JP2007501850A - 作用物質のデリバリーのための注射可能なリポソーム式デポー製剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、哺乳動物体内での長期持続的な放出および効果を可能にする、ペプチド系、タンパク質系およびオリゴヌクレオチド系の作用物質のための注射可能なデポー製剤の製造用リポソーム製剤に関する。

Description

本発明は、作用物質の遅延放出のためのリポソーム式輸送システムおよび基礎研究および診療における当システムの使用に関する。
ペプチド系およびタンパク質系の作用物質は、投与後体内で非常に迅速に分解されるか、または排泄されるので、反復注射によって投与しなければならない。「患者コンプライアンス」を高めるには、体内の作用物質の分解を防ぎ、それを血液へ緩やかに放出させる適当なデリバリー・システムが必要である。それには、皮下注射または筋肉注射される、あるいはインプラントされるデポーシステムが使用される。リポソームはそのような運搬システムの、可能な1つの形態である。それは単一または複数のリピド二重層から構成されていて、その内部に水コンパートメントを包含しており、そこには水溶性物質を閉じ込めることができる。リピド二重層には脂肪性物質を取込むことができる。
J. Controll. Rel.第64号(2000年)155〜166ページ、US 5766627およびその他本著者執筆の文献に、インスリン、ロイプロライドおよびエンケファリン用の注射可能なデポーシステムとして、二重エマルジョン化法によって調製した、リポソームから成る多重小胞状の集合体が紹介されている。非極性のトリグリセリドが添加されているので、多中心性のこの集合体は、狭義ではリポソームと解釈することはできない。その理由は、トリグリセリドは二重層膜を形成せず、またそのようなものに組み込まれもしないからである。さらに、構造の形成に、水と混合できない油相が利用されているのも欠点である。特に、比較的大きなタンパク質を取込んだ際には、それが界面における変性を誘起する。同様に、有機溶剤が残ることも過小に見積ることのできない調製上の問題である。
最新技術ではデポーシステムには、中性、アニオン性またはPEG系のリピドから構成されるリポソームが使用されている。例えば、WO 9920301ではγインターフェロンのデポーに、Diabetes第31号(1982年)、506〜511ページではインスリンのデポーに、さらには、Proc. Natl. Acad. Sci.第88号(1991年)、10440〜10444ページではワクチン接種に用いられている。
BBA 1328(1997年)、261〜272ページではEi-PC、Ei-PG、DPPC、DPPG、PSおよびコレステロールから成る様々なリポソームシステム(単層および多層)が、リンパ系への吸収、および皮下投与後の生体内分布の観点から研究されている。Review-Artikel Advanced Drug Delivery Reviews第50号(2001年)、143〜156ページに、この研究の続稿が掲載されている。そこでは、比較的小さなリポソーム(<150nm)が皮下デポー位置からリンパへ移行するのが示されている。
最新技術では、中性および負荷電のリポソームがリポソーム・デポーシステムに使用されている。リポソームは、リンパへの移行をさせないためには、最小限の大きさを有していなければならない。
しかし、150 nmを明かに越える大きなリポソームの調製は技術上および調整上の困難が伴う。特に、実施が望まれる粒子の滅菌濾過は調製後ではもはや不可能である。
ペプチドおよびタンパク質と並びオリゴヌクレオチドも体内酵素によって極めて迅速に分解される。これらの作用物質は通例、静脈内注射により高用量で投与されるが、それでも反復投与しなければならないことがしばしばある。したがって、「患者コンプライアンス」の改善には、および用量の引き下げを可能にするには、体内で作用物質の分解を防ぎ、常にゆっくりと時間をかけて放出させる適当なデリバリーシステムが必要である。
今日では殆どの場合、投与後における作用物質の細胞内輸送を支援するデリバリーシステムが使用されている。それには、リポソームシステム、ポリマーベースシステム(例えばPEI)およびウイルスキャリアが数え上げられる。これらの細胞内デリバリー・ストラテジーは作用物質用量の減少をもたらし得る。もちろん、注射回数の減少は達成できない。
オリゴヌクレオチド投与のもう1つの可能性は、局部に施用して作用物質を一定時間に亘り均等に遊離させるデポーシステムである。このデリバリーストラテジーは作用物質の細胞内デリバリーを必ずしも支援するものではなくて、むしろ血液中または組織中の作用物質含量を所定時間に亘り一定状態に保つ作用をする。それによって注射頻度を減らすことができ、その上、作用物質濃度が維持されることから用量の削減も可能である。
生体適合性のあるポリマーからのマイクロまたはナノ単位の粒子が、そのようなデポーシステムの可能な形態である。US 6,555,525には、白血病モデルマウスに皮下注射した場合のアンチセンスオリゴヌクレオチドのPLGAマイクロカプセルからの遅延放出のことが記述されている。PLGAをベースとするマイクロカプセルまたはナノカプセルからのオリゴヌクレオチドの遅延放出については、他の多くの出版物にも同様に記述されている(例えば、J. Drug Target. 5(4)、291〜302ページ(1998年) ; Gene Ther. 9(23)、1607〜1616ページ(2002年) ; Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 9(5)、451〜458ページ(1999年)、J. Control. Release 37、173〜183ページ(1995年))。
