JP2007501816A - 固定化可能なn−複素環式カルベン類 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般式(I)および(II)
Figure 2007501816

で表される、固定化可能なN−複素環式カルベン類に関し、複素環の2個の窒素原子のうちの1個においてSiR’(OR’)3−nを有する基を含有する。本発明はさらに、固定化可能なまたは固定化された触媒のための配位子としての化合物の使用に関する。

Description

本発明は、一般式(I)および(II)
Figure 2007501816
で表される固定化可能なN−複素環式カルベン類に関し、該カルベン類は、複素環の2個の窒素原子のうちの1個にSiR’(OR’)3−nを有する基を含有する。本発明はさらに、固定化可能な触媒および固定化触媒のための配位子としての化合物の使用に関する。
1.先行技術および発明の目的
N−複素環式カルベン類の例は、WO 97/34875, WO 98/27064, WO 01/77081に、ならびに、例えば、J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 5530; Angew. Chem. 1997, 109, 2256; Tetrahedron 1999, 55, 14523; J. Organomet. Chem. 2000, 606(1), 49およびAngew. Chem. 2002, 114, 1343に記載されている。ほとんどの場合、置換基は、両方の窒素原子に炭化水素基を有する。窒素原子に、−OR、−NRおよび−PRなどのドナーを有する基を含有する、N−複素環式カルベン類が、とりわけChem. Eur. J. 1996, 12, 1627に記載されている。この研究の目的は、錯体配位子として得やすいキレートN−複素環式カルベン類を作ることであった。N−複素環式カルベンの配位子を含有する得られる配位化合物は、非常に多数の触媒反応に極めて効果的な均一系触媒であることが証明されている。しかしながら、均一系触媒の反応生成物からの分離は、高価で複雑な作業である。したがって、触媒プロセスにおいて、支持体上に固定化された均一系触媒を用いることは、際立って有利である。このタイプの固定化触媒は、ろ過によって非常に単純に反応生成物から分離することができる。
特に触媒が非常に高価である場合、触媒の固定化は、際立って重要である。このように、これは、再利用され、次の触媒プロセスで再度用いられ得る。また、錯体化合物中に存在するため、遷移金属に汚染されないことは、触媒プロセスの反応生成物にとって特に有利である。後者は特に、医薬用途のための生成物に当てはまる。ここに記した問題は、その後の反応において、固定化可能な、触媒活性の配位化合物に変換することができる、固定化可能な配位子の提供および使用によって解決することができる。
本発明の目的は、したがって、そのようなものとしておよび触媒として固定化された形状の両方で用いることができ、および単純で安価なプロセスで製造することができる、固定化可能なN−複素環式カルベン類および固定化N−複素環式カルベン類を提供することであった。本発明のさらなる目的は、高い安定性を有し、好適な支持体に、特に支持材料として無機酸化物に共有結合することができ、およびその後応用反応のために支持体表面に十分な量がある、対応する固定化可能なN−複素環式カルベン類を提供することであった。このために、表面にしっかりと固定されることが可能であるべきであり、および溶剤の添加により表面から再度離れるべきではない。
2.発明の説明
本目的は、複素環の2個の窒素原子のうちの1個にSiR’(OR’)3−nを有する基を含有する、一般式(I)および(II):
Figure 2007501816
式中、
Rは、合計30個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、AHetまたはAHetAであり、ここで、
Aは、直鎖状、分枝状、飽和または単不飽和または多価不飽和の、C〜C20−アルキル基、シクロアルキル、あるいは合計4〜30個の炭素原子を有する1個または2個のアルキル基を介して結合したシクロアルキルであり、ここで、アルキル基中およびシクロアルキル基中両方にある1個のCHまたはCH基は、N、NH、NA、Oおよび/またはSにより置き換えられてもよく、
Arは、合計20個以下の炭素原子を有する単置換または多置換または非置換のフェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、ここで置換基は、A、Hal、OA、CO−AOH、COOH、COOA、COA、OH、CN、CONHA、NO、=NHまたは=Oであってもよく、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式で、飽和、不飽和または芳香族の複素環式基であり、非置換であるか、あるいはHalおよび/またはA、OA、CO−AOH、COOH、COOA、COA、OH、CN、CONHA、NO、=NHまたは=Oにより単置換、二置換または三置換されてもよく、
R’は、分子内の位置とは無関係に、1〜12個の炭素原子を有するA、Ar、A−ArまたはA−Ar−Aであり、
R1は、1〜18個の炭素原子を有するA、Ar、AAr、AArA、Het、AHetまたはAHetAであり、ここで、ArまたはHetに結合していない基Aは、非置換であるか、あるいは1個または2個以上の基Zにより置換された、アルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、非置換であるか、あるいは基Zにより単置換または多置換された、芳香族炭化水素であり、およびHetは、基Zにより単置換または多置換されてもよい、飽和、不飽和または芳香族の複素環式基であり、および
R2およびR3は、互いに独立して、H、Z、Halまたは1〜18個の炭素原子を有するA、ArまたはAArであり、ここでArあるいはHetに結合していない基Aは、非置換であるか、または1個または2個以上の基Zにより置換された、アルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、非置換であるか、あるいは基Zにより単置換または多置換された、芳香族炭化水素であり、
ここで
Halは、F、Cl、BrまたはIであり、
Zは、R1、R2およびR3内の位置とは無関係に、N、P、OまたはS原子含有の官能基、AあるいはArであり、および
nは、0、1または2である、
で表される固定化可能なN−複素環式カルベン類によって達成される。
特に、本発明の目的は、従属項2〜6により特徴付けられた化合物、非常に特に一般式(I)および(II)で表される化合物の提供により達成される。該化合物は以下のとおりである。
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン。
本発明はまた、一般式(I)および(II)で表される化合物の製造方法に関し、
一般式(III)
Figure 2007501816
で表される置換イミダゾール、または一般式(IV)
Figure 2007501816
で表される置換4,5−ジヒドロイミダゾールを、
随意に不活性な非プロトン性の有機溶剤中で、一般式
Hal−R−SiR’(OR’)3−n
で表される塩素、臭素またはヨウ素含有のアルコキシシランと反応させ、
一般式(V)
Figure 2007501816
で表されるアルコキシシリルで官能化したイミダゾリウム塩、または一般式(VI)
Figure 2007501816
