JP2007327977A - 角速度センサおよびこれを用いた角速度検出装置 - Google Patents

角速度センサおよびこれを用いた角速度検出装置 Download PDF

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和廣 岡田
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Abstract

【課題】 構造が単純な多軸角速度センサを実現する。
【解決手段】 磁石260上に支持部材250、台座240、板状構造体230を配置する。板状構造体230は、中央部231、可撓部232、周囲部233からなり、周囲部233は台座240上に固定される。可撓部232は可撓性を有し、中央部231はXYZ軸方向に移動可能な状態で懸架される。磁気ヘッド251,221間に、Z軸方向を向いた磁束が形成される。中央部231の上面(XY平面)には、X方向およびY方向を向いた導電路が形成される。X方向導電路に電流を流すと、Y方向にローレンツ力が作用し、中央部231がY軸方向に運動する。このとき、Z軸まわりの角速度ωzが作用すると、X軸方向にコリオリ力Fxが作用し、中央部231はX軸方向に変位し、Y方向導電路にωzに応じた起電力が発生する。
【選択図】 図16

Description

本発明は角速度センサおよび角速度検出装置に関し、特に、多軸まわりの角速度検出に適した角速度センサおよびこのセンサを用いて角速度検出を行う角速度検出装置に関する。
自動車産業や機械産業などでは、所定軸まわりの角速度を正確に検出できる角速度センサの需要が高まってきている。一般に、三次元空間内において自由運動をする物体には、任意の向きの加速度とともに任意の回転方向の角速度が作用する。このため、この物体の運動を正確に把握するためには、XYZ三次元座標系における各座標軸方向に関する加速度とともに、各座標軸まわりの角速度を検出する必要がある。
このような需要に応えるため、本願発明者は、たとえば、下記の特許文献1〜6などに、いくつかの角速度センサを提案した。これらの角速度センサによれば三次元の各軸まわりの角速度を検出することができる。これは、ある物体にX軸まわりの角速度ωxが作用している状態において、この物体をZ軸方向に運動させると、Y軸方向にコリオリ力が作用するという原理を利用したものである。
国際公開第WO94/23272号公報 特開平8−35981号公報 特開平8−68636号公報 特開平8−94661号公報 特開平8−226931号公報 特開平8−285608号公報
しかしながら、これまで提案されてきた角速度センサは、構造的にまだまだ複雑な部分が多く、大量生産によるコストダウンを図る上で問題が生じていた。そこで本発明は、構造をより単純化することが可能な角速度センサおよびこれを用いた角速度検出装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、互いに直交する第1の軸、第2の軸、第3の軸によって定義される三次元座標系において、少なくとも第1の軸まわりの角速度を検出する角速度センサにおいて、
三次元座標系の空間内で運動可能な重錘体と、
この重錘体を収容する装置筐体と、
重錘体を装置筐体に対して、所定の自由度をもって運動可能となるように接続する接続部材と、
重錘体上に形成された励振用導電路および検出用導電路と、
励振用導電路および検出用導電路が位置する空間に、励振用導電路および検出用導電路のいずれに対しても磁束が平行にはならないような磁界を発生させる磁界発生手段と、
を設け、
励振用導電路に電流を供給した場合に、この電流と磁界との相互作用に基くローレンツ力によって重錘体が第2の軸方向に運動するように励振用導電路を配置し、
第1の軸まわりの角速度と第2の軸方向の運動とに基づいて第3の軸方向に作用するコリオリ力によって、重錘体が第3の軸方向に変位したことを、検出用導電路に発生する起電力に基づいて検出することができるように検出用導電路を配置するようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸によって定義されるXYZ三次元座標系において、これら各軸の方向に所定の自由度をもって運動が可能となるように重錘体を接続部材によって装置筐体に接続し、
励振用導電路を実質的にX軸に沿って配置し、検出用導電路を実質的にY軸に沿って配置し、
磁界発生手段が、Z軸に平行な成分を有する磁束φzからなる磁界を発生するようにし、励振用導電路に電流Ixを供給した場合に、ローレンツ力によって重錘体がY軸方向に運動Uyを生じるように構成し、
Z軸まわりの角速度ωzと運動Uyとに基づいて作用するX軸方向のコリオリ力Fxによって、重錘体がX軸方向に変位したことを、検出用導電路に発生する起電力Eyに基づいて検出できるように構成したものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る角速度センサにおいて、
XYZ三次元座標系のXY平面内に上面が含まれ、この上面の中央部に原点Oが定義された基板を重錘体として用い、
X軸に沿って伸び、Y軸の負の部分に交差する第1の導電路と、X軸に沿って伸び、Y軸の正の部分に交差する第2の導電路と、の一対の導電路により励振用導電路を構成し、
Y軸に沿って伸び、X軸の負の部分に交差する第3の導電路と、Y軸に沿って伸び、X軸の正の部分に交差する第4の導電路と、の一対の導電路により検出用導電路を構成したものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸によって定義されるXYZ三次元座標系において、これら各軸の方向に所定の自由度をもって運動が可能となるように重錘体を接続部材によって装置筐体に接続し、
励振用導電路および検出用導電路を実質的にX軸に沿って配置し、
磁界発生手段が、Z軸に平行な成分を有し、かつ磁束密度がZ軸方向に関して不均一となるような磁束φzdからなる磁界を発生するようにし、励振用導電路に電流Ixを供給した場合に、ローレンツ力によって重錘体がY軸方向に運動Uyを生じるように構成し、
X軸まわりの角速度ωxと運動Uyとに基づいて作用するZ軸方向のコリオリ力Fzによって、重錘体がZ軸方向に変位したことを、検出用導電路に発生する起電力Exに基づいて検出できるように構成したものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る角速度センサにおいて、
XYZ三次元座標系のXY平面内に上面が含まれ、この上面の中央部に原点Oが定義された基板を重錘体として用い、
X軸に沿って伸び、Y軸の負の部分に交差する第1の導電路と、X軸に沿って伸び、Y軸の正の部分に交差する第2の導電路と、の一対の導電路により励振用導電路を構成し、
第1の導電路の脇に沿って伸びる第3の導電路と、第2の導電路の脇に沿って伸びる第4の導電路と、の一対の導電路により検出用導電路を構成したものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸によって定義されるXYZ三次元座標系において、これら各軸の方向に所定の自由度をもって運動が可能となるように重錘体を接続部材によって装置筐体に接続し、
励振用導電路を、実質的にX軸に沿って配置されたX方向励振用導電路と、実質的にY軸に沿って配置されたY方向励振用導電路とによって構成し、
検出用導電路を、実質的にX軸に沿って配置されたX方向検出用導電路と、実質的にY軸に沿って配置されたY方向検出用導電路とによって構成し、
磁界発生手段が、Z軸に平行な成分を有し、かつ磁束密度がZ軸方向に関して不均一となるような磁束φzdからなる磁界を発生するようにし、X方向励振用導電路に電流Ixを供給した場合に、ローレンツ力によって重錘体がY軸方向に運動Uyを生じるように構成し、Y方向励振用導電路に電流Iyを供給した場合に、ローレンツ力によって重錘体がX軸方向に運動Uxを生じるように構成し、
X軸まわりの角速度ωxと運動Uyとに基づいて作用するZ軸方向のコリオリ力Fzによって、重錘体がZ軸方向に変位したことを、X方向検出用導電路に発生する起電力Exに基づいて検出し、
Y軸まわりの角速度ωyと運動Uxとに基づいて作用するZ軸方向のコリオリ力Fzによって、重錘体がZ軸方向に変位したことを、Y方向検出用導電路に発生する起電力Eyに基づいて検出し、
Z軸まわりの角速度ωzと運動Uyとに基づいて作用するX軸方向のコリオリ力Fxによって、重錘体がX軸方向に変位したことを、Y方向検出用導電路に発生する起電力Eyに基づいて検出できるように構成したものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る角速度センサにおいて、
XYZ三次元座標系のXY平面内に上面が含まれ、この上面の中央部に原点Oが定義された基板を重錘体として用い、
X軸に沿って伸び、Y軸の負の部分に交差する第1の導電路と、X軸に沿って伸び、Y軸の正の部分に交差する第2の導電路と、の一対の導電路によりX方向励振用導電路を構成し、
Y軸に沿って伸び、X軸の負の部分に交差する第3の導電路と、Y軸に沿って伸び、X軸の正の部分に交差する第4の導電路と、の一対の導電路によりY方向励振用導電路を構成し、
X軸に沿って伸び、Y軸の負の部分に交差する第5の導電路と、X軸に沿って伸び、Y軸の正の部分に交差する第6の導電路と、の一対の導電路によりX方向検出用導電路を構成し、
Y軸に沿って伸び、X軸の負の部分に交差する第7の導電路と、Y軸に沿って伸び、X軸の正の部分に交差する第8の導電路と、の一対の導電路によりY方向検出用導電路を構成したものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係る角速度センサにおいて、
第1〜第4の導電路が、原点Oを中心として基板の上面に定義された第1の四角形の各辺に沿って配置され、第5〜第8の導電路が、原点Oを中心として基板の上面に定義され第1の四角形よりも大きな第2の四角形の各辺に沿って配置されるようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第6〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
重錘体のZ軸方向の変位の検出に寄与する検出用導電路を設ける代わりに、重錘体に固定された変位電極と、この変位電極に対向するように装置筐体に固定された固定電極とを設け、変位電極と固定電極とによって構成される容量素子の静電容量値に基づいて、重錘体のZ軸方向の変位を検出するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸によって定義されるXYZ三次元座標系において、これら各軸の方向に所定の自由度をもって運動が可能となるように重錘体を接続部材によって装置筐体に接続し、
励振用導電路および検出用導電路を実質的にY軸に沿って配置し、
磁界発生手段が、X軸に平行な成分を有し、かつ磁束密度がX軸方向に関して不均一となるような磁束φxdからなる磁界を発生するようにし、励振用導電路に電流Iyを供給した場合に、ローレンツ力によって重錘体がZ軸方向に運動Uzを生じるように構成し、
Y軸まわりの角速度ωyと運動Uzとに基づいて作用するX軸方向のコリオリ力Fxによって、重錘体がX軸方向に変位したことを、検出用導電路に発生する起電力Eyに基づいて検出できるように構成したものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る角速度センサにおいて、
XYZ三次元座標系のXY平面内に上面が含まれ、この上面の中央部に原点Oが定義された基板を重錘体として用い、
Y軸に沿って伸び、X軸の負の部分に交差する第1の導電路と、Y軸に沿って伸び、X軸の正の部分に交差する第2の導電路と、の一対の導電路により励振用導電路を構成し、
第1の導電路の脇に沿って伸びる第3の導電路と、第2の導電路の脇に沿って伸びる第4の導電路と、の一対の導電路により検出用導電路を構成したものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1〜第11の態様に係る角速度センサにおいて、
中央部と、この中央部に対して所定間隔をおいてその周囲を取り囲む周囲部と、中央部と周囲部との間に形成され可撓性を有する可撓部と、を有する板状構造体を用意し、周囲部を台座を介して装置筐体に固定し、中央部を重錘体として用い、可撓部を接続部材として用いるようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係る角速度センサにおいて、
板状構造体を半導体基板により構成し、この半導体基板上に形成された不純物拡散層もしくは金属配線層を各導電路として用いるようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第4〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
Z軸の正の部分に第1の磁気ヘッドを配置し、Z軸の負の部分に第2の磁気ヘッドを配置し、重錘体が第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの間に挟まれるように構成し、
磁気発生手段が、第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの間にZ軸に平行な成分を有する磁束を発生させるようにし、
第1の磁気ヘッドの磁束発生部の面積と、第2の磁気ヘッドの磁束発生部の面積とが異なるように設定することにより、磁束の磁束密度がZ軸方向に関して不均一となるようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第10または第11の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸の正の部分に第1の磁気ヘッドを配置し、X軸の負の部分に第2の磁気ヘッドを配置し、重錘体が第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの間に挟まれるように構成し、
磁気発生手段が、第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの間にX軸に平行な成分を有する磁束を発生させるようにし、
第1の磁気ヘッドの磁束発生部の面積と、第2の磁気ヘッドの磁束発生部の面積とが異なるように設定することにより、磁束の磁束密度がX軸方向に関して不均一となるようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第1〜第15の態様に係る角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置において、
励振用導電路に電流を供給する電流供給回路と、
検出用導電路に発生する起電力を検出する電圧検出回路と、
電流供給回路に制御信号を与えるとともに、電圧検出回路が検出した起電力に基づいて検出対象となる角速度に対応する電気信号を出力する制御装置と、
を設けるようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第16の態様に係る角速度検出装置において、
制御装置が、電圧検出回路によって検出される起電力が基準値に保たれるように、磁界発生手段に対して磁界の強度を制御するフィードバック信号を与える機能をもったフィードバック制御装置によって構成され、フィードバック信号に基づいて検出対象となる角速度に対応する電気信号を出力するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第16または第17の態様に係る角速度検出装置において、
電流供給回路が所定の励振用導電路に交流電流を供給する機能を有し、重錘体を所定軸方向に振動させた状態で、角速度検出を行うようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第6〜第9の態様に係る角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置において、
第1の交流電流をX方向励振用導電路に供給するとともに、第1の交流電流に対してπ/2だけ位相がずれた第2の交流電流をY方向励振用導電路に供給する電流供給回路と、
検出用導電路に発生する交流起電力を検出する電圧検出回路と、
電流供給回路に制御信号を与えるとともに、電圧検出回路が検出した起電力に基づいて検出対象となる角速度に対応する電気信号を出力する制御装置と、
を設け、重錘体をXY平面内で回転運動させながら、所定の回転位置で検出された起電力に基づいて角速度検出を行うことができるようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
複数の重錘体を装置筐体内に設け、
各重錘体と装置筐体との間および複数の重錘体相互間を接続部材によって接続することにより、各重錘体がそれぞれ装置筐体に対して所定の自由度をもって運動可能となるようにし、
複数の重錘体を運動させた状態において、所定の重錘体に作用するコリオリ力を検出し、この検出結果に基づいて角速度の検出を行うことができるようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述の第20の態様に係る角速度センサにおいて、
所定の配置軸に沿って所定間隔をあけて第1の重錘体および第2の重錘体を配置し、第1の重錘体および第2の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、第1の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述の第20の態様に係る角速度センサにおいて、
