JP2007326893A - 塗布液及びpzt膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分に緻密化され圧電素子としての性能の高いPZT膜を低コストで製造するための塗布液、及び、PZT膜の製造方法を提供する。
【解決手段】結晶PZT粒子と、アモルファスPZT粒子と、有機バインダーと、有機溶剤と、を含む塗布液を基板に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成することにより十分に緻密化されたPZT膜を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、PZT粒子を含有する塗布液及びPZT膜の製造方法に関する。
インクジェット記録ヘッドなど圧電素子を用いた装置は広く一般に普及し、ますます低コスト化が求められている。圧電素子として、従来はバルク型のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用途に応じて研磨、切断といった機械加工した物が使用されてきた。しかし、精密に機械加工した素子を貼り付ける必要があることから非常にコストが高いという問題があった。
そのため、バルク型のPZTに代えて、機械加工等が不要なPZT膜を用いる検討が進められている。かかるPZT膜を形成する方法として、ゾルゲル法、スパッタ法、CVD法など種々の方法が検討されている。これらのうち、ゾルゲル法は、原料の金属アルコキシドを加水分解・重合させて得られるPZTの前駆体ゾルを基板上に塗布し、ゲル化させた後焼成することによりPZT膜を形成する方法であり、膜形成が容易であると共に組成制御性に優れることから注目されている。
しかし、ゾルゲル法による1回の塗布及び焼成の工程で得られるPZT膜の膜厚はせいぜい0.5μm程度に過ぎない。PZT膜をインクジェット記録ヘッドに用いるためには通常数μmから100μm程度の膜厚が必要とされる。このような膜厚の厚いPZT膜を得るためには塗布及び焼成の工程を多数回繰り返す必要があるため、低コスト化という目的は未だ達成されていない。更に、高温での焼成を多数回繰り返すため、基板や得られたPZT膜が熱によるダメージを受けやすいという問題もあった。
そのため、必要な膜厚のPZT膜を低コストで形成する方法の検討が行われており、金属アルコキシドを加水分解したゾルにPZT微粒子を添加した塗布液を基板に塗布して焼成する方法(例えば、特許文献1を参照。)や、コア/シェル型二重構造無機微粒子を含む塗布液を基板上に塗布して焼成する方法(例えば、特許文献2を参照。)などが提案されている。
特開平6−119811号公報 特開2000−247737号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された方法によって緻密なPZT膜を形成するためには1000℃〜1200℃以上の非常に高い温度で焼成する必要があった。このような高温で焼成を行うと基板の劣化が避けられず、インクジェット記録ヘッドなどのデバイスに適用することは困難である。一方、かかる基板の劣化を抑えるために1000℃未満の温度で焼成して得られるPZT膜は、緻密化が不十分で内部の空隙が大きいという問題があった。PZT膜の内部の空隙が大きいと、圧電素子として用いるために必要な圧電定数等の特性が低下する。従って、これらの方法によってインクジェット記録ヘッドなどに用いることができるPZT膜を作製することは困難であった。
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、十分に緻密化され圧電素子としての性能の高いPZT膜を低コストで製造するための塗布液、及び、PZT膜の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1. 結晶PZT粒子と、アモルファスPZT粒子と、有機バインダーと、有機溶剤と、を含むことを特徴とする塗布液。
2. 前記結晶PZT粒子の構成元素と前記アモルファスPZT粒子の構成元素が等しいことを特徴とする1記載の塗布液。
3. 前記結晶PZT粒子の平均粒径が0.1μm以上、1μm以下であり、前記アモルファスPZT粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする1又は2記載の塗布液。
4. 前記結晶PZT粒子100質量部に対して前記アモルファスPZT粒子を0.1質量部以上、30質量部以下の割合で含有することを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の塗布液。
5. 前記アモルファスPZT粒子は、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及び鉛アルコキシドを含む原料から作製されたPZTの前駆体ゾルを熱分解又は酸化燃焼することにより、該PZTの前駆体ゾルの有機成分のうち50%以上が除去された物であることを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載の塗布液。