ここで、一般式において、R、R’、R1、R2およびR3は、請求項1〜7に記載の意味を採り得、ならびにXは、F、Cl、BrおよびIからなる群からのアニオンであり得る、
で表されるアルコキシシリルで官能化した4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩をそれぞれ得て、
且つ
得られる一般式(V)または(VI)で表される化合物は、それぞれ、得られる反応混合物中で直接、または分離および、必要な場合、精製の後、適切な場合、前の反応を行うために既に添加された無水で不活性な非プロトン性の有機溶剤中の金属アルコキシド類(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド類(MNH)および/またはアンモニアからなる群から選択された塩基と反応させ、一般式(I)および(II)それぞれで表されたカルベン類を得る。本発明はさらに、請求項9〜14に定義されたような、本発明の製造方法の特定の態様に関する。
本発明はさらに、固定化N−複素環式カルベン類の、主族金属原子、希土類金属原子および遷移金属原子を含有する固定化可能なN−複素環式カルベン錯体の製造のための、出発材料として製造された、一般式(I)および(II)で表される化合物の使用、ならびに触媒の製造のための錯体配位子としての、および固定化可能な触媒または固定化N−複素環式カルベン触媒配位子の製造のための出発材料しての、一般式(I)および(II)で表される化合物の使用に関する。本発明はまた、有機または有機金属および遷移金属触媒反応における、触媒としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用、ならびに触媒反応における触媒配位子としての、好ましくはC−Cカプリング反応、オリゴマー化、水素化、ヒドロホルミル化、アミノ化、酸化および還元において用いられる触媒の配位子としての、一般式(I)および(II)の化合物の使用に関する。本発明に従って、一般式(I)および(II)で表される化合物は、有機または有機金属および遷移金属触媒反応において反応媒体としてまたは溶媒として、固定化反応媒体のための出発材料として、あるいは反応生成物の精製(捕集機能)のための媒体として、機能を果たすことができる。
一般式(I)および(II)で表される化合物を、トリアルコキシシリルで官能化したイミダゾリウム塩(V)およびトリアルコキシシリルで官能化した4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩(VI)それぞれの反応により、例えば、一般式MORで表される金属アルコキシドなどの塩基、あるいは無水で不活性な非プロトン性の有機溶剤中の金属水素化物MH、金属アミド類MNHおよびアンモニアからなる群から選択された塩基とともに、一般的な反応方程式、Eq.1およびEq.2それぞれに従って製造する。副産物を分離した後、一般式(I)および(II)で表される化合物を得ることができる。
金属アルコキシドMORを塩基として使用する場合、反応は、以下の反応方程式(Eq.1およびEq.2)に従って行われる:
Figure 2007501816
金属水素化物MHを塩基として使用する場合、反応は、以下の反応方程式(Eq.3およびEq.4)に従って行われる:
Figure 2007501816
一般式(I)および(II)で表される化合物は、固定化可能なN−複素環式カルベン錯体の製造のための錯体配位子として、ならびに触媒反応において配位子として使用することができる。それらはさらに、固定化N−複素環式カルベン類およびN−複素環式カルベン錯体の製造のための出発材料として使用することができる。
先行技術と比較して、一般式(I)および(II)で表される化合物の利点は、化合物が、支持体上に共有結合で固定化可能なことである。したがって、それらおよびそれらから製造され得る全カルベン錯体化合物もまた、応用反応において反応溶液または反応生成物から非常に単純に分離することができる。したがって、一般式(I)および(II)で表される化合物およびそれらから製造され得る全カルベン錯体化合物を、再利用することができる。これにより、全応用反応において、特に高価な遷移金属触媒を使用する触媒反応において、プロセス費用の節約をもたらす。一般式(I)および(II)で表される化合物は、非常に単純に、量的収率を得やすい。
3.発明の詳細な説明
本発明によると、一般式(I)および(II)で表される化合物は、1,3−二置換イミダゾール−2−イリデン類および1,3−二置換イミダゾリン−2−イリデン類である。一般式(I)
Figure 2007501816
で表される化合物は、4,5−不飽和二窒素複素環を含有し、一般式(II)
Figure 2007501816
で表される化合物は、飽和二窒素複素環を含有する。両方のタイプの化合物において、置換基は、複素環の2個の窒素原子に結合し、ここで、2つの置換基のうちの1つは、シリル基SiR’(OR’)3−nを有する。複素環の2位(2つの窒素原子の間)にある炭素原子は、自由電子対を有する二価のカルベン炭素原子である。
R−SiR’(OR’)3−n基は、複素環の2個の窒素原子のうちの少なくとも1個に結合する。ここでSi(OR’)3−n単位は、続いて表面に活性OH基を有する金属酸化物と反応する能力がある。
SiR’(OR’)3−n単位中のR’は、炭化水素基であり、nは、0、1または2、好ましくは0または1および非常に好ましくは0であり得る。この炭化水素基R’は、分子内の位置とは無関係に、異なる意味を採り得、直鎖状、非分枝状(線状)、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和、環状(A)、芳香族(Ar)またはアルキル芳香族(AArまたはAArA)、および随意に単置換または多置換であり得る。
AおよびArは、以下の通り全ての意味を採り得る。
R’は、好ましくは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状、非分枝状(線状)、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和または環状飽和または単不飽和または多価不飽和のアルキル基である。R’は、特に好ましくは1〜7個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和アルキル基であり、すなわち以下により詳細に定義するアルキル基Aのサブグループである。
R’はしたがって、好ましくは以下の意味を採り得る。
メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−または4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−または2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシル。
R’は、非常に特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルからなる群からのC〜C−アルキル基である。
SiR’(OR’)3−n中、R’はしかしながら、代わりに以下であり得る。
アルケニル − ビニル、プロペニル、1,2−プロパジエニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、1,2−、1,4−または1,3−ペンタジエニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、ヘキセニル、1,5−ヘキサジエニル、2−メチル−1,3−ブタジエニル、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニルまたはイソペンテニル、