所定の配置軸に沿って所定間隔をあけて第1の重錘体、第2の重錘体および第3の重錘体を配置し、第1の重錘体、第2の重錘体、第3の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、第1の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、第2の重錘体と第3の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、第1の重錘体および第3の重錘体には導電路として励振用導電路を形成し、第2の重錘体には導電路として検出用導電路を形成するようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述の第20の態様に係る角速度センサにおいて、
所定間隔dをおいて互いに平行な第1の軸および第2の軸と、同じく所定間隔dをおいて互いに平行な第3の軸および第4の軸とを、第1の軸および第2の軸が第3の軸および第4の軸に直交するように定義し、
第1の軸と第3の軸との交点に第1の重錘体を、第1の軸と第4の軸との交点に第2の重錘体を、第2の軸と第3の軸との交点に第3の重錘体を、第2の軸と第4の軸との交点に第4の重錘体を、それぞれ配置し、
第1の重錘体、第2の重錘体、第3の重錘体、第4の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、第1の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、第1の重錘体と第3の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、第4の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、第4の重錘体と第3の重錘体とを相互に接続部材を介して接続するようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述の第20の態様に係る角速度センサにおいて、
第1の軸と第2の軸とを互いに所定の交点において直交するように定義し、
第1の軸の交点の両側に第1の重錘体および第2の重錘体を配置し、第2の軸の交点の両側に第3の重錘体および第4の重錘体を配置し、
第1の重錘体、第2の重錘体、第3の重錘体、第4の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、第1の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、第3の重錘体と第4の重錘体とを相互に接続部材を介して接続するようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述の第24の態様に係る角速度センサにおいて、
第1の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続する接続部材と、第3の重錘体と第4の重錘体とを相互に接続する接続部材とを、第1の軸および第2の軸の交点位置の連結点において連結し、この連結点を装置筐体に固定するようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述の第21の態様に係る角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置において、
第1の重錘体と第2の重錘体とを配置軸に沿って互いに逆方向に振動させるために、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給するようにし、第1の重錘体に基づく検出値と第2の重錘体に基づく検出値との差に基づいて最終的な角速度の検出値を出力するようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述の第22の態様に係る角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置において、
第1の重錘体と第3の重錘体とを配置軸に沿って互いに同方向に振動させるために、第1の重錘体および第3の重錘体上の励振用導電路に所定の交流電流を供給するようにし、第2の重錘体上の検出用導電路に発生する起電力に基づいて角速度の検出を行うようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述の第23の態様に係る角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置において、
第1の軸と第3の軸との交点と第2の軸と第4の軸との交点とを連結する方向を第1の振動方向と定義し、第1の軸と第4の軸との交点と第2の軸と第3の軸との交点とを連結する方向を第2の振動方向と定義し、
第1の重錘体および第4の重錘体を第1の方向に沿って互いに逆方向に振動させ、第2の重錘体および第3の重錘体を第2の方向に沿って互いに逆方向に振動させるために、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給するようにし、第1の重錘体に基づく検出値と第4の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第1の角速度の検出値を出力し、第2の重錘体に基づく検出値と第3の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第2の角速度の検出値を出力するようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述の第24の態様に係る角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置において、
第1の重錘体および第2の重錘体を第1の軸に沿って互いに逆方向に振動させ、第3の重錘体および第4の重錘体を第2の軸に沿って互いに逆方向に振動させるために、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給するようにし、第1の重錘体に基づく検出値と第2の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第1の角速度の検出値を出力し、第3の重錘体に基づく検出値と第4の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第2の角速度の検出値を出力するようにしたものである。
本発明に係る角速度センサおよびこれを用いた角速度検出装置によれば、導電路に供給された電流と磁界との相互作用に基づくローレンツ力によって重錘体を運動させ、この運動と角速度との相互作用に基づいて生じるコリオリ力を検出することにより角速度を求めるようにしたため、構造をより単純化することが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
§1. 本発明に係る角速度センサの基本原理
<<< 1.1 角速度センサの構造 >>>
はじめに、本発明に係る角速度センサにおける角速度検出の基本原理を述べる。いま、図1に示すように、重錘体10が接続部材20によって装置筐体30に接続されている場合を考える。本発明に係る角速度センサを実現する上で、重錘体10の形状は特に限定されないが、後述するように、重錘体10上には所定方向を向いた導電路を形成する必要があるため、図示のような基板状の形態をした重錘体10を用いるのが好ましい。また、このような基板状の重錘体10は、半導体製造プロセスなどを利用して大量生産する場合にも適している。ここでは説明の便宜上、この基板状の重錘体10の上面中心位置に原点Oをとり、図示の向きにX軸、Y軸、Z軸をとり、XYZ三次元座標系を定義することにする。重錘体10の上面はXY平面に含まれることになる。なお、図が繁雑になるのを避けるため、図面上では、座標系を示すダイアグラムを重錘体10の右脇に離して示すことにするが、実際には、この座標系を示すダイアグラムは重錘体10上の原点O上に位置すべきものである。
重錘体10は、このXYZ三次元座標系の空間内で運動可能であるが、その自由度は、接続部材20によって定まることになる。図示の例では、接続部材20をばねで構成した例が示されているが、接続部材20は、重錘体10を装置筐体30に対して、所定の自由度をもって運動可能となるように接続することができれば、どのような部材で構成してもかまわない。一般的には、ばねのような弾力性部材や弾性変形が可能な可撓性部材によって接続部材20を構成すればよい。重錘体10は、方向に関してはX軸,Y軸,Z軸の各軸方向に運動可能となるような自由度を有し、可動距離に関しては、後述する原理に基づく角速度の検出を必要な精度で行うことができる程度の自由度を有していればよい。図示の例では、4本のばねからなる接続部材20によって、重錘体10の四辺をそれぞれ装置筐体30に接続しているが、上述した運動自由度を確保することができれば、どのような形態で重錘体10を装置筐体30に接続してもかまわない。
装置筐体30は、少なくとも重錘体10を収容するのに十分な大きさをもった入れ物であり、重錘体10はこの装置筐体30内の空間において、所定の自由度で運動することになる。図では、装置筐体30のうち、接続部材20が固定された部分のみが示されているが、実際には、重錘体10は装置筐体30によって周囲を取り囲まれていることになる。
重錘体10の上面には、一対の励振用導電路Lx1,Lx2が形成されている。図1に示す例では、励振用導電路Lx1,Lx2はいずれもX軸に沿って(長手方向がX軸に平行になるように)配置されている。後述するように、本発明に係る角速度センサでは、重錘体10上に励振用導電路と検出用導電路という2種類の導電路が形成されることになるが、この2種類の分類は、利用形態の違いに基づく概念的分類であり、両者に物理的な相違はない。要するに、本発明に用いられる導電路は、所定の方向を向いた電流の通り道として機能するものであれば、どのような構造、材質のものを用いてもかまわない。もちろん、導電路自身は導電性材料によって構成する必要があり、また、重錘体10の少なくとも導電路との接触面は絶縁性材料によって構成する必要がある。なお、重錘体10をシリコンなどの半導体基板で構成し、この半導体基板の表面上の不純物拡散層または配線用金属材料によって導電路を構成すれば、一般的な半導体プレーナプロセスあるいはマイクロマシニングプロセスを用いて重錘体10および導電路を形成することが可能になり、大量生産を行う上で好ましい。
<<< 1.2 Y軸方向への運動(図1) >>>
さて、このような重錘体10の近傍に、磁界発生手段40によって磁界を発生させてみる。ここでは、磁界発生手段40によって、Z軸方向に平行な磁束φzを発生させたものとしよう。磁界発生手段40としては、永久磁石を用いてもよいし、コイルなどを用いた電磁石を用いてもよい。上述したように、重錘体10の上面はXY平面上にあるので、磁束φzは重錘体10の上面に垂直な磁束になる。当然、X軸に沿って配置された励振用導電路Lx1,Lx2は、Z軸方向を向いた磁束φzに対して直交する。そこで、このような環境下において、励振用導電路Lx1,Lx2に電流Ixを供給した場合を考えてみる(図1に示す矢印Ixは、この電流の方向を示している)。
この例のように、Z軸方向を向いた磁束φzが存在する空間に、X軸方向を向いた導電路を形成し、この導電路に電流Ixを流すと、この導電路に対してY軸方向にローレンツ力が作用することが知られている。したがって、励振用導電路Lx1,Lx2には、Y軸方向のローレンツ力が作用する。しかも、重錘体10はY軸方向に関してある程度の自由度をもって運動可能な構造となっているので、このローレンツ力によって重錘体10はY軸方向の運動Uyを生じることになる。運動Uyの向き(Y軸の正方向か負方向か)は、電流Ixの向き(X軸の正方向か負方向か)に依存して定まり、運動Uyの大きさは、電流Ixの大きさ(および磁束φzの密度)に依存して定まる。そこで、電流Ixとして交流電流を供給すれば、運動Uyは振動運動となり、重錘体10はY軸方向に振動することになる。
<<< 1.3 運動Uyによる角速度ωxの検出(図2) >>>
さて、このように交流電流Ixを励振用導電路Lx1,Lx2に供給することにより重錘体10にY軸方向の振動運動Uyを生じさせた状態において、この角速度センサ全体に、図2に示すようなX軸まわりの角速度ωxが作用した場合を考える。一般に、Y軸方向に運動中の物体に、X軸まわりの角速度ωxが作用すると、Z軸方向にコリオリ力が作用することが知られている。したがって、上述の場合も、図2に示すように、重錘体10に対してZ軸方向のコリオリ力Fzが作用することになる。コリオリ力Fzの向き(Z軸の正方向か負方向か)は、運動Uyの向き(Y軸の正方向か負方向か)および角速度ωxの向き(X軸を中心として右まわりか左まわりか)に依存して定まり、コリオリ力Fzの大きさは、運動Uyの大きさおよび角速度ωxの大きさに依存して定まる。
上述したように、運動UyがY軸方向に沿った振動運動である場合は、角速度ωxが一定であったとしても、コリオリ力Fzは正弦波のグラフで示される周期関数となる。このため、重錘体10には周期的にZ軸正方向(図の上方)およびZ軸負方向(図の下方)のコリオリ力が加わることになり、重錘体10はY軸方向に振動運動Uyを行いながら、コリオリ力Fzに基づいてZ軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、重錘体10のZ軸方向に関する変位は、この角速度センサ全体に作用したX軸まわりの角速度ωxに対応するものになり、この変位を検出することができれば、角速度ωxに関する情報を得ることができる。すなわち、角速度ωxの向き(X軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、Y軸方向に沿った振動運動UyとZ軸方向に沿った振動運動との位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωxの大きさに関する情報は、Z軸方向に沿った振動運動の振幅に基づいて得ることができる。
<<< 1.4 運動Uyによる角速度ωzの検出(図3) >>>
次に、交流電流Ixを励振用導電路Lx1,Lx2に供給することにより重錘体10にY軸方向の振動運動Uyを生じさせた状態において、この角速度センサ全体に、図3に示すようなZ軸まわりの角速度ωzが作用した場合を考える。一般に、Y軸方向に運動中の物体に、Z軸まわりの角速度ωzが作用すると、X軸方向にコリオリ力が作用することが知られている。したがって、上述の場合も、図3に示すように、重錘体10に対してX軸方向のコリオリ力Fxが作用することになる。コリオリ力Fxの向き(X軸の正方向か負方向か)は、運動Uyの向き(Y軸の正方向か負方向か)および角速度ωzの向き(Z軸を中心として右まわりか左まわりか)に依存して定まり、コリオリ力Fxの大きさは、運動Uyの大きさおよび角速度ωzの大きさに依存して定まる。
上述したように、運動UyがY軸方向に沿った振動運動である場合は、角速度ωzが一定であったとしても、コリオリ力Fxは正弦波のグラフで示される周期関数となる。このため、重錘体10には周期的にX軸正方向およびX軸負方向のコリオリ力が加わることになり、重錘体10はY軸方向に振動運動Uyを行いながら、コリオリ力Fxに基づいてX軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、重錘体10のX軸方向に関する変位は、この角速度センサ全体に作用したZ軸まわりの角速度ωzに対応するものになり、この変位を検出することができれば、角速度ωzに関する情報を得ることができる。すなわち、角速度ωzの向き(Z軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、Y軸方向に沿った振動運動UyとX軸方向に沿った振動運動との位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωzの大きさに関する情報は、X軸方向に沿った振動運動の振幅に基づいて得ることができる。
<<< 1.5 X軸方向への運動(図4) >>>
以上、重錘体10に対してY軸方向に沿った振動運動Uyを生じさせた状態において角速度を検出する例を示したが、全く同様にして、重錘体10に対してX軸方向に沿った振動運動Uxを生じさせた状態において角速度を検出することも可能である。重錘体10をX軸方向に運動させるためには、図4に示すように、重錘体10の上面に一対の励振用導電路Ly1,Ly2を形成すればよい。この励振用導電路Ly1,Ly2はいずれもY軸に沿って(長手方向がY軸に平行になるように)配置されている。ここでも、磁界発生手段40によってZ軸方向に平行な磁束φzを発生させ、励振用導電路Ly1,Ly2にY軸方向を向いた電流Iyを流すと、X軸方向のローレンツ力が作用することになり、重錘体10はX軸方向の運動Uxを生じることになる。電流Iyとして交流電流を供給すれば、運動Uxは振動運動となり、重錘体10はX軸方向に振動することになる。
<<< 1.6 運動Uxによる角速度ωyの検出(図5) >>>
