JP2007334147A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示品位の良好な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶表示パネルLPNの一方の外面に設けられ第1偏光板51、第1位相差板RF1、及び、光学的に異方性を有する1/4波長板としての第2位相差板RF2を含む第1光学素子OD1と、液晶表示パネルの他方の外面に設けられ第2偏光板61、第3位相差板RF3、第4位相差板RF4、及び、第5位相差板RF5を含む第2光学素子OD2と、を備え、第2位相差板における液晶分子の平均傾斜角βは、28°<β<44°の範囲に設定され、かつ、第5位相差板の法線位相差Rthは、80nm<Rth<150nmの範囲に設定されたことを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】ホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶表示パネルLPNの一方の外面に設けられ第1偏光板51、第1位相差板RF1、及び、光学的に異方性を有する1/4波長板としての第2位相差板RF2を含む第1光学素子OD1と、液晶表示パネルの他方の外面に設けられ第2偏光板61、第3位相差板RF3、第4位相差板RF4、及び、第5位相差板RF5を含む第2光学素子OD2と、を備え、第2位相差板における液晶分子の平均傾斜角βは、28°<β<44°の範囲に設定され、かつ、第5位相差板の法線位相差Rthは、80nm<Rth<150nmの範囲に設定されたことを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
この発明は、液晶表示装置に係り、特に、ホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層を備えた透過型あるいは半透過型の液晶表示装置に関する。
ツイステッドネマティック(TN)モードの液晶表示装置と同様に正面から見た場合の表示特性が優れている垂直配向(VA;Vertically Aligned)モードの液晶表示装置において、視野角補償用位相差フィルムを適用することで、広い視野角特性を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、STN(Super Twisted Nematic)モードなどの液晶表示装置において適用可能な2軸性の複屈折フィルムを製造する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平2005−099236号公報
特開平2005−181451号公報
近年、一対の基板間にホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層を保持することによって構成された液晶表示装置においては、さらなる視野角の拡大、及び、コントラストの向上といった表示品位の改善が要求されている。
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することにある。
この発明の態様による液晶表示装置は、
互いに対向して配置された第1基板と第2基板との間にホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層を保持した液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの一方の外面に設けられ、第1偏光板、この第1偏光板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える第1位相差板、及び、この第1位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与えるとともに光学的に異方性を有する第2位相差板、を含む第1光学素子と、
前記液晶表示パネルの他方の外面に設けられ、第2偏光板、この第2偏光板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える第3位相差板、この第3位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与える第4位相差板、及び、この第4位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置された第5位相差板、を含む第2光学素子と、を備え、
前記第2位相差板における液晶分子の平均傾斜角βは、28°<β<44°の範囲に設定され、かつ、
前記第5位相差板は、その面内での互いに直交する方位の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、その法線方位の屈折率をnzとしたときに、nx≒ny>nzの関係の屈折率異方性を有し、しかも、前記第5位相差板の厚みをdとし、法線位相差をRth=[(nx−ny)/2−nz]×dとしたとき、80nm<Rth<150nmの範囲に設定されたことを特徴とする。
互いに対向して配置された第1基板と第2基板との間にホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層を保持した液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの一方の外面に設けられ、第1偏光板、この第1偏光板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える第1位相差板、及び、この第1位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与えるとともに光学的に異方性を有する第2位相差板、を含む第1光学素子と、
前記液晶表示パネルの他方の外面に設けられ、第2偏光板、この第2偏光板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える第3位相差板、この第3位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与える第4位相差板、及び、この第4位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置された第5位相差板、を含む第2光学素子と、を備え、
前記第2位相差板における液晶分子の平均傾斜角βは、28°<β<44°の範囲に設定され、かつ、
