JP2007321892A - 環状部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱処理変形の影響を受けることなく常に、両側面の平面精度及び内外周面の真円精度がそれぞれ極めて高い環状部品を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】環状を成す最終成形品へ加工するための中間成形品2を形成する中間成形品形成工程と、中間成形品に熱処理を施す熱処理工程と、熱処理後の中間成形品6の両側面10,12及び内外周面14,16に表面加工を施し、両側面を平面状に加工するとともに、内外周面を円周面状に加工して最終成形品を形成する最終成形品形成工程とを有する環状部品の製造方法であって、中間成形品形成工程において、少なくとも中間成形品の一側面に、当該側面から所定の高さa1だけ突出した凸状部4a,4b,4cが少なくとも1つ形成され、最終成形品形成工程において、中間成形品の側面に対する研削加工によって、凸状部の全てが完全に除去される。
【選択図】図1
【解決手段】環状を成す最終成形品へ加工するための中間成形品2を形成する中間成形品形成工程と、中間成形品に熱処理を施す熱処理工程と、熱処理後の中間成形品6の両側面10,12及び内外周面14,16に表面加工を施し、両側面を平面状に加工するとともに、内外周面を円周面状に加工して最終成形品を形成する最終成形品形成工程とを有する環状部品の製造方法であって、中間成形品形成工程において、少なくとも中間成形品の一側面に、当該側面から所定の高さa1だけ突出した凸状部4a,4b,4cが少なくとも1つ形成され、最終成形品形成工程において、中間成形品の側面に対する研削加工によって、凸状部の全てが完全に除去される。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、各種軸受の軌道輪(内輪及び外輪等)などの環状部品の製造方法に関し、特に、両側面の平面精度及び内外周面の真円精度がそれぞれ極めて高い環状部品を製造するための製造方法に関する。
例えば、玉軸受(図5(a))、円すいころ軸受(図6(a))及び円筒ころ軸受(図7(a))などの各種の軸受は、当該軸受が回転自在に支持する回転軸を長期に亘って安定して、精度よく回転させ続けるため、当該軸受の軌道輪(例えば、内輪及び外輪)の両側面が高い平面精度を有するとともに、内外周面が高い真円精度を有していることが好ましい。このため、従来から、かかる軸受の軌道輪の表面(両側面及び内外周面)を高精度に加工するための各種の方策が知られている。例えば、特許文献1には、軸受の軌道輪(軸受リング)の両側面を研削により高精度に平面加工する方法が、一例として開示されている。また、特許文献2には、軸受の軌道輪(軸受リング)の外周面を研削により高精度に真円加工する方法が、一例として開示されている。
ところで、従来から、上述した各種の軸受の軌道輪である内輪(図5(b)、図6(b)及び図7(b))、及び外輪(図5(c)、図6(c)及び図7(c))として用いられる金属製の環状部品(軸受リング)は、ラジアル荷重やアキシアル荷重などを継続的に負荷するべく、その硬度や強度(剛性)を高めるため、製造過程において所定の熱処理が施されて製造されている。
一例として、図8〜図11には、各種の軸受鋼で成る金属製の軌道輪、具体的には、円すいころ軸受の外輪(図6(c))の製造工程が示されている。かかる軌道輪(外輪)を製造する場合には、まず、熱処理を行う前の中間成形品(熱処理前ワーク)50を形成し、次いで、当該熱処理前ワーク50を熱処理する。そして、当該熱処理後の中間成形品(熱処理後ワーク)52に対して、その両側面及び内外周面に研削加工を施すことにより、製品としての軌道輪(軸受リング)を製造することができる。
一例として、図8〜図11には、各種の軸受鋼で成る金属製の軌道輪、具体的には、円すいころ軸受の外輪(図6(c))の製造工程が示されている。かかる軌道輪(外輪)を製造する場合には、まず、熱処理を行う前の中間成形品(熱処理前ワーク)50を形成し、次いで、当該熱処理前ワーク50を熱処理する。そして、当該熱処理後の中間成形品(熱処理後ワーク)52に対して、その両側面及び内外周面に研削加工を施すことにより、製品としての軌道輪(軸受リング)を製造することができる。
この場合、熱処理前ワーク50は、材料としてのバー材(例えば、断面が円環状を成す管鋼)を切断し、これを塑性(鍛造)加工した後(図8(a))、かかる部材を切削(旋削)加工することにより、形成されている(図8(b))。塑性(鍛造)工程では、一例として、図8(a)に示すように、2つの型(同図の上側の型54と下側の型56)の間にバー材を挟み込むようにセットし、当該2つの型54,56によってバー材を加圧することで熱処理前ワーク50を成形している。なお、この際には、所定の削り代58を確保してバー材を塑性(鍛造)加工し、その後の切削(旋削)工程において、両側面(図8(b)の左側の面と右側の面)が平面状になるように当該バー材の削り代58を切削(旋削)することで、熱処理前ワーク50を形成している。また、例えば、少量のみ製造される特注品や小型の製品などの製造工程においては、上述した塑性(鍛造)工程を省略し、切断したバー材を直接切削(旋削)加工することで、熱処理前ワーク50を形成する場合もある。