シクロアルケニル − シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニルまたはメチルシクロペンタジエニル
および
アルキニル − エチニル、1,2−プロピニル、2−ブチニル、1,3−ブタジイニル、ペンチニルまたはヘキシニル。
SiR’(OR’)3−n基中アルコキシ基が多くなるほど、したがってnが小さくなるほど、固定化後、金属酸化物と一般式(I)および(II)で表される化合物との間の共有結合数が大きくなり得る。
SiR’(OR’)3−n基は、炭化水素基Rを介して複素環式基の窒素原子と結合する。
炭化水素基Rは、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する基である。この炭化水素基は、直鎖状、非分枝状(線状)、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和、環状(A)または芳香族(Ar)、複素環式または複素環式芳香族(Het)および随意に単置換または多置換であってもよい。
炭化水素基Rは、A、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、A−HetまたはA−Het基であり得、基A、ArおよびHetが以下の通りの意味を採り得る。
Aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個の炭素原子を有する、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の炭素原子を有する、直鎖状、非分枝状(線状)、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和または環状アルキル基A。
アルキレンは、Aについて示したものと同じ意味を有する。ただし、アルキルから最も近くで結合している隣接基(neighbour)へさらなる結合が存在するという条件がある。
Aは、例えば、メチレン(−CH−)、エチレン(−C−)、プロピレン(−C−)、イソプロピレン(−C−)、ブチレン(−C−)、イソブチレン(−C−)、sec−ブチレン(−C−)およびtert−ブチレン(−C−)、さらにまたペンチレン(−C10−)、1−、2−または3−メチルブチレン(−C10−)、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピレン(−C10−)、1−エチルプロピレン(−C10−)、ヘキシレン(−C12−)、1−、2−、3−または4−メチルペンチレン(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチレン(−C12−)、1−または2−エチルブチレン(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピレン(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピレン(−C12−)、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピレン(−C12−)、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレンまたはドデシレンからなる群から選択されたアルキレン基である。
Aはまた、3〜30個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、好ましくはC〜C−シクロアルキレンであり得る。本明細書中シクロアルキルは、飽和または不飽和であり得、および随意に分子中1個または2個のアルキル基を介して、イミダゾール窒素およびSiR’(OR’)3−n基に結合し得る。1個または2個以上のH原子はまた、シクロアルキレン基中他の置換基により置き換えられてもよい。
シクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、3−メンチルまたはカンファー−10−イル(二環式テルペン)、デカリンまたはビシクロヘプタンであり、これらの基は、分子中1個または2個のアルキル基を介して、イミダゾールの窒素およびSiR’(OR’)3−n基に結合し得る。
この場合、シクロアルキルは、好ましくは1,2−シクロプロピル、1,2−または1,3−シクロブチル、1,2−または1,3−シクロペンチル、または1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキシル、さらに1,2−、1,3−または1,4−シクロヘプチルである。しかしながら、前記基はまた、R3として、置換または非置換の形状で、第2のイミダゾールの窒素に結合し得る。
Aはまた、イミダゾールの窒素またはイミダゾールの炭素とSiR’(OR’)3−n基との両方に結合し得る2〜20個の炭素原子を有する不飽和アルケニルまたはアルキニル基であり得る。
アルケニル基は、直鎖状、分枝状または環状C〜C30−アルケニル基、好ましくは直鎖状、分枝状または環状C〜C−アルケニル基、特に好ましくはビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルからなる群からの直鎖状または分枝状C〜C−アルケニル基であり得る。
シクロアルケニル基は、直鎖状または分枝状C〜C30−シクロアルケニル基、好ましくはC〜C−シクロアルケニル基、特に好ましくはシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニルおよびメチルシクロペンタジエニルからなる群からのC〜C−シクロアルケニル基であり得る。
アルキニル基は、直鎖状または分枝状C〜C30−アルキニル基、好ましくは直鎖状または分枝状C〜C−アルキニル基、特に好ましくはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルからなる群からの直鎖状または分枝状C〜C−アルキニル基であり得る。
アルケニル、シクロアルケニルまたはアルキニルが炭化水素基Rの一部である場合、それはもちろん、アルケニルまたはアルキニルから最も近くで結合している隣接基へさらなる結合が存在するという条件で、同じ意味を有する。
Arは、6〜30個の炭素原子を有する単環式または多環式の芳香族炭化水素基であり、単置換または多置換または非置換であってもよい。
アリール基は、好ましくはC〜C10−アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチルであり得る。アルキルアリール基は、C〜C18−アルキルアリール基、好ましくはトリルまたはメシチルであり得る。
Arは、好ましくは置換または非置換のフェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、これらの各々は、A、OA、CO−AOH、COOH、COOA、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ベンジルオキシ、スルホンアミド、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはアミノカルボニルによって、単置換、二置換または三置換されてもよく、
ここでArは、Aにより置換されたおよび/またはAに結合した場合、20個以下の炭素原子を有する。
Arは、好ましくは非置換または単置換または多置換フェニルであり、
