JP2007328032A - カラートナー及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】特に光定着における定着性を向上させるとともに、定着後の画像の色調変動を改善することのできるカラートナー及びそれを用いた画像形成装置を提供することである。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及び下記一般式(I)で示される化合物を含むカラートナーである。
Figure 2007328032

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられるカラートナー及び画像形成装置に関する。さらに詳しくは、光により記録紙への定着を行う光定着用のカラートナー及び画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、印刷機などで広く普及している電子写真方式では、一般的に画像形成は以下のように行われる。まず、感光体ドラムの光導電性絶縁体表面に正または負の均一な静電荷を与える帯電工程の後、光導電性絶縁体表面に例えばレーザ光を照射し、絶縁体表面上の静電荷を部分的に消去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。次いで、例えば光導電性絶縁体上の静電荷の残った潜像部分にトナーと呼ばれる現像剤の微粉体を付着させ、潜像をトナー像に可視化する。このようにして得られたトナー像を印刷物となすため、一般的に、記録紙などの記録媒体に静電的に転写し、その後トナー像は記録媒体に定着される。
上記転写後のトナー像の定着には、加圧、加熱あるいはこれらを併用した方法によってトナーを溶融させた後に固化定着させる方法、もしくは光エネルギーを照射してトナーを溶融させた後に固化定着させる方法などがあるが、加圧や加熱による弊害のない光を利用した光定着法(フラッシュ定着法とも呼ばれる)が注目を集めている。
すなわち、光定着法では、トナーの定着に際してトナーを加圧する必要がないことから、定着ローラなどと接触(加圧)させる必要がなく、定着工程での画像解像度(再現性)の劣化が少ないといった利点がある。また、熱源などにより加熱する必要がないことから、電源を投入してから熱源(定着ローラなど)が所望の温度にまでプリヒートされるまで印字を行えないといったことはなく、電源投入直後から印字を行える。さらに、高温熱源を必要としないことから、装置内の温度上昇を適切に回避できるといった利点があり、またシステムダウンにより定着器内において記録紙詰まりが生じた場合などであっても、熱源からの熱によって記録紙が変質したり発火してしまうこともない。
上記光定着法に関しては、それをカラートナーの定着に使用した場合には、カラートナーの低い光吸収効率のため、通常の黒トナー(ブラックトナー)の定着に比べて定着性が低くなる。そこで、赤外線吸収剤をカラートナーに添加することで定着性向上を図ることが多数提案されている(例えば、特許文献1〜10参照)。これらの提案においては、赤外線領域の光を吸収する材料を赤外線吸収剤としてトナーに添加することで、トナー溶融性低下の課題を解消し、カラー化と光定着性とを両立しようとしている。
しかし、公知のトナー用の赤外線吸収剤は、黒、茶色や緑色を有しているため、カラートナーに添加する場合、トナーの色調に大きく影響し、トナー全体の5質量%以下程度の低添加量としても定着後の画像の色調が変動してしまうことがある。このため、定着性と十分な色再現性とを両立することができなかった。
また、赤外線吸収剤の色を消色する考え方としては、消色可能な可視・近赤外吸収性染料および消色剤を添加してなる光吸収性が改善されたフラッシュ定着用カラートナーが開示されている(例えば、特許文献11参照)。しかし、この方法では、フラッシュ光照射によるトナー溶融の際に、消色可能な染料と消色剤が反応する確率が極めて低いため、十分な消色ができず非常に汚いカラー画像となってしまい、前記問題の解決には到っていない。
特開昭60−63545号公報 特開昭60−57858号公報 特開昭60−131544号公報 特開昭61−132959号公報 特開平7−191492号公報 特開平10−39535号公報 特開平11−38666号公報 特開平11−65167号公報 特開平11−125930号公報 特開2000−35689号公報 特開2000−352835号公報
本発明は、上記従来技術における問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、特に光定着における定着性を向上させるとともに、定着後の画像の色調変動を改善することのできるカラートナー及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤及び下記一般式(I)で示される化合物を含むカラートナーである。
Figure 2007328032
一般式(I)において、nは3〜10であり、R〜R12は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよく、また、Y〜Yは各々独立に置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、水素原子を表し、Zは窒素原子またはリン原子を表す。
<2> 700〜2000nmの範囲に吸収ピークを有し、150℃、10分間の加熱後に、前記吸収ピークの吸収ピーク強度が加熱前の吸収ピーク強度の0〜20%の範囲となる<1>に記載のカラートナーである。
<3> トナーを含む現像剤により記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該トナー像を加熱・加圧または光により記録媒体に定着させる定着手段とを有する画像形成装置であって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及び前記一般式(I)で示される化合物を含むカラートナーである画像形成装置である。
本発明によれば、特に光定着における定着性を向上させるとともに、定着後の画像の色調変動を改善することのできるカラートナー及びそれを用いた画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<カラートナー>
本発明のカラートナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び下記一般式(I)で示される化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2007328032
上記一般式(I)において、nは3〜10であり、R〜R12は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよく、また、Y〜Yは各々独立に置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、水素原子を表し、Zは窒素原子またはリン原子を表す。
なお、一般式(I)の−(CH)=におけるCHは、具体的には−CH=を示すものである。
