JP2007319877A - 積層した金属板体の端面部接合方法と、該端面部接合方法を使用した端面部接合装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層した金属板体の端面部を接合させる際、ヘム加工を省略し、車体意匠の要求する鋭利な端縁の実現と、製造コストの削減及び製品重量の軽減を図る。
【解決手段】積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aに対して、回転工具7aを回転させつつ、その側周面8に対して断面略放物線形状に設けられた接合溝9の溝底面9bを圧接した上、該端面部3a、4aに沿って移動させることで、該端面部3a、4a全体にわたり撹拌摩擦接合により接合部5を形成して一体に接合すると共に、該接合部5を断面略放物線形状である接合溝9により断面ループ形状に成形してなるものである。
【選択図】図4

Description

本願発明は、例えば自動車用クロージャー部品等の製造において、積層した金属板体の端面部を一体に接合する場合に用いられる接合方法等に関するものである。
例えば、自動車のフード、ドア、トランク等の自動車用クロージャー部品は、予めプレス成形したアウターパネルとインナーパネルとを接合して作られている。そして、そのアウターパネルとインナーパネルとの接合においては、アウターパネルの端部を折曲して、その端縁を断面ループ形状とする(いわゆる「ヘム加工」という。)と共にフランジ部を形成した上で、該アウターパネルのフランジ部によってインナーパネルを挟持した上で、溶融接合を行うのが一般的であった。
ところで、近年、上記様々な自動車用クロージャー部品においては、車体意匠面から鋭利な端縁の形成が要求されている。そのため、予めプレス成形したアウターパネルとインナーパネルとを接合する際に、従来のように該アウターパネルの端部において、インナーパネルを挟持するために必要となるフランジ部を形成すべくヘム加工を施すと、次のような問題点が生じるものである。
即ち、アウターパネルの端部に対するヘム加工の際、鋭利な端縁の形成のためにその折曲をきつくすると、折曲したアウターパネルの断面ループ形状の端縁の表面に割れが生じ易くなってしまうことである。
また上記のように、プレス成形によるアウターパネルとインナーパネルを一体に接合する際に、アウターパネルの端部にヘム加工を施すことは、アウターパネルの端部を折曲して形成するフランジ部だけ余分に部材が必要となり、製造コストの上昇や製品の重量の増加につながるものでもある。
そのため、上記車体意匠面、製造コストの低減や製品の軽量化等の要求に応えるべく、自動車用クロージャー部品における新たな接合方法が模索されていたところ、近年、例えばアルミニウム合金材の新しい接合技術として、摩擦撹拌接合法が知られるようになってきた。即ち、摩擦撹拌接合法は、ツールと呼ばれる硬質の回転工具を回転させながら、その回転工具の素材よりも軟質の金属、例えばアルミニウム合金材等の積層した端面部に圧接することによって、摩擦発熱と共に、塑性流動を起こさせることでその端面部の接合を行う固相接合法の一種である。しかも、この摩擦撹拌接合法は接合部における変形も少なく、機械的性質も良好などの長所を多く有しているものである。そのため、この摩擦撹拌接合法によるアルミニウム合金材の接合が広く自動車用クロージャー部品等の製造分野に適用され始めている。
しかしながら、その新しい摩擦攪拌接合法を使用してプレス成形によるアウターパネルとインナーパネルを一体に接合しても、その接合された端面部は断面ループ形状となるわけではなく、前述のように鋭利な端縁を形成するためには、改めて端面部を断面ループ形状に加工しなければならないという欠点があった。
特開2001−259863
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、摩擦撹拌接合法による接合と同時に端面を鋭利な断面ループ形状に成形し、例えば自動車用クロージャー部品に対して車体意匠の面から要求される鋭利な端縁の実現と共に、製造コストの上昇や製品の重量増加を阻止するものである。
上記課題を解決するため、本願発明においては、積層して揃えた金属板体の各端面部の接合に、該金属板体よりも硬質の素材による回転工具の回転によって上記摩擦撹拌接合法を用い、接合と同時に成形をも行おうとするものである。
具体的には、第1の特徴として、該回転工具は、金属板体に対して相対的に硬質の素材よりなるものであって、円筒体の側周面全体にわたり内径方向に凹陥し、断面略放物線形状であって、軸方向に対向する外周面とそれらに連続する溝底面からなる接合溝を周設してなり、
積層した金属板体を押さえ治具により固持した上、
前記回転工具を回転させつつ、端面部の垂直方向より端面部に対して接合溝を圧接した上、端面部に沿って移動させることで、回転工具の接合溝と端面部との間で摩擦発熱を起こすとともに端面部で塑性流動を生じさせ、端面部全体にわたり接合部を形成することにより一体に接合すると共に、該接合部を断面ループ形状に成形してなるものである。
そのため、上記第1の特徴を有する本願発明においては、積層した金属板体の端面部に対して垂直方向から、回転する回転工具の接合溝を圧接することで、端面部では摩擦により発熱すると共に塑性流動が起こり摩擦撹拌接合が行われて接合部が形成され、該端面部は一体に接合されることとなる。このとき、金属板体の端面部において摩擦撹拌接合により接合部を形成する回転工具に周設される接合溝は、断面略放物線形状となっているので、該端面部の摩擦撹拌接合と同時に、端面部に形成されることとなる接合部を断面ループ形状に成形することとなる。
