JP2007327933A - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高測定感度を有し、経時的安定性に優れ、応答性の高いガスセンサを得ることを目的とする。
【解決手段】基材1の表面に固体電解質薄膜2を形成し、この固体電解質薄膜2の表面に、検知極3及び参照極4を並べて形成し、上記基材1の裏面に加熱のための金属膜5を形成し、固体電解質として、酸化セリウムを主成分とする酸素イオン伝導体、又は酸化ジルコニムを主成分とする酸素イオン伝導体を用い、検知極として、金属リチウムと、検知対象のガス種の化合物とが反応して生成するリチウム化合物を主成分とする検知物質、及び電子伝導性金属を用い、参照極として、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムよりなる群から選定される金属を用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、炭酸ガス、窒素酸化物ガス、硫黄酸化物ガス等の高精度検知、及び経時的劣化の抑制されたガスセンサに関するものである。
固体電解質を使用した炭酸ガスセンサでは、検知極(作用極)/固体電解質/基準極(参照極)の構成をとり、両極間に発生する起電力を計測する平衡電位型が提案されており、各構成の材質が種々検討されている。固体電解質としては、ナトリウムイオン伝導体のNASICON(NaZrSiPO12)、及びNa−β−Al、酸素イオン伝導体のYSZ(Y添加ZrO)、フッ素イオン伝導体のPbSnO、LaFの使用が開示されている。これらの固体電解質は、通常は、緻密焼結体、もしくは単結晶が使用されている(非特許文献1参照)。
また、基準極に関しては、一般的には、金、白金等の貴金属メッシュ、もしくはペーストが使用される。
また、固体電解質層を薄膜とする試みも成されており、この薄膜型のセンサとしては、緻密なガス非透過性セラミック基板上に、参照電極層、固体電解質薄膜層、検知電極層、検知材層、の順で積層させる構造の炭酸ガスセンサが開示されている。ここで、基準電極には白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属の膜が供されている。また、固体電解質には酸素イオン伝導体が使用され、検知材にはアルカリ金属炭酸塩とアルカリ土類金属炭酸塩との混合物が使用されている(特許文献1参照)。
さらに、作用電極(検知電極)の構成に関しても検討がなされている。すなわち、電子電導物質の混合割合により2層を設け、固体電解質解離平衡を有する金属塩と電子電導物質との混合割合を0.5〜14容量%とし、その厚みを20μm以下とする技術が開示されている(特許文献2参照)。
特公平7−85071号公報 特許第3256618号公報 材料開発における結晶格子欠陥とその応用(編著者;山村博・岩原弘育、発行所;株式会社 アイピーシー、2002年発刊)、pp.314〜328
しかし、上記の各センサは、感度、経時的安定性、応答性の点で、十分といえない場合がある。特に、固体電解質を基本とする平衡電位検出型のガスセンサは、感度が高く、ガス選択性の高いセンサであるものの、その動作温度が高いため、加熱が必要となり、また、出力安定化時間が長いという問題点を有する。
そこでこの発明は、高測定感度を有し、経時的安定性に優れ、応答性の高いガスセンサを得ることを目的とする。
この発明は、基材の表面に固体電解質薄膜を形成し、この固体電解質薄膜の表面に、検知極及び参照極を並べて形成し、上記基材の裏面に加熱のための金属膜を形成することにより、上記課題を解決したのである。
上記の固体電解質としては、酸化セリウムを主成分とする酸素イオン伝導体、又は酸化ジルコニムを主成分とする酸素イオン伝導体を用いることができる。また、上記の検知極としては、金属リチウムと、検知対象のガス種の化合物とが反応して生成するリチウム化合物を主成分とする検知物質、及び電子伝導性金属を用いることができる。さらに、上記参照極としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムよりなる群から選定される金属を用いることができる。
