JP2007333481A - レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】信号抽出部において、ミキサ4からのIF信号より、送受切り替え部2より漏洩するメインバング信号にあたる部分を、周波数推定用信号として抽出して、周波数推定部14において周波数を推定し、IF信号の周波数が、目標値になるように、局部発振器5の局部発振信号の周波数を制御する。周波数推定部における周波数推定については、離散フーリエ変換や高速フーリエ変換などを用いる。
【選択図】図1
Description
図7において、送信トリガに応答してマグネトロン101で生成されるパルス信号は、送受切り替え部102を介してアンテナ103に送られ、電磁波として探知領域に向け輻射される。物標によって反射されたエコー信号はアンテナ103で受信され、送受切り替え器102を経て、ミキサ104において、局部発振器105からの局部発振信号と合成されてIF信号(中間周波数帯域の信号)に変換される。なお、局部発振器105には、印加する制御電圧を変化させることで発振周波数を変更可能なものが用いられる。さて、ミキサ104から出力されるIF信号は、アンプ106、帯域フィルタ107、検波部108を経てメインバング信号抽出部109に送られる。メインバングとは、マグネトロン101において生成されるパルス信号の一部が、アンテナ103で空中に輻射されずに反射されるなどして、送受切り替え部102を介して受信系へ漏洩したもののことをいう。メインバング抽出部109では、入力される信号から、メインバング信号が抽出され、エンベロープピーク検出部111に入力される。エンベロープピーク検出部111においては、入力されたメインバング信号の強度のピーク値が、局部発振器105に印加する制御電圧を順次変更させながら実行される複数回のレーダの探知動作にわたって蓄積され、メインバング信号の強度のピーク値が最大となる局部発振器105の制御電圧が決定され、以後の送信動作の際、決定された制御電圧が局部発振器105に印加される。なお、メインバング信号以外の信号は映像用信号として表示部110に送られ、探知画像が表示される。
このレーダ装置では、周波数検出したい信号の波の数を一定時間カウントし、その値を同じ時間だけカウントした基準信号の波の数と比較することで、周波数の値を推定する手法を用いている。図9に、特許文献1に開示されているレーダ装置の概略を示す。図9に示すように、ミキサ204から出力されるIF信号、及び補償信号発生器207が発生させる基準信号は、マルチプレクサ206を介して比較器208に入力され、それぞれの信号が矩形波に整形される。その後、矩形波に変換したIF信号と基準信号とをそれぞれゲート209により一定時間切り出して、カウンタ210で波の数をカウントする。特許文献1に記載のレーダ装置では、このように同じ時間にわたってカウントしたIF信号の波の数と、基準信号の波の数とを比較することにより、IF信号の周波数を推定し、IF信号の周波数が所定の目標値に一致するように、同調電圧発生器211によって局部発振器205に印加する電圧を制御している。
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態について説明する。
図1は、本発明を用いた第1の実施形態の、レーダ装置のブロック図である。また、図2は各部の信号波形を表わしたものである。
周波数推定部14では、周波数推定用信号の周波数領域におけるスペクトルの強度が最大となる周波数をそのまま周波数推定用信号の推定周波数として出力させても良いが、より高精度な推定の為には、周波数領域におけるスペクトルの強度が最大となる周波数のデータと、その近傍の周波数におけるデータを用いて、周波数を求めてもよい。この方法は、水中音響の分野で用いられる周波数推定法であり、田部井・上田方式とも呼ばれ、詳細は米国特許公報5,224,075に開示されている。
また、周波数推定部14では、フーリエ変換による方法のほかに、周波数推定用信号の極値やゼロクロス点を数えることにより、同信号の周波数を推定する方法を用いても良い。
(S10)このステップでは、レーダ装置の送信動作が行なわれる。すなわち、マグネトロン1に送信トリガが印加され、アンテナ3からパルス状の電波が所定方位に向けて送信される。
(S11)このステップでは、送受切り替え部2から受信部に対して出力される信号から、メインバングにあたる周波数推定用信号が信号抽出部12により取り出され、周波数推定部14において周波数が推定される。
(S12)このステップでは、周波数推定部14において推定された周波数が所定の範囲(例えば58MHzから62MHzの間)に収まっているか否かが、周波数制御部14にて判断される。
