JP2007316206A - 半導体可飽和吸収体ミラー、半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法、レーザ光発生装置およびレーザ光応用システム - Google Patents
半導体可飽和吸収体ミラー、半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法、レーザ光発生装置およびレーザ光応用システム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】光吸収特性の偏光軸依存性を有し、安定した偏光特性を得ることができる半導体可飽和吸収体ミラーおよびこれを用いたレーザ光発生装置を提供する。
【解決手段】傾斜基板11上にDBRからなる反射ミラー層12を成長させ、その上に、歪量子井戸を含む可飽和吸収層として半導体量子井戸層13を成長させることにより半導体可飽和吸収体ミラーを作製する。半導体量子井戸層13の歪量子井戸の面内には非対称な歪が発生する。傾斜基板11としてはGaAs基板、InP基板、GaN基板、Al2 O3 基板などを用いる。この半導体可飽和吸収体ミラーをレーザ光発生装置の共振器ミラーに用いる。
【選択図】図1
【解決手段】傾斜基板11上にDBRからなる反射ミラー層12を成長させ、その上に、歪量子井戸を含む可飽和吸収層として半導体量子井戸層13を成長させることにより半導体可飽和吸収体ミラーを作製する。半導体量子井戸層13の歪量子井戸の面内には非対称な歪が発生する。傾斜基板11としてはGaAs基板、InP基板、GaN基板、Al2 O3 基板などを用いる。この半導体可飽和吸収体ミラーをレーザ光発生装置の共振器ミラーに用いる。
【選択図】図1
Description
この発明は、半導体可飽和吸収体ミラー、半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法、レーザ光発生装置およびレーザ光応用システムに関する。
レーザ光発生装置においては発振する直線偏光の制御が重要である。大型の固体レーザシステムにおいては、たとえ共振器の利得が偏光方向によらず一定であったとしても、共振器長も長いために、ブリュースターウィンドウを配置するなどすることで共振器の軸に関して軸非対称な共振器ロスを導入し、発振する偏光を制御することができる。しかし、近年開発が進んでいるマイクロチップレーザあるいは化合物半導体利得媒質とのモノリシックレーザにおいては、共振器長が数mm以下と短くなり、部品点数を増やすことは許されないため、この手法は適用できない。このようなコンパクトなレーザにおいては、利得がほぼ軸対称であるとき、安定した直線偏光の発振は難しく、外界から加わる摂動のために、偏光ノイズだけでなく、強度ノイズや横モードノイズとなって現れることが避けられない。
一方、半導体可飽和吸収体ミラーは、固体レーザにおいて受動Qスイッチもしくは受動モードロックレーザを実現する基幹部品として実用化されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照。)。この半導体可飽和吸収体ミラーでは、強度が低い入射光に対しては可飽和吸収層が吸収体として働き、強度が高い入射光に対しては吸収体としての能力が飽和することで透明体として働く。このため、共振器内に半導体可飽和吸収体ミラーを配置するとこの半導体可飽和吸収体ミラーがロスとして働いて受動Qスイッチもしくは受動モードロックレーザが実現される。
従来、例えば発振波長が1064nmあるいは914nmの固体レーザにおいて共振器ミラーに用いられる半導体可飽和吸収体ミラーとして、図5に示すようなものがある。図5に示すように、この半導体可飽和吸収体ミラーは、(001)GaAs基板101上に反射ミラー層102を成長させ、その上にInGaAs歪量子井戸を含む半導体量子井戸層103を可飽和吸収層として成長させることにより作製されたものである。
なお、面発光レーザにおいて、傾斜基板上に歪量子井戸構造を作製してその発光偏光特性を制御することは大歳らによって理論的に検討されており、面発光レーザの偏光特性制御方法のひとつとしてすでに実用化されている(非特許文献2参照。)。通常、GaAs(001)面上に成長させた歪量子井戸は面内に2軸性応力が対称に発生しており、価電子帯の分裂(軽い正孔の価電子帯と重い正孔の価電子帯との分裂)は面内方向によらず均一である。しかし、傾斜基板上に歪量子井戸を成長させた場合、価電子帯の分裂は面内で非対称性を持つようになり、その結果、利得が面内で非対称となり面発光レーザ発光の安定な偏光特性に寄与することができる。しかし、この非特許文献2には、傾斜基板上に歪量子井戸を成長させて半導体可飽和吸収体ミラーを作製することについては何ら開示も示唆もされていない。