6. 1乃至5の何れか1項に記載の塗布液を基板に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を焼成する工程と、を有することを特徴とするPZT膜の製造方法。
7. 前記塗膜を焼成する工程の前に、該塗膜を等方圧縮する工程を有することを特徴とする6記載のPZT膜の製造方法。
8. 前記塗膜を焼成する工程は、前記基板の最高到達温度が500℃以上、900℃以下となる条件で行うことを特徴とする6又は7記載のPZT膜の製造方法。
本発明の塗布液は、結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子と有機バインダーと有機溶剤とを含んでいる。かかる塗布液を用いることで、焼成の際、アモルファスPZT粒子がPZT結晶の緻密化と粗大化を補助する効果を発揮するため、十分に緻密化され圧電素子としての性能の高いPZT膜を低コストで製造することができる。
また、本発明の方法によれば、結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子と有機バインダーと有機溶剤とを含む塗布液を基板に塗布して焼成することで、塗布液に含まれるアモルファスPZT粒子が、焼成の際のPZT結晶の緻密化と粗大化を補助する効果を発揮することによって、十分に緻密化され圧電素子としての性能の高いPZT膜を低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に本発明の1つの実施形態におけるPZT膜の製造方法の概略を示す。本実施形態におけるPZT膜の製造方法は、結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子を混合する工程S101、工程S101で混合された2種類のPZT粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合して塗布液を作製する工程S102、塗布液を基板の表面に塗布して塗膜を形成する工程S103、塗膜を等方圧縮する工程S104、及び、塗膜を焼成する工程S105からなる。以下、各工程を順に説明する。
工程S101は、結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子を混合する工程である。
結晶PZT粒子はチタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、鉛アルコキシドを原料とするゾルゲル法により作製することができる他、共沈法、水熱法、噴霧熱分解法など各種の公知の方法を用いることにより作製できる。また、市販の結晶PZT粒子を購入しても良いし、市販のPZTバルク体をボールミルやジェットミル等で粉砕して結晶PZT粒子を作製しても良い。
アモルファスPZT粒子も、結晶PZT粒子同様に、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、鉛アルコキシドを原料とするゾルゲル法や、他の公知の方法によって作製できる。
例えば、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、鉛アルコキシドを加水分解・重合させて得たPZTの前駆体ゾルを、熱分解又は酸化燃焼させて有機成分を除去することによりアモルファスPZT粒子を得ることができる。この方法でアモルファスPZT粒子を作製する場合には、PZTの前駆体ゾルの有機成分のうち50%以上を除去することが好ましい。かかる条件で得たアモルファスPZT粒子を用いることで焼成時におけるPZT膜の収縮率が小さくなり、更に安定したPZT膜を得ることができる。PZTの前駆体ゾルの有機成分のうち50%以上を除去するという観点からは、PZTの前駆体ゾルを、250℃から500℃の温度範囲で熱分解又は酸化燃焼させることが好ましい。250℃未満の温度では有機成分のうち50%以上を除去するために長い時間が必要となり、また、500℃より高い温度ではPZTの結晶化が進んでしまう虞がある。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム等が挙げられる。鉛アルコキシドとしては、ジノルマルプロポキ鉛、ジイソプロポキシ鉛、鉛2−アミノエトキシ−アセテート〔Pb(NH2CH2CH2O)(CH3COO)〕等が挙げられる。
また、結晶PZT粒子やアモルファスPZT粒子の原料として、例えば、株式会社高純度科学研究所製PZT−10(商品名)など市販のゾルゲル用溶液を用いることもできる。
本発明において、アモルファスPZT粒子は、全てアモルファス相からなるPZT粒子でも良いし、アモルファス相中に微小結晶が存在する混合相からなるPZT粒子であっても良い。PZT粒子の結晶性の評価はX線回折(XRD)パターンなどから把握することができる。
結晶PZT粒子やアモルファスPZT粒子は、構成元素として、鉛、ジルコニウム、チタンの他に、圧電定数の向上等のためにニオブ、マグネシウムなどを含んでいても良い。結晶PZT粒子の構成元素とアモルファスPZT粒子の構成元素は等しくても良いし、異なっていても良いが、焼成条件の自由度を高めるという観点からは、等しい方が好ましい。また、同様の観点から、結晶PZT粒子の構成元素の組成比とアモルファスPZT粒子の構成元素の組成比を等しくすることが更に好ましい。