このように形成された熱処理前ワーク50は、熱処理工程における熱処理によって所定の温度まで加熱した後、常温まで冷却される(いわゆる焼入れ)。このように、熱処理前ワーク50に対して熱処理を施すことで、当該熱処理前ワーク50の強度(剛性)を高めることができる。
一方で、熱処理前ワーク50に熱処理を施した場合、当該熱処理中の加熱及び冷却によって熱処理後ワーク52に歪みが発生する。例えば、図8(c),(d)には、所定の径方向近傍を境にして、軸方向の一方側(図8(c)における右側)へ折れ曲がるように歪んで反り変形した熱処理後ワーク52が、一例として示されている。なお、熱処理後ワーク52が反り変形する場合、その反りの方向は、例えば、熱処理前ワーク50の形状や熱処理工程における熱処理の条件(例えば、加熱温度や加熱時間など)に応じて変動する。
上述したように熱処理後ワーク52に対しては、両側面及び内外周面に研削加工が施されており、この場合、まず、熱処理後ワーク52の両側面に対して、当該両側面を研削により平坦面状にする平面加工が施された後、次いで、当該熱処理後ワーク52の内外周面に対して、当該内外周面を研削により真円状(真円周面状)にする真円加工が施される。
例えば、図9(a)〜(d)に示すように、両頭平面研削盤を用いて、熱処理後ワーク52の両側面60,62に対して平面加工を施す場合、当該熱処理後ワーク52は、対向する2つの研削砥石70,72にそれぞれ接触し(同図(a),(c))、当該2つの研削砥石70,72の間に挟み込まれるように位置付けられ(同図(b))、各研削砥石70,72から当該研削砥石70,72の間の距離を狭める方向への負荷(研削負荷)を受けることで、当該両側面60,62が同時に研削される。
かかる両側面60,62の研削時において、熱処理後ワーク52が反り変形している場合(図8(c))、2つの研削砥石70,72の間に挟み込まれるように位置付けられた当該熱処理後ワーク52は、各研削砥石70,72から研削負荷を受けると、一方側(図9(b)の左側)の側面60が、反り変形の山の部分に相当する2つの接触箇所60a,60bで、一方側(同図(b)の左側)の研削砥石72と当接する。これに対し、当該熱処理後ワーク52の他方側(図9(b)の右側)の側面62は、一方側(図9(b)の左側)の側面60の2つの接触箇所60a,60bと略90°だけ位相がずれた部分に相当する2つの接触箇所62a,62bで、他方側(同図(b)の右側)の研削砥石70と当接する。
このため、熱処理後ワーク52は、両側面60,62が研削砥石70,72に対していずれも平面で支持されず、研削開始時においては、当該熱処理後ワーク52の姿勢が不安定となり、各研削砥石70,72からさらに研削負荷を受けると、反り方向とは逆方向(図9(b)の左方向)へ弾性変形し、当該2つの研削砥石70,72の間で押圧された状態(曲げられた状態)で両側面60,62が研削されることになる。
特開2001−18171号公報
特開2005−205509号公報
このような状態で両側面60,62に対して研削による平面加工が施された熱処理後ワーク52は、当該平面加工完了後、各研削砥石70,72から受けていた研削負荷から開放されると、当該平面加工時に弾性変形した変形量に相当する分だけ、当該弾性変形する前の反り方向と同一の方向(図9(d)の右方向)へ再度反り変形(スプリングバック)してしまう場合がある(同図(d))。
ここで、熱処理後ワーク52の内外周面に対する研削による真円加工は、平面加工後の側面(側面60若しくは側面62)を加工基準面として、当該熱処理後ワーク52を各種の研削加工機にセットすることによって施される。このため、熱処理後ワーク52が両側面60,62の平面加工後にスプリングバックした状態では、当該両側面60,62は、真円加工時の真円精度を維持する(内外周面を研削により真円にする)ための加工基準面として十分な平面精度が得られず、平坦面とはならない場合がある。
そして、熱処理後ワーク52の側面(側面60若しくは側面62)が、内外周面に対する真円加工時の加工基準面として十分な平面精度を有しない状態で、当該内外周面に対して真円加工を施した場合、以下のような不都合を生じる場合がある。
例えば、図10及び図11には、熱処理後ワーク52の外周面64に対して真円加工を施す場合の工程が一例として示されており、この場合、当該熱処理後ワーク52(図10(a))は、その一方の側面(側面60)を研削加工機の主軸(図示しない)に付設された基準座金(マグネットチャック)74に当該マグネットチャック74の磁力により吸着させている。そして、マグネットチャック74に吸着した熱処理後ワーク52は、当該マグネットチャック74とともに所定方向に回転し、その外周面64を所定方向とは逆方向に回転する研削砥石76に接触させることで、当該外周面64が研削される(図10(b))。
例えば、図10及び図11には、熱処理後ワーク52の外周面64に対して真円加工を施す場合の工程が一例として示されており、この場合、当該熱処理後ワーク52(図10(a))は、その一方の側面(側面60)を研削加工機の主軸(図示しない)に付設された基準座金(マグネットチャック)74に当該マグネットチャック74の磁力により吸着させている。そして、マグネットチャック74に吸着した熱処理後ワーク52は、当該マグネットチャック74とともに所定方向に回転し、その外周面64を所定方向とは逆方向に回転する研削砥石76に接触させることで、当該外周面64が研削される(図10(b))。