前記第5位相差板は、その面内での互いに直交する方位の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、その法線方位の屈折率をnzとしたときに、nx≒ny>nzの関係の屈折率異方性を有し、しかも、前記第5位相差板の厚みをdとし、法線位相差をRth=[(nx−ny)/2−nz]×dとしたとき、80nm<Rth<150nmの範囲に設定されたことを特徴とする。
この発明によれば、視野角を拡大できるとともに画面の法線方向でのコントラストを向上することができ、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
以下、この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置について図面を参照して説明する。ここでは、外光を利用して画像を表示する反射部及びバックライト光を利用して画像を表示する透過部をそれぞれの画素に有する半透過型液晶表示装置を例に説明するが、本発明はこの例に限られるものではない。例えば、各画素が透過部のみを有する透過型液晶表示装置、表示領域を構成する一部の画素が反射部を有するとともに他の画素が透過部を有するような液晶表示装置など種々のタイプの液晶表示装置に適用可能である。
図1及び図2に示すように、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの半透過型カラー液晶表示装置であって、液晶表示パネルLPNを備えている。この液晶表示パネルLPNは、アレイ基板(第1基板)ARと、アレイ基板ARと互いに対向して配置された対向基板(第2基板)CTと、これらアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQを備えて構成されている。
また、この液晶表示装置は、液晶表示パネルLPNの一方の外面(すなわちアレイ基板ARの液晶層LQを保持する面とは反対の外面)に設けられた第1光学素子OD1、及び、液晶表示パネルLPNの他方の外面(すなわち対向基板CTの液晶層LQを保持する面とは反対の外面)に設けられた第2光学素子OD2を備えている。さらに、このように透過部を有するような構成の液晶表示装置は、第1光学素子OD1側から液晶表示パネルLPNを照明するバックライトユニットBLを備えている。
このような液晶表示装置は、画像を表示する表示領域DSPにおいて、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。各画素PXは、外光を選択的に反射することによって画像を表示(反射表示)する反射部PRと、バックライトユニットBLからのバックライト光を選択的に透過することによって画像を表示(透過表示)する透過部PTと、を有している。
アレイ基板ARは、ガラス板や石英板などの光透過性を有する絶縁基板10を用いて形成されている。すなわち、このアレイ基板ARは、表示領域DSPにおいて、画素毎に配置されたm×n個の画素電極EP、これら画素電極EPの行方向に沿ってそれぞれ形成されたn本の走査線Y(Y1〜Yn)、これら画素電極EPの列方向に沿ってそれぞれ形成されたm本の信号線X(X1〜Xm)、各画素PXにおいて走査線Yと信号線Xとの交差位置近傍に配置されたm×n個のスイッチング素子W(例えば薄膜トランジスタ)、液晶容量CLCと並列に補助容量CSを構成するよう画素電極EPに容量結合する補助容量線AYなどを備えている。
アレイ基板ARは、さらに、表示領域DSPの周辺の駆動回路領域DCTにおいて、n本の走査線Yに接続された走査線ドライバYDを構成する少なくとも一部、及び、m本の信号線Xに接続された信号線ドライバXDを構成する少なくとも一部を備えている。走査線ドライバYDは、コントローラCNTによる制御に基づいてn本の走査線Yに順次走査信号(駆動信号)を供給する。また、信号線ドライバXDは、コントローラCNTによる制御に基づいて各行のスイッチング素子Wが走査信号によってオンするタイミングでm本の信号線Xに映像信号(駆動信号)を供給する。これにより、各行の画素電極EPは、対応するスイッチング素子Wを介して供給される映像信号に応じた画素電位にそれぞれ設定される。
各スイッチング素子Wは、例えば、Nチャネル薄膜トランジスタであり、絶縁基板10上に配置された半導体層12を備えている。この半導体層12は、例えば、ポリシリコンやアモルファスシリコンなどによって形成可能であり、ここではポリシリコンによって形成されている。半導体層12は、チャネル領域12Cを挟んだ両側にそれぞれソース領域12S及びドレイン領域12Dを有している。この半導体層12は、ゲート絶縁膜14によって覆われている。
スイッチング素子Wのゲート電極WGは、1本の走査線Yに接続され(あるいは走査線Yと一体的に形成され)、走査線Y及び補助容量線AYとともにゲート絶縁膜14上に配置されている。これらゲート電極WG、走査線Y、及び、補助容量線AYは、層間絶縁膜16によって覆われている。
スイッチング素子Wのソース電極WS及びドレイン電極WDは、層間絶縁膜16上においてゲート電極WGの両側に配置されている。ソース電極WSは、1本の信号線Xに接続される(あるいは信号線Xと一体に形成される)とともに、半導体層12のソース領域12Sにコンタクトしている。ドレイン電極WDは、1個の画素電極EPに接続される(あるいは画素電極EPと一体に形成される)とともに、半導体層12のドレイン領域12Dにコンタクトしている。これらソース電極WS、ドレイン電極WD、及び信号線Xは、有機絶縁膜18によって覆われている。
画素電極EPは、反射部PRに対応して設けられた反射電極EPR及び透過部PTに対応して設けられた透過電極EPTを有している。反射電極EPRは、有機絶縁膜18上に配置され、ドレイン電極WDと電気的に接続されている。この反射電極EPRは、アルミニウムなどの光反射性を有する金属膜によって形成される。透過電極EPTは、層間絶縁膜16上に配置され、反射電極EPRと電気的に接続されている。この透過電極EPTは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)などの光透過性を有する金属膜によって形成される。すべての画素PXに対応した画素電極EPは、配向膜20によって覆われている。
一方、対向基板CTは、ガラス板や石英板などの光透過性を有する絶縁基板30を用いて形成されている。すなわち、この対向基板CTは、表示領域DSPにおいて、各画素PXを区画するブラックマトリクス32、ブラックマトリクス32によって囲まれた各画素に配置されたカラーフィルタ34、対向電極ETなどを備えている。