図5に示す従来の半導体可飽和吸収体ミラーにおいて、可飽和吸収層としての半導体量子井戸層103のInGaAs歪量子井戸の歪は面内で対称であることから、光吸収特性に偏光軸依存性がなく、安定した偏光特性を得ることができない。このため、この半導体可飽和吸収体ミラーを固体レーザの共振器ミラーに用いた場合、発振波長におけるレーザ媒質の利得の軸非対称性が小さいと、発振を安定に行わせることは困難であった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、光吸収特性の偏光軸依存性を有し、安定した偏光特性を得ることができる半導体可飽和吸収体ミラーおよびこのような半導体可飽和吸収体ミラーを容易に製造することができる製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いることにより、部品点数を増やすことなく、安定した偏光特性を有するレーザ光を容易に発生させることができるレーザ光発生装置およびこのレーザ光発生装置を用いたレーザ光応用システムを提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いることにより、部品点数を増やすことなく、安定した偏光特性を有するレーザ光を容易に発生させることができるレーザ光発生装置およびこのレーザ光発生装置を用いたレーザ光応用システムを提供することである。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、レーザ光発生装置に不可欠なミラー部品として半導体可飽和吸収体ミラーを用いるとともに、傾斜基板上の結晶成長を利用してこの半導体可飽和吸収体ミラーに偏光軸非対称性を導入することで、部品点数を増やすことなく、安定した偏光特性を得ることができ、上記の課題を一挙に解決することができることを見出し、この発明を案出するに至った。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有する
ことを特徴とするものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有する
ことを特徴とするものである。
第2の発明は、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法であって、
傾斜基板上に上記反射ミラー層および上記可飽和吸収層を順次成長させるようにした
ことを特徴とするものである。
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法であって、
傾斜基板上に上記反射ミラー層および上記可飽和吸収層を順次成長させるようにした
ことを特徴とするものである。
第3の発明は、
半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いたレーザ光発生装置において、
上記半導体可飽和吸収体ミラーが、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有するものである
ことを特徴とするものである。
半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いたレーザ光発生装置において、
上記半導体可飽和吸収体ミラーが、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有するものである
ことを特徴とするものである。
第4の発明は、
半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いたレーザ光発生装置を有するレーザ光応用システムにおいて、
上記半導体可飽和吸収体ミラーが、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有するものである
ことを特徴とするものである。
半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いたレーザ光発生装置を有するレーザ光応用システムにおいて、
上記半導体可飽和吸収体ミラーが、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有するものである
ことを特徴とするものである。