そこで、このように重錘体10にX軸方向の振動運動Uxを生じさせた状態において、この角速度センサ全体に、図5に示すようなY軸まわりの角速度ωyが作用した場合を考える。一般に、X軸方向に運動中の物体に、Y軸まわりの角速度ωyが作用すると、Z軸方向にコリオリ力が作用することが知られている。したがって、上述の場合も、図5に示すように、重錘体10に対してZ軸方向のコリオリ力Fzが作用することになる。ここで、重錘体10の運動UxがX軸方向に沿った振動運動である場合は、角速度ωyが一定であったとしても、コリオリ力Fzは正弦波のグラフで示される周期関数となる。このため、重錘体10には周期的にZ軸正方向(図の上方)およびZ軸負方向(図の下方)のコリオリ力が加わることになり、重錘体10はX軸方向に振動運動Uxを行いながら、コリオリ力Fzに基づいてZ軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、重錘体10のZ軸方向に関する変位を検出することができれば、この角速度センサ全体に作用したY軸まわりの角速度ωyに関する情報を得ることができる。
<<< 1.7 運動Uxによる角速度ωzの検出(図6) >>>
また、この角速度センサ全体に、図6に示すようなZ軸まわりの角速度ωzが作用した場合は、X軸方向に運動中の物体に、Z軸まわりの角速度ωzが作用したことになるので、Y軸方向にコリオリ力Fyが作用する。上述したように、運動UxがX軸方向に沿った振動運動である場合は、角速度ωzが一定であったとしても、コリオリ力Fyは正弦波のグラフで示される周期関数となる。このため、重錘体10には周期的にY軸正方向およびY軸負方向のコリオリ力が加わることになり、重錘体10はX軸方向に振動運動Uxを行いながら、コリオリ力Fyに基づいてY軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、重錘体10のY軸方向に関する変位を検出することができれば、この角速度センサ全体に作用したZ軸まわりの角速度ωzに関する情報を得ることができる。
結局、本発明に係る角速度センサの基本原理は、第1の軸まわりに作用する角速度を検出するために、磁界中に置かれた重錘体上に励振用導電路を形成して電流を供給し、磁界と電流との相互作用に基づくローレンツ力によって重錘体を第2の軸方向に運動させた状態にし、第2の軸方向への運動と第1の軸まわりの角速度とによって第3の軸方向にコリオリ力を作用させ、このコリオリ力による重錘体の第3の軸方向への変位を検出することにより、第1の軸まわりの角速度を検出する点にある。
§2. コリオリ力に基づく変位の検出方法
さて、重錘体に対して所定軸方向の運動を生じさせる方法は、既に§1の原理で述べたとおりである。すなわち、重錘体上に形成された励振用導電路に供給した電流と磁界との相互作用によりローレンツ力を作用させ、このローレンツ力に基づいて重錘体を運動させることになる。そこで、ここでは、コリオリ力に基づく重錘体の変位を検出する方法を説明する。
<<< 2.1 運動Uyによる角速度ωzの検出(図7) >>>
まず、図3に示すように、重錘体10にY軸方向の運動Uyを生じさせた状態において、作用したZ軸まわりの角速度ωzを求めるために、コリオリ力Fxに基づくX軸方向の変位を検出する方法を述べる。このような検出を行うためには、図7に示すように、重錘体10上に検出用導電路Ky1,Ky2を設けておけばよい。図示のとおり、励振用導電路Lx1,Lx2がX軸方向に配置されているのに対し、検出用導電路Ky1,Ky2はY軸方向に配置されている。励振用導電路Lx1,Lx2に電流Ixを供給すると、磁界発生手段40によって生成された磁束φzとの相互作用により、Y軸方向にローレンツ力が働き、重錘体10がY軸方向の運動Uyを生じることは、図3に示す例で述べたとおりである。このように、Y軸方向の運動Uyを行っている重錘体10に対して、Z軸まわりの角速度ωzが作用すると、X軸方向にコリオリ力Fxが作用し、重錘体10はX軸方向に変位する。ところが、重錘体10がX軸方向に変位すると、検出用導電路Ky1,Ky2には起電力Eyが生じる。これは、重錘体10のX軸方向への移動により、Y軸方向に配置された検出用導電路Ky1,Ky2が、Z軸方向を向いた磁束φzを横切ることになるからである(フレミングの右手の法則)。ここで生じる起電力Eyの向き(正負の極性)および大きさ(電圧値)は、運動Uyの向きおよび大きさと、角速度ωzの向きおよび大きさに依存する。運動Uyの向きおよび大きさは、電流Ixの向きおよび大きさ(ならびに磁束φz)に基づいて決定される既知の情報であるから、結局、起電力Eyの向きおよび大きさに関する情報が得られれば、角速度ωzの向きおよび大きさに関する情報を得ることができる。
電流Ixとして交流電流を用いれば、前述したように、重錘体10の運動UyはY軸方向に沿った振動運動になるので、角速度ωzが一定であったとしても、コリオリ力Fxは正弦波のグラフで示される周期関数となり、重錘体10はY軸方向に振動運動Uyを行いながら、コリオリ力Fxに基づいてX軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、検出用導電路Ky1,Ky2にも交流起電力Eyが発生することになる。結局、角速度ωzの向き(Z軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、励振用導電路Lx1,Lx2に供給した交流電流Ixと検出用導電路Ky1,Ky2に生じた交流起電力Eyとの位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωzの大きさに関する情報は、交流起電力Eyの振幅に基づいて得ることができる。
<<< 2.2 運動Uxによる角速度ωzの検出(図8) >>>
次に、図6に示すように、重錘体10にX軸方向の運動Uxを生じさせた状態において、作用したZ軸まわりの角速度ωzを求めるために、コリオリ力Fyに基づくY軸方向の変位を検出する方法を述べる。このような検出を行うためには、図8に示すように、重錘体10上に検出用導電路Kx1,Kx2を設けておけばよい。図示のとおり、励振用導電路Ly1,Ly2がY軸方向に配置されているのに対し、検出用導電路Kx1,Kx2はX軸方向に配置されている。励振用導電路Ly1,Ly2に電流Iyを供給すると、磁界発生手段40によって生成された磁束φzとの相互作用により、X軸方向にローレンツ力が働き、重錘体10がX軸方向の運動Uxを生じることは、図6に示す例で述べたとおりである。このように、X軸方向の運動Uxを行っている重錘体10に対して、Z軸まわりの角速度ωzが作用すると、Y軸方向にコリオリ力Fyが作用し、重錘体10はY軸方向に変位する。ところが、重錘体10がY軸方向に変位すると、検出用導電路Kx1,Kx2には起電力Exが生じる。これは、重錘体10のY軸方向への移動により、X軸方向に配置された検出用導電路Kx1,Kx2が、Z軸方向を向いた磁束φzを横切ることになるからである(フレミングの右手の法則)。ここで生じる起電力Exの向き(正負の極性)および大きさ(電圧値)は、運動Uxの向きおよび大きさと、角速度ωzの向きおよび大きさに依存する。運動Uxの向きおよび大きさは、電流Iyの向きおよび大きさ(ならびに磁束φz)に基づいて決定される既知の情報であるから、結局、起電力Exの向きおよび大きさに関する情報が得られれば、角速度ωzの向きおよび大きさに関する情報を得ることができる。
電流Iyとして交流電流を用いれば、前述したように、重錘体10の運動UxはX軸方向に沿った振動運動になるので、角速度ωzが一定であったとしても、コリオリ力Fyは正弦波のグラフで示される周期関数となり、重錘体10はX軸方向に振動運動Uxを行いながら、コリオリ力Fyに基づいてY軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、検出用導電路Kx1,Kx2にも交流起電力Exが発生することになる。結局、角速度ωzの向き(Z軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、励振用導電路Ly1,Ly2に供給した交流電流Iyと検出用導電路Kx1,Kx2に生じた交流起電力Exとの位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωzの大きさに関する情報は、交流起電力Exの振幅に基づいて得ることができる。
<<< 2.3 運動Uyによる角速度ωxの検出(図9) >>>
続いて、図2に示すように、重錘体10にY軸方向の運動Uyを生じさせた状態において、作用したX軸まわりの角速度ωxを求めるために、コリオリ力Fzに基づくZ軸方向の変位を検出する方法を述べる。このような検出を行うためには、まず、図9に示すように、重錘体10上に検出用導電路Kx1,Kx2を設けるようにする。この場合、励振用導電路Lx1,Lx2も、検出用導電路Kx1,Kx2も、いずれもX軸方向に配置されている。更に、図9に示すように、磁界発生手段40の代わりに磁界発生手段50を用いるようにする。図2に示す磁界発生手段40は、Z軸に平行な磁束φzを発生する機能を有していた。これに対して、磁界発生手段50は、基本的にはほぼZ軸方向に向いているものの、Z軸方向に進めば進むほど広がりを生じるような磁束φzdを発生させる機能を有している。別言すれば、個々の磁力線はZ軸に平行な成分を有しているものの、磁束密度はZ軸方向に関して不均一となるような磁束φzdが発生することになる。したがって、たとえば、Z軸上の任意の点をz1,z2としたときに、Z=z1で示される平面上の磁束密度と、Z=z2で示される平面上の磁束密度とは異なることになる。
さて、ここで、励振用導電路Lx1,Lx2に電流Ixを供給すると、磁界発生手段50によって生成された磁束φzdとの相互作用により、Y軸方向にローレンツ力が働き、重錘体10がY軸方向の運動Uyを生じる。上述したように、磁界発生手段50が発生する磁束φzdは、Z軸に平行な磁束ではないが、各磁力線の主たる成分はZ軸に平行な成分であるため、磁界発生手段40による磁束φzを用いた場合とほぼ同様に、Y軸方向の運動Uyを生じさせることができる。このように、Y軸方向の運動Uyを行っている重錘体10に対して、X軸まわりの角速度ωxが作用すると、Z軸方向にコリオリ力Fzが作用し、重錘体10はZ軸方向に変位する。このZ軸方向の変位そのものによっては、検出用導電路Kx1,Kx2に有意な起電力は生じない。上述したように、磁束φzdの磁力線の主たる成分はZ軸に平行な成分であるため、Z軸方向の変位に対しては有効な起電力が生じないからである。
しかしながら、重錘体10はY軸方向の運動Uyを生じているため、この運動Uyに基づいて検出用導電路Kx1,Kx2に起電力Exが生じることになる。これは、重錘体10がY軸方向へ運動すると、X軸方向に配置された検出用導電路Kx1,Kx2が、ほぼZ軸方向を向いた磁束φzdを横切ることになるからである(フレミングの右手の法則)。しかも、検出用導電路Kx1,Kx2に生じる起電力Exは、重錘体10のZ軸上の位置に応じて変化する。なぜなら、磁束φzdの磁束密度は、Z軸方向に関して不均一であるためである。たとえば、図9に示す磁束φzdは、図の上方(Z軸の正方向)へゆくにしたがって広がってゆくため、図の上方ほど磁束密度は小さくなり、図の下方ほど磁束密度は大きくなる。したがって、検出用導電路Kx1,Kx2に生じる起電力Exは、重錘体10がZ軸の正方向に変位した場合に小さくなり、逆に、重錘体10がZ軸の負方向に変位した場合に大きくなる。このように、検出用導電路Kx1,Kx2に生じる起電力Exの増減は、検出用導電路Kx1,Kx2が切る磁束φzdの密度を示すパラメータとなる。結局、起電力Exの増減を求めることによって重錘体10のZ軸方向の変位を検出することができ、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出することができ、X軸まわりの角速度ωxを検出することができる。
電流Ixとして交流電流を用いれば、重錘体10の運動UyはY軸方向に沿った振動運動になるので、角速度ωzが一定であったとしても、コリオリ力Fzは正弦波のグラフで示される周期関数となり、重錘体10はY軸方向に振動運動Uyを行いながら、コリオリ力Fzに基づいてZ軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、検出用導電路Kx1,Kx2に発生する交流起電力Exは、半周期ごとに振幅が増減することになる。結局、角速度ωxの向き(X軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、励振用導電路Lx1,Lx2に供給した交流電流Ixと検出用導電路Kx1,Kx2に生じた交流起電力Exとの位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωxの大きさに関する情報は、交流起電力Exの振幅の増減の度合いに基づいて得ることができる。
<<< 2.4 運動Uxによる角速度ωyの検出(図10) >>>
最後に、図5に示すように、重錘体10にX軸方向の運動Uxを生じさせた状態において、作用したY軸まわりの角速度ωyを求めるために、コリオリ力Fzに基づくZ軸方向の変位を検出する方法を述べる。このような検出を行うためには、まず、図10に示すように、重錘体10上に検出用導電路Ky1,Ky2を設けるようにする。この場合、励振用導電路Ly1,Ly2も、検出用導電路Ky1,Ky2も、いずれもY軸方向に配置されている。また、上述した図9の例と同様に、磁界発生手段50によって、Z軸に平行な成分を有し、Z軸方向に関して不均一な磁束密度を有する磁束φzdを生成する。
さて、この図10に示す例において、励振用導電路Ly1,Ly2に電流Iyを供給すると、磁界発生手段50によって生成された磁束φzdとの相互作用により、X軸方向にローレンツ力が働き、重錘体10がX軸方向の運動Uxを生じる。上述したように、磁界発生手段50が発生する磁束φzdは、Z軸に平行な磁束ではないが、各磁力線の主たる成分はZ軸に平行な成分であるため、磁界発生手段40による磁束φzを用いた場合とほぼ同様に、X軸方向の運動Uxを生じさせることができる。このように、X軸方向の運動Uxを行っている重錘体10に対して、Y軸まわりの角速度ωyが作用すると、Z軸方向にコリオリ力Fzが作用し、重錘体10はZ軸方向に変位する。このZ軸方向の変位そのものによっては、検出用導電路Ky1,Ky2に有意な起電力は生じないが、図9の例と同様に、磁束φzdの磁束密度がZ軸方向に関して不均一であるため、Z軸方向の変位は検出用導電路Ky1,Ky2に生じる起電力Eyの増減として検出することができる。結局、起電力Eyの増減を求めることによって重錘体10のZ軸方向の変位を検出することができ、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出することができ、Y軸まわりの角速度ωyを検出することができる。
電流Iyとして交流電流を用いれば、重錘体10の運動UxはX軸方向に沿った振動運動になるので、角速度ωyが一定であったとしても、コリオリ力Fzは正弦波のグラフで示される周期関数となり、重錘体10はY軸方向に振動運動Uyを行いながら、コリオリ力Fzに基づいてZ軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、検出用導電路Ky1,Ky2に発生する交流起電力Eyは、半周期ごとに振幅が増減することになる。結局、角速度ωyの向き(Y軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、励振用導電路Ly1,Ly2に供給した交流電流Iyと検出用導電路Ky1,Ky2に生じた交流起電力Eyとの位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωyの大きさに関する情報は、交流起電力Eyの振幅の増減の度合いに基づいて得ることができる。
§3. 角速度検出原理の総論
上述した§2では、特定の軸まわりの角速度を検出するための方法を各論として述べたが、ここでは本発明に係る角速度センサにおける角速度検出原理を総論として述べておく。
<<< 3.1 磁界および導電路のバリエーション >>>
これまで述べてきたように、本発明に係る角速度センサでは、重錘体10上に励振用導電路および検出用導電路が形成される。また、これら各導電路に磁界を作用させるための磁界発生手段が用意される。上述の例では、励振用導電路および検出用導電路はXY平面上に形成され、磁界はZ軸方向に平行な磁束φzあるいは基本的にはZ軸方向を向きながらやや広がりをもった磁束φzdを有していた。このように、実用上は、磁界発生手段によって発生する磁束は、励振用導電路および検出用導電路に対して直交あるいはほぼ直交するような向きに設定するのが好ましい。これは、導電路と磁束とが直交していた場合に、両者間に最も効率的な相互作用が生じるからである。もっとも、原理的には、磁束と導電路とが平行にならない限りは、ある程度の相互作用が生じるので、励振用導電路および検出用導電路のいずれに対しても磁束が平行にはならないような磁界が発生できればよいことになる。別言すれば、上述の例の場合、磁力線のうちのZ軸に平行な成分が導電路と相互作用を生じるので、少なくともZ軸に平行な成分を含む磁束が発生できればよいことになる。
また、上述の例では、各導電路はX軸方向あるいはY軸方向に配置されていたが、原理的には、必ずしもX軸方向あるいはY軸方向を正確に向いた導電路を用いる必要はない。たとえば、X軸方向を向いた導電路の代わりに、X軸に対して45°をなす軸方向を向いた導電路を用いたとしても、原理的には動作可能である。しかしながら、磁束との相互作用は、X軸から傾斜した分だけ弱くなるので、効率良い検出を行う上では、X軸方向あるいはY軸方向を正確に向いた導電路を用いるのが好ましい。結局、実用上の観点からは、実質的にX軸に沿って配置された導電路あるいは実質的にY軸に沿って配置された導電路を形成すればよい。