ブラックマトリクス32は、アレイ基板ARに設けられた走査線Yや信号線Xなどの配線部に対向するように配置されている。カラーフィルタ34は、互いに異なる複数の色、例えば赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された着色樹脂によって形成されている。赤色着色樹脂、青色着色樹脂、及び緑色着色樹脂は、それぞれ赤色画素、青色画素、及び緑色画素に対応して配置されている。
なお、カラーフィルタ34は、反射部PRと透過部PTとで光学濃度が異なるように形成しても良い。すなわち、反射部PRでは、表示に寄与する外光がカラーフィルタ34を2回通過するのに対して、透過部PTでは、表示に寄与するバックライト光がカラーフィルタ34を1回通過するのみである。したがって、反射部PRと透過部PTとで色味を整えるためには、反射部PRに配置された着色樹脂の光学濃度を透過部PTに配置された着色樹脂の半分程度にすることが望ましい。
対向電極ETは、すべての画素PXの画素電極EPに対向するように配置されている。この対向電極ETは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)などの光透過性を有する金属膜によって形成される。また、この対向電極ETは、配向膜36によって覆われている。
このような対向基板CTと上述したようなアレイ基板ARとをそれぞれの配向膜20及び36が対向するように配置したとき、両者の間に配置された図示しないスペーサにより、所定のギャップが形成される。このとき、反射部PRには、透過部PTのほぼ半分程度のギャップが形成される。
液晶層LQは、これらアレイ基板ARの配向膜20と対向基板CTの配向膜36との間に形成されたギャップに封入された液晶分子40を含む液晶組成物で構成されている。この実施の形態では、液晶層LQは、ツイスト角が0deg(ホモジニアス配向)の液晶分子40を含んでいる。
この実施の形態に係る液晶表示装置においては、図3に示すように、第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2は、これらを通過した光の偏光状態を制御する。すなわち、第1光学素子OD1は、液晶層LQに楕円偏光あるいは円偏光の偏光状態を有する光が入射するように自身を通過する光の偏光状態を制御する。したがって、第1光学素子OD1に入射したバックライト光の偏光状態は、第1光学素子OD1を通過した際に所定の状態に変換される。その後、第1光学素子OD1から出射されたバックライト光は、所定の偏光状態を保って液晶層LQに入射する。
また、第2光学素子OD2も同様に、液晶層LQに楕円偏光あるいは円偏光の偏光状態を有する光が入射するように自身を通過する光の偏光状態を制御する。したがって、第2光学素子OD2に入射した外光の偏光状態は、第2光学素子OD1を通過した際に所定の偏光状態に変換される。その後、第2光学素子OD2から出射された外光は、所定の偏光状態を保って液晶層LQに入射する。
第1光学素子OD1は、1つの第1偏光板51と、第1偏光板51と液晶表示パネルLPNとの間に配置された第1位相差板RF1と、第1位相差板RF1と液晶表示パネルLPNとの間に配置された第2位相差板RF2と、を含んでいる。
第2光学素子OD2は、1つの第2偏光板61と、第2偏光板61と液晶表示パネルLPNとの間に配置された第3位相差板RF3と、第3位相差板RF3と液晶表示パネルLPNとの間に配置された第4位相差板RF4と、第4位相差板RF4と液晶表示パネルLPNとの間に配置された第5位相差板RF5と、を含んでいる。
ここで適用される第1偏光板51及び第2偏光板61は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する吸収軸及び透過軸を有している。このような偏光板は、ランダムな方向の振動面を有する光から、透過軸と平行な1方向の振動面を有する光すなわち直線偏光の偏光状態を有する光を取り出すものである。
ここで適用される第2位相差板RF2は、その深さ方向の主屈折率が法線方向に対して傾斜している、すなわち光学的に異方性を有するフィルムであり、このような第2位相差板RF2としては、NHフィルム(新日本石油(株)製)が適用可能である。NHフィルムは、光学的に正の1軸性の屈折率異方性を有するネマティック液晶分子を液晶状態において法線方向に沿ってハイブリッド配向した状態で固定化させた液晶フィルムである。
また、第2位相差板RF2として、光学的に異方性を有するフィルムであるWVフィルム(富士写真フィルム(株)製)を適用することも可能である。WVフィルムは、光学的に負の1軸性の屈折率異方性を有するディスコティック液晶分子を液晶状態において法線方向に沿ってハイブリッド配向した状態で固定化させた液晶フィルムである。これらの異方性フィルムは、視野角拡大機能を有した位相差板に相当する。
第1光学素子OD1に含まれる第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2、及び、第2光学素子OD2に含まれる第3位相差板RF3及び第4位相差板RF4は、それぞれ互いに直交する遅相軸及び進相軸を有している。遅相軸は、複屈折を議論する上で、相対的に屈折率の大きな軸に対応し、進相軸は、相対的に屈折率の小さな軸に対応する。遅相軸は、異常光線の振動面と一致するものとする。進相軸は、常光線の振動面と一致するものとする。常光線及び異常光線の屈折率をそれぞれno及びneとし、それぞれの光線の進行方向に沿った位相差板の厚さをdとしたとき、位相差板のリタデーション値Δn・d(nm)は、(ne・d−no・d)で定義される(つまり、Δn=ne−no)。
第1位相差板RF1及び第3位相差板RF3は、進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与えるいわゆる1/2波長板である。第4位相差板RF4は、進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与えるいわゆる1/4波長板である。ここでは、特に、第1位相差板RF1、第3位相差板RF3、及び、第4位相差板RF4は、1軸の位相差板を適用することが望ましく、ゼオノア(オプテス(株)製)などが適用可能である。
また、第2位相差板RF2については、上述した視野角拡大機能のほかに、所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与える1/4波長板としての機能を有している。なお、第2位相差板RF2として、WVフィルムを適用した場合、WVフィルム自体は、1/4波長相当の正面位相差を有していないため、別途1/4波長相当の位相差を有する位相差板と貼合する必要があり、波長分散を考慮してポリカーボネートからなる基材と貼合したものが適用可能である。