具体的に好ましくはフェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−メチルチオフェニル、o−、m−またはp−メチルスルフィニルフェニル、o−、m−またはp−メチルスルホニルフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ジメチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2−クロロ−3−メチル−、2−クロロ−4−メチル−、2−クロロ−5−メチル−、2−クロロ−6−メチル−、2−メチル−3−クロロ−、2−メチル−4−クロロ−、2−メチル−5−クロロ−、2−メチル−6−クロロ−、3−クロロ−4−メチル−、3−クロロ−5−メチル−または3−メチル−4−クロロフェニル、2−ブロモ−3−メチル−、2−ブロモ−4−メチル−、2−ブロモ−5−メチル−、2−ブロモ−6−メチル−、2−メチル−3−ブロモ−、2−メチル−4−ブロモ−、2−メチル−5−ブロモ−、2−メチル−6−ブロモ−、3−ブロモ−4−メチル−、3−ブロモ−5−メチル−または3−メチル−4−ブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、4−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,4−ジクロロ−5−メチルフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、ベンゾチアジアゾール−5−イルまたはベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはナフチルである。
アリーレンは、Arについて示したものと同じ意味を有する。ただし、芳香族系から最も近くで結合している隣接基へさらなる結合が存在するという条件がある。
具体的に、Hetと称される基は、以下の意味を採り得る:
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族の複素環式基であり、非置換であるか、あるいはHalおよび/またはA、OA、CO−AOH、COOH、COOA、COA、OH、CN、CONHA、NO、=NHまたは=Oにより単置換、二置換または三置換されてもよく、ここでHalは、F、Cl、BrまたはIである。
Hetは、好ましくはクロメン−2−オニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピペリジニル、1−メチルピペリジニル、インドリル、チオフェニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チエニル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チオピラニル、ピリダジニル、ピラジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリルまたはシンノリニルであり、それぞれ、非置換であるか、あるいはHalおよび/またはAにより単置換または二置換され、
ここで、置換基は、A、OA、CO−AOH、COOH、COOA、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。
Hetは、特に好ましくは2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、1−メチルピペリジン−4−イルまたはピペリジン−4−イル、あるいは2−、4−、5−または6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、2−、3−、4−、5−または6−2H−チオピラニル、2−、3−または4−4−H−チオピラニル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、1−、2−、4−または5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、4−または5−イソインドリル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルまたはクロメニル(chromenyl)である。
複素環式基はまた、部分的にまたは完全に水素化されてもよく、以下の意味を採る。
Hetは、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、あるいは2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−または−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは代わりに3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−または−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルである。
複素環式シクロアルキレンまたは複素環式シクロアリーレンは、Hetについて示したものと同じ意味を有する。ただし、複素環式系から最も近くで結合している隣接基へさらなる結合が存在するという条件がある。
複素環式シクロアルキレンは、好ましくは1,2−、2,3−または1,3−ピロリジニル、1,2−、2,4−、4,5−または1,5−イミダゾリジニル、1,2−、2,3−または1,3−ピラゾリジニル、2,3−、3,4−、4,5−または2,5−オキサゾリジニル、1,2−、2,3−、3,4−または1,4−イソキサゾリジニル、2,3−、3,4−、4,5−または2,5−チアゾリジニル、2,3−、3,4−、4,5−または2,5−イソチアゾリジニル、1,2−、2,3−、3,4−または1,4−ピペリジニル、あるいは1,4−または1,2−ピペラジニル、さらに好ましくは1,2,3−テトラヒドロトリアゾール−1,2−または−1,4−イル、1,2,4−テトラヒドロトリアゾール−1,2−または−3,5−イル、1,2−または2,5−テトラヒドロテトラゾリル、1,2,3−テトラヒドロオキサジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−または−1,5−イル、1,2,4−テトラヒドロオキサジアゾール−2,3−、−3,4−または−4,5−イル、1,3,4−テトラヒドロチアジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−または−1,5−イル、1,2,4−テトラヒドロチアジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−または−1,5−イル、1,2,3−チアジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−または−1,5−イル、2,3−または3,4−モルホリニル、または2,3−、3,4−または2,4−チオモルホリニルである。
炭化水素基Rは、非常に特に好ましくは20個以下の炭素原子を有する基であり、ならびにC〜C12−アルキレン基、C〜C10−シクロアルキレン基、あるいはC〜C20−シクロアルキレン基、C〜C14−アリーレン基またはC〜C20−アルキルアリーレン基に属し、1個または2個のアルキル基を介して結合する化合物、その中でも特に好ましくはメチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンからなるシリーズからのC〜C−アルキレン鎖、または−C−および−CMe−からなるシリーズからのC〜C−アリーレン鎖、または−CH−、−CHMe−、−CHCH−および−CHMeCH−からなるシリーズからのC〜C−アルキルアリール鎖から選択された意味を採る。