この発明にかかるセンサは、炭酸ガス、窒素酸化物ガス、イオウ酸化物ガス等のガスを、高感度に検知する事が可能となり、かつ測定精度の経時的変化が殆どない高精度な検知を実現することができる。
以下、この発明をより詳細に説明する。
この発明にかかるガスセンサは、図1に示すように、基材1の表面に固体電解質薄膜2を形成し、この固体電解質薄膜2の表面に、検知極3及び参照極4を並べて形成し、上記基材1の裏面に加熱のための金属膜5を形成したセンサである。このガスセンサは、固体電解質を基本とする平衡電位検出型のガスセンサであるので、一般に、感度が高く、ガス選択性が高い。
[基材]
上記基材1は、上記の固体電解質薄膜2、検知極3、参照極4及び金属板5を設けるための材であり、石英ガラス、サファイア、チタン酸ストロンチウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化マグネシウム等を使用することができる。この基材は、上記の固体電解質薄膜2、検知極3、参照極4等を載せることができれば、5mm角×0.5mm厚程度の微小なものとすることができ、これにより、昇温に要する熱量、時間を大幅に低減することができる。
[固体電解質薄膜]
上記固体電解質薄膜2は、固体電解質からなる薄膜をいう。この固体電解質としては、酸化ジルコニウムや酸化セリウム等を主成分とする酸素イオン伝導体をいう。上記酸化ジルコニウムを主成分とする固体電解質としては、酸化ジルコニウムに酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物や酸化イットリウム等を添加した安定化ジルコニア等があげられる。また、酸化セリウムを主成分とする固体電解質としては、酸化ガドリニウムや酸化カルシウムなどを添加したものがあげられる。
固体電解質薄膜2は基材1の表面上に薄膜状に形成されるが、この固体電解質薄膜の厚さにより、後述する検知物質のリチウム化合物と固体電解質薄膜が反応して形成されるイオン交換層の厚さを制御する。例えば、酸化ジルコニウム焼結体を主成分とする固体電解質に、リチウム化合物として炭酸リチウムを焼き付けて検知極とする炭酸ガスセンサの場合は、酸化ジルコニウムと炭酸リチウムとの界面に、LiZrOからなるイオンブリッジ層(イオン交換層)が形成されることが推定される。このイオン交換層では、炭酸リチウムから供給されるLiイオンと酸化ジルコニウムから供給されるO2−イオンの両方が伝導し、電荷の移動が起きることにより、炭酸ガスの検出が可能となる。従って、このイオン交換層の厚さの最適化、安定化がセンサ出力の経時的安定性に重要となる。
上記イオン交換層の厚さは、経時的に固体電解質薄膜の膜厚以上には増加しないため、センサ特性の経時的変化は抑えられることとなる。そして、薄膜であることによりリチウムの拡散が抑制されるため、膜面方向にはほとんどイオン交換層は成長しない。したがって、この固体電解質薄膜2の厚みを薄くすることにより、センサ特性の経時的変化、特に経時的劣化を抑制することができる。
このため、固体電解質薄膜2の膜厚は、0.1μm以上10μm以下が好ましい。固体電解質薄膜の膜面方向のイオン伝導となるため、0.1μm未満ではイオン伝導特性が低下して、応答性が悪くなる。一方、10μmを超えると、検知物質のリチウム化合物と固体電解質薄膜が反応して形成されるイオン交換層の厚さが厚くなり過ぎるため、検知感度が低下する。
[参照極]
上記参照極4としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム等から選ばれる金属を用いられる。この参照極4の形成状態は、膜状であっても良いが、特に限定されるものではない。
[検知極]
上記検知極3は、検知物質及び電子伝導性金属からなる極をいう。この検知物質には、リチウムを主成分とするリチウム化合物を主成分とする。このリチウム化合物は、検知するガス種により異なり、炭酸ガスの場合には炭酸リチウム、窒素酸化物ガスの場合には硝酸リチウムもしくは亜硝酸リチウム、イオウ酸化物ガスの場合には硫酸リチウムもしくは亜硫酸リチウムとなる。したがって、上記リチウム化合物は、金属リチウムと、検知対象のガス種の化合物とが反応して生成する化合物が用いられる。