これらの第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2の組み合わせは、それらの面内において、それぞれの遅相軸が第1偏光板51の吸収軸(または透過軸)に対して所定の角度(鋭角)を形成するように配置することにより、第1偏光板51を透過した直線偏光を所定の楕円率(=短軸方向の振幅/長軸方向の振幅)を有する楕円偏光あるいは円偏光に変換する機能を有している。
同様に、第3位相差板RF3及び第4位相差板RF4の組み合わせは、それらの面内において、それぞれの遅相軸が第2偏光板61の吸収軸(または透過軸)に対して所定の角度(鋭角)を形成するように配置することにより、第2偏光板61を透過した直線偏光を所定の楕円率を有する楕円偏光あるいは円偏光に変換する機能を有している。
一般に、位相差板を構成する複屈折材料は、常光線に対する屈折率no及び異常光線に対する屈折率neが光の波長に依存する特性を有している。このため、位相差板のリタデーション値Δn・dは、通過する光の波長に依存することになる。そこで、上述したような構成により、少なくとも2種類の位相差板(1/2波長板及び1/4波長板)を組み合わせ、位相差板のリタデーション値の波長依存性を緩和することにより、カラー表示に利用されるすべての波長範囲において、所定のリタデーションを付与して所望の偏光状態を形成している。
さらに、ここで適用される第5位相差板RF5は、その面内での互いに直交する方位の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、その法線方位の屈折率をnzとしたときに、nx≒ny>nzの関係の屈折率異方性を有するもの(いわゆるネガティブCプレート)が適用可能である。すなわち、この第5位相差板RF5は、Ro=(nx−ny)×dで定義される面内位相差Roが略ゼロであるのに対して、Rth=[(nx−ny)/2−nz]×dで定義される法線位相差Rthを有するものであり、高分子フィルムや蒸着膜によって形成可能である。
次に、上述した実施の形態の構成において、第2位相差板RF2とは液晶表示パネルLPNを挟んで対向する側に配置された第5位相差板RF5の法線位相差Rthの最適な範囲と、第2位相差板RF2における液晶分子の平均傾斜角βとの関係について検討する。なお、ここでは平均傾斜角とは、深さ方向の主屈折率nzが法線方向に対してなす角度として定義し、簡易的には(高チルト角+低チルト角)/2+低チルト角で与えられる値として定義する。
なお、この検討においては、第1位相差板RF1、第3位相差板RF3及び第4位相差板RF4のNz係数は、1.0とする。ここで、Nz係数とは、位相差板の面内での互いに直交する方位の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、その法線方位の屈折率をnzとしたときに、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で与えられる値として定義する。また、第2位相差板RF2について、Ro=(nx−ny)×dで定義される面内位相差Roを110nmとした。
ここでは、図11に示すように、対向基板側から液晶表示装置を観察したとき、アレイ基板AR(または対向基板CT)の主面に平行な平面内において、便宜上、互いに直交するX軸及びY軸を定義し、この平面の法線方向をZ軸と定義する。面内とは、X軸及びY軸で規定される平面内に相当する。ここで、X軸は画面の水平方向に対応し、Y軸は画面の垂直方向に対応するものとする。また、X軸の正(+)の方向(0°方位)が画面の右側に対応し、X軸の負(−)の方向(180°方位)が画面の左側に対応するものとする。さらに、Y軸の正(+)の方向(90°方位)が画面の上側に対応し、Y軸の負(−)の方向(270°方位)が画面の下側に対応するものとする。
図4Aは、参照例の液晶表示装置の概略構成を示したものである。この参照例においては、第5位相差板RF5を備えていない。すなわち、第1光学素子OD1は、第1偏光板51の他に、1/2波長板として機能する第1位相差板RF1及び1/4波長板として機能する第2位相差板RF2を備えて構成されている。第2光学素子OD2は、第2偏光板61の他に、1/2波長板として機能する第3位相差板RF3及び1/4波長板として機能する第4位相差板RF4を備えて構成されている。第2位相差板RF2としては、NHフィルムを適用し、平均傾斜角βは28°に設定されている。液晶表示パネルLPNにおいては、画面の水平方向を基準方位(X軸)としたとき、液晶分子のダイレクタ(以下、主視角方向という)は、X軸に対して225°の方位に設定されている。
図4Bは、参照例の液晶表示装置におけるコントラスト比の視野角依存性をシミュレーションした結果を示したものである。ここで、中心は液晶表示パネルの法線方向(Z軸)に相当し、法線方向を中心とした同心円は、法線に対する傾き角度(視角)であり、それぞれ20°、40°、60°、80°に相当する。ここで示した特性図は、各方位についてコントラスト比(CR)が100:1、30:1、10:1に相当する領域を各々結ぶことで得られたものである。
図4Bに示したように、参照例の液晶表示装置では、X軸に対し、0°乃至150°及び270°乃至330°の範囲では視角が60°以上ではコントラスト比が10:1以下になることがわかる。このように参照例の液晶表示装置では、特に主視角方向と逆方向(以下、反主視角方向という)のコントラスト比が視角の増大に伴い著しく低下することが確認された。
図5A乃至図5Cは、図3の構成に基づく液晶表示装置におけるコントラスト比の視野角依存性をシミュレーションした結果を示したものである。ここで、図5Aは第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βが28degの場合に相当し、図5Bはβが37degの場合に相当し、図5Cはβが44degの場合に相当する。これらのシミュレーションにおいては、第5位相差板RF5の法線位相差Rthは、いずれの場合も80nmとした。
図5A乃至図5Cに示したように、第5位相差板RF5を導入することにより、画面の全方位について、視角が60°以上の範囲でコントラスト比10:1が得られ、十分な視野角が得られることが確認できた。すなわち、図5Aに示すように、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βが参照例と同様に28degであっても、反主視角方向のコントラスト比の視野角依存性を改善できることが確認できた。つまり、液晶表示パネルLPNを構成する液晶分子の正の異方性により、正面リタデーションよりも大きいリタデーションを有する反主視角方向において、法線方向から視角を倒すに従って(視角の増大に伴って)コントラスト比の低下を改善するためには、第5位相差板RF5として法線位相差Rthを有するネガティブCプレートを適用することが必要であることが確認できた。