さらに別の出版物には、別のポリマーをベースとした核酸デリバリーシステムのことが記述されている。 A companion to Methods in Enymology 第18号の286〜295ページ(1999年)の方法の著者は、例えば、記述しているポリヘキシルシアノアクリレート・ナノ粒子について、オリゴヌクレオチド用デポーシステムとしての適用可能性を指摘している。
ポリマーからのマイクロ粒子またはナノ粒子はその製造過程に欠点がある。これらの場合その殆どにおいて、水と混合し得ない有機溶剤の使用下でエマルジョン過程が適用されねばならない。その溶剤は過程の終了後には完全に除去されねばならない。そのため、これは軽視し得ない調製上の問題になる。その上、PLGAカプセルの加水分解時にはカプセル内部が非常に低いpH値になって、そのため、閉じ込められている作用物質の無傷性が損なわれることがある。そのようなものとして、プリン塩基は、低pH値では加水分解によって核酸基盤から除去されることが知られている。
リポソームも同様に、オリゴヌクレオチド用担体システムの可能な1形態である。多数の出版物が、オリゴヌクレオチドの生体内デリバリーのための、殆どがカチオン性である、リポソームシステムの適用のことを採り上げている(例えば、Molecular Membrane Biology第16号、129〜140ページ(1999年) ; BBA 1464号、251〜261ページ(2000年) ; Reviews in Biology and Biotechnology第1巻(2)27〜33ページ(2001年))。しかし、使用されているリピド混合物が、例えばDOTAPまたはDOPEのような不飽和リピドから構成されており、その理由から血清中で安定でないという事実は、これらすべてのシステムに共通している。 そのことに起因して、これらのリポソームは封入された作用物質を注射後非常に短時間で放出させる。上記の使用時には、予め調製したリポソームと核酸との錯合体(例えば、リポプレックス)が調製されることもしばしばある。錯合体の形成により、または殆どの場合血清中で安定でないリポソーム組成物により、オリゴヌクレオチドの安定性はデポーに必要な比較的長い期間に亘っては保証されないという結果になる。
以上より、本発明の課題は、少なくとも1週間に亘る作用物質の長期持続性放出を達成し、生体内で良好な適合性を示す、タンパク質系、ペプチド系作用物質用の、およびオリゴヌクレオチド用の安定なリポソーム式新型デポー組成物を提供することであった。もう1つの課題は、作用物質の「破裂的放出」を起こさないデポーシステム、あるいは治療上の指示に従って、初期段階での作用物質の迅速な部分的放出を達成し、それに続き長期的な持続性遊離の追従するデポーシステムの提供であった。
この技術的課題は、特に作用物質の遅延性放出のためのデポーシステムによって解消される。ただし、デポーシステムはDMPC、DPPCおよび/またはDSPC群より選択された飽和状の合成フォスファチジルコリンを含むリポソーム(a)、含有成分35〜50モル%のコレステロール(b)、DC-Chol、DAC-Chol、DMTAP、DPTAPおよび/またはDOTAP群より選択された、リポソーム膜成分5〜20モル%のカチオン性リピド(c)およびタンパク質系および/またはペプチド系作用物質(d)を含んでおり、その場合デポーとしての適用ではリポソーム中の作用物質は集合体の形態を取る。そのようなリポソームは、好ましくは、中性リピドのほかにカチオン性リピドも含んでいる。
正荷電リポソームは、例えば血清または間質液の成分と良好に凝集し、穿刺位置にその状態のまま留まっている。したがって、有利なことに、デポー製剤の穿刺位置からの離脱、拡散は回避される。
デポー製剤は本質的に破裂的放出ができるように、またはできないように作ることができる。破裂的放出のないデポー製剤は、リポソームの外側に付着する作用物質を剥して除去することによって調製することができる。破裂的放出が有利な場合では、リポソームの外側に付着する作用物質を剥して除去することはしない。
デポーシステムのリポソーム内への作用物質、特に水溶性作用物質の封入に関しては熟練した技術を有する当業者には様々な方法が知られている。目的の作用物質をリポソームへ封入するには、これを例えば緩衝溶液に溶かし、次にそれを用いてリポソームを調製する。いわゆる受動的封入の場合では、形成されたリポソームによって取り囲まれた相対体積が重要である。受動的封入の場合、封入効率はリピド濃度の増加と共に上昇する。それは、リピド二重層によって取り囲まれた液体体積が増すからである。
本出願の教示は多くの長所を有している。上記の課題に対して使用されてきた、中性荷電/負荷電のリポソームまたはポリマーのマイクロ粒子およびナノ粒子はこれ迄に公知になっている。
本発明に基づくリポソームは血清成分および間質液成分と共に凝集する。それによりデポー製剤は穿刺位置に留まるので、例えばリンパへの移行が妨げられる。本発明に基づくリピド組成には飽和状の基質リピドが含まれている。そのことが、凝集状態にあってもリポソームの無傷性に寄与し、作用物質の保護の改善またはデポー期間の延長に役立っている。調製過程は、完全に除去するのが困難であるか、または作用物質(タンパク質)を損うため調整上の問題を惹き起こすことのある、水と混合し得ない有機溶剤を使用せずに済ませることができる。ポリマーからのマイクロ粒子およびナノ粒子の場合のように作用物質に損傷を与えることのある分解生成物(PLGAカプセル分解時の酸性反応)は生じない。治療上の要求事項および作用物質に依存して、破裂的放出の有無によりデポーシステムの特性を可変できる。