従って、該端面部に形成される接合部は、接合部の変形が少なく、また機械的性質、特に疲労特性に優れたものとなり、車体意匠の要求する鋭利な端縁を容易に実現すると共に、ヘム加工によるフランジ部に相当する部材が不要となり、製造コストの低減及び製品の軽量化を図ることができる。
更に、該接合溝が断面略放物線形状となっていることで、摩擦撹拌接合により端面部において接合部が形成される際に発生する金属板体のバリが、断面ループ形状に成形される該接合部自体に吸収されることから、端面部に形成される接合部は平滑な断面ループ形状となる。
また、積層した金属板体の端面部に対して、上記回転工具の接合溝を押し付けることで摩擦撹拌接合を行うので、シャーによる切断精度の誤差により、該金属板体の端面が反り返ってしまっていたり、斜めになってしまっていても、接合溝内の上下の外周面及び溝底面からの圧力によって、自動的に該端面部の隙間を無くして突き合わせられるので、確実に摩擦撹拌接合を行うことができる。
そして、積層した金属板体の端面部に対する回転工具の圧接時の圧力を高くすることで、回転工具の接合溝内で端面部を押し潰しながら摩擦撹拌接合することができるので、該端面部が不揃いであっても、該端面部において接合部を形成して接合することができるものである。なお、この場合には、押し潰されることとなる端面部近傍の大きさを考慮して、積層する金属板体を予め大きめに成型する必要がある。
その上、例えば差厚テーラードブランク材と平板状の部材とを積層して、該端面部を回転工具により接合する際にも、端面部を押し潰しつつ摩擦撹拌接合を行うので、部材に厚さがある部分では回転工具を弱く圧接して端面部の変形量を小さくし、薄い部分では強く圧接することで端縁部の変形量を大きくすることにより、該端面部全体の形状がほぼ一定形状となり、端面部において段差のない接合部を形成することができる。
更に、積層する金属板体として、アルミニウム合金同士というような同種金属板体だけでなく、アルミニウム合金とメッキ鋼板等のように硬さの異なる異種金属板体においても、その端面部を押し潰しながら摩擦撹拌接合して一体に接合できるので、様々な製品の製造に適用できるものとなる。すなわち、軟質材と硬質材とを積層してそれらの端面部を接合する場合、回転工具は、硬質材と同等かそれ以上の硬さのものを用い、軟質材の端面部を硬質材の端面部より突き出す(例えば、軟質材及び硬質材の各々1mmの板厚であれば、該軟質材の端面部を1〜2mm突き出す)ようにして、該回転工具で軟質材の突き出した端面部を塑性流動させ、塑性流動された軟質材を硬質材に被せるようにして接合すればよい。
第2の特徴として、該回転工具は、金属板体に対して相対的に硬質の素材よりなるものであって、逆円錐台形状の筒状体の側周面全体にわたり内径方向に凹陥し、溝底面が曲面であり、該溝底面の筒状体の径大部側には、該溝底面から連なる垂直壁部を有するとともに、筒状体の径小部側には、該溝底面から連なる断面S字状の誘導曲面部を有するものであって、且つ該誘導曲面部の頂部と該溝底面の最深部との筒状体の内径方向の距離を、積層した金属板体の厚さ以下としてなる変形接合溝を周設してなり、
積層した金属板体を押さえ治具により固持した上、
前記回転工具を回転させつつ、端面部の垂直方向より端面部に対して該変形接合溝を圧接した上、端面部に沿って移動させることで、回転工具の該変形接合溝と端面部との間で摩擦発熱を起こさせるとともに該端面部で塑性流動を生じさせ、該端面部全体にわたり接合部を形成することにより一体に接合すると共に、該接合部を断面ループ形状に成形し、それと同時に、断面ループ形状となる接合部を形成する端面部を誘導曲面部側に向けて湾曲するように成形してなるものである。
そのため上記第2の特徴を有する本願発明においては、上記第1の特徴と同様に、端面部では摩擦により発熱すると共に塑性流動が起こり、摩擦撹拌接合が行われて接合部が形成され、端面部が一体に接合されるとともに、同時に該接合部が断面ループ形状に成形されることとなる。
その上、特に上記第2の特徴を有する本願発明においては、端面部に対する摩擦撹拌接合により接合部を形成すると共に、該端面部に形成される接合部を断面ループ形状に成形した上、更に該接合部が誘導曲面部側に湾曲した形状となるように成形されるものとなる。
従って、該端面部において接合部の形成と共に該接合部を断面ループ形状に成形し、更にそれと同時に、一方方向に向けて湾曲形状となるよう成形されるため、製品の製造工程における成形作業を省略化し、製造コストの削減及び製造作業における作業性を向上させることができる。
第3の特徴として、該回転工具は、金属板体に対して相対的に硬質の素材よりなるものであって、円筒体の側周面全体にわたり円筒体の側周面と一方の平坦面からなる角部が内径方向に凹陥し、積層した金属板体の上下面垂直方向に一対として配置した際に、該平坦面側より断面U字形状部を形成し、且つ、積層した金属板体を該断面U字形状部に挟持した際には、該一対の回転工具が相互に干渉しないだけの幅を有し、各々の該回転工具が、断面半U字形状の接合湾曲部を周設してなるとともに、
積層した金属板体の端面部に向けて互いの接合湾曲部が対向するように、該金属板体の上、下面部垂直方向に一対として配置し、
該一対の回転工具を回転させつつ両接合湾曲部により、積層した金属板体の端面部近傍を圧接、挟持し、端面部に沿って移動させることによって、一対の回転工具の両接合湾曲部と端面部との間で摩擦発熱を起こさせるとともに端面部で塑性流動を生じさせ、端面部全体にわたり接合部を形成することにより一体に接合すると共に、該接合部を断面ループ形状に成形してなるものである。