上記検知物質には、上記リチウム化合物単独で用いてもよいが、ストロンチウム、バリウム、カルシウム等のアルカリ土類金属と検知するガス種の化合物(炭酸ガスの場合には炭酸塩、窒素酸化物ガスの場合には硝酸塩もしくは亜硝酸塩等の硝酸系化合物、イオウ酸化物ガスの場合には硫酸塩もしくは亜硫酸塩等の硫酸系化合物)と反応して生成する化合物を混合させることにより、耐湿性を増すことができる。
さらに、上記検知物質には、リン酸リチウム(LiPO)、窒化ホスホリルリチウム(Li3+xPO4―y、0<x、y、z<1)、及びチタン酸リチウム(LiTi12)等のリンを含有する化合物の1種以上を混合させてもよい。これらの化合物を混合させることにより、リチウムイオン伝導性を向上させることができ、応答速度をより早くする事ができる。
上記の炭酸塩、硝酸系化合物、硫酸系化合物、リンを含有する化合物等は、それぞれ単独の化合物を用いてもよく、これらから選ばれる複数の化合物の化合物混合物を用いてもよい。
上記検知極には、上記検知物質以外に、上記電子伝導性金属が混合して用いられる。これは、この検知極において、上記の電子伝導性金属と検知物質の界面で、リチウムイオン、検知ガス、酸素、及び電子との反応が起きるからである。このため、これらのリチウムイオン、検知ガス、酸素、及び電子が効率良く供給され、かつ、この接触界面を多くすると、上記の反応をより生じ易くし、応答性を向上させることができる。このため、電子伝導性金属からなる薄膜が微細なネットワークを形成していることが重要となる。
上記電子伝導性金属としては、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス等、触媒的効果がある金属があげられる。この中でも、金属リチウムと反応し、かつ検知ガスとは反応しない金属元素が好ましく、具体的には、上記した金属中でも、金、もしくは白金が好ましい。
上記検知極3の厚さは、好ましくは1μm以下とし、より好ましくは0.5μm以下にすることにより、秒オーダーの高い応答性を達成できる。1μm以上とすると、リチウム化合物の低いイオン伝導特性に律速され、応答性が低下する。一方、この検知極3の厚さの下限は、0.01μmがよく、0.05μmが好ましい。0.01μmより薄いと、電子伝導性金属が島状に孤立する部分が生成するようになり、検知極に電気的に接続できない部分が生じ、感度が低下する傾向がある。
[検知極と参照極との関係]
上記の検知極3と参照極4とは、上記の通り、固体電解質薄膜2の表面に、接触しないように並べて形成される。固体電解質薄膜2の表面に並べて形成することにより、上下方向に形成した場合に起こる可能性が高い固体電解質薄膜に生成するピンホール等によって、検知極と参照極とが短絡することがなくなる。ピンホール等をなくすためには、ホコリ等を除去した高レベルのクリーンルーム内での製造が必要となり、製造コストが高くなる問題があるが、並列とすることで一般的な工場環境での高歩留まりの製造が可能となる。
[金属膜]
この発明にかかるガスセンサの基材1には、上記の固体電解質薄膜2、検知極3及び参照極4からなるセンサ素子が形成されている表面とは反対側の裏面に、加熱のための金属膜5が形成される。これにより、このガスセンサの加熱が可能となる。この金属としては、白金等があげられる。
この金属膜は、上記センサ素子を形成する前の基材1に、白金ペースト等の金属ペーストをスクリーン印刷し、約1000℃で焼き付けることにより、形成することができる。
[この発明にかかるガスセンサの機作]
この発明にかかるガスセンサである平衡電位検出型のガスセンサでは、電圧計を用いて、1GΩ(ギガオーム)程度の高入力インピーダンスにて電圧が測定されるが、必然的に数10pA(ピコ・アンペアー)程度の直流電流は流れ、その為、そのイオン交換層ではイオン交換反応が継続的に発生することとなる。
例えば、炭酸ガスを検知する場合について詳述すると、下記の化学反応(1)が進行し、対応するネルンスト式(2)に従い、炭酸ガス濃度変化による起電力(E)の変化が発生する。
・化学反応式(1)
検知極;LiCO→2Li+CO+1/2O+2e
基準極;1/2O+2e→O2−