本発明の好ましい実施態様の1つでは、中性およびカチオン性のリピドから構成されるリポソームが、広範囲のモル質量の治療用ペプチドおよびタンパク質の遅延放出のためのリポソーム式デポーシステムとして使用されている。J. Pharm. Sci. 第89巻(3)、297〜310ページ(2000年)には、広範囲の分子サイズのペプチドおよびタンパク質の皮下投与後における絶対的生物的利用性のことが記述されている。そこでは、モル質量の増加による生体的利用性の重大な低下は観察されていない。
治療用のペプチドおよびタンパク質は生体内では非常に迅速に分解するので、これらは反復注射によって投与しなければならない。本発明の実施にとって重要なペプチドおよびタンパク質、それらの類似物、関連ペプチド、フラグメント、阻害剤および拮抗薬は次のとおりである。
トランスフォーミング増殖因子(TGFアルファ、TGFベータ)、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3)、インターフェロン(IFNアルファ、IFNベータ、IFNガンマ)、カルシトニン、インスリン様増殖因子(IGF-1、IGF-2)、副甲状腺ホルモン、顆粒球刺激因子(GCSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(GMCSF)、マクロファージ刺激因子(MCSF)、エリスロポエチン、インスリン、アミリン、グルカゴン、リポコルチン、成長ホルモン、ソマトスタチン、アンギオスタチン、エンドスタチン、オクトレオチド、ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および酢酸ロイプロリド、ブセレリン、ゴセレリン、トリプトレリンのような有効な作動物質、血小板誘導増殖因子、血液凝固因子(例えば、第VIII因子、第IX因子)、トロンボプラスチン・アクチベータ、組織プラスミノーゲン・アクチベータ、ストレプトキナーゼ、バソプレシン、ムラミルジペプチド(MDP)、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、ボンベシン、エンケファリン、エンフビルチド、血管活性腸ペプチド(VIP)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、成長ホルモン放出ホルモン(GRH)、骨形態形成タンパク質(BMP)、抗体および抗体フラグメント(例えば、scFvフラグメント、Fabフラグメント)、ペプチドTおよびペプチドTアミド、ヘルペスウイルス阻害剤、ウイルス複製阻害因子、抗原および抗原フラグメント、可溶性CD4、ACTHおよびフラグメント、アンギオテンシンおよびACE阻害剤、ブラディキニン(BK)、悪性高カルシウム血症因子(PTH様アデニル酸シクラーゼ刺激タンパク質)、ベータカソモルフィン、化学走性ペプチドおよび阻害剤、コルチコトルピン放出因子(CRF)、カエルレリン、コレシストキニン+フラグメントおよび類似物、ガラニン、消化管抑制ポリペプチド(GIP)、ガストリン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、モチリン、PHIペプチド、PHMペプチド、ペプチドYY、セクレチン、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)、ニューロペプチドY(NPY)、ニューロメジン、ニューロペプチドK、ニューロテンシン、燐酸塩受容体ペプチド(c-AMPプロテインキナーゼ物質)、オキシトシン、サブスタンスP、TRH − およびこれらの物質のフラグメント、類似物および誘導体。
本発明に基づくリポソーム式デポー製剤用のもう1つの好ましい作用物質群はオリゴヌクレオチドである。本発明のこの実施に重要なオリゴヌクレオチドは、5〜100、好ましくは5〜40、特に好ましくは10〜25のヌクレオチドまたは塩基対から構成されている。オリゴヌクレオチドは、更に単鎖(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、二重鎖(例えば、siRNA、デコイ・オリゴヌクレオチド)、または複合褶曲形態(例えば、アプタマー、シュピーゲルマー、リボザイム)を取ることもできる。本発明にとって重要なオリゴヌクレオチドはすべて、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドから、およびそれらの化学的修飾体から構成されている(例えば、ホスホロチオ酸DNA(PS)、2’-O-メチルRNA(OMe)、2’-O-メトキシ-エチル RNA(MOE)、ペプチド核酸(PNA)、N3’-P5’ホスホロアミド酸塩(NP)、2’-フルオロアラビノ核酸(FANA)、ロックト核酸(LNA)、モルフォリノアミン酸燐(MF)、シクロヘキサン核酸(CeNA)、トリシクロDNA(tcDNA))。そのほか、様々なヌクレオチドのコポリマーおよびブロック・コポリマーおよびいわゆるギャップをリポソームに封入することができる。