第1〜第4の発明において、半導体可飽和吸収体ミラーは、傾斜基板上に反射ミラー層および可飽和吸収層を順次成長させて積層したままのものであっても、成長後に傾斜基板をエッチングや研磨などにより除去あるいは薄膜化したものであってもよい。ここで、傾斜基板とは、表面原子配置が2軸対称性を持たないような面方位を有する基板をいうものとし、半導体基板であっても半導体基板以外の基板であってもよい。この傾斜基板の傾斜角度は、可飽和吸収層に含まれる歪量子井戸の面内に非対称な歪(面内2軸非対称な歪)が発生する範囲内で適宜選択される。可飽和吸収層に含まれる歪量子井戸の組成は、この歪量子井戸によって吸収しようとする光の波長に応じて適宜選択される。歪量子井戸の形態は、必ずしも層状(一次元の量子井戸)である必要はなく、量子細線(二次元の量子井戸)あるいは量子ドット(三次元の量子井戸)であってもよい。反射ミラー層および可飽和吸収層の成長方法としては、一般的には有機金属化学気相成長(MOCVD)法あるいは分子線エピタキシー(MBE)法が用いられるが、これに限定されるものではない。
レーザ光発光装置の構成および大きさは基本的にはどのようなものであってもよく、また、発振波長に応じてレーザ媒質が適宜選択される。レーザ光応用システムは、基本的にはどのようなものであってもよく、用途や機能を問わないが、具体的には、表示装置(ディスプレイ)(プロジェクターも含む)、検査装置、処理装置、測定装置などである。検査装置は、例えば半導体ウェハ表面の異物や回路パターンなどを検査する装置であり、処理装置は、各種の基板や材料などの熱処理、加工、表面改質などの各種の処理を行う装置であり、測定装置は、レーザー光を用いて各種の計測を行う装置などである。
上述のように構成されたこの発明においては、可飽和吸収層の歪量子井戸の面内に非対称な歪を有することにより、価電子帯の分裂の面内非対称性に起因する光吸収特性の偏光軸依存性(偏光非対称性)が存在する。換言すれば、歪量子井戸によるロスが面内非対称性を有するため、光吸収特性の偏光軸依存性が存在する。
この発明によれば、光吸収特性の偏光軸依存性を有し、安定した偏光特性を得ることができる半導体可飽和吸収体ミラーを実現することができる。このため、この半導体可飽和吸収体ミラーをレーザ光発生装置の共振器ミラーに用いることで、レーザ媒質において利得の軸非対称性が十分大きくなく、発振偏光方向が共振器温度変化や励起光源の半導体レーザなどの外乱により不安定であっても、部品点数を増やすことなく、安定した偏光特性を得ることができる。そして、このような高性能のレーザ光発生装置を光源に用いて各種のレーザ光応用システムを実現することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の第1の実施形態による半導体可飽和吸収体ミラーについて説明する。図1にこの半導体可飽和吸収体ミラーを示す。
図1に示すように、この半導体可飽和吸収体ミラーは、傾斜基板11上に反射ミラー層12を成長させ、その上に、歪量子井戸を含む可飽和吸収層として半導体量子井戸層13を成長させることにより作製される。これらの反射ミラー層12および半導体量子井戸層13の成長方法としては、MOCVD法やMBE法などを用いることができる。
まず、この発明の第1の実施形態による半導体可飽和吸収体ミラーについて説明する。図1にこの半導体可飽和吸収体ミラーを示す。
図1に示すように、この半導体可飽和吸収体ミラーは、傾斜基板11上に反射ミラー層12を成長させ、その上に、歪量子井戸を含む可飽和吸収層として半導体量子井戸層13を成長させることにより作製される。これらの反射ミラー層12および半導体量子井戸層13の成長方法としては、MOCVD法やMBE法などを用いることができる。
傾斜基板11は、例えば、GaAs基板、InP基板、GaN基板、Al2 O3 (サファイア)基板などであるが、これに限定されるものではない。傾斜基板11がGaAs基板である場合、その主面は、具体的には、GaAs(311)B面、GaAs(411)A面、GaAs(775)B面などであるが、これに限定されるものではない。また、傾斜基板11がInP基板である場合、その主面は、具体的には、InP(311)B面、InP(411)A面、InP(775)B面などであるが、これに限定されるものではない。また、傾斜基板11がGaN基板またはAl2 O3 基板である場合、その主面は、具体的には、GaN(11−20)面、GaN(1−102)面、Al2 O3 (11−20)面、Al2 O3 (1−102)面などであるが、これに限定されるものではない。
反射ミラー層12の構造や材料などは、この半導体可飽和吸収体ミラーに入射する光を効率的に反射させることができるように適宜選択される。この反射ミラー層12は、典型的には、例えば、互いに屈折率が異なる二種類の半導体層が交互に積層された半導体多層膜、すなわちDBR(Distributed Bragg Reflector)が用いられるが、これに限定されるものではない。