・ネルンスト式(2)
E=E+(RT/2F)In(PCO2
ここで、E;定数、R;気体定数、T;センサ素子の絶対温度(K)、F;ファラデー定数、PCO2;炭酸ガス濃度。なお、空気中の酸素濃度(PO2)は一定と見なすことができる。
検知極では、検知物質よりリチウムイオン、電子伝導性金属より電子が各々供給され、大気中の炭酸ガス及び酸素と反応して炭酸リチウムが生成する。一方、基準極では、大気中の酸素より発生した酸素イオンが固体電解質薄膜中を通り、イオン交換層にてリチウムイオンと電荷を交換して電気回路が成立する。各々の界面、及び固体電解質薄膜中でのリチウムイオン、及び酸素イオンの伝導性を向上させ、安定化させることにより、センサ出力の高精度、高応答性、及び経時的安定化に有効となる。
なお、NOxガスを検知する場合には、検知極は硝酸リチウムを主成分とする化合物となり、SOxガスを検知する場合には硫酸リチウムを主成分とする化合物となる。
[ガスセンサの製造方法]
次に、この発明にかかるガスセンサの製造方法について、簡単に説明する。
まず、基材1の裏面に、上記の方法で金属膜5を形成する金属膜形成工程を行う。すなわち、上記センサ素子を形成する前の基材1の裏面に、白金ペースト等の金属ペースト又は酸化ルテニウムをスクリーン印刷し、約1000℃で焼き付ける。
次いで、上記基材1の表面上に固体電解質薄膜2を成膜する固体電解質薄膜積層工程を行う。この固体電解質薄膜2の基材1上への成膜方法としては、気相法、ゾルゲル法、焼成法等があげられる。上記気相法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法等があげられるが、これらに限定されるものではない。また、上記ゾルゲル法としては、金属有機化合物を原料とする方法等があげられる。さらに、上記焼成法としては、コロイド状粉末を塗布した後に焼成して作製する方法があげられる。
上記の固体電解質薄膜積層工程後、その固体電解質薄膜2の表面に検知物質及び電子伝導性金属からなる検知極膜を成膜する検知極製造工程を行う。この成膜方法としては、気相法、ガスデポジション法、ゾルゲル法等があげられるが、これらに限定されるものではない。
上記ガスデポジション法は、原料粉末を固体状態で基板上にガス流により吹き付けて成膜する方法である。また、上記ゾルゲル法は、原料として金属有機化合物を用い、ゾル−ゲルの変化を利用する方法である。
上記ガスデポジション法では、上記の検知物質及び電子伝導性金属の原料粉末の混合比、もしくは両者の原料粉末用ノズルのガス流量制御により、両者の形成面積比を制御することができる。また、電子伝導性金属薄膜を最初数nm〜数10nm厚程度の島状に形成した後、上記の通り両者を同時に形成してもよい。
上記気相法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、及びレーザアブレーション法等があげられる。
この気相法における原料の取扱方法としては、目的とする化合物を原料とする方法や、金属元素を原料とする方法がある。この金属元素を原料とする方法を採用する場合、金属元素としては、金属リチウムが用いられ、また、上記アルカリ土類金属を用いる場合は、金属リチウム及びアルカリ土類金属の両方が用いられる。そして、検知対象のガス種の化合物の成膜雰囲気下で成膜され、検知物質薄膜が形成される。例えば炭酸リチウム薄膜を形成する場合には、金属リチウムを原料にして、成膜雰囲気を炭酸ガス雰囲気にして気相法が行われる。また、目的とする化合物を原料とする場合は、例えばレーザーアブレーション法を用いた場合、原料が分解し易いので、真空度を1Pa以下にし、平均自由行程を上げ成膜を行うのが好ましい。
ところで、上記検知極3は、上記検知物質からなる薄膜と、電子伝導性金属からなる薄膜の両方を有する。この両薄膜の製造法としては、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜を成膜し、次いで、その電子伝導性金属薄膜の表面に上記検知物質薄膜を成膜する方法や、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜の成膜と、上記検知物質薄膜の成膜とを同時に行う方法があげられる。