本発明の有利な実施態様の1つにおいては、アプタマーまたはシュピーゲルマーがリポソーム式デポー製剤に封入される。アプタマーはDNAまたはRNAをベースとする、複雑な3次元構造を持つオリゴヌクレオチドである。アプタマーはこのような構造であるため、標的タンパク質に対して極めて特異的な高親和結合をすることができ、それにより殆どは細胞外での治療効果を示す。その機能は単クローン抗体とほぼ同一である。
シュピーゲルマーはD-オリゴヌクレオチドとは異なり、L-リボースおよびL-2’-デオキシリボースの単位から構成されている。これらの鏡像型核酸は、アプタマーと全く同様に標的タンパク質に特異的結合をする。シュピーゲルマーはキラール逆位なので、従来型のD-オリゴヌクレオチドとは異なり、酵素分解に対して高い安定性を有している。
以上のほか、次の作用物質群に含まれる水溶性の作用物質または水溶性作用物質誘導体も本発明に関連している。 抗生物質(例えば、リファマイシンSV ナトリウム塩、リファンピシン、塩化水素酸テトラシクリン、カナマイシン、ペニシリンG、アンピシリン、ノボビオシン)、抗真菌剤(例えば、アンポテリシンB、フルシトシン)、細胞増殖抑制剤(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンクリスチン、シタラビン)、グルココルチコイド(デキタメタソン、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン、ベータメタゾン)。
上記の作用物質群のほかに、例えばヘパリンまたはヒアルロン酸のような炭水化物も本発明に関連する作用物質分子になる。リポソーム内部への組み込みが難しい膜タンパク質は、本発明の意味では好ましい作用物質ではない。
リポソーム形成体としては、膜形成性および膜を構成しているリピドが使用可能である。その場合、天然原料または合成原料のいずれも可能である。具体的には、これに属するものとしては、コレステロールおよびその誘導体、フォスファチジルクロリン、中性リピドとしてのフォスファチジルエタノールアミンがある。特に優先的に使用されるのは、例えばフォスファチジルクロリンのジミリストイル、ジパルミトイルまたはジステアロイル誘導体(DMPC、DPPC、DSPC)およびフォスファチジルエタノールアミンの同誘導体など、この種属の完全飽和化合物である。
本発明の実施に用いられるカチオン性リピドは、例えば次のものである :
DAC-Chol
3-β-[N-(N, N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、
DC-Chol
3-β-[N-(N’, N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、
TC-Chol
3-β-[N-(N’,N’, N’-トリメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、
BGSC
ビス-グアニジニウム-スペルミジン-コレステロール、
BGTC
ビス-グアニジニウム-トレン-コレステロール、
DOTAP
(1,2-ジオレオイルオキシプロピル)-N,N,N-塩化トリメチルアンモニウム、
DOSPER
(1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシ-スペルミル)-プロピルアミド)、
DOTMA
(1,2-ジオレオイルオキシプロピル)-N,N,N-塩化トリメチルアンモニウム)(Lipofectin 商標)、
DORIE
(1,2-ジオレオイルオキシプロピル)-3-臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム)、
DOSC
(1,2-ジオレオイル-3-サクシニル-スン-グリセルコリンエステル)、
DOGSDSO
(1,2-ジオレオイル-スン-グリセロ-3-サクシニル-2ヒドロキシエチル・ジサルファイドオルニチン)、
DDAB
臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、
DOGS ((C18)2GlySper3+)
N,N-ジオクタデシルアミド-グリシル-スペルミン(Transfectam 商標)、
(C18)2Gly+
N,N-ジオクタデシルアミド-グリシン、
DOEPC
1,2-ジオレオイル-スン-グリセロ-3-エチルフォスフォコリンまたはその他のO-アルキル-フォスファチジルコリンまたは-エタノールアミン、
1,3-ビス-(1,2-ビス テトラデシルオキシ-プロピル-3 臭化ジメチルエトキシアンモニウム)プロパン-2-オール(Neophectin 商標)
および不飽和の脂肪酸鎖および/または脂肪族アルコール鎖を持つ上記すべてのリピッドからの、ジミリストイル鎖、ジパルミトイル鎖またはジステアロイル鎖による飽和誘導体。
本発明の実施にとって好ましいカチオン性リピドは、コレステリル3β-N-(ジメチル-アミノエチル)カルバミン酸塩(DC-Chol)、3-β-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DAC-Chol)、(N-[1-(2,3-ジミリストイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩(DMTAP)、(N-[1-(2,3-ジパルミトイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩(DPTAP)、(N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩(DOTAP)を含んでいる。
