JP2007327546A - 流体軸受装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジングに対する2つの軸受スリーブの組付けを、容易かつ高精度に行い得る方法を提供する。
【解決手段】第2軸受スリーブ4を、その下側端面4bをハウジング2の下側端面2cからの離間距離L2を確保した状態でハウジング内周面2aに隙間接着する。その後、第1軸受スリーブ3を、その上側端面3bをハウジング2の上側端面2bからの離間距離L1を確保した状態でハウジング内周面2aに隙間接着する。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体軸受装置の製造方法に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で支持すべき軸を相対回転自在に支持する軸受装置である。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等に搭載するスピンドルモータ用、また、パーソナルコンピュータ(PC)などに搭載され、発熱源の冷却を行うファンモータ用等の軸受として広く用いられている。
上記の流体軸受装置には、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部およびスラスト方向に支持するスラスト軸受部が設けられる。例えば、HDD用のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置として、ラジアル軸受部およびスラスト軸受部の双方を、動圧軸受で構成したものが公知である。この場合、軸受スリーブの内周面、あるいはこれに対向する軸部材の外周面の何れか一方には動圧発生部としての動圧溝が形成されると共に、両面間のラジアル軸受隙間にラジアル軸受部が形成される。また、軸部材に設けたフランジ部の両端面、あるいはこれに対向する軸受スリーブの端面・蓋部材の端面の何れか一方に動圧溝が形成されると共に、両面間のスラスト軸受隙間にスラスト軸受部が形成される(例えば、特許文献1参照)。
上記の軸受スリーブは、ハウジング内周の所定箇所に固定される。ハウジングに固定される軸受スリーブとしては、上記特許文献1のように、1つの軸受スリーブの内周に、複数のラジアル軸受面を軸方向に離隔して2箇所設けたものの他、軸受スパンを長大化させモーメント荷重に対する負荷能力(モーメント剛性)を高める目的で、ラジアル軸受面を設けた軸受スリーブを軸方向に2つ重ねたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、2つの軸受スリーブを離隔して設け、両軸受スリーブ間にスペーサ(間座ともいう)を配設したものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−65324号公報 特開平11−269475号公報 特開平11−155254号公報
ところで、上記特許文献2、3のように、軸受スリーブを軸方向に2つ並べる場合には、軸受スリーブ相互間での組み付け精度が極めて重要になる。すなわち、軸方向に位置ずれすると、例えば、シール部材や蓋部材の配置スペースを確保できない恐れや、軸受スリーブの端部側に所定のスラスト軸受隙間を形成できない場合がある。一方、軸受スリーブ相互間で径方向に位置ずれすると、ラジアル軸受面相互間の同軸確保を図ることができず、回転精度の悪化や軸受スリーブの偏摩耗等の問題が生じる。しかしながら、各部材には寸法精度のばらつき等が存在するため、これらの位置決めを高精度に行うのは容易ではない。
本発明の課題は、ハウジングに対する軸受スリーブの組み付けを、容易かつ高精度に行い得る流体軸受装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、ラジアル軸受面を有し、支持すべき軸との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブを、ハウジング内周の軸方向二箇所に固定するに際し、ハウジングの両端を開口させ、一方の軸受スリーブを、ハウジングの一端面からの離間距離を確保した状態でハウジングに隙間接着し、他方の軸受スリーブを、ハウジングの他端面からの離間距離を確保した状態でハウジングに隙間接着することを特徴とする流体軸受措置の製造方法を提供する。