半導体量子井戸層13は、典型的には、歪量子井戸層と障壁層とが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有する。ここで、半導体量子井戸層13の歪量子井戸層の混晶組成は、この半導体可飽和吸収体ミラーを用いるレーザ光発生装置に応じて決まる波長(例えば、1064nmあるいは914nm)の光がこの歪量子井戸層によって吸収されるように選択されている。この歪量子井戸層は、傾斜基板11上に成長させたことを反映して面内非対称な歪を有する。そして、この非対称な歪によりこの歪量子井戸層の価電子帯の分裂の非対称性が生じていることに起因して光吸収特性の偏光軸依存性が存在している。
半導体量子井戸層13の歪量子井戸層は、傾斜基板11との組み合わせによりその面内に非対称な歪が発生している。この歪量子井戸層は、GaAs(311)B面、GaAs(411)A面、GaAs(775)B面などとの組み合わせとしては、例えば、GaInAs系半導体、GaInAsP系半導体、AlGaInP系半導体、MgZnCdSe系半導体などからなるものが用いられるが、これに限定されるものではない。また、この歪量子井戸層は、InP(311)B面、InP(411)A面、InP(775)B面などとの組み合わせとしては、例えば、AlGaInAs系半導体、AlGaInP系半導体などからなるものが用いられるが、これに限定されるものではない。さらに、この歪量子井戸層は、GaN(11−20)面、GaN(1−102)面、Al2 O3 (11−20)面、Al2 O3 (1−102)面などとの組み合わせとしては、例えば、AlGaInN系半導体からなるものが用いられるが、これに限定されるものではない。
傾斜基板11は、反射ミラー層12および半導体量子井戸層13を成長させた後にそのまま残してもよいし、エッチングや研磨などにより除去してもよいし、あるいは薄膜化してもよい。傾斜基板11をエッチングにより除去する場合には、好適には、傾斜基板11と反射ミラー層12との間にあらかじめエッチングストッパーを形成しておく。例えば、傾斜基板11がGaAs基板である場合には、反射ミラー層12の成長前にエッチングストッパーとしてAlGaAs層を成長させる。反射ミラー層12として、AlGaAs層を含むDBRを用いる場合には、最下層のAlGaAs層をこのエッチングストッパーに用いてもよい。
〈実施例〉
傾斜基板11として(311)B面GaAs基板を用いた。この(311)B面GaAs基板上に、厚さ90.2nmのAlAs層と厚さ76.43nmのGaAs層とを計30対、交互に成長させてAlAs/GaAs DBRからなる反射ミラー層12を形成した。その上にGaAs0.75P0.25層(障壁層)とGa0.7 In0.3 As層(量子井戸層)とを交互に成長させてGaInAs/GaAsP MQW(井戸数は7)からなる半導体量子井戸層13を成長させた。さらに、半導体量子井戸層13上に劣化防止用のGaAsキャップ層を成長させた。これらの半導体層の成長にはMOCVD法を用いた。こうして波長1064nmのレーザ光の発振に用いて好適な半導体可飽和吸収体ミラーを得た。
傾斜基板11として(311)B面GaAs基板を用いた。この(311)B面GaAs基板上に、厚さ90.2nmのAlAs層と厚さ76.43nmのGaAs層とを計30対、交互に成長させてAlAs/GaAs DBRからなる反射ミラー層12を形成した。その上にGaAs0.75P0.25層(障壁層)とGa0.7 In0.3 As層(量子井戸層)とを交互に成長させてGaInAs/GaAsP MQW(井戸数は7)からなる半導体量子井戸層13を成長させた。さらに、半導体量子井戸層13上に劣化防止用のGaAsキャップ層を成長させた。これらの半導体層の成長にはMOCVD法を用いた。こうして波長1064nmのレーザ光の発振に用いて好適な半導体可飽和吸収体ミラーを得た。
以上のように、この第1の実施形態によれば、半導体可飽和吸収体ミラーを製造する際の成長基板として傾斜基板11を用い、その上に反射ミラー層12を介して歪量子井戸を含む可飽和吸収層としての半導体量子井戸層13を成長させることで、歪量子井戸の面内に非対称な歪を発生させているので、光吸収特性の偏光軸依存性を有し、安定した偏光特性を得ることができる半導体可飽和吸収体ミラーを実現することができる。この半導体可飽和吸収体ミラーは、マイクロチップレーザやモノリシックレーザなどのコンパクトなレーザを含む各種のレーザにおいて共振器ミラーに用いて好適なものである。
次に、この発明の第2の実施形態によるレーザ光発生装置について説明する。このレーザ光発生装置を図2に示す。