特に好ましい組成の1つでは、DMPC、DPPCまたはDSPC、コレステリン、カチオン性リピドDC-Chol、DAC-Chol、DMTAP、DPTAPまたはDOTAPが使用されている。そのなかでも特に好ましいのは、カチオン性リピドの成分が5〜20モル%、コレステロールの成分が35〜50モル%の場合である。
本発明のまた別な有利な実施態様では、WO 02 066490およびUS 5965434に典型的な例として開示されているような、pHに敏感なカチオン性リピドが使用されている。そのようなリピドを含むリポソームは、pHの切換によって中性荷電状態にすることができ、それにより、外側に付着する作用物質を製造過程の間で簡単に除去させることが可能になる。pHに敏感なカチオン性化合物は、例えば次のとおりである。
ヒスタミニル-コレステロールへミサクシネート(His-Chol)、
モルホリン-N-エチルアミノ-コレステロールへミサクシネート(Mo-Chol)、
4-(2,3-ビス-パルミトイルオキシ-プロピル)-1-メチル-1H-イミダゾール(DPIM)、
コレステロール-(3-イミダゾール-1-イル プロピル)カルバメート(CHIM)
本発明に基づくリポソームのサイズは20〜1000 nmの間にあるが、好ましくは50〜800 nm、特に好ましくは50〜300 nmとする。
リポソームの製造には、ポリカーボネート膜を通しての押出し法、エタノール注入法または高圧ホモジナイズ法のような、現状技術レベルで確立された方法が使用される。
受動的封入法は、溶解性の良好な作用物質を多量に封入する場合に優先的に使用される。その場合では、30〜150 mM、好ましくは50〜120 mM、特に好ましくは80〜110 mMのリピド濃度を持つリポソームが、溶解した作用物質の存在下で製造される。
水溶性作用物質を封入するもう1つの方法はいわゆる「アドバンスト・ローディング」法であり、これは、本発明の開示内容にも取り入れられているWO 01/34115 A2の明細書に記述されている方法である。この方法は高い封入効率を可能にする。当方法は、作用物質をできる限り低コストでリポソームに封入すべき場合に優先的に使用される。作用物質と膜形成性物質間の相互作用に依拠するこの方法の場合、低イオン強度で、且つカチオン性のリポソーム膜と可逆的な静電相互作用が行われるように作用物質がアニオン荷電の状態にあるpH値で作業される。
多くのタンパク質またはペプチドにとっては、これは生理的条件において、すなわちpH値7〜8の場合に該当する。所与のpH値における作用物質の荷電についてはデータバンク、例えばSWISS-PROTから取り込むことが可能であるが、それかまたは公知のアルゴリズムに従って計算することができる。
本発明のまた別な実施態様では、受動的封入方法がアドバンスト・ローディングプロセスと組み合わされている。この方法では、アドバンスト・ローディングプロセスは、単一方法に比べて封入率を大きく高めるために、リピド濃度30〜150 mM、好ましくは50〜120 mM、特に好ましくは80〜110 mMで行われる。
リポソーム膜の外側に付着している作用物質は、リポソームの調製後にリポソーム表面から剥がして除去することができる。この作業ステップは、リポソーム式デポー製剤の特性にとっては決定的に重要である。この作用物質をリポソーム表面から剥がしてリポソーム懸濁液から取り除けば、実際上全く、あるいは極く最小限でしか「破裂的放出」を示さないデポー製剤組成物が得られる。この特性は、特に作用物質の投与後の初期到達のように、生体内の作用物質濃度の一時的な上昇により、生体内で毒性反応が惹き起こされる場合には、極めて重要である。その例としてインスリンがあり、その用量が過剰であれば、生命を脅かす低血糖症に到る場合がある。存在する相互作用の解消は、例えばpH値の変更またはイオン強度の引き上げによって実現可能である。
最終的な除去は、遠心分離、限外濾過、透析またはその他色分析法など当業者に知られた方法によって行うことができ、作用物質の少なくとも90%がリポソーム内に封入され、リポソーム外にある作用物質は10%未満、好ましくは5%未満となる。
本発明のまた別な実施態様では、リポソーム膜に付着する作用物質は膜から剥がされない。すなわち、pH値またはイオン強度は変更されない。この実施形態は特に、例えば酢酸ロイプロリドまたは多くの抗体の場合のように、作用物質の初期到達が毒性的に安全である作用物質について適用される。
遊離の作用物質の全部または一部が、ただし5%を越える、好ましくは10%を越える量の作用物質がリポソーム懸濁液内に留まっていて、それが作用物質の血液内への迅速な初期到達に寄与している。
この実施態様のもう1つの長所は懸濁液を凍結乾燥することができることである。それは、膜の内側と、外側で作用物質濃度が等しく、内部に閉じ込められた作用物質の凍結乾燥過程における放出を最小限に留めることができるからである。
酢酸ロイプロリド([D-Leu6Pro9Des-Gly10]-LHRHエチルアミド)は、LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)の合成作動物質であり、これは、なかでも前立腺癌、子宮内膜症および性的早熟に対して、血清中アンドロゲン量を低下させるために臨床的に使用される。酢酸ロイプロリドの連続的投与は、初期ではテストステロン量を上昇させるが、やがて去勢術後水準にまで低下する。テストステロン量の初期上昇は、下垂体にあるLHRH受容体の刺激およびそれによって誘起されるLHの分泌、次いで精巣内でのテストステロンの生成を刺激する。結局、酢酸ロイプロリドによる初期刺激により、下垂体の受容体の脱感作が起り、それによってLHの分泌が抑制される。これが次にテストステロン量の低下を来たす。本発明の特に好ましい実施態様では、本発明に基づくデポーシステムの作用物質として酢酸ロイプロリドが使用される。