上記のように、ハウジングの両端を開口させ、2つの軸受スリーブを、それぞれ、ハウジングの端面からの離間距離を確保した状態で固定することで、ハウジング内周における軸受スリーブの端部側に所定のスペースを確保することができる。従って、例えばシール部材や蓋部材等を軸受スリーブの両端部側に設ける場合、予め必要とされる軸方向寸法を確保した状態で各軸受スリーブを固定すれば、これらを確実にハウジング内周に固定あるいは配置することが可能となる。また、例えば、軸受スリーブの端部側にスラスト軸受部を設ける場合には、回転体(例えば、軸部材のフランジ部等)との間に所定のスラスト軸受隙間を形成することも可能となる。
2つの軸受スリーブは、ハウジングの内周にそれぞれ隙間接着で固定するのが望ましい。隙間接着は、軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との嵌め合いを隙間嵌めとした状態で接着固定する方法であり、例えば軸受スリーブ相互間で肉厚や外周形状にばらつきがあった場合でも、接着隙間でそのばらつきを吸収することができる。例えば圧入を伴う固定方法(圧入、圧入接着等)では、形状のばらつきに起因して、ラジアル軸受面の形状が軸受スリーブの外周面形状等に倣い、これによりラジアル軸受面相互間の同軸確保が難しくなる場合があるが、隙間接着で固定すればこの種の問題は生じない。軸受スリーブを隙間接着する際には、軸受スリーブのラジアル軸受面を拘束した状態としておくのが望ましい。かかる構成とすることにより、ラジアル軸受面を基準とした径方向の位置決めが可能となり、ラジアル軸受面相互間で同軸を保った状態で固定可能となる。
接着剤としては、熱硬化接着剤、紫外線硬化接着剤、常温硬化接着剤等、種々の接着剤を用いることができるが、特別な硬化装置を必要とせず、かつ短時間で硬化可能な常温硬化接着剤を用いるのが望ましい。その中でも特に、空気を遮断する(真空状態にする)ことで確実に接着固定でき、特段の確認作業を排除できる嫌気性接着剤を用いるのが望ましい。
上記構成部材に加え、両軸受スリーブ間にはスペーサを設けることもでき、この場合、スペーサは、ハウジングの端面からの離間距離を確保した状態でハウジングの内周に固定することができる。
以上より、本発明によれば、ハウジングに対する軸受スリーブの組み付けを、容易かつ高精度に行うことができる。
以下、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置の製造方法およびこれにより製造される流体軸受装置を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、例えばHDD用のスピンドルモータに組み込んで用いられるものである。この流体軸受装置1は、ハウジング2と、ハウジング内周に設けられた2つの軸受スリーブ(第1軸受スリーブ3、第2軸受スリーブ4)と、第1、第2軸受スリーブ3、4の内周に挿入された軸部材5とを主要な構成部材として備えている。以下、ハウジング2から軸部材5が突出した側を上側、これと軸方向の反対側を下側として説明を行うが、これらは各図における上下方向を便宜的に示すものであり、流体軸受装置の設置方向や使用態様、あるいは後述する製造方法に係る製造装置等の設置方向を限定するものではない。
後述するように、図示例の流体軸受装置1では、第1軸受スリーブ3の内周面3aと軸部材5の外周面5aとの間に第1ラジアル軸受部R1が設けられ、第2軸受スリーブ4の内周面4aと軸部材5の外周面5aとの間に第2ラジアル軸受部R2が設けられる。また、第1軸受スリーブ3の上側端面3bとシール部材6の下側端面6bとの間に第1スラスト軸受部T1が設けられ、第2軸受スリーブ4の下側端面4bとシール部材7の上側端面7bとの間に第2スラスト軸受部T2が設けられる。
ハウジング2は、例えば、樹脂材料を射出成形して略円筒状に形成され、その内周面2aは軸方向全長に亘ってストレートな円筒面に形成されている。内周面2aは、後述する軸受スリーブ3、4の外径寸法よりも大径に形成されている。
ハウジング2を形成する樹脂材料に用いるベース樹脂としては、射出成形可能なものであれば非晶性樹脂・結晶性樹脂を問わず使用可能で、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。もちろんこれらは一例にすぎず、使用環境や用途等を考慮してその他のベース樹脂を使用することもできる。また、上記のベース樹脂には、強度アップや導電性付与を目的として、公知の各種充填材を一種又は二種以上配合することもできる。
この他、黄銅やアルミニウム合金等の軟質金属材料、その他の金属材料でハウジング2を形成することもできる。