結晶PZT粒子やアモルファスPZT粒子の粒径については特に制限はなく目的に応じて種々の粒径の物を適宜選択して用いることができるが、膜厚の厚いPZT膜を安定して得るという観点から、結晶PZT粒子の平均粒径は0.1μm以上、1μm以下が好ましい。一方、アモルファスPZT粒子の平均粒径はできるたけ小さい方が、焼成後に緻密な膜を得ることができるため好ましい。平均粒径が0.1μm以上、1μm以下の結晶PZT粒子と平均粒径が0.5μm以下のアモルファスPZT粒子を用いると、緻密化され圧電素子としての性能の高いPZT膜を得ることができるため特に好ましい。
本発明において粒子の平均粒径とは、顕微鏡の画像上で計測した投影面積円相当径の算術平均値をいう。投影面積円相当径とは、粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径をいう。
結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子の混合は、粉体混合・混練装置を用いて行う。粉体混合・混練装置は、容器回転型、機械撹拌型、流動撹拌型など公知の装置の中から適宜選択して用いることができる。乾燥状態で混合しても良いし、有機溶剤等の液体を添加して混合した後に乾燥しても良い。
結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子の混合比についても特に制限はないが、結晶PZT粒子に対するアモルファスPZT粒子の比率が低すぎるとPZT膜の緻密度を上げる効果が小さくなる。逆にアモルファスPZT粒子の比率が高すぎると、焼成時におけるPZT膜の収縮が大きくなり、場合によってはクラック等の欠陥が発生することにもなる。このような観点から、結晶PZT粒子100質量部に対してアモルファスPZT粒子を0.1質量部以上、30質量部以下の比率で混合することが好ましい。更に、結晶PZT粒子100質量部に対してアモルファスPZT粒子を1質量部以上、20質量部以下の比率で混合することが特に好ましい。
工程S102は、工程S101で混合された2種類のPZT粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合して塗布液を作製する工程である。
有機バインダーは特に限定されず、一般にセラミックスの成形用として用いられる各種有機化合物を適宜用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アクリル樹脂、寒天などが挙げられる。有機バインダーの配合量も特に限定されるものではなく、例えば、工程S101で得た結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子の混合粒子100質量部に対して、有機バインダーを0.1質量部以上、10質量部以下の範囲から選択できる。
有機溶剤も特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、テルピネオール等公知の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤の配合量も特に限定されるものではなく、例えば、工程S101で得た結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子の混合粒子100質量部に対して、有機溶剤を10質量部以上、70質量部以下の範囲から選択できる。
このような有機バインダーと有機溶剤と工程S101で混合された2種類のPZT粒子とを混合して塗布液を得る。塗布液は、これらに加えて、分散剤、酸化防止剤、染料、顔料などの公知の添加剤を含有していても良い。
なお、本実施形態においては、まず結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子を混合した後、有機バインダーと有機溶剤を混合して塗布液を作製する場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、混合する順序は問わない。例えば、有機バインダーと有機溶剤と結晶PZT粒子を混合した後にアモルファスPZT粒子を混合しても良いし、結晶PZT粒子と有機溶剤を混合した後にアモルファスPZT粒子を混合し、最後に有機バインダーを混合しても良い。
S103は、塗布液を基板の表面に塗布して塗膜を形成する工程である。
基板は、各種金属、シリコン、セラミックス等の中から、用途に応じて適宜選択して使用する。PZT膜の構成元素の一部が基板材料と反応することによる特性の低下等が問題となる場合には、表面に金属やセラミックス等の膜を形成したり、各種表面処理を行うことによって、かかる反応を防止した基板を用いることが好ましい。例えば、シリコン基板の表面に白金の膜を形成して用いることができる。
塗布液の塗布は、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法など公知の方法を用いることができる。