R1は、炭化水素基であり、A、Ar、AAr、AArA、Het、AHetまたはAHetAの全ての意味を採り得、ここでH原子は、官能基Zにより置き換えられてもよい。この炭化水素基は、直鎖状、非分枝状(線状)、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和、環状(A)または芳香族(Ar)、複素環式または複素環式芳香族(Het)、および随意に単置換または多置換であってもよい。炭化水素基R1は、特に一般式(I)および(II)で表される化合物のカルベン機能に安定化作用を与える基である。R3中のH原子は、以下に定義した官能基Zにより置き換えられてもよい。
R1は、好ましくは脂肪族、芳香族または複素環式芳香族の炭化水素基であり、より正確には、上記のような脂肪族基A、上に列挙した群からの芳香族炭化水素Ar、または上に定義した複素環式置換基Hetである。R1は、非常に好ましくは1〜18個の炭素原子を有する脂肪族、環状脂肪族または芳香族の炭化水素基である。この群の化合物から、フェニル、トリル、2,6−ジメチルフェニル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニルまたはシクロヘキシルといった基が、特に好適であることが証明され、製造した化合物の特に有利な性質をもたらした。
R2およびR3は、互いに独立して、Hであり得るか、または上に示したようにHal、A、ArおよびAArの全ての意味を採り得、ここでAおよびAr中のH原子は、官能基Zにより置き換えられてもよく、およびHalは、F、Cl、BrまたはIであり得る。R2およびR3は、特に好ましくはR1の意味を採るか、あるいはH、ClまたはBrである。R2およびR3は、特に好ましくは、互いに独立して、H、Cl、Br、直鎖状、分枝状、飽和または単不飽和または多価不飽和のC〜C−アルキル基であり、ここでアルキル基中の1個または2個以上のHは、Zにより置き換えられてもよい。
既述のように、R、R1、R2およびR3全ての炭化水素基中の、しかし特にR1中のH原子は、官能基Zにより置き換えられてもよく、N、P、OまたはS原子を有する。それらは、1個または2個以上のアルコール、アルデヒド、カルボキシル、アミン、アミド、イミド、ホスフィン、エーテルまたはチオエーテル機能を有する基であり得る、すなわち、それらはとりわけ、OA、NHA、NAA’、PAA’、CN、NO、SA、SOA、SOAまたはSOArの意味を有する基であり得、ここでA、A’およびA”は、互いに独立して、与えられた定義に従って、Aの意味を採り得る。それらは、1個または2個以上のアルコール(OA)、アルデヒド、カルボキシル、アミン、アミド、イミド、ホスフィン、エーテルまたはチオエーテル機能を有する基であり得る。基Zは、好ましくはOA、NHA、NAA’またはPAA’の意味を有する。
R2およびR3はしたがって、例えばまた、SOH、F、Cl、あるいはヒドロキシル、アルカノイルまたはシクロアルカノイル基であり得る。
R1、R2およびR3は、メトキシ、エトキシ、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイルまたはオクタデカノイルであり得る。
R1、R2およびR3はまた、アシル基であり得る。R1、R2およびR3は、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアシル基であり得、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルまたはナフトイルであり得る。R1、R2およびR3は、さらにアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルまたはフェニルスルホニル基であり得る。
加えて、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アルカノイルおよびシクロアルカノイル中の基R1、R2およびR3中の1個、2個または3個のメチレン基は、N、Oおよび/またはSによって置き換えられてもよい。
したがって、R1、R2およびR3中の炭化水素基は、A、ArまたはAAr意味を採り得、上に定義したとおり、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアルキニル基であり得、ここで1個または2個以上のH原子は、上記官能基Zにより置き換えられてもよい。
一般式(I)で表される化合物の製造のための出発材料として必要な置換イミダゾールの親構造は、特許明細書US-A-6,177,575中に記載の合成方法と同じように、以下の一般的な反応方程式に従って製造することができる。
Figure 2007501816
一般式(II)(置換4,5−ジヒドロイミダゾール)で表される化合物の親構造(IV)を、Tetrahedron Lett. 1980、21、885、Chem. Ber. 1965、98、1342に、およびDE-A-11 89 998に記載された方法により合成することができる。
Figure 2007501816
イミダゾール環の第2の窒素原子のシリル基により置換された一般式(V)および(VI)で表される化合物の製造を、さらなる溶剤の添加なしで、一般式(III)で表される置換イミダゾールまたは一般式(IV)で表される置換4,5−ジヒドロイミダゾールの、塩素−、臭素−またはヨウ素含有のアルコキシシラン類Hal−R−SiR’(OR’)3−nとの反応により行うことができる(Eq.6、Eq.7)。しかしながら、反応を、不活性な非プロトン性の有機溶剤中で行うこともまた可能である。
Figure 2007501816
形成された生成物を、反応終了後、純粋な形状で安定した物質として単離することができる。さらなる副産物は形成されない。
この置換反応を行うために、出発材料を一緒に反応装置内に取り込み、良く混合しながら、不活性ガス雰囲気下で反応温度まで加熱することができる。一連の成分の添加を、所望のように選択することができる。出発化合物を、好適な溶剤に予め溶解または懸濁することができ、あるいは溶剤なしで固体または液体として添加することができる。
用いられる一般式(III)または(IV)で表されるイミダゾールの反応度に依存して、反応は、短時間で行われるか、あるいは反応温度を維持しつつ数日必要とする。反応時間は、15分〜7日であり得、好ましくは30分〜6日、および非常に好ましくは30分〜5日である。
反応を行うのに使用することができる好適な溶剤は、不活性な非プロトン性の溶剤である。
好適な不活性な溶剤は、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールモノエチルまたはモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル類;アセトンまたはブタノンなどのケトン類;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル類、水、あるいは前記溶剤の混合物である。
特に好ましくは、炭化水素、塩素化炭化水素およびエーテル類からなる群から選択された溶剤の使用である。
反応を、好ましくは保護ガス雰囲気下で行う。窒素またはアルゴンを、この目的のために用いることができる。
複素環式化合物およびHal−R−SiR’(OR’)3−nの出発材料の化学量論比(stoichiometric ratio)は、1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:3および特に好ましくは1:1〜1:2である。
反応を、20〜+200℃、好ましくは20〜100℃および非常に好ましくは60〜100℃の範囲の温度で行うことができる。最高収率は、Hal−R−SiR’(OR’)3−nの沸点で得られる。