本発明のカラートナーは、基本的に、一般式(I)で示される化合物を一定比率で配合する以外は、電子写真プロセスにおいて従来より用いられているカラートナーと同様な組成とすることができる。すなわち、本発明のカラートナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むようにして構成される。なお、本発明のカラートナーは、それが使用されるべき電子写真プロセスにおいて採用されている現像方法に依存して、自体磁性を有している磁性トナーであってもよく、あるいは非磁性トナーであってもよい。また、本発明で「カラートナー」といった場合、それには、フルカラー用シアン、マゼンダ、イエロー色の各トナー、赤、緑などのモノカラー用の各色調のトナーも含まれる。
前記のように、光定着法においてカラートナーを使用した場合には、カラートナーの低い光吸収効率のため、通常の黒トナー(ブラックトナー)の定着に比べて定着性が低くなるという問題がある。本発明者等は、トナーに含有させる赤外線吸収剤として種々の探索を行った結果、前記一般式(I)で示される化合物が特異な特性を示すことを確認した。
図1に、一般式(I)におけるnが7の化合物の100℃及び150℃における分光吸収特性を示すが、この化合物は、830nm付近に吸収ピークを有するが、図に示すように昇温により100〜150℃付近でそのものの着色力がなくなる(吸収ピークが低減する)性質を有することがわかった。さらに、一般式(I)におけるnが変わると吸収ピーク波長が変化すること、具体的にはnが1つ減り中央のメチン基が1つ少なくなると、吸収ピーク波長が100nm程度小さくなることも判明した。
これらの特性から、本発明においては、一般式(I)で示される化合物をトナーに用いることにより、従来にない優れた特性を有するカラートナーが得られることが見出された。
すなわち、前記化合物を、従来の光定着用カラートナーの場合と同様に、通常の着色剤とともに赤外線吸収剤として使用すると、フラッシュ定着などの光をトナーが吸収し、トナーが記録媒体に定着した後、前記化合物の着色はほとんどなくなり、トナー画像は所望の色調を有する画像となる。したがって、添加剤として含有させてもトナー画像への着色をほとんど気にする必要がなく、従来より印刷物の色を改善できるとともに、トナーの定着性もより向上できる。
また、前記一般式(I)で示される化合物の中央のメチン基数変化による吸収波長変化を利用し、例えば、トナーに消色しない汎用のシアン着色剤と、前記化合物を用いた消色可能なマゼンタ(赤)系着色剤及び同様の性質を有するイエロー着色剤とを併用し、見かけ上のトナーの色を黒っぽくして光吸収能力を向上させておき、フラッシュ定着後にマゼンタ色とイエロー色とが消色されてシアン色のみを画像として残すことができる。これにより定着性と十分な色再現性とを両立させることができる。
本発明のカラートナーとしては、特に光定着用カラートナーとして用いる場合には、700〜2000nmの範囲に吸収ピークを有し、150℃、10分間の加熱後に、前記吸収ピークの吸収ピーク強度が加熱前の吸収ピーク強度の0〜20%の範囲となるような特性を有することが好ましい。上記特性を満たすことにより、ハロゲンランプなどの光定着用光源に対しても充分な消色特性を得ることができる。
前記吸収ピーク波長が700nmに満たない場合は、光定着用の光源光に対して吸収が充分でなく定着性に劣る場合がある。2000nmを超えた場合にも同様である。前記吸収ピーク波長範囲は700〜1800nmの範囲であることがより好ましい。
さらに、加熱前に対する加熱後の吸収ピーク強度比については、20%を超えると、化合物の色が画像に残ってしまい、所望の色調が得られない場合がある。したがって、加熱後の吸収強度は15%以下であることがより好ましく、0%であることが最も好ましい。
前記トナーの吸収ピーク強度は以下のようにして測定することができる。
なった。
(1)石英セル(PSH−001、大きさ3.4×2.0×4.8cm)にトナーを充填し測定試料とした。
(2)次に、この測定試料を分光光度計にセットし、スリット幅:4mm、測定波長域:300〜2000nm、スキャンスピード:300nm/minの測定条件にて測定し、この際の波長に対する光吸収強度を反射法により求めた。
(3)ここでは、分光光度計として日立製、U−4100を用いた。
なお、本発明において吸収ピーク強度とは、700〜2000nmの範囲での最大の吸光度を意味する。したがって、測定波長域において一般式(I)で示される化合物の吸収と着色剤の吸収とが重なる場合には、予め着色剤のみを含むトナーの光吸収スペクトルを測定し、対象トナーの光吸収スペクトルから着色剤のみの吸収スペクトルを差し引くことによって吸収ピークを特定した。
以下、まず本発明のカラートナーの構成についてより詳細に説明する。
前記一般式(I)で示される化合物の構造に関して、本発明に用いられるものとしては、一般式(I)におけるnは3〜10の範囲であることが好ましく、5〜7の範囲であることがより好ましい。また、R〜R12は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよく、また、Y〜Yは各々独立に置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、水素原子を表し、Zは窒素原子またはリン原子を表す。
本発明のカラートナーにおいて、一般式(I)で示される化合物の含有量は0.1〜5 質量%の範囲とすることが好ましく、0.5〜3質量%の範囲とすることがより好ましい。
光定着用カラートナーとしては、一般式(I)で示される化合物は赤外線吸収剤と同様の役割を有するものであるが、本発明においては前記化合物以外に他の赤外線吸収剤を併用してもよい。
上記赤外線吸収剤としては公知の材料を用いることが可能であるが、具体例としては、例えば、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム化合物等を用いることができる。
これらのうちで、本発明においては、後述するようにカラートナーをマスターバッチを作製して製造することも可能である。具体例としては、シアニン系赤外線吸収剤(富士写真フイルム社製、商品名:CTP−1、IRF−106、IRF−107)、ジアニン化合物(日本化薬社製、商品名:CY−2、CY−4、CY−9)等が挙げられる。
さらに、ニッケル金属錯体系赤外線吸収剤(三井化学社製、商品名:SIR−130、SIR−132)、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−101)、ビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−102)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス(シス−1,2−ジフェニル−1,2−エチレンジチオレート)ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−1011)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−1021)、ビス(4−tert−1,2−ブチル−1,2−ジチオフェノレート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニウム(住友精化社製、商品名:BBDT−NI)、可溶性フタロシアニン(日本触媒社製:TX−305A)、ナフタロシアニン(山陽色素社製、サンプル1)、無機材料系(信越化学社製、商品名:イッテルビウムUU−HP;住友金属社製、インジュームチンオキサイド)などが挙げられる。これらは2種以上併用することができる。