一方、導電路の数に関しては、上述の例では常に同一の機能を果たす導電路を2組ずつ用いていたが、同一の機能を果たす導電路は必ずしも2組ずつ用いる必要はなく、原理的には、少なくとも1組を用いれば足る。たとえば、X軸方向に電流Ixを流すための励振用導電路としては、Lx1,Lx2のうちのいずれか一方のみでもよいし、Y軸方向に電流Iyを流すための励振用導電路としては、Ly1,Ly2のうちのいずれか一方のみでもよい。同様に、X軸方向の起電力Exを検出するための検出用導電路としては、Kx1,Kx2のうちのいずれか一方のみでもよいし、Y軸方向の起電力Eyを検出するための検出用導電路としては、Ky1,Ky2のうちのいずれか一方のみでもよい。したがって、たとえば、図7に示す例では、重錘体10上に2組の励振用導電路Lx1,Lx2と2組の検出用導電路Ky1,Ky2とが形成されているが、その代わりに、図11の上面図に示すように、1組の励振用導電路Lx0と2組の検出用導電路Ky3,Ky4を用いるような構成にしてもかまわない。ただ、実用上は、励振用導電路も検出用導電路も2組用いるようにするのが好ましく、特に、重錘体10上で線対称となる位置に同一機能をもった一対の導電路を配置するのが好ましい。なぜなら、一対の励振用導電路を用いて重錘体10を運動させると、より安定した運動が可能になり、また、一対の検出用導電路を用いた検出を行うと、より信頼度の高い検出が可能になるからである。
<<< 3.2 各軸まわりの角速度の検出 >>>
§2で述べた検出原理によれば、図7に示す構造をもった角速度センサを用いれば、Z軸まわりの角速度ωzの検出が可能である。すなわち、図7の角速度センサでは、X軸に沿って伸びY軸の負の部分に交差する第1の導電路Lx1と、X軸に沿って伸びY軸の正の部分に交差する第2の導電路Lx2と、の一対の導電路により励振用導電路が構成され、Y軸に沿って伸びX軸の負の部分に交差する第3の導電路Ky1と、Y軸に沿って伸びX軸の正の部分に交差する第4の導電路Ky2と、の一対の導電路により検出用導電路が構成されている。もちろん、図8に示す構造をもった角速度センサによっても、同様にZ軸まわりの角速度ωzの検出が可能である。なお、この図7あるいは図8に示す検出原理を用いる場合は、磁界発生手段40を用いてZ軸に平行な磁束φzからなる磁界を発生させれば十分であるが、磁界発生手段50を用いてZ軸に非平行な磁束φzdからなる磁界を発生させても検出に支障は生じない。
一方、図9に示す構造をもった角速度センサを用いれば、X軸まわりの角速度ωxの検出が可能である。すなわち、図9の角速度センサでは、X軸に沿って伸びY軸の負の部分に交差する第1の導電路Lx1と、X軸に沿って伸びY軸の正の部分に交差する第2の導電路Lx2と、の一対の導電路により励振用導電路が構成され、第1の導電路Lx1の脇に沿って伸びる第3の導電路Kx1と、第2の導電路Lx2の脇に沿って伸びる第4の導電路Kx2と、の一対の導電路により検出用導電路が構成されている。ここで、検出感度を高める上では、図示の例のように、検出用導電路Kx1,Kx2が励振用導電路Lx1,Lx2よりも外側に配置されるようにするのが好ましい。これは重錘体10の外側の方が、磁束密度の不均一性がより顕著になるためである。また、図10に示す構造をもった角速度センサを用いれば、Y軸まわりの角速度ωyの検出が可能であるが、この図10に示す構造をもった重錘体10は、図9に示す構造をもった重錘体10をXY平面で90°回転させただけのものであり、両者の実質的な構造は同じである。なお、この図9あるいは図10に示す検出原理を用いる場合は、磁界発生手段50を用いてZ軸に非平行な磁束φzdからなる磁界を発生させる必要がある。
<<< 3.3 三軸まわりの角速度の検出 >>>
図7〜図10に示す構造をもった角速度センサを用いれば、それぞれ少なくとも1軸まわりに関する角速度を検出することが可能である。しかしながら、実用上は、単一の角速度センサによって、多軸まわりの角速度を検出することができた方が便利である。ここでは、X軸まわりの角速度ωx、Y軸まわりの角速度ωy、Z軸まわりの角速度ωzのすべてを検出可能な角速度センサの構造について述べることにする。このような角速度センサを実現するためには、重錘体10上に形成される励振用導電路を、実質的にX軸に沿って配置されたX方向励振用導電路と、実質的にY軸に沿って配置されたY方向励振用導電路とによって構成し、同じく重錘体10上に形成される検出用導電路を、実質的にX軸に沿って配置されたX方向検出用導電路と、実質的にY軸に沿って配置されたY方向検出用導電路とによって構成すればよい。また、Z軸に平行な成分を有し、かつ磁束密度がZ軸方向に関して不均一となるような磁束φzdからなる磁界を発生する磁界発生手段50を設けるようにすればよい。
このような構造をもった角速度センサでは、X方向励振用導電路に電流Ixを供給すると、ローレンツ力によって重錘体10がY軸方向に運動Uyを生じることになり、Y方向励振用導電路に電流Iyを供給すると、ローレンツ力によって重錘体10がX軸方向に運動Uxを生じることになる。すなわち、電流の供給態様によって、重錘体10に運動Uyを生じさせることもできるし、運動Uxを生じさせることもできる。したがって、各軸まわりの角速度は次のような方法で検出することができる。
まず、X軸まわりの角速度ωxを検出する場合には、図9に示す原理を用い、重錘体10に運動Uyを生じさせ、角速度ωxと運動Uyとに基づいて作用するZ軸方向のコリオリ力Fzによって、重錘体10がZ軸方向に変位したことを、X方向検出用導電路に発生する起電力Exの増減に基づいて検出すればよい。また、Y軸まわりの角速度ωyを検出する場合には、図10に示す原理を用い、重錘体10に運動Uxを生じさせ、角速度ωyと運動Uxとに基づいて作用するZ軸方向のコリオリ力Fzによって、重錘体10がZ軸方向に変位したことを、Y方向検出用導電路に発生する起電力Eyの増減に基づいて検出すればよい。更に、Z軸まわりの角速度ωzを検出する場合には、図7に示す原理を用い、重錘体10に運動Uyを生じさせ、角速度ωzと運動Uyとに基づいて作用するX軸方向のコリオリ力Fxによって、重錘体10がX軸方向に変位したことを、Y方向検出用導電路に発生する起電力Eyに基づいて検出するか、あるいは、図8に示す原理を用い、重錘体10に運動Uxを生じさせ、角速度ωzと運動Uxとに基づいて作用するY軸方向のコリオリ力Fyによって、重錘体10がY軸方向に変位したことを、X方向検出用導電路に発生する起電力Exに基づいて検出すればよい。
図12は、このような三軸まわりの角速度検出機能をもった角速度センサにおける重錘体10上の導電路の構成例を示す上面図である。この例では、X軸に沿って伸びY軸の負の部分に交差する第1の導電路Lx1と、X軸に沿って伸びY軸の正の部分に交差する第2の導電路Lx2と、の一対の導電路によりX方向励振用導電路が構成され、Y軸に沿って伸びX軸の負の部分に交差する第3の導電路Ly1と、Y軸に沿って伸びX軸の正の部分に交差する第4の導電路Ly2と、の一対の導電路によりY方向励振用導電路が構成され、X軸に沿って伸びY軸の負の部分に交差する第5の導電路Kx1と、X軸に沿って伸びY軸の正の部分に交差する第6の導電路Kx2と、の一対の導電路によりX方向検出用導電路が構成され、Y軸に沿って伸びX軸の負の部分に交差する第7の導電路Ky1と、Y軸に沿って伸びX軸の正の部分に交差する第8の導電路Ky2と、の一対の導電路によりY方向検出用導電路が構成されている。しかも、励振用導電路Lx1,Lx2,Ly1,Ly2が、原点Oを中心として重錘体10の上面に定義された第1の四角形Sq1の各辺に沿って配置され、検出用導電路Kx1,Kx2,Ky1,Ky2が、原点Oを中心として重錘体10の上面に定義され、第1の四角形Sq1よりも大きな第2の四角形Sq2の各辺に沿って配置されている。このように、検出用導電路をより大きな四角形の各辺に沿って配置したのは、重錘体10の外側の方が、磁束密度の不均一性がより顕著になるため、より感度の高い検出が可能になるからである。
<<< 3.4 角速度検出装置の構成および動作 >>>
続いて、これまで述べてきた角速度センサを用いて、実際に角速度検出を行うための角速度検出装置の構成を述べておく。図13は、この角速度検出装置の構成を示すブロック図である。ここで、角速度センサ100は、これまで述べてきた角速度センサを示しており、ここでは励振用導電路101および検出用導電路102しか示されていないが、実際には、更に重錘体、装置筐体、接続部材、磁界発生手段が備わっている。電流供給回路110は、励振用導電路101に電流を供給する回路であり、ここに示す例では、所定の励振用導電路101に対して交流電流Iが供給される。一方、電圧検出回路120は、検出用導電路102に発生する起電力を検出する回路であり、ここに示す例では、所定の検出用導電路102に発生する交流電圧Eが検出される。制御装置130は、電流供給回路110に制御信号を与えるとともに、電圧検出回路120が検出した起電力に基づいて検出対象となる角速度に対応する電気信号を、角速度検出値ωとして出力する機能を有し、この角速度検出装置全体を統括制御する機能を有している。
本発明に係る角速度センサを用いて角速度検出を行う場合、原理的には、重錘体10の運動Ux,Uy,Uzは、必ずしも振動である必要はない。たとえば、重錘体10がX軸正方向に片道移動しただけでも、Z軸まわりの角速度ωzが作用していれば、Y軸方向のコリオリ力Fyが作用することになるので、このコリオリ力Fyを検出すれば、角速度ωzを求めることができる。しかしながら、ある瞬時における角速度を1回だけしか測定できないセンサは、実用上は利用価値が極めて低い。実用的なセンサであるためには、継続的に測定値が得られる必要がある。したがって、実用上は、重錘体10の運動Ux,Uy,Uzは振動(後の§6で述べる二軸方向の振動を組み合わせた回転運動も含む)である必要があり、電流供給回路110の供給電流は交流電流Iである必要がある。
図14は、図12に示すような導電路配置を有する重錘体10を用いた角速度センサによって、X軸まわりの角速度ωx、Y軸まわりの角速度ωy、Z軸まわりの角速度ωzのすべてを検出する手順を示す図表である。この手順を行う上で発生させる磁界は、Z軸に平行な成分を有し、かつ磁束密度がZ軸方向に関して不均一となる非平行磁束φzdである。この検出手順は、動作モード1と動作モード2とを交互に実行することによって行われる。
まず、動作モード1では、X方向励振用導電路Lx1,Lx2に対して交流電流Ixを供給し、重錘体10に対してY軸方向の振動Uyを生じさせる(図1に示す状態になる)。この振動状態において、X軸まわりの角速度ωxが作用していた場合、図2に示すように、Z軸方向のコリオリ力Fzが発生し、このコリオリ力Fzは図9に示す原理に基づいて、X方向検出用導電路Kx1,Kx2に発生する起電力Exの増減として検出される。一方、Y軸まわりの角速度ωyが作用していた場合は、振動方向も同じY軸であるためコリオリ力は発生せず、検出用導電路への起電力発生に何ら影響は及ぼさない。ところが、Z軸まわりの角速度ωzが作用していた場合、図3に示すように、X軸方向のコリオリ力Fxが発生し、このコリオリ力Fxは図7に示す原理に基づいて、Y方向検出用導電路Ky1,Ky2に発生する起電力Eyとして検出される。かくして、この動作モード1では、X方向検出用導電路Kx1,Kx2に発生する起電力Exに基づいてX軸まわりの角速度ωxの検出を行うことができ、Y方向検出用導電路Ky1,Ky2に発生する起電力Eyに基づいてZ軸まわりの角速度ωzの検出を行うことができる。
一方、動作モード2では、Y方向励振用導電路Ly1,Ly2に対して交流電流Iyを供給し、重錘体10に対してX軸方向の振動Uxを生じさせる(図4に示す状態になる)。この振動状態において、X軸まわりの角速度ωxが作用していた場合は、振動方向も同じX軸であるためコリオリ力は発生せず、検出用導電路への起電力発生に何ら影響は及ぼさない。ところが、Y軸まわりの角速度ωyが作用していた場合、図5に示すように、Z軸方向のコリオリ力Fzが発生し、このコリオリ力Fzは図10に示す原理に基づいて、Y方向検出用導電路Ky1,Ky2に発生する起電力Eyの増減として検出される。一方、Z軸まわりの角速度ωzが作用していた場合は、図6に示すように、Y軸方向のコリオリ力Fyが発生し、このコリオリ力Fyは図8に示す原理に基づいて、X方向検出用導電路Kx1,Kx2に発生する起電力Exとして検出される。かくして、この動作モード2では、X方向検出用導電路Kx1,Kx2に発生する起電力Exに基づいてZ軸まわりの角速度ωzの検出を行うことができ、Y方向検出用導電路Ky1,Ky2に発生する起電力Eyに基づいてY軸まわりの角速度ωyの検出を行うことができる。
結局、二軸まわりの角速度検出だけで十分な場合には、この角速度センサを動作モード1あるいは動作モード2のいずれかのモードで動作させればよい。これに対して、三軸まわりの角速度検出が必要な場合は、動作モード1と動作モード2とを交互に繰り返すようにすればよい(Z軸まわりの角速度ωzは、両動作モードにおいて重複して検出されることになる)。
<<< 3.5 フィードバック制御による検出 >>>
図9あるいは図10に示す原理説明では、重錘体10のZ軸方向の変位を、検出用導電路に発生する起電力の増減によって検出することができる旨の説明を行った。この原理を、もう一度簡単に繰り返しておくと、たとえば、図9の例では、重錘体10はY軸方向に振動Uyを生じているため、検出用導電路Kx1,Kx2は磁束を切る運動を行うことになり、常に起電力Exが生じる。ところが、重錘体10がZ軸正方向に変位すると、磁束密度が小さくなるために起電力Exは小さくなり、逆に、重錘体10がZ軸負方向に変位すると、磁束密度が大きくなるために起電力Exは大きくなる。したがって、起電力Exの増減に基づいて、重錘体10のZ軸方向の変位、すなわち、コリオリ力Fzを検出することができる、というものである。
しかしながら、上述の原理に基づく測定は、厳密には、正確な測定にはならない。なぜなら、重錘体10がZ軸方向に変位すると、磁束密度が変化するため、励振用導電路Lx1,Lx2に供給した交流電流Ixと磁界との相互作用も小さくなり、振動Uy自身にも影響が及ぶためである。別言すれば、図13に示す角速度検出装置において、電流供給回路110が励振用導電路101に対して、一定の交流電流Iを供給し続けているにもかかわらず、振動Uyが変動を生じることになるため、制御系全体が不安定な動作に陥ることになる。
このような弊害を避けるためには、図13に示す角速度検出装置に代えて、図15に示すような角速度検出装置を用いるとよい。この図15に示す角速度検出装置では、制御装置130の代わりにフィードバック制御装置135が用いられている。このフィードバック制御装置135は、電圧検出回路120によって検出される起電力(交流電圧E)が基準値(基準交流波形Eref )に保たれるように、磁界発生手段103に対して磁界の強度を制御するフィードバック信号Fbを与える機能をもっており、磁界発生手段103が発生する磁界の強度は、このフィードバック信号Fbによって調整されることになる。たとえば、図9において、重錘体10がY軸方向に振動している状態において、角速度が何ら作用していなければ、重錘体10はZ軸方向に変位を生じないので、検出用導電路Kx1,Kx2は常に一定の磁束密度の空間を運動することになり、常に一定の起電力Ex(正弦波グラフで示される交流起電力)が生じることになる。この一定の交流起電力波形を基準交流波形Eref と定めておけば、角速度の作用によって重錘体10がZ軸方向に変位を生じたとしても、この変位に基づく磁束密度の変動は、フィードバック制御装置135によるフィードバック制御により直ちに解消することになる。
たとえば、重錘体10がZ軸正方向に変位し、磁束密度が小さくなったとすると、電圧検出回路120が検出する起電力が小さくなるため、フィードバック制御装置135は、磁束密度を高める指示を与えるフィードバック信号Fbを磁界発生手段103に対して与える制御を行うことになる。その結果、磁界発生手段103が発生する磁界が全体的に強められ、電圧検出回路120が検出する起電力は基準値に戻ることになる。結局、重錘体10がZ軸方向に変位したとしても、重錘体10のY軸方向の振動Uyには影響は及ばないことになり、安定した動作が可能になる。
なお、この図15に示す角速度検出装置では、フィードバック信号Fbは、重錘体10のZ軸方向の変位に応じた値を示す信号になるので、このフィードバック信号Fbをそのまま角速度検出値ωに対応する電気信号として出力することが可能である。
§4. 角速度センサの具体的な構造例
ここでは、本発明に係る角速度センサの具体的な構造例をいくつか提示する。
<<< 4.1 第1の構造例 >>>
図16は、本発明の一実施形態に係る係る角速度センサ200の構造を示す縦断面図である。底板210およびキャップ220は、このセンサの装置筐体を構成する部材であり、他の構成要素は、この装置筐体内に収容される。この角速度センサの中枢をなす部分は、板状構造体230である。図17に、この板状構造体230の横断面図を示す。図示のとおり、板状構造体230は、中央部231と、可撓部232と、周囲部233とによって構成されている。周囲部233は、中央部231に対して所定間隔をおいてその周囲を取り囲むように配置され、両者間は可撓部232によって接続されている。可撓部232は、いわゆるビーム構造体であり、可撓性を有している。この可撓部232が弾性変形を行うため、中央部231は周囲部233に対して所定の自由度をもって運動可能になる。
