JP2007327934A - 磁気データ処理装置、方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第一の基本ベクトル群の一次結合である2次元ベクトルデータであって2次元磁気センサから出力される磁気データを順次入力する入力手段と、前記磁気データの旧オフセットを新オフセットに更新するために複数の前記磁気データを母集団データ群として蓄える蓄積手段と、前記旧オフセットを用いずに前記母集団データ群から導出される仮オフセットの前記旧オフセットに対する位置ベクトルであって前記母集団データ群の分布の主軸方向の第二の基本ベクトル群の一次結合である仮の位置ベクトルの各係数を前記母集団データ群の分布の主値の比に応じて重み付けした値を係数とする前記第二の基本ベクトル群の一次結合を補正ベクトルとするとき、前記旧オフセットと前記補正ベクトルの和となる前記新オフセットを求めることを制約条件として、前記旧オフセットと前記母集団データ群とに基づいて前記新オフセットを導出するオフセット導出手段と、を備える磁気データ処理装置。
【選択図】 図1
Description
この装置では、母集団データ群の分布が離散的に評価され、離散的に評価された結果に応じて旧オフセットc0に対する仮オフセットの位置ベクトルgの各係数が離散的に重み付けされる。すなわち、分散が相対的に小さくなる方向については仮の位置ベクトルgの係数の重み付けが0となる。つまり、この装置では、分散が相対的にある閾値よりも小さい方向については母集団データ群が全く評価されない。
この装置によると、分散に対する連続的な対応関係が重み係数にあるため、母集団データ群の実質的利用率を向上させることができる。またこの装置によると、母集団データ群の分布に応じて処理を変更せずに新オフセットを導出可能であるため、オフセットの更新処理を簡素にすることができる。
尚、母集団データ群の分布の主値の比以外に分布の評価指標を導入する場合には、必ずしも大きい方の重み係数を1として各重み係数を正規化する必要はない。たとえば、母集団データ群に基づいてその母集団データ群の分布がその一部に近似している円周として導出される円の半径に対する、大きい方の主値に対応する主軸方向(すなわち主方向)についての磁気データ間の最大距離の比に応じて最大の重み係数を1未満にすることもできる。
この装置によると、制約条件付きの分布の最適化問題として新オフセットを導出するため、例えば、実施形態として後述するような単純な連立一次方程式を解くことにより、新オフセットを導出することができる。つまり、この装置によると、母集団データ群の分布にかかわらず、その母集団データ群から導出できるもっとも確からしい新オフセットを簡素な処理で導出することができる。
A.第一の実施形態
[1.全体説明]
1−1.ハードウェア構成
1−2.ソフトウェア構成
[2.処理の流れ]
2−1.全体の流れ
2−2.バッファ更新
2−3.分布の評価
2−4.最適化問題による新オフセットの導出
2−5.分布が二次元的である場合の新オフセットの導出
2−6.分布がやや直線的である場合の新オフセットの導出
2−7.まとめ
B.第二の実施形態
・概要
・分布の評価
・新オフセットの導出
C.他の実施形態
1−1.ハードウェア構成
図2は、本発明が適用される移動体の一例である自動車2の外観を示す模式図である。自動車2には2次元磁気センサ4が搭載されている。2次元磁気センサ4は互いに直交するx、yの2方向について磁界の強さを検出することによって磁界の方向及び強さを検出する。2次元磁気センサ4は、自動車2に搭載されるナビゲーションシステムの一部を構成し、自動車2の進行方位を特定するために用いられる。
図4は、磁気データ処理プログラム90の構成を示すブロック図である。磁気データ処理プログラム90は、ロケータ98に方位データを提供するためのプログラムであって、ROM42に格納されている。方位データは地磁気の方向を示す2次元ベクトルデータである。磁気データ処理プログラム90は、バッファ管理モジュール92、オフセット導出モジュール94、方位導出モジュール96等のモジュール群で構成されている。
2−1.全体の流れ
図5は、新オフセットを導出する処理の流れを示すフローチャートである。図5に示す処理は、オフセットの更新要求が発生したときにCPU40がバッファ管理モジュールおよびオフセット導出モジュール94を実行することによって進行する。オフセットの更新要求は、一定の時間間隔で発生してもよいし、ドライバーの明示的な指示により発生してもよい。
ステップS100では、新オフセットの導出に用いられる磁気データ群(母集団データ群)を蓄積するためのバッファに蓄積されている全ての磁気データが消去される。その結果、旧オフセットの導出に用いられた母集団データ群が消去される。