(S13)このステップでは、周波数制御部15により、周波数推定部14で推定された周波数に基づいて、局部発振器5に印加する制御電圧を変更する制御が行われる。具体的には、例えば、目標周波数と、推定された周波数の差をVCO特性の傾きで除算して得られる電圧差分値を、前回の制御電圧に加算または減算した値を局部発振器5に印加する制御が行われる。
(S14)このステップでは、周波数制御部15により、局部発振器5に対し引き続き同じ制御電圧を印加する制御が行われる。
なお、この方法では、2回の実測において、マグネトロンの発振周波数が変化しないことを前提としているため、これら2回の実測は、マグネトロンの発振が安定している際に、続けて行なうことが望ましい。
マグネトロンの発振周波数は一般に不安定であると説明したが、特にレーダ装置の電源投入時においてマグネトロンの発振が開始される際や、探知レンジの変更にあたって送信パルス長が変更された際は、極端に高い周波数や低い周波数になることがある。また、通常動作している場合でも、マグネトロンの発振状態の変動により、第1の実施形態のレーダ装置では周波数推定部14で推定される周波数がIF信号の周波数の目標値から大きくずれてしまい、周波数推定部14で処理できる周波数範囲から外れてしまうことがある。このような場合にも対応できるレーダ装置の構成を第2の実施形態として説明する。
図5において、高周波信号(例えば9410MHz付近の高周波信号)を発生させるマグネトロン1が送受切り替え部2を介してアンテナ3に接続されており、このアンテナから各方位に送信トリガ(図2(a))に同期して順次パルス状の電波が送信される。送信された電波は電波の送信方位に存在する物標により反射され、アンテナ3で受信される。アンテナ3により受信された受信信号は送受切り替え部2を介してミキサ4に導かれ、ミキサ4に接続されている局部発振器5からの局部発振信号(例えば9470MHz付近の信号)と合成されることにより中間周波数帯域のIF信号(この例の場合は60MHz付近の信号。図2(b))が出力される。局部発振器5には、VCOを使用する。
本発明のレーダ装置における同調処理は、原則として以下に説明する微調モードで実行される。なお、粗調モードは後述する粗調モードの実行タイミングで間欠的に実行される。
微調モードにおいて、マルチプレクサ9は、送信トリガに同期した制御信号(図2(c))によって制御されており、IF信号の内、検波されていない、メインバング信号にあたる部分(キャリア信号)と、検波されている、メインバング信号以外の部分(映像用信号)を時分割的に合成した合成信号(図2(d))を生成する。この合成信号はアンプ10で増幅され、続くA/D変換部11によってサンプリングされてデジタル信号に変換された後、信号抽出部12で再び、メインバング信号に対応するデジタル信号である周波数推定用信号と表示用信号の2つに切り分けられる。信号抽出部12の制御信号は図2(f)の通りである。また、表示用信号については、表示処理部13において処理され、物標の探知映像が表示される。なお、信号抽出部12の構成については、第1の実施形態で説明したとおりである。
まず、粗調モードの実行タイミングについて説明する。
粗調モードは、電源投入直後や探知レンジ変更直後、あるいは、レーダ装置が微調モードで動作している場合であって周波数推定部14において粗調モードによる局部発振周波数の調整が必要と判断された場合に実行される。周波数推定部14において、粗調モードによる調整が必要と判断されるのは具体的には、周波数推定部14で推定される周波数推定用信号の周波数値が、あらかじめ設定してある所定の周波数範囲(第1周波数範囲)、例えば、40MHzから80MHzから逸脱した場合や、周波数推定部14において推定されるIF信号の周波数値が激しく揺らいだ場合等の諸条件が考えられる。
レーダ装置が、粗調モードに切り替わると、周波数制御部15により局部発振器5に印加される制御電圧を送信ごとに順次変更させつつ、複数回レーダの送受信動作が行なわれる。
ビデオピーク検出部17では、局部発振器5に印加する制御電圧を順次変化させながら実行される複数回のレーダ探知動作にわたって、周波数推定用信号の強度を逐次検出して記憶し、この強度が最大となる局部発振器5の制御電圧を求めて周波数制御部15に対して出力する。ここで、周波数推定用信号の強度については、周波数推定用信号の最大値を用いても良いし、所定のスレッショルド値を越える周波数推定用信号の強度の積分値を用いても良い。
なお、粗調モードについては、特許文献1に記載された方法等の従来から知られている別の同調技術を用いることももちろん可能である。
(S20)このステップでは、レーダ装置の電源が投入された直後であるか否かが、判断される。電源投入直後はマグネトロンの発振周波数が不安定であるので、粗調モードにて同調をとることが好ましい。