軸部材5は、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、全体として概ね同径の軸状をなしている。さらに、この実施形態では、軸部材5に環状のシール部材6、7が適宜の固定手段、例えば接着又は圧入接着(圧入と接着の併用)により固定されている。これらシール部材6、7は、軸部材5の外周面5aから外径側に突出した形態となり、それぞれハウジング2の内周面2aの内周側に収容される。また、軸部材5の外周面5aのうち、シール部材6、7の固定位置となる領域には、接着剤による固定強度を高めるための接着剤溜りとなる円周溝5a1、5a2が設けられている。なお、シール部材6、7は、真ちゅう(黄銅)等の軟質金属材料やその他の金属材料で形成しても良いし、樹脂材料で形成しても良い。また、シール部材6、7のうち何れか一方は、軸部材5に一体形成しても良い。
シール部材6の外周面6aはハウジング2の上端側の内周面2aとの間に所定容積のシール空間S1を形成し、シール部材7の外周面7aはハウジング2の下端側の内周面2aとの間に所定容積のシール空間S2を形成する。この実施形態において、シール部材6の外周面6a及びシール部材7の外周面7aは、それぞれハウジング2の外部側に向かって漸次縮径したテーパ面状に形成されている。そのため、シール空間S1、S2は、ハウジング2の内部側に向かって漸次縮小したテーパ形状を呈する。
第1、第2軸受スリーブ3、4は共に、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成されている。軸受スリーブ3、4は、焼結金属以外にも銅合金等の金属材料で形成することもできる。
図2(b)に示すように、第1軸受スリーブ3の内周面3aには、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受面Aとなる領域が形成され、該ラジアル軸受面Aにはヘリングボーン形状の動圧溝3a1が形成されている。このラジアル軸受面Aは、第2軸受スリーブ4から離反する側(上側)の端部に形成されている。また、内周面3aのうち、ラジアル軸受面Aと軸方向に離隔した反対側(下側)の端部には、帯状の凸部Bが形成されている。この凸部Bは、動圧溝3a1を区画形成する丘部と略同径に形成されている。外周面3dには、円周方向等間隔に配された複数(図示例は3本)の軸方向溝3d1が形成されている。
第2軸受スリーブ4の内周面4aには、第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面A’となる領域が形成され、このラジアル軸受面A’にはヘリングボーン形状の動圧溝4a1が形成されている。このラジアル軸受面A’は、第1軸受スリーブ3から離反する側(下側)の端部に形成されている。また、内周面4aのうち、ラジアル軸受面A’と軸方向に離隔した反対側(上側)の端部には帯状の凸部B’が形成されている。この凸部B’は、動圧溝4a1を区画形成する丘部と略同径に形成されている。外周面4dには、円周方向等間隔に配された複数(図示例では3本)の軸方向溝4d1が形成されている。
また、図2(a)に示すように、第1軸受スリーブ3の上側端面3bの一部又は全部環状領域には、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる領域が形成され、該スラスト軸受面にはヘリングボーン形状の動圧溝3b1が形成されている。
また、図2(c)に示すように、第2軸受スリーブ4の下側端面4bの一部又は全部環状領域には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる領域が形成され、該スラスト軸受面にはヘリングボーン形状の動圧溝4b1が形成されている。なお、動圧溝3b1、4b1の何れか一方又は双方は、例えばスパイラル形状等、公知のその他の形状に配列してもよい。
本実施形態で、第1軸受スリーブ3は、その上側端面3bがハウジング2の上端面2bから軸方向にL1だけ下方に位置するようにしてハウジング2の内周に固定されている。また、第2軸受スリーブ4は、その下側端面4bが、ハウジング2の下端面2cから軸方向にL2だけ上方に位置するようにしてハウジング2の内周に固定されている。なお、本実施形態において、L1、L2は同一寸法である。
以下、上記の構成部材からなる流体軸受装置1の組立方法を、軸受スリーブ3、4をハウジング2の内周に固定する工程を中心に、図面に基づいて説明する。
図3(a)(b)は、第1、第2軸受スリーブ3、4をハウジング2の内周に位置決め固定する工程の一例を概念的に示すものである。この工程で用いられる組付け装置10は、ベース部12と、該ベース部12と一体または別体に設けられたピン部11と、ピン部11の上端外周に外嵌される円盤部13とを備えている。ピン部11の外周面11aは、軸受スリーブ3、4を挿入した状態で、両者が相対スライド可能な程度に軸受スリーブ3、4の内周面3a、4aよりも若干量大径に形成されている。