これらの赤外線吸収剤を前記一般式(I)で示される化合物と併用する場合、混合量は前記化合物及び赤外線吸収剤全体量中の0.1〜3質量%の範囲とすることが好ましい。
−結着樹脂−
本発明における結着樹脂としては、公知のバインダー樹脂を使用することができる。結着樹脂の主成分としては、ポリエステル、ポリオレフィンが好ましいが、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等などを単独または併用することができる。耐久性や透光性等の点から、ポリエステル系樹脂またはノルボルネンポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリエステル樹脂についてさらに説明すると、かかるポリエステル樹脂において用いられる酸成分は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、又はこれらの無水物等を包含し、好ましくはテレフタル酸/イソフタル酸である。これらの酸成分は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、フラッシュ定着の臭いが問題にならない範囲で、他の酸成分を上記酸成分に組み合わせて使用できる。他の酸成分として、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等が挙げられ、更には、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸、またはこれらの酸の無水物、低級アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸も挙げられる。また、ポリエステル樹脂に架橋を施すためには、三価以上のカルボン酸成分も同様に他の酸成分として混合使用可能である。三価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、その他のポリカルボン酸、及びこれらの無水物を挙げることができる。
また、このようなポリエステル樹脂は、通常、アルコール成分中の80モル%以上がビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物からなるものであり、好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上である。ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物の量が80モル%未満であると、相対的に臭いの発生原因となるモノマー使用量が多くなるため、好ましくない。
上記ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で結着樹脂として使用するポリエステル樹脂において、必要に応じて、他のアルコール成分を上記のアルコール成分に組み合わせて使用してもよい。他のアルコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等、その他の二価のアルコールを挙げることができる。
また、他のアルコール成分として、三価以上のアルコールも好適である。かかるアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、その他の三価以上のアルコールを挙げることができる。
さらに、かかるポリエステル樹脂を合成する反応の際には、その反応を促進せしめるため、通常使用されているエステル化触媒、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等を有利に使用することができる。
なお、以上述べたトナーに使用される結着樹脂のTg(ガラス転移点)は、好ましくは50〜80℃の範囲である。
−着色剤−
本発明の電子写真用トナーには着色剤を含有させる。着色剤としては、下記に示すものをトナーの色彩に対応させて適宜選択して用いることができる。
例えばシアントナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などを用いることができる。これらの中では、C.I.ピグメントブルー15:3が有効である。
また、マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同70、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどを用いることができる。
また、イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などを用いることができる。
本発明の電子写真用トナーにおける各着色剤の添加量は、結着樹脂等との混合により作製された最終的なトナー粒子100質量部中に1〜20質量部の範囲であることが好ましい。
−その他の成分−
また、本発明の電子写真用トナーには、必要に応じて帯電制御剤やワックスを用いることができる。
帯電制御剤としては、公知のカリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系などが使用できる。 その他、トナーには鉄粉、マグネタイト、フェライト等の磁性材料を混合し磁性トナーでも使用できる。特に、カラートナーの場合には公知の白色の磁性粉(例えば日鉄鉱業社製)を用いることができる。
本発明における電子写真用トナーに含有させるワックスとしては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が最も好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明の電子写真用トナーに用い得るワックスとしては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物などが好ましいが、DSC測定(示差走査型熱量測定)において、50〜90℃に吸熱ピークを示すワックス材料が好ましい。吸熱ピークが50℃より低いとトナーがブロッキングし、90℃より高いと定着に寄与しない場合がある。 前記DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。
これらのワックスは1種類または2種類以上併用して用いることができる。本発明におけるワックスの添加量は、最終的に製造されたトナー粒子100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、1〜4質量部の範囲であることがより好ましい。
次に、本発明のカラートナーの製造方法について説明する。
一般に、トナーの製造方法としては、下記(1)〜(5)が知られている。
(1)従来行われてきた混練粉砕法と呼ばれるものであり、結着樹脂を含む必要な材料一式を混練後、粉砕することでトナーを得る方法。
(2)必要な材料を含んだ重合可能なモノマーを、溶液(水)中で重合し直接トナーを得る方法。
(3)必要な材料を含むモノマーを溶液(水)中で重合し、凝集することでトナーを得る方法。
(4)まず、モノマーを重合し、その後、必要な材料とともに凝集することでトナーを得る方法。