(S21)このステップでは、レーダ装置の探知レンジの変更直後であるか否かが判断される。レーダの送信レンジ変更に伴い、マグネトロンで生成する送信パルスのパルス長が変更されるので、マグネトロンの周波数の変動が激しくなる。このような場合は、粗調モードによる同調を行なうことが好ましい。なお、このステップは省略可能である。
(S22)このステップでは粗調モードの動作が実行される。すなわち、局部発振器5に印加する制御電圧を順次変化させながら複数回のレーダ探知動作が実行され、ビデオピーク検出部17においては、それぞれの動作の際に、IF信号から抽出される検波されたメインバング信号の強度を逐次検出して記憶し、この強度が最大となる前記局部発振器5の制御電圧を求め、前記周波数制御部15に対して出力する。なお、粗調モードについては、一度実行されると自動的に微調モードに移行するが、微調モードに移行した直後は、周波数制御部15は求められたメインバング信号の強度が最大となる制御電圧を局部発振器5に印加して、探知動作を開始する。なお、電源投入直後等、とくにマグネトロン1の発振が不安定な場合は、粗調モードを所定回連続して実行するようにしても良い。この場合、最終的な制御電圧としては、所定回にわたり決定された制御電圧の平均値としても良い。
(S23)このステップでは微調モードの動作が実行される。微調モードについては、図4のフローチャートで説明した動作とほぼ同様である。すなわち、IF信号の内、メインバングに相当する部分の周波数が周波数推定部14において推定され、推定された周波数がほぼ一定となるように、局部発振器5に印加される制御電圧が周波数制御部15により制御される。
(S24)このステップでは、微調モードの実行中に、粗調モードにモード変更することが必要であるか否かが判断される。すなわち、周波数推定部14で推定される周波数推定用信号の周波数値が、あらかじめ設定してある所定の周波数範囲、(第1周波数範囲)例えば、40MHzから80MHzから逸脱しているか否かや、周波数推定部14において推定されるIF信号の周波数値の激しく変動しているか否かが判断される。これらの判断条件からモード変更が必要と判断されれば、レーダ装置の動作は粗調モードに移行する。
粗調モードで求められた、周波数推定用信号の強度を最大にする局部発振器5の制御電圧と、あらかじめ周波数制御部15に記憶されている目標周波数に対応する制御電圧が、一致しないことがある。これは、バンドバスフィルタ7の特性が、製造段階で発生する誤差に起因してレーダ装置毎にまちまちである為であり、周波数制御部15にデフォルトで設定されている目標周波数を目標値としたままで、微調モードの動作を行なった場合は最良の探知画像を得ることができないことになる。この目標周波数を粗調モードでの動作の結果分かった周波数推定用信号の強度を最大にする制御電圧に対応した周波数に変更すれば、このような不具合を解消することができる。
2 送受切り替え部
3 アンテナ
4 ミキサ
5 局部発振器
6 アンプ
7 バンドパスフィルタ
8 検波器
9 マルチプレクサ
10 アンプ
11 A/D変換部
12 信号抽出部
13 表示部
14 周波数推定部
15 周波数制御部
16 信号切り替え部
17 ビデオピーク検出部
Claims (11)
- 電波を送信し、物標からの反射波を受信するアンテナと、
マグネトロンからの高周波信号を前記アンテナに供給すると共に、前記アンテナからの信号を出力する送受切り替え部と、
前記送受切り替え部から出力される信号と、局部発振器で生成される局部発振信号とを合成し、中間周波数帯域のIF信号を出力するミキサと、
前記IF信号をフィルタリングするバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタから出力される信号を検波して検波信号を出力する検波器と、
前記IF信号及び前記検波信号をA/D変換するA/D変換部と、
前記A/D変換後の前記検波信号を処理して物標の探知映像を表示する表示処理部と、
前記A/D変換後の前記IF信号のうち、メインバングに相当するキャリア信号の周波数値をフーリエ変換によって推定する周波数推定部と、
前記ミキサから出力される前記IF信号の周波数が所定の目標周波数に近づくように、前記周波数推定部で推定された周波数に基づいて、前記局部発振器に印加する制御電圧を制御する周波数制御部とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 請求項1に記載のレーダ装置において、
前記検波器から出力される検波信号と、前記ミキサから出力される未検波のIF信号とを時分割的に選択し、前記A/D変換部に出力する信号合成部と、