ベース部12の下部外径側には凹部が設けられており、この凹部内底面12bと上端面12aとは、ハウジング2の下側端面2cと第2軸受スリーブ4の下側端面4bの軸方向離間距離L2、およびハウジング2の上側端面2bと第1軸受スリーブ3の上側端面3bの軸方向離間距離L1と同一寸法に設定されている。
上記の組付け装置10において、ピン部11の外周面11a精度は、両軸受スリーブ3、4の内周面3a、4a間の同軸度を直接左右するので、外周面11aは求められる同軸度(例えば、3μm以下)を満足できるように仕上げられている。また、ベース部12の外周面とピン部11の外周面11aとの間の同軸度は、ハウジング2の内周面2aと軸受スリーブ3、4の内周面間の同軸度(ハウジング2に対する軸受スリーブ3、4の姿勢)を直接左右するので、求められる同軸度を満足できるように仕上げられている。
以上の構成において、まず図3(a)に示すように、第2軸受スリーブ4をピン部11に圧入(軽圧入も含む)、すなわち内周面(ラジアル軸受面A’)を拘束し、その下側端面4bをベース部12の上端面12aに当接させる。次いで、ハウジング2の内周面2aの所定領域に接着剤を塗布した状態で、ハウジング2の下側端面2cをベース部12の凹部内底面12bに当接させるようにして第2軸受スリーブ4の外径側に配置する。そして、その内周面および下端面13aでハウジング2の外周面および上側端面2bを拘束するように円盤部13をピン部11に外嵌する。
なお、接着剤としては、熱硬化接着剤、光硬化性接着剤、常温硬化性接着剤等を用いることができるが、本実施形態では、特段の硬化装置を要さず、かつ短時間で硬化可能な常温硬化性接着剤、特にその中でも、空気を遮断することで確実に接着固定でき、特段の確認作業を排除可能な嫌気性接着剤を用いている。
上述したように、第2軸受スリーブ4の内周面4aのうち、ラジアル軸受面A’から軸方向に離隔した領域にはラジアル軸受面A’と略同径の凸部B’が設けられている。従って、上記の態様で組付けを行うことにより、ハウジング2の内周面2aに対する第2軸受スリーブ4の内周面4aの同軸確保が図られる。そして、この状態で空気を遮断すると接着剤が固化し、これにより、ハウジング2の下側端面2cから、その下側端面4bが軸方向にL2だけ離隔した箇所に位置するようにして、ハウジング2の内周面2aに第2軸受スリーブ4が接着固定される。
上記の組付け品を一旦組付け装置10から取り外す。次いで図3(b)に示すように、第1軸受スリーブ3をピン部11に圧入し、上側端面3bをベース部12の上端面12aに当接させる。そして、上記の組付け品の天地を逆にし、ハウジング2の内周面2aの所定領域に接着剤を塗布した状態で、ハウジング2の上側端面2bをベース部12の凹部内底面12bに当接させるように組付け品を第1軸受スリーブ3の外径側に配置する。この状態で空気を遮断すると接着剤が固化し、これにより、ハウジング2の上側端面2bから、その上側端面3bが軸方向にL1だけ離隔した箇所に位置するようにして第1軸受スリーブ3が接着固定される。
このとき、上記同様、第1軸受スリーブ3の内周面3aにもラジアル軸受面A’と略同径の凸部B’が設けられているので、ハウジング2の内周面2aに対する第1軸受スリーブ3の内周面3aの同軸確保が図られる。また、第1軸受スリーブ3および第2軸受スリーブ4は共にピン部11に圧入状態となっているから、第1軸受スリーブ3のラジアル軸受面Aと第2軸受スリーブ4のラジアル軸受面A’との間の同軸確保がなされる。なお、図3(b)に示す状態では、ピン部11の上部外径側に第2軸受スリーブ4が位置する分、図3(a)に示す工程のようにピン部11の上端部に上記円盤部13を外嵌しなくとも、ハウジング2の姿勢は悪化せず、求められる精度は確保できる。もちろん、第2軸受スリーブ4をハウジング2に固定する場合と同様、ピン部11の上端部に円盤部13を外嵌してもよい。
ところで、上述のように、ハウジング2の内周面2aは両軸受スリーブ3、4の外周面3d、4dよりも大径に形成されているから、ハウジング2に対する両軸受スリーブ3、4の接着固定は、いわゆる隙間接着となる。隙間接着で固定することで、仮に軸受スリーブ3、4相互間で径方向に形状のばらつきがあった場合でも、接着隙間でそのばらつきを吸収することができ、両ラジアル軸受面A,A’間における同軸確保は確実に行い得る。なお、上記接着隙間の幅は、これが大きすぎると接着強度の低下を招き、逆に小さすぎると径方向の調整代が少なくなる。そのため接着隙間の幅は10μm〜50μm、より好ましくは15μm〜20μm程度に設定されている。