(5)ポリマーを微粒子溶液(水)中に分散し、必要な材料とともに凝集することでトナーを得る方法。
本発明のカラートナーの製造方法としては、特に限定されないが、低温でトナー化できることから、前記(2)〜(5)の方法を用いることが好ましい。
例えば、前記(1)の製造方法は、基本的に、前記各種トナー成分を混合してトナー組成物を作製する工程、及び該トナー組成物を溶融混練、冷却後、粉砕してトナー粒子とする混練粉砕工程を含む混練粉砕法である。そして、この混練粉砕法に、マスターバッチ(予め混練により作製する成分濃度の高い均一組成物)を作製する工程を加えてもよい。
通常、前記混練粉砕法では、結着樹脂、一般式(I)で示される化合物、赤外線吸収剤、酸化防止剤、ワックス、帯電制御剤、着色剤としての顔料または染料、及びその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、これを冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
溶融混練温度は、消色する着色剤の分解温度より低いことが望ましく、80〜150℃の範囲とすることが好ましい。
本発明のトナーの製造において、トナー組成物を溶融混練する際に用いられる装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロールミル、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリミキサー、ラボプラストミル、1軸あるいは2軸の混練押出機等を用いることができる。また、このような溶融混練に先立ち、必要に応じてヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブルブレンダー等を用いて予備混合する工程を設けることも可能である。
溶融混練されたトナー組成物は、冷却後、粉砕することによりトナー粒子とする。粉砕方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を用いることができるが、例えば、溶融混練物の粗砕した後、マイクロナイザー、ウルマックス、JET−O−マイザー、KTM(クリプトン)、ターボミル、ジェットミル等により行うことができる。更には、その後工程として、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等を用いて、機械的外力を加えることで粉砕後のトナー形状を変化させることができる。また、熱風による球形化も挙げることができる。さらには、風力分級機等により分級処理を施してトナー粒度分布を調整しても良い。
また、カラートナーを(2)〜(4)の重合法で調製する場合、主に懸濁重合法と乳化重合法が適応できる。懸濁重合法で調製する場合、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのモノマー、ジビニルベンゼンなどの架橋剤、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤、着色剤、帯電制御剤、前記本発明における化合物、ワックス類、重合開始剤などを混合してモノマー組成物を調製する。その後、リン酸三カルシウム、ポリビニルアルコール等の懸濁安定剤、界面活性剤が入った水相中に、前記モノマー組成物を投入し、ローターステータ式乳化機、高圧式乳化機、超音波式乳化機などを用いてエマルジョンを作製した後、加熱によりモノマーの重合を行う。重合終了後、粒子の洗浄、乾燥を行い、外添剤を添加して最終的なトナー粒子を得る。
また、前記乳化重合法で調製する場合には、過硫酸カリウムなどの水溶性重合開始剤を溶解させた水中に、モノマー、必要に応じてドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加し、攪拌を行いながら加熱、重合し樹脂粒子を得る。その後、前記本発明における化合物、着色剤、帯電制御剤、ワックス類などの粉末を樹脂粒子が分散した懸濁液中に添加し、懸濁液のpH、攪拌強度、温度などを調整することにより樹脂粒子と、前記化合物粉末などをヘテロ凝集させる。さらに、系を樹脂のガラス転移温度以上に加熱し、ヘテロ凝集体を融着させトナー粒子を得る。その後、粒子の洗浄、乾燥を行い、外添剤を添加して最終的なトナー粒子を得る。
上記(2)〜(4)の方法に使用するモノマーとして具体的には、芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、モノオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマー、ハロゲン化オレフィン系モノマー等を用いることができる。
例えば、芳香族系ビニルモノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系モノマーおよびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系モノマーとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン系モノマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。また、架橋剤を用いてもよく架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
一方、前記のように本発明においては、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いることが好ましいが、ポリエステル樹脂を用いる場合には、前記(5)で挙げたような湿式造粒法によりトナー粒子を作製することが好ましい。湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本実施形態においては、これらの中でも乳化凝集法が粒度分布やトナー形状制御、さらには環境の観点から好適に用いられる。
乳化凝集法を用いる場合には、例えば、少なくとも前記ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散してポリエステル樹脂粒子を得る乳化工程と、ポリエステル樹脂粒子や着色剤粒子等を含む原料分散液中で、前記ポリエステル樹脂を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、凝集粒子を加熱することにより融合させる融合工程を、少なくとも含むことがより好ましい。さらに、前記凝集工程の後に無定形高分子粒子を付着させる付着工程を設けても良く、また前記融合工程の後に無定形高分子微粒子を付着させる付着工程と被覆させる被覆工程を設けても良い。
乳化工程においてポリエステル樹脂の乳化粒子は、水系媒体と、ポリエステル樹脂を含む液(ポリマー液)とを混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられるが環境への観点から蒸留水、イオン交換水等の水のみであることが好ましい。
また、水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤が好ましい。