このため、かかる外周面64の研削時において、熱処理後ワーク52が反り変形している場合(図9(d))、マグネットチャック74の磁力により吸着された当該熱処理後ワーク52は、当該磁力によって反り方向とは逆方向(図10(b)の左方向)へ弾性変形し、当該マグネットチャック74に押し付けられた状態(曲げられた状態)で外周面64が研削されることになる。
このような状態で外周面64に対して研削による真円加工が施された熱処理後ワーク52は、当該真円加工完了後、マグネットチャック74から受けていた磁力から開放されると、当該真円加工時に弾性変形した変形量に相当する分だけ、当該弾性変形する前の反り方向と同一の方向(図10(c)の右方向)へ再度反り変形(スプリングバック)してしまう場合がある(同図(d))。この結果、外周面64の真円加工後の熱処理後ワーク52は、その直径寸法が位相により変化し、真円精度が悪化してしまう場合がある。例えば、図10(d)に示すように、当該熱処理後ワーク52は、所定の径方向(同図の上下方向)の直径d10が、これと略90°だけ位相がずれた部分に相当する径方向(同図の左右方向)の直径d20よりも小さい楕円状となってしまい、真円ではなくなってしまう場合がある。
また、例えば、マグネットチャック74の磁力が弱い場合、熱処理後ワーク52は、当該磁力によって弾性変形せず、その一方の側面(側面60)が、反り変形の山の部分に相当する2つの接触箇所60a,60bで、当該マグネットチャック74と接触する。このため、熱処理後ワーク52の外周面64に対して真円加工が施されると、当該熱処理後ワーク52は、研削砥石76から受ける研削負荷によって、周期的(熱処理後ワーク52の回転数の2倍周期)に振動(卑近な言い方をすれば、2つの接触箇所60a,60bを支点としてマグネットチャック74の回転に合わせてシーソー運動)した状態でその外周面64が研削されてしまう。
すなわち、当該熱処理後ワーク52は、例えば、図11(c)に示すように、b−b位相時では研削砥石76と接触状態となって研削されるのに対し、a−a位相時では研削砥石76と非接触状態となって研削されない。この結果、当該熱処理後ワーク52は、a−a位相時の直径d11が、これと略90°だけ位相がずれた部分に相当するb−b位相時の直径d21よりも大きい楕円状となってしまい、真円ではなくなってしまう(真円精度が悪化してしまう)場合がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、各種軸受の軌道輪(内輪及び外輪等)などの環状部品の両側面を熱処理変形の影響を受けることなく常に、研削により高精度に平面加工し、当該側面を基準面として内外周面を研削により高精度に真円加工することで、当該両側面の平面精度及び当該内外周面の真円精度がそれぞれ極めて高い環状部品を製造することができる方法を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係る環状部品の製造方法は、環状を成す最終成形品へ加工するための中間成形品を形成する中間成形品形成工程と、当該中間成形品に対して熱処理を施す熱処理工程と、熱処理後の中間成形品の両側面及び内外周面に対して表面加工を施し、当該両側面を平面状に加工するとともに、内外周面を円周面状に加工して最終成形品を形成する最終成形品形成工程とを有している。この場合、中間成形品形成工程において、少なくとも中間成形品の一方側の側面に、当該側面から所定の高さだけ突出した凸状部が少なくとも1つ形成され、最終成形品形成工程において、中間成形品の側面に対する研削加工によって、当該凸状部の全てが完全に除去される。
また、凸状部の高さは、前記凸状部が形成された中間成形品と同一形状及び同一材質のサンプルに前記熱処理工程と同様の熱処理を施した際に、当該サンプルに生じた反り変形量を予め測定し、当該反り変形量よりも大きく設定されている。
なお、中間成形品には、複数の凸状部が所定間隔で設けられており、各凸状部は、当該中間成形品の側面に周方向に沿って所定の長さで形成されているとともに、当該側面の内径から外径に至る幅の一部若しくは全部に亘って形成されている。また、凸状部は、中間成形品と一体的に鍛造加工することにより、若しくは、中間成形品の側面を切削加工することにより、当該中間成形品の側面に形成されている。
本発明の環状部品の製造方法によれば、各種軸受の軌道輪(内輪及び外輪等)などの環状部品の両側面を熱処理変形の影響を受けることなく常に、研削により高精度に平面加工し、当該側面を基準面として内外周面を研削により高精度に真円加工することで、当該両側面の平面精度及び当該内外周面の真円精度がそれぞれ極めて高い環状部品を製造することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る環状部品の製造方法について、添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、例えば、玉軸受(図5(a))、円すいころ軸受(図6(a))及び円筒ころ軸受(図7(a))など各種の軸受において、相対回転可能に対向配置される一対の軌道輪(内輪(図5(b)、図6(b)及び図7(b))、外輪(図5(c)、図6(c)及び図7(c))など)、各種のリング部材などとして用いられる金属製の環状部品を製造するための方法として適用することができる。以下では、一例として、各種の軸受鋼(例えば、クロム鋼、クロム合金鋼及びステンレス鋼など)で成る金属製の軌道輪(軸受リング)、具体的には、円すいころ軸受の外輪(図6(c))を製造する場合を想定して説明する。