ここでは説明の便宜上、図16に示すように、板状構造体230の上面中心位置(中央部の中心点)に原点Oを定義し、図16の右方にY軸、上方にZ軸、紙面垂直上方にX軸を定義する。板状構造体230の上面は、XY平面に含まれることになる。板状構造体230の周囲を構成する周囲部233は、台座240の上に固定されている。台座240は、支持部材250の周囲に固定され、支持部材250は磁石260の上面に固定され、磁石260は底板210の上面中央に固定されている。結局、板状構造体230の周囲部233は、間接的に底板210上に固定されていることになり、中央部231は可撓部232によって懸架された状態になる。すなわち、可撓部232は、XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸のすべての方向にある程度の自由度をもって運動可能である。ここで、この図16に示す構造体を、これまで述べてきた角速度センサ(たとえば、図1に示すセンサ)と対比すると、中央部231が重錘体10として機能し、可撓部232が接続部材20として機能し、周囲部233が装置筐体30として機能することがわかる。
板状構造体230の中央部231の上面には、図12に示すように、4組の励振用導電路Lx1,Lx2,Ly1,Ly2が第1の四角形Sq1の四辺に沿った位置に形成されており、4組の検出用導電路Kx1,Kx2,Ky1,Ky2が第2の四角形Sq2の四辺に沿った位置に形成されている。この例では、板状構造体230はシリコンなどの半導体基板によって構成されており、各導電路は、この半導体基板上に形成された不純物拡散層によって構成されている。あるいは、半導体基板上に絶縁層を設け、その上に配線用金属材料で導電路を形成するようにしてもよい。このように、半導体基板を用いて板状構造体230を構成すると、従来の一般的な半導体プレーナプロセスや半導体を用いたマイクロマシニングプロセスを利用することができるので、本発明に係るセンサを大量生産する上では大きなメリットが得られる。
一方、図16に示す配線ピン271,272(図では2本のみ示されているが、実際には配線に必要な数だけ配線ピンが設けられる)は、底板210に形成された挿通孔211,212を通ってこのセンサの内外を連結しており、その上端には、ボンディングワイヤ281,282の一端が接続されている。ボンディングワイヤ281,282の他端は、板状構造体230の上面に形成された所定の導電路に接続される。結局、底板210から下方に露出した配線ピン271,272の下端部分は、各導電路に電気的に接続された端子として機能し、この端子間に所定の交流電流を供給したり、この端子間に発生する起電力を測定したりして、角速度の検出を行うことができる。
キャップ220の天井部下方に突出した隆起部分は、磁気ヘッド221を構成し、支持部材250の中央部上方に突出した隆起部分は、磁気ヘッド251を構成している。板状構造体230上の原点Oに着目すると、磁気ヘッド221はZ軸の正の部分に配置されており、磁気ヘッド251はZ軸の負の部分に配置されていることになり、中央部231は、磁気ヘッド221と磁気ヘッド251との間に挟まれている。磁石260で発生した磁界は、この両磁気ヘッドの間を通る磁束を形成することになる。ただし、磁気ヘッド221の磁束発生部(図の下面)の面積は、磁気ヘッド251の磁束発生部(図の上面)の面積に比べて大きく設定されているため、両磁気ヘッド間に発生する磁束は、基本的にはほぼZ軸を向いているものの、上方へゆくほど磁束が広がるようになる。図18は、このような非平行磁束が発生する様子を示す部分拡大図である。図示のとおり、磁気ヘッド221の下面の面積が、磁気ヘッド251の上面の面積よりも大きいため、磁束φzdは下方から上方へゆくにしたがって広がる。このため、磁束φzdは、Z軸方向成分を有しているものの、Z軸方向に関して磁束密度が不均一な磁束になる。
もちろん、この磁束φzdは、これまで述べてきた角速度センサにおける磁界発生手段50によって発生させられる磁束に相当する。上述した検出原理によれば、磁束φzdは、Z軸方向成分を有し、Z軸方向に関して磁束密度が不均一な磁束であれば、どのような磁束でもかまわないので、図18に示す例とは逆に、磁気ヘッド221の下面の面積を、磁気ヘッド251の上面の面積よりも小さくする構成にしてもかまわない。
なお、このような一対の磁気ヘッドは、非平行磁束φzdを発生させる機能と、磁束を中央部231が位置する空間に集中させる機能とを有している。すなわち、図18において、中央部231の位置が破線で示されているが、非平行磁束φzdは、この破線で示された中央部231の部分に集中していることがわかる。このように磁束を集中させると、中央部231の上面に形成された導電路に効率的に磁界を作用させることができるので、効率的な検出を行うことができる。
上述したように、図16に示す構造において、板状構造体230は半導体基板から構成されており、不純物拡散層(導電路部分)以外は絶縁体としてふるまう。また、この実施形態では、台座240も絶縁体で構成されている。これに対して、底板210、キャップ220、磁気ヘッド221、支持部材250、磁気ヘッド251は、いずれも磁性材料(鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金)で構成されており、図19に示すように、これらの磁性体によって磁気回路290が形成される。したがって、磁気ヘッド221と磁気ヘッド251との間の経路と、磁気回路290内に矢印で示した経路とによって、閉じた磁気経路が形成され、外部への漏れ磁束が生じない効率的な動作が可能になる。なお、図示の例では、磁石260を永久磁石によって構成しているが、電磁石によって構成してもかまわない。
<<< 4.2 第2の構造例 >>>
図20は、本発明の別な一実施形態に係る係る角速度センサ200Aの構造を示す縦断面図である。この角速度センサ200Aは、前述した角速度センサ200の一部の仕様を変更したものであり、同一符号で示した構成要素については変更はない。主たる変更事項は、図16に示す角速度センサ200において、支持部材250と磁石260との組み合わせで構成されていた部分を、単一の磁石265に置き換えた点である。磁石265の上面に形成された隆起部分が磁気ヘッド266として機能する。一方、キャップ225は、図16に示すキャップ220に比べて形状に若干の相違があり、図16に示す多面体の磁気ヘッド221の代わりに、表面が曲面部を有する磁気ヘッド226が用いられている。実用上は、この図20に示す例のように、キャップ225の天井部分に対して、下方に窪ませるようなエンボス処理を施し、磁気ヘッド226を形成すると構造が単純になる。もちろん、図示のように、丸みを帯びた磁気ヘッド226を用いた場合であっても、Z軸方向に関して磁束密度が不均一になる磁界を発生させるという目的を達成する上で支障は生じない。
<<< 4.3 第3の構造例 >>>
図21は、本発明の更に別な一実施形態に係る係る角速度センサ200Bの構造を示す縦断面図である。この角速度センサ200Bも、前述した角速度センサ200の一部の仕様を変更したものであり、同一符号で示した構成要素については変更はない。主たる変更事項は、図16に示す角速度センサ200では、支持部材250の下方に磁石260を配置していたのに対し、図21に示す角速度センサ200Bでは、板状構造体230の上方に磁石267が配置されている点である。支持部材250上面の隆起部分が一方の磁気ヘッド251として機能する点には代わりないが、もう一方の磁気ヘッド268は、磁石267自身の下部の隆起部分によって構成される。
このような磁石の配置転換に基づいて、底板215およびキャップ228の形状が若干変更されており、また、挿通孔216,217を通して設けられる配線ピン273,274も若干短くなっている。
<<< 4.4 第4の構造例 >>>
図22は、図21に示す角速度センサ200Bに、若干の変更を施した角速度センサ200Cの構造を示す縦断面図である。両者の相違点は、磁石の形状のみである。すなわち、図21に示す角速度センサ200Bでは、磁石267の下部隆起部分が磁気ヘッド268として機能していたが、図22に示す角速度センサ200Cでは、断面が台形形状の磁石269が用いられており、磁石269全体が磁気ヘッドを兼ねた構造となっている。
<<< 4.5 第5の構造例 >>>
図23は、本発明の更に異なる一実施形態に係る係る角速度センサ300の構造を示す縦断面図である。底板310およびキャップ320は、このセンサの装置筐体を構成する部材であり、他の構成要素は、この装置筐体内に収容される。この角速度センサの中枢をなす部分は、板状構造体330であるが、この板状構造体330はこれまで述べてきた板状構造体230とほぼ同様の構造を有しており、中央部331と、可撓部332と、周囲部333とによって構成されている。中央部331の上面には、図12に示すように、4組の励振用導電路Lx1,Lx2,Ly1,Ly2が第1の四角形Sq1の四辺に沿った位置に形成されており、4組の検出用導電路Kx1,Kx2,Ky1,Ky2が第2の四角形Sq2の四辺に沿った位置に形成されている。
板状構造体330の周囲を構成する周囲部333は、台座340の上に固定されている。台座340は、支持部材350の周囲に固定され、支持部材350は底板310の上面に固定されている。結局、板状構造体330の周囲部333は、間接的に底板310上に固定されていることになり、中央部331は可撓部332によって懸架された状態になる。この実施形態の特徴は、磁石360を板状構造体330の左脇に配した点にある。磁石360は支持部材350の左端の上面に固定されており、この磁石360の上面には、片持梁部材370が固定されている。片持梁部材370は、ちょうど庇のように、板状構造体330の上方に突き出した構造をなす。ここで、支持部材350の上面に形成された隆起部分が一方の磁気ヘッド351を形成し、片持梁部材370の下面に形成された隆起部分がもう一方の磁気ヘッド371を形成する。支持部材350、磁気ヘッド351、片持梁部材370、磁気ヘッド371は、いずれも磁性材料で構成されており、これらの磁性体によって磁気回路が形成されるので、磁石360が脇に配置されていたとしても、磁気ヘッド351と磁気ヘッド371との間には、必要な磁束が得られる。ここでも、磁気ヘッド351の上面の面積と、磁気ヘッド371の上面の面積とは異なるため、得られる磁束は非平行磁束φzdとなる。もちろん、磁石360としては、電磁石を用いてもよい。
配線ピン381,382は、底板310を通ってこのセンサの内外を連結しており、その上端には、ボンディングワイヤ391,392の一端が接続されている。ボンディングワイヤ391,392の他端は、板状構造体330の上面に形成された所定の導電路に接続される。
<<< 4.6 板状構造体の構造例 >>>
これまで述べてきた種々の構造例では、いずれも図17に示す板状構造体230を用いているが、板状構造体の構造はこの図17に示す例に限定されるものではない。以下にいくつかのバリエーションを示しておく。
図24に横断面図を示す板状構造体230Aは、中央部231A、可撓部232A、周囲部233Aから構成されており、基本的には図17に示す板状構造体230と同様の形態をなしている。ただし、可撓部232Aが占める空間を小さく抑え、中央部231Aにより大きな体積を確保できるようにしている。中央部231Aの体積を大きく確保できると、重錘体として機能する部分の質量を増加させることができるため、より感度の高い検出結果を得ることが可能になる。
図25に横断面図を示す板状構造体230Bは、中央部231B、可撓部232B、周囲部233Bから構成されており、やはり基本的には図17に示す板状構造体230と同様の形態をなしている。ただし、可撓部232Bの形状をより単純化したため、製造プロセスはより簡素化される。もっとも、図17に示す可撓部232や図24に示す可撓部232Aが複数の屈曲部を有した構造であるのに対し、図25に示す可撓部232Bは1か所の屈曲部しか有していないため、可撓性は低下せざるを得ない。
一般に、角速度センサには種々の用途が存在し、重錘体に対して作用するコリオリ力の大きさも用途によって様々であり、必要とされる検出感度も用途によって様々である。したがって、実用上は、可撓部に要求される可撓性、強度、サイズ、コストなどを考慮して、用途に最適な形態の板状構造体を用いるのが好ましい。
また、ここでは1枚の板状構造体によって、重錘体(中央部)、接続部材(可撓部)、装置筐体(周囲部)を形成する例を示したが、本発明に係るセンサを実現する上では、必ずしも1枚の板状構造体によってこれらのものを形成する必要はない。前述した検出原理によれば、重錘体を装置筐体に対して所定の運動自由度を維持させた状態で接続部材によって接続した構造が実現できればよいので、重錘体、接続部材、装置筐体をそれぞれ別個の部品によって構成してもかまわない。
§5. 基板面に平行な磁界を用いる実施形態
これまで§1,§2で述べてきた角速度センサでは、重錘体10の基板面(XY平面)に対してほぼ垂直な方向(Z軸に沿った方向)を向いた磁束を発生させ、所定軸まわりの角速度検出を行っていた。ここでは、重錘体10の基板面(XY平面)に対してほぼ平行な方向(たとえば、X軸に沿った方向)を向いた磁束を発生させて角速度検出を行う実施形態を述べることにする。
<<< 5.1 角速度検出の原理 >>>
いま、図26に示すような構造をもった角速度センサを用意する。この角速度センサの構造は、図10に示した角速度センサの構造とほぼ同じである。すなわち、上面がXY平面に含まれる位置に基板状の重錘体10が配置され、この重錘体10は接続部材20によって所定の自由度を確保した状態で装置筐体30に接続されている。重錘体10の上面には、励振用導電路Ly1,Ly2および検出用導電路Ky1,Ky2が実質的にY軸に沿って配置されている。より具体的には、励振用導電路Ly1は、Y軸に沿って伸びX軸の負の部分に交差する位置に配置され、励振用導電路Ly2は、Y軸に沿って伸びX軸の正の部分に交差する位置に配置され、検出用導電路Ky1は、励振用導電路Ly1の脇に沿って伸びるように配置され、検出用導電路Ky2は、励振用導電路Ly2の脇に沿って伸びるように配置されている。
ただ、この図26に示す角速度センサでは、図10に示す磁界発生手段50の代わりに、磁界発生手段60が用いられている。この磁界発生手段60は、X軸に平行な成分を有し、かつ磁束密度がX軸方向に関して不均一となるような磁束φxdからなる磁界を発生する機能を有する。別言すれば、ほぼX軸に平行な方向を向きながら、X軸の負方向にゆくにしたがって徐々に広がるような磁束φxdが生成されることになる。したがって、磁束の向きは、重錘体10の上面に対してほぼ水平になるが、たとえば、X軸上の任意の点をx1,x2としたときに、X=x1で示される平面上の磁束密度と、X=x2で示される平面上の磁束密度とは異なることになる。このような構成をもった角速度センサにおいて、励振用導電路Ly1,Ly2に電流Iyを供給した場合を考える。この場合、磁束φxdのX軸方向成分に対して電流Iyは直交するため、ローレンツ力によって重錘体10はZ軸方向に運動Uzを生じることになる。
そこで、このように、重錘体10にZ軸方向の運動Uzを生じさせた状態において、図27に示すように、作用したY軸まわりの角速度ωyを求めるために、コリオリ力Fxに基づくX軸方向の変位を検出する方法を述べる。磁束φxdはほぼX軸方向を向いているため、重錘体10のX軸方向の変位そのものによっては、検出用導電路Ky1,Ky2に有意な起電力は生じない。しかしながら、重錘体10はZ軸方向の運動Uzを生じているため、この運動Uzに基づいて検出用導電路Ky1,Ky2に起電力Eyが生じることになる。これは、重錘体10がZ軸方向へ運動すると、Y軸方向に配置された検出用導電路Ky1,Ky2が、ほぼX軸方向を向いた磁束φxdを横切ることになるからである(フレミングの右手の法則)。しかも、検出用導電路Ky1,Ky2に生じる起電力Eyは、重錘体10のX軸上の位置に応じて変化する。なぜなら、磁束φxdの磁束密度は、X軸方向に関して不均一であるためである。
たとえば、図27に示す磁束φxdは、X軸の負方向へゆくにしたがって広がってゆくため、X軸の負方向ほど磁束密度は小さくなり、X軸の正方向ほど磁束密度は大きくなる。したがって、検出用導電路Ky1,Ky2に生じる起電力Eyは、重錘体10がX軸の負方向に変位した場合に小さくなり、逆に、重錘体10がX軸の正方向に変位した場合に大きくなる。このように、検出用導電路Ky1,Ky2に生じる起電力Eyの増減は、検出用導電路Ky1,Ky2が切る磁束φxdの密度を示すパラメータとなる。結局、起電力Eyの増減を求めることによって重錘体10のX軸方向の変位を検出することができ、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出することができ、Y軸まわりの角速度ωyを検出することができる。
電流Iyとして交流電流を用いれば、重錘体10の運動UzはZ軸方向に沿った振動運動になるので、角速度ωyが一定であったとしても、コリオリ力Fxは正弦波のグラフで示される周期関数となり、重錘体10はZ軸方向に振動運動Uzを行いながら、コリオリ力Fxに基づいてX軸方向にも振動運動を行うことになる。したがって、検出用導電路Ky1,Ky2に発生する交流起電力Eyは、半周期ごとに振幅が増減することになる。結局、角速度ωyの向き(Y軸を中心として右まわりか左まわりか)に関する情報は、励振用導電路Ly1,Ly2に供給した交流電流Iyと検出用導電路Ky1,Ky2に生じた交流起電力Eyとの位相関係に基づいて得ることができ、角速度ωyの大きさに関する情報は、交流起電力Eyの振幅の増減の度合いに基づいて得ることができる。