前記ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径としては、0.01〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.02〜0.8μmの範囲がより好ましい。体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、小粒径トナーの作製が困難であり、また遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される着色剤としては、既述した着色剤を用いることができる。着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
着色剤の添加量としては、ポリマーの総量に対して1〜30質量%の範囲とすることが好ましく、1〜20質量%の範囲とすることがより好ましく、2〜1.0質量%の範囲とすることがさらに好ましく、2〜10質量%の範囲とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。
なお、乳化工程において、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
上記着色剤やその他の成分の体積平均粒径も、通常1μm以下であり、0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.02μm〜0.8μmの範囲がより好ましい。体積平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られる電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
前記凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子、及び着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記結着樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
前記凝集工程に用いる凝集剤は、2価以上の価数を取りうる金属塩である。本発明における2価以上の価数を取りうる金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化鉄等の2価の金属塩、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄、等の3価の金属塩、塩化スズ、等の4価の金属塩等の金属塩;および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられ、これらのうち2種以上を併用してもよい。
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子の懸濁液のpHを6.0〜10.0の範囲に、好ましくは6.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子、及び付着凝集粒子を融合させる。なお、凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適性なpHでないと、融合させる為の昇温過程で、凝集粒子や付着凝集粒子が分解してしまったり、急凝集したりして収率が悪くなる。同様に樹脂の酸価が十分でない場合も粒子の安定性が低下するため急凝集しやすくなり、収率が悪化する。
融合時の加熱の温度としては、凝集粒子中に含まれる結着樹脂のガラス転移温度以上であれば問題無い。前記同様、本発明における化合物の安定性の観点から、融合温度は70 〜95℃の範囲とすることが好ましい。トナーの形状は樹脂酸価と活性剤と融合時のpHと温度により制御することができる。樹脂酸価が前記範囲内にあれば粒子表面の水中での安定性が向上するため、形状の変化速度が緩和されるため形状の制御性が向上し、また形状の分布も良化する。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、目標の形状によって0.5〜6.5時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性樹脂がトナー表面ヘ露出し易くなってしまう。したがって、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、長時間加熱するのは好ましくない。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下に調整することが望ましい。
以上のような製造方法によって得られるトナー粒子は、その体積平均粒径D50vが3〜15μmの範囲が好ましく、5〜15μmの範囲がより好ましく、5〜10μmの範囲内であることが特に好ましい。
トナー粒子の体積平均粒子径が15μmを越えるものである場合、トナーの粒子径が大きく充分な解像度の画像が得られない。逆に3μm未満の場合には得られる画像の解像度は高いが、流動性が低いため画像が安定せず、カブリ、クリーニング不良の原因ともなる。
また、その個数平均粒径D50pに対する体積平均粒径Dvの比(D50v/D50p)が1.0〜1.25の範囲であることが好ましい。そして、このように小粒径で粒径の揃ったトナーを使用することにより、トナーの帯電性能のバラツキが抑制されて、形成される画像におけるカブリが低減されると共に、トナーの定着性を向上させることができる。また、形成される画像における細線再現性やドット再現性も向上させることができる。
また、トナー粒子の平均円形度は0.955以上とすることが好ましく、0.960以上とすることがより好ましい。また、円形度の標準偏差を0.040以下とすることが好ましく、0.038以下にすることがより好ましい。このようにすることで、記録媒体上に各トナーを密な状態で重ね合わせることができるので、記録媒体上のトナーの層厚が薄くなり、定着性を向上させることができる。また、このようにトナーの形状を揃えることにより、形成される画像におけるカブリ、細線再現性及びドット再現性も向上する。
なお、上記トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像解析装置(シメックス社製、FPIA2000)を用い、水分散系でトナー粒子の投影像の周囲長(周囲長)と、トナー粒子の投影面積に等しい円の円周長(円相当周囲長)とを求め、(円相当周囲長/周囲長)により計算される。
本発明におけるトナーは、流動性向上剤等のためトナー粒子に白色の無機微粒子を混合して用いることもできる。トナー粒子に混合される割合はトナー粒子100質量部に対し0.01〜5質量部の範囲であり、好ましくは0.01〜2.0質量部の範囲である。このような無機微粉末としては例えば、シリカ微粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ微粉末が特に好ましい。また、シリカ、チタン、樹脂微粉、アルミナ等の公知の材料を併用できる。さらにクリーニング活剤として、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の微粒子粉末を添加してもよい。
上記無機微粒子、さらに必要に応じ所望の添加剤を、ヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、本発明のカラートナーを得ることができる。