高真空で揮発性成分を除去した後、粗生成物を抽出または結晶化により精製する。一般式(I)および(II)で表される化合物を、物質として純粋な形で単離することができ、続いて分析的におよび分光的に特徴付けることができる。
一般式(I)および(II)で表される化合物を、反応方程式Eq.1およびEq.2に従って、無水で不活性な非プロトン性の有機溶剤中、アルコキシシリルで官能化したイミダゾリウム塩(V)およびアルコキシシリルで官能化した4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩(VI)それぞれの、好適な塩基との反応により製造する。この反応を、所望の場合、イミダゾリウム塩(V)または4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩(VI)それぞれの製造後、事前精製なしで、直接行うことができる。この反応に好適な塩基は、無水で不活性な非プロトン性の有機溶剤中の、一般式MORで表される金属アルコキシド類、または金属水素化物MH、金属アミド類MNHおよびアンモニアからなる群から選択された塩基である。塩基として、NH/NaHまたは金属水素化物または金属アルコキシドの使用が好ましい。KOBuおよびKHは、様々な反応において非常に特に好適であると証明されている。
アルコキシシリルで官能化したイミダゾリウム塩(V)またはアルコキシシリルで官能化した4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩(VI)の好適な塩基との反応性能は、それ自体重要ではない。反応を、反応物質と接触する全ての部品およびデバイスが用いる化学物質に対して不活性であり、腐食または浸出現象を示さないプラント内で、単純な方法で行うことができる。重要な要因は、プラントを加熱することができ、反応物質および反応生成物の安全な供給および排出を提供し、反応溶液の集中的な混合手段を有することである。プラントはさらに、不活性ガス雰囲気下での稼動および揮発性物質の安全な排出が可能であるべきである。したがって、反応を、装置が不活性ガスで覆う可能性も提供する場合、攪拌器、供給および随意に排出を備え、排出付の還流冷却器(reflux condenser)または凝縮冷却器(condensation cooler)を有するガラス製の装置内で行うこともできる。しかしながら、反応を、適切な場合、ステンレスまたは他の好適な不活性材料から製造され、出発材料および生成物の温度制御、供給および排出のための必要なデバイスを有する、工業プラント内で行うこともできる。
通常、反応を、特に反応がゆっくり行われる場合、バッチモードで行う。
比較的大量の一般式(I)または(II)で表される所望の生成物を製造する場合、および反応する出発材料が一般式(V)および(VI)で表される反応性化合物である場合、連続作業用に設計された対応するプラント内で反応を行うのが適当であろう。
反応を行うために、全ての反応物質を一緒に反応槽中で用いることができる。一連の成分の添加を、所望どおりに選択することができる。
出発化合物を、上記の不活性な溶剤から選択された好適な溶剤に予め溶解または懸濁することができる。使用する溶剤は、好ましくはエーテル類、特に好ましくは環状エーテル類、例えば、テトラヒドロフランなどである。
使用する保護ガス雰囲気は、窒素またはアルゴンであり得る。窒素雰囲気下で稼動することが好ましい。
出発材料であるイミダゾリウム塩[(V)または(VI)]および用いる塩基の化学量論比は、1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:3および特に好ましくは1:1〜1:1.2である。
反応を、−78℃〜+100℃、好ましくは−40℃〜+60℃および非常に好ましくは0℃〜30℃の範囲の温度で行うことができる。
反応時間は、1分〜6時間、好ましくは5分〜2時間および非常に好ましくは10分〜1時間である。
形成されたいかなる固形副産物をもろ過により除去し、高真空で揮発性成分を除去した後、塩基との反応により形成された生成物(I)または(II)を、非極性の非プロトン性の溶剤との抽出により分離することができる。一般式(I)および(II)で表される化合物を随意に、単純な方法で更なる努力を要せず、固体として純粋な形で単離することができ、分光的に特徴付けることができる。
一般式(I)および(II)で表される化合物を、主族金属原子、希土類金属原子および遷移金属原子を含有する固定化可能なN−複素環式カルベン錯体の製造のために、複雑な配位子として使用することができる。加えて、一般式(I)および(II)で表される化合物を、触媒反応において、好ましくはC−Cカプリング反応、オリゴマー化、水素化、ヒドロホルミル化、アミノ化、酸化および還元において触媒中の配位子として用いることができる。それらをさらに、固定化N−複素環式カルベン類の製造のための出発材料として使用することができる。
4.例
より良い理解および発明の説明のための、本発明の保護の範囲にある例は、以下の通りである。しかしながら、既述の発明の本質の一般的な有効性のため、これらは本出願の保護範囲をただ単にこれらの例に減縮するのには好適でない。
例1
1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデンの合成
不活性ガス雰囲気下、15mlのテトラヒドロフラン、2.3mmolの1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾリウムクロリドおよび2.4mmolのカリウムtertiary-ブトキシドをフラスコ内に取り込み、25℃で30分攪拌する。揮発性成分を、減圧下で除去する。20mlのヘプタンを、残留物に添加し、沈降固体(塩化カリウム)を、ろ過により除去する。ヘプタンを、減圧下で完全に除去する。生成物を、オイルとして得る。
Figure 2007501816
NCHCHプロトンのシグナルは、メシチル基のメチルプロトンのシグナルの範囲内である。
例2
1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデンの合成
不活性ガス雰囲気下、5mlのテトラヒドロフラン、1.26mmolの1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾリウムクロリドおよび1.25mmolのカリウムt−ブトキシドをフラスコ内に取り込み、25℃で30分攪拌する。揮発性成分を、減圧下で除去する。20mlのヘプタンを、残留物に添加し、沈降固体(塩化カリウム)を、ろ過により除去する。ヘプタンを、減圧下で完全に除去する。生成物を、オイルとして得る。
Figure 2007501816
分解反応開始のため、疑いなく第4級炭素原子を割り当てることは不可能であった。

Claims (22)

  1. 一般式(I)および(II)
    Figure 2007501816
    式中、
    Rは、合計30個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、AHetまたはAHetAであり、ここで、
    Aは、直鎖状、分枝状、飽和または単不飽和または多価不飽和の、C〜C20−アルキル基、シクロアルキル、あるいは合計4〜30個の炭素原子を有する1個または2個のアルキル基を介して結合したシクロアルキルであり、ここで、アルキル基中およびシクロアルキル基中両方にある1個のCHまたはCH基は、N、NH、NA、Oおよび/またはSにより置き換えられてもよく、