ネガティブCプレートは、面内位相差Roが略ゼロであるので正面特性(例えば正面コントラスト)を低下させることはない。しかしながら、液晶表示パネルLPNを構成する液晶分子の正の異方性により、正面リタデーションよりも小さいリタデーションを有する主視角方向においては、ネガティブCプレートの法線位相差Rthを何らかの方法により光学的に補正しなければ光学補償のバランスが崩れることになる。図5Aにおける主視角方向(225°方位)のコントラスト比の視野角依存性(例えばコントラスト比100:1の領域)が参照例の液晶表示装置の視野角特性(図4B)より低下するのはこのためである。
第5位相差板RF5の主視角方向における法線位相差Rthを光学的に補正する手段としては、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βを参照例の値28degよりも大きくすれば良い。一方で、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βを大きくしすぎると過補償となる傾向がみられ、図5Cに示したように、視野角特性を低下させることになる。
このように、図5A乃至図5Cに示したシミュレーション結果に基づき、第5位相差板RF5の主視角方向における法線位相差Rthを光学的に補正するために、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βは、28deg<β<44degの範囲に設定される。望ましくは、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βは、30deg<β<40degの範囲に設定される。これにより、第5位相差板RF5を導入したことによる視野角拡大効果が十分に発揮され、コントラスト比が10:1の低コントラスト領域だけでなく、コントラスト比100:1の高コントラスト領域においても、ほぼ全方位に拡大できることが明確になった。
図6A乃至図6Cは、図3の構成に基づく液晶表示装置におけるコントラスト比の視野角依存性をシミュレーションした結果を示したものである。ここで、図6Aは第5位相差板RF5の法線位相差Rthが80nmの場合に相当し、図6Bは第5位相差板RF5の法線位相差Rthが100nmの場合に相当し、図6Cは第5位相差板RF5の法線位相差Rthが150nmの場合に相当する。これらのシミュレーションにおいては、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βは、いずれの場合も37degとした。
すなわち、第5位相差板RF5の法線位相差Rthを80nmよりも大きくすることにより、視野角が拡大する傾向にあり、画面の上下及び左右の各方位においてコントラスト比10:1以上が得られ、また、全方位においてコントラスト比100:1の領域が拡大している。しかしながら、第5位相差板RF5の法線位相差Rthを大きくしすぎると、視野角が縮小する傾向がみられる。
つまり、図6A乃至図6Cに示したシミュレーション結果に基づき、第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βは、28deg<β<44degの範囲に設定した場合には、第5位相差板RF5の法線位相差Rthを80nm<Rth<150nmの範囲に設定している。望ましくは、第5位相差板RF5の法線位相差Rthは、100nm<Rth<120nmの範囲に設定している。このような範囲に設定することにより、最も良好な視野角特性が得られることがわかる。
このような検討に基づき、第5位相差板RF5の法線位相差Rthを80nm<Rth<150nmの範囲に設定し、かつ、第2位相差板RF2の平均傾斜角βを28deg<β<44degの範囲に設定することにより、主視角方向、反主視角方向、上下左右の全方位に対して、コントラスト比が10:1の低コントラスト領域だけでなく、コントラスト比が100:1の高コントラスト領域まで改善することが可能となることが確認された。
このような実施の形態に係る構成によれば、高コントラスト領域の拡大による視認性の向上が可能であり、しかも、視野角特性を拡大することが可能であり、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
次に、上述した実施の形態の構成において、第2位相差板RF2のリタデーションの波長分散特性について検討する。
まず、第2位相差板RF2として適用可能な1/4波長板としての機能を有する各部材、すなわち、ノルボルネン系ポリマーからなるもの(例えば、ゼオノア(オプテス(株)製)、アートン(JSR(株)製)など)、ポリカーボネート(PC)に既存のWVフィルム(富士写真フィルム(株)製)を貼合したもの、既存のNHフィルム(新日本石油化学(株)製)、及び、逆波長分散型の異方性フィルムのそれぞれについて、可視域(380nm程度から780nm程度までの範囲)における各波長におけるリタデーションを測定した。
図7Aは、各部材及び理想的な1/4波長板について、550nmのリタデーションで規格化した規格化リタデーション値(R/R550)の波長分散特性を示したものである。図7Aに示したように、ポリカーボネートとWVフィルムとを組み合わせた異方性フィルム、及び、逆波長分散型の異方性フィルムは、550nmより短波長側での規格化リタデーション値が1未満となるとともに550nmより長波長側での規格化リタデーション値が1を越えている。これは、理想的な1/4波長板と同様の傾向である。一方、ノルボルネン系ポリマーからなる位相差板については、可視域の全波長について規格化リタデーション値がほぼ一定である。また、NHフィルムは、550nmより短波長側での規格化リタデーション値が1を越えるとともに550nmより長波長側での規格化リタデーション値が1未満となる。
このように、ポリカーボネートとWVフィルムとを組み合わせた異方性フィルム、ノルボルネン系ポリマーからなる位相差板、及び、NHフィルムは、理想的な1/4波長板と比較して、550nmより短波長側での規格化リタデーション値が理想的な1/4波長板の値を上回り、且つ、550nmより長波長側での規格化リタデーション値が理想的な1/4波長板の値を下回るような波長分散特性を有している。一方で、逆波長分散型の異方性フィルムは、可視域のほぼ全波長について理想的な1/4波長板よりも規格化リタデーション値が下回るような波長分散特性を有している。