なお、実際には、重錘体10がX軸方向に変位すると、磁束密度の変化によって、振動Uz自身にも影響が生じることになり、動作が不安定になる(§3.5参照)。したがって、実用上は、図15に示すようなフィードバック制御機能を有する角速度検出装置を用い、検出用導電路Ky1,Ky2に発生する交流起電力Eyが基準値(基準交流波形Eref )に維持されるように、磁界発生手段60の発生する磁界強度を調整するようなフィードバック制御を行い、フィードバック信号Fbに対応する値を角速度ωyの検出値として出力するのが好ましい。
残念ながら、この図26に示すタイプの角速度センサでは、Y軸まわりの角速度ωyしか検出することはできない。磁束がほぼX軸方向を向いているため、重錘体10上にX軸に沿った導電路を形成することは無意味である(磁界との相互作用が生じないため)。したがって、重錘体10に対してはZ軸方向の運動Uzしか生じさせることはできない。よって、Z軸まわりの角速度ωzが作用してもコリオリ力は発生せず、角速度ωzの検出を行うことはできない。また、X軸まわりの角速度ωxが作用した場合は、Y軸方向にコリオリ力Fyが発生するものの、重錘体10のY軸方向の変位を効率良く検出する手段をもたないため、結局、角速度ωxを有効に検出することもできない。このように、ここで述べたタイプの角速度センサは、1軸まわりの角速度センサとしての利用しか期待できないが、重錘体10の基板面に平行な方向に磁界を発生させればよいという特徴を有するため、より偏平な角速度センサが実現できるという構造的なメリットは得られる。
<<< 5.2 具体的な構造例 >>>
図28は、上述した偏平タイプの一実施形態に係る角速度センサ400の構造を示す縦断面図である。底板410およびキャップ420は、このセンサの装置筐体を構成する部材であり、他の構成要素は、この装置筐体内に収容される。この角速度センサの中枢をなす部分は、中心部材431、可撓部材432、周囲部材433である。周囲部材433は、中心部材431に対して所定間隔をおいてその周囲を取り囲むように配置され、両者間は可撓部材432によって接続されている。可撓部材432は、この例では、ばねによって構成されているが、中心部材431を周囲部材433に対して所定の自由度をもって運動可能となるように接続する機能を有していれば、どのような部材で構成してもかまわない。もちろん、中心部材431、可撓部材432、周囲部材433を、図17に示すような板状構造体230を用いて構成することもできる。
ここでは説明の便宜上、図28に示すように、中心部材431の上面中心位置に原点Oを定義し、図28の左方にX軸、上方にZ軸、紙面垂直上方にY軸を定義する。中心部材431の上面は、XY平面に含まれることになる。周囲部材433は、台座440の上に固定されているが、台座440の上面と中心部材431の下面との間には、所定の間隙が確保されており、中心部材431はZ軸方向に所定の自由度をもって運動可能である。台座440は、底板410の上面に固定されている。結局、周囲部材433は、間接的に底板410上に固定されていることになり、中心部材431は可撓部材432によって懸架された状態になる。中心部材431は、XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸のすべての方向にある程度の自由度をもって運動可能である。ここで、この図28に示す構造体を、図26に示す角速度センサと対比すると、中心部材431が重錘体10として機能し、可撓部材432が接続部材20として機能し、周囲部材433が装置筐体30として機能することがわかる。
キャップ420の左側壁の内側には、磁石450が配置され、その右側には磁気ヘッド460が形成されている。一方、キャップ420の右側壁の内側に突出した隆起部分は、もう一方の磁気ヘッド421を構成している。中心部材431上の原点Oに着目すると、磁気ヘッド460はX軸の正の部分に配置されており、磁気ヘッド421はX軸の負の部分に配置されていることになり、中心部材431は、磁気ヘッド421と磁気ヘッド460との間に挟まれている。磁石450で発生した磁界は、この両磁気ヘッドの間を通る磁束を形成することになる。ただし、磁気ヘッド421の磁束発生部(図の左側面)の面積は、磁気ヘッド460の磁束発生部(図の右側面)の面積に比べて大きく設定されているため、両磁気ヘッド間に発生する磁束は、基本的にはほぼX軸を向いているものの、右方へゆくほど磁束が広がるようになる。このため、発生する磁束φxdは、X軸方向成分を有しているものの、X軸方向に関して磁束密度が不均一な磁束になる。
もちろん、この磁束φxdは、図26に示す角速度センサにおける磁界発生手段60によって発生させられる磁束に相当する。上述した検出原理によれば、磁束φxdは、X軸方向成分を有し、X軸方向に関して磁束密度が不均一な磁束であれば、どのような磁束でもかまわないので、図28に示す例とは逆に、磁気ヘッド421の左側面の面積を、磁気ヘッド460の右側面の面積よりも小さくする構成にしてもかまわない。図28に示す例では、中心部材431,周囲部材433,台座440は絶縁性材料から構成されているが、底板410、キャップ420、磁気ヘッド421、磁気ヘッド460は、いずれも磁性材料(鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金)で構成されており、これらの磁性体によって、外部への漏れ磁束のない閉じた磁気回路が形成される。なお、図示の例では、磁石450を永久磁石によって構成しているが、電磁石によって構成してもかまわない。
中心部材431は基板状の構造体であり、その上面には、図26に示すように、励振用導電路Ly1,Ly2および検出用導電路Ky1,Ky2が形成されている。この例では、中心部材431はシリコンなどの半導体基板によって構成されており、各導電路は、この半導体基板上に形成された不純物拡散層やアルミニウム配線層によって構成されている。図28に示す配線ピン471,472(図では2本のみ示されているが、実際には配線に必要な数だけ配線ピンが設けられる)は、底板410を通ってこのセンサの内外を連結しており、その上端には、ボンディングワイヤ481,482の一端が接続されている。ボンディングワイヤ481,482の他端は、直接的には、周囲部材433に接続されているが、周囲部材433上には、中心部材431上の各導電路に電気的に接続された配線が形成されており、ボンディングワイヤ481,482は、これらの配線を介して各導電路に電気的に接続されることになる。
<<< 5.3 別な具体的構造例 >>>
図29は、図28に示す角速度センサ400に対する変形例に相当する角速度センサ500の構造を示す横断面図である。パッケージ510は、このセンサの構成要素すべてを収容する容器であり、他の構成要素は、すべてこのパッケージ510内に組み込まれている。この角速度センサの中枢をなす部分は、中心部材531、可撓部材532、周囲部材533である。周囲部材533は、中心部材531に対して所定間隔をおいてその周囲を取り囲むように配置され、両者間は可撓部材532によって接続されている。可撓部材532は、この例では、ばねによって構成されているが、中心部材531を周囲部材533に対して所定の自由度をもって運動可能となるように接続する機能を有していれば、どのような部材で構成してもかまわない。もちろん、中心部材531、可撓部材532、周囲部材533を、図17に示すような板状構造体230を用いて構成することもできる。
ここでは説明の便宜上、図29に示すように、中心部材531の上面に原点を定義して、左方にX軸、下方にY軸、紙面垂直上方にZ軸を定義する。中心部材531の上面は、XY平面に含まれることになる。周囲部材533は、パッケージ510に対して固定されており、中心部材531は可撓部材532によって懸架された状態になる。中心部材531は、XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸のすべての方向にある程度の自由度をもって運動可能である。ここで、この図29に示す構造体を、図26に示す角速度センサと対比すると、中心部材531が重錘体10として機能し、可撓部材532が接続部材20として機能し、周囲部材533が装置筐体30として機能することがわかる。
磁性材料から構成される磁気回路構成部540,550は、磁石560の両側に接続されており、その先端部は、それぞれ磁気ヘッド541,551を形成している。磁気ヘッド541,551は、中心部材531を両側から挟む位置に配置されており、磁石560で発生した磁界は、この両磁気ヘッドの間を通る磁束を形成することになる。ただし、磁気ヘッド541の磁束発生部(図の右側面)の面積は、磁気ヘッド551の磁束発生部(図の左側面)の面積に比べて小さく設定されているため、両磁気ヘッド間に発生する磁束は、基本的にはほぼX軸を向いているものの、右方へゆくほど磁束が広がるようになる。このため、発生する磁束φxdは、X軸方向成分を有しているものの、X軸方向に関して磁束密度が不均一な磁束φxdとなる。この例においても、磁気回路構成部540,550,磁石560によって、外部への漏れ磁束のない閉じた磁気回路が形成されている。
§6. いくつかの変形例
ここでは、これまで述べてきた角速度センサについて、いくつかの変形例を述べることにする。
<<< 6.1 重錘体10に回転運動をさせる変形例 >>>
三軸まわりすべての角速度を検出するための方法として、§3.4では、図14の図表に示すように、動作モード1と動作モード2とを交互に行う方法を説明した。すなわち、動作モード1では、重錘体10をY軸方向に振動させた状態とし、X軸まわりの角速度ωxとZ軸まわりの角速度ωzとを検出し、続く動作モード2では、重錘体10をX軸方向に振動させた状態とし、Y軸まわりの角速度ωyとZ軸まわりの角速度ωzとを検出することになる。しかしながら、この方法によって動作モードの切り替えを行うためには、Y軸方向の振動とX軸方向の振動とを交互に切り替える必要があるため、振動方向が重錘体10の慣性力に抗して完全に切り替わるまで、ある程度の準備時間が必要になる。このような弊害を避けるためには、重錘体10を回転運動させればよい。
たとえば、上面がXY平面に含まれるような位置に基板状の重錘体10が配され、図12に示すように、この重錘体10の上面に4組の励振用導電路Lx1,Lx2,Ly1,Ly2と4組の検出用導電路Kx1,Kx2,Ky1,Ky2を形成した角速度センサを用意する。そして、励振用導電路Lx1,Lx2,Ly1,Ly2のそれぞれに、図30のグラフに示すような波形をもった交流電流I1,I2,I3,I4を供給する。X方向励振用導電路Lx1,Lx2に供給される第1の交流電流I1,I2は、時刻t0において正の最大値をとり、時刻t2において0となるような位相をもった交流電流であるのに対し、Y方向励振用導電路Ly1,Ly2に供給される第2の交流電流I3,I4は、時刻t0において0となり、時刻t2において正の最大値をとるような位相をもった交流電流であり、両者はπ/2だけ位相がずれていることになる。
いま、X軸あるいはY軸の正方向に流れる電流値を正とし、負方向に流れる電流値を負とすれば、各励振用導電路Lx1,Lx2,Ly1,Ly2には、それぞれ図31の平面図(検出用導電路は図示省略)に示されるような方向に電流I1〜I4が供給されることになる。ここで、図30の時間軸上の各時刻t0〜t7における各電流I1〜I4の方向に着目すると、図32に示すダイヤグラムが得られる。たとえば、図32において、時刻t0の状態では、電流I1,I2は正の最大値をとるため図の上から下へと流れる電流になるが、電流I3,I4は0になるため、左右方向へは電流は流れない。一方、時刻t2の状態では、電流I3,I4は正の最大値をとるため図の左から右へと流れる電流になるが、電流I1,I2は0になるため、上下方向へは電流は流れない。更に、時刻t4の状態では、電流I1,I2は負の最大値をとるため図の下から上へと流れる電流になるが、電流I3,I4は0になるため、左右方向へは電流は流れない。そして、時刻t6の状態では、電流I3,I4は負の最大値をとるため図の右から左へと流れる電流になるが、電流I1,I2は0になるため、上下方向へは電流は流れない。時刻t1,t3,t5,t7の状態は、上記4つの各状態の遷移途中の状態となり、上下方向の電流と左右方向の電流との双方が流れることになる(電流値は上記4つの状態よりもそれぞれ小さくなる)。
さて、ここで、磁界発生手段50によって、ほぼZ軸方向を向いた磁束φzdが生成されているとすれば、励振用導電路に供給された電流と磁束φzdとの相互作用に基づくローレンツ力が発生する。このローレンツ力の方向を、図32では白抜きの矢印で示してある。たとえば、時刻t0の状態では左向きのローレンツ力R(t0)が生じ、時刻t2の状態では下向きのローレンツ力R(t2)が生じ、時刻t3の状態では右向きのローレンツ力R(t4)が生じ、時刻t6の状態では上向きのローレンツ力R(t6)が生じる。時刻t1,t3,t5,t7の状態では、それぞれ図示のとおり斜め方向のローレンツ力R(t1),R(t3),R(t5),R(t7)が生じる。このように、ローレンツ力Rの方向は徐々にその向きを変えてゆくことになるので、結局、時刻t0〜時刻t8に至る一周期において、重錘体10はXY平面上で回転運動を行うことになる。
図33は、この重錘体10の回転運動を示す平面図であり、円軌道上の黒丸は、各時刻における重錘体10の質点位置を示している。図示のとおり、時刻t0〜時刻t8に至る一周期において、重錘体10の質点は円軌道に沿って一回転することになる。このような円運動は、実は、X軸方向の振動UxとY軸方向の振動Uyとを合成することにより得られる運動であり、この円運動には、X軸方向の振動Uxの成分とY軸方向の振動Uyの成分との双方が含まれていることになる。たとえば、図33において、時刻t0の瞬時の運動(Y軸の負の部分を横切る瞬間の運動)に着目すれば、質点はX軸正方向に接線速度Vxで運動している。同様に、時刻t2の瞬時の運動(X軸の正の部分を横切る瞬間の運動)に着目すれば、質点はY軸正方向に接線速度Vyで運動しており、時刻t4の瞬時の運動(Y軸の正の部分を横切る瞬間の運動)に着目すれば、質点はX軸負方向に接線速度−Vxで運動しており、時刻t6の瞬時の運動(X軸の負の部分を横切る瞬間の運動)に着目すれば、質点はY軸負方向に接線速度−Vyで運動している。
結局、時刻t0,t4の瞬時の運動は、重錘体10にX軸方向の振動Uxを与えたときの運動と等価であり、図14に示す図表における動作モード2に相当する運動になる。同様に、時刻t2,t6の瞬時の運動は、重錘体10にY軸方向の振動Uyを与えたときの運動と等価であり、図14に示す図表における動作モード1に相当する運動になる。結局、重錘体10を回転運動させた場合、図14に示す図表の代わりに、図34に示すような図表を適用することが可能になる。すなわち、時刻t0,t4においては、検出用導電路Ky1,Ky2に発生する起電力Eyに基づいて角速度ωyを検出することができ、検出用導電路Kx1,Kx2に発生する起電力Exに基づいて角速度ωzを検出することができる。また、時刻t2,t6においては、検出用導電路Kx1,Kx2に発生する起電力Exに基づいて角速度ωxを検出することができ、検出用導電路Ky1,Ky2に発生する起電力Eyに基づいて角速度ωzを検出することができる。
このように、重錘体10に回転運動を生じさせた状態での検出を行えば、動作モードを切り替える必要がなく、三軸まわりの角速度ωx,ωy,ωzの値を継続的に検出することが可能になる。なお、実用上は、ここに述べる方法においても、§3.5で述べたフィードバック制御装置を利用したフィードバック制御を行い、磁界発生手段50の発生する磁界の強度を調整するようにするのが好ましい。
<<< 6.2 容量素子を併用する変形例 >>>
図35は、重錘体の変位検出に容量素子を併用するタイプの実施形態に係る角速度センサ600の構造を示す縦断面図である。パッケージ610は、このセンサのすべての構成要素を収容する容器であり、その天井部下面には、磁石620が設けられている。この角速度センサの中枢をなす部分は、中心部材631、可撓部材632、周囲部材633である。周囲部材633は、中心部材631に対して所定間隔をおいてその周囲を取り囲むように配置され、両者間は可撓部材632によって接続されている。可撓部材632は、この例では、ばねによって構成されているが、中心部材631を周囲部材633に対して所定の自由度をもって運動可能となるように接続する機能を有していれば、どのような部材で構成してもかまわない。もちろん、中心部材631、可撓部材632、周囲部材633を、図17に示すような板状構造体230を用いて構成することもできる。
ここでは説明の便宜上、図35に示すように、中心部材631の上面に原点Oを定義して、右方にY軸、上方にZ軸、紙面垂直上方にX軸を定義する。中心部材631の上面は、XY平面に含まれることになる。周囲部材633は、パッケージ600に対して固定されており、中心部材631は可撓部材632によって懸架された状態になる。中心部材631とパッケージ610との間には所定の間隙が確保されており、中心部材631は、XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸のすべての方向にある程度の自由度をもって運動可能であり、その上面には図12に示すような各導電路が形成されている。ここで、この図35に示す構造体を、これまで述べてきた角速度センサと対比すると、中心部材631が重錘体10として機能し、可撓部材632が接続部材20として機能し、周囲部材633が装置筐体30として機能することがわかる。
