２）の領域に少なくとも１つの異形断面体（７，９，１２）が付属する平坦な薄板部品として構成されており、この異形断面体によって、前記ガスケット（１）が取り付けられた状態のとき、前記機能層（４）の変形によって弾性的に作用する少なくとも１つの封止領域（１５）を形成可能である、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットにおいて、前記異形断面体（７）はストッパ部材によって構成されており、前記ストッパ部材（７）と反対を向いているほうの前記機能層（４）の面（４’）の領域に少なくとも１つの補償層（５）が配置されていることを特徴とする、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケット。
2. 前記異形断面体（７，９，１２）が非圧縮性材料でできていることを特徴とする、請求項１に記載の平形ガスケット。
3. 前記異形断面体（７，９，１２）が金属でできていることを特徴とする、請求項１または２に記載の平形ガスケット。
4. 前記異形断面体（７，９，１２）がプラスチックでできていることを特徴とする、請求項１または２に記載の平形ガスケット。
5. 前記ストッパ部材（７）が別個のリング部材（６）によって構成されていることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。
6. 前記ストッパ部材（７）がリング部材（６）を折り返すことによって製作されていることを特徴とする、請求項１から５までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。
7. 前記ストッパ部材（７）が２つの機能層（４）の間に保持されており、前記ストッパ部材（７）と反対を向いているほうの前記機能層（４）の面（４’）にそれぞれ少なくとも１つの補償層（５）が配置されていることを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。
8. 前記異形断面（９，１２）が少なくとも１つの補償層（５）および／または被覆層（８）に機能層側で設けられており、前記ガスケット（１）が取り付けられた状態のとき、前記機能層（４）の変形によって相応の弾性的な封止領域（１５）を前記機能層（４）に形成可能であることを特徴とする、請求項１から７までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。
9. 前記異形断面（９，１２）が、それぞれの機能層（４）に少なくとも１つのハーフビード状に構成された領域を形成可能な輪郭を有していることを特徴とする、請求項１から８までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。
10. 前記異形断面（９，１２）が、それぞれの機能層（４）に少なくとも１つのフルビード状に構成された領域を形成可能な輪郭を有していることを特徴とする、請求項１から９までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。
11. 少なくとも１つの貫通孔（２）を有する少なくとも１つの機能層（４）と、前記機能層（４）を少なくとも部分的に覆う少なくとも１つの補償層（５）および／または被覆層（８）とで構成され、前記機能層（４）は、ガスケット（１）が取り付けられていない状態のとき、少なくとも前記貫通孔（２）の領域で少なくとも１つの異形断面体（７，９，１２）が付属する平坦な薄板部品として構成されており、この異形断面体によって、前記ガスケット（１）が取り付けられた状態のとき、前記機能層（４）の変形によって弾性的に作用する少なくとも１つの封止領域（１５）を形成可能であり、互いに向かい合う補償層（５）および／または被覆層（８）に、それぞれ異形断面（９，１２）を形成する少なくとも１つの隆起部と、これにそれぞれ付属する少なくとも１つの切欠き（１０，１１）とが設けられており、その間に設けられた当初は平坦な前記機能層（４）は取付状態のとき少なくともこの領域で弾性的な封止領域（１５）を形成しながら変形可能である、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケットにおいて、それぞれの前記機能層（４）が前記ストッパ部材（７）の平面に少なくとも１つの補償層（５）を有していることを特徴とする、内燃機関用の金属平形ガスケット、特にシリンダヘッドガスケット。
12. 前記機能層（４）がばね鋼でできていることを特徴とする、請求項１から１１までのいずれか１項に記載の平形ガスケット。

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