そのため、上記第3の特徴を有する本願発明においては、上記第1及び第2の特徴と同様に、端面部では摩擦により発熱すると共に塑性流動が起こり、摩擦撹拌接合が行われて接合部が形成され、端面部が一体に接合されるとともに、同時に該接合部が断面ループ形状に成形されることとなるが、その際、前記第1及び第2の特徴とは異なり、一対の回転工具自体が積層する金属板体を固持する押さえ治具をも兼用しており、該治具を不要とするものである。
そのため、上記第3の特徴を有する本願発明では、例えば、積層した金属板体の下面側にフランジ部などの突起物が形成されていても、確実に該端面部に接合部を形成して接合することができるものである。
第4の特徴として、上記第1乃至第3の特徴を踏まえて、上記回転工具によって形成される断面ループ形状の接合部に対して、更に仕上げ用回転工具によって加工してなるものである。
そのため、本願発明は、上記積層した金属板体の端面部接合方法により該端面部に断面ループ形状の接合部を形成した上、例えば同形状又は他形状の仕上げ用回転工具により加工することで、端面部全体にわたり湾曲させたり、該端面部の表面を一層平滑に仕上げることができる。
第5の特徴として、上記第1乃至第4の特徴を踏まえて、上記積層した金属板体の端面部に対する回転工具の回転を、該回転工具の移動方向に対して同方向に回転する順回転、又は該回転工具の移動方向に対して逆方向に回転する逆回転としてなるものである。
即ち、第5の特徴を有する本願発明は、上記積層した金属板体の端面部に対する回転工具の回転を、該回転工具の移動方向に対して同方向に回転する順回転、又は該回転工具の移動方向に対して逆方向に回転する逆回転とすることで、該回転工具と端面部との間で摩擦発熱が起こり、端面部における塑性流動が十分に発生して摩擦撹拌接合がおこなわれるものとなる。このとき、回転工具が該端面部に対して逆回転とすると、端面部との摩擦が大きくなるため摩擦熱が効率よく発生するのでより好適である。
第6の特徴として、上記第1乃至第5の特徴を踏まえて、上記積層した金属板体の対面部に対する回転工具の順回転又は逆回転の回転速度及び移動速度を、該回転工具の回転が順回転の場合における回転速度R=移動速度V/(回転工具直径L×π)を除き、回転速度1〜35000rpmに対して移動速度を1〜1000m/分としてなるものである。
即ち、第6の特徴を有する本願発明は、回転工具の回転方向により、回転速度及び回転方向は、該回転工具と端面部との間で起こる摩擦発熱のより適宜設定されるものである。そのため、回転工具が順回転又は逆回転する場合、その回転速度は10〜35000rpmであって、その移動速度も1〜1000m/分であるものが、効率よく摩擦発熱を発生させるため好適である。但し、回転工具が順回転する場合、回転速度R=移動速度V/(回転工具直径L×π)の場合、回転工具と端面部との間での摩擦が極めて小さくなるので、効率よく摩擦発熱を起こすことができず、摩擦撹拌接合を行えないものである。
第7の特徴として、上記第1乃至第6の特徴を踏まえて、上記接合部を形成することとなる端面部を、予め加熱してなるものである。
即ち、第6の特徴を有する本願発明は、上記積層した金属板体の端面部を、例えば圧着式ヒーター、赤外線ヒーター、レーザ、アーク又は抵抗加熱等の加熱手段によって予め加熱するものである。これによって、該端面部における回転工具との間で発生する摩擦発熱が補われ、塑性流動が容易に発生することになるので、該端面部での摩擦撹拌接合が効率よく行なわれ、該端面部において接合部を形成して一体に確実に接合することができると共に、該接合部を断面ループ形状とする成形をも容易に行えるものである。
第8の特徴として、上記第1乃至第7の特徴を踏まえて、積層した金属板体の端面部接合方法を実施する装置であって、該積層した金属板体の端面部に圧接し、移動してなる回転工具を単数又は複数有するものとしてなるものである。
即ち、積層した金属板体の端面部を摩擦撹拌接合する回転工具を、単数又は複数有するものとすることで、端面部において摩擦撹拌接合により接合部を形成して一体に接合すると共に断面ループ形状に成形してなるので、例えば自動車用クロージャー部品の製造を効率よく行うことができる。
第9の特徴として、上記第8の特徴を踏まえて、単数又は複数の回転工具において、該回転工具の接合溝、変形接合溝あるいは接合湾曲部に付着した凝集金属片を除去するためのブラシ又はヘラ等のドレッシング装置を有するものである。
即ち、第9の特徴を有する本願発明は、上記積層した金属板体の端面部接合方法を実施する装置において、該装置を連続して運転することで、回転工具の表面に摩擦撹拌接合による凝集金属片が付着しても、各々の回転工具に設置されたブラシ又はへら等のドレッシング装置により、付着した該凝集金属片が除去され、回転工具の表面は常に清浄に保たれることとなるので、端面部に形成される接合部が常に均一に形成され、該接合部に対する断面ループ形状の成形も常に正確に行うことができるものである。
本願発明により、積層した金属板体の端面部を、効率よく正確に摩擦撹拌接合によって接合部を形成して一体に接合すると共に、該接合部を同時に断面ループ形状に成形できるようになるので、従来の摩擦攪拌接合方法によるよりも、例えば車体意匠において要求される鋭利な端縁を一工程で実現でき、また、従来行われていた溶融接合方法を使用する場合には、ヘム加工により形成されるフランジ部がその前提として不可欠となるが、そのフランジ部に相当する部材を省略できるので、いずれの方法に比較しても、製造コストの削減及び製品の軽量化を可能にすることができる優れた効果を有するものである。