さらに、トナーに前記一般式(I)で示される化合物を加えるにあたっては、前記マスターバッチでトナー内部に添加することで、前記化合物を光定着用カラートナー内部に分散させて添加させたり、該化合物を光定着用カラートナー表面に付着または固着させることができる。
上記の表面固着にための表面改質装置としては、例えば、サーフュージングシステム(日本ニューマチック工業社製)、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンコスモシリーズ(川崎重工業社製)、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)等の高速気流中において衝撃を与えるようにした表面改質装置、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の乾式のメカノケミカル法を応用した表面改質装置、ディスパーコート(日清エンジニアリング社製)、コートマイザー(フロイント産業社製)の湿式のコーティング法を応用した表面改質装置等を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明のカラートナーを含む電子写真用現像剤(以下、「現像剤」と略す場合がある)は、前記カラートナーからなる1成分現像剤、あるいは、キャリアと前記カラートナーとからなる2成分現像剤のいずれであってもよい。
2成分現像剤として用いる際のキャリアとしては、例えば芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。上記芯材としては、公知のマグネタイト、フェライト、鉄粉を用いることができる。キャリアのコート剤としては、特に制限されないが、シリコーン樹脂系が特に望ましい。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、前述の本発明のカラートナーを含む現像剤を用いて、記録媒体上にカラートナーを含むトナーを用いてフルカラー画像や暗号印刷用画像を形成できるものであれば特に限定されないが、具体的には以下のような、少なくとも記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段とトナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを有するものである。
前記画像の形成は、静電潜像担持体として電子写真感光体を利用した場合、例えば、以下のように行うことができる。まず、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電荷像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーを付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、定着器により定着され、記録媒体に画像が形成される。
前記電子写真感光体としては、一般に、アモルファスシリコン、セレンなど無機感光体、ポリシラン、フタロシアニンなどを電荷発生材料や電荷輸送材料として使用した有機感光体を用いることができるが、特に、長寿命であることからアモルファスシリコン感光体が好ましい。
また、前記定着器としては、加熱・加圧あるいは光により定着を行うことができるものであればよく、本発明のカラートナーを光定着用トナーとして用いる場合には、光定着器(フラッシュ定着器)が用いられるが、熱ロール定着器、オーブン定着器等を用いるものであってもよい。
上記光定着器に用いられる光源としては、通常のハロゲンランプ、水銀ランプ、フラッシュランプ、赤外線レーザ等があるが、フラッシュランプによって瞬時に定着させることでエネルギーを節約することができ最適である。フラッシュランプの発光エネルギーが1.0〜7.0J/cm2の範囲であることが好ましく、2〜5J/cm2の範囲であることがより好ましい。
ここで、キセノンのランプ強度を示すフラッシュ光の単位面積当りの発光エネルギーは以下の式(2)で表される。
S=((1/2)×C×V2)/(u×L)×(n×f) ・・・ 式(2)
上記式(2)中、nは一度に発光するランプ本数(本)、fは点灯周波数(Hz)、Vは入力電圧(V)、Cはコンデンサ容量(F)、uはプロセス搬送速度(cm/s)、Lはフラッシュランプの有効発光幅(通常は最大用紙幅、cm)、Sはエネルギー密度(J/cm2)を表す。
光定着の方式としては、複数のフラッシュランプを時間差を設けて発光させるディレイ方式であることが好ましい。このディレイ方式は、複数のフラッシュランプを並べ、各々のランプを0.01〜100ms程度ずつ遅らせて発光を行い、同じ箇所を複数回照らす方式である。これにより一度の発光でトナー像に光エネルギーを供給するのではなく分割して供給できるため、定着条件をマイルドにすることができ耐ボイド性と定着性とを両立することができるものである。
ここで、複数回トナーに対しフラッシュ発光を行う場合、前記フラッシュランプの発光エネルギーは、発光1回ごとの前記単位面積に与える発光エネルギーの総和量を指すこととする。
本発明においては、フラッシュランプの本数は1〜20本の範囲であることが好ましく、2〜10本の範囲であることがより好ましい。また、複数のフラッシュランプ間の各々の時間差は0.1〜20msecの範囲であることが好ましく、1〜3msecの範囲であることがより好ましい。
さらに、フラッシュランプ1本の1回の発光による発光エネルギーは、0.1〜1J/cm2の範囲であることが好ましく、0.4〜0.8J/cm2の範囲であることより好ましい。
以下、本発明のカラートナーが光定着される光定着器を備えた画像形成装置の一例について図面を用いて説明する。
図2は、上記画像形成装置の一例について示す概略模式図である。図2は、シアン、マゼンタ、イエローの3色にブラックを加えたトナーによりトナー像形成を行うものを示す。
図2中、1a〜1dは帯電手段、2a〜2dは露光手段、3a〜3dは静電荷像担持体(感光体)、4a〜4dは現像手段、10はロール媒体15から矢印方向に送り出される記録用紙(記録媒体)、20はシアン現像ユニット、30はマゼンタ現像ユニット、40はイエロー現像ユニット、50はブラック現像ユニット、70a〜70dは転写手段(転写ロ―ラ)、71、72はローラ、80は転写電圧供給手段、90は光定着手段を各々表す。
図2に示す画像形成装置は、帯電手段、露光手段、感光体、および現像手段を含む符号20、30、40、50で示される各色の現像ユニットと、記録用紙10に接して配置され、記録用紙10を搬送するロール71、72と、各現像ユニットの感光体を押圧するように記録用紙10を介してその反対側に接するように配置された転写ロール70a、70b、70c、70dと、これら3つの転写ロールに電圧を供給する転写電圧供給手段80と、感光体と転写ロールとのニップ部分を図中の矢印方向に通過する記録用紙10の感光体と接触する側に光を照射する光定着器90と、から構成されている。
なお、シアン現像ユニット20は、感光体3aの周囲には時計回りに帯電手段1a、露光手段2a、現像手段4aが配置された構成を有する。また、感光体3aの現像手段4aが配置された位置から時計回りに帯電手段1aが配置されているまでの間の感光体3a表面に接するように、記録用紙10を介して転写ロール70aが対向配置されている。このような構成は他の色の現像ユニットも同様である。なお、本発明の画像形成装置においては、シアン現像ユニット20の現像手段4a内に前記シアントナーを含む現像剤が収納され、他の現像ユニットの現像手段には、各々の色に対応した光定着用のトナーが収納される。