図1〜図4には、本発明の一実施形態に係る環状部品(円すいころ軸受の外輪(軸受リング))の製造方法が示されている。
かかる製造方法は、環状を成す最終成形品(円すいころ軸受の外輪(軸受リング))へ加工するための中間成形品(図1(a)〜(c))を形成する中間成形品形成工程(図2及び図3)と、当該中間成形品に対して熱処理を施す熱処理工程と、熱処理後の中間成形品(図4(a))の両側面及び内外周面に対して表面加工を施し、当該両側面を平面状に加工するとともに、内外周面を円周面状に加工して最終成形品(図4(e))を形成する最終成形品形成工程(図4)とを有している。
かかる製造方法は、環状を成す最終成形品(円すいころ軸受の外輪(軸受リング))へ加工するための中間成形品(図1(a)〜(c))を形成する中間成形品形成工程(図2及び図3)と、当該中間成形品に対して熱処理を施す熱処理工程と、熱処理後の中間成形品(図4(a))の両側面及び内外周面に対して表面加工を施し、当該両側面を平面状に加工するとともに、内外周面を円周面状に加工して最終成形品(図4(e))を形成する最終成形品形成工程(図4)とを有している。
この場合、中間成形品形成工程において、少なくとも中間成形品の一方側の側面に、当該側面10から所定の高さだけ突出した凸状部が少なくとも1つ形成され、最終成形品形成工程において、熱処理後の中間成形品の当該側面に対する表面処理によって、当該凸状部の全てが完全に除去される。図2及び図3に示す中間成形品形成工程においては、一例として、中間成形品(熱処理前ワーク)2の一方側(図2(a)の下側、図3(c),(e)の左側)、具体的には、熱処理前ワーク2の両側面10,12のうち、その内径が小径を成す側(内径小径側)の側面10に、当該側面から所定の高さだけ突出した凸状部4a,4b,4cが3つ形成されている。なお、かかる3つの凸状部4a,4b,4cは、図4に示す最終成形品形成工程において、熱処理後の中間成形品(熱処理後ワーク)6の側面10に対する研削加工によって、その全てが完全に除去されている。
なお、凸状部4a,4b,4cは、任意の方法によって熱処理前ワーク2に形成することができ、例えば、熱処理前ワーク2と一体的に塑性(鍛造)加工することにより、当該熱処理前ワーク2の側面10に形成してもよいし、熱処理前ワーク2の側面10を切削加工することにより、当該熱処理前ワーク2の側面10に形成してもよい。
例えば、熱処理前ワーク2の側面10に対して、凸状部4a,4b,4cを塑性(鍛造)加工により形成する場合、一例として、まず、材料としてのバー材(例えば、断面が円環状を成す管鋼など)を切断し、当該バー材を、図2(a)に示すように2つの型(同図の上側の型20と下側の型22)の間に挟み込むようにセットする。この場合、2つの型20,22のうち、熱処理前ワーク2の側面10と当接する一方の型(図2(a)の下側の型(下型)22)には、当該側面10との当接部位に3つの凸状部4a,4b,4cの外郭形状に合わせた3つの凹状部22a,22b,22cが設けられている。そして、当該2つの型20,22によって挟み込んだバー材を加圧して成形することで、下型22の3つの凹状部22a,22b,22cと噛み合う側面10上の所定位置に、3つの凸状部4a,4b,4cを形成することができる。
これにより、その側面10に3つの凸状部4a,4b,4cが形成された熱処理前ワーク50を、当該凸状部4a,4b,4cと一体的に成形することができる。この結果、当該凸状部4a,4b,4cを形成するための別途の工程を追加する必要がなく、そのための加工コストの発生を抑制することができ、熱処理前ワーク2の側面10に対して、安価に凸状部4a,4b,4cを形成することができる。
なお、この際には、凸状部4a,4b,4c及び当該凸状部4a,4b,4cが形成されない側(内径が大径を成す側(図2(a)の上側))の側面12にそれぞれ所定の削り代24a,24bを確保してバー材を塑性(鍛造)加工し、熱処理前ワーク2を成形してもよい(図2(b))。この場合、その後の切削(旋削)工程において、凸状部4a,4b,4cの削り代24aを切削(旋削)することで、その高さ寸法(突出高さ)の調整や傷の除去をすることができるとともに、側面12の削り代24bを切削(旋削)することで、当該側面12が略平面状となるように加工することができる。ただし、例えば、塑性(鍛造)加工された熱処理前ワーク2において、その凸状部4a,4b,4cの突出高さに調整の必要がなく、傷などが生じていない場合、削り代24aは切削(旋削)しなくともよい。