工程S104は、塗膜を等方圧縮する工程である。
本発明においてこの工程S104は必ずしも必要な工程ではないが、基板の表面に形成された塗膜を焼成する前に等方圧縮することで、PZT膜の緻密性を更に向上させることができる。特に、この工程S104を設けることで焼成時の基板温度を低く抑えながらPZT膜の緻密性を向上させることができるため、焼成時の熱による基板材料の損傷を最小限に抑える必要がある場合などに非常に効果的である。
等方圧縮は、市販の等方圧縮装置(CIP装置)を用いて行うことができる。等方圧縮の際の圧力に特に制限はないが、PZT膜の緻密性向上のためには50MPa以上、500MPa以下の範囲が好ましい。
工程S105は、塗膜を焼成する工程である。
焼成の温度や時間に特に制限はないが、温度が低すぎるとPZTの結晶化が不完全になりやすく、逆に温度が高すぎると基板の劣化が顕著になり問題となる場合がある。このような観点から、基板の最高到達温度が500℃以上、900℃以下となる条件で焼成を行うことが好ましく、また、700℃以上、800℃以下となる条件で焼成を行うことが特に好ましい。比較的薄い膜、例えば膜厚が2〜3μm以下の場合などには、基板の昇温開始から短時間で最高到達温度まで加熱することもできるが、比較的厚い膜、例えば膜厚が5μmよりも厚い場合などにはクラック等の欠陥を防止するために、例えば、1時間当たりの上昇温度を100℃以下に制限するなど、単位時間当たりの上昇温度を制限しながら加熱することが効果的である。また、同様の観点から、一旦最高到達温度よりも低い温度で所定時間の間保持した後に最高到達温度まで昇温して保持するなど、最高到達温度までの昇温を複数の段階に分けて行うことも好ましい。
焼成は空気中、酸素雰囲気中、アルゴン雰囲気中、窒素雰囲気中など、種々の環境で行うことができる。また、焼成条件によってはPZTに含まれる鉛成分が減少してPZTの組成が変化してしまう場合がある。鉛成分の減少を防ぎ焼成によるPZT膜の組成変化を防止する観点からは、焼成する基板と一緒に酸化鉛の粒子を密閉して加熱するなど、鉛の多く含まれた環境中で焼成することも好ましい。
ここまで、工程S101から工程S105までの各工程を順に説明してきたが、本発明の方法においては、これ以外の工程を含むものであっても良い。例えば、工程103の前に基板を洗浄する工程を行っても良いし、工程104の前又は後に塗膜を乾燥させる工程を行っても良い。更に、工程S105の完了後、工程S101から工程S105までの工程を再度繰り返してPZT膜を積層させることもできる。
(実施例1)
結晶PZT粒子は、焼結バルク体をボールミルにより粉砕して平均粒径を0.2μmとした物を用いた。用いた結晶PZT粒子は、微量の不純物を除いて、鉛、ジルコニウム、チタンの酸化物からなり、鉛、ジルコニウム、チタンの組成比(原子比率)は100:52:48であった。
アモルファスPZT粒子は、市販のゾルゲル用溶液である株式会社高純度科学研究所製PZT−10(商品名)を原料としてゾルゲル法により作製した。空気中で450℃に加熱してアモルファス粒子化させており、有機成分のうち約80%が除去されている。平均粒径は0.1μmであった。XRDパターンの評価より、アモルファス相を主とした微小結晶を含むPZT混合相からなる粒子であることが確認された。このアモルファスPZT粒子は、微量の不純物を除いて、鉛、ジルコニウム、チタンの酸化物からなり、鉛、ジルコニウム、チタンの組成比(原子比率)は100:52:48であった。
このように、本実施例において用いた結晶PZT粒子とアモルファスPZT粒子は、構成元素が等しく、組成比も等しいものである。
結晶PZT粒子100質量部に対してアモルファスPZT粒子11質量部を、アセトンを用いて遊星ミルで混合した後、乾燥させた。
この混合PZT粒子100質量部に対して、有機バインダー2質量部と、分散剤1質量部と、有機溶剤40質量部とを三本ロールミルで混合して塗布液を作製した。有機バインダーには三井化学株式会社製アクリルバインダー、SA531(商品名)を、分散剤には第一工業製薬株式会社製リン酸エステル系分散剤A212C(商品名)を、有機溶剤には関東化学株式会社製αテルピネオールを、それぞれ使用した。得られた塗布液の粘度は、剪断速度100/sの場合に約3Pa・sであった。
基板は、シリコン基板の表面に膜厚0.03μmのチタン膜を形成し、さらにその上に膜厚0.3μmの白金膜を形成した物を用いた。チタン膜と白金膜はスパッタ法により形成した。
この基板の表面に、作製した塗布液をスピンコート法により塗布して塗膜を形成した。スピンコートは、回転数500rpmで5秒間行った後、回転数2000rpmで20秒間行い、厚さ10μmの塗膜を得た。
結晶PZT粒子100質量部に対して10質量部の酸化鉛粉末を混合した混合粉を密閉容器の底に敷き、塗膜の形成された基板を支持板にセットした上で同じ容器に入れて密閉した。室温から500℃まで1分当たり0.5℃ずつ昇温し、500℃で20分間保持した後、更に500℃から750℃まで1分当たり10℃ずつ昇温し、750℃で6時間保持して塗膜の焼成を行った。焼成終了後は室温まで自然冷却し、基板上にPZTの膜を形成した。