上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜を成膜し、次いで、その電子伝導性金属薄膜の表面に上記検知物質薄膜を成膜する方法においては、マスクを使用したパターン形成により、薄膜を形成することができる。
また、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜の成膜と、上記検知物質薄膜の成膜とを同時に行う方法では、気相法成膜装置において、原料気体発生源での気体状原料の発生量を制御する事により、両者の形成面積比率を制御する事ができる。
ところで、上記気相法の原料として、金属リチウム、又は金属リチウムとアルカリ土類金属とを用いる場合、上記の検知対象のガス種の化合物の成膜雰囲気下で成膜する方法以外に、アルゴンガス等の不活性ガスの成膜雰囲気下で金属リチウム含有薄膜を成膜し、乾燥雰囲気下、所定温度で熱処理して合金化させ、次いで、水及び検知ガス種と反応させる方法を用いてもよい。これによっても、目的の検知物質薄膜を形成することができる。
また、上記電子伝導性金属からなる薄膜については、上記と同様に、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜を成膜し、次いで、その電子伝導性金属薄膜の表面に上記検知物質薄膜を成膜する方法を採用してもよく、また、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜の成膜と、上記検知物質薄膜の成膜とを同時に行う方法を採用してもよい。
上記の乾燥雰囲気は、露点が−40℃以下の雰囲気がよく、また、上記の熱処理温度は、100℃以上500℃以下がよい。露点が−40℃より高い雰囲気下だと、水と金属リチウムとの反応が一部に生じるおそれがある。また、熱処理温度が上記温度より低いと、両者の合金化が困難となり、結果的に、十分な性能が得られなくなるおそれがある。一方、熱処理温度が上記温度より高くてもよいが、得られる薄膜の性能に、大きな差は生じないため、上記の温度範囲で十分である。
ところで、検知物質薄膜を成膜する場合に、金属リチウムとアルカリ土類金属の両方を用いる場合、金属リチウム及びアルカリ土類金属を別々にあるいは同時に気相法にて、上記乾燥条件下で金属状態で成膜し、その後に上記温度範囲に加湿した炭酸ガス等の検知ガス種と反応させることによって作製させると、金属リチウム及びアルカリ土類金属の両方を、効率よく、検知ガス種の化合物を得ることができ、好ましい。
また、イオウ酸化物ガスを検知する検知極3を作製する場合、上記したような金属リチウム、リン、及び硫黄を含有する化合物又は化合物混合物からなる固体電解質薄膜を形成し、熱処理をした後、水及び検知ガス種を反応することにより、検知極3を製造することができる。得られた検知極は、LiSO、Li、Li18、LiPO、LiPO等や、これらの水和物の混合体からなり、Liイオン伝導度が高い、イオウ酸化物の検知特性の優れた薄膜検知極となる。
上記の検知極3を製造する方法の中でも、レーザアブレーション法や、金属リチウム膜、又は電子伝導性金属を構成する金属元素と金属リチウムとの合金膜を上記の方法で形成し、熱処理した後、水及び検知ガス種を反応させて検知極3を形成する方法が、より好ましい。
上記の検知極製造工程と同時、又は、その前後に、参照極を成膜する参照極製造工程を行うことにより、この発明にかかるガスセンサを製造することができる。この成膜方法としては、気相法、ゾルゲル法、焼成法等があげられる。上記気相法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法等があげられるが、これらに限定されるものではない。
下記に実施の形態を示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記実施例に於いては、炭酸ガスセンサについて、説明する。
(実施例1)
[炭酸ガスセンサの製造]
5mm角、厚さ0.5mmの石英ガラス板基材の裏面に、白金ペーストをスクリーン印刷し、1000℃で焼き付けて、膜厚1μmの金属膜5を成膜した。