また、これらの部材を第2位相差板RF2として適用し、液晶表示装置において主に透過部を利用した透過表示を行った際、画面の法線方向でのコントラストを測定した。なお、第1位相差板RF1、第3位相差板RF3、及び、第4位相差板RF4は、いずれもゼオノアを適用した。
図7Bは、ポリカーボネートとWVフィルムとを組み合わせた異方性フィルムを第2位相差板RF2として適用した場合の正面コントラスト比(正面CR)を1としたときの、各部材での正面コントラスト比の値を示したものである。図7Bに示したように、第2位相差板RF2としてポリカーボネートとWVフィルムとを組み合わせた異方性フィルムを適用した場合には正面コントラスト比が最も高く、逆波長分散型の異方性フィルムを適用した場合には正面コントラスト比が最も低かった。
これは以下のような理由に基づくものである。すなわち、ポリカーボネートとWVフィルムとを組み合わせた異方性フィルムを適用した場合に得られた正面コントラスト比が最も高くなるのは、λ/2相当の位相差を有する第1位相差板RF1として適用されたゼオノアとの組み合わせにより、理想的なλ/4板の波長分散特性に最も近づいたためである。また、ノルボルネン系ポリマーを適用した場合にも同様の理由により、比較的高い正面コントラスト比が得られた。NHフィルムを適用した場合であっても、ポリカーボネートとWVフィルムとを組み合わせた異方性フィルムを適用した場合の約半分の正面コントラスト比が得られた。
つまり、液晶層LQについても、各波長におけるリタデーションを測定したとき、少なからず波長によってリタデーションが異なるような波長分散特性を示す。ここで、第2位相差板として上述したような部材を適用した場合には、液晶層LQが持つリタデーションの波長分散特性とのマッチングが良好であり、液晶層LQの波長分散特性を各光学素子における位相差板の波長分散特性によって補償するような作用が得られる。このため、液晶層及び各光学素子を通過する際にこれらを透過する各波長の光が受けるリタデーションの影響はほぼ同程度となり、いずれの波長においてもほぼ同等の楕円率の偏光状態が得られる。これにより、透過表示を行った際に、特に黒表示の色味の劣化が抑制され、高い正面コントラスト比が得られる。
一方、逆波長分散型の異方性フィルムを適用した場合に得られた正面コントラスト比が最も低くなるのは、λ/2相当の位相差を有する第1位相差板RF1として適用されたゼオノアとの組み合わせにより、理想的なλ/4板の波長分散特性と最も乖離したためである。
つまり、第2位相差板として逆波長分散型の異方性フィルムを適用した場合には、液晶層LQが持つリタデーションの波長分散特性とのマッチングが悪く、液晶層LQの波長分散特性に対して各光学素子における位相差板の波長分散特性がさらに乖離する方向に(補償する方向とは逆に)作用する。このため、液晶層及び各光学素子を通過する際にこれらを透過する各波長の光が受けるリタデーションの影響の差が拡大し、各波長において異なる楕円率の偏光状態となる。これにより、透過表示を行った際に、特に黒表示の色味が劣化し、正面コントラスト比の低下を招く結果となる。
図8は、第2位相差板RF2としてNHフィルムを適用した液晶表示装置の470nm(B)、550nm(G)、610nm(R)の各波長におけるT−V特性(つまり、液晶層に印加する電圧対透過率の関係)を示したものである。また、図9は、第2位相差板RF2として逆波長分散型の異方性フィルムを適用した液晶表示装置の各波長におけるT−V特性を示したものである。
図8に示したように、第2位相差板RF2としてNHフィルムを適用した液晶表示装置については、各波長におけるT−V特性は、いずれの波長においても実際の駆動電圧である4.5VでTmin(=黒表示状態)を示し、全波長領域で十分な光学補償がされていることがわかる。つまり、先に述べたように、いずれの波長においてもほぼ同等の楕円率の偏光状態が得られたことにより、黒表示を行うための電圧のばらつきが小さく、実際の駆動電圧により良好な正面コントラスト比が得られたのである。この傾向は、理想的な1/4波長板の波長分散特性に対し、550nmより短波長側では分散が大(すなわち規格化リタデーション値が1/4波長板の値より大)かつ550nmより長波長側では分散が小である部材を適用した場合において全て同様な結果を示した。
一方、図9に示したように、逆波長分散型の異方性フィルムを適用した液晶表示装置については、R、G、Bの各波長における黒表示を行うための電圧にばらつきが生じている。すなわち、実際の駆動電圧である4.5Vでは、550nmの光だけがTmin(=黒表示状態)となっており、550nmの光だけが光学補償され、他の波長領域の光については光学補償が不十分であることを示している。つまり、先に述べたように、各波長において異なる楕円率の偏光状態となるため、黒表示を行うための電圧が大きくばらつく。これに起因して、各波長の画素について実際の駆動電圧(4.5V)で駆動した場合には、正面コントラスト比の低下を招くことになる。
このような検討に基づき、図3に示したような構成の液晶表示装置においては、第2位相差板RF2として、可視域のほぼ全波長においてそのリタデーションの波長分散が理想的な1/4波長板の波長分散特性とNHフィルムの波長分散特性との間にあるような位相差板を適用することにより、高い正面コントラスト比を得ることが可能となる。
つまり、第2位相差板RF2については、550nmより短波長側の波長として400nmでの規格化リタデーション値が理想的な1/4波長板の値に相当する0.7以上であり、且つ、550nmより長波長側の波長として650nmでの規格化リタデーション値が理想的な1/4波長板の値に相当する1.2以下となるような波長分散特性を有する部材が適用される。しかも、この第2位相差板RF2については、550nmより短波長側の波長として400nmでの規格化リタデーション値が既存のNHフィルムと同等の値に相当する1.3以下であり、且つ、550nmより長波長側の波長として650nmでの規格化リタデーション値が既存のNHフィルムと同等の値に相当する0.9以上となるような波長分散特性を有する部材が適用される。
上述したような範囲の波長分散特性を有する位相差板としては、ノルボルネン系ポリマーからなるもの、NHフィルム、及び、ポリカーボネートとWVフィルムとの組み合わせを例に挙げたが、ノルボルネン系ポリマーからなるものについては、視野角拡大機能はない。つまり、正面コントラスト比を向上させつつ視野角を拡大させるためには、上述したような範囲の波長分散特性を有するのみならず、光学的に異方性を有するものであることが必要である。この実施の形態では、第2位相差板RF2として適用可能なものとして、NHフィルム、及び、ポリカーボネートとWVフィルムとの組み合わせを挙げたが上述した条件に該当するものであればこれらに限らない。