前記A/D変換部の出力から、メインバングに相当する信号を抽出して前記周波数推定部に出力するとともに、残りの信号または前記A/D変換部の出力を前記表示処理部に出力する信号抽出部とをさらに備え、
前記IF信号及び前記検波信号を1つのA/D変換部によってA/D変換することを特徴とするレーダ装置。 - 電波を送信し、物標からの反射波を受信するアンテナと、
マグネトロンからの高周波信号を前記アンテナに供給すると共に、前記アンテナからの信号を出力する送受切り替え部と、
前記送受切り替え部から出力される信号と、局部発振器で生成される局部発振信号とを合成し、中間周波数帯域のIF信号を出力するミキサと、
前記IF信号をフィルタリングするバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタから出力される信号を検波して検波信号を出力する検波器と、
前記IF信号及び前記検波信号をA/D変換するA/D変換部と、
A/D変換後の前記検波信号を処理して物標の探知映像を表示する表示処理部と、
所定の条件に基づいて、前記A/D変換部から出力される検波信号とIF信号とを選択的に出力する信号切り替え部と、
前記A/D変換後の検波信号を入力とし、前記局部発振器に印加する制御電圧を順次変化させながら実行される複数回のレーダ探知動作にわたり前記検波信号のうちメインバングに相当する信号の強度を逐次検出して記憶し、該強度が最大となる前記局部発振器の制御電圧を求めて前記周波数制御部に対して出力するビデオピーク検出部と、
前記A/D変換後のIF信号を入力とし、前記IF信号のうち、メインバングに相当するキャリア信号の周波数値を推定する周波数推定部と、
前記ミキサから出力される前記IF信号の周波数が所定の目標周波数に近づくように、前記ビデオピーク検出部で検出された前記局部発振器の制御電圧或いは前記周波数推定部で推定された周波数に基づいて、前記局部発振器に印加する制御電圧を制御する周波数制御部とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 請求項3に記載のレーダ装置において、
前記信号切り替え部は、電源投入直後、前記周波数推定部で推定された周波数が予め定めた第1周波数範囲から逸脱している場合、或いは推定された周波数の変動量が所定の許容範囲を超えた場合、の何れかをトリガとして、前記A/D変換部から出力される検波信号を出力することを特徴とするレーダ装置。 - 請求項4に記載のレーダ装置において、
前記信号切り替え部は、前記ビデオピーク検出部が、前記検波信号のうちメインバングに相当する信号の強度が最大となる制御電圧を決定した場合に、その出力を前記検波信号から前記IF信号に切り替えることを特徴とするレーダ装置。 - 請求項3に記載のレーダ装置において、
前記検波器から出力される検波信号と、前記ミキサから出力される未検波のIF信号とを時分割的に選択し、前記A/D変換部に出力する信号合成部と、
前記A/D変換部の出力から、メインバングに相当する信号を抽出して前記信号切り替え部に出力するとともに、残りの信号または前記A/D変換部の出力を前記表示処理部に出力する信号抽出部とをさらに備え、
前記IF信号及び前記検波信号を1つのA/D変換部によってA/D変換することを特徴とするレーダ装置。 - 請求項1乃至6の何れかに記載のレーダ装置において、
前記周波数制御部は、前記周波数推定部からの前記周波数値が、前記目標周波数近傍の第2周波数範囲に含まれる場合には、前記局部発振器に印加する制御電圧を変化させないことを特徴とするレーダ装置。 - 請求項3乃至5の何れかに記載のレーダ装置において、
前記周波数制御部は、前記ビデオピーク検出部において求められる、前記検波信号のうちメインバングに相当する信号の強度が最大となる前記局部発振器の制御電圧を印加した際の、前記IF信号の周波数に基づいて、前記目標周波数を修正することを特徴とするレーダ装置。 - 請求項1乃至8の何れかに記載のレーダ装置において、
前記周波数制御部は、前記局部発振器に異なる制御電圧を印加した際の、前記周波数推定部で推定される周波数に基づいて、前記局部発振器の制御電圧と発振周波数の関係を較正することを特徴とするレーダ装置。 - 請求項1乃至9の何れかに記載のレーダ装置において、
前記周波数推定部は、前記IF信号のうち、メインバングに相当するキャリア信号を離散フーリエ変換して得られる最大スペクトルとその近傍のスペクトルに基づいて、周波数を推定することを特徴とするレーダ装置。 - 請求項1乃至10の何れかに記載のレーダ装置において、
前記周波数推定部は、複数回のレーダ探知動作にわたり平均処理された周波数値を、前記周波数制御部に対し出力することを特徴とするレーダ装置。
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