ステップS102では、新オフセットの導出に用いられる磁気データが入力されバッファへ格納される。自動車2の進行方位がほとんど変化していない状況において、短い時間間隔で順次磁気センサ4から磁気データを入力すると、連続入力される2つの磁気データ間の距離が近くなる。距離が互いに近い複数の磁気データが限られた容量のバッファに格納されることは、メモリ資源の浪費であるし、無駄なバッファの更新処理を発生させる。また、互いの距離が近い磁気データ群に基づいて新オフセットを導出すると、偏った分布を持つ母集団データ群に基づいて精度の低い新オフセットが導出される可能性がある。そこで、バッファの更新必要性が次のように判定されてもよい。例えば、直前にバッファに格納された磁気データと最後に入力された磁気データとの距離があるしきい値より小さければ、バッファの更新必要性がないと判定され、最後に入力された磁気データはバッファに格納されることなく破棄される。
規定個数の磁気データがバッファに蓄積されると、母集団データ群の分布が評価される(ステップS106)。分布は、分布の主値に基づいて評価される。磁気データ群を次式(1)で表すとき、
qi=(qix,qiy) (i=0,1,2・・・)・・・(1)
分布の主値は、母集団データ群の重心(平均)を始点とし各磁気データを終点とするベクトルの和を用いて式(2)、(3)、(4)で定義される対称行列Aの固有値である。
母集団データ群の分布は、大きい方の固有値に対する小さい方の固有値の比であるλ2/λ1に基づいて評価される。
λ2/λ1>t・・・(6)
特定の円周上に母集団データ群が広く分布しているとき、式(6)が満たされる。
ここで新オフセットを導出するための最適化問題について説明する。
母集団データ群が同一直線上にない3つの磁気データで構成されている場合、母集団データ群が分布する円周は統計的手法を用いることなく一意に特定される。この円周の中心の位置ベクトルc=(cx、cy)は連立方程式(7)を解くことによって得られる。尚、2変数に対して等号制約が3つあるが、等号制約の1つは冗長になっているため方程式(7)は必ず解を持つ。
Xc=j・・・(10)
e=Xc−j・・・(11)
図6に示すように母集団データ群の分布が十分二次元的である場合、全体として母集団データ群を十分信頼できるため、式(12)の目的関数f(c)を最小にするcを制約条件なしで求めることにより、新オフセットが導出される(ステップS108)。制約条件なしで目的関数f(c)を最小にするcは、本実施形態で想定している(XTX)が正則のときは式(13)のように書くことができる。
母集団データ群が十分二次元的である場合には、新オフセットを導出するために旧オフセットを用いる必要がない。旧オフセットを用いることなく母集団データ群に基づいて新オフセットを導出するアルゴリズムは、種々提案されており、本実施形態のように統計的手法を用いるアルゴリズムであってもよいし、統計的手法を用いないアルゴリズムであってもよい。
図7に示すように母集団データ群が中心角の狭い円弧近傍に分布しているためにその分布がやや直線的である場合、旧オフセットに対する補正方向を分布の主方向に制限して新オフセットが導出される(ステップS110)。母集団データ群がある特定の直線近傍に分布している場合、その直線の方向については母集団データ群を十分信頼でき、それ以外の方向については母集団データ群を信頼できないことになる。このような場合には、その直線の方向以外の方向については旧オフセットを補正しないことにより、信頼に値しない情報に基づいてオフセットが更新されることを防止できる。
ここで図6、7に基づいて、ステップS108、S110の処理を空間的な概念を用いて説明する。母集団データ群を完全に信頼できるものとすれば、旧オフセットc0に対する、母集団データ群のみから導出される円周の中心の位置ベクトルg(仮の位置ベクトル)と、旧オフセットc0との和として新オフセットcを考えることにより、新オフセットcは次式(19)によって定義される。
c=c0+g・・・(19)
・概要
第一の実施形態では、母集団データ群の分布を離散的に評価し、分布が十分二次元的である場合と、分布がやや直線的である場合とで異なる手法を用いて新オフセットcを導出した。第二の実施形態では、第一の実施形態のように分布の評価に応じて異なる処理を実行する必要がなく、また母集団データ群を効率よく用いてより確からしい新オフセットを導出できる、簡素かつ高精度なアルゴリズムが説明される。
ステップS206では、母集団データ群の分布指標が導出される。具体的にはたとえば、次式(20)によって定義するm2を分布指標として導出することにより、母集団データ群の分布が連続的な値として評価される。
0≦m2<1・・・(21)
・値域が[0,1]となるか、もしくはその部分集合となること。
・λ2/λ1=1のときm2≠1であること。
・λ2=0も許す場合、λ2/λ1=0のときm2=1であること。
・λ2/λ1の増加に対して広義の単調減少をすること。
具体的にはたとえば次式(24)でm2を定義してもよい。
また係数s、kは、それらの値によって重み付けの効果が変わるため、実施形態に応じて設定すればよい。図9および図10は係数s、kに応じて変わる重み付けの効果を表すグラフである。図9では、式(24)においてsを1に固定し、kを1/4、1、4に設定したときの重み付け係数m2と固有値の比(λ2/λ1)の関係を示している。図10では、式(24)においてkを1/4に固定し、sを1/2、1、2に設定したときの重み付け係数m2と固有値の比(λ2/λ1)の関係を示している。