以上説明したように、所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与えるとともに光学的に異方性を有する第2位相差板RF2を、上記の波長分散特性を有する部材によって構成したことにより、第2位相差板RF2における平均傾斜角及び第5位相差板RF5における法線位相差の最適化による視野角特性の改善効果に加え、広視野角化且つ高コントラスト化が可能となり、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
また、第2位相差板RF2と組み合わせられる第1位相差板RF1が有するリタデーションの波長分散特性、及び、液晶層が有するリタデーションの波長分散特性を考慮して、ノルボルネン系ポリマー並に小さい分散の部材を第2位相差板RF2に適用することが望ましい。つまり、第2位相差板RF2は、400nmでの規格化リタデーション値が0.8以上1.2以下となり且つ650nmでの規格化リタデーション値が0.9以上1.1以下となるような波長分散特性を有することが望ましい。
さらに、第2位相差板RF2に相当する異方性フィルムとしてWVフィルムを適用する場合にはポリカーボネートなどの1/4波長板としての機能を有する基材との組み合わせが必要となり、低コスト化、薄型化の妨げとなる。このため、第2位相差板としては、ネマティック液晶分子を法線方向に沿ってハイブリッド配向した状態で固定化させた液晶フィルム(例えば既存のものよりも低波長分散のNHフィルム)を適用することが望ましい。
(実施例)
次に、上述した実施の形態に係る表示モードがノーマリーホワイトモードの液晶表示装置の構成例について図10を参照して説明する。
次に、上述した実施の形態に係る表示モードがノーマリーホワイトモードの液晶表示装置の構成例について図10を参照して説明する。
図10に示したR値とは、所定波長ここでは550nmの波長におけるリタデーション値を示している。また、軸角度とは、偏光板の吸収軸及び位相差板の遅相軸が基準方位X軸に対して反時計回りになす角度であり、図11によって定義されるものである。図11において、A1及びA2は、それぞれ第1偏光板51及び第2偏光板61の吸収軸を表し、D1乃至D4は、それぞれ第1位相差板RF1乃至第4位相差板RF4の遅相軸を表したものである。
第1位相差板RF1、第3位相差板RF3、及び、第4位相差板RF4は、ゼオノアを延伸したフィルムを適用し、そのNz係数は1.0であった。また、第2位相差板RF2は、既存のNHフィルムを適用し、実施例においては第2位相差板RF2を構成する液晶分子の平均傾斜角βは、比較例の場合は28deg、本実施例の場合は37degとした。さらに、本実施例においては、第2光学素子OD2は第5位相差板RF5を備えており、第5位相差板RF5としてVACフィルム(住友化学(株)製)を適用し他。この第5位相差板RF5の面内位相差Roはほぼ0nmであり、法線位相差Rthは100nmであった。
液晶表示パネルLPNに入射する円偏光は、偏光板の吸収軸を1/4波長相当の位相差を有する位相差板の遅相軸に対して45°の角度で配置することで形成することができる。良好な光学補償を実現するためには、380nm乃至780nmの波長域において均一な円偏光を形成しなければならないが、現存する位相差板(ポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマーなど)の屈折率の波長分散特性は理想的な1/4波長板の特性には至らず、そのため、1/2波長相当の位相差を有する位相差板と1/4波長相当の位相差を有する位相差板とを組み合わせて理想的な1/4波長板の特性に近づける必要がある。そこで、偏光板(pol)の吸収軸、1/2波長板(λ/2)の遅相軸及び1/4波長板(λ/4)の遅相軸の軸角度は、以下に示すような考え方に基づき設計される。
偏光板を通過した光は直線偏光に変換され、1/2波長板相当の位相差を有する1/2波長板に入射する。1/2波長板は旋光子であり、偏光板の吸収軸と1/2波長板の遅相軸のなす角度×2だけ直線偏光の振動方向を回転させる機能を有する。例えば、偏光板の吸収軸と1/2波長板の遅相軸のなす角度をAとすると1/2波長板を通過した後の光は、偏光板の吸収軸と2×Aの角度をなす直線偏光に変換される。
この直線偏光に対し、1/4波長板の遅相軸を45°近傍に配置すれば円偏光板を作製することが可能となる。この考えに基づき、第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2を設計することができ、液晶表示パネルLPNに対して最適化を図ることができる。
液晶表示パネルLPNについて、液晶層LQは、ホモジニアス配向した液晶分子40を含む液晶組成物によって構成されており、例えば、液晶組成物としてMJ041113(メルク社製、Δn=0.065)を適用した。このとき、液晶分子40のダイレクタ(液晶分子の長軸方位)40Dは、X軸に対して225°の角度をなすように設定した。また、液晶層LQにおける透過部のギャップは4.9μmに設定した。
このような構成により透過部を利用した透過表示を行った際、画面の法線方向での正面コントラスト比は、比較例では180であったのに対して、本実施例によれば350であった。
また、コントラスト比の視野角依存性をシミュレーションしたところ、コントラスト比10:1以上の領域は、比較例によれば、上下方位についてそれぞれ56°及び80°であり、左右方位についてはそれぞれ80°及び62°であった。これに対して、本実施例によれば、ほぼ全方位にわたって高コントラスト領域を拡大することができ、特に、画面の上下方位についてそれぞれ80°及び80°であり、画面の左右方位についてはそれぞれ80°及び80°であった。
上述した実施例では、第1位相差板RF1、第3位相差板RF3、及び、第4位相差板RF4のそれぞれは、一軸性の位相差板であるゼオノアを採用したが、同様の一軸性の位相差板や、2軸の位相差板など要求される性能及び補償すべき位相差などに応じて適宜採用可能である。また、第2位相差板(異方性フィルム)についても、NHフィルムに限らず、ポリカーボネートにWVフィルムを貼合してなる異方性フィルム、理想的なλ/4板の波長分散特性とNHフィルムの波長分散特性との間に波長分散特性を有する異方性フィルムを適宜採用可能である。また、第5位相差板についても他の位相差板を適宜採用可能である。