以下において、本願発明の実施例である積層した金属板体の端面部接合装置(以下、「端面部接合装置」という。)について、図1乃至図11に基いて説明する。
なお、これらの実施例は、本願発明の好ましい一実施態様を説明するためのものであって、これらにより本願発明が制限されるものでない。
図1における模式的に示された端面部接合装置1aは、プレスにより成形されたアウターパネル3とインナーパネル4とをその平面部3b、4bを重ねて積層し、その両端面部3a、4aの位置を揃えた上で、その両パネル3,4の端面部3a、4a近傍において、回転工具7の移動に追随して移動しつつ両パネルを固定する、上下方向からの押さえ治具である押さえローラー6a、6bにより両パネル3,4を押さえ、回転工具7aを回転させつつ端面部3a、4aに圧接し、更に、該端面部3a、4a全体にわたり移動させて、順次その端面部3a、4aにおいて摩擦撹拌接合を生ぜしめて接合部5を形成して一体に接合すると共に、該接合部5を断面ループ形状に成形する装置であって、該両パネル3,4はその接合により、自動車用クロージャー部品の一つであるフード2としてなるものである。
即ち、該アウターパネル3とインナーパネル4とを積層した上、その位置を整えたアウターパネル3の端面部3aとインナーパネル4の端面部4aに対して、該端面部3a、4aの近傍を押さえローラー6a、6bにより該積層するアウターパネル3とインナーパネル4の上下面方向から固持する共に、その端面部3a、4aに対して回転工具7を回転させつつその接合溝9を圧接し、更に移動させるものである(図1参照)。そして該回転工具7aの移動に伴い、押さえローラー6a、6bも端面部3a、4a近傍を押さえつつ、回転工具7aの位置に追随して移動する。その結果、該端面部3a、4aにおいて摩擦発熱及び塑性流動が起こり、摩擦撹拌接合によって該端面部3a、4aに接合部5が形成されて一体に接合される。そして、この接合部5の形成に伴って、該接合部5は、断面略放物線形状である接合溝9の溝底面9bの形状に合わせて、同時に断面ループ形状に成形される。(図4参照)。
なお、上記回転工具7aによるアウターパネル3の端面部3aとインナーパネル4の端面部4aに対する摩擦撹拌接合において、塑性流動を容易に起こさせるように、接合する該端面部3a、4aを、前述の、例えば圧着式ヒーター、赤外線ヒーター、レーザ、アーク又は抵抗加熱等の加熱手段によって予め加熱しておいても良い。
また、上記端面部接合装置1aは、各回転工具7aに対して、各々ブラシ又はへら等のドレッシング装置11(図11参照。)を有するものとし、これらを定期的に作動させてなるものである。
その結果、該端面部接合装置1を連続して運転した際に、積層された端面部3a、4aを撹拌することで生じる金属凝集片12が回転工具7a、特にその接合溝9の表面に付着しても、ブラシ又はへら等のドレッシング装置により、該付着した凝集金属片12が除去されるので、回転工具7aの表面は常に清浄に保たれ、端面部3a、4aに形成される断面ループ形状の接合部5の成形が正確に行われるものとなる。
図3は、本願発明の実施例1である端面部接合装置1aにおける回転工具7a及び押さえローラー6a、6bの設置状況を示す要部拡大模式図である。該端面部接合装置1aは、回転工具7aの回転により、積層されたアウターパネル3の端面部3aおよびインナーパネル4の端面部4aにおいて摩擦撹拌接合による接合部5を形成し、該アウターパネル3とインナーパネル4とを一体に接合すると共に、該接合部5を断面ループ形状に成形してなるものである。
ここで、該端面部接合装置1aにおいて使用される回転工具7aは、接合されるアルミニウム合金板体の両パネル3,4よりも硬質の鋼製であり、円筒体の側周面8全体にわたり内径方向に凹陥し、断面略放射線形状であって、該円筒体の軸方向に対向する外周面9a、9aとそれに連続する溝底面9bからなる接合溝9を周設してなるものであって、全体としては略鼓状となっている。
また、押さえ治具は、その両パネル3,4の上、下面部3b、4bに平行な水平の軸により、それぞれ回転かつ移動自在となる押さえローラー6a、6bとなっていることから、両パネル3,4をその端面部3a、4a近傍において上下方向から挟持しつつ、回転工具7aが両パネル3,4の端面部3a、4aに圧接されつつ回転して移動して行くのに追随して、両パネル3,4の端面部3a、4a近傍を移動することができる。なお、押さえローラー6a、6bによって両パネルを挟持した際に、アウターパネル3側において疵がつかないように、上側の押さえローラー6aは樹脂製によるものとした。
そのため、図4(イ)〜(ニ)において示すように、積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aを一体に接合するにあたっては、先ず、端面部3a、4aの位置を揃えた上、その端面部3a、4aの近傍を上下方向から押さえローラー6a、6bにより挟持して固定する。そして該端面部3a、4aに対して、その垂直方向から、回転工具7aをその回転軸7a’を中心として回転させつつ圧接することによって、その圧接箇所で摩擦撹拌接合を行い、接合部5を形成する。更に、その回転する回転工具7aを端面部3a、4aに沿って移動させることによって、端面部3a、4aのその回転工具7aの移動跡を接合部5に形成して、両パネル3,4を一体に接合する。このように、端面部3a、4aにおいて接合部5を形成すると同時に、断面略放物線形状である該接合溝9の形状に合わせて、接合部5を断面ループ形状に成形してなるものである。