図2に示すように、このレーザ光発生装置20においては、励起光光源21、シリンドリカルレンズ22、コリメートレンズ23、ダイクロイックミラー24、集光レンズ25およびレーザ共振器26が同軸に配置されている。ここで、励起光光源21、シリンドリカルレンズ22、コリメートレンズ23、ダイクロイックミラー24および集光レンズ25により励起光学系ユニットが構成されている。レーザ共振器26においては、一方の共振器ミラーを構成するアウトプットカプラー27と、他方の共振器ミラーを構成する、第1の実施形態による半導体可飽和吸収体ミラー28とが、レーザ媒質29を介して互いに対向して配置されている。励起光光源21としては例えば半導体レーザが用いられるが、これに限定されるものではない。
図2に示すように、このレーザ光発生装置20においては、励起光光源21、シリンドリカルレンズ22、コリメートレンズ23、ダイクロイックミラー24、集光レンズ25およびレーザ共振器26が同軸に配置されている。ここで、励起光光源21、シリンドリカルレンズ22、コリメートレンズ23、ダイクロイックミラー24および集光レンズ25により励起光学系ユニットが構成されている。レーザ共振器26においては、一方の共振器ミラーを構成するアウトプットカプラー27と、他方の共振器ミラーを構成する、第1の実施形態による半導体可飽和吸収体ミラー28とが、レーザ媒質29を介して互いに対向して配置されている。励起光光源21としては例えば半導体レーザが用いられるが、これに限定されるものではない。
レーザ媒質29としては、例えば、Nd:YVO4 、Nd:YLF(YLiF4 )などを用いることができる。Nd:YVO4 の発振波長は1064nmおよび1340nmであり、Nd:YLFの発振波長は914nmである。レーザ媒質29としては、このほかに、例えば、Nd、Er、Yb、Sm、Prなどの希土類元素をドープした光学結晶またはガラスを用いることができ、さらに、例えばGaInAs/GaAsP量子井戸をはじめとする化合物半導体を用いることもできる。レーザ媒質29として化合物半導体を選択した場合は、半導体可飽和吸収体ミラー28と一体化しても構わない。
半導体可飽和吸収体ミラー28はレーザ媒質29の受動Qスイッチとなるものである。上述のように、この半導体可飽和吸収体ミラー28の歪量子井戸は面内に非対称な歪を有し、光吸収特性の偏光軸依存性が存在している。
半導体可飽和吸収体ミラー28はレーザ媒質29の受動Qスイッチとなるものである。上述のように、この半導体可飽和吸収体ミラー28の歪量子井戸は面内に非対称な歪を有し、光吸収特性の偏光軸依存性が存在している。
次に、このレーザ光発生装置20の動作について説明する。例えば半導体レーザからなる励起光光源21から発生するレーザ光30を、シリンドリカルレンズ22、コリメートレンズ23、ダイクロイックミラー24および集光レンズ25を通して、レーザ共振器26に入射させる。レーザ共振器26からの出射光は、集光レンズ25を通り、ダイクロイックミラー24で反射されて図2中下方に取り出され、レーザ光発生装置20の外部にレーザ光31が出力される。ここで、レーザ共振器26からの出射光は半導体可飽和吸収体ミラー28によって受動Qスイッチングされており、パルス出力となっている。この時、半導体可飽和吸収体ミラー28の光吸収特性が偏光軸依存性を強く有するため、特定の偏光軸が優先的に選択され、直線偏光の出力レーザ光31が安定して得られる。
このように、この第2の実施形態によれば、レーザ光発生装置の共振器ミラーとして第1の実施形態による半導体可飽和吸収体ミラー28を用いているので、部品点数を増やすことなく、直線偏光のレーザ光31を安定して得ることができるレーザ光発生装置を実現することができる。
このように、この第2の実施形態によれば、レーザ光発生装置の共振器ミラーとして第1の実施形態による半導体可飽和吸収体ミラー28を用いているので、部品点数を増やすことなく、直線偏光のレーザ光31を安定して得ることができるレーザ光発生装置を実現することができる。
次に、この発明の第3の実施形態によるレーザ光発生装置について説明する。このレーザ光発生装置は、第2の実施形態によるレーザ光発生装置20をマスターレーザとして用いて、このレーザ光発生装置20からの出力レーザ光から第2高調波を得るように構成したレーザ光発生装置である。