なお、以上の説明では、第2軸受スリーブ4を先にハウジング内周面2aに固定したが、もちろん、第1軸受スリーブ3をハウジング2に固定した後、第2軸受スリーブ4をハウジング2に固定してもよい。また、ハウジング2の内周面2aではなく、各軸受スリーブ3、4の外周面に接着剤を塗布した上で、上記の組付け工程を行ってもよい。さらに本実施形態では、ハウジング2の両端面から軸受スリーブ3、4の一端面3b、4bまでの離間距離L1、L2が同一の場合について説明を行ったが、これらが異なる場合には、上端面12aと凹部内底面12bとの離間距離が異なるベース部12を用いれば、上記同様に、ハウジング2端面から所定の離間距離を保った状態で各軸受スリーブ3、4をハウジング内周面2aに固定することができる。
以上のようにして両軸受スリーブ3,4をハウジング2に固定する結果、第1、第2軸受スリーブ3、4の端部側には所定のスペースが確保されると共に両ラジアル軸受面A、A’間の同軸が確保される。そして、両軸受スリーブ3、4の内周に軸部材5を挿入し、所定のアキシャル隙間(軸方向隙間)幅を保った状態で両シール部材6、7を軸部材5の所定箇所(円周溝5a1、5a2の外周)に固定する。なお、シール部材6、7のうちの何れか一方は、挿入前に予め軸部材5に固定しておいても良いし、軸部材5に一体形成しても良い。
上記の工程を経て組立が完了した後、シール部材6、7でシールされたハウジング2の内部空間に、両軸受スリーブ3,4の内部気孔(多孔質体組織の内部気孔)も含め、潤滑流体として例えば潤滑油を充填する。潤滑油の充填は、例えば組立が完了した流体軸受装置1を真空槽内で潤滑油中に浸漬した後、大気圧に開放することにより行うことができる。
なお、上記の態様で両軸受スリーブ3、4をハウジング2の内周面2aに固定する結果、図1〜3に示すように、第1軸受スリーブ3の下側端面3cと第2軸受スリーブ4の上側端面4cとの間に僅かな隙間ができる場合がある。もちろん、第1、第2軸受スリーブ3、4やハウジング2の軸方向寸法によっては、両軸受スリーブ3、4が当接する場合もある。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材5が回転すると、第1軸受スリーブ3の内周面3aのラジアル軸受面Aは、軸部材5の外周面5aとラジアル軸受隙間を介して対向する。ラジアル軸受面Aでは、ラジアル軸受隙間に充満された潤滑油が動圧溝3a1の動圧作用によってその圧力を高められ、この圧力によって軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。また、本実施形態では、凸部Bと軸部材5の外周面5aとの間にラジアル軸受隙間が形成され、このラジアル軸受隙間には、第1軸受スリーブ3から滲み出した油で油膜が形成され、この油膜で軸部材5がラジアル方向に回転自在に支持される。これにより、動圧軸受および真円軸受で軸部材5をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1が構成される。第2軸受スリーブ4でも同様に、ラジアル軸受面A’によって動圧軸受が、また凸部Bによって真円軸受が形成され、軸部材5をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第2ラジアル軸受部R2が構成される。
また、軸部材5が回転すると、第1軸受スリーブ3の上側端面3bのスラスト軸受面がシール部材6の下側端面6bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向し、第2軸受スリーブ4の下側端面4bのスラスト軸受面がシール部材7の上側端面7bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして軸部材2の回転に伴い、各スラスト軸受隙間に充満された潤滑油は、動圧溝3b1、4b1の動圧作用によってその圧力が高められ、軸部材5が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材5を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