以上説明したように、この実施の形態によれば、視野角を拡大できるとともにコントラストを改善することができ、表示品位の良好な画像を表示することが可能となる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、スイッチング素子WがNチャネル薄膜トランジスタで構成された例について説明したが、同様の各種駆動信号を発生できる構成であれば、他の構成であっても良い。
また、上述した実施形態において、第1光学素子OD1を液晶表示パネルLPNにおける対向基板側の外面に配置し、第2光学素子OD2をアレイ基板側の外面に配置しても同様の効果が得られる。
第1光学素子OD1を構成する第1偏光板51及び第1位相差板RF1の組み合わせ、及び、第2光学素子OD2を構成する第2偏光板61及び第3位相差板RF3の組み合わせの少なくとも一方は、図12に示すように、支持体層101、この支持体層101上に配置された偏光子層102、及び、この偏光子層102上に配置されたシクロオレフィン系ポリマーによって形成され、その進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える位相差層103を有する光学素子100によって構成しても良い。この支持体層101としては、トリアセテートセルロース(TAC)によって形成可能である。偏光子層102は、染色されたポリビニルアルコール(PVA)によって形成可能である。このような光学素子100を適用することにより、第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2を構成する部品点数を削減することができ、薄型化及び低コスト化が可能となる。
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層 BL…バックライトユニット DSP…表示領域 PX…画素 PR…反射部 PT…透過部 β…平均傾斜角 Ro…面内位相差 Rth…法線位相差 OD1…第1光学素子 OD2…第2光学素子 RF1…第1位相差板 RF2…第2位相差板 RF3…第3位相差板 RF4…第4位相差板 RF5…第5位相差板
Claims (7)
- 互いに対向して配置された第1基板と第2基板との間にホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層を保持した液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの一方の外面に設けられ、第1偏光板、この第1偏光板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える第1位相差板、及び、この第1位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与えるとともに光学的に異方性を有する第2位相差板、を含む第1光学素子と、
前記液晶表示パネルの他方の外面に設けられ、第2偏光板、この第2偏光板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える第3位相差板、この第3位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置され進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/4波長の位相差を与える第4位相差板、及び、この第4位相差板と前記液晶表示パネルとの間に配置された第5位相差板、を含む第2光学素子と、を備え、
前記第2位相差板における液晶分子の平均傾斜角βは、28°<β<44°の範囲に設定され、かつ、
前記第5位相差板は、その面内での互いに直交する方位の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、その法線方位の屈折率をnzとしたときに、nx≒ny>nzの関係の屈折率異方性を有し、しかも、前記第5位相差板の厚みをdとし、法線位相差をRth=[(nx−ny)/2−nz]×dとしたとき、80nm<Rth<150nmの範囲に設定されたことを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第2位相差板は、各波長におけるリタデーションを550nmのリタデーションで規格化したとき、400nmでの規格化リタデーション値が0.7以上1.3以下となり且つ650nmでの規格化リタデーション値が0.9以上1.2以下となるような波長分散特性を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第2位相差板は、ネマティック液晶分子を法線方向に沿ってハイブリッド配向した状態で固定化させた液晶フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第1位相差板及び前記第3位相差板及び前記第4位相差板は、1軸の位相差板であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- さらに、前記第1光学素子側から前記液晶表示パネルを照明するバックライトユニットを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 表示モードがノーマリーホワイトであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第1偏光板及び第1位相差板の組み合わせ、及び、前記第2偏光板及び第3位相差板の組み合わせの少なくとも一方は、支持体層、この支持体層上に配置された偏光子層、及び、この偏光子層上に配置されたシクロオレフィン系ポリマーによって形成されその進相軸及び遅相軸を透過する所定波長の光の間に1/2波長の位相差を与える位相差層を有する光学素子によって構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
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JP2020184037A (ja) * | 2019-05-09 | 2020-11-12 | 株式会社日本製鋼所 | 波長板、波長板の製造方法及び光学装置 |
EP4083698A4 (en) * | 2019-12-23 | 2024-03-13 | Kyocera Corporation | LIQUID CRYSTAL DISPLAY AND PORTABLE DEVICE |
-
2006
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