図3に示すように、このレーザ光発生装置60は、マスター発振器61と、ファイバーや半導体などを用いた増幅器62、励起半導体レーザ63および非線形光学結晶64により構成されている。マスター発振器61としては、第2の実施形態によるレーザ光発生装置20が用いられ、波長1064nmのレーザ光および波長914nmのレーザ光が出力される。マスター発振器61から出射されるレーザ光は増幅器62において増幅される。この増幅器62は、励起半導体レーザ63から出射されるレーザ光により励起される。この増幅器62で増幅されたレーザ光は非線形光学結晶64に入射する。この非線形光学結晶64はSHG(第2高調波発生)素子を構成し、この非線形光学結晶64を通過することにより、波長1064nmのレーザ光および波長914nmのレーザ光が1/2波長変換されて、それぞれ緑(G)の光(波長532nm)および青(B)の光(波長457nm)が得られる。
図3に示すように、このレーザ光発生装置60は、マスター発振器61と、ファイバーや半導体などを用いた増幅器62、励起半導体レーザ63および非線形光学結晶64により構成されている。マスター発振器61としては、第2の実施形態によるレーザ光発生装置20が用いられ、波長1064nmのレーザ光および波長914nmのレーザ光が出力される。マスター発振器61から出射されるレーザ光は増幅器62において増幅される。この増幅器62は、励起半導体レーザ63から出射されるレーザ光により励起される。この増幅器62で増幅されたレーザ光は非線形光学結晶64に入射する。この非線形光学結晶64はSHG(第2高調波発生)素子を構成し、この非線形光学結晶64を通過することにより、波長1064nmのレーザ光および波長914nmのレーザ光が1/2波長変換されて、それぞれ緑(G)の光(波長532nm)および青(B)の光(波長457nm)が得られる。
以上のように、この第3の実施形態によれば、第2の実施形態によるレーザ光発生装置20をマスター発振器61として用い、このマスター発振器61から発振されるレーザ光をSHG素子としての非線形光学結晶64を通過させて1/2波長変換することにより、緑(G)のレーザ光および青(B)のレーザ光を得ることができる。さらに、赤(R)の光は通常の半導体レーザ(例えば、AlGaInP系半導体レーザなど)によって得ることができるため、図3のレーザ光発生装置60とこの半導体レーザとを組み合わせることで、表示装置用のR、G、Bの3色の光源を得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態によるGLV(Grating Light Valve)ディスプレイについて説明する。このGLVディスプレイは、第3の実施形態によるレーザ光発生装置60と赤(R)の半導体レーザとを組み合わせたR、G、Bの3色の光源を用いたものである。図4にこのGLVディスプレイを示す。
図4に示すように、このGLVディスプレイ80は、第3の実施形態によるレーザ光発生装置60からなるレーザ光源81、照明レンズ82、GLVからなる光変調器83、投射レンズ84および走査ミラー85を備え、レーザ光86によりこのGLVディスプレイ80の外部に設けられたスクリーン87に画像を表示するものである。
図4に示すように、このGLVディスプレイ80は、第3の実施形態によるレーザ光発生装置60からなるレーザ光源81、照明レンズ82、GLVからなる光変調器83、投射レンズ84および走査ミラー85を備え、レーザ光86によりこのGLVディスプレイ80の外部に設けられたスクリーン87に画像を表示するものである。
レーザ光源81は、R、GおよびBのうちの1色を表示するものであり、図示は省略するが、同様のレーザ光源があと2つ設けられ、全体でR、G、Bの3色の光源が配置されている。投射レンズ84は、回折光だけを通すフィルターを内蔵している。走査ミラー85は、図4中の矢印に示すように回動することにより、スクリーン87の全体に対してレーザ光86の走査を行うものである。例えば、毎秒60回のプログレッシブスキャンで走査を行う。スクリーン87には、例えば1920×1080画素の表示がなされるが、これに限定されるものではない。
この第4の実施形態によれば、レーザ光源81として第3の実施形態によるレーザ光発生装置60を用いているので、表示用のレーザ光86が安定した偏光特性を有するため、高画質の表示が可能なGLVディスプレイを実現することができる。
この第4の実施形態によれば、レーザ光源81として第3の実施形態によるレーザ光発生装置60を用いているので、表示用のレーザ光86が安定した偏光特性を有するため、高画質の表示が可能なGLVディスプレイを実現することができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の第1〜第4の実施形態において挙げた数値、材料、構造、形状、基板、構成、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状、基板、構成、配置などを用いてもよい。