また、熱処理前ワーク2を塑性(鍛造)加工し、両側面10,12を切削(旋削)することで、略平面状に加工した後、側面10との当接部位に3つの凸状部4a,4b,4cの外郭形状に合わせた3つの凹状部22a,22b,22cが設けられた所定の型をプレスなどで押し付けることで、当該熱処理前ワーク2の側面10に凸状部4a,4b,4cを形成してもよい。
ここで、例えば、少量のみ製造される特注品や小型の製品などの製造工程においては、熱処理前ワーク2を塑性(鍛造)加工により、その両側面10,12が略平面状になるようにした後、当該側面10をフライス盤、ブローチ盤及びポリゴン加工機などの各種の切削加工機を用いて切削加工することで、熱処理前ワーク2の側面10に対して、凸状部4a,4b,4cを形成してもよい。あるいは、上記塑性(鍛造)工程を省略し、切断したバー材を直接切削加工することで、熱処理前ワーク2を成形するとともに、その側面10に凸状部4a,4b,4cを形成してもよい。
例えば、図3(b),(c)に示すように、熱処理前ワーク2(図3(a))の側面10をフライス加工する場合、同図中の矢印b1〜b3の3つの方向(相互に略120°ずつ位相がずれた各方向)から、当該側面10を3回、フライスツール(例えば、エンドミル)26で切削することで、当該側面10に3つの凸状部4a,4b,4cを形成することができる。この場合、熱処理前ワーク2の側面10のうち、切削せずに残存させたい部分、すなわち凸状部4a,4b,4cを形成したい部分以外に相当する部分をフライスツール(例えば、エンドミル)26で切削すればよい。
また、例えば、図3(d),(e)に示すように、熱処理前ワーク2(図3(a))の側面10をブローチ加工する場合、同図中の矢印d1,d2の2つの方向(相互に略120°若しくは60°ずつ位相がずれた各方向)から、当該側面10を2回、ブローチツール28で切削することで、当該側面10に3つの凸状部4a,4b,4cを形成することができる。この場合も、上述したフライス加工の場合と同様に、熱処理前ワーク2の側面10のうち、切削せずに残存させたい部分、すなわち凸状部4a,4b,4cを形成したい部分以外に相当する部分をブローチツール28で切削すればよい。
なお、本実施形態において、凸状部4a,4b,4cの高さa1(図1(a)の上下方向の距離)は、その側面10に当該凸状部4a,4b,4cが形成された中間成形品である熱処理前ワーク2と同一形状及び同一材質のサンプル(図示しない)に後述する熱処理工程と同様の熱処理を施した際に、当該サンプルに生じた反り変形量(図4(a)のa2の距離に相当)を予め測定し、当該反り変形量a2よりも大きく設定されている。すなわち、凸状部4a,4b,4cの高さa1は、上記サンプルを後述する熱処理工程と同一の条件で事前に加熱及び冷却し、反り変形させて測定した反り変形量a2に基づいて、当該反り変形量a2よりも大きな所定の高さに予め設定されている。そして、中間成形品形成工程において、上述した各種の塑性(鍛造)加工や切削加工を施すことにより、熱処理前ワーク2に対して、その側面10から当該所定の高さa1だけ突出させて凸状部4a,4b,4cが形成されている。
この場合、具体的な凸状部4a,4b,4cの突出高さa1は、例えば、熱処理前ワーク2の形状や材質、熱処理工程における熱処理の条件(例えば、加熱温度や加熱時間)などに応じて所定値に設定されるため、ここでは特に限定しない。なお、熱処理前ワーク2の側面10に対して、凸状部4a,4b,4cを塑性(鍛造)加工により形成し、各凸状部4a,4b,4cに上述したような削り代24aを設けた場合、当該削り代24aを切削(旋削)することで、当該凸状部4a,4b,4cの突出高さa1を所定の設定値となるように調整すればよい。
また、図1(a)に示す構成では、一例として、熱処理前ワーク2の側面10に形成した各凸状部4a,4b,4cは、その高さa1(同図の上下方向の距離)が同一となるように当該側面10から突出させて構成したが、上述したサンプル(図示しない)の反り変形量(図4(a)のa2の距離に相当)よりも大きな高さであれば、必ずしも全ての凸状部4a,4b,4cを同一の高さで突出させなくともよい。
また、本実施形態において、中間成形品である熱処理前ワーク2には、複数の凸状部4a,4b,4cが所定間隔で設けられており、各凸状部4a,4b,4cは、当該熱処理前ワーク2の側面10に周方向に沿って所定の長さで形成されているとともに、当該側面10の内径から外径に至る幅の一部若しくは全部に亘って形成されている。一例として、図1(a),(b)に示す構成では、熱処理前ワーク2には、3つの凸状部4a,4b,4cが側面10に沿って、略120°の位相差を持って等間隔に設けられており、当該3つの凸状部4a,4b,4cは、当該熱処理前ワーク2の側面10に周方向に沿って所定の長さで形成されているとともに、当該側面10の内径から外径に至る幅の全部に亘って形成されている。
なお、熱処理前ワーク2に設ける凸状部の数は、特に限定されないが、側面10に3つ、さらに当該3つの凸状部4a,4b,4cを等間隔で形成することが好ましい。これにより、後述する最終成形品形成工程における両側面10,12に対する研削加工時に、当該3つの凸状部4a,4b,4cが研削砥石上で1つの平面を形成し、当該研削加工中、熱処理後ワーク6(図4(a))が当該研削砥石に対して平面で支持されるため、その姿勢を安定させることができる。ただし、熱処理前ワーク2に設ける凸状部の数は、1つ若しくは2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