次いで、上記石英ガラス板基材の表面に、酸化ガドリニウムを添加した酸化セリウム膜(GDC)を厚さ1.0μm厚に形成した。エキシマレーザアブレーション法成膜装置内に基材を設置し、基材温度を650℃として、酸化ガドリニウムを添加した酸化セリウム粉末の焼結体ターゲット上にエキシマレーザ光をパルス照射して、酸素ガス雰囲気下、成膜を行った。
検知極の形成では2元蒸着法を用い、金と金属リチウムとを同時に別々のルツボより蒸発させ成膜した。成膜後、大気中で約500℃に加熱して、炭酸リチウムと金の混合薄膜を形成した。
参照極には、DCスパッタ法にて同様にマスクを用い、白金を0.1μm厚に形成した。
検知極と参照極に各々金のリード線を金ペーストにより接続して、炭酸ガスセンサとした。
得られた炭酸ガスセンサを用いて、下記の各測定・評価を行った。その結果を表1に示す。
[センサ出力の測定]
酸素22%、窒素78%、室温に於ける相対湿度60%の混合ガスに炭酸ガスを添加して、炭酸ガス濃度を大気と同程度の350ppmと、濃度を上げて1000ppmにした標準ガスを作製し、切り替えて測定容器内に流した。
製造した炭酸ガスセンサを測定容器内に入れ、入力インピーダンス1GΩ(ギガオーム)のエレクトロメーターに接続した。測定容器を50℃一定にし、炭酸ガス濃度350ppm混合ガスと1000ppm混合ガスとを交互に流して、その出力を測定した。
なお、ガス切り替え時に於けるガス流速変化によるセンサ部の温度変動の影響は、センサに取り付けた熱電対により検出した温度を元にネルンストの式に従い補正した。
[測定安定性]
炭酸ガス濃度を350ppmから1000ppmに切り替えたとき、すぐに測定することができるか否かの安定性について目視で評価した。
[測定時間]
炭酸ガス濃度を350ppmから1000ppmに増加させたときに出力が安定する時間、及び、炭酸ガス濃度を1000ppmから350ppmに減少させたときに出力が安定する時間を測定した。
[経時的安定性]
炭酸ガス濃度を350ppm一定にし、測定温度を50℃に保持して、その出力の変化を350日にわたり測定した。その結果、値が、±0.5mVのバラツキ内にある場合は、「○」と、その範囲を超えるバラツキがある場合は、「×」とした。
(実施例2)
固体電解質薄膜を酸化イットリウム添加の酸化ジルコニウムに変えて、実施例1と同じ方法にて炭酸ガスセンサを作製し、出力を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3〜6)
参照極を変えて実施例1と同じ方法でセンサ素子を作製し、上記の条件にてセンサ出力を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7〜15)
検知物質として、炭酸リチウムと、表1に示すその他の化合物を用いた以外は、実施例1と同じ方法でセンサ素子を作製し、実施例2と同じ条件にてセンサ出力を測定した。結果を表1に示す。
但し、検知極はエキシマレーザーアブレーション法にて作製した。ターゲットには直径20mm、厚みが5mmの円盤状のものを使用したが、その円盤状のターゲットを3等分に縦割りし、その3分の1は、その他の化合物よりなり、さらに3分の1はLi金属とし、残りの3分の1は金の金属板とした。このターゲットを自転させて、レーザー光をターゲット上に照射し、その他の化合物の層と金属層とを交互に成膜した。成膜後は、実施例1と同様の工程を経て、検知極を得た。
Figure 2007327933
なお、表1において使用したリチウム化合物及びその他の物質で用いた化合物の化学式は、下記の通りである。
すなわち、炭酸リチウムはLiCO、炭酸ストロンチウムはSrCO、炭酸バリウムはBaCO、炭酸カルシウムはCaCO、リン酸リチウムはLiPO、窒化ホルホリルリチウムはLi3.3PO3.70.3、チタン酸リチウムはLiTi12である。
(その他のセンサ)
窒素酸化物ガス、及びイオウ酸化物ガスについても、同様にセンサを作製し、同様にセンサ検知の試験を行ったところ、同様の出力、及び経時的安定性を得ることができた。
この発明にかかるガスセンサの例を示す断面図
符号の説明
1 基材