次に、この画像形成装置を用いた画像形成について説明する。まず、ブラック現像ユニット50において、感光体3dを時計回り方向に回転させつつ、帯電手段1dにより感光体3dの表面を一様に帯電する。次に帯電された感光体3dの表面を露光手段2dにより露光することにより、複写しようとする元の画像のイエロー色成分の画像に対応した潜像が感光体3d表面に形成される。さらに、この潜像上に現像手段4d内に収納されたブラックトナーを付与することによりこれを現像してブラックトナー像を形成する。このプロセスは、イエロー現像ユニット40、マゼンタ現像ユニット30、シアン現像ユニット20においても同様に行なわれ、それぞれ現像ユニットの感光体表面にそれぞれの色のトナー像が形成される。
感光体表面に形成された各色のトナー像は、転写ロール70a〜70dによる転写電位の作用により、矢印方向に搬送される記録用紙10上に順次転写され、元の画像情報に対応するように記録用紙10の表面に積層されて、最上層からシアン、マゼンタ及びイエローの順に積層されたフルカラーの積層トナー画像が形成される。
次に、この記録用紙10上の積層トナー画像が、光定着手段90のところまで搬送され、そこで光定着手段80から光の照射を受けて、溶融し、記録用紙10に光定着されフルカラー画像が形成される。
本発明のカラートナーは、例えば光定着用カラートナーとして用いる場合には、新聞、サービスビューロー、バーコード印刷、ラベル印刷、タグ印刷、カールソン方式あるいはイオンフロー方式等のプリンター及びコピー等の各種の用途に好適に使用できるものであり、特にカラー化した実施形態においても安価にて良好なフラッシュ定着性を発揮する製品を提供できるために、これらの用途における画像のカラー化の要望に容易に対応できるものである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「%」及び「部」は特に断らない限り「質量%」及び「質量部」を意味する。
<実施例1〜7、比較例1〜3>
(カラートナーの製造)
まず、実施例に用いた本発明における一般式(I)で示される化合物を表1に示す。
表1に示す化合物は、一般式(I)におけるZが窒素原子、Y〜Yがブチル基、R〜R12が水素原子である化合物群であり、nが7である化合物(I)−1の構造を下記に例示する。
Figure 2007328032
また、一般式(I)におけるnを7〜3まで変化させた化合物(I)−1〜(I)−4の各々の吸収ピーク波長と色調を表1にまとめて示す。表1に示すように、メチン基の数が減るに従って吸収ピーク波長が短波長化していることがわかる。
Figure 2007328032
次に、表2に示した各組成に従い各成分を混合し、ヘンシェルミキサーで充分混合した後、それらを各々表3に示した温度条件で2軸押出機(PCM−30、池貝社製)に連続フィードし溶融混練した。このトナー組成物の溶融混練物を冷却後、同様に表3に示した温度条件で粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。この際、一般式(I)で示される化合物が分解しないよう混練温度に注意して混練を行った。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、体積平均粒子径が6.0〜6.5μmの範囲、平均円形度が0.955〜0.957の範囲の各トナー粒子を得た。これら各トナー粒子に対し疎水性シリカTG820F(キャボット製)0.5%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで均一混合し光定着用のカラートナーCT−1〜CT−10を得た。
Figure 2007328032
(カラートナーの評価)
作製したカラートナーCT−1〜CT−10について、下記のように吸収ピーク強度の測定及び実機特性評価を行った。
A.トナー吸収ピーク強度の測定
前述の測定方法に従い、各トナーについて測定試料を作製し吸収ピーク強度A1を測定した。次いで、各々の測定試料に対しホットプレートにより150℃で10分間の加熱溶融を行い、同様に加熱後の吸収ピーク強度A2を測定し、加熱前後の吸収ピーク強度比(A2/A1、%)を求めた。
結果を表3にまとめて示す。
B.実機特性評価
−現像剤の作製−
得られたトナーを用い2成分現像剤を作製した。上記の各トナーと混合させるキャリアとしては、シリコーン樹脂をコーティングした汎用の体積平均粒径が30μmキャリアを用いた。各トナー8部に対しキャリアを92部混合し、2時間、10Lのボールミルにて混合し、各現像剤7kgを作製した。この様にして得られたトナーに対し、以下のような方法によって定着性、色再現性に関して評価を行った。
−定着性評価−
上記各現像剤を用い、定着性を含めた画像評価を行った。評価装置としては、光定着器として700〜1500nmの波長範囲に高い発光強度を有するキセノンフラッシュランプを搭載した富士ゼロックス社製DocuPrint 1100CF改造機(概略構成は図2と同様)を用いた。また、フラッシュの発光の方法は単位面積当たりの発光を2回行うディレイ発光方式とした。ディレイ発光としては同じ光エネルギーを2回照射し、ディレイ時間を5msecとした。
記録媒体として普通紙(NIP−1500LT、小林記録紙)を用い、前記画像形成装置により1inch四方(2.54cm×2.54cm)の画像を形成した。具体的には、表3に示すようなシアントナー、及びマゼンタ、イエローの各光定着用カラートナーを各々用い、トナーの付着量(記録媒体上のトナー載り量)は単色で0.5mg/cm、となるように調整して画像出しを行った。
次に、得られた1inch四方の画像の定着率について以下のように評価した。まず、画像の各色に対応するステータスA濃度(OD1)を測定し、その後、この画像上に粘着テープ(スコッチメンディングテープ、住友3M製)を貼り、その後、粘着テープを引き剥がし、剥離後の画像のステータスA濃度(OD2)を測定した。なお、光学濃度の測定には(X−rite938)を使用した。次に、得られた光学濃度の値を用いて下式(3)より定着率を算出した。
定着率(%)=(OD2/OD1)×100 ・・・ 式(3)
形成された画像を目視にて観察したところ、かぶりなどの背景部汚れが少ない良好な画質が得られていることが確認された。定着性の評価は式(3)から算出される定着率において以下の判断基準により評価した。
◎:定着率が90%以上である。
○:定着率が80%以上90%未満である。
△:定着率が60%以上80%未満である。
×:定着率が60%未満(使用することが難しいレベル)である。
−色再現性評価−
色再現性ついては、まず一般式(I)で示される化合物、赤外線吸収剤を含まない各トナーを用いて、前記と同様の条件で現像し、ロール温度180℃で熱ロール定着を行い、これらについて色再現性測定値(L、a、b)をそれぞれ評価した。なお、上記L、a、bの各数値は、分光計(938 Spectrodentitometer、X−Rite社)で測定した。