例えば、熱処理前ワーク2の側面10に1つの凸状部を形成する場合、当該凸状部は、一例として、図1(d)に示す構成のように、当該側面10の周方向に沿って、その中心角が略240°以上となる所定の長さに形成すればよい。この場合、後述する最終成形品形成工程における両側面10,12に対する研削加工時に、例えば、当該1つの凸状部4a上の周方向の両端部40b,40c及びこれらの中間部40aの3箇所が、研削砥石上で1つの平面を形成し、研削加工中の熱処理後ワークを上述した3つの凸状部4a,4b,4cが等間隔で形成された場合と略同様の状態とすることができる。このような構成とすることで、凸状部が1つだけである場合であっても、研削加工中、熱処理後ワークを当該研削砥石に対して平面で支持することが可能となり、その姿勢を安定させることができる。
また、図1(a),(b)に示す構成では、一例として、熱処理前ワーク2の3つの凸状部4a,4b,4cは、当該熱処理前ワーク2の側面10の内径から外径に至る幅(側面幅)の全部に亘って形成したが、図1(c)に示す構成のように、当該側面幅の一部に亘って形成してもよい。なお、図1(c)に示す構成では、熱処理前ワーク2の側面10の外径側から内径側へ、側面幅よりも小さな幅で3つの凸状部4a,4b,4cを形成しているが、凸状部4a,4b,4cは、当該側面10の内径側から外径側へ、側面幅よりも小さな幅で形成してもよいし、当該側面10の内径から外径に至る中間部分に、側面幅よりも小さな幅で形成してもよい。
さらに、熱処理前ワーク2に設ける凸状部の形状も特に限定されず、例えば、矩形柱状、円柱状及び円すい状などに形成すればよい。
さらに、熱処理前ワーク2に設ける凸状部の形状も特に限定されず、例えば、矩形柱状、円柱状及び円すい状などに形成すればよい。
なお、上述した本実施形態では、中間成形品形成工程において、熱処理前ワーク2の一方側(図1(a)の下側)の側面10にのみ、凸状部を形成したが、凸状部は、他方側(図1(a)の上側)の側面12にのみ形成してもよいし、両側面10,12にそれぞれ形成してもよい。この場合、側面12の凸状部は、上述した側面10に形成した凸状部4a,4b,4cと同様に、任意の方法によって熱処理前ワーク2の側面12に形成することができ、例えば、熱処理前ワーク2と一体的に塑性(鍛造)加工して成形することにより、当該側面12に形成すればよい。また、例えば、熱処理前ワーク2の側面12を切削加工することにより、当該側面12に形成すればよい。
以上のように、中間成形品形成工程において、その側面10に凸状部4a,4b,4cが形成された熱処理前ワーク2には、熱処理工程において、上述したサンプル(図示しない)の事前の加熱及び冷却時と同一の条件で加熱及び冷却する熱処理が施される。これにより、熱処理前ワーク2は、焼入れされてその硬度が増すとともに、その強度(剛性)を高めることができ、軸受として組み立てられた際、ラジアル荷重やアキシアル荷重などを継続的に負荷することができる。
ここで、かかる熱処理工程において熱処理が施された中間成形品である熱処理後ワーク6は、当該熱処理中の加熱及び冷却によって、例えば、図4(a)に示すように、所定の径方向近傍を境にして、軸方向の一方側(同図における右側)へ折れ曲がるように歪んで反り変形する場合がある。
しかしながら、上述したように本実施形態において、熱処理前ワーク2が熱処理されて成る熱処理後ワーク6には、その反り変形量a2よりも大きな所定の高さ(突出高さ)a1で側面10から突出する3つの凸状部4a,4b,4cが設けられている。このため、最終成形品形成工程における両側面10,12に対する研削加工時に、当該3つの凸状部4a,4b,4cが研削砥石上で1つの平面を形成し、研削加工中、当該熱処理後ワーク6が当該研削砥石に対して平面的に支持されるため、その姿勢を安定させることができる。
最終成形品形成工程においては、熱処理後ワーク6に対し、上述したように、その両側面及び内外周面に研削加工が施されており、この場合、まず、熱処理後ワーク6の両側面10,12に対して、当該両側面10,12を研削により平坦面状にする平面加工が施された後、次いで、当該熱処理後ワーク6の内外周面14,16に対して、当該内外周面14,16を研削により真円状(真円周面状)にする真円加工が施される。
この場合、本実施形態のように軸受に用いられる軌道輪(円すいころ軸受の外輪)を大量生産する場合、一例として、両頭平面研削盤を用いて、熱処理後ワーク6の両側面10,12に対して平面加工を施すことができる。
例えば、図4(a)〜(e)に示すように、両頭平面研削盤を用いて、熱処理後ワーク6の両側面10,12に対して平面加工を施す場合、当該熱処理後ワーク6は、対向する2つの研削砥石70,72にそれぞれ接触し(同図(b),(d))、当該2つの研削砥石70,72の間に挟み込まれるように位置付けられ(同図(c))、各研削砥石70,72から当該研削砥石70,72の間の距離を狭める方向への負荷(研削負荷)を受けることで、当該両側面10,12が同時に研削される。