例えば、上述の第1〜第4の実施形態において挙げた数値、材料、構造、形状、基板、構成、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状、基板、構成、配置などを用いてもよい。
11…傾斜基板、12…反射ミラー層、13…半導体量子井戸層、20…レーザ光発生装置、26…レーザ共振器、28…半導体可飽和吸収体ミラー、29…レーザ媒質、60…レーザ光発生装置、80…GLVディスプレイ
Claims (8)
- 反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有する
ことを特徴とする半導体可飽和吸収体ミラー。 - 上記反射ミラー層および上記可飽和吸収層は傾斜基板上に順次積層されていることを特徴とする請求項1記載の半導体可飽和吸収体ミラー。
- 上記傾斜基板はGaAs基板であり、上記歪量子井戸はGaInAs系半導体、GaInAsP系半導体、AlGaInP系半導体またはMgZnCdSe系半導体からなることを特徴とする請求項2記載の半導体可飽和吸収体ミラー。
- 上記傾斜基板はInP基板であり、上記歪量子井戸はAlGaInAs系半導体またはAlGaInP系半導体からなることを特徴とする請求項2記載の半導体可飽和吸収体ミラー。
- 上記傾斜基板はGaN基板またはAl2 O3 基板であり、上記歪量子井戸はAlGaInN系半導体からなることを特徴とする請求項2記載の半導体可飽和吸収体ミラー。
- 反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法であって、
傾斜基板上に上記反射ミラー層および上記可飽和吸収層を順次成長させるようにした
ことを特徴とする半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法。 - 半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いたレーザ光発生装置において、
上記半導体可飽和吸収体ミラーが、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有するものである
ことを特徴とするレーザ光発生装置。 - 半導体可飽和吸収体ミラーを共振器ミラーに用いたレーザ光発生装置を有するレーザ光応用システムにおいて、
上記半導体可飽和吸収体ミラーが、
反射ミラー層と、
上記反射ミラー層上の歪量子井戸を含む可飽和吸収層とを有する半導体可飽和吸収体ミラーであって、
上記歪量子井戸の面内に非対称な歪を有するものである
ことを特徴とするレーザ光応用システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006143882A JP2007316206A (ja) | 2006-05-24 | 2006-05-24 | 半導体可飽和吸収体ミラー、半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法、レーザ光発生装置およびレーザ光応用システム |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2007316206A true JP2007316206A (ja) | 2007-12-06 |
Family
ID=38850142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006143882A Pending JP2007316206A (ja) | 2006-05-24 | 2006-05-24 | 半導体可飽和吸収体ミラー、半導体可飽和吸収体ミラーの製造方法、レーザ光発生装置およびレーザ光応用システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007316206A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108666860A (zh) * | 2018-07-28 | 2018-10-16 | 广东华快光子科技有限公司 | 一种带应变补偿的半导体可饱和吸收镜结构 |
CN112968346A (zh) * | 2021-02-03 | 2021-06-15 | 西北工业大学 | 一种高损伤阈值薄膜可饱和吸收体器件、制备方法及应用 |
-
2006
- 2006-05-24 JP JP2006143882A patent/JP2007316206A/ja active Pending
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