次に、同様にしてCT−1〜CT−10を用いて定着を行った画像について、同様にその色の色再現性測定値を評価し、前記化合物等を含まないトナー画像との差異を色差ΔEにより評価した。なお、該ΔE(色差)は、{(L −L +(a −a +(b −b 1/2を意味する。ここで、L *、a *、b *は化合物等を含まないトナー画像の測定値、L *、a *、b *はCT−1等のトナー画像の測定値を示す。
これらより、以下の判断基準により色再現性を評価した。
○:ΔE≦5 ×:5<ΔE
以上の結果を、まとめて表3に示す。
Figure 2007328032
<実施例8>
(カラートナーの製造)
−ポリマーラテックスAの合成−
・スチレン:400部
・n−ブチルアクリレート:200部
・アクリル酸:12部
・ドデカンチオール:9部
上記配合に従って、各成分を混合溶解して溶液を調製した。他方、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12部をイオン交換水250部に溶解し、これに前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液A)。さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながらゆっくりと攪拌し、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。次に、過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、前記単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより、粒子のメジアン径が0.21μm、ガラス転移点が42.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42%のポリマーラテックスAを得た。
−ポリマーラテックスBの合成−
・スチレン:560部
・n−ブチルアクリレート:40部
・アクリル酸:12部
・ドデカンチオール:9部
上記配合に従って、ポリマーラテックスAと同様の方法でポリマーラテックスBを合成した。これにより、粒子のメジアン径が0.15μm、ガラス転移点が61.3℃、重量平均分子量が33000、固形分量が42%のポリマーラテックスBを得た。
−トナーの作製−
・ポリマーラテックスA:203部(固形分:85.2部)
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
・パラフィンワックス(Ceridust 2051、クラリアント製):2部
・エステルワックス(WEP-5F、日本油脂製):0.8部
・マゼンタ顔料(Pigment Red 238、山陽色素):5部
以上の各成分をそれぞれ硝酸でpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスを用いスリーワンモーターで攪拌しながら42℃まで加熱し、この状態で60分間保持した。次いで、さらにポリマーラテックスBを100部及び前記化合物(I)−1を2部追加して2時間緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら60℃まで加熱した。60℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態のまま60℃で3時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、300rpmで15分間攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行い、カラートナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50が7.2μmであった。また、平均円形度は0.955程度であった。上記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TG820F)0.5部を添加し、サンプルミルで混合してカラートナーを得た。
(カラートナーの評価)
A.トナー吸収ピーク強度の測定
前記実施例1等と同様にして、上記カラートナーの加熱前後の吸収ピーク強度比を求めたところ、4%であった。
B.実機特性評価
前記実施例1等と同様にして、前記カラートナーの定着性、色再現性を評価した。
その結果、定着性は99%で◎レベルであり、色再現性も○レベルで問題ないことが確認できた。
以上の評価結果のように、一般式(I)で示される化合物を含有する実施例のトナーでは、光定着性が良好であるだけでなく、定着後の色再現性に優れていた。
一般式(I)で示される化合物の分光吸収特性を示す図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1a,1b,1c,1d 帯電手段
2a,2b,2c,2d 露光手段
3a,3b,3c,3d 感光体
4a,4b,4c,4d 現像手段
10 記録用紙(記録媒体)
20 シアン現像ユニット
30 マゼンタ現像ユニット
40 イエロー現像ユニット
50 ブラック現像ユニット
70a,70b,70c,70d 転写手段
71,72 ローラ
80 転写電圧供給手段
90 光定着手段(定着手段)

Claims (3)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及び下記一般式(I)で示される化合物を含むことを特徴とするカラートナー。
    Figure 2007328032
    (一般式(I)において、nは3〜10であり、R〜R12は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオシアナート基、シアナート基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、置換または未置換のアルコキシカルボニル基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアルキルアミノ基、置換または未置換のアリールアミノ基、置換または未置換のアルキルカルボニルアミノ基、あるいは置換または未置換のアリールカルボニルアミノ基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよく、また、Y〜Yは各々独立に置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、水素原子を表し、Zは窒素原子またはリン原子を表す。)
  2. 700〜2000nmの範囲に吸収ピークを有し、150℃、10分間の加熱後に、前記吸収ピークの吸収ピーク強度が加熱前の吸収ピーク強度の0〜20%の範囲となることを特徴とする請求項1に記載のカラートナー。
  3. トナーを含む現像剤により記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該トナー像を加熱・加圧または光により記録媒体に定着させる定着手段とを有する画像形成装置であって、
    前記トナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及び前記一般式(I)で示される化合物を含むカラートナーであることを特徴とする画像形成装置。
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