本発明のまた別な好ましい実施態様では、本発明に基づく予防接種用のデポーシステムの作用物質として、抗原または抗原フラグメントが使用される。また別な好ましい実施態様では、治療上有用なインスリンが本発明に基づく放出システムの作用物質として用いられている。
本発明に基づくリポソーム製剤は医薬の製造に使用することができる。予備的段階でリポソーム製剤が生理的適合性のある媒質に添加される。生理的適合性のある媒質としての条件は当業者には知られており、それには、例えば7.3〜7.6、好ましくは7.4〜7.5のpH値および150 mM NaClまたは約320 mOsmのオスモル濃度に相当する含塩量が含まれる。
本発明に基づくリポソーム製剤は、医療用デポー剤として皮下注射または筋肉注射することができる。さらに、これは局所または部位に適用することもできる。
本発明は、本発明に基づくデポーシステムからなるキット及び前記キットの内容の組合わせに関する情報にも関連している。キットには、必要に応じて、キットの内容物の組み合せに関する情報が含まれている。キットは基礎研究にも医療にも使用することができる。その情報は、例えば、追加情報を入手可能なインターネットアドレスへの参照でも良い。この情報は、疾病の治療法である場合、あるいは例えば研究でのキットの取り扱いに関する使用手引きの場合もある。
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明はそれらの実施態様に限定されるものではない。
実施例1
インスリンのリポソームへの封入
下記組成、すなわち、
Figure 2007501850
から成るリピド混合物を温度50℃でクロロフォルムに溶かし、続いてロータリーエバポレーター内で真空下に完全に乾燥させる。そのリピド被膜に、50 mMの懸濁液となるようにヒトのインスリン溶液(組換えインスリン)(10 mM HEPES、300 mMスクロース中4 mg/mlのインスリン、pH7.5)を加える。続いて、この懸濁液を50℃のウォーターバス中で45分間攪拌して水和させ、さらに5分間超音波浴で処理する。その後懸濁液を凍結させる。次に、凍結と解凍とを3回繰り返す。その場合、解凍後は各回超音波浴で5分ずつ処理する。
最終の解凍後、リポソームを孔径200 nmまたは400 nmの膜を通して何回も押出し処理する(Avestin LiposoFast、孔径200 nmまたは400 nmのポリカーボネート膜)。押出し処理後、得られた懸濁液にpH3.5のグリシン−HCl原液およびNaClを添加して緩衝した。0.8μmの網目を通してのリポソームの濾過後、超遠心分離機により60000回/g、45分の条件で3回沈降させることにより非封入インスリンを除去させる。PH7.5のHEPES原液の添加によって再度生理的pHに調整する。封入インスリン量はCHCl3およびCH3OHで抽出後RP-HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定する。インスリン封入率として80〜100 %の結果が得られる。
実施例2
アルカリフォスファターゼ(AP)のリポソームへの封入
下記組成、すなわち、
Figure 2007501850
から成るリピド混合物を温度50℃でクロロフォルムに溶かし、続いてロータリーエバポレーター内で真空下に完全に乾燥させる。そのリピド被膜に、50 mMの懸濁液になるようにAP溶液(牛の腸粘膜から採取)(10 mM HEPES、300 mMスクロース中5 mg/mlのAP、pH7.5)を加える。続いて、この懸濁液を50℃のウォーターバス中で45分間攪拌させながら水和させ、さらに5分間超音波浴で処理する。その後懸濁液を凍結させる。次に凍結と解凍を3回繰り返す。この場合、解凍後は各回超音波浴で5分ずつ処理する。
最終の解凍後、リポソームを孔径200 nmまたは400 nmの膜を通して何回も押出し処理する(Avestin LiposoFast、孔径200 nmまたは400 nmのポリカーボネート膜)。押出し処理後、得られた懸濁液にNaCl原液を添加してイオン強度を高める。
非封入APの分離は、超遠心分離機により60000回/g、45分の条件で3回沈降させることにより行う。
封入インスリンAP量はCHCl3およびCH3OHで有機性物質を沈殿させた後、タンパク質分析(BCAタンパク質分析試薬キット、Perbio社)により求める。それに加え、酵素分析(p-燐酸ニトロフェニルテスト)により封入APの活性度を求める。AP封入率として40〜50 %の結果が得られる。
実施例3
インスリンのリポソームへの封入
下記組成、すなわち、
Figure 2007501850
から成るリピド混合物を温度50℃でクロロフォルムに溶かし、続いてロータリーエバポレーター内で真空下に完全に乾燥させる。そのリピド被膜に、100 mMの懸濁液となるように3H-イヌリン溶液(10 mM HEPES、150 mM NaCl中18.5 MBq/mlの3H-イヌリン、pH7.5)を加える。続いて、この懸濁液を50℃のウォーターバス中で45分間振盪させながら水和させる。その後懸濁液を凍結させる。それに続けて凍結、解凍工程を3回繰り返し行う。