尚、押さえローラー6a、6bは、回転工具7aが端面部3a、4aに沿って移動するに従って、その積層した両パネル3,4がずれることのないよう、回転工具7aの移動に追随して移動する。
そこで、実際に本願発明の効果について検討した。即ち、厚さ1.0mmの6016−T4と呼ばれるアルミニウム合金板体を2種類の金型でプレス成形し、各々自動車のフード2を構成するアウターパネル3とインナーパネル4とに想定して同形状に切断し、積層した。なお、切断したアウターパネル3の端面部3a及びインナーパネル4の端面部4aは、撹拌摩擦接合によって塑性流動した金属が欠損する量を見込んで、製品寸法より片側で1mm大きくした。
そして、積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aより約10mmの所を、押さえ治具である押さえローラー6a、6bによりアウターパネル3及びインナーパネル4の上下面方向からそれぞれ荷重1kNで挟んで固持するものである。
なお、上述のように回転工具7aは略鼓状のものであって、具体的には、直径80mm、厚さ10mmの鋼製であって、その側周面8に周設される接合溝9は、開口部9cの幅Lが5mm、溝底面9bの幅Mが2mm、開口部9cから溝底面9bまでの深さNが5mmとなっているものである。
以上により、積層するアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aに対して、上記回転工具7aを1500rpmで回転させつつ、該回転工具7aの接合溝9内の溝底面9bを荷重10kNで圧接させながら、更に該回転工具7aを端面部3a、4aに沿って10m/分の速度で移動させた。その結果、該端面部3a、4aにおいて摩擦発熱及び塑性流動を起こさせながら摩擦撹拌接合を行い、厚さ2mmの接合部5が形成されて、アウターパネル3とインナーパネル4は一体に接合された。そして該接合部5は、回転工具7aにおける断面略放物線形状である接合溝9内の溝底面9bに対して押し付けられて変形し、その形成と同時に断面ループ形状に成形された。
そこで、この端面部3a、4aに形成された接合部5に対して、その接合状態を確認したところ、割れや漏れはなかった。また、接合部5を2枚の板を開くように曲げ試験をしたところ、接合部5は開かず、近傍が曲がっただけであり、従って、本願発明の効果が確認された。
図5に示すものは、本願発明の実施例2である端面部接合装置1bにおける回転工具7b及び押さえローラー6a、6bの設置状況を示す、要部拡大模式図である。該接合装置1bは、回転工具7bにより、フード2を構成するアウターパネル3およびインナーパネル4の端面部3a、4aにおいて摩擦撹拌接合による接合部5’を形成して一体に接合すると共に、該接合部5’を断面ループ形状に成形し、更にそれと同時に該端面部3a、4aにおいて形成される接合部5’全体を下方に向けて湾曲するように二次成形をも行うものである。
上記端面部接合装置1bにおいて使用する回転工具7bは、第1実施例の場合と同様にアルミニウム合金の両パネル3,4よりも硬質である鋼製であり、逆円錐台形状の筒状体の側周面8’全体にわたり内径方向へ凹陥した変形接合溝9’が形成されている。そして該変形接合溝9’は、その溝底面9b’が曲面となり、筒状体を形成している径大部側(図5における上側)には垂直壁部9’aが連なるとともに、径小部側(図5における下側)には断面S字状となる誘導曲面部9’bが連なっている。更に、この誘導曲面部9’bの頂部と溝底面9b’の最深部との筒状体内径方向の距離Pは、積層した両パネル3,4の厚さQよりも小さく設定されている。尚、前記垂直壁部9’aは、筒状体の側周面8’にまで至っていてもよいが、本実施例では両パネル3,4の端面部3a、4aとの位置決めが容易なように、垂直壁部9’aは中間までで、それ以後は側周面8’側に対して開口する方向への傾斜面となっている。
図6(イ)〜(ニ)において示すように、積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aを一体に接合するにあたっては、該端面部3a、4a近傍を上下面方向から移動自在の押さえ治具である押さえローラー6a、6bにより挟んで固持した上、該端面部3a、4aに対して、回転工具7bの変形接合溝9’を回転軸7b’を中心に回転させつつ、該端面部3a、4aの垂直方向から圧接し、更に該端面部3a、4aに沿って移動させることとなる。これによって両パネル3,4の端面部3a、4aにおいて摩擦撹拌接合が生じ、接合部5’を形成して両パネル3,4を一体に接合すると共に、該接合部5’を断面ループ形状に成形してなるものである。しかも、該端面部3a、4aは、回転工具7bの垂直壁部9’a側から強く圧力を受ける上、積層した両パネル3、4の厚さQが、誘導曲面部9’bの頂部と溝底面9b’の最深部との筒状体内径方向の距離Pよりも大きいため、該接合部5’は変形接合溝9’の誘導曲面部9’bを乗り越えるように湾曲して変形するものとなる。すなわち、図6(ニ)に示すように、接合部5’は下方に向けて湾曲するように二次成形されるものとなる。
即ち、積層するアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aを摩擦撹拌接合により接合部5’に形成して一体に接合すると共に、該接合部5’を断面ループ形状に成形し、更には該接合部5’を下方に向けて湾曲するように二次成形することが同時に行えるものである。
なお、押さえローラー6a、6bは実施例1の場合と同様に、回転工具7bの端面部3a、4aに沿った移動に追随して、移動するようになっている。