例えば、図4(a)〜(e)に示すように、両頭平面研削盤を用いて、熱処理後ワーク6の両側面10,12に対して平面加工を施す場合、当該熱処理後ワーク6は、対向する2つの研削砥石70,72にそれぞれ接触し(同図(b),(d))、当該2つの研削砥石70,72の間に挟み込まれるように位置付けられ(同図(c))、各研削砥石70,72から当該研削砥石70,72の間の距離を狭める方向への負荷(研削負荷)を受けることで、当該両側面10,12が同時に研削される。
かかる両側面10,12の研削時において、熱処理後ワーク6が反り変形している場合(図4(a))、2つの研削砥石70,72の間に挟み込まれるように位置付けられた当該熱処理後ワーク6は、各研削砥石70,72から研削負荷を受けると、一方側(図4(c)の左側)の側面10が、3つの凸状部4a,4b,4cで一方側(同図(c)の左側)の研削砥石72と当接する(同図(b),(c))。これに対し、当該熱処理後ワーク6の他方側(図4(c)の右側)の側面12は、反り変形の山の部分に相当する2つの接触箇所12a,12bで他方側(同図(c)の右側)の研削砥石70と当接する(同図(c),(d))。
このため、熱処理後ワーク6は、研削開始時から3つの凸状部4a,4b,4cが研削されるまでの間において、その側面10が当該3つの凸状部4a,4b,4cが研削砥石72上で形成する1つの平面によって、当該研削砥石72に対して平面的に支持され、その姿勢を安定させることができる。また、熱処理後ワーク6は、研削開始時から3つの凸状部4a,4b,4cが研削されるまでの間において、研削砥石72からの研削負荷を、その側面10が当該研削砥石72と当接する3つの凸状部4a,4b,4cで受けることができる。
なお、当該凸状部4a,4b,4cが形成された側面10の反対側(図4(c)の右側)においては、熱処理後ワーク6は、研削開始時から3つの凸状部4a,4b,4cが研削されるまでの間において、研削砥石70からの研削負荷を、その側面12が当該研削砥石70と当接する2つの接触箇所12a,12bで受けることになる。しかしながら、上述したように、熱処理後ワーク6は、研削開始時から3つの凸状部4a,4b,4cが研削されるまでの間において、その側面10が研削砥石72からの研削負荷を3つの凸状部4a,4b,4cで受けているため、その姿勢を安定させることができる。
これにより、熱処理後ワーク6の両側面10,12の研削時において、当該熱処理後ワーク6が各研削砥石70,72から受ける研削負荷によって弾性変形(反り方向とは逆方向(図4(c)の左方向)への変形)することを抑制することができ、当該熱処理後ワーク6が略弾性変形しない状態で、その両側面10,12を研削することができる。その際、熱処理後ワーク6は、研削開始時から3つの凸状部4a,4b,4cが研削されるまでの間において、一方側(図4(c)の左側)の側面10においては、当該3つの凸状部4a,4b,4cが徐々に研削され、他方側(図4(c)の右側)の側面12においては、反り変形の山の部分に相当する2つの接触箇所12a,12bが徐々に研削される。
この場合、平面加工における研削の研削取代c1(図4(c))を、凸状部4a,4b,4cの突出高さa1(同図(a))に熱処理後ワーク6の反り変形量a2(同図(a))を加えた量よりも大きな所定量に予め設定して(c1>a1+a2)、両側面10,12を研削することで、3つの凸状部4a,4b,4c及び熱処理後ワーク6の反り変形の山(2つの接触箇所12a,12b)の全てを切削により完全に除去することができる。この結果、研削による平面加工後の熱処理後ワーク6において、その両側面10,12を平面精度が極めて高い平坦面とすることができる(図4(e))。
また、各研削砥石70,72から受ける研削負荷による弾性変形を抑制した状態で両側面10,12を研削することで、当該両側面10,12に対する研削による平面加工完了時において、各研削砥石70,72から受けていた研削負荷から開放された場合における熱処理後ワーク6のスプリングバック量を極めて小さくすることができる。この結果、研削による平面加工後の熱処理後ワーク6において、その両側面10,12を、内外周面14,16に対する真円加工時の真円精度を維持する(内外周面14,16を研削により真円周面状にする)ための加工基準面として、十分な平面精度を有する平坦面とすることができる。
このように、両側面10,12が内外周面14,16に対する真円加工時の加工基準面として、十分な平面精度を有する平坦面を成した熱処理後ワーク6によれば、最終成形品形成工程において、当該熱処理後ワーク6に対し、その内外周面14,16を研削により真円状(真円周面状)にする真円加工を施した場合、当該真円加工後の内外周面14,16の真円精度を極めて高くすることができる。
すなわち、例えば、図10及び図11に示すような内外周面14,16に対する真円加工時において、熱処理後ワーク6は、一例として、十分な平面精度を有する平坦面である側面10を加工基準面とし、当該側面10を研削加工機の主軸(図示しない)に付設された基準座金(マグネットチャック)74に当該マグネットチャック74の磁力により吸着させて、その外周面14が研削されている。