この角速度センサの特徴は、中心部材631の下面に変位電極641が形成され、パッケージ610の底面に固定電極642が形成されている点である。変位電極641と固定電極642とは、互いに対向する位置に形成されており、両電極によって容量素子Cが形成されている。この容量素子Cは、中心部材631(重錘体)のZ軸方向の変位を検出するために利用される。たとえば、図35において、中心部材631がZ軸正方向に変位すると、変位電極641と固定電極642との距離が大きくなり、容量素子Cの静電容量値は減少する。逆に、中心部材631がZ軸負方向に変位すると、変位電極641と固定電極642との距離が小さくなり、容量素子Cの静電容量値は増加する。したがって、容量素子Cの静電容量値の増減を測定できれば、中心部材631のZ軸方向の変位検出が可能になる。なお、パッケージ610自体を導電性材料で構成すれば、このパッケージ610の底面の一部を固定電極として利用することができるため、固定電極642を別途形成する必要はなくなる。
このように、重錘体のZ軸方向の変位検出に、容量素子Cを設けておくようにすれば、これまで述べてきた角速度センサにおいて、重錘体のZ軸方向の変位の検出に寄与する検出用導電路は省略することができる。また、図10および図11に示す検出原理を用いる必要がなくなるため、磁界発生手段としても、Z軸に平行な磁束φzを生成できれば足りる。
図36に示す図表は、図35に示すタイプの角速度センサを用いて、重錘体(中心部材631)をXY平面上で回転運動させ、三軸まわりの角速度をすべて検出するための手順を示している。図34に示す図表との相違は、コリオリ力Fzを検出するために容量素子Cを用いている点であり、角速度ωxおよびωyは、いずれも容量素子Cを用いて検出されることになる。また、角速度ωzは、X方向検出用導電路Kx1,Kx2によっても、Y方向検出用導電路Ky1,Ky2によっても検出することができるので、いずれか一方は設けなくてもかまわない。
§7. 複数の重錘体を設ける実施形態
これまで述べてきた実施形態は、いずれも単一の重錘体を装置筐体内に設けたものであるが、ここでは、装置筐体内に複数の重錘体を設けた実施形態を述べる。この場合、各重錘体と装置筐体との間および複数の重錘体相互間を接続部材によって接続することにより、各重錘体がそれぞれ装置筐体に対して所定の自由度をもって運動可能となるように構成し、これら複数の重錘体を運動させた状態において、所定の重錘体に作用するコリオリ力を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出を行うようにすればよい。一般に、単一の重錘体を装置筐体内で振動させると、振動成分が装置筐体を伝わって外部に漏れる可能性がある。重錘体の振動成分が外部に漏れると、たとえば、装置筐体に手を触れただけで、重錘体の振動に影響が及ぶことになり、検出精度を低下させるという問題がある。ここで述べる実施形態のように、装置筐体内に複数の重錘体を設け、これら重錘体(同じ質量のものが好ましい)を、互いに幾何学的に対称となるような態様で振動させるようにすると、外部への振動漏れを防ぐ上で効果的である。また、複数の重錘体から得られた検出結果に基づいて、最終的な検出値を得ることができるので、差動検出動作などを行うことが可能になり、温度変動や加速度の作用といった外乱による影響を相殺した正確な検出値を得ることができるというメリットも得られる。以下、具体的な構成例をいくつか開示しておく。なお、図37以降に示す構造概念図では、装置筐体、重錘体、接続部材のみが示されているが、実際には、各重錘体上には必要な導電路が形成されており、また、所定の方向に磁界を発生させる磁界発生手段が備わっている。
<<< 7.1 第1の構成例 >>>
図37は、第1の構成例に係る角速度センサ700の構造概念図である。装置筐体705には、配置軸Aに沿って、所定間隔をあけて第1の重錘体710および第2の重錘体720が配置されている。これら各重錘体710,720は、それぞれ接続部材701を介して装置筐体705に接続されている。また、第1の重錘体710と第2の重錘体720との相互間も接続部材701を介して接続されている。
このような構成の角速度センサ700を用いて検出を行うには、第1の重錘体710と第2の重錘体720とを配置軸Aに沿って互いに逆方向に振動させることができるように、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給すればよい。配置軸Aに沿って、一方の重錘体が右方向へ運動しているときには、必ずもう一方の重錘体が左方向へと運動することになり、装置筐体705に対しては左右対称の力が加わることになり、外部への振動漏れを抑制することができる。また、重錘体の運動方向が逆向きになるため、同じ角速度に起因して、一方の重錘体に作用するコリオリ力と他方の重錘体に作用するコリオリ力とは逆向きになるため、一方の重錘体から得られる検出信号と他方の重錘体から得られる検出信号とは、符号が逆になる。そこで、これら両検出信号の差に基づいて最終的な検出値を出力する差動検出が可能になり、温度変動や加速度の作用といった外乱による影響を相殺した正確な検出値を得ることができる。
<<< 7.2 第2の構成例 >>>
図38は、第2の構成例に係る角速度センサ700Aの構造概念図である。装置筐体755には、配置軸Aに沿って、所定間隔をあけて第1の重錘体710、第2の重錘体720、第3の重錘体730が配置されている。これら各重錘体710,720,730は、それぞれ接続部材701を介して装置筐体755に接続されている。また、第1の重錘体710と第2の重錘体720との相互間も接続部材701を介して接続されており、第2の重錘体720と第3の重錘体730との相互間も接続部材701を介して接続されている。しかも、この角速度センサでは、励振用導電路は、第1の重錘体710および第3の重錘体730にのみ形成されており、検出用導電路は、第2の重錘体720にのみ形成されている。したがって、電流供給による励振の対象となるのは、第1の重錘体710および第3の重錘体730のみであり、起電力に基づく検出の対象となるのは、第2の重錘体720のみである。もちろん、第1の重錘体710および第3の重錘体730に検出用導電路を、第2の重錘体720に励振用導電路をそれぞれ設けてもよい。
このような構成の角速度センサ700Aを用いて検出を行うには、第1の重錘体710と第3の重錘体730とを配置軸Aに沿って同方向に振動させることができるように、各重錘体の励振用導電路に所定の交流電流を供給すればよい。このように、第1の重錘体710と第3の重錘体730とを振動させると、これらに挟まれた第2の重錘体720には、逆方向の振動が生じる。そこで、この第2の重錘体720上に形成された検出用導電路に発生する起電力に基づいて、角速度の検出が行われる。このように、励振用の重錘体と検出用の重錘体とをそれぞれ別体にすることにより、設計上の自由度が増すというメリットが得られる。
<<< 7.3 第3の構成例 >>>
図39は、第3の構成例に係る角速度センサ800の構造概念図である。装置筐体805内には、4組の重錘体810,820,830,840が収容されている。ここでは、図示のように、所定間隔dをおいて互いに平行な第1の軸A1および第2の軸A2が定義され、同じく所定間隔dをおいて互いに平行な第3の軸A3および第4の軸A4とが定義されている。第1の軸A1および第2の軸A2は図の水平方向に伸びた軸であり、第3の軸A3および第4の軸A4は図の垂直方向に伸びた軸であり、両者は互いに直交する。そして、第1の軸A1と第3の軸A3との交点に第1の重錘体810が配置され、第1の軸A1と第4の軸A4との交点に第2の重錘体820が配置され、第2の軸A2と第3の軸A3との交点に第3の重錘体830が配置され、第2の軸A2と第4の軸A4との交点に第4の重錘体840が配置されている。
第1の重錘体810〜第4の重錘体840は、それぞれ接続部材801を介して装置筐体805に接続されている。また、第1の重錘体810と第2の重錘体820との相互間、第1の重錘体810と第3の重錘体830との相互間、第4の重錘体840と第2の重錘体820との相互間、第4の重錘体810と第3の重錘体820との相互間、もそれぞれ接続部材801によって接続されている。
このような構成の角速度センサ800を用いて検出を行うには、まず、第1の軸A1と第3の軸A3との交点と第2の軸A2と第4の軸A4との交点とを連結する方向をX軸方向と定義し、第1の軸A1と第4の軸A4との交点と第2の軸A2と第3の軸A3との交点とを連結する方向をY軸方向と定義する。そして、第1の重錘体810および第4の重錘体840をX軸方向に沿って互いに逆方向に振動させ、第2の重錘体820および第3の重錘体830をY軸方向に沿って互いに逆方向に振動させることができるように、各重錘体上の励振用導電路に所定の交流電流を供給する。そして、第1の重錘体810に基づく検出値と第4の重錘体840に基づく検出値との差に基づいて第1の角速度の検出値を出力し、前記第2の重錘体820に基づく検出値と第3の重錘体830に基づく検出値との差に基づいて第2の角速度の検出値を出力する。
この角速度センサでは、第1の重錘体810および第4の重錘体840のうちの一方の重錘体がX軸正方向へ運動しているときには、必ずもう一方の重錘体がX軸負方向へと運動することになり、装置筐体805に対してはX軸の正負両方向の力が加わることになる。同様に、第2の重錘体820および第3の重錘体830のうちの一方の重錘体がY軸正方向へ運動しているときには、必ずもう一方の重錘体がY軸負方向へと運動することになり、装置筐体805に対してはY軸の正負両方向の力が加わることになる。したがって、装置筐体805全体としては、外部への振動漏れを抑制することができる。また、一対の重錘体の運動方向が逆向きになるため、同じ角速度に起因して、一方の重錘体に作用するコリオリ力と他方の重錘体に作用するコリオリ力とは逆向きになる。よって、一方の重錘体から得られる検出信号と他方の重錘体から得られる検出信号とは、符号が逆になる。そこで、これら両検出信号の差に基づいて最終的な検出値を出力する差動検出が可能になり、温度変動や加速度の作用といった外乱による影響を相殺した正確な検出値を得ることができる。具体的には、第1の重錘体810に基づく検出値と、第4の重錘体840に基づく検出値との差によって、所定軸まわりの角速度を求めることができ、第2の重錘体820に基づく検出値と、第3の重錘体830に基づく検出値との差によって、所定軸まわりの角速度を求めることができる。ここで、第1の重錘体810と第4の重錘体840はX軸方向に運動するので、Y軸まわりの角速度ωyとZ軸まわりの角速度ωzを求めることができ、第2の重錘体820と第3の重錘体830はY軸方向に運動するので、X軸まわりの角速度ωxとZ軸まわりの角速度ωzを求めることができる。このように、3軸まわりの角速度をそれぞれ容易に検出することができる。
<<< 7.4 第4の構成例 >>>
図40は、第4の構成例に係る角速度センサ900の構造概念図である。装置筐体905内には、4組の重錘体910,920,930,940が収容されている。ここでは、図示のように、水平方向に第1の軸A5、垂直方向に第2の軸A6が定義されており、両軸は中心点において直交する。第1の軸A5の中心点の両側に第1の重錘体910および第2の重錘体920が配置され、第2の軸A6の中心点の両側に第3の重錘体930および第4の重錘体940が配置されている。
ここで、第1の重錘体910、第2の重錘体920、第3の重錘体930、第4の重錘体940は、それぞれ接続部材901を介して装置筐体905に接続されており、更に、第1の重錘体910と第2の重錘体920との相互間と、第3の重錘体930と第4の重錘体940との相互間も、接続部材901を介して接続されている。なお、第1の重錘体910と第2の重錘体920とを相互に接続する接続部材901と、第3の重錘体930と第4の重錘体940とを相互に接続する接続部材901とは、第1の軸A5および第2の軸A6の交点位置の連結部950で連結されている。もっとも、この連結部950による連結は行わなくてもよい。また、この連結部950を装置筐体905に固定するようにしてもよい。
このような構成の角速度センサ900を用いて検出を行うには、第1の重錘体910および第2の重錘体920を第1の軸A5(X軸)に沿って互いに逆方向に振動させ、第3の重錘体930および第4の重錘体940を第2の軸A6(Y軸)に沿って互いに逆方向に振動させるように、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給する。上述したように、互いに逆方向に振動する一対の重錘体を用いれば、差動検出が可能になる。すなわち、第1の重錘体910に基づく検出値と第2の重錘体920に基づく検出値との差に基づいて第1の角速度の検出値を出力することができ、第3の重錘体930に基づく検出値と第4の重錘体940に基づく検出値との差に基づいて第2の角速度の検出値を出力することができる。このような差動検出を行うと、外部への振動漏れが抑制でき、また、温度変動や加速度の作用といった外乱による影響を相殺した正確な検出値を得ることができる点は既に述べたとおりである。ここで、第1の重錘体910と第2の重錘体920はX軸方向に運動するので、Y軸まわりの角速度ωyとZ軸まわりの角速度ωzを求めることができ、第3の重錘体930と第4の重錘体940はY軸方向に運動するので、X軸まわりの角速度ωxとZ軸まわりの角速度ωzを求めることができる。このように、3軸まわりの角速度をそれぞれ容易に検出することができる。
本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体をY軸方向に運動させる原理を示す図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がY軸方向に運動している状態で、X軸まわりの角速度ωxが作用したときの現象を示す図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がY軸方向に運動している状態で、Z軸まわりの角速度ωzが作用したときの現象を示す図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体をX軸方向に運動させる原理を示す図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がX軸方向に運動している状態で、Y軸まわりの角速度ωyが作用したときの現象を示す図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がX軸方向に運動している状態で、Z軸まわりの角速度ωzが作用したときの現象を示す図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がY軸方向に運動している状態で、Z軸まわりの角速度ωzが作用したときに生じるコリオリ力Fxを検出する原理を説明する図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がX軸方向に運動している状態で、Z軸まわりの角速度ωzが作用したときに生じるコリオリ力Fyを検出する原理を説明する図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がY軸方向に運動している状態で、X軸まわりの角速度ωxが作用したときに生じるコリオリ力Fzを検出する原理を説明する図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体がX軸方向に運動している状態で、Y軸まわりの角速度ωyが作用したときに生じるコリオリ力Fzを検出する原理を説明する図である。 本発明に係る角速度センサを構成する重錘体上に形成される導電路の1つのパターンを示す平面図である。 本発明に係る角速度センサを構成する重錘体上に形成される導電路の典型的なパターンを示す平面図である。 本発明に係る角速度検出装置の基本構成を示すブロック図である。 図13に示す角速度検出装置を用いて、三軸まわりのすべての角速度を検出する手順を示す図表である。 図13に示す角速度検出装置に、フィードバック制御機能を付加した装置の基本構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る係る角速度センサ200の構造を示す縦断面図である。 図16に示す角速度センサ200内の板状構造体230の横断面図である。 図16に示す角速度センサ200の磁気ヘッド部分の拡大図である。 図16に示す角速度センサ200に形成される閉じた磁気回路を示す図である。 本発明の別な一実施形態に係る係る角速度センサ200Aの構造を示す縦断面図である。 本発明の更に別な一実施形態に係る係る角速度センサ200Bの構造を示す縦断面図である。 図21に示す実施形態に変形を施した角速度センサ200Cの構造を示す縦断面図である。 本発明の更に別な一実施形態に係る係る角速度センサ300の構造を示す縦断面図である。 本発明に係る角速度センサに用いる板状構造体の変形例を示す横断面図である。 本発明に係る角速度センサに用いる板状構造体の別な変形例を示す横断面図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体の基板面に平行な磁束を生成させる実施形態の構成を示す図である。 図26に示す実施形態において、重錘体がZ軸方向に運動している状態で、Y軸まわりの角速度ωyが作用したときに生じるコリオリ力Fxを検出する原理を説明する図である。 重錘体の基板面に平行な磁束を用いる実施形態に係る角速度センサ400の構造を示す縦断面図である。 重錘体の基板面に平行な磁束を用いる別な実施形態に係る角速度センサ500の構造を示す横断面図である。 本発明に係る角速度センサにおいて、重錘体を回転運動させるために供給する交流電流波形を示すグラフである。 重錘体上の4組の励振用導電路に対して、図30に示す交流電流I1〜I4を供給した状態を示す平面図である。 図31に示す交流電流およびこれによって生じるローレンツ力の向きを、各時刻ごとに分けて示した平面図である。 図32に示す各時刻ごとのローレンツ力によって生じる重錘体の回転運動の軌跡を示す平面図である。 図33に示す回転運動の各時点において、特定の軸まわりの角速度を検出する手法を示す図表である。 重錘体の変位検出に容量素子を併用した実施形態に係る角速度センサ600の構造を示す縦断面図である。 図35に示す角速度センサ600を用いて、特定の軸まわりの角速度を検出する手法を示す図表である。 2組の重錘体を利用した角速度センサ700の構造概念図である。 3組の重錘体を利用した角速度センサ700Aの構造概念図である。 4組の重錘体を利用した角速度センサ800の構造概念図である。 4組の重錘体を利用した別な角速度センサ900の構造概念図である。