そこで、実際に本願発明の効果について検討した。すなわち、実施例1における効果検討と同様の素材並びに方法において、使用する回転工具を実施例2における回転工具7bとして実施した。その際、その変形接合溝9’における溝底面9b’の幅を2mm、誘導曲面部9’bの頂部と溝底面9b’の最深部との筒状体内径方向の距離Pを1mmとした。その結果、該端面部3a、4aにおいて摩擦発熱及び塑性流動を起こさせながら摩擦撹拌接合を行い、厚さ2mmの接合部5’が形成されて、アウターパネル3とインナーパネル4は一体に接合された。そして該接合部5’は、回転工具7bにおける変形接合溝9’によって、断面ループ形状に成形されるとともに、下方に湾曲した形状となった。
そこで、この端面部3a、4aに形成された湾曲した接合部5’に対して、その接合状態を確認したところ、割れや漏れはなかった。また、接合部5’を2枚の板を開くように曲げ試験をしたところ、接合部5’は開かず、近傍が曲がっただけであり、従って、本願発明の効果が確認された。
図7に示すものは、本願発明の実施例3である端面部接合装置1cの要部拡大図であり、図8(イ)〜(ニ)において示すのは、該端面部接合装置1cの使用状況を示す模式図である。該接合装置1cに使用される回転工具7cは、実施例1及び実施例2の場合と同様、接合されるアルミニウム合金板体の両パネル3,4よりも硬質の鋼製であり、円筒体の側周面8”全体にわたって、円筒体の側周面8”と一方の平坦面からなる角部が内径方向に凹陥した接合湾曲部9”が設けられており、該接合湾曲部9”同士が相互に対向して、該平坦面側より断面U字形状部10を形成するように一対として使用される。すなわち、該接合湾曲部9”は、積層した金属板体3,4の平面部3b、4bの垂直方向、すなわち図7における上下方向に該回転工具7cが一対として設置された際に、相互に対向して、一方の平坦面側より断面U字形状部10を形成する平面部9”aと湾曲部9”bとからなっている。この断面U字形状部10は、図8の(ロ)(ハ)の図にもあるとおり、積層した金属板体3,4側に開口して、その上、下面部3b、4bを上下方向から挟持するものであるので、その接合湾曲部9”の相互に対向する平面部9”aは、各金属板体3,4の上、下部3b、4bと平行となっている。
また、その一対の回転工具7cの接合湾曲部9”、9”によって金属板体3,4が挟持された際、その両回転工具7b、7bが最接近する位置においても、相互に接触、干渉しないように、該両接合湾曲部9”、9”によって形成された断面U字形状部10の幅が設定されている。
そして、本願発明の実施例3である端面部接合装置1cにおいては、一対の回転工具7c、7cが、フード2を構成することとなる積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aに向けて互いの接合湾曲部9”、9”が対向するように、両パネル3,4の平面部3b、4bにそれぞれ平行な回転軸7c’をもって回転且つ、移動自在に保持されることから、先ず、該一対の回転工具7c、7cの接合湾曲部9”、9”を構成する平面部9”a、9”aが、端面部3a、4aの極近傍を上下方向から圧接して挟持すると共に、同時に回転工具7c、7cが回転しつつ端面部3a、4a方向へも圧接し、更に該端面3a、4aに沿って移動することとなる。これによって、積層した両パネル3,4は一対の回転工具7c、7cの回転及び移動に伴ってその積層位置がズレることなく、端面部3a、4aにおいて回転工具7c、7cの湾曲部9”b、9”bによって摩擦撹拌接合が生じ、接合部5”を形成して、積層した両パネル3,4の端面部3a、4aを一体に接合すると共に、該接合部5”を断面ループ形状に成形してなるものである。
以上のように、該端面部接合装置1cにおいては、一対の回転工具7c、7cの使用に当たって、該回転工具7c、7c自体が押さえ治具を兼用していることから、その両パネル3,4を上下方向から圧接して挟持するに際しても、両パネル3,4の端面部3a、3bの極近傍において挟持することとなる。そのため、積層したアウターパネル3とインナーパネル4において、インナーパネル4側にフランジ等が突設されていても、該回転工具7c、7cとフランジ等とは干渉することがなく、確実に端面部3a、4aにおいて摩擦撹拌接合を行い接合部5”を形成することで一体に接合し、該接合部5”を断面ループ形状に成形することができる。
そこで、実際に本願発明の効果について検討した。即ち、厚さ1.0mmの6016−T4と呼ばれるアルミニウム合金板体を2種類の金型でプレス成形し、それぞれ自動車のフードのアウター材とインナー材とを想定して同形状に切断し積層した。なお、アウターパネル3の端面部3a及びインナーパネル4の端面部4aは、撹拌摩擦接合によって塑性流動した金属が欠損する量を見込んで、製品寸法より片側で1mm大きくするものとした。
以上により、積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4a極近傍を、その回転工具7c、7cの接合湾曲部9”、9”を構成する平面部9”a、9”aが上下方向からそれぞれ荷重1kNで圧接して挟持しつつ、回転工具7c、7cを1500rpmで回転させながら、その接合湾曲部9”、9”を構成する湾曲部9”b、9”bを該端面部3a、4aに対して荷重10kNで圧接させた。そして更に、該回転工具7c、7cを10m/分の速度で該端面部3a、4aに沿って移動させ、摩擦発熱及び塑性流動を起こさせて摩擦撹拌接合を行った。この結果、該端面部3a、4aにおいては、断面ループ状の接合部5”が形成されたため、積層したアウターパネル3とインナーパネル4を一体に接合することができた。