XRDにより得られたPZT膜の結晶性の評価を行ったところ、良好なペロブスカイト構造の多結晶体であることが確認された。また、電子顕微鏡観察画像の画像解析によって内部の空隙率を計算したところ約20vol%であり、十分に緻密化された良好な膜であることが確認された。
更に、アグザクト・システムズ社(aixACCT Systems GmbH)製の強誘電体評価システムTF2000FE−HV(商品名)を用いて、得られたPZT膜の分極量のヒステリシス特性を測定した。結果を図2(a)に示す。良好なヒステリシス特性を持っていることが確認され、残留分極も20μC/cm2と高い値が得られた。このことは、得られたPZT膜が圧電素子として十分な特性を有していることを示している。
(実施例2)
実施例1と同じ塗布液を用いて、同じ基板にPZT膜を形成した。実施例1との違いは、塗膜の焼成を行う前に、塗膜を等方圧縮する工程を設けたことである。
実施例1と同様に、基板の表面に塗布液をスピンコート法により塗布し、厚さ10μmの塗膜を得た。塗膜の形成された基板をポリエチレンの袋に入れて真空脱気し、CIP装置で100MPaの等方圧縮を5分間行った後、150℃に加熱して10分間乾燥させた。その後、実施例1と同じ条件で焼成を行って基板上にPZTの膜を形成した。
得られたPZT膜を実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果、良好なペロブスカイト構造の多結晶体であり、内部の空隙率は約16vol%であることが確認された。また、良好なヒステリシス特性を持っており、残留分極は25μC/cm2であった。ヒステリシス特性の測定結果を図2(b)に示す。これらの結果より、得られたPZT膜は、実施例1で得られた物よりも更に高い特性を有する良好な膜であることが確認された。
(比較例1)
実施例1と同じ結晶PZT粒子を用い、結晶PZT粒子100質量部に対して、有機バインダー2質量部と、分散剤1質量部と、有機溶剤40質量部とを三本ロールミルで混合して塗布液を作製した。実施例1と異なり、アモルファスPZT粒子は混合しなかった。有機バインダー、分散剤、有機溶剤はそれぞれ実施例1と同じ物を使用した。
得られた塗布液を用いて、実施例1と同じ方法、条件でPZT膜を形成し、同様の評価を行った。その結果、実施例1と同様のペロブスカイト構造の多結晶体であったが、内部の空隙率は約39vol%と非常に大きいことが確認された。また、ヒステリシス特性を持っているものの、残留分極は17μC/cm2と小さかった。ヒステリシス特性の測定結果を図2(c)に示す。これらの結果より、得られたPZT膜は、実施例1、2で得られた物とは異なり、緻密化が不十分で圧電素子として使用することの困難な不十分な膜であることが確認された。
本発明の1つの実施形態におけるPZT膜の製造方法の概略図 ヒステリシス特性の測定結果を示す図

Claims (8)

  1. 結晶PZT粒子と、アモルファスPZT粒子と、有機バインダーと、有機溶剤と、を含むことを特徴とする塗布液。
  2. 前記結晶PZT粒子の構成元素と前記アモルファスPZT粒子の構成元素が等しいことを特徴とする請求項1記載の塗布液。
  3. 前記結晶PZT粒子の平均粒径が0.1μm以上、1μm以下であり、前記アモルファスPZT粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布液。
  4. 前記結晶PZT粒子100質量部に対して前記アモルファスPZT粒子を0.1質量部以上、30質量部以下の割合で含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の塗布液。
  5. 前記アモルファスPZT粒子は、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及び鉛アルコキシドを含む原料から作製されたPZTの前駆体ゾルを熱分解又は酸化燃焼することにより、該PZTの前駆体ゾルの有機成分のうち50%以上が除去された物であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の塗布液。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の塗布液を基板に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を焼成する工程と、
    を有することを特徴とするPZT膜の製造方法。
  7. 前記塗膜を焼成する工程の前に、該塗膜を等方圧縮する工程を有することを特徴とする請求項6記載のPZT膜の製造方法。
  8. 前記塗膜を焼成する工程は、前記基板の最高到達温度が500℃以上、900℃以下となる条件で行うことを特徴とする請求項6又は7記載のPZT膜の製造方法。
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JP2009170695A (ja) * 2008-01-17 2009-07-30 Seiko Epson Corp 強誘電体メモリの製造方法

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