    Arは、合計20個以下の炭素原子を有する単置換または多置換または非置換のフェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、ここで置換基は、A、Hal、OA、CO−AOH、COOH、COOA、COA、OH、CN、CONHA、NO、=NHまたは=Oであってもよく、
    Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式で、飽和、不飽和または芳香族の複素環式基であり、非置換であるか、あるいはHalおよび/またはA、OA、CO−AOH、COOH、COOA、COA、OH、CN、CONHA、NO、=NHまたは=Oにより単置換、二置換または三置換されてもよく、
    R’は、分子内の位置とは無関係に、1〜12個の炭素原子を有するA、Ar、A−ArまたはA−Ar−Aであり、
    R1は、1〜18個の炭素原子を有するA、Ar、AAr、AArA、Het、AHetまたはAHetAであり、ここで、ArまたはHetに結合していない基Aは、非置換であるか、あるいは1個または2個以上の基Zにより置換された、アルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、非置換であるか、あるいは基Zにより単置換または多置換された、芳香族炭化水素であり、およびHetは、基Zにより単置換または多置換されてもよい、飽和、不飽和または芳香族の複素環式基であり、および
    R2およびR3は、互いに独立して、H、Z、Halまたは1〜18個の炭素原子を有するA、ArまたはAArであり、ここでArあるいはHetに結合していない基Aは、非置換であるか、または1個または2個以上の基Zにより置換された、アルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、非置換であるか、あるいは基Zにより単置換または多置換された、芳香族炭化水素であり、
    ここで
    Halは、F、Cl、BrまたはIであり、
    Zは、R1、R2およびR3内の位置とは無関係に、N、P、OまたはS原子含有の官能基、AあるいはArであり、および
    nは、0、1または2である、
    で表される化合物。
  2. 一般式(I)および(II)、
    式中、
    Rは、合計20個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、AHetまたはAHetAであり、
    R’は、分子内の位置とは無関係に、直鎖状、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和のC〜C−アルキル基であり、
    R1は、1〜18個の炭素原子を有するA、Ar、AAr、AArA、Het、AHetまたはAHetAであり、ここでArまたはHetに結合していない基Aは、非置換であるか、あるいは1個または2個以上の基Zにより置換された、アルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、非置換であるか、あるいは基Zにより単置換または多置換された、芳香族炭化水素であり、およびHetは、基Zにより単置換または多置換されてもよい、飽和、不飽和または芳香族の複素環式基であり、および
    R2およびR3は、互いに独立して、H、Cl、Brあるいは直鎖状、分枝状、飽和、単不飽和または多価不飽和のC〜C−アルキル基であり、
    Zは、Aであり、
    ならびに
    nは、0であり、
    ならびにA、ArおよびHetは、請求項1において定義したとおりである、
    で表される、請求項1に記載の化合物。
  3. 一般式(I)および(II)、
    式中、
    Rは、合計20個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−ArまたはA−Ar−Aであり、ここで
    Aは、直鎖状または分枝状で、飽和のC〜C12−アルキル基、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、あるいは1個または2個のアルキル基を介して結合したC〜C20−シクロアルキルであり、
    Arは、単置換または多置換または非置換のフェニルであり、ここで置換基はAの意味を採り得、およびRは、合計20個以下の炭素原子であり、
    R’は、分子内の位置とは無関係に、直鎖状、分枝状、飽和のC〜C−アルキル基であり、
    R1は、非置換であるか、あるいは1個または2個以上の基Zにより置換された、シクロアルキルの意味を有するAであるか、
    あるいは
    非置換であるか、あるいはZ=Aにより置換された、芳香族炭化水素のArであり、
    R2およびR3は、互いに独立して、Hであるか、あるいは直鎖状、分枝状、飽和のC〜C−アルキル基であり、
    Zは、Aであり、
    ならびに
    nは、0であり、
    ならびにAおよびArは、請求項1において定義したとおりである、
    で表される、請求項1に記載の化合物。
  4. 一般式(I)および(II)、
    式中、
    R’は、分子内の位置とは無関係に、
    メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−またはtert−ブチル、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−または4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−または2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、ヘプチルまたはオクチルである、
    で表される、請求項1に記載の化合物。
  5. 一般式(I)および(II)、
    式中、
    Rは、A、ArまたはA−Arであり、
    ここで
    Aは、直鎖状で、飽和のC〜C12−アルキル基またはC〜C−シクロアルキル、あるいは
    Arは、非置換であるか、あるいはZ=Aにより単置換または多置換されたフェニル、
    R’は、分子内の位置とは無関係に、直鎖状または分枝状で、飽和のC〜C−アルキル基であり、
    R1は、シクロアルキルの意味を有するAであるか、
    あるいは
    非置換であるか、あるいはZ=Aにより単置換または多置換された、芳香族炭化水素であるArであり、
    R2およびR3は、Hであり、
    ならびに
    nは、0であり、
    ならびにAおよびArは、請求項1において定義したとおりである、
    で表される、請求項1に記載の化合物。
  6. 一般式(I)および(II)、
    式中、
    Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−またはtert−ブチル、1,2−シクロプロピル、1,2−または1,3−シクロブチル、1,2−または1,3−シクロペンチル、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキシル、さらに1,2−、1,3−または1,4−シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、フェニル、ベンジル(−CH−)、トリル(−C(CH)−)、−C(CH−、−CH(CH−、−CHCH−、−CH(CHCH−、トリメチルフェニルまたはナフチルであり、
    R’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−またはtert−ブチルであり、