符号の説明
10:重錘体
20:接続部材
30:装置筐体
40,50,60:磁界発生手段
100:角速度センサ
101:励振用導電路
102:検出用導電路
103:磁界発生手段
110:電流供給回路
120:電圧検出回路
130:制御装置
135:フィードバック制御装置
200,200A,200B,200C:角速度センサ
210:底板
211,212:挿通孔
215:底板
220:キャップ
221:磁気ヘッド
225:キャップ
226:磁気ヘッド
228:キャップ
230,230A,230B:板状構造体
231,231A,231B:中央部
232,232A,232B:可撓部
233,233A,233B:周囲部
240:台座
250:支持部材
251:磁気ヘッド
260,265:磁石
266:磁気ヘッド
267:磁石
268:磁気ヘッド
269:磁石
271,272,273,274:配線ピン
281,282:ボンディングワイヤ
290:磁気回路
300:角速度センサ
310:底板
320:キャップ
330:板状構造体
331:中央部
332:可撓部
333:周囲部
340:台座
350:支持部材
351:磁気ヘッド
360:磁石
370:片持梁部材
371:磁気ヘッド
381,382:配線ピン
391,392:ボンディングワイヤ
400:角速度センサ
410:底板
420:キャップ
421:磁気ヘッド
431:中心部材
432:可撓部材
433:周囲部材
440:台座
450:磁石
460:磁気ヘッド
471,472:配線ピン
481,482:ボンディングワイヤ
500:角速度センサ
510:パッケージ
531:中心部材
532:可撓部材
533:周囲部材
540:磁気回路構成部
541:磁気ヘッド
550:磁気回路構成部
551:磁気ヘッド
560:磁石
600:角速度センサ
610:パッケージ
620:磁石
631:中心部材
632:可撓部材
633:周囲部材
641:変位電極
642:固定電極
700,700A:角速度センサ
705:装置筐体
701:接続部材
710,720,730:重錘体
755:装置筐体
800:角速度センサ
805:装置筐体
801:接続部材
810,820,830,840:重錘体
900:角速度センサ
905:装置筐体
901:接続部材
910,920,930,940:重錘体
950:連結部
A,A1〜A6:配置軸
d:軸間距離
E:交流電圧
Eref :基準交流波形
Ex:X軸方向の導電路に生じる起電力
Ey:Y軸方向の導電路に生じる起電力
Ez:Z軸方向の導電路に生じる起電力
I,Ix,Iy,I1,I2,I3,I4:導電路への供給電流
Fb:フィードバック信号
Fx:X軸方向に作用するコリオリ力
Fy:Y軸方向に作用するコリオリ力
Fz:Z軸方向に作用するコリオリ力
Kx1,Kx2:X方向検出用導電路
Ky1,Ky2,Ky3,Ky4:Y方向検出用導電路
Lx0,Lx1,Lx2:X方向励振用導電路
Ly1,Ly2:Y方向励振用導電路
O:XYZ座標系の原点
R(t0)〜R(t7):ローレンツ力
Sq1,Sq2:導電路配置の目安となる四角形
t0〜t8:時刻
Ux:X軸方向の運動/振動
Uy:Y軸方向の運動/振動
Uz:Z軸方向の運動/振動
Vx,−Vx:X軸方向への接線速度
Vy,−Vy:Y軸方向への接線速度
X,Y,Z:三次元座標系の各座標軸
φxd:ほぼX軸方向を向きながら広がる磁束
φz:Z軸方向に平行な磁束
φzd:ほぼZ軸方向を向きながら広がる磁束
ω:加速度検出値
ωx:X軸まわりの角速度
ωy:Y軸まわりの角速度
ωz:Z軸まわりの角速度

Claims (18)

  1. 互いに直交する第1の軸、第2の軸、第3の軸によって定義される三次元座標系において、少なくとも前記第1の軸まわりの角速度を検出する角速度センサであって、
    前記三次元座標系の空間内で運動可能な重錘体と、
    前記重錘体を収容する装置筐体と、
    前記重錘体を前記装置筐体に対して、所定の自由度をもって運動可能となるように接続する接続部材と、
    前記重錘体上に形成された励振用導電路および検出用導電路と、
    前記励振用導電路および前記検出用導電路が位置する空間に、前記励振用導電路および前記検出用導電路のいずれに対しても磁束が平行にはならないような磁界を発生させる磁界発生手段と、
    を備え、
    前記励振用導電路に電流を供給した場合に、この電流と前記磁界との相互作用に基くローレンツ力によって前記重錘体が前記第2の軸方向に運動するように前記励振用導電路が配置され、
    前記第1の軸まわりの角速度と前記第2の軸方向の運動とに基づいて前記第3の軸方向に作用するコリオリ力によって、前記重錘体が前記第3の軸方向に変位したことを、前記検出用導電路に発生する起電力に基づいて検出することができるように前記検出用導電路が配置され、
    前記磁界発生手段が、いずれも前記装置筐体に固定された第1の磁気ヘッドおよび第2の磁気ヘッドを有し、前記重錘体は、前記第1の磁気ヘッドと前記第2の磁気ヘッドとの間に挟まれ、前記第1の磁気ヘッドと前記第2の磁気ヘッドとの間に生じる磁束に起因して前記ローレンツ力が生じるようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  2. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    互いに直交するX軸,Y軸,Z軸の3軸によって定義されるXYZ三次元座標系において、これら各軸の方向に所定の自由度をもって運動が可能となるように重錘体を接続部材によって装置筐体に接続し、
    励振用導電路を実質的にX軸に沿って配置し、検出用導電路を実質的に前記Y軸に沿って配置し、
    磁界発生手段が、Z軸に平行な成分を有する磁束φzからなる磁界を発生するようにし、前記励振用導電路に電流Ixを供給した場合に、ローレンツ力によって前記重錘体がY軸方向に運動Uyを生じるように構成し、
    Z軸まわりの角速度ωzと前記運動Uyとに基づいて作用するX軸方向のコリオリ力Fxによって、前記重錘体がX軸方向に変位したことを、前記検出用導電路に発生する起電力Eyに基づいて検出できるように構成したことを特徴とする角速度センサ。
  3. 請求項2に記載の角速度センサにおいて、
    XYZ三次元座標系のXY平面内に上面が含まれ、この上面の中央部に原点Oが定義された基板を重錘体として用い、
    X軸に沿って伸び、Y軸の負の部分に交差する第1の導電路と、X軸に沿って伸び、Y軸の正の部分に交差する第2の導電路と、の一対の導電路により励振用導電路を構成し、
    Y軸に沿って伸び、X軸の負の部分に交差する第3の導電路と、Y軸に沿って伸び、X軸の正の部分に交差する第4の導電路と、の一対の導電路により検出用導電路を構成したことを特徴とする角速度センサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    中央部と、この中央部に対して所定間隔をおいてその周囲を取り囲む周囲部と、前記中央部と前記周囲部との間に形成され可撓性を有する可撓部と、を有する板状構造体を用意し、前記周囲部を台座を介して装置筐体に固定し、前記中央部を重錘体として用い、前記可撓部を接続部材として用いるようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  5. 請求項4に記載の角速度センサにおいて、
    板状構造体を半導体基板により構成し、この半導体基板上に形成された不純物拡散層もしくは金属配線層を各導電路として用いるようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置であって、
    励振用導電路に電流を供給する電流供給回路と、
    検出用導電路に発生する起電力を検出する電圧検出回路と、
    前記電流供給回路に制御信号を与えるとともに、前記電圧検出回路が検出した起電力に基づいて検出対象となる角速度に対応する電気信号を出力する制御装置と、
    を備えることを特徴とする角速度検出装置。
  7. 請求項6に記載の角速度検出装置において、
    制御装置が、電圧検出回路によって検出される起電力が基準値に保たれるように、磁界発生手段に対して磁界の強度を制御するフィードバック信号を与える機能をもったフィードバック制御装置によって構成され、前記フィードバック信号に基づいて検出対象となる角速度に対応する電気信号を出力することを特徴とする角速度検出装置。
  8. 請求項6または7に記載の角速度検出装置において、
    電流供給回路が所定の励振用導電路に交流電流を供給する機能を有し、重錘体を所定軸方向に振動させた状態で、角速度検出を行うことを特徴とする角速度検出装置。
  9. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    複数の重錘体を装置筐体内に設け、
    前記各重錘体と前記装置筐体との間および前記複数の重錘体相互間を接続部材によって接続することにより、前記各重錘体がそれぞれ前記装置筐体に対して所定の自由度をもって運動可能となるようにし、
    前記複数の重錘体を運動させた状態において、所定の重錘体に作用するコリオリ力を検出し、この検出結果に基づいて角速度の検出を行うことができるようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  10. 請求項9に記載の角速度センサにおいて、
    所定の配置軸に沿って所定間隔をあけて第1の重錘体および第2の重錘体を配置し、前記第1の重錘体および前記第2の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、前記第1の重錘体と前記第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続したことを特徴とする角速度センサ。
  11. 請求項9に記載の角速度センサにおいて、
    所定の配置軸に沿って所定間隔をあけて第1の重錘体、第2の重錘体および第3の重錘体を配置し、前記第1の重錘体、前記第2の重錘体、前記第3の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、前記第1の重錘体と前記第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、前記第2の重錘体と前記第3の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、前記第1の重錘体および前記第3の重錘体には導電路として励振用導電路を形成し、前記第2の重錘体には導電路として検出用導電路を形成したことを特徴とする角速度センサ。
  12. 請求項9に記載の角速度センサにおいて、
    所定間隔dをおいて互いに平行な第1の軸および第2の軸と、同じく所定間隔dをおいて互いに平行な第3の軸および第4の軸とを、前記第1の軸および前記第2の軸が前記第3の軸および前記第4の軸に直交するように定義し、
    前記第1の軸と前記第3の軸との交点に第1の重錘体を、前記第1の軸と前記第4の軸との交点に第2の重錘体を、前記第2の軸と前記第3の軸との交点に第3の重錘体を、前記第2の軸と前記第4の軸との交点に第4の重錘体を、それぞれ配置し、
    前記第1の重錘体、前記第2の重錘体、前記第3の重錘体、前記第4の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、前記第1の重錘体と前記第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、前記第1の重錘体と前記第3の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、前記第4の重錘体と前記第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、前記第4の重錘体と前記第3の重錘体とを相互に接続部材を介して接続したことを特徴とする角速度センサ。
  13. 請求項9に記載の角速度センサにおいて、
    第1の軸と第2の軸とを互いに所定の交点において直交するように定義し、
    前記第1の軸の前記交点の一方の側に第1の重錘体を、他方の側に第2の重錘体をそれぞれ配置し、前記第2の軸の前記交点の一方の側に第3の重錘体を、他方の側に第4の重錘体をそれぞれ配置し、
    前記第1の重錘体、前記第2の重錘体、前記第3の重錘体、前記第4の重錘体をそれぞれ接続部材を介して装置筐体に接続し、更に、前記第1の重錘体と前記第2の重錘体とを相互に接続部材を介して接続し、前記第3の重錘体と前記第4の重錘体とを相互に接続部材を介して接続したことを特徴とする角速度センサ。
  14. 請求項13に記載の角速度センサにおいて、
    第1の重錘体と第2の重錘体とを相互に接続する接続部材と、第3の重錘体と第4の重錘体とを相互に接続する接続部材とを、第1の軸および第2の軸の交点位置の連結点において連結し、前記連結点を装置筐体に固定したことを特徴とする角速度センサ。
  15. 請求項10に記載の角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置であって、
    第1の重錘体と第2の重錘体とを配置軸に沿って互いに逆方向に振動させるために、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給する機能を有し、前記第1の重錘体に基づく検出値と前記第2の重錘体に基づく検出値との差に基づいて最終的な角速度の検出値を出力することを特徴とする角速度検出装置。
  16. 請求項11に記載の角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置であって、
    第1の重錘体と第3の重錘体とを配置軸に沿って互いに同方向に振動させるために、前記第1の重錘体および前記第3の重錘体上の励振用導電路に所定の交流電流を供給する機能を有し、第2の重錘体上の検出用導電路に発生する起電力に基づいて角速度の検出を行うことを特徴とする角速度検出装置。
  17. 請求項12に記載の角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置であって、
    第1の軸と第3の軸との交点と第2の軸と第4の軸との交点とを連結する方向を第1の振動方向と定義し、第1の軸と第4の軸との交点と第2の軸と第3の軸との交点とを連結する方向を第2の振動方向と定義し
    第1の重錘体および第4の重錘体を前記第1の方向に沿って互いに逆方向に振動させ、第2の重錘体および第3の重錘体を前記第2の方向に沿って互いに逆方向に振動させるために、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給する機能を有し、前記第1の重錘体に基づく検出値と前記第4の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第1の角速度の検出値を出力し、前記第2の重錘体に基づく検出値と前記第3の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第2の角速度の検出値を出力することを特徴とする角速度検出装置。
  18. 請求項13に記載の角速度センサを用いて角速度検出を行うための角速度検出装置であって、
    第1の重錘体および第2の重錘体を第1の軸に沿って互いに逆方向に振動させ、第3の重錘体および第4の重錘体を第2の軸に沿って互いに逆方向に振動させるために、所定の励振用導電路に所定の交流電流を供給する機能を有し、前記第1の重錘体に基づく検出値と前記第2の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第1の角速度の検出値を出力し、前記第3の重錘体に基づく検出値と前記第4の重錘体に基づく検出値との差に基づいて第2の角速度の検出値を出力することを特徴とする角速度検出装置。
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