また、軸部材5の回転時には、上述のように、シール部材6、7の外周側に形成されるシール空間S1、S2が、ハウジング2の内部側に向かって漸次縮小したテーパ形状を呈しているため、両シール空間S1、S2内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用と、回転時の遠心力による引き込み作用とにより、シール空間が狭くなる方向、すなわちハウジング2の内部側に向けて引き込まれる。これにより、ハウジング2の内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。また、シール空間S1、S2は、ハウジング2の内部空間に充填された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内では、潤滑油の油面は常にシール空間S1、S2内にある。
また、第1軸受スリーブ3の軸方向溝3d1によって形成される流体通路、第2軸受スリーブ4の軸方向溝4d1によって形成される流体通路、各軸受隙間(第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受隙間、第1スラスト軸受部T1及び第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間)により、ハウジング2の内部に一連の循環通路が形成される。そして、ハウジング2の内部空間に充填された潤滑油がこの循環通路を介して流動循環することにより、潤滑油の圧力バランスが保たれると同時に、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等が防止される。また、第1軸受スリーブ3の軸方向溝3d1によって形成される流体通路の一端と、第2軸受スリーブ4の軸方向溝4d1によって形成される流体通路の一端は、それぞれ、大気開放側となるシール空間S1、S2に通じている。そのため、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油に伴って循環する際に外気開放側に排出されるので、気泡による悪影響はより一層効果的に防止される。
図4は、本発明に係る製造方法により製造される流体軸受装置の第2実施形態を示している。この実施形態の流体軸受装置21が図1に示す流体軸受装置1と異なる点は、第1および第2の軸受スリーブ3、4間にリング状のスペーサ8を介装した点にある。このスペーサ8は、ハウジング内周面2aのうち、その下側端面8cがハウジング2の下側端面2cから軸方向にL3だけ離隔した箇所に固定されている。スペーサ8は、黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、樹脂材料、あるいは焼結金属材料で両軸受スリーブ3、4よりも内径寸法が大径に形成される。従って、このスペーサ8の内周面8aと軸部材5の外周面5aとの間にラジアル軸受隙間は形成されない。なお、その他の事項は、第1の実施形態に準じるので、実質的に同一の部材及び部位には同一の符号を付して重複説明を省略する。
以下、上記構成の流体軸受装置21の組立工程を、軸受スリーブ3、4、およびスペーサ8をハウジング2の内周に位置決め固定する工程(図5(a)〜(c))を中心に説明する。なお、工程説明においても、図3(a)(b)と実質的に同一の構成については、共通の参照番号を付与し重複説明を省略する。
まず、図5(a)に示すように、スペーサ8を、その下側端面8cがハウジング2の下側端面2cから軸方向にL3だけ離隔するようにして、ハウジング2の内周面2aに、例えば隙間接着する。この場合、図3に示す構成と異なり、その上端面14aと凹部内底面14bとの離間距離がL3に等しいベース部14を用いることにより、上記の態様でスペーサ8が固定される。ところで、スペーサ8は、その内周面8aが軸受スリーブ3、4よりも大径に形成され、その内周側にラジアル軸受隙間を形成しないため、径方向の固定精度はさほど問題とならない。そのため、スペーサ8は、軸受スリーブ3、4同様に隙間接着する以外にも、例えば圧入、圧入接着等でハウジング内周面に固定することもできる。
スペーサ8の固定後、一旦上記の組付け品を取り外し、図5(b)に示すように、スペーサ8の下方に、第2軸受スリーブ4をハウジング2の内周面2aに固定(隙間接着)する。固定後、第2軸受スリーブ4が組みつけられた組付け品を取り外し、図5(c)に示すように、ハウジング2の他端側内周面2aに第1軸受スリーブ3を固定(隙間接着)する。このようにしてハウジング2の内周面2aに組付けられた軸受スリーブ3、4、およびスペーサ8の内周に軸部材5を挿入し、所定のアキシャル隙間幅を保った状態でシール部材6、7を軸部材5の所定箇所に固定し、さらにその後ハウジング2の内部空間に潤滑油を充満させることにより、図4に示す流体軸受装置21が完成する。