    R3は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、フラニル、フェニル、ベンジル、トリル、トリメチルフェニル、2,4,6−メチルフェニル(メシチル)、トリイソプロピルフェニルまたはナフチルであり、
    R1、R2およびR4は、H、メチルまたはエチルであり、
    nは、0である、
    で表される、請求項1に記載の化合物。
  7. 請求項1に記載の化合物としての、
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2-イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン
    1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン。
  8. 一般式(III)
    Figure 2007501816
    で表される置換イミダゾール、または一般式(IV)
    Figure 2007501816
    で表される置換4,5−ジヒドロイミダゾールを、
    随意に不活性な非プロトン性の有機溶剤中で、一般式
    Hal−R−SiR’(OR’)3−n
    で表される塩素、臭素またはヨウ素含有のアルコキシシランと反応させ、
    一般式(V)
    Figure 2007501816
    で表されるアルコキシシリルで官能化したイミダゾリウム塩、または一般式(VI)
    Figure 2007501816
    ここで、一般式において、R、R’、R1、R2およびR3は、請求項1〜7に記載の意味を採り得、ならびにXは、F、Cl、BrおよびIからなる群からのアニオンであり得る、
    で表されるアルコキシシリルで官能化した4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩をそれぞれ得て、
    且つ
    得られる一般式(V)または(VI)で表される化合物は、それぞれ、得られる反応混合物中で直接、または分離および、必要な場合、精製の後、適切な場合、前の反応を行うために既に添加された無水で不活性な非プロトン性の有機溶剤中の金属アルコキシド類(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド類(MNH)および/またはアンモニアからなる群から選択された塩基と反応させ、一般式(I)および(II)それぞれで表されたカルベン類を得る、
    ことを特徴とする、一般式(I)および(II)で表される化合物の製造方法。
  9. 一般式(I)および(II)で表されるカルベン類の単離および精製のために、形成されたいかなる固形副産物をもろ過により除去し、揮発性成分を高真空で分離し、および粗生成物を、抽出により、および、所望の場合、結晶化により精製することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 一般式(V)および(VI)で表される化合物を、塩基として金属アルコキシドMOR、金属水素化物MHまたはNH/NaHと反応させ、一般式(I)および(II)で表されるカルベンをそれぞれ得、ここでヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン;石油エーテル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル類;アセトンおよびブタノンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類、ならびに前記溶剤の混合物からなる群から選択された不活性の溶剤を使用することを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
  11. 一般式(V)および(VI)で表される化合物を、塩基として金属アルコキシドMORまたは金属水素化物MHと、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの炭化水素;石油エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンなどのエーテル類からなる群から選択された溶剤中で反応させることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 一般式(V)および(VI)で表される化合物を、塩基としてKOBuまたはKHと反応させ、一般式(I)および(II)で表されるカルベン類をそれぞれ得ることを特徴とする、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 一般式(I)および(II)で表されるカルベン類の製造のために、出発材料であるイミダゾリウム塩[(V)または(VI)]および塩基が、1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:3、および特に好ましくは1:1〜1:1.2の範囲の化学量論比で用いられ、および反応が、窒素およびアルゴンからなる群から選択されたガスからなる保護ガス雰囲気下で行われ、温度が、−78℃〜+100℃、好ましくは−40℃〜+60℃および非常に好ましくは0℃〜30℃の範囲で保たれることを特徴とする、請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 一般式(I)および(II)で表されるカルベン類をそれぞれ得るための出発材料であるイミダゾリウム塩[(V)または(VI)]の塩基との反応が、1分〜6時間、好ましくは5分〜2時間および非常に好ましくは10分〜1時間以内の反応時間以内で行われることを特徴とする、請求項8〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 固定化N−複素環式カルベン類およびN−複素環式カルベン錯体の製造のための、出発材料としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
  16. 主族金属原子、希土類金属原子および遷移金属原子を含有する固定化可能なN−複素環式カルベン錯体の製造のための、錯体配位子としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
  17. 固定化可能な触媒または固定化N−複素環式カルベン触媒配位子の製造のための、出発材料しての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
  18. 有機または有機金属および遷移金属触媒反応における、成分または触媒としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
  19. 触媒反応における、好ましくはC−Cカプリング反応、オリゴマー化、水素化、ヒドロホルミル化、アミノ化、酸化および還元における、触媒配位子としての一般式(I)および(II)の化合物の使用。
  20. 有機または有機金属および遷移金属触媒反応における、反応媒体としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
  21. 固定化反応媒体のための、出発材料としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
  22. 反応生成物の精製(捕集機能)のための、媒体としての一般式(I)および(II)で表される化合物の使用。
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