そこで、上記アウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aに形成された接合部5”について、その接合状態を確認したところ、該接合部5”は端面部3a、4bの全長に渡り形成され、その接合部5”の断面形状は厚さ2mmの断面ループ状に成形されており、割れや漏れはなかった。また、接合部5”を2枚の板を開くように曲げ試験したところ、接合部は開かず、近傍が曲がっただけであった。従って、本願発明の効果が確認された。
ところで、上記実施例1及び実施例3において示すように、積層したアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aにおいて形成されるループ形状の接合部5、5”については、そのままの状態で使用されることもあるが、例えば自動車用クロージャー部品において開閉時の安全性を確保するために該端面部3a、4a全体を一方方向に向けて湾曲するように二次成形することが必要になる場合がある(図9、図10参照)。そのため、該接合部5、5”全体を湾曲するように二次成形する場合には、図9、図10において示すようするものである。
まず、図9において示す場合は、実施例1の場合と同形状の回転工具7aを使用して、接合、成形及び二次成形をも行おうとするものである。即ち、まず、回転工具7aにより、積層するアウターパネル3とインナーパネル4の端面部3a、4aにおいて摩擦撹拌接合を行うことで接合部5を形成して一体に接合すると共に、該接合部5を断面ループ形状に成形する〔図4(イ)〜(ニ)参照〕。その上で、同形状の回転工具7aにおける接合溝9の上側の外周面9aを、その断面ループ形状に形成された接合部5に対して回転させながら押し付けることにより、端面部3a、4a全体が下方に向けて湾曲するように二次成形されるものである〔図9(イ)〜(ハ)参照〕。
この本願発明の効果について検討するため、実施例1によって得られた、その端面部3a、4aを断面ループ状に形成された接合部5としてなる両パネル3,4を使用し、該両パネル3、4の端面部3a、4aより約10mmの所を、押さえ治具である押さえローラー6a、6bにより上下面方向からそれぞれ荷重1kNで挟んで固持した上、該接合部5に対して、実施例1に使用した回転工具7aと同形状である仕上げ用の回転工具7a(ただし、溝底面9bの幅Mは1mm)を回転数3500rpmで回転させながら、その側周面8に周設する接合溝9の上側の内周面9a部分を荷重3kNで圧接し、更に該接合部5に沿って10m/分の速度で移動させることにより、該端面部3a、4aに形成されていた接合部5を、下方に向けて湾曲するよう二次成形することができた。
そこで、上述のように二次成形された接合部5における接合状態を確認したところ、該接合部5は端面部3a、4aの全体にわたって厚さ2mmの断面ループ状に形成されており、割れや漏れはなかった。また、接合部を2枚の板を開くように曲げ試験したところ、接合部は開かず、近傍が曲がっただけであった。従って、本願発明に効果は認められた。
また、図10(イ)〜(ハ)において示すように、実施例1で使用した回転工具7aによって両パネル3,4の端面部3a、4aに接合部5を形成した上、実施例3に示す回転工具7cを使用して二次成形を行ってもよい。
即ち、その両パネル3,4の端面部3a、4aに形成された接合部5に対して、3500rpmで回転する該回転工具7cの変形接合溝9”を荷重3kNで圧接し、更に、その接合部5に沿って5m/分の速度で移動させることにより、該端面部3a、4aに形成されていた接合部5を、下方に向けて湾曲するよう二次成形することができる。
そして、上述のように二次成形された接合部5における接合状態を確認したところ、該接合部5は端面部3a、4aの全体にわたって厚さ2mmの断面ループ状に形成されており、割れや漏れはなかった。また、接合部を2枚の板を開くように曲げ試験したところ、接合部は開かず、近傍が曲がっただけであった。従って、本願発明に効果は認められた。
本願発明の複数積層する金属板体の端面部接合方法により、ヘム加工を不要とすることができる上、摩擦攪拌接合した接合部を同時に断面ループ形状に、更には該接合部を一方方向へ湾曲する加工を施し、あるいは表面仕上げ加工を施すことができるので、自動車用クロージャー部品のみならず、積層するあらゆる金属板体の端面部接合時に適用することができる。
本願発明の実施例である端面部接合装置を模式的に示した斜視図である。 本願発明の実施例である各端面部接合装置に使用する回転工具の側面図である。 本願発明の実施例1である端面部接合装置の要部を模式的に示す側面図である。 本願発明の実施例1である端面部接合装置の作動状態を模式的に示す図である。 本願発明の実施例2である端面部接合装置の要部を模式的に示す側面図である。 本願発明の実施例2である端面部接合装置の作動状態を模式的に示す図である。 本願発明の実施例3である端面部接合装置の要部を模式的に示す側面図である。 本願発明の実施例3である端面部接合装置の作動状態を模式的に示す図である。 本願発明の実施例4である端面部接合装置の作動状態を模式的に示す図である。 本願発明の実施例4の変形例である端面部接合装置の作動状態を模式的に示す図である。 本願発明の実施例であるドレッシング装置を有する端面部接合装置を模式的に示した斜視図である。
符号の説明
1a、1b、1c 端面部接合装置
2 フード
3 アウターパネル
3a (アウターパネルの)端面部
3b (アウターパネルの)上面部
4 インナーパネル
4a (インナーパネルの)端面部