最適化問題の解を特定の制約条件の下で導出することが困難である場合、その制約条件を緩めて最適化問題を解くことに相当する緩和問題が導入されることがある。本実施形態では、このような緩和問題を応用することにより、母集団データ群の分布の主値の比に連続的に対応する重み係数によって前述した仮の位置ベクトルg(図1参照)の係数gα、gβを重み付けして得られる補正ベクトルfと、旧オフセットc0との和として新オフセットcを導出する処理が実現される。具体的には次の通りである。
Bx=b・・・(29)
連立方程式(29)の解を求めることは、母集団データ群の分布の主値の比に連続的に対応している重み係数fα/gα、fβ/gβによって、各主値に対応する分布の主軸方向の位置ベクトルgの係数を重み付けした値を各成分とする補正ベクトルfと旧オフセットc0との和として新オフセットを求めることを制約条件として、式(12)の目的関数を最小にする最適化問題を解くことと等価である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。例えば、本発明がPDA、携帯型電話機、自動二輪車、船舶などに搭載される磁気センサにも適用できることは当然である。
Claims (8)
- 第一の基本ベクトル群の一次結合である2次元ベクトルデータであって2次元磁気センサから出力される磁気データを順次入力する入力手段と、
前記磁気データの旧オフセットを新オフセットに更新するために複数の前記磁気データを母集団データ群として蓄える蓄積手段と、
前記旧オフセットを用いずに前記母集団データ群から導出される仮オフセットの前記旧オフセットに対する位置ベクトルであって前記母集団データ群の分布の主軸方向の第二の基本ベクトル群の一次結合である仮の位置ベクトルの各係数を前記母集団データ群の分布の主値の比に応じて重み付けした値を係数とする前記第二の基本ベクトル群の一次結合を補正ベクトルとするとき、前記旧オフセットと前記補正ベクトルの和となる前記新オフセットを求めることを制約条件として、前記旧オフセットと前記母集団データ群とに基づいて前記新オフセットを導出するオフセット導出手段と、
を備える磁気データ処理装置。 - 前記制約条件は、
大きい方の前記主値に対する小さい方の前記主値の比があらかじめ決められた閾値以下である場合、小さい方の前記主値に対する主軸方向の前記第二の基本ベクトルの係数について前記仮の位置ベクトルの重み係数が0となる条件である、
請求項1に記載の磁気データ処理装置。 - 前記制約条件は、前記母集団データ群の分布の主値の比に連続的に対応する重み係数によって前記仮の位置ベクトルの係数を重み付けした値が前記補正ベクトルの係数となる条件である、
請求項1に記載の磁気データ処理装置。 - 前記仮の位置ベクトルの重み係数は、大きい方の前記主値に対応する主軸方向の前記第二の基本ベクトルの係数について重み係数を1として各係数の重み係数が正規化されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気データ処理装置。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気データ処理装置と、
前記2次元磁気センサと、
を備える磁気測定装置。 - 第一の基本ベクトル群の一次結合である2次元ベクトルデータであって2次元磁気センサから出力される磁気データを順次入力し、
前記磁気データの旧オフセットを新オフセットに更新するために複数の前記磁気データを母集団データ群として蓄え、
前記旧オフセットを用いずに前記母集団データ群から導出される仮オフセットの前記旧オフセットに対する位置ベクトルであって前記母集団データ群の分布の主軸方向の第二の基本ベクトル群の一次結合である仮の位置ベクトルの各係数を前記母集団データ群の分布の主値の比に応じて重み付けした値を係数とする前記第二の基本ベクトル群の一次結合を補正ベクトルとするとき、前記旧オフセットと前記補正ベクトルの和となる前記新オフセットを求めることを制約条件として、前記旧オフセットと前記母集団データ群とに基づいて前記新オフセットを導出する、
ことを含む磁気データ処理方法。 - 第一の基本ベクトル群の一次結合である2次元ベクトルデータであって2次元磁気センサから出力される磁気データを順次入力する入力手段と、
前記磁気データの旧オフセットを新オフセットに更新するために複数の前記磁気データを母集団データ群として蓄える蓄積手段と、
前記旧オフセットを用いずに前記母集団データ群から導出される仮オフセットの前記旧オフセットに対する位置ベクトルであって前記母集団データ群の分布の主軸方向の第二の基本ベクトル群の一次結合である仮の位置ベクトルの各係数を前記母集団データ群の分布の主値の比に応じて重み付けした値を係数とする前記第二の基本ベクトル群の一次結合を補正ベクトルとするとき、前記旧オフセットと前記補正ベクトルの和となる前記新オフセットを求めることを制約条件として、前記旧オフセットと前記母集団データ群とに基づいて前記新オフセットを導出するオフセット導出手段と、
してコンピュータを機能させる磁気データ処理プログラム。
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