上記の態様で、両軸受スリーブ3、4およびスペーサ8を固定することにより、両軸受スリーブ3、4の内周面間での同軸確保、およびハウジング2に対する両軸受スリーブ3、4の同軸確保を図ることができると共に、各部材はハウジング2の端面から所定の離間距離を確保した状態で固定することができる。なお、上記の態様で両軸受スリーブ3、4およびスペーサ8をハウジング2の内周面2aに固定する結果、図4に示すように、第1軸受スリーブ3とスペーサ8との間、および第2軸受スリーブ4とスペーサ8との間に僅かな隙間ができる場合がある。もちろん、両軸受スリーブ3、4、スペーサ8、およびハウジング2の軸方向寸法によっては、両軸受スリーブ3、4とスペーサ8とが当接する場合もある。
以上の説明では、流体軸受装置1、21のラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状等の動圧溝によって潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2の一方又は双方は、例えば、ラジアル軸受面となる領域に複数の軸方向溝を円周方向等間隔に設けた、いわゆるステップ軸受や、ラジアル軸受面となる領域に複数の円弧面を設けた、いわゆる多円弧軸受を採用しても良い。また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、例えば、スラスト軸受面となる領域に複数の半径方向溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受や波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等を採用しても良い。
また、以上の説明では、第1ラジアル軸受部R1および第2ラジアル軸受部R2の双方を動圧軸受で構成する形態を例示したが、第1のラジアル軸受部R1および第2のラジアル軸受部R2の一方又は双方を真円軸受で構成することもできる。
また、以上の説明では、流体軸受装置1の内部に充満する流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧を発生させることができる流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等を使用することもできる。
以上の構成からなる流体軸受装置は、特に、高速回転し、高いモーメント剛性が要求されるモータ、例えばサーバ用HDDのスピンドルモータに好ましく用いることができる。
本発明の第1実施形態に係る製造方法により製造された流体軸受装置を示す断面図である。 (a)図はハウジングに軸受スリーブを固定した状態を示す上面図、(b)図はその断面図、(c)図はその下面図である。 本発明の第1実施形態に係る製造工程を示す概略図である。 本発明の第2実施形態に係る製造方法により製造された流体軸受装置を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る製造工程を示す概略図である。
符号の説明
1、21 流体軸受装置
2 ハウジング
3 第1軸受スリーブ
4 第2軸受スリーブ
6、7 シール部材
8 スペーサ
10 組付け装置
11 ピン部
12 ベース部
A、A’ ラジアル軸受面
L1、L2、L3 軸方向離間距離
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1、S2 シール空間

Claims (4)

  1. ラジアル軸受面を有し、支持すべき軸との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブを、ハウジング内周の軸方向二箇所に固定するに際し、
    前記ハウジングの両端を開口させ、
    一方の軸受スリーブを、前記ハウジングの一端面からの離間距離を確保した状態で前記ハウジングに隙間接着し、
    他方の軸受スリーブを、前記ハウジングの他端面からの離間距離を確保した状態で前記ハウジングに隙間接着することを特徴とする流体軸受装置の製造方法。
  2. 接着剤として、嫌気性接着剤を用いた請求項1記載の流体軸受装置の製造方法。
  3. 前記ラジアル軸受面を拘束した状態で、前記軸受スリーブを隙間接着する請求項1記載の流体軸受装置の製造方法。
  4. さらに、両軸受スリーブ間にスペーサを備え、該スペーサを、前記ハウジングの端面からの離間距離を確保した状態で前記ハウジングに固定する請求項1記載の流体軸受装置の製造方法。
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