このため、熱処理後ワーク6の外周面14の研削時において、当該熱処理後ワーク6がマグネットチャック74から受ける磁力によって弾性変形(反り方向とは逆方向(図4(c)の左方向)への変形)することを抑制することができ、当該熱処理後ワーク6が略弾性変形しない状態で、その外周面14を研削することができる。この結果、研削による真円加工後の熱処理後ワーク6において、その外周面14を真円精度が極めて高い円周面とすることができる。
また、マグネットチャック74から受ける磁力による弾性変形を抑制した状態で外周面14を研削することで、当該外周面14に対する研削による真円加工完了時において、当該マグネットチャック74から受けていた磁力から開放された場合における熱処理後ワーク6のスプリングバック量を極めて小さくすることができる。この結果、研削による真円加工後の熱処理後ワーク6において、その外周面14の真円精度の悪化を極めて小さく抑えることができる。
なお、例えば、マグネットチャック74の磁力が弱い場合であっても、上述したように、熱処理後ワーク6は、十分な平面精度を有する平坦面である側面10を加工基準面として、その外周面14が研削されるため、当該外周面14に対する研削による真円加工時において、当該熱処理後ワーク6が周期的(例えば、熱処理後ワーク6の回転数の2倍周期)に振動することがない。この結果、研削による真円加工後の熱処理後ワーク6において、その外周面14が楕円状となって、その真円精度が悪化してしまうこともない。
また、熱処理後ワーク6の内周面16に対して、研削による真円加工を施す場合においても、例えば、十分な平面精度を有する平坦面である側面10を加工基準面として、その内周面16を上述した外周面14の場合と同様に研削することで、真円精度が極めて高い円周面(軌道面)とすることができるとともに、当該真円加工後における真円精度の悪化を極めて小さく抑えることができる。
以上、本実施形態に係る環状部品、例えば、各種軸受の軌道輪(一例として、円すいころ軸受の外輪)の製造方法によれば、当該軸受の軌道輪の両側面を熱処理変形の影響を受けることなく常に、研削により高精度に平面加工し、当該側面を基準面として内外周面を研削により高精度に真円加工することで、当該両側面の平面精度及び当該内外周面の真円精度がそれぞれ極めて高い各種軸受の軌道輪を製造することができる。
2 熱処理前ワーク(中間成形品)
4a,4b,4c 凸状部
6 熱処理後ワーク(中間成形品)
10,12 側面
14 外周面
16 内周面
a1 凸状部高さ
4a,4b,4c 凸状部
6 熱処理後ワーク(中間成形品)
10,12 側面
14 外周面
16 内周面
a1 凸状部高さ
Claims (4)
- 環状を成す最終成形品へ加工するための中間成形品を形成する中間成形品形成工程と、当該中間成形品に対して熱処理を施す熱処理工程と、熱処理後の中間成形品の両側面及び内外周面に対して表面加工を施し、当該両側面を平面状に加工するとともに、内外周面を円周面状に加工して最終成形品を形成する最終成形品形成工程とを有する環状部品の製造方法であって、
中間成形品形成工程において、少なくとも中間成形品の一方側の側面に、当該側面から所定の高さだけ突出した凸状部が少なくとも1つ形成され、最終成形品形成工程において、中間成形品の側面に対する研削加工によって、当該凸状部の全てが完全に除去されることを特徴とする環状部品の製造方法。 - 凸状部の高さは、前記凸状部が形成された中間成形品と同一形状及び同一材質のサンプルに前記熱処理工程と同様の熱処理を施した際、当該サンプルに生じた反り変形量を予め測定し、当該反り変形量よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の環状部品の製造方法。
- 中間成形品には、複数の凸状部が所定間隔で設けられており、各凸状部は、当該中間成形品の側面に周方向に沿って所定の長さで形成されているとともに、当該側面の内径から外径に至る幅の一部若しくは全部に亘って形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状部品の製造方法。
- 凸状部は、中間成形品と一体的に鍛造加工することにより、若しくは、中間成形品の側面を切削加工することにより、当該中間成形品の側面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状部品の製造方法。
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JP2006153519A JP2007321892A (ja) | 2006-06-01 | 2006-06-01 | 環状部品の製造方法 |
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CN114749878A (zh) * | 2022-06-01 | 2022-07-15 | 大连冶金轴承股份有限公司 | 一种轴承外圈加工方法 |
-
2006
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CN114749878A (zh) * | 2022-06-01 | 2022-07-15 | 大连冶金轴承股份有限公司 | 一种轴承外圈加工方法 |
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