2 固体電解質薄膜
3 検知極
4 参照極
5 金属膜

Claims (11)

  1. 基材の表面に固体電解質薄膜を形成し、この固体電解質薄膜の表面に、検知極及び参照極を並べて形成し、上記基材の裏面に加熱のための金属膜を形成したガスセンサ。
  2. 上記固体電解質は、酸化セリウムを主成分とする酸素イオン伝導体、又は酸化ジルコニムを主成分とする酸素イオン伝導体であり、
    上記検知極は、金属リチウムと、検知対象のガス種の化合物とが反応して生成するリチウム化合物を主成分とする検知物質、及び電子伝導性金属からなり、
    上記参照極は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムよりなる群から選定される金属である請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 上記検知物質は、上記リチウム化合物に加えて、アルカリ土類金属から選ばれる1種以上の元素と、検知するガス種の化合物とが反応して生成する化合物を含有する請求項2記載のガスセンサ。
  4. 上記検知物質は、上記リチウム化合物に加えて、リン酸リチウム、窒化ホスホリルリチウム、及びチタン酸リチウムよりなる群から選定される1種以上の化合物を含有する請求項2又は3に記載のガスセンサ。
  5. 上記電子伝導性金属が、金及び白金のいずれかである請求項2乃至4のいずれかに記載のガスセンサ。
  6. 基材の裏面に金属膜を形成する金属膜形成工程を行い、
    次に、基材の表面に固体電解質薄膜を成膜する固体電解質薄膜積層工程を行い、
    次いで、固体電解質薄膜積層工程後、その固体電解質薄膜の表面に、気相法、ガスデポジション法、又はゾルゲル法によって、検知物質及び電子伝導性金属からなる検知極膜を成膜する検知極製造工程を行い、
    上記の検知極製造工程と同時、又は、その前後に参照極を製造する参照極製造工程を行って、上記の検知極と参照極とを並べて形成するガスセンサの製造方法。
  7. 上記検知極製造工程における成膜方法は、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、及びレーザアブレーション法から選ばれる気相法のいずれかである請求項6に記載のガスセンサの製造方法。
  8. 上記気相法の原料として、金属リチウム、又は金属リチウムとアルカリ土類金属とを用い、検知対象のガス種の化合物の成膜雰囲気下で検知物質薄膜を成膜する請求項7に記載のガスセンサの製造方法。
  9. 上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜を成膜し、次いで、その電子伝導性金属薄膜の表面に上記検知物質薄膜を成膜するか、又は、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜の成膜と、上記検知物質薄膜の成膜とを同時に行う請求項6、7又は8のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
  10. 上記気相法の原料として、金属リチウム、又は金属リチウムとアルカリ土類金属とを用い、不活性ガスの成膜雰囲気下で、金属リチウム含有薄膜を成膜し、
    上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜を成膜し、次いで、その電子伝導性金属薄膜の表面に上記検知物質薄膜を成膜するか、又は、上記検知極を成膜する場所に、上記電子伝導性金属からなる薄膜の成膜と、上記検知物質薄膜の成膜とを同時に行い、
    次いで、露点−40℃以下の乾燥雰囲気下、100℃以上500℃以下の温度で熱処理し、次いで、水及び検知ガス種と反応させる請求項7に記載のガスセンサの製造方法。
  11. 上記金属リチウムと共に、リン、及び硫黄を含有する化合物又は化合物混合物を用いる請求項8、9又は10のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
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