4b (インナーパネルの)下面部
5、5’、5” 接合部
6a、6b 押さえローラー
7a、7b、7c 回転工具
7a’、7b’、7c’ 回転軸
8、8’、8” 側周面
9 接合溝
9a 外周面
9b、9b’ 溝底面
9c 開口部
9’ 変形接合溝
9’a (変形接合溝の)垂直壁部
9’b (変形接合溝の)誘導曲面部
9” 接合湾曲部
9”a (接合湾曲部の)平面部
9”b (接合湾曲部の)湾曲部
10 断面U字形状部
11 ドレッシング装置
12 凝集金属片

Claims (9)

  1. 回転工具によって、積層して揃えた金属板体の各端面部を一体に接合する方法であって、
    該回転工具は、金属板体に対して相対的に硬質の素材よりなるものであって、円筒体の側周面全体にわたり内径方向に凹陥し、断面略放物線形状であって、軸方向に対向する外周面とそれらに連続する溝底面からなる接合溝を周設してなり、
    積層した金属板体を押さえ治具により固持した上、
    前記回転工具を回転させつつ、端面部の垂直方向より端面部に対して接合溝を圧接した上、端面部に沿って移動させることで、回転工具の接合溝と端面部との間で摩擦発熱を起こすとともに端面部で塑性流動を生じさせ、端面部全体にわたり接合部を形成することにより一体に接合すると共に、該接合部を断面ループ形状に成形してなることを特徴とする、積層した金属板体の端面部接合方法。
  2. 回転工具によって、積層して揃えた金属板体の各端面部を一体に接合する方法であって、
    該回転工具は、金属板体に対して相対的に硬質の素材よりなるものであって、逆円錐台形状の筒状体の側周面全体にわたり内径方向に凹陥し、溝底面が曲面であり、該溝底面の筒状体の径大部側には、溝底面から連なる垂直壁部を有するとともに、筒状体の径小部側には、溝底面から連なる断面S字状の誘導曲面部を有するものであって、且つ該誘導曲面部の頂部と該溝底面の最深部との筒状体の内径方向の距離を、積層した金属板体の厚さ以下としてなる変形接合溝を周設してなり、
    積層した金属板体を押さえ治具により固持した上、
    前記回転工具を回転させつつ、端面部の垂直方向より端面部に対して変形接合溝を圧接した上、端面部に沿って移動させることで、回転工具の変形接合溝と端面部との間で摩擦発熱を起こさせるとともに端面部で塑性流動を生じさせ、端面部全体にわたり接合部を形成することにより一体に接合すると共に、該接合部を断面ループ形状に成形し、それと同時に、断面ループ形状となる接合部を形成する端面部を誘導曲面部側に向けて湾曲するように成形してなることを特徴とする、積層した金属板体の端面部接合方法。
  3. 一対の回転工具によって、積層して揃えた金属板体の各端面部を一体に接合する方法であって、
    該回転工具は、金属板体に対して相対的に硬質の素材よりなるものであって、円筒体の側周面全体にわたり円筒体の側周面と一方の平坦面からなる角部が内径方向に凹陥し、積層した金属板体の上、下面部垂直方向に一対として配置した際に、該平坦面側より断面U字形状部を形成し、且つ、積層した金属板体を該断面U字形状部に挟持した際には、該一対の回転工具が相互に干渉しないだけの幅を有し、各々の該回転工具が断面半U字形状の接合湾曲部を周設してなるとともに、
    積層した金属板体の端面部に向けて互いの接合湾曲部が対向するように、該金属板体の平面部垂直方向に一対として配置し、
    該一対の回転工具の両接合湾曲部により、積層した金属板体の端面部近傍を圧接、挟持し、端面部に沿って移動させることによって、一対の回転工具の両接合湾曲部と端面部との間で摩擦発熱を起こさせるとともに端面部で塑性流動を生じさせ、端面部全体にわたり接合部を形成することにより一体に接合すると共に、該接合部を断面ループ形状に成形してなることを特徴とする、積層した金属板体の端面部接合方法。
  4. 上記回転工具によって、積層した金属板体の端面部に形成される断面ループ形状の接合部に対して、仕上げ用回転工具によって、更に加工してなることを特徴とする、請求項1乃至3記載の積層した金属板体の端面接合方法。
  5. 上記積層した金属板体の端面部に対する回転工具の回転を、該回転工具の移動方向に対して同方向に回転する順回転、又は該回転工具の移動方向に対して逆方向に回転する逆回転とすることを特徴とする、請求項1乃至4記載の積層した金属板体の端面部接合方法。
  6. 上記積層した金属板体の端面部に対する回転工具の順回転又は逆回転の回転速度及び移動速度を、該回転工具の回転が順回転の場合における回転速度R=移動速度V/(回転工具直径L×π)を除き、回転速度1〜35000rpmに対して移動速度を1〜1000m/分とすることを特徴とする、請求項1乃至5記載の積層した金属板体の端面部接合方法。
  7. 上記接合部を形成することとなる積層した金属板体の端面部を、予め加熱してなることを特徴とする、請求項1乃至6記載の積層した金属板体の端面部接合方法。
  8. 上記請求項1乃至7記載の積層した金属板体の端面部接合方法を実施する装置であって、該積層した金属板体の端面部に圧接し、移動してなる回転工具を単数又は複数有することを特徴とする、積層した金属板体の端面部接合装置。
  9. 上記請求項8記載の接合装置において、単数又は複数の回転工具において、該回転工具の接合溝、変形接合溝あるいは接合湾曲部に付着した凝集金属片を除去するためのブラシ又はヘラ等のドレッシング装置を有することを特徴とする、積層した金属板体の端面部接合装置。
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