その場合解凍後は各回超音波浴で5分ずつ処理する。
第3回目の解凍後、リポソームを孔径200 nmの膜を通して何回も押出し処理する(Avestin LiposoFast、孔径200 nmのポリカーボネート膜)。非封入3H-イヌリンの分離はゲル濾過を通じて行う(G75カラム、Pharmacia社)。3H-イヌリンの封入量は分離後シンチレーション計数器で測定する。3H-イヌリン封入率として10〜25%の結果が得られる。
実施例4
動物モデルでのリポソーム式デポーシステムの使用
実施例3の各種リポソームをリピド濃度20 mM、0.5 mLの量で健康なラット(1群3匹)に皮下注射した。リポソームを含まず、カプセル化していない3H-イヌリンを含む対照試料も同様に0.5 mLの量で皮下投与した。薬理動態学的データを様々な時点で採血して収集した。動物実験の総実験期間は6週間であった。全動物とも一般所見は実験期間を通じて良好であった。グループP20の1匹だけが実験10日目に約1時間強い呼吸音を発した。
イヌリン含量は血液試料を燃焼(酸化剤Ox 500、Zinser社)後、シンチレーション測定によって求めた。
調製物の内容およびt=42日までの相対的生体適合性を次表に示した。
Figure 2007501850
実施例5
酢酸ロイプロリドのリポソームへの封入
下記組成、すなわち、
Figure 2007501850
から成るリピド混合物を温度50℃でクロロフォルムに溶かし、続いてロータリーエバポレーター内で真空下に完全に乾燥させる。そのリピド被膜に、100 mMの懸濁液となるように酢酸ロイプロリド溶液(10 mM HEPES、150 mM NaCl、pH6、 L1 : 2.5 mg/ml)を加える。続いて、この懸濁液を50℃のウォーターバス中で45分間攪拌させながら水和させる。その後懸濁液を凍結させる。続いて凍結、解凍工程を3回繰り返す。
最終の解凍後、リポソームを孔径400 nmの膜を通して何回も押出し処理する(Avestin LiposoFast、孔径400 nmのポリカーボネート膜)。非封入酢酸ロイプロリドの除去は、超遠心分離機により60000回/g、45分の条件(L1には該当しない)で3回沈降させることにより行う。封入酢酸ロイプロリド量はCHCl3およびCH3OHにより抽出後、RP-HPLCにより測定する。酢酸ロイプロリドの封入率として約15 %の結果が得られる。
実施例6
動物モデルでのリポソーム式デポーシステムの使用
実施例5の各種リポソームをリピド濃度25〜30 mM、0.5 mLの量で健康な雄ラット(1群3匹)に皮下注射した。リポソームを含まず、カプセル化していない酢酸ロイプロリドを含む対照試料も同様に0.5 mLの量で皮下投与した。薬物動態学的データを様々な時点で採血した血液により得た。血清を採取し、血清中の酢酸ロイプロリド濃度をELISA(Peninsula社)により測定した。
酢酸ロイプロリドは雄ラットのテストステロン含量に影響を与えるので、血清中テストステロン濃度も同様に全期間を通じてELISA(DRG)により測定した。動物実験の総実験期間は6週間であった。全動物とも一般所見は実験期間を通じて良好であった。調製物の組成およびt=42日までの相対的生物利用度を次表に示した。
Figure 2007501850
実施例7
動物モデルでのリポソーム式酢酸ロイプロリドの使用
実施例5のリポソームを、その外側にある作用物質を除去しないで、0.5 mLの量を健康な雄ラット(1群3匹)に皮下注射した。酢酸ロイプロリドの用量は1匹当り2.5 mgとした。
薬物動態学的データを様々な時点で採血した血液から得た。血清を採取し、血清中の酢酸ロイプロリド濃度をELISA(Peninsula社)により測定した。動物実験の総実験期間は6週間であった。全動物とも一般所見は実験期間を通じて良好であった。次表は調製物の組成を示している。
Figure 2007501850
実施例8
Cy5.5 anti CD40 ODN(抗感作オリゴヌクレオチド)のリポソームへの封入
下記組成、すなわち、
Figure 2007501850
から成るリピド混合物を温度50℃でクロロフォルムに溶かし、続いてロータリーエバポレーター内で真空下に完全に乾燥させる。そのリピド被膜に、15 mMの懸濁液になるようにCy5.5 anti CD40 ODN(抗感作オリゴヌクレオチド)(10 mM HEPES、300 mMスクロース中150μg/ml、pH7.5)を加える。続いて、この懸濁液を50℃のウォーターバス中で45分間攪拌しながら水和させ、さらに5分間超音波浴で処理する。その後、懸濁液を凍結させる。凍結、解凍工程を3回繰り返す。その場合溶解後は各回超音波浴で5分ずつ処理する。
最終の解凍後、リポソームを孔径200 nmまたは400 nmの膜を通して何回も押出し処理する(Avestin LiposoFast、孔径200 nmまたは400 nmのポリカーボネート膜)。押出し処理後、得られた懸濁液にNaCl原液を添加してイオン強度を高める。
封入Cy5.5 anti CD40 ODN(抗感作オリゴヌクレオチド)の量は、超遠心分離機により60000回/g、45分の条件で3回沈降させて遊離状態にある作用物質を除去させた後に蛍光分光測定により求める。
オリゴヌクレオチドの封入効率は47%である。
本発明の実施例4のリポソーム式デポーシステムと動物モデルに注射した対照試料(K3)との比較。 本発明の実施例4による酢酸ロイプロリドのリポソーム式デポーシステムと動物モデルに注射した対照試料(P29)との比較(酢酸ロイプロリドの血清中含量)。 本発明の実施例4による酢酸ロイプロリドのリポソーム式デポーシステムと動物モデルに注射した対照試料(P29)との比較(テストステロンの血清中含量)。 動物モデルにおける本発明の実施例7による酢酸ロイプロリドのリポソーム式デポーシステム(酢酸ロイプロリドの血清中含量)。

Claims (18)

  1. 特に作用物質を遅延放出させるためのデポーシステムであって、前記システムはリポソームと、DMPC、DPPCおよび/またはDSPCからなる群より選択される飽和の合成フォスファチジルコリンと、
    含有量35〜50モル%のコレステロールと、
    リポソーム膜中で5〜20モル%のDC-Chol、DAC-Chol、DMTAP、DPTAPおよび/またはDOTAPからなる群より選択されるカチオン性リピドと、
    および少なくとも1種のタンパク質および/またはペプチド系作用物質と、
    を含んでいることを特徴とするデポーシステム。
  2. カチオン性リピドが、pHに敏感なカチオン性であって、His-Cholおよび/またはMo-Cholからなる群より選択されたものであることを特徴とする、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステム。
  3. 作用物質の少なくとも90%がリポソーム内に封入されていて、10%未満がリポソームの外側にあることを特徴とする、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステム。
  4. 作用物質がリポソーム内に封入されているが、その10%を越える成分がリポソーム外にあることを特徴とする、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステム。
  5. 作用物質の放出が少なくとも1週間持続することを特徴とする、前記請求項の何れか1つに記載された、作用物質を遅延放出させるためのデポーシステム。
  6. リポソームのサイズが20〜1000 nmの範囲に、特に50〜800 nmの範囲に、より好ましくは50〜300 nmの範囲にあることを特徴とする、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステム。
  7. 皮下または筋内への適用のための、請求項1〜6の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  8. LHRH系作動物質および/またはGnRH系類似物のデポーのための、特に酢酸ロイプロリド、ブセレリン、ゴセレリンおよび/またはトリプトレリンを含む、請求項1〜6の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  9. インスリンのデポーのための、請求項1、2または3の何れか1つに記載のデポーシステムの使用であって、治療上有用なインスリンがペプチド系作用物質に含まれているデポーシステムの使用。
  10. 作用物質に含まれるヘパリンのデポーのための、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  11. 予防接種用抗原フラグメントのデポーのための、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  12. 作用物質を少なくとも1週間に亘って放出させるための、オリゴヌクレオチドを含むデポーシステムの、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  13. オリゴヌクレオチドが5〜100、好ましくは5〜40、より好ましくは10〜25のデソキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはそれらの化学的変性誘導体から構成されていることを特徴とする、前請求項の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  14. オリゴヌクレオチドが単鎖、特にアンチセンスオリゴヌクレオチド、二重鎖、特に低分子siRNA、デコイ・オリゴヌクレオチド、および/または複合褶曲形態、特に、アプタマーおよび/またはシュピーゲルマーとして存在することを特徴とする、前請求項の何れかに記載のデポーシステムの使用。
  15. 医薬の製造のための、請求項1〜6の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  16. 局所および部位に適用するための、とりわけ治療プロセスを支援するための、前記請求項の何れか1つに記載のデポーシステムの使用。
  17. 作用物質を少なくとも1週間に亘って遅延放出させるための、請求項1〜6のうちの何れか1つに記載されたデポーシステムの使用であって、作用物質が抗生物質、抗真菌剤、細胞増殖抑制剤、またはグルココルチコイドの作用物質群から選択される水溶性の作用物質誘導体からなるデポーシステムの使用。
  18. 必要に応じて、キットの内容物の組み合せに関する情報も併せ持つ、請求項1〜6のうちの何れか1つに記載されたデポーシステムを少なくとも1つ有しているキット。
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